JP2021158940A - アポトーシスの阻害剤及びhap1を発現する非ヒト哺乳動物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アポトーシスの抑制剤を提供すること、および、生体内の特定の細胞でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物を提供すること。【解決手段】ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドを有効成分とする、アポトーシスの阻害剤を作製する。HAP1をコードするポリヌクレオチドは、特定の塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有する。アポトーシスが、ユビキチン化タンパク質の蓄積に起因するアポトーシスであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドを有効成分とする、アポトーシスの阻害剤や、神経伝達物質を発現する細胞内でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物や、前記非ヒト哺乳動物の作製方法に関する。
脳では遺伝的背景や細胞ストレスが原因となり、加えて老化の進行と共に領域特異的なアポトーシスや神経変性が引き起こされ、その結果、神経変性疾患を引き起こすことが知られている。このアポトーシスには、ユビキチン−プロテアソーム系が関与しているといわれている。かかるユビキチン−プロテアソーム系は、多数のユビキチンが結合したタンパク質を分解することができる。具体的には、異常タンパク質が多数のユビキチンによって標識され、かかるユビキチンの鎖が26Sプロテアソームを構成する制御ユニットRP(PA700)に結合し、標的タンパク質のユビキチン鎖が切り離されると共に、26Sプロテアソームを構成する触媒ユニットCP(20Sプロテアソーム)によって標的タンパク質は分解される(非特許文献1参照)。
一方、本発明者らは、脳内の視床下部等に特異的に分布する細胞質封入体、すなわち斑点小体(stigmoid body:STB)に局在するタンパク質であるハンチントン病関連タンパク質(Huntingtin-associated protein 1:HAP1)に着目して研究を進めてきた。そして、このHAP1の発現パターンがハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳変性症3型等の領域特異的神経細胞死を保護する効果を説明するモデルになることを報告した(非特許文献2参照)。なお、ハンチントン病は神経変性疾患の一つであり、ハンチントン(HTT)遺伝子内のポリグルタミンの拡大によって引き起こされる遺伝性疾患である。
さらに本発明者らは、上記HAP1は、一般的に神経変性の起こりやすい大脳皮質、大脳基底核、海馬、視床、脳幹運動核、小脳、脊髄前角等の領域にはほとんど発現が認められず、それ以外の神経変性の起こりにくい視床下部や扁桃体領域等の領域に広くかつ特異的に高発現することを報告した(非特許文献2参照)。
また、本発明者らは、神経細胞質内に見出した非膜系オルガネラである斑点小体(stigmoid body:STB)を初めて同定し、hPAX-P2と呼ばれるタンパク質を有すること、及びかかるhPAX-P2タンパク質が、STBとの関連性を示す知見が報告されていたHAP1タンパク質と同じであることを報告した(非特許文献3参照)。
しかしながら、これまでは細胞レベル(in vitro)の解析が主体であり、実際の生体内(in vivo)でのHAP1の機能は明らかにされていなかった。
佐伯 泰 Journal of Japanese Biochemical Society 87(6): 705-722 (2015) doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870705 Fujinaga et al., J Comp Neurol. 478(1): 88-109 (2004) Fujinaga et al., Histochem Cell Biol. 128:335-348 (2007)
上記のようにHAP1の機能やメカニズムはあくまで細胞レベルでの解析に過ぎなかった。また、実際の生体内(in vivo)でのHAP1の機能解明のためには、生体内でHAP1を発現させることが必要である。ここで、生体内の特定の細胞にHAP1を特異的に発現させることによって、HAP1による影響を解析しやすくなる。そこで本発明の課題は、アポトーシスの抑制剤を提供することや、生体内の特定の細胞でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物を提供することにある。
従来の研究においては細胞レベル(in vitro)の解析が主体であり、実際の生体内(in vivo)でのHAP1の機能は明らかにされていなかった。そこで、in vitroだけでなくin vivoにおけるHAP1とアポトーシスとの関係を調べた。具体的には、培養細胞及びHAP1ノックアウトマウスを用いて、タンパク質分解に係る酵素複合体であるプロテアソームの活性低下に起因するアポトーシスとHAP1との関係を調べた。さらに、HAP1の機能解明のため、通常HAP1が発現しない細胞でHAP1を発現できるようなマウスを作製した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドを有効成分とする、アポトーシスの阻害剤。
