JP2008518446A - 有機電子デバイス用積層電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子光学デバイス用電極を提供する。
【解決手段】電子光学デバイス用電極は、基板上に形成された、導電材料から成るぬれ層を備える。導電材料から成るぬれ層の上には、導電材料から成る第2層が形成される。ぬれ層は基板の表面に対して第1ぬれ性を持ち、第2層は基板の表面に対して第2ぬれ性を持つ。ここで、第1ぬれ性と第2ぬれ性は互いに異なり、ぬれ層は、基板の表面に対して当該ぬれ層が持つぬれ性により、電極の光学的特性を変化させる役割を持つ。
【選択図】図1A

Description

本発明は電子光学デバイス用積層電極、当該電極を備えるデバイスおよび製造・使用方法に関する。
本願は米国仮出願第60/621,705号(出願日:2004年10月25日)に基づき優先権を主張する。当該仮出願の内容はすべて、参照に基づき本願に組み込まれその一部とする。
米国政府は本発明の使用権に対して既に払い込みを済ませており、ある一定の状況下において、AFOSRおよびONRが定める許可条件第F49620−03−1−0101およびN00014−04−1−434に規定されているように適切な条件で他者に使用権を与えるよう、特許権者に対して要求する権利を持つ。
明細書、図面および実施例を検討することによって、更なる目的および効果が明らかになる。
電子光学デバイス用電極は、基板上に形成された導電材料から成るぬれ層を備える。また、導電材料から成る第2層が、導電材料から成る当該ぬれ層の上に形成されている。ぬれ層は基板の表面に対して第1ぬれ性を有し、第2層は基板の表面に対して第2ぬれ性を有する。第1ぬれ性と第2ぬれ性は互いに異なり、ぬれ層は、基板の表面に対するぬれ層のぬれ性に基づき当該電極の光学的特性を変更するように構成されている。本発明に係る電子光学デバイスとしては、これらに限定されるものではないが、本発明に係る電極を備えるポリマー発光ディスプレイ(PLED)、太陽電池、論理デバイスおよびメモリデバイスが挙げられる。積層電極形成方法は、基板上に第1の所定の堆積速度で第1導電材料から成る第1層を堆積させることと、当該第1層の上に第2の所定の堆積速度で第2導電材料から成る第2層を堆積させることとを含む。第1の堆積速度と第2の堆積速度は、積層電極の導電率を維持するとともに、積層電極の光学的特性を達成するように選択される。
本発明をより良く理解するべく、以下に記載する詳細な説明を読む際には添付図面を参照されたい。添付図面の内容を以下に説明する。
図1Aは本発明の概念を説明するための図である。
図1Bは本発明の概念を説明するための図である。
図1Cは本発明の概念を説明するための図である。
図1Dは本発明の概念を説明するための図である。
図2Aは、カソードの構成を様々に変更した場合に得られるPLEDの光透過スペクトルを示す。同図では、Au(9nm)、Al(2nm)/Au(9nm)、Au(0.25nm)/Al(2nm)/Au(9nm)の場合を示す。
図2Bは、カソードの構成を様々に変更した場合に得られるPLEDの光透過スペクトルを示す図である。同図では、Cu(8nm)、Cu(0.25nm)/Al(3nm)/Cu(8nm)の場合を示す。同図では、ITOの透明度が100%に設定されているとする。
図3は、以下のように構成されたポリマー発光デバイスの光−電流−電圧特性を示す:ガラス/ITO/ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))(50nm)/緑色フッ素含有コポリマー(5BTF8)(80nm)/バリウムアセチルアセトネート[Ba(acac)]/カソード(Au(0.25nm)/Al(2nm)/Au(9nm))。
図4は、以下のように構成されたポリマー発光デバイスの光−電流−電圧特性を示す:ガラス/ITO/ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))(50nm)/緑色フッ素含有コポリマー(5BTF8)(80nm)/バリウムアセチルアセトネート[Ba(acac)]/カソード(Au(0.3nm)/Al(3nm)/Au(100nm))。
図5は、原子間力顕微鏡法(AFM)によって得られた画像を示し、それぞれ、[Ba(acac)]を下方に備えたAu面(1列目)、Alおよびその下方に設けられた[Ba(acac)](2列目)、カソード構造Au/Al/Au全体(最終列)を示す。画像のサイズはすべて、2μm四方である。
図5Aは、本発明の実施形態に係る積層電極を備えるPLEDを示す概略図である。
図6は、隣接して図示された構造ごとの水の接触角を示す。
図7Aは、LiF/Al/AuおよびLiF/Auのカソードを備える、MEH−PPV型太陽光発電(PV)デバイスの透過スペクトルを示す。
図7Bは、カソードの構成を様々に変化させた場合の、MEH−PPV型太陽光発電(PV)デバイスのI−V特性を示す。LiF/Al/Auの場合に得られるデバイス性能は、QEが1.7%、Vocが0.85V、Iscが5mA/cm、充てん比が0.40である。
図8Aは、黒色カソードを持つPLEDおよび制御デバイスのエレクトロルミネッセンスを示す。同図内の差込図は、黒色カソードを持つPLED(MはAlまたはAg)のデバイス構成を示す。
図8Bは、周囲照度を異ならせた場合に得られる、黒色カソードを持つPLEDおよび制御デバイスのコントラスト比を示す。同図内の差込図は、PLEDの電流−電圧特性を示す。
図9Aは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって得られた[Ca(acac)]表面の画像である。
図9Bは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって得られた、[Ca(acac)]を下方に有するAl表面の画像である。
図9Cは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって得られた、続いて設けられたAg表面の画像である。画像のサイズはすべて、1μm四方である。
図10は、Alで被覆されたAlクラスタから直接得られた、コアレベルのXPSスペクトルを示す。蒸着後(図中の「基本」)、および発展後(図中の「10分」および「30分」)を示す。「基本」および「10分」と指定されているスペクトルは、分かりやすいように垂直方向にずらしてある。
図11は、本発明に係るバルクポリマー型PVセルデバイスの構造を示す。Al電極とポリマーブレンドの間に設けられたバッファ層は、カソード接合の材料としては新規のものである。
図12は、ITO/PEDOT/G−PF/CaX/Alの構造を有するPLEDのI−B−Vカーブを示す。当該デバイスの性能は、Ca電極を利用した場合よりはるかに良いものとなる。
図13Aは、複数のポリマー太陽電池のVoc値が異なることを示す。
図13Bは、厚みを異ならせたCa(acac)/Al電極から成るポリマー太陽電池のI−Vカーブを示す。また、Al電極およびCa/Al電極の場合のI−Vカーブも比較のために示す。
図14Aは、バンドギャップが異なる材料を用いて構成された、非常に高い効率を達成するように高いVOCおよびJSCを実現した、積層型太陽光発電(PV)デバイスを示す。
図14Bは、積層ポリマーPVセルの形成プロセスを示す。
図14Cは、積層ポリマーPVセルの構造を示す概略図である。
図15は、垂直方向に積層され、直列に接続された太陽電池を示す。同図に示したデバイスはどちらも同一のポリマーから形成されているが、実際には、太陽のスペクトル全体をカバーするべくバンドギャップが異なる複数種類のポリマーも利用できる。最も下方に位置する太陽電池は、光透過率を最大にするべく透明電極を有する。図中の説明は、構成要素の順序を指す。
図16は、垂直方向に積層され、並列に接続された太陽電池を示す。同図に示したデバイスはどちらも同一のポリマーから形成されているが、実際には、太陽のスペクトル全体をカバーするべくバンドギャップが異なる複数種類のポリマーも利用できる。最も下方に位置する太陽電池は、光透過率を最大にするべく透明電極を有する。図中の説明は、構成要素の順序を指す。
図17は、一実施形態に係る、ポリマーLED用および太陽光発電(PV)用の透明カソードを示す。Au膜は半透明であるため、EL発光はデバイスのどちら側からも見える。
図18は、図17に示したデバイスの透明度を示す。
図19は、本発明の一実施形態に係るOBDの、I−Vカーブおよび概略構造を示す。
図20Aは、本発明の一実施形態に係るPVOBDの構造を示す概略図である。
図20Bは、図20Aに示したPVOBDのI−Vカーブを示す。
図20Cは、本発明の一実施形態に係るPVOBDを並列に接続した場合を示す概略図である。
図21Aは、同図の差込図に概略を示した本発明の一実施形態に係る光誘起メモリデバイスの、照射前後のI−Vカーブを示す。
図21Bは、図21Aの差込図に概略を示した本発明の一実施形態に係る光誘起メモリデバイスの、照射サイクル中の電流を示す。
添付図面に示した本発明の実施形態を説明するに当たって、その内容を明瞭なものとするべく特殊な用語を使用する。しかし、本発明はそのように選択された具体的な用語に限定されるものではない。具体的に挙げている構成要素はそれぞれ、類似の動作を行って類似の効果を達成する技術上の均等物をすべて含むと解釈されたい。
本発明の実施形態に係る多層積層電極は、有機電子デバイスおよびポリマー電子デバイスで利用されるべく製造されている。このような積層電極構造は、複数の材料から成る2層以上の層によって構成することができる。該電極の導電性および光学的特性、例えば光透過性、反射率、吸収率等は、使用する材料、積層順序および/または堆積速度によって、正確に制御できる。
このタイプの電極の利用可能性としては、以下に限定されるものではないが、ポリマー発光デバイス、有機発光デバイス、太陽電池、メモリデバイス、トランジスタ、エレクトロクロミックデバイス、液晶ディスプレイ、センサ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、アクチュエータ、圧電デバイス、モーター、ヒーター、クーラー、ミラー、有機もしくは無機放射性ディスプレイ、およびこれらのデバイスの組み合わせが挙げられる。また、このタイプの電極は、スタック型もしくはタンデム型のポリマー発光デバイス、有機発光デバイス、太陽電池、メモリデバイス、トランジスタ、エレクトロクロミックデバイス、液晶ディスプレイ、センサ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、アクチュエータ、圧電デバイス、モーター、ヒーター、クーラー、ミラー、有機もしくは無機の放射性ディスプレイ、およびこれらのデバイスの組み合わせにも利用可能である。
