JP2008525147A - 低粘度の便物質の取り扱いの改善された特性を有する吸収性を有する物品 - Google Patents

Abstract

オムツ、パンツ式オムツ、失禁用装着品 、失禁用挿入物、ベッド保護シート、又はその種の、低粘度の便物質を含んでも良い身体滲出物の吸収及び保持を意図した吸収性を有する物品に関している。物品は、吸収性コア（５）と、このコアを取り囲むカバーとを備え、前記カバーは、吸収性コアの体に面する側の液体透過性内側カバー（６）と、吸収性コアの装着品に面する側の液体不透過性カバー（７）とを備えており、物品の後部及び股部（３、４）の部分からなる、少なくとも便収容領域内の前記内側カバー（６）は、体に面する表面に複数の交互に形成された凹部（１３）と隆起部（１４）とを有する、３次元構造の親水性繊維の織布材（１２）を備え、凹部と隆起部とは親水性である。

Description

本発明は、オムツ、パンツ式オムツ、失禁用装着品 、失禁用挿入物、ベッド保護シート、又はその種の、低粘度の便物質を含んでも良い身体滲出物の吸収及び保持を意図した吸収性を有する物品に関している。

上述の種類の吸収性を有する物品は、吸収性コアとこの吸収性コアを取り囲むカバーとを備えている。カバーは、吸収性コアの体に面する側に、トップシート又はライナーと呼ばれることの多い、液体透過性カバーと、吸収性コアの装着品に面する側に、バックシートと呼ばれることの多い、液体不透過性カバーとを備えている。体液、特に尿は、簡単に液体透過性カバーを貫通し、吸収性コアに吸収され保持される。しかし、便物質のような固体又は半固体状態の身体滲出物は、液体透過性カバーを貫通することができず、通常は伸縮性を有する腰バンド及び脚部の折り返しによって物品から漏れ出さないようにされている。多くの場合、追加的な遮蔽フラップが、脚部の開口部と吸収性コアとの間に設けられ、さらに漏れないようにされている。

さらに、トップシートを提供することによって便物質を扱うことが知られており、このトップシートは装着者にぴったりと順応するとともに、肛門開口部に位置合わせされるように意図された大きな穴を有しており、便物質は空きスペースの中へとこの孔を通過する。この場合、空きスペースは装着者から離隔されている。このようなオムツの例は、特許文献１に示されている。

しかし、これら試みは、小さい子供、特に乳児に一般的である低粘度の便物質の取り扱いの問題を解決していない。低粘度の便物質は、重力、装着者の動き、及び装着者による圧力の影響の下で、トップシートの体に面した側の上を簡単にあちこち移動する。便物質の移動は、多くの場合、便物質を物品の周縁部に動かして漏れを起こしやすくし、さらに装着者の皮膚に対して便物質を広げて清浄化をより困難にする。

低粘度の便物質の取り扱いの１つの試みが特許文献２に記載されており、この文献は、低粘度の便物質が第２のトップシートへ通過するのに十分に大きな穴を有するトップシートを開示している。第２のトップシートは、便物質を脱水して移動不能にする。

別の試みは特許文献３に記載されており、この文献は、物品の後部の、体に面するカバーとして配置された有孔のライナーを開示している。好適な実施形態においては、有孔のライナーは、繊維層に積層された疎水性フィルムであり、有孔のフィルム層を通過した便物質を吸収し、含有するための機構を提供している。

特許文献４は、低粘度の便物質を取り扱うために設けられたとされている有孔の積層体を記載している。この積層体は、第１及び第２の液体透過性材料を備え、第１及び第２の液体透過性材料のそれぞれは効果的な所定の大きさを有する孔を有している。第１及び第２の材料の孔は位置合わせされており、第２の材料は、好ましくは第１の材料の親水性より大きい親水性を有している。

特許文献５は、吸収性を有する物品のための体側のライナーとして好適な吸収性を有する織布を開示している。この織布は、３次元の形態を有する親水性ベースシートを備え、疎水性物質が隆起領域に適用されている。織布は、装着者の皮膚に対して、改善された清浄でドライな感触を与えると言われている。この文献においては、低粘度の便物質の取り扱いの問題は検討されていない。
米国特許第５９５７９０７号明細書 米国特許第５３４２３３８号明細書 国際公開第００／２８９２９号パンフレット 国際公開第９９／５５２７３号パンフレット 欧州特許出願公開第１２３６８２７号明細書 欧州特許出願公開第１０３５８１８号明細書 欧州特許第０９６９７８４号明細書 国際公開第９８／３６７２２号パンフレット 国際公開第９８／３６７２１号パンフレット

