JP2008522196A - 馬のヘモグロビンに対するモノクロール及びポリクローナル抗体ならびに馬の潰瘍の同定及び位置確認における該抗体及び/又はパーオキシダーゼ反応を用いた装置及び方法 - Google Patents

馬のヘモグロビンに対するモノクロール及びポリクローナル抗体ならびに馬の潰瘍の同定及び位置確認における該抗体及び/又はパーオキシダーゼ反応を用いた装置及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に、診断及び試験装置ならびに方法に関し、より詳細には、馬のヘモグロビン及びヘマチンに対する抗体ならびに馬の胃及び結腸潰瘍を検出及び位置確認するための試験装置、キット及び方法におけるそれらの使用に関する。テストされる馬から、糞便のサンプルを集め、その溶液を2、3滴テスト装置に入れる。数分で、テスト徴候ゾーンが見えるようになり、胃又は結腸潰瘍を診断し、いずれか又は双方を検出した場合に即座の治療の基礎を提供する。
【図面】図2

Description

本発明は、一般に、診断及び試験装置ならびに方法に関し、より詳細には、馬のヘモグロビン及びヘマチンに対する抗体ならびに馬の胃及び結腸潰瘍を検出及び位置確認するための試験装置、キット及び方法におけるそれらの使用に関する。
この出願は、米国仮特許出願第60/633,167(出願日2004年12月4日)の名称「馬のグロブリン及び馬のヘマチンに対する抗体ならびに馬の潰瘍の同定及び位置確認における該抗体を用いる装置及び方法」の優先権を主張し、全趣旨を参照することによりここに取り込む。
馬の潰瘍の検査及び診断を議論する前に、馬で消化管潰瘍の高い発病率をもたらす馬のいくぶん独特の消化管解剖を議論することは有益である。人間と大部分の他の動物の場合、胃酸は食べることに応じて胃で分泌される。対照的に、馬はトリクル・フィーダー(一日中、ゆっくり、しかし、おおよそ連続的に食べる)として千年紀にもわたって育ち、胃液の連続産生及び肝臓からの前腸への胆汁分泌を伴って、それらの消化器系はそのようなダイエットのために適応する。このように、馬が餌を与えられているか否かにかかわらず、馬の胃は一日中おおよそ連続的に胃酸を生産する酸ポンプとみなすことができる。
1920年における約20%から、この10年では約90%又はそれ以上、パフォーマンス馬の消化管潰瘍の発病率は、最も鋭く上がっている。競走馬では、例えば、競走馬の個体数の97パーセントも消化管潰瘍があり、ショー馬の消化管潰瘍にかかっているパーセンテージは、わずかに遅れをとっているのみであることが報告されている。パフォーマンス馬の子馬でさえ、約60パーセントのパフォーマンス馬の子馬が消化管潰瘍にかかっており、この状態に苦しめられている。遊技馬がショー馬より低い消化管潰瘍の発病率である一方、この20年間、消化管潰瘍の増加している発病率は遊技馬を含む馬の個体数のすべての部分に対して顕著である。
馬のランダムな切り口の最近の科学的研究は、それらの約55パーセントが胃潰瘍にかかっていることを示し、それらの45パーセントが結腸潰瘍にかかっていることを示した。胃及び結腸潰瘍の発病率は同一でなかったが、これは、何頭かの馬が胃潰瘍だけにかかっており、他の馬は結腸潰瘍だけにかかっていたことを意味する。しかし、全体の30パーセント未満の馬の個体数で胃又は結腸潰瘍がないが、結腸潰瘍にかかっていた大部分の馬は、胃潰瘍にもかかっていた。上記したように、ショー馬及び競走馬に対する消化管潰瘍の発病率は、一般的な馬の個体数のこれらの統計よりさらに高い。
当該技術分野において利用されている馬において、消化管潰瘍の問題に対する多くの解決策がある。そのような解決策は、胃内で、一時的に酸を中和するために制酸剤を使用すること、胃酸の生成を阻害する薬物を使用すること、休息と飼料との節食を延長することを含む。最近では、「馬及び他の動物における消化管潰瘍の治療及び予防のための補助食品及び方法」(この特許出願は本発明の譲受人に譲渡された)という名称の2003年5月9日に出願された米国特許出願番号第10/435,367号で開示されている(全趣旨を参照することによりここに取り込む)ように、新規で非常に効果的な栄養補助食品が、胃潰瘍の治療及び/又は予防のために開発されている。
そのような治療が有効である一方、高精度で馬の胃潰瘍を診断することは相変わらず非常に困難であり、馬の結腸潰瘍を診断することは全く不可能である。馬の潰瘍を診断する最も一般に利用された方法は、いわゆる、認められた治療の結果と組み合わされる症状(それは、しばしば漠然とし、例えば体重減少、食欲不振、無気力又は間欠熱等の非特異な症状である)の使用であるが、全く頼りにならないことが見出されている。これは、同じ症状の多くの潜在的原因があり得、すべての馬が、潰瘍の同じ又はさらに重篤な症状を示すわけではなという事実のためである。そのように、この技術の使用は、しばしば推測ゲームに過ぎない。
