JP2008510705A - Pde5阻害剤組成物及び心臓疾患を治療する方法 - Google Patents

Pde5阻害剤組成物及び心臓疾患を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、対象の心臓症状を治療又は予防するための方法及びPDE5阻害剤を主とする組成物を特徴としている。

Description

(関連出願の参照)
本出願は、2004年8月17日出願の米国仮出願、出願番号第60/602,134号の優先権を主張し、この内容を参照して本明細書に取り込む。
(連邦政府委託研究に基づいてなされた本発明に対する権利の主張)
本研究は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)の助成により、RO1−AG−18324−03、T32 HL07227−29、及びHL−47511のグラントを受けてなされたものである。政府は本発明に関する特定の権利を有するものである。
持続性の血行力学的過負荷に晒された心臓は、一般的に不適応性でかつ進行性の心機能異常及び最終的に心不全の原因となる、分子、細胞、筋肉及び心室の形態学的変化を受ける。そのような応答の引き金になる病態生理学的な刺激は、高血圧、心臓弁膜症、神経ホルモンのストレス及びポンプ機能の低下に関連する過剰な心室の充満を包含する。これらは、筋細胞の成長、心筋の機能悪化、肥大性再構築(リモデリング)及び心臓の拡張を誘導するような複数の細胞内シグナル伝達及び転写経路の変化を引き起こすものである。既存の治療法は、このような病理学的変化を十分に阻止することができない。心臓の拡張は慢性かつ最終的に心不全をもたらす進行性の疾患である。米国だけで年間500,000人が新たに診断され、500万人以上のアメリカ人が心不全に侵されている。そして、依然として主要死亡原因である。これらの患者の約半分は高血圧、及び現在特異的に試験され認可された治療法のない症候群であって心収縮が明らかに保持されている心肥大を患っている。
心肥大のような心疾患の治療のための改良された治療用組成物及び方法が早急に必要とされている。
本発明は、心疾患の治療及び予防のための方法及び組成物を示すものである。本発明は、PDE5Aが持続的な圧負荷、カテコールアミン刺激、及び血行力学的負荷の他の形態のような慢性的なストレスに晒されている心臓に於いて重要な役割を果たしていること、及びこのような環境に於けるPDE5A阻害が、心臓の形態学的、細胞及び分子リモデリングを予防及び改善させるという発見に基づいている。
ある局面に於いて、本発明は概ね、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される心疾患を有する対象(例えば、ヒト患者)に於ける心機能を強化する方法を示すものであり、本発明の方法は対象に有効量のPDE5阻害剤を投与することを含んで成り、その阻害剤の投与は心機能を強化するものである。ある態様に於いて、本発明の方法は心室リモデリング、心臓拡張、心筋細胞のリモデリング(例えば、筋細胞の肥大の低下)又は分子リモデリングを低下又は改善させるものである。
他の態様に於いて、PDE5阻害剤は、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、Aktキナーゼ、活性化T−細胞の核因子(NFAT)、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素合成酵素、酸化窒素合成酵素脱共役に関連する薬剤、及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の発現又は生物活性を低下させる。
別の態様に於いて、PDE5阻害剤は、プロテインキナーゼGを介するcGMP依存性のシグナル伝達を増強する。更なる他の態様に於いて、心室、細胞又は分子リモデリングは、刺激(例えば、圧過負荷、神経ホルモンのストレス、心筋梗塞又は容量過負荷)によって誘発される。
更なる他の態様に於いて、心機能は、負荷が関与しない弛緩率の測定、負荷が関与しない心収縮能の測定、負荷が関与しない心駆出量の測定又は負荷が関与しない収縮末期容量の測定により評価される。
心機能は、ドップラー心エコー法、ドップラー断層心エコー法、パルスドップラー心エコー法、連続波ドップラー心エコー法、オシロメトリック法のアームカフ(oscillometric arm cuff)、心臓カテーテル法、核磁気共鳴映像法、陽電子放出断層撮影法、胸部X線、駆出分画試験、心電図、核医学検査、侵襲性心内圧、侵襲的及び非侵襲的に測定された心圧容積ループ(pressure volume loops)(コンダクタンスカテーテル法)よりなる群から選択される試験を用いて決定される。
他の局面に於いて、本発明は、心肥大を有するか又はその発症傾向を有する対象(例えば、ヒト患者)に於いて心肥大を予防、低下又は改善させる方法を提供するものであり、本発明の方法は、対象に有効量のPDE5阻害剤を投与することを含んで成り、その阻害剤の投与が心肥大を防ぐものである。
他の局面に於いて、本発明は、心臓拡張を有するか又はその発症傾向を有する対象(例えば、ヒト患者)に於ける、心臓拡張を予防、低下又は改善させる方法を提供するものであり、本発明の方法は、対象に有効量のPDE5阻害剤を投与することを含んで成り、その阻害剤の投与が心臓拡張を予防するものである。
上記何れかの局面の様々な態様に於いて、PDE5阻害剤は、心室リモデリングを低下させる、細胞リモデリングを低下させる(例えば、筋細胞のサイズを減少させることにより)、又は分子リモデリングを低下させる(例えば、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、Aktキナーゼ、活性化T−細胞の核因子(NFAT)、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素合成酵素、酸化窒素合成酵素脱共役に関連する薬剤、及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の発現又は生物活性を調節する。ある態様に於いて、PDE5阻害剤は薬剤の活性を変える。他の態様に於いて、PDE5阻害剤は、プロテインキナーゼGを介するcGMP依存性のシグナル伝達を増強する。
上記何れかの局面の様々な態様に於いて、PDE5阻害剤は、心疾患を治療するために線維形成過程の調節又は圧負荷の調節を必要としない。上記何れかの局面の他の態様に於いて、PDE5阻害剤は、動脈圧に影響を与えず;肺血圧に影響を与えず;又は血管拡張に影響を与えずに心機能を強化する。
上記何れかの局面の様々な態様に於いて、PDE5阻害剤は、血漿中でIC50の0.25倍、IC50の0.5倍、IC50に等しい、IC50の5倍、IC50の10倍、又はIC50の50倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される。さらに上記何れかの局面の他の態様に於いて、PDE5阻害剤はPDE5を選択的に阻害する。
さらに上記何れかの局面の他の態様に於いて、PDE5阻害剤は、血漿中で10nMのIC50をもたらすように投与される。さらに上記何れかの局面の他の態様に於いて、PDE5阻害剤は、血漿中で50nMのピーク濃度をもたらすように投与される。さらに上記何れかの局面の別の態様に於いて、PDE5阻害剤は、血漿中で0.1nM〜100nM、0.1〜75.0、0.5〜50.0、5〜10、10〜20、20〜30、又は30〜40nMの有効濃度をもたらすように投与される。さらに上記何れかの局面の他の態様に於いて、有効濃度を少なくとも4〜8、8〜12又は12〜24時間持続させる。
別の局面に於いて、本発明は、不適応性心臓変性を有するか又はその発症傾向を有する対象に於ける、不適応性心臓変性を予防、低下又は改善させる方法を提供するものであり、本発明の方法は、対象に有効量のPDE5阻害剤を投与することを含んで成り、その阻害剤が不適応性心臓変性(例えば、高血圧、又は心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される疾患に関連する変性)を阻害するものである。
別の局面に於いて、本発明は、それを必要とする患者に於いて心筋エネルギーを増強する方法を提供するものであり、その方法は、対象に有効量のPDE5阻害剤を投与することを含んで成り、その阻害剤の投与が心筋エネルギーを増強するものである。他の態様に於いて、心筋エネルギーは、高エネルギーリン酸の貯蔵(クレアチンリン酸)をより高エネルギーリン酸の利用(アデノシン三リン酸−ATP)と比較する評価法、ADPに変化するATPの評価法、ADP及び無機リン酸の濃度の評価法、心仕事総量に対する心臓の酸素消費量の評価法、又は心仕事総量に対する摘出心筋の酸素消費量の評価法、によって測定される。
別の局面に於いて、本発明は、薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも0.1〜200mgのPDE5阻害剤を含有し、対象への投与が血漿中で少なくとも0.1〜100nM(例えば、0.1〜75nM)の有効濃度をもたらす、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される疾患の治療用組成物を提供する。
別の局面に於いて、本発明は、心肥大を治療するための組成物を提供するものであり、その組成物は薬学的に許容される賦形剤中に、少なくとも0.1〜200mgのPDE5阻害剤を含有する。
上記局面の様々な態様に於いて、組成物の対象への投与は、血漿中で少なくとも0.1〜100nM(例えば、0.1〜75nM、0.5〜50nM、1〜25nM、5〜10nM、10〜20nM、20〜30nM、又は30〜40nM)の有効濃度をもたらす。他の態様に於いて、組成物は、少なくとも10、20、100、又は150mgのPDE5阻害剤を含有する。さらに上記局面の他の態様に於いて、組成物はPDE5阻害剤を徐放させる。さらに他の態様に於いて、組成物はPDE5阻害剤を4〜8、8〜12、又は12〜24時間かけて徐放させる。さらに上記の他の態様に於いて、組成物は実質的にPDE5阻害剤から成る。
別の局面に於いて、本発明は、薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも5mgのPDE5阻害剤を含む組成物を含有し、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選ばれる疾患の治療又は予防に用いるようにラベルが付された、医薬包装物を提供する。
関連する局面に於いて、本発明は、薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも5mgのPDE5阻害剤を含む組成物を含有してなり、心肥大の治療又は予防に用いるようにラベルが付された医薬包装物を提供する。
前記局面の様々な態様に於いて、包装物は、少なくとも10mg、20mg又は100mgのPDE5阻害剤を含有するものである。他の態様に於いて、PDE5阻害剤は徐放性製剤にて提供される。他の態様に於いて、組成物は実質的にPDE5阻害剤から成る。他の態様に於いて、更に、心肥大の治療又は予防のために組成物を対象に投与するための指示書を含む。
(発明の詳細な説明)
定義
「心肥大」とは、望ましくない心筋細胞の成長、体の大きさに比べて心室質量が増加すること、又は平常時若しくは心室容積増加時に於ける心室壁厚の増加、の何れかを意味する。
「心疾患」とは、何れかの心臓病又は心臓障害を意味する。
「心室リモデリング」とは、病態生理学的な刺激(例えば、高血圧、心筋梗塞、神経ホルモンのストレス、容量過負荷)に応答する心臓組織に於ける望ましくない形態学的変化を意味する。
「細胞リモデリング」とは、病態生理学的な刺激に応答する心臓細胞に於ける望ましくない変化を意味する。細胞リモデリングに於ける変化は、次のうちの一つ又はそれ以上の何れかの変化を包含する;筋細胞肥大、カルシウムハンドリング(例えば、筋細胞刺激による細胞内カルシウムの周期的変化、筋小胞体のような細胞内貯蔵からのカルシウムの吸収及び放出、収縮性タンパク質又は調節タンパク質とのカルシウムの相互作用)、活性化電流(例えば、ナトリウム)、及び再分極電流(例えば、カリウム)。
「分子リモデリング」とは、病態生理学的な刺激に応答する、心臓組織に於ける遺伝子の転写若しくは発現の変化、又は生物活性に於けるタンパク質の変化を意味する。
「心機能の強化」とは、心臓のポンプ性能及び能力に於ける有益な変化をもたらすことを意味する。
「不適応性心臓変性」とは、病態生理学的な刺激に応答する、心臓又はその細胞に於ける望ましくない変化を意味する。
「PDE5阻害剤」とは、ホスホジアステラーゼ−5によるcGMPの加水分解を阻害する化合物を意味する。PDE5阻害剤は、好ましくはPDE5の酵素活性を少なくとも5%(例えば、10%、15%、20%、30%、50%、60%、75%、85%、90%又は95%)減少させる。PDE5阻害剤の活性を試験する方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書に記載されている(例えば、実施例4)。
「治療する」とは、疾病の進展又若しくは進行の減少、抑制、軽減、減退、阻止又は安定化を意味する。
「疾病」とは、細胞、組織若しくは臓器の正常機能を損傷又は阻害するような症状又は障害を意味する。
「調節」とは、生物学的機能若しくは活性に於ける、何らかの変化(例えば、増加又は減少)を意味する。
「減少させる」又は「増加させる」とは、それぞれぞれ負又は正に少なくとも5%変化させることを意味する。変化は、5%、10%、25%、30%、50%、75%又は100%であってよい。
「心肥大を低下させる(reduces)」とは、形態学的、細胞又は分子リモデリングを少なくとも5%減少させることを意味する。
「心肥大を改善させる(reverses)」とは、心臓の形態学的、細胞又は分子の表現型を望ましく変化させて、変化した表現型が実質的に正常な心組織の特徴を有することを意味する。
「対象」とは、ヒト患者又は動物(例えば、齧歯動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ又は他の家畜)のような哺乳動物を意味する。
「有効量」とは、有益な若しくは望ましい臨床結果をもたらすのに十分な量である。
