図1は、マイクロホン100の分解図である。このマイクロホン100は、エレクトレットコンデンサマイクロホン(ECM)、無指向性マイクロホン、指向性マイクロホン、雑音打消し用マイクロホン、または実質的に如何なる型の通信デバイスにも使用可能な他のこのようなデバイス(セルラーホン、ウェブ可能化セルラーホン、個人向け携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータ、ブルートゥース無線ヘッドセット、デジタルカメラ、1つまたはそれ以上の公衆または私設通信ネットワークを介して通信可能な他の型のポータブル計算及びインターネットアクセス機器及びデバイス等が含まれる)の何れかとして使用するようになっている。マイクロホン100は、ダイアフラム組立体120、スペーサ134、バックプレート組立体140、ボディ組立体150、接続部材160、及びハウジング108内に配置されている回路組立体170を含んでいる。ハウジング108はカップ型のハウジングであることができ、上面部分110及び側壁部分112からなる。代替実施の形態においては、ハウジング108は種々の他の型の形状(例えば、矩形、D字形、または台形)であることができ、複数の異なるサイズを有することができる。1つの好ましい実施の形態においては、マイクロホン100の幅は約2.5mmであり、約1.5mmの高さを有している。ハウジングの側壁部分112は接続表面114において終端し、開口116を限定している。接続表面116は、動作要素をハウジング108内に配置することができるように外向きに広がったフレアを有するように初めに形成しておくことができる。
全ての動作要素を最終的な位置に、即ちハウジング108内の閉じた位置に配置した後に、接続表面114を開口116の中心に向かって半径方向に曲げる、もしくは再形成する。この形成動作は、接続表面114によって回路組立体170を機械的に捕捉し、他の動作要素を定位置にロックして回路組立体170に電気的に接続する。ハウジング108は、少なくとも1つの層を有するように図示されている。しかしながら、ハウジング108は、導電性材料と非導電性材料とが交互の層をなしていることも、または非導電性基体の内側に導電性コーティングを施し、ダイアフラム組立体120を回路組立体170に電気的に接続できるようにすることもできる。一実施の形態においては、ハウジング108は銅合金で作られている。
少なくとも1つの開口、即ち音響ポート118がハウジング108の上面110に設けられ、音響波をダイアフラム組立体120へ伝播させることができるようになっている。音響ポート118は、錐もみ、パンチング、またはモールディングのような如何なる適切な手法でも形成することができる。音響ポート118によって、音圧レベル変化に対応する音響エネルギをハウジング108内へ進入させることができる。ダストガード102はハウジング108の形状に対応する形状であるが、必ずしもハウジングの形状に対応している必要はない種々の形状であることができ、また多くの異なるサイズを有することができる。図示の実施の形態においては、ダストガード102はハウジング108の円形の形状に対応する円形形状を有している。ダストガードは、第1の表面104及び第2の表面106を有する布またはフェルトで作ることができる。ダストガード102の第2の表面106は接着剤によってハウジング108に取付けられ、音響ポート118をカバーする。これは、ごみがマイクロホン100へ進入してハウジング108内に配置されている動作要素を破壊することを防ぐのを援助する。ダストガード102は、周波数レスポンスをも改善し、遅延を創り出し、そして指向性レスポンスを発生させる。
ダイアフラム組立体120は、支持リング122、及びこの支持リング122に取付けられたダイアフラム124を含む。ダイアフラム組立体120はハウジング108の形状にほぼ対応する形状を有しているが、異なる実施の形態においては、種々の形状を取ることも、多くの異なるサイズを有することもできる。支持リング122は、銅メッキされたニッケルで作ることができるが、黄銅または錫を含む導電性の材料、または導電性コーティングを含む材料を使用することができる。支持リング122は、第1の表面126及び第2の表面128を有している。支持リング122の第1の表面126はハウジング108の内面と接触するように保持され、第2の表面はスペーサ134と接触するように保持される。ダイアフラム124は、音響波に応答して振動することができる導電性材料で作られる。このような材料の1つは、商品名マイラとして入手可能なポリエチレンテレフタラートフィルムである。ダイアフラム124は、第1の表面130及び第2の表面132を有している。ダイアフラム124の第1の表面130は、例えば接着剤による結合によって支持リング122の第2の表面に取付けられる。しかしながら、当業者ならば、圧縮、または縁における機械的取付け等を含む如何なる結合の形状でも十分であることが理解されよう。ダイアフラム124の第2の表面132は、一般的に可動電極と呼ばれる電気的に活性の部分を形成するクロムのような導電性材料の層でコーティングされ、スペーサ134と接触するように保持されている。
