JP2008511297A - ICA512はβ−細胞におけるインスリン分泌および遺伝子発現に関与する - Google Patents

ICA512はβ−細胞におけるインスリン分泌および遺伝子発現に関与する Download PDF

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Abstract

本発明は、μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512またはその誘導体またはフラグメントの存在または活性を、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中で促進する工程を含む、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中のペプチドホルモンの発現を刺激するための方法に関する。前記内分泌細胞はβ-細胞であり、そして前記ペプチドホルモンはインスリンであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中でペプチドホルモンの発現を刺激する方法であって:
(aa)(i)ICA512の存在または活性;または
(ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または
(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または
(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または
(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして
(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;
を、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中で促進する工程を含む、前記方法sに関する。さらに、本発明は、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進する方法であって:
(aa)(i)ICA512の存在または活性;または
(ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または
(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または
(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または
(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして
(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;
を、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中で促進する工程を含む、前記方法に関する。本発明にしたがって、前記内分泌細胞はβ-細胞であり、そして前記ペプチドホルモンはインスリンであることが好ましい。本発明のさらなる態様は、添付する特許請求の範囲に記載される。
明細書において、多数の文献を引用する。製造者のマニュアルを含め、これらの文献の開示内容は、その全体を参考文献として援用する。
膵臓内分泌部のインスリン-生成性β-細胞を含め、神経内分泌細胞は、ペプチドホルモンおよびニューロペプチドの調節性分泌を介して、生理学的活性を調節している。これらのシグナル伝達分子は、分泌顆粒(SG)と呼ばれるオルガネラの内部で、細胞内で保存され、分泌顆粒は、別の刺激に反応して形質膜と融合する。このプロセスは、一般的には調節性エクソサイトーシスと呼ばれるが、細胞外スペースへのペプチドホルモンおよびニューロペプチドの放出に関与し、そしてペプチドホルモンの場合には、全身循環中へのそれらの放出に関与する。神経内分泌細胞が、絶えずそれらの調節性分泌活性をモニターすることを可能にし、そしてしたがってそれらの遺伝子発現プロファイルおよびホルモン生合成を調節することを可能にしているフィードバック-シグナル伝達メカニズムが存在するかどうかは、未解決の問題である。
非常に多様なペプチドホルモンおよびニューロペプチドが当該技術分野において知られている。これらには、とりわけ、アミリンおよびインスリンが含まれる。インスリンは、グルコース恒常性を維持することに関与するペプチドホルモンであり、そしてその産生、分泌、またはシグナル伝達が失われると、糖尿病が引き起こされる可能性がある。最近数十年にわたって、特に西側世界において糖尿病患者の数が増加し続けているため、インスリン発現の制御は、医学的研究の焦点となっている。
ICA512(IA-2とも呼ばれる)は、1型糖尿病における自己免疫性の主要な標的であり、インスリンSG、そして一般に神経分泌顆粒と関連している(I)(1)。このI型膜貫通型タンパク質(2、3)は、単一のPTPドメインが存在することから、受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)ファミリーに属するが、しかしながらホスファターゼ活性を有さない(4)。ICA512の欠失は、マウスにおいてインスリン分泌の機能低下を示したが(5)、この表現型の理由は明らかではない。
ICA512は、前駆体、プロ-ICA512から放出される。プロ-ICA512は、110 kDの糖タンパク質であり(6)、グルコース-調節型の様式で合成される(7、8)。フューリン(furin)-様プロテアーゼによる分泌経路と平行したその細胞外ドメインのプロセシングにより、プロ-ICA512が、65 kDのその成熟型膜貫通型(ICA512-TMF)に変換され、それがSGにて濃縮される(1)。SGエクソサイトーシスの刺激により、ICA512の形質膜への転移が引き起こされ(1)、そしておそらくはμ-カルパインにより、その細胞外ドメインがCa2+-依存性に切断されるため、ICA512-TMFレベルが減少する(7)。
カルパインファミリーの14種類の哺乳動物システインプロテアーゼの中で、μ-カルパインのみが、マイクロモル濃度のCa2+、すなわち、SGエクソサイトーシスを誘引するため、形質膜そばの生理学的刺激により引き起こされる範囲レベル内のCa2+、により活性化された(11)。したがって、分泌の刺激は、カルパイン活性を促進した(7)。さらに、μ-カルパインは、PEST配列のほんの数残基下流の組換え体ヒトICA512細胞質ドメイン、残基658〜659のあいだを、in-vitroで切断した(7)。PEST領域は、タンパク質分解シグナルとして機能する可能性があり、そしてカルパイン基質中にしばしば存在する(12)。
ニューロペプチドの発現または分泌の脱制御(dereguation)と相互関係を有する疾患に関連する治療法の開発に対するインパクトをも有する可能性があるインスリンの制御に関するいくらか価値のある情報が、最近蓄積されてきた。特に、転写後メカニズムは、グルコースに反応してインスリンおよびSGタンパク質の発現を迅速に上昇制御することに関係していることが見いだされた。具体的には、β-細胞の刺激は、ポリピリミジン経路(polypryimidine tract)結合タンパク質(PTB)の核-細胞質転移を促進し、次いで、それがインスリンおよびICA512を含むSGタンパク質をコードするmRNAと結合し、そしてそれらの安定性および翻訳を向上させることが示された(8)。
結果的に、多数の報告が、分泌顆粒中に含有されるペプチドの発現および分泌の制御を解明した。これらの報告のいくつかは、その様なペプチドの発現または分泌の脱制御と相互関係を有する疾患の予防または治療における、新規のアプローチの開発を導くことが予想される。けれども、上述した疾患に対する、特に糖尿病に対する、新規のそして有望な医薬または医薬用のリード化合物を見いだすことの重要性のため、その様な医薬またはリード化合物を見いだすことの必要性が継続的に存在している。この必要性、または技術的な課題についての解決策は、特許請求の範囲において特徴づけられる態様を提供することにより達成される。
したがって、本発明は、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおいて、(aa)(i)ICA512の存在または活性;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;を促進する工程を含む、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおけるペプチドホルモンの発現を刺激するための方法に関する。
本発明の方法は、in vivo、in vitroまたはex vivoにおいて、実施することができる。このことは、以下にさらに記載する本発明の方法のその他の態様についても当てはまる。
本発明の主要な態様にしたがって上述され、ならびに以下においてさらに検討される本発明のさらなる態様に関して上述された、(aa)および(ab)を含むオプション(a)または(b)、は、相互に排他的であることを意図しない。むしろ、これらのオプションは、同時的にまたは関連して生じてもよい。したがって、いくつかのオプションが記載されている本発明にしたがって、別段の記載をしていなければ、これらは、単独でまたは共同して、有効になる場合がある。同一のことは、ICA512タンパク質のC-末端フラグメントまたはその誘導体の特徴など、すなわちC-末端フラグメントまたは誘導体が、核を標的とする能力、PIASタンパク質と相互作用し、そして転写因子および好ましくはSTATと相互作用/制御する能力、についても当てはまる。そのC-末端フラグメントまたはその誘導体は、これらの特徴の1つ、2つまたは3つすべてを有していてもよいが、3つすべての特徴が存在することが好ましい。本発明は、C-末端フラグメントまたはその誘導体が、STATの代わりに、あるいはSTATに加えて、PDX-1およびRIPE3b1-Act/C1などのその他の転写因子と相互作用し/制御するような態様をも含んでもよいことは、特筆すべきである。一般的に、その様な転写因子の活性を、それらの核転移を促進することにより、それらの核からの転送を阻害することにより、それらの半減期を長くすることにより、そして、注目に値することは、DNAおよび転写のコアクチベータと結合するそれらの能力を向上させることにより、亢進させることができる。
用語“発現”は、当該技術分野において周知であり、そして遺伝子の転写および/または翻訳に関連し、結果としてメッセンジャーRNAの生成、そしてそれに引き続いてタンパク質へのその翻訳を引き起こしてもよい。本発明にしたがって、特に、遺伝子の転写が刺激されることが好ましい。
発現は、問題となる遺伝子の発現レベルが、上述した存在または活性の促進を行わない場合に到達するレベルと比較して、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも100%、亢進される場合に“刺激される”。最も好ましくは、発現レベルは、少なくとも200%、例えば少なくとも500%亢進されるが、これらの値は亢進の上限を意味する訳ではない。参照レベルとしては、非刺激細胞は、基底レベルのインスリン産生のみを示す膵臓β-細胞などとして機能することができる。
用語“ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン”は、ペプチドホルモンまたはニューロペプチド(ニューロペプチドは、本発明にしたがって、ペプチドホルモンの群内に含まれる)を天然に生成しそして分泌する、いずれかの哺乳動物細胞そして好ましくはヒト細胞のことをいう。その様な細胞の前駆体、および身体中の正常な状況下ではその様なペプチドを分泌しないが、その様なペプチドを、例えば遺伝子操作により分泌するように操作された細胞もまた含まれる。原則としては、この観点における一つの選択肢は、ペプチド-分泌性の内分泌細胞またはニューロンに分化形質転換する(transdifferentiate)ように体細胞を再プログラミングすることを意味する。本発明にしたがって、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンは、ペプチドホルモンまたはニューロペプチドを天然に産生しそして分泌するヒト細胞であることが好ましい。
一般的に、用語“存在を促進する”は、特定のレベルの(aa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体が、記載された細胞またはニューロンの細胞質内で維持される、ということを意味する。したがって、本発明は、選択肢の一つにおいて、細胞質中の上述した化合物のいずれかの存在レベルが、維持されるかまたは本質的に維持され、例えば少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%、例えば100%に維持されることを意味する。細胞質中の前記化合物の存在レベルを維持するための重要なオプションは、さらに以下の本発明の方法の好ましい態様と関連して記載される。2つめの選択肢において、ICA512またはμ-カルパインにより切断されて、ICA512のC-末端フラグメントまたは上述したそのいずれかの誘導体またはフラグメントを生じ得るICA512機能を有するその誘導体またはそのフラグメント、は、細胞内部で積極的に生成されおよび/または細胞質から核中に移動される。この選択肢において、ICA512レベルまたはそれに加えて若しくはその代わりに上述したいずれかの誘導体またはフラグメントのレベルを、細胞中で、特に細胞質または核中で、どのようにして上昇させることができるか、いくつかのオプションが可能である。例えば、細胞が前記化合物のいずれかを天然では生成しない場合、少なくとも1つの前記化合物を前記細胞中で発現することができるベクターを導入することにより、生成を刺激することができる。前記化合物のレベルをどのようにして亢進させることができるかについての重要なオプションは、以下にさらに記載する好ましい態様と関連して検討される。上述したことに加えて、ICA512または上述したいずれかのその誘導体またはフラグメントの生成と関連して、用語“亢進”は、細胞質中または核中に既に存在する前記化合物のいずれかのレベルの亢進、および細胞中でのそのde novo生成の両方に関する。発現を刺激するために必要な、細胞中で必要とされる前記化合物レベルは、細胞型ごとに異なる可能性がある。いずれかの場合において、そしてその細胞またはニューロンに関しては、前記細胞またはニューロンが、刺激段階(stimulated stage)にあること、すなわち前記ペプチドホルモンを分泌すること、が好ましい。膵臓β-細胞の場合、刺激は、グルコースとの接触またはグルコースの添加により行われる可能性がある。
μ-カルパインまたは記載されるそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性のオプションの促進に関して、以下のことに注目すべきである:一般的には、μ-カルパインそれ自体がそれぞれの細胞またはニューロン中で発現されていないか、または前記細胞またはニューロン中に存在するICA512タンパク質などのターンーオーバーが保証されない様な低含量でしか発現されていない場合、特に基質の発現レベルが本発明の方法にしたがって非常に亢進される場合、μ-カルパインなどの存在または活性を促進することが、好ましいかまたはむしろ必要である(ここで“など”といったのは上述したフラグメントまたは誘導体のそれぞれのことを意味する)。細胞中でのμ-カルパインレベルは、標識抗-μ-カルパイン抗体を用いた染色などの生化学的手段により、またはそれぞれの細胞の抽出物中でのμ-カルパイン基質、好ましくはICA512のターンオーバーを古典的な生化学的技術にしたがって測定することにより、または完全長ICA512とμ-カルパインにより生成されるフラグメントとを識別する本明細書中で記載する抗体を使用することにより、測定することができる。一方、前記存在または活性の促進は、ICA512または上述したそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性を促進するに際して、前記ICA512などを切断するために十分な量が細胞中に存在する場合には、μ-カルパインまたは触媒的に活性なそのフラグメントまたは誘導体のde novo合成が細胞中では生じない場合であっても、そしてタンパク質などの全体レベルが維持されずむしろ減少している場合であっても、必要とされない可能性がある。さらに、ペプチド模倣物を使用する場合、その長さに関わりなく(例えば、それが完全長ICA512に対応する場合であっても)、μ-カルパインは、前記細胞中で必要とされない可能性がある。
用語“[...] 活性を促進する”は、用語“存在を促進する”と関連して説明されたように、活性を本質的に維持することまたは増加させることをいう。活性の増加は、例えば、部位特異的変異生成およびそれに引き続いて行う活性増加に関する試験により、達成することができる。
“ICA512”は、本明細書にしたがって、成熟型膜貫通タンパク質“膵島細胞自己抗原512(Islet Cell Autoantigen 512)”のことを言い、“IA-2”または“タンパク質チロシンホスファターゼN(PTPN)”とも呼ばれ、ヒトICA512配列を反映するSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列と、少なくとも30%、好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも50%、そして最も好ましくは少なくとも75%、例えば85%の同一性レベルを有する。この配列は、NCBIタンパク質データベースから、エントリー# Q16849として入手することもできる。このアミノ酸配列は、好ましくは、本発明にしたがって、NCBIヌクレオチドデータベースからエントリー# L18983として入手することができるSEQ ID NO: 2のヌクレオチド配列によりコードされる。様々な程度の同一性を有し、そして用語“ICA512”の下に包含される様々なICA512タンパク質は、科学文献においてはICA512とは異なる名前を有する可能性もあるその他の種由来の天然に存在するタンパク質と単に呼ばれることも理解すべきである。このように、ヒト配列とアミノ酸レベルで86.7%の同一性を有するマウスICA512タンパク質(NCBIエントリー#148721)が同定された。同様に、ラットタンパク質(NCBIエントリー#063259、86.82%の同一性)、Danio rerioタンパク質(NCBI部分配列# AF190144.1、75.97%の同一性)、そしてC. elegansタンパク質(NCBIエントリー# CAB52188、38.10%の同一性)が同定された。これらのタンパク質すべては、以下の機能を共有する:1)それらはすべて、それらの細胞質尾部に単一の非定型タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)ドメインを含み、従来型チロシンホスファターゼ基質に対するホスファターゼ活性を欠損する、2)それらは、神経内分泌細胞中で最も豊富である;3)それらは、SG上に豊富である。それらはすべて、本発明の方法にしたがって、使用することができる。
用語“ICA512機能を有するICA512の誘導体”は、例えば、そのタンパク質が内部に天然に存在する細胞以外の真核細胞により行われる翻訳後修飾により、または翻訳後修飾の欠損により(原核生物により生成されるタンパク質の場合)、化学的修飾により、いくつかの重要なオプションの例を挙げたペプチド模倣物などにより、天然に存在するICA512に由来するタンパク質に関する(本明細書の関連では、用語“タンパク質”は、用語“ポリペプチド”と同一の意味を有する)。すべてのこれらのオプションにおいて、ICA512機能が保持される。“ICA512機能”は、本発明にしたがって、μ-カルパインにより切断され、そして核に対して標的化する能力を保持する能力および/またはPIAS(活性化STATのタンパク質阻害剤)ファミリーのタンパク質に結合する能力、および/または本明細書において上述したSTAT(Signal Transducer and Activator of Transcription)などの転写因子の活性を調節することによりペプチドホルモンをコードする遺伝子の発現を促進しまたは亢進する能力、を保持するC-末端部分を誘導する能力を有するPTP様ドメインを含むことを意味する。用語“誘導体”には、したがって、上記で同定した生物学的機能を有し、そして最初にICA512の天然に存在する構造を仮定することなく(半)合成的または組換え的に生成し、次いで引き続いて例えば、タンパク質が内部で天然に存在する細胞以外の真核細胞により達成される翻訳後修飾により修飾される、分子もまた含まれる。これは、誘導体がペプチド模倣物である場合に当てはまる。あるいは、用語には、上述したように修飾されそして上述した機能を保持する完全長タンパク質のフラグメントが含まれる。上述した修飾(特に、翻訳後修飾および化学的修飾)には、以下のものが含まれる:アセチル化、アシル化、アミド化、ADP-リボシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、脂質または脂質誘導体の共有的結合、メチル化、ミリスチル化、PEG付加、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化、およびSUMO化。上述のタンパク質誘導体には、さらに、融合タンパク質が含まれ、この場合、2つの融合パートナーが、例えば、グリシンリンカーまたはgly-serリンカーなどの(柔軟性)リンカーを介して融合することができるか、またはタンパク質が、His-tag、FLAG-tag、myc-tagなどのタグに融合される。
用語ICA512の“前駆型(pro-form)”または“プロ-ICA512”は、110 kD糖タンパク質のことをいい(6)、グルコース-制御様式で合成される(7、8)。その細胞外ドメインのプロセッシングならびにfurin-様プロテアーゼによる分泌経路は、プロ-ICA512を65 kDのその成熟型膜貫通型(ICA512-TMF)へと変換し、それがSG上に濃縮される(enriched)(1)。その前駆型は、天然の供給源に由来するか、または(半)合成的に生成することができる。好ましくは、それは組換え的に生成される。組換え生成は、いずれかの適切な宿主細胞、例えば真核宿主細胞(哺乳動物宿主細胞あるいは酵母細胞、または昆虫細胞など)において達成することもできる。あるいは、細菌宿主細胞を使用することができる。その様な目的のため、問題となるタンパク質をコードする遺伝子は、通常は適切なベクター中にクローニングされ、宿主細胞をそのベクターでトランスフェクトし、そしてタンパク質を宿主細胞中で生成させる。生成後、そして利用した発現システムに依存して、タンパク質を、宿主細胞を破壊することにより宿主細胞から、あるいは培養上清から、回収することができる(例えば、Sambrook et al, “Molecular Cloning, A laboratory manual", 2nd edition, CSH Press 1989, Cold Spring Harborを参照)。その前駆型は、μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化しそしてペプチドホルモンの発現を亢進する機能的なC-末端を生じるその能力を保持する限り、上述したいずれかの修飾を有していてもよい。どのようにこの機能を試験することができるかについての試験を、本明細書の教示にしたがって行うことができる。
“μ-カルパイン”は、細胞質中で生じるカルパインファミリーの哺乳動物のシステインプロテアーゼである。これは、マイクロモル濃度のCa++イオン、すなわち生理学的に細胞質部分に到達し得るCa++濃度の範囲内、により活性化される、現在までに知られるこのファミリーの唯一の分子である。それを、リン脂質によって活性化することもできる。PEST配列を伴うタンパク質は、μ-カルパインに対する優先的な標的を構成する(Rechsteiner, M. Semin. Cell Biol. 1 (1990), 433-440;Mykles, D.M., Int. Rev. Cytol. 194 (1998), 157-289)。本発明にしたがって、この酵素またはそのフラグメントまたは誘導体が、触媒的に活性であり、そしてしたがってICA512を切断することができることが重要である。
“μ-カルパイン機能を有するμ-カルパインの誘導体”は、μ-カルパインの機能が保持されている限り、ICA512の誘導体について上述したいずれかの修飾を含有していてもよい。この機能は、成熟型膜貫通型ICA512(またはその適切な誘導体またはフラグメント)を、成熟型完全長タンパク質の位置658と659のあいだで切断する能力を必ず有する。“μ-カルパインのフラグメント”もまた、この機能を必ず有する。必要とされる機能を保持することは、本明細書中で記載される試験または(7)において記載される試験を使用することにより評価することができる。
用語“核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメント[...]またはその誘導体”は、上述したように修飾されていてもよいICA512から誘導されるかまたは隔離され、そして細胞質から核内に移動する能力を有する、このタンパク質のいずれかのC-末端部分のことをいう。このC-末端フラグメントは、プロテアーゼ(μ-カルパインなど)を用いて切断することにより、天然に存在する完全長ICA512から得ることができる。一つの選択肢において(当業者が更新するさらなる選択肢を排除しない)、フラグメントは、化学的に合成されるか、または組換え的に生成される。核に対して標的化する能力を、本明細書の教示に基づいて、さらなる労力を必要とせずに、当業者は決定することができる。本発明にしたがって、C-末端フラグメントの最もN-末端側に位置するアミノ酸残基は、全長配列の残基601である。好ましくは、最もN-末端側に位置する配列は、位置643のアミノ酸であり、そして最も好ましくは、位置659のものである。もちろん、アミノ酸残基601と659のあいだのいずれかその他の位置もまた、N-末端として機能することができる。さらに、アミノ酸659の下流の位置が、N-末端として機能することができる。本明細書において提供される教示により、当業者は、位置659の下流のN-末端アミノ酸位置および核に対して標的化することができる機能を有しそしてインスリン発現を刺激する機能を有するC-末端フラグメントを生じる位置を、過度な労力なく決定することができる立場にある。したがって、これらの態様すべては、本発明の範囲に包含される。
“PIASタンパク質と相互作用する能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体”は、前述したものと同一のフラグメントであってもよく、そしてしたがって、PIASタンパク質と相互作用するさらなる機能を有してもよい。用語“PIASタンパク質”は、SUMO化反応においてE3-リガーゼとして機能する核内タンパク質のファミリーのことを言い、標的タンパク質の一次アミノ酸配列中の細胞質リジンに対するSUMOペプチドの共有的な結合による、タンパク質の翻訳後修飾からなる。PIASタンパク質は、STATを含む多数の転写因子の活性を修飾することもできる。あるいは、このフラグメントは、上述したC-末端フラグメントとは、上述したフラグメントが核に対して標的化するが、(必ずしも)PIASタンパク質には結合しない点で、機能的に異なる可能性がある。いずれの場合においても、このフラグメントを、PIASタンパク質に対して必ず結合するという前提で、上述したように修飾することができる。結合は、本明細書中で記載された実験設定を使用して測定することができる。
“STAT”(STAT-5など)は、シグナル伝達物質とシグナル伝達ポリペプチド(例えばサイトカイン、インターロイキン、成長ホルモンおよびプロラクチンなど)に曝露された細胞での転写の活性化因子との二重機能を果たすタンパク質である。STATタンパク質ファミリーには、STAT-3およびSTAT-5が含まれ、これらが本発明にしたがって好ましく使用される。細胞質STATのチロシンリン酸化は、それらの二量体化および核内転移を促進し、それによりこれらのタンパク質が制御DNA要素に結合することを可能にし、そして遺伝子転写を促進させる。特に、STAT-5は、成長ホルモンおよびプロラクチンによる刺激に際して、インスリン遺伝子発現およびβ-細胞増殖を刺激する(Nielsen et al., 2001)。STAT-5活性は、チロシンリン酸化により活性化され(Herrington et al., 2000)、一方それはPIAS3により阻害される(Rycyzyn and Clevenger, 2002)。
“μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得るICA512のフラグメント”は、したがって、上述したように定義されたC-末端フラグメントを超えてN-末端側に伸長されるフラグメントである。事実、その様なフラグメントは、ICA512のアミノ酸位置2まで、N-末端側に伸長することができる。所望によっては、そのフラグメントは、PIASタンパク質と相互作用する能力、または前記細胞中のSTATなどの転写因子と相互作用し/制御する能力を、選択的にあるいは追加的に有する、C-末端フラグメントを生じる。上述したように、PIASタンパク質との相互作用は、結果的にC-末端フラグメントまたは誘導体のSUMO化を引き起こし、それが次いで、転写因子の核内転移/保持および/またはそれらの安定性を亢進する様に導くことが予想される。出願人は如何なる理論によっても縛られることは望まないが、C-末端フラグメントなどのPIASに対する結合は、転写因子に結合するその能力および/またはそのSUMO化活性を修飾することが予想される。
同様に、上述したこれらのフラグメントの“誘導体”は、少なくとも1つの、好ましくは2つ、そしてより好ましくは3つすべての上述した特徴を有する、ICA512の前記C-末端フラグメントの誘導体を生じ得る。
用語“前記細胞またはニューロン中で、STATの核内レベル、またはチロシンリン酸化またはDNA結合活性を亢進する能力を有する[...]フラグメントまたは誘導体”は、上述した細胞中でSTATタンパク質に対して少なくとも1つのこれら3つの生物学的機能を示す、上述した態様のいずれかに従うフラグメントまたは誘導体のことをいう。好ましくは、このフラグメントまたは誘導体は、STATに対する3つの異なる活性すべてを示す。このフラグメントまたは誘導体は、PIASタンパク質と相互作用する機能を追加的に有することがさらに好ましい。このフラグメントまたは誘導体はまた、本発明の主要な態様において記載したその他のフラグメントまたは誘導体の機能または特徴も有することがさらに好ましい。