本発明に係る電極の製造方法として利用可能な堆積方法には幾通りかあり、以下に限定はされないが、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、プラズマ蒸着、スピンコーティング、ディップコーティング、電子メッキ、無電解メッキ、有機気相ジェットプリンティングおよびインクジェットプリンティングなどがある。
積層構造に利用された材料には、金属材料、導電性酸化物、導電性有機材料、導電性ポリマー、導電性イオン材料などが含まれるとしてもよい。界面層は、M(アセチルアセトネート)、塩、酸化物、金属材料、ポリマー、有機分子、ファイバーおよびまたはセラミックスなどを含むとしてもよい。
各材料層の厚みは、電子デバイスに対する所望の要件に応じて最適化することができる。一般的には、光学的に透明でない材料の場合、多層膜を構成する各層の厚みは、それぞれの表皮厚さ未満になるように構成される。
「基板」という用語は、本明細書において、その上に積層電極を形成する構造であればどのような構造を意味するとしてもよい。単にガラスまたはITO/ガラスから成る基板であってもよいし、電気能動素子および/または光学能動素子を備えた複雑な構造を指すとしてもよい。
基板に対するぬれ性(表面エネルギー)が異なる複数の材料を選択し、各層のぬれ性を異ならせることによって、どの堆積層(1または複数)の形態もその前に堆積された層(1または複数)に大きな影響を受けることになる。ぬれ性が異なることに基づく形態の変化によって、本発明に係る電極の所望の利用方法に応じて、多層膜をより連続的で平坦な膜や、もしくはより不連続的で起伏のある膜に変化させることができる。
図1Aから図1Dは、本発明の実施形態に係る電極を示す概略図である。図1Cは2層電極100を示し、図1Dは2層電極200を示す。電極100を形成するには、導電材料(材料A)から成る第1層102を基板104上に形成する(図1A)。この層102は「ぬれ層」としてもよい。本発明に係るぬれ層には、所望の利用目的に応じたある基板に対してぬれ性を有する材料が選択されるとしてもよい。例えば、ある利用分野においては比較的良いぬれ性を持つ材料を選択するとしてもよいし、別の利用分野では比較的悪いぬれ性を持つものを選択してもよい。本発明では、ぬれ層102のぬれ性を限定しない。
導電材料(材料B、材料Aとは異なる)から成る第2層106が、ぬれ層102の上に形成される(図1C)。本発明の概念の一部分を説明すると、電極200は、同一もしくは類似の材料から成る基板上に電極100と同じ材料によって形成されるが、形成する順序が異なる(図1Bおよび図1Dを参照)。この場合、材料Bから成るぬれ層が基板104の上に形成される(図1B)。続いて、導電材料から成る第2層204がぬれ層202の上に形成される。導電材料から成る層102、106、202および204はそれぞれ、例えば、上述した方法のうちのいずれか1つの堆積方法に基づいて形成されるとしてもよい。図1Cおよび図1Dには例として2層電極を示しているが、本発明をより広い観点から見れば、電極を構成する層の数は具体的な数に限定されない。図1Cおよび図1Dに例として図示した2層の上に、材料Aおよび/または材料Bおよび/またはそれ以外の材料から成る層をさらに形成するとしてもよい。
基板104に対して材料Aが材料Bよりも良好なぬれ性を有している場合、厚みが同じとすると、基板上で単独で膜を形成する上では材料Aの方が(図1Aを参照のこと)材料Bよりも良い(図1Bを参照のこと)。材料Aに対する材料Bのぬれ性が優れている場合は、図1Cに示した電極100のような多層構造が形成される場合、材料Bによって形成される膜はより連続的で平坦なものとなる。連続性および平坦さを達成することによって、膜100は高い光透過性および導電性を有する。膜に空隙があり非常に起伏が大きい場合、このような表面特性は光を吸収し散乱させる可能性があり、当該膜の光透過性を低下させてしまう。逆に、図1Dに示すように、基板104上にぬれ性の悪い層202を堆積させることによって不透明な膜200を形成するとしてもよい。ここで、上述した層の厚みは、ナノメートル単位であり、可視波長の単位よりはるかに小さい。ナノレベルの空隙または粒子が膜堆積中に形成されると、可視光が散乱および吸収されることもある。例えば、ガラス上では銅(Cu)の方が銀(Ag)よりも良好なぬれ性を示す。ガラス/銀(6nm)の構造は、ガラス/銅(0.5nm)/銀(6nm)の構造よりも、光透過性が低くなってしまう。
相対的に低いぬれ性の材料によって形成される層が良好なぬれ層として機能する場合がある。ぬれ性が悪い材料も、厚みが十分であれば、連続的な膜を形成することができる。例えば、ガラス基板に対してアルミニウム(Al)のぬれ性は銅(Cu)よりも低い。ガラス/アルミニウム/銅という電極構造の場合、Alの最適な厚みは、Cu層の厚み8nmに対して、約2nmから3nmとなる。Al層は、厚みが表皮厚さよりも薄く構成されていれば、より連続的な膜として形成されているため、良好なぬれ層として機能することができる。
電極を構成する積層構造は、2層構造に限定されない。複数の材料から成る3層以上を有する構造は、多層膜の導電率および光透過性を制御および最適化するように構成されるとしてもよい。例えば、金(0.2nmから0.3nm)/アルミニウム(2nmから4nm)/金(9nmから11nm)という構造の場合、最適な透明度を達成するべくぬれ層の構造を変化させることができる。
材料の堆積速度を制御することによって、電極を形成する膜の起伏の大きさを制御するとしてもよい。堆積速度を高くすると形成される膜がより平坦になり、堆積速度を低くすると形成される膜の起伏をより大きくすることができる。このように堆積速度を制御するとともに、材料のぬれ性を考慮することによって、所望の導電率および光透過性を有する電極を実現するとしてもよい。
このような積層構造は、厚みを制御しつつ、各種のタンデム型セル構造の電子デバイスにおいて中間層として利用することができる。当該積層構造の機能として、これ以外にも、電子デバイスの適切なバッファ層としての利用が挙げられる。例えば、該バッファ層は、発光デバイスまたは太陽光発電(PV)デバイスにおいて活性層と導電/非導電キャッピング層の間に設けられる。当該導電/非導電層の堆積方法には、以下に限定されないが、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、プラズマ蒸着、スピンコーティング、ディップコーティング、電子メッキ、無電解メッキ、有機気相ジェットプリンティングおよびインクジェットプリンティングなどがある。
<実施例A> ポリマー発光ダイオード用半透明多層積層金属カソード
本発明の一実施形態によると、金/アルミニウム/金の多層薄膜から成る半透明金属膜を、カソードとして、ポリマー発光デバイスに使用した。該カソードの物理的特性の特徴は、電流−電圧測定、紫外・可視透過分光法および原子間力顕微鏡法によって得られた。当該デバイスの光透過性は、キャッピング層無しで、可視領域において約70%という高い数字を達成し、電気的シート抵抗は10Ω/squareを下回るまでに減少する。本発明の一実施形態に係るポリマー発光デバイスにおいて、光の約47%はカソード上面を通って出て行き、53%がITO側を通って行く。当該カソードの各界面の形態を制御することは、透明度および導電率を確定する上で重要な意味を持つように思われる。この技術によれば、高度な蒸着プロセスを利用することなく、カソードの光学的特性および電気的特性を正確に制御できる。
ポリマー発光ディスプレイ(PLED)の利点のうち液晶ディスプレイに比べて最も優れている点は、発光の性質で、目に対して快適な光を提供し、バックライト照明を必要としない点にある。従来のPLEDは、1層または2層の薄い(通常約90nm)ポリマー層が導電表面電極と透明基板の間に設けられた構成を持つ。表面電極がカソードで、電子注入を促進するように特別に構成されている。一方基板は、通常、標準規格のインジウム−スズ−酸化物(ITO)で被覆されたガラスで、当該基板を通してポリマー層からのエレクトロルミネセンス(EL)が発せられる。J.H.Burroughes、D.D.C Bradley、A.R.Brown、R.N.Marks、K.MackayおよびR.H.Friend「Nature」347、539(1990)を参照のこと。表面発光型PLEDは、ディスプレイ分野や通信分野において重要な技術である(C.N.King「Inorganic and Organic Electroluminescence(無機および有機エレクトロルミネセンス)」R.H.MauchおよびH.−E. Gumlich編集(Wissenchaft&Technik Verlag、Berlin、1996)p.375)。シリコンチップ上へのPLEDのモノリシックな集積は好ましい構成であり、このような構成においてトランジスタや画素切り替え回路といった周辺電子機器を配設することができる。透明なカソードは、アノードおよびカソード両方から光を受け取るタイプの透明ディスプレイにおいても利用することができる(A.Yamamori、S.Hayashi、T.KoyamaおよびY.Taniguchi「Appl.Phys.Letts」78、3343(2001))。このように重要な役割を持つにも関わらず、表面発光デバイスに関する研究は今までほとんど無く、条件を満たすデバイス性能に対する不適切なカソード透明度が報告されてきていた(V.Bulovic、P.E.Burrows、S.R.ForrestおよびM.E.Thompson「Appl.Phys.Letts」68、2606(1996);L.S.HungおよびC.W.Tang「Appl.Phys.Letts」74、3209(1999);G.Pathasarathy、P.E.Burrows、V.Khalfin、V.G.KozolovおよびS.R.Forrest「Appl.Phys.Letts」72、2138(1998);V.Bulovic、P.Tian、P.E.Burrows、M.R.Gokhale、S.R.ForrestおよびM.E.Thompson「Appl.Phys.Letts」70、1954(1997)およびH.Kim、C.M.Gilmore、J.S.Horwitz、A.Pique、H.Murata、G.P.Kushto、R.Schlaf、Z.H.KafafiおよびD.B.Crisey「Appl.Phys.Letts」76、259(2000)を参照のこと)。
