JP2008524499A - 改良されたポンプ及びポンプ輸送方法 - Google Patents
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Abstract
オイル工業における液体循環システムに用いるポンプ、及びポンプ輸送システムの寸法設定の方法が開示されている。ポンプは、それぞれ表面を画定するロータ及びステータを有し、ロータの表面は、螺条部高さ及び螺条部幅を有するらせん型螺条部を画定し、且つロータが、ステータに対しロータ速度で回転すると、液体での剪断によって、ロータ速度に抗する粘性抗力が得られる。
Description
本発明は、液体のポンプ輸送に用いられるポンプに関する。
電動式らせん型ポンプは知られている。永久磁石ポンプについても知られている。例えば、遠心血液ポンプが特許文献1に開示され、軸流ポンプが特許文献2に開示されている。一般に、これらのポンプ及び他のらせん型ポンプは、ポンプにより軸方向に流体を移動させるために摩擦又は流体動的揚力に依存している。すなわち、らせんは回転するものの、液体は、ポンプの長さ方向に沿って軸方向に移動するため、回転しつつ比較的静止している。血液のポンプ輸送及び他の低速、低圧での利用におそらく適当であるが、これらの装置は、他の環境、特に高速及び高圧が望ましい場所に対して不適当である。従って、改良の余地がある。
米国特許第5049134号
米国特許第5692882号
従って、本発明の目的は、改良されたポンプを提供することにある。
本発明の一の実施の形態によると、動的粘性を有する液体の循環システムに用いられ、少なくとも1つの入口及び1つの出口を有し、前記循環システムの使用中、前記ポンプ出口にて背圧を有するポンプであって、ほぼ環状の通路を間に画定するように離れた第1の表面及び第2の表面を構成する回転式ロータ及びステータであって、前記通路は、中心軸及びクリアランス高さを有し、前記クリアランス高さは、前記第1の表面から前記第2の表面までの径方向の距離であり、使用時に、ロータが、ロータ速度で回転するように構成された回転式ロータ及びステータと、前記第1の表面に取り付けられ、前記中心軸に対する螺条部角でもって前記中心軸の周囲にらせん状に延在し、前記第1の表面より上方への螺条部高さと螺条部幅とを有し、前記螺条部高さは前記クリアランス高さ未満であり、前記螺条部幅が、螺条部長さと共に、前記第2の表面に対向する螺条部表面積を形成する少なくとも1つの螺条部と、を備え、前記ロータは、使用時に、前記ステータに対してロータ速度で回転して、前記螺条部と前記第1の表面及び前記第2の表面との間にある液体の剪断によって、対応する粘性抗力圧力を有する粘性抗力をロータの回転に抗して生じさせ、前記螺条部高さ、螺条部表面積及び螺条部角は、これらの寸法及び構成により、前記背圧に実質的に等しい粘性抗力圧力を形成するように構成され、前記クリアランス高さは、前記第1の表面と前記第2の表面との間で非乱流の液体の流れを形成するように寸法設定される、ことを特徴とするポンプが提供される。
他の実施の形態において、ポンプ輸送システムの寸法設定方法であって、前記システムが、少なくとも1種のポンプと、動的粘性を有する液体の循環に用いられる循環ネットワークと、を含み、さらに前記循環システムが、前記ポンプの出口で背圧を有し、前記ポンプが、間に環状の通路を画定するように第1の表面及び第2の表面を形成する回転式ロータ及びステータを有し、前記通路が、中心軸及びクリアランス高さを有し、前記クリアランス高さが、前記第1の表面から前記第2の表面までの半径方向の距離であり、前記ロータが、使用時にロータ速度で回転するように構成され、少なくとも1個の螺条部が、前記第1の表面に取り付けられ、前記中心軸に対する螺条部角でもって前記中心軸の周囲にらせん状に延在し、前記螺条部が、前記第1の表面より上方への高さと、螺条部幅と、を有するものにおいて、所望のシステム構成及び所定の液体に対する前記背圧を決定するステップと、ポンプの運転中に前記通路で非乱流の流れを形成するようにポンプのパラメータを寸法設定するステップと、ポンプの運転中にロータの回転に応じた抗力を生成するように螺条部寸法を選択するステップと、ポンプの運転中、所望のロータ速度に対して、抗力圧力と背圧とが実質的に等しくなるように背圧及び螺条部寸法の少なくとも一方を調節するステップと、を含むことを特徴とするポンプ輸送システムの寸法設定方法を提供する。
