JP2008511286A - サメ類のIgNARドメインに基づく結合成分 - Google Patents

サメ類のIgNARドメインに基づく結合成分 Download PDF

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Abstract

本発明は、魚類由来の免疫グロブリン新抗原受容体(IgNAR)およびその使用に関する。特に、本発明は修飾IgNAR可変ドメイン、IgNAR可変ドメイン由来の構造特徴を含むように修飾された免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー由来のドメインに関する。

Description

本発明は、魚類由来の免疫グロブリン新抗原受容体(IgNAR)およびその使用に関する。特に本発明は、修飾IgNAR可変ドメイン、IgNAR可変ドメイン由来の構造特徴を含むように改変された免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー由来のドメインに関する。
免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は、免疫系における認識、接着または結合機能を仲介する、免疫グロブリンならびに多数の他の細胞表面および可溶性分子を含む。それらは、免疫グロブリン(Ig)重鎖および軽鎖において本来確認された、部分的なアミノ酸配列相同性および三次的な構造特徴を共有する。
IgSFの分子は、特徴的なIgSFのフォールディング構造、対面でパッキングされB鎖とF鎖の間のジスルフィド結合によって連結した、2つのβシートによって形成されるβ-サンドウィッチ構造によって確認される(Bork1994; Chothia1998)。β-鎖の数、立体配座および水素結合パターンに基づいて、IgSF骨格は3〜4の主なカテゴリー、可変(V)-、定常(C)-、I-およびI2-セットにさらに分けられる(Bork1994; Cassasnovas1998)。
従来の免疫グロブリンは、ヒンジ部分においてジスルフィド結合によって連結した2個の重鎖ポリペプチド、およびそれぞれがジスルフィド結合によって各重鎖と結合した2個の軽鎖ポリペプチドを有している。それぞれの重鎖はN末端に可変(VH)ドメイン、および幾つかの定常(CH)ドメインを含む。それぞれの軽鎖はN末端に可変(VL)ドメイン、およびC末端に定常(CL)ドメインを有しており、VLドメインおよびCLドメインは、それぞれVHドメインおよび第1のCHドメインと一直線に並ぶ。免疫グロブリンと異なり、T細胞受容体(TCR)は、それぞれの鎖がN末端可変ドメイン(VαまたはVβ)および定常ドメインからなる、等しい大きさのαおよびβ鎖を有するヘテロダイマーである。
典型的には、異なるポリペプチド鎖上の可変ドメインは疎水性界面を越えて相互作用して、特定の標的分子を受け取るように設計された結合部位を形成する。免疫グロブリンの場合、VH/VLドメインのそれぞれの対が抗原結合部位を形成し、CHおよびCLドメインは抗体と抗原の結合とは直接関係がない。同様にTCRの場合、VαおよびVβドメインは、標的分子、すなわち組織適合抗原によって提示されるペプチドの結合部位を形成する。
可変ドメインのアミノ酸配列は、1個の分子と他の分子で非常に変わる。配列のこの変化は、分子が非常に広くさまざまな標的分子を認識するのを可能にする。可変ドメインは、その配列が比較的保存されており3個の超可変または相補性決定ループ領域(CDR)によって結合している、4個のフレームワーク領域を含むとみなされることが多い(Kabat1983 & 1987; Bork1994)。CDRはフレームワーク領域によって非常に近くに保たれ、他の可変ドメイン由来のCDRと共に結合部位の形成に貢献する。
新たな分子生物学および組換えDNA技法の開発と共に、IgSF分野における研究関心が増大している。特にこの増大する関心の主な理由は、免疫グロブリンまたは他のIgSF分子に基づく新規な治療物質および診断物質を開発するための欲求である。
KohlerおよびMilsteinによって開発されたハイブリドーマ技法を使用することによる、ほぼ任意の特異性のモノクローナル抗体(MAb)の生成は現在よく知られている。しかしながら、ヒト抗体の生成は依然として難しく、生成される大部分のMAbはげっ歯類、特にマウス起源である。このような抗体はヒトにおいては抗原性であることが多い。
したがって研究者は、可能な限り「ヒト」であるが適切な特異性を依然保持している、修飾型免疫グロブリンの生成を調査してきている。例えば、動物の抗原結合可変ドメインがヒト定常ドメインと結合した、「キメラ」抗体が構築されてきている。ヒト定常ドメインのイソ型を選択して、抗体依存性細胞障害(ADCC)および補体依存性細胞障害と関係があるキメラ抗体を調整することができる。しかしながら、キメラ抗体は典型的には約三分の一のげっ歯類(または他の非ヒト種)配列を含むことができ、したがって依然としてヒトにおいて相当な抗原性応答を誘導し得ることが多い。
抗体の抗原結合機能を解明しヒト抗体中の異種配列の使用を最少にするための他の努力において、他者は例えばげっ歯類のCDRをヒト抗体の対応するセグメント由来のCDR配列で置換することによって、特異的ドメインを修飾している。幾つかの場合、げっ歯類抗体由来のCDRをヒト骨格中のヒトCDRで置換することは、EP239400中に記載されたように高い抗原結合親和性を伝えるのに充分である。
他の手法は、免疫グロブリンまたはIgSFの他の分子の断片を使用することとなっている。例えば、VHおよびVLドメインのみをFv単位に結合させることによって、特異的結合反応物を形成することができる。細菌の発現は、可変ドメインおよびリンカーポリペプチドを単鎖scFv分子に接合させることによってしたがって増大される。
単鎖Fv分子の発現およびフォールディング特性を改善するための方法は、Nieba(1997)によって記載されている。天然哺乳動物抗体由来の単鎖V-ドメインの性質は、WO90/05144、EP368684およびWO91/08482中に記載されている。単鎖ラクダ科V-ドメインはWO/96/34103によって、およびWO/94/25591中に記載されている。ヒトアミノ酸配列とラクダ科アミノ酸配列を置換することによって、ヒトVHドメインの表面の疎水性を低下させるための方法は、DaviesおよびRiechmann(1994)によって記載された。CDRループ中へのシステイン残基の挿入を含む、ヒトVH配列の他の領域とラクダ配列を交換してタンパク質の安定性をさらに高めるための方法は、DaviesおよびRiechmann(1996)によって記載された。
VHまたはVLドメインのみを使用する、高親和性単鎖ドメイン結合反応物を工学処理するための幾つかの試みは、非対疎水性VH/VL結合面に露出した単鎖ドメインの結合特異性および固有の不溶性のために成功していない(Kortt1995)。
TCRは、VHドメインとVLドメインの組合せから生じる抗体のFv単位と類似した構造に組合せた、2個の可変ドメインを有する。Novotny(1991)は、どのようにしてTCRのVαドメインとVβドメインを融合させることができ、単鎖ポリペプチドとして発現させることができるか、およびさらに、どのようにして表面残基を変化させて抗体scFvと直接類似した疎水性を低下させるかを記載した。他の刊行物は、2個のVαおよびVβドメインを含む単鎖TCRの発現特性を記載している(Wulfing1994; Ward1991)。
完全な免疫グロブリン、さまざまな免疫グロブリン断片、抗体-抗原複合体、およびTCRなどの他のIgSF分子に関する、三次元結晶構造が公開されている。IgSF分子の機能はそれらの三次元構造に依存し、アミノ酸置換は例えば抗体の三次元構造を変える可能性があることは知られている(SnowおよびAmzel1986)。分子モデル化に基づいて、ヒト化抗体の抗原結合親和性は突然変異誘発によって増大させることができることが示されてきている(Riechmann1988; Queen1989)。
免疫グロブリン新抗原受容体(IgNAR)は、魚類において近年同定された非従来型の抗体のサブセットである。ドメイン構造においてIgNARタンパク質は、他の免疫エフェクター分子、5個の定常ドメイン(CNAR)および1個の可変ドメイン(VNAR)を有する2本のポリペプチド鎖のジスルフィド結合ホモダイマーと類似していると報告されている(Greenberg1995)。しかしながら、従来型の抗体と異なり、(従来のVH/VL型抗体に関して見られるのと同様に)結合した軽鎖は存在せず、個々の可変ドメインは溶液中では独立しており、疎水性界面を介して結合しないようである(Roux1998)。
IgNARは今日まで研究されている全てのサメ種において同定されてきている。特にIgNARは、テンジクザメGinglymostoma cirratum(Greenberg1995)およびオオセザメOrectolobus maculatus(Nuttall2001)の血清中において同定されてきている。IgNARの細胞表面発現も報告されてきている(Rumfelt2002)。研究は免疫中心の真の分子として、およびサメ抗原誘導型親和性成熟抗体応答の最も考えられる物質としてIgNARを関連付けている(Diaz1999; Nuttall2002; Dooley2003)。
今日までに同定されてきているIgNARは、サメの発生中のそれらの出現時間、および可変ドメイン内のそれらの推定ジスルフィド結合パターンに基づいて3つのカテゴリーに配置されてきている(Diaz2002; Nuttall2003)。タイプ1VNARの形態は他の骨格ジスルフィド結合、および通常は従来のCDR3ループと類似した延長ループ領域中のシステインによって特徴付けられ、示唆されているものはループ間ジスルフィド結合を形成する可能性がある。タイプ2VNARの形態は約3分の2の場合従来のCDR1およびCDR3ループと類似したループ領域中のシステインによって特徴付けられ、仮定されているものはループ間ジスルフィド結合を形成する可能性がある。タイプ3VNARの形態は、限られた多様性の従来のCDR3ループと類似した比較的一定の大きさのループ領域、およびCDR1ループと類似したループ領域中の特徴的な保存型トリプトファン残基によって特徴付けられる。
タイプとは無関係に、今日までに同定されてきている全てのIgNARは、従来のCDR1およびCDR2ループと類似した少なくとも可変ループ領域を有し、多様性は従来のCDR3ループと類似した延長ループ領域に集中していると報告されている(Greenberg1995; Nuttall2001; Diaz2002)。延長ループ領域は5〜23残基長だけ長さが変わる可能性があると報告されているが、典型的なクラスはより多く約15〜17残基である(Nuttall2003)。これは従来のネズミおよびヒト抗体に関してより有意に多いが、ラクダ科の単鎖VH抗体に見られる延長CDR3ループに近い(Wu1993; Muyldermans1994)。
大きなバクテリオファージのライブラリーがオオセザメ由来のタイプ2のVNARレパートリーに基づいて作製されており、これを使用して従来のCDR1ループと類似した骨格およびループ領域内に有意な可変性を含む幾つかのタイプ2VNARタンパク質が単離されている。しかしながら、最も有意な多様性は従来のCDR3ループと類似した延長ループ領域内に存在し、延長ループ領域は長さとアミノ酸組成の両方が変わる(Nuttall2001; Nuttall2003)。
タイプ2のVNARに関するさまざまなコンピュータモデル化構造が文献中で報告されてきている(Roux1998; Nuttall2001; Diaz2002; Nuttall2004)。このようなコンピュータモデル化は構造に対する重要な見識を与え得るが、最終的な構造は依然として結晶学的分析から決定されている。VNARの場合、結晶構造の解明が特に重要である。
EP239400 WO90/05144 EP368684 WO91/08482 WO/96/34103 WO/94/25591 Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3rd ed.(2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.and Ausubel et al.、Short Protocols in Molecular Biology (1999) 4th Ed、John Wiley & Sons、Inc-and the full version entitled Current Protocols in Molecular Biology Methods of Enzymology、vol115、pg397〜420 米国特許第4,179,337号 http://www.predictprotein.org. Casey JL et al.、2002 Br J Cancer.、86 (9): 1401〜10 Pluckthun、A.、およびPack、P 1997.Immunotechnology、3、83〜105 Lee YSおよびMrksich、M、2002 Trends Biotechnol.20(12Suppl): S14〜8. 「PCR Protocols: A guide to methods and applications」、M.A.Innis、D.H.Gelfand、J.J. Sninsky、T.J.White(eds.).Academic Press、ニューヨーク、1990 米国特許第5,955,363号 Low et al.、1996、J Mol Biol 60: 9〜68 Yelamos et al.、1995、Nature 376: 225〜9 Friedberg et al.、1995、DNA repair and mutagenesis.SM Press、Washington D.C. Zaccolo et al.、1996 J Mol Biol 255: 589〜603 Leung et al.、1989、Technique 1: 11〜15 WO97/27213 Eckstein、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、IRL Press at Oxford University Press 1991
第1の態様では本発明は、4.0Åより良い分解能までIgNARの可変ドメインの原子座標を決定するための、X線を効果的に回析するタイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶であって、タイプ2のIgNARの可変ドメインが105〜125のアミノ酸残基からなり、表1および/または図1に記載のアミノ酸配列を含む結晶を提供する。
他の態様では本発明は、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位の全体または一部分±0.5Å未満のCα原子由来の二乗平均平方根偏差によって定義される構造を含む、タイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶を提供する。
他の態様では本発明は、相同性モデル化の方法であって、(a)IgSFドメインのアミノ酸配列図と図1に示す12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7のアミノ酸配列を一直線に並べて、アミノ酸配列の相同領域を適合させるステップ、(b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)によって定義される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7構造の対応する領域上の前記IgSFドメインの適合相同領域の構造をモデル化するステップ、および(c)(例えば好ましい相互作用部分がIgSFドメイン内で形成され、および/または低エネルギー立体配座が形成されるように)、前記適合相同領域の構造を実質的に保つ前記IgSFドメインの立体配座を決定するステップを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、タンパク質の構造を決定する方法であって、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を与えること、および(a)前記タンパク質の結晶単位セル中の配位を特定して、前記タンパク質の構造を与えること、または(b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を処理することによって前記タンパク質のNMRスペクトルピークを割り当てることのいずれかを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、以下の:(a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ(構造要因は回析波の振幅および相を含む)、(c)付録Iのデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成したIgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したIgSFドメインの原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むシステム、特にコンピュータシステムを提供する。
他の態様では本発明は、コンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7、あるいは12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の異型の構造配位の全体または一部分(例えば、本明細書で定義する選択配位)によりデータが定義され、前記異型が、付録IのCαまたは骨格原子(窒素-炭素α-炭素)からの二乗平均平方根偏差が2Å未満、例えば1.5Åを超えないなど、好ましくは1.5Å未満、より好ましくは1.0Å未満、さらにより好ましくは0.74Å未満、さらにより好ましくは0.72Å未満、および最も好ましくは0.5Å未満である骨格原子を含む、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
他の態様では本発明は、付録Iに従う12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の構造配位の少なくとも一部分(例えば、本明細書で定義する選択配位)のフーリエ変換を含む第一組のコンピュータ可読データであって、未知の構造の分子または分子複合体のX線回析パターンを含む第二組の機械可読データと組合せ、前記第一組のデータおよび前記第二組のデータの使用に関する命令でプログラムされた機械を使用すると、第二組の機械可読データに対応する構造配位の少なくとも一部分を決定することができる、第一組のコンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含む、コンピュータ可読データ記憶媒体を提供する。
他の態様では本発明は、(a)付録Iに従い付録Iに記録される原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な付録Iに記録される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、(c)付録1のデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成した標的IgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
他の態様では本発明は、IgSFドメインに関する構造を作製するためおよび/または合理的な薬剤設計を実施するためのデータを与える方法であって、(i)以下の:(a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造の少なくとも1つのサブドメイン、または12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の複数の原子の配位を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、(c)付録Iのデータに基づくドメインの相同性モデル化によって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したタンパク質の原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読データを含むリモートデバイスとの連絡を確立させること、および(ii)前記リモートデバイスから前記コンピュータ可読データを受信することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインの性質を変える方法であって、前記方法がβ鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内のIgNAR可変ドメインを修飾することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって生成される修飾IgNAR可変ドメインを含む結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインを含む結合成分であって、β鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内でIgNAR可変ドメインが修飾されている結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、Iセットドメインを修飾する方法であって、前記方法がIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIセットドメインに挿入および/または置換することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、Iセットドメインを含む結合成分であって、IセットドメインがIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIセットドメインに挿入および/または置換すること、および/またはIgNAR可変ドメインのループ領域4またはループ領域8と等しい領域に修飾を導入することによって修飾されている結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、Vセットドメインを修飾する方法であって、前記方法がIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をVセットドメインに挿入および/または置換することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、Vセットドメインを含む結合成分であって、VセットドメインがIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をVセットドメインに挿入および/または置換すること、および/またはIgNAR可変ドメインのループ領域4またはループ領域8と等しい領域に修飾を導入することによって修飾されている結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、
(i)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つがIgNAR可変ドメインである少なくとも2つのIgNARドメイン、
(ii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるIセットドメインである少なくとも2つのIセットドメイン、または
(iii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるVセットドメインである少なくとも2つのVセットドメインを含む、マルチマーを含む結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、診断試薬と結合した本発明による結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、固形支持体に固定されているかあるいはバイオセンサー表面と結合している、本発明による結合成分を提供する。
他の態様では本発明は、本発明による結合成分をコードするポリヌクレオチドを提供する。
他の態様では本発明は、本発明によるポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
他の態様では本発明は、本発明によるベクターを含む宿主細胞を企図する。
他の態様では本発明は、本発明による結合成分を生成する方法であって、本発明による結合成分の発現を可能にする条件下で本発明の宿主細胞を培養すること、および場合によっては結合成分を回収することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、本発明による結合成分および薬剤として許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
他の態様では本発明は、被験体の病状を治療する方法であって、本発明による結合成分を被験体に投与することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、標的分子に対する親和性を有する本発明による結合成分を選択する方法であって、標的分子に対する親和性を有する本発明による結合成分の発現に関して、本発明のポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングすることを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、本発明による結合成分をコードする複数のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリーであって、ポリヌクレオチドがIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインにおいて1つまたは複数の修飾を含む、ポリヌクレオチドライブラリーを提供する。
前に論じた全ての刊行物は、それらの全容が本明細書に組み込まれている。
本明細書中に含まれている文書、作用、物質、デバイス、物品などの任意の考察は、単に本発明の文脈を与える目的のものである。これらの事項のいずれかまたは全てが従来技術の土台の一部分を形成する、あるいは本発明は本出願の各請求の優先日前に存在したので、本発明が関係する分野の共通の一般知識であったことは、当然のこととして解釈すべきではない。
他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、当技術分野の(例えば、分子生物学および生化学の)当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。分子および生化学法(参照により本明細書に組み込まれている、Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3rd ed.(2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.and Ausubel et al.、Short Protocols in Molecular Biology (1999) 4th Ed、John Wiley & Sons、Inc-and the full version entitled Current Protocols in Molecular Biologyを概略的に参照のこと)ならびに化学法の標準的技法を使用する。