〔2〕HAP1をコードするポリヌクレオチドが、以下の(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチドであることを特徴とする上記〔1〕記載のアポトーシスの阻害剤。
(1)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(2)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1又は数個のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチド;
(3)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと85%以上の同一性を有するポリヌクレオチドからなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチド;
〔3〕アポトーシスが、ユビキチン化タンパク質の蓄積に起因するアポトーシスであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載のアポトーシスの阻害剤。
〔4〕ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドが、発現ベクターに組み込まれていることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のアポトーシスの阻害剤。
〔5〕神経細胞のアポトーシスであることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のアポトーシスの阻害剤。
〔6〕標的細胞内でハンチントン病関連タンパク質(HAP1)を発現する非ヒト哺乳動物であって、標的細胞内で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットと、前記HAP1を発現させる標的細胞において特異的に作動可能なタンパク質のプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットをゲノム中に含有する非ヒト哺乳動物。
〔7〕標的細胞が、神経細胞であることを特徴とする上記〔6〕記載の非ヒト哺乳動物。
〔8〕HAP1を発現させる標的細胞において特異的に作動可能なタンパク質のプロモーターがコリンアセチル転移酵素(ChAT)プロモーターであることを特徴とする上記〔6〕又は〔7〕記載の非ヒト哺乳動物。
〔9〕DNA組換え酵素がCreリコンビナーゼであり、そのDNA組換え酵素の認識部位がLoxPであることを特徴とする上記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の非ヒト哺乳動物。
〔10〕以下の工程を備えたことを特徴とする、標的細胞内でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物の作製方法。
(a)標的細胞内で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程;
(b)工程(a)で作製したトランスジェニック非ヒト哺乳動物と、HAP1を発現させる標的細胞内で特異的に作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を交配する工程;
本発明のアポトーシス阻害剤を用いることで、神経変性疾患に関与するアポトーシスを阻害することが可能となる。また、本発明の非ヒト哺乳動物を用いることで、HAP1の生体内での機能やメカニズムを解明することが可能となる。
実施例1において、ウエスタンブロット解析によりHAP1をコードするポリヌクレオチドの導入/非導入の場合の視床下部不死化細胞株におけるアポトーシスの影響を調べた結果を示す図である。 図1Aのウエスタンブロット解析において、10μM MG132を細胞へ添加した場合のα−チューブリンのバンドに対するcPARPのバンドの面積比(発現量比)をグラフ化した図である。縦軸は、GFPのみをコードするポリヌクレオチドを導入した(HAP1をコードするポリヌクレオチド非導入)視床下部不死化細胞株におけるcPARPの発現量比を1とした場合の、GFP及びHAP1をコードするポリヌクレオチドを導入した視床下部不死化細胞株における同発現量比の相対値である(図1Cにおいても同様)。 図1Aのウエスタンブロット解析において、10μM MG132を細胞へ添加した場合のα−チューブリンのバンドに対するcCas3のバンドの発現量比をグラフ化した図である。 実施例2におけるウエスタンブロット解析により野生型マウス(WT)及びHAP1ノックアウトマウス(KO)におけるアポトーシスの影響を調べた結果を示す図である。D1、D2はDMSOのみを投与した個体、M1、M2はMG132を投与した個体である。 図2Aのウエスタンブロット解析において、α−チューブリンのバンドに対するcCas3のバンドの発現量比をグラフ化した図である。縦軸はDMSO投与の場合におけるcCas3の発現量比を1とした場合の相対値である。 HAP1を発現しない運動神経細胞(運動ニューロン)においてHAP1を発現するマウスの作製工程の概略である。