他の実施の形態において、本発明は、使用時に、回転電磁場を生成するように構成される少なくとも1つの電気巻き線を含むステータと、回転電磁場に応じて回転するように、ステータに隣接して取り付けられるロータ(これらのロータ及びステータによって、相隔てられた第1の表面及び第2の表面が形成され、間にポンプ輸送用通路が画定される。)と、第1の表面と第2の表面の間に設けられ、これらの表面の一方に取り付けられる少なくとも1つのらせん型の螺条部(この螺条部は、他方の表面に対向して湾曲面を有する)と、を備え、使用時に、回転ロータが、実質的にロータとステータとの間にロータの回転によって保持される液体の層でのみステータに対して半径方向に支持されるように、ロータの寸法が、所定の作動液体に対して設定された液体用ポンプを提供する。ロータの位置は、実質的に、湾曲面と、その湾曲面に対向する他方の面との間の液体の層で径方向に保持されるのが好ましい。
他の実施の形態において、本発明は、ハウジングと、ハウジングに対して回転可能なロータと、を備え、ロータ及びハウジングが、ポンプ流体用の第1の流路を少なくとも画定し、ロータは、第1の位置と第2の位置との間でハウジングに対して軸方向にスライド可能であり、第1の位置は、通常のポンプ運転中のロータの軸方向位置に相当し、第2の位置は、ポンプの非作動状態中のロータの軸方向位置に相当し、第2の位置においてロータには、液体用の第2の流路が設けられ、その第2の流路により、ポンプが非作動状態の場合に、第1の流路と比較して、流体の圧力損失を低減するポンプを提供する。第2の流路は、少なくとも一部がロータを通して設けられているのが好ましい。第1の流路は、ロータの周囲に設けられているのが好ましい。
他の実施の形態において、本発明は、ポンプの作製方法であって、ハウジング、ロータ及び少なくとも1つのワイヤを準備する工程と、ロータに対してポンプ輸送部材を形成するためにロータに対してワイヤをらせん状に巻く工程と、ワイヤをロータに対して固定する工程と、を含む方法を提供する。
他の実施の形態において、本発明は、液体のポンプ輸送に用いるポンプであって、ロータと、少なくとも1つの電気巻き線及び少なくとも1つの冷却通路を含むステータと、ポンプの入口からポンプの出口に延在する作動通路と、を備え、使用時に、ポンプ輸送される液体の一部が冷却通路を通って循環するように、作動通路は、少なくとも冷却通路の入口で冷却通路と液体連通であることを特徴とするポンプを提供する。
他の実施の形態において、本発明は、ロータと、流体がポンプ輸送される作動通路及び少なくとも1つのフィードバック通路と、を備え、フィードバック通路は、ポンプの入口領域とポンプの高圧領域間とを流体連通することを特徴とするポンプを提供する。
他の実施の形態において、本発明は、ロータと、液体がポンプ輸送される作動通路と、少なくとも1つのフィードバック通路と、を備え、ロータは、作動通路に配置され、その通路に対して軸方向にスライド可能であり、作動通路は、ポンプの運転中にロータが圧接するスラスト面を含み、フィードバック通路は、使用時に、加圧液体の一部がロータとスラスト面との間に液体の層を形成すべく供給されるように、作動通路の高圧領域とスラスト面との間で液体連通を形成することを特徴とするポンプを提供する。
他の実施の形態において、本発明は、ポンプと、循環ネットワークと、を備え、ポンプは、ポンプ液の粘性剪断の結果として、運転中、熱を生成するように構成され、この熱が、液体に対する所定の防氷熱負荷を提供するのに十分なものであることを特徴とする氷結防止システムを提供する。
本発明の他の利点及び特徴は、説明及び図面を参照しつつ開示されるであろう。
ここで、添付の図面を参照しつつ説明する。図1、2及び4を参照すると、全体として100番で示されるらせん型ポンプが、本発明の好ましい一の実施の形態に従って提供される。
らせん型ポンプ100は、一端部に作動通路104と、ポンプ入口106と、ポンプ出口110と、を有する円筒形のハウジング102を含む。ハウジング102、又は少なくとも作動通路104は、非金属材料、例えばプラスチック、セラミック又は他の非導電性材料から作製されて、ステータ及びロータシステムの交番磁界によって渦電流を誘導しないようにする。非導電性であることに加え、通路104の内壁は、平滑であって、積層されておらず、これにより、更に以下に説明するように、ロータとの密封性及び低摩擦を与えるのが好ましい。接続手段、例えば複数の環状溝108が、オイル源、例えばオイルタンク(図示せず)との接続のために、ポンプ入口106に形成される。作動通路104の端部は、ポンプ出口110の肩部(図示せず)と接しており、肩部は、ハウジング102と同軸上に配置されるのが好ましい。更にポンプ出口110には、例えば潤滑、冷却等に用いるエンジン部品を含むオイル循環路との接続のために、接続手段、例えば複数の環状溝112が設けられている。好適な接続手段、例えばフランジ接続又は圧力嵌め接続を用いても良い。或いは、ポンプ入口及び/又は出口が作動流体と直に接触する場合(例えば、ポンプが作動流体貯蔵部に沈められる場合)、入口及び/又は出口は、異なる好適な配置を有していても良い。