本明細書を通じて、用語「comprise」、または「comprises」または「comprising」などの変形は、言及する要素、整数またはステップ、あるいは要素、整数またはステップの群の含有を示すが、任意の他の要素、整数またはステップ、あるいは要素、整数またはステップの群の排除は示さないことは理解されよう。
本明細書で使用する「疎水性残基」または「無極性残基」によって、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンを意味する。
本明細書の「極性残基」によって、セリン、スレオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリシンを意味する。
Plasmodium falciparumマラリア寄生虫の頂端膜抗原-1(AMAl)を標的化する2つの密接に関連があるIgNAR可変ドメイン(VNAR)(Nuttall2004)を、我々は以前に同定している。12Y-1(配列番号1および2)ならびに12Y-2(配列番号3および4)で示すこれらのタンパク質は、CDR3配列と類似した天然に存在する領域および合成ループ領域と組合せた、元のオオセザメのレパートリーに由来するタイプ2のVNAR骨格足場の広範囲の混合物を含むライブラリーから単離された(Nuttall2003)。
我々は現在、12A-9および1A-7で示す2つの他のIgNAR可変ドメインを単離している。
VNAR12A-9(配列番号9および10)は、Porphyromonas gingivalis由来のギンギパインKプロテアーゼに対するバイオパニングによって、オオセザメに由来する天然に存在するタイプ2のVNAR骨格足場の広範囲の混合物を含むライブラリーから単離された(Nuttall et al.2002)。このIgNARは完全に天然であり、CDR3類似ループ領域(ループ領域8)を含む。多くのIgNAR可変ドメインと同様に、ジスルフィド架橋はCDR1とCDR3類似ループ領域を連結および安定化させ、この場合残基Cys29とCys89を結びつける。
VNAR1A-7(配列番号5および6)は抗AMA-1マウスIgG5G8に特異的であり、12Y-1および12Y-2の単離に関して記載したのと同じ手順、すなわちファージディスプレイIgNARライブラリーのバイオパニングを使用して単離した。結合は1A-7「合成」CDR3類似ループ領域(すなわちループ領域8)中に見られる「SYP」モチーフを介する。
従来のCDR3ループと類似した12Y-1、12Y-2および1A-7ループ領域は合成の部類に入るが、それらの長さ(それぞれ16、18および16残基)およびアミノ酸組成は、天然に存在するIgNAR抗体に典型的である。12A-9は天然に存在するサメ類のIgNARであり、従来のCDR3ループと類似した長さ13残基長のループ領域を有する。
図1は、12Y-1、12Y-2、12A-9、1A-7ならびに12の天然に存在するタイプ2のVNAR:7E-22(配列番号17)、7E-23(配列番号18)、7E-51(配列番号19)、7E-54(配列番号20)、7E-56(配列番号21)、7E-58(配列番号22)、7E-68(配列番号23)、7E-77(配列番号24)、7E-80(配列番号25)、7E-87(配列番号26)、7E-91(配列番号27)、7E-93(配列番号28)の配列アラインメントを示す。システイン残基の半分は(本明細書で定義するように)2/3までの場合ループ領域4および8中に存在し、従来のCDR1およびCDR3ループと類似したループ間でジスルフィド架橋を形成する。12A-9はループ領域4とループ領域8の両方中にシステイン残基を有する。12Y-1、12Y-2および1A-7はループ領域4および8中にシステイン残基を含まない。
表1は、図1中の16のタイプ2のVNAR配列およびNuttall(2002 & 2003)によって報告されたタイプ2のVNAR配列のアミノ酸変異体を示す。従来のCDR1およびCDR3ループと類似したループ領域の外側に高い保存度の配列が存在することは、図1および表1から明らかである。
我々は12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7の結晶を現在首尾よく作製しており、これらのタンパク質の構造を決定してきている。さらに我々は、これらの構造と一定範囲の知られている免疫分子、すなわち免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーを比較している。
12Y-1および12Y-2のVNARは大腸菌中で発現させ、AMA1抗原の存在および不在下で結晶化試験に施した。おそらくAMA1タンパク質の本質的に柔軟なドメイン構造のために、抗原の存在下では結晶鉛は観察されなかった(Hodder1996)。対照的に、抗原の不在下で12Y-1(空間群I4122)と12Y-2(空間群I212121)の両方に関して良質の結晶を得た。
12A-9および1A-7のVNARは大腸菌中で発現させ、結晶化試験に施した。成功条件を拡大し、12A-9(空間群P21212)と1A-7(空間群I212121)の両方に関して回析良質の結晶を得た。
12Y-1および12Y-2結晶形に関して作製したデータセットは、鋳型として広範囲の免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質を使用する、標準的な分子置換技法による解決によって影響を受けなかった。我々はこれはこれらのタンパク質の特有の性質を示すものであり、したがって12Y-1構造は2個の同形重原子誘導体(酢酸(III)ルテニウム水和物:LAH、およびカリウムヘキサクロロレニウム:PHR)を用いて段階的に実行することによって最初から解明されたと考えた。しかしながら、最もおそらくはこの結晶形中の従来のCDR3ループと類似したループ領域の固有の柔軟性のために、この構造は不完全であり残基Phe88〜Pro98を欠いていた。完全な12Y-2構造は、モデルとして2.8Åの12Y-1構造を使用した分子置換によって次いで解明された。
12Y-1の非対称単位は1個の分子を含むが、12Y-2結晶の非対称単位は2個の分子(鎖A;B)を含み;この2個の12Y-2モノマーの相対配置は、Cα原子と重なるために176.2°の旋回および-1.1Åの回転移動を必要とする。最終的な12Y-2構造は2.18Åの分解能まで精製し、ラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中には93.4%の残基が存在し、充分に容認された領域または非容認領域中には残基は存在しなかった。回析データおよび精製の統計の詳細は表2中に示す。12Y-1および12Y-2の配位はそれぞれ付録I(a)および(b)として添付する。
12A-9および1A-7の構造は分子置換によって決定した。12A-9用の検索モデルは、CDR3ループを含まない12Y-1構造(上記)であった。1A-7用の検索モデルは、CDR3ループを含まない12Y-1の二重ダイマー構造であった。最終的な12A-9構造中では、88.4%の残基がラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中に存在し、充分に容認された領域または非容認領域中には1残基が存在した。最終的な1A-7構造中では、90.9%の残基がラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中に存在し、充分に容認された領域または非容認領域中には鎖Cの2残基が存在した。回析データおよび精製の統計の詳細は表2中に示す。12A-9および1A-7の配位はそれぞれ付録I(c)および(d)として添付する。
したがって、第1の態様では本発明は、4.0Åより良い分解能までIgNARの可変ドメインの原子座標を決定するための、X線を効果的に回析するタイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶であって、タイプ2のIgNARの可変ドメインが105〜125のアミノ酸残基からなり、表1および/または図1に記載のアミノ酸配列を含む結晶を提供する。
表1に記載のアミノ酸配列を含むという本明細書の言及は、表1に与えるコンセンサス配列との高度の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むことは理解されよう。アミノ酸配列は表1中のコンセンサス配列と、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、およびさらにより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する。アミノ酸配列は、完全に保存されている表1中のコンセンサス配列中の残基と、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。
図1に記載のアミノ酸配列を含むという本明細書の言及は、図1に示す配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、およびさらにより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むことは理解されよう。
誤解を避けるために、表1および図1に関して前に与えた配列同一性の数字は、表1中の可変領域および図1中の対応する可変領域は除外する。
一実施形態では結晶は、a=97.26Å、b=97.26Åおよびc=65.23Åの単位セル寸法、および全寸法において5%の単位セル可変性を有する空間群I4122を有する。
他の実施形態では結晶は、a=65.28Å、b=92.05Åおよびc=98.22Åの単位セル寸法、および全寸法において5%の単位セル可変性を有する空間群I212121を有する。
他の実施形態では結晶は、a=38.27Å、b=68.32Åおよびc=39.51Åの単位セル寸法、および全寸法において5%の単位セル可変性を有する空間群P21212を有する。
他の実施形態では結晶は、a=80.50Å、b=88.66Åおよびc=101.75Åの単位セル寸法、および全寸法において5%の単位セル可変性を有する空間群I212121を有する。
結晶は3.0Åより良い分解能、より好ましくは2.5Åより良い分解能までX線を効果的に回析することが好ましい。
他の態様では本発明は、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位の全体または一部分±0.5Å未満のCα原子由来の二乗平均平方根偏差によって定義される構造を含む、タイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶を提供する。
付録I(a)、(b)、(c)および(d)中に述べるIgNARドメイン構造はモノマー構造である。IgNAR可変ドメインに関して結晶学的にモノマーを観察したのは、今回が初めてである。
付録I(a)、(b)、(c)および(d)中では、第3列が原子型を示し、第4列が残基型を示し、第5列が鎖の識別を示し、第6列が残基番号(Hong(2000)中に記載されたのと同様の原子番号)を示し、第7、8および9列が問題の原子のX、Y、Z配位をそれぞれ示し、第10列が原子の占有率を示し、第11列が原子の温度因子を示し、最終列が原子型を示す。
それぞれの付録は本質的に一貫した形式で示す。例えば、それぞれのアミノ酸残基の原子の配位は、(1つの標準的慣習に従い示して)骨格窒素原子が最初、次にCAで示すC-α骨格炭素原子、次にタンパク質骨格の炭素および酸素、最後に側鎖残基となるように列挙する。異なる順序のこれらの原子、または異なる表示の側鎖残基を含み得る、代替ファイル形式(例えば、EBIマクロ分子構造データベース(Hinxton、UK)のそれと一致する形式など)を使用することができるか、あるいは当技術分野の他のものより好ましい可能性がある。しかしながら、異なるファイル形式を使用して付録の配位を表示または操作することは、本発明の範囲内にあることは明らかであろう。
本明細書で論じるように我々は、これらのドメインの抗原結合または可溶性/安定性に重要な12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7のIgNAR可変ドメインの構造特徴を同定してきている。これらの特徴をIgSFの他のメンバーのドメイン(例えば、IセットまたはVセットドメイン)に導入して、結合性を変える、あるいは可溶性および/または安定性を改善することができる。付録I中に示される情報を使用して、例えば修飾されたIgSFドメインの構造を比較して、IgNAR可変ドメインの構造とより密接に類似させることができる。
タンパク質の構造類似性は、二乗平均平方根偏差(r.m.s.d.)によって通常表示または測定し、これは二組の原子間の空間内の位置の違いを測定する。「二乗平均平方根偏差」とは、平均からの偏差の二乗の相加平均の平方根を意味する。r.m.s.d.は、等しい原子間の距離をそれらの最適な重ね合わせの後に測定する。r.m.s.d.は全ての原子、残基骨格原子(すなわち、タンパク質アミノ酸残基の窒素-炭素-炭素骨格原子)、主鎖原子のみ(すなわち、タンパク質アミノ酸残基の窒素-炭素-酸素-炭素骨格原子)、側鎖原子のみあるいはより通常はC-α原子のみに関して計算することができる。本発明の目的用に、以下に概略する方法のいずれかを使用して、これらのいずれかに関してr.m.s.d.を計算することができる。
タンパク質の構造を比較する方法は、Methods of Enzymology、vol115、pg397〜420中で論じられている。r.m.s.d.を計算するのに必要な最小二乗法の代数がRossman(1975)によって与えられてきているが、さらに迅速な方法がKabsch(1976 & 1978)、Hendrickson(1979)およびMcLachan(1979)によって記載されてきている。幾つかのアルゴリズムは、Ferro(1977)によって記載されたのと同様に、1つの分子を他の分子に対して移動させる反復手順を使用する。他の方法、例えばKabschのアルゴリズムは、最適性を直接特定する。
C-α原子およびr.m.s.d.はしたがって、LSQKAB(Collaborative Computational Project4.(CCP4 1994))、MNYFIT(COMPOSERと呼ばれるプログラムの集合の一部)(Sutcliffe(1987))、MAPS(Lu1998)、QUANTA(Jones1991およびAccelerys、San Diego、Calif.から市販されているもの)、Insight(Accelerys、San Diego、Calif.から市販されているもの)、Sybyl.RTM.(Tripos、Inc.、St Louisから市販されているもの)、O(Jones1991)および他の配位適合プログラムなどのプログラムを使用して計算することができると考えるのが普通である。
例えばプログラムLSQKABおよびOでは、計算の目的で対にする2つのタンパク質中の残基を、ユーザーは定義することができる。あるいは、2つのタンパク質の配列アラインメントを作製することによって残基の対を決定することができる。したがって原子の配位をこのアラインメントに従い重ね合わせることができ、r.m.s.d.値を計算することができる。プログラムSequoia(Bruns1999)は、相同タンパク質配列のアラインメント、および相同タンパク質の原子の配位の重ね合わせを実行する。ひとたびアラインメントをとらせた後、前に詳述したプログラムを使用してr.m.s.d.を計算することができる。同一、あるいは充分同一である配列用に、前に概略したように手動または自動でタンパク質の構造アラインメントを行うことができる。他の手法は配列を考慮せずに、タンパク質の原子座標の重ね合わせを生み出すと思われる。
著しく異なる配位組を比較してC-α原子のみのr.m.s.d.値を計算するとき、他の手法がさらに正常である。側鎖の動きを分析して全原子のr.m.s.d.を計算するとき、他の手法が特に有用であり、これはLSQKABおよび他のプログラムを使用して行うことができる。
一斉方式で約0.5Åまで、好ましくは約0.3Åまで任意の方向に、構造の原子の原子配置を変えることによって、その構造特性と例えば分子構造系分析に関する有用性の両方の点で、付録I(a)または(b)の構造と実質的に同じ構造が生じると思われる。
当業者は、本発明の多くの適用例において、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の全配位を利用することは必要ではなく、それらの一部分のみを利用することが必要であることを理解していると思われる。用語一部分は、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7構造中の隣接アミノ酸残基を表すことができるかあるいはできない、配位の部分集合を定義することを目的とする。
本発明は、他のIgSFドメインの相同性モデル化用の手段も提供する。「相同性モデル化」によって、構造のX線結晶学データまたはコンピュータ支援de novo予測のいずれかに基づく、付録Iの配位データの操作に基づく、関連IgSFドメイン構造の予測を意味する。
用語「相同領域」は、同一であるかあるいは類似の(例えば脂肪族、芳香族、極性、負に帯電した、または正に帯電した)側鎖化学基を有する、2つの配列中のアミノ酸残基を記載する。相同領域中の同一および類似残基は、当業者によりそれぞれ「不変型」および「保存型」として時折記載される。
一般に方法は、アミノ酸配列のアラインメントをとることによって(Dunbrack(1997))、付録I(a)、(b)、(c)または(d)のIgNARドメインのアミノ酸配列と修飾IgSFドメインのアミノ酸配列を比較することを含む。配列中のアミノ酸を次いで比較し、相同であるアミノ酸の群(便宜上「対応領域」と呼ぶ)は1つにグループ分けする。この方法はポリペプチドの保存領域を検出し、アミノ酸の挿入または欠失を計算する。
アミノ酸配列間の相同性は、市販のアルゴリズムを使用して測定することができる。プログラムBLAST、ギャップ化BLAST、BLASTN、PSI-BLASTおよびBLAST2配列(National Center for Biotechnology Informationによって提供される)は、この目的のために当技術分野で広く使用されており、2つのアミノ酸配列の相同領域のアラインメントをとることができる。これらはデフォルトパラメータと共に使用して、モデル化する12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7タンパク質および他のIgSFドメインのアミノ酸配列間の相同性の程度を測定することができる。
このような相同性モデル化は、当業者によく知られている技法である(例えば、Greer1985およびBlundell1988を参照のこと)。これらの参照文献中に記載される技法、および当技術分野で一般に利用可能な他の相同性モデル化技法は、本発明を実施する際に使用することができる。
したがって本発明は、相同性モデル化の方法であって、(a)IgSFドメインのアミノ酸配列図と図1に示す12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-9のアミノ酸配列を一直線に並べて、アミノ酸配列の相同領域を適合させるステップ、(b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)によって定義される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7構造の対応する領域上の前記IgSFドメインの適合相同領域の構造をモデル化するステップ、および(c)(例えば好ましい相互作用部分がIgSFドメイン内で形成され、および/または低エネルギー立体配座が形成されるように)、前記適合相同領域の構造を実質的に保つ前記IgSFドメインの立体配座を決定するステップを含む方法を提供する。
ステップ(a)〜(c)の1つまたは全ては、コンピュータモデル化によって実施することが好ましい。
12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7構造をin silicoで利用する、本明細書に記載する本発明の態様は、本発明の方法によって得られる修飾IgSFドメインのモデルに同様に適合させることができ、この適用例は本発明の他の態様を形成する。このようにして12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の立体配座を決定した後、このような立体配座は、本明細書に記載する診断または治療用途用の修飾ドメインを合理的に設計する、コンピュータベースの方法において使用することができる。
12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の構造を使用して、他のIgNARドメインの結晶構造を解明することもでき、これらの他のドメインのX線回析データまたはNMR分光データが作製されてきており、構造を与えるために解釈を必要とする。
これらの目的に使用することができる1つの方法は分子置換である。この方法では、未知のIgNARドメインの結晶構造は、本明細書で与える12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の構造配位を使用して決定することができる。この方法は、最初からこのような情報を決定することを試みることより迅速かつ有効に、未知の結晶に関する正確な構造形を与えると思われる。
分子置換を実施するための当技術分野で知られているコンピュータプログラムの例は、CNX(Brunger1998a(Accelerys San Diego, Calif.からも市販されている))またはAMORE(Navaza1994)である。
したがって、他の態様では本発明は、タンパク質の構造を決定するための方法であって、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を与えること、および(a)前記タンパク質の結晶単位セル中の配位を特定して、前記タンパク質の構造を与えること、または(b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を処理することによって前記タンパク質のNMRスペクトルピークを割り当てることのいずれかを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、以下の:(a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ(構造要因は回析波の振幅および相を含む)、(c)付録Iのデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成したIgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したIgSFドメインの原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むシステム、特にコンピュータシステムを提供する。
例えばコンピュータシステムは、(i)コンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含むコンピュータ可読データ記憶媒体、(ii)前記コンピュータ可読データを処理するための命令を記憶するためのワーキングメモリー、および(iii)前記コンピュータ可読データを処理し、それによって構造を作製するおよび/または合理的な薬剤設計を実施する、前記ワーキングメモリーおよび前記コンピュータ可読データ記憶媒体と結合した中央処理装置を含むことができる。コンピュータシステムは、前記構造を示すための前記中央処理装置と結合したディスプレイをさらに含むことができる。
本発明は、付録Iによって与えられる出発データに基づき本明細書に記載する本発明の方法によって作製されている、修飾IgSFドメインの原子座標データを含むようなシステムも提供する。
IgSFドメインの作用機構を分析するための構造の作製、および/または診断または治療目的のIgSFドメインの合理的設計の実施を含めた、幾つかの目的にこのようなデータは有用である。
他の態様では本発明は、コンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7、あるいは12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の異型の構造配位の全体または一部分(例えば、本明細書で定義する選択配位)によりデータが定義され、前記異型が、付録IのCαまたは骨格原子(窒素-炭素α-炭素)からの二乗平均平方根偏差が2Å未満、例えば1.5Åを超えないなど、好ましくは1.5Å未満、より好ましくは1.0Å未満、さらにより好ましくは0.74Å未満、さらにより好ましくは0.72Å未満、および最も好ましくは0.5Å未満である骨格原子を含む、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
本発明は、付録Iに従う12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の構造配位の少なくとも一部分(例えば、本明細書で定義する選択配位)のフーリエ変換を含む第一組のコンピュータ可読データであって、未知の構造の分子または分子複合体のX線回析パターンを含む第二組の機械可読データと組合せ、前記第一組のデータおよび前記第二組のデータの使用に関する命令でプログラムされた機械を使用すると、第二組の機械可読データに対応する構造配位の少なくとも一部分を決定することができる、第一組のコンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含む、コンピュータ可読データ記憶媒体も提供する。
他の態様では本発明は、(a)付録Iに従い付録Iに記録される原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な付録Iに記録される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、(c)付録1のデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成した標的IgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
このようなコンピュータ可読媒体を提供することによって、原子座標データに通常どおりアクセスして、IgSFドメインまたはその選択した配位をモデル化することができる。例えばRASMOL(Sayle1995)は、構造決定および/または合理的な薬剤設計用の原子座標データのアクセスおよび分析を可能にする、公に入手可能なコンピュータソフトウェアパッケージである。
他方で、原子座標データから誘導可能な構造要因データ(例えば、Blundell1976を参照のこと)は、例えばフーリエ電子密度マップの違いを計算するのに特に有用である。