現在利用されている、一般的な透明カソードの製造方法には2通りある。まず1つ目の方法は、ITOなどの透明導電酸化物をバッファ層を有するデバイスにスパッタリングすることである。研究結果が報告されている例を挙げると、マグネシウム/銀(Mg/Ag)の薄い2層構造をバッファ層として利用し、スパッタリングによって生じるダメージに対する保護とするとともに、カソードの電子注入を促進する方法がある。V.Bulovic、P.E.Burrows、S.R.ForrestおよびM.E.Thompson「Appl.Phys.Letts」68、2606(1996)およびM.E.Thompson、S.R.Forrest、P.Burrows「米国特許第5,986,401号」を参照のこと。上方に設けられたITO層とデバイスの間に、有機薄膜をバッファ層として挿入することも報告されている。L.S.HungおよびC.W.Tang「Appl.Phys.Letts」74、3209(1999)およびG.Pathasarathy、P.E.Burrows、V.Khalfin、V.G.KozolovおよびS.R.Forrest「Appl.Phys.Letts」72、2138(1998)を参照のこと。しかし、上述のどちらの技術においても、ITOのスパッタリングを実施しなければならず、発光層にダメージが生じることは避けられない。仕事関数が低い金属の生来の特性の1つに、大気酸化に対する高い感受性がある。例えば、Mg/Agの耐食性は、どのような周囲環境においても常に不適切な値を示す。C.W.TangおよびS.A.Vanslyke「Appl.Phys.Letts」51、913(1987)を参照のこと。カソード構造の一部として有機層を何層か挿入するという考えは結果として、新たな界面状態を発生させ、電荷注入障壁を形成するので、デバイスの電子的パラメータが変化してしまう。2つ目の方法は、キャッピング層を有する、もしくはキャッピング層を有さない積層金属層を利用する方法である。非常に薄いフッ化リチウム/アルミニウム/銀の層、およびデバイス全体の光透過性を高めるように屈折率を調整するためのキャッピング層から成る、多層積層カソード構造が採用されている。L.S.Hung、C.W.Tang、M.G.Mason、P.RaychaudhuriおよびJ.Madathil「Appl.Phys.Letts」78、544(2000)を参照のこと。この方法によると、光のうち30%はカソードの上面から出て行ったが、70%は下側のITO側表面から出て行く。ここで、好ましい構成要素であるキャッピング層もまた、スパッタリングプロセスを必要とする。また、カルシウム/銀の2層構造から成る積層金属カソードが有機発光ダイオード上に設けられる構成が提案されている。R.B.Pode、C.J.Lee、D.G.Moon、およびJ.I.Han「Appl.Phys.Letts」84、4614(2004)を参照のこと。この文献によると、当該カソードは、デバイスにではなくガラス基板に蒸着された場合、光透過性が約70%という高い数字を達成したと説明されている。この技術の場合は、活性金属(reactive metals)を使用し、キャッピング層が不十分であるので、デバイスの寿命が短くなってしまう可能性がある。
カソードの最終的な物理的特性およびデバイスの性能は、カソードの構造、組成および堆積方法によって決まるので、透明カソードの設計および製造は高精細有機ディスプレイを実現する上で重要な要素となる。しかし、可視範囲において良好な導電率および光透過性を達成することは、材料によっては2つの相反するパラメータを満足させることである。バルク金属および金属厚膜は良好な導電性を有するが、光透過性に関しては厚みが増加するにつれ低下してしまうことが知られている。P.W.Gilberd「J.Phys.F:Met.Phys.」12、1845(1982)を参照のこと。本実施例においては、今までのものとは異なるPLED用多層カソード構造を説明する。当該PLED用多層カソード構造は、蒸着速度(およびそれに関連する構成)および各層の厚みの制御に基づいて高い光透過性および導電率を達成することに主眼に置いている。本実施例によると、カソードは3層の金属層によって構成される。非常に薄い0.2nmから0.5nmの厚みを有するAuから成るバッファ層がまずPLEDに蒸着され、続いて効率良く電子を注入するべく、2番目の層として2nmから4nmの厚みを有するAl層を上方にPLEDと接するように重ねる。3番目の層として設けられる、9nmから11nmの厚みを持つAu層によって、必要な透過性を実現しカソードを保護する。カソードの透過性を主に決定するのは、後続の複数の層の各界面における形態が制御された結果、薄いAuバッファ層である。このような積層透明カソードが集積化されたPLEDは、キャッピング層を設けない場合であっても、光のうち47%がカソード表面から発せられ、53%がITO表面から発せられる。実際には、不活性金属(non−reactive metal)の種類を1種類増やしたに過ぎない。この技術によれば、既存の蒸着システムを変更する必要はない。
上記の半透明カソードはポリマー発光ダイオード(PLED)上に蒸着された。その構成は、ガラス/ITO/ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))(50nm)/緑色フッ素含有コポリマー(5BTF8)(80nm)/バリウムアセチルアセトネート[Ba(acac)]/カソードであった。有機層を製造する方法の詳細は、Q.Xu、J.Ouyang、Y.Yang「Appl.Phys.Letts」83、4695(2003)、で説明されていた。当該文献の内容はすべて参照により本願に組み込まれる。比較のため、3種類の互いに異なるカソード構造を製造し、PLEDに集積化した。1つ目の構造はAuのみ、2つ目はAl/Au、最後はAu/Al/Auである。さらに、Auに替えて、Cuなど他の金属を用いて比較を行った。AuとAlの蒸着速度はそれぞれ0.01nm/sから0.06nm/sと0.05nm/sから0.1nm/sであった。蒸着は、底面圧が約1×10−6Torrに維持されたチェンバで実施され、当該チェンバはMBraun社の窒素で満たされたボックス内に配設され、酸素と水蒸気のレベルは1PPMに維持された。この設定は蒸着中の酸素レベルを最小限に抑えるためのものであった。電流−電圧(I−V)特性およびエレクトロルミネセンス(EL)は、目盛り付きのシリコンフォトダイオードおよびPhoto Research社のPR−650分光光度計と共にKeithley社の2400電源測定ユニットを用いて測定した。透明度の測定は、Varian社のCary 50 Conc 紫外・可視分光計を用いて、350nmから800nmの可視範囲内で行った。原子間力顕微鏡法は、Digital Instruments社のマルチモード走査型プローブ顕微鏡を用いて行われた。走査のサイズは2μmで、走査速度は2Hzであった。電気的特性を評価するべく、抵抗率測定用の4プローブ法が採用された。
本実施例に係る半透明のカソードについて重要な点は導電性である。一般的に、金属面に対して光が当てられた場合、光の大部分は反射される前に、短い距離(δ)ではあるが金属面の内部に進む。この距離は、表皮厚さとして知られているが、透過された光の大きさが入射した光の大きさの約36.8%にまで減少する距離である。本実施例で使用した金属は主にAuとAlである。波長λが500nmの場合のAuおよびAlのδはそれぞれ、22nmと6nmである。このため、Au層とAl層の厚みがそれぞれの材料のδよりも小さい場合、十分な量の光を透過させることができる。R.A.Chipman「Theory and problems of Transmission Lines(送信ラインの理論と問題)」(Schaum Outline Series 1968)p.78および85を参照のこと。我々が開発したカソード構造においては、AuおよびAlの厚みはそれぞれのδよりも十分に小さい。
透明カソードを備えたPLEDは、デバイスの電源を切った場合に、高い透明度を示した。図2Aは、カソードを備えた場合と備えない場合の、緑色PFデバイスの透過スペクトルを示す。ここで、透過スペクトルはすべて、ITOの透過スペクトルに対して標準化された。カソードを設けない場合の緑色PFデバイスは、可視範囲において90%近い透過率を示した。透過率がカソードを構成する各層の範囲および厚みに大きく左右されることを説明するべく、カソードの構造が互いに異なる3つのデバイスを蒸着によって形成した。1つ目はAu膜のみで、2つ目はAl層とAu層から成り、3つ目はカソード全体、つまりAu/Al/Auを備えるとした。Au膜のみをカソードとして備えるデバイスの場合(図2Aでは「Au」と表示)、可視スペクトルにおける透過率の減少幅が大きく、約20%減少した。2層構造および3層構造を持つカソードデバイスの場合はどちらも(図2Aでは「Al/Au」および「Au/Al/Au」と表示)、積層カソードとして全体の厚みは増えたものの、Auのみから成るデバイスに比べると透過率が上昇した。この透過率の上昇は、600nmから800nmのスペクトルにおいてより顕著である。カソードに3層構造を用いる場合、物理学的には、使用する材料はAlとAuに限定されない。他の電極材料の使用についてもある程度は自由がある。上記以外の金属の組み合わせについても実験を行ったところ、同程度の効果が得られた。例えば、Al/Au、Au/Al/Au、Al/Cu、Cu/Al/Cu、Cu/Ag、Ag/Cu、Au/Ag、Ag/Au、Ca/Ag、Ag/Ca、およびCr/Auといった金属の組み合わせが試された。しかし、本発明は、上述の例として挙げた金属の組み合わせに限定されるものではない。本発明の教示内容から離れることなく、これ以外の組み合わせも利用できるとしてもよい。Au/Al/Auの組み合わせの場合に透明度が最も高くなったが、本発明の概念はこの組み合わせのみに限定されるものではなく、これらの材料に限定されるわけでもない。図2Bは、カソードとしてCu/Al/Cuを利用した場合と8nmのCuのみを利用した場合の透過性を比較するための図である。この場合も、本発明に係る3層構造のカソードを利用した場合に、PLEDの透過性が高まった。我々が得たデータによれば、各層の表皮厚さおよび形態成が透明カソードの透過特性に与える影響が大きいことが分かった。本明細書にて示した結果によると、最高透過率を達成するための、本実施例に係る積層構造を持ったカソードを構成する各層の最適な厚みは、一番下のAu層については0.2nmから0.5nm、第2番目のAl層が2.0nmから4.0nm、一番上のAu保護層が9.0nmから11.0nmであることが分かった。Cu/Al/Cuという構造の場合には、この厚み比が0.2−0.5/2.0−4.0/8.0−11.0となる。カソードの全体的な透過率は、光学干渉効果、吸収損失および電気的特性によって決まり、原則的には、カソードを形成する各金属層の厚みを調整することによって制御することができる。上述の例においては、一番下の層であるAu層およびCu層が「ぬれ層」となる。