ロータ114(本実施の形態においては円筒形)は、作動通路104内に配置され、そして好ましくは非磁性の金属材料、例えばインコネル(登録商標)718(Inco社製)、チタン又は所定の非磁性ステンレススチールから作製される比較的薄い保持スリーブ116を含むのが好ましい。更にロータ114は、少なくとも1個の永久磁石、好ましくは複数の永久磁石118を、永久電磁気モータでの使用に好適な永久磁石ロータを形成するような手法でスリーブ116内に含む。永久磁石118は、一対の非磁性末端プレート120,122及び内部磁性金属スリーブ124によってスリーブ116内に保持されるのが好ましい。中央通路125は、ロータ114内を通って軸方向に延在するのが好ましい。ロータ114は、作動通路104内で回転するように構成される。ロータ114の外径は、十分な近接関係(以下に説明)がロータ114の外表面115と作動通路104の内表面(図示せず)との間で画定され、これによりロータと通路との間のクリアランスに作動流体(この場合、オイル)の層が許容されるように寸法形成される。更に以下に説明するように、クリアランスは、非乱流性の流れを形成するように寸法形成されるのが好ましく、ポンプにおいて実質的に層流を形成するように寸法形成されるのが更に好ましい。これは、更に以下にも説明するように、本発明による主なポンプ輸送作用が、作動流体に対し、螺条部123による粘性剪断力(viscous shear force)を利用することによって達成されるためであり、これは、ロータ114によって作用され、作動流体をポンプを通して接線方向で且つ軸方向に移動させる。。
図3A及び図4を参照すると、本実施の形態では、3個の螺条部123が設けられ、本実施の形態では、ワイヤ126の形であり、それぞれ螺条部高さ131と、螺条部幅133と、螺条部長さ(図示せず)を有し、以下に理由を説明するように、円形断面ワイヤ126を用いることによって形成されるような丸まった外表面つまりランド127を有するのが好ましい。螺条部長さと螺条部幅133の積である螺条部表面積(図示せず)は、その趣旨が更に以下に説明されるように、通路104に直接露出する螺条部の部分を示している。ワイヤ126は、好適な材料、例えば金属又は炭素繊維、ナイロンから作製されても良い。ワイヤ126は、ロータ114の外表面に対して、ねじれ角、すなわち螺条部角135を有し、そして相互に120°の間隔を円周方向に持つらせん型式で取り付けられるのが好ましい。回転の際、ロータ114は、以下に更に説明するように、実質的に螺条部123の湾曲外表面127と作動通路104の内表面との間で実質的にオイル(本実施の形態における作動流体)の層によってのみ通路104内で半径方向に動的に支持される。湾曲面127は、約0.008インチ以上の半径を有するのが好ましいものの、ポンプの寸法、速度、作動流体等に応じて異なる。螺条部123、ロータ114の外表面及び作動通路104の内表面は、協働して、複数のオイル通路を画定するが、かかる通路は、比較的浅く且つ広いのが好ましい。このように浅く且つ広い通路により、ロータと通路の間に作動流体の薄層が形成される。
本発明によれば、らせん型の螺条部123の数及び構成は、上述のワイヤ126に限定されず、他の好適な種類及び構成のらせん型螺条部を用いても良い。例えば、図3Bを参照すると、更にファスナー様螺条部123が、湾曲面127を有する隆起部129の形でロータの作動面に形成されていても良い。或いは、螺条部123を形成し、その後、好適な手法でロータに取り付けても良い。他の好適な構成を用いても良い。
らせん型螺条部がロータと一体でない場合、螺条部は、螺条部間の漏れを減ずるために、ロータ114に対してシールされているのが好ましい。例えば、ワイヤ126の場合、溶接又は鑞付けによってシールするが、他の実施の形態では、締まりばめ、他の機械的な接合(例:接着剤又はインターロックばめ)、摩擦ばめ、又は他の手段を用いて、固定し、シールしても良い。取付手段及びシール手段は、当該材料及び構成に応じて変更可能であることは理解されるであろう。伸張可能な螺条部、例えばワイヤ126を使用する場合、位置を固定し、そして不必要な移動を減らす助けとするために、螺条部を予め引張状態とするのが好ましい。