スペーサ134は、開口135及びダイアフラム組立体120を、ハウジング108内の他の動作要素から電気的に絶縁するために、第1の表面136及び第2の表面138を含むように形成されている。スペーサ134は、マイラのような電気絶縁性材料で作られ、ダイアフラム組立体120とバックプレート140との間に所望の間隔または分離が得られるように選択された厚みを有している。スペーサ134は、ダイアフラム124がバックプレート140に向かってたわむことができるようにする。スペーサ134は、必ずしもハウジングの形状に対応する必要がない種々の形状を有することができ、また多くの異なるサイズを有することができる。図示の実施の形態においては、スペーサ134の形状はハウジング108に対応する円形の形状である。スペーサ134の厚み及び材料は、応用の要求に依存して変化させることができる。スペーサ134は、ダイアフラム組立体120とバックプレート組立体140との間に配置され、接続表面114が回路組立体170上で閉じた後の接続表面114による機械的圧力によって定位置に保持される。スペーサ134の第1の表面136は、ダイアフラム124と接触するように保持される。スペーサ134の第2の表面138はバックプレート組立体140と接触するように保持され、ダイアフラム組立体120をバックプレート組立体140から分離する。
バックプレート組立体140は、例えば金属ブランクからパンチングによって、少なくとも1つの突起142及び少なくとも1つの逃げ144を有するディスク状に形成されている。図示の実施の形態においては、バックプレート組立体140は、米国特許出願10 / 801,371に開示されているように、複数の突起142a―d、及び複数の逃げ部分144a―dを含んでいる。バックプレート組立体140はステンレス鋼のような導電性材料で作られるが、如何なる導電性材料、または導電性コーティングを含む材料も使用することができる。バックプレート組立体140は、第1の表面146及び第2の表面148を有している。バックプレート組立体140の第1の表面146は、分極した誘電体フィルムまたはテフロン(登録商標)のようなエレクトレット材料でコーティングまたはカバーすることができる。動作の際にバックプレートは固定電極になり、例えば−360Vのような所定の表面電荷まで静電的に充電することができる。バックプレート組立体140をこのように作ることによりダイアフラム124の中心、即ち最も可動性の領域の下の表面積が増加し、それによってマイクロホン100の電気・音響性能が向上するという長所が得られる。バックプレート組立体140は、スペーサ134と接続部材160との間に保持されるが、このような実施の形態を詳細に説明する。
ボディ組立体150は円筒形状であり、中心通路152、及び上面154及び下面156を含むように形成されている。ボディ組立体150は、ハウジング108内に配置される。ボディ組立体150は、応用の要望に適合するような種々の形状及びサイズにモールドすることができる。一実施の形態においては、ボディ組立体150は円筒形状であり、モールドされたポリエチレンプラスチックのような電気絶縁材料で作られている。組立てられた時に、ボディ組立体150の第1の表面154は、上述したように接続表面114の機械的圧力によってスペーサ134と接触するように保持される。ボディ組立体150の第2の表面156は、接続表面114が回路組立体170上に閉じられた時に回路組立体170と接触するように保持される。
接続部材160は、バックプレート組立体140をハウジング102内に機械的に確保し、バックプレート組立体140を回路組立体170に電気的に結合する。接続部材160は、バックプレート組立体140と回路組立体170との間に延びてバックプレート組立体140をスペーサ134に対して保持するばね状の部材である。接続部材160は更に、接続部材160がバックプレート140を回路組立体170に電気的にも結合するように導電性材料を使用して作られる。
図1及び2の実施の形態に示すように、接続部材160は、実質的に平坦な中心の係合部分162、及び複数の係合脚164a−dを含む。係合脚164a−dは、係合部分162から外向きに延びている。係合脚164a−dは、他の係合脚164a−dに対して90°の角度に配置され、また係合部分162の面に対してある角度をなしている。係合脚164a−dはある程度の柔軟性を有し、バックプレート組立体140と回路組立体170との間に位置決めされると僅かに圧縮され得る。接続部材160が軸方向に圧縮されることによって、マイクロホン組立体100の振動をある程度受け入れることができる。
接続部材160は、バックプレート組立体140と回路組立体170とを電気的に相互接続するようにもなっている。因みに、接続部材160の各係合脚164a−dは、バックプレート組立体140の対応する突起142a−dと係合し、電気的に結合する。接続部材160の係合部分162は、回路組立体170上に形成されている導電性表面に突き当たり、結合される。
接続部材160は、バックプレート組立体140をハウジング102内に機械的に確保し、且つバックプレート組立体140を回路組立体170に電気的に結合するために、例えば金属のような高導電率、高い弾力性コンテントを有する材料で作ることができる。例えば、接続部材160は、ベリリウム銅(BeCu)合金、または類似の材料であることができる。接続部材160は、特に回路組立体170に接する底面の領域内に、金コーティングのような導電性コーティングを有することができる。これによって接続部材160は、接続部材160を介して回路組立体170に音響信号を伝送し、供給するために回路組立体170に電気的に結合され、且つ、バックプレート140をダイアフラム組立体120に対して機械的に確保する。更に、接続部材160の可圧縮性は、バックプレート組立体140のエレクトレット層146を、過大な熱及び/または反復する衝撃によってもたらされる崩壊から保護する。