馬の胃潰瘍を診断する唯一の信頼できる方法は、3メートルのビデオ内視鏡を用いることによるものであり、それは高価で、時間がかかり、ストレスが多く(馬及びトレーナ/オーナー双方に)、非常に不利である。3メートルのビデオ内視鏡を購入するコストは、非常に高く、オーナ及び最もエリートのトレーナー以外のヒトには非常の高価である。内視鏡のコストに加えて、手順が厄介で時間がかかるという事実がある。オーナ、トレーナー及び3メートルのビデオ内視鏡を所有していない獣医は、内視鏡を所有しているクリニック又は獣医に意見を聞かなければならない。これはさらなる時間及び出費をもたらすが、馬にさらにストレスを感じさせ、それがオーナ、トレーナー又は普通の獣医から馬の管理を失わせるため、フラストレーションをもたらす。
そのうえ、たとえ3メートルのビデオ内視鏡が利用することが可能で、使用されるとしても、最も高度な内視鏡検査でさえ、75フィートの消化管−全後腸に達しそこなうため、その結果は全く決定的でない。十分な長さの内視鏡を利用することができず、内視鏡の使用は十分に後腸を空にすることを必要とする(それは馬をおそらく殺すことになる)ため、後腸は、内視鏡を使って観察することができない。実際、最近、馬の結腸潰瘍の高い発病率が報告されたが、それは死後の視覚分析の使用によってのみ行われたものである。
従って、本発明の主な目的は、馬の胃潰瘍及び結腸潰瘍の双方の診断において有効である馬の潰瘍テストキットならびにテストキットの使用のための関連方法を提供することである。本発明の関連する目的は、胃潰瘍、結腸潰瘍又はその双方の存在に関して高度に特異的な指標を与えることである。本発明の他の関連する目的は、過度の偽陽性判断をもたらさずに、馬における潰瘍の存在を同定することならびに馬に存在する潰瘍の種類を同定することの双方に高い信頼性を与えることである。
本発明の他の目的は、試験を簡単に、迅速に行い、ユーザが試験を行うために、特別な技術又はトレーニングを必要としないことである。本発明のさならる目的は、それが全く自己充足的であり、実地試験としてどこでも実行することができるように、研究所分析又はさらなる処理装置を必要としないことである。本発明のさらに他の目的は、それが迅速に、長期間を必要とせずに分単位で、試験結果を提供することである。
本発明の馬の潰瘍テストキットは、また、永続性と長い耐久性との双方を有する構成でなければならず、さらにそれらが長期の貯蔵寿命をもつことを確実にするためにテストキットの特別な貯蔵条件も必要としてはならない。本発明の馬の潰瘍テストキットの市場アピールを強化するために、それは、安価な構成でなければならず、それによって、それに最も広範な実現可能な市場を与えることができる。最後に、前述の利点の全て及び本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法の目的が、いかなる実質的で関連する不利を招くことなく達成されることが目的でもある。
欠点及び上で議論した背景技術の制約は、本発明によって解消される。本発明では、馬の胃潰瘍、結腸潰瘍又はその双方の存在を、非常に感度が高く、特異的に同定することが可能な、明確に胃潰瘍と結腸潰瘍とを区別する馬の潰瘍テストキット及び方法として、馬の潰瘍テストキット及びそのテストキットの使用方法を提供する。本発明の潰瘍テストは、テストされる馬の糞便に含まれる血液の構成要素を同定するため、糞便の血液検査と称される。
本発明の教示によると、胃潰瘍又は結腸潰瘍の存在のそれぞれの高い標示となる2つの血液構成要素を確認している。本発明の発明者らは、糞便に含まれる無傷のグロビンの存在が結腸起源でもっとも可能性が高いことを確認している。これは、胃潰瘍からの血液(ついでに言えば、頭蓋から十二指腸のいずれか他の血液)が、胃内で酸及びペプチドによって分解し、他の生成物のうち、ヘマチン(それは、ともに結合する2つのヘム分子からなる分子である)を産生するであろうという事実による。
このように、糞便中の無傷のグロビンの存在が結腸潰瘍の存在を示し、一方、ヘマチンの存在が胃潰瘍の存在を示す。指標としてヘマチン及びグロビンを用いる馬の潰瘍のテストキット及び方法が、馬における1以上の潰瘍の存在及び位置の双方の良好な指標を与えるであろうことは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法の好ましい形態は、ヘマチン及びグロビン指標の存在を検出するために設計された免疫測定であり、本発明の特に好ましい実施形態の馬の潰瘍テストは酵素免疫測定(「ELISA」テスト)であり、それは特定の物質がサンプル中に存在するかどうか検出するために生化学で典型的に使用される方法である。