本明細書の開示に於いて、「comprises」、「comprising」、「containing」及び「having」などは、米国特許法に於いて定められている意味を有し、「includes」、「including」などを意味する;「consisting essentially of」又は「consists essentially」などは、米国特許法に於いて定められている意味を有しており、この用語はオープンエンド(open−ended)形式であり、挙げられているよりも多くの要素によって挙げられている基本的及び新規な特徴が変化しない限り、挙げられているよりも多くの要素の存在は許容されるが、先行技術の具体例は除く。
(本発明の方法)
本発明は、概して、心疾患の予防又は治療に有用なPDE5阻害剤を含有してなる組成物を提供する。本発明の組成物及び方法は、形質学的、細胞又は分子リモデリングを特徴とする心疾患の治療又は予防に特に有用である。一般的に、このようなリモデリングは、高血圧、心臓弁膜症、神経ホルモンによるストレス、心筋梗塞、又は容量過負荷のような血行力学的ストレスに応答して起こる。本発明はある程度、PDE5が心組織に於いて機能的に顕著なレベルで発現する;これらのレベルは心臓リモデリング及び機能の重要なレギュレーターを標的にする;及び特定のサイクリックグアノシン3’、5’−一リン酸ホスホジエステラーゼ(PDE5)の阻害が、心肥大及び他の心疾患を治療又は予防する、という発見に基づいている。
本発明の本方法は、対象(このような治療を必要とすると認定された対象を包含する)に、本明細書に記載された化合物又は本明細書に記載された組成物の有効量を投与して、心組織に有益な効果をもたらすことを包含する。このような治療を必要とする対象は、対象又は医療の専門家の判断により、主観的(例えば、意見)又は客観的に(例えば、試験又は診断方法によって測定できる)認定することができる。
本明細書で用いられているように、用語「treat」、「treating」「treatment」などは、疾患及び/又はそれに伴う症状を緩和又は改善することを示す。当然のことながら、不可能でないにしても、疾患又は障害の治療は、疾患、障害又はそれに伴う症状を完全に取り除く必要はない。
本明細書で用いられるように、用語「prevent」、「preventing」、「prevention」、「prophylactic treatment」などは、疾患及び病態を有していないがその疾患又は病態になる恐れがある又はなりやすい対象に於いて、疾患又は病態の発生率を減少させることを示す。
本発明の治療方法(予防的治療を包含する)は一般に、治療有効量のPDE5阻害剤(例えば、バルデナフィル(vardenafil)、タダラフィル(tadalafil)又はシルデナフィル(sildenafil))のような本明細書に記載の化合物を、哺乳動物、特にヒトを含む、治療を必要とする対象(例えば、動物、ヒト)に投与することを含む。このような治療は、心疾患、障害若しくはその症状を患っている、罹患している、発症しやすい又は発症する恐れがある対象、特にヒト、に適切に施されるだろう。このような「危険性のある」対象の判定は、診断試験又は対象又は医療提供者の意見(例えば、遺伝子診断、酵素又はタンパク質マーカー、マーカー(本明細書で定義されているような)、家族歴など)による、客観的又は主観的な判定によって行うことができる。本発明の化合物は形質学的、細胞又は分子リモデリングを包含する肥大のような幾つかの他の疾患の治療に於いても使用可能である。
(心臓血管機能)
心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁及び僧帽弁疾患、肺動脈弁疾患、肥大型心筋症(例えば、遺伝子的又は副因に由来する肥大型心筋症)、虚血後及び梗塞後の心臓リモデリング及び心不全のような心疾患は、不適応性な心臓の変性及び心室、細胞、及び分子リモデリングに関連している。本発明の組成物は、心機能が低下している対象に於ける心機能の強化のために使用されるだろう。望ましくは、心機能が、少なくとも5%、10%若しくは20%、又は25%、50%若しくは75%程にさえも増強される。最も有利には、心機能が実質的に正常(例えば、健常な対照の心機能の85%、90%、95%又は100%)になるように、心機能を増強させる又は損傷を回復させる。また、このような検査は、PDE5A阻害剤による治療前、治療中又は治療後の対象の状態をモニターするために用いる。心機能を増強させる治療は本発明の本方法に於いて有用である。
あらゆる標準方法が、心臓血管機能の検査に有効である。好ましくは、対象(例えば、ヒト)の心臓血管機能は、心エコー検査法、核若しくは放射線造影心室撮影法又は核磁気共鳴画像法のような画像検査法による正味心駆出量(駆出分画、分画の短縮、及び心室収縮末期の容量)の測定、及び組織のドップラー画像により測定される収縮期組織速度の測定のような、非侵襲的手法を用いて検査される。収縮期の収縮性もまた、心臓の拍出量の評価(拍出力を評価する)又は容量(最大筋硬化を評価する)を組み合わせた血圧測定法を用いて非侵襲的に測定することができる。
一般に圧力及び容量、拡張早期左室充満速度及び弛緩速度(エコードップラー測定から評価できる)の同時測定法により測定される、心臓血管拡張機能の測定は心室コンプライアンスを含む。心機能の他の測定は、心筋の収縮力、安静時の心拍出量、安静時の心拍数、安静時の心係数(着座中に計測された単位時間当たりの心拍出量[L/分]が体表面積[m」で除されたもの)、総有酸素容量、運動中の心血管系機能、ピーク運動能力、ピーク酸素(O)消費量、又は当該技術分野で公知の又は本明細書に記載の他の何れかの方法によるものを包含する。血管機能の測定は、末梢血管抵抗、大動脈インピーダンス、動脈コンプライアンス、波動反射及び大動脈脈波伝播速度を含む多数の因子によって決まる総心室後負荷の測定を包含する。
心臓血管機能を検査する方法は、以下の何れか1つ又はそれ以上を包含する;ドップラー心エコー法、ドップラー断層心エコー法、パルスドップラー心エコー法、連続波ドップラー心エコー法、オシロメトリック法のアームカフ、組織ドップラーイメージング法、心臓カテーテル法、核磁気共鳴映像法、陽電子放出断層撮影法、胸部X線、X線造影心室撮影法、核画像心室撮影法、コンピューター断層画像法、高速スパイラルコンピューター断層画像法、3次元心エコー法、侵襲的心圧、侵襲的心流量、侵襲的心圧容積ループ(コンダクタンスカテーテル法)、非侵襲的心圧容積ループ。
(予防及び治療への応用)
心臓病は一般的に、慢性的かつ進行性の疾患であり、毎年240万人以上のアメリカ人の命を奪っている。心不全の新しい症例が、1年あたり〜50,000件あり、米国だけで推定500万人の患者がこの病気に罹患している。早期の診療が心機能の保存に最も効果的であるだろう。望ましくは、本発明の本方法を、心臓病に伴う形態学的、細胞及び分子リモデリングの予防及び改善に用いる。ある態様に於いて、心臓病は、心疾患を発病する恐れのある対象に、有効量のPDE5阻害剤を投与することにより予防される。
心疾患を発病する恐れのある対象を検出するために、対象の心リスクを当該技術分野で公知の標準的な方法を用いて検査する。心リスクの最も重要な指標は、年齢、遺伝因子、体重、喫煙、血圧、運動歴及び糖尿病である。心リスクの他の指標は、対象の脂質状態を含み、これは一般的に血液検査、又は心臓病又は高血圧に関連する他の何れかの生物指標を用いて試験される。心リスクを検査する他の方法は、EKGストレス試験、タリウムストレス試験、EKG、CTスキャン、心エコー図、核磁気共鳴画像の検討、非侵襲的及び侵襲的動脈造影図及び心臓カテーテル検査を包含するが、これらに限定されるものではない。
PDE5阻害は、心臓の機能異常、肥大及び拡張につながるものであって、他の心臓病の指標によるものである、心室、細胞及び分子リモデリングを包含する不適応性の心臓変性の治療に有用である。有利には、本発明の本方法は、圧過負荷、神経ホルモンのストレス、心筋梗塞又は容積過負荷に伴うストレスを受けている心臓組織に於ける、形態学的、細胞及び分子リモデリングを低下させるために有用である。従って、本発明の本方法は、管理不良高血圧又は心臓に圧力がかかる他の何れかの慢性症状を有する患者に於いて特に有用である。
(PDE5阻害剤)
PDE5は、全身及び肺の動脈並びに静脈平滑筋細胞−特に海綿体に於いて発現される。この発現により、PDE5阻害剤は最初その血管拡張効果に興味をもたれた。例えば、シルデナフィル(sildenafil)が、その冠動脈拡張能力を期待して抗狭心症薬として最初に研究された。しかしながら、狭心症の治療のためのシルデナフィルの初期の臨床研究は、動脈の血管拡張に及ぼす影響が非常に穏やかであり、期待はずれであった。これらの臨床研究は、シルデナフィル投与の一般的な副作用としての勃起機能が改善されたという発見に至った。シルデナフィルは、cGMPの分解を減少させることにより、性的な刺激に対する応答に於いて、酸化窒素による陰茎の血液循環を誘発させる血管拡張効果を持続させ、勃起を増強する。これと同様なサイクリックヌクレオチドのシグナル伝達経路は、正常な勃起機能に必要な酸化窒素の平滑筋弛緩効果を媒介する。この経路のダウンレギュレーションは多様な勃起障害の病態生理学の中核をなしている。
シルデナフィルはPDE5に対して選択性がある。本明細書に於いて報告される発見以前に、心筋中のPDE5濃度は機能的に重要でないと考えられていた。実際、つい2003年まで、この種類の医薬品の主な概説は、公知の心筋に対する直接的な影響、及び動脈血圧に対する最小の効果に言及していなかった。このことは、PDE5阻害剤が、心機能若しくは形態(すなわち、肥大)を変化させるのに十分なほど左心の負荷を減少させない、又は分子及び細胞リモデリングを緩和させないことを示唆した。実際に、PDE5は安静条件下の心臓の調節に於いて重要でない役割しか果たさない(自動車ブレーキがアイドリングしている車に対して殆ど影響が無いように)。
驚くべきことに、本明細書に於いて報告される結果は、PDE5Aがストレスに晒されている心臓に於いて重要な役割を果たしていること、及びPDE5A阻害が、圧過負荷、神経ホルモンのストレス、心筋梗塞又は容量過負荷に関連するストレスに晒されている心臓に於ける形態的、細胞及び分子リモデリングを予防及び改善させるということを、示した。驚くべきことに、心機能、左心機能、肥大及び分子及び細胞リモデリングに対するPDE5阻害剤の治療効果は、心臓に課せられる負荷に於ける何れの変化も完全に無い状態で達成される。
PDE5阻害剤は、当該技術分野で公知であり、シルデナフィル(化合物1)、バルデナフィル(化合物2)、タダラフィル(化合物3)、EMD 360527、DA 8159若しくはこれらの類似物、又はホスホジエステラーゼ−5(PDE5)によるcGMPの加水分解を阻害する他の化合物の何れかを包含するが、これに限定されるものではない。
Figure 2008510705
本発明に於いて有用な特定の化合物は、次の化学構造式(式I):
Figure 2008510705
(式中、
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル又はC−Cパーフルオロアルキルであり;
は、H、又はOH、C−Cアルコキシ若しくはC−Cシクロアルキルで置換されていてもよいC−Cアルキル、又はC−Cパーフルオロアルキルであり;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C67シクロアルキル、C−Cパーフルオロアルキル又は(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルであり;
は、それが結合している窒素原子と一緒になって、4−N−(R)−ピペラジニル基を形成し;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、NR、又はCONRであり;
は、H、C−Cアルキル、(C−Cアルコキシ)C−Cアルキル、ヒドロキシC−Cアルキル、(RN)C−Cアルキル、(RNCO)C−Cアルキル、CONR、CSNR又はC(NH)NRであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、(C−Cアルコキシ)C−Cアルキル又はヒドロキシC−Cアルキルである)
で表わされる化合物、及びその薬学的に許容される塩である。
本発明で使用されるその他の好ましい化合物は、米国特許第6,362,178号に開示され、次の化学構造式(式II)で示すことができる化合物、及びそれらの塩、水和物、N−オキシド及び構造異性体である。
Figure 2008510705
式中の、
は、水素又は最大4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を示す。
は、最大4個までの炭素原子を有する直鎖アルキル基を示す。
及びRは、同一又は異なって、それぞれが水素を示すか、又はそれぞれが最大8個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル又はアルコキシを示すか、又は酸素原子が介在してもよく、以下の基を含む群から選択される同一又は異なる置換基でモノ−又はポリ−置換されていてもよい、最大10個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルを示す。
群に含まれる基は、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシ、ベンジルオキシカルボニル、最大6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシカルボニル、及び/又は化学式の基;−SOH、−(A)−NR、−O−CO−NR7’8’、−S(O)−R、−P(O)(OR10)(OR11)、及び
Figure 2008510705
で表される基である。
上記式中の、
a及びbは、同一又は異なって、0又は1の数を示す。
Aは、CO又はSO基を示す。
、R、R7’及び8’は、同一又は異なって、それぞれが水素を示すか、又は3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、6〜10個の炭素原子を有するアリール、又は5〜6員の不飽和、部分不飽和又は飽和の、ベンゾ縮合されていてもよい、S、N及びOよりなる群から選ばれる最大3個までのヘテロ原子を有する複素環を示すか、又は