本発明の他の態様は、IgSFドメインに関する構造を作製するためおよび/または合理的な薬剤設計を実施するためのデータを与える方法であって、(i)以下の:(a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造の少なくとも1つのサブドメイン、または12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の複数の原子の配位を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、(c)付録Iのデータに基づくドメインの相同性モデル化によって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したタンパク質の原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読データを含むリモートデバイスとの連絡を確立させること、および(ii)前記リモートデバイスから前記コンピュータ可読データを受信することを含む方法を提供する。
本発明の他の態様は、IgSFドメインに関する構造を作製するためおよび/または合理的な薬剤設計を実施するためのデータを与える方法であって、(i)以下の:(a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造の少なくとも1つのサブドメイン、または12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の複数の原子の配位を定義するデータ、(b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、(c)付録Iのデータに基づくドメインの相同性モデル化によって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、(d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したタンパク質の原子座標データ、および(e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読データを含むリモートデバイスとの連絡を確立させること、および(ii)前記リモートデバイスから前記コンピュータ可読データを受信することを含む方法を提供する。
したがってリモートデバイスは、例えば本発明の前述の態様の1つであるコンピュータシステムまたはコンピュータ可読媒体を含むことができる。デバイスはコンピュータ可読データが受信される異なる国または管轄区に存在してよい。通信はインターネット、イントラネット、eメールなどを介したものであってよい。典型的には通信は電子化された性質のものであってよいが、通信経路の一部分または全体は光学式、例えば光ファイバーであってよい。さらに通信は、ラジオシグナルまたは衛星通信を介したものであってよい。
12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7構造のフォールディング形態は、2つのβ-シートによって形成され対面でパッキングされB鎖とF鎖の間のジスルフィド結合によって連結したβ-サンドウィッチ構造によって確認される、特徴的な免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のフォールディングを示す(Bork1994; Chothia1998)。鎖間の特徴はCDR1およびCDR3ループと類似した2つのループ領域を含むターン、コイルおよびループである。
構造は図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含む。本明細書で使用する「ループ領域」は、1つまたは複数のβ鎖立体配座の間から延長するペプチド配列の一部分である。本明細書で使用する「β鎖領域」は、延長型β鎖立体配座、すなわち少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸を含むβ鎖を含む。ループ領域は典型的には延長型β鎖立体配座を含まないが、縮小型β鎖立体配座、すなわち4個未満のアミノ酸を含むβ鎖を含む可能性がある。NおよびC末端ループ領域以外に、ループ領域は反対方向に延長したβ鎖と結合する。
ループ領域5は、縮小型β鎖立体配座を含むことが好ましい。我々はループ領域8が、縮小型または延長型であってよいβ鎖立体配座を含み得ることも見出しており、これらは以下でさらに詳細に論じる。他のループ領域はβ鎖立体配座を含まないことが好ましい。
12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7骨格の詳細な分析は、幾つかの重要な特徴の中間(Iセット)フォールディングと類似した新規なフォールディング形態だけでなく、可変(Vセット)ドメイン中で見られる異なる構造特徴も示す。より詳細には構造は図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含み、ループ領域5は図3に記載のD'およびC'で示す2個の縮小型β鎖領域、および5a、5bおよび5cで示す3個のループ領域を含む。
同化したデータから表3は、タイプ2のVNARのさまざまなループおよびβ鎖領域中に存在するアミノ酸残基の数の減少を表す。ループ領域4は従来のCDR1ループと類似している。ループ領域8は従来のCDR3ループと類似している。ループ領域8は約5〜30の範囲の可変数のアミノ酸を含み得るので、18というデフォルト値をそれに使用して、後の領域用の残基番号を配置する。したがって残基番号は、配列中に存在するアミノ酸残基の合計数とは必ずしも関係がない。それは18アミノ酸残基というデフォルト値を有するループ領域8に基づく。
表3Aは、タイプ2のVNARのループ領域5中に存在するアミノ酸残基の数の減少を表す。ループ領域5はD'およびC'で示す2個の縮小型β鎖領域、および5a、5bおよび5cで示す3個のループ領域を含む。
VセットおよびIセットタンパク質の両方が第一鎖中に典型的な結合(A')を有しており、これが鎖の第一部分(A)とβ-サンドウィッチシートの一部分の水素結合、および第二部分(A')と他のβ-シートの延長G鎖の水素結合を可能にする。第一鎖の結合は図4に示すVNARタンパク質中に見られる。それは充分に保存されたシス-プロリン(Pro7)、可変ドメインの第一鎖結合中の最も典型的な残基で始まる(Spada1998)。Vセットタンパク質と同様に、12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7も、C末端のG鎖(保存型Gly-Ala-Glyモチーフ)およびC'鎖中に隆起を有する。最も有意なことに12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7は、短いC'鎖(3つのH-結合)、およびVセットドメイン中と同様に1つの水素結合がC'鎖ではなくD鎖と結合するように1つのβ-シートから他のβ-シートに不規則に変化する、非常に短いC"鎖(D'として図3に示す)を有する点で、Iセットタンパク質と類似している。
12Y-2の鎖AおよびB(113残基のCαに関する0.53Åのr.m.s.d.)と12Y-1骨格(100残基のCαに関する0.72Åのr.m.s.d.)は、密接に関係がある(図5参照)。構造情報が入手可能である12Y-2の鎖Aと多様な可変および中間組のタンパク質の他の構造比較(図6および7参照)は、VNARは神経細胞接着分子(NCAM)(Harpaz1994; Chothia1997; Soroka2003)およびTelokin(Chothia1997; Holden1992)などのIセット分子と、最も密接に関係があることを示す。この類似性は、従来の抗体において分子の先端まで延長し免疫認識と関係があるCDR2ループによって結合した延長C'およびC"鎖の不在によって大きく偏向する。対照的に、12Y-2鎖のAと従来のT細胞受容体(TCR)Vα、およびVH、VL、および単鎖ドメインVHH抗体の比較により、C'、C"およびCDR領域を差し引いた主鎖周辺を基盤とする主な残基よりも一貫した構造同一性が低いことが示される。ラクダ科において見られる単鎖VHHドメインは、VNAR構造と類似していると予想することができるが、しかしながら、これらの単鎖ドメイン抗体は明らかに哺乳動物IgG様原種から生じており、可溶性、安定性、および延長CDR3の突然変異を首尾よく獲得している(Nguyen2002)。VHHとVNARの間の低い構造相同性はそれらの非常に低い配列相同性と一致しており、溶媒溶解度および結合親和性を獲得する問題に対する相近進化の解決策となる。
図8中には、3つの古典的に定義される抗体CDRまたは超可変ループ領域の相対位置を示す。配列アラインメントは、従来のCDR1およびCDR-3領域に対応するループ領域4および8に限られるIgNAR抗体の可変性を示し、このことは我々の構造分析によって確認され、典型的な「CDR2ループ」と類似したループ領域が欠けており、その底部のターンは抗原結合面(またはパラトープ)から充分離れているようである。配列分析は、ループ領域4は長さが不変であり、多様性が限られる少数のループ要素であることも示唆する。この領域は残基28〜33(12Y-1: NSYGLESC; 12Y-2: NSFELKDC)に限られ、抗体の軽鎖可変ドメインにおいて観察される標準構造2の形態に近い形態を有する(1.22ÅのCαのr.m.s.d.および1hzhVL、図9参照)(Chothia1989)。半分のシステインがVNARループ領域4中に存在する場合、それは位置29または32のみに見られる。この2つの残基の側鎖は延長型ループ領域8に対して外側および上側に延長し、理想的に位置してこの領域中に付随する半分のシステインと接触する(図10参照)。非常に多様なループ領域8に固有な非常に大きな形態の範囲を考慮すると、これらの安定したジスルフィド結合の制限にもかかわらず、ループ領域8によって明らかに広くさまざまな立体配座がとられる可能性がある。このような極端な多様性はVHH単鎖ドメイン抗体のCDR3ループに関しても観察されてきており、1つの抗原が非常にさまざまな免疫応答および著しく異なるループ形態を誘導する(Desmyter2002)。
12Y-2のCDR3ループは2つの結晶形で存在し、鎖AおよびBに対応し、残基Phe86からGlu103に延長する。通常ではないが鎖Aのループ領域8は、柔軟性のあるループ(Pro90-Ser97)により隔てられているPhe86-Leu89、およびLeu98-Glu103由来のβ鎖を有する明らかなβヘアピン鎖立体配座をとる。鎖Bに関しては、βヘアピンはβ鎖形成と関係がある残基Phe86-Asp93、およびTyr96-Glu103を有するループ領域8へとさらに延長する(図11参照)。構造的に、βヘアピンは主鎖の水素結合によって形成される(<3Å): Tyr87(O)-Phe100(N); Tyr87(N)-Phe100(O); Leu89(N)-Leu98(O); Leu89(O)-Leu98(N)、および、Asp93(O)-Tyr96(O)(図11)。鎖Bのループ領域8に関する他のH-結合はAsp93(N)-Tyr96(O);Asp93(O)-Tyr96(N);および、Leu91(O)-Tyr96(O)である。したがって12Y-2のループ領域8は、保存型βシート骨格上に20Åまで延長した最遠方地点で、位置94および96でのチロシン残基の塊状側鎖により先端形成され、免疫グロブリンフレームワークから外側および上側に延長する(図8および11参照)。このような延長型抗原結合パラトープは、しかしながら限られた数の抗体、例えばラクダ抗リゾチームVHHcAb-Lys3(Desmyter1996)、およびHIVgp120結合の裂け目に深く貫通するヒト抗体b12のH3ループ(Sapphire2001)において観察されてきている。12Y-2の領域8の延長ループの長さとこれらの抗体の比較によって、12Y-2のループ領域8は長さが長く、同様の方式で抗原と結合することができることが明らかになる。したがって、12Y-2のループ領域8に基づく構造およびその延長βヘアピン構造は、例えば酵素活性部位、寄生虫コートタンパク質中の埋もれた裂け目および腔、あるいはウイルス中の裂け目に貫通するのに理想的なものとなる可能性があることは明らかである。
AMA1抗原結合親和性を10倍まで独立に増大させた12Y-2のループ領域8中の2つの突然変異(Nuttall2004)を、我々は以前に同定した。理論によって制限されずに、これらの突然変異(Pro90LeuおよびPhel00Leu)はおそらく、骨格の残り部分に対してヒンジ領域周辺のβヘアピンの柔軟性を増大させるように作用すると考えられる(図11参照)。例えば、3つの芳香族残基、CDR1のPhe29、ならびにループ領域8のTyr87およびPhe100は、C-Hπの相互作用の安定化と関係がある側鎖を有する(dC-X<4.8Å、この場合Xはπ系の質量中心である(Brandl2001))。他の安定性は水素結合Tyr87(OH)-Glu103(Oε)に由来する。したがって、12Y-2とAMA1標的の結合は堅いβヘアピンによっておそらく仲介され、ループ構造の底部における柔軟性によって仲介される抗原とのアクセスが増大する。対照的に、12Y-1のループ領域8は結晶構造が解明されておらず、溶液中の類似のヒンジ様残基周辺でおそらく非常に柔軟性がある。12Y-2の芳香族のループ領域8の残基は12Y-1中のArg87およびPro98で置換され、ループ領域の安定性を低下させる、すなわちループ領域4のPhe29はここでGlu101(12Y-2中のGlul03)(Tyr29(OH)-Glu101(Oε)と水素結合しており、ループ領域8のヒンジは支持されていない状態である。
ここで我々は、異常なVNARC'C"D鎖形態の抗原認識に対する影響に話を向ける。VNARの「CDR2」ループは存在せず、分子の底部で短いβターンに置換されている。これは図12中に図によって示し、VNARの「CDR2」は典型的なヒト抗体のそれと一直線に並ぶ。このループの「底部の」位置は、低い配列変異性と組合せて、この領域は抗原との相互作用に対してほとんど影響がないことを強く示唆する。しかしながら従来のC"およびD鎖の消失は、延長した12Y-2のループ領域8が従来のCDR2の不在下で開く大きな凹状ポケットと組合わさった、抗原結合に関する考えられる代替のモデルを示唆する(図8)。他の構造変異性も、「CDR2」の直前の残基Lys40〜Glu46の範囲でC鎖ループの12Y-1および12Y-2構造において観察される(図12)。異なるサメ種由来のVNARの比較はこの領域中の有意な配列異質性を示し、これは分子の残り部分未満の淘汰圧下にあり構造塑性の影響をある程度受けやすい領域を表す可能性が最も高い。
延長CDR2ループの欠如は、単離VNAR間の相互作用に対しても相当な影響がある。12Y-1および12Y-2は結晶学上2重対称のダイマーを形成し、これはループ領域4および8の下に連続的な8本鎖βシートを形成し、それぞれ従来のCDR1およびCDR3ループに対応する(図13参照)。異なる結晶形(12Y-1は正方晶系; 12Y-2は斜方晶系)にもかかわらず、12Y-1タンパク質と12Y-2タンパク質の間で接触領域は充分保たれている。12Y-2ダイマー形と12Y-1ダイマー形の比較は、2重モノマー間の相互作用表面は連続的ではなく、3つの領域(i)D鎖間の主鎖βシート相互作用表面、(ii)ループ領域4間の相互作用表面、および(iii)ループ領域8間の相互作用表面にさらに分けることができることを示す(図13および表4参照)。12Y-2中のループ領域8間の接触は広範囲であるが、ダイマーの配列は、より柔軟性があり著しく歪んだループ領域8にもかかわらず12Y-1結晶中において保たれており、ループ領域8の立体配座が絶対に必要とされるわけではないことを示す。したがって、最も有意なダイマーの接触はループ領域4によって、および特に主鎖の相互作用が側鎖の変化と無関係なD鎖によっておそらく仲介される。1760Å2までの埋もれた表面積によって、12Y-2ダイマーは真のタンパク質-タンパク質相互作用部位であるようである、何故なら結晶中のこのような寸法の非特異的界面を発見する統計的確率は、1%未満だからである(Lo Conte1999)。我々はこの立体配座は独立したIgNAR可変ドメイン(すなわち、定常ドメインと結合していない)に関する一般的な現象であることを示唆する、何故なら我々は、他の組換えVNAR(Nuttall2002)においてこのようなダイマー種をさらに観察しているからである。
VH/VL抗体およびVα/VβTCRなどのヘテロダイマー形の免疫受容体では、対のドメインが広範囲の疎水性界面で相互作用する。この非溶媒露出領域は、AGFCC'のβ鎖上の残基の保存群と追加のCDR3の相互作用によって形成される。対照的に、多くのIgSF系細胞表面受容体は溶液中では単鎖ドメインであり、β-サンドウィッチのこの面は一層の荷電性/極性を呈する。我々は12Y-2のVNAR、ラクダのVHH、TCRのVα、抗体のVH、およびNCAMおよびTelokinドメイン上のこの領域を比較している。ドメイン接触面間の疎水性領域はTCRおよび抗体ドメインに関してすぐに明らかであり、界面の中心の芳香族残基の周辺に集中している。例えばLeu45ArgおよびGly44Gluを突然変異させて一層の荷電性を与えることによって、VHHドメインの表面の性質を変える。しかしながら、ラクダ科におけるこれらの単鎖ドメイン抗体の発生からの比較的短い進化時間は、他の解決策、例えば、(従来のCDR3ループと類似した)ループ領域8の一部分が引き継がれて以前のVL界面、例えば残基Asp121およびTyr120を部分的に含む、例示する抗体も採用されていることを意味する。これらのラクダ科への適合はネズミおよびヒト抗体の可変ドメインに直接移すことができるが、生成するタンパク質は予測不能な立体配座の変化により増大した溶解度を獲得することが多い(Riechmann1996)。可溶性ヒト単鎖可変ドメインの単離も立体配座の摂動に依存する可能性があり、例えば保存残基Trp47の側鎖はVL界面上の腔にはじかれる(Jespers2004)。
対照的にVNARに関しては、この面は荷電および極性残基Tyr37、Glu46、Lys82、Gln84、Arg101、およびLysl04によって占められている。残基Glu46、Lys82、およびLys104は特にタイプ2のVNAR中で充分保存されており、この場合側鎖間(すなわちGlu46Oε1-Lys104Nζ)および隣接水分子との水素結合(すなわちGlu46Oε2-H2O-Lys82Nζ)の形を有する荷電ポケットを形成する。中心のTyr37は免疫グロブリンスーパーファミリー中の芳香族種として充分保存されており、それならびに残基Gln84およびArg101は、骨格-CDR3水素結合網(Argl0l(NH2)-Gln84(Nζ2);Tyr87(OH)-Arg101(NH2)の形成にも関与している。これらの残基の組合せ効果は、それが結晶形の水分子によって囲まれるように高度の溶媒可溶性を示す、保存型の荷電ポケットを形成することである。Glu46、Lys82、およびLys104トリオの保存は安定性のある充分に確立された面を示唆する。同様の状況がNCAMにおいて観察され、この面は荷電残基Lys76およびGlu88によって占められており、Telokinに関しては、荷電および極性界面は水素結合の組合せによって保たれている。
IgNAR可変ドメインに対する修飾
結晶構造の分析は、例えば治療、診断およびバイオアレイ試薬としてのVNARタンパク質の可能性を明らかにしている。例えばVNARタンパク質は、その中でβヘアピン構造が延長して他の場合隠れている抗原部位に貫通することができるパラトープを形成する、裂け目に結合する抗体として作用する可能性を有する。さらに、これらのタンパク質は高度の安定性を有しており、それらの操作および実用用途の点で有意な利点を与える。
したがって本発明は、図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインの性質を変える方法であって、前記方法がβ鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内のIgNAR可変ドメインを修飾することを含む方法を提供する。
IgNAR可変ドメインの性質が変わるように、IgNAR可変ドメインを修飾する。ドメインのいずれかの特性または属性が非修飾ドメインの対応する性質と異なる場合、IgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインの性質が変わる。これらの性質には基質特異性、基質親和性、結合親和性、結合選択性、触媒活性、熱安定性、アルカリ安定性、pH活性概略、タンパク質分解に対する耐性、運動結合性、運動解離性、免疫原性、分泌能力、受容体を活性化する能力、疾患を治療する能力、可溶性、細胞毒性活性および酸化安定性があるが、これらだけには限られない。
他に特定しない限り、IgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインの性質は、その性質が非修飾ドメインの対応する性質に対して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも50%、および最も好ましくは少なくとも2倍の増大または低下を示すとき、変化していると考えられる。
好ましい実施形態では、修飾IgNAR可変ドメイン、および付随する結合成分の可溶性を、対応する非修飾IgNAR可変ドメインに対して変える、好ましくは改善する。
他の好ましい実施形態では、IgNAR可変ドメイン、および付随する結合成分の安定性を、対応する非修飾IgNAR可変ドメインに対して変える、好ましくは改善する。安定性の改変の例は、以下の性質:熱安定性、アルカリ安定性、pH活性概略およびタンパク質分解に対する耐性の1つを変えることを含む。
特に好ましい実施形態では、IgNAR可変ドメインの結合特性を対応する非修飾IgNAR可変ドメインに対して変える。結合特性の改変の例は、以下の性質:基質特異性、基質親和性、触媒活性、運動結合性、運動解離性、結合親和性および結合選択性の1つを変えることを含む。
他の好ましい実施形態では、非修飾IgNAR可変ドメインと比較して、修飾がIgNAR可変ドメインの性向を増大または低下させてホモダイマーを形成する。
本発明は、本発明による方法により生成される修飾IgNAR可変ドメインを含む結合成分も提供する。
本発明は、図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインを含む結合成分であって、β鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内でIgNAR可変ドメインが修飾されている結合成分も提供する。
非修飾β鎖領域およびループ領域は、表3に記載のアミノ酸残基番号を有することが好ましい。
非修飾ループ領域5は、いずれも図3に記載のC'およびD'で示す2個のβ鎖領域、および5a、5bおよび5cで示す3個のループ領域を含むことが好ましい。したがって好ましい実施形態では、IgNAR可変ドメインは図3に記載のA、A'、B、C、C'、D'、D、E、FおよびGで示す10個のβ鎖領域、および図3に記載の1、2、3、4、5a、5b、5c、6、7、8および9で示す11個のループ領域を含む。ループ領域5a、5bおよび5c、ならびにβ鎖領域C、C'およびD'は表3Aに記載のアミノ酸残基番号を有することが好ましい。
好ましい実施形態では、修飾前にIgNAR可変ドメインを修飾する場合、ループ領域5bのCα痕跡は、表1中で定義する残基22、83および36のCα痕跡によって形成される平面より5Åを超えずに広がる。
好ましい実施形態では、非修飾β鎖領域A、A'、B、C、D、E、FおよびG、ならびにループ領域1、2、3、6、7および9のアミノ酸配列は、図1および/または表1に記載のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、IgNARはタイプ2またはタイプ3のIgNAR、好ましくはタイプ2である。IgNARはサメ類、好ましくはオオセザメに由来することが好ましい。
他の好ましい実施形態では、非修飾IgNAR可変ドメインは図1に示す配列を有する。非修飾IgNARは12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7であることがより好ましい。
適切な修飾には少なくとも1個のβ鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内の置換、挿入および欠失がある。欠失、挿入および置換の組合せを施して、IgNAR修飾可変ドメインを作製することができる。
適切なヌクレオチド変化を本発明の核酸中に導入することによって、あるいは望ましいポリペプチドのin vitro合成によって、修飾体を調製することができる。このような突然変異は、例えばアミノ酸配列内の残基の欠失、挿入または置換を含む。
アミノ酸配列突然変異体の設計では、突然変異部位の位置および突然変異の性質は、修飾する特性に依存すると思われる。突然変異部位は個別に、あるいは例えば(1)保存アミノ酸選択基で最初に置換し、次いで得られた結果に応じてより多くの選択基で置換すること、(2)標的残基を欠失させ、または(3)位置特定する部位の近辺に他の残基を挿入することによって連続的に修飾することができる。
保存置換基と同等であるがIgNAR可変ドメインの性質を変える修飾は、本発明の範囲内に含まれる。保存置換基の例は以下に与える:
さらに、望むならば、非天然アミノ酸または化学的アミノ酸類似体を、本発明のポリペプチドへの置換基または付加基として導入することができる。このようなアミノ酸には、一般的なアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸など、および一般的なアミノ酸類似体があるが、これらだけには限られない。
ポリペプチドの安定性および循環時間の増大、または免疫原性の低下などの利点を与えることができるIgNAR可変ドメインの化学的に修飾された誘導体(米国特許第4,179,337号参照)も、本発明の範囲内に含まれる。誘導体化用の化学成分は水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどから選択することができる。
例えばビオチン化、ベンジル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子または他の細胞リガンドへの結合などにより合成中または後に特異的に修飾した本発明の可変ドメインも、本発明の範囲内に含まれる。IgNAR可変ドメインは分子内のランダムな位置、あるいは分子内の所定の位置で修飾することができ、1、2、3個あるいはそれより多くの結合化学成分を含むことができる。これらの修飾は、例えば本発明の修飾ドメインの安定性および/または生物活性を増大させるために働き得る。
IgNAR可変ドメインは、CまたはN末端切断部を所有させることによって修飾することもできる。しかしながら、このような修飾の範囲は限られており、8個を超えない、好ましくは6個を超えない、およびより好ましくは4個を超えない残基を除去することが好ましい。N末端には切断部が存在しないことが好ましく、N末端またはC末端のいずれにも切断部が存在しないことがより好ましい。
本発明の修飾ドメインは、天然タンパク質の生成および回収、組換えタンパク質の生成および回収、およびタンパク質の化学合成を含めた、さまざまな方法で生成することができる。一実施形態では、ポリペプチドを生成するのに有効な条件下でポリペプチドを発現することができる細胞を培養すること、およびポリペプチドを回収することによって、本発明の単離ポリペプチドを生成する。