本発明のアポトーシスの阻害剤は、ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドを有効成分とする、アポトーシスの阻害剤であり、以下、「本件アポトーシスの阻害剤」ともいう。
また、本発明のHAP1を発現する非ヒト哺乳動物は、標的細胞内でハンチントン病関連タンパク質(HAP1)を発現する非ヒト哺乳動物であって、標的細胞内で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットと、前記HAP1を発現させる標的細胞において特異的に作動可能なタンパク質のプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットをゲノム中に含有する非ヒト哺乳動物であればよく、以下、「本件HAP1発現非ヒト哺乳動物」ともいう。なお、上記DNA組換え酵素とは、DNA配列の部位特異的組換えを可能にする酵素を意味する。
さらに、本発明のHAP1を発現する非ヒト哺乳動物の作製方法は、
(a)標的細胞内で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程;
(b)工程(a)で作製したトランスジェニック非ヒト哺乳動物と、HAP1を発現させる標的細胞内で特異的に作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を交配する工程;の(a)及び(b)の工程を備えたことを特徴とする、標的細胞内でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物の作製方法であればよく、以下、「本件HAP1発現非ヒト哺乳動物の作製方法」ともいう。
本明細書において、「ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)」とは、脳の視床下部等に特異的に分布する細胞質封入体、すなわち斑点小体(stigmoid body:STB)に局在するタンパク質である。かかるHAP1をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドや、配列番号1に記載の塩基配列において、1又は数個のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチドや、配列番号1に記載の塩基配列と85%以上の同一性を有するポリヌクレオチドからなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。なお、配列番号1に記載の塩基配列はhuntingtin-associated protein 1 isoform 2をコードする塩基配列であり、huntingtin-associated protein 1 isoform 2のほか、huntingtin-associated protein 1 isoform 3-8のいずれかをコードする塩基配列において、1又は数個のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチドや、huntingtin-associated protein 1 isoform 3-8のいずれかをコードする塩基配列と85%以上の同一性を有するポリヌクレオチドからなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチドであってもよい。
<アポトーシスの阻害剤>
本件アポトーシスの阻害剤における「1又は数個のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列」とは、例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個の任意の数のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列を意味する。また、配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチドである。
アポトーシス阻害作用を有するか否かは、遺伝子導入法等により、培養細胞で検査対象のポリヌクレオチドを発現させ、そのポリヌクレオチドを有する場合と有さない場合におけるcPAPPやcCas3等のアポトーシスの指標となるタンパク質の蓄積を、ウエスタンブロットにより解析する等の公知の遺伝子工学的手法によって確認することができる。すなわち、cPAPPやcCas3等のアポトーシスの指標となるタンパク質の蓄積が減少していれば、アポトーシス阻害作用を有していると評価することができる。cPAPPやcCas3等のアポトーシスの指標となるタンパク質の蓄積が減少していなければ、アポトーシス阻害作用を有していないと評価することができる。
本件アポトーシスの阻害剤における「アポトーシス」とは、細胞死の一つであって、核クロマチンの濃縮とDNA断片化を伴って誘導される細胞死を意味する。細胞膜が物理的に傷害されて起こるネクローシス(壊死)と区別される細胞死である。かかるアポトーシスは様々な要因によって引き起こされるが、細胞内におけるユビキチン化タンパク質の蓄積に起因するアポトーシスであることが好ましい。換言すれば、ユビキチン・プロテアソーム系に関与するプロテアソームの活性の低下に起因するアポトーシスといえる。