(ここにおいて、上記の環系は、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、ハロゲン、それぞれ最大6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ又はアルコキシカルボニルから選ばれる同一又は異なった置換基で、又は式:−(SO)c−NR1213で表される基で、モノ−又はポリ−置換されていてもよい。
この式中の、
cは、0又は1の数を示し、
12及びR13は、同一又は異なって、それぞれが水素、又は最大5個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。)
、R、R7’及び8’は、それぞれ最大6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシを示すか、又はヒドロキシ、ハロゲン、6〜10個の炭素原子を有するアリール、それぞれが最大6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ又はアルコキシカルボニルよりなる群から選ばれる同一又は異なる置換基で、又は式:−(CO)−NR1415で表される基で、モノ−又はポリ−置換されていてもよい最大8個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示すか、又は
(ここにおいて、
12及びR13は、同一又は異なって、それぞれが水素、又は最大4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示し、
dは0又は1の数を示す。)
、R、R7’及び8’は、窒素原子と一緒になって、5〜7員の飽和複素環を形成し、これは更にS及びOよりなる群から選ばれるヘテロ原子又は式:−NR16で表される基を含有していてもよい。
(ここにおいて、
16は、水素、6〜10個の炭素原子を有するアリール、ベンジル、又はメチルで置換されていてもよいS、N及びOよりなる群から選ばれる最大3個までのヘテロ原子を有する5〜7員の芳香族又は飽和複素環を示すか、又はヒドロキシで置換されていてもよい、最大6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。)
は、6〜10個の炭素原子を有するアリールを示すか、又は最大4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。
10及び11は、同一又は異なって、それぞれ水素、又は最大4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。
及び/又は、上記R/R以下のアルキル鎖は、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、6〜10個の炭素原子を有するアリールによって、又はS、N及びOよりなる群からの4個までのヘテロ原子又は式:−NR17で表される基を含有していてもよい、5〜7員の部分不飽和、飽和又は不飽和で、ベンゾ縮合していてもよい複素環によって置換されていてもよい。
(ここに於いて、R17は、水素、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロメチル、それぞれ4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアシル又はアルコキシ示すか、又はヒドロキシル及び6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシよりなる群から選ばれる同一又は異なる置換基でモノ−又はポリ−置換されていてもい、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示し、そして
上記アリール及び複素環は、ニトロ、ハロゲン、−SOH、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシから選ばれる同一又は異なる置換基によって、及び/又は式:−SO−NR1819で表される基によってモノ−又はポリ−置換されていてもよい。
上記式中の、R18及びR19は、同一又は異なり、そしてそれぞれ水素又は6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル示す。)
及び/又は、R又はRは、式:NR2021で表される基を示し、R20及びR21は、上記のR18及びR19と同じ意味を有し、そしてそれぞれ同一又は異なっている。
及び/又は、R又はRは、アダマンチルを示すか、又は式:
Figure 2008510705
で表される基を示すか、又は3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、6〜10個の炭素原子を有するアリール、又はS、N及びOよりなる群からの4個までのヘテロ原子又は式:−NR22で表される基を含有していてもよい、5〜7員の部分不飽和、飽和又は不飽和でベンゾ縮合していてもよい複素環を示す。
ここに於いて、R22は、上記のR16と同じ意味を有し、そしてそれぞれ同一又は異なってよく、又はカルボキシ、ホルミル又は5個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアシルを示す。そして
上記シクロアルキル、アリール及び/又は複素環は、ハロゲン、トリアゾリル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアシル又はアルコキシカルボニル、及びニトロから選ばれる同一又は異なる置換基によって、及び/又は式:−SOH、−OR23、(SONR2425、又は−P(O)(OR26)(OR27)で表される基によって、モノ−又はポリ−置換されていてもよい。
上記式中に於いて、
eは、0又は1の数を示す。
23は、式:
Figure 2008510705
で表される基を示すか、又は3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキルを示すか、又は水素又は4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル[このアルキル基は、3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル、ベンジルオキシ、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ又はアルコキシカルボニル、カルボキシル、ベンジルオキシカルボニル又はフェニル(この部分は、4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ、ヒドロキシ及びハロゲンから選ばれる、同一又は異なる置換基でモノ−又はポリ−置換されていてもよい)で置換されていてもよい]、及び/又は式−CO−NR2829又は−CO−R30で表される基で置換されていてもよいアルキルを示し、
28及びR29は、同一又は異なって、それぞれが水素、又は8個までの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるか、又は
28及びR29は、窒素原子と一緒になって、S及びOよりなる群からの更なるヘテロ原子を含有していてもよい、5〜7員の飽和複素環を形成し、そして
30は、フェニル又はアダマンチルを示し、
24及びR25は、上記のR18及びR19と同じ意味を有し、そして同一でも異なってもよく、
26及びR27は、上記のR10及びR11と同じ意味を有し、そして同一でも異なってもよく、
及び/又は、シクロアルキル、アリール及び/又は複素環は、ヒドロキシル又はカルボキシルで置換されていてもよい、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルによって、S、N及びOからの3個までのヘテロ原子を有する5〜7員の複素環によって、又は式:−SO−R31、P(O)(OR32)(OR33)又は−NR3435で表される基によって置換されていてもよく、
上記式中に於いて、
31は、水素を示すか、又は上記Rと同じ意味を有し、そして同一でも異なっていてもよく、
32及びR33は、上記R10及びR11と同じ意味を有し、そして同一でも異なっていてもよく、
34及びR35は、同一でも異なっていてもよく、そしてそれぞれ水素、又はヒドロキシで又は4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシで置換されていてもよい、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示すか、又は
34及びR35は、窒素原子と一緒になって、S及びOよりなる群からの更なるヘテロ原子、又は式:−NR36で表される基を含有していてもよい、5〜6員の飽和複素環を形成し、
(上記式中、
36は、水素、ヒドロキシ、7個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシカルボニル、又はヒドロキシルで置換されていてもよい、5個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。)
又は、R及びRは、窒素原子と一緒になって、S、N及びOよりなる群からの3個までのヘテロ原子、又は:式−NR37で表される基を含有していてもよく、5〜7員の不飽和、飽和又は部分不飽和の、ベンゾ縮合していてもよい複素環を形成し、
ここに於いて、
37は、水素、ヒドロキシル、ホルミル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はそれぞれ4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアシル、アルコキシ又はアルコキシカルボニルを示すか、又はヒドロキシル、トリフルオロメチル、カルボキシル、及びそれぞれ6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ又はアルコキシカルボニルよりなる群から選ばれる同一又は異なる置換基で、又は式:−(D)−NR3839、−CO−(CH−O−CO−R40、−CO−(CH−OR41又は−P(O)(OR42)(OR43)で表される基で、モノ−又はポリ−置換されていてもよい、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示すか、又は
(上記式中に於いて、
g及びhは、同一又は異なって、1、2、3又は4の数を示し、そしてfは、0又は1の数を示し、
Dは、式:−CO又はSOで表される基を示し、
38及びR39は、同一又は異なって、それぞれ上記R及びRと同じ意味を有し、
40は、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示し、
41は、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示し、
42及びR43は、同一又は異なって、それぞれ水素又は4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキルを示す。)
37は、式−(CO)−Eで表される基を示す。
[上記式中に於いて、
iは、0又は1の数を示し、
Eは、3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル又はベンジルを示すか、又は6〜10個の炭素原子を有するアリール又はS、N及びOよりなる群からの4個までのヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族複素環を示すか、又は
(上記の環系は、ニトロ、ハロゲン、−SOH、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、及びトリフルオロメトキシよりなる群から選ばれる同一又は異なる基によって、又は式:−SO−NR4445で表される基によって、モノ−又はポリ−置換されていてもよく、ここに於けるR44及びR45は、上記R18及びR19と同じ意味を有し、そして同一又は異なっていてもよい。)
Eは式:
Figure 2008510705
で表される基、及び窒素原子と共に形成され、ヒドロキシル、ホルミル、カルボニル、それぞれが6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアシル又はアルコキシカルボニル、ニトロ、及び式:−P(O)(OR46)(OR47)、
Figure 2008510705
、=NR48、又は−C(O)NR4950で表される基よりなる群から、選ばれる同一又は異なる置換基でモノ−又はポリ−(適切に2つの基が結合できるなら)置換されていてもよい、R及びRに示されている複素環を示し、
(上記式中に於いて、
46及びR47は、上記R10及びR11と同じ意味を有し、そして同一又は異なっていてもよく、
48は、ヒドロキシ、又は4個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシを示し、
jは、0又は1の数を示し、そして
49及びR50は、同一又は異って、そして上記R14及びR15と同じ意味を有する。)
及び/又は、窒素原子と共に形成され、R及びRに示されている複素環は、
ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、それぞれ3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル又はシクロアルキルオキシ、及びそれぞれ6個までの炭素原子を有するアルコキシ又はアルコキシカルボニルよりなる群から選ばれる同一又は異なる置換基によって、又は式:−SOH、−NR5152又はP(O)OR53OR54によって、モノ−又はポリ−置換されていてもよく、
(上記式中に於いて、
51及びR52は、同一又は異なり、そしてそれぞれが水素、フェニル、カルボキシル、ベンジル、又はそれぞれ6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルコキシを示し、