好ましい実施形態では、修飾は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個以上のアミノ酸の挿入を含む。
他の好ましい実施形態では、修飾は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個以上のアミノ酸の欠失を含む。
他の好ましい実施形態では、修飾は1つのループ領域中の2個以上のシステイン残基の置換を含み、システイン残基は他のループ領域中の他のシステイン残基とのジスルフィド形成と関係がある。
他の好ましい実施形態では、修飾は表1中に示す残基43の置換ではなく、あるいは残基43の2個以上の置換を含む。
他の好ましい実施形態では、表1中に示す残基33、37、46、48、50、51、59、61、86、94、95、96、98、99および101よって定義される群中の1つまたは複数のアミノ酸残基に修飾を施す。
好ましい実施形態では、IgNARのループ領域4またはループ領域8を修飾するとき、β鎖領域またはループ領域1〜3、5〜7または9の少なくとも1つも修飾する。
他の好ましい実施形態では、β鎖領域C、D、EまたはFまたはループ領域5、6または7の少なくとも1つが修飾されている。他の好ましい実施形態では、β鎖領域CまたはDまたはループ領域5の少なくとも1つが修飾されている。他の好ましい実施形態では、ループ領域5が修飾されている。
好ましい一実施形態では、修飾はループ領域8内の点突然変異を含む。例えば、残基Pro90および/またはPhe100を置換して、ループ領域8の柔軟性を高めることができる。
本発明の他の実施形態では、修飾はループ領域8の無作為化を含む。
さらに他の実施形態では、修飾はループ領域8中へのアミノ酸の挿入を含む。
さらに他の実施形態では、修飾はVセットまたはIセットドメイン由来のCDRループまたはその一部分をIgNAR可変ドメインに接合させることを含む。例えば抗体のCDR3ループは、ループ領域8の近辺のIgNAR可変ドメインに接合させることができる。接合は例えば、ループ領域8由来のアミノ酸(例えば、表1中に定義するアミノ酸86〜103またはその一部分)と、抗体のCDR3ループまたはその一部分を構成するアミノ酸の置換を含むことができる。修飾はループ領域4由来のアミノ酸(例えば、表1中に定義するアミノ酸28〜33またはその一部分)と、抗体のCDR1ループまたはその一部分を構成するアミノ酸の置換をさらに含むことができる。
他の好ましい実施形態では、ループ領域8のN末端およびC末端におけるアミノ酸残基が、それぞれβ鎖立体配座をとることができるとき、ループ領域8はβ鎖立体配座をとることができないループの一部分中の少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加によって、好ましくは付加によって修飾する。
他の好ましい実施形態では、ループ領域8のN末端およびC末端における2〜10、好ましくは3〜8個のアミノ酸残基はβ鎖立体配座をとることができる。
他の好ましい実施形態では、ループ領域のCおよび/またはN末端における1つまたは複数のアミノ酸残基を置換、欠失または付加して、好ましくは付加または置換して、Cおよび/またはN末端でβ鎖立体配座をとることを容易にすることによって、ループ領域8を修飾する。
他の好ましい実施形態では、ループ領域8を修飾して、2〜10、好ましくは3〜8個のアミノ酸残基長のCおよび/またはN末端でβ鎖立体配座をとることを容易にする。
任意の所与の配列がβ鎖立体配座を形成することができるかどうかを、in silicoモデル化により予測することが可能であることは、当業者によって理解されるであろう。多くのコンピュータプログラムが利用可能であり、当業者に知られている(例えばWolfson et al.2005およびXu et al.2000を参照)。適切なプログラムの例は二次構造予測サーバー上、http://www.predictprotein.org.でも見ることができる。
一実施形態では修飾は、非修飾IgNAR可変ドメインと比較して、所定の標的分子の修飾IgNAR可変ドメインの結合特性、例えば親和性を増大または低下させる。
リガンド(例えば抗原)と通常接触するか、あるいは我々が着手した研究から、リガンド(例えば受容体、酵素など)との相互作用に利用可能であり得るIgNAR可変ドメインの部分は、典型的にはIgNAR可変ドメインの溶媒露出領域である。特に、それらは一般に表面露出ループ、および特にIgNAR可変ドメインのループ領域8および4から構成されている。
非修飾IgNAR可変ドメインは、1つまたは複数の修飾ループ領域を有していることが好ましい。特にこれは、IgNAR可変ドメインの1つまたは複数の溶媒露出ループと、IgSFの他のメンバーの可変ドメイン由来の1つまたは複数のループを置換することによって達成することができる。ループ領域4および/または8、またはその一部分は修飾される、好ましくは他の分子由来の対応するループ構造(例えば、それぞれCDR1またはCDR3ループ構造)によって置換されることが好ましい。
溶媒露出していないかつ/あるいは結合ループの一部分、例えばβ鎖領域を形成しないIgNAR可変ドメインの領域に、修飾を施すこともできる。
他の好ましい実施形態では、非修飾IgNAR可変ドメインと比較して、修飾がIgNAR可変ドメインの性向を増大または低下させてホモダイマーを形成する。
他の好ましい実施形態では、非修飾IgNAR可変ドメインと比較して、修飾がIgNAR可変ドメインの可溶性を増大させる。
好ましい実施形態では、1つまたは複数の溶媒露出ループを修飾して可溶性を改善する。例えばジスルフィド結合形成システインを除去すること、および/または溶媒露出ループ内部由来のジスルフィド結合形成システインとアラニンまたはセリンなどのアミノ酸を置換することによって、可溶性を改善することができる。
IgNAR可変ドメインが細胞内の状況で機能するように設計される、かつ/あるいはそれらの生成法が可溶形の発現を助長する場合、可溶性を改善するための修飾が望ましい可能性がある。結合特性の変化などの他の修飾を施すと同時かあるいはさらに前に、IgNAR可変ドメインの溶解特性を変えることが必要とされる可能性があることも、当業者には明らかであると思われる。
IgNAR可変ドメインの安定性および可溶性などの物理化学的性質は、当技術分野で知られている広範囲の方法を使用して、定性的および/または定量的に決定することができる。結合成分の生物物理/物理化学性を特徴付けするために、本発明において用途を見出すことができる方法には、ゲル電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相高性能液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、質量分析、紫外線吸収分光法、蛍光分光法、円二色性分光法、等温滴定型熱量測定、示差走査熱量測定、分析限外濾過、動的光散乱、タンパク質分解、架橋、濁度測定、濾過遅延アッセイ、免疫学的アッセイ、蛍光染色結合アッセイ、タンパク質染色アッセイ、顕微鏡法、およびELISAまたは他の結合アッセイによる凝集の検出がある。X線結晶学技法およびNMR分光法を利用する構造分析も用途を見出すことができる。
タンパク質の安定性(例えば構造の完全性)は、例えばフォールディング状態と非フォールディング状態の間の熱力学的平衡を測定することによって決定することができる。
一実施形態では、安定性および/または可溶性は、ある明確な期間の後に可溶性タンパク質の量を測定することによって測定することができる。このようなアッセイでは、タンパク質は幾つかの極端な状態、例えば高温、低いpH、または変性剤の存在に曝すことができるか、あるいはできない。非フォールディングおよび凝集タンパク質がその機能を保つ、例えば所定の標的分子と結合することができるとは予想されないので、活性のある残留物の量は結合成分の安定性および可溶性の指標を与える。したがって、可溶性および/または安定性を評価する1つの方法は、結合成分を含む溶液を標的分子と結合するその能力に関してアッセイして、次いで溶液を1つまたは複数の明確な期間高温に曝し、次いで抗原の結合を再度アッセイすることである。
あるいは、修飾IgNAR結合ドメインは原核細胞発現系において発現される可能性があり、タンパク質は示差遠心分離、ポリヒスチジンなどの結合タグを使用する親和性単離クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを含む一連の生化学的精製ステップによって細胞溶解物から単離される。修飾ポリペプチドの可溶性の改善の測定は、同等の量の発現非分画生成物で始めて、精製手順の最後に得た可溶性タンパク質の量と非修飾ポリペプチドを使用して得た量を比較することによって実施することができる。培養中の生成物の発現レベルは、SDS界面活性剤で溶解した細胞溶解物の均等な等分試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、生成物のバンド強度を比較することによって標準化することができる。
さらに、化学変性剤、熱、またはpHを使用してIgNAR可変ドメインを非フォールディング状態にすることができ、この移行は円二色性分光法、蛍光分光法、吸光分光法、NMR分光法、熱量測定、およびタンパク質分解だけには限られないが、これらを含めた方法を使用して調べることができる。当業者によって理解されるように、フォールディングおよび非フォールディングの移行の運動パラメータも、これらの技法および他の技法を使用して調べることができる。
本発明のIgNAR可変ドメインの可溶性は、正確にフォールディングされた、モノマーポリペプチドの生成と関係があることが好ましい。修飾IgNAR可変ドメインの可溶性も、したがってHPLCまたはFPLCによって評価することができる。例えば、可溶性(非凝集)ドメインはHPLCまたはFPLCクロマトグラフ上で1つのピークを生み出し、一方で不溶性(凝集)ドメインは複数のピークを生み出すと思われる。さらに、正確にフォールディングすることができる能力、整然とした結晶鉛および構造を形成することができる能力も、優れた可溶性を示すことが多い。
加速安定性試験の一例として、IgNAR可変ドメインの等分試料を-20℃、4℃、20℃および37℃などの異なる温度で保存することができ、IgNAR可変ドメインの活性は異なる時間間隔でアッセイすることができる。例えば、12週間37℃での保存中の活性の首尾良い維持は、4℃で12ヶ月の保存安定性とほぼ等しい。試験を実施して、保存バッファー中の異なる保護添加剤のタンパク質の安定性に対する影響を比較することもできる。このような添加剤は、グリセロール、ソルビトールなどの化合物、ウシ血清アルブミンなどの非特異的タンパク質、またはタンパク質の貯蔵寿命を増大させるために使用することができる他の保護物質を含むことができる。
IgNAR可変ドメインに基づくIgSFのメンバーの修飾
本明細書に示す結果は、これらのドメインの抗原結合または可溶性/安定性に重要であるIgNAR可変ドメインの構造特徴も確認する。これらの特徴をIgSFの他のメンバーのドメイン(例えば、IセットまたはVセットドメイン)に導入して結合性を変える、あるいは可溶性および/または安定性を改善することができる。
したがって、他の態様では本発明は、IまたはVセットドメインを修飾する方法であって、前記方法がIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIまたはVセットドメインに挿入および/または置換することを含む方法を提供する。
他の態様では本発明は、IまたはVセットドメインを含む結合成分であって、IまたはVセットドメインがIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIまたはVセットドメインに置換または挿入することによって修飾されている結合成分を提供する。
「Iセットドメイン」によって、Chothia(1997)に述べられそれに従うA、A'、B、C、C'、D、E、FおよびGで示す9個のβ鎖領域を含むドメインを意味する。
代表的なIセットドメイン分子の例にはNCAM、VCAM、ICAM、Telokin、MADCAM-1、TwitchinおよびTitinがある。
「Vセットドメイン」によって、Chothia(1997)に述べられそれに従うA、A'、B、C、C'、C"、D、E、FおよびGで示す10個のβ鎖領域を含むドメインを意味する。
代表的なVセットドメイン分子の例には抗体、T細胞受容体(TCR)、CTLA-4、CD28、ICOS、CD2、CD4、Cd7、CD22、CD33、CD80、CD86、CD48およびCD58がある。
IセットまたはVセットドメインは、ドメインの性質を変えるように修飾することが好ましい。
一実施形態では、構造特徴はIgNAR可変ドメイン由来のループ領域である。例えば、IgNAR可変ドメイン由来のループ領域8および/またはループ領域4を、IまたはVセットドメインに接合させることができる。接合は例えばIまたはVセットドメインの適切な(例えば所定の)アミノ酸を、表1で定義するアミノ酸86〜103またはその一部分で置換することを含むことができる。
他の実施形態では、方法はIまたはVセットドメインのCDR2ループの全体または一部分を除去することを含む。
他の実施形態では構造特徴は、(例えば、表1中に定義する残基32、33、34、35、55、57および58を含む)ループ領域4のC末端ならびにCおよびDβ鎖中のIgNAR可変ドメインの溶媒露出面である。方法は表1中に定義するアミノ酸32、33、34、35、55、57および58またはその一部分と等しいIまたはVセットドメインのアミノ酸を修飾することを含むことができる。方法は(例えば、表1中に定義する残基32、33、34、35、55、57および58を含む)IgNAR可変ドメインの溶媒露出面またはその一部分を、IまたはVセットドメインに接合させることを含むことができる。接合はIまたはVセットドメインのアミノ酸と、IgNAR可変ドメインの溶媒露出面由来のアミノ酸を置換することを含むことができる。溶媒露出面のIまたはVセットドメインへの接合は、CDR2ループの全体または一部分の除去後に行うことが好ましい。修飾は荷電または極性アミノ酸をこれらの位置に導入することが好ましい。この修飾はIまたはVセットドメインの可溶性を改善することが好ましい。
好ましい一実施形態では、VセットドメインはTCRVαまたはVβドメインであり、IgNAR可変ドメインの溶媒露出表面と等しいアミノ酸はGly30、Ser31、Phe32、Phe33、Phe62、Thr63、Ala64およびGln65である。好ましくは修飾は、荷電または極性アミノ酸をこれらの位置に導入することを含む。
他の実施形態では、方法はTCRVαまたはVβドメインの1つまたは複数の残基を修飾することを含み、その1つまたは複数の残基はVαドメインとVβドメインの間の界面に位置する。好ましい実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基はSer31、Pro43、Leu89およびPhe106、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは修飾は、1つまたは複数の荷電アミノ酸をこれらの位置に導入することを含む。
他の実施形態では、方法は抗体VHまたはVLドメインの1つまたは複数の残基を修飾することを含み、その1つまたは複数の残基はVHドメインとVLドメインの間の界面に位置する。好ましい実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基は、Ser31、Pro43、Leu89およびPhe106、ならびにこれらの組合せからなる群から選択されるTCRVαまたはVβドメインのアミノ酸と等しい。好ましくは修飾は、1つまたは複数の荷電アミノ酸をこれらの位置に導入することを含む。
好ましい実施形態では、修飾はIまたはVセットドメインの可溶性を改善する。
他の態様では本発明は、図2によって定義するIgNAR可変ドメインのループ領域4および/またはループ領域8と等しいIまたはVセットドメインの領域に修飾を導入することを含む、IまたはVセットドメインを修飾する方法を提供する。
他の態様では本発明は、本発明の方法によって生成される修飾Vセットドメインを提供する。
マルチマー
本発明は、
(i)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つがIgNAR可変ドメインである少なくとも2つのIgNARドメイン、
(ii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるIセットドメインである少なくとも2つのIセットドメイン、または
(iii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるVセットドメインである少なくとも2つのVセットドメインを含む、マルチマーを含む結合成分も提供する。
2つのドメインは、同じ供給源または異なる供給源に由来してよい。
以下の記載は、IgNARドメインマルチマーを対象とする。しかしながら、IgNARドメインマルチマーに関して記載した多くの実施形態をIセットおよびVセットドメインマルチマーに同様に適用することができることは、当業者には明らかであると思われる。さらに、IgNAR可変ドメイン、IセットドメインおよびVセットドメインに関して本明細書に記載する本発明のさまざまな実施形態を、本発明のマルチマー実施形態中に存在するIgNAR可変ドメイン、IセットドメインおよびVセットドメインにそれぞれ同様に適用することは、当業者には明らかであると思われる。
マルチマーは、2つのIgNAR可変ドメインを含むことが好ましい。
好ましい実施形態では、1個または少なくとも2個のIgNARドメインは、図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含む可変IgNARドメインである。
好ましい実施形態では、少なくとも1つのIgNAR可変ドメインを、本明細書で前に記載した少なくとも1つのβ鎖またはループ領域内の少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加によって修飾する。
マルチマーが少なくとも2個のIgNAR可変ドメインを含む場合、その2個のドメインは、好ましくは少なくとも部分的には塩架橋によって、安定したホモダイマーを形成することが好ましい。したがって1つの好ましい実施形態は、安定したホモダイマーを形成する性向が増大するように、IgNAR可変ドメインの少なくとも1つが修飾されている実施形態である。他の好ましい実施形態では、少なくとも1つのIgNAR可変ドメインが修飾されて、非修飾IgNAR可変ドメインによって形成されるホモダイマーと比較して、形成されるホモダイマーの解離定数が増大している。
2個のIgNAR可変ドメインは、安定したホモダイマーを形成する性向が増大するように修飾されていることが好ましい。これは、(表1中に定義する)1つまたは2つの非修飾モノマーの以下の残基とシステイン残基:残基57および/または61;残基51および61または62のいずれか;残基32および/または33;残基99;または残基59を置換することによって実施することが好ましい。
我々は現在、完全なオオセザメ(Orectolobus maculatus)のIgNARコード配列をクローニングしてきている(図33参照)。このコード配列は、1つのIgNARIセットドメインおよび5Cドメインを含む単ポリペプチド鎖をコードしている。成熟IgNAR抗体では、これらの鎖は、位置Cys430およびCys660において半システイン残基によって仲介されるダイマーを形成する。生成する2つのジスルフィド架橋は、(1)定常ドメイン3に対するC末端および定常ドメイン4に対するN末端および(2)定常ドメイン5に対するC末端に位置する。
したがって他の実施形態では、マルチマーは少なくとも1つのIgNAR可変ドメインおよび少なくとも1つのIgNAR定常ドメインを含む。定常ドメインは、IgNARのC1定常ドメイン、すなわちIgNAR可変ドメインに性質が最も近い定常ドメインであることが好ましい。IgNAR可変ドメインとIgNAR定常ドメインの結合は結合親和性のレベルに対して影響がないことを、我々は見出している(実施例16参照)。これは、マルチマー化または結合親和性の消失を助長せずに、結合成分に物体を加えることが可能であることを意味する。したがって、このようなマルチマー構築体は市販のバイオセンサー試薬としての可能性を有する。
マルチマーは治療試薬用の1つの好ましい設計体である、何故ならマルチマーは、好ましい薬物動態および生体分布性を与え得る、増大した親和力および低下した血中クリアランス速度を与える可能性を有するからである。IgNARドメインは、化学的または遺伝的にコードされたリンカーの使用を含めた、共有結合または非共有結合または結合の組合せによって結合させることができる。タンパク質ドメインを結合させるために使用するリンカーは、特に免疫グロブリンスーパーファミリー中のタンパク質に関して当技術分野でよく知られておりよく理解されている(例えば、Casey JL et al.、2002 Br J Cancer.、86 (9): 1401〜10; Pluckthun、A.、およびPack、P 1997.Immunotechnology、3、83〜105)。したがって当業者は、任意の適切なヒンジまたは結合手段を使用して、少なくとも2つのIgNARドメインを結合させることができることを理解していると思われる。適切な化学結合の例には、ジマレイミドなどの適切な架橋剤を使用する2つのドメインの結合がある。あるいは2つのドメインは、それぞれCおよびN末端においてシステイン残基を与え、ジスルフィド結合を形成することによって結合させることができる。さらに2つのドメインは、GlyGlyGlyGlySerなどの単鎖GlySerリンカーを使用して結合させることができると思われる。当技術分野でよく知られている技法を使用して、ドメインを遺伝的に結合させることもできる。
記載したこれらのリンカー戦略のいずれかから生成するマルチマーは、同じまたは異なる標的特異性を有し、したがって多価または多重特異性試薬を与える可能性がある。好ましい実施形態では、2つのIgNAR可変ドメインを接合させて、共有結合または非共有結合または結合の組合せによってヘテロダイマーを形成することができ、これによって2つの標的結合親和性を与えることができる。マルチマー中の2つ以上のIgNAR可変ドメインが同じ標的特異性を有する場合、マルチマーは多価であり、2つ以上の標的分子との結合に関して増大した親和力(機能的親和性)を有すると思われる。
マルチマーの場合、IgNARドメインは互いに対して適切に配向されていなければならないことは、当業者によって理解されると思われる。第1のIgNARドメインは第2のIgNARドメインに対して適切にヒンジ状態であるか、あるいは結合していなければならない。マルチマーがIgNAR可変ドメインおよびIgNAR定常ドメインを含む場合、ドメインは互いに対して配向していることが好ましい、何故ならドメインは、それらが由来するそれぞれの原型タンパク質中に存在すると思われるからである。
結合成分
IgNAR可変ドメインを含む本発明の結合成分に関して、このような結合成分は、IgNAR可変ドメインの少なくとも1つの性質が変わるように修飾されているIgNAR可変ドメインを含む。このような結合成分は、適切なIgNAR可変ドメインが由来し得る完全長、野生型タンパク質を含まず、これらとは関係がないことは理解されよう。そうではなくて、このような結合成分は、それらの本来の環境から除去または単離されている可変ドメインを含むIgNARの一部分を含み、これらと関係がある。
好ましい実施形態では、結合成分のIgNAR可変ドメインは、結合成分中のアミノ酸残基の合計分子量および/または数の、少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、および最も好ましくは少なくとも95重量%を占める。特に好ましい実施形態では、結合成分は本質的にCBDからなる。
本発明の結合成分中に存在する結合ドメインのみが、修飾IgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインであることが好ましい。
本発明の結合成分は、実質的に単離された形であってよい。タンパク質の意図する目的に干渉せずさらに実質的に単離されているとみなされる担体または希釈剤と、タンパク質を混合させることができることは理解されよう。本発明の結合成分は実質的に精製された形であってもよく、その場合結合成分は調製物中にタンパク質を一般に含み、その調製物中の90%を超える、例えば95%、98%または99%のタンパク質が本発明の結合成分である。
本発明の結合成分は、例えば共有または非共有手段によって他の分子と結合することもできる。好ましい実施形態では、本発明の結合成分は、酵素、薬剤、脂質、糖類、核酸およびウイルスなどの分子と(制約なしに)結合することができる。
一態様では本発明は、診断試薬と結合した本発明の結合成分を提供する。
この態様の好ましい実施形態では、診断試薬はストレプトアビジン、ビオチン、放射性同位体、色素マーカー、他のイメージング試薬およびこれらの組合せからなる群から選択される。
他の態様では本発明は、固形支持体に固定されているかあるいはバイオセンサー表面と結合している、本発明の結合成分を提供する。
一実施形態では結合成分は、他の物体の部位特異的結合用の溶媒露出システイン残基を含むことができる。
本発明の結合成分は、典型的には共有または非共有手段によって他の分子と結合することができる。例えば結合成分は、他のポリペプチド配列と結合した融合タンパク質として生成することができる。融合パートナーは、多数の診断用途用または精製を助長するための酵素、検出可能な標識および/または親和性タグを含むことができる。融合パートナーは非制限的に、GFP(緑色蛍光タンパク質)、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)、チオレドキシンまたはヘキサヒスチジンであってよい。他の融合パートナーは、結合成分を特定の亜細胞位置に向けるか、あるいは結合成分を細胞外位置に向ける標的化配列、例えば分泌シグナルを含む。好ましい実施形態では、本発明の結合成分は、それらが由来するタンパク質の他の領域を含まない、すなわち任意の融合パートナーが、IセットまたはVセットドメインが由来するIgNARまたはタンパク質と異種である。異種配列は、生成する融合タンパク質が修飾IgNAR可変ドメイン、修飾Iセットドメインまたは修飾Vセットドメインの活性を保持するのを可能にする任意の配列であってよい。異種配列は例えば、Fc融合体などの免疫グロブリン融合体、またはタンパク質の安定性を増大させ、またはその精製を助ける可能性がある他の細胞リガンドとの融合体を含む。
本発明の結合成分と結合することができる診断または治療物質には、薬理学的に活性がある物質、例えば毒素またはプロドラッグ、免疫調節物質など、核酸、例えば阻害核酸またはポリペプチドをコードする核酸など、PEGなどの結合成分のin vivoでの安定性または親油性挙動を増大させる分子、ならびに検出可能な標識、例えば放射活性化合物、色素、発色団、蛍光剤または他のイメージング試薬などがある。