ELISAテストは、抗体又は抗原(免疫学的分子)及び酵素(生化学反応を引き起こすタンパク質)を含む迅速な免疫化学的なテストである。ELISAテストは、抗原性(主にタンパク質(例えば、ブドウ糖及びカリウムのような小分子及びイオンに対立する))を有する物質(例えば、抗体、細菌性抗原及びホルモン類)を検出するために用いられる。いわゆる「迅速な」ELISAテストは、流体源に結合した一端から流体シンクに結合した他端への流体経路を有する膜からなり、膜にそった3つの別個の分離した領域を有する。
第1の領域は、ラベルされた抗体を含み、それは着色剤(例えば、染料又はコロイド状金)に結合した抗体である。ラベルされた抗体は、第1領域から第2及び第3領域、最後に流体シンクへ向かう流体流とともに移動する。関心物質が液体中にあれば、それはラベルされた抗体と結合するであろう。第2領域(それは一般に、膜を横切って延びるラインである)は、膜に結合する抗体を含む。
第2領域中の抗体は、関心物質に対する親和性(引き付け及び捕捉する)があり、第2領域中でラベルされた抗体と関心物質との「サンドイッチ」をつくり、それによって、関心物質の存在を示す陽性判断である着色ラインを生成する。関心物質が液体中により多く含有されるにつれて、第2領域中における抗体に対して関心物質が結合するであろうラベルされた抗体がより多くなる。
関心物質の存在にかかわらず、第3領域では、これも膜を横切って延びるラインであるが、流れ及び量が十分であれば、着色されたラインを生成するであろう異なる抗体/抗原反応を用いる。これは、テストシステムが適切に作動していることを示すコントロールとして機能する。第3領域は、テストされる流体が第2領域を横切ったことを示すために、第1領域から第2領域の反対側にあり、それによって、テストシステムが適切に作動するために、テストされている流体が十分にテストシステムに供給されたことを示す。
そのようなテストシステムは、2つの抗体に基づいており、米国特許第5,602,040号(Mayら)において包括的に例示されている。抗体の第1グループを含む粒子は、その第1端でニトロセルロース膜上で乾燥された着色ラテックス又は金コロイド粒子の表面に結合し、上述した第1領域を示す。抗体の第2グループは、ライン状にニトロセルロース膜に結合し、上述した第2領域を示す。
そのテストは、第1端でニトロセルロース膜に液体サンプルを吸収させることによって行われる。第1領域での粒子は、液体流によって自由に動き回り、検出される検体は、その粒子上の抗体に結合する。第2領域では、検出される検体は、ライン中に存在する別の抗体にも結合し、可視の着色ラインが、その検体の存在を示すように形成される。この種の免疫クロマトグラフィーテスト技術は、膜を通過する流れに基づき、「lateral flow technique」(米国特許出願第5,602,040号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)、米国特許第5,712,170号(Kouvonenら))と称され、この分野における技術の良好な要旨を提供する。
迅速なELISAテストは、製造するのに比較的安価で、操作するのが簡単であり、研究所装置の必要なしで、迅速な分析を提供する。ELISAテストの抗体は、一般に、動物に関心物質を接種し、その後、動物はその物質に対する抗体を産生することによって得られる。この生化学的関係は、それによって、関心物質を単離し、検出するメカニズムとして利用される。ELISAテストは、感受性がよく、特異的であり、放射免疫分析評価(「RIA」)テストに良好に匹敵する。ELISAテストは、放射性同位元素又は放射線計数装置を必要としないさらなる有利さがある。
本発明の好ましい実施形態では、馬の潰瘍テストキットは、1つ又は2つのプラスチックケースのいずれかに収容される2つのテスト細片を含む。テストされる馬から落下する糞便を、バケツ又は手桶又はビニール袋のような容器に入れ、溶液(それは、水又は塩等の緩衝剤を含む水であるかもしれない)を加え、混合物を旋回させるか、攪拌するか、完全にそれを混合するために捏和する。点眼剤のようなアプリケータを、ケース中のテスト細片上に、容器から数滴の液体を滴下するために用いる。