本発明の目的は、低粘度の便物質の取り扱い、特に低粘度の便物質が内側カバーの体に面する面に沿って移動しないように抑制することにおける、改善された特性を持つ、吸収性を有する物品を提供することである。

本発明によるこれら及びさらなる目的は、物品の後部及び股部の部分を備える少なくとも便収容領域内の内側カバーが、体に面する面に複数の交互に形成された凹部と隆起部とを有する３次元構造の親水性繊維の織布材を備え、これら凹部と隆起部とは親水性であるという事実によって達成されている。

１つの実施形態によれば、液体透過性カバーは第１及び第２のライナーを備え、前記第１のライナーは、前記内側カバーの体に面する面の前領域を少なくとも部分的に形成し、前記第２のライナーは、前記内側カバーの体に面する面の後領域を少なくとも部分的に形成し、第２のライナーは前記３次元構造の親水性繊維織布材を備えている。

本発明の１つの特徴においては、親水性繊維は、３次元構造の親水性繊維織布材の隆起部分から突出している。さらなる実施形態においては、また、親水性繊維は、３次元構造の親水性繊維織布材の凹部、及び／又は前記繊維織布の表面領域全体から突出している。

本発明の１つの特徴においては、孔が、３次元構造の親水性繊維織布材の凹部に設けられている。

本発明の１つの特徴においては、３次元構造の親水性繊維織布材は、吸収性コアによって覆われた物品の、後部及び股部の少なくとも一部分における内側カバーの体に面する面を形成している。

本発明のさらなる特徴においては、凹部１３の底と隆起部１４の頂点との間の距離として規定される隆起部の高さｂは、少なくとも０．５ｍｍ、好ましくは０．５〜２０ｍｍ、より好ましくは１〜１０ｍｍである。隣り合う隆起部の最も高い高さの間の最も短い距離として規定される隆起部の間の距離ａは、少なくとも５ｍｍ、好ましくは少なくとも１０ｍｍ、より好ましくは少なくとも１５ｍｍである。隆起部の高さｂと隆起部の間の距離ａとの関係は、好ましくは、ａ＞２・ｂである。

１つの実施形態によれば、３次元構造の親水性繊維織布材は、物品の前部にはない。

本発明のさらなる特徴においては、より親水性である、及び／又は３次元構造の親水性繊維織布材より小さい平均空孔サイズを有する材料層が、前記３次元構造の親水性繊維織布材の下にあり、よって表面エネルギーの勾配及び／又は空孔サイズの勾配が生成され、水性の流体を、３次元構造の親水性繊維織布材を通じて下層の材料層へと引き出そうとする。前記下層の材料層は、吸収性コアの一部分、第１のライナーの一部分、又は別の織布材とすることができる。本発明は、好ましくはオムツ、パンツ式オムツ、及び大人用失禁用装着品である。

本発明は、添付の図面に示されたいくつかの実施形態を参照しつつ以下に詳細に説明される。

［定義］
〈吸収性を有する物品〉
“吸収性を有する物品”という文言は、装着者の皮膚に対して配置されて、尿、便及び月経液のような、身体滲出物を吸収する製品を示している。本発明は、主に使い捨て式の吸収性を有する物品を対象としており、使い捨て式の吸収性を有する物品は、使用後に、洗濯され又は別様に再保管されて吸収性を有する物品として再使用されるということ意図されていない。

〈内側液体透過性カバー〉
内側液体透過性カバーは吸収性を有する物品の内側カバーを形成しており、使用の際には、装着者の皮膚に直接接触する状態で配置されている。内側液体透過性カバーは、不織材、例えばスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、カード式不織布、水流交絡不織布、湿式不織布など、を備えることができる。好適な不織材は、例えばパルプ又は綿繊維などの自然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ビスコースなどの人工繊維、又は自然繊維及び人工繊維の混合物からの繊維から構成することができる。さらに、内側液体透過性カバーの材料は２つの繊維から構成することができ、例えば特許文献６に開示されているような結合パターンに互いに結合することができる。内側液体透過性カバーの材料のさらなる例は、多孔性発泡材、有孔のプラスティックフィルムなどである。内側液体透過性カバーの材料として好適な材料は、柔らかく、皮膚にかゆみを与えないとともに、例えば尿などの体液によって容易に貫通されなければならない。さらに、内側液体透過性カバーは、吸収性を有する物品の異なる部分において異ならせることができる。本発明によれば、内側液体透過性カバーは、第１及び第２のライナーを備えることができ、第１のライナーは、液体透過性内側カバーの前領域を少なくとも部分的に形成し、第２のライナーは、前記内側カバーの後領域を少なくとも部分的に形成している。