本発明にしたがって、驚くべきことに、ICA512のC-末端フラグメントが、核に対して標的化され、そしてペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中で核内においてペプチドホルモンの発現を刺激することが、見いだされた。さらに、μ-カルパインにより切断することにより実験的に生成された前記C-末端フラグメントが、PIASタンパク質と相互作用し、そしてSTATタンパク質の活性を制御することが見いだされた。出願人はいずれの科学的理論によっても縛られることを望まないが、前記C-末端フラグメントの前記PIASタンパク質に対する結合が、おそらくは(しかし必ずそうというわけではないが)、STATファミリーの転写因子の制御を通じて、前記ペプチドホルモンの発現の刺激に対して直接的な影響を有する可能性は十分にある。この点で、本発明の実施例は、PIASyに対するICA512-CCFの結合が、結果的にICA512-CCFのSUMO化を引き起こし、STAT5活性を亢進する可能性がある修飾型ICA512-CCFを生成することを示す。さらに、ICA512-CCFは、おそらくはこれらの最後の2つのタンパク質のあいだでの抑制性複合体の形成を阻害することにより、PIASyのSTAT5に対する阻害作用を減弱することもできた。本明細書中で示された実験データは、ICA512-CCFおよびPY-STAT5が、核内複合体中で結合し、そしてSTAT5リン酸化および転写活性が、ICA512-CCFレベルと密接に相関していることも示す。我々の知見の最も説得力のある解釈は、ICA512-CCFがその触媒的に不活性なPTPドメインを介してPY-STAT5に結合し、そしてチロシンホスファターゼ(TC45、SHP-2またはPTP-1Bなど(51、54))によるその脱リン酸化を妨害し、その結果活性化STAT5が核内に保持されやすくなる(図28)、というものである。STATは、PIASタンパク質によっても阻害される(18)。STAT1の場合、この阻害は、少なくとも部分的には、そのSUMO化のためである(55)。
これらの結果から、デコイホスファターゼとして作用することにより、そしてPIAS抑制活性を妨害することにより、ICA512-CCFが、STAT5-依存性遺伝子発現を積極的に制御する、というモデルを考え出すことが可能である(図28)。同様なメカニズムを介して、ICA512-CCFは、その他の転写因子の活性を修飾することができる。例えば、我々は、ICA512-CCFが、STAT3の核内レベルを増加させることを示した。転写因子RIPE3b1-Act/C1およびPDX-1は、そのインスリン遺伝子転写を活性化する能力がそれぞれチロシンリン酸化(56)およびSUMO化(57)により影響を受けるが、ICA512-CCFによる制御の2つのその他の可能性のある標的である。
グルコースに加えて、SGエクソサイトーシスを引き起こすその他の刺激が、ICA512経路を活性化することができる。例えば、GLP-1は、インスリン遺伝子発現およびSGエクソサイトーシスを両方とも刺激する消化管ホルモンである。ラットインスリン1遺伝子転写のGLP-1による亢進には、STAT5結合要素を含むインスリンプロモータ中の領域が必要とされ(58)、このことはGLP-1とSTAT5との潜在的な結合があることを示唆する。本明細書中で示された実験データを考慮すると、しかし如何なる科学的な理論によっても縛られないが、GLP-1が、ICA512-CCFを生成することを介してSTAT5シグナル伝達を収束することは、考えられるかもしれない。
本明細書中で提示された実験データは、いくつかの観点で新規である。第一に、この知見が、異なる刺激がインスリン発現を促進する際に相乗作用をもたらす能力についての機構的な説明を提供する。グルコースおよび成長ホルモンによるβ-細胞遺伝子発現のこの収束性の制御は、代謝性要求が増加する条件下、例えば妊娠や肥満の条件下において、特に重要である可能性がある。第二に、この知見が、STATの転写活性が、どのようにして進化的に保存されたデコイチロシンホスファターゼとのその結合を亢進することができるのか、について初めて示すものである。触媒的に不活性なホスファターゼドメインがほとんどの受容体チロシンホスファターゼにおいて見いだされるため、タンパク質チロシン脱リン酸化を妨害するその様なメカニズムが、一般的に重要なものであると考えられる。第三に、本明細書中で提示した実験データは、膜貫通型タンパク質の細胞質ドメインが、細胞質中へのその放出に際してそして核内への転移に際して、SUMO化を受ける可能性があることを、初めて示すものである。その様な修飾は、このドメインの遺伝子発現を調節する能力に影響を与える可能性がある。さらに、我々の知見は、PIASyがβ-細胞中のSTAT5活性を阻害することを証明する。
これらの驚くべき知見に基づいて、今や、ニューロンを含む細胞を、所望のペプチドホルモンの発現に関して刺激することができる。この方法において、今や、疾患または症状を引き起こすかまたは疾患または症状を引き起こす可能性のあるその様なペプチドホルモンレベルの減少を、亢進することができる。この亢進は、疾患の影響を平衡化し、または疾患を予防しまたは治癒させると考えられる。
本質的には、本発明の方法は、様々な設定が予想される。例えば、成熟型ICA512(または上述したその誘導体またはフラグメント)が、細胞中で高レベルで発現され、そして引き続いてμ-カルパイン(または上述したそのフラグメントまたは誘導体)により切断されうる。この方法において、ICA512のC-末端フラグメントの増量を、核に対して再度標的化し、そして所望されるようにペプチドホルモンの発現を刺激または亢進することができる。選択的にまたは追加的に(例えば、高レベルのICA512などが細胞中で発現されるが、しかし不十分な程に低レベルのμ-カルパイン(上述を参照)しか細胞中で発現されないかまたは細胞中でなにもμ-カルパインが発現されない場合)、例えば、μ-カルパインの構成的発現により、μ-カルパイン機能を亢進することができる。これは、例えば、μ-カルパインに対する遺伝子を含むベクターを用いてトランスフェクトする細胞中において、構成的に活性なプロモータの調節下、または適切な細胞中で特異的に誘導することができるプロモータの調節下にて、行うことができる。ICA512を切断するμ-カルパインの機能は、さらなる選択肢において、例えば、部位特異的変異生成により、または内在性カルパイン阻害剤カルパスタチンを阻害することにより、特異的な切断活性を増加させることによって亢進することができる。活性レベルを亢進させたプロテアーゼは、本明細書において上述した切断アッセイにおいて選択することができる。あるいは、本発明では、例えば、より安定で、PIASに対してよりよく結合し、STAT活性をより高いレベルに増加させ、そして如何なる場合にもペプチドホルモン遺伝子発現を亢進する際により有効である、ICA512変異体を選択することにより、ICA512の活性を促進する方法が予想される。当然ながら、上述のオプションの如何なる組合せ、ならびにここでは具体的に言及されていないさらなるオプションを含むことのいずれも、本発明の範囲内である。
オプション(b)に関して、本発明の方法は、μ-カルパインによるICA512の切断に依存しない。むしろ、核に対して標的化する能力を有し、および/またはPIASタンパク質と相互作用する機能/能力を有し、および/またはSTATなどの転写因子と相互作用/制御する機能/能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントを、細胞中で提供することができる。C-末端フラグメントの存在量を亢進することは、言及する細胞中でのペプチドホルモンの発現を刺激するために適切であると考えられる。このフラグメントの活性は、例えば、PIASタンパク質/STATに対する結合親和性を亢進することにより、増加させることができる。
どのようにして本発明の方法を実現させることができるかについての上述したオプションのいくつかは、少なくとも1つの上述の化合物を、医薬組成物中に製剤化する際に必要とされるだろう。このことは、以下にいおいてさらに言及する本発明のその他の態様について、等しく当てはまる。その医薬組成物は、一般的に、固体形状、液体形状、またはガス形状であってもよく、そしてとりわけ、粉末、錠剤、溶液、またはエアロゾルの形態であってもよい。
その医薬組成物は、分泌顆粒中に含有されるニューロペプチドの、生成/発現の欠損、生成/発現の減少、または生成/発現の遅延、と因果関係を有しているいずれかの疾患を治療するために特に有用である可能性がある。
その医薬組成物は、医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤および/または希釈剤をさらに含んでいてもよい。適切な医薬的なキャリア、賦形剤および/または希釈剤の例は、当該技術分野において周知であり、そしてリン酸緩衝化塩類溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、滅菌溶液などが含まれる。その様なキャリアを含む組成物を、周知の従来法により製剤化することができる。これらの医薬組成物を、適切な用量で被検体に投与することができる。適切な組成物の投与は、様々な経路により、例えば、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、皮内投与、鼻内投与、または気管支内投与により、達成することができる。前記投与を、例えば、膵臓中の部位に対して、または脳動脈中にまたは脳組織中に直接、注射および/または送達することにより行うことが、特に好ましい。この組成物を、標的部位に対して直接、例えば、膵臓または脳などの外部または内部標的部位に対するバイオリスティック送達(biolistic delivery)により、投与することもできる。投薬処方は、関与する医師または臨床的因子により決定される。医薬分野において周知である様に、いずれか一人の患者についての用量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与時間および投与経路、一般的健康状態、そして同時的に投与されているその他の薬剤、を含む、多数の因子に依存する。タンパク質性医薬的活性物質を、投与当たり1 ng〜10 mg/kg体重の量で存在させてもよい;しかしながら、特に上述した因子を検討すると、この例示的な範囲よりも少ない用量および多い用量が予想される。処方が連続的輸液である場合、kg体重当たり1分間当たり1 μg〜10 mg単位の範囲であるべきである。
定期的な評価により、進展をモニタリングすることができる。本発明の組成物を、局所的にまたは全身的に投与することができる。非経口的投与のための調製物には、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液、そしてエマルジョン、が含まれる。非水性溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、そしてオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルがある。水溶性キャリアには、水、アルコール/水溶液、エマルジョン、または塩類溶液または緩衝溶液を含む懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース溶液、デキストロースと塩化ナトリウム溶液、乳酸加リンガー溶液、または固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充液、電解質補給液(リンガーのデキストロース溶液をベースにしたものなど)などが含まれる。保存剤およびその他の添加物には、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどが含まれていてもよい。さらに、その医薬組成物は、医薬組成物の用途に応じて、さらなる薬剤を含んでもよい。
さらに、前記化合物をコードする核酸分子および好ましくはDNA分子(ここで、用語“化合物”は、上述したフラグメントまたは誘導体のこともいう)は、医薬組成物中で製剤化することができる。核酸分子は、結局のところ、所望の細胞中に導入されるものである。適切な製剤には、好ましくは適切なベクター中に含まれる、106〜1012コピーのDNA分子が、投薬当たり投与されるものが含まれる。そのベクターは、例えば、ファージベクター、プラスミドベクター、ウィルスベクター、またはレトロウィルスベクターであってもよい。レトロウィルスベクターは、複製可能なもの(competent)であっても複製欠損のもの(replication defective)であってもよい。後者の場合、ウィルス増殖は、一般的には、相補性の宿主/細胞中でのみ生じる。
核酸分子(またはポリヌクレオチド)は、宿主中で増殖するための選択可能マーカーを含有するベクターに結合することができる(本明細書中のその他の記載も参照)。一般的には、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物または塩化ルビジウム沈殿物などの沈殿物中、または荷電脂質との複合体中、または炭素-ベースのクラスター(例えば、フラーレン)中、で導入される。ベクターがウィルス性のものである場合、宿主細胞への適用前に、適切なパッケージング細胞株を使用して、in vitroでパッケージングされていてもよい;この点に関する一般的な情報に関しては、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (2001)を参照。
本発明はさらに、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン中で、(aa)(i)ICA512の存在または活性;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性、を促進する工程をさらに含む、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進する方法に関する。
用語“ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進する”とは、上述した細胞が増殖を開始するという事実、またはペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロン由来のニューロペプチドの発現または分泌の脱制御と関連する疾患を罹患していない個体において、そして特に1型糖尿病または2型糖尿病に罹患していない個体において、増殖が所定レベルを超えて、そして好ましくは基底レベル(好ましくは完全に分化した細胞の基底レベル)を超えて亢進されるという事実のことをいう。In vitroにおいて、その様なレベルを、適切な細胞株を使用して決定することができる。このように、増殖は、DNAに対して、例えば、DNA中の[H3]-チミジンまたはブロモデオキシウリジン(BrdU)により放射性標識された核酸または修飾された核酸を導入することにより測定することができる。導入された放射性は、β-計数により測定することができ、一方、BrdUに対して陽性である細胞の割合は、抗-BrdU抗体を用いた免疫細胞化学的染色の後、蛍光顕微鏡により定量することができる。当業者は、その様なアッセイの結果を、過度な労力なしに、in vivoの状況に関連づけることができる。本発明の方法により達成される増殖の増加の割合%は、好ましくは、上述したレベル以上に、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも100%である。最も好ましくは、増加レベルは、少なくとも200%、例えば少なくとも500%またはさらに少なくとも1000%である。
本発明のこの態様により、好ましくは、SGを保持する細胞の再生が可能になる。当該技術分野において既知であるように、転写因子STAT-5は、PIASファミリーのタンパク質を介して制御され、そして細胞成長および増殖を制御する。本発明の方法は、今や、個体、例えば、非ヒト実験動物またはヒトの個体、の目的とする体細胞などの細胞中で、上述した化合物のいずれか、または化合物の組合せの促進を誘引することにより、膵臓β-細胞などのその様な目的の体細胞の集団を増加させることができる可能性を提供する。その様な増加の、特に膵臓β-細胞の増加の医学的影響は、自明である。すなわち、1型糖尿病または2型糖尿病により影響を受けるヒトにおけるこれらの細胞の増加は、疾患の根絶または少なくとも改善を引き起こす。げっ歯類(マウス、ハムスター、ラットなど)などの非ヒト実験動物において、本発明の方法は、増殖の制御についての、そして潜在的には、そのような細胞の分化についての、さらなる知見を提供する。さらに、本発明の方法において使用される化合物または化合物の組合せにより相乗的に作用する化合物を、本発明の目的に適応させそしてしたがって本発明の教示を考慮する必要がある当該技術分野において一般的に利用可能なスクリーニング方法により、単離することができる。
選択されるPIASタンパク質は、研究者/臨床医学者の特別な要望に依存してもよい。本発明の好ましい態様において、前記PIASタンパク質は、PIASy、PIAS1 、PIAS3、PIASxαまたはPIASxβである。1型糖尿病および2型糖尿病の治療のための治療方法が開発中である場合、その後、PIASyを選択することが特に好ましい。
本発明の別の好ましい態様において、促進は、(aa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、前記ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体、の、外来性で導入したベクターからの一過性の発現または安定な発現を含む。
本発明のこの態様は、分子生物学(遺伝子治療などその医学的適用を含む)の従来技術にしたがって実施することができ、そして上述の化合物または化合物(タンパク質)の組合せをコードする遺伝子をクローニングし、そしてその遺伝子またはそのコード配列をベクター中、好ましくは発現ベクター中に挿入したのち、細胞中への導入を必要とする場合がある。導入には、発現ベクターからの前記化合物の発現が付随される。本発明の方法において有用な発現ベクターの例は、本明細書中の以下に記載される。
好ましくは、そして上述したように、ポリヌクレオチド/コード配列を、ベクター中に導入し、そしてしたがって発現調節配列に対して機能可能に連結し、原核細胞または真核細胞中または単離されたそのフラクション中での発現を可能にする。前記ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドの転写、好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。真核細胞中での発現、好ましくは哺乳動物細胞中での発現を保証する制御要素が、当業者には周知である。それには、転写の開始を保証する制御配列がしばしば含まれ、および転写の終了および転写物の安定化を保証するポリ-Aシグナルが含まれても良い。追加的な制御要素には、転写エンハンサ、ならびに翻訳エンハンサが含まれていてもよい。原核宿主細胞における発現を可能にする可能性のある制御要素(それほどは好ましいとは言えない態様)は、例えば、E. coli中でのlacプロモータ、trpプロモータまたはtacプロモータを含み、そして真核宿主細胞における発現を可能にする制御要素についての例(より好ましい態様)には、酵母におけるAOX1プロモータまたはGAL1プロモータ、または哺乳動物細胞およびその他の動物細胞のCMV-プロモータ、SV40-プロモータ、RSV-プロモータ(Rous sarcomaウィルス)、CMV-エンハンサ、SV40-エンハンサ、またはグロビンイントロンがある。好ましいプロモータは、上述した化合物の天然のプロモータ、ならびに膵臓β-細胞または神経細胞中で活性なプロモータなどのそれらの化合物の組織特異的発現を可能にするプロモータである。転写の開始の原因となる要素に加えて、その様な制御要素は、SV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位などの転写終止シグナルを、ポリヌクレオチドの下流に含んでもよい。この文脈において、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、pSPORT1(GIBCO BRL)などの、適切な発現ベクターは、当該技術分野において既知である。好ましくは、前記ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子トランスファーベクターまたはターゲティングベクターである。レトロウィルス、ワクシニアウィルス、アデノ随伴ウィルス、ヘルペスウィルス、またはウシパピローマウィルスなどのウィルス由来の発現ベクターは、ポリヌクレオチドまたはベクターを、標的化細胞集団中に送達するために使用することができる。当業者に周知である方法を使用して、組換えウィルスベクターを構築することができる;例えば、Sambrook, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (2001) N.Y.およびAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (2001 )に記載される技術を参照。あるいは、ポリヌクレオチドまたはベクターを、標的細胞に対する送達のためのリポソーム中に再構築することができる。
用語“単離されたそのフラクション”は、ベクターからRNAの転写を行うことができるか、または転写および翻訳を行うことができる真核の細胞または組織または原核の細胞または組織のフラクションのことをいう。前記フラクションは、RNAの転写のために必要とされるタンパク質、またはRNAの転写と前記RNAのポリペプチドへの翻訳のために必要とされるタンパク質を含む。前記単離されたフラクションは、例えば、真核細胞(網状赤血球など)の核フラクションおよび細胞質フラクションであってもよい。例えば、TNT網状赤血球溶解物(Promega)など、細胞または組織の前記単離されたフラクションを含むRNAを転写しそして翻訳するためのキットが、商業的に利用可能である。
さらに、ベクターは、遺伝子トランスファーベクターまたは遺伝子ターゲティングベクターであってもよい。治療用遺伝子を細胞内にex-vivo技術またはin-vivo技術を使用して導入することに基づく遺伝子治療は、遺伝子導入の最も重要な用途の一つである。適切なベクター、in-vitro遺伝子治療またはin-vivo遺伝子治療のための方法または遺伝子送達システムは、文献中に記載され、そして当業者に既知である;例えば、Giordano, Nature Medicine 2 (1996), 534-539;Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919;Anderson, Science 256 (1992), 808-813, Isner, Lancet 348 (1996), 370-374;Muhlhauser, Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086;Onodua, Blood 91 (1998), 30-36;Verzeletti, Hum. Gene Ther. 9 (1998), 2243-2251;Verma, Nature 389 (1997), 239-242;Anderson, Nature 392 (Supp. 1998), 25-30;Wang, Gene Therapy 4 (1997), 393-400;Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716;WO 94/29469;WO 97/00957;US 5,580,859;US 5,589,466;US 4,394,448;またはSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640、およびそれらの中で引用された参考文献を参照。特に、前記ベクターおよび/または遺伝子送達システムはまた、神経学的組織/細胞(とりわけ、Blomer, J. Virology 71 (1997) 6641-6649を参照)または視床下部(とりわけ、Geddes, Front Neuroendocrinol. 20 (1999), 296-316またはGeddes, Nat. Med. 3 (1997), 1402-1404を参照)への遺伝子治療アプローチにおいて記載されている。神経学的細胞/組織において使用するためのさらに適した遺伝子治療用構築物は、当該技術分野において、例えば、Meier (1999), J. Neuropathol. Exp. Neurol. 58, 1099-1110において、既知である。所望の標的組織または細胞中にベクターを導入するための上述した様式は、導入が遺伝子治療を目的としている場合の用途も見いだされる。したがって、核酸分子およびベクターを、直接的導入用にまたはリポソーム、ウィルスベクター(例えば、アデノウィルスベクター、レトロウィルスベクター)、エレクトロポレーション、バイオリスティック(例えば、遺伝子銃)、または細胞中へのその他の送達システムを介した導入用に、設計することができる。さらに、バキュロウィルスシステムを、本発明の核酸分子用の真核発現システムとして使用することができる。導入および遺伝子治療アプローチは、好ましくは、機能的化合物の発現を導かなければならない。
上述したように、本発明の方法は、in vivo、ex vivo、またはin vitroにおいて実施することができる。In vivo用途は、遺伝子治療アプローチと組み合わせて上述した。Ex vivo用途は、とりわけ、本発明にしたがって上述した細胞の増殖を刺激するため、細胞または組織を体外で処置する態様、そして前記細胞または組織を、連続的な刺激に際して、(実験的な)非ヒト動物へまたは関連する疾患を罹患するヒトに再導入して、in vivoで(例えば、誘導可能プロモータにより)刺激/治療を可能にすることができる態様、のことをいう。In vitro用途には、制御経路における追加的な分子の同定を含む、増殖が制御されるメカニズムのさらなる研究を可能にする用途が含まれる。
本発明の別の好ましい態様において、促進は、前記細胞またはニューロン中へ、前記(aa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、前記ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体、を、導入することを含む。
この好ましい態様において、タンパク質またはペプチド模倣物またはその他の記載される化合物は、所望の細胞または組織中に直接的に導入される。その様な導入のための利用可能なプロセスには、マイクロインジェクション技術、またはタンパク質形質導入方法が含まれる。例えば、Lindsay MA. Peptide-mediated cell delivery: application in protein target validation. 2002. Curr Opin Pharmacol. 2:587-94を参照。
本発明のさらに好ましい態様は、促進が、前記細胞またはニューロン中における、前記(aa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、前記ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体、の、分解を減少させるかまたは安定性を亢進させることを含む方法に関する。
分解の減少は、上述したタンパク質性化合物のいずれかを分解するタンパク質が、RNAiまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドなどにより阻害される方法を含む。選択肢において、前記分解性タンパク質に対する抗体またはFabフラグメント、F(ab')2フラグメントまたはscFvフラグメントなどの抗体フラグメントまたは誘導体を利用することができる;例えば、Harlow and Lane, “Antibodies, A laboratory manual”, CSH Press 1988, Cold Spring Harborを参照。本発明のこの態様の目的は、非特異的分解を減少することであって、対照的に好ましいC-末端フラグメントを生成するために望まれるμ-カルパインによる分解を減少させることではない。好ましくは、亢進および減少はそれぞれ、化合物の量の少なくとも25%の量、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%そして最も好ましくは少なくとも90%の量である。安定性の亢進の場合、好ましくは、100%以上の増加が予想される。安定性を亢進するための一つのオプションは、ペプチド模倣物を生成することである。
本発明にしたがって使用されるC-末端フラグメントは、核に対して標的化される特徴および上述したニューロペプチドをコードする遺伝子の発現を促進する特徴を保持する、いずれかのフラグメントであってもよい。さらに、またはあるいは、フラグメントは、PIASタンパク質と相互作用する能力および/または上述したニューロペプチドをコードする遺伝子の発現を促進する転写因子の活性を制御する能力、を維持する。問題になっているフラグメントが必要とされる特徴の組合せを実際に有するかどうかを決定するための試験は、本明細書の教示にしたがって、過度な労力を必要とせず、行うことができる。フラグメントは、従来法にしたがって、設計しそして調製することができる。それらは、例えば、N-末端からエキソヌクレアーゼを使用してコード領域を消化することにより、組換え的に生成することができる。あるいは、部位特異的変異生成, 制限エンドヌクレアーゼ消化そしてライゲーションの組合せを使用して、所望のフラグメントを生成することができる。別の選択肢において、(ポリ)ペプチドまたは前記(ポリ)ペプチドをコードする対応するDNAのいずれかを、現在までに当該技術分野において既知の方法を使用して、(半)合成的に調製することができる。所望のフラグメントを生成するためのその他のオプションが当業者に利用可能であり、そしてそれには限定的タンパク質分解性分解が含まれる。本発明の好ましい態様において、前記ICA512のC-末端フラグメントは、成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなる。このフラグメントは、例えば、μ-カルパインにより消化することにより得られる。
本発明の別の好ましい態様において、前記内分泌細胞は、膵臓β-細胞である。当該技術分野において周知であるように、2型糖尿病は、インスリンの生成/分泌が低下することにより生じる。したがって、この特に好ましい態様は、2型糖尿病についての治療方法を形成すると予想される。
