JP2008533986A - 変異型p53の共通エピトープに対するヒト合成単鎖抗体およびその使用 - Google Patents

変異型p53の共通エピトープに対するヒト合成単鎖抗体およびその使用 Download PDF

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Abstract

野生型ではなく、変異型p53タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができる、単離されたポリペプチド、単離されたポリヌクレオチド、またはそれをコードする発現ベクター、ウイルス呈示ビヒクルが提供される。また、本発明によって明らかにされた単離されたポリペプチドを使用する、アポトーシスを誘導する方法およびガンを治療する方法、ならびにp53関連のガンを診断する方法が提供される。

Description

本発明は、p53変異型タンパク質に対する抗体を使用してガンを治療する方法に関連する。
腫瘍サプレッサー遺伝子p53は、主としてアポトーシスの誘導によって腫瘍の成長を阻害する。p53腫瘍サプレッサー遺伝子における変異は非常に一般的な遺伝子変化であり、すべてのヒト腫瘍の半数以上で生じている。これらの変化の約90%が、標的遺伝子に対する野生型p53タンパク質の配列特異的な結合に関わるDNA結合コアドメインにおけるミスセンス変異である。これらの変異の多くが、p53タンパク質における共通した立体配座変化を引き起こし、この結果、そうでない場合には野生型p53分子の内部に隠されるエピトープの露出をもたらしている。
ガンの進行におけるp53変異体の関与が、野生型p53のトランスドミナント抑制、または、野生型p53に依存しない発ガン性の「機能獲得」のいずれかと関連することが示唆されていた。野生型p53は四量体を形成して、その腫瘍サプレッサー活性を発揮するので、変異型p53が野生型p53とヘテロマー形成することにより、野生型タンパク質が、トランスドミナント抑制現象を生じさせる変異型の立体配座、または、そうでない場合には不活性な立体配座にされることが一般に受け入れられている。変異型p53の「機能獲得」は、2つの相互に可能性がある機構に起因すると考えられ得る。1つの機構が、野生型p53タンパク質とではなく、変異型p53と物理的に相互作用すること、および、その活性を妨害することが見出されたp53ファミリーメンバー(p63およびp73)の腫瘍サプレッサー活性の無効化である。第2の機構では、変異型p53により、これらの変異体の様々な発ガン活性を媒介する特定の遺伝子がトランス活性化または抑制され得ることが伴う。コアドメインのp53変異体が、様々な遺伝子(例えば、多剤耐性(MDR−1)、c−myc、増殖細胞核抗原(PCNA)、インターロイキン−6(IL−6)および上皮増殖因子受容体(EGFR)および初期成長受容体(EGR−1)など)をトランス活性化することが見出され、これらの遺伝子は、野生型p53によって再活性化される遺伝子とは異なっている。
腫瘍原性の促進におけるp53変異体の積極的な役割を考えると、それらの機能を不活性化するために、または、それらを野生型の表現型に復帰させるための努力がなされている。これらには、変異型p53に対する特異的なDNA結合を少なくとも部分的に回復させることができる第二点サプレッサー変異(例えば、N239Y、N268DおよびH168R)の導入が含まれる。加えて、p53タンパク質のC末端に由来する合成ペプチド、または、CDB3(p53結合タンパク質(p53BP2)由来の化合物)は、DNAとの結合、それに続く、転写のトランス活性化、ならびに、腫瘍細胞に対するp53依存的アポトーシスの誘導を回復させることが見出された。さらに、CP−31398およびPRIMA−1などの低分子量化合物は、野生型の立体配座を元に戻すこと、転写のトランス活性化、ならびに、細胞におけるアポトーシス、および、変異型p53を有するヒト腫瘍異種移植片におけるアポトーシスを誘導することが見出された。しかしながら、そのようなペプチドおよび化合物は、目標とする治療のためには非常に重要な性質であるp53の野生型形態および変異型形態を区別する能力を有していない。
従って、野生型p53タンパク質ではなく、広範囲のp53変異体を特異的に標的化する新規な抗ガン治療様式が所望される。
p53タンパク質に見出される変異の90%以上において、そうでない場合には分子の疎水性コアに隠されるエピトープの露出をもたらす、p53タンパク質における立体配座変化が生じている。そのようなエピトープが、ヒトp53タンパク質(GenBankアクセション番号NP_000537)のアミノ酸212〜217、または、マウスp53タンパク質(GenBankアクセション番号NP_035770)のアミノ酸209〜214に限局され、FRHSVVの配列(配列番号1)を有する。以前の研究では、配列番号1により免疫化されたマウスから調製された単鎖scFvマウス抗体の単離が記載される。この抗体(ME1と呼ばれる)は、哺乳動物細胞の細胞質ゾルにおいて発現されること、および、野生型p53タンパク質とではなく、変異型p53タンパク質と10−7Mの親和性で結合することが見出された(Govorko D、Cohen GおよびSolomon B、2001、J.Immunol.Methods、258:169〜81)。しかしながら、この抗体は、腫瘍の形質転換における変異型p53の役割を明確にするための有用なツールを提供するが、そのマウス起源、および、変異p53に対するその中程度の親和性のために、その治療的適用は制限される。
従って、変異型p53を大きな親和性で特異的に標的化することができるヒト由来抗体が必要であることが広く認識されており、また、そのようなヒト由来抗体を有することは非常に好都合であると考えられる。
本発明の1つの態様によれば、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供され、この場合、特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である。
本発明の別の態様によれば、CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含むCDR含有ポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供され、この場合、特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である。
本発明のさらなる態様によれば、CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、単離されたポリヌクレオチドを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、単離されたポリヌクレオチドと、細胞において、この単離されたポリヌクレオチドの発現を指向させるためのプロモーターとを含む核酸構築物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導する方法が提供され、この場合、この方法は、単離されたポリペプチドをガン細胞と接触させるか、または、単離されたポリペプチドをガン細胞において発現させ、それにより、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導することを含む。
本発明のさらなる態様によれば、p53関連のガンに罹患しているか、または、p53関連のガンに対する素因を有する対象を治療する方法が提供され、この場合、この方法は、治療効果的な量の単離されたポリペプチドを対象に投与するか、または、治療効果的な量の単離されたポリペプチドを対象の細胞において発現させ、それにより、対象におけるp53関連のガンを治療することを含む。
本発明のなおさらなる態様によれば、対象におけるp53関連のガンを診断する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)対象の生物学的サンプルを、単離されたポリペプチドと、p53変異型タンパク質とを含む免疫複合体の形成のために好適な条件のもとで、単離されたポリペプチドと接触させること、および(b)免疫複合体の形成を検出し、それにより、対象におけるガンを診断することを含む。
本発明のなおさらなる態様によれば、p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための単離されたポリペプチドの使用が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための単離されたポリヌクレオチドの使用が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための核酸構築物の使用が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるポリペプチドをその表面に発現するウイルス呈示ビヒクルを含む組成物が提供され、この場合、特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である。
本発明のなおさらなる態様によれば、CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含むCDR含有ポリペプチドをその表面に発現するウイルス呈示ビヒクルを含む組成物が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、ウイルス呈示ビヒクルを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導する方法が提供され、この場合、この方法は、ウイルス呈示ビヒクルをガン細胞と接触させ、それにより、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導することを含む。
本発明のさらなる態様によれば、p53関連のガンに罹患しているか、または、p53関連のガンに対する素因を有する対象を治療する方法が提供され、この場合、この方法は、治療効果的な量のウイルス呈示ビヒクルを対象に投与し、それにより、対象におけるp53関連のガンを治療することを含む。
本発明のさらなる態様によれば、p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するためのウイルス呈示ビヒクルの使用が提供される。
下記に記載される本発明(医薬組成物)の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、エピトープは配列番号1によって示される通りである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ポリペプチドは、配列番号39〜配列番号41、配列番号45〜配列番号47および配列番号60〜配列番号62からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ポリペプチドは、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体および抗体からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、単鎖抗体は、配列番号113、配列番号114および配列番号115からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、核酸構築物はさらに、単離されたポリペプチドに融合された核局在化シグナル(NLS)をコードするさらなる核酸配列を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、NLSは配列番号134によって示される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明のポリヌクレオチドはさらに、薬物をコードするさらなる核酸配列を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明のポリペプチドはさらに、薬物のアミノ酸配列を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明のポリペプチドは薬物に結合されている。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、薬物はトキシンおよび/または化学療法薬物である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明のポリヌクレオチドはさらに、検出可能な標識をコードするさらなる核酸配列を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本発明のポリペプチドはさらに、検出可能な標識を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な標識はビオチンおよびジゴキシゲニンである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生物学的サンプルは、血液、リンパ節生検物、骨髄吸引物および組織サンプルからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体および抗体のそれぞれがヒト化されている。
本発明は、変異型p53タンパク質に対する抗体、および、変異型p53タンパク質に対する抗体を使用することにより細胞成長を阻害し、また、アポトーシスを誘導する方法を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1a〜図1bは、変異型p53の共通エピトープ(FRHSVV;配列番号1)と結合することについて選択された20個のヒトscFvクローンのアミノ酸配列アラインメントを示す。これらのscFvは配列番号113〜配列番号132によって示される。図1aは可変重鎖(V)のアミノ酸(1〜119)を示し、図1bは可変軽鎖(V)のアミノ酸(135〜245)を示す;変異型p53の共通エピトープに対する20個のヒトscFv。赤色=同一アミノ酸、青色=低いコンセンサス値(50%を超える同一性)を有するアミノ酸、黒色=50%未満の同一性を有するアミノ酸。CDRが黒色棒によって示される。
図2a〜図2bは、FRHSVV(配列番号1)エピトープに対するF2scFvクローン(これはまた本明細書中では「TAR1」として示される)の結合(図2a)およびE6scFvクローンの結合(図2b)を示す。抗体の指示された濃度においてBIACoreを使用して、結合を測定した。F2scFvクローンおよびE6scFvクローンのVH鎖およびVL鎖の配列が図1a〜図1bに示される。RU=共鳴ユニット。結合定数が、BIACore装置とともに供給されるソフトウエアを使用して求められた(www.Biacore.com)。
図3は、ELISAを使用して明らかにされるような、完全なp53分子に対するscFv F2の結合を示す棒グラフである。ELISAプレートを、組換えバキュロウイルスを感染させたsf9昆虫細胞(Hupp T.R.およびLane D.P.、Curr.Biol.、1994、4.865〜875)から調製された野生型p53または変異型のp53−R175H、p53−R248Hおよびp53−R273Wの完全なp53タンパク質で被覆し、250ngのscFv F2を加えた。野生型p53に対する低い結合と比較して、R175Hの変異型p53分子に対するscFv F2の特異的な結合に留意すること。
図4a〜図4jは、p53ヌルヒト肺ガン細胞(H1299p53−/−;図4f〜図4j)、または、ホットスポット変異R175Hを有するヒト肺ガン細胞(H1299−R175H;図4a〜図4e)におけるアポトーシスに対するscFv F2の影響を示すFACS分析である。細胞を下記の濃度でscFv−F2と24時間インキュベーションした:0nM(非処理細胞、図4aおよび図4f)、250nM(図4bおよび図4g)、500nM(図4cおよび図4h)、1μM(図4dおよび図4i)および2μM(図4eおよび図4j)。24時間後、細胞をエタノールで固定処理し、ヨウ化プロピジウムで染色し、細胞周期プロフィルを明らかにした。数字は各調製物におけるアポトーシス細胞の%を示す[0.8%(図4a)、1.9%(図4c)、21.8%(図4d)、32.2%(図4e)、0〜0.8%(図4f〜図4j)]。R175Hのp53変異を発現する細胞におけるscFv−F2抗体の存在下でのアポトーシスの著しい増大に留意すること。
図5は、scFv F2抗体を発現する細胞の、薬物処理に対する増大した感受性を示す棒グラフである。R175H変異を有するヒト肺ガン細胞(H1299−R175H)を、scFv F2抗体(H1299−R175H−scFv−F2)を発現させるために安定的にトランスフェクションし、(細胞カウント数による)細胞生存に対するエトポシドおよびシスプラチンの薬物の影響を薬物処理後48時間で求めた。scFvF2抗体を発現する細胞における低濃度のシスプラチン(0.5μg/ml)またはエトポシド(1μM)に対する肺ガン細胞の増大した感受性に留意すること。
図6a〜図6dは、scFv F2抗体を発現する肺ガン細胞におけるコロニー形成の阻害を示す。H1299−R175H細胞を、scFv F2抗体(H1299−R175H−scFv−F2)を発現させるために安定的にトランスフェクションし、コロニー形成に対するscFV F2の細胞内発現の影響を求めた。プレートあたり500細胞〜1000細胞のH1299−R175H細胞またはH1299−R175H−scFv−F2細胞を、RPMI培養培地を含有するプレートに播種し、2週間にわたって成長させた。図6a〜図6bは、2週間の培養の後で存在するギムザ染色されたコロニーの写真である。図6aはH1299−R175H細胞であり;図6bはH1299−R175H−scFv−F2細胞である。図6c〜図6dは、2週間の培養の後におけるH1299−R175H細胞またはH1299−R175H−scFv−F2細胞のコロニー数(図6c)およびコロニー面積(図6d)を示す棒グラフである。scFV F2抗体を発現する細胞におけるコロニー数(図6c)およびコロニー面積(図6d)の両方での著しい減少に留意すること。
図7は、マウスにおけるヒト腫瘍細胞異種移植片に対するscFv F2の抗腫瘍効果を示すグラフである。ヌードマウスに5x10個の肺ガンH1299−R175H細胞を皮下注射した。3日後、マウスは、200μgのscFv F2またはコントロールとしてのPBS(50μl)の腫瘍内注入を受けた。この腫瘍内注入を、2週間の期間中、1日おきに繰り返した。腫瘍サイズを、H1299−R175H細胞による接種の後、6日後、15日後、21日後、25日後、28日後、32日後および36日後で測定し、腫瘍体積を計算した。結果が相対的体積V/Vとして示される(式中、Vは、指示された日における体積であり、Vは、最初のscFv F2注入における体積である)。
図8a〜図8fは、インビボでの腫瘍成長に対するscFv F2抗体の影響を示す。マウスに、図7について記載されたように、H1299−R175H細胞のヒト異種移植片を皮下注射し、その後、腫瘍内注射を行った。scFv F2が注射されたマウス(図8a〜図8c)と比較して、PBSが注射されたマウス(図8d〜図8f)の代表的な写真が示される。大きい腫瘍がPBS処理マウスに存在すること(図8a〜図8c)、および、そのような腫瘍がscFv F2処理マウス(図8d〜図8f)には存在しないことに留意すること。
図9は、scFvの結合特異性を示す棒グラフである。ELISAを、図1a〜図1bに示される単離されたscFv収集物から得られたF2scFv、A4scFvおよびB6scFvを使用して行った。結合抗原は、ウシ血清アルブミン(BSA;レーン5)、ストレプトアビジン(レーン6)および下記ペプチドであった:FRHSVV(配列番号1;変異型p53の共通エピトープ;レーン1);βアミロイドペプチドのアミノ酸1〜16、DAEFRHDSGYEVHHQK(配列番号2;レーン2);ヒトプリオンタンパク質を提示する多重抗原ペプチドのアミノ酸144〜153(MAP−PrPDYEDRYYRE;配列番号3;レーン3);および、前立腺ガン抗原に対応するペプチド(PaP ILLWQPIPV;配列番号4;レーン4)。変異型p53の共通エピトープ(配列番号1)を表すペプチドに対するF2抗体およびA4抗体の大きい結合親和性に留意すること。
図10a〜図10dは、TAR1抗体(図10a)、または、野生型p53について特異的なmAB1620(図10b〜図10d)を使用して組換えp53の野生型コアドメインまたは変異型コアドメインに対して行われたELISAアッセイを示す棒グラフである。図10aは変異型p53のR175Hのコアドメイン(黒色)および野生型p53のコアドメイン(灰色)に対するTAR1の結合である。p53の野生型コアドメイン(約0.05のO.D.)と比較して、p53変異体R175Hのコアドメインに対するTAR1抗体の大きい特異性(約0.5のO.D.)に留意すること。図10bは変異型p53のR175Hのコアドメイン(黒色)および野生型p53のコアドメイン(灰色)に対するmAb1620の結合である。p53変異体R175Hのコアドメイン(約0.3のO.D.)と比較して、p53の野生型コアドメインに対するmAb1620の大きい特異性(約1.2のO.D.)に留意すること。図10cおよび図10dでは、p53変異体(R175H)のコアドメイン(図10c)またはp53野生型のコアドメイン(図10d)を0.4μMのTAR1の非存在下(灰色棒)または存在下(黒色棒)において37℃で30分間または60分間加熱し、mAb1620の結合を調べた。加熱後、および、TAR1の存在下では、野生型に特異的な抗体(mAb1620)に対する変異型p53の結合が、TAR1の非存在下での場合よりも3倍大きいことに留意すること(図10c)。野生型p53のコアドメインに対するmAb1620の結合がTAR1の存在下ではより高かったことにもまた留意すること(図10d)。これらの結果から、TAR1は変異型p53において立体配座変化を誘導し、野生型p53の立体配座を安定化することが明らかにされる。