53及びR54は、同一又は異なり、そして上記R10及びR11と同じ意味を有し、
及び/又は、上記アルキルは、6〜10個の炭素原子を有するアリールで置換されていてもよく、このアリール部分は、ハロゲン、ヒドロキシル、及び6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシよりなる群から選ばれる同一又は異なる置換基によって、又は式:−NR51’52’で表される基によって、モノ−又はポリ−置換されていてもよく、
このR51’及びR52’は、上記R51及びR51と同じ意味を有し、そして同一又は異なっていてもよい。)
及び/又は、窒素原子と共に形成され、R及びRに示されている複素環は、
6〜10個の炭素原子を有するアリールによって、又はS、N及びOよりなる群からの3個までのヘテロ原子を有して、窒素官能基を介して結合してもよい、5〜7員の飽和、部分不飽和又は不飽和複素環によって、置換されていてもよく、この環系はその部分がヒドロキシル、又は6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルコキシで置換されていてもよい。
又は、R及びRは、窒素原子と共に式:
Figure 2008510705
で表される基を形成する。
及びRは、同一又は異なり、そしてそれぞれが水素、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル、又は6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルコキシを示す。
その他の適切な化合物は、次の式IIIで表される化合物、並びにその塩及び溶媒和物(例えば水和物)を包含する。
Figure 2008510705
式IIIに於いて、
は、水素、ハロゲン又はC1−6アルキルを示し、
は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロC1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキルC1−3アルキル、アリールC1−3アルキル又はヘテロアリールC1−3アルキルを示し、
は、ベンゼン、チオフェン、フラン及びピリジンから、選ばれる置換されていてもよい単環式芳香環、又は置換されていてもよい、
Figure 2008510705
で表される2環式の環(ベンゼン環炭素原子の1個を介して化合物の残基に結合し、そして縮合している環Aは、飽和、部分又は完全不飽和で、炭素原子並びに酸素、硫黄及び窒素から選ばれてもよい1個又は2個のヘテロ原子からなる)を示し、そして、
は、水素又はC1−3アルキルを示すか、又は、
及びRは、一緒になって、3又は4員のアルキル又はアルケニル鎖を示す。
ある好ましい化合物は、次の式IVで表される化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物(例えば水和物)を包含する。
Figure 2008510705
式IVに於いて、
は、水素、ハロゲン又はC1−6アルキルを示し、
は、水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C3−8シクロアルキルC1−3アルキル、アリールC1−3アルキル、又はヘテロアリールC1−3アルキルを示し、そして
は、ベンゼン、チオフェン、フラン及びピリジンから、選ばれる置換されていてもよい単環式芳香環、又は置換されていてもよい、
Figure 2008510705
で表される2環式の環(ベンゼン環炭素原子の1個を介して化合物の残基に結合し、そして縮合している環Aは、飽和、部分又は完全不飽和で、炭素原子並びに酸素、硫黄及び窒素から選ばれてもよい1個又は2個のヘテロ原子からなる)を示す。
本発明に用いるのに好ましい化合物のさらなる群は、次の式Vで表される化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物(例えば、水和物)である。
Figure 2008510705
式Vに於いて、
は、水素、ハロゲン又はC1−6アルキルを示し、
は、水素又はC1−6アルキルを示し、
は、ハロゲン及びC1−3アルキルから選ばれる1個又はそれ以上の基で置換されていてもよい、
Figure 2008510705
で表される2環式の環を示し、そして、
は、水素又はC1−3アルキルを示す。
上記式IVでのRに関して、アリールC1−3アルキル基の一部分である「アリール」という用語は、フェニル又はハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びメチレンジオキシから選ばれる1個又はそれ以上(例えば、1、2又は3個)の置換基で置換されているフェニルを意味する。
ヘテロアリールC1−3アルキル基の一部分である「ヘテロアリール」という用語は、それぞれがハロゲン、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから選ばれる1個又はそれ以上(例えば、1、2又は3個)の置換基で置換されていてもよい、チエニル、フリル又はピリジルを意味する。
3−8シクロアルキルC1−3アルキル基の基又は一部分である「C3−8シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子からなる単環式の環を意味する。適切なシクロアルキル環は、C3−6シクロアルキル環であるシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを包含する。
上記式IVでのRに関して、ベンゼン環の任意の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、CO、R、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、シアノ、ニトロ及びNRNRよりなる群、又は1個若しくはそれ以上(例えば、1、2、又は3個)の原子、から選ばれる。
ここに於いて、R及びRは、それぞれ水素又はC1−6アルキルであるか、又はRは、C2−7アルカノイル又はC1−6アルキルスルホニルでこともできる。
残りの環系についての任意の置換基は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、及び上記で定義したアリールC1−3アルキルよりなる群、又は1個若しくはそれ以上(例えば、1、2又は3個)の原子、から選ばれる。
Figure 2008510705
で表される2環式の環は、例えば、ナフタレン、又はベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、又は
Figure 2008510705
で表される基(式中、nは、1又は2の整数であり、X及びYはそれぞれCH、O、S、又はNHと示すことができる)を示すことができる。
米国特許第6,916,927号、第6,911,542号、第6,903,099号、第6,878,711号、第6,872,721号、第6,858,620号、第6,825,197号、第6,774,128号、第6,723,719号、第6,699,870号、第6,670,366号、第5,759,006号及び第5,250,534号も参照されたい。
本発明の方法で有用なその他のPDE5阻害剤は、WO第03/063875号、WO第03/1012761号、WO第2004/037183号、及びWO第98/38168号に記載されている。
これら全ての特許及び特許出願は、本明細書に引例としてその全てが組み入れられている。
シルデナフィルは、25、50又は100mgの3つの用量で市販されており、そして約10nMのIC50値を有している。有効な血漿中濃度は、1nM〜250nMであり、この幅の下端値は、1〜249の何れかの整数であり;そしてこの幅の最上値は2nM〜250nMの何れかの整数である。有効な血漿中濃度は、5nM〜100nMが好ましく、より好ましくは10nM〜50nM(例えば、15nM、20nM、25nM、30nM、40nM又は45nM)である。
タダラフィルは、5、10又は20mgの3つの用量で市販されており、そして約10nMのIC50値を有している。健康な対象者に20mg用量のタダラフィルを経口投与すると、タダラフィルは急速に吸収されて、378ng/mlの最大血漿中濃度が投与後2時間で生ずる。好ましい有効な血漿中濃度は、5nM〜100nMであり、より好ましくは10nM〜50nM(例えば、15nM、20nM、25nM、30nM、40nM、又は45nM)である。タダラフィルは、62.6Lという比較的大きな見掛け分配容量(apparent volume of distribution:Vd/F)、及び2.48L/hという低い見掛けの経口クリアランス(apparent oral clearance:CL/F)を有している。その結果、タダラフィルの平均半減期消失は約17.5時間であり、これはシリデナフィル又はバルデナフィルよりも実質的に長時間である。
バルデナフィルは、5mg、10mg及び20mgの3つの用量で市販されており、そして0.7nMのIC50値を有している。バルデナフィルの有効な血漿中濃度は、0.1〜5.0nMである。
当業者は、PDE5の活性を低減する化合物の何れも本発明方法に有用であるということを認識できるであろう。本発明方法に有用なその他の典型的な化合物は、UK−343,664(Walker et al., Xenobiotica, 31:651-664)、UK−427,387、UK−357903[1−エチル−4−{3−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−2−(2−メトキシエトキシ)−5−ピリジルスルホニル}ピペラジン](Gaediner et al. J Pharmacol Exp Ther. 2005; 312:265-271)、UK−371800(Pfizer)、UK−313794(Pfizer)及びUK−343664(Abel et al., Xenobiotica. 2001 31:665-76);TA−1790(from Tanabe Seiyaku);CP−248、CP−461及びエクシスリンド(exisulind:Deguchi et al., Molecular Cancer Therapeutics 803-809, 2002)これはOsi Pharamceuticalから入手可能;ピラゾリノン;EMD82639(4−(4−[2−エチル−フェニルアミノ)−メチレン]−3−メチル−5−オキソ−4,5−ジ−ヒドロ−ピラゾール−1−イル)−安息香酸(Senzaki et al., FASEB Jounal. 2001;15:1718-1726);[7−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−1−メチル−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イルメトキシ]−酢酸(EMD360527)、4−[4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−2−イル]−シクロヘキサンカルボン酸エタノールアミン塩(EMD−221829)及び5−[4−(3−クロロ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−2−イル]−ペンタノン酸(EMD171827)、これらはMerck KgaA(Darmstadt, DE)から市販されており、そして例えば、Scuttらが(BMC Pharmacol. 2004; 4:10)に記載している;3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ−[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド(DA−8259);E−4021(Dukarm et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1999, 160:858-865);ペトキシフィリン(pentoxifylline)及びFR22934(Fujisawa)を包含する。
(医薬組成物)
本発明は、PDE5A阻害剤(例えば、シリデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル又はこれらの類縁体)を薬学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物を特徴とし、ここに於いてこの化合物は、心組織の肥大性形態学的、細胞、又は分子リモデリングによって特徴付けられる実質的な何れかの心臓病の指標を治療するために提供される。本発明の医薬製剤は、治療的及び予防的な適用の両方を有する。ある態様に於いて、医薬組成物はPDE5阻害剤の有効量を包含する。この組成物は無菌、かつ治療有効量のPDE5阻害剤を対象(例えば、ヒト患者)に投与するのに適した重量又は容量の単位で含有する。本発明の組成物及びその組み合わせは、PDE5阻害剤が個々の投与量で存在している医薬包装体の一部とすることができる。
予防又は治療のために投与される本発明の医薬組成物は、殺菌されていなければならない。殺菌は、無菌ろ過膜(例えば、0.2μmの膜)によるろ過、ガンマ線照射又は当業者に公知の他の適切な方法により容易に成される。治療用組成物は一般に、無菌点検口を有する容器、例えば皮下注射針で突き通せるストッパーを有する静脈注射用溶液バッグ又はバイアル、に収納する。これらの組成物は通常、単数又は複数投与量用の容器、例えば封印したアンプル又はバイアル中に、水溶液又は再構成用の凍結乾燥製剤として保存される。
PDE5阻害剤は、薬学的に許容される賦形剤と混合してもよい。本明細書に於いて用いられる「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ヒトへの投与に適した、1つ又はそれ以上の適合性のある個体又は液体の充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。用語「担体」とは、投与を容易にするために活性成分に混合される、有機又は無機、天然の又は合成された成分である。医薬組成物の成分はまた、実質的に望ましい薬学的効果を損なうような相互作用のない方法で、本発明のPDE5阻害剤と、及び互いに、混合できる。