〈外側液体不透過性カバー〉
外側液体不透過性カバーは、吸収性を有する物品の外側カバーを少なくともそのコア領域において形成している。外側液体不透過性カバーは、例えばポリエチレン又はポリプロピレンフィルムなどの薄いプラスティックフィルム、液体不透過性を有する材料でコーティングされた不織材、液体の浸透に対して耐性を有する疎水性不織材、又は、例えばプラスティックフィルムと不織材との積層体を備えることができる。外側液体不透過性カバーの材料は、液体が貫通するのを妨げる一方で、水蒸気が吸収性コアから逃げられるように、呼吸可能性を有することができる。呼吸可能な外側液体不透過性カバーの材料は、多孔性のポリマーフィルム、スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布の層からなる不織積層体、多孔性のポリマーフィルムからなる積層体、及び不織材である。

〈吸収性コア〉
“吸収性コア”は、吸収性を有する物品の２つのカバーの間に配置された吸収性を有する構造体である。吸収性コア５は、従来のいずれの種類のものとすることもできる。共通に使用される吸収性を有する材料の例は、セルロースフラフパルプ、ティッシュ層、高度に吸収性を有するポリマー〈いわゆる超吸収体〉、吸収性を有する発泡材料、吸収性を有する不織材、又はその種のものである。セルロースのフラフパルプを、吸収性コア内の超吸収性を有するポリマーと組み合わせることが一般的である。超吸収性を有するポリマーは、水で膨張可能な有機物又は無機物、若しくはその重量の少なくとも約２０倍を吸収することができ、水溶液は０．９重量％の塩化ナトリウムを含んでいる、水不溶性の有機物又は無機物である。超吸収性を有する材料として使用されるために好適な有機材料は、ポリサッカライド、ポリペプタイド、及びその種のもののような自然材料、及び合成ハイドロジェルポリマーのような合成材料を含んでいる。このようなハイドロジェルポリマーは、例えばポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、及びその種のものを含んでいる。別の好適なポリマーは、アクリロニトリルグラフトスターチ加水分解物、アクリル酸グラフトスターチ、及びイソブチレン無水マレイン酸共重合体及びこれら物質の混合物を含んでいる。ハイドロジェルポリマーは、好ましくは軽く架橋されており、材料を実質的に水不溶性とする。好ましい超吸収性材料は、さらに表面架橋されており、超吸収性粒子、繊維、フレーク、球体などの外側表面若しくは外殻は、超吸収体の内部よりも高い架橋密度を有している。超吸収性材料は、粒子、繊維、フレーク、球体、及びその種のものを含む、吸収性を有する複合体に使用するために好適なすべての形態とすることができる。

高い吸収能力は、多量の超吸収性材料の使用によって提供されている。セルロース繊維、及び超吸収性材料のような、親水性繊維のマトリックスを備える吸収性コアのためには、超吸収性材料の比率は、好ましくは重量にして１０〜９０％であり、より好ましくは重量にして３０〜７０％である。

吸収性を有する物品において、液体収容能力、液体分散能力、及び液体貯蔵能力に対して異なる特性の層を備えている吸収性コアを有することは従来から行われている。例えば赤ちゃんのオムツ及び失禁ガードにおいて通常である薄い吸収性本体は、多くの場合、セルロースフラフパルプ及び超吸収性を有するポリマーの圧縮された混合層又は層状構造を備えている。吸収性コアの大きさ及び吸収能力は、幼児に対して、又は大人の失禁症の人に対してのような、異なる使用に合わせるように変更することができる。

吸収性コアは、吸収性を有する主本体の上面に配置され、排出された液体を、吸収性を有する主コアによって吸収される前に、すばやく収容し一時的に貯蔵する捕捉分散層をさらに含んでいる。このような捕捉分散層は、従来技術においてよく知られており、多孔性の繊維の詰め物又は発泡性材料から構成することができる。

〈股点〉
吸収性を有する物品及び吸収性を有する物品の吸収性コアの股点は、例えば特許文献７に規定されており、例えば、装着者に立ち位置に置いて物品を配置し、次いで伸縮可能なフィラメント１９を脚２０、２１の周りに配置する（図７）ことによって決定される。フィラメントの交差点に対応する物品及び吸収性コアにおける点が、股点２２であるとみなされる。股点は、吸収性を有する物品を装着者に意図された方法で配置し、交差したフィラメントが物品／コアに接するところを決定することによって決定される。

〈股部〉
股部４は、最初に股点２０を配置し、次いで物品の全長の２５％の距離を前方及び後方に測定することによって通常決定される。よって、股部は物品の全長の５０％に相当する。