通路104内での円筒形ロータ114の軸方向の移動は、入口コア部材128及び出口コア部材130によって制限されるものの、ロータ114は、以下に更に説明するように、これらの間で軸方向に移動可能である(すなわち、ロータ114は、利用可能な空間と比較して、軸方向に短い)のが好ましい。非回転入口コア部材128は、ポンプ入口106から、ロータ114と作動通路104との間の空間へと流入オイル流を分割し、かつ案内するために円錐形を有するのが好ましく、そしてハウジング102内でほぼ同軸上に配置され、複数(好ましくは3個)のほぼ放射状の支柱132(その1つのみが図2に示されている)によってハウジング102に隣接するように取り付けられているのが好ましい。支柱132は、円周方向に間隔を持っており、これを通ってオイルが流れることが可能であり、そして、入口案内ベーンとしても作用する。入口コア部材128は、その内側に隣接するように取り付けられる末端プレート134を含み、これにより、ロータ114の末端プレート120と接触する入口末端壁部を形成する。ロータ114の末端プレート120は、末端プレート134との接触面積を低減するために中央凹部136を有しているのが好ましいものの、おそらく更に重要なことだが、使用時に、凹部136により、中央通路125を介して加圧オイルが充填可能であり、これにより、ロータ114に対して作用する力の平衡の助けとなるので、ポンプの運転中、ロータ114の軸方向の荷重を低減する。末端プレート134及びロータ114は、これらの間で十分な漏れを可能にするように構成され、これにより使用時に中央通路125からの加圧オイルが、スラスト軸受けと同様にロータ114を支持可能である。入口コア部材128を支持する支柱132は、複数の流体供給通路190を有することも可能であり、流体の小噴流が中央通路125内の加圧流体(これは以下に更に説明される細孔142によって通路125に入る)から支持支柱132を通してポンプの入口端部に向かって案内され、これにより入口の流体流をポンプの入口に進めるので、入口の状態を改善する。従って、通路125及び190により、圧力フィードバックシステムを提供する。
入口コア部材128に類似して、非回転出口コア部材130は、ロータ114と作動通路104との間の空間から得られたオイルの流れをポンプの出口110に案内し、そして再結合させるために円錐形を有しているのが好ましく、そしてハウジング102及び出口110とほぼ同軸上に配置されるのが好ましい。出口コア部材130は、ポンプ輸送されたオイルが通過するように円周方向に所定の間隔を持って配置される複数(好ましくは3つ)の支柱138(1つのみが図2に示されている)によって出口110に隣接して取り付けられている。更に出口コア部材130は、以下に更に説明するバイパスの目的のために、中央凹部140を有するとともに、中央凹部140と作動通路104との間で流体連通する複数の開口部142(図2を参照)を有している。更に出口コア部材130は、ポンプ輸送される流体中に遠心分離によって集められる空気若しくは他の気体を逃がすために、逃がし経路つまりブリードとなる中央孔180を有していても良い。他の構成においては(図示せず)、更に又はそれに代えて、この位置、及び/又は、ポンプの構成に応じて分離ガス/空気が集まる他の場所に、分離ガス/空気を抜くための通路を形成しても良い。
本実施の形態において、ロータ114が、入口コア部材128(すなわち図1及び2に示されているように)付近から出口コア部材130に向かって軸方向に移動すると、ロータ114と入口コア部材128との間に空隙が開口する(図5を参照)。従って、ロータ114の中央通路125、ロータ114と入口コア部材128との間の空隙、及び出口コア部材130における開口部142は、以下に更に説明するバイパスアッセンブリを形成する。
図1及び2を参照すると、ケーシング144がハウジング102及びポンプ出口110の周囲に設けられ、これによりチャンバー146を形成し、そこにステータ148を収容する。ケーシング144は、ポンプ入口106を受ける中央開口部(図示せず)を有する末端壁部150を含むのが好ましい。この末端壁部150に取付フランジ部152が形成される。更にケーシング144は、ポンプ出口110を受ける中央開口部を有する末端プレート154によって閉塞される開放端を有し、このプレート154は、保持リング156によってケーシング144に固定されている。更に末端プレート154は、内側保持リング162及び外側保持リング164と協働する内側挿入部158及び外側挿入部160を含み、環状チャンバ146中のステータ148の軸方向位置を、ケーシング内側の一体の肩部(図示せず)とともに保持している。
