JP2008517414A - 光記録用のマスタ基板にデータを書き込む方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、光記録用にマスタ基板にデータを書き込む方法に関し、マスタ基板は、記録レイヤ12と基板レイヤ14を有し、記録レイヤは相変化材料を有し、その位相は、記録レイヤに光を投影することで結晶質から非晶質に転換される。本方法は、少なくとも1つのライトパルスによりマスタ基板に、複数の非晶質のマークから第一の非晶質のマークを書き込むステップ、及び次の非晶質のマークが書き込まれる前にクーリングギャップを設けるステップを含む。
Description
本発明は、光記録のマスタ基板にデータを書き込む方法に関する。
光プロセスに基づいて製造されるリリーフ構造は、たとえば光記録キャリアの大量複製用のスタンパとして使用することができる。光記録キャリアは、対物レンズの開口数を増加することによるデータキャパシティにおける発展的な増加、及びレーザ波長における低減を見てきている。全体のデータキャパシティは、650メガバイト(CD,NA=0.45,λ=780nm)から4.7ギガバイト(DVD,NA=0.65,λ=670nm)に増加され、Blu−rayディスク用で25ギガバイト(BD,NA=0.85,λ=405nm)に増加されている。
光記録キャリアは、ライトワンス(R),リライタブル(RE)及びリードオンリメモリ(ROM)のタイプである。ROMディスクの大きな進展は、安価な大量複製であり、したがってオーディオ、ビデオ及び他のデータのような安価なコンテンツ配信である。かかるROMディスクは、たとえば、小さな複製されたピット(ホール)をもつポリカーボネート基板である。ROMディスクにおけるピットは、インジェクションモールディング又は類似の種類の複製プロセスで製作される。複製用に使用されるスタンパの製造は、マスタリングとして知られている。
ROMディスクは、符号化データを表す交互するピット及びランドの螺旋を含む。反射レイヤ(異なる屈折係数の率をもつメタリック又は他の種類のマテリアル)は、情報の読み取りを容易にするために付加される。大部分の光記録システムでは、データトラックピットは、最適なデータキャパシティを保証するため、光読取り/書込みスポットのサイズと同じオーダの振幅を有する。たとえば、Blu−rayディスクのケースにおける、320nmのデータトラックピッチと305nmの1/eスポット半径(1/eは光強度が最大強度の1/eに低減される半径である)とを比較する。
ライトワンス及びリライタブル光記録キャリアとは対照的に、ROMディスクにおけるピット幅は、典型的に隣接するデータトラックの間のピッチの半分である。かかる小さなピットは、最適な読み取りのために必要である。ROMディスクが位相変調を介して、すなわち建設的及び破壊的な光線の干渉を介して読み取られることが知られている。長いピットの読み取りの間、ピットの下から反射された光線と隣接するランドのプラトーから反射された光線間の破壊的な干渉が生じ、これにより反射レベルが低くなる。
従来のマスタリングでは、ガラス基板にスピンコートされた薄い感光層は、変調された焦点合わせされたレーザビームで照明される。レーザビームの変調により、ディスクの一部がUV光により露光され、ピット間における中間領域が露光されないままとなる。ディスクが回転し、焦点合わせされたレーザビームがディスクの外側に徐々に引かれる間、交互に照明されるエリアの螺旋が残される。第二のステップでは、露光されたエリアは、フォトレジスト層内の物理的なホールで落ち着くため、いわゆる現像プロセスで溶解される。NaOH及びKOHのようなアルカリ液は、露光されたエリアを溶解するために使用される。構造化された表面は、続いて薄いNi層でカバーされる。電解プロセスで、このスパッタ堆積されたNi層は、逆のピット構造による薄い取り扱い易いNi基板に更に成長される。このNi基板は、突出したバンプをもち、露光されていないエリアを持つ基板から分離され、スタンパと呼ばれる。
光学的な読み取りスポットの約半分のピットをつくるため、ピット構造のマスタリングのため、読み取りのために使用されるよりも低い波長をもつレーザが典型的に使用される。CD/DVDマスタリングについて、レーザビームレコーダ(LBR)は、413nmの波長及びNA=0.9の対物レンズの開口数で典型的に動作する。BDマスタリングについて、257nm波長をもつディープUVレーザは、高いNAレンズ(遠方で0.9及び液浸マスタリングで1.25)との組み合わせで使用される。言い換えれば、次世代のLBRは、現在の光ディスク世代のためのスタンパをつくることが要求される。