図3および図4は、Au/Al/Auという3層構造を持つカソードを備えるPLEDのI−V特性およびELを示す図である。当該デバイスの電源が入れられた場合の上方および下方への発光の輝度には約10%の差があった。例えば、電流密度が25mA/cmの場合、ITO面とカソード面それぞれからの発光の輝度は832cd/mおよび789cd/mであった。カソード面を通った場合にELがわずかに減少してしまうのは、透明カソードの吸光率が低い証拠であった。この半透明PLEDによると、ELのうち47%がカソード面を通して発さられ、53%が下側のITOから発さられる。当該多層カソードの電気的シート抵抗は、10Ω/square未満であった。当該デバイスの総合的な効率は、図4内の差込図に示されているように約6.7cd/Aであり、カソードとしてAl層のみを有する制御デバイスの約8cd/Aよりも低くなっている。この原因は、Au/Al/Auのカソードが有限のシート抵抗を持つためである。
カソードの各界面は、[Ba(acac)]、AuおよびAlに関連したその後に行われる形態の制御によって形成されることが示唆されている。この形態の制御によって、カソードの光学的特性および電気的特性が決まる。このように制御された層はそれぞれ、ナノメートル単位である。図5は、原子間力顕微鏡法(AFM)に基づいて得られた画像を示し、(a)[Ba(acac)]面上に蒸着されたAu膜(9nm)の表面の画像、(b)(a)と同じ面だが、Au層と[Ba(acac)]層の間に設けられた薄いAl層(2nm)を持つ、(c)Au(0.25nm)/Al(2nm)/Au(9nm)という構造を有する透明カソードのAu表面の画像をそれぞれ、1列目、2列目および3列目に示す。AFMによって画像を撮影した結果によると、[Ba(acac)]面上に蒸着されたAu膜の表面は、下方にAlを持つ場合の同じAu表面に比べると(表面の起伏の大きさは約1.159nm)、起伏が非常に大きい(表面の起伏の大きさは約2.500nm)。ここで注目しておきたいのは、カソードの合計の厚みが2nm大きくなったにもかかわらず、透明度が高くなったことである(対応データは不図示)。このようなAl層を設ける目的は、(i)[Ba(acac)]層との間で相互作用を生じさせて、カソードの仕事関数を減少させ、カソードの電子注入特性を改善するため、と(ii)下方に設けられている[Ba(acac)]層の表面を平坦にするためである。一番下の表面を平坦にすることによって、その上に設けられるAu層の表面の起伏を減少させることができる。図5から分かるように(2列目の図)、表面の起伏の減少が、カソードの光透過性向上の最大の理由である。Auのみや2層の金属構造をカソードとして利用した場合、デバイスの安定性は比較的低いものになってしまう。実際、AuおよびAl/Auの積層金属構造を持つカソードはどちらも、デバイスをグローブボックス内で点灯すると、簡単に劣化してしまう。しかし、Al層および後続のAu層を堆積させる前に非常に薄いAu層を蒸着することによって、性能および安定性を大幅に改善出来る。AlよりもAuのぬれ性が高いので、このような非常に薄いAu層はぬれ層として機能し、カソード全体をより平坦な構成とする。Auバッファ層の厚みは、本発明の本実施形態において重要な要素である。Auバッファ層の厚みが大きすぎると、Alと[Ba(acac)]の間の相互作用に悪影響をおよぼす可能性があり、小さすぎるとぬれ層として十分に機能しない可能性がある。Auの厚みがある一定の範囲内にある場合において、上方のカソード表面の起伏(約0.941nm)が、図5(最終行)に示されるように低減することが分かっている。また、Alと[Ba(acac)]間の相互作用が改善されると、デバイスの性能も向上すると考えられる。しかし、カソード全体の透明度は、バッファ層の厚みを大きくすると低減してしまう。Au層の厚みを約0.25nmとした場合に良好な結果が得られた。本実施例に係る、Au/Al/Au構造を持つカソード全体の厚みは11.25nmである。このようなカソードは可視領域において優れた透明度を有し、さらにシート抵抗も約10Ω/squareと低い。以上から、表皮厚さおよび形態制御が、本実施例に係る3層の金属層から成る構造において、高い透過率を達成する上で2つの重要な要素だということが分かる。3層構造を形成する各層の厚みは、下方に堆積によって設けられる、電子注入用のバッファ層に応じて決まる。我々が開発したデバイスの場合、Ba(acac)は、形成方法によって表面の起伏の大きさが異なることがある。詳細は、Q.Xu、J.Ouyang、Y.Yang「Appl.Phys.Lett」83、4695(2003)」を参照されたい。当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。カソード全体の厚みは非常に薄いので、カソードの下方に設けられる層の形態はカソードの性能に大きな影響を与える。
図5Aは、本発明の一実施形態に係るポリマー発光ダイオード(PLED)300を示す概略図である。PLED300は、積層電極302と基板304を備える。本明細書で「基板」という単語を用いる場合、非常に一般的な意味を指し、本発明に係る電極をその上に形成することができる構造であればどのようなものであってもよい。本明細書において、「基板」は均一な材料であってもよいし、本実施例で説明するような、複数の材料から成る複雑な構造を有するとしてもよい。基板304は、M(acac)層308とガラス/ITO層構造310の間に有機層構造306を備える。有機層308は50nmのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と80nmの緑色フッ素含有コポリマー(5BTF8)である。層308はバリウムアセチルアセトネート[Ba(caca)]である。積層電極302はPLED300のカソードである。積層電極302は、ぬれ層312、導電材料から成る第2層314および導電材料から成る第3層316を有する。本実施例においては、ぬれ層312はAu層である。導電材料から成る第2層314はAl層で、導電材料から成る第3層は別のAu層である。本実施例においては上記の材料が良好に機能することが分かっているが、本発明はこれらの材料に限定されるわけではない。また、本発明は3層から成る積層電極302にも限定されない。他の実施例においては、2層のみから成る積層電極を用いるとしてもよいし、4層以上から成る積層電極を用いてもよい。本実施例においては、Auから成るぬれ層312の厚みが0.2nmから0.5nmの範囲内にあり、Alから成る第2層314の厚みが2.0nmから4.0nmの範囲内にあり、Auから成る第3層316の厚みが9.0nmから11.0nmの範囲内にある場合に、良好な結果が得られることが分かった。
本実施例をまとめると、ほぼ透明なカソードが、コモンメタルを用いて3回連続して熱蒸着を行うことによって、PLEDに集積化されている。半透明カソードを備えるPLEDは、吸光率が非常に低く、カソードを構成する各層における電位降下を最小限とすることができる。本実施例において透過率特性とシート抵抗特性のバランスが最も良好となるのは、Au(0.2nmから0.5nm)/Al(2nmから4nm)/Au(9nmから11nm)という構成を持つカソード構造を利用した場合であるが、本発明の広義の概念は本実施例で得られた最適値に限定されるものではない。優れたデバイス性能を持つ、半透明カソードを備えたPLEDを実証してみせたことにより、上記の製造技術は有機デバイス用電極の光学的特性および電気的特性を安定化および標準化させるための手段を提供することが分かる。
<実施例B> 高コントラスト比ポリマー発光デバイス用積層金属カソード
本実施例によると、ポリマー発光デバイス(PLED)のカソードとして、交互に設けられたアルミニウムと銀から成る層を複数重ねた、非常に光吸収率が高い膜を利用する。このようなカソードの物理的特性の特徴は、電流−電圧(IV)測定、原子間力顕微鏡法およびX線光電子分光法によって得られるとしてもよい。蒸着速度は低く設定された。アルミニウム−銀から成る各層は、アルミニウム−酸化アルミニウムナノクラスタが銀の非晶質の電荷伝導ネットワークに埋め込まれた形態とした。このナノクラスタによって、周囲光を効率良く吸収および散乱させた。PLEDにおいてアルミニウムと銀から成る層を4層重ねた構造を用いた場合、周囲照度が1000ルクスの場合コントラストが126%改善された。基準となるPLEDと比較した場合、黒色カソードを持つPLEDのIV特性に影響はなかった。この技術によると、カソードの反射率および導電率を正確に制御することができる。
最近10年間において、輝度および効率が高いポリマー発光ダイオード(PLED)の製造が可能であることが分かり、いくつかの試作品については商品化も検討されている。真っ先に考えられるPLEDの利点は、液晶ディスプレイ(LCD)と比較した場合に、材料コストが低いことと製造が容易であることが挙げられる。これ以外により重要な利点として、デバイス性能をさらに高める上で利用可能な基板やデバイス構造の種類が多いことが挙げられる。従来のPLEDは、インジウムスズ酸化物(ITO)で被覆された基板を用いており、その上にP型ポリマー層がスピンコーティングされていた。当該デバイスに蒸着によって設けられるカソードは通常、仕事関数の低い金属または合金、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)、リチウム−アルミニウム(Li−Al)、フッ化リチウム−アルミニウム(LiF−Al)で形成されている。例として挙げた3つの合金は、動作電圧を低減させデバイス性能を向上させるために用いられる。C.W.TangおよびS.A.VanSlyke「Appl.Phys.Lett」51、913(1987)、M.Stossel、J.Staudigel、F.Steuber、J.SimmererおよびA.Winnacker「Appl.Phys.A:Mater.Sci.Process.」68、387(1999)、L.S.Hung、C.W.TangおよびM.G.Mason「Appl.Phys.Lett.」70、152(1997)を参照のこと。このポリマー層は通常、非常に厚みが小さく(約90nm)、周囲光が照射されてもほとんど光を吸収しない。しかし周囲光は、ポリマー層を通過した後、金属カソードによって反射され、ITOで被覆された基板を通ってデバイスの外部で接続される。この結果、反射された周囲光が原因でPLEDのコントラスト比は大きく低下するので、PLEDは屋外で利用できない。このためコントラスト比を高めるために、ポリマー層とカソードの間に吸収・導電無機層を挿入することを初めとして多くの取り組みがなされてきた。J.A.Dobrowolski、B.T.Sullivan、R.C.Bajcar「米国特許第5,049,780号(1990)」およびL.S.Hung、M.G.Mason、EL000 47(2000)を参照のこと。しかし、堆積の際にスパッタリングを行う必要があるので、ポリマー層にダメージを与えてしまう。近年、一酸化シリコンがドーピングされたAl膜およびその上に積層されたAl層から成る黒色カソードが有機発光ダイオード(OLED)向けに開発され、優れたデバイス性能を達成した。F.L.Wong、M.K.Fung、X.Jiang、C.S.Lee「Thin Solid Films(固体薄膜)」446、14(2004)を参照のこと。しかし実際には、この技術によると、同時蒸着プロセス中のAl−一酸化シリコン比を正確に制御しても、黒色導電膜が多孔質になってしまう。ピンホールを減少させ膜の均一性を改善するためにはカソードの厚みを大きくしなければならないが、厚くすると当該層の抵抗が大きくなってしまう。