約5分〜約30分の好ましい範囲の期間にわたって、2つのテスト細片は、コントロール指標を示す可視マーカー及び、もし、テストされる指標が存在する場合には、胃及び/又は結腸潰瘍の存在をそれぞれ標示するそれらの指標の検出を表す可視マーカーを与えるであろう。本発明は、一方は胃潰瘍の存在の標示であり、他方は結腸潰瘍の存在の標示である2つの指標を用いる。胃の指標は、抗体反応の代わりにグアヤクアヤク、テトラメチルベンジジンのようなパーオキシダーゼ反応を利用してもよい。
好ましい実施形態では、結腸潰瘍の存在の指標を示す関心物質は、検出される場合には、馬のグロビンであり、胃潰瘍の存在の指標を示す関心物質は、検出される場合、馬のヘマチンまたはヘムである。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、それによって胃及び/又は結腸潰瘍を診断することができ、治療のための即時の基礎を与える。
従って、本発明が、馬の胃潰瘍及び結腸潰瘍の診断において有効である馬の潰瘍テストキットならびにテストキットの使用のための関連した方法を教示することがわかるかもしれない。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、胃潰瘍、結腸潰瘍又は双方の存在に関して、高い特異的な指標を提供する。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、馬における潰瘍の存在のそれらの同定ならびに馬に存在する潰瘍の種類のそれらの同定の双方において非常に信頼でき、過度の偽陽性判断をもたらさない。
本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、簡単で機能するのが速く、それらは、テストを行うために特別な技術又はトレーニングを必要としない。本発明の馬の潰瘍テストキットは、全く自己充足的であり、研究所分析又はさらなる処理装置を必要とせず、それにより、実地試験としてどこでも実行することができる。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、迅速に、長期間を必要とせずに分単位で、試験結果を提供する。
本発明の馬の潰瘍テストキットは、永続性と長い耐久性との双方を有する構成であり、そのテストキットは、特別な貯蔵条件を必要とせず、長期の貯蔵寿命を有する。本発明の馬の潰瘍テストキットは、市場アピールを強化するために、安価な構成であり、それによって、それに最も広範な実現可能な市場を与えることができる。最後に、前述の利点の全て及び本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法の目的が、いかなる実質的で関連する不利益を招くことなく達成される。
本発明のこれら及び他の利点は、図面を参照して十分に理解される。
馬の消化管の解剖を示す馬の要部の概略図である。
本発明の教示によって構成され、使用され、胃潰瘍テスト細片を収容する第1ケースと、結腸潰瘍テスト細片を収容する第2ケースとを有する馬の潰瘍テストキットを示す図である。
本発明の教示によって構成され、使用され、胃潰瘍テスト細片と、結腸潰瘍テスト細片との双方を収容する単一のケースを有する馬の潰瘍テストキットの別の実施形態を示す図である。
本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法に関する議論の前に、簡単に、馬の消化器系の解剖を議論することが役立つ。図1を参照して、馬20の側面図を示し、図式的に馬の消化管を表す。馬20の消化管は、参照番号22によって一般に示した前腸と、参照番号24によって一般に示した後腸に分けられるかもしれない。
馬20の消化管は、その口26から始まり、食道28を通して、胃30に、次いで、小腸32に順番に及び、それらはともに馬20の前腸22を構成する。馬20の前腸22は、馬20の消化管の相対的な収容力の約35〜40パーセントを構成する。
小腸32から、消化管は、盲腸34、大結腸36、直腸40で終端される小結腸38を通して及ぶ。馬20の消化管のこれらの構成要素は、ともに馬20の後腸24を構成する。後腸24は、馬20の消化管の相対的な収容力の約60〜65パーセントを構成する。
本発明の馬の潰瘍テストキットの好ましい実施形態を、図2に示す。胃潰瘍を検出するための馬の潰瘍テストキットを収容する第1ケース50を示す。第1ケース50は、分析される流体を導入する、そこに位置する開口52を有する。また、第1ケース50には、そこに位置するテスト徴候ゾーン58とコントロール徴候ゾーン60とを有するテスト細片膜56を視認できる観察窓54を配置している。関心物質の存在が検出される場合、テスト徴候ゾーン58が見えるようになり、それによって胃潰瘍の存在の指標を与える。