［好ましい実施形態の説明］
図１は、平坦な、収縮していない状態の吸収性を有する物品の単純化された平面図を示している。図１に示されている吸収性を有する物品は、長さ方向ｘ、横方向ｙを有するオムツの形状であり、その長さ方向に前部２及び後部３を備え、これら前部と後部との間に股部４を備えている。最も一般的な形状において、オムツは、吸収性コア５と、この吸収性コアを取り囲んでいるカバーとを備えている。前記カバー部は、吸収性コア５の体に面する側の内側液体透過性カバー６と、吸収性コアの装着具に面する側の外側液体不透過性カバー７とを備えている。内側液体透過性カバー６は、トップシート又はライナーとして参照されることが多く、外側液体不透過性カバー７は、バックシートとして参照されることが多い。

内側カバー６及び外側カバー７は、吸収性コア５の周縁端辺を越えて外側に延在しており、内側表面の、例えば糊付け又は熱又は超音波による溶着によって、互いに結合されている。内側及び外側カバーの材料は、例えば接着剤によって、吸収性コアにさらに結合することができる。

図１を参照すると、内側液体透過性カバー６は、第１及び第２のライナー６ａ及び６ｂを備えている。第１のライナー６ａは、少なくとも前部２に配置され、股部４の隣接する部分及び第２のライナー６ｂは、おむつの少なくとも後部３の部分及び股部４の隣接する部分に配置されている。第２のライナー６ｂは、便収容領域を構成するオムツの少なくとも後部３の部分及び股部４の隣接する部分に配置され、便収容領域は、装着者の肛門に対向して配置された内側カバー６の、体に面する側の点を直に取り囲んでいる領域である。便収容領域は、通常はオムツの後部３及び股部４の後部に配置されている。

第２のライナー６ｂは、好ましくは吸収性を有する物品の後部３及び股部４の後部の部分に配置されており、この部分は吸収性コア５と、場合によっては吸収性コアのすぐ外側の部分とによって覆われている。第２のライナー６ｂは、代替的に吸収性コアを後部３と後ろ側股部４とにおいて覆っている。足開口部及び腰開口部のような、吸収性コア５によって覆われていない後部３と後ろ側股部４との別の領域は、第１のライナー６ａまたは別のライナー材のいずれかによって覆われた、体に面する表面にある。

第１及び第２のライナーは、互いにある程度重なり合って、間に隙間が形成されないことが好ましい。本発明の１つの実施形態によれば、第１のライナー６ａは物品全体を覆い、第２のライナー６ｂは、体に面する側の第１のライナー６ａに、少なくとも上述した後部３及び股部４において重なっている。

代替的な実施形態において、第２のライナー６ｂは物品全体において、すなわち内側カバーの後部、股部、及び前部において、内側カバー又は内側カバー６の少なくとも体に面する側を構成している。

脚の開口部に隣接する物品の領域は、弾性部材８を有して設けられた長手方向側の端辺に沿っており、この弾性部材８は、内側カバー６の材料と外側カバー７の材料との間に、引き伸ばされた状態で結合されており、オムツの弾性化された脚開口部を提供している。対応する弾性部材（図示されず）は、オムツの腰開口部を形成する横方向側の端辺に隣接する前部領域２及び後部領域３において横方向に延在するように配置することができる。弾性部材は、代替的に、例えば熱によってのようないくつかの手段によって弾性化された状態に活性化可能な材料とすることができ、引き伸ばされていない活性化されていない状態で物品に取り付けることができ、次いで活性化されて弾性状態に収縮される。

後部３は、後部３に取り付けられた固定部材９を有して設けられる。固定部材９は、物品の前部に固定されることを意図されており、パンツ上の形状を形成する。固定部材９は、接着テープ又はループ状材料に取り付けられるようにされたフック材料の形態とすることができ、フック材は例えばオムツの外側カバーシートを形成する不織材の形態とすることができる。

オムツは、近位端と遠位端とを有する弾性遮蔽フラップ１０及びそれぞれの遠位端に収縮自在に取り付けられた弾性部材１１をさらに設けられ、よって遮蔽フラップ１０の遠位端を内側カバー６から離隔している。代替的に、弾性部材１１は、上述したような活性化可能な種類の材料からなり、収縮されていない位置で遮蔽フラップに取り付けることができ、続いて活性化されることができる。遮蔽フラップ１０は漏れ遮蔽部材を形成し、近位端において吸収性コア５の外側若しくは上の内側カバーに固定されている。