従来のフォトレジストマスタリングの更なる問題点は、蓄積したフォトンの効果(cumulative photon effect)である。フォトレジスト層における感光性コンパウンドの品質低下は、照明量に比例する。焦点合わせされたAiryスポットのサイドは、セントラルトラックにおけるピットの書込みの間隣接するトレースを照明する。この多数の露光は、ピットの局所的な広がりにつながり、したがって増加されたピットノイズ(ジッタ)につながる。また、クロスイルミネーションの低減について、できるだけ小さな焦点合わせされたレーザスポットが必要とされる。
従来のマスタリングで使用されるフォトレジスト材料の別の問題点は、フォトレジストに存在するポリマーチェインの長さである。露光されたエリアの溶解は、長いポリマーチェインによるラフなサイドエッジにつながる。特に、(ROMについて)ピット及び(ライトワンス(R)及びリライタブル(RE)アプリケーションの案内溝が設けられた基板について)溝のケースで、このエッジのラフさは、前もって記録されたROMピット及び記録されたR/REデータの読み取り信号の品質低下につながる。
相遷移マスタリングは、隣接トラックにおける書込みのためにセントラルトラックの第二の露光により引き起こされる蓄積効果を克服するために提案されている。相遷移マスタリングにおいて、記録材料に異なる位相を書き込むため、レーザで誘導される加熱が利用される。最初の材料の書き込まれていない状態は、書き込まれた状態とは異なる。2つの状態のうちの1つ、最初の書き込まれていない相又は書込みされた相の何れかは、リリーフ構造が現像の後に残るように、アルカリ液(NaOH及びKOH)及び酸(HCl又はHNO3)のような現像液において早くに溶解される。
幾つかの記録材料は、SbTeコンポジションのような、この選択可能なエッチングの挙動を有する。従来のフォトレジストマスタリングとの別の違いは、書き込みデータを直接に読み取る可能性である。これにより、高速なフィードバックが可能となり、したがって現実の書込み状態に(レーザパワーのような)書込みパラメータを適合させることが可能となる。蓄積効果、及び記録されたデータのフィードバックメカニズムを介してレーザパワーを制御するために可能性の両者を回避することで、広いレーザスポットの使用が可能となる。言い換えれば、BD密度(120mmディスクで25GB)は、405nm青色レーザダイオード及び開口数NA=0.9に基づいてレーザビームレコーダで書き込むことができる。
できるだけ高いデータ密度を達成するため、チャネルビット長で表現される接線方向の密度、データトラックピッチにより決定される半径方向の密度の両者は、システムパラメータに関して最適化される必要がある。データトラックピッチの低減は、サーマルクロスライトを伴い、すなわちセントラルトラックへのデータの書込みによる隣接トラックに書き込まれたデータの品質低下を伴う。
本発明の目的は、サーマルクロスライト(thermal cross-write)が低減されるように、マスタ基板(master substrate)にデータを書き込む方法を提供することにある。
上記目的は、独立の請求項の特徴により解決される。本発明の更なる発展及び好適な実施の形態は、従属の請求項で概説される。
本発明によれば、光記録のためのマスタ基板にデータを書き込む方法が提供され、マスタ基板は、記録レイヤと基板レイヤを有しており、記録レイヤは、相変化材料を有し、その材料は、記録レイヤに光を投影することで結晶質(crystalline)から非晶質(amorphous)に転移する。当該方法は、少なくとも1つの書込みパルスにより、マスタ基板に、複数の非晶質のマークのうちの第一の非晶質のマークを書き込むステップ、次の非晶質のマークが書き込まれる前にクーリングギャップ(cooling gap)を設けるステップを含む。
相変化材料は、DVD+RW及び最近導入されたBlu−Rayディスク(BD−RE)のような、公知のリライタブルディスクフォーマットで適用される。相変化材料は、レーザ加熱を介してas-depositedの非晶質状態から結晶質状態に変化する。多くのケースでは、as-depositedの非晶質状態は、データの記録前に結晶質にされる。最初の結晶質状態は、レイヤが融けるように、薄い相変化レイヤのレーザで誘導される加熱により非晶質にされる。溶融状態が非常に迅速に冷却される場合、固体の非晶質状態が残る。非晶質のマーク(エリア)は、結晶質の温度を超えて非晶質のマークを加熱することにより再び結晶質にすることができる。これらのメカニズムは、リライタブルな相変化記録から知られている。