ステータ148は、複数の電気巻き線(図示せず)を含み、そして電気巻き線を適切な位置に保持し、そこを通って延在する冷却通路149を形成する保持器166を含むのが好ましい。冷却液の開口部168及び170(図2を参照)は、ステータ148の両側の端部に設けられ、作動通路104と流体連通して、そこから作動流体を、以下に説明される冷却目的で引き出し可能となる。以下に更に説明するように、出口端部における開口部170が、入口端部における開口部168より小さいことが好ましい。
永久磁石モータを始動させ、そして作動させるのに必要なロータの位置情報は、ステータ148に設けられるのが好ましい好適なセンサ168から得られるが、ロータ位置の検出は、適当な技術によっても達成可能である。ロータ114は、位置センサ168を配置するためにステータ148より長く形成されるのが好ましく、これによりロータの端部において位置センサが容易にアクセスできる磁場を形成する。
ケーシング144とポンプ入口106との間、ケーシング144と末端プレート154との間、並びに末端プレート154とポンプ出口110との間の界面に、シール(図示せず)が設けられ、漏れを防止する。
使用時に、センサによって提供されるロータの位置データと共に、AC電流が装置に供給されると、ステータ148における電気巻き線が交流電磁場を生成し、これによりロータ114が適当に回転するので、ポンプ100が運転状態へと駆動される。
好ましくは、ロータ114が回転すると、非乱流(すなわち、Re<約10000)の流れ、更に好ましくは実質的に層流(すなわち、Re<5000)、なおいっそう好ましくは完全な層流(すなわち、Re<約2500)が、ロータ114と作動通路104との間に生じる。これは、以下に説明されるように、ポンプ輸送を向上させるように液体の粘性効果を用いることが可能であり、望ましい。
図3Cを参照すると、ロータ114が上記の非乱流の状態で回転すると、螺条部123と作動流体との間の相対運動(螺条部角135に起因して、矢印Aa及びAt(但し、かかる図の矢印Atは、紙面から読み手に向かっていることを示している)でそれぞれ示される軸方向及び接線方向の成分を有する)により、オイル中で、螺条部123の螺条部表面積と作動通路104の壁部との間に粘性剪断力を生じる。粘性剪断力は、螺条部と作動通路との間の相対運動に対向して作用する、すなわち、螺条部角135の方向の抗力として作用するが、分析目的から、円周方向の剪断力(紙面に向かう矢印Bt)と、軸方向の剪断力(矢印Baで示される)と、に分解できる。読者は、螺条部表面積、ロータの速度、又は粘性のいずれかが増大するか、又は通路対螺条部距離(thread−to−conduit distance)が縮小すると、かかる抗力が増大することを認識するだろう。更に、抗力が領域に亘って液体に作用するので、粘性力が、対応する粘性圧力又は抵抗圧力を生成することも理解されるであろう。“有用な”圧力発生(すなわち、ポンプ輸送圧となる)に関与する領域は、空隙又はクリアランス高さ(螺条部123と通路壁部104との間)と、突出する螺条部長さ(すなわち、接線方向の圧力成分の場合、突出する螺条部長さは、おおよそ、ロータの軸方向の長さであり、一方、軸方向の圧力成分の場合、突出する螺条部長さは、おおよそ、ロータの円周である。)との積である。従って、予想される又は所望の圧力を計算可能である。しかしながら、本発明においては、適当な背圧をポンプ出口に与えた場合にのみ、このような粘性圧力又は抵抗圧力が圧力ゲインとなることを見出した。抗力はトルクを必要とするものの、ポンプ輸送の圧力ゲインが得られないので、用いられる背圧が、発生する抵抗圧力未満である場合、抵抗圧力は、単に効率を失う。従って、所望の液体をポンプ輸送する場合には、かかる背圧が、ロータ114の回転によって生じる粘性圧力又は抵抗圧力に実質的に等しくなるように、背圧をポンプ出口で利用するのが好ましい。ポンプにおける液体に対して作用する力は、主として、接線方向であり(なぜなら、螺条部角は45°未満であるのが一般的であるため、これがロータの速度の最大成分となるからである)、また、液体内の合計圧力はバランスしなければならないので、液体の軸方向の速度は、背圧及び軸方向の剪断圧力と共に、軸方向の合計圧力が、接線方向の合計圧力に等しくなるようにする必要がある。従って、このようにして、本発明では、液体のポンプ輸送力を形成する。摩擦及び/又は流体の動的揚力をポンプの液体に用いる従来技術のスクリュー型又はらせん型のポンプと異なり、本発明の螺条部は、流体力学ベーンよりむしろ窓のワイパーに似たように作用して、接線方向の剪断圧力を発生し、そして、これが分解され、背圧とバランスして、装置から液体をポンプ輸送する。従って、従来技術の装置を用いた場合と比較して、圧力及び流速を大きくすることが可能である。