第１のライナー６ａは、定義において上述したような、内側液体透過性カバーとして好適な、どのような材料とすることもできる。第２のライナー６ｂは、交互の凹部１３と隆起部１４とからなる、明瞭に可視的な３次元構造を有する繊維織布材１２からなる。凹部の底と隆起部の頂点との間の距離ｂとして規定される隆起部の高さは、少なくとも０．５ｍｍ、好ましくは０．５〜２０ｍｍ、より好ましくは１〜１０ｍｍである。

隆起部の間の距離は少なくとも５ｍｍ、好ましくは少なくとも１０ｍｍ、より好ましくは少なくとも１５ｍｍである。隆起部の間の距離ａは、隣接する隆起点の最も高い高さの間の最も短い距離として規定されている。これは、図４ａ〜ｄに図示されている。

高さｂと距離ａとの間の関係は、好ましくはａ＞２・ｂである。

高さｂ、距離ａ、及びｂとａとの間の関係は、第２のライナー６ｂの異なる領域において同じであっても異なっていても良い。

第２のライナー６ｂは親水性繊維材料１２からなり、本来親水性であるか、表面活性剤による処理、又は別の手段による処理、例えばコロナ処理によって、親水性とされているかである。

本明細書において“親水性”という文言は、材料が水で濡れるための相性を有していることを意味し、通常は水に対する接触角が９０°以下であることを意味している。

第２のライナー６ｂとして使用するために好適な材料の例は、スパンボンド織布、メルトブローン織布、カード式織布、サーマルボンド不織布、通気結合（ｔｈｒｏｕｇｈ−ａｉｒ−ｂｏｎｄｅｄ）織布などのような、別のタイプの不織材である。セルロース繊維のエアレイド混合物及びセルロース繊維と人工繊維との混合物を使用することができ、前記エアレイド混合物は、ラテックスによって、又は熱接着によって結合されている。任意に所定の量の合成繊維を含有することができる湿式ティッシュペーパーもまた第２のライナーとして使用することができる。上述の材料の積層体もまた使用できる。繊維シート材料の３次元形状体は、真空形成、熱エンボス加工、又はラテックス又は別の手段によるような、結合剤を有する印刷のような従来技術で知られたいずれの方法によってでも達成することができる。

隆起部１４又は凹部１３、若しくは隆起部と凹部との両方は、繊維シート材料に行われた印刷によって形成することができる。

本発明のさらなる実施形態によれば、第２のライナー６ｂとして使用される材料の３次元構造は、フロック加工技術によって達成され、繊維１７は担持織布１８の上に直立位置に適用されるとともに固定され、そこから突出する。これは図４ｄに示されている。繊維１７は所定の領域内にのみ適用されて繊維のグループを形成し、それぞれのグループは隆起部１４を形成し、繊維のない領域において、前記繊維のグループの間に凹部１３を形成している。この種のフロック加工された材料は、例えば特許文献８及び特許文献９に開示されている。

図４ａに示す実施形態において、繊維１５は隆起部１４から突出している。また、これら繊維１５は親水性であり、第２のライナー６ｂの繊維織布１２を構成している繊維と同じタイプとするか、又は別の繊維とすることができる。繊維１５は、熱融解、結合剤又は接着剤の使用による化学的結合、もつれ、静電気による取り付け、又はその種のものによって第２のライナー６ｂを形成している繊維織布１２に取り付けることができる。繊維１５が第２のライナー６ｂを形成する繊維織布１２に含まれる繊維である場合には、繊維の端部は隆起部１４の表面から機械的ブラッシング又は他の処理によって突出させることができ、繊維の端部を織布から開放し、その表面から突出させ、一方繊維の対向する端部は織布に取り付けられたままとすることができる。

図４ａに示す織布１２は、凹部１３中に孔１６をさらに有している。これら孔１６は、少なくとも５ｍｍ２、好ましくは少なくとも１０ｍｍ２の有効サイズを有している。孔１６は、サイズ、形状、及びパターンを変化させることができる。可能な形状の例は、それに限られるわけではないが、円状、正方形状、長方形状、楕円状、三角形状などを含んでいる。孔１６は、均一若しくは不均一ないずれのパターンにも配置することができ、第２のライナーの表面領域に亘って規則的に分散させるか、第２のライナーの所定の部分において、別の部分におけるより小さい距離で分散させることができる。図４ａに示す織布１２は、実質的に正弦波状の断面形状を有し、図４ｂに示す織布は実質的に矩形波状の断面形状を有している。図４ｃにおいては、隆起部１４の間は比較的大きな距離ａとなっている。織布１２は、隆起部１４及び凹部１３の両方の表面から突出している繊維１５を有している。図４ｃに示す織布１２は、孔を形成されていない。好ましくは、織布１２は、少なくとも所定の程度の排水効果と、低粘度の便物質の貯蔵効果とを提供するのに十分である空孔率を有している。大きな凹部領域１３のために、図４ｃの織布は、比較的大きな便収容容積を有している。