前記促進は、グルコースまたはグルカゴン-様ペプチド-1(GLP-1)により、またはカルシウムにより、行われることがさらに好ましい。グルカゴン-様ペプチド-1(GLP-1)は、腸L-細胞により生成され、この細胞は、食物摂取に反応してGLP-1を分泌する。このホルモンは、膵島を含む多器官の生理学に影響を与える。具体的には、GLP-1は、インスリン分泌およびその生合成を迅速に強化する。GLP-1はまた、膵島細胞増殖および膵島新生を促進する。GLP-1のその受容体に対する結合がアデニル酸シクラーゼ活性を刺激することから、これらの作用のほとんどは、直接的にまたは間接的に、細胞内cAMPレベルの上昇に起因する可能性がある。MacDonald PE, El-Kholy W, Riedel MJ, Salapatek AM, Light PE, Wheeler MB. 2002. The multiple actions of GLP-1 on the process of glucose-stimulated insulin分泌. Diabetes 51 Suppl 3: 434-42を参照。カルシウムレベル、すなわち、Ca++イオンレベルを、好ましくは、細胞膜でのCa2+チャンネルの開口確率および/または開口時間を、直接的または間接的に増大させるイオノフォアまたはその他の化合物により、または皮質(cortical)小胞体などのCa2+の細胞内貯蔵への再取り込みを阻害することにより、亢進することができる。このことは、Ca2+-ポンプを阻害することにより達成することができる。
本発明のさらなる態様において、前記分泌顆粒中に含有されるペプチドホルモンまたはニューロペプチドは、インスリン、アミリンまたは以下の前駆体:
ADM前駆体、アグーチスイッチタンパク質前駆体、アグーチ-関連タンパク質前駆体、アペリン前駆体、心房性ナトリウム利尿因子、β-ネオエンドルフィン-ダイノルフィン前駆体、脳ナトリウム利尿ペプチド前駆体、カルシトニン遺伝子-関連ペプチドI前駆体、カルシトニン遺伝子-関連ペプチドII前駆体、カルシトニン前駆体、コレシストキニン前駆体、クロモグラニンA前駆体、コカイン-調節型転写物およびアンフェタミン-調節型転写物タンパク質前駆体、コルチコリベリン前駆体、コルチコトロピン-リポトロピン前駆体、コルチスタチン前駆体、FMRFアミド-関連ペプチド前駆体、FMRFアミド-関連ペプチド前駆体、フォリスタチン前駆体、フォリトロピンβ鎖前駆体、ガラニン前駆体、ガラニン-様ペプチド前駆体、胃抑制ポリペプチド前駆体、ガストリン前駆体、ガストリン-放出ペプチド前駆体、グレリン前駆体、グルカゴン前駆体、糖タンパク質ホルモンα鎖前駆体、成長ホルモン変異体前駆体、インスリン前駆体、インスリン-様成長因子結合タンパク質3前駆体、インスリン-様ペプチドINSL6前駆体、膵島アミロイドポリペプチド前駆体、ライディッヒインスリン-様ペプチド前駆体、形態形成ニューロペプチド、モチリン前駆体、ニューレキソフィリン2前駆体、ニューレキソフィリン3前駆体、ニューレキソフィリン4前駆体、神経内分泌タンパク質7B2前駆体、ニューロキニンB前駆体、ニューロメジンB-32前駆体、ニューロメジンU-25前駆体、ニューロペプチドB前駆体、ニューロペプチドW前駆体、ニューロペプチドY前駆体、ニューロテンシン前駆体、ノシセプチン前駆体、オレキシン前駆体、オキシトシン- ニューロフィジン1前駆体、膵臓ホルモン前駆体、副甲状腺ホルモン前駆体、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質前駆体、ペプチドYY前駆体、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド前駆体、プロエンケファリンA前駆体、プロゴナドリベリンI前駆体、プロゴナドリベリンII前駆体、プロキネチシン2前駆体、プロラクチン前駆体、プロ-MCH前駆体、プロリラキシンH1前駆体、プロタキキニン1前駆体、タンパク質-チロシンホスファターゼ-様N前駆体、受容体型タンパク質-チロシンホスファターゼN2前駆体、調節型内分泌特異的タンパク質18前駆体、レジスチン前駆体、レジスチン-様β前駆体、セクレチン前駆体、セクレトリグラニンI前駆体、セクレトリグラニンII前駆体、セクレトリグラニンIII前駆体、ソマトリベリン前駆体、ソマトスタチン前駆体、ソマトトロピン前駆体、スタニオカルシン1前駆体、スタニオカルシン2前駆体、ウロコルチンII前駆体、ウロコルチン前駆体、血管作動性ペプチド前駆体、バソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン前駆体
の一つに由来するペプチドホルモンまたはニューロペプチドである。
様々なホルモンまたはニューロペプチドが、上述した前駆体から誘導されることは、注目に値し、そして当該技術分野において周知である。その様な前駆体およびそれらから誘導されるホルモンまたはニューロペプチドの重要な例には、以下のものが含まれる:
1)グルカゴン前駆体(P01275)
MKSIYFVAGL FVMLVQGSWQ RSLQDTEEKS RSFSASQADP LSDPDQMNED KRHSQGTFTS DYSKYLDSRR AQDFVQWLMN TKRNRNNIAK RHDEFERHAE GTFTSDVSSY LEGQAAKEFI AWLVKGRGRR DFPEEVAIVE ELGRRHADGS FSDEMNTILD NLAARDFINW LIQTKITDRK
誘導ペプチド:
a)Glicentin-関連ポリペプチド(残基21-50):RSLQDTEEKS RSFSASQADP LSDPDQMNED
b)グルカゴン(残基53-81):HSQGTFTS DYSKYLDSRR AQDFVQWLMN T
c)グルカゴン-様ペプチド1 (残基98-127):HAE GTFTSDVSSY LEGQAAKEFI AWLVKGR
d)グルカゴン-様ペプチド2 (残基146-178):HADGS FSDEMNTILD NLAARDFINW LIQTKITD
2)コルチコリベリン前駆体(P06850)
MRLPLLVSAG VLLVALLPCP PCRALLSRGP VPGARQAPQH PQPLDFFQPP PQSEQPQQPQ ARPVLLRMGE EYFLRLGNLN KSPAAPLSPA SSLLAGGSGS RPSPEQATAN FFRVLLQQLL LPRRSLDSPA ALAERGARNA LGGHQEAPER ERRSEEPPIS LDLTFHLLRE VLEMARAEQL AQQAHSNRKL MEIIGK
誘導ペプチド:
a)コルチコリベリン(残基154-194):SEEPPIS LDLTFHLLRE VLEMARAEQL AQQAHSNRKL MEII
3)コルチコトロピン-リポトロピン前駆体(P01189)
MPRSCCSRSG ALLLALLLQA SMEVRGWCLE SSQCQDLTTE SNLLECIRAC KPDLSAETPM FPGNGDEQPL TENPRKYVMG HFRWDRFGRR NSSSSGSSGA GQKREDVSAG EDCGPLPEGG PEPRSDGAKP GPREGKRSYS MEHFRWGKPV GKKRRPVKVY PNGAEDESAE AFPLEFKREL TGQRLREGDG PDGPADDGAG AQADLEHSLL VAAEKKDEGP YRMEHFRWGS PPKDKRYGGF MTSEKSQTPL VTLFKNAIIK NAYKKGE
誘導ペプチド:
a)NPP(残基27-102):WCLE SSQCQDLTTE SNLLECIRAC KPDLSAETPM FPGNGDEQPL TENPRKYVMG HFRWDRFGRR NSSSSGSSGA GQ
b)メラノトロピンγ(残基77-87):YVMG HFRWDRF
c)メラノトロピンα(残基138-150):SYS MEHFRWGKPV
d)コルチコトロピン(残基138-176):SYS MEHFRWGKPV GKKRRPVKVY PNGAEDESAE AFPLEF
e)リポトロピンβ(残基179-267):EL TGQRLREGDG PDGPADDGAG AQADLEHSLL VAAEKKDEGP YRMEHFRWGS PPKDKRYGGF MTSEKSQTPL VTLFKNAIIK NAYKKGE
f)リポトロピンγ(残基179-234):EL TGQRLREGDG PDGPADDGAG AQADLEHSLL VAAEKKDEGP YRMEHFRWGS PPKD
g)メラノトロピンβ(残基217-234):DEGP YRMEHFRWGS PPKD
h)βエンドルフィン(残基237-267):YGGF MTSEKSQTPL VTLFKNAIIK NAYKKGE
i)Met-エンケファリン(残基237-241):YGGF M
4)オレキシン前駆体(043612)
MNLPSTKVSW AAVTLLLLLL LLPPALLSSG AAAQPLPDCC RQKTCSCRLY ELLHGAGNHA AGILTLGKRR SGPPGLQGRL QRLLQASGNH AAGILTMGRR AGAEPAPRPC LGRRCSAPAA ASVAPGGQSG I
誘導ペプチド:
a)オレキシンA(残基34-66):QPLPDCC RQKTCSCRLY ELLHGAGNHA AGILTL
b)オレキシンB(残基70-97):R SGPPGLQGRL QRLLQASGNH AAGILTM
5)下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド前駆体(P18509)
MTMCSGARLA LLVYGIIMHS SVYSSPAAAG LRFPGIRPEE EAYGEDGNPL PDFGGSEPPG AGSPASAPRA AAAWYRPAGR RDVAHGILNE AYRKVLDQLS AGKHLQSLVA RGVGGSLGGG AGDDAEPLSK RHSDGIFTDS YSRYRKQMAV KKYLAAVLGK RYKQRVKNKG RRIAYL
誘導ペプチド:
a)PACAP-関連ペプチド(残基82-129):DVAHGILNE AYRKVLDQLS AGKHLQSLVA RGVGGSLGGG AGDDAEPLS
b)下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド-27(残基132-158):AHSDGIFTDS YSRYRKQMAV KKYLAAVL
c)下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド-38(残基132-169):HSDGIFTDS YSRYRKQMAV KKYLAAVLGK RYKQRVKNK
6)グレリン前駆体(Q9UBU3)
MPSPGTVCSL LLLGMLWLDL AMAGSSFLSP EHQRVQQRKE SKKPPAKLQP RALAGWLRPE DGGQAEGAED ELEVRFNAPF DVGIKLSGVQ YQQHSQALGK FLQDILWEEA KEAPADK
誘導ペプチド:
a)グレリン(残基24-51):GSSFLSP EHQRVQQRKE SKKPPAKLQP R
この態様に基づいて、関連する疾患の多数の治療方法が実現可能である;さらなる手引きについては、以下のものを参照:Harrison's Principles of Internal Medicine. By Eugene Braunwald M. D. (Editor), Anthony S. Fauci M. D. (Editor), Dennis L. Kasper M. D. (Editor), Stephen L. Hauser M. D. (Editor), Dan L. Longo M. D. (Editor), J. Larry Jameson M. D. (Editor). McGraw-Hill Professional;15th edition (February 16, 2001) ISBN: 0070072728;Williams Textbook of Endocrinology, by Robert Hardin Williams (Editor), P. Reed Larsen (Editor), Jean D. Wilson, Melmed Shlomo, Daniel W. Foster, Henry M. Kronenberg. W B Saunders;10th edition (December 20, 2002) ISBN: 0721691846. Peptide and Non Peptide in Neuroendocrinology and Oncology: From Basic to Clinical Research, by E. E. Muller (Editor) Springer-Verlag Telos (August 2003) ISBN: 8847002958。
上述したホルモン、ニューロペプチドおよびそれらの前駆体と関連したアクセッション番号の包括的なリストを、表1に提供する。ホルモン/ペプチド/前駆体に関するさらなる情報を、これらの情報源から得ることができる。ホルモン/ペプチド/前駆体と関連した疾患のリストを、表1に提供する。適切な場合には異なる細胞が標的となること以外は、本発明は、本明細書中の他の場所において1型糖尿病および2型糖尿病の治療、睡眠障害または憂鬱の治療について記載する様に、化合物の存在/活性を操作することにより、これらのホルモン/ペプチド/前駆体のいずれかと関連する疾患のいずれかを治療することを含むことが、本発明にしたがって理解されるべきである。当業者は、どの細胞型が、それぞれの疾患について標的化されるべきかを十分に知っている;さらなる手引きのためには、上述の教科書を参照。
本発明は、膵臓β-細胞におけるインスリンの発現を刺激することを含む、1型糖尿病または2型糖尿病を治療しまたは予防する方法にも関し、ここで前記刺激は、前記β-細胞中での
(aa)(i)ICA512の存在または活性;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性、を促進する工程を含む。
さらに、本発明は、1型糖尿病または2型糖尿病を治療しまたは予防するための医薬組成物の調製における、(aa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして(ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体、の使用に関する。
医薬組成物中への化合物の製剤化、治療の処方、および投与方法は、本発明の方法と関連して上述した通りであり、そしてここでも同様に適用される。
本発明の別の好ましい態様において、前記PIASタンパク質は、PIASy、PIAS1、PIAS3、PIASxαまたはPIASxβである。
本発明はまた、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおいて、ペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤をスクリーニングする方法にも関し、この方法は、(a)(aaa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するかおよび/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)(i)〜(v)のいずれか一つの前駆型;そして(aab)μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(ab)PIASタンパク質と相互作用する能力および/または核に対して標的化する能力を有するかまたは前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;そして(ac)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下における、PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体、を発現する試験細胞における前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程を含む(ここで、試験化合物の存在下におけるより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能するその能力の指標である)。
本発明のスクリーニング方法にしたがって、前記方法を実施する様々なオプションが利用可能である。オプション(aaa)が好ましい場合、ICA512タンパク質の切断またはμ-カルパインに対する切断部位を含有するフラグメントの切断を可能にするため、μ-カルパインを基質に対して添加しなければならない。結果的に、切断生成物は、核に入りそしてPIASと機能的に相互作用する場所に位置しおよび/または転写因子の活性を制御する様に供給される。条件は、切断および相互作用が生じ得る細胞により、通常は提供される。細胞が上述のそして必要とされるタンパク質/ペプチドを天然には発現しない場合、それらを、細胞内に、例えば、トランスフェクションにより、導入することができる;上述を参照。あるいは、好ましくは上述の機能を有する成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるC-末端フラグメントを、μ-カルパインの非存在下にて、試験化合物と接触させることができる。C-末端フラグメントが、成熟型ICA512の位置659を超えてN-末端側に伸長することができることに注目することは、重要である。
工程中での試験化合物との細胞の接触は、例えば、1または複数の化合物の細胞中への取り込みが可能な条件下、行うことができる。あるいは、化合物が細胞膜の表面受容体と相互作用することができる条件が、提供される。両方の態様に関して、条件は同一であってもよい。適切な条件には、生理学的塩類溶液中でのインキュベーションなど、生理学的条件が含まれる。1つより多い化合物を細胞と接触させ、そして試験した多数の化合物が陽性である場合、その時点で一つの化合物のみとともに細胞をインキュベーションすることにより、実験を繰り返すことが好ましい。これまでのところ、試験した化合物と発現を刺激するその能力とのあいだの直接的な関係を、確立することができる。試験化合物の非存在下において評価工程を含ませることは、本発明のこの態様および以下の態様において、対照として有用である。
工程(a)における評価は、様々な手段により達成することができる。例えば、ペプチドホルモンレベルを、ラジオイムノアッセイまたはELISAにより測定することができる。
前記スクリーニング方法は、高スループット様式で行うことができる。その様な目的のためのロボット装置が当該技術分野において既知であり、そして多数の供給者から入手可能である。細胞は、通常は96ウェル、384ウェル、1536ウェルまたはそれ以上のウェルのアレイを含有するプレートのウェル中で増殖させる。ウェル-プレートのインキュベーターからの移動、試験化合物の添加、オプションの洗浄工程、ならびに読み出しの決定を、数日から数週間で、数十万〜数百万の化合物を使用して、利用者の妨害を必要とすることなく、自動化様式で行う。
いったん目的の化合物が同定されたら、その毒性を減少させ、その有効期間を長くするなどにより、さらに開発をして医薬品とすることができる。
本発明の要旨(そして、本明細書中で上述した別の態様により概説したもの)を使用するが一致しない場合、本発明はさらに、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができる薬剤についてのスクリーニング方法に関するものであって、(a)試験細胞において、(aaa)(i)ICA512;または(ii)ICA512機能を有するその誘導体;または(iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するかおよび/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または(iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または(v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または(vi)(i)〜(v)のいずれか一つの前駆型;そして(aab)μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(ab)PIASタンパク質と相互作用する能力および/または核に対して標的化する能力を有するかまたは前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;そして(ac)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下における、PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体、を発現する試験細胞における前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下におけるより高いレベルの発現が、増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、前記方法に関する。
本発明はまた、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、(a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または(b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント、を発現する試験細胞における前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下におけるより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン中におけるペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤についてのスクリーニング方法にも関する。
本発明のこの態様は、PIASとICA512のC-末端フラグメントとが、単独でまたは一緒に、ニューロペプチドの発現の刺激に必要とされるという驚くべき知見を利用する。これまでのところ、前述の態様について記載されたデザインは、幾分単純化されている可能性があり、本態様は、それでもなお、薬剤を投与することを必要とする患者に対して投与することができる薬剤を開発するためのリード化合物として、少なくとも有用である化合物を明確に同定することが可能になる。
本発明の要旨(そして、本明細書中で上述した別の態様により概説したもの)を使用するがここでも一致しない場合、本発明はさらに、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、(a)(aa)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または(ab)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント、を発現する試験細胞において、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、細胞増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができる薬剤についてスクリーニングする方法に関する。
本発明はまた、誘導可能なプロモータの誘導に際して、試験化合物の存在下および所望によっては試験化合物の非存在下にて、(a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または(b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント、を発現する非ヒトトランスジェニック動物において、前記プロモータの調節下、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン中でのペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法にも関する。
用語“誘導可能プロモータ”は、当該技術分野において周知であり、そして薬剤の添加の際などに、活性が外部パラメータにより影響を受ける可能性があるプロモータのことをいう。プロモータは、例えば、組織特異的であっても、あるいは発生の特定の段階のあいだのみで機能的であってもよい。
トランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウス、を作成するための方法は、生殖細胞、胚細胞、幹細胞、または卵、またはそれらから誘導される細胞中への、上述したような遺伝子/ポリヌクレオチドの導入またはターゲティングベクターの導入を含む。非ヒト動物は、本明細書中に記載される本発明のスクリーニング方法にしたがって、使用することができる。トランスジェニック胚の作成およびそれらのスクリーニングは、例えば、A. L. Joyner Ed., Gene Targeting, A Practical Approach (1993), Oxford University Pressにより記載される様に行うことができる。胚の胚膜のDNAは、例えば、適切なプローブを使用したサザンブロットを使用して、解析することができる;上述を参照。トランスジェニック非ヒト動物を作製するための一般的な方法は、当該技術分野において記載されている(例えば、WO 94/24274を参照)。トランスジェニック非ヒト生物を作製するため(同種的に標的化された非ヒト動物を含む)、胚性幹細胞(ES細胞)が好ましい。マウスES細胞(分裂的に不活性なSNL76/7細胞フィーダー細胞層上で増殖させるAB-1株(McMahon and Bradley, Cell 62: 1073-1085 (1990))など、本質的に記載されたもの(Robertson, E. J. (1987) in Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach. E. J. Robertson, ed. (Oxford: IRL Press), p. 71-112)を、相同性遺伝子ターゲティングのために使用することができる。その他の適切なES株には、E14株(Hooper et al., Nature 326: 292-295 (1987))、D3株(Doetschman et al., J. Embryol. Exp. Morph. 87: 27-45 (1985))、CCE株(Robertson et al., Nature 323: 445-448 (1986))、AK-7株(本明細書中に参考文献として援用されるZhuang et al., Cell 77: 875-884 (1994))が含まれるが、これらには限定されない。具体的な標的化変異を有するES細胞由来のマウス細胞株を作製することの成功は、ES細胞の多分化能(すなわち、宿主中にいったん注入された後、胚盤胞または桑実胚などの胚を発生して、胚発生に関与し、そして得られる動物の生殖細胞に寄与する、それらの能力)に依存する。注入されたES細胞を含有する胚盤胞を、偽妊娠非ヒトメスの子宮中で発生させ、そしてキメラマウスとして産ませる。得られたトランスジェニックマウスは、リコンビナーゼまたはリポーター遺伝子座のいずれかを有する細胞に関してキメラであり、そして戻し交配させそして正しくターゲティングされたトランスジーンが存在することについて、子孫の尾のバイオプシーDNAに対するPCRまたはサザンブロット解析によりスクリーニングし、それによりリコンビナーゼまたはリポーター遺伝子座のいずれかについてヘテロ接合体であるトランスジェニックマウスを同定する。
トランスジェニックハエ、例えばDrosophila melanogaster、を作製するための方法もまた、当該技術分野において記載されている。例えば、US-A-4,670,388, Brand & Perrimon, Development (1993) 118: 401-415;そしてPhelps & Brand, Methods (April 1998) 14: 367-379を参照。
トランスジェニックワーム(worm)、例えばC. elegans、は、Mello, et al., (1991) Efficient gene transfer in C. elegans: extrachromosomal maintenance and integration of transforming sequences. Embo J 10, 3959-70, Plasterk, (1995) Reverse genetics: from gene sequence to mutant worm. Methods Cell Biol 48, 59-80に記載されるように、作製することができる。
トランスジェニック動物を、試験化合物と、例えば、食餌と共に摂取することにより、または注入することにより、血流中でまたは記載されたポリヌクレオチドをプロモータの誘導のもと発現させる部位中で、接触させることができる。
同様に、本発明は、誘導可能なプロモータの誘導に際して、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、(a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント、を発現する非ヒトトランスジェニック動物において、前記プロモータの調節下、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができる薬剤について、スクリーニングする方法に関する。
上述したように、使用される細胞は、必要とされるタンパク質/ペプチド(試験化合物ではなく)を天然に発現する細胞または発現しない細胞のいずれであってもよい。本発明の好ましい態様において、前記試験細胞は、ホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンである。
本発明のとても好ましい態様において、前記内分泌細胞は、膵臓β-細胞である。
膵臓β-細胞は、2型糖尿病の治療方法を開発する際に最も有用であると考えられる。
本発明の別の特に好ましい態様において、前記分泌顆粒中に含有される分泌性ペプチドは、インスリンである。
本発明はまた、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、(a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または(b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;を発現する試験細胞において、インスリンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、インスリン発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、膵臓β-細胞におけるインスリンの発現を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法にも関する。