回路組立体170は、回路基板172、回路基板172上に配置されている複数の電子要素174を含む。回路基板172は、前面176及び後面178を有している。回路基板172は、ハウジングに対応する、またはそれ以外に特定の応用に従う種々の形状及びサイズに形成することができる。回路基板172の前面176は、印刷配線、複数の空洞(図示せず)、出力接続184、入力接続186、及び複数の電子要素174を有することができる。電子要素174は、接合型電界効果トランジスタ(JFET)180、及び例えばセルラーホンのような通信デバイスが発生する低及び高無線周波数妨害に対する感度を低下させるために設けられている少なくとも2つのキャパシタ(図示せず)を含むことができる。ゲート接続(図示せず)は、JFET 180の上面に取付けられている。このゲート接続は、例えばはんだ付けによって接点パッド182に電気的に結合することができる。接続部材の係合部分162は、それが接点パッド182と係合し且つ接点パッド182に押しつけられて両者の間に電気的接続が得られるように位置決めされる。係合部分162を接点パッド182に対して確保するために、オプションとして、はんだ付けまたは導電性接着剤も使用することができる。代替として、係合部分162は接点パッド182と機械的に結合、またはそれ以外に係合させることができる。良好な電気的結合を確保するために、接点パッド182は、低インダクタンス及び高無線周波数(RF)抵抗を呈する金めっきしたニッケルのような導電性材料で作ることができる。接点パッド182は接続部材160をJFET 180のトップ部分に電気的に接続し、それによって、接続部材160を介してゲート接続をバックプレート組立体140に接続する。
本発明によるマイクロホン100は、従来のマイクロホンより部品数が少なく、組立てが容易である。接続部材160を用いてエレクトレット部分をボディ組立体150内の定位置に保持した後に、ボディ組立体150をスペーサ134と接触させるようにハウジング108内に圧入(プレスフィット)する。ボディ組立体150のこの圧入により下側に位置する要素が拘束され、製造中に発生し得る移動及び破壊を減少させる。更に、ボディ組立体150によって、接続部材160の受入れ難い変形を伴うことなく、バックプレート組立体140及びダイアフラム組立体120を回路組立体170に電気的に接続することができる。以上に説明した本発明の概念によって作られたデバイスは、感度、雑音、安定度、コンパクトさ、頑丈さ、及び電磁妨害(EMI)その他の外部及び環境状態(衝撃及び塵埃を含む)に対する不感応性のような良好な電気音響・性能を維持しながら、総合サイズが小さくなるという長所を有している。
図2は、マイクロホンの組立て方法の実施の形態を示す断面図である。先ず、ダイアフラム組立体120を音響ポート118に対向させてハウジング108内に挿入する。次いで、スペーサ134の第1の面136がダイアフラム組立体120の第2の面132と対面するように、スペーサ134をハウジング内に挿入する。回路組立体170は、複数の電子要素174を回路基板172上に配置して事前に組立てられている。次に、接続部材160を、接点パッド182を介して回路組立体170に取付ける。バックプレート組立体140をボディ組立体150内に挿入する。バックプレート組立体140の第1の面146は、ハウジング108内に挿入された時にスペーサ134の第2の面138と対面するように配向する。複数の突起142a−dの各々を、接続部材160の複数の係合脚164a−dと整列させ、係合させる。突起142a−dとこのように整列し、係合した係合脚164a−dは、オプションとして例えばはんだ付け、導電性接着剤、または機械的な結合によって保持することができる。バックプレート組立体140、スペーサ134、及びダイアフラム組立体120は、ボディ組立体150の摩擦嵌めによって拘束される。ダイアフラム組立体120、スペーサ134、バックプレート組立体140、ボディ組立体150、及び接続部材160をハウジング108内に挿入した後に、回路基板172の後面178をハウジング108の接続表面114によって捕捉する(例えば、機械的締付け、クリンピング、溶接、または接着剤によって)。この位置において、ダイアフラム組立体120及びバックプレート組立体140が回路組立体170に電気的に接続される。代替構造においては、接続部材160を、特に係合脚164a−dを、バックプレート組立体140に機械的に及び電気的に結合されているバックプレート組立体140の突起142a−dに先ず保持することができる。このような配列も、マイクロホン100の組立てを容易にする。
以上に記述した出版物、特許出願、及び特許を含む引用の全てを、本明細書に参照として組入れている。
本発明を説明する上で(特に、特許請求の範囲において)使用する(した)用語「ある」、「1つの」、及び「その」、「前記」等の用語は、特に指定しない限り、または文脈的に明白に否定されない限り、単数及び複数の両者をカバーするものと理解されたい。記載した数値の範囲は単なる説明のためのものに過ぎない。以上に説明した全ての方法は、特記しない限り、または文脈的に否定されない限り、如何なる適切な順番でも遂行することができる。何れかの、及び全ての例、または例示言語(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明をより良く理解するためであって、本発明の範囲を限定する意図はない。
以上に、本発明を遂行するために発明者らが知る最良モードを含む本発明の好ましい実施の形態を説明した。図示した実施の形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。