本実施例においては、アルミニウム−酸化アルミニウムナノクラスタの物理的特性に主眼をおいた、新しい蒸着方法およびカソード構造を開示する。アルミニウム−酸化アルミニウムナノクラスタは、本発明の本実施形態に係る電極が持つ特殊な光吸収性を実現する上で重要な役割を果たすと考えられている。材料については、使用する金属の種類を1種類増やしたのみであるので、この技術を実施するために既存の蒸着システムを変形する必要はない。
図8A中の差し込み図は、ガラス/ITO/ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))(500Å)/緑色フッ素含有コポリマー(5BTF8)(800Å)/カルシウム(2)アセチルアセトネート([Ca(acac)])/×4(Al(40Å)−Ag(40Å)/Ag(280Å))という構造を有する、黒色カソードを備えるデバイスを示す。製造工程の詳細については、Q.Xu、J.Ouyang、Y.Yang「Appl.Phys.Lett.」83、4695(2003)を参照されたい。当該文献の記載内容はすべて、参照により本願に組み込まれる。Al−Ag層はそれぞれ周囲照明を十分に吸収するとともに、ポリマー層に対して良好な電子注入を維持するために用いられることを後述する。PLEDに黒色カソード用いた場合の利点を、Al(60Å)をカソードとして用いた参照デバイスと比較した。AlおよびAgの厚みはどちらも40Åとした。AlおよびAgの蒸着速度はそれぞれ、0.2Å/sおよび0.5Å/sとした。Alの堆積速度が約0.5Å/s以下である時に良好な結果が得られた。例えば、Alの堆積速度が約0.2Å/sから0.5Å/sの場合に良好な結果が得られた。また、Agの堆積速度が約1.0Å/s以上である時に良好な結果が得られた。例えば、Agの堆積速度が少なくとも0.5Å/s、または約1.0Å/sから2.0Å/sの場合に良好な結果が得られた。チェンバの底面圧は1×10−6Torrに維持した。PLEDはすべて、窒素でパージされたグローブボックス内において、封止材を用いて薄いガラスによって封止された。電流−電圧特性およびエレクトロルミネセンスは、目盛り付きのシリコンフォトダイオードおよびPhoto Research社のPR650分光光度計と共にKeithley社の2400電源測定ユニットを用いて測定した。コントラスト比は、Thermo Oriel社の150Wの太陽シミュレータを標準光源として用いて、NewPort社製の6インチの積分球内にPLEDを載置することによって測定された。この時、コントラスト比Cは以下の式に基づいて算定された。
<数1>
C=(I+Ion)/(I+Ioff
ここで、Iはデバイスから反射された周囲光、IonおよびIoffはそれぞれ、デバイスの電源が入っている場合と入っていない場合のデバイスの輝度を指す。背景は、積分球内に置かれた1枚の白い紙の輝度を測定することによって較正された。原子間力顕微鏡法は、Digital Instruments社のマルチモード走査型プローブ顕微鏡を用いて実施した。走査のサイズは1μmで走査速度は2Hzであった。X線光電子分光測定のための試料は、シリコン基板にAlを0.2Å/sの速度で蒸着し、続いてAlを1.0Å/sの高速度で蒸着して被覆を行い準備された。5keVにおいてAr+イオンを用いてスパッタリングをまず行い、被覆しているAlを除去し、スペクトルの発展を記録した。新しく形成された表面の分析は、Omicron Nanotechnology社のマルチプローブ表面科学システムを用いて、単色のAl Kを放射することによって実施された。
黒色カソードを備えるPLEDは、制御デバイスと比較して、デバイスの電源が入っていない時には黒色の背景を表示した。図8Aは、制御デバイスとともに、2種類の材料が交互に設けられた層(Al−AgおよびAl−銅(Cu))が4層積層された(図中には4(Al−Ag)および4(Al−Cu)と示す)構造を持つ黒色カソードPLEDのエレクトロルミネッセンス(EL)を示す。電流密度が15mA/cmの場合、制御デバイスは1300cd/mの輝度を達成した。一方、Al−Ag積層構造およびAl−Cu積層構造を持つ黒色カソードPLEDの輝度はそれぞれ、640cd/mおよび450cd/mであった。Al−Ag積層構造を持つ黒色カソードPLEDのELは、制御デバイスのELに比べて約半分である。このようにELが半減したことは、黒色カソードの光吸収率がいかに高いかを示している。黒色カソードPLEDが発するELは、制御デバイスの場合とは異なり、カソード層によって反射されない。Al−Cuカソードを使用した場合のデータから分かるように、Ag以外の金属を用いることも可能である。我々が提案する技術に関し、光吸収率が比較的低いため、Al−Cuの材料の組み合わせは大きく取り上げない。実際、Al−Cuが交互に設けられた層を4層積層して構成したカソードを備えるPLEDの輝度は、Al−Agが交互に設けられた層を2層積層して構成したカソードを備えるPLEDの輝度(対応データは図8Aには不図示)と同じであった。上記以外の金属の組み合わせについても検討したが(Al−Au、Au−Al、Al−Mg、Mg−Al、Al−Ca、Ca−Al)、Al−Agの組み合わせほど良好な光吸収率と導電率を示したものはなかった。しかし、本発明の広義の概念は、この組み合わせ例に限定されるものではない。
図8Bは、周囲照度を異ならせた場合の、黒色カソードPLEDおよび制御デバイスそれぞれのコントラスト比を示す。測定において、積層型黒色カソードPLEDおよび制御デバイスは共に輝度を300cd/mに保つように設定された。同図においても、Al−Cu型積層黒色カソードPLEDのコントラスト比を比較の目的で示す。Al−Ag型積層PLEDのコントラスト比は、周囲照度を1000ルクスとした場合に約5.2である。これは、制御デバイスに比べて126%の増加幅である。周囲照度が10000ルクスの場合にはコントラストの増加幅は約25%であることに注目されたい。当該黒色カソードPLEDは屋外での利用に好適であるために十分な輝度レベルを示している。図8Bの差込図は、様々な金属の組み合わせを用いた場合のPLEDの電流−電圧(I−V)特性を示す。ターンオン電圧(約2V)およびI−V特性に関して、黒色カソードPLEDとコントロールデバイスは同様の値を示している。以上のデータにより、黒色カソードをPLEDに集積化した場合に変化が見られるパラメータは光吸収率のみであることが、強く示唆されている。上記の技術によればポリマー層に電子が移動するための導電経路を形成できることが分かった。この方法は基本的に、F.L.Wong、M.K.Fung、X.Jiang、C.S.Lee「Thin Solid Films(固体薄膜)」446、14(2004)で提案された黒色カソード構造に対する異なる視点からの取り組みである。当該参照文献に記載の技術では一酸化シリコンをAlにドーピングすることを取り入れているが、当該技術によれば黒色カソード全体にわたって大きな電圧降下が発生してしまっていた。
図9Aから図9Cは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって得た画像を示し、[Ca(acac)]層の表面、[Ca(acac)]層の上にAl膜(40Å)を蒸着させた場合のAl表面、Al膜に続いてAg膜(40Å)をAl面上に蒸着させた場合のAg面を示す。AFMによって得られた画像は、蒸着されたAlによって、起伏のある[Ca(acac)]面上にナノメートルサイズのクラスタが形成されていることを示した。[Ca(acac)]層の表面およびAl層の表面の起伏の大きさはそれぞれ、約16.5Åと約6.7Åで、Al層によってその下に設けられている[Ca(acac)]面をより平坦にできたことが分かる。この効果が得られた理由は2通り考えられる。まず、チェンバ内に残留していた酸素が界面活性剤として機能しその結果、表面自由エネルギーが高いAlが表面自由エネルギーが低い有機膜をぬらしたためである。J.Ivanco、B.Winter、F.P.NetzerおよびM.G.Ramsey「Appl.Phys.Letts.」85、585(2004)を参照のこと。もしくはAlが酸素と反応し、[Ca(acac)]面をぬらすことができるほかの化合物を形成したためである。後で、このAlが実際にはAlと酸化アルミニウムから成ることを説明する。Alアイランドの密度は、蒸着速度が高くなるにつれて低くなることが分かった。蒸着速度が0.2Å/sより高い場合、当該膜の厚みが4Åより大きくなると、当該膜からの色が黒からより明るい色になった。しかし、続いて設けられるAg膜は、ぬれ性がその下に設けられる層の材料よりも低いので、図9Cに示すように比較的平坦な表面を形成した(起伏の大きさは約5.2Å)。Agの蒸着速度は少なくとも約0.5Å/sとする必要があることが分かった。この条件が満たされない場合、カソードは導電性を有さない。
最後に、Alクラスタの色が黒である理由は何かという問題がある。未変化のAlクラスタの物理的特性を調べるべく、試料をXPSチェンバに輸送する前に厚みの大きいAl層で被覆した。図10はAlで被覆されたAlクラスタから得たXPSデータである(図中では「基本」と示す。約73.1eVと約75.5eVにおいて特徴的なAl2pの結合エネルギーは、具体的に金属のAlと最もよく知られているAlの自然酸化物のものである。J.van den Brand、P.C.Snijders、W.G.Sloof、H.TerrynおよびJ.H.E.de Wit「J.Phys.Chem.B」、108、6017(2004)を参照のこと。自然環境の条件下ではAlが酸素および水と反応して、保護のための表面酸化物を生成することは公知である。Al2pのコアレベルスペクトルによって、最も外側のAl表面はAl自然酸化物によって被覆されていることが分かる。自然酸化物を除去するためにAr+イオンによるスパッタリングを行うと、10分後のスペクトルは金属Alに特徴的なピークのみを示し、自然酸化物が除去されたことを示す。スパッタリング時間を長くすると、Al2pの結合エネルギーが約76.0eVの場合に別の特徴的な値を示し、この時金属のAlよりも高い強度を示す。このスペクトルは、Alクラスタの主要成分が、よく知られた自然酸化物ではない酸化アルミニウムとAlの混合物であることを示唆している。酸素が不足している周囲環境においてAlから形成される酸化アルミニウムは:(i)純アルミナではないが、化学式AlX<3を持ち、(ii)光吸収率は酸素不足の度合いに大きく影響されることが分かっている。F.L.Wong、M.K.Fung、X.Jiang、C.S.Lee「Thin Solid Films(固体薄膜)」446、14(2004)を参照のこと。我々の結論を述べると:(i)この酸化アルミニウムの正確な化学組成は未だ不明であるが、主にAlX<3から成ると考えられる、(ii)図9Bに示すナノスケールクラスタは、Alはるつぼを離れ目標に到達するまでに残留酸素と強い相互作用を生じている可能性があるので、酸化アルミニウムに埋め込まれたAlと考えられる。上述したように、本発明の本実施形態によると、AlとAgの蒸着速度はナノクラスタ形成に関して重要な役割を果たし、カソードの色と全体の導電率を決定する要因となる。同様の事象は、S.Han、D.Grozea、C.HuangおよびZ.H.Lu「J.Appl.Phys」96、709(2004)によっても観察されている。当該文献によると、AlアイランドのサイズはAl濃度が増加するにつれて大きくなり、その結果、抵抗率および光透過性が大きく減少する。Han et al.で利用された材料は本発明のものとは異なっている。我々が得た結果によると、酸化アルミニウムは、ナノクラスタの状態にある場合に、光吸収率を左右する要因となり、周囲光の散乱をさらに高めることが分かった。