使用時に、かかる粘性剪断力又は抗力は、末端プレート134に対して、ロータ114を軸方向の後方に押圧する傾向にある(これにより、バイパスアセンブリに、以下に更に説明するように、有利に接近する)。末端プレート134が、ロータ114のそれ以上の軸方向の動きを抑制するので、ロータに対するこのような荷重は、末端プレート134による反作用となり、ロータ114は、粘性剪断力又は抗力に実質的に等しい力でオイルに対して押し戻し、そしてこのような作用により、本発明の主たるポンプ輸送力を(矢印Bの反対の方向に)生じさせる。
上記で短く述べたように、通路壁部104は、平滑であるのが好ましく、これにより、壁部104に対する螺条部123のシール能力を改善する。本発明の粘性剪断力及び粘性剪断圧力の発生は、平滑な通路壁部を備えることによって、大幅に高められる。従来技術、例えばBlecker等による米国特許第5088899号では、積層スチールの作動通路、すなわちモータステータと共通の構造を提供することが知られており、そしてかかるモータステータは作動通路と兼用であるため、組み合わせを形成するのが一般的であるように考えられることから、積層された作動通路を提供することを示している。しかしながら、本発明者等は、積層金属ステータが本発明の所望の方法の場合の望ましいシール能力又は低い摩擦特性を有していないことを見出した。
明らかなように、設計者は、所望のポンプ輸送特性を有する本発明のポンプの提供において、多くのパラメータを調節することが可能である。重要な考慮すべき事項は、剪断膜の厚さ(すなわち、螺条部123と壁部104との間)であり、これは、所定の液体に対する剪断力及び圧力の大きさ、並びにロータの速度により調整される流れのレイノルズ数又は“層状態(laminarity)”、螺条部角及び螺条部表面積、ロータと通路との間のクリアランス、及び液体の選択に影響を与える。設計者は、螺条部高さ、ロータ対通路のクリアランス高さ、螺条部幅、螺条部角、螺条部長さ、ロータにおける螺条部の数、ロータの速度、背圧、及び液体(すなわち、粘性を変更するため)を含む多くのパラメータを決定し、本発明のポンプの設計でこれらのパラメータ及び他の事項を調整する。
螺条部幅は、螺条部と通路壁部との間の漏れを低減する助けともなる。従って、螺条部幅を抗力及び漏れに対して最適化するのが好ましい。
高速度条件下で最大の流速及び圧力を生成するために、ロータと通路との間のクリアランス及び螺条部高さは、極めて小さくされるのが好ましい。例えば、約15mmのロータ径、約0.6mmの螺条部高さ、約0.001mmの螺条部対通路クリアランス及び約0.3ラジアンの螺条部角を有するポンプにより、約1MPaで50L/分を超える流れを生じさせる装置を得ることが見出された。ポンプの寸法、速度及び圧力は、ポンプ輸送される液体及びポンプの構成に応じて変更可能である。例えば、流れの層流性は、規模に応じて異なり、そして径が大きく、低速度のロータは、極めて厚い螺条部を有することが可能であり、そして依然として、非乱流又は層流の領域に止まっている。
更に本発明は、ベアリングレス設計を便利に提供する。湾曲した外表面127は、作動通路104の内壁、並びに螺条部123、ロータ114及び通路104の間の小さなクリアランスと協働して、流体力学効果を形成し、これにより、圧力を生成して(図3Cの矢印Cで示される)、らせん状の螺条部における湾曲外表面の間でオイルウェッジを形成する。より高い回転速度条件下で、かかる圧力は、オイルウェッジがジャーナル軸受け内でシャフトを支持する方法に類似の手法でロータ114を半径方向に支持するのに十分である。かかる効果は、液体の粘性の作用によって影響を及ぼされるので、ポンプの構成要素の相対寸法設定についても同様に、このような事項を要因として含めるべきである。従って、かかるポンプは、ロータを支持するために、いかなる種類(例えば、機械的、磁気的、エアによる)のベアリングも必要しないものの、必要により、軸受け支持を設けても良い。