実質的に平らな表面(例えば、チップまたはマイクロタイタープレート)またはビーズなどの固相に、結合成分を固定させることもできる。固相にポリペプチドを固定するための技法は、当技術分野で知られている。さらに、(例えば、スクリーニング法において)結合成分のライブラリーを使用する場合、固相に固定された結合成分のアレイを生成することができる(Lee YSおよびMrksich、M、2002 Trends Biotechnol.20(12Suppl): S14〜8.およびその中に含まれる参照文献)。
本発明の他の実施形態では、骨格表面での提示用に結合成分の溶媒露出領域に挿入される他のポリペプチド配列を有するタンパク質骨格として、本発明の結合成分は機能する。このような骨格は例えば、立体配座に制約がある形式でペプチドを提示するための好都合な手段として働くことができる。これらの骨格を使用して、改変型結合特異性を有するIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインを生成することができ、当該の任意の標的分子に対する特異性を有する結合成分を生成および/またはスクリーニングすることもできる。
異種ポリペプチド配列は、1つまたは複数の溶媒露出領域、例えばIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインの1つまたは複数のループなどに挿入することができる。結合成分のIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインは、挿入される異種配列のタンパク質骨格として機能し、結合成分の表面上に異種配列を提示する。
異種配列は、それらが挿入されるIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインのループの全体または一部分を置換することができるか、あるいは単に他の配列を形成することができる。複数の異種配列が、複数のループに挿入されることが好ましい。
異種配列は、例えば他のIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインのループなどの溶媒露出領域に由来してよい。異種配列は他の分子に由来してもよく、あるいは部分的または完全に無作為化することができる。
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主
本発明は、本発明によるIgNAR可変ドメインまたはマルチマー試薬をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。
本発明はさらに、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。
本発明は、本発明による結合成分を生成する方法であって、結合成分の発現を可能にする条件下で本発明の宿主細胞を培養すること、および場合によってはIgNAR可変ドメインを回収することを含む方法も提供する。この態様の好ましい実施形態では、IgNAR可変ドメインまたはマルチマー試薬は非グリコシル化状態である。
本発明のポリヌクレオチドはDNAまたはRNAを含むことができる。本発明のポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってよい。本発明のポリヌクレオチドは、合成または修飾ヌクレオチドをその内部に含むポリヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドに対する幾つかの異なる型の修飾が当技術分野で知られている。これらはメチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、分子の3'および/または5'端におけるアクリジンまたはポリリシン鎖の付加を含む。本発明の目的用に、本明細書に記載するポリヌクレオチドを当技術分野で利用可能な任意の方法によって修飾することができることは理解されよう。このような修飾を行って、本発明のポリヌクレオチドのin vivo活性または寿命を増大させることができる。
本発明のポリヌクレオチドは、組換え複製ベクターに取り込ませることができる。ベクターを使用して、適合性のある宿主細胞中で核酸を複製することができる。
好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞またはin vitro転写/翻訳系の使用によりコード配列の発現をもたらすことができる制御配列と動作可能に連結している、すなわちベクターは発現ベクターである。用語「動作可能に連結している」は、記載する要素がその意図する方式でそれらが機能することができる関係にあることを意味する。コード配列に「動作可能に連結している」調節配列は、制御配列と適合性がある条件下でコード配列の発現が得られるように連結させる。
制御配列を例えば他の転写調節要素を加えることによって修飾して、制御配列によって誘導される転写のレベルを転写調節物質より応答性のあるレベルにすることができる。
本発明のベクターを適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトして、本発明による結合成分の発現をもたらすことができる。この方法は、結合成分をコードするコード配列のベクターにより発現をもたらすための条件下において、発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞を培養すること、および場合によっては発現した結合成分を回収することを含むことができる。
ベクターは、例えば複製起点を備えるプラスミド、ファージミドまたはウイルスベクター、場合によっては前記ポリヌクレオチドの発現用のプロモーター、および場合によってはプロモーターの調節物質であってよい。ベクターは1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合はアンピシリン耐性遺伝子、または哺乳動物ベクターに関してはネオマイシン耐性遺伝子を含むことができる。ベクターを使用して、例えば宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換することができる。
本発明のタンパク質をコードする配列と動作可能に連結した制御配列には、プロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルがある。これらの制御配列は、発現ベクターをその中で使用するために設計した宿主細胞と適合するように選択することができる。用語「プロモーター」は当技術分野ではよく知られており、最小プロモーターから上流要素およびエンハンサーを含むプロモーターまで大きさおよび複雑性の範囲がさまざまな核酸領域を含む。
プロモーターは典型的には、原核生物または真核生物細胞中で機能性があるプロモーターから選択される。真核生物のプロモーターに関しては、それらは一般式に、あるいは代替的に組織特異式に機能するプロモーターであってよい。それらは特定の刺激に応答するプロモーターであってもよい。ウイルスプロモーター、例えばマウス白血病ウイルス長鎖末端反復配列(MMLVLTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーターまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーターを使用することもできる。
細胞の寿命中に結合成分の発現のレベルを調節することができるように誘導性であることが、プロモーターに有利である可能性もある。誘導性は、プロモーターを使用して得られた発現のレベルを調節することができることを意味する。
本発明の幾つかの実施形態では、異種配列を(IgNAR可変ドメイン、IセットドメインおよびVセットドメインを含めた)本発明のさまざまなドメインに挿入する。このような修飾は一般に、それぞれのドメインをコードする本発明のポリヌクレオチドを操作することによって施す。これは、ドメインをコードする配列であって、ドメインの適切な領域への異種配列をコードするヌクレオチド配列の容易な挿入を可能にする1つまたは複数の独特な挿入部位を含む配列を含む、クローニングベクターを提供することによって都合よく実施することができる。
それぞれの「独特な」挿入部位は、II型制限エンドヌクレアーゼによって認識され切断されるヌクレオチド配列であって、クローニングベクターが「独特な」挿入部位においてのみ制限エンドヌクレアーゼによって切断されるように、クローニングベクター中の他の場所には存在していないヌクレオチド配列を典型的には含む。これは、当業者によく知られている標準的技法を使用する切断ベクターとの連結による、適切な末端を有するヌクレオチド配列の容易な挿入を可能にする。挿入部位は工学処理されている、すなわちドメインが元来存在する配列に由来する場合、挿入部位はその元来の配列中には元来存在しないことが好ましい。
本発明のベクターおよびポリヌクレオチドは、ベクター/ポリヌクレオチドを複製するおよび/またはポリヌクレオチドによってコードされる本発明による結合成分を発現させる目的で、宿主細胞に導入することができる。原核生物宿主細胞(大腸菌、Streptomyces spp.およびBacillus subtilisなど)および真核生物宿主細胞を含めた、任意の適切な宿主細胞を使用することができる。適切な真核生物宿主細胞には、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、哺乳動物細胞、真菌(例えば酵母菌)細胞および植物細胞がある。好ましい哺乳動物細胞は、CHO、COS、C127、3T3、HeLa、HEK293、NIH3T3、BHKおよびBowesメラノーマなどの動物細胞である(CHO-K1、COS7、Y1副腎および癌細胞であることが特に好ましい)。
本発明のベクター/ポリヌクレオチドは、例えばトランスフェクション(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクションまたはDEAE-デキストラン仲介トランスフェクション)、形質転換およびエレクトロポレーションなどの当技術分野で知られている多数の技法のいずれかを使用して、適切な宿主細胞に導入することができる。本発明のベクター/ポリヌクレオチドを動物に投与する場合、幾つかの技法、例えばレトロウイルス、単純疱疹ウイルスおよびアデノウイルスなどの組換えウイルスベクターによる感染、核酸の直接注射および生物学的形質転換が当技術分野で知られている。
本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を使用して、本発明のタンパク質を発現させることができる。本発明による結合成分の発現を可能にするのに適した条件下において、宿主細胞を培養する。結合成分の発現は、それらが連続的に生成されるように構成的であるか、あるいは初期発現に対する刺激を必要とする誘導的なものであってよい。誘導的発現の場合、例えば培養培地への誘導物質、例えばデキサメタソンまたはIPTGの添加によって必要とされると、タンパク質生成が開始される可能性があり、あるいは誘導的発現は熱誘導によって行うことができ、それによって抑制物質を変性させ、タンパク質合成を開始させることができる。
本発明による結合成分は、酵素、化学および/または浸透圧溶解および物理的破壊を含めた当技術分野で知られているさまざまな技法によって宿主細胞から抽出することができる。
無細胞翻訳系を使用して、本発明のペプチドを生成することもできる。原核生物および真核生物宿主と共に使用するのに適したクローニングおよび発現ベクターは、Sambrook(1989)中に記載されている。
結合成分のライブラリー
本発明による結合成分は、IgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメイン中に異なる配列を有する複数の結合成分を含むライブラリーとして与えることができる。違いは1つまたは複数のループに存在することが好ましい。これらのライブラリーは、典型的にはスクリーニング法において使用して、当該の特定の標的分子に対する親和性などの、当該の活性を有する結合試薬を同定することができる。
結合成分のライブラリーは、結合成分をコードするポリヌクレオチドのライブラリーとして与えることが好都合である。ポリヌクレオチドは一般に突然変異させるかあるいは無作為化して、少なくとも1つのβ鎖またはループ領域内の1つまたは複数の位置で異なる、多数の異なる配列を生成させる。
部位特定突然変異導入法などの当技術分野で知られているさまざまな技法を使用して、突然変異を導入することができる。M13などの一本鎖ファージを利用する方法からPCR系技法まで、部位特定突然変異導入法に関する幾つかの方法が当技術分野で知られている(「PCR Protocols: A guide to methods and applications」、M.A.Innis、D.H.Gelfand、J.J. Sninsky、T.J.White(eds.).Academic Press、ニューヨーク、1990を参照)。他の技法は、市販の「Altered Sites II in vitro Mutagenesis System」を使用することである(Promega-米国特許第5,955,363号)。部位特定突然変異導入法に関する技法は前に記載している。複数のランダムに突然変異させた配列は、大腸菌mutD5などの細菌の「突然変異菌株」の使用(Low et al.、1996、J Mol Biol 60: 9〜68)および抗体過剰成熟系のBリンパ球の使用(Yelamos et al.、1995、Nature 376: 225〜9)を含めた、さまざまなin vivo技法によって「ランダムに」1つのヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列群に突然変異を導入することによって作製することができる。化学的突然変異誘発因子、およびイオン化またはUV照射(Friedberg et al.、1995、DNA repair and mutagenesis.SM Press、Washington D.C.)、または突然変異塩基類似体の取り込み(Zaccolo et al.、1996 J Mol Biol 255: 589〜603)によって、in vivoとin vitroの両方でランダムな突然変異を導入することもできる。例えば誤りがちのポリメラーゼを使用することによる重合中にin vitroにおいて遺伝子に、「ランダムな」突然変異を導入することもできる(Leung et al.、1989、Technique 1: 11〜15)。
IgNAR可変ドメインのループ領域中に存在する配列を変える突然変異導入技法を使用することが一般に好ましいが、望ましいかあるいは望ましくない可能性があるフレームワークの変化(例えば、β鎖の変化)が生じる可能性もある。ループ領域を標的化するための1つの方法は、部分的または完全に突然変異/無作為化された複数の比較的短いヌクレオチド配列を与え、IgNAR可変ドメイン中の特定の挿入部位にこれらの配列をクローニングすることである。
他の手法は、複数のランダムな合成オリゴヌクレオチドを合成し、次いでそのオリゴヌクレオチドをIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインをコードする配列に挿入すること、および/またはIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインをコードする配列とランダムな合成オリゴヌクレオチドを置換することである。2個以上のヌクレオチド前駆体を各ステップにおいて反応混合物に加えることによって縮重オリゴヌクレオチドを生成する適切な方法が、WO97/27213中に記載されている。この方法の利点は、各ヌクレオチド位置を一定またはランダムに保つ程度を超えた完全な制御が存在することである。さらに、各コドンの第3の塩基においてC、GまたはTのみが考えられる場合、時期尚早な停止コドンが生成する可能性は著しく低下する、何故なら3個の停止コドンのうちの2個が、この位置にA(TAAおよびTGA)を有するからである。
オリゴヌクレオチド合成は、当技術分野でよく知られている技法を使用して実施する(Eckstein、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、IRL Press at Oxford University Press 1991を参照)。ライブラリーを指定し、市販のものを購入することもできる。合成法を実施して、全てまたは最も考えられる核酸長の組合せを作製することができ、したがって無作為化核酸のライブラリーを作製することができる。これらの無作為化配列は、それらが任意の融合パートナーを伴う無作為化ペプチドのインフレーム発現を可能にするように合成する。
一実施形態では、ライブラリーは完全に無作為化されており、配列はいずれかの位置に優先せず、あるいはいずれかの位置に一定でもない。他の実施形態ではライブラリーは偏っている、すなわち部分的に無作為化されており、その中で配列中の幾つかの位置は一定に保たれているか、あるいは限られた数の考えられる変異体から選択される。したがって、幾つかの核酸またはアミノ酸位置は一定に保たれており、かつ幾つかの構造または化学特性は維持されると考えられる。
無作為化オリゴヌクレオチドは、したがって適切な部位に挿入することができ、かつ/あるいはIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインをコードする適切な配列を置換することができる。
一般に配列のライブラリーは、構造的に異なるランダムな配列の群が示されるほど充分大きいと思われる。これによって形状および構造の大きなサブセットが示されることが確かになり、機能的相互作用の確率が最大になる。
ライブラリーは少なくとも1000個の異なるヌクレオチド配列、より好ましくは少なくとも104、105または106個の異なる配列を含むことが好ましい。ライブラリーは104〜1010個の異なる配列を含むことが好ましい。ヌクレオチド配列によってコードされるペプチドの少なくとも5、10、15または20個のアミノ酸残基を、無作為化することが好ましい。
典型的には、無作為化ヌクレオチド配列によってコードされる挿入ペプチドは少なくとも5、8、10または20個のアミノ酸を含む。ペプチドはさらに50、30または25個より少ないアミノ酸を含むことが好ましい。
他の態様では本発明は、標的分子に対する親和性を有する本発明による結合成分を選択する方法であって、標的分子に対する親和性を有する結合成分の発現に関して、本発明のポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングすることを含む方法を提供する。
結合成分をコードするポリヌクレオチドのライブラリーは、任意の適切な技法を使用してスクリーニングして、当該の活性を有する結合成分を同定することができる。例えば、当該の標的分子と結合する結合成分を同定するために、ポリヌクレオチドによってコードされる結合成分ポリペプチドの発現、およびポリペプチドと評価する標的分子の結合を可能にする条件下において、ポリヌクレオチドのライブラリーをインキュベートする。結合は典型的にはin vitroで、あるいは全細胞アッセイを使用して評価する。
当該の活性を有する結合成分に関してライブラリーをスクリーニングするのに適した技法には、ファージディスプレイおよびリボソームディスプレイ、およびレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターの使用、およびタンパク質バイオアレイによるin vivoの区画化スクリーニングがある。
好ましい実施形態ではこの方法は、バクテリオファージ粒子の表面上に遺伝子IIIタンパク質融合体として、本発明のIgNAR可変ドメインまたはマルチマー試薬を提示することを含む。
他の好ましい実施形態では方法は、リボソームディスプレイ選択系において、本発明のIgNAR可変ドメインまたはマルチマー試薬を提示することを含む。
スクリーニングにおいて同定する結合成分の配列は、標準的なDNA塩基配列決定技法を使用して都合よく決定することができる。
結合成分の診断/治療用途
本発明のスクリーニング法において同定した結合成分を含めた本発明の結合成分は、当該の標的分子に対するそれらの特異的な結合性のために診断/治療の方法において使用することができる。このような使用は、抗体およびその断片に関して既に知られている多数の診断/治療用途と類似していると思われる。例えば本発明の結合成分を使用して、生物サンプル中の当該の分子の存在または不在を検出することができる。
診断目的用には、ディップスティック、マイクロタイタープレートまたはチップなどの固相に結合試薬を固定することが好都合である可能性がある。
前に論じたように、本発明の結合成分は診断に使用するとき、典型的には検出可能な標識などの診断試薬と結合させてin vitroまたはin vivoでの結合事象の容易な検出を可能にする。適切な標識には、in vivo検出および/または標的分子の位置特定用の放射性同位体、色素マーカー、または他のイメージング試薬がある。
結合成分は治療に使用することもできる。例えば結合成分を使用して、細胞外受容体と結合するリガンドを標的化することができる。
さらに、本発明の結合成分を抗体と同様の方法で使用して、結合成分が特異的に結合する腫瘍細胞上に特異的に存在する細胞表面分子との結合によって、腫瘍細胞などの当該の細胞に対して薬理学的に活性がある物質を標的化することができる。
投与
他の態様では本発明は、本発明によるIgNAR可変ドメインまたはマルチマー試薬、ならびに薬剤として許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
他の態様では本発明は、被験体の病状を治療する方法であって、本発明による医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を提供する。
本発明のスクリーニング法によって同定した結合成分を含めた本発明の結合成分は、好ましくはさまざまな要素と組合せて、本発明の組成物を生成することができる。好ましくは組成物を薬剤として許容可能な担体、アジュバントまたは希釈剤と組合せて、(ヒトまたは動物に使用することができる)医薬組成物を生成する。適切な担体および希釈剤には、等張生理食塩水溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水がある。本発明の組成物は、直接注射によって投与することができる。組成物は、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に配合することができる。典型的には、0.01〜30mg/体重1kg、好ましくは0.1〜10mg/体重1kg、より好ましくは0.1〜1mg/体重1kgの用量で、それぞれのタンパク質を投与することができる。
結合成分をコードするポリヌクレオチド/ベクターは、裸の核酸構築体として直接投与することができる。ポリヌクレオチド/ベクターを裸の核酸として投与するとき、投与する核酸の量は典型的には1μg〜10mg、好ましくは100μg〜1mgの範囲であってよい。
哺乳動物細胞による裸の核酸構築体の摂取は、幾つかの知られているトランスフェクション技法、例えばトランスフェクション物質の使用を含めた技法によって増大する。これらの物質の例には、カチオン性物質(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキストラン)およびリポフェクタント(例えば、lipofectam(商標)およびtransfectam(商標))がある。典型的には、核酸構築体をトランスフェクション物質と混合させて組成物を生成する。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを薬剤として許容可能な担体または希釈剤と組合せて、医薬組成物を生成する。適切な担体および希釈剤には、等張生理食塩水溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水がある。組成物は、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内、経口または経皮投与用に配合することができる。
記載する投与経路および用量は単なる指針としてのみ考えられる、何故なら当業者は、任意の特定の患者および状態に関する最適な投与経路および用量を容易に決定することができるからである。
前述の個々の項において言及する、本発明のさまざまな特徴および実施形態は、必要な変更を加えて適切に他の項に適用する。したがって、1つの項において示す特徴は、他の項において示す特徴と適切に組合せることができる。
ここで本発明を、以下の非制限的な実施例においてさらに記載する。
(実施例)
(実施例1)
VNAR12Y-1および12Y-2タンパク質の発現
記載されたのと同様に(Nuttall2004)、組換えタンパク質12Y-1(配列番号1および2)および12Y-2(配列番号3および4)を、21残基のC末端デュアルオクタペプチドFLAGエピトープおよびリンカー領域(N-AAADYKDDDDKAADYKDDDDK-C)とインフレームで大腸菌周辺質中に発現させた。簡単に言うと、大腸菌TG1開始培養物を2YT培地/アンピシリン(100μg/mL)/グルコース(2.0%w/v.)中で一晩増殖させ、新たな2YT/100μg/mLのアンピシリン/グルコース(0.1%w/v)中に1/100に希釈し、次いでOD550nm=0.2〜0.4まで37℃/200rpmで増殖させた。培養物は次いでIPTG(1mM最終)を用いて誘導し、28℃でさらに16時間増殖させ、遠心分離(Beckman JA-14/6K/10分/4℃)によって採取した。周辺質分画はMinsky(Minsky1994)の方法によって単離し、組換えタンパク質は抗FLAG抗体-セファロースカラム(10×1cm)を介した親和性クロマトグラフィーによって精製した。親和性カラムはTBS、pH7.4中で平衡状態にし、結合タンパク質はImmunoPure(商標)適度な溶出バッファー(Pierce)で溶出させた。溶出したタンパク質は0.02MのトリスpH7.5の2つの変形で透析し、3000Daのカットオフ膜(YM3、Diaflo)での限外濾過によって濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、およびバイオセンサーによって純度および活性を分析した。
(実施例1a)
VNAR1A-7および12A-9タンパク質の発現
組換えタンパク質1A-7(配列番号5および6)および12A-9(配列番号9および10)を、前の実施例1に記載したのと全く同様に大腸菌周辺質中に発現させ、精製し分析した。
(実施例2)
VNAR12Y-1および12Y-2タンパク質の結晶化
組換えタンパク質12Y-2(14mg/ml)を、Hampton Researchの散在マトリクス結晶化スクリーニングキットを使用して2μlの懸滴中に設定した。プレートは25℃でインキュベートした。最終的な結晶化条件は、0.1Mクエン酸ナトリウムpH4.6/20%v/vイソ-プロパノール/20%PEG4000であった。回析良質の結晶を48時間後に得た。
組換えタンパク質12Y-1(6mg/ml)を、Cartesian Honey Beeロボットを使用して0.2μlの懸滴として設定した。プレートは25℃でインキュベートした。13mg/mlで12Y-1タンパク質を使用して、成功条件を2μlの懸滴に拡大した。最終的な結晶化条件は、0.1Mビス-トリスプロパンpH6.5/45%PPGP400であった。回析良質の結晶を7日後に得た。