また、図2は、結腸潰瘍を検出するための馬の潰瘍テストキットを収容する第2ケース70を示す。第2ケース70は、分析される流体を導入する、そこに位置する開口72を有する。また、第2ケース70には、そこに位置するテスト徴候ゾーン78とコントロール徴候ゾーン80とを有するテスト細片膜76を視認できる観察窓74が配置されている。関心物質の存在が検出される場合、テスト徴候ゾーン78が見えるようになり、それによって結腸潰瘍の存在の指標を与える。それらはともに近接して示すが、第1ケース50と第2ケース70とは、図2において示された実施形態では分離している。
図3を参照して、単一のケース90を備えるテストキットの代替の実施形態を示す。ケース90は、分析される流体を導入する、そこに位置する1つのより広口の開口92を有する。また、ケース90は、両側に、そこに位置する第1観察窓94と第2観察窓96を配置している。そこに配置しているテスト徴候ゾーン100とコントロール徴候ゾーン102を有するテスト細片膜98は、第1観察窓94を通して見える。関心物質の存在が検出される場合、テスト徴候ゾーン100が見えるようになり、それによって胃潰瘍の存在の指標を与える。十分な流体が開口92を通してケース90に導入された場合、コントロール徴候ゾーン102が見えるようになる。
テスト徴候ゾーン106とコントロール徴候ゾーン108を有するテスト細片膜104は、第2観察窓96を通して見える。関心物質の存在が検出される場合、テスト徴候ゾーン106が見えるようになり、それによって結腸潰瘍の存在の指標を与える。十分な流体が開口92を通してケース90に導入された場合、コントロール徴候ゾーン108が見えるようになる。
図2におけるテスト細片56及び76と、図3におけるテスト細片98及び104との構成は、当業者にはよく知られている。同様に、異なるケースデザインを備えるテストキットの種々の他のタイプの構成も、当業者にはよく知られている。図2及び図3示されるテスト装置の重要な部分は、胃及び結腸潰瘍に対するテストを提供するために用いられる抗体のタイプと起源であり、それを以下で議論する。
その議論の前に、図2及び図3に示されるテストキットの操作の主な説明を示す。獣医、トレーナー又は馬の飼主は、テストされる馬から、糞便のサンプル(望ましくは全ての便通)を集める。次いで、糞便のサンプルをバケツ、手桶又はビニール袋のような容器に入れ、水溶液(それは、水又は塩等の緩衝剤を含む水であるかもしれない)を、旋回、攪拌、捏和によってそれらとともに混合する。次いで、点眼器又は他のいずれかの便利なメカニズムを使って、獣医、トレーナー又は馬の飼主は、ケース50及び70の中に(それぞれ、図1の実施形態に対して)、開口52及び72を通して、又は図2の実施形態のケース90の開口92を通して、流体の2、3滴をテスト装置に入れる。
数分で、コントロール徴候ゾーン60、80(図1の実施形態に対して)が見えるようになるか、あるいは、コントロール徴候ゾーン102、108(図2の実施形態に対して)が見えるようになり、テストキットの適切な操作を示す。グロビンが検出される場合、テスト徴候ゾーン58(図1の実施形態に対して)、あるいは、テスト徴候ゾーン100(図2の実施形態に対して)が見えるようになる。同様に、ヘマチンが検出される場合、テスト徴候ゾーン78(図1の実施形態に対して)、あるいは、テスト徴候ゾーン106(図2の実施形態に対して)が見えるようになる。テストはそれによって胃又は結腸潰瘍を診断し、いずれか又は双方を検出した場合に即座の治療の基礎を提供する。
図2及び図3に示される実施形態が、図2で示される実施形態に対して別々のテスト細片部材56及び76を示し、図3で示される実施形態に対して別々のテスト細片98及び104を示すが、当業者は単一の膜上で双方のテストを組み合わせることが可能であることを十分に理解する。
本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法の好ましい実施形態では、検出される場合、結腸潰瘍の存在の指標を示す関心物質は馬のグロビンであり、検出される場合、胃潰瘍の存在の指標を示す関心物質は馬のヘマチン又はヘムである。その選択は、馬の糞便で検出されるグロビンが結腸を起源とするのみであるため、結腸潰瘍の存在に特異性を与えることを示す馬のグロビンである。これは、胃潰瘍からの血液(ついでに言えば、頭蓋から十二指腸のいずれかの血液)が胃で酸及びペプチドによって分解するためであり、それによって、糞便中で検出されるグロビンは胃潰瘍が起源であろうということは全くありえない。