Alクラスタの上にAgを蒸着させることによって、図9Cに示すように表面が平坦になっただけでなく、電荷輸送媒体としての機能も果たし、Al−Ag層の全体的な導電率が上昇した。金属Alクラスタが、非導電型のAlX<3および導電型のAgによって分割されていると考えてもよい。金属Alクラスタ間にはトンネル伝導効果が生じることがあるとB.Abeles、P.Sheng、M.D.CouttsおよびY.Arie「Adv.Phys.」24、407(1975)、B.Abeles「RCA Rev.」36、594(1975)が報告しているが、当該効果が生じるものと仮定する。Agの導電率が非常に高いので、異常表皮効果が生じる可能性があると考えられる。この現象は、電子の平均自由飛程が表皮厚さに対して比較可能な値になった場合に生じる。Ag面内における電子の衝突は、該金属の光学的特性を決める決定的な要因である。T.Holstein「Phys.Rev.88、1427(1952)を参照のこと。電子は表皮層の内部で加速/減速を何度も繰り返す。平均すると、衝突を起こさない限り電界からエネルギーを吸収することはない。異常表皮効果が生じている場合、格子との衝突は生じにくいので、表面散乱は非常に大きい。このことは結果としてカソードの色が全体的に黒色であることの原因となる。
本発明の本実施形態の結論を述べると、光学コントラストが高い黒色カソードは、交互にコモンメタルを熱蒸着させることを連続して行うことによってPLEDに集積化される。このようなカソードの主要な化学構成要素および導電メカニズムの特徴を説明した。黒色カソードPLEDは非常に高い光吸収率を実現するとともに、カソードを形成する層全体にわたって電位降下がほとんど発生しないように電位を維持する。輝度が300cd/mの場合、Al−Ag型積層黒色カソードPLEDのコントラストは、周囲照度が1000ルクスであれば、126%の改善幅を達成する。このような製造技術は、本発明の本実施形態に係る屋外での利用に適した良好な輝度レベルを持つ黒色カソードPLEDを提供するだけでなく、PLED用カソードの光学的特性および電気的特性を安定化および標準化させるための手段を提供する。
<実施例C>
本実施例においては、デバイスの作業電圧を低下させ、電力効率を改善するためにぬれ層を利用するとしてもよい。
基板と電極の間に高いぬれ性を持つ材料を挿入することによって、基板と電極の接触領域を大幅に拡大する。例えば、発光デバイスもしくは太陽光発電(PV)デバイスの活性層および金属電極の間に少量のクロム(Cr)を挿入することによって、活性層と金属電極間の接触領域を増やすことができる。このように接触領域が増加すると、デバイスの作業電圧が低減し、その結果デバイス全体の電力効率が高まる。
<実施例D>
化石燃料が永遠に存在するものではないことについては多くの人の意見の一致をみる。また、化石燃料の利用は、地球温暖化、大気汚染、酸性雨といった深刻な環境問題を引き起こす。このため、化石燃料に代わる、クリーン、低コスト且つ再生可能なエネルギー源を開発することが求められている。そのうちの1つとして挙げられるのが、太陽光を電気に変換する太陽電池である。太陽電池は、再生可能なエネルギー源で遠隔地においても電力源として利用が可能である。しかし、太陽エネルギーのコストは従来のエネルギーにかかるコストに比べるとはるかに高くついてしまう。例を挙げて説明すると、今日において、太陽電池が生成するエネルギーのコストは、キロワット時当たりで0.2ドルから0.25ドルであるが、従来のエネルギー源はキロワット時当たりで0.081ドルに過ぎない。このため、太陽光発電(PV)システムのコストパフォーマンスを改善する必要がある。この需要を満たすための方法として、例えば、有機/ポリマー太陽電池を実用可能なエネルギー源として利用するための開発努力が挙げられる。有機材料の利点としては、機械的特性(柔軟性)が優れていること、および軽量、大型且つ製造コストが低いデバイスを実現できる可能性を有することが挙げられる。
高効率の太陽光発電(PV)セルは以下の基準を満たす必要があると考えられている。まず(a)高い光子吸収性を有し、光励起によって自由なキャリア(電子およびホール)を生成すること、および(b)こうして生成された自由なキャリアの収集を高効率で行うことである。有機半導体においては、光子が吸収されるとともに、自由な電子およびホールが生成される無機材料の場合とは違い、強固に結合された電子とホールのペア(励起子)が生成される。電荷を収集するには励起子の解離が必要になる。励起子解離は、電子親和力とイオン化ポテンシャルにおいて十分な差異がある材料間の界面において高効率で発生することが知られている。強力な電子ドナー/アクセプターシステムにおいては、励起子解離が100%という高い数字を達成することもあり得る。このため、有機太陽電池で問題となるのは、p−n界面から金属電極へのキャリアの輸送と言える。有機材料はキャリア移動度が低く、キャリアのライフタイムも短い。このため、キャリア(電子およびホール)が、不具合またはトラップによって捕獲されずに長距離を移動することが難しくなっている。通常のキャリア拡散距離はほとんどの有機材料において約数ナノメートルに過ぎず、これは通常のデバイスの厚みである約100nmをはるかに下回っている。このため、自由なキャリアの収集効率を上昇させるためにはデバイスの厚みを小さくする必要がある。だが、デバイスの厚みを減少させると、光吸収率が大きく低下すると同時にデバイス製造工程がより複雑になってしまうという問題があった。
本発明の本実施形態において、有機/ポリマー太陽電池の効率を高めるための方策を幾つか提案する。まず(a)界面材料を採用することによって単一のセルの開路電圧(Voc)を増加させること、(b)複数の太陽電池を物理的に上下に積層することによってタンデム型太陽電池を形成すること、この場合は対応する吸収スペクトルを異ならせるために複数の異なるポリマーを使用することもできる、そして(c)複数の太陽電池をそれぞれ製造して、垂直方向に積層することである。この場合、デバイス効率を改善するべく、電池同士は直列に接続してもよいし並列に接続するとしてもよい。また、太陽エネルギーに対するデバイスの全体的な吸収率を上げるべく、バンドギャップを異ならせるように複数の異なるポリマー/有機材料を用いて各太陽電池を形成するとしてもよい。
透明金属または半透明金属を組み合わせて利用することによって、以下のサブセクション(b)および(c)で説明するデバイスに利用可能な、本発明に係る透明カソードを形成することができる。
<バルクPVセルの試作中および新規のカソード材料>
図15に、ITO/PEDOT/ポリマーブレンド/CaX/Aから成る構造を有するバルクデバイスを示す。ここで、CaXは図11に示すカルシウム化合物(Ca(acac))を表す。
我々が開発しているPLEDについて得られたデータによると、CaXは良好な電子注入性を有する。Dow Chemicals社の緑色ポリフルオレン(G−PF)のI−B−Vカーブを図17に示す。当該デバイスの効率は15cd/Aで、Caをカソードして用いるデバイスに比べるとほぼ2倍である。当該化合物は溶液で加工可能で、ポリマー薄膜上にスピンコーティングで形成することができる。
さまざまな金属(acac)化合物について、Vocに関するデータを図13Aおよび図13Bに示す。同図によれば、上記の化合物は高性能な太陽電池を実現する上で理想的なものであることが示唆されている。これ以外の金属(acac)化合物を利用することももちろん可能である。また、Ca(acac)2化合物を混合する際に不活性ポリマー(界面活性剤)が用いられた。
<タンデム型の複数のポリマー太陽電池の利用に基づいたVoc上昇効果>
先に述べたとおり、単一層のセルの効率は5%以上に改善できるものの、商業化が実現可能なデバイスを得るために必要な目安である10%以上の効率を達成できる太陽電池を実現するには解決すべき問題がいくつかある。高性能(10%以上)の太陽電池を実現するための2番目のアプローチは、複数のPVセルを積層することによってVocを高める方法である。積層されたPVセルを利用することによってVocを増加させることに成功した例が幾つか報告されている。M.Hiramoto、M.SuezakiおよびM.Yokoyama「Chem.Lett.」1990、327(1990)において初めて、Tangが初めて提案したものに類似した小分子有機へテロ接合に、上記の概念を応用した。セルのVocは、2つの同一PVセルを積層することによって、単一層デバイスのVocの2倍にまで引き上げることができる。しかし、逆向きのpn接合を避けるべく、薄い金属層を蒸着させることによってセル間にオーミック接合が形成された。この金属層は、光入射側から最も離れている、バックセルの光をさらに低減するので、デバイスのJscが限定されてしまう。最適化された積層セルデバイスの効率は、単一層デバイスよりも低くなっていた。後に、YakimovおよびForrestが、非常に薄い金属層(厚みは5Å)を用いて類似の実験を行い、効率を、単一層デバイスでは1%だったものを、セルを2つ積層させて構造を最適化することによって2.5%にまで改善した。A.YakimovおよびS.R.Forrest「Appl.Phys.Lett」80、1667(2002)を参照のこと。ここで、同一セルを3つ以上積層させると効率は低下した。この理由は、積層体のJscは、最も低いJscを持つ単一セルのJscとなり、セルを増やすにつれて光吸収のためにバックセルにおいてJscが低くなってしまうためである。