本発明の化合物は、薬学的に許容される賦形剤中に含まれていてもよい。好ましくは、賦形剤は等張性及び化学安定性を増強する物質のような添加剤を微量に含有することが好ましい。このような物質は、用いられる用量及び濃度に於いて対象に対して非毒性であり、 リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、酒石酸及び他の酸又はそれらの塩;トリス−ヒドロキシメチルアミノエタン(TRIS)、重炭酸、炭酸及び他の有機塩基及びそれらの塩のような緩衝剤;
アスコルビン酸のような抗酸化剤;
低分子量の(例えば、約10残基以下の)ポリペプチド、例えばポリアルギニン、ポリリシン、ポリグルタミン及びポリアスパラギン酸;
血清アルブミン、ゼラチン又はイムノグロブリンのような、タンパク質;
ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリプロピレングリコール(PPGs)、及びポリエチレングリコール(PEGs)のような、親水性ポリマー;
グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン又はアルギニンのようなアミノ酸;
セルロース又はその誘導体、ブドウ糖、マンノース、蔗糖、デキストリン、又はヘパリン、コンドロイチン硫酸又はデキストラン硫酸のような硫酸化糖を包含する単糖類、二糖類、及び他の糖類;
カルシウムイオン、マグネシウムイオン及びマンガンイオンを包含する2価金属イオンのような、多価金属イオン;
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような、キレート剤;
マンニトール又はソルビトールのような糖アルコール;
ナトリウム又はアンモニウムのような、対イオン;及び/又は
ポリソルベート又はポロキサマーのような、非イオン界面活性剤を包含する。
安定剤、抗菌剤、不活性ガス、流動及び栄養補充剤(すなわち、ブドウ糖リンゲル液)、電解質補給剤などのような他の添加剤も包含されるであろうし、これらは通常量中に存在する。
組成物は、前述のように、有効量を投与される。有効量は、投与方法、治療される特定の症状及び望ましい結果によって決められるであろう。また、症状の段階、対象の年齢及び健康状態、併用療法の種類(もしあるなら)、及び医師によく知られているその他の因子によっても決められるであろう。治療への適用として、これは医学的に望ましい結果を得るのに十分な量である。
肥大性の形態学的、細胞又は分子リモデリングに関連した心臓病又は疾患を患う対象に対しての有効量は、心肥大に関連する変化を予防、低下、安定化又は改善させるのに十分な量である。心臓病又は疾患を患う対象に対しての有効量は、心疾患に関連する症状を安定化、遅滞又は低減させるのに十分な量である。一般に、本発明の化合物の用量は、一日当たり約0.01mg/kgから一日当たり約1000mg/kgであろう。ある態様に於いては、シルデナフィルのようなPDE5阻害剤の25、50、75、100、125、150又は200mgを対象に投与する。好ましくは、100mgのPDE5阻害剤を投与する。望ましくは、血漿中で10、25、50、75又は100nMのピーク濃度に達するために十分な量のPDE5阻害剤を投与する。好ましくは、ピーク濃度が50nMである。有効量は、0.1nM〜200nMの範囲であり、ここでこの範囲の低値は1〜199の間の何れかの整数で、この範囲の最大値は2〜200の間の何れかの整数である。有効量は、10〜50nMの範囲の血漿中PDE5阻害剤遊離濃度になることが望ましいが、200nMまで高く又は1〜2nMまで低くすることが可能である。典型的な濃度は、0.1、1、5、10、20、25、30、40又は50nMを含む。約5〜約2000mg/kgまでの用量が適当であると予想されるが、それは使用する特定のPDE5a阻害剤による。より低い用量は、静脈内投与及び薬剤のような、ある種の投与形態によりもたらされるであろう。対象の反応が、最初に投与された用量では不十分である場合には、より高い用量を(又は異なった、より局所的な送達経路により高用量を効果的に)患者の許容範囲内に於いて投与してもよい。本発明の組成物が適切な全身濃度を達成するように、複数回投与が検討される。
様々な投与経路が利用可能である。一般的に言えば、本発明の方法は、何れかの投与形態を用いて実施されるだろう、そしてその投与形態は医学的に許容されるものであり、臨床的に容認できない副作用を引き起こさずに活性化合物の有効濃度をもたらす何れかの方法を意味する。ある好ましい態様に於いて、本発明の組成物は経口で投与される。他の投与形態は、直腸、局所、眼内、口腔内、膣内、嚢内、脳室内、気管内、経鼻、経皮、インプラント又は非経口路を包含する。用語「非経口」は、皮下、鞘内、静脈内、筋肉内、腹腔内又は輸液を包含する。静脈内又は筋肉内経路は、長期治療及び予防には特に適しているわけではない。しかしながら、これらは緊急な状況に於いては好まれるであろう。本発明の組成物を含有する製剤は、血液のような生理液に加えることができる。経口投与は、投与計画の他に患者の利便性のため、予防的治療に好ましいであろう。
本発明の医薬組成物は、製剤のpHを、約5.0〜約8.0の範囲のような生理的pHを反映する所定の値に保持するための1つ又はそれ以上のpH緩衝化合物を含有できる。水性液体製剤に於いて用いられるpH緩衝化合物は、アミノ酸又はアミノ酸混合物であってよく、例えばヒスチジン、又はヒスチジンとグリシンのようなアミノ酸混合物である。また、pH緩衝化合物は、製剤のpHを約5.0〜約8.0の範囲のような、所定の値に保持するものであり、カルシウムイオンをキレート化しない薬剤であることが好ましい。このようなpH緩衝化合物の具体例は、イミダゾール及び酢酸イオンを包含するが、これらに限定されるものではない。pH緩衝化合物は、製剤のpHを所定の値に保持するのに適した如何なる量でも存在するだろう。
さらに本発明の医薬組成物は、1つ又はそれ以上の浸透圧調節剤、すなわち、製剤の浸透圧特性(例えば、張性、重量オスモル濃度及び/又は浸透圧)を被投与者の血流及び血液細胞に許容される値に調節する化合物を含有することができる。この浸透圧調節剤はカルシウムイオンをキレート化しない薬剤であってよい。浸透圧調節剤は、製剤の浸透圧特性を調節するものとして、当業者に公知の又は入手可能な組成物の何れであってもよい。当業者は、本発明形成に於いて用いる上記の浸透圧調節剤の適合性を経験的に決定できるであろう。浸透圧調節剤の適切なタイプの具体例は:塩化ナトリウム及び酢酸ナトリウムのような塩類;蔗糖、D型グルコース(dextrose)及びマンニトールのような、糖類;グリシンのような、アミノ酸;及び1つ又はそれ以上のこれらの薬剤及び/又は薬剤のタイプの混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。浸透圧調節剤は、製剤の浸透圧特性を調節するのに十分な何れかの濃度で存在するであろう。
本発明の化合物よりなる組成物は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン及び/又はマンガンイオンのような、多価金属イオンを含有することができる。組成物の安定化に役立ち、被投与者に悪影響を及ぼさない何れの多価金属イオンが使用されるであろう。この2つの基準に基づいて、当業者は経験的に適切な金属イオンを決定できる、そしてそのような金属イオンの適切な供給源は公知であって、無機及び有機塩を包含している。
本発明の医薬組成物は、非水性液体製剤であってもよい。含有されている活性薬剤の安定性を提供するならば、何れの適切な非水性液体も使用可能である。好ましくは、非水性液体は親水性液体である。適切な非水性液体の具体例は:グリセロール;ジメチルスルホキシド(DMSO);ポリジメチルシロキサン(PMS);エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(「PEG」)200、PEG300及びPEG400のような、エチレングリコール類;及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコール(「PPG」)425、PPG725、PPG1000、PPG2000、PPG3000及びPPG4000のような、プロピレングリコール類を包含する。
本発明の医薬組成物は、混合水性/非水性液体製剤であってもよい。混合された水性/非水性液体製剤が含有されている化合物に安定化をもたらすならば、上記のような何れの非水性液体製剤も、上記のような何れの水性液体製剤とも共に使用することができる。好ましくは、このような製剤中の非水性液体は親水である。適切な非水性液体の具体例は:グリセロール;DMSO;PMS;PEG200、PEG300及びPEG400のようなエチレングリコール類;及びPPG425、PPG725、PPG1000、PPG2000、PPG3000及びPPG4000のような、プロピレングリコール類を包含する。
安定した適切な製剤は、凍結又は非凍結液体状態で活性薬剤を貯蔵することが可能である。安定した液体製剤は、組成物の性質に基づいて、少なくとも−70℃で貯蔵できるが、少なくとも0℃又は約0.1℃と約42℃の間のより高い温度でも貯蔵することができる。タンパク質及びポリペプチドはpH、温度、及び治療効果に影響を与える多様な他の因子の変化に敏感であることが当業者に一般に知られている。
他の送達システムは、徐放性、遅延放出性又は持続放出性の送達システムを包含する。このようなシステムは本発明の組成物の連続投与を避けることができ、対象及び医師の利便性を高める。多種の放出送達システムが使用可能であり、当業者に公知である。これらは、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号;ヨーロッパ特許第58,481号)、ポリ(ラクチド−グリコリド)、シュウ酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシラク酸のような、ポリヒドロキシラク酸(ヨーロッパ特許第133,988号)、L−グルタミン酸とガンマ−エチル−L−グルタミン酸エステルの共重合体(Sidman, K.R.ら, Biopolymers 22:547-556)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)又はエチレン酢酸ビニル(Langer, R.ら, J. Biomed. Mater. Res. 15:267-277; Langer, R. Chem. Tech. 12:98-105)及びポリ酸無水物のような、高分子基材システムを包含する。
持続放出性組成物の他の例は、例えばフィルムのような造形品、又はマイクロカプセルの形態の半透性高分子マトリックスを包含する。また、送達システムは、非重合体システムすなわち:コレステロール、コレステロールエステル及び脂肪酸のようなステロールを包含する脂肪、又はモノ−、ジ−及びトリ−グリセリドのような中性脂肪;生物学的に由来した生体吸収性ヒドロゲル(すなわち、キチンヒドロゲル又はキトサンヒドロゲル)のようなヒドロゲル放出システム;ペプチド基材システム;ワックス塗布;通常の結合材及び賦形剤を用いる圧縮錠剤、部分溶融インプラント(partially fused implant);なども包含する。具体的な例は:(a)米国特許第4,452,775号、4,667,014号、4,748,034号及び5,239,660号に記載されているもののような、薬剤をマトリックス内に収容している浸食システム及び(b)米国特許第3,832,253号及び3,854,480号に記載されているようなポリマーから、活性成分が制御された速度で浸透する拡散システムを包含するものであるが、それらに限定されるものではない。
本発明の方法及び組成物と併用できる送達システムの他のタイプは、コロイド分散システムである。コロイド分散システムは、水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂肪基材システムを包含する。リポソームは人工膜の容器(vessels)で、インビボ又はインビトロでの送達ベクターとして有用である。大型単層小胞体(Large unilamellar vessels (LUV))は、サイズが0.2〜4.0μmの範囲で、大きな高分子を水性の内部に封入することができ、生物学的に活性な状態で細胞に送達される(Fraley, R., and Papahadjopoulos, D., Trends Biochem. Sci. 6:77-80)。
リポソームは、リポソームをモノクローナル抗体、糖、糖脂質又はタンパク質のような特定のリガンドと結合させることにより特定の組織をターゲットとすることができる。リポソームは、例えばLIPOFECTIN(登録商標)及びLIPOFECTACE(登録商標)として、Gibco BRLから市販されており、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)及びジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)のような陽イオン性の脂質の形状を成す。リポソームを作成する方法は当業者に周知であり、多くの刊行物、例えばドイツ国特許第3,218,121号;Epsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)82:3688〜3692(1985);Hwangら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4030〜4034(1980);ヨーロッパ特許第52,322号;ヨーロッパ特許第36,676号;ヨーロッパ特許第88,046号;ヨーロッパ特許第143,949号;ヨーロッパ特許第142,641号;日本特許出願 83−118008;米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;及びEP 102,324号に記載されている。リポソームはまた、Gregoriadis,G.,(Trends Biotechnol.,3:235〜241)によっても概説されている。