図11a〜図11bは、野生型p53またはR175H変異型p53に対するmAb DO−12mAb(p53変異体に特異的な抗体)の結合を示す免疫沈殿アッセイである。図11aでは、p53変異体のコアドメイン(R175H;レーン1およびレーン3)または野生型のコアドメイン(WT;レーン2およびレーン4)を、80nMのTAR1とのオーバーナイトのインキュベーションの前(レーン1およびレーン2)またはその後(レーン3およびレーン4)、DO−12mAbを使用して免疫沈殿に供した。野生型p53のコアドメインに対する結合特異性が低いこと(レーン2)と比較して、R175Hのコアドメインに対するmAb DO−12の結合特異性が高いこと(レーン1)には留意すること。80nMのTAR1とのオーバーナイトのインキュベーションの後では、変異体R175Hのp53コアドメインに対するmAb DO−12の結合が著しく低下し(レーン3)、一方、野生型p53のコアドメインに対するmAb DO−12の結合は影響を受けていない(レーン4)ことにもまた留意すること。図11b、変異型p53のR175Hを発現するH1299細胞を1μMのTAR1でオーバーナイトで処理し、抽出物をmAb1620(p53野生型に特異的な抗体)で免疫沈殿した。変異型p53を発現する細胞のタンパク質抽出物に対するmAb1620の結合における、TRA1の量に依存する様式での著しい増大に留意すること。このことから、TAR1は野生型p53の立体配座をp53のR175H変異体においてインビボで回復させることができることが明らかにされる。
図12は、TAR1抗体の存在下における野生型またはR175H変異体のp53コアドメインのスペクトルを示す円二色性分析である。円二色性測定を、野生型p53のコアドメインまたは変異型p53(R175H)のコアドメインのいずれかおよびTAR1について、別々に(TAR1/WT;TAR1/R175H)、または、免疫複合体(TAR1+WTの複合体;TAR1+R175Hの複合体)として同時に行った。TAR1の結合は変異型p53のスペクトルでの変化を引き起こし、一方、野生型コアドメインのスペクトルでは、TAR1と変異型p53との複合体における立体配座変化を示す差がほとんど観測されなかったことに留意すること。両方のTAR1複合体(すなわち、野生型p53との複合体、および、変異型p53との複合体)のスペクトが非常に類似していることにもまた留意すること。これは立体配座の類似性を示す。
図13a〜図13hは、抗p21抗体(図13a)、抗MDM2抗体(図13b)、抗Egr1抗体(図13c)、抗Bax抗体(図13d)および抗チューブリン抗体(図13e〜図13h)によりプローブされた、H1299細胞が発現するR175H変異体p53の抽出物のウェスタンブロット分析であり、変異型p53(R175H)の転写のトランス活性化に対するTAR1処理の影響が明らかにされる。変異型p53を安定的に発現するH1299細胞を0.5μM(レーン2)または1μM(レーン3)の最終濃度でTAR1により24時間処理し、あるいは、非処理(レーン1)のままにし、その後、タンパク質サンプルを調製し、下記の抗体を使用してウェスタンブロット分析に供した:抗p21(Santa Cruz Biotechnology,Inc.、1:1000の希釈)、抗MDM2(M.Orenから譲渡されたもの、1:40に希釈されたハイブリドーマ上清)、抗Egr1(Santa Cruz Biotechnology,Inc.、1:500の希釈)、抗Bax(Abcam Laboratories,Ltd(英国)、1:1000の希釈)、抗チューブリン(Sigma、1:2500の希釈)。チューブリンの発現レベルは負荷コントロールとして役立った。TAR1処理後でのp21、MDM2およびBaxの発現レベルにおける濃度依存的な増大に留意すること。このことから、TAR1は、変異型p53に対する転写のトランス活性化機能を回復させることができることが明らかにされる。対照的に、TAR1処理はEgr1の発現レベルにおける低下をもたらしたことに留意すること。このことから、TAR1はp53変異型タンパク質の機能獲得活性を無効にすることが明らかにされる。
図14は、図13a〜図13hに示されるウェスタンブロット分析の定量化を示す棒グラフである。処理細胞または非処理細胞における各タンパク質の発現レベルをチューブリンの発現レベルによって正規化した。白棒、非処理細胞;灰色棒、0.5μMのTAR1で24時間処理された細胞;黒色棒、1μMのTAR1で24時間処理された細胞。
図15a〜図15hは、p53ヌルH1299ヒト肺ガン細胞(図15c〜図15d)、変異型p53を発現するH1229−R175H細胞(図15a〜図15b)、野生型p53を発現するHCT116結腸ガン細胞(図15g〜図15h)、または、変異体R175Hのp53を発現するHCT116結腸ガン細胞(図15e〜図15f)におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示す蛍光活性化細胞分取(FACS)分析である。細胞を1μMのTAR1と24時間インキュベーションし(図15b、図15d、図15fおよび図15h)、または、非処理のままにし(図15a、図15c、図15eおよび図15g)、その後、細胞をエタノールで固定処理し、ヨウ化プロピジウムで染色し、それらの細胞周期プロフィルを明らかにした。ヌルp53の細胞、または、野生型p53タンパク質を発現する細胞(図15dおよび図15h)と比較して、R175Hのp53変異を発現する細胞におけるTAR1抗体の存在下でのアポトーシス(Ap割合)の著しい増大(図15bおよび図15f)に留意すること。
図16a〜図16dは、1μMのTAR1の非存在下(図16aおよび図16c)または存在下(図16bおよび図16d)における、p53についてヌルであるH1299細胞(図16c〜図16d)、または、変異型p53のR175Hを発現する細胞(図16a〜図16b)のTdT媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)である。変異型p53のR175Hを発現させるために安定的にトランスフェクションされたH1229細胞(図16a〜図16b)、または、トランスフェクションされていないH1229細胞(図16c〜図16d)をTAR1で(1μMの最終濃度で)24時間処理し(図16bおよび図16d)、または、非処理のままにし(図16aおよび図16c)、処理の影響を、TUNELアッセイ(R&D Systems,Inc)を使用して明らかにした。
図17a〜図17rは、異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。LAN1ガン細胞株(図17a〜図17b)、T47Dガン細胞株(図17c〜図17d)、SKBR3ガン細胞株(図17e〜図17f)、MCF7ガン細胞株(図17g〜図17h)、KM12−Cガン細胞株(図17i〜図17j)、SW480ガン細胞株(図17k〜図17l)、PANC1ガン細胞株(図17m〜図17n)、Colon320ガン細胞株(図17o〜図17p)およびMDA231ガン細胞株(図17q〜図17r)を1μMのTAR1で24時間処理し(図17b、図17d、図17f、図17h、図17j、図17l、図17n、図17pおよび図17r)、または、非処理のままにし(図17a、図17c、図17e、図17g、図17i、図17l、図17m、図17oおよび図17q)、その後、細胞を、図15a〜図15hで記載されたようにヨウ化プロピジウムFACS分析に供した。亜G1画分における細胞の割合が示される。TAR1抗体による処理の後でのアポトーシスの著しい増大に留意すること。
図18a〜図18bは、PEP内在化ペプチドを含むファージの構築を示す概略的例示である。図18aは、fd−Tet f88−4ベクターへのファージPEPクローニングの概略図(Chen,L.他、2004、Chem.&Biol.、11、1081〜1091からの改変)である。PEPペプチドの配列もまた示される(EFGACRGDCLGA;配列番号136)。図18bは、tacプロモーターの調節下にあるpVIII遺伝子の組み換えコピー体をHindIII部位およびPstI部位にクローン化することによって、約150コピーのpVIIIに融合されたPEPペプチドを呈示するfd−Tetファージf88−4ベクターである。本発明の抗p53抗体(例えば、TAR1)を核内に送達することをファージに行わせるために、核局在化シグナル(NLS)ペプチド(配列番号134)を抗体に融合することができ、この融合タンパク質を、TAR1−NLSをそのタンパク質IIIの表面に呈示するファージを作製するためにファージタンパク質IIIの上流側にクローン化することができること(図18b)に留意すること。
図19a〜図19cは、CHO細胞におけるファージPEPの免疫蛍光分析を示し、ファージの内在化がファージ濃度に依存することを明らかにする共焦点顕微鏡像である。CHO細胞を、指示された濃度のファージPEPの存在下(1011、図19a;10、図19b;10、図19c;ウェルあたりのファージ数)、膜赤色分子色素(CM−Dil分子プローブ)と48時間インキュベーションした。内在化されたファージ粒子(緑色)が、マウス抗M13抗体、続いて、ヤギ抗マウスcy2共役化抗体を用いて検出された。細胞を、共焦点顕微鏡を使用して可視化した。ファージPEPの内在化が濃度依存的であることに留意すること;細胞内部における緑色の標識化の強度がより大きいことによって判断されるように、細胞内部で検出されたファージの数が培地におけるファージの濃度に対して直接に相関している。
図20a〜図20wは、CHO細胞におけるファージPEPの免疫蛍光分析を示し、ファージが哺乳動物細胞CHO細胞の中に侵入することを明らかにする共焦点顕微鏡像である。膜分子色素および1011個/ウェルのファージの最終濃度でのファージPEPと48時間インキュベーションされたCHO細胞の深さ方向での細胞切片の一連の共焦点像が示される。内在化されたファージ粒子が、マウス抗M13抗体、続いて、ヤギ抗マウスcy2共役化抗体を用いて検出された(緑色)。膜をCM−Dil分子プローブにより可視化した(赤色)。
図21は、ファージPEPとのインキュベーションの後でのCHO細胞のMTT分析を示す棒グラフである。CHO細胞を、10pfuのファージPEP、野生型(W.T.)ファージ、チミロサール(細胞を殺すためのコントロール)およびPBS(細胞のみ)と48時間インキュベーションし、細胞生存性をMTT分析によって測定した。誤差バーは、3つの独立した実験(それぞれにおいて4回の繰り返し)から計算された標準偏差値を表す。ファージPEPはCHO細胞に対して非毒性であることに留意すること。
本発明は、野生型ではなく、変異型のp53タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができる単離されたポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたは発現ベクターに関する。具体的には、本発明は、アポトーシスを誘導するために、また、p53関連のガンを治療するために使用することができる。加えて、本発明は、対象におけるp53関連のガンを診断するために使用することができる。
本発明による変異型のp53タンパク質によって共有される露出したエピトープと結合することができる単離されたポリペプチドの原理および作用が、図面および付随する説明を参照してより十分に理解されることができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。
腫瘍サプレッサー遺伝子p53は、主にアポトーシスの誘導によって腫瘍の成長を阻害する。ガンの進行におけるp53変異体の関与が、野生型p53のトランスドミナント抑制、または、野生型p53に依存しない発ガン性の「機能獲得」のいずれかと関連することが示唆されていた。腫瘍原性の促進におけるp53変異体の積極的な役割を考えると、それらの機能を不活性化するため、または、それらを野生型の表現型に復帰させるための努力がなされている。これらには、第二点サプレッサー変異の導入、p53タンパク質のC末端に由来する合成ペプチド、または、野生型の立体配座、転写のトランス活性化を回復させること、ならびに、細胞におけるアポトーシス、および、変異型p53を有するヒト腫瘍異種移植片におけるアポトーシスを誘導することが見出されたCDB3由来化合物および低分子量化合物が含まれる。しかしながら、そのようなペプチドおよび化合物は、目標とする治療のためには非常に重要な性質である、p53の野生型形態および変異型形態を区別する能力を有していない。
以前の研究は、野生型p53タンパク質ではなく、広範囲の様々なp53変異体を特異的に標的化/認識する新規な抗ガン治療/診断様式を開発することを目指していた。例えば、Gannon JVおよび共同研究者らは、p53変異型タンパク質の共通エピトープに対するマウスモノクローナル抗体[PAb−240、EMBO J.、1990、9(5):1595〜602]を作製した。しかしながら、単鎖抗体をこのハイブリドーマクローンから製造する試みは失敗し、このために、そのような抗体の治療的適用は制限された。実際、この抗体の使用は診断用途のためにだけ提案された。近年、単鎖Fv(scFv)マウス抗体(ME1)が単離され、野生型p53タンパク質とではなく、独占的に変異型p53タンパク質と10−7Mの親和性で結合できることが見出された(Govorko D、Cohen GおよびSolomon B、2001、J.Immunol.Methods、258:169〜81)。しかしながら、この抗体は、腫瘍の形質転換における変異型p53の役割を明確にするための有用なツールを提供するが、そのマウス起源、および、変異p53に対するその中程度の親和性のために、その治療的適用は制限される。
本発明を実施に移すと同時に、本発明者らは、野生型p53によってではなく、変異型p53タンパク質によって共有されるエピトープと、25ナノモル濃度(nM)未満の結合親和性で特異的に結合することができるscFvをヒト合成コンビナトリアルライブラリーから単離している[Azriel−Rosenfeld R他、2004、J.Mol.Biol.、335(1):177〜92]。
図2a〜図2b、図3および図9に示され、また、下記の実施例の節の実施例1および実施例2において記載されるように、F2(TAR1)およびE6scFvは、野生型ではなく、変異型のp53タンパク質によって共有される共通エピトープ(配列番号1)に対する1.1x10−8Mおよび4.6x10−14Mの親和性をそれぞれ示した。加えて、A6scFvのBIAcore分析では、共通エピトープ(配列番号1)に対する2.3x10−8Mの結合定数が明らかにされた(データは示さず)。同様に、F2scFv(TAR1)は、野生型p53タンパク質に対してではなく、大きい立体配座変異(R175H)または中間的な立体配座変化(R248W)を発現する完全なp53タンパク質に対する大きい親和性を示した。加えて、TAR1抗体は、野生型の立体配座を変異型p53のコアドメインに回復させることが可能であり(図10a〜図10d、図11a〜図11bおよび図12、下記の実施例の節の実施例5)、また、野生型p53の転写のトランス活性化機能(例えば、野生型に特異的な標的遺伝子(例えば、p21、MDM2およびBaxなど)の活性化)が可能であり、同時に、変異型p53の転写活性化を阻止すること(例えば、Egr1のダウンレギュレーション)が可能であること(図13a〜図13h、図14、および、下記の実施例の節の実施例6)が示された。従って、ポリペプチドとして投与されるか、または、ファージにおいて呈示されるか、または、細胞内発現抗体として発現されるそのような抗体は、p53関連のガンの効果的な治療ために使用することができる。
従って、本発明の1つの態様によれば、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供され、この場合、その特異的結合の親和性は25nM未満である。
本明細書中で使用される表現「p53タンパク質」は、細胞周期の調節において、具体的には、G0からG1への移行において、不可欠な役割を果たす核タンパク質であるTP53腫瘍タンパク質p53を示す。p53は、DNA結合ドメイン、オリゴマー化ドメインおよび転写活性化ドメインを含有するDNA結合タンパク質である。p53は様々な供給源からクローン化されており、限定はされないが、これらには、ヒト[GenBankアクセション番号NP_000537(タンパク質)および同NM_000546(mRNA)]、マウス[GenBankアクセション番号NP_035770(タンパク質)および同NM_011640(mRNA)]、ラット[GenBankアクセション番号NP_112251(タンパク質)および同NM_030989(mRNA)]およびゼブラフィッシュ[GenBankアクセション番号NP_571402(タンパク質)および同NM_131327(mRNA)]などが含まれ、p53タンパク質のコード配列が、例えば、NCBIのウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能である。
表現「露出したエピトープ」は、野生型p53タンパク質では疎水性コアの中に隠されるが、中間的または大きい立体配座変化を受けるp53変異体ではタンパク質の外側表面に露出する任意の抗原性決定基を示す。例えば、そのような露出したエピトープは、R248WおよびR175H(中間的な変異および大きい変異)を有するp53タンパク質において露出するが、野生型p53タンパク質では隠されるFRHSVV(配列番号1)であり得る。
表現「特異的結合の親和性」は、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープに対する本発明の単離されたポリペプチドの結合親和性を示す。そのような親和性は、解離定数(K)または結合定数(K)を計算することができる、当該技術分野で既知の様々な方法[例えば、BIAcoreシステム(Bioacore AB、Uppsala、スウェーデン)、スキャッチャードプロット解析]を使用して測定することができる。本発明のこの態様によれば、本発明のポリペプチドの親和性は、25nM未満の解離定数、好ましくは12nM未満の解離定数、好ましくは1nM未満の解離定数、好ましくは0.1nM未満の解離定数、および、一層より好ましくは0.01nM未満の解離定数により特徴づけられる。
本発明のこの態様の抗体は変異型p53の活性を中和することができ、例えば、その転写活性化活性を阻止することができる(これは、図13〜図14、および、下記の実施例の節の実施例6において明らかにされる)。
本発明の単離されたポリペプチドは、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと結合することができる任意の合成ポリペプチド、天然の存在するポリペプチドまたは組換え発現ポリペプチドが可能である。
本発明において使用される用語「抗体」には、無傷の分子、ならびに、その機能的フラグメント、例えば、Fab、F(ab’)、Fvまたは単一ドメイン分子(例えば、組換えDNA技術によって少なくとも一部が作製された、抗原のエピトープに対するVHおよびVLなど)が含まれる。これらの機能的な抗体フラグメントは下記のように定義される:(1)Fab、これは、抗体分子の一価の抗原結合フラグメントを含有するフラグメントであり、全長抗体を酵素パパインで消化して、無傷の軽鎖と、1つの重鎖の一部分とを生じさせることによって作製することができる;(2)Fab’、これは、全長抗体をペプシンで処理し、その後、還元して、無傷の軽鎖と、重鎖の一部分とを生じさせることによって得ることができる、抗体分子のフラグメントである;1分子の抗体分子につき2つのFab’フラグメントが得られる;(3)(Fab’)2、これは、全長抗体を、その後の還元を伴うことなく、酵素ペプシンで処理することによって得ることができる、抗体のフラグメントである;(Fab’)2は、2つのジスルフィド結合によってつながれる2つのFab’フラグメントの二量体である;(4)Fv、これは、2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作されたフラグメントとして定義される;(5)単鎖抗体(「SCA」)、これは、遺伝子融合された単鎖分子(scFv)として好適なポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された分子である;および(6)単一ドメイン抗体は、抗原に対する十分な親和性を示す1種だけのVHドメインまたはVLドメインから構成される。
本明細書中で使用される用語「抗体」は、免疫化および組換えファージ呈示技術によって作製された抗体を含むだけでなく、野生型p53タンパク質ではなく、変異型p53タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができる少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含むように作製される任意のポリペプチドもまた包含する。従って、本発明の抗体は、抗体の少なくとも1つのCDRのコード配列を含むポリヌクレオチド配列から(本明細書中下記においてさらに記載されるように)発現させることができる。
野生型p53ではなく、変異型p53によって共有される露出したエピトープに対する抗体の親和性を増大させるために、本発明の抗体は好ましくは少なくとも二価である。そのような抗体は、当該技術分野で既知の方法を使用して、IgGサブタイプ(これは二価である)、IgMサブタイプ(これは五価である)にクローン化することができ、または、そのようなサブタイプから選択することができる。あるいは、単鎖可変フラグメント(scFv)の親和性を、本質的にはCloutier SM他、2000、Mol.Immunol.、37(17):1067〜77に記載されるように、酵素BirAによる部位特異的なビオチン化の後でのストレプトアビジン上での四量体化によって増大させることができる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体ならびにそれらのフラグメントを製造する様々な方法が当該分野で周知である(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1988)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)を参照のこと)。