さらに、本発明はまた、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、(a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または(b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;を発現する試験細胞におけるインスリン発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕を含む、膵臓β-細胞の増殖を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法にも関する。
本発明の好ましい態様において、前記化合物は、化合物ライブラリの構成分子である。
本発明のさらに具体的な好ましい態様において、前記化合物ライブラリは、低分子、ペプチド、抗体、または抗体誘導体(例えば、Fab、F(ab2)'、scFv、ヒト化抗体またはキメラ抗体)のライブラリである。
本発明の上述した方法または使用のいずれかにおいて、(様々な化合物の)誘導体は、模倣物であることが好ましく、そして好ましくは、ペプチド模倣物、ペプチドアプタマーまたはアンチカリンであることが好ましい。ペプチドアプタマーは、細胞内タンパク質相互作用を阻害する低分子薬である(Hoppe-Seyler F, Crnkovic- Mertens I, Tomai E, Butz K. 2004. Peptide aptamers: specific inhibitors of protein function. Curr MoI Med. 2004 Aug;4(5):529-38)。アンチカリンは、足場としての天然のリポカリンから誘導された抗体様リガンド結合機能を有する、遺伝子操作されたタンパク質である(Skerra A. 2001 'Anticalins': a new class of engineered ligand-binding protein with 抗体-like properties. J Biotechnol. 74:257-75)。
結果的に、スクリーニング方法に関するこの態様およびその他の態様において、スクリーニングされるべき薬剤は、低分子(例えば、商業的に利用可能な有機低分子または無機低分子)ライブラリ中に含有されていてもよい。さらに、抗体またはその機能的フラグメントまたは誘導体(すなわち、元の抗体の結合特異性を維持するフラグメントまたは誘導体)を含むライブラリを、スクリーニング方法における開始点として使用することができる。同様に、ペプチドアプタマーなどのアプタマーライブラリを使用することもできる。当業者はもちろん、本明細書中全体で記載されるスクリーニングアッセイにおいて使用するための好ましい化合物のその他の開始点のいずれであっても自由に使用することができる。適切なライブラリは、例えば、ChemBridge Corp., San Diego, USAから、商業的に入手可能である。
本発明にしたがって、動物モデルにおいて、前記ペプチドホルモンの発現を刺激することができるか、またはペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができるものとして評価される化合物の有効性を試験する工程(c)をさらに含む方法も、さらに好ましい。
この付加工程により、in vitroアッセイにおいて陽性である試験された化合物のin vivo適用可能性における重要な知見がもたらされる。前臨床試験において試験しなければならない毒性、半減期などのパラメータは、この段階で評価することができる。重要な適切な(非ヒト)動物には、Charles River Laboratoriesなどから入手できるものなどの研究室のマウスおよびラットが含まれる。
さらに、本発明は、この方法が、同定された薬剤(以下において、“化合物”または“薬物”ともいう)の薬理学的特性を、本明細書中に上述する様な方法により、改良しまたは洗練させるさらなる工程を含むことを予想する。ここで、前記方法は、前記方法のオプションの工程および:
(1)部位特異的変異生成またはキメラタンパク質研究による、化合物と相互作用性タンパク質との結合部位の同定;
(2)化合物の結合部位と相互作用性タンパク質の結合部位との両方の分子モデリング;そして
(3)相互作用性タンパク質への化合物の結合特異性を向上させるための化合物の修飾;を含む。
本発明の方法の様々な工程において使用されるすべての技術は従来型のものであり、または従来型技術から過度な労力を必要とすることなく当業者により誘導され得るものである。このように、本明細書中で同定された相互作用性タンパク質の性質に基づく生物学的アッセイを利用して、薬物の特異性または有効性を評価することができる。ここで、相互作用性タンパク質の1またはそれ以上の活性の上昇を使用して、前記特異性または有効性をモニターすることができる。工程(1)および(2)を、従来のプロトコルにしたがって実行することができる。部位特異的変異生成についてのプロトコルは、Ling MM, Robinson BH. (1997) Anal. Biochem. 254: 157-178に記載されている。構造-機能連関の解析のため、部位特異的変異生成と組み合わせて相同性モデリングを使用することが、Szklarz and Halpert (1997) Life Sci. 61 :2507-2520に概説されている。Sambrook (1989)の該当部分に記載される従来型のクローニング技術を使用して、唯一の制限酵素部位を介して、対応するDNAフラグメントをライゲーションすることにより、キメラタンパク質を生成することができる。キメラタンパク質をコードするキメラDNAフラグメントを生じる2種のDNAフラグメントの融合物を、組換えによるDNA融合に基づくシステムであるゲートウェイ-システム(Life technologies)を使用して、生成することができる。分子モデリングの有名な例は、HIV逆転写酵素に結合する化合物の構造に基づくデザインであり、この方法は、Mao, Sudbeck, Venkatachalam and Uckun (2000). Biochem. Pharmacol. 60: 1251-1265において概説されている。例えば、部位特異的変異生成およびキメラタンパク質研究による前記薬物の結合部位の同定は、薬物親和性に影響を与える相互作用性タンパク質の一次配列における修飾により達成することができる;これにより、通常、薬物に対する結合ポケットを詳細に位置づけることができる。
工程(2)に関して、以下のプロトコルを予想することができる:いったん薬物に対するエフェクター部位がマッピングされると、薬物の詳細な三次元構造が既知である(そうでない場合には、コンピュータシミュレーションにより予想することができる)であることを前提に、変異生成研究(工程(1))および結合部位の構造のコンピュータシミュレーションから得られる情報を組み合わせることにより、薬剤の異なる部分と相互作用する詳細な残基を同定することができる。前記薬剤がペプチドそのものである場合、どの残基が目的とする(ポリ)ペプチドの他の残基と相互作用する化を決定するために、変異を生じさせることもできる。
最終的には、工程(3)において、薬物を修飾して、その結合親和性またはその有効性および特異性を向上させることができる。例えば、目的とする相互作用性タンパク質の特定の残基と薬剤分子のある領域とのあいだでの静電相互作用が存在する場合、その領域での全体的な荷電の変化を、その特定の相互作用を増加させる様に修飾することができる。結合部位の同定は、コンピュータプログラムにより補助することもできる。したがって、適切なコンピュータプログラムは、相補的構造モチーフについてのコンピュータ補助検索により、推定阻害剤と(ポリ)ペプチドとの相互作用性部位を同定するために使用することができる(Fassina, lmmunomethods 5 (1994), 114-120)。タンパク質およびペプチドのコンピュータ補助デザインについてさらに適切なコンピュータシステムは、先行技術、例えば、Berry, Biochem. Soc. Trans. 22 (1994), 1033-1036;Wodak, Ann. N. Y. Acad. Sci. 501 (1987), 1-13;Pabo, Biochemistry 25 (1986), 5987-5991中に記載されている。薬物の修飾は、例えば、ペプチド模倣物により生成することができ、そしてその他の阻害剤は、連続的化学修飾を介したペプチド模倣物コンビナトリアルライブラリの合成と、得られた化合物の試験により、同定することもできる。ペプチド模倣物コンビナトリアルライブラリを作製しそして使用するための方法は、先行文献、例えば、Ostresh, Methods in Enzymology 267 (1996), 220-234 and Dorner, Bioorg. Med. Chem. 4 (1996), 709-715中に記載される。さらに、PTBの発現のアクチベーターの三次元的構造および/または結晶構造を、ペプチド模倣物アクチベーターを設計するために使用することができる(Rose, Biochemistry 35 (1996), 12933-12944;Rutenber, Bioorg. Med. Chem. 4 (1996), 1545- 1558)。
上記にしたがって、本発明の方法の好ましい態様において、同定された阻害剤またはアンタゴニストの前記薬理学的特性は、ペプチド模倣物によりさらに改良しまたは洗練される。
本発明の方法は、リード化合物として、本明細書中で上述する方法により、同定し、改良し、または洗練させた化合物を修飾して、(i)作用部位、作用スペクトル、器官特異性の修飾、および/または(ii)有効性の改善、および/または(iii)毒性の低下(治療インデックスの改善)、および/または(iv)副作用の低下、および/または(v)治療作用の開始、作用の持続時間の修飾、および/または(vi)薬物動態パラメータの修飾(再吸収、分布、代謝および排出)、および/または(vii)物理化学的パラメータの修飾(溶解性、吸湿性、色、呈味、ニオイ、安定性、状態)、および/または(viii)全般的特異性、器官/組織特異性の改善、および/または(ix)(i)カルボキシル基のエステル化、または(ii)炭素酸を有するヒドロキシル基のエステル化、または(iii)ヒドロキシル基の、例えば、ホスフェート、ピロホスフェート、またはスルフェート、またはヘミスクシネート(hemi succinate)に対するエステル化、または(iv)医薬的に許容可能な塩の形成、または(v)医薬的に許容可能な複合体の形成、または(vi)薬理学的に活性なポリマーの合成、または(vii)親水性部分の導入、または(viii)芳香環(aromates)または側鎖上の置換基の導入/置換、置換パターンの変更、または(ix)等比体積部分またはバイオ等比体積部分の導入による修飾、または(x)類似化合物の合成、または(xi)分岐側鎖の導入、または(xii)アルキル置換基の環状類似体への変換、または(xiii)ヒドロキシル基のケタール、アセタールへの誘導化、または(xiv)アミド、フェニルカルバメートへのN-アセチル化、または(xv)Mannich塩基、イミンの合成、または(xvi)ケトンまたはアルデヒドの、Schiffs塩基、オキシム、アセタール、ケタール、エノールエステル、オキサゾリジン、チアゾリジン、またはそれらの組合せへの変化、による、適用形態および経路の最適化を達成することを、さらに含むことができる;前記方法は、さらに、上述した方法の工程を含んでもよい。
上述の様々な工程は、当該技術分野において、一般的に既知である。それらは、定量的構造-作用連関(QSAR)解析(Kubinyi, “Hausch-Analysis and Related Approaches”, VCH Verlag, Weinheim, 1992)、コンビナトリアルケミストリー、古典的化学およびその他(例えば、Holzgrabe and Bechtold, Deutsche Apotheker Zeitung 140(8), 813-823, 2000を参照)、を含み、またはそれらに依存する
本発明は、さらに、別の好ましい態様において、上述したように、同定された化合物およびさらに修飾された化合物が、医薬組成物中に製剤化される方法を企図しても良い。
図面は以下を示す:
図1:ICA512 細胞質ドメインは、β-細胞の刺激に反応して、μ-カルパインにより切断される。(A):1時間の休止後、休止バッファーまたは刺激バッファーにより105分間、インキュベーションしたINS-1細胞からの40μgタンパク質に対する、ICA512(上パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。プロテアーゼ阻害剤L-685,458およびカルペプチンを、示された濃度で添加した。(B):(A)に示された4つの独立した実験からのICA512-TMFの定量。(C):0 mMグルコース(休止)または25 mMグルコース(刺激)により示された時間インキュベーションされたラット膵島由来の30μgタンパク質に対する、ICA512(上パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。(D):(C)において示された2つの独立した実験からのICA512-TMFの定量。(E):(A)におけるのと同様の休止バッファーまたは刺激バッファー(60μMのカルペプチンを含むかまたは含まない)中でインキュベートしたラット膵島由来の30μgタンパク質に対する、ICA512(上パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。(F):スクランブル化siRNAオリゴ1または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1でトランスフェクトしたINS-1細胞中での、半定量的RT-PCRによるμ-カルパインmRNAおよびβ-アクチンmRNAレベル。(G):スクランブル化siRNAオリゴ1または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1でトランスフェクトした刺激INS-1細胞由来の40μgタンパク質に対する、μ-カルパイン(上パネル)、ICA512(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。(H):(G)において示される3つの独立した実験からの、μ-カルパインおよびICA512-TMFの定量。(I):ホタルルシフェラーゼcDNAでトランスフェクトし、その後ホタルルシフェラーゼについてのsiRNAオリゴで処理しなかったかまたは処理したINS-1細胞中の、30μgタンパク質に対する、ホタルルシフェラーゼ(上パネル);μ-カルパイン(中上パネル)、ICA512-TMF(中下パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。(J):(I)に示される3つの独立した実験に由来する、ホタルルシフェラーゼ活性およびホタルルシフェラーゼ、μ-カルパイン、およびICA512-TMFのタンパク質レベル。(K):μ-カルパイン-V5についてのcDNAの示された量でトランスフェクトし、そして(A)におけるように刺激したINS-1細胞由来の40μgタンパク質に対する、ICA512(上パネル)、μ-カルパイン-V5(中パネル)そしてγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。(L):(K)において示された3つの独立した実験に由来する、ICA512-TMFの定量。(B)、(D)、(H)、(J)、そして(L)において、タンパク質シグナルは、γ-チューブリンについて正規化され、そして休止期の細胞(BおよびD)、スクランブル化siRNAオリゴでトランスフェクトされた細胞(H)またはホタルルシフェラーゼcDNAでトランスフェクトされた細胞(J)、またはエレクトロポレーションされた細胞(L)におけるそれぞれの値の%として表された。(B)、(D)、(H)、(J)および(L)におけるエラーバーは、平均+SDを示す。
図2:μ-カルパインは、細胞膜で濃縮される。(A):抗-μ-カルパイン抗体(疑似緑色(pseudogreen))および抗-ICA512ecto抗体(疑似赤色(pseudored))により二重免疫染色したINS-1細胞の共焦点顕微鏡像。バー:10μm。(B):連続的スクロース密度勾配上で分離したINS-1細胞フラクションに対する、抗-μ-カルパイン抗体、抗-ICA512抗体、抗-CPE抗体および抗-Glut2抗体によるウェスタンブロット。各フラクションのスクロースモル濃度は、上部に示す。(C):(B)に示されるフラクションにおけるタンパク質分布。各タンパク質についての最高シグナルを、100%とした。
図3:ICA512は、細胞膜で、μ-カルパインにより切断される。(A):活性破傷風毒素軽鎖(Ttx)または不活性破傷風毒素軽鎖(Ttx-mut.)とGFPとをコトランスフェクトさせたINS-1細胞に由来する40μgタンパク質に対する、抗-ICA512抗体(上)またはGFP抗体(下)によるウェスタンブロット。細胞は、1時間の休止後、休止バッファーまたは刺激バッファー中で、105分間インキュベートした。(B):(A)において示される3つの独立した実験に由来するICA512-TMFの定量。(C):TtxまたはTtx-mutによりトランスフェクトされていないかまたはトランスフェクトされたINS-1細胞のいずれか由来のインスリン分泌の刺激指数。(D):ダイナミン1-GFPまたはダイナミン1(K44A)-GFPによりトランスフェクトされていないか(対照)または一過性にトランスフェクトされ、そして休止バッファー中で1時間維持させたINS-1細胞に由来する30μgタンパク質に対する、抗-ICA512抗体(上)および抗-GFP抗体(下)を用いたウェスタンブロット。(E)および(H):(E)においてダイナミン1-GFPまたはダイナミン1(K44A)-GFPにより、、そして(H)においてダイナミン2-GFPまたはダイナミン1(K44A)-GFPにより、それぞれトランスフェクトされていないか(対照)または一過性にトランスフェクトされた、INS-1細胞に由来する20μgタンパク質に対する、抗-ICA512抗体(上)および抗-GFP抗体(下)を用いたウェスタンブロット。細胞を、示された濃度のカルペプチンの非存在下または存在下にて、105分間刺激した。ダイナミン2構築物の発現が変化するにつれて、匹敵するタンパク質量をロードすることが、γ-チューブリンについてのイムノブロットにより確認された。(F)および(I):(E)および(H)に示された4つの独立した実験に由来するICA512-TMFの定量。(B)、(C)、(F)および(I)におけるエラーバーは、平均+SDを示す。(G):ダイナミン1(K44A)-GFP(上)またはダイナミン1-GFP(下)を一過性にトランスフェクトし、そしてAlexa568-トランスフェリン(Tfn-Alexa568)と共にインキュベーションした、INS-1細胞についての蛍光顕微鏡像。バー:10μm。
図4:ICA512-GFPは、正しく処理され、そしてSGに対して標的化される。(A)および(B):ICA512-GFPでトランスフェクトしていないか(対照)または安定にトランスフェクトしたINS-1細胞由来の40μgタンパク質に対する、抗-GFP抗体(A)または抗-ICA512抗体(b)を用いたウェスタンブロット。(C):インスリンについて免疫染色した(疑似赤色)INS-1 ICA512-GFP細胞についての共焦点顕微鏡像。バー:10μm。(D):抗-インスリン抗体(6 nm金)および抗-GFP抗体(12 nm金、矢頭)で二重標識した休止INS-1 ICA512-GFP細胞についての免疫電子顕微鏡像。PM:細胞膜。バー:200nm。(E):連続スクロース密度勾配で分離したINS-1 ICA512-GFP細胞のフラクションに対する、抗-GFP抗体、抗-ICA512抗体、抗-CPE抗体、および抗-Glut2抗体を用いたウェスタンブロット。各フラクションのスクロースモル濃度は、上に示す。(F):スクランブル化siRNAオリゴ1または3または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1または3でトランスフェクトしたINS-1細胞由来の40μgタンパク質に対する、μ-カルパイン(上)、ICA512(中)およびγ-チューブリン(下)についてのウェスタンブロット。
図5:ICA512-CCFは、刺激に際して、核へと転移される。(A):INS-1 ICA512-GFP細胞由来の50μg細胞質タンパク質および25μg核内タンパク質に対する、抗-GFP(上)、抗-ICA512(中)およびγ-チューブリン(下)を用いたウェスタンブロット。細胞を、1時間休止させた後、60μMカルペプチンと共にまたはなしで、休止バッファーまたは刺激バッファーを用いて105分間インキュベートした。(B):(A)におけるように休止期(R、上)または刺激(S、下)で維持し、そして抗-インスリン抗体による免疫標識(疑似赤色)した、INS-1 ICA512-GFP細胞の0.5μmの光学的Z-切片。ICA512-GFPは、疑似緑色として示されるが、一方、核は、DAPIで対比染色させた(疑似青色(pseudoblue))。右パネルの差し込み図は、印をつけた領域の高倍率像を示す。(C):示す時間、(A)におけるようにインキュベートしたINS-1 ICA512-GFP細胞に由来する40μg 細胞質タンパク質および20μg 核内タンパク質に対する、抗-GFPを用いたウェスタンブロット。(D):示した時点1-6での細胞質抽出物(黒線)および核抽出物(赤線)における、ICA512-TMF-GFPおよびICA512-CCF-GFPの定量。値は、(C)において示した4つの独立した実験に由来する。図面表示のため、休止バッファー中での105分間の後(時点2)のICA512-TMF-GFPおよびICA512-CCF-GFPの量を、それぞれ100%および50%とした。エラーバーは、平均±SDを示す。(E):ICA512-HAを一過性にトランスフェクトさせ、(A)におけるように休止期に維持し(R、上)または刺激し(S、下)、そしてウサギ抗-HA抗体により(疑似緑色)、そしてマウス抗-インスリン抗体(疑似赤色)により免疫標識した、INS-1細胞の0.5μmの光学的Z-切片。核は、DAPIで対比染色した(疑似青色)。右パネルの差し込み図は、印をつけた領域の高倍率像を示す。(B)および(E)におけるバー:10μm。
図6:ICA512-CCFは、核中で、PIASyに結合する。(A):0.5μg PIASy-GST、PIAS1-GSTまたはGST単独と結合させたグルタチオンセファロースビーズを用いてプルダウンされた、in-vitroで転写されそして翻訳された35S-メチオニン-標識ICA512(601-979)のSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィー。レーン1は、プルダウンアッセイについての開始標識物質を示す。(B):0.5μg GST-ICA512(601-979)、GST-p53またはGST単独と結合させたグルタチオンセファロースビーズを用いてプルダウンされた、in-vitroで転写されそして翻訳された35S-メチオニン-標識されたPIASy のSDS-PAGEおよびオートラジオグラフィー。レーン1は、プルダウンアッセイについての開始標識物質を示す。(C):1時間の休止後、休止バッファーまたは刺激バッファー中で105分間インキュベートされた一過性にコトランスフェクションされたINS-1細胞中での、ICA512-CFP(疑似シアン色(pseudocyan))およびPIASγ-YFP(疑似緑色)の間でのFRET。右パネルは、丸形の核中でのPIASy-YFPのフォトブリーチング後のICA512-CFPについてのシグナルを示す(矢印)。(D):示された構築物を用いて一過性にコトランスフェクションされたINS-1細胞におけるCFPについてのFRETの定量:ICA512-CFP + PIASy-YFP;ICA512-CFP + Ism4-YFP;Ism4-CFP + PIASy-YFP。値は、(C)に示す2つの独立した実験に由来する。(D)に示されるエラーバーは、平均+ SDを示す。
図7:(A):ICA512(659-979)-GFPで一過性にトランスフェクトさせ、そしてDAPIで対比染色したINS-1細胞についての共焦点顕微鏡像。バー:10μm (B):ICA512(659-979)-GFPで一過性にトランスフェクトさせ、そして1時間の休止の後、休止バッファーまたは刺激バッファー中で105分間インキュベートしたINS-1細胞由来の6μg核内タンパク質に対する、ヤギ抗-GFP抗体(上)および抗-γ-チューブリン抗体(下)でのウェスタンブロット。(C):エレクトロポレーションのみを行うかまたはGFP、ICA512-GFPまたはICA512(659-979)-GFPをコードする4μgベクターでトランスフェクトし、そして1時間休止させたINS-1細胞における、リアルタイムPCR により定量したインスリンmRNAレベル。結果は、それぞれ3重にした3つの独立した実験に由来する。(D):エレクトロポレーションのみを行うかまたは0.5〜4μgのICA512(659-979)-GFPでトランスフェクトし、11 mMグルコースを含む培養中で4日間培養した後回収したINS-1細胞における、リアルタイムPCRにより定量したインスリンmRNAレベル。結果は、それぞれ3重にした4つの独立した実験に由来する。(C)および(D)において、エレクトロポレーションした細胞におけるインスリンmRNAレベルは、100%に等しかった。(D)において、ICA512(659-979)-GFPおよびγ-チューブリンレベルを、ヤギ抗-GFP抗体(上パネル)および抗-γ-チューブリン抗体(下パネル)でのウェスタンブロットにより評価した。(E):スクランブル化siRNAオリゴ1+2または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1+2のいずれかによりトランスフェクトされたINS-1細胞における、リアルタイムPCRにより定量されたインスリンmRNAレベル。結果は、それぞれ3重にした3つの独立した実験に由来する。スクランブル化オリゴでトランスフェクトされた細胞における、インスリンmRNAレベルは、100%に等しい。(C)、(D)および(E)において示されるエラーバーは、平均+SDを示す。(F):1時間休止させ(2.8 mM グルコースおよび5 mM KCl)、40μMカルペプチンを含むかまたは含まない休止バッファーまたは刺激バッファー中で6時間までインキュベートさせ(パルス化)、そして最終的に休止バッファー中で24時間までインキュベートした(チェース)、INS-1細胞における、リアルタイムPCRにより定量されたインスリンmRNAレベル。パルスの0、2および6時間の時点で、そしてその後チェースの2、6、12および24時間の時点で、全RNAを回収した。結果は、それぞれ3重にした3つの独立した実験に由来する。休止INS-1細胞におけるインスリンmRNAレベルは、100%に等しかった。エラーバーは、平均± SDを示す。
図8:μ-カルパインおよび30μMカルペプチンまたはMG-132を含むかまたは含まない50μM Ca2+含有バッファー中で、室温にて指定された時間インキュベートされた細菌により発現されたICA512(601-979)をロードした、10%SDS-ポリアクリルアミドゲルのクマシーブルー染色像。
図9:μ-カルパイン-V5をコードする指定濃度の構築物でトランスフェクトされ、休止バッファー中で60分間の後、カルペプチンを含むかまたは含まない、休止バッファー(0 mM グルコース、5 mM KCl)または刺激バッファー(25 mM グルコース、55 mM KCl)により105分間インキュベートされたINS-1細胞に由来する40μgタンパク質抽出物に対するICA512(上パネル)、μ-カルパイン-V5(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。
図10:スクランブル化siRNAオリゴ1+2、3、1または2または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1+2、3、1または2でトランスフェクトされたINS-1細胞から抽出された40μgタンパク質抽出物に対する、μ-カルパイン(上パネル)、ICA512(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。
図11:スクランブル化siRNAオリゴ1+2または3+4または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1+2または3+4でトランスフェクトさせたICA512 INS-1細胞に由来する30μgタンパク質抽出物に対する、μ-カルパイン(上パネル)、GFP(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。
図12:ダイナミン2(K44A)-GFP(上)またはダイナミン2-GFP(下)で一過性にトランスフェクトさせ、そしてAlexa568と複合体を形成させたヒトトランスフェリン(Tfn-Alexa568)とともにインキュベートした、INS-1細胞の蛍光顕微鏡像。バー:10μm。
図13:GFPでトランスフェクトし、図S2の場合と同様に、カルペプチンを含むかまたは含まない休止条件または刺激条件下でインキュベートした、INS-1細胞から抽出した50μg 細胞質タンパク質および25μg 核内タンパク質に対する、抗-GFP抗体(上)または抗-γ-チューブリン抗体(下)でのウェスタンブロット。
図14:MoHa3ベクターまたはICA512-HA3でトランスフェクトしたINS-1細胞から抽出した40μgタンパク質抽出物に対する、マウス抗-HA 抗体でのウェスタンブロット。
図15:ICA512-HA3で一過性にトランスフェクトさせ、そして図S2と同様に休止または刺激させたINS-1細胞から抽出した14μg 細胞質タンパク質抽出物および7μg 核内タンパク質抽出物に対する、マウス抗-HA 抗体でのウェスタンブロット。
図16:図S2と同様に休止条件(上)または刺激条件(下)においてインキュベートした、一過性にコトランスフェクションしたINS-1細胞におけるICA512-CFP(疑似シアン色)とIsm4-YFP(疑似緑色)の間のFRETなし。右パネルは、丸形の核(矢印)におけるIsm4-YFPのフォトブリーチング後のICA512-CFPについてのシグナルが存在しないことを示す。バー:5μm.