出願人は、加熱条件に依存して、エッチ速度における違いは、結晶質の相と非晶質の相との間に存することを認識している。エッチングは、アルカリ液、酸液、若しくは他のタイプ又は溶媒における固体材料の溶解プロセスとして知られる。エッチ速度における違いは、リリーフ構造(relief structure)につながる。特許請求されるマテリアルクラスの適切なエッチング液は、NaOH,KOHのようなアルカリ溶液、並びにHCl及びHNO3のような酸である。リリーフ構造は、たとえば、光リードオンリROMディスク、並びにライトワンス及びリライタブルディスクの案内溝が設けられた基板(pre-grooved substrate)の大量複製のスタンパを作るために使用される。得られたリリーフ構造は、高密度のディスプレイのプリンティング(マイクロコンタクトプリンティング)のために使用される。
記録材料としての使用のための相変化材料は、選択された波長を使用した記録の適するように、材料の光学及び熱特性に基づいて選択される。マスタ基板が最初に非晶質の状態にあるケースでは、結晶質のマークが照明の間に記録される。記録レイヤがはじめに結晶質の状態にあるケースでは、非晶質のマークが記録される。現像の間、2つの状態のうちの1つは、アルカリ又は酸溶液で溶解され、リリーフ構造が得られる。相変化コンポジションは、核形成で支配される(nucleation-dominated)又は成長で支配される(growth-dominated)材料に分類される。
核形成により支配される相変化材料は、結晶質のマークが形成される適切な結晶の原子核を形成する比較的高い確率を有する。対照的に、結晶化の速度は、典型的に緩やかである。核形成により支配される材料の例は、Ge1Sb2Te4及びGe2Sb2Te5材料である。成長により支配される材料は、低い核形成の確率及び高い成長レートにより特徴づけされる。成長により支配される相変化コンポジションの例は、In及びGeでドープされた組成Sb2Te、並びにSnGeSb合金である。結晶質マークが初期の非晶質レイヤで書き込まれるケースでは、焦点合わせされたレーザスポットの形状に一致する典型的なマークが残される。
結晶質のマークのサイズは、印加されるレーザスポットを制御することで幾分調整することができるが、書込みされたマークは、光学スポットよりも小さくすることが殆どできない。非晶質のマークが結晶質のレイヤに書き込まれるケースでは、相変化材料の結晶質特性は、光学的なスポットサイズよりも小さいマークを可能にする。特に、成長で支配される相変化材料が使用されるケースでは、非晶質マークのトレイルにおける再結晶化は、非晶質のマークが書き込まれる時間に関して適切な時間スケールで適切なレーザレベルの印加により誘発される。この再結晶化により、光学スポットサイズよりも小さなマークの書込みを可能にする。
本発明で使用される記録マテリアルは、好ましくは高速成長の相変化材料であり、好ましくはInGeSbTeのようなInGe等でドープされるSnGeSb(Sn18.3Ge12.6Sb69.2(At%))又はSb2Teといった組成である。記録レイヤの厚さは、5と80nmの間、好ましくは10と40nmの間である。リライタブル相変化記録から知られるライトストラテジは、非晶質のマークを書き込むためのパルス列、及びマーク間において結晶質のスペースを書き込むための中間の消去期間を含む。消去レベルの機能は2倍になり、古い非晶質のデータは、消去される必要があり、マークのテイルは、消去のプラトーにより誘発される再結晶化を介して成形される。
クーリングギャップは、パルス列の最後の書込みパルスと、溶融−焼入れ(melt-quenching)を可能にする消去期間との間に典型的に設けられる。本発明は、かかるシステムで行われた実験を利用し、高速成長(fast-growth)相変化材料に基づいた、高密度リリーフ構造へのエッチングを介して現像されるレコードマスタに高密度のデータパターンを書き込む広範なライトストラテジを提案する。提案されるライトストラテジは、非晶質のマークの書込みの間に熱の蓄積を抑圧し、マークのテイルにおける制御される再結晶化を可能にしつつ、隣接するトラックにおけるマークの知覚できるサーマルクロスライトを防止する。
好ましくは、非晶質のマークを書き込むために複数のライトパルスが使用され、書き込みパルスは、本質的に同じパワーを有する。同一のパワーからなる幾つかのライトパルスをもつパルス列は、記録キャリア内に余りに多くの熱を堆積することなしに非晶質のマークを書き込むために有効である。複数のライトマークに基づいて、異なるライトストラテジが供給される。ライトマークのリーディングエッジ及びトレイリングエッジに関する特別の要件が存在しないとき、全てのライトパルスの同一のパワーの選択が特に行われる。