本発明による抗体フラグメントは、抗体のタンパク質分解的加水分解によって、あるいは、フラグメントをコードするDNAの大腸菌細胞または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養または他のタンパク質発現システム)における発現によって調製することができる。抗体フラグメントは、従来の方法による全長抗体のペプシン消化またはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントを、F(ab’)2と呼ばれる5Sフラグメントを提供するためにペプシンによる抗体の酵素的切断によって製造することができる。このフラグメントはさらに、チオール還元剤、および、場合により、ジスルフィド連結の切断から生じるスルフヒドリル基のための保護基を使用してさらに切断して、3.5SのFab’一価フラグメントを生じさせることができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素的切断により、2つの一価のFab’フラグメントと、1つのFcフラグメントとが直接に生じる。これらの方法が、例えば、Goldenbergの米国特許第4036945号および同第4331647号、ならびに、それらに含まれる参考文献に記載される(これらの特許は本明細書によりその全体が参考として組み込まれる)。Porter,R.R.[Biochem.J.、73:119〜126(1959)]もまた参照のこと。フラグメントが、無傷の抗体によって認識される抗原に結合する限り、抗体を切断する他の方法、例えば、一価の軽鎖−重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、あるいは、他の酵素的技術、化学的技術または遺伝学的技術などもまた使用することができる。
FvフラグメントはVH鎖およびVL鎖の会合を含む。この会合は、Inbar他[Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、69:2659〜62(1972)]に記載されるように非共有結合性である場合がある。あるいは、可変鎖を分子間ジスルフィド結合によって連結することができ、または、化学試薬(例えば、グルタルアルデヒドなど)によって架橋することができる。好ましくは、Fvフラグメントは、ペプチドリンカーによってつながれたVH鎖およびVL鎖を含む。このような単鎖の抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドによってつながれたVHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。そのような構造遺伝子は発現ベクターに挿入され、続いて、発現ベクターが宿主細胞(例えば、大腸菌など)に導入される。組換え宿主細胞により、リンカーペプチドが2つのVドメインを架橋する単一ポリペプチド鎖が合成される。scFvを製造する方法が、例えば、WhitlowおよびFilpula、Methods、2:97〜105(1991);Bird他、Science、242:423〜426(1988);Pack他、Bio/Technology、11:1271〜77(1993);および米国特許第4946778号によって記載される(これらは本明細書によりその全体が参考として組み込まれる)。
抗体フラグメントの別の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。様々なCDRペプチド(「最小認識ユニット」)を、目的とする抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、例えば、可変領域を抗体産生細胞のRNAから合成するためにポリメラーゼ連鎖反応を使用して調製される。例えば、LarrickおよびFry[Methods、2:106〜10(1991)]を参照のこと。
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(例えば、抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)または他の抗原結合性の部分配列など)のキメラ分子である。ヒト化抗体には、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望する特異性、親和性および能力を有する例えば、マウス、ラット、ウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体において、または、移入されたCDR配列もしくはフレームワーク配列においてそれらのいずれにも見出されない残基を含む場合がある。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、かつ、フレームワーク領域(FR)のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である少なくとも1つ(典型的には2つ)の可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体はまた、場合により、免疫グロブリンの定常領域(Fc)の一部分を少なくとも含み、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそのような一部分を少なくとも含む[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜329(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593〜596(1992)]。
非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当該分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からヒト化抗体に導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、インポート残基と呼ばれ、そのようなインポート残基は、典型的には、インポート可変ドメインから選ばれる。ヒト化は本質的には、齧歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使用することによって、Winterおよび共同研究者らの方法に従って行うことができる[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜327(1988);Verhoeyen他、Science、239:1534〜1536(1988)]。従って、そのようなヒト化抗体は、無傷のヒト可変ドメインの実質的に一部が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際には、ヒト化抗体は典型的には、一部のCDR残基と、可能であれば、一部のFR残基とが、齧歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換されるヒト抗体である。
ヒト抗体はまた、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して製造することができ、そのような技術には、ファージ呈示ライブラリー[HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991);Marks他、J.Mol.Biol.、222:581(1991)]が含まれる。Cole他およびBoerner他の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用することができる(Cole他、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77頁(1985);Boerner他、J.Immunol.、147(1):86〜95(1991))。インビボ形成されたCDRが生殖細胞系由来のヒト可変領域フレームワークに組合せ論的に移し替えられる大きいヒト合成単鎖Fv抗体ライブラリーの構築もまた利用することができる[Azriel−Rosenfeld R他、2004、インビボ形成されたCDRを共通のフレームワーク領域に移し替えることに基づく配置可能な単鎖抗体のヒト合成コンビナトリアルライブラリー、J.Mol.Biol.、335(1):177〜92]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座をトランスジェニック動物(例えば、内因性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウス)に導入することによって作製することができる。抗原による攻撃を受けたとき、ヒト抗体の産生が認められ、これは、遺伝子再配置、組み立ておよび抗体レパートリーを含めて、すべての点でヒトにおいて見られ得る抗体産生と非常に類似する。この方法が、例えば、米国特許第5545807号、同第5545806号、同第5569825号、同第5625126号、同第5633425号および同第5661016号において、また、下記の科学的刊行物において記載される:Marks他、Bio/Technology、10;779〜783(1992);Lonberg他、Nature、368:856〜859(1994);Morrison、Nature、368:812〜13(1994);Fishwild他、Nature Biotechnology、14、845〜51(1996);Neuberger、Nature Biotechnology、14:826(1996);LonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13、65〜93(1995)。
細胞内の特定の区画の標的化が、細胞内抗体(これはまた「細胞内発現抗体細胞内発現抗体」として知られている)を使用して達成され得ることが理解される。細胞内抗体は本質的には、細胞内局在化シグナルが付加されているSCAである(例えば、ER、ミトコンドリア、核、細胞質)。この技術は当該分野では問題なく適用されている(総説については、RichardsonおよびMarasco(1995、TIBTECH、第13巻)を参照のこと)。細胞内発現抗体は、そうでない場合には多量に存在する細胞表面受容体の発現を事実上なくすこと、および、タンパク質機能を細胞内で阻害することが示されている(例えば、Richardson他、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:3137〜3141;Deshane他、1994、Gene Ther.、1:332〜337;Marasco他、1998、Human Gene Ther、9:1627〜42;Shaheen他、1996、J.Virol.、70:3392〜400;Werge,T.M.他、1990、FEBS Letters、274:193〜198;Carlson,J.R.、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7427〜7428;Biocca,S.他、1994、Bio/Technology、12:396〜399;Chen,S−Y.他、1994、Human Gene Therapy、5:595〜601;Duan,L他、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:5075〜5079;Chen,S−Y.他、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:5932〜5936;Beerli,R.R.他、1994、J.Biol.Chem.、269:23931〜23936;Mhashilkar,A.M.他、1995、EMBO J.、14:1542〜1551;PCT公開番号WO94/02610(Marasco他);PCT公開番号WO95/03832(Duan他)を参照のこと)。
細胞内抗体発現ベクターを調製するために、目的とする標的タンパク質について特異的な抗体軽鎖および抗体重鎖をコードするcDNAが、典型的には、マーカーについて特異的なモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマから単離される。抗マーカーモノクローナル抗体または組換えモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを、当該技術分野で既知の方法を使用して調製することができる。マーカータンパク質について特異的なモノクローナル抗体(例えば、ハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体またはコンビナトリアルライブラリー由来の組換え抗体のどちらでもあっても)が特定されると、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAが標準的な分子生物学的技術によって単離される。ハイブリドーマ由来の抗体については、軽鎖および重鎖のcDNAを、例えば、PCR増幅またはcDNAライブラリースクリーニングによって得ることができる。組換え抗体(例えば、ファージ呈示ライブラリーなど)については、軽鎖および重鎖をコードするcDNAを、ライブラリースクリーニングプロセス時に単離された呈示パッケージ(例えば、ファージ)から回収することができ、抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子のヌクレオチド配列が決定される。例えば、多くのそのような配列が、Kabat,E.A.他(1991)、Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、米国厚生省、NIH刊行物番号91−3242)において、また、「Vbase」ヒト生殖細胞系配列データベースにおいて開示される。抗体の軽鎖配列および重鎖配列が得られると、抗体の軽鎖配列および重鎖配列は、標準的な方法を使用して組換え発現ベクターにクローン化される。
軽鎖および重鎖の細胞質発現のために、軽鎖および重鎖の疎水性リーダーをコードするヌクレオチド配列が除かれる。抗体の発現を細胞核に対して行わせるために、核局在化シグナルをコードする配列(例えば、DPKKKRKV;配列番号134)が好ましくは、抗体をコードする核酸構築物に、好ましくは抗体のコード配列の下流側において連結される。そのような形態の限定されない例が下記の実施例の節の材料および実験方法において示される。細胞内抗体発現ベクターは細胞内抗体をいくつかの異なる形態の1つでコードすることができる。例えば、1つの実施形態において、ベクターは、全長の抗体が細胞内で発現されるように全長の抗体軽鎖および抗体重鎖をコードする。別の実施形態において、ベクターは、Fabフラグメントが細胞内で発現されるように、重鎖のVH/CH1領域のみを除いて全長の軽鎖をコードする。別の実施形態において、ベクターは、軽鎖および重鎖の可変領域が柔軟なペプチドリンカー[例えば、(GlySer)]によって連結され、単鎖分子として発現される単鎖抗体(scFv)をコードする。細胞におけるマーカー活性を阻害するために、細胞内抗体をコードする発現ベクターは、本明細書中下記で議論されるように、標準的なトランスフェクション方法によって細胞に導入される。
本発明のこの態様の好ましい実施形態によれば、本発明のポリペプチドは、配列番号8〜配列番号112によって示されるような少なくとも1つのCDR配列を含む組換えポリペプチドである。例には、F2scFv(配列番号113)、E6scFv(配列番号114)およびA6scFv(配列番号115)、および/またはおよび/または、少なくとも1つのCDR配列またはscFv配列を含む任意のIgGクローンが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号39〜配列番号41、配列番号45〜配列番号47および配列番号60〜配列番号62によって示されるような少なくとも1つのCDRを含む。
本発明のこの態様の好ましい実施形態によれば、本発明のポリペプチドは、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖抗体および単一ドメイン抗体が可能である。本発明と一緒に使用することができる単鎖抗体の限定されない例には、F2scFv(配列番号113)、E6scFv(配列番号114)およびA6scFv(配列番号115)が含まれ、これらのすべてが、野生型p53によってではなく、p53変異体によって共有される露出したエピトープに対する大きい親和性を示す(解離定数が25nM未満である)。
下記の実施例の節の表3〜表5に示されるように、本発明者らは、変異型p53の共通エピトープ(配列番号1)と特異的に結合する20個の異なるscFvを単離している。これらのscFvは同一の重鎖可変領域をともに有し(表3)、それらの軽鎖可変領域において異なる(表4)。表5には、野生型p53タンパク質によってではなく、p53タンパク質の様々な変異体によって共有されるp53エピトープと特異的に結合することができる可変軽鎖の特有のCDRが示される。
従って、本発明の別の態様によれば、CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む単離されたポリペプチドが提供される。
下記の実施例の節において、また、本明細書中下記の記載においてさらに記載されるように、本発明の単離されたポリペプチドは、インビトロ、エクスビボおよびインビボでの様々な適用において使用することができる。安定性、生物学的利用能、標的エピトープ(すなわち、野生型ではなく、変異型のp53タンパク質によって共有される露出したエピトープ)に対する親和性および親和性を増大させるために、本発明はまた、本発明のCDR(例えば、配列番号8〜配列番号112)に由来するペプチド、そのペプチドアナログまたは模倣体を用いることができる。
そのようなペプチド、そのペプチドアナログまたは模倣体は、好ましくは、配列番号8〜配列番号112によって示されるCDRのうちの少なくとも1つのCDRに由来する少なくとも4個〜5個の短いアミノ酸配列であり、好ましくは、少なくとも6個の短いアミノ酸配列、より好ましくは、少なくとも7個の短いアミノ酸配列、より好ましくは、8個〜20個の範囲での短いアミノ酸配列、より好ましくは、8個〜15個の範囲での短いアミノ酸配列、一層より好ましくは、11個〜15個の範囲での短いアミノ酸配列である。
本明細書中および請求項の節で使用される用語「ペプチド」には、天然のペプチド(分解産物または合成的に合成されたペプチドまたは組換えペプチドのいずれか)、および上で記載したようなペプチド模倣体(典型的には合成的に合成されたペプチド)そしてペプチドアナログであるペプトイドおよびセミペプトイドが含まれ、これらは、例えば、ペプチドを体内でより安定化させる修飾、またはペプチドの細胞浸透能力を高める修飾を有し得る。そのような修飾には、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合の修飾(CH−NH、CH−S、CH−S=O、O=C−NH、CH−O、CH−CH、S=C−NH、CH=CHまたはCF=CHを含むが、これらに限定されない)、骨格の修飾、および残基の修飾が含まれるが、これらに限定されない。ペプチド模倣体化合物を調製するための方法はこの分野では十分に知られており、例えば、Quantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に具体的に記載される(これは、全体が本明細書中に示されるように参考として組み込まれる)。これに関するさらなる詳細が本明細書中下記に示される。
ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式中、Rは任意のアルキル(例えば、メチル)である)、カルバ結合(−CH−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH−CO−)(式中、Rは、炭素原子において自然界で示される「通常」の側鎖である)によって置換することができる。
これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った結合の任意のところに存在させることができ、そして同時に数カ所(2カ所〜3カ所)においてさえ存在させることができる。
天然の芳香族アミノ酸(Trp、TyrおよびPhe)は、フェニルグリシン、TIC、ナフチレンアミン(Nol)、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの合成された非天然型の酸に置換することができる。
上述のことに加えて、本発明のペプチドは一以上の修飾されたアミノ酸または一以上の非アミノ酸モノマー(例えば脂肪酸、複合体炭水化物など)も含むことができる。
本明細書中で使用される用語「アミノ酸」には、20個の天然に存在するアミノ酸;インビボで多くの場合には翻訳後修飾されたそのようなアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンを含む);および他の非通常型アミノ酸(2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシンおよびオルニチンを含むが、これらに限定されない)が含まれることが理解される。さらに、用語「アミノ酸」には、D−アミノ酸およびL−アミノ酸の両方が含まれる。
下記の表1および表2には、本発明で使用される天然に存在するアミノ酸(表1)および非通常型アミノ酸または修飾型アミノ酸(表2)が示される。
本発明のペプチドは、好ましくは、線状形態で利用される。しかし、環化がペプチドの特性をひどく妨害しない場合、ペプチドの環状形態もまた利用できることが理解される。
本発明の単離されたポリペプチド(例えば、配列番号8〜配列番号112によって示されるCDRのうちの少なくとも1つを含むペプチド)は、標準的な固相技術を使用して生化学的に合成することができる。このような方法には、完全固相合成、部分的固相合成法、フラグメント縮合および古典的な溶液合成が含まれる。これらの方法は、好ましくは、ペプチドが比較的短いとき(すなわち、10kDa)、および/または、ペプチドが組換え技術によって作製できないとき(すなわち、ペプチドが核酸配列によってコードされ得ないとき)に使用され、従って、異なる化学反応を伴う。