図４ｄは、実質的に平坦な担持織布材１８を示しており、この担持織布材１８の上には繊維１７のグループが、上述のように隆起領域１４を生成するようにフロック加工されている。繊維１７及び担持織布材１８は親水性である。担持織布１８上に繊維１７をフロック加工する方法は、静電気的、機械的、又はこれらの組み合わせのような、当該分野において知られている方法とすることができる。繊維１７は、熱融着、機械的もつれ、水流交絡法によって、又は結合剤若しくは接着剤の使用を通じた化学的結合によって、又は他の手段によって織布材に固定されている。

隆起部１４は、上部からの平面図に見られるように、いずれのパターンを有することもでき、意図された目的に対して適切ないずれのパターンのグループを有することもできる。図１に示すように、隆起部１４は、凹部１３を形成している表面から突出しているボスの形態である。図５において、隆起部１４は、谷部を有する環状の同心リッジの形態であり、谷部の間に凹部１３を形成している。図６において、リッジと谷部はらせん状のパターンで配置されている。隆起部１４は、第２のライナー６ｂの端辺に隣接した横方向リッジをさらに形成しており、第２のライナー６ｂの中央領域全体は凹部１３を形成している。これは、図４ｃに示されている。

上述のような第２のライナー６ｂとして使用される繊維織布材１２は、幼い子供、特に乳児、及び下痢症状を有する装着者の、低粘度の便物質を取り扱うのに特に効果的である。そのような低粘度の便物質は、内側カバーの体に面した側をあちこち動き、漏れの危険を増加させ、装着者の皮膚にこすり付けられて清浄化をより困難にする。

図７は、吸収性を有する物品の股点２２が、立ち位置の装着者に物品を配置し、次いで脚２０、２１の周りに伸縮自在なフィラメント１９を配置することによって、どのように決められるかを図示している。上述のように、股部４は通常は、最初に股点２２を配置し、次いで物品の全長の２５％の距離を前後に測定することによって決定される。このように股部４は物品の全長の５０％となる。

図８からわかるように、低粘度の便物質は、疎水性構造の繊維織布１２より、親水性繊維織布により効果的に付着する。これは便の不動化を生じ、装着者の圧力及び動きの影響下における、トップシートの体に面する側で便があちこち動くことを妨げる。また、水分が９０％以上である場合がある、大量の水分を含む可能性のある低粘度の便物質の、より効果的な脱水が達成される。

この効果は図８及び９に図示されている。しかし、これらテストは本発明の一部を形成するものではなく、親水性物質の効果を親水性の低い物質又は疎水性物質と比較して図示するものとして参照しているに過ぎない。図８に示されたテストは、親水性繊維織布に対する便の付着度を疎水性繊維織布と比較して測定している。３人の異なる乳児からの低粘度の自然な便のサンプルがこのテストでは使用された。便のサンプルは、３７ｍｍの直径を有するガラス製のビーカーの中におかれ、インストロン社の５５４２のタイプの装置内に固定され、測定セル５００Ｎ、ＩＸのソフトウエアを使用して測定された。テスト材料は、平坦で円形状の２５ｍｍの直径のプローブの下側全体に取り付けられた。プローブは、プローブ（４．９ｃｍ２）が便のサンプルに接触するまで便に向かって降下された。プローブはその後上昇され（５ｍｍ／ｓ）、力が記録された。破断の後、便のサンプル内及び／又は便のサンプルとプローブ上に取り付けられた材料との間において、便の残渣を有する材料で覆われたプローブの写真が撮られた。これらの写真は図８に示されている。

テストでは２つの異なるテスト材料が使用された。すべての写真において右側に示されている第１の材料は、基本的質量が１９ｇｓｍであり、イタリアのＴｒｅｄｅｇａｒから入手可能な疎水性 ＳＭＳ （スパンボンド−メルトボンド−スパンボンド）不織材（材料コード８２１０１６６）であり左側に示された材料は、基本的質量が１８ｇｓｍであり、これもまたイタリアのＴｒｅｄｅｇａｒから入手可能な通気結合された（ｔｈｒｏｕｇｈ−ａｉｒ−ｂｏｎｄｅｄ） 親水性不織材（材料コード８２１０１６７）である。材料は孔を有し、わずかに３次元構造を有しているが、この発明の目的に対しては十分ではない。いずれにしても、テストは、写真の左側に示した親水性不織材が、右側に示した疎水性不織材より高い便の付着性を有していたことを示している。同じ便サンプルが、写真のそれぞれ上段、中段、及び下段における左右の材料の対に使用されたことを指摘しておく。