また、非晶質マークを書き込むために複数のライトパルスが使用される場合、ライトパルスが異なるパワー値を有することが有効である。特に、かかるパルス列の最初と最後のライトパルスは、その間のライトパルスよりも高い書き込みパワーを有する。これにより、非晶質マークのリーディングエッジとトレイリングエッジに影響を与えることができる。
本発明の好適な実施の形態によれば、少なくとも1つのライトパルスの後、少なくとも1つの消去パルスが印加され、この消去パルスは、ライトパルスよりも低いパワーを有することが考慮される。これにより、非晶質マークのトレイリングエッジの特定の有効な成型が達成される。消去パルスの印加により、余りに多くのパワーを記録キャリアに堆積させることなしに、前に書き込まれた非晶質領域の再結晶化を得ることができる。
特に、多数のライトパルスに続く消去パルスは、少数のライトパルスに続く消去パルスよりも低いパワーを有する。長いマークが書き込まれたケースでは、堆積された熱エネルギーは、短いマークのケースよりも高い。このように、全体的に堆積される熱エネルギーを過度に増加することなしに、短いパルスの後に高いパワーをもつ消去パルスを供給することができる。
本発明に係るライトストラテジの1つによれば、チャネルビット長TのN倍の長さを有するマークは、Nのライトパルスにより書き込まれる。これにより、基本的なライトストラテジが提供され、このストラテジは、書き込まれたマークの大きな領域にわたる再結晶化の増加の傾向による低い記録速度による。
この問題は、チャネルビット長TのN倍の長さを有するマークがN−1のライトパルスにより書き込まれるライトストラテジに基づいて回避される。ライトパルス間の広いクーリングキャップのため、書き込みの間の再結晶化が低減される。別の好適なストラテジによれば、チャネルビット長TのN倍の長さを有するマークは、N/2のライトパルスにより書き込まれる。この好適な実施の形態は、記録スタックにおける熱の蓄積を低減し、したがって書き込みの間の再結晶化を抑圧する。
更なる好適な実施の形態によれば、複数のライトパルスからの第一のライトパルスは、最も長いライトパルスである。第一のライトパルスの拡張は、記録されたマークの良好に定義されたリーディングエッジにつながる。後続のパルスの長さ及びパルスは、書き込みの間に再結晶化を最小にするために変化される。
特に好適な実施の形態によれば、調節可能な長さのクーリングギャップは、同じ非晶質のマークに属するライトパルス間で供給される。さらに、調節可能な長さのクーリングギャップは、消去パルスの前に提供される。
したがって、本発明に基づいて、ライトストラテジを最適化する多数のパラメータが提供され、特に以下に示される。
マークが書き込まれるパルスの数、書き込みパルスの期間、この期間は、記録速度と共に考慮される必要がある(典型的に2と10m/sの間であるが、使用される相変化材料に依存する)、それぞれのライトパルスのパワー、ライトパルス間におけるクーリングギャップの長さ、典型的にライトパワーの0.2と0.7倍の間の消去バンプのパワー、及び典型的にライトパルス期間の0.5と2.5倍の間の消去バンプの期間。
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施の形態を参照して明らかとなるであろう。
マークが書き込まれるパルスの数、書き込みパルスの期間、この期間は、記録速度と共に考慮される必要がある(典型的に2と10m/sの間であるが、使用される相変化材料に依存する)、それぞれのライトパルスのパワー、ライトパルス間におけるクーリングギャップの長さ、典型的にライトパワーの0.2と0.7倍の間の消去バンプのパワー、及び典型的にライトパルス期間の0.5と2.5倍の間の消去バンプの期間。
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施の形態を参照して明らかとなるであろう。
図1は、本発明で採用することができる従来の光ディスクドライブの概念的なセットアップを示している。このセットアップは従来の光ディスクドライブ及び案内溝が設けられた(pre-grooved)基板に基づいて記載されるが、本発明は、レーザビームレコーダ(LBR)及び案内溝を持たない基板と共に利用することもできる。放射線源110は、たとえば、半導体レーザであり、発散する放射線ビーム112を放出する。ビーム112は、コリメータレンズ114により本質的にパラレルにされ、このコリメータレンズから、ビームスプリッタ116に投影される。ビーム118の少なくとも1部は、マスタ基板10に収束するビーム122を焦点合わせする対物レンズ120に更に投影される。マスタ基板10は、以下の図面を参照して詳細に説明される。