様々な固相ペプチド合成手法が当該分野では広く知られており、さらには、John Morrow StewartおよびJanis Dillaha Young、Solid Phase Peptide Syntheses(第2版、Pierce Chemical Company、1984)によって記載される。
合成ペプチドは調製用の高速液体クロマトグラフィーによって精製することができ[Creighton T.(1983)、Proteins,structures and molecular principles(WH Freeman and Co.、N.Y.)]、その組成をアミノ酸配列決定によって確認することができる。
多量の本発明のペプチドが所望される場合、本発明のペプチドは、様々な組換え技術を使用して作製することができ、そのような組換え技術が、例えば、Bitter他(1987)、Methods in Enzymol.、153:516〜544;Studier他(1990)、Methods in Enzymol.、185:60〜89;Brisson他(1984)、Nature、310:511〜514;Takamatsu他(1987)、EMBO J.、6:307〜311;Coruzzi他(1984)、EMBO J.、3:1671〜1680;Brogli他(1984)、Science、224:838〜843;Gurley他(1986)、Mol.Cell.Biol.、6:559〜565;Weissbach&Weissbach、1988、Methods for Plant Molecular Biology、Academic Press、NY、Section VIII、421頁〜463頁などによって記載される。
本明細書中で使用される用語「模倣体」は、野生型p53タンパク質ではなく、変異体によって共有されるp53の露出したエピトープと特異的に結合することにおいて本発明のペプチドの代わりになる代用物として役立つ分子構造体を示す(ペプチド模倣体の総説については、Morgan他(1989)、Ann.Reports Med.Chem.、24:243〜252)。
ペプチド模倣体には、本明細書中で使用される場合、アミノ酸および/またはペプチド結合を含有してもよく、あるいは、アミノ酸および/またはペプチド結合を含有しなくてもよく、しかし、野生型p53タンパク質ではなく、変異体によって共有されるp53の露出したエピトープと特異的に結合するという構造的および機能的な特徴を保持する合成された構造体(知られているもの、および、未だ知られていないもの)が含まれる。模倣体を作製するために利用することができるアミノ酸のタイプが本明細書中下記でさらに記載される。用語「ペプチド模倣体」にはまた、N−置換アミノ酸のペプチドまたはオリゴマーであるペプトイドおよびオリゴペプトイドが含まれる[Simon他(1972)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:9367〜9371]。ペプチド模倣体としてさらに含まれるものが、所与のアミノ酸長であるように設計され、その対応するすべての想定され得るアミノ酸配列を表すペプチドの収集物であるペプチドライブラリーである。
ペプチド模倣体の作製は、本明細書中上記で記載されたように、様々な方法を使用して行われ、それらには、例えば、本明細書中上記で記載されたような短いペプチド配列をそれぞれが呈示する多数の呈示ビヒクル(例えば、ファージ、ウイルスまたは細菌など)を使用する呈示技術が含まれる。ペプチド呈示ライブラリーを構築およびスクリーニングする様々な方法が当該分野で周知である。そのような方法が、例えば、Young AC他、「Cryptococcus neoformansに対する多糖結合抗体およびファージ呈示ライブラリー由来ペプチドとのその複合体の三次元構造:ペプチドミモトープを特定するための密接な関係」、J Mol Biol、1997(Dec 12)、274(4):622〜34;Giebel LB他、「環状ペプチドファージライブラリーのスクリーニングによるストレプトアビジンと大きい親和性で結合するリガンドの特定」、Biochemistry、1995(Nov 28)、34(47):15430〜5;Davies EL他、「ニワトリの免疫グロブリン遺伝子に由来するライブラリーを使用する特異的なファージ呈示抗体の選択」、J Immunol Methods、1995(Oct 12)、186(l):125〜35;Jones C RT他、「分子認識およびバイオセパレーションにおける現在の傾向」、J Chromatogr A、1995(Jul 14)、707(1):3〜22;Deng SJ他、「合成遺伝子ライブラリーに由来する改善された炭水化物結合性単鎖抗体を選択するための基礎」、Proc Natl Acad Sci USA、1995(May 23)、92(11):4992〜6;Deng SJ他、「ファージ呈示による改善された炭水化物結合性の抗体単鎖可変フラグメントの選択」、J Biol Chem、1994(Apr 1)、269(13):9533〜8に記載される(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。
ペプチド模倣体はまた、コンピュータ使用による生物学を使用して発見することができる。例えば、様々な化合物を、様々な三次元コンピュータ処理ツールを使用して、野生型p53タンパク質ではなく、変異体によって共有されるp53の露出したエピトープと特異的に結合する能力についてコンピュータ分析することができる。三次元構造モデルを表示するために有用なソフトウエアプログラム、例えば、RIBBONS(Carson,M.、1997、Methods in Enzymology、277、25)、O(Jones,TA.他、1991、Acta Crystallogr.、A47、110)、DINO(DINO:Visualizing Structural Biology(2001)、http://www.dino3d.org)、ならびに、QUANTA、INSIGHT、SYBYL、MACROMODE、ICM、MOLMOL、RASMOLおよびGRASP(Kraulis,J.、1991、Appl Crystallogr.、24、946において総説される)などを、p53の露出したエピトープ(例えば、配列番号1)と、予想されるペプチド模倣体との間での相互作用をモデル化し、それにより、野生型p53タンパク質ではなく、変異体によって共有される露出したエピトープと特異的に結合する最大の確率を示すペプチドを特定するために利用することができる。タンパク質−ペプチド相互作用のコンピュータ使用によるモデル化が合理的薬物設計では使用され、成功している。さらに詳しくは、Lam他、1994、Science、263、380;Wlodawer他、1993、Ann Rev Biochem.、62、543;Appelt、1993、Perspectives in Drug Discovery and Design、1、23;Erickson、1993、Perspectives in Drug Discovery and Design、1、109;Mauro MJ.他、2002、J Clin Oncol.、20、325〜34を参照のこと。
用いられた方法にかかわらず、上記の教示を使用して作製されたペプチド模倣体は、下記の実施例の節で記載されるアッセイ(例えば、結合親和性アッセイ)を使用して、適格かどうかを調べることができる。
前記で言及されているように、本発明の単離されたペプチドはまた、例えば、Fabフラグメント、scFv、完全なIgG抗体、または、本発明の単離されたポリペプチドのCDRのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含有する核酸構築物の一部として、細胞(例えば、哺乳動物細胞、細菌細胞、植物細胞、酵母細胞)において組換え発現することができる。
本発明の単離されたペプチドの組換え体を哺乳動物細胞において発現させるために、配列番号8〜配列番号112によって示されるような少なくとも1つのCDR配列をコードするポリヌクレオチド配列が、好ましくは、哺乳動物細胞での発現のために好適な核酸構築物に連結される。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、配列番号113(F2scFvの場合)、配列番号114(E6scFvの場合)、配列番号115(A6scFvの場合)によって示されるポリヌクレオチドであり得る。核酸構築物は、細胞におけるポリヌクレオチド配列の転写を構成的様式または誘導可能な様式で行わせるためのプロモーター配列を含む。
本発明における使用のために好適な構成的プロモーターは、ほとんどの環境条件およびほとんどのタイプの細胞のもとで活性があるプロモーター配列である(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)など)。本発明との使用のために好適な誘導可能なプロモーターには、例えば、テトラサイクリン誘導プロモーター(Zabala M他、Cancer Res.、2004、64(8):2799〜804)が含まれる。
本発明の核酸構築物(これはまた、本明細書中では「発現ベクター」として示される)には、このベクターを、原核生物、真核生物、または、好ましくは両方(例えば、シャトルベクター)における複製および組み込みのために好適にするさらなる配列が含まれる。加えて、典型的なクローニングベクターはまた、転写開始配列および翻訳開始配列、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター、ならびに、ポリアデニル化シグナルを含有する場合がある。例として、そのような構築物は、典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および、3’LTRまたはその一部を含む。
真核生物プロモーターは典型的には、2つのタイプの認識配列(TATAボックスおよび上流側のプロモーター要素)を含有する。TATAボックス(これは転写開始部位の25塩基対〜30塩基対上流側に位置する)は、RNAポリメラーゼに、RNA合成を開始させることに関与していると考えられる。それ以外の上流側のプロモーター要素は、転写が開始される速度を決定する。
好ましくは、本発明の核酸構築物によって利用されるプロモーターは、形質転換された特定の細胞集団において活性がある。細胞タイプ特異的および/または組織特異的なプロモーターの例には、肝臓特異的であるプロモーター(例えば、アルブミンなど)[Pinkert他(1987)、Genes Dev.、1:268〜277]、リンパ系特異的プロモーター[Calame他(1988)、Adv.Immunol.、43:235〜275]、具体的には、T細胞受容体のプロモーター[Winoto他(1989)、EMBO J.、8:729〜733]および免疫グロブリンのプロモーター[Banerji他(1983)、Cell、33729〜740]、ニューロン特異的プロモーター、例えば、ニューロフィラメントプロモーター[Byrne他(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:5473〜5477]など、膵臓特異的プロモーター[Edlunch他(1985)、Science、230:912〜916]、または、乳腺特異的プロモーター、例えば、乳清プロモーター(米国特許第4873316号および欧州特許出願公開第264166号)が含まれる。
エンハンサー要素は、転写を、連結された相同的プロモーターまたは異種プロモーターから1000倍まで刺激することができる。エンハンサーは、転写開始部位の下流側または上流側に置かれたとき、活性がある。ウイルスに由来する多くのエンハンサー要素は広い宿主範囲を有しており、様々な組織において活性がある。例えば、SV40の初期遺伝子エンハンサーが多くの細胞タイプについて好適である。本発明のために好適である他のエンハンサー/プロモーター組合せには、ポリオーマウイルス、ヒトまたはマウスのサイトメガロウイルス(CMV)、様々なレトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルスまたはラウス肉腫ウイルス、およびHIVなど)からの長末端反復に由来するものが含まれる。Enhancers and Eukaryotic Expression(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1983)を参照のこと(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
発現ベクターの構築において、プロモーターは好ましくは、その天然の環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離で異種の転写開始部位から配置される。しかしながら、当該分野で既知のように、この距離におけるある程度の変動が、プロモーター機能の喪失を伴うことなく受け入れられ得る。
ポリアデニル化配列もまた、組換えられた単離抗体のmRNAの翻訳の効率を増大させるために発現ベクターに加えることができる。2つの異なった配列要素が正確かつ効率的なポリアデニル化のために要求される(ポリアデニル化部位の下流側に位置するGUリッチ配列またはUリッチ配列、および、11ヌクレオチド〜30ヌクレオチド上流側に位置する6ヌクレオチドの高度に保存された配列(AAUAAA))。本発明のために好適である終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルには、SV40に由来するシグナルが含まれる。
既に述べられた要素に加えて、本発明の発現ベクターは、典型的には、クローン化された核酸の発現レベルを増大させるために、または、組換えDNAを有する細胞の特定を容易にするために意図された他の特殊化された要素を含有することができる。例えば、数多くの動物ウイルスは、許容細胞タイプにおけるウイルスゲノムの染色体外の複製を促進させるDNA配列を含有する。このようなウイルスレプリコンを有するプラスミドは、適切な因子が、プラスミドにおいて運ばれる遺伝子によるか、または、宿主細胞のゲノムとともに運ばれる遺伝子によるかのいずれかで提供される限り、エピソームとして複製する。
ベクターは真核生物のレプリコンを含んでも、含まなくてもよい。真核生物のレプリコンが存在するならば、ベクターは、適切な選択マーカーを使用して真核生物細胞において増幅可能である。ベクターが真核生物のレプリコンを含まないならば、エピソーム増幅ができない。その代わり、組換えDNAは、操作された細胞のゲノムに組み込まれ、その細胞において、プロモーターが所望の核酸の発現を行わせる。
本発明の発現ベクターはさらに、例えば、1つのmRNAからの数個のタンパク質の翻訳を可能にするさらなるポリヌクレオチド配列(例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)など)、および、プロモーターキメラポリペプチドのゲノム組み込みのための配列を含むことができる。
哺乳動物発現ベクターの例には、Invitrogenから入手可能であるpcDNA3、pcDNA3.l(+/−)、pGL3、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promegaから入手可能であるpCI、Strategeneから入手可能であるpMbac、pPbac、pBK−RSVおよびpBK−CMV、Clontechから入手可能であるpTRES、ならびに、それらの誘導体が含まれる。
真核生物ウイルス(例えば、レトロウイルスなど)に由来する調節要素を含有する発現ベクターもまた使用することができる。SV40系ベクターには、pSVT7およびpMT2が含まれる。ウシパピローマウイルスに由来するベクターには、pBV−1MTHAが含まれ、エプスタイン・バールウイルスに由来するベクターには、pHEBOおよびp2O5が含まれる。他の例示的なベクターには、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、および、SV−40初期プロモーター、SV−40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または、真核生物細胞での発現のために効果的であることが示されている他のプロモーターの指揮下でのタンパク質の発現を可能にする他のベクターが含まれる。
上記で記載されたように、ウイルスは、多くの場合において宿主の防御機構を回避するように進化してきた非常に特殊化された感染性因子である。典型的には、ウイルスは特定の細胞タイプに感染し、特定の細胞タイプにおいて増殖する。ウイルスベクターの標的化特異性では、その天然の特異性が、所定の細胞タイプを特異的に標的化し、それにより、組換え遺伝子を感染細胞に導入するために利用される。従って、本発明によって使用されるベクターのタイプは、形質転換された細胞タイプに依存する。好適なベクターを形質転換された細胞タイプに従って選択することができることは、十分に当業者の能力の範囲内であり、そのため、選択検討の一般的な記載は本明細書中には提供されない。例えば、骨髄細胞を、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV−1)を使用して標的化することができ、また、腎臓細胞が、Liang CY他(2004)(Arch Virol.、149:51〜60)に記載されるように、バキュロウイルスのAutographa californica核多角体ウイルス(AcMNPV)に存在する異種プロモーターを使用して標的化される場合がある。
組換えウイルスベクターは、様々な利点(例えば、側方感染および標的化特異性など)を提供するので、本発明の単離されたポリペプチドのインビボ発現のために有用である。側方感染は、例えば、レトロウイルスの生活環において固有のものであり、出芽し、周りの細胞に感染する多くの子孫ビリオンを1個の感染細胞が産生するプロセスである。その結果は、最初のウイルス粒子によってそのほとんどが最初に感染していなかった広い面積が急速に感染することである。これは、感染性因子が娘核種を介してのみ広がる垂直型の感染とは対照的である。横方向に広がることができないウイルスベクターもまた作製することができる。この特徴は、所望する目的が、指定された遺伝子を局在化した多数の標的化された細胞のみに導入することであるならば、有用であり得る。
様々な方法を、本発明の発現ベクターを細胞に導入するために使用することができる。そのような方法が、一般には、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Springs Harbor Laboratory、New York(1989、1992);Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、Md.(1989);Chang他、Somatic Gene Therapy、CRC Press、Ann Arbor、Mich.(1995);Vega他、Gene Targeting、CRC Press、Ann Arbor Mich.(1995);Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Butterworths、Boston Mass.(1988);および、Gilboa他[Biotechniques 4(6):504〜512、1986]に記載され、そのような方法には、例えば、組換えウイルスベクターを用いた安定的トランスフェクションまたは一過性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび感染が含まれる。加えて、陽性−陰性の選択法については米国特許第5464764号および同第5487992号を参照のこと。
挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必要な要素を含有することの他に、本発明の発現構築物はまた、発現ペプチドの安定性、産生、精製、分泌、収量または毒性を高めるために操作された配列を含むことができる。
本発明の単離されたポリペプチドの分泌のために、本発明の核酸構築物は典型的には、本発明の核酸構築物が置かれている宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。加えて、本発明のMet変化体と、異種タンパク質とを含む融合タンパク質または切断可能な融合タンパク質の発現を操作することができる。そのような融合タンパク質は、融合タンパク質が、アフィニティークロマトグラフィーによって、例えば、異種タンパク質について特異的なカラムでの固定化によって容易に単離され得るように設計することができる。切断部位がMet成分と異種タンパク質との間で操作される場合、Met成分を、切断部位を分断する適切な酵素または薬剤による処理によって、クロマトグラフィーカラムから遊離させることができる[例えば、Booth他(1988)、Immunol.Lett.、19:65〜70;Gardella他(1990)、J.Biol.Chem.、265:15854〜15859を参照のこと]。
様々な原核生物細胞または真核生物細胞が、本発明の単離されたポリペプチドを発現させるための宿主発現システムとして使用され得ることが理解される。これらには、微生物、例えば、コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、組換えプラスミドDNA発現ベクターまたは組換えコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌など;コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母;コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた植物細胞システム、または、コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミドなど)により形質転換された植物細胞システムが含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物発現システムもまた、本発明のポリペプチドを発現させるために使用することができる。