図17:ICA512は、E2-SUMOリガーゼUbc9に結合し、そしてそのPTPドメインは、PIASyとの相互作用に必要である。
(A):[35S]-標識IVTT ICA512細胞質ドメイン(ICA512-cyt)、陽性対照としてのp53、および陰性対照としてのルシフェラーゼを、それぞれ独立して、マルトース結合タンパク質と融合させた組換えUbc9(MBP-Ubc9)とともにインキュベートした。タンパク質は、アミロース樹脂を用いて、プルダウンされた。ビーズを洗浄しそして溶出した。上清をSDS-PAGEに供し、そしてオートラジオグラフィーにより示された。(B):組換えタンパク質として細菌中で発現される4種類の精製GST-ICA512構築物のポンソー赤色(Ponceau red)染色。(C):[35S]-標識IVTT PIASyとインキュベートしたGST-ICA512構築物での、プルダウンアッセイおよびオートラジオグラフィー。
図18:ICA512は、in vitroおよびin vivoにて、SUMO化される。
(A):ICA512 cyt.(601-979)を、GST融合タンパク質として細菌中で発現させ、そしてE1(ヘテロ二量体Aos1/Uba2)、Ubc9、およびSUMO1を含有するSUMO化酵素装置とともにin vitroでインキュベートさせた。示される場合、100 ngのGST-PIASyを添加した。SUMO化反応物をSDS-PAGEに供し、そしてモノクローナル抗体mICA512を用いたウェスタンブロットにより示された。アスタリスクは、SUMO化型のICA512を示す。(BおよびC):ICA512は、in vivoでSUMO-修飾される。ICA512(659-979)-GFPを、INS-1細胞中で単独で発現させるか、またはSUMO1(B)またはHA-SUMO1(C)のいずれかとともに共発現させた。等量の全細胞タンパク質を、抗-GFP Abを用いて免疫沈降した。ウェスタンブロットを、抗-GFP Ab(B)、または抗-HA Ab(C)を用いて行った。
図19:ICA512発現は、SUMO1およびPIASyに感受性である。(A):INS-1細胞を、空ベクター、SUMO1またはSUMO1+PIASy-GFPのいずれかによりトランスフェクトした。トランスフェクトしたINS-1細胞由来のICA512 mRNAを、リアルタイムPCRにより定量した。(B):INS-1細胞を、(A)の場合と同様にトランスフェクトし、そして全細胞溶解物を抗-ICA512抗体および抗-GFP抗体を用いたウェスタンブロットにより解析した。ブロットを抗-γ-チューブリン Abを用いてプローブ化し、タンパク質充填についてもチェックした。(C):ICA512-TMFのレベルを、Image Quant(Fuji, Inc.)を使用して定量し、そしてγ-チューブリンバンドについてのシグナルを用いて正規化した。(A)および(C)における値は、2つの独立した実験に由来する。
図20(上);ラットI インスリンエンハンサーおよびプロモータ領域の機構。これらの遺伝子のプロモータ領域とともにシス-作用性制御要素を箱囲みした。これらの配列に対するタンパク質結合は、上述の各箱囲みを示す。
(下)ICA512は、STAT3およびSTAT5の核局在に影響を与え、そしてSTAT5のGLE(STAT5結合要素)に対する結合を亢進させる。(AおよびB):核におけるSTAT5bとSTAT3の蓄積と濃度依存的な様式で相関することを示すICA512(659-979)-GFPの発現を示す、ウェスタンブロット(A)および対応する定量解析(B)。γ-チューブリンの検出を使用して、定量性を正規化した。(C):0、1、2、または4 mgのICA512(659-979)-GFPをコードするプラスミドでトランスフェクトしたINS-1細胞由来の核抽出物に対する、GLEに対応するビオチニル化オリゴヌクレオチドをプローブとして使用するEMSA。このプローブの特異的結合を、15-倍モル過剰の非-ビオチニル化GLEオリゴを用いた競合(comp.)により確認した。(D):上記(C)において示されるEMSAの定量結果。示される結果は、2つの独立した実験の代表的なものである。
図21:ICA512は、成長ホルモン誘導性のSTAT5bリン酸化を増加させる。INS-1細胞を、GFPまたはICA512(659-979)-GFPでトランスフェクトさせ、そして完全培地(10%血清を含有するRPMI)中48時間増殖させた。次に、細胞を血清を含まない培地中で12時間そのままにし、その後休止バッファー(5 mM KCl、120 mM NaCl、24 mM NaHCO3、1 mM MgCl2、2 mM CaCl2、1 mg/ml卵白アルブミン、15 mM HEPES pH 7.4)中37℃で1時間インキュベートした。その後、細胞を、20 nM成長ホルモン(Genotropin)を含むかまたは含まない休止バッファー中でさらに15分間インキュベートした。核フラクションを、SDS-PAGEにより分離し、そしてSTAT5b抗体、リン酸化-STAT5抗体、およびγ-チューブリン抗体を用いたウェスタンブロットにより解析した。
図22:ICA512は、それ自身の転写および一般的な遺伝子発現を亢進する。a):60μMカルペプチンを含むかまたは含まない休止条件または刺激条件のもとで2時間(左パネル)または6時間(右パネル)維持したINS-1細胞由来の抽出物に対する、ICA512(上パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのイムノブロット。b):リアルタイムPCRにより定量しそしてβ-アクチンmRNAに対して正規化した、GFP-でトランスフェクトしたINS-1細胞またはICA512-CCF-GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞におけるICA512 mRNAレベル。GFP-INS-1細胞における値は、100%に等しかった。c):GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞またはICA512-CCF-GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞由来の抽出物に対する、GFP(上パネル)、ICA512(中パネル)、およびγ-チューブリン(下パネル)についてのイムノブロット。d):c)において検出した、プロ-ICA512およびICA512-TMFの定量。γ-チューブリンに対して正規化した後、GFP-INS-1細胞中での値を100%にあわせた。e):5μg/mlアクチノマイシンDにより処理したかまたは処理しなかった、GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞またはICA512-CCF-GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞から回収した、[3H]-ウリジンRNA。値を、50 ngのmRNAの逆転写およびリアルタイムPCRによりβ-アクチンに対して正規化した。b、dおよびeにおいて示される結果は、少なくとも2つの独立した実験に由来する。
図23:ICA512-CCFは、STAT5の核内レベルを亢進する。a):示された量のGFPまたはICA512-CCF-GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞由来の核抽出物に対する、STAT5b、STAT3、GFP、およびγ-チューブリンについてのイムノブロット。b):a)において検出されたSTAT5およびSTAT3の定量。GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞における値は、100%に等しかった。c):ICA512+/+マウスおよびICA512-/-マウス由来の300個の膵島の細胞質抽出物および核抽出物に対する、STAT5bおよびγ-チューブリンについてのウェスタンブロット。膵島を、25 mM グルコースおよび20 nM hGH(上パネル)またはhGH単独(下パネル)で2時間刺激して、ICA512切断(高グルコース)およびSTAT5bの活性化(hGH)を行い、その後血清不含培地中で6時間インキュベートし、その後回収した。d、e):ICA512+/+およびICA512-/-膵島におけるSTAT5bの核内レベル(d)および核/全体比(e)。値は、(c)の場合と同様にイムノブロットにより決定した。bにおいて示される結果は、3つの独立した実験に由来する;eおよびfにおいて示される結果は、2つの独立した実験に由来する。
図24:ICA512-CCFは、PY-STAT5の核内レベルを亢進させ、そしてそれに結合する。(a): 20 nM hGHで20分間刺激した、GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞またはICA512-CCF-GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞由来の、抽出物全体に対するSTAT5bについてのイムノブロット、および核抽出物に対するSTAT5b、PY-STAT5およびγ-チューブリンについてのイムノブロット。b):ICA512-CCF-GFP(WT)またはICA512-CCF(A/D877-D/A911)-GFP(AD/DA)を発現するINS-1細胞中でのGFPについての共焦点画像。核を、DAPIで同時染色した。右パネルにおける大型の差し込み図は、小さな四角で示した領域の2×倍率を示す。バー, 5μm。c):GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞、ICA512-CCF-GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞、またはICA512-CCF(A/D877-D/A911)-GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞からの、抽出物全体に対するGFPについてのイムノブロット、および核抽出物に対するGFP、STAT5bおよびγ-チューブリンについてのイムノブロット。d):(c)においてトランスフェクトされ、20 nM hGHにより20分間刺激され、そして6時間後に回収されたINS-1細胞由来の核抽出物に対するPY-STAT5およびγ-チューブリンについてのイムノブロット。e):(d)において検出されたPY-STAT5レベル。GFP INS-1細胞における値を、100%に正規化させた。結果は、2つの独立した実験に由来する。f):左パネル:(a)の場合と同様にhGHで刺激されたGFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞またはICA512-CCF-GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞に由来する抽出物全体および細胞質抽出物に対する、GFPおよびSTAT5bについてのイムノブロット。等量のこれらの抽出物を、抗-GFP抗体での免疫沈降のための入力物質として使用した。右パネル:抗-GFP抗体で得られた免疫沈降物に対する、STAT5bおよびPY-STAT5についてのイムノブロット。
図25:ICA512-CCFが、インスリン遺伝子と関連し、それがSTAT5の転写活性を亢進し、そして転写のPIASy阻害を減弱する。a、b):アガロースゲルのエチジウムブロマイド染色(a)およびリアルタイムPCR(b)により検出した、ラットインスリン1(rINS1)遺伝子プロモータ中のGLEに隣接するプライマーにより増幅された200 bp PCR生成物。PCRは、安定なGFP-INS-1細胞またはICA512-CCF-GFP-INS-1細胞の抽出物から抗-GFP抗体または対照IgGを用いて得られたクロマチン免疫沈降物をテンプレートとして使用して、行った。c):rINS1プロモータのGLEを含むビオチニル化オリゴヌクレオチド(bGLE-rINS-1)を用いた電気泳動移動度シフトアッセイ。電気泳動の前に、bGLE-rINS-1を、増加量のICA512-CCF-GFPでトランスフェクトさせたINS-1細胞由来の5μg 核抽出物の存在下(+)または非存在下(-)にてインキュベートさせた。15倍モル過剰の非-ビオチニル化GLE-rINS-1オリゴヌクレオチドを添加することにより、競合アッセイ(comp.)を行った。d):(c)において検出された化学発光の定量。e):ホタルルシフェラーゼの8 GLE上流を含むβ-カゼインプロモータ(8GLE-CAS-FL)および示されるタンパク質をコードするベクターとをコトランスフェクトしたINS-1細胞におけるSTAT活性についてのリポーターアッセイ。GFP、ICA512-CCF-GFP、ICA512-CCF(K/A754)-GFP、およびPIASy-GFPの発現レベルを、抗-GFP抗体(下パネル)を用いたイムノブロットによりモニタリングした。RLU:比光単位。値をGFP発現に対して正規化した。8GLE-CAS-FLおよびGFPを共発現するINS-1細胞において検出されたRLUは、100%に等しかった。
図26:ICA512を、PIASyによりSUMO化する。a):グルタチオンセファロースビーズに結合された示されたGST-ICA512融合構築物でプルダウンされた、in-vitroで転写されそして翻訳された[35S]-標識PIASyのオートラジオグラフィー。b):マルトース結合タンパク質(MBP)と融合された組換えUbc9によりプルダウンされた、in-vitroで転写されそして翻訳された[35S]-標識ICA512細胞質ドメイン[ICA512(601-979)]、p53(陽性対照)、およびホタルルシフェラーゼ(陰性対照)のオートラジオグラフィー。c):GST-PIASy(E3-SUMOリガーゼ)の存在下(+)または非存在下(-)で、ATP、SUMO-1 Aos1/Uba2複合体(E1-SUMO活性化酵素)、Ubc9(E2-SUMO-複合化酵素)とともに、GST-ICA512(601-979)をin-vitroでインキュベーションさせた後の、ICA512についてのイムノブロット。d):HA-SUMO-1とコトランスフェクトさせたICA512-CCF-GFP INS-1細胞またはICA512-CCF(K/A754)-GFP INS-1細胞の抽出物由来の抗-GFP抗体での免疫沈降物に対する、HA-エピトープタグについてのイムノブロット。
図27:STAT5bは、ICA512発現を促進する。a):PIASy-GFPでトランスフェクトしたINS-1細胞(+)またはトランスフェクトしていないINS-1細胞(-)における、リアルタイムPCRによるICA512 mRNAの定量。b):(a)の場合と同様にトランスフェクトさせたINS-1細胞由来の抽出物に対する、ICA512、PIASy-GFP、およびγ-チューブリンについてのイムノブロット。c):対照またはSTAT5b siRNAオリゴヌクレオチドで処理したINS-1細胞における、共焦点顕微鏡によるSTAT5bの検出(赤色)。核を、DAPIで対比染色した(青色)。d):対照またはSTAT5b siRNAオリゴヌクレオチドで処理したINS-1細胞由来の抽出物に対する、STAT5b、ICA512、STAT3およびγ-チューブリンについてのイムノブロット。(e):STAT5b、プロ-ICA512、ICA512-TMFおよびSTAT3レベルの定量は、(d)において示される場合の3つの独立した実験に由来する。
図28:ICA512およびSTAT5bによるβ-細胞遺伝子発現の相乗的制御。グルコースなどのSGエクソサイトーシスおよびICA512切断を促進する刺激、および成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)、および胎盤性ラクトジェン(PL)などのSTAT5を活性化するホルモンが、どのようにβ-細胞の遺伝子発現を相乗的に制御するか、についての作用モデル。核において、ICA512-CCFは、GLE-含有プロモータと結合されたリン酸化STAT5と会合する。ICA512-CCFの結合によりSTAT5の脱リン酸化および核外輸送が阻害される。ICA512-CCFは、PIASyと結合することにより、STAT5活性の抑制を減弱することもできる。
図29:ラットおよびヒトICA512のPTPドメインと、原型のタンパク質チロシンホスファターゼであるヒトPTP1BのPTPドメインとのアラインメント。目的とする領域は、箱囲みで特定する。Box 1:リン酸化チロシン認識モチーフ;Box 2:ICA512におけるSUMO化のためのコンセンサスモチーフ(ΨKXE)。Lys754は、太字で示される。Box 3:触媒活性のための必須のアスパラギン酸(太字)を含むWPDループ。ICA512において、このアスパラギン酸は、アラニンにより置換されている(A877)。Box 4:触媒システインから+2の位置に必須アラニン(太字)を含む、PTP“特徴的モチーフ”。ICA512において、このアラニンは、アスパラギン酸により置換されている(D911)。
図30:INS-1細胞および安定なICA512-GFP INS-1細胞由来の細胞質抽出物および核抽出物に対する、STAT3およびγ-チューブリンについてのウェスタンブロット。
図31:細菌中で発現され、そしてin-vitroで転写-翻訳される[35S]-PIASyでのプルダウンアッセイのための入力として使用されるGST構築物およびGST-ICA512構築物の、SDS-PAGEによる分離後のクマシーブルー染色。
図32: SUMO-1でコトランスフェクトされた(+)またはされていない(-)ICA512-CCF-GFP INS-1細胞の抽出物全体からの、抗-GFP抗体での免疫沈降物に対する、GFPについてのウェスタンブロット。
図33: ICA512-CCF-GFP INS-1トランスフェクト細胞またはICA512-CCF(K/A754)-GFP INS-1トランスフェクト細胞の抽出物全体からの、抗-GFP 抗体での免疫沈降物に対する、STAT5bについてのウェスタンブロット。
図34:a):前述したように(8)対照またはホタルルシフェラーゼsi RNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクトさせたINS-1細胞由来の抽出物全体の、ホタルルシフェラーゼ、STAT5b、プロ-ICA512、およびγ-チューブリンについてのウェスタンブロット。(b):aにおいて示されるように3つの独立した実験に由来する、ホタルルシフェラーゼ活性およびホタルルシフェラーゼ、STAT5bおよびプロ-ICA512のタンパク質レベル。
図35:左パネルは、部分膵臓切除(partially pancreatectomized)マウス由来の膵臓組織についての免疫蛍光像を示す。この像の中央部に、丸い膵島を見出せる。緑色がBrdUを取り込んだ新たに生成された細胞を標識し、赤色がインスリンについて免疫標識された膵島β-細胞を示し、一方すべての細胞核をDAPIで青色に染色した。多数の同様な像が、シャムオペレーションまたは部分膵臓切除を受けた野生型マウスおよびICA512ノックアウトマウスから得られた。ついで、われわれは、顕微鏡で、インスリン陽性細胞と関連した膵島中のBrdU陽性細胞の数をカウントした。これらの定量データは、右パネルに示される。部分膵臓切除したICA512ノックアウトマウスにおいて、対応する野生型産仔と比較して、新たに生成されたβ-細胞数の統計的に有意な減少を観察することができた。
実施例は、本発明を説明する。
実施例1A:実施例2〜5の材料および方法
膵島単離および細胞培養
膵島は、以前に記載されたように(26)、コラゲナーゼ消化によりメスウィスターラットから単離し、密度勾配遠心法により精製し、そして培養した(400/60 mm培養ディッシュ)。INS-1細胞を、以前に記載されたように(27)増殖させた。
cDNAクローニングおよびINS-1細胞のトランスフェクション
完全長ヒトICA512をコードするcDNAおよびICA512(659-979)をコードするcDNAを、PCRにより増幅し、そしてpEGFP-N1またはpECFP-N1(Clontech, Palo Alto, CA)中に、EcoRI-AgeI挿入物またはAgeI-BglII挿入物として、GFPまたはCFPとそれぞれインフレームで、サブクローニングした。そのcDNAをKpnI-XbaI挿入物としてMoHa3ベクター(Monika Suchanekの好意により譲受)中にサブクローニングすることにより、3-HAエピトープを有するC-末端でICA512をタグ付けした。ラットダイナミン1および2アリルのcDNA、またはGFPと融合させたドミナントネガティブのダイナミン1および2(K44A)アリルのcDNAをコードするプラスミドを、Kai Simonsの好意により譲受した。マウスPIASy cDNA(Rudolf Grosschedlの好意により譲受)を、pEYFP-N2(Clontech)のEcoRI-BglII挿入物として挿入した。Ism4-CFPをコードするプラスミドおよびIsm4-YFPをコードするプラスミドを、Karla Neugebauerの好意により譲受した。4×106 INS-1細胞を、ヌクレオフェクターキットVおよびプログラムT-20を使用するAmaxa nucleoprator(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany)により、エレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの後、細胞を35 mmウェル2つに分注し、そして回収されるまで4日間増殖させた。ICA512-GFPを安定に発現するINS-1細胞(INS-1 ICA512-GFP細胞)を、600μg/mlネオマイシンを用いて選択し、そして限界希釈によりクローニングした。ウェスタンブロットおよび共焦点顕微鏡により評価した、ICA512-GFPを発現する8個の独立したクローンの内の一つを、GFP蛍光を使用したFACSに関して選択し、そしてさらに特徴づけた。
細胞抽出物およびウェスタンブロット
野生型INS-1細胞およびトランスフェクトINS-1細胞およびラット膵島(350-450)を、0 mMグルコースおよび5 mM KClを含有する休止バッファー中で60分間プレ-インキュベートし、その後、以前に記載したように(7)、25 mMグルコースおよび55 mM KClを含む新鮮な休止バッファーまたは刺激バッファー中で様々な時間インキュベートした。プロテアーゼ阻害剤カルペプチン、MG-132、L-685,458(Calbiochem, La JoIIa, CA)を、プレ-インキュベーションの最後の15分間に添加し、その後細胞を回収するまでのすべての時間インキュベートした。次に、細胞を氷冷PBSで洗浄し、そして溶解バッファー(10 mM Tris-HCl、pH 8.0、140 mM NaCl、1%Triton X-100、1 mM EDTA、1 mM PMSF、および1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma, St. Louis, MO))中で4℃にて抽出した。細胞質抽出物および核抽出物を、NE-PER Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagents(Pierce, Rockford, IL)を製造者の指示に従って使用して調製した。タンパク質濃度を、Bio-Rad Protein Assay Reagent(Bio-Rad, Hercules, CA)を使用して測定した。核抽出物に関して、対応する細胞質抽出物の場合と比較して半分のタンパク質をロードしたこと以外は、等量のタンパク質を8〜10%SDS-PAGEで分離した。タンパク質転写後、ニトロセルロースフィルターを、以下の抗体:マウスモノクローナル抗-ICA512抗体(6)、抗-μ-カルパイン抗体(Chemicon, Temecula, CA)、抗-γ-チューブリン抗体および抗-HA抗体(Sigma)、抗-GFP抗体(Clontech);ウサギポリクローナル抗-Glut2抗体(Alpha Diagnostics International, St Antonio, TX)、抗-CPE抗体(Chemicon)、抗-GFP抗体(Molecular Probes, Eugene, OR)および抗-HA抗体(Christoph Thieleより譲受)を用いてインキュベートした。化学発光を、Supersignal West Pico Substrate(Pierce)を基質として発色させ、そしてLAS 3000 Bioimaging System(Fuji, Tokyo, Japan)を使用して検出した。タンパク質シグナルの定量を、Image Gauge v3.45ソフトウェア(Fuji)を使用して行った。
INS-1細胞の経時的刺激
INS-1細胞を、休止バッファー(2.8 mMグルコースおよび5 mM KCl)中で1時間インキュベートし、その後40μMカルペプチンを含むかまたは含まない休止バッファーまたは刺激バッファー中で6時間インキュベートし、その後再び休止バッファー中で24時間までインキュベートした。リアルタイムPCR用の全RNAを、刺激中の時点0、2および6時間に回収し、そしてその後の休止期間中の2、6、12および24時間の時点で回収した。
スクロース密度勾配分画
0.4〜2 Mスクロースからの連続的スクロース密度勾配上でのINS-1細胞およびINS-1 ICA512-GFP細胞の分画を、記載されたように行った(28、29)。フラクションを、SDS-PAGEにより分離し、そして上述したようにイムノブロットにより解析した。
GST-プルダウンアッセイ
pET28a(Invitrogen)中のICA512(601-979)cDNA(29)を、T7/関連転写-翻訳システム(Promega, Madison, Wl)を製造者の指示書にしたがって使用して、in vitroにて転写しそして翻訳した。PIAS1-GSTおよびPIASy-GST(Rudolf Grosschedlの好意により譲受)を、以前に記載されたように細菌中で発現させた(21、30)。次に、[35S]-メチオニン-標識ICA512(601-979)を、グルタチオンセファロースビーズ(Amersham, Freiburg, Germany)に結合させたGST-融合タンパク質またはGST単独と共に、GST結合バッファー(120 mM NaCl、50 mM Tris pH8、0.25%Nonidet P-40、1 mM DTT、1 mM PMSF)中、4℃にて一晩インキュベートした。ビーズを結合バッファーを用いて5回洗浄し、その後10 mM還元グルタチオンを用いて溶出した。溶出物をSDS-PAGEにかけ、そしてオートラジオグラフィーにより解析した。
In-vitroでのμ-カルパイン切断
3μgの細菌により発現されたHis-ICA512 細胞質ドメイン(残基601-979)(Ort et al., 2001)を、20μlバッファー(20 mM Tris-HCl pH 7.5、50μM CaCl2、1 mM L-システイン)中、室温にて、150 ngのμ-カルパイン(Calbiochem)および30μMカルペプチンまたはMG-132を含むかまたは含まない条件下、1、5、15または45分間、インキュベートした。等量の2×SDSサンプルバッファーを添加することにより、反応を停止させた。SDS-PAGEの後、タンパク質をクマシーブルー(Bio-Rad)を用いて染色した。
免疫組織化学
休止条件下または刺激条件下のINS-1細胞を、2%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後0.2%サポニンまたは0.3%Triton X-100を用いて透過処理した。透過処理の後、細胞を、マウスモノクローナル抗-μ-カルパイン抗体およびインスリン抗体(Sigma)またはウサギポリクローナル抗-ICA512ecto抗体(1)と共に、1時間インキュベートした。洗浄およびヤギ-抗-マウスAlexa488-複合化IgGまたはAlexa568-複合化IgG(Molecular Probes)とのインキュベーション後、核を、DAPI(Sigma)で対比染色した。反転LSM Meta 405 nm共焦点顕微鏡(Zeiss, Goettingen, Germany)を用いて、0.5μm切片中で画像を得た。
電子顕微鏡
細胞を、60 mM PIPES、25 mM HEPES、10 mM EDTA、2 mM MgCl2、pH 6.9中4%PFAを用いて、室温にて1時間固定し、その後10%ゼラチンを含むPBS中でかき集めそしてペレットにした。ペレットを、1%PFAを含むPBS中で固定しそして貯蔵した。極薄凍結切片を記載されたように調製し(32)、そしてマウス抗-インスリン抗体(Sigma, 1:1000)およびウサギ抗-GFP抗体(Molecular Probes, 1:500)と共に、その後6 nm金粒子および12 nm金粒子(Dianova, 1:30)とそれぞれ結合させたヤギ-抗-マウスIgGおよびヤギ-抗-ウサギIgGと共に、インキュベートした。