更に、一体冷却システムを提供する。運転中、出口端部でのオイル圧力は、入口端部における圧力より大きく、そしてこのような圧力差により、オイルが、冷却液入口開口部170を通ってステータチャンバ146に入り、そして冷却液通路149を通ってステータに流れて、電気巻き線を冷却し、その後、冷却液出口開口部168から出る。上述したように、入口開口部170(ポンプ出口端部に隣接)は、冷却通路に入るオイルをポンプの高圧側末端で“計量”するために、出口開口部168より小さく、一方、これにより、大きな開口の出口開口部168を介して作動通路104に対して、オイルを比較的制限されずに再流入させることが可能になる。
本発明により、極めて高い速度(例えば、++10000rpm)を含む大きな速度範囲での運転が可能となるものの、レイノルズ数は、上述したように、ロータと通路との間において、約10000未満、好ましくは5000未満、更に好ましくは2500未満に維持される。高速度により、類似の流速及び圧力を有する従来技術のポンプと比較して、大幅に小さく装置を作製可能となる。このような構造により、従来技術と比較して、良好な信頼性(簡素な設計、ベアリング無し)及び低い運転コストを可能にする。
本発明のポンプ100は、製造が比較的容易な部品を含む。ワイヤ126を螺条部として用いる場合、ワイヤをロータ114に対してらせん型式で巻き付け、好ましくは予め引張状態とすることによって、ワイヤ126を円筒形のロータ114に取り付けることが可能であり、その後、ロータ114を作動通路104に挿入して、ロータとハウジングの間にポンプ輸送チャンバを形成し、そして末端キャップを設置する。らせん型螺条部を形成するこのような方法を、電動式ポンプだけでなく、他の種類のポンプに対して、広く利用可能である。
本発明の一の側面では、以下に説明するように、複数ポンプのシステムにおいて作動しないポンプにより生じる大きな圧力降下に関連した課題と容易に取り組むことが可能となる。
図5は、直列に接続した本発明の2基のらせん型ポンプ100a及び100bを概略的に示している。ポンプ100aが作動しない場合、非作動ポンプ100aの前後の圧力差は、作動ポンプ100bの逆となる(すなわち、入口110aでのオイル圧は、出口106aより大きい)。これにより、ロータ114aは、出口コア部材130aに向かって押しやられ、そしてロータ114aと入口コア部材128aの間に間隙を残す。ロータ114aは出口コア部材130aと軸方向で接するものの、出口コア部材130aにおける開口部142(図2を参照)により、中央通路125aからポンプ出口106aに至る通路が生じる。従って、この場合、作動ポンプ100bによってポンプ輸送されたオイルは、ポンプ100aのポンプ入口110aに入り、そしてオイルの大部分は、非作動ポンプ100aを通る中央通路125aによって形成されるバイパス通路を流れることが可能となるので、非作動ポンプ100aに亘って生じるであろう圧力降下を大幅に低減する。
本発明の他の実施の形態において、本発明のらせん型ポンプを、例えば、燃料供給管における燃料ポンプの上流側に配置し、例えば低温で燃料中に形成する場合がある氷粒子の溶解に有用な昇圧ポンプとして使用することが可能である。作動流体を移動させるために本発明のポンプによって生じる粘性剪断力により、熱エネルギが得られ、これを用いて、燃料流中の氷粒子を溶解することが可能となる。
上述した実施の形態は、本発明の技術から逸脱することなく変更可能であることに留意すべきである。図6に示すように、螺条部をステータに静止して取り付け、その中で単純な円筒形ロータが回転するように、本発明を用いても良い。図6では、上述した構成要素に類似の構成要素が、200を付加した同様の参照番号を有する。他の好適な組み合わせ又はサブコンビネーションを用いても良い。更に、作動媒体は、好適な液体、例えば燃料、水であっても良い。本発明の概念を、機械的、流体力学的及び空気的に駆動されるポンプに利用可能であることに留意すべきである。非作動ポンプのバイパス特徴についても同様に、他の種類のポンプ、例えばスクリュー型ポンプ、遠心ポンプに利用可能である。バイパス特徴を、種々の構成に設けても良く、上述のいずれかの具体例に限定されない。更に、ポンプ輸送される媒体によるステータ冷却技術を、他の電動ポンプ及び流体装置に利用可能である。いかなるロータ及びステータの構成を用いても良く、永久磁石及び/又はACの設計を必要としない。本発明は、内側ステータ及び外側ロータを有するように構成可能である。湾曲面127は、任意の半径或いは多数又は複合の半径の組み合わせであっても良く、そして平坦な又は湾曲しない部分を含んでいても良い。圧力フィードバック装置及びバイパス装置を同一の手段で形成する必要がなく、ロータにおいて中心ではなく、ロータ中に設ける必要もない。