(実施例2a)
VNAR12A-9および1A-7タンパク質の結晶化
組換えタンパク質12A-9(7mg/ml)を、Cartesian Honey Beeロボットを使用して0.2μlの懸滴として設定した。プレートは25℃でインキュベートした。成功条件を2μlの懸滴に拡大した。最終的な結晶化条件は、0.1MCHESpH9.5/50%PEG200であった。回析良質の結晶(空間群P21212)を40日後に得た。
組換えタンパク質1A-7(6mg/ml)を、Cartesian Honey Beeロボットを使用して0.2μlの懸滴として設定した。プレートは25℃でインキュベートした。成功条件を2μlの懸滴に拡大した。最終的な結晶化条件は、0.1M酢酸pH4.6/20%PEP(17/8PO/OH)であった。回析良質の結晶(空間群I212121)を10日後に得た。
(実施例3)
12Y-1および12Y-2に関するデータ収集および構造決定
全結晶からのX線回析データの収集は、単管集束光学装置(AXCO)を備えるRigakuHR3HBX線発生装置に取り付けた、Rigaku RAXIS IV(Rigaku-MSC)およびMar180(MarResearch)画像プレート検出器を使用して内部で実施した。データは-160℃で収集し、結晶は他の凍結防止剤を必要としなかった。全てのデータ処理はDENZO/SCALEPACKスイート(Otwinoski1997)を使用して実施した。回析データの統計は表2中に要約する。
12Y-1タンパク質に関する最初の重原子スクリーニングは、重原子スクリーニングM2キット(Hampton Research。バンドの移動は酢酸(III)ルテニウム水和物(LAH;Lu(O2C2H3)2)およびカリウムヘキサクロロレニウム(PHR;K2ReCl6に関して観察した)を使用して、原型ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって実施した。同形重原子誘導体は、0.8lの50mMLAHまたはPHR中に30分まで12Y-1結晶を浸すことによって得た。重原子部位は統計的相分けプログラムSHARP(Lafortell1997)を用いて同定および精製し、溶媒増大手順DMおよびSOLOMONを使用して相の不定性を解明した。SHARPにより生成した残差および異常差フーリエマップを調べて他の重原子ピークを位置特定し、それらはSHARPを使用する相精製および計算の後のサイクルに含まれていた。このサイクルを数回繰り返すことによって、他の位置を位置特定し相を2.82Åまで改善した。この結果はLuとReの両方の相指数を使用して得た。
SHARPにより生成した電子密度マップ(質量中心マップ)にXtalView(McRee1999)を使用して、モデルを手作業で構築した。次いでこのモデルを、CNS(Brunger1998)およびCCP4(CCP)パッケージを使用して原型12Y-1データに対して精製した。電子密度差マップ2m│FO│-D│FC│およびm│FO│-│FC│を使用して、XtalViewプログラムにおいてモデルを改善した。モデル構築および精製中に、5%のデータを交差確認用にフラグして精製の進行を調べた。
電子密度マップによって、無秩序な状態であったCDR3類似ループ残基(88〜98)以外の全残基の明確な追跡が可能であった。水分子はm│FO│-│FO│マップにおいて≧2σピークでプログラムARP(Lamzin1997)を用いて自動的に位置特定し、それらがH-結合基準を満たす場合は保持し、精製後に2m│FO│-D│FC│密度に戻した。標準的な精製における集束後、R因子の2%を超えるさらなる改善を、CCP4REFMAC5(Wins2001)中のTLS手順を用いて1つの異方性ドメインとして全タンパク質原子を精製することによって得た。振動テンソルは有意な異方性を示した。最終的なRおよびRfree値は、6〜2.82Åの範囲の精製データに関してそれぞれ0.166および0.254であった。最終的な12Y-1モデルは、100個のアミノ酸(残基1〜87および99〜111)および97個の水分子を含む。12Y-1モデルの残基のうち、84.5%がCCP4PROCHECK(Laskowski1993)によって作製されたラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中にあり、充分に容認された領域または非容認領域中には残基は存在しない。さらなる詳細は表2中に与える。
12Y-2の構造は、CCP4MOLREPを使用する分子置換によって決定した。検索モデルは、CDR3類似ループを含まない12Y-1構造(上記)であった。2個の12Y-2モノマー(AおよびB)を、I212121空間群の非対称単位において同定した。XtalViewおよびREFMAC5を使用する精製を使用する反復モデル構築によって、延長CDR3類似ループを含むAおよびBモノマーの完全な追跡が可能であった。CDR3類似ループ領域中の電子密度を充分明確に定義した。観察した回析範囲の5%を含む組に基づくRfree統計値を使用して、精製の進行を調べた。12Y-1に関して記載したのと同様に、プログラムARPを用いて水分子を自動的に加えた。最終的な精製値は非対称単位中のTLS基としての個々にそれぞれの分子に関するTLSパラメータを含んでおり、18.12〜2.18Åの範囲の実験データに関してそれぞれ0.176および0.247のRおよびRfree値に収束した。12Y-1に関しては、振動テンソルのみが有意であったが、異方性は低かった。最終的なモデルは、12Y-2のAおよびB鎖の残基1〜113および358個の水分子を含む。全体として93.4%の残基がラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中にあり、充分に容認された領域または非容認領域中には残基は存在しない。これは、12Y-2モデルが非常に精製されたタンパク質構造と一致することを示す。さらなる詳細は表2中にある。
(実施例3a)
12A-9および1A-7に関するデータ収集および構造決定
1A-7結晶に関するX線回析データの収集は、単管集束光学装置(AXCO)を備えるRigakuHR3HBX線発生装置に取り付けた、Mar180(MarResearch)画像プレート検出器を使用して内部で実施した。12A-9結晶に関するX線回析データは、日本国においてPhoton FactoryシンクロトロンBL5ビームラインで収集した。両方の結晶に関するデータは-160℃で収集し、結晶は他の凍結防止剤を必要としなかった。全てのデータ処理はDENZO/SCALEPACKスイート(Otwinoski1997)を使用して実施した。回析データの統計は表2中に要約する。
1A-7および12A-9の構造は、CCP4MOLREPを使用する分子置換によって決定した。1A-7に関する検索モデルは、CDR3類似ループを含まない12Y-1二重ダイマーであった。4つの1A-7モノマー(A、B、CおよびD)を、I212121空間群の非対称単位において同定した。XtalViewおよびREFMAC5を使用する精製を使用する反復モデル構築によって、CDR3類似ループを含むAおよびCモノマーの完全な追跡が可能であった。モノマーBおよびDのCDR3類似ループ領域(89〜98)中の電子密度は、充分明確には定義できなかった。AおよびB、ならびにCおよびD鎖は、12Y-1および12Y-2構造において観察されたのとほぼ同じ2つの二重ダイマーを形成する(図15参照)。12Y-1および12Y-2に関して記載したのと同様に、水分子を加え、精製の進行を調べた。最終的な精製値は非対称単位中のTLS基としての個々にそれぞれの分子に関するTLSパラメータを含んでおり、完全な21.6〜2.7Åの範囲の実験データに関してそれぞれ0.176および0.265のRおよびRfree値に収束した。最終的なモデルは、1A-7のAおよびC鎖の残基1〜111、ならびにBおよびD鎖の残基1〜88および99〜111、ならびに489個の水分子を含む。全体として90.9%の残基がラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中にあり、充分に容認された領域または非容認領域中には2個の残基が存在する。1A-7の完全鎖AおよびC、ならびに12Y-2の鎖Aの重なりを図5a中に示す。さらなる詳細は表2中に与える。
12A-9に関する検索モデルは、CDR3類似ループを含まない12Y-1構造(上記)であった。12A-9の1分子を、P21212空間群の非対称単位において同定した。CDR3類似ループ中の電子密度は追跡可能であったが、しかしながら92〜95領域は幾分拡散していた。最終的な精製値は分子全体に関するTLSパラメータを含んでおり、完全な39.5〜2.1Åの範囲の実験データに関してそれぞれ0.217および0.280のRおよびRfree値に収束した。最終的なモデルは、12A-9の残基1〜108(図14参照)および140個の水分子を含む。全体として88.4%の残基がラマチャンドランプロットの最も好ましい領域中にあり、充分に容認された領域中には1個の残基が存在する。さらなる詳細は表2中にある。
(実施例4)
結晶学上のダイマーの構造
ダイマー間のモノマーの相対配置は、6.9°の旋回および-0.43Åの回転移動として記載することができる。これは以下のように計算した。1個のモノマーのみから選択される対応するCα原子の最小二乗法の重ね合わせを使用して、12Y-2ダイマーに12Y-1ダイマーを重ね、したがって(質量中心付近の)旋回の程度、および第一結晶形由来の残りのモノマーを第二結晶形由来のモノマーに重ね合わせるのにしたがって必要とされる移動を計算した。
(実施例5)
12Y-1および12Y-2に関する配位
12Y-1および12Y-2に関する配位は、それぞれ付録I(a)およびI(b)として添付する。
(実施例5a)
12A-9および1A-7に関する配位
12A-9および1A-7に関する配位は、それぞれ付録I(c)およびI(d)として添付する。
(実施例6)
12Y-2のループ領域に対する修飾
12Y-2のループ領域8は、その長さの相当な部分が延長し主鎖の水素結合によって安定化するβ鎖を有するβヘアピン鎖立体配座をとる。このβヘアピン鎖立体配座は、例えばTyr87(O)-Phe100(N); Leu89(N)-Leu98(O); Leu89(O)-Leu98(N)の間で主鎖の水素結合によって保たれる。延長ループは免疫グロブリンフレームワークから外側および上側に延長し、例えば酵素活性部位、寄生虫コートタンパク質中の埋もれた裂け目および腔、あるいはウイルス中の裂け目に貫通するのに理想的な構造を作製する。以下の表は、12Y-2のループ領域8の長さと、b12Ig(HIVgp120を標的化する;Saphire2001);ラクダ科VHH1MEL(リゾチームを標的化する、Desmyter1994);およびT細胞受容体1QRNなどの裂け目に結合する抗体由来の長鎖CDR3ループの長さの比較である。
これらの数字は、12Y-2のループ領域8は比較的長いことを示し、VNAR骨格はこのような長いCDR3様ループを示すのに理想的であることを示唆する。この分析は、ループ領域8に対する修飾が新規の診断または治療用結合成分の生成をもたらす可能性があることを示す。さらに、VNAR骨格の他の領域、特に12Y-2骨格に対する修飾も、新規の診断または治療用結合成分の生成をもたらす可能性がある。修飾の例には以下のものがある:
1.詳細に示すアミノ酸配列を有する延長CDR3ループの、ループ領域8近辺のVNAR骨格への接合
例えば、配列RVGPYSWDDSPQDNYYMをループ領域8近辺の12Y-2骨格に接合させて、抗HIV抗体b12(1HZH)に対応する延長ループを形成することができ、これによってHIVgp120と結合することができるIgNAR骨格を有する新規の結合成分を与えることができる。接合は例えば、12Y-2のアミノ酸残基86〜103(またはこれらの残基の一部分)とRVGPYSWDDSPQDNYYMの置換を含むことができる。
他の例では、B型肝炎ウイルス(HBV)由来の主要表面抗原(HBsAg)の突出ループを表す配列CSKPSDSNCを、CDR3ループの代わりにVNAR骨格24G-3(配列番号101)に接合させることができる。したがって生成するIgNARを使用して、HBsAgループと他のHBVタンパク質の相互作用を評価することができると思われる。
2.詳細に示すアミノ酸配列を有するCDR1ループの、ループ領域4近辺のVNAR骨格への接合
例えば、抗HIV抗体b12(1HZH)の配列GYRFSNFVIを、ループ領域4近辺の12Y-2骨格に接合させることができ、前の(1)に記載した抗HIV抗体b12のCDR3ループ接合部と組合せると、gpl20との結合親和性を増大させると思われる。接合は例えば、12Y-2のアミノ酸残基28〜33(またはこれらの残基の一部分)と配列GYRFSNFVIの置換を含むことができる。
CDR1ループ接合が12Y-2VNARの親和性および発現性を変えるかどうかを判定するために、12Y-2の14M-15クローン(配列番号11および12)のN末端半分を、配列のライブラリーで置換した。これによって効果的に、固定CDR3と組合せたCDR1/N末端フレームワーク変異体のライブラリーを生成した。88個のCDR1シャッフルVNARクローンを、AMA1抗原との結合に関してELISAによって分析した。19個のクローンがAM-1に対する親和性を有しており、一方残りの69個は結合性を示さなかった。クローンは、陰性対照抗原(ウシ血清アルブミン)に対する検出可能な親和性を有していなかった。これは、CDR1の配列および立体配座がIgNARの結合に必要不可欠であることを示す。図16は、高い親和性を有する5個のクローンおよび検出可能な親和性を有していない5個のクローンのELISA分析の結果を示す。相対的な発現レベルも与える。図17は、図16からのクローンのアミノ酸配列アラインメントを示す。
最高親和性を有するクローンのうち、3個が類似したCDR1配列を有していたが(24A-58、24A-75、24A-46)、残りの2個は相当異なっていた(24A-82および24A-72)。類似したクローンは共通のCDR1配列「RDTSCAFSSTG」を共有しており、N末端近辺のフレームワーク領域が異なる1〜3個の残基を有していた。検出可能な抗原親和性を有していなかった5個のクローンの配列も、相当な変異を有していた。さらに、存在するIgNARタンパク質の量はクローン間で異なっていた(88個のうちわずか4個が検出可能なタンパク質を生成しなかった)。これは、CDR1の配列および立体配座がIgNARの発現レベルおよびタンパク質生成にも必要不可欠であることを示す。配列の違いは主にCDR1ループ領域に位置し、これはフレームワーク残基にある程度原因があり、親和性とタンパク質の発現レベルの両方に対して顕著な影響を有する。
3.ループ領域8中の特定残基の突然変異または挿入。
例えば、残基Pro90および/またはPhe100の突然変異によってループ領域8の柔軟性を増大させることができ、それによって改善された抗原結合性をもたらすことができる。
100個の残基当たり平均1個のアミノ酸変化を含む12Y-2変異体のランダムに作製したライブラリーを、AMA1抗原に対してスクリーニングした。2個の高親和性クローンをそれぞれ別個に単離し、野生型12Y-2より10倍増大した親和性を示した。これらは14M-15(Pro90Leu)(配列番号11および12)および14M-8(Phel00Leu)と示された(Nuttall et al.2004)。
4.長さおよびアミノ酸組成が異なるループ領域8全体の無作為化。
これは実質的に、以下のさまざまな実施例中に記載する新しいサメ類ライブラリーの作製である。
5.長さおよびアミノ酸組成が異なるループ領域8全体の無作為化、および対型接合残基:Gly84+Glu103、またはGln84+Gly102の組合せの取り込みによるループ領域-フレームワーク接合部の改善。
VNARライブラリーを、12または13残基のループ長およびGly84+Glul03、またはGln84+Glyl02のいずれかのフレームワーク残基の組合せを有するCDR3(ループ領域8)用の、新たな縮重オリゴヌクレオチドプライマーを設計することによって拡大した。これらおよび他のCDR3組合せを使用して、2×108を超える要素の他のVNARライブラリーを構築した。
以下の新たなプライマーオリゴヌクレオチドを使用した: A0295(配列番号64)、A0296(配列番号62)、A0297(配列番号63)およびA0298(配列番号61)。IgNARドメインは、配列番号47〜60で開示するプライマーの組合せを使用して仕上げた。
6.ループ領域8の先端の残基、例えば残基Pro90〜Ser97、または他のこのような変異体の無作為化、および残基の取り込みまたは除去によるこのループの延長または縮小、ならびに無作為化残基の数および戦略の変更。
ループ領域8の残基Leu98、Leu99修飾は同様の方法で行うことができる。
例えば:
セット1(短いループ8の残基)
7個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97;式:(NNK)7+(SNK)1をコードする核酸による修飾をLeu98に施した。
セット2(無作為化したループ10の残基)
9個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97;式:(NNK)9+(SNK)1をコードする核酸による修飾をLeu98に施した。
セット3(長いループのLeu98〜99)
チロシン/環状アミノ酸傾向を有する8個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97およびLeu99に、式:(NNK)1(YMC)1(NNK)1(YMC)1(NNK)2(YMC)1(NNK)1(SNK)1(SNK)1をコードする核酸による修飾を施した。
セット4(長いループの11残基)
主なチロシン/環状アミノ酸傾向を有する10個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97およびLeu98に、式:(NNK)3(YMC)4(NNK)3(SNK)1をコードする核酸による修飾を施した。
セット5(長いループの12残基)
芳香族傾向を有しLeu98を有さない12個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97に、式:(NNK)3(WDB)1(NNB)2(WDB)1(NNK)2(WDS)1(NNB)2をコードする核酸による修飾を施す。
セット6(長いループの12残基)
芳香族傾向を有しLeu98を有さない12個の無作為化残基によって置換されたLeu89〜Ser97に、式:(WDB)1(NNK)2(WDS)1(NNB)2(WDB)1(NNK)2(WDB)1(NNB)2をコードする核酸による修飾を施す。
1×108までの大きさの独立クローンの12Y-2に基づくライブラリーを、等しい表示のこれら6個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して構築した。Plasmodium falciparum AMA1の異なる菌株、すなわちW2MEFおよびHB3(親12Y-2によって認識されない)、および原型抗原AMA-13D7(陽性対照)に対してライブラリーをスクリーニングした。
図18は、異なる材料菌株に対して選別したKH(12Y-2ループ)ライブラリーを示す。
(実施例7)
VNARの結合面を広げるために示す修飾
本明細書に示す結果は、VNARの「CDR2」ループは存在せず、分子の底部で短いβターンによって置換されていることを示す。これは図12中に図式的に示し、この場合VNARの「CDR2」は典型的なヒト抗体のそれと一直線に並んでいる。このループの「底部」位置は、低い配列変異性と組合せて、この領域は抗原との相互作用に対してほとんど影響がないことを強く示唆する。しかしながら、従来のC"およびD鎖の消失は、従来のCDR2の不在下で開いた状態の大きな凹状ポケットと延長12Y-2ループ領域8が組合わさった、抗原結合の考えられる他のモデルを示唆する。この凹状ポケットは、考えられる抗原結合面である。このポケットは、残基のループ領域8、ループ領域5およびCおよびDβ鎖を含む。(12Y-2に関する)これらの残基にはAsp33、Tyr37、Glu46、Ser48、Ser50、Ile51、Val59、Lys61、Phe86、Tyr94、Asn95、Tyr96、Leu98、Leu99およびArg101がある。この抗原結合表面は任意の抗体パラトープ(抗体の抗原結合表面)とは異なる、何故ならループ領域が互いに離れており(接触していない)、抗原接触残基がループ領域間にフレームワーク残基を含むことができるからである。
この分析は、C、C'、D鎖、ならびにループ領域5および8内の選択した残基の無作為化を使用して、ループとフレームワーク残基の組合せによって抗原と結合すると思われる「鋏体」分子ライブラリーを構築することができることを示唆する。(12Y-2構造に関する)適切な標的残基は単独、および組合せで以下のものである:
100個の残基当たり平均1個のアミノ酸変化を含む12Y-2変異体のランダムに作製したライブラリーを、AMA1抗原に対してスクリーニングした。突然変異Pro90Leu(14M-15と同一)および他の突然変異Thr39Serを取り込んでいた、高親和性クローンを単離した。このタンパク質(22A-2:配列番号15)は、ELISA(図22(a)参照)、バイオセンサー(図22(e)参照)、およびタンパク質バイオアレイ(KD2.6nMおよびKD6.5nM)によって14M-15より2倍良い親和性を有していた。タンパク質の発現特性は不変であった(図22(d)参照)。この突然変異は、β鎖領域Cに対してちょうどN末端のフレームワーク中の位置39に存在する(図22(b)および(c)参照)。これはフレームワーク領域の突然変異が、特に「CDR2」の近辺で親和性に対して有意な影響を有する可能性があることを示す。理論によって縛られずに、このことは、結合を増大させるほど充分にCDR立体配座を変える鎖のねじれに影響を与える可能性があると考えられる。
(実施例8)
サメ類からヒトドメインへのループ接合による治療物質または診断物質の作製
IgNARおよびヒト免疫グロブリンスーパーファミリーのIセットドメインの構造は、フレームワーク/ループ領域接合部、鎖の射出角、およびループの配向の予測を可能にするほど充分相同性がある。VNARに関して発見した結合ループは、NCAM、ICAM、およびTelokinだけには限られないが、これらなどのヒトIセットの骨格に接合させることができる。これは、非ヒト供給源に由来する可変ループ領域のみを有する、ヒト結合ドメインIg様試薬を形成すると思われる。これらは裂け目に結合する「ヒトIg様」試薬として非常に有用である可能性がある、何故ならこれらは、任意の知られている天然に存在する抗体と異なる抗原結合表面を有するからである。
例えば以下の修飾を、NCAM、ICAMまたはTelokinなどのIセットフレームワーク分子に施すことができる:
1.12Y-2由来の抗AMA1ループ領域8のIセット骨格への接合。
2.12Y-2由来の抗AMA1ループ領域4および8のIセット骨格への接合。
3.12Y-1由来の抗AMA1ループ領域8のIセット骨格への接合。
4.12Y-1由来の抗AMA1ループ領域4および8のIセット骨格への接合。
5.他のVNARループ領域8のIセット骨格への接合。
6.他のVNARループ領域4のIセット骨格への接合。
7.VNAR由来のループ領域4および8のIセット骨格への接合(この場合これらのループはジスルフィド架橋によって連結する)。
8.Iセット骨格と接合したループへのループ領域4〜8のジスルフィド架橋の取り込み。
9.等しいループ、ループ領域4および8の無作為化によるIセット骨格のライブラリーの作製。
10.ループ領域4および8と等しいループの無作為化によるIセット骨格のライブラリーの作製、および細胞接着分子を標的化するウイルスを同定するための一組の可変性「ウイルストラップ」としての使用。
NCAMおよびTelokinのクローニング
神経細胞接着分子1(NCAM;CD56)は、神経細胞の接着を仲介する哺乳動物細胞表面の糖タンパク質である。細胞外ドメインは、5Igスーパーファミリードメイン次に2フィブロネクチンのタイプ3ドメインからなる(図23(a)参照)。NCAMのドメイン1はIgスーパーファミリーのIセット内で分類され、グリコシル化または他の翻訳後修飾によって修飾されない。
野生型ヒトNCAMドメイン1(配列番号37)および野生型ヒトNCAMドメイン1+2(配列番号39)のコード配列を、ヒトcDNAライブラリーから増幅し、大腸菌クローニング/発現ベクターpGCにインフレームでクローニングした。A0657(配列番号77)は、ドメイン1用の正方向5'プライマーとして使用した。A0658(配列番号78)は、ドメイン1用の逆方向3'プライマーとして使用した。A0659(配列番号79)は、ドメイン2用の逆方向プライマーとして使用した。A0979(配列番号80)は、NCAMの二次延長プライマーとして使用した。
クローンはDNA塩基配列決定によって確認した。野生型ドメイン1(クローン21H-5:配列番号36)と野生型ドメイン1+2(クローン21G-1:配列番号38)の両方が、Fast Protein液状クロマトグラフィー(FPLC)(図23(c)参照)およびSDS-PAGEによって測定して、大腸菌周辺質空間に可溶性タンパク質として首尾良く発現された。整然とした立体配座へのフォールディングに関する証拠を与えるために結晶鉛を得た。
ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)は、3個のN末端Ig様ドメイン、1個のカルモジュリン結合触媒ドメイン、および1個のC末端Ig様ドメインからなる(図24(a)参照)。カルシウム-カルモジュリンによる結合後のMLCKの活性化は、ミオシン軽鎖のN末端中の特定のセリンのリン酸化をもたらし、カルシウムシグナルの選択的な変換を可能にするカルモジュリン/MLCKシグナル変換複合体の形成につながり、最終的に筋収縮を引き起こす。触媒ドメインの側面に位置するIg様ドメインは、MLCKとミオシンの結合を可能にする。内部プロモーターからのMLCKのC末端Ig様ドメインの独立した転写は、成熟タンパク質、Telokinの生成をもたらす。TelokinはIセットIgドメインであり、Ser-12およびSer-18にリン酸化部位を有する。Telokinは非リン酸化ミオシンと結合し、それによってMLCKによるリン酸化を妨げることによりMLCK活性を調節するようである。
ヒトTelokinドメイン1のコード配列を、ヒトcDNAライブラリーから増幅し、大腸菌クローニング/発現ベクターpGCにインフレームでクローニングした。A0678(配列番号88)は、正方向5'プライマーとして使用した。A0677(配列番号89)は、逆方向3'プライマーとして使用した。A0999(配列番号96)は、TelokinのN末端二次延長プライマーとして使用した。DNA塩基配列決定により確認してクローン21J-4は正確であった(配列番号42)。Telokinのドメインが、FPLC(図24(c)参照)およびSDS-PAGEによって測定して、大腸菌周辺質空間に可溶性タンパク質(配列番号41)として首尾良く発現された。
モデル化およびループ接合