しかし、他の生成物のうち、胃内の酸及びペプチドの作用は、ヘマチン及びヘムを含む物質を産生する。糞便中で検出されるヘマチン又はヘムは、かなりの確率で、胃であって、結腸以外(それに関していえば、胃から尾部のいずれかの血液)に由来し、従って、糞便中で検出されるヘマチンが結腸潰瘍を起源とすることは全くありそうもない。よって、当業者は、本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法を正当に理解し、それによって胃及び/又は結腸潰瘍を診断するためのメカニズム及び方法を提供することができ、これらの潰瘍の治療に、信頼性を提供することを可能にする。
グロビンテスト
グロビンテストは、非常に感受性が高いノモクローナル/ポリクローナル免疫測定である。4つの異なるステップが、そのような免疫測定(つまり、免疫化、融合、クローニング及び製造)の創出にある。最初のステージは免疫化であり、ウサギ、マウス、ラット、モルモット又は他の適当な試験動物に、馬血に由来する馬のグロビンを注射する。これは試験動物で免疫反応を引き起こし、それはその血液及び脾臓においておびただしい量の抗体を生成するであろう。
約6週間目に、動物から採血し、ELISAテストを使って抗体を検査することができる。これは、インビトロで、試験動物の血液を馬血清と反応させることを含む。抗体が存在する場合、ELISAでは変色する。抗体の濃度が不十分でしか存在しなければ、試験動物は、馬のグロビンの1以上のブースター注射が必要かもしれない。これらの最初の採血は、ポリクローナル抗体を生成するのに用いることができる。このステージに、一般に3ヵ月程度を要する。
第2ステージは、融合であり、試験動物が屠殺され、それらの脾臓を、馬の抗体を生成する細胞を離生させるために浸軟する。次いで、これらの細胞は、Stankerらの米国特許第5,552,295号(全趣旨を参照することによりここに取り込む)で記載されているように、それらを不死化するために骨髄腫細胞系と融合させることができる。一旦不死化されると、これらの細胞は、抗体の連続供給を提供するために無限に培養することができる。
次に、ハイブリドーマ(融合細胞)を、いくつかの96マイクロタイターパネルに平板培養する。これらの細胞を、別のELISAテストで免疫性のテストし、適当な抗体反応を示すものはさらなるマイクロタイターウェルに拡大されることができる。一般に、5〜6週間程度かかるこのステージで、これらの細胞は、ELISAテストによってさらに試験され、望ましい抗体を産生する細胞の純系を提供する。
第3ステージは、クローニングであり、第2ステージで陽性反応を示した細胞をクローン化し、ELISAテストによってさらに試験する。数サイクルのクローニングが、安定したクローンを産生するために必要かもしれない。次いで、これらのクローンはマウス腹部に注入し、それにより、それらは腹水症を発症する。モノクローナル抗体を、腹水から精製し、よって、使用の準備が整う。この技術が馬のグロビンを特異的に標的にする新規なモノクローナル抗体を産生することは、当業者に容易に理解できるであろう。第3ステージに、一般に、3ヵ月程度を要する。
あるいは、抗原での免疫化を鶏で行ってもよく、鶏はそれらの卵黄中で、抗体を産生するであろう。鶏は抗体を与えるために十分な卵を産むため、この技術は、上述したクローニングステージを必要としない。しかし、これらの抗体の精製ステージは、上述したのと同様である。
第4の最終ステージは、テストキットの製造である。従来技術の通り、抗体を、多孔性ニトロセルロース又はナイロン膜上に塗布する。馬のグロビンがテスト装置に配置された場合、それは膜を通して運ばれ、着色剤を担持するラベルされた抗体を受け取り、最後にテスト徴候ゾーンで抗体に捕捉される。そこでは、ラベルされた抗体の濃度によって、テストされている馬の糞便中における馬のグロビンの存在を明らかに示す変色が起こる。よって、当業者によって、この新規な抗体テストは、非常に感受性がよく(感度は、約100万分の1(1ミリリットルあたり1マイクログラム)と同程度に高い)、かつ馬のグロビンに特異的であることを理解するであろう。
ヘマチンテスト
ヘマチンは、互いに結合する2つのヘム分子からなる分子である。ヘムは非常に保存性がある(基本的に全ての哺乳類に同様である)ため、試験動物がそれに対する抗体を産生することは起こりそうもない。(抗体が産生される場合、それらは動物自体の血液を攻撃し、それを殺傷するであろう。)この理由から、好ましい実施形態において、鶏卵が、ヘマチンに対する抗体を産生するために用いられる。この手順、つまり、接種、収集、精製及び製造に対して、4つのステップがある。
第1のステージは、接種であり、鶏に、卵を産む前に、馬のヘマチンを筋注する。このように注射された鶏は、望ましい抗体を有する卵を定期的に産む。