上記ユビキチンは、76個のアミノ酸からなるタンパク質である。標的タンパク質に共有結合して、さらにユビキチン内のリジン残基と新たなユビキチン分子内のC末端のグリシン間でイソペプチドが結合でき、さらにユビキチン分子間での縮合反応を繰り返すことで、多数のユビキチン分子が鎖状に伸張したポリユビキチン鎖が形成される。ユビキチン・プロテアソーム系に関与するプロテアソームは、かかるポリユビキチン鎖をシグナルとして、ポリユビキチン鎖を有するタンパク質を分解する機能を有する。
上記プロテアソームは、細胞質内に存在してタンパク質分解に係る酵素複合体であって、外来抗原をペプチドに切断する作用をするものを意味する。具体的には、20Sプロテアソームや、19S複合体や11S複合体が結合した26Sプロテアソームを挙げることができる。
また、上記アポトーシスは、神経細胞におけるアポトーシスであることが好ましい。かかる神経細胞としては、アセチルコリンや、アミノ基を1個だけ含むモノアミン類や、ポリペプチド類や、一酸化窒素 (NO)、一酸化炭素 (CO)、アグマチン、アナンダミド、ジメチルトリプタミン、アデノシン、アデノシン三リン酸 (ATP)、アデノシン二リン酸 (ADP)、タウリンを有する神経細胞を挙げることができる。
上記モノアミン類としては、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、メラトニン、ヒスタミンを挙げることができる。ポリペプチド類としては、副腎皮質刺激ホルモン、ベータリポトロピン、ダイノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、ロイモルフィン等のオピオイドや、N-アセチルアスパラチルグルタミン酸、神経ペプチドY、膵ペプチド、ペプチドYY等の神経ペプチドYや、ボンベジン、ガストリン放出ペプチド、ニューロテンシン、ガラニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド等のペプチドや、ガストリン、コレシストキニン等のガストリン類や、バソプレッシン、オキシトシン、ニューロフィジンI、ニューロフィジンII等の下垂体後葉ホルモン類やアスパラギン酸、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸、グリシン等のアミノ酸や、ボンベジン、ガストリン放出ペプチド (GRP)、ニューロテンシン、ガラニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP)等のペプチドホルモンや、セクレチン、モチリン、グルカゴン、血管作動性腸管ペプチド、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、成長ホルモン放出因子等のセクレチン類や、ソマトスタチンや、ニューロキニンA、ニューロキニンB、ニューロペプチドA、ガンマニューロペプチド、P物質(substance P)等のタキキニン類を挙げることができる。以上のうち、標的細胞として好ましくは、運動神経細胞をはじめとするアセチルコリンを有する神経細胞や、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、メラトニン、又はヒスタミンを有する神経細胞を挙げることができる。
上記HAP1をコードするポリヌクレオチドは発現ベクターに組み込まれていることが好ましく、当該発現ベクターは、環状、直鎖状等いかなる形態のものであってもよい。また、かかる発現ベクターは、前記ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドの他に、必要に応じて他の所望のポリヌクレオチドを有していてもよい。他のポリヌクレオチドとしては、エンハンサー配列、プロモーター配列、リボゾーム結合配列、又はシグナルペプチド等をコードするものを挙げることができる。
上記発現ベクターとしては、使用する宿主細胞に応じて適宜選択でき、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス等のウイルスベクターや、プラスミドを用いてもよく、市販の発現ベクターを用いてもよい。
上記宿主細胞としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター等の哺乳動物細胞を挙げることができる。
本件アポトーシスの阻害剤は、神経変性疾患の治療用として神経変性疾患を発症している哺乳動物に対して投与することができる。神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、脊髄小脳変性症を挙げることができる。投与経路は特に限定されないが、非経口投与が好ましい。非経口投与は、静脈内投与等の全身性投与、筋肉内投与、経皮投与、経粘膜投与、頭蓋内投与、脊髄腔内投与等の局所投与のいずれであってもよい。また、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、防腐剤、等張化剤、安定化剤、分散剤、酸化防止剤、着色剤、香味剤、緩衝剤等の製剤化のために通常使用され薬学的に許容される添加物を含んでいてもよい。本件アポトーシスの阻害剤の剤型としては散剤、顆粒剤等の固形製剤であってもよい。