FRET解析
ICA512-CFP、PIASy-YFP、Ism4-YFP、およびIsm4-CFPで一過性にコトランスフェクトさせたINS-1細胞を、休止バッファーまたは刺激バッファー中で90分間インキュベートさせた。2%パラホルムアルデヒド中で固定した後、Plan-Apochromat 100X 1.4油浸DIC対物レンズを使用して、反転LSM Meta 405 nm共焦点顕微鏡(Zeiss)により、細胞を画像化した。ピンホール倍率(pinhole diameter)を、1.0〜1.25 Airy-Unitに設定した。Z軸に0.57μmの光学的厚さを有する一連の大量の画像は、6.4μ秒のピクセル滞留時間で、512×512ピクセル以上の8-bit強度の解像度で回収した。458 nmおよび514 nmレーザー光を使用して、CFPおよびYFPをそれぞれ励起した。CFP画像は、458 nmの2色性ミラーおよび475〜495 nmのバンドパスフィルターを用いて取得され、一方、YFP蛍光は、514 nmの2色性ミラーおよび530〜600 nmのバンドパスフィルターを用いて取得された。514 nmのレーザー光を70%出力で用いてそして各30秒を6サイクルのあいだ行うYFPのフォトブリーチングのあいだ、CFPの発光を測定することにより、FRETをを評価した。“目的とする領域”のソフトウェア機能を使用して、細胞の核周辺をトレースすることにより、CFPおよびYFPの平均蛍光を決定した。フォトブリーチング後のCFPの蛍光強度を、時間0で100%に正規化した。各実験において、各スライドにつき6〜9視野をフォトブリーチングして、記録した。各実験を独立して2回行った。
トランスフェリン取り込みアッセイ
ダイナミン-GFP構築物でトランスフェクトし、そしてカバースリップ上で3〜4日間増殖させたINS-1細胞を、FBSを含まない培地中で1時間、飢餓状態にさせ、次いでAlexa568(Molecular Probes)と複合体形成したトランスフェリンおよび1 mg/ml BSAを含む血清不含培地中、37℃にて15分間のインキュベーションを行った。細胞を冷PBS中で4回洗浄し、そして上述したように固定した。画像をOlympus BX61顕微鏡(Olympus, Tokyo, Japan)に付属させたCoolSnap-HQ CCDカメラ(Roper Scientific, Tuscon, AZ)を用いて取得し、そしてMetamorph 4.65ソフトウェア(Universal Imaging, Downington, PA)を用いて処理した。
RNA干渉
INS-1細胞(6×105/35-mmウェル)を、トランスフェクションの前2日間、増殖させた。ラットμ-カルパインに対する21-merのサイレンシングRNA(siRNA)オリゴヌクレオチド1、2および3を、Silencer siRNA Construction Kit(Ambion, Austin, TX)で、以下のプライマー:
センスプライマー1、5'-AAGAGAGCGCTCCAGAACTCGCCTGTCTC-3';
アンチセンスプライマー1、5'-AACGAGTTCTGGAGCGCTCTCCCTGTCTC-3';
センスプライマー2、5'-AACCTGGATCTGGTCATCTAGCCTGTCTC-3';
アンチセンスプライマー2、5'-AACTAGATGACCAGATCCAGGCCTGTCTC-3';
センスプライマー3、5'-AAGTTACTGACCTCTCGAAGGCCTGTCTC-3';
アンチセンスプライマー3、5'-AACCTTCGAGAGGTCAGTAACCCTGTCTC-3';
を使用して、合成した。細胞を、Lipofectamine(Invitrogen)を使用して、Optimem培地中1μgのsiRNAオリゴ/ウェルで、day 2およびday 4にトランスフェクトした。day 6に、細胞を回収し、そしてRT-PCRまたはイムノブロットのために処理した。
ホタルルシフェラーゼアッセイ
ホタルルシフェラーゼのためのsiRNAオリゴのトランスフェクションの2日前に(8)、INS-1細胞を、それぞれホタルルシフェラーゼとレニラルシフェラーゼの共発現のため、pGL3-BasicベクターおよびphRLベクター(Promega)を用いてエレクトロポレーションをすることにより、コトランスフェクトさせた。ホタルルシフェラーゼ発現および活性は、細胞をプレートに播いてから6日後に測定した。
RT-PCR
RNeasy Mini Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を製造者のプロトコルにしたがって使用して、細胞質RNAを単離した。1μgの単離RNAを、Titan One Tube RT-PCR System(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を使用するRT-PCRによる、ラットμ-カルパインcDNAフラグメントとβ-アクチンcDNAフラグメントの同時増幅のためのテンプレートとして、使用した。μ-カルパインの増幅用に、以下のプライマー:
センス、5'-AACGAGTTCTGGAGCGCTCTC-3';
アンチセンス、5'-CTTCAGAATGATCTGGTAGAGG-3';
を使用した。両遺伝子についてのセンスプライマーおよびアンチセンスプライマー(0.4μM)を、同一反応物中に添加した。サイクル数(32)は、反応の対数期内にはいるように最適化した。PCR生成物を、2%アガロースゲル上で分離し、エチジウムブロマイドを用いて可視化し、そしてGeneGnome(Syngene)により画像を取得した後、GeneSnapソフトウェア(Syngene, Cambridge, UK)を用いて半定量した。
インスリンRIA
エタノール、H2Oおよび37%HClの3:1:0.06容量中、-20℃にて、細胞を一晩抽出した。遠心分離後、細胞中および培地中の全インスリン含量を、Sensitive Rat Insulin RIA Kit(Linco Research, St. Charles, MO)を用いて測定した。刺激インデックス(Sl)を、以下の様にして計算した:分泌インスリン:細胞インスリン含量+刺激細胞からの分泌インスリン/分泌インスリン:細胞インスリン含量+休止細胞からの分泌インスリン。対照細胞からの刺激インデックスを、100%に合わせた。
RT-PCR
RNeasy Mini Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を製造者のプロトコルにしたがって、細胞質RNAを単離した。Titan One Tube RT-PCR System(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)および各遺伝子用の0.4μMプライマーを使用したRT-PCRによる、ラットμ-カルパインcDNAおよびβ-アクチンcDNAの同時増幅のために、1μgのRNAを使用した。μ-カルパイン用のプライマーは:
センス、5'-AACGAGT TCTGGAGCGCTCTC-3';
アンチセンス、5'-CTTCAGAATGATCTGGTAGAGG-3'
の通りである。サイクル数は、反応の対数期内に入るように最適化された。PCR生成物を、2%アガロースゲル上で分離し、エチジウムブロマイドで染色し、そしてGeneGnome(Syngene)で画像を取得した後、GeneSnapソフトウェア(Syngene, Cambridge, UK)で半定量した。
リアルタイムPCR
Trizol(Invitrogen, Karlsruhe, Germany)を製造者のプロトコルにしたがって使用して、INS-1細胞由来の全RNAを単離した。記載されたように(31)、1μgの全RNAを、β-アクチンおよびインスリンに対して特異的な2μMのアンチセンスプライマーと共に、逆転写酵素反応のために使用した。mRNA発現を、Mx4000 Multiplex Quantitative Real Time PCR System(Stratagene)で、Brilliant SYBR Green QPCR(Stratagene, La JoIIa, CA)を使用する、定量的リアルタイムPCRにより測定した。
実施例1B:実施例6〜11の材料と方法
ICA512ノックアウトマウスの作製
マウス129/Sv ES細胞において相同組換えによりICA512遺伝子をターゲティングするための構築物を、標準的な方法にしたがって作製した。ES細胞を、ターゲティングベクターを用いてエレクトロポレーションし、そしてC57BL/6ドナーマウスの胚盤胞中に注入して、キメラマウスを作製する。生殖系列伝達を、サザンブロッティングおよびneoトランスジーンに対して特異的なプライマー(リバース、CTATCGCCTTCTTGACGAGTTC)および隣接するICA512コード領域に対して特異的なプライマー(フォワード、CTGCTGGTCTGCCTGCTGTTG)を使用するPCRにより、評価した。ICA512+/-マウスおよびICA512-/-マウスを、サザンブロッティングおよび欠損したICA512ゲノム領域に対して特異的なプライマー(フォワード、CTGTTTGACCGCAGACTTTGTTC;リバース、CTTGTAGGCGCTGGAGAACTG)を使用するPCRにより同定した。ICA512発現の欠損を、膵島由来のRNAに対してICA512-特異的プライマー(フォワード、CTGTTTGACCGCAGACTTTGTTC;リバース、CATTAGCAGATGCTCCAAGAGAG)を用いて行うRT-PCRにより、そして抗-ICA512抗体を用いた免疫組織化学により、確認した。これらのマウスは、Dr. Myung-Shik Lee(Dept. of Medicine, Samsung Medical Center, Sungkyunkwan Univ. School of Medicine, Seoul 135-710, Korea)により作製され、そして本発明者らに提供された。
INS-1細胞の培養
INS-1細胞を、記載されたように増殖させた(27)。いくつかの事例において、細胞を休止バッファー(0 mMグルコース、5 mM KCl)中で1時間プレ-インキュベートし、その後、記載されたように(7)休止バッファーまたは刺激バッファー(25 mMグルコース、55 mM KCl)中で2時間または6時間インキュベートした。カルペプチン(Calbiochem)を、プレ-インキュベーションの最後の15分間に添加し、その後、細胞を回収するまでのすべての期間インキュベートした。細胞を20 nMヒト成長ホルモン(hGH)とともに20分間刺激し、その後RPMI-1640、11 mMグルコース、0.5%FBS、25 mM HEPES、 1%ペニシリン-ストレプトマイシンおよび0.05 mMβ-メルカプトエタノールを含有する低血清培地(LSM)中で18時間のインキュベーションを行った。洗浄した後、細胞を回収するか、またはLSM中でさらに6時間インキュベートした。免疫沈降のため、hGHでの刺激の1時間後に、細胞を回収した。
膵島培養
膵島を、記載されたように(26)、15〜17週齢ICA512 +/+マウスまたは-/-マウスから単離した。培養48時間後に、膵島をLSM中で18時間インキュベートし、その後25 mMグルコースおよび20 nM hGHまたはhGH単独で2時間刺激し、その後LSM中でさらに6時間インキュベーションした。
cDNA構築物
以下の構築物は、以前に記載された:ICA512-CCF-GFP(38);GST-ICA512(601-979)、GST-ICA512(700-979)、およびGST-ICA512(800-979)(29);p53、活性化SUMO-1(SUMO-1GG)、E2-SUMO複合化酵素MBP-Ubc9、および組換えヘテロ二量体E1-SUMO活性化酵素を作製するためのHis-Uba2およびGST-Aos1(21)。GST-PIASy cDNAおよびHA-タグ化SUMO-1 cDNAは、Rudolf GrosschedlとRaIf Janknechtからそれぞれ譲受された。pGL-3(Promega)中のホタルルシフェラーゼの8GLE上流を含むβ-カゼインプロモータ(8GLE-CAS-FL)を、Andreas Barthelから譲受した。ICA512-CCFリジン754、アラニン877およびアスパラギン酸911を、QuickChange Mutagenesis kit(Stratagene)を用いて、それぞれアラニン、アスパラギン酸、およびアラニンに変異生成した。ICA512-CCF(K/A754)cDNAおよびICA512-CCF(A/D877-D/A911)cDNAを、EcoRI-AgeIフラグメントとしてpEGFP-N1(Clontech)中にそれらをサブクローニングすることにより、GFPをC-末端に融合させた。マウスPIASy cDNAをpcDNA3.1(Invitrogen)中にサブクローニングし、そしてBglII-EcoRIフラグメントとしてpEGFP-N2中に、GFPに対してそのC-末端側に融合させた。
INS-1細胞のトランスフェクション
INS-1細胞を、記載したようにエレクトロポレーションした(38)。安定なGFP INS-1細胞クローンおよびICA512-CCF-GFP INS-1細胞クローンの作製は、以前に記載された(38)。
細胞抽出物およびウェスタンブロット
INS-1細胞および膵島を、RIPAバッファー〔50 mM Tris-HCl、pH 8.0、150 mM NaCl、1%NP-40、0.1%SDS、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、および1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)〕中で4℃にて回収し、抽出物全体を得た。不溶性物質を、遠心分離により除去した。細胞質抽出物および核抽出物を、NE-PER NuclearおよびCytoplasmic Extraction Reagents(Pierce)を使用して調製した。タンパク質を、8〜10%SDS-PAGEにより分離し、そして以下の抗体:マウスモノクローナル抗-ICA512抗体(7)、抗-STAT5抗体(Santa Cruz)、抗-γ-チューブリン抗体および抗-HA抗体(Sigma);ウサギ抗-PY-STAT5抗体および抗-STAT3抗体(Cell Signaling);親和性精製されたヤギ抗-GFP IgG;を用いてイムノブロットした。化学発光を、Supersignal West PicoまたはFemto kits(Pierce)を用いて発色させ、そしてLAS 3000 Bioimaging System(Fuji)を用いて検出した。タンパク質シグナルを、Image Gauge v3.45ソフトウェア(Fuji)を用いて定量した。核抽出タンパク質の半量を、抽出物全体タンパク質および細胞質抽出物タンパク質と比較して、イムノブロットした。
免疫沈降
INS-1細胞を、1またはそれ以上の以下の構築物:GFP、ICA512-CCF-GFP、ICA512-CCF(K/A754)-GFP、SUMO-1およびHA-SUMO-1;で一過性にトランスフェクトさせた。抗-GFP IgGを、抽出物全体または細胞質抽出物からの免疫沈降のために使用した。免疫沈降物を、抗-STAT5b抗体、抗-PY-STAT5抗体、抗-GFP抗体または抗-HA抗体を用いてイムノブロットした。600μgおよび200μgのタンパク質を、それぞれSUMO化ICA512およびSTAT5の免疫沈降の開始物質として使用した。
プルダウンアッセイ
GST-ICA512(601-979)、GST-ICA512(700-979)、およびGST-ICA512(800-979)を、記載したように(26)細菌により発現させた。[35S]-メチオニン-PIASy、[35S]-ICA512(601-979)、[35S]-p53および[35S]-ホタルルシフェラーゼを、T7/関連転写-翻訳システム(Promega)を製造者の指示書にしたがって使用して、in-vitroにて転写しそして翻訳した。[35S]-PIASyを、GST-ICA512タンパク質またはGSTとともにインキュベートし、一方[35S]-ICA512(601-979)、[35S]-p53および[35S]-ホタルルシフェラーゼをMBP-Ubc9とともにインキュベートした。記載されたように(38)、グルタチオンセファロースビーズ(Amersham)またはアミロースセファロースビーズ(New England Biolabs)を用いて、タンパク質を回収した。グルタチオンまたはマルトースを用いてビーズから溶出したタンパク質を、SDS-PAGEおよびPhosphorImager BAS 1800 Il(Fuji)を用いたオートラジオグラフィーにより解析した。
細胞画像化
ICA512-CCF-GFPを発現するINS-1細胞またはICA512-CCF(A/D877-D/A911)-GFPを発現するINS-1細胞またはsiRNAオリゴヌクレオチドで処理されたINS-1細胞を、2%パラホルムアルデヒドを用いて固定した。STAT5bを検出するため、細胞を、ヤギ-血清希釈バッファー(63)中で0.3%Triton X-100により透過処理され、そしてマウスモノクローナル抗-STAT5bおよびヤギ-抗マウスAlexa568-複合化IgG(Molecular Probes)を連続的に用いてインキュベートした。核を、DAPI(Sigma)で対比染色した。共焦点画像を、反転LSM Meta 405nmの共焦点顕微鏡(Zeiss)により得た。
RNA干渉
以下のフォワードオリゴヌクレオチドおよびリバースオリゴヌクレオチド:
STAT5b、F1、5'- AATTGGTTGATCTGAAGGTGCCCTGTCTC-3';
R1、5'-AAGCACCTTCAGATCAACCAACCTGTCTC-3';
F2、5'-AAGTTCATGTGCACGTTCAGCCCTGTC TC-3';
R2、5'-AAGCTGAACGTGCACATGAACCCTGTCTC-3';
を使用して、以前に記載されるように(38)、RNA干渉を行った。まいた後、細胞を、day 2およびday 3に、Lipofectamine(Invitrogen)中それぞれ1μgおよび0.5μg siRNAオリゴ/ウェルを、連続的にトランスフェクトした。day 4には、細胞を回収し、そしてイムノブロットまたは免疫組織化学のためにプロセッシングした。
ホタルルシフェラーゼアッセイ
INS-1細胞を、8GLE-CAS-FLおよび1または2の以下のプラスミド:pEGFP、ICA512-CCF-GFP、ICA512-CCF(K/A754)-GFPおよびPIASy-GFPにより、コトランスフェクトさせた。トランスフェクションの2日後に、細胞を低血清培地中で18時間インキュベートし、次いで20 nM hGHで20分刺激し、そして最終的に休止バッファー中でさらに6時間そのままにした。細胞をルシフェラーゼアッセイ用の500μl溶解試薬(Promega)中で回収し、そして10μlを、Berthold照度計におけるルシフェラーゼ活性の測定のために使用した。各サンプルは、3重で行い、そしてデータは、少なくとも2つの独立した実験の平均を示す。
EMSA
培養中で3日後、GFPまたは様々な量のICA512-CCF-GFPでトランスフェクトされたINS-1細胞を、18時間、低血清培地中でインキュベートし、その後hGHで刺激し、そして回収した。核抽出物を、上述したように調製した。ラットインスリン1遺伝子プロモータのGLEモチーフ(GLE-rIns1)を含む20 fmolの二重鎖ビオチニル化オリゴヌクレオチド(5'-AGCTATGTTCTGAGAAAATC-3')および5μg核内タンパク質との結合反応を、製造者の指示書にしたがって行った。競合実験のため、300 fmolの非-ビオチニル化GLE-rIns1オリゴヌクレオチドを結合反応に添加した。反応物を、6%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、その後ナイロンメンブレンに転写し、そして化学発光による検出用にストレプトアビジン-複合化ホースラディッシュペルオキシダーゼでブロッティングした。
クロマチン免疫沈降
安定なGFP INS-1細胞またはICA512-CCF-GFP INS-1細胞を、1%ホルムアルデヒドを培地に対して15分間添加することにより、架橋させた。クロマチン免疫沈降用に2μg対照IgGまたは抗-GFP抗体で予め取り除かれた(Pre-cleared)核抽出物を、記載されたように(64)調製した。免疫複合体を、タンパク質G-セファロースビーズを用いて回収した。共免疫沈降DNAフラグメントを溶出し、そしてPCRおよびアガロースゲル電気泳動によりおよび定量的リアルタイムPCRにより、解析した。
PCRおよびリアルタイムPCR
細胞質mRNAを、Oligotex Direct mRNA kit(Qiagen)を製造者のプロトコルにしたがって使用して単離した。ポリA+-豊富化RNAを、記載されたように(8)、ICA512およびβ-アクチンに対して特異的なアンチセンスプライマーで逆転写させた。ラットインスリン1(rINS1)遺伝子プロモータにおけるGLEに隣接する200 bpフラグメントのPCRおよびリアルタイムPCRによる増幅を、以下のプライマー:
センス5'-CTCAGCTGAGCTAAGAATCCA-3'、
アンチセンス5'-ATTAACAAGGGGCCAGATGCC-3'
を使用して行った。ICA512およびβ-アクチンの増幅は、記載したように行った(16)。
ウリジン取り込み
GFPまたはICA512-CCF-GFPでのトランスフェクションの3日後、INS-1細胞をLSM中で18時間インキュベートし、その後25μCi [5-3H]ウリジン/ウェルで2時間、5μg/mlのアクチノマイシンD(Sigma)の存在下または非存在下にて放射性標識した。mRNAを、Oligotex Direct mRNA kit(Qiagen)を用いて精製した。ウリジン取り込みを、液体シンチレーションカウンター(Wallac)で測定した。正規化のため、各サンプル由来のポリA+-豊富化RNAを、β-アクチン(8)用のアンチセンスプライマーを使用して逆転写し、そして対応するmRNAを、リアルタイムPCRにより定量した。
画像
ヒストグラムは、Microsoft Excel(Microsoft)を用いて調製した。エラーバーは、少なくとも2つの独立した実験からの標準偏差を示す。
実施例2:ICA512発現の誘導およびプロテアーゼによる切断
最初の実験において、プロ-ICA512が、グルコース-制御様式で合成されることを確認した(図1Aレーン2、4、5および7を参照)。上述したように、furin-様プロテアーゼによる分泌経路にしたがったその細胞外ドメインのプロセッシングにより、プロ-ICA512が65 kDのその成熟型膜貫通型(ICA512-TMF)へと変換され、それがSG上に蓄積される(1)。ラットインスリノーマINS-1細胞の高グルコース(25 mM)および高K+(55 mM)による刺激は、プロ-ICA512生合成を誘導し、そしてICA512-TMFレベルを減少させる(Ort et al., 2001;そして図1AおよびB、レーン1および2)。ICA512に対するこの2作用は、INS-1細胞を高グルコースまたは高K+のいずれかで刺激することによって解離される可能性がある(33)。高グルコース単独では、プロ-ICA512生合成が刺激されるが、しかしインスリンの穏やかな放出およびICA512-TMFの減少を刺激する。一方、高K+は、強力なインスリン分泌を誘導しそしてICA512-TMFの減少を誘導するが、プロ-ICA512生合成を亢進しない。ICA512-TMFの減少は、SGエクソサイトーシスの誘導の際の刺激の強度に依存する。高グルコース単独での30、60および120分間の刺激は、実際に新たに単離されたラット膵島におけるICA512-TMFの進行性の減少を引き起こし(図1CおよびD)、それがINS-1細胞の場合とは異なり、グルコースに対する事実上は無傷の分泌反応性を保持する。グルコース刺激の“特徴(signature)”であるプロ-ICA512生合成の迅速な誘導は、INS-1細胞の場合よりも膵島においてはそれほど明らかではなかった(図1 E、レーン4および2)。というのも、前者は、後者よりもはるかに迅速にプロ-ICA512をICA512-TMFへと変換するためである(8)。
SGエクソサイトーシスの刺激は、細胞膜へのICA512の移動を刺激し(1)、そしてICA512-TMFレベルを減少させる。というのも、μ-カルパインによるその細胞質ドメインのCa2+-依存性切断のためである(7、および図1AおよびB、レーン1-2)。特に、この切断は、カルパインプロテアーゼを阻害する(9)カルペプチンにより濃度依存的に阻害された(図1AおよびB、レーン3-5および示さないデータ)が、γ-セクレターゼを選択的に阻害する(10)L-685,458によっては阻害されなかった(図1AおよびB、レーン6-7)。ICA512-TMFのカルペプチン-選択的減少もまた、精製ラット膵島の刺激に際して観察された(図1 E)。一方、INS-1細胞および膵島の両方において、我々は、ICA512-TMFの切断の結果として生じるいずれかの細胞質フラグメントを検出することができなかった。このことは、我々のモノクローナル抗-ICA512 抗体が、カルパイン切断部位の上流である、残基643と663との間に位置する膜近傍の細胞質エピトープと反応するためである(7)(以下、特に図5AおよびBを参照)。プロ-ICA512の迅速な生合成が、グルコースに厳密に依存するが、ICA512-TMF切断の程度には依存しないという知見もまた、以前の知見(7)とも一致していた。
μ-カルパインによる切断を、カルペプチンおよびMG-132(システインプロテアーゼの別の阻害剤)により阻害した(図8)。μ-カルパインが実際にin vivoでのICA512-TMFの刺激誘導性タンパク質分解の原因であるかどうかを確認するため、その細胞質mRNA(図1F)およびINS-1細胞中でのタンパク質発現(図1GおよびHおよび図9)を、3つの別々のサイレンシングRNA(siRNA)オリゴヌクレオチドを単独で使用して(図1GおよびH)または組み合わせて使用して(図9)一過性にノックダウンした。μ-カルパインの37%の減少がICA512-TMFの刺激依存性分解を約1.6倍阻害したが(図1GおよびH)、一方ウェスタンブロットおよび酵素的アッセイ(図1IおよびJ)により確認された一過性にトランスフェクトさせたホタルルシフェラーゼのノックダウンは、μ-カルパインまたはICA512-TMF発現に対して実質的に何の作用も有さなかった。さらに、ICA512-TMFタンパク質分解が、μ-カルパインを過剰発現するINS-1細胞の刺激に際して増加された(図1K、1Lおよび1O)。これらのデータは、結果的にμ-カルパインが、刺激に際してICA512-TMF細胞質ドメインを切断することを示している。
μ-カルパインは、細胞膜に誘導され(recruited)そしてSGの調節性エクソサイトーシスに直接的に関与している(13、14)Ca2+およびリン脂質により活性化される、細胞質タンパク質である。INS-1細胞において、μ-カルパインは、細胞膜領域にほぼ限局されており(図2A、左パネル)、ICA512についての染色により可視化したところ(図2A、中パネル)そこでSGが豊富に存在していた。スクロース密度勾配上での細胞内フラクションに際して、μ-カルパインの最大のプールは、細胞膜マーカーGlut-2を含有するフラクション中で回収されたが(図2BおよびC)、一方ICA512 および別のSGマーカーであるカルボキシペプチダーゼE(CPE)が豊富になったフラクション中では、わずかなプールのみが検出された。SGエクソサイトーシスの前にまたはそれに引き続いて、ICA512-TMFのμ-カルパイン-媒介性切断が生じるかどうかに直接的に対するため、INS-1細胞を、SGの細胞膜との融合の最後の工程を、シナプトブレビン2/VAMPを切断することにより妨害する(15、16)、Clostridium tetanus毒素の軽鎖で一過性にトランスフェクトさせた。刺激に際して、ICA512-TMF切断(図3A、レーン3)およびインスリン分泌(図3C、レーン2)を、破傷風毒素の活性化型をトランスフェクションすることにより同様に阻害したが、その変異型、すなわちタンパク質分解に関して不活性型のトランスフェクションでは阻害されなかったことから(図3A、レーン4および図3C、レーン3)、SGのエクソサイトーシスおよびICA512-TMFの細胞膜への転移は、後者が切断に対して感受性となるために必要であることが示唆される。