第2ステージは収集であり、接種された雌鶏によって産まれた卵を集め、ラベルし、冷凍する。各卵は、卵黄で最高150ミリグラムの抗体を含有するかもしれない。
第3ステージは精製であり、卵を割り、卵黄をアフィニティークロマトグラフィーで精製する。次いで、この溶出液を、ELISAテスト分析によって、さらに精製する。
第4ステージは製造であり、一旦抗体が精製されると、従来技術の通り、それらを多孔性ニトロセルロース又はナイロン膜上へ塗布することができる。馬のヘマチンがテスト装置に配置された場合、それは膜を通して運ばれ、着色剤を担持するラベルされた抗体を受け取り、最後にテスト徴候ゾーンで抗体に捕捉される。そこで、ラベルされた抗体の濃度によって、テストされている馬の糞便における馬のヘマチンの存在を明らかに示す変色が起こる。よって、当業者によって、この新規な抗体テストは、非常に感受性がよく(感度は、約100万分の1(1ミリリットルあたり1マイクログラム)と同程度に高い)、かつ馬のヘマチンに特異的であることを理解するであろう。
あるいは、高い感光性のグアヤク又はテトラメチルベンジダーゼ(TMB)反応を、ヘム又はヘマチンを検出するために用いることができる。この実施形態では、液体はグアヤク又はTMBを通過して運ばれ、過酸化物インジケータがヘム又はヘマチン存在で変色するであろうテストウインドウに適用される。
組み合わせテスト
1つのテストキットでヘマチンテストとグロビンテストとを組み合わせることによって、馬の潰瘍に対して、簡便で、安価で、非常に感度が高く、診断に特異性のある検査を行うことができる。あるいは、2つのテストを、別々のテストキットで提供することができる。好ましい実施形態において、2枚のテスト細片が、うまく1枚に接続しているため、糞便中の液体を一方に塗布することによって、双方にとって十分である。
ヘマチンテストが陽性であれば、胃潰瘍を示す。グロビンテストが陽性であれば、結腸潰瘍を示す。両方の結果が陽性であれば、同時に胃及び結腸潰瘍が存在することを示す。当業者は、この二重テストが、便利で、非侵襲性のテストを胃潰瘍(近年、診断することが困難で高くつく)に、ならびに結腸潰瘍(正確な診断を提供することができるテストが現在存在しない)に提供することができることを理解するであろう。
従って、本発明の好ましい実施例の上述した詳しい説明から、それが馬の潰瘍テストキットならびに馬における胃潰瘍及び結腸潰瘍の双方の診断において有効であるテストキットの使用のための関連方法を教示することを理解することができる。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、胃潰瘍もしくは結腸潰瘍又は両方の存在に関して、非常に特異的な徴候を提供する。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、馬での潰瘍の存在の同定ならびに馬に存在する潰瘍の種類の同定の双方に非常に信頼性が高く、過度の偽陽性判断をもたらさない。
本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、簡便で、迅速に行い、ユーザが試験を行うために、特別な技術又はトレーニングを必要としない。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、全く自己充足的であり、研究所分析又はさらなる処理装置を必要とせず、よって、実地試験としてどこでも実行することができる。本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法は、それが迅速に、長期間を必要とせずに分単位で、試験結果を提供する。
本発明の馬の潰瘍テストキットは、永続性と長い耐久性との双方を有する構成であり、さらにそれらが長期の貯蔵寿命をもつことを確実にするためにテストキットの特別な貯蔵条件も必要としない。本発明の馬の潰瘍テストキットの市場アピールを強化するために、それは、安価であり、それによって、それに最も広範な実現可能な市場を与える。最後に、前述の利点の全て及び本発明の馬の潰瘍テストキット及び方法の目的が、いかなる実質的で関連する不利を招くことなく達成される。
本発明の上述した説明が、その特定の実施形態及び適用に関して示され、記述されたが、それは、例証及び説明の目的のために示したものであって、網羅的であるとか、発明を特定の実施形態及び適用に制限することを意図しない。ここで説明した多くの発明の変更、修正、バリエーションまたは改変を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができることは、当業者には明らかである。