神経変性疾患を発症している哺乳動物細胞に対して投与する場合の適切な投与量としては特に制限されず、被検者や被検動物の体調、病状、体重、年齢、性別等によって適宜調整することができる。投与量としては、例えば、注射剤の形で投与する場合、1日当たり約0.01mg〜60g程度、好ましくは約0.1mg〜24g程度、より好ましくは約0.1mg〜6g程度を投与することができる。投与間隔は1日1回〜数回、または1日〜2週間の間隔を設定することができる。
本件アポトーシスの阻害剤を他の神経変性疾患治療剤と組み合わせて使用することもできる。かかる場合、両者を投与対象に対して同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。上記「組み合わせて使用する」とは、2種以上の薬剤の適用時期が重複していることを意味し、同時に投与することも含まれるが、必ずしも同時に投与することに限られない。
<HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物及びその動物作製方法>
本件HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物及びその動物作製方法における第一発現カセットの「標的細胞内で作動可能なタンパク質のプロモーター」としては、標的細胞内で作動可能なプロモーターであれば特に制限されず、CAGプロモーター、CMV(cytomegalovirus)プロモーター、SV40プロモーター、EF-αプロモーター、LTRプロモーター、RSV(Rous sarcoma virus)プロモーター、MoMuLV(Moloney mouse leukemia virus) LTR、HSV-TK(herpes simplex virus thymidine kinase)プロモーター、EF-αプロモーターを挙げることができる。それぞれのプロモーター配列情報は、各遺伝子のゲノム配列情報から入手できる。
本件HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物及び本件HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物の作製方法における第2発現カセットの「標的細胞内で特異的に作動可能なタンパク質のプロモーター」としては標的細胞内で特異的に作動可能であるかぎり特に制限されないが、標的細胞がアセチルコリンを発現する神経細胞の場合にはChATプロモーター、カテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)を発現する神経細胞の場合はチロシン水酸化酵素(TH)プロモーター等が好ましい。
DNA組換え酵素と、前記DNA組換え酵素が認識する部位としては特に制限されないが、バクテリオファージP1由来のCreリコンビナーゼとその標的配列であるLoxP配列(locus of crossing over(x), P1: Sternberg, N., Hamilton, D. J. Mol. Biol. 150: 467-486(1981))との組み合わせや、出芽酵母サッカロミセス・セレビッシェ由来のFLPリコンビナーゼとその標的配列であるFRT配列の組み合わせや、醤油酵母チゴサッカロミセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)由来のRリコンビナーゼとその標的配列であるRS配列との組み合わせや、バクテリオファージMu由来のGinリコンビナーゼとgix配列との組み合わせ等を用いることができ、CreリコンビナーゼとLoxP配列との組み合わせであることが好ましい。
本件HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物及び本件HAP1発現モデル非ヒト哺乳動物の作製方法における「DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列」とは、ストップ配列の5’末端側及び3’末端側にDNA組換え酵素の認識部位が連結していることを意味する。ストップ配列とDNA組換え酵素の認識部位が直接連結していても、間に任意のポリヌクレオチドを含んでいてもよい。
さらに、ストップ配列の5’末端側及び3’末端側には、標識物質をコードするポリヌクレオチドを含んでいてもよい。標識物質としては、蛍光タンパク質、色素タンパク質、発光タンパク質を挙げることができ、蛍光タンパク質を好適に挙げることができる。
蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光蛋白質(CFP)、黄色蛍光蛋白質(YEP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)、青色蛍光蛋白質(BFP)、イソギンチャクモドキ赤色蛍光タンパク質(DsRed)、ルシフェラーゼ(LUC)、mCherry等が挙げられ、これらの改変体等を利用してもよい。改変体としては、EGFP、ECFP、EYFP、ERFP、EBFP、mFruits、mRuby等が挙げられる。
色素タンパク質としては、色素と結合しているタンパク質であればよく、ヘモグロビン、チトクロム、ミオグロビン、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ等のヘムタンパク質や、ヘモシアニン、フェリチン等の金属錯化合物や、フィコエリトリン、フィコシアニン等のフィコ色素タンパク質等を挙げることができる。