非ヒト供給源に由来する可変ループ領域のみを有するヒト結合ドメインIg様試薬、すなわちサメ類のIgNAR抗体を生成するために、VNAR1A-7由来のCDR3ループをNCAMのドメイン1およびTelokinのIセットドメインとのループ接合用にモデル化した。サメ類のVNAR、NCAMのドメイン1およびTelokinは、可変「VNARCDR3」ループの接合地点を評価するために、どの骨格構造相同性が最大であったかを決定するために調整した最小二乗値であった。これらのループは長さと配列の両方が異なり、NCAMのドメイン1およびTelokin骨格上のキメラとしてモデル化して、ヒト結合ドメインIg様試薬を生成した。
さまざまなキメラを、VNARCDR3(すなわちループ領域8)長の変異体および表5に記載の配列を有するModeller6v2を使用して、次いで設計および構築した。次いでそれぞれのモデルを、肉眼による検査によってヒト骨格およびVNARCDR3構造からの逸脱に関して、およびモデルの客観的値に従い潜在的な安定性(エネルギー)に関して評価した。
最適な値のモデルはNCAMモデル5、およびTelokinモデル3およびモデル5であった。
NCAM-1A-7ループ接合:
最適なNCAM/サメ類1A-7のCDR3ループ接合(モデル5)は、オリゴヌクレオチドプライマーA0989(配列番号81)を使用して重複PCRによって構築した。23B-2で示す生成したクローンはDNA塩基配列決定によって確認した(配列番号40)。
タンパク質の発現および精製は、生成した組換えタンパク質は野生型より安定していたようであり、例えばSDS-PAGEによりほとんど変性しなかったようであり(図25(c)参照)、FPLCにより1つのピークが存在したようであった(図25(b)参照)ことを示した。このタンパク質は結晶化試験に施すと幾つかの明確な結晶鉛を与え、それが安定性のある整然とした構造にフォールディングされていたことが示された。ELISAにおいて組換えタンパク質23B-2は標的抗原(モノクローナル抗体5G-8)と特異的に相互作用したが、陰性対照抗原(リゾチーム)とは相互作用しなかった(図25(d)参照)。野生型NCAMドメイン1ではなく23B-2の特異的結合はバイオセンサーによって確認した(図25(e)参照)。
Telokin1A-7のループ接合
最適なTelokin/サメ類1A-7のCDR3ループ接合(モデル3および5)は、オリゴヌクレオチドプライマーA1022(一次延長プライマー)(配列番号90)およびA1023(二次延長プライマー)(配列番号91)(モデル3)、ならびにプライマーA1024(一次延長プライマー)(配列番号92)およびA1025(二次延長プライマー)(配列番号93)(モデル5)を使用して重複PCRによって構築した。生成したクローンは24F-4(配列番号43および44)(モデル3)ならびに23C-7(配列番号45および46)(モデル5)で示し、DNA塩基配列決定によって確認した。
タンパク質の発現および精製は、生成した組換えタンパク質は大腸菌周辺質空間に発現されたことを示した。組換えタンパク質のFPLCによる追跡およびSDS-PAGE概略は、図26(b)および(c)に示す。両方のループ接合モデル組換えタンパク質(23C-7、24F-4)が標的抗原(モノクローナル抗体5G-8)と特異的に相互作用したが、陰性対照抗原(リゾチーム)とは相互作用しなかった(図26(d)参照)。野生型Telokinではなく24F-4の特異的結合はバイオセンサーによって確認した(図26(e)参照)。
(実施例9)
ヒトドメインからサメ類VNARへのループ接合による治療物質または診断物質の作製
IgNARヒト免疫グロブリンスーパーファミリーのIセットドメインの構造は、フレームワーク/ループ領域接合部、鎖の射出角、およびループの配向の予測を可能にするほど充分相同性がある。ICAM-1などのIセットドメインは、ライノウイルスなどのウイルスの受容体として示されてきている。ライノウイルス結合に特異的なICAM-1上の結合ループはVNAR骨格と接合させることができ、新規な結合成分を生成することができる。これはIセットドメインに基づく他のウイルス診断物質にさらに拡大することができる。
例えば以下の修飾を、サメ類NARに施すことができる:
1.ライノウイルス結合ICAM-1VLRループの12Y-2骨格への接合。
2.ライノウイルス結合ICAM-1VLRループの12Y-1骨格への接合。
3.ライノウイルス結合ICAM-1VLRループのVNAR骨格への接合。
4.ライノウイルス結合ICAM-1VLRループのダイマーまたはマルチマーVNAR骨格への接合。
5.狂犬病ウイルス結合NCAMVLRループの12Y-2骨格への接合。
6.狂犬病ウイルス結合NCAMVLRループの12Y-1骨格への接合。
7.狂犬病ウイルス結合NCAMVLRループのVNAR骨格への接合。
8.狂犬病ウイルス結合NCAMVLRループのダイマーまたはマルチマーVNAR骨格への接合。
9.ウイルス結合IセットVLRループのVNAR骨格への接合。
10.ウイルス結合IセットVLRループのダイマーまたはマルチマーVNAR骨格への接合。
VLRはVセットおよびIセットドメインの可変ループ領域であり、これらは、ドメインの骨格構造を害さずにβ鎖立体配座間で典型的に広がり、自然なアミノ酸変異を示すループ領域である。VLRは典型的にはCDRと呼ばれる領域を含む。
(実施例10)
「サメ化」による可溶性ヒト可変ドメイン:CDR2領域の作製
Vセット免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質のC'およびC"鎖によって作製されるCDR2ループは、免疫グロブリンの抗原結合および溶媒可溶性の維持において重要である。「底部」位置において等しいサメ類のドメインCDR2ループに関しては、ループ領域4のC末端およびCおよびDβ鎖中に溶媒露出群の残基がここで存在し、これは他の免疫グロブリンドメイン中ではCDR2ループによって覆われている。この溶媒露出面は主に12Y-2の残基Lys32、Asp33、Thr34、Gly35、Tyr55、Glu57、Thr58からなる。残基Asp33-Thr34-Glu57によって形成される荷電および極性群は、特に重要であるようである。
一例では、これらの残基をIセット可変ドメイン、例えば神経細胞接着分子(NCAM)に「移して」、1つのドメイン形式で発現されるとき、これらのタンパク質をさらに可溶性にすることができる。
他の例ではこれらの残基を、CDR2ループが除去されているTCRおよび抗体などのVセットドメインに「移して」、超抗原刺激を避けることができる。例えば、以下の表を参照のこと:
(実施例11)
「サメ化」による可溶性ヒトTCR:VH/VL界面の作製
単鎖ヒトTCRドメインを生成するための過去の試みは、低い可溶性および発現における難点のために最適状態でも問題があった。12Y-1および12Y-2のVNARとTCRα(およびβ)ドメインの比較は、サメ類の構造を参照することによってヒトTCRが修飾され得る幾つかの態様を示す。「サメ化」によって我々は、TCRVαまたはVβドメインを別々に生成し指定突然変異によってその可溶性を増大させる機会を得る。
表6は、TCR界面と12Y-2およびラクダ科の可変ドメインの比較を示す。この分析は、以下の修飾を施してTCRドメインの可溶性を増大させることができることを示唆する:
1.TCR界面中の残基Ser31はほとんど常にセリンまたはチロシン:したがって極性残基である。VNAR中では、それは荷電(Asp)残基、あるいは50%までの場合セリンである可能性がある。TCRドメインの残基31をAspに突然変異させることは、したがって可溶性を増大させることができる。
2.TCRドメイン界面中の重要な残基はPro43/Leu89/Phe106(および相当物)である。これはTCRVαおよびVβドメイン中の延長型疎水性群である。12Y-2の残基Glu46、Lys82、Lys104により形成される荷電ポケットと類似した、荷電ポケットを形成するためのこれらの残基の突然変異は、したがって可溶性を増大させることができる。
(実施例12)
「サメ化」による可溶性抗体可変ドメイン:VH/VL界面の作製
単鎖抗体の可変ドメインを生成するための過去の試みは、可溶性および発現の問題と遭遇している。12Y-1および12Y-2のVNARと抗体VHおよびVLドメインの比較は、これらの個々のドメインをサメ類の構造を参照することにより修飾して、可溶性および発現レベルを改善することができる幾つかの態様を示す。例えば:
1.前の実施例11中に記載した残基を使用する、単離した単鎖ドメインの可溶性を増大させるためのVHまたはVL界面の修飾。12Y-2の残基Glu46、Lys82、Lys104により形成される荷電ポケットと類似した、荷電ポケットを形成するためのこれらの残基の突然変異は、したがって可溶性を増大させることができる。
(実施例13)
VNARダイマーの修飾
12Y-1および12Y-2ダイマー形は、ループ領域下の連続的な8本鎖のβシートである(1760Å2までの界面の埋もれた表面積)。2重モノマー間の相互作用は、D鎖間およびループ領域8間の主鎖βシートの相互作用、ならびに側鎖相互作用および水仲介の接触を含む。これは、ダイマーの相互作用に関する有意な性向、および複合体形成におけるループ領域の非標準的な関与を示唆する。
このダイマー形は、突然変異およびライブラリー選択に利用可能なループ領域8の残基およびダイマーのフレームワーク残基を有する1つの結合体として作用することができる。これは以下の修飾を施して、潜在的な診断または治療用途を有する結合成分を生成することができることを示唆する:
1.VNARのD鎖中の位置Lys61およびGlu57におけるシステイン残基の導入による組換えダイマーの安定化。あるいは安定化は、D鎖中の位置Ile51およびLys61またはGly62のいずれかにおけるシステイン残基の導入によって実施することができる。
2.VNARのループ領域4中の位置Lys32およびAsp33におけるシステイン残基の導入による組換えダイマーの安定化。
3.位置Val59におけるシステイン残基の導入による組換えダイマーの安定化。
4.VNAR領域のループ領域8中の位置Leu98および/またはLeu99における、システイン残基の導入による組換えダイマーの安定化。
5.結合表面を形成するための12Y-2のループ領域8およびβシート残基の無作為化。例えば、12Y-2残基Asp26-Glu30および(27は疎水性でなければならない);Tyr87-Glul03は、埋もれた残基であるが疎水性でなければならない。この場合残基Asp93-Tyr96は、対称関連分子に由来する。
6.結合表面を形成するためのVNARおよびβシート残基のループ領域4および8の無作為化。ループ領域の配列がそれぞれの例に関して異なるであろうことは理解されよう。
7.同じ結合特異性の2つのコピーを表すための、ダイマーを使用することによるマルチマー化。
8.2つの異なる結合特異性を表すための、ダイマーを使用することによるマルチマー化。
VNARダイマーの修飾
結晶ダイマーが天然形であり、連続的な8本鎖のβシートが生理的条件下において形成される場合、したがってさまざまな残基がダイマーの界面で対になる。したがって結晶構造中では、Leu99残基の側鎖は正しい方向、および適切な距離(3Å)で隣接して、ジスルフィド架橋を形成する。
この仮説を試験するために、二重12Y-2突然変異体Pro90LeuおよびLeu99Cysを作製した。これらの突然変異体は標的抗原(Pro90Leu)の本来の親和性を増大させ、結合を検出するのが容易になり、適度なダイマー化に適した位置に存在する(Leu99Cys)。
オリゴヌクレオチドプライマーを使用する重複PCRを使用して、DNAクローン21B-5(配列番号13および14)を構築した。これはDNA塩基配列決定によって正確であると確認した。
生成したクローン21B-5は、野生型(14M-15、Pro90Leuのみ)と比較して、還元剤の不在下ではFPLCおよびSDS-PAGEによりダイマー形として明らかに目に見える状態であった(図27(c)および(e)参照)。ELISAおよびバイオセンサーにより精製モノマーは固定AMA1と結合した(図27(b)および(d)参照)。精製ジスルフィド結合ダイマーは標的抗原とは結合せず、CDR3の重要性、およびこの新規のダイマー形はモノマータンパク質とは異なる抗原に対する界面を示すらしいことが実証される。ダイマー種は結晶化される可能性があり、安定しており、モノマーIgNAR形のそれとは異なる結合界面の基盤を形成する可能性がある。
(実施例14)
サメ類IgNARの原理に基づくヒトIセットドメインの設計、構築、およびスクリーニング。
サメ類IgNAR抗体は構造上、TelokinおよびNCAMのドメイン1などのIセットドメイン免疫グロブリンに近い。詳細には、他の場合CDR2ループであるものは分子の「底部」に存在する。前述の構造、タンパク質工学処理、およびライブラリー選択の実験は、サメ類IgNAR抗体の構造から学習した原理は、ヒトIセット免疫グロブリンの結合レパートリーの作製に首尾良く適合させることができることを示唆する。このようなライブラリーは、CDR1およびCDR3類似領域中に可変性を主に含むと予想される。前述の実験は、NCAMおよびTelokinドメインのフレームワーク領域(およびループ領域)を標的化する下流工程の親和性成熟の戦略は、改変され増大した結合親和性および特異性をもたらす可能性があることも示した。
サメ類IgNAR抗体およびNCAMのドメイン1およびTelokinをモデル化して、突然変異およびライブラリー無作為化の取り込みに最適なCDR骨格接合部残基を決定した。これは、長さと配列の両方が異なる無作為化「CDR」ループの取り込みを可能にした。さらに、NCAMおよびTelokinのそれぞれの少なくとも1つの変異体において、ヒトCDR3骨格を首尾良いヒト/サメ類モデル5のループ接合と同様に延長させて、NCAMまたはTelokin骨格の上に幾つかの残基が延長したCDR3ループを与えた(NCAM/A0988ライブラリー;Telokin/A1017ライブラリー)。
骨格接合部の同定後、NCAMのドメイン1とTelokinドメインの両方に基づいて、オリゴヌクレオチドプライマーを設計してヒト骨格系ライブラリーを構築した。
NCAMライブラリーのオリゴヌクレオチドプライマー:A0980NCAMCDR1無作為化6-ループ(配列番号82);A0981NCAMCDR1無作為化7-ループ(配列番号83);A0982NCAMCDR3無作為化:revcompl;8ループ(配列番号84);A0987NCAMCDR3無作為化:revcompl;11ループ(配列番号85);A1018NCAMCDR3無作為化:revcompl;14ループ(配列番号86);A0988NCAMCDR3無作為化:revcompl;モデル5に基づく8ループ(配列番号87)。
Telokinライブラリーのオリゴヌクレオチドプライマー:A1001TelokinCDR1無作為化;7ループ(配列番号94);A1002TelokinCDR1無作為化;9ループ(配列番号95);A1000TelokinCDR3無作為化:revcompl;6ループ(配列番号97);A1003TelokinCDR3無作為化:revcompl;9ループ(配列番号98);A1004TelokinCDR3無作為化:revcompl;12ループ(配列番号99);A1017TelokinCDR3無作為化:revcompl;モデル5に基づく9ループ(配列番号100)。
3個の分子ライブラリーを以下のように構築した:
前述の表からライブラリー番号1および2を集め、アミロイドaβ(1〜42)ペプチドおよび癌胎児性抗原(CEA)に対するバクテリオファージディスプレイによって免疫性により選別した。図30は、アミロイドaβ(1〜42)ペプチド(図AおよびB)ならびにCEA(図CおよびD)に対する選別の結果を示す。特に、抗原との結合(図AおよびC)ならびに個々のクローンの比較可能な発現レベル(図BおよびD)を示す。図31は、モノクローナル抗体5G8(-◆-)、AMA1(-■-)、B型肝炎ウイルスE抗原(--)、ab1-42ペプチド(-x-)、癌胎児性抗原(*)に対して選別したNCAMライブラリー;およびモノクローナル抗体5G8に対して選別したTelokinライブラリー(●)からの溶出ファージの力価を示す。
(実施例15)
12Y-2IgNARタンパク質の安定性。
サメ類の血液は尿素が豊富である。したがってIgNARドメインは、このような刺激の強い化学物質を用いた処理に異常に耐性があるように進化してきていると仮定することができる。組換えIgNAR14M-15(12Y-2Pro90Leu変異体)(配列番号11)を、8M尿素中での変性後にリフォールディングするその能力に関して試験した。固有の蛍光強度によって再生を測定した(図32参照)。尿素を除去した後に、IgNARドメインはその原型立体配座にリフォールディングした。
(実施例16)
完全IgNARコード配列、およびバイオセンサーによる分析用の可変および定常ドメイン試薬の生成。
完全なオオセザメ(Orectolobus maculatus)のIgNARコード配列を、サメ類cDNAからクローニングした(18H-2で示すクローン(配列番号31および32))。完全なDNAおよびアミノ酸配列は図33に与える。DNA配列は、1つのIgNARIセットドメインおよび5Cドメインを含む1本のポリペプチド鎖をコードしている(図34(a)参照)。成熟IgNAR抗体中では、これらの鎖は位置Cys430およびCys660において半分システイン残基によって仲介されダイマーを形成する。生成する2つのジスルフィド架橋は(1)定常ドメイン3に対するC末端および定常ドメイン4に対するN末端、および(2)定常ドメイン5に対するC末端に位置する。採用した番号はタンパク質18H-2に関するものであり;可変ドメイン中での大きさの違いのために、残基番号はそれぞれのIgNARにおいて異なる。
それぞれの定常ドメインは12kDaまでの分子量である。定常ドメイン1、2、および3をIgNAR可変ドメインに連続的に加えることによって、抗原に対して同じ親和性を有するがその分子量が異なる、一組の単鎖の一価タンパク質が生成する(以下の表を参照)。例えば、12Y-2可変ドメインをさまざまな番号の定常ドメインに加えることによって、標的抗原AMA1に対して同じ親和性を有するがさまざまな分子量を有する一組の分子が生成する。利用可能なさまざまなバイオセンサーのうち、多くは質量の違いに頼るものである。これらの試薬は、一親和性に対する質量の違いの影響を測定する理想的な試験系を与える。
12Y-2タンパク質と17T-6タンパク質を、タンパク質の化学的性質およびバイオセンサーによって比較した(図34(b)〜(d)参照)。17T-6(すなわち12Y-2+定常ドメイン1)は適切な分子量の可溶性モノマータンパク質として生成されることを、結果は示す。質量を調節すると、それは親12Y-2と同じ標的AMA1に対する結合親和性を有する。
(実施例17)
タイプ3のIgNARのモデル化。
タイプ2のIgNAR可変ドメインの解明された構造体の1つは12A-9である。この構造体は、ループ領域4と8の間(すなわち、CDR1類似領域とCDR3類似領域の間)にジスルフィド結合を有する。この特定のIgNARは、サメ類の胚中に見られるタイプ3のIgNARと、CDR3の長さおよびジスルフィド結合の位置が類似している。GenbankのAAM77190(配列番号29)およびAAM77191(配列番号30)(テンジクザメのタイプ3のIgNAR)を参照。
1つのクラスとして、タイプ3のIgNAR可変ドメインは、CDR3と類似した一定の長さのループ領域、CDR1類似ループとCDR3類似ループを結ぶジスルフィド結合(12A-9中と同じ位置に偶然存在する)、および位置31の保存型トリプトファン残基によって特徴付けられる。
図35は、12A-9の結晶構造に基づくタイプ3のVNARのAAM77191のモデル化を示す。鋳型12A-9と比較した4回のモデル化実施の結果を示す。
図36は、12A-9の構造に基づくVNARのタイプ3のCDR1およびCDR3類似領域のモデルを示す。このイソ型は限られた多様性、および(配列アラインメントにより)ダークグレイで示す超可変性残基を有する。このモデル化は、低い配列の変異性にもかかわらず、保存型Phe96は幾つかの構造立体配座をとる可能性があり、この抗体の抗原結合範囲を劇的に増大させる可能性があることを示唆する。
広く記載した本発明の精神または範囲から逸脱せずに特定の実施形態に示したように、多数の変形および/または変更形態を本発明に施すことができることは、当業者によって理解されよう。したがって本発明の実施形態は、全ての点で例示的なものであり制限的なものではないと考えられる。
(参考文献)
VNARの12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7、ならびに12個の天然に存在するタイプ2のIgNAR可変ドメイン配列のアミノ酸配列アラインメントの図である。 ループ領域およびβ鎖領域を示す12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7のフォールディングの2D形態図である。標識した8本の鎖が2シートのサンドウィッチを形成する:前シートおよび後シートを、それぞれ太矢印および細矢印で示す。C末端鎖G中の突出に隣接したA'へのN末端鎖Aの変化は、A鎖とA'鎖の間の結合として示す。 ループ領域およびβ鎖領域を示す12Y-1、12Y-2、12A-9および1A-7のフォールディングの詳細な2D形態図である。標識した10本の鎖が2シートのサンドウィッチを形成する:前シートおよび後シートを、それぞれ太矢印および細矢印で示す。ジスルフィド結合は、B鎖とF鎖を結ぶ水平線として示す。C末端鎖G中の突出に隣接したA'へのN末端鎖Aの変化は、A鎖とA'鎖の間の結合として示す。 12Y-2βシートのH結合パターンの図である。βシートは中実円として表し、破線は主鎖原子間のH結合を表す。 12Y-2のA鎖、12Y-2のB鎖および12Y-1鎖のリボン構造図中の重ね合わせたIgSFドメインの立体像の図である。図はVMDを使用して作製した。CDR1類似領域(ループ領域4)およびCDR3類似領域(ループ領域8)を標識する。 重ね合わせた1A-7のA鎖、1A-7のC鎖および12Y-2のA鎖の立体像の図である。図はVMDを使用して作製した。CDR1類似領域(ループ領域4)およびCDR3類似領域(ループ領域8)を標識する。 12Y-2のA鎖、Telokin(1FHG)およびNCAMドメイン1(1QZ1)のリボン構造図中の重ね合わせたIgSFドメインの立体像の図である。図はVMDを使用して作製した。 12Y-2のA鎖、ヒトTCRのVα(1A07)、ヒトVHおよびVL(1IGM)、およびラクダVHH(1MEL)のリボン構造図中の重ね合わせたIgSFドメインの立体像の図である。図はVMDを使用して作製した。 VNARの12Y-2中のCDR類似領域の図である。リボン構造図中の12Y-2の鎖Aの構造を透過性分子表面と重ねる。CDR1、「CDR2」およびCDR3類似領域の位置を示す。 VNARの12Y-2中のCDR類似領域の図である。カンゾウ(liquorice)構造図中の12Y-2の鎖AのCDR1類似領域(ループ領域4)とCDR1ヒトVL(1HZH)の重なりの図である(r.m.s.d.1.22Å2)。 VNARの12Y-2中のCDR類似領域の図である。リボン構造図中の12Y-2の鎖A中の、CDR1類似領域(ループ領域4)およびCDR3類似領域(ループ領域8)の位置の図である。残基Phe29およびLys32(考えられる半分のシステイン位置)は、ループ間を接触させるのに理想的に位置するCDR3類似領域(ループ領域8)に向いている。 VNARの12Y-2中のCDR類似領域の図である。12Y-2の鎖A中のCDR3類似領域(ループ領域8)の骨格(86〜103)の図である。βヘアピン主鎖の水素結合は破線によって示す。突然変異位置の残基(Pro90LeuおよびPhe100Leu)およびループの先端の残基(Tyr94およびTyr96)は、側鎖と共に示す。 VNARの12Y-2中のCDR類似領域の図である。カンゾウ構造図中の12Y-2の鎖Aの骨格「CDR2」領域(ループ領域5)と、リボン状半透過性構造図中のヒトVH(1hzh)のCDR2の重なりの図である。この図はVMDを使用して作製した。 VNARの12Y-2の2重対称ダイマーの構造の図である。(a)CDR3類似領域(ループ領域8)の上部からの図および(b)側面図である。それぞれの鎖はリボン構造図中に示す。それぞれの鎖のNおよびC末端、ならびにCDR1類似領域(ループ領域4)およびCDR3類似領域(ループ領域8)を標識する。 12A-9鎖のMOLSCRIPT/RASTERED3D図である。鎖はリボン構造図中に示す。システイン残基は球と棒として示す。 (a)1A-7の鎖A、(b)1A-7鎖のAおよびBのダイマー、および(c)1A-7鎖のA、B、CおよびDの結晶構造の非対称単位中のMOLSCRIPT/RASTERED3D図である。それぞれの鎖はリボン構造図として示す。NおよびC末端、ならびにCDR類似領域を標識する。 AMA1と対照陰性抗原の結合に関する、12の14M-15変異体(Pro90Leuを有する12Y-2)のELISA分析の図である。相対的な発現レベルも示す。CDR1類似領域(ループ領域4)は変異体間でシャッフルしている。 CDR1類似領域(ループ領域4)がシャッフルされている、14M-15変異体IgNARクローンのアミノ酸配列アラインメントの図である。AMA-1抗原に対する親和性を有する5個のクローン(24A-82、24A-72、24A-58、24A-75、24A-46)、ならびに親和性を有していない5個のクローン(24A-24、24A-28、24A-33、24A-10、24A-19)を示す。フレームワーク残基から幾らか与えられる、主にCDR1類似領域(ループ領域4)に対する配列差マップ。 異なる材料菌株:W2MEF(-◆-)、W2MEF(-■-)、W2/HB/W2/3D7(--)、HB3(-x-)、HB3(-*-)、HB/W2/HB/3D7(●)に対して選別した12Y-2ループライブラリーからの全溶出ファージの力価の図である。1回の選別の読み取り用に加えたファージの最初の力価を、ゼロの読み取り値として考える。 IgNARライブラリーに関する(CDR3と類似した)ループ領域8の可変性の概略図である。ループ領域8は長さ、ならびにコード配列および無作為化戦略が異なる。作製1〜3は既存のサメ類ライブラリーに基づく。作製4のライブラリーは、12Y-1および12Y-2の構造を参照して設計した。オリゴヌクレオチドA0298、A0296、A0297、A0295、8477、8476、7210、7211、6980および6981は、それぞれ配列番号61〜70に対応する。 12Y-2構造に基づく、IgNARライブラリーに関する(CDR3と類似した)ループ領域8の可変性の概略図である。12Y02のループ領域8の先端は、アミノ酸無作為化、ループ長およびアミノ酸変異パターンを変える6個の異なる戦略によって修飾する。オリゴヌクレオチドKH0001RC、KH0002RC、KH0003RC、KH0004RC、KH0005RCおよびKH0006RCは、それぞれ配列番号71〜76に対応する。 Leu89およびSer97残基の位置を示す、12Y-2構造のCDR3類似ループ(ループ領域8)のモデル化したカンゾウ構造図である。 CDR3類似領域(明るい影)を示す、12Y-2ヌクレオチド/アミノ酸配列の一部分の図である。 12Y-2のループ領域8の先端を、アミノ酸無作為化、ループ長およびアミノ酸変異パターンを変える6個の異なる戦略によって修飾する12Y-2構造に基づく、(CDR3と類似した)ループ領域8ライブラリーの概略図である。 AMA1および対照陰性抗原との40の12Y-2変異体の結合のELISA分析の図である。 