フォーカスされたビーム122は、マスタ基板の記録レイヤに相変化を誘発することができる。他方で、収束するビーム122は、発散するビーム124に反射され、次いで、対物レンズ120により本質的にパラレルなビーム126として更に投影される。反射されたビーム126の少なくとも1部は、ビームスプリッタ116によりコンデンサレンズ128に投影される。このコンデンサレンズ128は、検出器システム132に収束するビーム130をフォーカスする。検出器システム132は、検出器システム132に投影された光から情報を抽出し、たとえば情報信号134,フォーカスエラー信号136及びトラッキングエラー信号138といった、複数の電気信号134,136,138にこの情報を変換するために適合される。
本発明を参照して、トラッキングエラー信号138は、特定の関連性をもつ。マスタ基板10の収束するビーム122のローカライゼーションは、マスタ基板10における案内溝の構造を介して制御される。マスタ基板10における溝は、光トラッキングエラー信号を発生する。結果的に得られる干渉パターンは、検出器システム132に最終的に投影され、ビームが溝に関して完全に中心にされるケースで対称である。差の信号は、いわゆるプッシュプル信号であり、検出器システム132の多数の検出器又は多数の検出器セグメントに基づいて作成される。溝に関してビームの完全なセンタリングのケースでゼロである。セントラルポジションからの逸脱は、一般に2つの検出器の部分への多かれ少なかれ光につながる。差の信号は、非ゼロとなり、溝に関してスポットを再び揃えるために使用される。
図2は、本発明に従って処理されるマスタ基板を通して概念的な断面図を示し、図3は、本発明に従って部分的に処理された後にマスタ基板の更なる実施の形態を通した概念的な断面図を示している。図2及び図3に係る実施の形態は異なるが、それらを互いに説明することは可能である。図3に係る実施の形態は、図2に係る基本となる実施の形態よりも精巧である。マスタ基板10のトップで、保護レイヤ28が設けられている。保護レイヤ28は、KOH及びNaOHのような従来の現像液で良好に溶解する材料からなる。たとえば、保護レイヤ28は、ZnS−SiO2又はフォトレジストからなる。保護レイヤ28の厚さは、5と100nmの間であり、好ましくは10と25nmの間である。保護レイヤは、マスタ基板の回転の間に遠心力の影響下で溶融された相変化材料の大規模な舞グレーションを防止するために追加される。保護レイヤは、非晶質の書き込みのケースで600〜700℃前後の高い記録温度に抵抗力がある。さらに、保護レイヤは、情報レイヤにおけるリリーフ構造を形成し、おそらくインタフェースレイヤI1にリリーフ構造を形成するために除去可能である。
フォーカスされたレーザビーム122は、保護レイヤ28に投影される。保護レイヤ28の下で、記録レイヤ12が配置される。記録材料は、好ましくは、いわゆる高速成長の相変化材料であり、好ましくはSnGeSb(Sn18.3Ge12.6Sb69.2(At%))、又はIn GeSbTeにおけるようなIn,Ge等でドープされたSb2Teの組成からなる。これら成長で支配される相変化材料は、非晶質及び結晶質の相の溶解レートにおいて高いコントラストを処理する。結晶質材料の溶融−焼入れにより得られる非晶質のマークは、KOH及びNaOHであって、HCl及びHNO3のような従来の現像液で溶解される。
マークのテイルでの再結晶化は、制御されるやり方でマークの長さを低減するために使用される。これにより、光学的なスポットサイズよりも短い長さをもつマークを形成することができる。このようにして、接線方向のデータ密度を増加することができる。したがって、記録レイヤ12に書き込まれるデータパターンは、エッチングを介してリリーフ構造に変換される。記録レイヤ12の厚さは、5と80nmとの間、好ましくは10と40nmの間にある。記録レイヤ12の下には、第一のインタフェースレイヤ18が設けられる。