発光タンパク質としては、ルシフェリン等を挙げることができる。
本件モデル非ヒト哺乳動物の作製に使用される動物の種類としては通常、実験動物として使用されるものであれば特に制限されないが、マウス、ラット、モルモット等のげっ歯類や、サル、マーモセット、オランウータン、チンパンジー等の霊長類や、ブタ等の家畜や、イヌ、ネコ、ウサギを挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの
例示に限定されるものではない。
[実施例1]<培養細胞を用いた解析−1>
まずは細胞レベルでHAP1とアポトーシスとの関係を調べた。具体的には、プロテアソーム阻害剤であるMG132によって処理した細胞において、HAP1発現の有無とアポトーシスとの関係を以下の方法によって調べた。なお、MG132は26Sプロテアソームの活性サブユニットを阻害するプロテアソーム阻害剤であり、MG132で処理することで26Sプロテアソームの基質タンパク質の分解が阻害される。
マウス胎児由来視床下部不死化細胞株(mHypoE_N3, CLU102N3, Cellutions Biosystems Inc.)にHAP1をコードするポリヌクレオチド及び緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドDNAをトランスフェクションし、24〜48時間、37℃で培養した。次に、プロテアソーム阻害剤であるMG132(0.1、1、2.5、5、10 μM: DMSOで溶解)、及びコントロールとしてDMSOのみを添加して引き続き6時間、37℃でインキュベートした。得られた細胞におけるアポトーシスの影響をウエスタンブロット解析した。アポトーシスの指標として切断されたポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(cleaved PARP: cPARP)及び活性型の切断されたカスパーゼ3(cleaved caspase 3: cCas3)を評価した。ウエスタンブロットにおいて用いられた抗体はcPARPに対しては抗cleaved PARP抗体(Cell Signaling社製)、cCasp3に対しては抗cleaved caspase 3抗体(Cell Signaling社製)を用いた。また二次抗体としてはHRP標識抗ウサギ抗体(GEヘルスケア・ジャパン社製)で検出した。結果を図1A−図1Cに示す。なお、「切断されたPARP」はアポトーシスの初期においてカスパーゼによって切断されて生じるものであり、切断されたPARPが存在することはアポトーシスが誘導されたこととなる。また、切断されたcCas3はアポトーシスに関与する酵素であり、切断されることによって活性化される。さらに、MG132で処理されたサンプルでは20Sプロテアソームによる基質タンパク質の分解が阻害されることとなる。
図1A−図1Cに示すように、視床下部不死化細胞株はプロテアソーム阻害剤MG132で処理することによって細胞内のcPARP及びcCas3が濃度依存的に蓄積、すなわちアポトーシスが誘導されていた。しかしながら、視床下部不死化細胞株にHAP1をコードするポリヌクレオチドを形質導入して発現させることによって、MG132で処理した際の細胞内のcPARP及びcCas3の蓄積が抑制されていた。したがって、視床下部不死化細胞株においてHAP1がプロテアソーム阻害によるアポトーシスを抑制できることが確認された。なお、視床下部不死化細胞株の代わりにヒト子宮頸癌由来のHela細胞やマウス神経芽細胞腫由来のNeuro-2a細胞を用いても同様にHAP1がプロテアソーム阻害によるアポトーシスを抑制できることが確認された(図示なし)。
[比較例]<培養細胞を用いた解析−2>
実施例1では、プロテアソーム阻害剤であるMG132によって処理した神経細胞を用いて、HAP1とアポトーシスとの関係を調べた。アポトーシスの原因としては、小胞体ストレス、酸化ストレス、熱ストレス等も挙げられる。そこで、HAP1とこれらに起因するアポトーシスとの関係を調べた。
実施例1において用いたプロテアソーム阻害剤であるMG132の代わりに、小胞体ストレスに起因するアポトーシスの解析には小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン(10 μg/ml: DMSOで溶解したものを10時間処理)、酸化ストレスに起因するアポトーシスの解析には亜砒酸ナトリウム(20 μM: DMSOで溶解したものを6時間処理)、熱ストレスの解析には42℃で1時間処理した細胞を用いて、それぞれ得られた細胞におけるアポトーシスの影響をウエスタンブロットにて調べた。その結果、いずれの細胞においてもHAP1によるアポトーシス抑制は見られなかった。したがって、HAP1はプロテアソームの不活性化に起因するアポトーシスの抑制効果があることが確認された。
[実施例2]<ノックアウトマウスを用いた解析>
実施例1では細胞レベルでの解析を行い、HAP1がプロテアソーム阻害によるアポトーシスを抑制できることを示したが、各種細胞の培養環境下は必ずしも生体内の細胞外環境を完全に模倣できているものではないため、細胞レベルでの解析結果がin vivoにおいて異なることが多い。そこで実施例2においては、HAP1ノックアウトマウスを用いて、HAP1発現の有無とアポトーシスとの関係を以下の方法によって調べた。