細菌構築物の例には、大腸菌発現ベクターのpETシリーズ[Studier他(1990)、Methods in Enzymol.、185:60〜89]が含まれる。
酵母では、米国特許出願第5932447号に開示されるように、構成的プロモーターまたは誘導可能なプロモーターを含有する数多くのベクターを使用することができる。あるいは、酵母染色体への外来DNA配列の組み込みを促進させるベクターを使用することができる。
様々な他の発現システム(例えば、昆虫、植物および哺乳動物の宿主細胞システムなど)が当該分野では周知であり、これらもまた本発明によって使用することができる。
本発明の組換えポリペプチドの回収が培養での適切な時間の後で行われる。表現「組換えポリペプチドを回収する」は、ポリペプチドを含有する成長培地(例えば、発酵培地)全体を集めることを示し、分離または精製のさらなる工程を伴う必要はない。上記にかかわらず、本発明のポリペプチドは、様々な標準的なタンパク質精製技術を使用して精製することができ、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、クロマトフォーカシングおよび特異的可溶化(これらに限定されない)などを使用して精製することができる。
本発明の単離されたポリペプチド(これは抗p53抗体として作用する)はまた、変異型p53タンパク質を発現する標的細胞(例えば、大きいp53変異(例えば、R175Hなど)を有するガン細胞など)において発現させることができ、それにより、本明細書中上記で記載されたような細胞内抗体を形成することが理解される。これは、核タンパク質であり、従って、従来の抗体治療に対して比較的「抵抗性」であるp53の場合には特に、特に重要である。図4a〜図4j、図15a〜図15hおよび図16a〜図16dに示され、また、下記の実施例の節の実施例3において記載されるように、F2scFv抗体(TAR1)は、変異体R175Hのp53タンパク質(これは、配列番号1によって示される露出したエピトープを有する)を特異的に発現するヒト肺ガン細胞またはヒト結腸ガン細胞においてアポトーシスを誘導することができた。加えて、様々な内因性のp53変異型タンパク質を発現するガン性細胞株の、TAR1による処理は、アポトーシスの著しい増大をもたらした(図17a〜図17r、実施例3)。そのうえ、本発明のF2scFv(TAR1)抗体を発現するように安定的にトランスフェクションされた、変異型p53タンパク質(R175H)を有する細胞は、形成されたコロニーの低下した数、ならびに、形成されたコロニーの低下したサイズにおいて明らかにされる低下したコロニー形成能を示した(図5、図6a〜図6d、下記の実施例の節の実施例4および実施例4)。
従って、本発明のさらなる態様によれば、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導する方法が提供される。この方法は、本発明の単離されたポリペプチド(これは本明細書中上記において包括的に記載される)をガン細胞と接触させるか、または、ガン細胞において発現させ、それにより、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導することによって達成される。
本明細書中で使用される用語「アポトーシス」は、細胞が「細胞自殺」プログラムを実行するプログラム化された細胞死を示す。アポトーシスは、胚発生、免疫系の調節、および、恒常性をはじめとする数多くの生理学的事象において重要な役割を果たしている。従って、アポトーシスは、多様なシグナル(例えば、四肢および神経の発達、神経変性疾患、放射線療法および化学療法など)に対する応答においてであり得る。アポトーシスのプロセスは通常、ミトコンドリアでの酸化の非共役、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸[NAD(P)H]のレベルにおける低下、チトクロームcの放出、カスパーゼの活性化、DNA断片化、および、原形質膜の外側リーフレットへのホスファチジルセリン(脂質二重層の内側リーフレットに通常の場合には限定される膜リン脂質)の外在化によって特徴づけられる。
本明細書中で使用される表現「成長停止」は、インビトロ、エクスビボ(すなわち、細胞が個体に由来し、組織培養で培養されるとき)および/またはインビボ(個体の腫瘍において)での細胞成長の阻害を示す。インビトロ条件またはエクスビボ条件が使用される場合、成長停止は、コロニー形成(コロニー数を計数することによる)、細胞面積、および、コロニーにおける細胞数などを、当該技術分野で既知の様々な方法を使用して追跡することによって検出することができる。インビボ条件が用いられる場合、成長停止はまた、腫瘍のサイズおよび/または形状および/または腫瘍転移物の存在を、病理学における当業者に知られている様々な組織学的および免疫学的な染色方法を使用して追跡することによって監視することができる。
本発明のこの態様の方法によれば、アポトーシスが本発明のこの態様の方法に従って誘導されるガン細胞は、野生型p53タンパク質ではなく、変異体によって共有される露出したエピトープ(例えば、配列番号1)を特異的に発現する。そのようなガン細胞は、本明細書中上記で記載されたように、大きいp53変異または中間的なp53変異を有することができる。そのようなガン細胞は、固形腫瘍(例えば、乳ガン、結腸ガン、肺ガン、肝細胞ガン、骨原性肉腫、結腸直腸ガン、神経膠芽細胞腫、食道ガン、膀胱ガン、扁平上皮ガンなど)および非固形腫瘍(例えば、白血病およびリンパ腫)を含めて、任意の種類の腫瘍に由来し得る。加えて、そのような細胞は、当該技術分野で既知の方法を使用して、発ガン遺伝子による正常細胞の変異誘発またはトランスフェクションによって派生させることができる。
本発明のこの態様の方法によれば、本発明の単離されたポリペプチドは本発明のガン細胞と接触されるか、または、本発明のガン細胞において発現される。p53は細胞の核で発現されるので、本発明の単離されたポリペプチドは、好ましくは、大きい分子(例えば、IgG分子など)ではなく、小さいポリペプチド[例えば、CDR含有ポリペプチドまたはscFv(例えば、F2scFv(配列番号113)など)]であり、従って、細胞膜および核膜をより容易に突き抜けることが理解される。
細胞の核への単離されたポリペプチドの侵入を容易にするために、単離されたポリペプチドは疎水性成分に共有結合により結合することができ、または、(例えば、下記の実施例の節の「一般的な材料および実験方法」において記載されるTAT−scFv F2/His発現ベクターの場合などでは)疎水性成分との融合遺伝子として発現させることができる。そのような疎水性成分は、非極性であり、かつ、一般には水と混和しない任意の物質が可能である(例えば、疎水性物質の疎水性残基(部分)など)。疎水性物質の限定されない例には、置換または非置換の飽和炭化水素および不飽和炭化水素(この場合、炭化水素は、脂肪族、脂環族または芳香族が可能である)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、炭化水素は、アミノ酸残基へのその結合を可能にする官能基を有する。そのような官能基の代表的な例には、限定されないが、遊離カルボン酸(C(=O)OH)、遊離アミノ基(NH)、エステル基(C(=O)OR、式中、Rは、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)、アシルハライド基(C(=O)A、式中、Aは、フルオリド、クロリド、ブロミドまたはヨージドである)、ハライド(フルオリド、クロリド、ブロミドまたはヨージド)、ヒドロキシル基(OH)、チオール基(SH)、ニトリル基(C≡N)、遊離C−カルバミン酸基(NR”−C(=O)−OR’、式中、R’およびR”のそれぞれが独立して、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)、遊離N−カルバミン酸基(OC(=O)−NR’−、式中、R’は上記で定義される通りである)、チオニル基(S(=O)A、式中、Aは上記で定義される通りである)などが含まれる。例えば、そのような疎水性成分は脂肪酸が可能であり、例えば、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸(C18)、オレイン酸、リノレン酸およびアラキドン酸などである。
本発明の単離されたポリペプチドは、当該技術分野で既知の方法を使用して、例えば、細胞環境(例えば、血液、血漿、緩衝液および組織培養培地など)への単離されたポリペプチドの添加などを使用して細胞に投与することができる。
あるいは、本発明の単離されたポリペプチドは、本明細書中上記で記載されたような細胞内発現抗体を形成させるために、細胞において、核酸構築物を使用して発現させることができる。
加えて、または、代替として、本発明の抗p53抗体(例えば、TAR1抗体)はウイルス呈示ビヒクル(例えば、繊維状ファージなど)において提示することができ、あるいは、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導するために治療効果的な量で使用することができる。本発明者らは、そのようなウイルス呈示ビヒクル(すなわち、ファージ)が不活性なビヒクルであり、かつ、活性な抗体フラグメントをCNSに運ぶために好適であることを以前に明らかにしている(米国特許出願第20040013647号、Solomon,Beka他)。
本発明のウイルス呈示ビヒクルは、細胞内での本発明のp53抗体(例えば、TAR1)の提示を可能にするために設計され得ることが理解される。図18〜図21に示されるように、また、下記の実施例の節の実施例7において記載されるように、PTD(タンパク質形質導入ドメイン)[例えば、哺乳動物細胞内への内在化を可能にするPEPペプチド(配列番号136);図18a〜図18bに示される]を含有するウイルス呈示ビヒクルは、哺乳動物CHO細胞に侵入することができた。核内への侵入のために、ウイルスベクターはさらに、呈示されている抗体に共役化されるNLSペプチド(配列番号134)を含むことができる。構築されたファージはPTDをそのコートタンパク質VIIIの表面に提示し、NLSペプチドに融合された抗体をそのタンパク質IIIの表面に提示する(図18a〜図18bを参照のこと)。
従って、本発明の抗p53抗体を提示するウイルス呈示ビヒクルは、その必要性のある個体に投与することができ、目的とする細胞の核に対して標的化することができる。例えば、脳腫瘍については、ウイルス呈示ビヒクルを鼻腔内適用によって個体に投与し、それにより、様々な脳領域(例えば、皮質および海馬など)に到達させることができる。
本発明の単離されたポリペプチド、核酸構築物および/またはウイルス呈示ビヒクルによって誘導されるアポトーシスは、当該技術分野で既知の様々な方法を使用して検出することができる。
エチジウムホモダイマー−1染色。アポトーシスを、膜が損なわれた細胞(すなわち、死細胞)に特異的に結合する色素によって検出することができる。簡単に記載すると、固定処理されていない細胞(例えば、懸濁状態の細胞、組織培養物および組織切片など)が蛍光性色素のエチジウムホモダイマー−1(励起、495nm;放射、635nm)により染色される。このアッセイでは、生細胞は緑色蛍光の細胞質を有するが、EthD−1のシグナルを全く有さず、これに対して、死細胞は緑色の蛍光を有さず、EthD−1により染色される。
Tunnelアッセイ(Roche、Basel、スイス)では、アポトーシスを受けている細胞に特徴的であるDNA断点がフルオレセイン(励起、450nm〜500nm;放射、515nm〜565nm)により標識される。
生/死による生存性/細胞毒性の二色蛍光アッセイ(Molecular Probes,Inc.、L−3224、Eugene、OR、米国)。このアッセイでは、細胞内エステラーゼ活性が細胞透過性基質(カルセイン−AM)を用いて測定され、この場合、細胞透過性基質(カルセイン−AM)が生細胞によって蛍光性誘導体(ポリアニオンのカルセイン、励起、495nm;放射、515nm)に変換され、この蛍光性誘導体が、その後、生細胞の無傷の原形質膜によって保持される。
FACS分析−アポトーシスを受けている細胞と特異的に結合することができる分子(例えば、ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンVなど)が使用される。アネキシンVは、初期アポトーシスの期間中に原形質膜の外側への外在化を受けるホスファチジルセリンに対するカルシウム媒介の大きい親和性結合によって特徴づけられるヒトタンパク質である。
ゲル電気泳動によるDNA断片化―簡単に記載すると、DNAが、固定処理されていない細胞から抽出され、ゲル電気泳動(例えば、1.5%〜2%のアガロースゲル)に供され、DNA断片化の程度が、何らかのDNA染色(例えば、臭化エチジウムおよびSyber Grennなど)を使用して評価される。
図8a〜図8fにおいてさらに示されるように、また、下記の実施例の節の実施例4において記載されるように、F2scFv(TAR1)抗体は腫瘍成長をインビボで阻害することができた。これらの結果は、p53関連のガンを治療することにおける、本発明の単離されたポリペプチド、本発明の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/または発現ベクターの使用を強く示唆している。
従って、本発明のさらなる態様によれば、p53関連のガンに罹患しているか、または、p53関連のガンに対する素因を有する対象を治療する方法が提供される。この方法は、本発明の単離されたポリペプチドの治療効果的な量を対象に投与するか、または、対象の細胞において発現させ、それにより、対象におけるp53関連のガンを治療することによって行われる。
用語「治療(処置)する」は、疾患、障害または状態(例えば、p53関連のガン)の発達を阻害または停止すること、および/あるいは、疾患、障害または状態の軽減、寛解または退行を生じさせることを示す。当業者は、様々な方法論およびアッセイが、疾患、障害または状態の発達を評価するために使用でき、同様にまた、様々な方法論およびアッセイが、疾患、障害または状態の軽減、寛解または退行を評価するために使用され得ることを理解する。
本明細書中で使用される用語「対象」(または、本明細書中において交換可能に使用される「個体」)は哺乳動物を示し、好ましくは、p53関連のガンに罹患している任意の年齢のヒトを示す。好ましくは、この用語は、p53関連のガンを発症する危険性のある個体、すなわち、p53関連のガンに対する素因を有する個体を包含する。そのような個体は、リー・フロイメニ症候群の場合などでは、p53遺伝子(GenBankアクセション番号NM_000546)における生殖細胞系変異の保因者であり得る。
本明細書中で使用される「p53関連のガン」は、p53がその発症または進行に関係づけられる任意のガンを示す。そのようなガンは、p53タンパク質の異常な構造および/または機能を生じさせる、p53遺伝子[Genbankアクセション番号NC_000017:7512464〜7531642(ゲノム領域);同NM_000546(mRNA);同NP_000537(タンパク質)]における変異によって引き起こされ得る。そのような変異は、ミスセンス、ナンセンス、スプライス変異、プロモーター変異、欠失、挿入および重複化などであり得る。本明細書中上記で述べられるように、p53タンパク質における様々な変異により、p53タンパク質の異常な機能を生じさせる中間的または大きい立体配座変化がもたらされる。p53関連のガンの限定されない例には、p53遺伝子における生殖細胞系の変異によって引き起こされるガン(例えば、リー・フロイメニ症候群1の場合におけるガン、OMIM#151623)、ならびに、p53遺伝子における体細胞変異によって引き起こされるガン、例えば、肝細胞ガン、骨原性肉腫、結腸直腸ガン、肺ガン、神経膠芽細胞腫、食道ガン、膀胱ガン、扁平上皮ガン、白血病およびリンパ腫などが含まれる。
本明細書中で使用される表現「対象の細胞」には、対象に由来し、対象から取り出される任意の細胞(すなわち、エクスビボ遺伝子治療)、または、対象の一部である細胞(すなわち、本明細書中上記で記載されるようなインビボ遺伝子治療)が含まれる。
本明細書中で使用される表現「治療効果的な量」は、生物学的活性(すなわち、(本明細書中上記で記載されるように)p53の露出したエピトープと結合すること、アポトーシスを誘導すること、および、p53関連のガンを治療または防止すること)を発揮するために十分である、本発明の単離されたポリペプチド、本発明の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくは発現ベクター、および/または、本発明の抗p53抗体を呈示するウイルス呈示ビヒクルの量を示す。
図5に示されるように、また、下記の実施例の節の実施例3において記載されるように、A4scFvは化学療法薬物に対するガン細胞の感受性を増大させることができた。これらの結果は、例えば、化学療法薬物を利用する従来のガン治療プロトコルと一緒での、単離されたポリペプチド、単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチドをコードする発現ベクター、および/または、それらを含む医薬組成物(これは本明細書中下記でさらに記載される)の使用(すなわち、混合治療)を示唆する。
そのような薬物(例えば、化学療法剤、例えば、メクロレタミン、フルオロウラシル、ダカルバジン、ドセタキセル、カルムスチン、ビンデシンなど)はまた、本発明の単離されたポリペプチドに共役化することができ、または、本発明の単離されたポリペプチドをコードする発現ベクターの一部を形成することができることが理解される。
加えて、本発明の単離されたポリペプチドによって発揮される特異的な生物学的活性を増大させるために、そのようなポリペプチドはさらに、細胞毒性作用因(すなわち、薬物)、例えば、シュードモナスのエキソトキシンPE35、同PE38、同PE40、緑膿菌のエキソトキシンA(ETA’)、および、ジフテリアトキシン(DT30)などを含むことができ、それにより、特異的な抗毒素を形成することができる。そのような細胞毒性作用因は、単離されたポリペプチドに結合することができ、または、本発明の発現ベクターによって発現されるポリヌクレオチドの一部とすることができる。
従って、本発明の1つの好ましい実施形態によれば、本発明の単離されたポリペプチドは薬物に融合または共役化される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の単離されたポリヌクレオチドおよび/または発現ベクターはさらに、薬物をコードするさらなる核酸配列を含む。
そのような抗毒素および/または化学療法剤は、組換えDNA技術を使用して(例えば、作用因分子のコード配列を通常の場合には本発明の単離されたポリペプチドのコード配列の下流側において本発明の単離されたポリペプチドのコード配列に連結することによって)、あるいは、トキシンまたは化学療法剤を、当該技術分野で既知の方法によって、単離されたポリペプチドの配列(例えば、配列番号113、配列番号114または配列番号115によって示されるポリペプチド)に共有結合により共役化することによって作製され得ることが理解される。例えば、様々な二官能性のタンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミダートHCLなど)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラートなど)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミンなど)、ジイソシアナート(例えば、トルエン−2,6−ジイソシアナートなど)、および、ビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などを使用することによる。
本発明の単離されたポリペプチド、本発明の単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/または核酸構築物は、生物に、それ自体で、あるいは、それらが好適なキャリアまたは賦形剤と混合される医薬組成物で投与することができる。
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
本明細書中において、用語「有効成分(活性成分)」は、生物学的効果(すなわち、アポトーシスおよび/またはp−53関連のガンの治療を含む、野生型p53タンパク質ではなく、変異型p53タンパク質によって共有される露出したエピトープへの特異的結合)を担う本発明の組み換え単離ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/またはウイルス呈示ビヒクルを示す。
以降、交換可能に使用されうる表現「医薬的に許容され得るキャリア」および表現「生理学的に許容され得るキャリア」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、投与された化合物の生物学的な活性および性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に含まれる。
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、特に経鼻送達、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、心臓内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
あるいは、例えば、患者の組織部位に直接的に医薬組成物の注射をすることによって、全身的な方法よりも局所的に医薬組成物を投与しうる。