12Y-2変異体22A-2(Thr39Ser;Pro90Leu)および14M-15(Pro90Leu)のアラインメントの図である。 親和性増大CDR1およびCDR3突然変異ならびに骨格親和性増大突然変異Thr39Serを示す12Y-2の三次元構造の図である。 12Y-2変異体14M-15および22A-2のFPLCによる追跡の図である。いずれも同一の発現およびフォールディング特性を示す。 精製12Y-2変異体タンパク質14M-15および22A-2のバイオセンサーによる追跡の図である。22A-2は14M-15より2倍増大した親和性(12Y-2より20倍良い親和性)を示す。 Igスーパーファミリーおよびフィブロネクチンドメインを示すNCAM(CD56)外部ドメインの概略図である。 NCAMドメイン1(21H-5)およびドメイン1+2(21G-1)組換えタンパク質のアミノ酸配列の図である。二重C末端FLAG親和性タグは示さない。 NCAMドメイン1(21H-5)およびドメイン1+2(21G-1)組換えタンパク質のFPLCによる追跡の図である。 Ig、触媒、およびTelokinドメインを示すミオシン軽鎖キナーゼの概略図である。 ヒト野生型Telokin(21J-4)のタンパク質配列の図である。二重C末端FLAG親和性タグは示さない。 Telokin(21J-4)組換えタンパク質のFPLCによる追跡の図である。 NCAMドメイン1(21H-5)およびループ接合変異体23B-2のアラインメントの図である。二重C末端FLAG親和性タグは示さない。 NCAMドメイン1(21H-5)およびループ接合変異体23B-2組換えタンパク質のFPLCによる追跡の図である。タンパク質23B-2は、「明確な」概略を示す。 NCAMドメイン1(21H-5)およびドメイン1ループ接合変異体23B-2のSDS-PAGE概略の図である。NCAMドメイン1+2(21G-1)は比較用に示す。 NCAMドメイン1ループ接合変異体23B-2と、陰性対照抗原ではなく標的抗原(モノクローナル抗体5G-8)の結合を示す、ELISA分析の図である。親の抗5G-8IgNAR(1A-7)は同様に結合するが、野生型NCAMドメイン1またはドメイン1+2はしない。 NCAMドメイン1(21H-5)およびループ接合変異体23B-2組換えタンパク質のバイオセンサーによる追跡の図である。ループ接合タンパク質は結合する。野生型は結合しない。 Telokin(21J-4)およびループ接合変異体23C-7および23F-4のアラインメントの図である。二重C末端FLAG親和性タグは示さない。 組換えタンパク質21J-4、23C-7、および23F-4のFPLCによる追跡の図である。 組換えタンパク質21J-4、23C-7、および23F-4のSDS-PAGE概略の図である。 Telokinループ接合変異体23C-7および23F-4と、陰性対照抗原ではなく標的抗原(モノクローナル抗体5G-8)の結合を示す、ELISA分析の図である。親の抗5G-8IgNAR(1A-7)は同様に結合するが、野生型Telokin(21J-4)はしない。 Telokin(21J-4)およびループ接合変異体23F-4組換えタンパク質のバイオセンサーによる追跡の図である。ループ接合タンパク質は結合する。野生型は結合しない。 12Y-2変異体14M-15および21B-5のアラインメントの図である。 親和性精製タンパク質21B-5および14M-15の、標的抗原AMA1および陰性対照抗原との結合図である。 12Y-2変異体14M-15および21B-5のFPLCによる追跡の図である、ジスルフィド結合ダイマーがダイマーとして働く。 精製21B-5モノマーおよびダイマー形のバイオセンサーによる追跡の図である。ジスルフィド結合ダイマーは標的抗原とは結合せず、CDR3の重要性、およびこの新規のダイマー形はモノマータンパク質とは異なる抗原に対する界面を示すことが実証される。 12Y-2変異体14M-15および21B-5のSDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析の図である。ジスルフィド結合ダイマーは、還元剤(β-メルカプトエタノール)の不在下ではダイマー形として働く。Leu99Cysの取り込みは主要タンパク質形をダイマーに誘導する。 NCAMドメイン1ライブラリーに関するCDR1およびCDR3の可変性の概略図である。CDR1とCDR3はいずれも長さ、ならびにコード配列および無作為化戦略が異なる。NCAM野生型配列は比較用に与える。CDRループ領域に対するフレームワーク残基のNおよびC末端も示す。 Telokinライブラリーに関するCDR1およびCDR3の可変性の概略図である。CDR1とCDR3はいずれも長さ、ならびにコード配列および無作為化戦略が異なる。Telokin野生型配列は比較用に与える。CDRループ領域に対するフレームワーク残基のNおよびC末端も示す。 アミロイドaβ(1〜42)ペプチド(図AおよびB)および癌胎児性抗原(CEA)(図CおよびD)に対するバクテリオファージディスプレイによる、NCAMドメイン1ライブラリーの免疫性による選別の図である。抗原との結合(図AおよびC)および個々のクローンの比較可能な発現レベル(図BおよびD)を示す。 図30a:モノクローナル抗体5G8(-◆-)、AMA1(-■-)、B型肝炎ウイルスE抗原(--)、ab1-42ペプチド(-x-)、癌胎児性抗原(*)に対して選別したNCAMライブラリー;およびモノクローナル抗体5G8に対して選別したTelokinライブラリー(●)からの溶出ファージの力価/mlの図である。 8M尿素中での変性後のVNARの14M-15(12Y-2Pro90Leu変異体)の再生後の、蛍光強度グラフの図である。 完全なオオセザメ(Orectolobus maculatus)のIgNARコード配列の図である。 17T-6タンパク質、および12Y-2可変および定常ドメイン1の図である。 IgNARの12Y-2と17T-6の比較可能なFPLCによる追跡の図である。 IgNARの12Y-2と17T-6のSDSPAGEの図である。 等しい質量のIgNARの12Y-2および17T-6と固定AMA1の結合の、バイオセンサーによる追跡の図である。 12A-9の結晶構造に基づく、タイプ3のIgNARのAAM77191のモデル化の図である。鋳型12A-9と比較した4回のモデル化実施の結果を示す。実施1=Loopref;実施2=Loopref_シス;実施3=Nolloopref;実施4=Noloopref_シス。埋もれたTrp31残基を有するそれぞれのトップテンから2つの解を選択し、モデル化の解におけるPhe96の可変性を示した。 12A-9の構造に基づくIgNARのタイプ3のCDR1およびCDR3類似領域(および幾つかのフレームワーク残基)のモデルの図である。このイソ型は限られた多様性を有する。超可変性残基は(配列アラインメントにより)ダークグレイで示す。

Claims (81)

  1. 図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインの性質を変える方法であって、β鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内のIgNAR可変ドメインを修飾することを含む方法。
  2. 修飾がIgNAR可変ドメインの結合特性を変える、請求項1に記載の方法。
  3. 修飾がIgNAR可変ドメインの可溶性を改善する、請求項1に記載の方法。
  4. 修飾がIgNAR可変ドメインの安定性を改善する、請求項1に記載の方法。
  5. 修飾がIgNAR可変ドメインの性向を増大または低下させてホモダイマーを形成する、請求項1に記載の方法。
  6. 非修飾β鎖領域およびループ領域が、表3に記載のアミノ酸残基番号を有する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 非修飾ループ領域5が、図3に記載のC'およびD'で示す2個のβ鎖領域、および図3に記載の5a、5bおよび5cで示す3個のループ領域を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 非修飾β鎖領域C、C'およびD'が、表3Aに記載のアミノ酸残基番号を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 非修飾IgNAR可変ドメイン中のループ領域5bのCα痕跡が、表1中で定義する残基22、83および36のCα痕跡によって形成される平面より5Åしか大きくない、請求項7または請求項8に記載の方法。
  10. 非修飾β鎖領域A、A'、B、C、D、E、FおよびG、ならびにループ領域1、2、3、6、7および9のアミノ酸配列が、図1および/または表1に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 非修飾IgNARがタイプ2またはタイプ3のIgNARである、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 非修飾IgNARがサメ類に由来する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 非修飾IgNAR可変ドメインのアミノ酸配列が、図1に示す配列である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  14. 非修飾IgNAR可変ドメインが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  15. 修飾が置換、挿入、欠失またはこれらの組合せである、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
  16. 修飾が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個以上のアミノ酸の置換を含む、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
  17. 修飾が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個以上のアミノ酸の欠失を含む、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 修飾が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個以上のアミノ酸の挿入を含む、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
  19. IgNARの1つまたは複数のループ領域を修飾する、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
  20. ループ領域4、またはその一部分、および/またはループ領域8、またはその一部分を修飾する、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
  21. ループ領域8を点突然変異によって修飾する、請求項20に記載の方法。
  22. ループ領域8を無作為化によって修飾する、請求項20に記載の方法。
  23. ループ領域8を修飾してCおよび/またはN末端でβ鎖立体配座をとることを容易にする、請求項20に記載の方法。
  24. ループ領域のCおよび/またはN末端における1つまたは複数のアミノ酸残基の付加または置換によってループ領域8を修飾する、請求項23に記載の方法。
  25. ループ領域のCおよび/またはN末端において2〜10個のアミノ酸残基を付加または置換する、請求項24に記載の方法。
  26. VセットまたはIセットドメイン由来のCDRループまたはその一部分をIgNAR可変ドメインのループ領域に接合させることによってIgNAR可変ドメインを修飾する、請求項1から20および23から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. CDRループまたはその一部分をIgNAR可変ドメインのループ領域4および/または8に接合させる、請求項26に記載の方法。
  28. ループ領域8由来のアミノ酸をVセットまたはIセットドメイン由来のCDR3ループまたはその一部分によって置換する、請求項27に記載の方法。
  29. 表1中に定義するアミノ酸86〜103またはその一部分を置換する、請求項28のいずれか一項に記載の方法。
  30. ループ領域4由来のアミノ酸をVセットまたはIセットドメイン由来のCDR1ループまたはその一部分によって置換する、請求項27に記載の方法。
  31. 表1中に定義するアミノ酸28〜33またはその一部分を置換する、請求項30に記載の方法。
  32. 表1中に示す残基33、37、46、48、50、51、59、61、86、94、95、96、98、99および101よって定義される群中の1つまたは複数のアミノ酸残基を修飾する、請求項1から31のいずれかに記載の方法。
  33. IgNARのループ領域4および/またはループ領域8を修飾するとき、β鎖領域またはループ領域1〜3、5〜7または9の少なくとも1つを修飾する、請求項1から32のいずれかに記載の方法。
  34. β鎖領域C、D、EまたはFまたはループ領域5、6または7の少なくとも1つを修飾する、請求項33に記載の方法。
  35. β鎖領域CまたはDまたはループ領域5の少なくとも1つを修飾する、請求項34に記載の方法。
  36. ループ領域5を修飾する、請求項35に記載の方法。
  37. IgNARがタイプ2またはタイプ3である、請求項1から36のいずれかに記載の方法。
  38. IgNARがサメ類に由来する、請求項1から37のいずれかに記載の方法または結合成分。
  39. 請求項1から38のいずれか一項に記載の方法によって生成される修飾IgNAR可変ドメインを含む結合成分。
  40. 図2に記載のA、A'、B、C、D、E、FおよびGで示す8個のβ鎖領域、および図2に記載の1〜9で示す9個のループ領域を含むIgNAR可変ドメインを含む結合成分であって、β鎖領域またはループ領域の少なくとも1つの領域内でIgNAR可変ドメインが修飾されている結合成分。
  41. IまたはVセットドメインを修飾する方法であって、IgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIまたはVセットドメインに挿入および/または置換することを含む方法。
  42. 構造特徴が、図2に記載のIgNAR可変ドメイン由来のループ領域である、請求項41に記載の方法。
  43. ループ領域がIgNAR可変ドメイン由来のループ領域4または8である、請求項42に記載の方法。
  44. ループ領域8および/またはループ領域4をIセットまたはVセットドメインに接合させる、請求項43に記載の方法。
  45. IまたはVセットドメインの適切に予め決定したアミノ酸を、表1によって定義するIgNAR可変ドメイン由来のアミノ酸86〜103を含む挿入体で置換する、請求項44に記載の方法。
  46. IセットまたはVセットドメインのCDR2ループの全体または一部分を除去する、請求項41から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 構造特徴が、ループ領域4のC末端ならびに図2に記載のIgNAR可変ドメイン由来のCおよびDβ鎖における溶媒露出面である、請求項41に記載の方法。
  48. 表1中に定義するアミノ酸32、33、34、35、55、57および58またはその一部分と等しいIまたはVセットドメインのアミノ酸を修飾する、請求項41から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 修飾が荷電または極性アミノ酸をこれらの位置に導入する、請求項48に記載の方法。
  50. 修飾がIまたはVセットドメインの可溶性を改善する、請求項41から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 請求項41から50のいずれか一項に記載のIセットドメインを修飾する方法。
  52. IセットドメインがNCAM、VCAM、ICAM、Telokin、MADCAM-1、TwitchinおよびTitinから選択される、請求項51に記載の方法。
  53. 請求項41から50のいずれか一項に記載のVセットドメインを修飾する方法。
  54. Vセットドメインが抗体、T細胞受容体(TCR)、CTLA-4、CD28、ICOS、CD2、CD4、Cd7、CD22、CD33、CD80、CD86、CD48およびCD58から選択される、請求項53に記載の方法。
  55. VセットドメインがTCRVαまたはVβドメインであり、IgNAR可変ドメインの溶媒露出表面と等しいアミノ酸がGly30、Ser31、Phe32、Phe33、Phe62、Thr63、Ala64およびGln65である、請求項53または請求項54に記載の方法。
  56. VセットドメインがTCRVαまたはVβドメインであり、VαドメインとVβドメインの間の界面に位置する1つまたは複数の残基を修飾する、請求項53または請求項54に記載の方法。
  57. 1つまたは複数のアミノ酸残基がSer31、Pro43、Leu89およびPhe106ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
  58. 請求項41から57のいずれか一項に記載の方法によって生成される修飾IまたはVセットドメインを含む結合ドメイン。
  59. IまたはVセットドメインを含む結合成分であって、IまたはVセットドメインがIgNAR可変ドメイン由来の1つまたは複数の構造特徴をIまたはVセットドメインに置換または挿入することによって修飾されている結合成分。
  60. IまたはVセットドメインを含む結合成分であって、IまたはVセットドメインがIgNAR可変ドメインのループ領域4またはループ領域8と等しい領域に修飾を導入することによって修飾されている結合成分。
  61. (i)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つがIgNAR可変ドメインである少なくとも2つのIgNARドメイン、
    (ii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるIセットドメインである少なくとも2つのIセットドメイン、または
    (iii)同じであるかまたは異なってよく、少なくとも1つが本発明によるVセットドメインである少なくとも2つのVセットドメインを含む、マルチマーを含む結合成分。
  62. 診断試薬と結合した本発明による結合成分。
  63. 固形支持体に固定されているかあるいはバイオセンサー表面と結合している、本発明による結合成分。
  64. 本発明による結合成分をコードするポリヌクレオチド。
  65. 本発明によるポリヌクレオチドを含むベクター。
  66. 本発明によるベクターを含む宿主細胞。
  67. 本発明による結合成分を生成する方法であって、本発明による結合成分の発現を可能にする条件下で本発明の宿主細胞を培養すること、および場合によっては結合成分を回収することを含む方法。
  68. 本発明による結合成分および薬剤として許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物。
  69. 被験体の病状を治療する方法であって、本発明による結合成分を被験体に投与することを含む方法。
  70. 標的分子に対する親和性を有する本発明による結合成分を選択する方法であって、標的分子に対する親和性を有する本発明による結合成分の発現に関して、本発明のポリヌクレオチドのライブラリーをスクリーニングすることを含む方法。
  71. 本発明による結合成分をコードする複数のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリーであって、ポリヌクレオチドがIgNAR可変ドメイン、IセットドメインまたはVセットドメインにおいて1つまたは複数の修飾を含むポリヌクレオチドライブラリー。
  72. 4.0Åより良い分解能までIgNARの可変ドメインの原子座標を決定するための、X線を効果的に回析するタイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶であって、タイプ2のIgNARの可変ドメインが105〜125のアミノ酸残基からなり、表1および/または図1に記載のアミノ酸配列を含む結晶。
  73. 付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位の全体または一部分±0.5Å未満のCα原子由来の二乗平均平方根偏差によって定義される構造を含む、タイプ2のIgNARの可変ドメインの結晶。
  74. 相同性モデル化の方法であって、
    (a)IgSFドメインのアミノ酸配列図と図1に示す12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7のアミノ酸配列を一直線に並べて、アミノ酸配列の相同領域を適合させるステップ、
    (b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)によって定義される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7構造の対応する領域上の前記IgSFドメインの適合相同領域の構造をモデル化するステップ、および
    (c)(例えば好ましい相互作用部分がIgSFドメイン内で形成され、および/または低エネルギー立体配座が形成されるように)、前記適合相同領域の構造を実質的に保つ前記IgSFドメインの立体配座を決定するステップを含む方法。
  75. タンパク質の構造を決定する方法であって、付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を与えること、および
    (a)前記タンパク質の結晶単位セル中の配位を特定して、前記タンパク質の構造を与えること、または
    (b)付録I(a)、(b)、(c)または(d)の配位を処理することによって前記タンパク質のNMRスペクトルピークを割り当てることのいずれかを含む方法。
  76. 以下の:
    (a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、
    (b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ(構造要因は回析波の振幅および相を含む)、
    (c)付録Iのデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成したIgSFドメインの原子座標データ、
    (d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したIgSFドメインの原子座標データ、および
    (e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むシステム。
  77. コンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含み、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7、あるいは12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の異型の構造配位の全体または一部分によりデータが定義され、前記異型が、付録IのCαまたは骨格原子(窒素-炭素α-炭素)からの二乗平均平方根偏差が2Å未満である骨格原子を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
  78. 付録IのCαまたは骨格原子からの二乗平均平方根偏差が1.5Åを超えず、好ましくは1.5Å未満であり、より好ましくは1.0Å未満であり、さらにより好ましくは0.74Å未満であり、さらにより好ましくは0.72Å未満であり、および最も好ましくは0.5Å未満である、請求項77に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
  79. 付録Iに従う12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の構造配位の少なくとも一部分(例えば、本明細書で定義する選択配位)のフーリエ変換を含む第一組のコンピュータ可読データであって、未知の構造の分子または分子複合体のX線回析パターンを含む第二組の機械可読データと組合せ、前記第一組のデータおよび前記第二組のデータの使用に関する命令でプログラムされた機械を使用すると、第二組の機械可読データに対応する構造配位の少なくとも一部分を決定することができる、第一組のコンピュータ可読データをエンコードするデータ記憶材料を含む、コンピュータ可読データ記憶媒体。
  80. (a)付録Iに従い付録Iに記録される原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7あるいは少なくとも選択したその配位の三次元構造を定義するデータ、
    (b)付録Iの原子座標データから誘導可能な付録Iに記録される12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、
    (c)付録1のデータに基づくIgSFドメインの相同性モデル化によって作成した標的IgSFドメインの原子座標データ、
    (d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、および
    (e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読媒体。
  81. IgSFドメインに関する構造を作製するためおよび/または合理的な薬剤設計を実施するためのデータを与える方法であって、
    (i)以下の:
    (a)付録Iに従う原子座標データであって、前記データが12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造、12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の三次元構造の少なくとも1つのサブドメイン、または12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7の複数の原子の配位を定義するデータ、
    (b)付録Iの原子座標データから誘導可能な12Y-1、12Y-2、12A-9または1A-7に関する構造要因データ、
    (c)付録Iのデータに基づくドメインの相同性モデル化によって作成した修飾IgSFドメインの原子座標データ、
    (d)付録Iのデータを参照することによりX線結晶学データまたはNMRデータを解釈することによって作成したタンパク質の原子座標データ、および
    (e)(c)または(d)の原子座標データから誘導可能な構造要因データの少なくとも1つを含むコンピュータ可読データを含むリモートデバイスとの連絡を確立させること、および
    (ii)前記リモートデバイスから前記コンピュータ可読データを受信することを含む方法。
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