繊維織布に対する便の付着は、便が不動化され材料の上で簡単にはあちこち動かず、漏れの危険を減少させることを意味している。

親水性織布１２の表面から、特にその隆起部１４から突出している親水性繊維１５又は１７は、低粘度の便が織布の表面をあちこち動くのを抑制する効果を強化している。凹部１３の孔１６は脱水効果を増加させる。この脱水効果は、下にある材料層がより親水性である場合、及び／又はＰＶＤ（空孔容積分布）測定により測定されたときにより小さく効果的な空孔径を有する場合に、より効果的となり、よって第２のライナー６ｂを形成しているより親水性織布材より高い毛細管効果を有し、表面エネルギー勾配及び／又は空孔サイズ勾配が水様の液体を第２のライナーを通じて下にある材料層に引き出す効果を生じさせる。この下にある材料層は、吸収性コア、第２のライナー６ｂの下にある第１のライナー６ａの部分、又は第２のライナー６ｂの下にある別のライナー材料とすることができる。ＰＶＤ測定は、米国プリンストンのＴｅｘｔｉｌｅ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅによって製造されたＰＶＤ装置によって行われる。ＰＶＤ装置の機能は、Ｍｉｌｌｅｒ， Ｂ． 及びＴｙｏｍｋｉｎ， Ｌ．による、１９８６年に発行されたＴｅｘｔｉｌｅ Ｒｅｓｅａｃｈ Ｊｏｕｒｎａｌ ５６（１９８６） ３５に詳細に記載されている。

図９は、異なる親水性度からなる繊維織布の、低粘度の便に与える脱水効果を示している。このテストにて使用される測定カップはプレキシグラスで製造されており、１つの上部円柱状部材と１つの下部円柱状部材からなり、少量のサンプルに対して特に適している。標準的なモデルにおいては、ポリアミドの網（スウェーデン国、グラボ、私書箱４１４７のＡＢ Ｄｅｒｍａから入手可能である、Ｍｏｎｏｄｕｒ ＰＡ ７１０ μｍ）が接着剤で上部円柱状部材の底に固定された。下部円柱状部材は、傾斜した底部を有して設けられており、この底部に便のサンプルからの液体が収集された。約３ｇの便のサンプルが上部円柱状部材に添加された（正確な量が記録された）。また、下部円柱状部材は重さを測定され、結果が記録された。次いで、２つの円柱状部材は一緒にされ、便を有する測定カップは、２１４ｇの速度で１０分間、ベッカムＧＰ遠心分離機の中で遠心分離された。遠心分離の後、測定カップの下部円柱状部材は取り外され、重さを測定された。上部円柱状部材から下部円柱状部材へ通過した液体が、その後計算された。

図９は、テストの結果を示しており、１人の４ヶ月の乳児からの便（１つは空であった）が使用された。このテストにおいては、標準的なモデルの網が使用されたが、使用に先立って、２つの網のうちの１つは表面面活性剤〈スウェーデン国、キスタ、１６４９３、私書箱２４のＪｏｈｎｓｏｎ ｗａｘ ｐｒｏｆｅｓｓｉｏｎａｌのＢｒｉｌｌｏ〉を有する浴の中に浸けられ、その後、空気乾燥された。遠心分離の条件は、上述のとおりであった。

テストは、より多くの便物質が、より親水性の網材を通過するということを示している。テストに使用された網材は、本発明において特許請求されているタイプの３次元構造からなってはいないが、テストは、２つの同一の網材の、より親水性が改善された場合の脱水効果を示している。

すべての例において、いわゆる開放型のオムツが示されているが、本発明がいわゆるパンツ型のオムツに適用され得ることは明らかであり、パンツ型のオムツにおいては前部２及び後部３は、長手方向の側端部に沿って互いに結合されて側部シームを形成し、腰開口部と１対の脚開口部とを形成している。また、本発明は、大人用の失禁用装着品及び失禁用装入材及びベッド保護シートに適用することもできる。

平坦な、収縮していない状態のオムツの形態の、吸収性を有する物品の単純化された平面図である。 図１におけるＩＩ−ＩＩ線に従った断面図である。 収縮した状態のオムツの斜視図である。 本発明による第２のライナーとして使用される３次元の織布材の実施形態の断面図である。 本発明による第２のライナーとして使用される３次元の織布材の実施形態の断面図である。 本発明による第２のライナーとして使用される３次元の織布材の実施形態の断面図である。 本発明による第２のライナーとして使用される３次元の織布材の実施形態の断面図である。 本発明によるオムツのさらなる実施形態の平面図である。 本発明によるオムツのさらなる実施形態の平面図である。 装着者の股点及び吸収性を有する物品の股点がどのように決められるかを示す図である。 適用された低粘度の便を保持する親水性繊維織布及び疎水性繊維織布の例の写真である。 異なる親水度を有する繊維織布の、低粘度の便における脱水効果を示した図である。