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用され得る調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合することできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な生理的食塩緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透されるバリヤーに対して適切な浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物をこの分野で広く知られている医薬的に許容され得るキャリアと組み合わせることによって容易に配合され得る。そのようなキャリアは、医薬組成物が、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される薬理学的調製物を、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤には、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーがある。所望する場合には、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料を、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、有効成分を好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。また、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
鼻吸入による投与の場合、本発明による使用のための有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位が、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定され得る。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合することができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供され得る。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションにすることができ、また、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態での活性調製物の水溶液が含まれる。また、有効成分の懸濁物を適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の、パイロジェン非含有水溶液)を使用前に用いて構成される粉末形態にすることができる。
本発明の医薬組成物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、有効成分が、その意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果的な量は、治療されている対象の病状(p−53関連のガン)を予防、緩和あるいは改善するために効果的であるか、または、治療されている対象の生存を延ばすために効果的である、有効成分(本発明の単離されたポリペプチド、またはそれをコードするポリヌクレオチドもしくは発現ベクター)の量を意味する。
治療効果的な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な説明に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量または用量は、最初はインビトロでアッセイおよび細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、用量は所望の濃度または滴定量を得るために動物モデルにおいて配合することが可能である。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における、インビトロで標準的な薬学的手法によって、明らかにすることができる。これらのインビトロでの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する投薬量範囲を決定するために使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(Fingl,et al,(1975年)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照)。
投薬量および投薬間隔は、変異型p53タンパク質[これは、本明細書中上記で記載される共通エピトープ(例えば、配列番号1)の露出をもたらす]を発現するガン細胞に、生物学的活性(例えば、本明細書中上記で記載される変異型p53の露出したエピトープと結合すること、アポトーシスを誘導すること、および/または、p53関連のガンを治療すること)を発揮するために十分であるレベル(最小有効濃度、MEC)の有効成分を与えるために個々に調節することができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個体の特徴、および、投与経路に依存する。様々な検出アッセイを、血漿中濃度を求めるために使用することができる。
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回投与で行うことができ、この場合、処置期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている患者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
本発明の組成物は、所望されるならば、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む組成物もまた、上でさらに詳述されたように、適応される状態を処置するために調製され、適切な容器に入れられ、かつ標識され得る。
対象への本発明の核酸の導入が、当該分野で使用される任意の遺伝子治療方法論を使用して達成され得ることが理解される。本発明の核酸の導入は、例えば、ウイルス感染などによって達成され、ウイルス感染は、より大きいトランスフェクション効率をウイルスの感染性のために得ることができるので、他の方法(例えば、リポフェクションなど)を上回るいくつかの利点を提供する。
現在好ましいインビボ核酸移入技術(インビボ遺伝子治療)には、ウイルス構築物または非ウイルス構築物(例えば、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスIウイルスまたはアデノ関連ウイルス(AAV)など)によるトランスフェクション、および、脂質に基づくシステムが含まれる。遺伝子の脂質媒介による移入のための有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPEおよびDC−Cholなどである[Tonkinson他、Cancer Investigation、14(1):54〜65(1996)]。遺伝子治療において使用される最も好ましい構築物はウイルスであり、最も好ましくは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルスまたはレトロウイルスである。ウイルス構築物(例えば、レトロウイルス構築物など)は、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサー、または、遺伝子座を規定する要素、あるいは、遺伝子発現を他の手段(例えば、メッセンジャーの選択的スプライシング、核RNA輸出または翻訳後修飾など)によって制御する他の要素を含む。そのようなベクター構築物はまた、ウイルス構築物に既に存在しない限り、パッケージングシグナル、長末端反復(LTR)またはその一部、ならびに、使用されたウイルスに対して適切なプラス鎖およびマイナス鎖のプライマー結合部位を含む。加えて、そのような構築物は、典型的には、構築物が置かれている宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物のシグナル配列、または、本発明のポリペプチド変化体のシグナル配列である。場合により、構築物はまた、ポリアデニル化を導くシグナル、ならびに、1つ以上の制限部位、および、翻訳終結配列を含むことができる。例として、そのような構築物は典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および、3’LTRまたはその一部分を含む。非ウイルスである他のベクターを使用することができる(例えば、カチオン性脂質、ポリリシンおよびデンドリマーなど)。
本発明の単離されたポリペプチドは、野生型ではなく、変異型のp53タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるので、そのようなポリペプチドは、そのようなエピトープが露出されるp53関連のガンの診断において使用され得ることが理解される。
従って、本発明のなおさらなる態様によれば、対象におけるp53関連のガンを診断する方法が提供される。この方法は、(a)対象の生物学的サンプルを、本発明の単離されたポリペプチドと、野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープとの間での免疫複合体の形成のために好適な条件のもとで本発明の単離されたポリペプチドと接触させること;および(b)免疫複合体の形成を検出し、それにより、対象におけるガンを診断することによって行われる。
本明細書中で使用される表現「診断する」は、疾患(p53関連のガン)または症状を分類すること、疾患の重篤度を決定すること、疾患の進行を監視すること、疾患の結果および/または回復の見込みを予測することを示す。
本明細書中で使用される「生物学的サンプル」は、対象から単離された組織または体液のサンプルを示し、これには、例えば、血液細胞、骨髄細胞、具体的にはマクロファージ、リンパ液、様々な腫瘍、神経細胞、樹状細胞、器官、および、同様に、インビボ細胞培養構成物のサンプルが含まれるが、これらに限定されない。「対象の生物学的サンプル」はまた、場合により、対象から物理的に取り出されていないサンプルを含み得ることに留意しなければならない。好ましくは、本発明のこの態様の方法によって使用される生物学的サンプルは、血液、リンパ節生検物、骨髄吸引物および組織サンプルである。
本発明のこの態様の方法を使用して診断されるガンは、本明細書中上記で記載されたp53関連のガンのいずれかであり得る。好ましくは、対象から得られる生物学的サンプルは、血液サンプル、骨髄吸引物または組織サンプルである。
本発明によるガンの診断は、対象の生物学的サンプルを免疫複合体の形成のために好適な条件のもとで本発明の単離されたポリペプチドと接触させることによって行われる。
本明細書中で使用される用語「免疫複合体」は、抗体(例えば、本発明の単離されたポリペプチド)と、その特異的な抗原(野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープが露出するp53変異型タンパク質)との間で形成される複合体を示す。
本発明の免疫原複合体は、使用された単離されたポリペプチド、および、ガン細胞に依存して変化し得る様々な温度、塩濃度およびpH値において形成させることができる。当業者は、それぞれの免疫複合体の形成のために好適な条件を調節することができる。
本発明のこの態様の方法によれば、免疫複合体形成の検出により、p53関連のガンの診断が示される。様々な方法を、本発明の免疫複合体を検出するために使用することができ、当業者は、どの方法が、それぞれの免疫複合体について、かつ/または、診断のために使用された細胞のタイプについて好適であるかを決定することができる。
例えば、免疫複合体を、従来の免疫組織学分析または免疫蛍光分析、FACS分析、ELISA分析、ウェスタンブロット分析およびRIA分析によって、あるいは、分子量に基づく方法によって検出することができる。
免疫組織学分析または免疫蛍光分析−この方法は、抗原(例えば、野生型p53ではなく、変異型p53によって共有される共通エピトープが露出する大きい変異または中間的な変異を有するp53変異型タンパク質)を抗原特異的な抗体(すなわち、本発明の単離されたポリペプチド)によって固定処理後の細胞においてその存在場所で検出することを伴う。抗原特異的な抗体は酵素に連結されていてもよく、または、蛍光団に連結されてもよい。検出は顕微鏡観察および主観的評価または自動的評価によって行われる。酵素に連結された抗体が用いられるならば、比色反応が必要される場合がある。免疫組織化学では、多くの場合、続いて、細胞の核が、例えば、ヘマトキシリン染色またはギムザ染色を使用して対比染色されることが理解される。
蛍光活性化細胞分取(FACS)−この方法は、抗原を抗原特異的な抗体によって細胞においてその存在場所で検出することを伴う。抗原特異的な抗体は蛍光団に連結される。検出は、それぞれの細胞が光ビームの中を通過する際にそれぞれの細胞から放出される光の波長を読み取る細胞分取装置によって行われる。この方法は2つ以上の抗体を同時に用いることができる。
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)−この方法は、抗原(本明細書中上記で記載されるようなp53変異型タンパク質)を含有するサンプル(例えば、固定処理された細胞またはタンパク質性溶液)を表面(例えば、マイクロタイタープレートのウェルなど)に固定することを伴う。酵素にカップリングされた抗原特異的な抗体(すなわち、本発明の単離されたポリペプチド)が加えられ、抗原に結合される。その後、抗体の存在が、抗体にカップリングされた酵素を用いて比色反応によって検出および定量される。この方法において一般に用いられる酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが含まれる。十分に校正され、かつ、応答の直線範囲に含まれるならば、サンプルに存在する基質の量は、生じた色の量に比例する。基質標準物が一般には、量的精度を改善するために用いられる。
ウェスタンブロット−この方法は、基質(例えば、本明細書中上記で記載されるようなp53変異型タンパク質)を他のタンパク質からアクリルアミドゲルによって分離し、その後、基質を膜(例えば、ナイロンまたはPDVF)に転写することを伴う。その後、基質の存在が、基質に対して特異的な抗体(すなわち、本発明の単離されたポリペプチド)によって検出され、次いで、その抗体が抗体結合試薬によって検出される。抗体結合試薬は、例えば、プロテインAまたは他の抗体(例えば、ECLキット(Amersham Biosciences Inc.、Piscataway、NJ、米国)における抗体など)であり得る。抗体結合試薬は放射能標識され得るか、または、本明細書中上記で記載されるように酵素連結され得る。検出を、オートラジオグラフィー、比色反応または化学発光によって行うことができる。この方法では、基質の量の定量と、電気泳動時におけるアクリルアミドゲルでの移動距離を示す膜上での相対的位置によるその正体の決定との両方が可能である。MHC−ペプチド複合体の場合、非変性ゲル電気泳動が好ましくは用いられることが理解される。
放射免疫アッセイ(RIA)−1つの型において、この方法は、所望の抗原(例えば、本明細書中上記で記載されるようなp53変異型タンパク質)を、特異的な抗体(すなわち、本発明の単離されたポリペプチド)と、沈殿性キャリア(例えば、アガロースビーズなど)に固定化された放射能標識されている抗体結合タンパク質(例えば、I125で標識されたプロテインA)とを用いて沈殿させることを伴う。沈殿ペレットにおけるカウント数が抗原の量に比例する。
RIAの代替型において、標識された抗原と、非標識の抗体結合タンパク質とが用いられる。未知量の抗原を含有するサンプルが様々な量で加えられる。標識された抗原からの沈殿したカウント数の減少が、添加されたサンプルにおける抗原の量に比例する。
分子量に基づく方法−本明細書中上記で記載されるようなp53変異型タンパク質と、本発明の単離されたポリペプチドとの間で形成される免疫複合体は、その成分(すなわち、本発明の単離されたポリペプチドまたはp53変異型タンパク質)よりも大きい分子量を示すことが理解される。従って、分子量におけるそのような変化を検出することができる方法もまた用いることができる。例えば、免疫複合体をゲル遅延アッセイによって検出することができる。簡単に記載すると、非変性アクリルアミドゲルに、免疫複合体形成の前および後での、本発明の単離されたポリペプチドと、p53変異型タンパク質とを含有するサンプルが負荷される。その成分と比較して、タンパク質生成物のサイズ(分子量)における変化により、免疫複合体の存在が示される。高分子量側へのそのような変化を、非特異的なタンパク質染色(例えば、銀染色またはクーマシーブルー染色など)を使用して見ることができる。あるいは、p53変異型タンパク質または本発明の単離されたポリペプチドはゲル電気泳動の前に(例えば、放射性標識で)標識することができる。加えて、または、代替として、p53変異型タンパク質を発現する細胞をタンパク質抽出の前に放射能標識することができる。
免疫複合体形成の検出を容易にするために、本発明の単離されたポリペプチドのポリペプチド配列はさらに、検出可能な標識(すなわち、エピトープタグ)のアミノ酸配列を含む。そのようなアミノ酸配列は、本発明の発現ベクターに含まれる核酸配列によってコードされ得る。
本発明のこの態様のさらなる好ましい実施形態によれば、本発明の単離されたポリペプチドは検出可能な標識(例えば、ビオチンおよびジゴキシゲニンなど)に結合することができる。そのような検出可能な標識は、当該分野で周知の方法を使用して、本発明の単離されたポリペプチドに共有結合により結合させることができる。
免疫複合体形成の検出のための本明細書中上記に記載される薬剤は、好ましくは、使用のための適切な説明書、ならびに、p53関連のガンの重篤度を診断および/または評価することにおける使用についてのFDA承認を示すラベルと一緒に、診断キット/製造物に含めることができる。
そのようなキットは、例えば、上記の診断剤(例えば、F2scFv抗体、E6scFv抗体またはA4scFv抗体)のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの容器と、別の容器に詰められた画像化試薬(例えば、酵素、二次抗体、緩衝液、発色性基質、蛍光性物質)とを含むことができる。キットはまた、キットの貯蔵寿命を改善するための適切な緩衝液および保存剤を含む場合がある。
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Freshney「Culture of Animal Cells−A Mamual of Basic Technique」Wiley−Liss、N.Y.、1994年、第3版;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
一般的な材料および実験方法
細胞、プラスミドおよび試薬。H1299細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)から得て、10%ウシ胎児血清(Sigma)が補充されたRPMI(Sigma、St.Louis、MO)で維持した。ホットスポット変異R175Hを安定的に発現するH1299−R175H細胞をV.Rotter(Weizmann Institute of Science)から得た。pCMV/mycおよびpCMV/myc/nucのプラスミドがI.Benhar(Tel Aviv大学)によって提供された。pCMV−scFv F2およびpCMV/nuc−scFv F2を、scFv F2の配列を、ヒト合成ライブラリー(Azriel−Rosenfeld他、2004、JMB、335、177)から単離された対応するpCC16クローンから取り出し、pCMVおよびpCMV/nucにおいてNcoI部位およびNotI部位にサブクローン化することによって構築した。TAT−scFv F2/His発現プラスミドを、TATペプチド(RKKRRQRRRG;配列番号133)をベクターpCANTAB6−Fv(これは無関係のscFVを発現する)においてscFvの上流側のNcoI部位にクローン化するか、または、ベクターpMalC−TNN−EGFPにおいてMBPの上流側のNdeI部位にクローン化することによって構築した。両方のベクターがI.Benhar(Tel Aviv大学)によって提供された。FvおよびEGFPを、両方のプラスミドのNcoI部位およびNotI部位にクローン化されたscFv F2によって置き換えた。TAT−scFv F2−NLS/His発現プラスミドを、NLSペプチド(DPKKKRKV;配列番号134)をscFvの下流側のNotI部位にクローン化することによって構築した。
ライブラリーのスクリーニング−変異型p53の共通エピトープと特異的に結合するscFvを特定するために、配置可能な単鎖抗体のヒト合成コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングした。ライブラリーの構築および性質が、Azriel−Rosenfeld他、2004、JMB、335、177〜192に記載される。ライブラリーのバイオパンニングを、ビオチン化FRHSVV(配列番号1)およびDynabeads M280−ストレプトアビジン(Dynal)を使用して行った。
ライブラリーのレスキュー−細菌ライブラリーのグリセロールストック(約1x1010クローン)のアリコートを、100μg/mlのアンピシリンおよび1%のグルコースを含有するYT(YTAG)で2回接種し、OD600nmが0.5になるまで37℃で成長させた。細胞にM13KO7ヘルパーファージを1:20の比率で感染させ、細胞を、振とうせずに、37℃で30分間インキュベーションし、その後、37℃の振とうインキュベーターにさらに30分間移した。感染細胞を3300gで10分間ペレット化し、100μg/mlのアンピシリンおよび50mg/mlのカナマイシンを含有するYT(YTAK)で2回再懸濁し、30℃でオーバーナイトでインキュベーションした。細胞を4℃において8000gで10分間遠心分離した。PEG/NaClを上清に(PEG/NaCl対上清の1:5の比率で)加え、氷上で1時間インキュベーションした。ファージを4℃における10800gでの30分間の遠心分離によって集め、PBSに再懸濁した。