この問題を回避するための方法の1つとして、各層のバンドギャップが異なる積層デバイスを形成することが挙げられる。我々が提案した別の新しい方法は、太陽光スペクトルのほぼ全体にいたるまでの拡大領域をカバーするべく、バンドギャップが異なるポリマー層を持つPVセルを複数利用することである。このようなデバイスの概略を図14Aから図14Cに示す。第1のPVセルは、バンドギャップが最も高く、デバイスの前面近くに配設される。入射光の大部分はバンドギャップより高い光子エネルギーのために吸収されるが、第1のPVセルによって収集されなかった光は、第2のPVセルによって収集されることもある。HiramotoおよびYakimovが提案したデバイスにおいては、この理由からバックセルにおいてJscが非常に低くなってしまい、結果としてデバイス全体のJscも低下してしまう。しかし、第2のPVセルをより低いバンドギャップを持つ材料を用いて形成することによって、前面のセルを通過した波長の大きい光を吸収することができ、バックセルのJscを大幅に上昇させることができるとともに積層体全体のJscも同様に上昇させることができる。この技術は層を重ねるたびに、それまでの層における光吸収を補完するべく順にバンドギャップを低減していくことによって、繰り返し応用できる。この方法によれば、Jscを高い値に維持しつつ、Vocを大幅に上昇させることができる。それぞれの効率が5%以下であるPVセルを複数用いて積層PVデバイスを構成することによって、全体としては10%以上の効率を達成できる。
有機固体が抱える最大の限定要因の1つに、バンドギャップが通常約2eVであるので、太陽光スペクトルのほんの一部分しかサンプリングできないことが挙げられる。しかし近年は、さまざまな研究グループが1.2eVから1.8eVのバンドギャップを持つポリマーの利用を報告している。電子が豊富なモノマーユニットと電子が不足したモノマーユニットが交互に設けられたコポリマーも、バンドギャップが1.6eVとなるものが合成できた。しかし、どちらのタイプのポリマーも分子量が小さく、スピンコーティングによって膜を形成しても良好なものは得られなかった。上述した種類のポリマーで分子量が大きいものの方が、より良好な膜を形成しやすく、またバンドギャップがさらに小さくなる可能性もある。
溶液を用いた処理によってそのようなデバイスを形成する場合に持ち上がる問題の1つに、一番下の層が第2層用の溶液でも溶解してしまう可能性があることが挙げられる。こうすると、第2層をスピンコーティングした際に第1膜が劣化する。しかし、積層型のヘテロ接合を持つポリマーPVデバイスが製造された。オープンリール式製造方法に理想的なTAS(Template Activated Surface)処理を用いた、非常に高効率の積層ポリマーLEDを先に示した。このように既に開発されたプロセスを用いて、低コストの広域被覆技術に基づき、マルチセルポリマー太陽電池を製造することができる。本発明のすべての実施形態を互いに組み合わせることによって、太陽エネルギーに係るコストを大幅に削減することができる。
<並列接続型または直列接続型垂直積層太陽電池>
上述のタンデム型太陽電池の形成に関する問題の1つに、ぬれコーティングプロセス中において、上側ポリマーが下側ポリマーを溶解してしまう可能性があることが挙げられる。このような溶解に関する問題点を回避する方法の1つとして、複数のデバイスをそれぞれ別々に製造し積層する方法がある。この概念の応用に成功した。
図15に示すデバイスでは、2つ以上のデバイスが積層され互いに直列に接続されている。先の例とは異なり、同図に示したデバイスは各層が基板を持つ。このような構成のデバイスは非常に高い効率を示す(下に示す表1を参照のこと)。異なる層として示されるデバイスはバンドギャップが異なる材料から成る。
Figure 2008518446
この方法に基づき、今後の超高性能ポリマー太陽電池実現に向けて、全く新しい道筋が得られる。
<太陽電池用およびポリマーLED用透明カソード>
ディスプレイ分野および太陽電池分野において需要があるため、透明電極、特に透明カソードは非常に重要な技術である。上記のセクション(a)で説明した金属(acac)を利用して、本発明の本実施形態に係る、太陽電池およびポリマーLEDに利用可能な透明カソードを開発した。図17は、Ba(acac)2と組み合わせて、半透明カソードとしてAuが利用された場合を示す。Alから成る薄い層(5Å)は、デバイス効率を改善する上で有用であることが分かっている。Vocが高く真に透明なデバイスを実現するべく、Auの代わりに上側導体としてITOなどの他の透明金属酸化物を利用することもできる。このような透明カソードは、積層型デバイスにおける利用に非常に高い適性を持つ。図18は、デバイス全体の透明度を示す。同図によれば、カソードが半透明であることが分かる。
また、本発明に係る積層電極を積層型太陽電池の電極として利用するとしてもよい。例えば、先に述べた実施例で説明したAu/Al/Auカソードは、本発明に係る、積層タンデム型、積層直列接続、または並列接続太陽電池での利用にも適しているとしてもよい。しかし、本発明の本実施形態で利用する積層電極はAu/Al/Au積層電極に限定されるものではない。
<新型ポリマーデバイス>
このセクションでは、新型の有機電子デバイス「組み合わせデバイス」を形成するための新しい概念を説明する。この案はシンプルだが、非常に有効なものである。既存の有機デバイスを組み合わせることによって多機能有機デバイスを実現することができるようになる。この概念を説明するために、PVセルと我々が開発した有機メモリデバイスとを組み合わせることによって形成される光誘起メモリデバイスを説明する。
我々はこれまでに、新型有機双安定デバイス(OBD)および当該デバイスの電気的スイッチング効果およびメモリ効果を反転してきた。L.P.Ma、J.LiuおよびY.Yang「Appl.Phys.Lett.」80、2997(2002)を参照のこと。当該文献の内容はすべて参照により本願に組み込まれる。本実施例に係るデバイスは5層の薄膜を有する。具体的には、有機/金属/有機の3層構造が2つの金属電極の間に設けられている(図19を参照のこと)。当該デバイスに印加されたバイアスが臨界電圧よりも高い場合には、デバイスの状態が高インピーダンス状態(OFF状態)から低インピーダンス状態(ON状態)に切り替わり、ON状態を維持する。OBDのON状態とOFF状態は、書き込み用の正電圧または消去用の負電圧の印加によって正確に制御できる。近年では、中間の金属層の代わりに、同時蒸着によって形成される金属材料と有機材料が混合された層を利用しており、この技術によってデバイスの性能および歩留まりが改善されることが分かっている。OBDの構造および典型的なI−Vカーブを図19に示す。第1のバイアススキャンを行っている間、当該デバイスの電流は低電圧範囲において非常に小さい値を示し、デバイスの状態がOFF状態にあることが分かる。しかし、バイアスが臨界電圧である2.1Vに到達すると、電流は急激に増加し3ケタ以上の増加幅となり、デバイスの状態がOFF状態からON状態に切り替わったことが分かる。当該デバイスの電流は、バイアス電圧が増加している間、非常に高い値を示す。第2のバイアススキャンにおいて記録されたI−Vカーブは、第1のバイアススキャンのものとは全く異なる。第2のバイアススキャン中のデバイスの電流値は非常に高く、デバイスの状態がON状態のままであることがわかる。バイアスが印加されなくなっても、負電圧が印加されて消去されるまで、デバイスは低インピーダンス状態を維持する。また、OBDのスイッチング効果およびメモリ効果は繰り返し実現することができる。このような独特の特性を持つことから、OBDは不揮発性メモリデバイスとして利用可能であることが分かる。
太陽光発電(PV)セルとOBDを組み合わせて太陽光発電OBD(PVOBD)を形成することができる。PVOBDは、(a)光スイッチおよび(b)光誘起メモリデバイスとしての利用が可能である。
PVOBDの構造およびI−Vカーブを図20Aおよび図20Bに示す。PVセルの上側電極はAlから成る。OBDデバイスは、PVデバイス上に直接層毎に製造された。図20Bによると、当該デバイスが暗闇においてはスイッチング機能を示しておらず、OFF状態にあることが分かる。しかし、ITO電極を介して照明が与えられると、デバイスの状態は2.2Vのバイアスが印加された場合にOFF状態からON状態に切り替わる。そして、ON状態を維持する。同図に示したI−Vカーブから、PVOBDを光メモリスイッチとして利用できることがわかる。暗闇にある場合には、臨界電圧を超えたバイアスが印加されても光子がON状態への切り替えを引き起こさない限り、当該デバイスはOFF状態を維持する。
PVセルとOBDは、並列に接続して(図20C)光誘起スイッチを実現するとしてもよい。暗闇にある場合は、PVセルとOBDの抵抗は共に大きく、スイッチはOFF状態にある。照明が当てられると、PVセルによってOBDの状態が低インピーダンスのON状態へと切り替わる。PVセルとOBDの並列抵抗は小さくなり、光スイッチがON状態となる。光の照射がなくなったとしても、負電圧が印加されてOBDがOFF状態へと切り替わり、光スイッチが同時にOFF状態へと切り替わるまで、OBDはON状態を維持し、スイッチはON状態を保つ。単一のPVセルのVocは非常に小さいので、我々が提供する積層ポリマーPVセルは、上記のような用途においてVocを大きくする上で有用である。またはこれに替えて、複数のセルを直列に接続して構成されたマルチセルPVデバイスを利用することもできる。
PVOBDが奏する光誘起メモリ効果も以下に説明する。図21Aに示すように、3つのPVセルと1つのOBDが直列に接続されている。光がある場合と無い場合に、当該回路を流れる電流を測定した。当該デバイスのI−Vカーブを図21Bに示す。光が照射される前は、デバイスを流れる電流は非常に小さいことから、直列に接続された当該デバイスのインピーダンスが高いことが分かる。しかし光が照射されると、電流は約2ケタ分増加し、光が照射されなくなってもその状態を維持している。光が照射される前後の電流を、時間の関数として図21Aに示す。光に当てられる前は電流値が非常に小さく、光に当てられると高くなっている。光の照射を止めても、電流値は、照射を開始する前に比べれば1ケタ高い数値を示す。(光の照射がなくても小さいながら電流が流れているのは、背景光があるためである。このためPVセルが電圧を生成し、OBDとPVセルを電流が流れる。)図21Bによると、PVOBDはOFF状態からON状態に切り替わって、ON状態を維持することが分かる。負のバイアスを印加することによって、OBDの状態をOFFとすることができる。PVOBDは光検出に理想的なデバイスで、且つメモリ効果も奏する。このような機能は、電荷結合デバイス(CCD)など光メモリデバイスに応用することができる。
OBDのターンオン電圧は約2.2Vであるので、OBDをターンオンするにはさらに電圧を印加する必要がある。十分なレベルの駆動電圧を確保するべく3つのPVセルを直列に接続する。今後は、より高いVocを有する積層型マルチセルPVを用いることによって、OBDの実効スイッチング電圧を低減させることができるようになるかもしれない。