媒体の他のタイプは、生体適合性のある微小粒子又は哺乳類の被提供者に植え込むのに適切なインプラントである。本方法に於いて有用である典型的な生体内分解性インプラントは、PCT国際出願PCT/US/03307(公開番号 WO 95/24929、発明の名称「Polymeric Gene Delivery System」)に記載されている。PCT/US/0307は、外来遺伝子を適切なプロモーターの制御下に含むために、生体適合性がある、好ましくは生分解性の、高分子マトリックスを記載している。この高分子マトリックスは、外来遺伝子又は対象に於ける遺伝子産物の持続放出を達成するために使用できる。
高分子マトリックスは好ましくは、微小球体(ここでは薬剤が個体の高分子マトリックス中に分散される)又はマイクロカプセル(ここでは薬剤が高分子シェルの核に貯蔵される)のような微小粒子である。薬剤を含有する前記の高分子マイクロカプセルは、例えば米国特許第5,075,109号に記載されている。薬剤を含有するための高分子マトリックスの他の形態は、フィルム、塗布、ゲル、インプラント及びステントを包含する。高分子マトリックスデバイスのサイズ及び組成は、マトリックスが取り込まれる組織に適切な放出運動をもたらすように選択される。さらに高分子マトリックスのサイズは、用いられる送達方法によって選択される。好ましくは、エアゾール手段が用いられるときには、高分子マトリックス及び組成物は界面活性剤媒体に取り囲まれる(包まれる)。高分子マトリックス組成物は、両方の好ましい分解速度を有するように、また生体接着性である材料を成すように、さらに運搬の有効性を増加させるように選択することができる。マトリックス組成物は、分解しないように、しかしむしろ長期間にわたり拡散によって放出するように選択することもできる。この送達システムはまた、局所及び部位特異的な運搬に適した生体適合性のある微小球体であってもよい。このような微小球体は、Chickering,D.E.らの Biotechnol.Bioeng.,52:96〜101;Mathiowitz,E.らの Nature 386:410〜414に開示されている。
非生分解性及び生分解性の高分子マトリックスは、本発明の組成物を対象に送達するために用いることができる。このような高分子は、天然又は合成高分子であってよい。この高分子は、放出が望まれる時間に基づいて選択されるものであり、一般に数時間から1年又はそれ以上程度である。通常、数時間及び3〜12ヶ月の間の範囲での放出が最も好ましい。この高分子は、その重量の90%まで吸水できるヒドロゲルの形態であってよく、さらに多価イオン又は他の高分子と架橋されてもよい。
生分解性の送達システムを形成するために使用できる典型的な合成高分子は:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリ−ビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコライド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びその共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル及びメタアクリルエステルの重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、及び乳酸とグリコール酸の重合体、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(バレリアン酸)、及びポリ(ラクチド−コカプロラクトン)、並びにアルギン酸及びデキストラン及びセルロースを包含するその他の多糖類のような天然の重合体、コラーゲン、これらの化学的誘導体(置換;例えばアルキル基、アルキレン基のような化学的な基の付加;水酸化、酸化及び当業者が通常行うその他の修飾)、アルブミン及びその他の親水性タンパク質、ゼイン及びその他のプロラミン類及び疎水性タンパク質、共重合体及びそれらの混合物、
を包含する。一般に、これらの物質は、酵素加水分解若しくはインビボでの浸水、又は表面若しくは大部分の浸食のどちらかにより分解される。
(治療方法)
ある態様に於いて、本発明は、対象に有効量のPDE5阻害剤を、好ましくは薬学的に許容される担体を更に含有している組成物の一部として、投与するステップを含んで成る、対象の心臓に於けるPDEを阻害する方法を提供する。好ましくは、本方法を、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張性心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される心疾患を患っている又はこれらを発症しやすい対象の治療に使用される。他の態様は、本発明の本方法の何れかを包含するものであり、ここで対象は提示された治療が必要であると認定されたものである。
本発明の別の局面は、対象に於ける心機能の増強又は形態的、細胞又は分子リモデリングを低下させるための薬剤の製造に於けるPDE5阻害剤の使用である。好ましくは、薬剤は上記の疾患、障害又は症状を有する対象に於ける治療又は予防のために使用される。
(キット)
本発明は、形態的、細胞又は分子リモデリングを包含する、心肥大に関連する心疾患の治療又は予防のためのキットを提供する。ある態様に於いて、このキットは有効量のPDE5阻害剤(例えば、シルデナフィルのようなPDE5a阻害剤)含有してなる医薬包装物を包含する。好ましくは、組成物は単位用量形態で存在する。ある態様に於いて、キットは、治療又は予防用の組成物を含有する滅菌容器を含み;この容器は箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知のその他の適切な容器形態であってよい。このような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は薬剤を入れるのに適したその他の物質で製造することができる。
必要に応じて、本発明の組成物又はその複合剤を、それらを肥大に関連する心疾患を有するか又はその発症の危険性がある対象に投与するための説明書と共に提供する。説明書は、一般に肥大に関連する心疾患の治療又は予防のためにこの化合物を使用することについての情報を含んでいる。他の態様に於いて、説明書は次のうちの少なくとも1つを含む;化合物又は化合物の組み合わせについての記載;心疾患又はその症状の治療のための投与計画及び投与;安全上の注意;警告;適応症;非適応症;過剰投与情報;副作用;動物薬理学;臨床研究;及び/又は引例。この説明書は、容器上に直接(できるときは)、又は容器に貼るラベルとして、又は容器に入れる若しくは添える別個の書面、パンフレット、カード又はホルダーとして印刷されるだろう。
以下の実施例は、本発明を説明するために提供するものであり、制限するものではない。以下に述べられる具体的な構成は、上述した発明に一致して、化合物又はこの組み合わせの重要な性質を保持した上で、多くの方法に於いて変更できるということは、当業者であれば理解できることであろう。
(実施例)
PDE5A阻害による心臓の肥大、リモデリング及び線維化の鈍化
成熟のC57BL6マウスに、1〜9週間の横行大動脈狭窄(TAC)により誘導される慢性的な圧力過負荷、又偽手術(シャム手術)を受けさせ、その後、固形食物にPDE5A阻害剤のシルデナフィル(100mg/kg/日)又は賦形剤を混合して与えた。TACは、心室及び細胞の顕著な肥大(3週間で+100%)を誘導し、9週間後には低下した収縮率の心室拡張に進行した。肥大及び心室のリモデリングは、TAC動物でPDE5A阻害剤のシルデナフィルによって阻害された(図1A及び図1B)。この場合、シルデナフィルは、偽手術の対照には全く影響しなかった。血漿中の遊離のシルデナフィルの平均濃度は、約10nM(図2)であり、標準的な臨床の用量に用いて到達する濃度と同様に、PDE5Aに特有な範囲内である。TACは,心筋細胞の線維化及び筋細胞の肥大を時間依存性で増加させたが、PDE5A阻害剤によってそれらの両方が抑制された(例えば、図1Cに示すように、9週間後の心臓での線維化を67%減少させた。p<0.0001)。この効果は、薬理学的に適した用量で達成された(図2)。100mg/kg/日の経口投与で、10nMの血漿中の遊離のシルデナフィル濃度が得られた。別な検討では,代替の高度に選択的なPDE5A阻害剤(EMD360527)は、薬物クラスの効果を示す全く同じ結果をもたらした。
PDE5A阻害による既存の心肥大の改善
PDE5A阻害が,既に肥大化した心臓を改善できるかどうかの、臨床的な適用の可能性への更なる質問に答えるようテストした。マウスを,TAC後7〜10日間おいて、心室の拡張無しに心臓容積を63%(p<0.005)増加させた(図3A)。その後、動物を、追加の2週間にシルデナフィルを投与する群と賦形剤のみを投与する対照の2つのグループに分けた。筋細胞の肥大及び間質の線維化が、1週間のTACで観察されたが、シルデナフィル治療ではこの両方ともベースラインの方に改善した(図3B)。連続的な心エコー検査によって、シルデナフィル治療の動物では収縮期の駆出を維持して、LV容積及び壁厚を徐々に減少することを示した(図3C)。
持続した後負荷にも関わらず心機能を向上させること
心臓の機能の詳細な検査を,侵襲性の圧容積(PV)分析によって実施した。図4Aは、特異的な心臓収縮及び拡張の機能の指標を産出するために、心室の前負荷の一時的軽減の前及びその間を測定したPVループを示す。例で示したように、PVループ及び相当する心臓収縮及び拡張の境界関係が,TAC(3週間)(心室のリモデリングと一致して)で右側にシフトした。シルデナフィルでの併用処置で、心臓容積の維持及び収縮機能の向上となる(例えば、収縮末期の圧容積関係の傾き、実線)。偽手術対照を3週間の同様の処置では、全く変化がなかった。既に肥大した後の心臓の機能は、シルデナフィルの投与によって改善された。従って、PDE5A阻害剤での治療は、心肥大を伴った心機能の悪化を防止する又は機能を改善させる。
この分析の結果の概要を,図4Bに示す。心室の後負荷(Eaで示す)は、治療無しのTACによるのと同じように上昇し、更に賦形剤のみで処置したTACの動物は駆出率(EF)で減少を示した。負荷に関係しないパラメーター(最大パワー指標:PMXI、及び前負荷補充可能仕事量:Msw)により評価される収縮性機能は、対照及びTACのみの心臓で、シルデナフィルにより回復又は改善し、同様な結果は、拡張機能にも観察された(tau及び最大血圧降下速度:−dP/dtmin)。追加の機能及び心エコー検査データは、下記の表1及び2に示す。
Figure 2008510705
Figure 2008510705
表2の凡例:
データ:平均値±標準誤差、HR:心拍数、ESP:LV収縮末期血圧、EDP:LV拡張末期血圧、Ea:有効動脈エラスタンス(全心室後負荷の指標)、EDV:LV拡張末期容積、ESV:LV収縮末期容積、EF:駆出率、CO:心拍出量。
収縮性の収縮指標として、dP/dtmax:最大血圧上昇速度、dP/dtmx/IP:瞬間的な発生圧力に標準化したdP/dtmax、PMXI:パワー指標(最大心室のパワーをEDVで除した値);Msw:前負荷補充可能仕事量、Ees:測定された心臓容積に標準化した収縮末期のエラスタンス、である。後者の4つの指標は、LV収縮性機能の負荷に関係しない測定値である。
拡張指標として、Tau:非ゼロ圧力漸近線を取り込んだ単指数近似(fit)を用いて算出の圧力緩和の時定数、dP/dtmin:最大LV血圧下降速度、PFR/EDV:EDVに標準化した最大心室拡張充満速度、である。後者は、初期の心臓拡張の特性を反映し、つまり、初期充満時の弛緩及び受動的な剛性である。拡張機能が改善されると、その反映としてより高い値となる。示されるP値は、一元配置分散分析である。チューキーの事後多重比較検定を、グループ間の特別な差異を同定するために用い:a)3wkTAC+Sil:p=0.042、b)対照(Con)及びシルデナフィル3wk:p<0.001、c)対照:p<0.05、3wkTAC+Sil:p<0.001、d)その他の全てのグループ:p<0.05、e)シルデナフィル3wk:p=0.02、f)対照、シルデナフィル3wk及び3wkTAC:p<0.005、g)その他の全てのグループ:p<0.01、h)対照、シルデナフィル3wk及び3wkTAC:p<0.05、i)対照及びシルデナフィル:p<0.05、j)対照、シルデナフィル3wk及び3wkTAC:p<0.01、k)3wkTAC:p<0.01、である。
EMD360527でのPDE5A阻害は、ほぼ同様な生理的な結果となった(図5B)。更にこれらの検討は、PDE5A阻害が、TAC誘導の胎児遺伝子(例えば、ナトリウム利尿ペプチド、α−骨格アクチン(skeletal actin))の発現の上昇を改善し、そしてホスホランバン及び筋形質の網状組織Ca2+ATPアーゼの発現の機能低下を改善した(図5C及び5D)。
より高いPDE5A活性及びシルデナフィル誘導のPKG−1活性を有するTAC心臓
心臓筋肉のcGMPへの主な下流のエフェクター・キナーゼは、PKG−1と考えられており、直接(遺伝子的活性化)又はナトリウム利尿ペプチドのシグナルによるかのどちらかでのPKG−1の上昇が、肥大性の応答を遅らせる。長期にわたるシルデナフィルがPKG−1活性を増加させるという前提をテストで確認した(図6A)。偽手術の対照において、シルデナフィルは、全く効果を示さず、静止期の心機能への無視できる効果と一致していた。TAC心臓において、PDE5A阻害は、PKG−1活性を2倍以上に増加させた。この結果は、PDE5A活性が、肥大した心筋を選択的に増進させることを示唆する。それゆえ、cGMPエステラーゼ活性及びPDE5Aに起因する活性の成分が、測定された(図6B)。偽手術の対照において、PDE5Aは、イヌで得られたデータと同様に、全活性の35〜45%に寄与した。TAC心臓において、全cGMPエステラーゼ活性が、対照に較べて20%増加し(p<0.005)、PDE5Aに起因する成分は、全体の60%であった(対照に対して、p<0.001)。従って、TACは、PDE5A活性を増加させ、次にPKG−1活性化でのシルデナフィルによるその阻害効果を増加させると説明された。