バイオパンニング−ストレプトアビジン−ダイナビーズ(dynabeads)を、1時間、室温で回転器においてMPBS(2%スキムミルク粉末を含有するPBS)と平衡化させた。ビーズを磁石で集め、0.1%のTween−20を含有するMPBSに再懸濁した。ファージをストレプトアビジン−ダイナビーズ単体と室温で1時間プレインキュベーションした。これら2つの工程により、抗ストレプトアビジン結合物が除去および回避される。ファージを新しいチューブに移し、5nmolのビオチン化FRHSVV(配列番号1)ペプチドを加え、回転器において室温で1時間インキュベーションした。平衡化ダイナビーズをファージ−抗原混合物に加え、回転器において室温で15分間インキュベーションした。チューブを磁石ラックに1分間置き、その後、注意深く吸引した。ビーズを、0.1%のTween−20を含有する1mlのMPBSにより6回洗浄した。その後、ファージを、1mlの100mM TEA(トリエチルアミン)を使用してビーズから溶出した。ファージ溶液を、0.5mlの1.0M Tris(HCl)(pH7)を含有するチューブに移すことによって直ちに中和した。パンニングの収量を、TG−1感染細胞の連続希釈物を平板培養することによって決定した。
モノクローナルファージの調製−最終プレートからの個々のコロニーを選択し、無菌の96ウェルプレートにおいて100μlのYTAGに接種した。ファージを、150rpmで振とうしながら30℃でオーバーナイトで成長させた。10μlの接種物を、ウェルあたり200μlのYTAGを含有する第2の96ウェルプレートに移し、37℃で1時間振とうしながら成長させた。それぞれのウェルに、10プラーク形成単位(PFU)のヘルパーファージを含有する25μlのYTAGを加え、振とうせずに、37℃で30分間インキュベーションし、その後、37℃で振とう(150rpm)しながらさらに1時間インキュベーションした。プレートを1800gで10分間遠心分離し、培地を吸引し、細胞を200μlのYTAKに再懸濁し、振とうしながら(150rpm)、30℃でオーバーナイトで成長させた。その後、プレートを1800gで10分間遠心分離し、100mlの上清をファージELISAで使用した。
ELISA−プレートを1μg/ウェルのBSA−ビオチンで被覆し、4℃でオーバーナイトでインキュベーションした。それぞれの抗体インキュベーションの後、プレートをPBST(PBS+0.05%Tween−20)により3回洗浄し、その後、PBSにより1回洗浄した。1μg/ウェルのストレプトアビジンを加え、37℃で1時間インキュベーションし、上記で記載されたように洗浄した。プレートを2つに分け、一方の半分にはFRHSVV−ビオチン(1μg/ウェル)を加え、もう一方の半分にはBSA−ビオチン(1μg/ウェル)を(コントロールとして)加えた。プレートを37℃で1時間インキュベーションし、洗浄し、3%脱脂粉乳により4℃でオーバーナイトでブロッキング処理し、scFvを加え(scFvの量は100ng〜500ngの間で変化させた)、37℃で1時間インキュベーションした。scFvとのインキュベーションの後、プレートを洗浄し、モノクローナル抗M13(Amersham)、モノクローナル抗Hisタグ(Sigma)またはモノクローナル抗MBP(Sigma)を、scFvの供給源に依存して加え(それぞれ、製造者の説明書に従って1:1000の希釈度)、37℃で1時間インキュベーションし、その後、洗浄した。HRPに共役化された抗マウスIgGを加え、37℃で1時間インキュベーションし、洗浄し、基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(Sigma))を製造者の説明書に従って使用して発色させた。その後、プレートを450nmにおいてEasyReader 400FW ELISAリーダー(SLT、オーストリア)で走査した。
mAb1620抗体またはTAR1抗体を使用する変異型コアドメインおよび野生型コアドメインのELISA研究−プレートを、組換えの野生型コアドメインまたは変異型コアドメインにより、あるいは、コントロールとしてのPBSにより4℃でオーバーナイトで被覆した。プレートを洗浄し、3%脱脂粉乳により37℃で2時間ブロッキング処理した。mAb1620抗体またはTAR1抗体を加え、37℃で1時間インキュベーションし、その後、洗浄した。HRPに共役化されたモノクローナル抗MBP(1:1000の希釈度)を加え、37℃で1時間インキュベーションし、洗浄し、基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(Sigma))を使用して発色させた。
scFvの発現および精製−scFv発現ベクターを、TAT配列(RKKRRQRRRG;配列番号133)の3つの繰り返しをscFvのN末端に融合し、かつ、NLS配列(DPKKKRKV;配列番号134)をscFvのC末端に融合することによって調製した。大腸菌細胞を、pMalC−NN−TAT−scFv、pMalC−NN−TAT−scFv−NLS、pCANTAB6−TAT−scFvまたはpCANTAB6−TAT−scFv−NLS(これらの構築物のすべてがヒスチジンタグ化されている)で形質転換して、100μg/mlのアンピシリンおよび1%(w/v)のグルコースが補充されたLB培地で成長させた。培養物が0.6〜0.9のA600に達したとき、0.5mMのIPTGによる誘導を30℃で4時間行った。細胞抽出物を、凍結解凍、その後の短時間の超音波処理によって20mMリン酸塩緩衝液(pH7.4)、0.5M NaClおよび20mMイミダゾールにおいて調製した。抽出物を20000gでの遠心分離によって清澄化し、scFvを、AKTAプライム(Amersham pharmacia biotech)を製造者の説明書に従って使用してHisTrap HPカラム(Amersham Biosciences)で精製した。
BIAcore分析−scFvとFHRSVV−ビオチンと間の相互作用のリアルタイム分析を、BIAcore技術(Biacore AB、Uppsala、スウェーデン)を製造者の説明書に従って使用して明らかにした。ペプチド(FHRSVV−ビオチン)をストレプトアビジン被覆センサーチップ表面SAに固定化した。固定化されたペプチドの量は200pg/mmであり、結合はHBS緩衝液(10mMのHepes(pH7.4)、150mMのNaCl、0.005%のTween−20、3.4mMのEDTA)においてであった。精製scFvのいくつかの濃度(62nM、125nM、250nM、1μMおよび2μM)を20μl/分の流速で注入した。解離を操作緩衝液(HBS)において180秒間にわたって観測した。センサーチップの再生を、10μlの10mM HClを使用して行った。結合反応の速度論パラメーターを、1:1のラングミュアモデルを使用してBIAevaluation4.0ソフトウエア(Biacore AB)によって求めた。解離速度(off−rate)定数Kdおよび会合速度定数(on−rate)Kaを製造者の説明書に従って同時に求めた。
FACS分析−それぞれのウェルに3x10個の細胞を播種した。24時間後、精製TAT−scFv F2−NLS(250nM、0.5μM、1μMまたは2μM)を培地に加え、さらに24時間インキュベーションした。細胞を、上清中の剥離細胞を、トリプシン処理によって除かれた同じウェルからの接着性細胞と一緒にすることによって集めた。細胞をペレット化し、PBSにより洗浄し、その後、1mlの冷70%エタノールをゆっくり加えることによって固定処理した。細胞を4℃でオーバーナイトで保ち、もう一度ペレット化し、1mlのPBSに再懸濁し、50μlのヨウ化プロピジウム(1mg/ml)を加えることによって染色した。染色強度を、FACScalibur Flow Cytometry System(Becton Dickinson)を使用して求めた。
scFv発現細胞の確立−H1299−R175H細胞を、製造者の説明書に従って、Fugene(Roche)を2μgのDNA:4μlのFugenの比率で使用してpCMV/myc−scFv−F2プラスミドによりトランスフェクションした。トランスフェクション後48時間で、選択薬物G418(Invitrogen)を0.4mg/mlの濃度で加えた。細胞をG418の存在下で3時間成長させて、単一細胞クローンのコロニーを達成させた。それぞれのコロニーを拡大し、ウェスタンブロット分析によってscFv F2の発現について試験した。
ウェスタンブロット分析。細胞を受動的溶解緩衝液(Promega)において溶解した。タンパク質濃度を、BCA Protein Assay Kit(Pierce)を使用して求めた。溶解物の一部を10%ポリアクリルアミドゲルでのSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に転写し、抗MBP−HRP(Sigma)または抗His−HRP(Sigma)によりプローブした。その後、膜を、ECLキット(Amersham Biosciences、Uppsala、スウェーデン)を使用して発色させた。
免疫沈殿−変異型コアドメインまたは野生型コアドメインの免疫沈殿研究のために、タンパク質を80nMのTAR1とオーバーナイトでインキュベーションした。免疫沈殿を、mAb DO−12抗体(1:33の希釈度)を用いて行い、プロテインG磁石ビーズを4℃でオーバーナイトでインキュベーションした。ビーズをPBSにより洗浄し、サンプル緩衝液を加え、5分間煮沸した。溶出されたタンパク質を、抗His−HRP(1:3000の希釈度)を使用してウェスタンブロット分析に供し、ECLキットを使用して発色させた。
コロニー形成−変異型p53を安定的に発現するH1299−R175H、または、変異型p53およびscFv F2の両方を安定的に発現するH1299−R175H−scFv F2を低い濃度(500細胞/プレート〜1000細胞/プレート)で播種した。細胞を2週間成長させ、培地を吸引し、コロニーをギムザにより染色した。コロニーの数およびサイズを、スキオン(scion)分析粒子ツール(NIH Image Beta4.0)分析システムを使用して求めた。
動物研究−scFv F2の抗腫瘍活性の評価のために、9匹のCD1ヌードマウス(6週齢)に5x10個のH1299−R175H細胞を右脇腹の皮下および片側に接種した。3日後、マウスを2つの群に分けた。5匹のマウスからなる一方の群には、scFv F2の腫瘍内注射が200μg/マウスの用量で与えられ、4匹のマウスからなる第2の群には、PBSが注射され、これはコントロールとして役立った。注射が2週間にわたって1日おきに与えられた。腫瘍サイズを測定し、腫瘍体積を、(axb)/2の式(式中、(a)は短軸であり、(b)は長軸である)を使用して計算した。それぞれの群についての相対的な体積を、それぞれのデータ点についての平均腫瘍体積を平均開始時腫瘍体積によって除することによって求めた。
円二色性の測定−タンデムキュベット(Hellma)を使用した。これは、別々または複合体でのp53コアドメインおよびTAR1の両方の同時測定を可能にした。すべてのタンパク質を、50mM Tris、150mM NaClにおいて1μMの濃度に希釈した。円二色性の吸光度測定をAVIV装置で行った。実験パラメーターは下記の通りであった:190nm〜250nmのスペクトル走査;1nmステップ;それぞれのステップでの平均して5秒の測定;3回の走査をそれぞれのサンプルについて行った。測定を4℃で行った。
TUNELアッセイ−p53についてヌルであるH1299細胞、または、R175Hの変異型p53を発現するH1299細胞をスライドガラス上で成長させた。細胞を1μMのTAR1の非存在下または存在下でオーバーナイトでインキュベーションした。スライドガラスをPBSにより洗浄し、室温で10分間、3.7%ホルムアルデヒドにより固定処理し、その後、PBSにより洗浄した。サンプルを、室温で15分間、Cytoninで透過処理し、その後、水により洗浄した。内因性ペルオキシダーゼの失活化を、3%のHを含むメタノールを用いて室温で5分間行った。スライドガラスをPBSにより洗浄し、TdTをビオチン化ヌクレオチドにより37℃で1時間標識し、その後、PBSにより洗浄した。スライドガラスをストレプトアビジン−HRPと10分間インキュベーションし、PBSにより2回洗浄し、基質(ジアミノベンジジン)を用いて発色させた。
(実施例1)
scFvは大きい親和性で変異型p53の共通エピトープと結合する
変異型p53の共通エピトープと特異的に結合するscFvを特定するために、配置可能な単鎖抗体のヒト合成コンビナトリアルライブラリー(Azriel−Rosenfeld他、2004、JMB、335、177〜192)を、ビオチン化FRHSVV(配列番号1)ペプチドおよびストレプトアビジンDynabeads(Dynal)を使用してスクリーニングした。
20個のscFvが、変異型p53の共通エピトープを使用してバイオパンニングによって選択された−図1a〜図1bは、変異型p63の共通エピトープのFRHSVV(配列番号1)ペプチドを用いたバイオパンニングによって選択される単離されたscFvの可変重鎖(V)および可変軽鎖(H)のアミノ酸配列を示す。表3(下記)は、単離され、また、図1a〜図1bならびに表4および表5に記載されるすべてのscFvクローンの可変重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を示す。
表4および表5(下記)は、FRHSVV(配列番号1)ペプチドに対して選択される単離されたscFvの可変軽鎖のCDR(表4)および単離されたscFvの可変軽鎖の特有のCDR(表5)を示す。
scFvのF2、A4およびB6は、変異型p53の共通エピトープに対して特異的である−F2scFv、A4scFvおよびB6scFvを、ウシ血清アルブミン(BSA)タンパク質、ストレプトアビジンタンパク質、FRHSVVペプチド(配列番号1)、β−アミロイドペプチド(DAEFRHDSGYEVHHQK;配列番号2)、MAP−PrPペプチド(DYEDRYYRE;配列番号3)およびPaPペプチド(ILLWQPIPV;配列番号4)に対するそれらの結合能について調べた。図9に示されるように、F2scFv、A4scFv、および、より小さい程度ではあるが、B6scFvは、変異型p53の共通エピトープに由来するペプチドに対する大きい親和性を示した。他方で、これらの抗体は、試験された他のペプチドまたはタンパク質に対しては低い親和性を示した。
scFv F2抗体およびE6抗体は変異型エピトープの大きい親和性結合を示す−標的ペプチド(配列番号1)に対する単離されたscFvの親和性結合を明らかにするために、BIAcore技術を用いた。ペプチド(FRHSVV;配列番号1)のビオチン共役体をストレプトアビジン被覆センサーチップ表面に固定化し、結合特異性を、精製されたF2scFvおよびE6scFvの増大する濃度を使用して求めた。図2a〜図2bに示されるように、F2scFv(図2a)およびE6scFv(図2b)はともに、変異型p53の共通エピトープとそれぞれ1.1x10−8Mおよび4.6x10−14Mの親和性で結合することができた。これらの結果は、治療的適用のために好適な親和性を有する、p53の共通エピトープに向けられたヒト抗体の単離を初めて明らかにしている。
F2抗体およびA4抗体は変異型p53の共通エピトープに対して特異的である−図9に示されるように、F2scFv、A4scFvおよびB6scFvを使用して行われたELISAでは、F2抗体およびA4抗体が、変異型p53の共通エピトープに由来するペプチド(配列番号1)に対して非常に特異的であることが明らかにされた。
(実施例2)
単離されたscFvは、大きい立体配座変化を有する完全な変異型p53タンパク質と結合する
完全なp53分子に対する単離されたscFvの結合能を明らかするために、ELISAプレートを、sf9昆虫細胞で産生された組換えの野生型p53または変異型p53−R175H、変異型p53−R248Hおよび変異型p53−R273Wの完全なタンパク質により被覆し、100ng〜500ngのscFv F2を加えた。
図3に示されるように、F2scFv(これはまた、本明細書中ではTAR1と称される)精製抗体は様々なp53タンパク質に対して特異的に結合した。野生型p53タンパク質に対するF2scFvの結合は比較的低かった(約0.1のOD492nm)が、大きい立体配座変化を示すp53変異体(例えば、R175H)、または、中間的な立体配座変化を示すp53変異体(例えば、R248W)に対する結合は著しく大きかった(0.25を超えるOD492nm)。従って、共通する変異型エピトープのより大きい露出をもたらすp53タンパク質における大きい立体配座変化は本発明の抗体に対してより感受性がある。
これらの結果から、野生型p53タンパク質に影響を及ぼすことなく、変異型p53タンパク質を特異的かつ特異的に標的化するための本発明の抗体(例えば、F2scFv)の使用が示唆される。
(実施例3)
F2scFv抗体(TAR1)は、変異型p53を発現する細胞においてアポトーシスを誘導し、コロニー形成を阻害する
野生型p53のアポトーシス活性は、その腫瘍サプレッサー機能に大きく寄与するものである。しかしながら、この活性は、p53が変異しているときには失われる。F2SCFV(TAR1)が変異型p53に対するアポトーシス機能を回復させ得るかどうかを明らかにするために、変異体R175Hのp53タンパク質を安定的に発現するガン細胞株をTAR1で処理し、アポトーシスに対する影響を、下記のようにFACS分析およびTUNEL分析を使用して明らかにした。
F2scFv(TAR1)はアポトーシスを誘導することができる−精製された単離F2scFv抗体(TAR1)を、変異体R175Hのp53タンパク質を発現するH1299ヒト肺ガン細胞においてアポトーシスを誘導するその能力について調べた。図4a〜図4jおよび図15a〜図15dに示されるように、変異体R175Hのp53タンパク質を発現する細胞において、F2scFv抗体(TAR1)による24時間の処理はアポトーシスを用量依存的な様式(0.5μMおよび2μMのF2scFvの存在下で約13%および約32%のアポトーシス細胞、それぞれ、図4a〜図4eおよび図15a〜図15b)で誘導した一方で、R175Hのp53タンパク質を発現しない肺ガン細胞では、F2scFv抗体はアポトーシスを誘導しなかった(図4f〜図4jおよび図15c〜図15d)。
同様な結果が、変異型p53のR175Hを安定的に発現するHCT116結腸ガン細胞を1μMのTAR1により24時間処理したときに得られた。図15e〜図15hに示されるように、TAR1は、DNA断片化および細胞死を示して、亜G1のDNA含有量を有する細胞の割合において実質的な増大を引き起こした(図15f)。アポトーシスの誘導が、野生型p53を発現するHCT116細胞では明らかではなく(図15h)、これは、TAR1によるアポトーシスの誘導が変異型p53に依存していることを示している。
これらの結果は、図16a〜図16dに示されるTUNELアッセイによって裏付けられた。アポトーシス細胞の染色が、非処理の細胞(図16a)ではなく、TAR1で処理された、変異型p53のR175Hを発現するH1299細胞においてのみ明白であった(図16a)。細胞がTAR1で処理された(図16d)か、または、処理されなかった(図16c)かにかかわらず、p53についてヌルであるH1299細胞では染色が全く観測されなかった。
TAR1は、内因性の変異型p53タンパク質を発現するガン性細胞株においてアポトーシスによる細胞死を誘導することができる−細胞死に対するTAR1の影響を、それらのp53コアドメインにおいて異なる点変異を内因的に発現する9個のヒト腫瘍細胞株の一団においてさらに調べた。これらは様々な腫瘍タイプを表し、結腸(KM12−C、SW480、Colon320)、乳房(T47D、SKBR3、MCF7、MDA231)、脳(例えば、神経芽細胞腫LAN1)および膵臓(PANC1)を含む。細胞を1μMのTAR1で24時間処理し(図17b、図17d、図17f、図17h、図17j、図17l、図17n、図17p、図17r)、または、非処理のままにし(図17a、図17c、図17e、図17g、図17i、図17k、図17m、図17o、図17q)、アポトーシスに対する影響を、FACS分析を使用して評価した。図17a〜図17rに示されるように、TAR1処理は、亜G1画分における細胞の蓄積によって明らかにされるように、それらの点変異の性質または腫瘍タイプにかかわらず、すべての試験された細胞株においてアポトーシスの特異的な誘導をもたらした。
F2scFvを発現する細胞は低下したコロニー形成を示す−アポトーシスおよび細胞成長に対するF2scFv抗体の影響をさらに実証するために、変異型p53タンパク質(R175H)を有する細胞を、F2scFv抗体を有する発現ベクターにより安定的にトランスフェクションし、細胞成長に対する影響を、500細胞/プレート〜1000細胞/プレートが播種された組織培養物において明らかにした。図6a〜図6dに示されるように、コロニー数およびコロニー面積の両方が、F2scFv抗体を発現する細胞において著しく低下した。
まとめると、これらの結果から、本発明のF2scFv抗体はアポトーシスを誘導することができ、かつ、コロニー形成を阻害することができることが明らかにされる。これらの結果は、変異型p53を発現するガン細胞を治療することにおける本発明のscFv抗体の使用を示唆する。
F2scFvは、化学療法薬物に対する、変異型p53を発現する細胞の感受性を増大させる−一般的な化学療法薬物との組合せでの本発明のscFv抗体の可能性のある使用を調べるために、エトポシドおよびシスプラチンの薬物の影響を、F2scFv抗体の存在下または非存在下で、変異型p53を発現する細胞について調べた。図5に示されるように、F2scFv抗体を発現する細胞はシスプラチンの0.5μg/mlまたはエトポシドの1μMもの低い濃度でこれらの化学療法薬物に対して非常に感受性であったが、scFv抗体を発現しないヒト肺ガン細胞はそのような薬物に対してそれほど感受性ではなかった。
これらの結果から、ガンを他の薬物との組合せで治療することにおける本発明のscFv抗体の使用がさらに示唆される。
(実施例4)
F2scFv抗体は腫瘍成長をインビボで抑制する