このインタフェースレイヤ18は、同様にエッチング可能である。次いで、パターニングされた記録レイヤ12は、マスクレイヤとしての役割を果たす。第一のインタフェースレイヤ18の好適な材料は、ZnS−SiO2である。第一のインタフェースレイヤ18の厚さは、5と80nmの間であり、好ましくは10と40nmの間である。第一のインタフェースレイヤ18は、エッチ可能ではない第二のインタフェースレイヤ20に続き、ナチュラルバリアとしての役割を果たす。この第二のインタフェースレイヤ20は約50nmの厚さである。第二のインタフェースレイヤ20の下には、半透明なメタリックレイヤ22が設けられており、記録の間の熱を除くためのヒートシンクとしての役割を果たす。
メタルヒートシンクレイヤは、データの書き込み及び溝の間に熱の蓄積を制御するために追加される。特に、マークが相変化材料の非晶質化により書き込まれる場合、相変化材料の溶融−焼付けを可能にするために記録の間に情報レイヤから熱が迅速に除かれることが重要である。Al又はAgのような半透明な金属、ITO又はHfNのような透明なヒートシンクレイヤが提案される。ヒートシンクレイヤ22の好適な厚さは、5と40nmの間にある。ヒートシンクレイヤ22の下であって基板14の上には、プレーナレコーディングスタックが残されているように案内溝をレベルアウトするため、レベリングレイヤ24が設けられている。
このレベリングレイヤ24は、スピンコードプロセス、又は溝の充填を可能にする他のタイプのプロセスを介して堆積される。レベリングレイヤの材料は、好ましくは、非吸収性の、スピンコート可能な有機材料である。最も下にあるレイヤは、図3の実施の形態によれば、トラッキングの目的で案内溝16を含む既に説明された基板レイヤ14である。トラッキングエラー信号を強調するため、屈折レイヤ26が基板レイヤに堆積される。これら案内溝に基づいて、一般にLBRで実行されるマスタリングは、従来の光ディスクドライブ実行される。
図3を参照して、記録されたマーク32は、記録レイヤ12で生成される。これら記録されたマーク32は、その間で結晶質のエリアをもつ非晶質エリアである。記録されたマーク32及び保護レイヤ28は、高密度のリリーフ構造で終わるように、NaOH又はKOHのような従来のエッチ液体で続いて溶解される。この高密度のリリーフ構造30は、図4に示されている。
図5は、本発明に係る実施の形態を例示するパルスダイアグラムを示す。本発明に係るライトストラテジの基本的な態様は、N−1ライトストラテジを参照して説明され、ここでは、N−1ライトパルスによりNTのロングマーク/ピット(pit)が書き込まれている。この図はまた、目標にされるマークパターンを示している。エッチング後のピットにつながる、エッチングの前の非晶質のマークは、6つのライトパルスで書き込まれる。I2ピットは、最も小さなマークに基づいて生成されるものであり、1つの書き込みパルスで書き込まれる。ピット/マークのトレイリングエッジは、印加された消去パルスにより誘発される、再結晶化を介して成型される。消去パルスは、必要とされる再結晶化を引き起こすために十分に長い。消去パルスには、クーリングギャップが続き、記録スタックにおける熱の蓄積を制限する。
記録スタックにおける熱の蓄積は、吸収される全体のレーザエネルギー、直接的な加熱期間、及びスタックを通した拡散の容易さにより決定される。従来の相変化記録のケースでは、消去期間は、(いわゆるデータのダイレクトオーバライト,DOW)結晶質のランド(land)を得るためにディスクに存在する、古い非晶質のマークを消去するために必要とされる。これら中間の消去期間により、高いDC−kindの温度分散が引き起こされ、そこでライトパルスが重ね合わされる。したがって、隣接するトラックで達成される温度は、高く、これにより隣接するトラックに存在する非晶質のマークの再結晶化、すなわち熱的なクロスライトが引き起こされる。特に、データトラックピッチ、すなわち2つの連続するデータトラック間の距離が余りに小さい場合、隣接するトラックの加熱は、このデータマークの品質を低下する。
図6は、熱的なクロスライト効果を説明する温度−時間の図である。この図では、2つの消去パワーレベルのセントラルトラックにおける8Tマークの書き込みによる200nmの距離での隣接するトラックにおける温度−時間応答が示される。200nmの距離は、隣接するトラックにおけるマークのエッジに大雑把に対応する。プロファイルは、マークにおける3つのロケーションでプロットされており、すなわちマークのリーディングパート、センターパート及びトレイリングパートである。明らかに、5mVの高い消去パワーレベルは、長時間にわたり高い温度を招き、これにより現在のマークの再結晶化を誘発する。計算は、セントラルトラックにおけるマークを短くするために短い消去バンプで消去期間を置き換えることは、サーマルクロスライト効果を抑圧するために利益がある。