μ-カルパイン-媒介性切断がICA512-TMFの内在化に伴うものであるかどうかを試験するため、INS-1細胞を、緑色蛍光タンパク質(GFP)-タグ化したドミナントネガティブ変異体であるダイナミン1(K44A)またはダイナミン2(K44A)で一過性にトランスフェクトさせた。それらは、クラスリン-媒介性エンドサイトーシスを妨害する(17)。ダイナミン1(K44A)-GFPおよび野生型ダイナミン1-GFPの発現は、休止INS-1細胞におけるICA512-TMFレベルに対して、顕著な作用を有さなかった(図3D)。しかしながら、刺激INS-1細胞において、ダイナミン1-GFPの発現は、非-トランスフェクト細胞と比較して、ICA512-TMFのレベルの増加と相関していたが(図3E、レーン2 vs. 1)、一方、ダイナミン1(K44A)-GFPの発現は、ICA512-TMFのタンパク質分解の増加を引き起こし(図3EおよびF、レーン3)、それがカルペプチンにより濃度依存的に阻害された(図3EおよびF、レーン4-5)。同様の結果は、野生型またはドミナントネガティブ変異体ダイナミン2-GFPでトランスフェクトした刺激INS-1細胞において観察された(図3HおよびI)。対照実験により、Alexa568-標識トランスフェリンが、ダイナミン1-GFPまたはダイナミン2-GFPによりトランスフェクトされていないINS-1細胞中またはトランスフェクトされたINS-1細胞中に内在化されることが示されたが、(図3Gおよび図11、下パネル)、ダイナミン1(K44A)-GFPまたはダイナミン2(K44A)-GFPを発現する細胞中には内在化されなかった(図3Gおよび図11、上パネル)。あわせて考えると、これらの結果は、刺激およびSGエクソサイトーシスの後、ICA512-TMFが細胞膜で切断され、そこでμ-カルパインが誘導され、そしてCa2+レベルの増加により活性化され、一方ICA512-TMFのエンドサイトーシスにより、それが切断されないようにする。
実施例3: ICA512のC-末端の核への標的化
次の実験の組合せにおいて、μ-カルパインにより生成されるICA512の切断された細胞質フラグメント(ICA512-CCF)の運命を、調べた。我々のモノクローナル抗-ICA512抗体は、切断部位の上流に位置する細胞内エピトープに反応するため(データは示さず)、ICA512のC-末端を、GFP(ICA512-GFP)でタグ化し、そしてINS-1細胞中で安定に発現させた(ICA512-GFP INS-1細胞)。ICA512-GFP INS-1細胞からの抽出物に対する抗-GFP抗体または抗-ICA512抗体でのイムノブロットでは、それぞれ135 kDおよび90 kDの予想分子量でのプロ-ICA512-GFPおよびICA512-TMF-GFPの発現が示され(図4AおよびB)、一方、共焦点顕微鏡像および免疫電子顕微鏡像から、ICA512-GFPの大半がインスリンと同じところに位置することが示唆された(図4Cおよび4D)。SG上でのICA512-GFPの豊富化が、スクロース密度勾配上での細胞内分画により、確認された(図4E)。さらに、μ-カルパインをRNA干渉によりノックダウンしたところ、ICA512-TMF-GFPレベルが増加した(図4Fおよび図12)。したがって、GFP-タグ化は、プロ-ICA512のICA512-TMFへの変換にも、SGタグ化および後者のμ-カルパイン-媒介性切断にも、干渉しなかった。
ICA512-GFP INS-1細胞からの細胞質抽出物に対する抗-GFP抗体でのウェスタンブロットは、刺激誘導性のICA512-TMF-GFPのカルペプチン-感受性タンパク質分解を示した(図5A、上パネル、レーン1-3)。驚くべきことに、GFP-反応性タンパク質は、その55 kDのサイズが、ICA512-CCF-GFPに一つの予測されたものに合致するが、刺激細胞の核フラクションにおいて豊富になっていたが、刺激細胞の細胞質フラクションにおいては豊富ではなく、またカルペプチン-感受性であった(図5A、上パネル、レーン4-6)。抗-ICA512モノクローナル抗体が55 kDタンパク質を認識する能力を有さないことから、さらに、ICA512-CCF-GFPによるその特徴が示唆された(図5A、下パネル)。とりわけ、ICA512-CCF-GFPは、165分の累積時間、休止期で維持された細胞の核中には既に存在していた。有望な説明は、この間隔が、エクソサイトーシスを最高値に近く刺激する11 mMグルコースを用いて増殖させた細胞中で連続的に生成されたICA512-CCF-GFPから、核を除去するためには不十分であった、というものである。
共焦点顕微鏡像による光学的切片法は、105分間刺激したINS-1 ICA512-GFP細胞の核におけるGFP-陽性ドットの蓄積を、対応する時間休止条件にて維持した場合と比較して示した。(図5B)。付随して、ICA512-GFPとインスリンの細胞質中での同時局在は減少しており、ほとんどがインスリン含量の消失および刺激細胞におけるICA512-TMF-GFPの内在化を反映している。刺激INS-1細胞におけるICA512-CCF-GFPの核への蓄積は、長時間にわたってICA512-TMF-GFPのタンパク質分解の増加と比例しており(図5CおよびD)、そして20分間の刺激後に既に検出可能であった(図5D)。一方、ICA512-CCFは、標準的な核移入シグナルを含有せず、刺激細胞の核抽出物が、休止細胞の核抽出物よりも少ないGFPしか含有しないため(図5Cおよび図13)、その核内転移は、そのGFPとの融合の結果ではなさそうだった。ICA512-CCFの核内転移がGFPとは関係ないことを確認するため、ICA512を3つのHAエピトープ(ICA512-HA3)を用いてそのC-末端をタグ化し、そしてINS-1細胞中に一過性にトランスフェクトさせた。抗-HA抗体でのウェスタンブロットにより、トランスフェクト細胞におけるICA512-HA3の正しい発現およびプロセッシングを確認したが(図14)、一方、共焦点顕微鏡像により、刺激に際して、これらの細胞の核における抗-HA抗体の反応性が顕著に増加することが示された(図5E)。イムノブロッティングにより、刺激細胞の核においてICA512-HA3が豊富になっていることも確認された(図15)。あわせて、これらのデータは、細胞膜でのSGエクソサイトーシスおよびICA512-TMF切断が、核に対して標的化されるICA512-CCFの生成と共役していることが示された。
実施例4:ICA512-CCFの機能的役割の決定
続いて、ICA512-CCFの役割について検討した。酵母におけるツーハイブリッドスクリーニングにより、ICA512の細胞質ドメインがPIASyに結合し、それによりICA512-CCFがβ-細胞における遺伝子発現を調節する可能性が上昇することが示された。PIASタンパク質は、活性化STATのタンパク質阻害剤として同定され(18)、そしてより最近では、転写因子を含む多数の基質に対してE3-SUMO化活性を有することが示された(19〜21)。ICA512 細胞質ドメインのPIASタンパク質(PIASyおよびPIAS1を含む)との特異的相互作用を、プルダウンアッセイによりin-vitroで確認した(図6A)。具体的には、in-vitro転写および翻訳により作製された、6×ヒスチジン-タグ化、35S-標識ヒトICA512細胞質ドメイン(残基601-979)を、PIASy-GSTまたはPIAS1-GSTと結合させたグルタチオンセファロースビーズ上で回収したが、GST単独と結合させたビーズ上では回収されなかった(図6A)。同様に、35S-標識PIASyは、GST-ICA512(601-979)およびGST-p53(図6B)と特異的に相互作用する。INS-1細胞において、他の細胞型における場合と同様に、PIASyは、核に限定された。核画分におけるICA512-CCFとPIASyとのin vivoでの相互作用は、ICA512-CFPおよびPIASy-YFPにより一過性にコトランスフェクトされたINS-1細胞中でのFRETにより確認された(図6C)。具体的には、フォトブリーチング後のICA512-CFPシグナルの回収は、刺激後、約5倍増加した(図6D)。平行した実験において、ICA512-CCF-CFPと核内タンパク質Ism4-YFPとの間で(図6Dおよび図16)またはIsm4-CFPとPIASy-YFPとの間では(図6D)、休止条件であっても刺激条件であっても、FRETは何も検出されなかった。このことから、ICA512-CCFとPIASyとは、核内で特異的に相互作用することが確認された。
おそらくはPIASyを介して、ICA512-CCFが調節的分泌および遺伝子発現と共役する逆行性シグナルであるかどうかを試験するため、INS-1細胞を、μ-カルパインによりin vitroで生成されたICA512 細胞質フラグメント(ICA512(659-979))にそのC-末端にGFPを融合させたICA512 細胞質フラグメント(ICA512(659-979)-GFP)をコードする構築物で、一過性にトランスフェクトさせた(7および図8)。チロシンホスファターゼ-様ドメインを含むICA512(659-979)は、μ-カルパインによりin vivoで生成されるICA512-CCFと長さが同一であるかまたは密接な模倣物である。共焦点顕微鏡(図7A)およびウェスタンブロット(図7B)による解析により、ICA512(659-979)-GFPのフラクションがトランスフェクトされたINS-1細胞の核内に存在すること、そしてそのレベルが休止細胞および刺激細胞のあいだで匹敵することが示された(図7B、レーン1-2)。定量的リアルタイムPCRにより測定されたインスリンmRNAは、ICA512-GFPまたはICA512(659-979)-GFPで一過性にトランスフェクトさせた休止INS-1細胞において、それぞれ32%および93%増加した。一方、GFP単独の発現は、インスリンmRNAレベルに対して実質的に何の効果も有さなかった(図7C)。ICA512-GFPの過剰発現、およびそれによるICA512-CCF-GFPレベルの増加は、休止ICA512-GFP細胞中に既に存在するインスリンmRNAの増加の原因となりうる。刺激により、ICA512-GFP発現細胞におけるインスリンmRNAレベルはさらに42%増加したが、一方ICA512(659-979)-GFPを発現する細胞においては、その様な増加は60%に限定された。これらの結果は、刺激により、ICA512-CCF-GFPレベルが増加するが、ICA512(659-979)-GFPレベルは増加しないという事実と一致する。さらに、ICA512(659-979)-GFPの発現の増加とインスリンmRNAレベルの亢進とのあいだで相関関係があった(図7D)。したがって、μ-カルパインのノックダウンにより、インスリンmRNAが減少する(図7E)。同様に、カルペプチンは、刺激細胞におけるインスリンmRNAに対して、不利な作用を有する(図7F)。これらの実験において、細胞を、休止条件または刺激条件で6時間まで、40μMカルペプチンを含むかまたは含まずに維持し、その後、24時間まで休止条件または培地に戻した。刺激期間の6時間後に、最大レベルのインスリンmRNAが、2時間存在する。しかしながら、カルペプチン-処理細胞において、インスリンmRNAは、この時点でも、カルペプチンの非存在下で刺激された細胞と比較された後の時点においても、約40%減少する。この減少の程度は、ICA512-TMF切断のカルペプチン-媒介性阻害の程度と十分に相関している(図1B)。あわせて、これらのデータから、核における転移に際して、ICA512-CCFがPIASyに結合し、そしてインスリンmRNAレベルを亢進制御することが示される。
上述の説明およびデータにより、ニューロペプチドと結合する膜貫通タンパク質、および特にインスリンSGと結合する膜貫通タンパク質、の切断を介して、調節性エクソサイトーシスおよび遺伝子発現と直接的に関連する新規の逆行性経路を同定した。以前の研究から、インスリンそれ自体が、β-細胞上のインスリン受容体に対する活性化を介してオートクラインシグナルとして機能しうることが示唆された(22)。しかしながら、さらなる解析から、インスリン受容体が、膵島発生およびインスリンの分泌を調節すること(23)、しかしながらインスリンの発現を調節しないこと(23、24)が示された。ICA512と同様に、Notchやアルツハイマー病アミロイド前駆体タンパク質などの受容体タンパク質は、細胞膜でタンパク質分解的に切断され、その後遺伝子発現の制御のため、核に対して標的化される(25)。しかしながら、その切断が、時間的および空間的に、SGの細胞膜との融合に直接的に共役しているため、ICA512の場合は独特である。さらに、その様な切断は、膜貫通ドメインではなく細胞質尾部で生じ、そしてg-セクレターゼではなくμ-カルパインにより媒介される。
一方、出願人はいずれの科学的理論によっても縛られることを望まないが、SGエクソサイトーシスに際するICA512 の切断およびその細胞質尾部の核への転移により、刺激に反応していくつのSGがエクソサイトーシスを行うか、そしてインスリンの発現およびおそらくは調節性分泌に関与する他の遺伝子の発現をどのようにして迅速に調整するか、β-細胞を定量的にモニタリングすることが可能になる、という機構的モデルを提示する。ICA512が神経内分泌細胞において幅広く発現しているため、本明細書中で記載する態様を生じ、そして説明のみの目的で(しかしながらそれ以上は依存しない)その様な機構を考慮する、本発明の新規の知見およびことは、ペプチドホルモン およびニューロペプチド分泌に対する一般的な関与であろう。
実施例5:ICA512はβ-細胞中でSTATの制御因子として作用する
さらなる実験において、ICA512が遺伝子発現を制御するメカニズムを研究した。最初に、PIASyとの相互作用に関与するICA512のドメインをマッピングした。図17に示されるように、PTPドメインがPIASyとの結合に必要とされる。さらに、ICA512がPIASyによりSUMO化されること(図18を参照)、そしてICA512の発現がSUMO経路により調節されること(図19)が示された。最終的には、ICA512-CCFの過剰発現により、核内のSTAT5bレベルおよびSTAT3レベルが亢進され(図20)、そして成長ホルモンによる刺激に反応してSTAT5bのチロシンリン酸化が亢進される(図21)ことが見いだされた。図20のデータによりさらに、ICA512-CCFの過剰発現によりSTAT5のγ-活性化配列-様DNAエレメント(GLE)への結合が亢進されることも示される。
まとめると、これらのデータは、ICA512が、β-細胞の分泌活性と関連するSTATシグナル伝達を亢進し、それによりインスリン遺伝子発現とβ-細胞増殖とを促進する因子として作用することが証明される。
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実施例6:ICA512はそれ自体の遺伝子転写を亢進する
ICA512が関与する逆行性経路がインスリン以外のSG構成要素の発現に影響を与えるかどうかを確認するため、我々は、ICA512それ自体の発現を解析した。以前に示されたように(6)、ラットインスリノーマINS-1細胞を2時間刺激すると、休止条件で維持した細胞と比較して、プロ-ICA512の発現が上昇する。一方、カルパイン-1によるその切断のため、それは、ICA512-TMFレベルを減少させる(図22a)。この迅速な上昇は、SGタンパク質をコードするmRNAを安定化させそしてその翻訳を亢進する(16)ポリピリミジン管-結合タンパク質の核-細胞質転移を含む、グルコース-活性化転写後メカニズムにより説明される。したがって、転写を阻害するアクチノマイシンDによる処理(8)またはカルパインによるICA512-TMF切断を阻害するカルペプチンによる処理(図22a)は、2時間刺激した細胞中のプロ-ICA512の迅速な誘導を阻害しなかった。その代わり、カルペプチンは、プロ-ICA512のより大きな誘導を部分的に阻害し、そして6時間刺激した細胞中でのICA512-TMFを減少させる(図22a)。これらの条件下でのICA512 のターンオーバーの減少は、細胞外ドメインにおけるN-糖鎖の進行性の成熟に由来する、110 kDおよび130 kDのプロ-ICA512分子種の蓄積を説明する(6)。ICA512がそれ自身の発現をICA512-CCFを介して亢進することの直接的な証拠は、ICA512-CCF-GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞において、GFP単独を発現する細胞と比較して、ICA512 mRNAレベル(図22b)およびプロ-ICA512レベル(図22cおよびd)が、それぞれ81%および40%増加した、ということが見いだされたことである。プロ-ICA512タンパク質と比較してICA512 mRNAの増加が多くなることは、後者がICA512-TMFへと迅速に変換されることにより説明することができ、それらのレベルは、実際にICA512-CCF-GFPにより増加した(図22c)。さらに、3H-ウリジンの全取り込みは、ICA512-CCF-GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞において、GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞と比較して、270%にまで増大した(図22e)。これは、アクチノマイシンDにより消失した作用である。あわせると、これらのデータから、ICA512-CCFが、インスリンの遺伝子転写に加えて、それ自体の遺伝子転写も促進することが示される(38)。
実施例7:ICA512は、STAT5の核内蓄積を誘導する
核内において、ICA512-CCFは、活性化STAT-yのタンパク質阻害剤(Protein Inhibitor of Activated STATy;PIASy)と結合する(38)。シグナル伝達物質および転写アクチベーター(Signal Transducers and Acitivators of Transcription;STAT)は、サイトカインおよび成長ホルモン受容体の活性化に反応し、Janusキナーゼによりチロシンリン酸化される(41)。チロシンリン酸化されたSTAT(PY-STAT)は二量体を形成し、そして核内に移動し、そこでそれらは直接的にまたは多量体の転写複合体の一部として他の因子と共に、DNAに結合する。ヒトゲノムによりコードされる7種類のSTATの中で、STAT5a/bおよびSTAT3は、細胞中で最も関連している(42、43)。妊娠中の成長ホルモン、プロラクチン、または胎盤性ラクトジェンによるSTAT5a/bの活性化により、インスリンの発現およびグルコーストランスポーター-2、グルコキナーゼ、およびサイクリンD2を含むその他の中心的なβ-細胞分子の発現が亢進され(44、45)、そしてβ-細胞増殖が上昇する(45)。したがって、我々は、ICA512がSTAT活性を調節するかどうかを調べた。INS-1細胞におけるICA512-CCF-GFPの発現が、核内でのSTAT5bおよびSTAT3の濃度依存的な増加を引き起こした(図23aおよびb)。核内におけるSTAT3の選択的濃縮(図30を参照)およびSTAT5bの選択的濃縮(示さず)もまた、INS-1細胞と比較してICA512を過剰発現する、安定なICA512-GFP INS-1細胞から明らかである(38)。これらの知見は、ICA512ノックアウトマウス(-/-)および対照同腹子(+/+)から単離された膵島の解析により裏付けられた(図23c)。STAT5bは、ICA512(+/+)の膵島を、hGHに曝露したことに加えて、SGエクソサイトーシスおよびICA512-CCFの生成を誘導するグルコースで同時刺激した場合(38)、核内においてより濃縮された。驚くべきことに、hGHとグルコースとの間のその様な相乗作用は、ICA512(-/-)膵島においては存在しなかった。ICA512(-/-)膵島において、核内STAT5bは、ICA512(+/+)膵島と比較して、約56%まで減少し(図23d)、一方核内STAT5b量対全体STAT5b量の比は、約45%から約29%まで減少した(図23e)。
実施例8:ICA512は、PY-STAT5レベルを亢進する
次に、PTPドメインがチロシンホスファターゼ活性を欠損している(38)ICA512-CCFが、STAT5bのチロシンリン酸化に影響を与えることができるかどうか、そしてその結果、その核標的化に影響を与えることができるかどうか、我々は調べた。PY-STAT5の検出を向上させるため、GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞およびICA512-CCF-GFPによりトランスフェクトされたINS-1細胞を、hGHで20分間インキュベートし、その後回収前に成長因子にさらに曝露されることを回避するため、血清不含培養液に戻した。核STAT5bおよび核PY-STAT5は、GFP INS-1細胞と比較して、ICA512-CCF-GFP INS-1細胞において明らかに増加したが、全STAT5bは増加しなかった(図24a)。驚くべきことに、アラニン877およびアスパラギン911がそれぞれアスパラギンとアラニンに置換されているICA512-CCFホスファターゼ活性変異体(ICA512-CCF(AD/DA)-GFP)(4)(図29を参照)が、ICA512-CCF-GFPよりも、核内での存在量がかなり少なかった(図24bおよびc)。対応して、STAT5bの核内レベル(図24c)およびPY-STAT5の核内レベル(図24dおよびe)が、ICA512-CCF-GFP INS-1細胞と比較して、ICA512-CCF(AD/DA)-GFP INS-1細胞において大幅に減少した。これらのデータは、ICA512-CCFがSTAT5bと結合し、そしてその“不活性な”PTPドメインがPY-STAT5のチロシン脱リン酸化を阻害しているという可能性をもたらした。この仮説と一致して、STAT5bおよびPY-STAT5が、ICA512-CCF-GFPとは同時免疫沈降(共沈)したが、GFPとは同時免疫沈降しなかった(図24f)。hGH-刺激細胞の抽出物全体からICA512-CCF-GFPによりSTAT5bを回収することから、その一過性細胞質起源を排除することができたとしても、2種類のタンパク質を含む複合体が実質的に核に限局していることがさらに示されたが、細胞質抽出物から回収してもそれは示されなかった。あわせて、これらのデータから、ICA512-CCFが、PY-STAT5の核内保持を促進することが示される。
実施例9:ICA512は、STAT5B活性を上昇させる
次に、我々は、ICA512-CCFが、PY-STAT5bと同様に、クロマチンと結合しているかどうかを調べた。この目的のため、抗-GFP抗体または対照IgGを、安定なGFP- INS-1細胞またはICA512-CCF-GFP INS-1細胞に由来する抽出物を使用する、クロマチン-免疫沈降アッセイのために使用した。PCR(図25a)およびリアルタイムPCR(図25b)による解析により、STAT5b(46)と結合する、ラットインスリン1遺伝子プロモータのγ-インターフェロン活性化配列-様要素(Gamma-Interferon Activated Sequence-like Element;GLE)を、抗-GFP抗体を用いて同時免疫沈降(共沈)したが、対照IgGでは免疫沈降されず、そしてICA512-CCF-GFP INS-1細胞からのみ免疫沈降されることが、示された。次に、増加量のICA512-CCF-GFPを発現するINS-1細胞の核抽出物を、ラットインスリン1のGLEを含むビオチニル化オリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。電気泳動移動度シフトアッセイは、ICA512-CCF-GFPレベルの上昇と、ある因子、おそらくはSTAT5bの、オリゴヌクレオチドへの結合の亢進との間で、正の相関を示した(図25cおよび4d)。この結合の特異性は、対応する非-ビオチニル化オリゴヌクレオチドを用いた競合的阻害により確認された。ICA512-CCFがSTAT5の転写活性を増加させるかどうかを直接的に試験するため、INS-1細胞に、GFPまたはICA512-CCF-GFPのいずれかと、8GLEを有するウシβ-カゼインプロモータにより駆動されるホタルルシフェラーゼ(8GLE-CAS-FL)とを、コトランスフェクトした(図25e)。hGHでの刺激後、ICA512-CCF-GFP/8GLE-CAS-FL INS-1細胞が、GFP/8GLE-CAS-FL INS-1細胞と比較して、>500%のルシフェラーゼ活性を示した。予想されたように、PIASyは、この活性を減少させたが、しかしながら、ICA512-CCF-GFPにより部分的に回復された(図25e)。これらのデータは、ICA512-CCFがSTAT5転写活性を亢進する一方、PIASyがこの亢進を阻害することを、結果的に示す。
実施例10:PIASyはICA512をSUMO化する
PIASyとICA512-CCFとの関係に関する知見を得るため、我々は次に、PIASyに結合するICA512のドメインをマッピングした。この目的のため、GSTと融合させたICA512細胞質ドメインの部分を、細菌中で発現させ(図31を参照)、そしてin-vitroで転写されそして翻訳された[35S]-PIASyとのその相互作用についてプルダウンアッセイにより試験した。(図26a)。PTPドメインのみを含有するGST-ICA512(700-979)は、[35S]-PIASyだけでなくICA512細胞質ドメイン全体をカバーするGST-ICA512(601-979)にも結合した。[35S]-PIASyは、その代わり、PTPドメインの最初の100残基を欠損するGST-ICA512(800-979)に対しては結合しなかった。このことから、この領域は、2つのタンパク質の会合のために必要とされることが示された(図26a)。PTPドメインの検討から、リジン754(Lys754)がSUMO化のためのコンセンサス部位(ΨKXE)内部に存在することが示された(47)(図29を参照)。したがって、我々は、ICA512がE3 SUMO-リガーゼである(48)PIASyによりSUMO化され得るかどうかを調べた。この可能性をサポートするのは、in-vitroで転写されそして翻訳された[35S]-ICA512細胞質ドメインが、[35S]-p53と同様に、マルトース結合タンパク質と融合させたE2 SUMO-複合化酵素Ubc9に対して結合する能力であった(図26b)。SUMO化タンパク質は、p53と同様に、実際に、E2 SUMO-複合化酵素とE3 SUMO-リガーゼとの両方ともと相互作用することが示された(49)。In-vitro SUMO化アッセイにより、PIASyとともにインキュベーションすると、86 kDと105 kDの2つのGST-ICA512種が出現することが示された。70 kDタンパク質として移動するGST-ICA512(601-979)と比較して、これらのペプチドの移動度がよりゆっくりであることは、1または2のSUMO-1ペプチドがそれぞれに付加されていることと一致していた(図26c)。次いで、INS-1細胞中のICA512のSUMO化を、ICA512-GFPおよびHA-タグ化SUMO-1のコトランスフェクションにより評価し、その後抗-GFP抗体で免疫沈降し、そしてGFP(図32を参照)およびHA-エピトープ(図26d)に関してウェスタンブロットを行った。HA-SUMO-1-トランスフェクト細胞中で、ICA512-CCF-GFP単独を発現する細胞と比較して、HAに対して反応性のさらに2つのICA512-CCF-GFP種を検出することにより、ICA512-CCFがSUMO化されることが結果的に証明された。ICA512がLys754でSUMO化されるかどうかを明らかにするため、INS-1細胞に、HA-SUMO-1とLys754をアラニンに置換したICA512-CCF-GFP構築物(ICA512-CCF(K/A754)-GFP)とでコトランスフェクションした(図26d)。ICA512-CCF(K/A754)-GFPが、ICA512-CCF-GFPとは異なり、2種のSUMO化種ではなく、1つのSUMO化種にのみ由来する可能性があるという証拠から、Lys754がSUMO化されていることが確認された。さらには、この結果は、場所はまだ特定されていないが、第二のSUMO化部位の存在を指摘した。興味深いことに、Lys754は、PTPのそれらの基質との相互作用のために重要なリン酸化チロシン認識モチーフに隣接している(50)(図29を参照)。したがって、魅力的な可能性は、SUMO化がICA512-CCFとSTAT5bとの関係を調節しているというものである。この仮説をサポートするのは、STAT5bと結合するICA512-CCF(K/A754)-GFP(図33を参照)が、その転写活性を、ICA512-CCF-GFPよりも、亢進しない、という証拠である(図25e)。