しかしながら、cGMP依存性のシグナルでのPDE5A阻害の効果は、全心筋cGMPレベルを反映しなかった(図6C)。cGMPベースラインは、偽手術対照においてシルデナフィル治療で変化しなかった。cGMPはTAC心臓で増加するが、これらの心臓では、シルデナフィルと併用処置された時には減少した。代替のPDE5A阻害剤を用いた別な検討では、同じような結果が確認された(図5D)。これは、ナトリウム利尿ペプチドの発現の減少により示唆されるように、cGMP合成においての付随する変化(つまり、肥大及び壁伸縮の防止に関連する)を反映しているようである(図5C)。PDE5A阻害は、ベース又はTAC状態のどちらの心筋cAMPレベルも変化させなかった。
PDE5A阻害によるカルシニューリン/NFAT及びERK1/2活性化の抑制
ホスホターゼ・カルシニューリンの活性化が、NFATの核移動(活性化されたT細胞の核要素)の転写要素に連結し、次にこの転写要素が心肥大及び心室リモデリングを誘導する2,3。この経路が、新生仔筋細胞の活性化されたPKG−1の過剰発現が、カルシニューリン/NFAT活性化及び細胞肥大を抑制するように、PKG−1により阻害される。従って、TAC心臓のカルシニューリン発現は、シルデナフィル治療の有無によって検査された。カルシニューリンタンパク質の発現は、TACの1週間及び9週間後において2倍より以上に増加し、そしてシルデナフィルによって両時点で有意に減少した(図6D)。
マイトジェン活性化のキナーゼERK1/2は、伸縮及びGαq受容体結合のシグナルによって5,6、そしてカルシニューリン活性化によって誘導され、それ自体が肥大に寄与するものである。TACの1週間後、ERK1/2は活性化された(ホスホ/全ERK1/2で増加)が、これもまたシルデナフィル治療によって抑制された。しかしながら、9週間後では、ERK1/2活性化は、(カルシニューリンの持続的な上昇にも関わらず)ベースラインに戻り、シルデナフィルの実証できる効果は全くなかった(図6D)。
PDE5A阻害が、どのようにカルシニューリン/NFAT依存性の肥大に影響するのか、確認するために、ラットの新生仔筋細胞でこのシグナル伝達を評価した。細胞肥大を誘導するフェニレフリン(PE)での培養が、サルコメア組織(αアクチン、図7A)及び新規の(de novo)タンパク質合成([H]ロイシン取り込み、図7B)によって評価した。これは、併用のシルデナフィル治療によって抑制された。シルデナフィルがNFAT活性化を阻害するかどうかテストするために、筋細胞に、βガラクトシダーゼに結合するNFATプロモーターを発現するアデノウイルスを形質移入した。トランスフェクションの効率は、常に>95%であった(図8A〜8F)。次いで、筋細胞を、PE、カルシウム活性剤BayK8644(BK)、又はアデノウイルス発現の構成的に(constitutively)活性なマウスのカルシニューリンA(AdCn)で、培養した。3つの要因の全てで、NFATプロモーター活性が、高められた。シルデナフィルは、PE又はBKにより刺激された活性化を抑制したが、AdCnによる活性化を抑制しなかった(図7C)。βガラクトシダーゼの活性アッセイをベースにした結果の概要は、図7Dに示した。ルシフェラーゼ(発光酵素)に結合するNFATプロモーターを有する代替のアデノウイルスを用いた検討の実施では、同じ結果となった(図9A〜9C)。これらの結果は、構成的に活性なPKG−1で形質移入された新生仔筋細胞での前のデータと一致し、カルシニューリン自体が上流の標的であることを支持する。
PDE5A阻害の上流側阻害によるAktの非活性化
圧過負荷によって刺激される別の重要なシグナル・カスケード(その過反応が心肥大及びリモデリングに関連している)は、Akt/PI3K経路である。Akt活性化は、生理的ストレスの適度なレベルで起こるが、より高いレベルでは、病的なリモデリング及び心不全を引き起こす9,10,11。TACは、リン酸化/全Aktタンパク質発現の比(図10A)及び活性アッセイ(図10B)の両方によって示されるように、Akt活性を増加させた。これは、圧負荷の後の段階(9週間)では、特に顕著であった。シルデナフィルは、両時点での応答をベースライン近くまで抑制した(図10A及び10B)。Aktは、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)によって活性化される11,12。特に、ガンマ・アイソフォームは、cGMPの抑制による収縮機能異常と関連している13,14のに対して、PI3Kαの過反応は、筋細胞の肥大に関連している13。TACの3週間後での維持されている収縮機能(図3)及びその変化していないcAMPを考慮して、PI3Kα活性を評価した。PI3Kα活性は、TACで増加した。この増加は、シルデナフィルの併用治療で抑制された(図10C)。
PDE5A阻害が、AKtシグナルの下流側を妨げるかどうかのテストのために、グリコーゲン合成酵素・キナーゼ3β(GSK3β)を試験した。このGSK3βは、その他のキナーゼ16(例えば、PKA17及びPKC18)と同様にAktでリン酸化されて、その固有の抗肥大性活性の脱抑剤になる19。1週間後において、リン酸化/全GKS3β発現が、TACによって2倍に上昇し、シルデナフィル治療によりAkt活性が減少したにも関わらず、GSK3β活性は変化無く維持された(図10D)。しかしながら、TACの9週間後では、Akt及びGSK3β活性は、更に大きく刺激され、PDE5A阻害は両方共減少させた。これらのデータは、特にTACの初期(非拡張の)段階では、cGMP/PKG−1/PDE5Aによる影響を受けずに、GSK3βのAktに関係しない活性化を支持し、そしてGSK3βのAkt依存性での活性化がシルデナフィルで鈍くなることを支持している。
Akt活性化のシルデナフィルでの阻害が、シグナル経路の下流側で働くかどうかを更にテストするために、構成的に活性化されたAktの心臓標的の過剰発現(AktTG)を有した遺伝子組み換えのマウスを、長期にわたって賦形剤及びシルデナフィルで治療した。賦形剤治療の動物(4〜5月齢)では、AktTG心臓は、より大きくなり、心機能が低下した(図10E及び表3)。
Figure 2008510705
(表3の凡例)
データは、平均値±標準誤差である。略語は上記の通りであり、P:賦形剤で治療したNTG及びAktTGの対応のないT検定のP値であり;P:共にシルデナフィル(100mg/kg/日)で治療したNTG及びAktTGの対応のないT検定のP値であり;P:賦形剤対シルデナフィルで治療されたAktTGの対応のないT検定のP値である。
シルデナフィルは、連続的な新エコー検査及び心臓重量/頸骨長の比で示されるように6週間を超えた進行中の心肥大を退縮させなかった(図10E)。シルデナフィル治療実施にも関わらずに、AktTG動物の収縮及び拡張の両方の機能は低下したままであった。このような結果は、シルデナフィルは、Akt活性化の上流側に作用し、PI3K酵素の活性結果と一致することを示唆する。
これらの結果は、PDE5A阻害が、圧過負荷に曝された心機能の亢進時の心室、細胞、分子のリモデリングを、新規で強力な効率の良い抑制をすることを示す。PDE5A阻害はまた、機能を改善している時に、元からある肥大を改善した、つまり永続的な負荷増加にも関わらず、再び改善した。本発明の検討において、観察された程に肥大を抑制(改善)する小分子のアプローチは珍しく、PDE5A/cGMP/PKG−1の調節に関連した内在するメカニズムが、強力でありそして幾つかの経路で妨げることを示唆している。PDE5A阻害剤の単純な治療法、並びに既存の広範囲の臨床経験及び安全性記録を考慮するならば、形態的に、細胞又は分子の肥大性リモデリングで特徴付けられる、事実上全ての心臓疾患の治療に、PDE5A阻害剤は有用である。
このような結果は、PDE5A阻害が心臓で保持されていると以前から考えられていて19,20、最小限の影響ということでは特に魅力的である。初期の検討では、専ら静止期の正常な心臓の緊急の効果及び/又は応答に焦点が当てられていた。心臓のPDE5A発現のレベルは低く1,21、ベースにある機能へのPDE5A阻害の緊急な効果はわずかであった1,19,21。2つの異なった種での最近の検討では、PDE5Aがβアドレナリン作動の心臓及び心筋細胞の刺激を強力に規制でき、この効果が、zバンド構造にPDE5Aが戦略的に局在することに連結していることが見出された1,21。最新の検討は、長期にわたるPDE5A阻害が、正常な心臓では殆ど効果が無いが、この状況が慢性的な負荷ストレスの心臓では劇的に変化することを示している。このことは、対照よりも圧負荷の心臓の方がPDE5A依存性のcGMPエストラーゼ活性がより大きいことによって、一部説明される。この活性は、PKG−1活性化における大きな変化、続いてPDE5A阻害の結果となる。cGMP合成が活性化される場合、cGMP分解酵素の同様なカウンターレギレーションが、血管構造(硝酸不耐性のメカニズムとして長期にわたる硝酸注入でPDE1Aが増加する22)及び腎臓(ナトリウム利尿ペプチドに対する腎臓の脱感作のメカニズムとして長期にわたる量負荷でPDE5Aが増加する23)で報告されている。本結果は、このような規制を心臓において初めて示したものである。
特定の理論に制限されることを望むものではないが、PDE5Aの強化された活性化及びcGMPホメオスタシスでのその役割は、幾つかのメカニズムで説明できる。PDE5A活性は、cGMP、つまりGAFドメインへの直接結合及び活性化するPKG−1の両方によって増加する。このPKG−1は,触媒的な活性を高めるために規制するドメインにおいてPDE5Aをリン酸化する25。両方の事象は、エストラーゼ活性(cGMPレベルを調節する負のフィードバック・ループとして働いている)を高める。更に、cGMP依存性のシグナルは、ストレス下の心臓において、一般により強力になる(自動車のブレーキのように)と考えられる。例えば、酸化窒素刺激のcGMP合成は、ベース時の収縮性には殆ど効果を示さないが、アドレナリン作動又はその他のストレス下ではより強力に作用する26,27。緊急のPDE5A阻害はまた、知覚のあるイヌにおいてβアドレナリン作動活性化の心臓収縮を抑制するが、ベース状態にある機能にはわずかの効果しか示さない。
心肥大のcGMP/PKG−1抑制に関する前の検討では、ナトリウム利尿ペプチド依存性の合成を最初に目標としていた。ANP受容体28,29,30,10,40,41の心臓での欠失は、負荷誘導の心肥大を悪化させ、この場合には、穏やかな心室の肥大は、構成的に活性化されたANP受容体のグアニル酸シクラーゼドメインの筋細胞標的の過剰発現によって防ぐことができる31。このような変化は、心筋cGMPでの増減に伴って起こる。しかしながら、ANP結合のシグナルとは違って、阻害するPDE5Aは、全心筋cGMPの明らかな増加が無い状態で、つまり大幅に増大したPKG−1活性にも関わらず、強力な抗肥大効果を示す。このことは、全心筋レベルが、必ずしもcGMPシグナルを反映していないことを示す。cGMPシグナルの変化が、細胞内の局在したサブドメイン内に存在するように強く思われる。その他の研究所の最近の検討は、この論点、特に特定のPDEsがその合成に責任を持つ酵素に依存しているcGMPの分解を標的とするとの考え、を支持している。cGMPがPKG−1のアロステリック部位に結合するのは、細胞質ゾルからの隔離及びPDE5Aの加水分解の防止方法、に対する重要なメカニズムであると考えられている32。これは、cGMPでの比例した増加の不足にも関わらず、PKG−1活性化を高める根拠となりうる。区分されたシグナルは、更に心筋細胞のzバンド構造の近辺での増加したPDE5A発現、及びこの局在化が変化した場合の生理的活性の喪失によって支持されている。全cGMPは、特別に包含される合成経路を、ナトリウム利尿ペプチドの刺激により誘導された高いレベルで反映することができる。シルデナフィルで治療された心臓は、壁のストレス及びANP/BNP発現を減少させた。従って、cGMPでの幾らかの減少が期待できる。
持続的な圧負荷は多数のキナーゼ類及びホスファターゼ類を活性化させるものであり、遺伝子操作による多数のタンパク質の選択的標的化が心肥大応答に大きく関与するものであることが示された。PDE5A阻害は、幾つかの経路に対して逆行しているようにみられるが、観察された変化には、未だ確認されていない主要なエフェクターの二次的なものであるという可能性がつきものであることから、以下の理由により、それはありそうにない。第一に、PKA依存性のシグナルと同様に、cGMP/PKG−1シグナルがカルシニューリンを含む多数の酵素カスケード4,33,34に影響を与えることができることが知られている。第二に、持続的な圧負荷に応答してERK1/2、Akt、PI3Kγ及びカルシニューリンに観察された変化は、それぞれその範囲内で、種々の遺伝子モデル2,8,10,13に於ける心筋肥大及び/又はリモデリングを促進させることが示され、原因が一つである可能性は低いようである。そして第三に、観察される変化の振れ幅及び経時的なものは、遺伝子操作モデルに於ける結果に基づいた単一のエフェクターとは両立しない。例えば、ERK1/2活性化は、マウスの過剰発現のカルシニューリンで増大する35,36が、ERK1/2のリン酸化は、持続的なカルシニューリン刺激にも関わらずTACの9週間後ではごくわずかである。TACマウスでのカルシニューリンの遺伝子阻害は、シルデナフィル投与の両方では減衰が観察されるが、ERK1/2活性化を無効にしない35。カルシニューリンの過剰発現はまた、Akt活性化を誘発させる36が、TACで観察されるよりも大幅に低いレベルである。これは、Akt及びカルシニューリン変化での一時的な差異を説明できなかった。PI3K阻害剤のPTEN欠乏のマウスは、Akt及びGSK3βの活性化と同様に、筋細胞肥大及び収縮機能不全を進行させるが、ERK1/2活性化は示さない13。更に、Akt又はPI3Kの活性化を、本発明の検討でTAVCにより得られた同じようなレベルにまで遺伝子増大させると、カルシニューリンの併用刺激とは関連しない38が、収縮機能不全13及び心室拡張10,37が誘導される。まとめると、これらの矛盾は、1つ以上の経路がPDE5A阻害の標的にされていることを示唆する。
TACの1週間後のシルデナフィルでの、Akt及びGSK3β抑制の間の明らかな矛盾は、コメントするに値する。GSK3βはTACにより活性化され、そしてそれ自体で心肥大19及び心機能不全39に関係する。しかしながら、GSK3βもまた、固着キナーゼAKAP22017経由のPKA、PKCγ18、及びその他のキナーゼ16によりリン酸化されることができる。持続的なGSK3βのリン酸化にも関わらず、Akt活性化における減衰を考慮すると、これらのAkt依存の経路の1つ又はそれ以上が、PDE5A阻害に規制されることなく、関与しているように思われる。後の段階の心肥大は、持続的なリモデリング並びにより大きなAkt及びGSK3β活性化により顕著である。この段階でのシルデナフィルによる両方の阻害は、持続的な利点の根拠となるであろう。