ポンプチャンバは、いかなる好適な構成を有していても良い:すなわち、入口及び出口を、同軸上に位置合わせ、又は同心に位置合わせする必要がなく;ポンプ輸送チャンバは、一定の半径又は環状である必要がなく;軸ポンプ輸送を、遠心又は他の放射状の構成に置き換えても良く;螺条部は、ロータの長さに沿って連続していなくても良く、中間のベーンによって不連続であっても良く;螺条部は、連続するらせんでなくても良く;そして、当業者等にとって、更に別の変更は明らかであり、本実施の形態における上記の列挙は、包括的であることを意図するものではない。本発明の範囲は、むしろ、特許請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (11)
- 動的粘性を有する液体の循環システムに用いられ、少なくとも1つの入口及び1つの出口を有し、前記循環システムの使用中、前記ポンプ出口にて背圧を有するポンプであって、
ほぼ環状の通路を間に画定するように離れた第1の表面及び第2の表面を構成する回転式ロータ及びステータであって、前記通路は、中心軸及びクリアランス高さを有し、前記クリアランス高さは、前記第1の表面から前記第2の表面までの径方向の距離であり、使用時に、ロータが、ロータ速度で回転するように構成された回転式ロータ及びステータと、
前記第1の表面に取り付けられ、前記中心軸に対する螺条部角でもって前記中心軸の周囲にらせん状に延在し、前記第1の表面より上方への螺条部高さと螺条部幅とを有し、前記螺条部高さは前記クリアランス高さ未満であり、前記螺条部幅が、螺条部長さと共に、前記第2の表面に対向する螺条部表面積を形成する少なくとも1つの螺条部と、
を備え、
前記ロータは、使用時に、前記ステータに対してロータ速度で回転して、前記螺条部と前記第1の表面及び前記第2の表面との間にある液体の剪断によって、対応する粘性抗力圧力を有する粘性抗力をロータの回転に抗して生じさせ、
前記螺条部高さ、螺条部表面積及び螺条部角は、これらの寸法及び構成により、前記背圧に実質的に等しい粘性抗力圧力を形成するように構成され、
前記クリアランス高さは、前記第1の表面と前記第2の表面との間で非乱流の液体の流れを形成するように寸法設定される、ことを特徴とするポンプ。 - 前記クリアランス高さは、10000未満の正味レイノルズ数を形成するように寸法設定される請求項1に記載のポンプ。
- 前記クリアランス高さは、3000未満の正味レイノルズ数を形成するように寸法設定される請求項1に記載のポンプ。
- 前記第1の表面は、前記ロータの表面である請求項1に記載のポンプ。
- 前記螺条部は、前記第2の表面に対向する湾曲面を有する請求項1に記載のポンプ。
- 溝が、前記螺条部の隣接部分の間に画定され、且つ前記螺条部幅より広い幅である請求項1に記載のポンプ。
- 前記第1の表面の周囲に、周方向に等間隔をおいて複数の螺条部が設けられている請求項1に記載のポンプ。
- 前記複数の螺条部は、相互に組み合わされている請求項7に記載のポンプ。
- 前記螺条部は、前記ロータにおける作動長さに沿って連続する請求項1に記載のポンプ。
- ポンプ輸送システムの寸法設定方法であって、
前記システムが、少なくとも1種のポンプと、動的粘性を有する液体の循環に用いられる循環ネットワークと、を含み、さらに前記循環システムが、前記ポンプの出口で背圧を有し、前記ポンプが、間に環状の通路を画定するように第1の表面及び第2の表面を形成する回転式ロータ及びステータを有し、前記通路が、中心軸及びクリアランス高さを有し、前記クリアランス高さが、前記第1の表面から前記第2の表面までの半径方向の距離であり、前記ロータが、使用時にロータ速度で回転するように構成され、少なくとも1個の螺条部が、前記第1の表面に取り付けられ、前記中心軸に対する螺条部角でもって前記中心軸の周囲にらせん状に延在し、前記螺条部が、前記第1の表面より上方への高さと、螺条部幅と、を有するものにおいて、
所望のシステム構成及び所定の液体に対する前記背圧を決定するステップと、
ポンプの運転中に前記通路で非乱流の流れを形成するようにポンプのパラメータを寸法設定するステップと、
ポンプの運転中にロータの回転に応じた抗力を生成するように螺条部寸法を選択するステップと、
ポンプの運転中、所望のロータ速度に対して、抗力圧力と背圧とが実質的に等しくなるように背圧及び螺条部寸法の少なくとも一方を調節するステップと、
を含むことを特徴とするポンプ輸送システムの寸法設定方法。 - 添付の明細書及び図面に記載されている発明。
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