図7は、制御される再結晶化を説明するためのモデル計算を示している。成形のためのマークのトレイルにおける制御される再結晶化は、消去パワーレベル、パルス期間、及び最後のライトパルスと消去バンプとの間の時間を調節し、これによりクーリングギャップを設けることで可能となる。図7には、消去バンプの消去パワーの変動によるI2マークの制御される再結晶化の後のマーク形状のコンピュータシミュレーションが与えられている。ライトパワーは7mVであり、消去バンプは、2.5と5mVの間のパワーを有する。実線は溶解エリアを示し、シンボルは部分的な再結晶化後のマークを示す。この例では、接線方向のマークサイズの著しい低減は、消去パワーを増加させることで達成される。
この制御される再結晶化は、消去バンプと最後のライトパルスの間の長い消去バンプ又は短いクーリングギャップにより達成される。非晶質のマークのトレイリングエッジの再結晶化は、パルストレイルにおける最後のライトパルスの延長により達成することができる。これは、延長されたライトパルスがマークのサイドから再結晶を引き起し、良好に定義されないピットを引き起こすために好ましくない。
図8は、本発明の実施の形態を例示するパルスダイアグラムを示す。このライトストラテジは、図5に従うライトストラテジ比較して変更されている。小さなマーク及び長いマークを書き込むライトパワーは異なる。これは、Pw,1及びPw,2で示されている。短いマークのトレイリングエッジを成形する消去パルスは、Pe,1及びTe,1並びにPe,2及びTe,2で使用される、再結晶を誘発するために高いパワー及び長い期間を有する。再結晶化の量が同じであるとしても、達成される温度は、短いマークが書き込まれるケースにおいて低い。したがって、高いライトパワーの延長される消去パルスは、短いマークのテイルを成形することが好まれる。なお、マークの形状に影響を与える更なるパラメータが供給されるように、長いパルス列内のパワーレベルは異なる。
図9は、2Tスペース(ランド)により分離された2Tピットからなるデータパターンの原子間力顕微鏡からのピクチャ(AFMピクチャ)を示しており、(a)Te=Tp;(b)Te=2Tp;(c)Te=3Tpである。0.5Pw及び可変のパルス長の消去パルスが適用される。消去パルス(Te)の期間は、図9aにおけるライトパルス長(Tp)に類似している。図9bにおいて、消去パルスは2倍の長さである。3倍の長さの消去パルスの結果は、図9(c)に与えられる。延長された消去パルスは、多くの再結晶化を招き、したがって短い2Tマークを招く。さらに、誘発された後方成長(back-growth)は非常に再現可能であることが認められる。
以下の実施の形態では(図10〜図19)、ライトパルス系列のみが示される。図5に示され、図8に詳細にされた消去バンプは、全て記載されたライトストラテジに適用され、マークのテイルにおける制御される再結晶化を可能にする。
図10は、本発明に係る実施の形態を例示するパルスダイアグラムを示している。図11は、原子間力からのピクチャを示す(AFMピクチャ)。Nストラテジによれば、NTのロングマーク/ピットは、Nのライトパルスで書き込まれる。ライトパワーは、広いマークを得るために変動することができる。図11aは、マークのテイルにおける制御される再結晶化により良好に成形される再結晶化によるI2ピットを示す。図11b及び図11cは、控えめなパワー(40ILV)で書き込まれるI7ピットを示し、図11dは、45ILVで書き込まれるI7ピットを示す。記録速度は、2m/sである。3つの図11b,11c及び11dは、深刻な再結晶化がデータの書き込みの間に生じたことを示す。使用される材料は、2m/sの記録速度について余りに高速である。高い記録速度は、マークのフォーメーションを改善する。
図12は、本発明に係る実施の形態を例示するパルスダイアグラムである。図13は、原子間力顕微鏡からのピクチャを示す。N−1ストラテジによれば、NTロングマーク/ピットは、N−1ライトパルスで書き込まれる。ライトパルス間の、より広いクーリングギャップは、図13aに見ることができるように、書き込みの間に再結晶化を招かない。このピクチャは、50ILVで書き込まれた6Tピットに基づいて達成される。図13bでは、さらに、互いに部分的にオーバラップする70ILVで書き込まれた幾つかのマークが示される。