グレースケールを実現するには、ポリマーPVセルにおいて十分に高いVocが必要となり、当該デバイスのダイナミックレンジもまた非常に重要になる。この問題に関しては、我々が開発した高いVocを持つデバイスをOBDに利用する。
本発明の一般的な概念を超えない範囲において、上述した以外の組み合わせも実施することができる。例えば、本発明に係る半透明太陽電池もしくは非透明太陽電池は、電力を生成するべく、窓および/または窓用ブラインドに対してもしくはその一部として、利用するとしてもよい。また、携帯電話、PDA、音楽プレーヤーといった携帯電子機器または車両におけるバックアップ電源デバイスとして利用することもできる。
本明細書において図示および説明した実施形態は、当業者に対して、本発明を実施および利用する上で発明者が最適だと考える方法を教示することを目的とするに過ぎない。本明細書に含まれる記載はいずれも本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。上述した本発明の実施形態は、上記の教示に鑑みて当業者が推測する内容に基づいて、本発明の範囲を離れることなく、変形もしくは変更するとしてもよく、構成要素を追加および削除してもよい。このため、本願請求の範囲およびその均等物の範囲内において、本発明は具体的に開示した以外の方法で実施してもよいと理解されたい。

Claims (46)

  1. 電子光学デバイス用電極であって、
    基板上に形成された、導電材料から成るぬれ層と、
    前記導電材料から成るぬれ層の上に形成された、導電材料から成る第2層と
    を備え、
    前記ぬれ層は前記基板の表面に対して第1ぬれ性を持ち、前記第2層は前記基板の前記表面に対して第2ぬれ性を持ち、前記第1ぬれ性と前記第2ぬれ性は互いに異なり、
    前記ぬれ層は、前記基板の前記表面に対して当該ぬれ層が持つぬれ性により、前記電極の光学的特性を変化させる役割を持つ
    電子光学デバイス用電極。
  2. 前記ぬれ層の前記第1ぬれ性は前記第2層の前記第2ぬれ性よりも大きい
    請求項1に記載の電子光学デバイス用電極。
  3. 前記ぬれ層の前記第1ぬれ性は前記第2層の前記第2ぬれ性よりも小さい
    請求項1に記載の電子光学デバイス用電極。
  4. 前記ぬれ層は前記電極の光透過性を増加させる役割を持つ
    請求項2に記載の電子光学デバイス用電極。
  5. 前記導電材料から成る第2層の上に形成された、導電材料から成る第3層
    をさらに備える請求項4に記載の電子光学デバイス用電極。
  6. 前記ぬれ層の厚みは、約0.2nmから0.5nmの範囲内にある
    請求項5に記載の電子光学デバイス用電極。
  7. 前記ぬれ層の厚みは約0.25nmである
    請求項6に記載の電子光学デバイス用電極。
  8. 前記導電材料から成る第2層の厚みは、約2.0nmから4.0nmの範囲内にある
    請求項6に記載の電子光学デバイス用電極。
  9. 前記導電材料から成る第3層の厚みは、約9.0nmから11.0nmの範囲内にある
    請求項8に記載の電子光学デバイス用電極。
  10. 前記ぬれ層は主にAuから成り、前記第2層は主にAlから成り、前記第3層は主にAuから成る
    請求項9に記載の電子光学デバイス用電極。
  11. 前記導電材料から成る第3層の厚みは、約8.0nmから11.0nmの範囲内にある
    請求項8に記載の電子光学デバイス用電極。
  12. 前記ぬれ層は主にCuから成り、前記第2層は主にAlから成り、前記第3層は主にCuから成る
    請求項11に記載の電子光学デバイス用電極。
  13. 前記ぬれ層は、主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満であり、前記第2層は、主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満であり、前記第3層は主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満である
    請求項5に記載の電子光学デバイス用電極。
  14. 導電材料から成る、前記ぬれ層、前記第2層および前記第3層はそれぞれ、堆積プロセスによって形成される
    請求項5に記載の電子光学デバイス用電極。
  15. 前記ぬれ層は前記電極の光吸収率を増加させる役割を持つ
    請求項2に記載の電子光学デバイス用電極。
  16. 前記導電材料から成るぬれ層は、前記ぬれ層を形成する前記導電材料を含むナノクラスタを有する
    請求項15に記載の電子光学デバイス用電極。
  17. 前記導電材料から成るぬれ層はAlを含む
    請求項15に記載の電子光学デバイス用電極。
  18. 前記導電材料から成る第2層は主にAgから成る
    請求項16に記載の電子光学デバイス用電極。
  19. 電子光学デバイスであって、
    基板と、
    前記基板の上に形成された積層電極と
    を備え、
    前記積層基板は
    基板上に形成された、導電材料から成るぬれ層と、
    前記導電材料から成るぬれ層の上に形成された、導電材料から成る第2層と
    を備え、
    前記ぬれ層は前記基板の表面に対して第1ぬれ性を持ち、前記第2層は前記基板の前記表面に対して第2ぬれ性を持ち、前記第1ぬれ性と前記第2ぬれ性は互いに異なり、
    前記ぬれ層は、前記基板の前記表面に対して当該ぬれ層が持つぬれ性により、前記電極の光学的特性を変化させる役割を持つ
    電子光学デバイス。
  20. 前記ぬれ層の前記第1ぬれ性は前記第2層の前記第2ぬれ性よりも大きい
    請求項19に記載の電子光学デバイス。
  21. 前記ぬれ層の前記第1ぬれ性は前記第2層の前記第2ぬれ性よりも小さい
    請求項19に記載の電子光学デバイス。
  22. 前記ぬれ層は前記電極の光透過性を増加させる役割を持つ
    請求項20に記載の電子光学デバイス。
  23. 前記導電材料から成る第2層の上に形成された、導電材料から成る第3層
    をさらに備える請求項22に記載の電子光学デバイス。
  24. 前記ぬれ層の厚みは、約0.2nmから0.5nmの範囲内にある
    請求項23に記載の電子光学デバイス。
  25. 前記ぬれ層の厚みは約0.25nmである
    請求項24に記載の電子光学デバイス。
  26. 前記導電材料から成る第2層の厚みは、約2.0nmから4.0nmの範囲内にある
    請求項24に記載の電子光学デバイス。
  27. 前記導電材料から成る第3層の厚みは、約9.0nmから11.0nmの範囲内にある
    請求項26に記載の電子光学デバイス。
  28. 前記ぬれ層は主にAuから成り、前記第2層は主にAlから成り、前記第3層は主にAuから成る
    請求項27に記載の電子光学デバイス。
  29. 前記導電材料から成る第3層の厚みは、約8.0nmから11.0nmの範囲内にある
    請求項26に記載の電子光学デバイス。
  30. 前記ぬれ層は主にCuから成り、前記第2層は主にAlから成り、前記第3層は主にCuから成る
    請求項29に記載の電子光学デバイス。
  31. 前記ぬれ層は、主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満であり、前記第2層は、主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満であり、前記第3層は主に金属から成り、厚みは対応する表皮厚さ未満である
    請求項23に記載の電子光学デバイス。
  32. 導電材料から成る、前記ぬれ層、前記第2層および前記第3層はそれぞれ、堆積プロセスによって形成される
    請求項23に記載の電子光学デバイス。
  33. 前記ぬれ層は前記電極の光吸収率を増加させる役割を持つ
    請求項20に記載の電子光学デバイス。
  34. 前記導電材料から成るぬれ層は、前記ぬれ層を形成する前記導電材料を含むナノクラスタを有する
    請求項33に記載の電子光学デバイス。
  35. 前記導電材料から成るぬれ層はAlを含む
    請求項33に記載の電子光学デバイス。
  36. 前記導電材料から成る第2層は主にAgから成る
    請求項35に記載の電子光学デバイス。
  37. 前記基板は、ITO/ガラス層、当該ITO/ガラス層の上に形成された有機層および当該有機層の上に形成されたM(acac)層を備え、当該電子光学デバイスはポリマー発光ダイオードである
    請求項19に記載の電子光学デバイス。
  38. 前記基板は、プラスチック基板、当該プラスチック基板の上に形成された透明電極および当該透明カソードの上に形成された複数のタンデム型太陽光発電(PV)セルを備え、当該電子光学デバイスはタンデム型積層マルチポリマー太陽電池である
    請求項19に記載の電子光学デバイス。
  39. 前記基板は、ガラス基板および当該ガラス基板の上に形成されたポリマーPVセルを備え、当該電子光学デバイスは、複数の太陽電池を垂直に積層するべく、直列回路および並列回路のうち少なくともいずれかにおいて別の太陽電池と電気接続されるように構成された太陽電池であって、
    請求項19に記載の電子光学デバイス。
  40. 積層電極形成方法であって、
    第1導電材料から成る第1層を、第1所定堆積速度で、基板に堆積することと、
    第2導電材料から成る第2層を、第2所定堆積速度で、前記第1層に堆積することと
    を含み、
    前記第1堆積速度および前記第2堆積速度は、前記積層電極の導電率を維持するとともに前記電極の光学的特性を達成するように選択される
    積層電極形成方法。
  41. 前記第1導電材料はAlで、前記第1所定堆積速度はアルミニウム−酸化アルミニウムナノクラスタの形成が可能となるように選択される
    請求項40に記載の電子光学デバイス。
  42. 前記第2導電材料はAgである
    請求項41に記載の電子光学デバイス。
  43. 前記第1堆積速度は約0.2Å/sから0.5Å/sの範囲内となるように選択される
    請求項41に記載の電子光学デバイス。
  44. 前記第1堆積速度は約0.2Å/sである
    請求項43に記載の電子光学デバイス。
  45. 前記第2堆積速度は約0.5Å/sから2.0Å/sの範囲内となるように選択される
    請求項42に記載の電子光学デバイス。
  46. 前記第2堆積速度は約0.5Å/sから2.0Å/sの範囲内にある
    請求項45に記載の電子光学デバイス。
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