腫瘍細胞の成長をインビボで阻害する本発明のscFv抗体の能力を調べるために、ヌードマウスにヒト肺ガン細胞(H1299−R175H)の皮下注射を行った。3日後、マウスは、2週間にわたって1日おきに繰り返されたscFv F2(200μg)またはPBS(50μl)の腫瘍内注射を受けた。図7に示されるように、PBSにより処理されたマウスでは、腫瘍サイズが接種後28日〜36日のうちに劇的に増大した一方で、F2scFvにより処理されたマウスでは、腫瘍サイズが36日後でさえ変化しないままであった。図8a〜図8fは、F2scFvにより処理されたマウスにおける腫瘍の抑制を示す。まとめると、これらの結果は、腫瘍成長をインビボで抑制することにおける精製F2scFv抗体の使用を明らかにしている。
(実施例5)
変異型p53への野生型p53立体配座の復帰
本発明者らは、変異型p53に対するTAR1(すなわち、F2scFv抗体)の結合が野生型タンパク質の折り畳みを回復し得るかどうかを明らかにするために、生化学的方法および生物物理的方法を下記のように用いた。
実験結果
TAR1は、p53のR175H変異体へのmAb160(野生型p53に特異的な抗体)の結合を増大させる−野生型p53タンパク質およびR175Hの変異型p53タンパク質のp53コアドメイン(配列番号135によって示されるp53タンパク質のアミノ酸94〜312を含む;Genbankアクセション番号NP_000537)の組換えポリペプチドを、立体配座特異的なモノクローナル抗体を使用するELISAアッセイおよび免疫沈殿アッセイに供した。最初の工程は、精製された組換えコアドメインタンパク質が野生型p53タンパク質および変異型p53タンパク質の特異的な立体配座を示すことを明らかにすることであった。変異型の立体配座に対して特異的であるTAR1抗体(これは、mAb240と同じエピトープを認識する)(図10a)および野生型の立体配座に対して特異的であるmAb1620(Abcam Laboratories,Ltd、英国)(図10b)を使用するELISAアッセイにより、これが実際に事実であることが確認された。変異型p53のR175Hのコアドメインおよび野生型のコアドメインに対するTAR1の結合は、37℃で30分間または60分間加熱したとき、変異型コアドメインのmAb1620陽性割合における3倍の増大をもたらし、野生型コアドメインのアンフォールディングの防止および野生型p53の立体配座の安定化をもたらした(図10cおよび図10d)。変異型p53の立体配座について特異的であるが、TAR1以外のエピトープに結合するという結果を実証するために、mAb DO−12(Novocastra Laboratories,Ltd、英国)を免疫沈殿アッセイにおいて用いた。変異型p53のコアドメインに対するTAR1の結合は、DO−12陽性画分における劇的な減少を引き起こすが、野生型コアドメインに対する影響は何らなかった。
TAR1との結合は変異型p53のスペクトルでの変化を引き起こす−円二色性は、溶液におけるタンパク質の二次構造を分析するための方法であり、タンパク質−タンパク質の相互作用がタンパク質の立体配座を変化させるどうかを明らかにすることができる。タンパク質における立体配座変化は、個々の成分の和とは異なるスペクトルをもたらす。円二色性の方法を、TAR1抗体および野生型p53コアドメインまたは変異型p53コアドメインを使用して用いた。TAR1の結合は変異型p53のスペクトルにおける変化を引き起こし、一方、野生型コアドメインのスペクトルでは、TAR1および変異型p53の複合体における立体配座変化を示す差がほとんど観測されなかった。野生型p53とのTAR1複合体、および、変異体p53とのTAR1複合体の両方のスペクトルは非常に類似しており、これは立体配座の類似性を示している(図12)。
変異型p53を発現する細胞のTAR1処理はそのような細胞の抽出物に対するmAb1620の結合を増大させる−図11bに示されるように、変異型p53の立体配座における変化を、変異型p53のR175Hを安定的に発現するH1299細胞において検出することができた。この細胞をTAR1で処理したとき、野生型に特異的な抗体mAb1620による免疫沈殿によって判断されたように、野生型の立体配座を取る細胞の割合の増大が観測された。
まとめると、これらの結果から、TAR1は野生型の立体配座を変異型p53のコアドメインに戻すことができることが明らかにされる。
(実施例6)
TAR1は変異型p53に対する転写のトランス活性化を回復する
野生型p53の標的遺伝子の転写をトランス活性化する能力の喪失は、変異型p53の特徴的な特徴の1つである。本発明者らは、変異型p53を発現する細胞においてP53の転写のトランス活性化機能を回復するTAR1の能力を下記のように調べている。変異型p53のR175Hタンパク質を安定的に発現するH1299細胞をTAR1で24時間処理し、p21、MDM2およびBaxの発現レベルをウェスタンブロット分析によって調べた。TAR1による細胞の処理は、3つの内因性の野生型p53標的遺伝子のp21(図13a)、MDM2(図13b)およびBax(図13d)の発現レベルにおける濃度依存的な様式での増大をもたらした。チューブリンの発現レベルは、それぞれの実験で使用されたタンパク質レベルについての内部コントロールとして役立った(図13e〜図13h)。さらに、いくつかの変異型p53タンパク質は、野生型p53によって活性化される遺伝子とは異なる遺伝子の転写をトランス活性化することが示されており、そのような遺伝子の1つがEGR1である。図13cに示されるように、TAR1による細胞の処理は、処理された細胞におけるEGR1のより低い発現によって明らかにされるように、変異型p53タンパク質の機能獲得活性を無効にした。
従って、これらの結果から、本発明のTAR1抗体は、野生型に特異的な標的遺伝子(例えば、p21、MDM2およびBax)の転写のトランス活性化機能を回復させることができ、また、変異体p53の転写活性化を防止できることが明らかにされる。
(実施例7)
ウイルス呈示ビヒクルは有用な治療剤である
本発明者らは、本発明の抗p53抗体(例えば、TAR1)を目的の細胞に送達するために使用することができる、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)に侵入することができるウイルス呈示ビヒクルを下記のように設計している。
PTD(例えば、図18a〜図18bに示されるようなペプチドPEP)をコートタンパク質VIII上に発現する繊維状ファージ(fuse88)。PEPペプチド(配列番号136)は細胞内へのファージの侵入を可能にする。繊維状ファージはまた、タンパク質III上のNLS(配列番号134)に融合された本発明のscFv(例えば、TAR1)を含む。NLSペプチドはファージの核局在化を可能にする。図18〜図21に示される結果は、ファージPEPは様々な哺乳動物細胞に侵入することができ、また、これらの細胞に対して毒性作用を何ら有しないことを明らかにしている。そのような繊維状ファージ(すなわち、ウイルス呈示ビヒクル)は、脳腫瘍の治療のための治療剤として鼻腔内投与することができる。
従って、これらの結果は、p53関連の疾患を治療するための、本発明の抗p53抗体を含むウイルス呈示ビヒクルの使用を明らかにしている。
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
変異型p53の共通エピトープ(FRHSVV;配列番号1)と結合することについて選択された20個のヒトscFvクローンのアミノ酸配列アラインメントを示す。 FRHSVV(配列番号1)エピトープに対するF2scFvクローン(これはまた本明細書中では「TAR1」として示される)の結合(図2a)およびE6scFvクローンの結合(図2b)を示す。 ELISAを使用して明らかにされるような、完全なp53分子に対するscFv F2の結合を示す棒グラフである。 ホットスポット変異R175Hを有するヒト肺ガン細胞(H1299−R175H)におけるアポトーシスに対するscFv F2の影響を示すFACS分析である。 ホットスポット変異R175Hを有するヒト肺ガン細胞(H1299−R175H;図4d〜図4e)、p53ヌルヒト肺ガン細胞(H1299p53−/−;図4f)におけるアポトーシスに対するscFv F2の影響を示すFACS分析である。 p53ヌルヒト肺ガン細胞(H1299p53−/−;図4g〜図4i)におけるアポトーシスに対するscFv F2の影響を示すFACS分析である。 p53ヌルヒト肺ガン細胞(H1299p53−/−;図4j)におけるアポトーシスに対するscFv F2の影響を示すFACS分析である。 scFv F2抗体を発現する細胞の、薬物処理に対する増大した感受性を示す棒グラフである。 scFv F2抗体を発現する肺ガン細胞におけるコロニー形成の阻害を示す。 マウスにおけるヒト腫瘍細胞異種移植片に対するscFv F2の抗腫瘍効果を示すグラフである。 インビボでの腫瘍成長に対するscFv F2抗体の影響を示す。 インビボでの腫瘍成長に対するscFv F2抗体の影響を示す。 scFvの結合特異性を示す棒グラフである。 TAR1抗体(図10a)、または、野生型p53について特異的なmAB1620(図10b〜図10d)を使用して組換えp53の野生型コアドメインまたは変異型コアドメインに対して行われたELISAアッセイを示す棒グラフである。 野生型p53またはR175H変異型p53に対するmAb DO−12mAb(p53変異体に特異的な抗体)の結合を示す免疫沈殿アッセイである。 TAR1抗体の存在下における野生型またはR175H変異体のp53コアドメインのスペクトルを示す円二色性分析である。 抗p21抗体(図13a)、抗MDM2抗体(図13b)、抗Egr1抗体(図13c)、抗Bax抗体(図13d)および抗チューブリン抗体(図13e〜図13h)によりプローブされた、H1299細胞が発現するR175H変異体p53の抽出物のウェスタンブロット分析である。 図13a〜図13hに示されるウェスタンブロット分析の定量化を示す棒グラフである。 変異型p53を発現するH1229−R175H細胞(図15a〜図15b)、p53ヌルH1299ヒト肺ガン細胞(図15c〜図15d)におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示す蛍光活性化細胞分取(FACS)分析である。 変異体R175Hのp53を発現するHCT116結腸ガン細胞(図15e〜図15f)、野生型p53を発現するHCT116結腸ガン細胞(図15g〜図15h)におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示す蛍光活性化細胞分取(FACS)分析である。 1μMのTAR1の非存在下(図16aおよび図16c)または存在下(図16bおよび図16d)における、p53についてヌルであるH1299細胞(図16c〜図16d)、または、変異型p53のR175Hを発現する細胞(図16a〜図16b)のTdT媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)である。 異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。 異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。 異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。 異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。 異なるp53変異を内因的に発現する9個の細胞株におけるアポトーシスに対するTAR1(scFv−F2)の影響を示すFACS分析である。 PEP内在化ペプチドを含むファージの構築を示す概略的例示である。 CHO細胞におけるファージPEPの免疫蛍光分析を示し、ファージの内在化がファージ濃度に依存することを明らかにする共焦点顕微鏡像である。 CHO細胞におけるファージPEPの免疫蛍光分析を示し、ファージが哺乳動物細胞CHO細胞の中に侵入することを明らかにする共焦点顕微鏡像である。 ファージPEPとのインキュベーションの後でのCHO細胞のMTT分析を示す棒グラフである。
配列番号1は、変異体p53の共通エピトープの合成ペプチドである。
配列番号2は、ベータアミロイドのアミノ酸1〜16に対応するペプチドである。
配列番号3は、ヒトプリオンタンパク質を呈示する多数の抗原ペプチドのアミノ酸144〜153に対応するペプチドである。
配列番号4は、前立腺癌抗原に対応するペプチドである。
配列番号5〜7は、可変重鎖の配列である。
配列番号8〜65、111及び112は、可変軽鎖の配列である。
配列番号66〜110は、軽鎖特異的CDRの配列である。
配列番号113〜132は、単一鎖Fvの配列である。
配列番号133は、TATペプチドの配列である。
配列番号134は、核局在化シグナルの配列である。
配列番号136は、細胞内面化ペプチドの配列である。

Claims (34)

  1. 野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、前記特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である、単離されたポリヌクレオチド。
  2. CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含むCDR含有ポリペプチドをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  3. 請求項1または2に記載の単離されたポリヌクレオチドを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
  4. 野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、前記特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である、単離されたポリペプチド。
  5. CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRのアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  6. 請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
  7. 野生型p53タンパク質によってではなく、p53変異型タンパク質によって共有される露出したエピトープと特異的に結合することができるポリペプチドを表面に発現するウイルス呈示ビヒクルを含む組成物であって、前記特異的結合の親和性は25ナノモル濃度未満である、組成物。
  8. CDR配列番号8〜配列番号112からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含むCDR含有ポリペプチドを表面に発現するウイルス呈示ビヒクルを含む組成物。
  9. 請求項7または8に記載のウイルス呈示ビヒクルを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
  10. 請求項1または2に記載の単離されたポリヌクレオチドと、細胞において、前記単離されたポリヌクレオチドの発現を指向させるためのプロモーターとを含む核酸構築物。
  11. ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導する方法であって、請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドをガン細胞と接触させるか、または、請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドをガン細胞において発現させ、それにより、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導することを含む、方法。
  12. p53関連のガンに罹患しているか、または、p53関連のガンに対する素因を有する対象を治療する方法であって、治療効果的な量の請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドを対象に投与するか、または、治療効果的な量の請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドを対象の細胞において発現させ、それにより、対象におけるp53関連のガンを治療することを含む、方法。
  13. ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導する方法であって、請求項7または8に記載のウイルス呈示ビヒクルをガン細胞と接触させ、それにより、ガン細胞のアポトーシスおよび/または成長停止を誘導することを含む、方法。
  14. p53関連のガンに罹患しているか、または、p53関連のガンに対する素因を有する対象を治療する方法であって、治療効果的な量の請求項7または8に記載のウイルス呈示ビヒクルを対象に投与し、それにより、対象におけるp53関連のガンを治療することを含む、方法。
  15. p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドの使用。
  16. p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための請求項1または2に記載の単離されたポリヌクレオチドの使用。
  17. p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための請求項10に記載の核酸構築物の使用。
  18. p53関連のガンを治療するために特定される医薬品を製造するための請求項7または8に記載のウイルス呈示ビヒクルの使用。
  19. (a)対象の生物学的サンプルを、請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドと、p53変異型タンパク質とを含む免疫複合体の形成のために好適な条件のもとで、請求項4または5に記載の単離されたポリペプチドと接触させること、および
    (b)前記免疫複合体の形成を検出し、それにより、対象におけるガンを診断することを含む、対象におけるp53関連のガンを診断する方法。
  20. 前記エピトープは配列番号1によって示される、請求項1、3、4、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18および19のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  21. 前記ポリペプチドは、配列番号39〜配列番号41、配列番号45〜配列番号47および配列番号60〜配列番号62からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項1、3、4、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17および18のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  22. 前記ポリペプチドは、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単鎖抗体、単一ドメイン抗体および抗体からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  23. 前記単鎖抗体は、配列番号113、配列番号114および配列番号115からなる群から選択される、請求項22に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  24. 前記ポリペプチドに融合された核局在化シグナル(NLS)をコードするさらなる核酸配列をさらに含む、請求項10に記載の核酸構築物。
  25. 前記NLSは配列番号134によって示される、請求項24に記載の核酸構築物。
  26. 前記ポリヌクレオチドは、薬物をコードするさらなる核酸配列をさらに含む、請求項1、2、3、10、16および17のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、医薬組成物、核酸構築物、使用または方法。
  27. 前記ポリペプチドは、薬物のアミノ酸配列をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  28. 前記ポリペプチドは薬物に結合されている、請求項4、5、6、11、12および15のいずれか1項に記載の単離されたポリペプチド、医薬組成物、使用または方法。
  29. 前記薬物はトキシンおよび/または化学療法薬物である、請求項26〜28のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、組成物、使用または方法。
  30. 前記ポリヌクレオチドは、検出可能な標識をコードするさらなる核酸配列をさらに含む、請求項1、2および10のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは核酸構築物。
  31. 前記ポリペプチドは、検出可能な標識をさらに含む、請求項1、2、4、5、7、8、10および19のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、核酸構築物、組成物または方法。
  32. 前記検出可能な標識はビオチンおよびジゴキシゲニンである、請求項31に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、核酸構築物、組成物または方法。
  33. 前記生物学的サンプルは、血液、リンパ節生検物、骨髄吸引物および組織サンプルからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
  34. 前記Fabフラグメント、前記Fvフラグメント、前記単鎖抗体、前記単一ドメイン抗体および前記抗体のそれぞれがヒト化されている、請求項22に記載の単離されたポリヌクレオチド、単離されたポリペプチド、医薬組成物、核酸構築物、使用または方法。
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