本発明の原理及びその実用的な適用の最適な説明を提供するために、特定の実施形態及び適用を選択し、説明したが、それによって、当業者が本発明を、意図する現実の使用に適するように、種々の実施形態及び種々の修正を加えて利用することができる。従って、それらが公正、法的及び公平に権利が与えられる外延に従って解釈される場合、そのような全ての変更、修正、バリエーション及び改変は、添付の請求項に規定された本発明の範囲内にあることを理解するべきである。

Claims (26)

  1. 馬グロビンに特異的に結合する抗馬グロビン抗体。
  2. 抗馬グロビン抗体は、約100万分の1(1ミリリットルあたり1マイクログラム)と同程度又はそれより高い感受性で馬のグロビンに結合する請求項1に記載の抗馬グロビン抗体。
  3. 抗馬グロビン抗体はモノクロナール抗体である請求項1に記載の抗馬グロビン抗体。
  4. 抗馬グロビン抗体はポリクロナール抗体である請求項1に記載の抗馬グロビン抗体。
  5. 抗馬グロビン抗体は、接種されたウサギ、マウス、ラット又はモルモットの浸軟した脾臓から単離される請求項1に記載の抗馬グロビン抗体。
  6. 馬ヘマチンに特異的に結合する抗馬ヘマチン抗体。
  7. 抗馬グロビン抗体は、約100万分の1(1ミリリットルあたり1マイクログラム)と同程度又はそれより高い感受性で馬ヘマチンに結合する請求項6に記載の抗馬ヘマチン抗体。
  8. 抗馬ヘマチン抗体抗体はモノクロナール抗体である請求項6に記載の抗馬ヘマチン抗体。
  9. 抗馬ヘマチン抗体はポリクロナール抗体である請求項6に記載の抗馬ヘマチン抗体。
  10. 抗馬ヘマチン抗体は、接種された鶏卵から単離される請求項6に記載の抗馬ヘマチン抗体。
  11. 馬グロビンに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生及び分泌するハイブリドーマ細胞系。
  12. 馬ヘマチンに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生及び分泌するハイブリドーマ細胞系。
  13. 馬グロビンに特異的に接合する抗体の製造方法。
  14. 不死骨髄腫系でハイブリダイズされた免疫細胞からグロビン抗体を発現させることを含む請求項13に記載の抗馬グロビン抗体の製造方法。
  15. 免疫細胞は、接種されたウサギ、マウス、ラット又はモルモットの浸軟した脾臓から単離される請求項14に記載の抗馬グロビン抗体の製造方法。
  16. 馬ヘマチンに特異的に接合する抗体の製造方法。
  17. 不死骨髄腫系でハイブリダイズされた免疫細胞からヘマチン抗体を発現させることを含む請求項16に記載の抗馬ヘマチン抗体の製造方法。
  18. 免疫細胞は、鶏卵から単離される請求項16に記載の抗馬ヘマチン抗体の製造方法。
  19. 馬における胃潰瘍の存在を検出する迅速免疫測定又はパーオキシターゼ反応用の第1テスト細片、
    馬における結腸潰瘍の存在を検出する迅速免疫測定用の第2テスト細片を含む馬における潰瘍の検出及び位置確認用迅速テストキット。
  20. 第1テスト細片は、馬の胃潰瘍の存在の標示となるヘマチンの存在を検出する請求項19に記載の迅速テストキット。
  21. 第1テスト細片は、さらにテストが適切に機能することを示すためのコントロール指標を含む請求項19に記載の迅速テストキット。
  22. 第2テスト細片は、馬の胃潰瘍の存在の標示となる馬のグロビンの存在を検出する請求項19に記載の迅速テストキット。
  23. 第2テスト細片は、さらにテストが適切に機能することを示すためのコントロール指標を含む請求項22に記載の迅速テストキット。
  24. 馬における胃潰瘍の存在の標示となるヘマチンの存在を検出する迅速免疫測定又はパーオキシターゼ反応用の第1テスト細片、馬における結腸潰瘍の存在の標示となる馬グロビンの存在を検出する迅速免疫測定用の第2テスト細片を含む馬における潰瘍の検出及び位置確認用迅速テストキット。
  25. 第1テスト細片は、さらにテストが適切に機能することを示すためのコントロール指標を含み、第2テスト細片は、さらにテストが適切に機能することを示すためのコントロール指標を含む請求項24に記載の迅速テストキット。
  26. 第1及び第2テスト細片は、馬ヘマチンの存在及び馬グロビンの存在の双方を検出するための単一のテスト細片を含む請求項24に記載の迅速テストキット。
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