(HAP1ノックアウトマウスの作製)
HAP1ノックアウトマウスはCRISPR/Cas9システムを用いて作製した。C57BL/6JJclマウスの卵管膨大部から採卵した受精卵へガイドRNA及びCas9mRNAを同時に注入した。注入を行った受精卵を5%CO2下、37℃で1昼夜培養し、翌日に2細胞期まで発生が進んだ受精卵をレシピエントマウスへ移植した。分娩予定日にレシピエントマウスを帝王切開し、ファンウンダ−マウス(F0世代)を得た。離乳後のF0マウステイルを用いてダイレクトシークエンス解析を行い、フレームシフト変異が導入されている個体を選択した。これらを飼育後、野生型雌マウスと掛け合わせ、次世代(F1)マウス(ヘテロ)を得た。このF1世代以降のHAP1ノックアウトヘテロマウスの雌雄を掛け合わせることで、HAP1ノックアウトマウスを得、実験に用いた。
上記で得られたHAP1ノックアウトマウス、及び同腹子より得られた野生型マウスに対して15μLの10 mM MG132(DMSOに溶解)を皮下に投与した。コントロールとして、MG132なしのDMSOを投与した。6時間後、それぞれのマウスの脳を採取し、ウエスタンブロット解析を行った。アポトーシスの指標として、活性型のcCas3を測定した。結果を図2A、2Bに示す。
図2A、図2Bに示すようにHAP1ノックアウトマウス(KO)では、野生型マウス(WT)と比較してプロテアソーム阻害剤(MG132)で処理した場合にcCas3が多く存在する、すなわちアポトーシスの誘導が増強されていることが明らかとなった。この結果から、HAP1が生体内の脳においてもアポトーシスを抑制していることが確認された。
[実施例3]<HAP1を発現するマウスの作製>
近年HAP1の生体内での役割が注目されているものの、HAP1のin vivoにおける機能の解明に関わる研究が進んでいない。そこでさらにHAP1のin vivoにおける研究を進めるため、HAP1を発現しない運動神経細胞(運動ニューロン)においてHAP1を発現するマウスを作製した。かかるマウス作製工程の概略を図3に示す。
通常のトランスジェニックマウスを作製する方法でマウスにHAP1を発現するトランスジェニックマウスを作製した場合には、マウスの特定の組織又は細胞にHAP1を発現するように制御はできない。そのため、本来HAP1が発現している細胞にも、HAP1が発現していない細胞にも影響してしまう。HAP1の作用を調べるためには、本来HAP1が発現しない領域にHAP1を発現させて、HAP1による影響を調べることが好ましい。そこで、通常HAP1が発現していない運動神経細胞において特異的にHAP1が発現するマウスをCre-LoxPシステム(Sauer, B. et al., Proc. Natl. Acad, Sci.USA, 85: 5166-5170, 1988; Gu, H., et al., Cell, 73, 1155-1164, 1993参照)によって以下の方法で作製した。マウス作製工程の概略を図3に示す。なお、CreリコンビナーゼはDNA組換え酵素であり、LoxP(locus of crossing over(x), P1: Sternberg, N., Hamilton, D. J. Mol. Biol. 150: 467-486(1981))部位の34塩基(配列番号2)と特異的に相互作用する酵素である。また、LoxP部位は、8bpの保存配列で分離された13bpのパリンドローム配列2つで構成される(Hoess et al., 1986, Nucleic Acids Res., 14: 2287-2300)。同一の配向を有する2つのLoxP部位間のCreリコンビナーゼによる組換えによって、LoxPで挟まれたポリヌクレオチド部位に欠失が生じることとなる。
(1)ストップ配列/HAP1挿入LoxPマウス(Floxマウス)
生体でユビキタスに遺伝子を発現させることのできるプロモーターとしてCAGプロモーターを使用し、その下流に2つのLoxP配列に挟まれたEGFP配列、polyAシグナル配列を含むスタッファー領域を接続し、さらにその下流にはHAP1 cDNAおよびpolyAシグナル配列を接続しベクター構築を行った。プラスミドからプロモーター領域〜polyAシグナルまでを酵素処理により切り出し、インジェクション用DNAの精製を行った。C57BL/6JJclマウスの卵管膨大部から採卵した受精卵へ精製済みのDNAを注入し、その後5%CO2下、37℃で1昼夜培養した。翌日に2細胞期まで発生が進んだ受精卵をレシピエントマウスへ移植した。分娩予定日にレシピエントマウスから自然分娩もしくは帝王切開にてファンウンダ―マウス(F0世代)を得た。離乳後のF0マウステイルを用いて、ジェノタイピングを行い、目的遺伝子が導入されている個体を選出し、それぞれ野生型マウスと掛け合わせ、次世代(F1)マウスを得た。ジェノタイピングを行うことでF1世代のヘテロマウスを選出し、さらに野生型マウスと掛け合わせ、F2世代を得た。これらのマウス脳および脊髄を対象に抗GFP抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、特にGFP発現が強く見られたラインについて継代を行った。
(2)アセチルコリン合成細胞誘導型Creリコンビナーゼ発現マウス(ChAT Creマウス)