符号の説明

２・・・前部
３・・・後部
４・・・股部
５・・・コア
６・・・内側カバー
６ａ・・・第１のライナー
６ｂ・・・第２のライナー
７・・・外側カバー
１２・・・親水性繊維織布材
１３・・・凹部
１４・・・隆起部
１５・・・親水性繊維
１６・・・孔
２０、２１・・・脚
２２・・・股点
ａ・・・距離
ｂ・・・高さ

Claims (13)

1. 吸収性コア（５）と該吸収性コアを取り囲んでいるカバーとを備える吸収性を有する物品であって、
   前記カバーは、前記吸収性コアの体に面する側の液体透過性の内側カバー（６）と、前記吸収性コアの装着品に面する側の液体不透過性の外側カバー（７）とを備えており、
   前記物品は、前部〈２〉、後部〈３〉及びこれら前部と後部との間の股部〈４〉とを有する物品において、
   前記後部及び前記股部（３、４）の部分からなる、少なくとも便収容領域内の前記内側カバー（６）は、体に面する表面に複数の交互に形成された凹部（１３）と隆起部（１４）とを有する、３次元構造の親水性繊維織布材（１２）を備え、
   前記凹部と前記隆起部とは親水性であることを特徴とする吸収性を有する物品。
2. 前記液体透過性を有する内側カバーは、第１及び第２のライナー（６ａ、６ｂ）を備え、
   前記第１のライナー（６ａ）は、前記内側カバーの体に面する面の前領域を少なくとも部分的に形成し、
   前記第２のライナー（６ｂ）は、前記内側カバーの体に面する面の後領域を少なくとも部分的に形成し、
   前記第２のライナー（６ｂ）は、前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）を備えていることを特徴とする請求項１に記載の吸収性を有する物品。
3. 親水性繊維（１５）は、前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）の前記隆起部（１４）から突出していることを特徴とする請求項１又は２に記載の吸収性を有する物品。
4. 前記親水性繊維（１５）は、凹部（１３）から、好ましくは前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）の全表面領域から、突出していることを特徴とする請求項３に記載の吸収性を有する物品。
5. 孔（１６）が、前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）の前記凹部（１３）に設けられていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。
6. 前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）は、前記吸収性コア（５）によって覆われた前記物品の、前記後部（３）及び前記股部（４）の少なくとも一部分における前記内側カバー（６）の体に面する面を形成していることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。
7. 前記凹部（１３）の底と前記隆起部（１４）の頂点との間の距離として規定される前記隆起部（１４）の高さ（ｂ）は、少なくとも０．５ｍｍ、好ましくは０．５〜２０ｍｍ、より好ましくは１〜１０ｍｍであることを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。
8. 隣り合う前記隆起部の最も高い高さの間の最も短い距離として規定される、前記隆起部（１４）の間の距離（ａ）は、少なくとも５ｍｍ、好ましくは少なくとも１０ｍｍ、より好ましくは少なくとも１５ｍｍであることを特徴とする請求項７に記載の吸収性を有する物品。
9. 前記隆起部の高さ（ｂ）と前記隆起部の間の距離（ａ）との関係は、好ましくは、ａ＞２・ｂであることを特徴とする請求項８に記載の吸収性を有する物品。
10. 前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）は、前記物品の前記前部（２）にはないことを特徴とする請求項１〜９のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。
11. 前記３次元構造の親水性繊維織布材（１２）の下にある材料層は、前記３次元構造の親水性繊維織布材より親水性であり、及び／又は前記３次元構造の親水性繊維織布材より小さい平均空孔サイズを有し、よって表面エネルギーの勾配及び／又は空孔サイズの勾配が生成され、水様の流体を、前記３次元構造の親水性繊維織布材を通じて、下にある材料層へと引き出すことを特徴とする請求項１〜１０のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。
12. 前記下にある材料層は、前記吸収性コア（５）の一部分、前記第１のライナーの一部分、又は別の織布材であることを特徴とする請求項１１に記載の吸収性を有する物品。
13. 前記物品は、オムツ、パンツ式オムツ、失禁用装着品、失禁用挿入材、又はベッド保護シートであることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか一項に記載の吸収性を有する物品。

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