最終的に、我々は、PIASy-GFPの過剰発現により、ICA512 mRNA(図27a)およびタンパク質(図27b)のレベルが減少し、その結果ICA512の遺伝子発現が、インスリンと同様に、STAT5bにより誘導されるという可能性が生じることを見いだした。この仮説と一致して、INS-1細胞における短い干渉RNA(siRNA)オリゴヌクレオチドでのSTAT5bのノックダウン(図27c)により、プロ-ICA512とICA512-TMFのレベルが、対照スクランブル化siRNAオリゴでトランスフェクトした細胞と比較して〜50%減少した(図27dおよびe)。一方、STAT3の発現またはγ-チューブリンの発現は、変化しなかった。その代わり、トランスフェクトしたホタルルシフェラーゼのノックダウンは、STAT5bの発現およびプロ-ICA512の発現を変化させなかった(図34を参照)。これらのデータから、ICA512が、インスリンだけでなく、それ自身の発現も亢進制御することが示され(図22)、そしておそらくはSTAT5b活性が上昇することによりその他のSG構成要素の発現が亢進調節されることが示される。
実施例11:ICA512は、β-細胞の複製のために必要である
STAT5は、β-細胞遺伝子発現だけでなく、β-細胞増殖も促進することが知られている。したがって、ICA512もまた、β-細胞の複製のために必要とされると考えることができる。この仮説を試験するため、ICA512を欠損するマウスと野生型同腹子を、部分膵臓切除し、そしてブロモデオキシウリジン(BrdU)を腹腔内に注入した。この目的のため、30匹の野生型c57/bl6マウスを、2群に分割した。1群には、ほぼ全体的な膵臓切除を行い、もう一方の群は、脾臓のみを除去することにより行うシャムオペレーションであった。部分膵臓切除に関して、膵臓の尾部を、横行結腸、胃から、そして後腹膜策状体から、腸間膜根部まで移動させた。胆管をそのままにしておく限りで、膵臓頭部を、十二指腸から分離した。手術の最後に、すべての動物に、ブロモデオキシウリジン(BrdU)を7日間にわたって連続的に放出する小型の浸透性ポンプ(Alzet(商標))を与えた。
手術後1週間後、動物を犠死せしめ、そして残りの膵臓を取り出した。この組織をパラフィン包埋し、連続切片作成およびインスリン、DAPIおよびBrdUについて蛍光染色した。BrdU-陽性の(すなわち、新規に構築された)β-細胞の比率を計算し、そしてグループ間で統計的に比較した。
膵臓の部分切除(80%)は、残っている膵島における膵臓β-細胞の再生を促進することが、以前から知られていた。BrdUは、細胞がそれらのゲノムDNAを複製する場合、核酸中に取り込まれる。したがって、BrdUに対する抗体を使用して、BrdU注入後に細胞分裂により生成された細胞を標識することができる。図35の左パネルに関して、部分膵臓切除したマウスからの膵臓組織に対する免疫蛍光が示される。この画像の中心部に、球状の膵島を見ることができる。緑色は、BrdUを取り込んだ新たに生成された細胞を標識し、赤色は、膵島β-細胞がインスリンについて免疫標識し、一方ですべての細胞核がDAPIで青色に染色されたことを示す。多数の同様な画像が回収され、一つはシャム手術または部分膵臓切除を受けた野生型およびICA512 ノックアウトマウスからのものである。次に我々は、インスリン陽性細胞に関する膵島において、顕微鏡により、BrdU陽性細胞の数をカウントした。これらの定量的データは、右パネルにおいて示される。部分膵臓切除を受けたICA512ノックアウトマウスにおいて、新たに再生したβ-細胞の数が対応する野生型同腹子と比較して統計的に有意に減少したことを、観察できる。したがって、これらのデータは、おそらくはSTAT5活性を亢進することにより、ICA512が膵臓β-細胞の複製を促進することを示すものである。
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図1は、ICA512細胞質ドメインは、β-細胞の刺激に反応して、μ-カルパインにより切断されることを示す。 図2は、μ-カルパインは、細胞膜で濃縮されることを示す。 図3は、ICA512は、細胞膜で、μ-カルパインにより切断されることを示す。 図4は、ICA512-GFPは、正しく処理され、そしてSGに対して標的化されることを示す。 図5は、ICA512-CCFは、刺激に際して、核へと転移されることを示す。 図6は、ICA512-CCFは、核中で、PIASyに結合することを示す。 図7は、ICA512(659-979)-GFPのフラクションがトランスフェクトされたINS-1細胞の核内に存在すること、そしてそのレベルが休止細胞および刺激細胞のあいだで匹敵することを示す。 図8は、μ-カルパインおよび30μMカルペプチンまたはMG-132を含むかまたは含まない50μM Ca2+含有バッファー中で、室温にて指定された時間インキュベートされた細菌により発現されたICA512(601-979)をロードした、10%SDS-ポリアクリルアミドゲルのクマシーブルー染色像を示す。 図9は、μ-カルパイン-V5をコードする指定濃度の構築物でトランスフェクトされ、休止バッファー中で60分間の後、カルペプチンを含むかまたは含まない、休止バッファー(0 mM グルコース、5 mM KCl)または刺激バッファー(25 mM グルコース、55 mM KCl)により105分間インキュベートされたINS-1細胞に由来する40μgタンパク質抽出物に対するICA512(上パネル)、μ-カルパイン-V5(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロットを示す。 図10は、スクランブル化siRNAオリゴ1+2、3、1または2または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1+2、3、1または2でトランスフェクトされたINS-1細胞から抽出された40μgタンパク質抽出物に対する、μ-カルパイン(上パネル)、ICA512(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロットを示す。 図11は、スクランブル化siRNAオリゴ1+2または3+4または抗-μ-カルパインsiRNAオリゴ1+2または3+4でトランスフェクトさせたICA512 INS-1細胞に由来する30μgタンパク質抽出物に対する、μ-カルパイン(上パネル)、GFP(中パネル)およびγ-チューブリン(下パネル)についてのウェスタンブロット。 図12は、ダイナミン2(K44A)-GFP(上)またはダイナミン2-GFP(下)で一過性にトランスフェクトさせ、そしてAlexa568と複合体を形成させたヒトトランスフェリン(Tfn-Alexa568)とともにインキュベートした、INS-1細胞の蛍光顕微鏡像を示す。 図13は、GFPでトランスフェクトし、図S2の場合と同様に、カルペプチンを含むかまたは含まない休止条件または刺激条件下でインキュベートした、INS-1細胞から抽出した50μg 細胞質タンパク質および25μg核内タンパク質に対する、抗-GFP抗体(上)または抗-γ-チューブリン抗体(下)でのウェスタンブロットを示す。 図14は、MoHa3ベクターまたはICA512-HA3でトランスフェクトしたINS-1細胞から抽出した40μgタンパク質抽出物に対する、マウス抗-HA 抗体でのウェスタンブロットを示す。 図15は、ICA512-HA3で一過性にトランスフェクトさせ、そして図S2と同様に休止または刺激させたINS-1細胞から抽出した14μg 細胞質タンパク質抽出物および7μg 核内タンパク質抽出物に対する、マウス抗-HA 抗体でのウェスタンブロットを示す。 図16は、図S2と同様に休止条件(上)または刺激条件(下)においてインキュベートした、一過性にコトランスフェクションしたINS-1細胞におけるICA512-CFP(疑似シアン色)とIsm4-YFP(疑似緑色)の間のFRETがないことを示す。 図17は、ICA512は、E2-SUMOリガーゼUbc9に結合し、そしてそのPTPドメインは、PIASyとの相互作用に必要であることを示す。 図18は、ICA512は、in vitroおよびin vivoにて、SUMO化されることを示す。 図19は、ICA512発現は、SUMO1およびPIASyに感受性であることを示す。 図20は、ICA512-CCFの過剰発現により、核内のSTAT5bレベルおよびSTAT3レベルが亢進されること、そしてICA512-CCFの過剰発現によりSTAT5のγ-活性化配列-様DNAエレメント(GLE)への結合が亢進されることを示す。 図21は、ICA512は、成長ホルモン誘導性のSTAT5bリン酸化を増加させることを示す。 図22は、ICA512は、それ自身の転写および一般的な遺伝子発現を亢進することを示す。 図23は、ICA512-CCFは、STAT5の核内レベルを亢進することを示す。 図24は、ICA512-CCFは、PY-STAT5の核内レベルを亢進させ、そしてそれに結合することを示す。 図25は、ICA512-CCFが、インスリン遺伝子と関連し、それがSTAT5の転写活性を亢進し、そして転写のPIASy阻害を減弱することを示す。 図26は、ICA512を、PIASyによりSUMO化することを示す。 図27は、STAT5bは、ICA512発現を促進することを示す。 図28は、ICA512およびSTAT5bによるβ-細胞遺伝子発現の相乗的制御を示す。 図29は、ラットおよびヒトICA512のPTPドメインと、原型のタンパク質チロシンホスファターゼであるヒトPTP1BのPTPドメインとのアラインメントを示す。 図30は、INS-1細胞および安定なICA512-GFP INS-1細胞由来の細胞質抽出物および核抽出物に対する、STAT3およびγ-チューブリンについてのウェスタンブロットを示す。 図31は、細菌中で発現され、そしてin-vitroで転写-翻訳される[35S]-PIASyでのプルダウンアッセイのための入力として使用されるGST構築物およびGST-ICA512構築物の、SDS-PAGEによる分離後のクマシーブルー染色を示す。 図32は、SUMO-1でコトランスフェクトされた(+)またはされていない(-)ICA512-CCF-GFP INS-1細胞の抽出物全体からの、抗-GFP抗体での免疫沈降物に対する、GFPについてのウェスタンブロットを示す。 図33は、ICA512-CCF-GFP INS-1トランスフェクト細胞またはICA512-CCF(K/A754)-GFP INS-1トランスフェクト細胞の抽出物全体からの、抗-GFP 抗体での免疫沈降物に対する、STAT5bについてのウェスタンブロットを示す。 図34は、トランスフェクトしたホタルルシフェラーゼのノックダウンは、STAT5bの発現およびプロ-ICA512の発現を変化させないことを示す。 図35は、STAT5活性を亢進することにより、ICA512が膵臓β-細胞の複製を促進することを示す。

Claims (28)

  1. ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおいて、以下のもの:
    (aa)(i)ICA512の存在または活性;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型(pro-form)の存在または活性;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;
    を促進する工程を含む、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおけるペプチドホルモンの発現を刺激する方法。
  2. ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおいて、以下のもの:
    (aa)(i)ICA512の存在または活性;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか1つの前駆型の存在または活性;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;
    を促進する工程を含む、ペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進する方法。
  3. PIASタンパク質が、PIASy、PIAS1、PIAS3、PIASxαまたはPIASxβである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 促進が、外来性で導入したベクターからの、
    前記(aa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;
    の一過性発現または安定な発現を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 促進が、前記細胞またはニューロン中に、
    (aa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;
    を導入することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 促進が、
    (aa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;
    の細胞またはニューロン中での分解を減少させるかまたは安定性を向上させることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ICA512のC-末端フラグメントが、成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記内分泌細胞が、膵臓β-細胞である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記促進が、グルコース、GLP-1またはカルシウムによりもたらされる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記分泌顆粒中に含有されるペプチドホルモンまたはニューロペプチドが、インスリン、アミリン、または以下のもの:
    ADM前駆体、アグーチスイッチタンパク質前駆体、アグーチ-関連タンパク質前駆体、アペリン前駆体、心房性ナトリウム利尿因子、β-ネオエンドルフィン-ダイノルフィン前駆体、脳ナトリウム利尿ペプチド前駆体、カルシトニン遺伝子-関連ペプチドI前駆体、カルシトニン遺伝子-関連ペプチドIl前駆体、カルシトニン前駆体、コレシストキニン前駆体、クロモグラニンA前駆体、コカイン-調節型転写物およびアンフェタミン-調節型転写物タンパク質前駆体、コルチコリベリン前駆体、コルチコトロピン-リポトロピン前駆体、コルチスタチン前駆体、FMRFアミド-関連ペプチド前駆体、FMRFアミド-関連ペプチド前駆体、フォリスタチン前駆体、フォリトロピンβ鎖前駆体、ガラニン前駆体、ガラニン-様ペプチド前駆体、胃抑制ポリペプチド前駆体、ガストリン前駆体、ガストリン-放出ペプチド前駆体、グレリン前駆体、グルカゴン前駆体、糖タンパク質ホルモンα鎖前駆体、成長ホルモン変異体前駆体、インスリン前駆体、インスリン-様成長因子結合タンパク質3前駆体、インスリン-様ペプチドINSL6前駆体、膵島アミロイドポリペプチド前駆体、ライディッヒインスリン-様ペプチド前駆体、形態形成ニューロペプチド、モチリン前駆体、ニューレキソフィリン2前駆体、ニューレキソフィリン3前駆体、ニューレキソフィリン4前駆体、神経内分泌タンパク質7B2前駆体、ニューロキニンB前駆体、ニューロメジンB-32前駆体、ニューロメジンU-25前駆体、ニューロペプチドB前駆体、ニューロペプチドW前駆体、ニューロペプチドY前駆体、ニューロテンシン前駆体、ノシセプチン前駆体、オレキシン前駆体、オキシトシン-ニューロフィジン1前駆体、膵臓ホルモン前駆体、副甲状腺ホルモン前駆体、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質前駆体、ペプチドYY前駆体、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド前駆体、プロエンケファリンA前駆体、プロゴナドリベリンI前駆体、プロゴナドリベリンII前駆体、プロキネチシン2前駆体、プロラクチン前駆体、プロ-MCH前駆体、プロリラキシンH1前駆体、プロタキキニン1前駆体、タンパク質-チロシンホスファターゼ-様N前駆体、受容体型タンパク質-チロシンホスファターゼN2前駆体、調節型内分泌特異的タンパク質18前駆体、レジスチン前駆体、レジスチン-様β前駆体、セクレチン前駆体、セクレトリグラニンI前駆体、セクレトリグラニンII前駆体、セクレトリグラニンIII前駆体、ソマトリベリン前駆体、ソマトスタチン前駆体、ソマトトロピン前駆体、スタニオカルシン1前駆体、スタニオカルシン2前駆体、ウロコルチンII前駆体、ウロコルチン前駆体、血管作動性ペプチド前駆体、バソプレッシン-ニューロフィジン2-コペプチン前駆体
    の一つに由来するペプチドホルモンまたはニューロペプチドである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記β-細胞中での
    (aa)(i)ICA512の存在または活性;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体の存在または活性;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメントの存在または活性;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体の存在または活性;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型の存在または活性;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体の存在または活性;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体の存在または活性;
    を促進する工程を含む、膵臓β-細胞におけるインスリンの発現を刺激することを含む、1型糖尿病または2型糖尿病を治療または予防する方法。
  12. (aa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有するICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、チロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じうる、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vii)(i)〜(vi)のいずれか一つの前駆型;そして
    (ab)所望によっては、μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (b)核に対して標的化する能力を有するか、または前記細胞またはニューロン中のPIASタンパク質と相互作用する能力または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;
    の、1型糖尿病または2型糖尿病を治療しまたは予防するための医薬組成物を調製するための使用。
  13. 前記PIASタンパク質が、PIASy、PIAS1、PIAS3、PIASxαまたはPIASxβである、請求項12に記載の使用。
  14. (a)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aaa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)(i)〜(v)のいずれか一つの前駆型;そして
    (aab)μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (ab)PIASタンパク質と相互作用する能力および/または核に対して標的化する能力を有するかまたは前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;そして
    (ac)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;
    を発現する試験細胞における前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下におけるより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン中のペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤をスクリーニングする方法。
  15. (a)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aaa)(i)ICA512;または
    (ii)ICA512機能を有するその誘導体;または
    (iii)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントを生じ得る、ICA512のフラグメント;または
    (iv)μ-カルパインにより切断されて、核に対して標的化する能力を有し、そして前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するか、および/または前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、前記ICA512のC-末端フラグメントの誘導体を生じ得る、前記(iii)のフラグメントの誘導体;または
    (v)μ-カルパインにより切断されて、前記細胞またはニューロン中でPIASタンパク質と相互作用する能力を有するICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体を生じ得る、ICA512のフラグメントまたは誘導体;または
    (vi)(i)〜(v)のいずれか一つの前駆型;そして
    (aab)μ-カルパイン、またはμ-カルパイン機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;または
    (ab)PIASタンパク質と相互作用する能力および/または核に対して標的化する能力を有するかまたは前記細胞またはニューロン中のSTATの核内レベル、またはチロシンリン酸化、またはDNA結合活性を亢進させる能力を有する、ICA512のC-末端フラグメントまたはその誘導体;そして
    (ac)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;
    の、試験細胞における前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下におけるより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができる薬剤をスクリーニングする方法。
  16. (a)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aa)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (ab)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する試験細胞において、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン中においてペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法。
  17. (a)試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aa)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (ab)好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなる、ICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する試験細胞において、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、細胞増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進することができる薬剤についてスクリーニングする方法。
  18. (a)前記プロモータの誘導に際して、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aa)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (ab)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する非ヒトトランスジェニック動物において、誘導可能なプロモータの制御下、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロン中のペプチドホルモンの発現を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法。
  19. (a)前記プロモータの誘導に際して、試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (aa)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (ab)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する非ヒトトランスジェニック動物において、誘導可能なプロモータの制御下、前記ペプチドホルモンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、ペプチドホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンにおけるペプチドホルモンの細胞増殖を促進することができる薬剤についてスクリーニングする方法。
  20. 前記試験細胞が、ホルモン-分泌性の内分泌細胞またはニューロンである、請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記内分泌細胞が、膵臓β-細胞である、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記分泌顆粒中に含有される分泌性ペプチドが、インスリンである、請求項21に記載の方法。
  23. 試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する試験細胞において、インスリンの発現を評価する工程〔ここで、試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、インスリン発現の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、膵臓β-細胞におけるインスリンの発現を刺激することができる薬剤についてスクリーニングする方法。
  24. 試験化合物の存在下および所望によってはその非存在下において、
    (a)PIASタンパク質またはPIAS機能を有するそのフラグメントまたは誘導体;および/または
    (b)ICA512のC-末端フラグメント、好ましくは成熟型ICA512のアミノ酸659〜979からなるICA512のC-末端フラグメント;
    を発現する試験細胞におけるインスリンの発現を評価する工程〔試験化合物の存在下でのより高いレベルの発現が、細胞増殖の刺激因子として機能する能力の指標である〕、
    を含む、膵臓β-細胞の細胞増殖を促進することができる薬剤についてのスクリーニング方法。
  25. 前記化合物が、化合物ライブラリの構成物質である、請求項14〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記化合物ライブラリが、低分子ライブラリ、ペプチドライブラリ、抗体または抗体誘導体ライブラリである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記誘導体が、模倣薬〔好ましくはペプチド模倣薬〕、ペプチドアプタマー、またはアンチカリンである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法または使用。
  28. 動物モデルにおいて、前記ペプチドホルモンの発現を刺激するかまたはペプチドホルモン分泌性の内分泌細胞またはニューロンの細胞増殖を促進する能力を有するものとして評価される化合物の効率を試験することをさらに含む、請求項14〜27のいずれか1項に記載の方法。
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