ChAT Creマウス(ChAT-IRES-Creマウス)は Jackson Laboratory社から購入した。かかるChAT Creマウスは、アセチルコリン合成細胞ではChATプロモーターが機能してCreリコンビナーゼが発現するトランスジェニックマウスである。なお、Creリコンビナーゼは、バクテリオファージP1由来の38KDタンパク質であり、リコンビナーゼのintegraseファミリーに属する。かかるCreリコンビナーゼはLoxPサイトを特異的に認識してDNAのリコンビネーションを起こすことが可能となる。
(3)交配
次に上記FloxマウスとChAT Creマウスを交配して、アセチルコリン合成細胞で特異的にHAP1を発現するマウス(Cholinergic neuron-specific HAP1 transgenic mouse)を作製した。このマウスのアセチルコリン合成細胞では、ChATプロモーター下流でCreリコンビナーゼが発現し、Floxマウス由来のLoxP配列に挟まれたストップ配列が外れる結果、当該細胞内で特異的にHAP1が発現することになる。すなわち、アセチルコリンを合成する運動ニューロンにおいて特異的にHAP1が作用するマウスを作製できる。運動ニューロンではHAP1がほとんど存在しないことから、上記アセチルコリン合成細胞において特異的にHAP1が発現するマウスを用いることは、HAP1の作用解析や生体内での新規の細胞死抑制システムの構築において有用である。

Claims (10)

  1. ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドを有効成分とする、アポトーシスの阻害剤。
  2. HAP1をコードするポリヌクレオチドが、以下の(1)〜(3)のいずれかのポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載のアポトーシスの阻害剤。
    (1)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (2)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1又は数個のヌクレオチドが付加、置換、欠失及び/又は挿入された塩基配列からなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチド;
    (3)配列番号1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと85%以上の同一性を有するポリヌクレオチドからなり、かつアポトーシス阻害作用を有するポリヌクレオチド;
  3. アポトーシスが、ユビキチン化タンパク質の蓄積に起因するアポトーシスであることを特徴とする請求項1又は2記載のアポトーシスの阻害剤。
  4. ハンチントン病関連タンパク質(HAP1)をコードするポリヌクレオチドが、発現ベクターに組み込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のアポトーシスの阻害剤。
  5. 神経細胞のアポトーシスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のアポトーシスの阻害剤。
  6. 標的細胞内でハンチントン病関連タンパク質(HAP1)を発現する非ヒト哺乳動物であって、標的細胞内で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットと、前記HAP1を発現させる標的細胞において特異的に作動可能なタンパク質のプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットをゲノム中に含有する非ヒト哺乳動物。
  7. 標的細胞が、神経細胞であることを特徴とする請求項6記載の非ヒト哺乳動物。
  8. HAP1を発現させる標的細胞において特異的に作動可能なタンパク質のプロモーターがコリンアセチル転移酵素(ChAT)プロモーターであることを特徴とする請求項6又は7記載の非ヒト哺乳動物。
  9. DNA組換え酵素がCreリコンビナーゼであり、DNA組換え酵素の認識部位がLoxPであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の非ヒト哺乳動物。
  10. 以下の工程を備えたことを特徴とする、標的細胞内でHAP1を発現する非ヒト哺乳動物の作製方法。
    (a)標的細胞で作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素の認識部位に挟まれたストップ配列、及びHAP1をコードするポリヌクレオチドが順次連結された第一発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程;
    (b)工程(a)で作製したトランスジェニック非ヒト哺乳動物と、HAP1を発現させる標的細胞で特異的に作動可能なプロモーターをコードするポリヌクレオチドの3’末端側に、DNA組換え酵素をコードするポリヌクレオチドが連結された第二発現カセットを導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を交配する工程;

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