図14は、本発明に係る実施の形態を説明するパルスダイアグラムである。この実施の形態では、図12に係るストラテジと比較して短いパルスをもつN−1ストラテジが説明される。熱の蓄積を抑圧し、リーディングエッジにおける再結晶化を低減するため、長いクーリングギャップが得られる。同じ幅のマークを書き込むため、高いライトパワーが必要とされる。図15は、T2及びT4ピットのAFMピクチャを示す。ピットのリーディングエッジは、2Tピットとほぼ同じ幅であり、図11aにおけるピットよりも明らかに広い。更なる消去パルスは、図7に関して説明されるように、接線方向にトレイリングエッジを部分的に再結晶化するために使用することができる。一般に、消去パルスなしに説明される全ての実施の形態は、かかる消去パルスを適用することで変更される。
図16は、本発明に係る実施の形態を説明するパルスダイアグラムを示す。可変のパルス長をもつN−1ストラテジによれば、第一のライトパルスの延長により、良好に定義されたリーディングエッジを招く。後続するパルスの長さ及びパワーは、書き込みの間に再結晶化を最小にするために変化される。図示される例では、第一のパルスは、後続のパルスの3倍の長さである。全てのパルスは、等しいライトパワーを有する。クーリングギャップの期間は、再結晶化を抑圧するために変動される。
図17は、本発明に係る実施の形態を説明するパルスダイアグラムを示す。図18は、本発明に係る実施の形態を説明する更なるパルスダイアグラムである。図19は、原子間力顕微鏡からのピクチャを示す。これらの図に示される2Tストラテジによれば、NTのロングマーク/ピットは、N/2のライトパルスで書き込まれる。このライトストラテジは、記録スタックにおける熱の蓄積を低減し、したがって書き込みの間の再結晶化を抑える。かかるライトストラテジは、高速かつデュアルレイヤアプリケーションについて知られている。7Tマークは3又は4パルスで書き込まれる。図17及び図18に係る例では、最後のパルス(Tp,o及びTp,e)の長さ、及び最後のクーリングギャップ(Tg,o及びTg,e)の長さは、奇数及び偶数マークについて異なる。図19a及び図19bでは、T2の後方の成長が明らかに見られる。図19cに係るT7ピットは、図17に従うパルスストラテジで書き込まれる。広いリーディングエッジが結果であり、したがって再結晶化が抑えられる。
上述されていない等価な概念及び変更は、本発明の範囲から逸脱することなしに採用される場合があり、本発明は特許請求の範囲で定義される。
Claims (14)
- 光記録用のマスタ基板にデータを書き込む方法であって、
前記マスタ基板は、記録レイヤ及び基板レイヤを有し、
前記記録レイヤは、相変化材料を有し、前記相変化材料の位相は、前記記録レイヤに光を投射することで結晶質から非晶質に転移され、
少なくとも1つのライトパルスにより、前記マスタ基板に、複数の非晶質のマークのうちの第一の非晶質のマークを書き込むステップと、
次の非晶質のマークが書き込まれる前にクーリングギャップを設けるステップと、
を含む方法。 - 非晶質のマークを書き込むために複数のライトパルスが使用され、前記ライトパルスは品質的に同じパワーを有する、
請求項1記載の方法。 - 非晶質のマークを書き込むために複数のライトパルスが使用され、前記ライトパルスは異なるパワー値を有する、
請求項1記載の方法。 - 前記少なくとも1つのライトパルスの後、少なくとも1つの消去パルスが印加され、前記消去パルスは前記ライトパルスとりも低いパワーを有する、
請求項1記載の方法。 - 多数のライトパルスに後続する消去パルスは、少数のライトパルスに後続する消去パルスよりも低いパワーを有する、
請求項4記載の方法。 - 前記消去パルスの期間は、前記ライトパルスの期間の0.5倍と2.5倍の間である、
請求項4記載の方法。 - チャネルビット長のN倍の長さを有するマークは、N個のライトパルスにより書き込まれる、
請求項1記載の方法。 - チャネルビット長のN倍の長さを有するマークは、N−1個のライトパルスにより書き込まれる、
請求項1記載の方法。 - チャネルビット長のN倍の長さを有するマークは、N/2個のライトパルスにより書き込まれる、
請求項1記載の方法。 - 複数のライトパルスからの第一のライトパルスは、最も長いライトパルスである、
請求項1記載の方法。 - 同じ非晶質のマークに属するライトパルス間に調節可能な長さのクーリングギャップが設けられる、
請求項1記載の方法。 - 消去パルスの前に調節可能な長さのクーリングギャップが設けられる、
請求項4記載の方法。 - 請求項1乃至12のいずれか記載の方法により生成される高密度のリリーフ構造を複製するスタンパ。
- 請求項13記載のスタンパを使用した光記録キャリアを生成する方法。
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