心肥大が、負荷ストレスに対する順応の応答と伝統的に考えられているが、それが必要とされる代償ではないこと37を証拠は示唆する。シルデナフィルは、TACの数週間から数ヶ月後に観察される顕著な心肥大、心室及び分子リモデリングを完全に改善又は進行を遅らせるのではないが、心機能は、持続的な負荷に関わらず改善される。本発明の結果は、多数の形態の心臓不全に主要な役割を果たしている、高血圧の心臓疾患及び肥大が高い有病率であることを考慮すると、臨床的に興味あることである。勃起不全だけでなく肺高血圧のような疾患の治療に、経口でのPDE5A阻害剤の使用が拡大していることは、長期にわたる治療としてのそれらの使用を支持している。
PDE5aのイソプロテレノールへの心筋細胞の応答の鈍化
βアドレナリン作動の受容体作用薬であるイソプロテレノールは、心筋細胞の収縮を活性化する。PDE5a阻害剤(シルデナフィル、100nM)は、アドレナリン作動薬イソプロテレノールでの活性化に応答する、主要な単離された心筋細胞の増大した収縮を鈍らせた(図11A〜11D)。可溶性のグアニル酸シクラーゼが可溶性のグアニル酸シクラーゼ(sGC)阻害剤であるODQで阻害される場合、この鈍化は妨げられる(図14A及び14B)。これは、PDE5a阻害剤が、sGCにより生成されるcGMPを規制することにより心機能を調整している。従って、PDE5a阻害剤の作用のメカニズムは、ポスト虚血性作用の調整ができるATP感受性のカリウム・チャネルの活性化に対して提案されているメカニズムとは、異なっているように思われる。これらのデータはまた、PDE5阻害剤の効果が、動脈拡張又は如何なる動脈変化の事実にも依存しないことを決定的に示している。
PDE5A阻害のPKG−1及びcGMPの活性化
PDE5A阻害が、成熟した筋細胞のPKG−1を活性化するのを直接測定するために、タンパク質キナーゼG1(PKG−1)でのPDE5A阻害の効果を、シルデナフィル単独、イソプロテレノール単独、両方の組合せ、タダラフィル単独及びイソプロテレノールと組合せのタダラフィルのケースでテストした。PDE5A阻害は、ベースの状態下(約10%、p<0.05)でPKG−1活性を少し増大させた。イソプロテレノールが、PDE5a阻害剤の何れかと組み合わせる場合、PKG活性を大きく50%上昇させた。これは、cGMPレベルを増大させ、その後PKGを活性化すると予想される、阻害するPDE5aの見込み効果と一致する。細胞内のcGMPを直接観察するために、新生仔ラットの筋細胞に、cGMP感受性の蛍光共鳴のエネルギー伝達プローブを用いた(図15B及びC)。イソプロテレノール、シルデナフィル及びNOドナー(DEA/NO)の全ては、FRETシグナルを増大させ、PDE5A阻害が筋細胞のcGMPを増大させることの最初の直接的な実証を提供した(図15A〜15C)。
PDE5A阻害のβアドレナリン作動活性の収縮性のブロック及びアドレナリン作動活性の心肥大の長期にわたる防止
心室の収縮の急激な増大は、対照のC57b16マウスへのイソプロテレノール注入により誘導された。心臓収縮機能の増大は、インビボでの圧容積相関により評価し(図11)、ループの幅広化及び左上部角の左側へのシフトに反映した。シルデナフィルを、30nMの血漿中の遊離の濃度となる用量で静脈内注入すると、アドレナリン作動刺激の応答を大きく抑制する結果となった。これは、無傷の心臓のレベルでの筋細胞効果を支持するものである。更に、イソプロテレノールが埋め込み浸透圧ミニポンプにより長期にわたって注入される場合、心臓が、その心臓の重量の増加(肥大)及び幾らかの拡張によって応答する。これは、対照のC57b16マウスのグループで示される(図12A及び12B)。PDE5A阻害剤(EMD360527)との併用治療では、心肥大の進行を顕著に阻害した。
重要なことに、βアドレナリン作動刺激をブロックするPDE5A阻害の有効性は、その介入に特有であることであり、心筋のcGMPを増加させるその他の方法によって再現されない。図13Aは、イソプロテレノールの心臓応答での、心房のナトリウム利尿ペプチド(ANP)注入による心筋で活性化するcGMPの効果を示す。PDE5A阻害剤を用いた図11Fに提供されるデータとは違って、ANPは、無傷の心臓のISO応答では全く効果がなかった。図13Bは、対照の条件及び静脈内でPDE5A阻害(EM360527)又はANPに曝される条件下の心臓の心筋において、測定されたcGMPレベルを示す。後者は、交感神経促進の応答では全く効果が無かったが、心筋のcGMPでは大きな増大を誘導した。他方、PDE5A阻害は、βアドレナリン作動刺激の負の規制には強力に働くが、測定された全心筋cGMP値にはわずかな効果しかなかった。PDE5A阻害による心臓の測定されたcGMP上昇の不足は、心臓の有意の生理的役割の不足を支持する以前からの知見と同じである。しかしながら、これらのデータは、シグナルが高度に区分され、正確な部位が心臓の収縮性に影響のあるPDE5A阻害によって調節されること、そしてこれが合成手段でcGMPを増大させる単純な類似ではないことを示す。
PDE5Aの発現及びインビボでの活性
PDE5AのmRNA発現は、肺に較べて単離された筋細胞では100倍低い(図16b)。タンパク質発現は、単離された成熟の心筋細胞で観察されたが、レベルは再び肺に較べて大幅に低かった(図16A)。SDS−PAGEゲルは、密度レベルで釣り合う心臓への量の100倍と比較して、肺での1μgの負荷を示す。以前の報告は、PDE5Aは、筋細胞で低レベルの発現しかないことを示し、この低レベルの発現が、心筋細胞でPDE5Aが機能的に有意な役割を果たしていない主張を導いていた。タンパク質及び遺伝子発現はまた、肺と比較して全心臓では小さくなっていることが見出された(図16C)。肺において、それは主に血管の滑らかな筋肉細胞に存在する。ここにおいて、SDS−PAGEゲルは、20μgの心筋由来又は肺由来のタンパク質で負荷されており、相対的な発現の差異は、非常にはっきりしている。これは、これら組織のmRNA発現での差異によって支持される(図16A)。全心臓において、目立ったバンドが、肺に観察されるバンドとほぼ同じようなサイズの単離された筋細胞で約95kDaに観察された。二番目の約70kDaのバンドは、スプライス・バリアント又はタンパク質分解フラグメントのどちらかを反映して心臓組織に常に観察された。同様な結果は、別な抗体でも得られた41,42
全cGMP及びPDE5a依存性のcGMPエストラーゼの活性は、単離した成熟筋細胞及び無傷の心筋で測定された(図16D及びE)。どちらか片方の組織を広い意味でのPDE阻害剤であるIBMXと共培養したところ、cGMPエストラーゼの活性を約90%で低下させた。もう一方の組織抽出物を、精選のPDE5A阻害剤であるシルデナフィル(SIL)と共培養したところ、PDE5A阻害剤により通常の分解を受けた(caltabolized)cGMPの成分のみが出現した。これは、単離された筋細胞及び全心臓の両方で約30%であった。PDE5A依存性のcGMPエストラーゼ活性に於いて同様の結果が、放射性の酵素アッセイで得られた41(32±7.3%−NTG(n=9))。
以前の検討は、心筋での低レベルのPDE5A発現43,44及び静止期の心機能でのPDE5A阻害の最低限の効果41,45,46,47を報告しており、これが、PDE5Aが心臓で殆ど役割を果たしていないとの間違った結論に導いている。以前の報告に対して、本発明での検討は、この低レベルの発現がPDE5Aの生理的機能の欠如を示唆するのではないことを示す。むしろ、本発明の結果は、PDE5Aがβアドレナリン作動刺激、そして心臓のリモデリング、肥大及び慢性的なストレスによる機能不全に、重要な機能を果たすことを示唆した。阻害するPDE5AによるcGMPの異化作用を防止する効果は、ナトリウム利尿ペプチドに連結する合成48,49によるcGMPの合成増加又はアドレナリン作動刺激された収縮性の変化よりも実質的に大きいものと思われる。これは、標的のcGMPの取り扱いが、直接心筋細胞及び次に心臓そのものに影響できると、以前には評価又は認識されていなかった非常に奇抜なメカニズムを支持している。
PDE5Aの筋細胞局在
PDE5Aは、心筋細胞全体に存在し(図17A〜17F)、またzバンドの条線に局在する(図17Aの左側パネル、右パネルのαアクチン)。PDE5Aの免疫染色は、特定のブロッキングペプチドにより阻害された(図17B左側)。しかし、この同じペプチドは、特異性アッセイを支えるPDE1C染色をブロックしなかった(図17C左側)。PDE5Aは、zバンドの条線に存在し(図17D及び17F)、NO合成酵素NOS3と共に色付けされた。
ベースライン分析及びシルデナフィル効果
PDE5Aは、心筋で低レベルで発現し51〜53、シルデナフィル又はその他の薬剤によるその阻害は、これらの薬剤が動脈圧のほんの少しの低下を誘導し、静止時54,55又は運動時56,57の心室駆出率又は拍出量に明確な効果がないので、心機能に対して直接の影響を与えないと考えられていた。上記に報告したように、低レベルの発現にも関わらず、PDE5Aは、アドレナリン作動刺激に強力な局在の規制を実施でき58,59、そしてその長期にわたる阻害が、圧過負荷により促進された心臓の肥大及びリモデリングを顕著に制限及び改善させる60。これらの結果は、心肥大及びリモデリングを治療する又は防止するのに、PDE5A阻害剤が治療的使用されることを支持している。
シルデナフィルの前治療が、健康なヒト対象のβアドレナリン作動刺激の心臓の収縮性を抑制するのを測定するために、ランダムの二重盲検プラセボ対照試験の非侵襲性の血行動態検討が、経口のシルデナフィル又はプラセボの投与の前後でドブタミン・ストレステストを用いて実施した。
ドブタミンは、正の筋収縮性の効果を有する、アドレナリン作動のβ−1作用薬であり、心臓組織を薬理学的に活性化し(及びストレスを加え)、そして心ポンプ機能を増加させる。シルデナフィルは、細胞内の環状GMPを増大させるホスホジエステラーゼ5(PDE5A)を阻害し、血管拡張を誘導する。本明細書で報告したように、シルデナフィルはまた、βアドレナリン作動の受容体作用薬又は圧過負荷により活性化された心臓に強力な効力を発揮した。シルデナフィルがヒトにおけるドブタミン活性の心機能を鈍らせるのを測定するために、35名の健康なボランティアが、ランダムの二重盲検プラセボ対照試験の検討を受けた。この検討では、心機能が、経口のシルデナフィル(100mg、n=19)又はプラセボ(n=16)の投与の前後で、ドブタミンに対する応答を評価した。ドップラー心エコー法及び非侵襲性の血圧データにより、負荷の関係しない収縮性指標(最大パワー指標及び収縮末期エラスタンス)、駆出率及び心臓拡張の機能測定をした。
血漿中の遊離のシルデナフィル濃度は、活性な治療グループで44±29nMで、その代謝産物(デスメチルシルデナフィル:desmethylsildenafil)では22±18nMであった(親薬剤レベルの50%と予想される)21。シルデナフィル治療をうけた対象のうち4人で、血漿中濃度が検討時において非常に低い(全て<6nで、平均:3.6nM)値であった(つまり、グループの平均より10倍低い)。更に、これらの対象の各々はまた、治療必要量以下の濃度を説明する速い代謝に反論する、低い代謝産物レベルを有していた。本発明者らの仮説のテストには、治療的なシルデナフィルレベルを確立する必要があるので、これらの対象は分析から除いた。血液サンプルが無くなった追加の1人の対象も除いた。検討時には不都合な事象は全く発生しなかった。
プラセボ及びシルデナフィル治療のグループでの、年齢(30±6対30±8才、それぞれp=0.95)、性別(50%対79%の女性、p=0.1)、体重指標(23.9±3.5対22.9±2.5kg/m、p=0.45)又は心機能指標(表4)のベースラインの差異は全く無かった。
Figure 2008510705
(表4の凡例)
2つの患者グループの第一ベースラインの比較並びに第一及び第二のベースラインの差異は、B:第一ベースライン、B:第一ドブタミンテスト後の再ベースライン、Δ(B−B):第一及び第二のベースラインの差異であり、P値では、a)2つの検討グループの第一ベースライン(B1)の対応のないT検定であり、b)ベースライン順序及び検討薬剤(シルデナフィル対プラセボ)の相互作用をみる、2元配置RMANNOVA試験である。p<0.005(グループ内、第一及び第二のベースラインの対応のあるT検定)。E:初期心臓拡張期充満波、A:心房充満波、E’:初期充満時の僧帽弁輪組織での速度、IVRT:等容性弛緩時間
プラセボ及びシルデナフィル治療グループの第一及び第二のベースラインデータ間の変化もまた、表4に示す。シルデナフィル治療の対象において、駆出率の直列の増加に伴って、動脈圧及び体血管抵抗が少し減少した。このグループでは、収縮性も少し向上した。これは、血管拡張への柔軟な応答、直接の効果、又は少し残余のドブタミン効果を反映しているかも知れない。重要なことに、グループ間の分析では、薬物治療(シルデナフィル対プラセボ)のベースラインの収縮性又は心臓拡張機能の変化への有意の影響は全くなかった(B−B,RMANOVA試験)が、拡張期の動脈圧及びEFの境界線近辺での変化があって、動脈抵抗への影響が認められた。
シルデナフィルのドブタミン活性化の収縮性の鈍化
図18Aは、薬物検討としてシルデナフィル治療を受けている対象において、ドブタミン活性化の前後での、典型的なドップラーの大動脈フローデータ並びに相当する血圧及び計算の最大パワー指標を示す。大動脈フロー及び心臓収縮期血圧は、最初のドブタミンテストで、パワー指標で殆ど200%増加で上昇したが、この応答は経口のシルデナフィル治療を受けた後の同じ患者では、実質的に鈍くなった(図18B)。グループのデータを、図19及び20に示す。最初のドブタミンテストに対する心臓収縮の応答は、両グループ(シルデナフィル対プラセボ)で同一であり、減少した末梢抵抗と共に向上した収縮性及び血圧により特徴付けられた。収縮変化は、第二のベースラインでは大きく戻った。しかしながら、検討薬物治療を受けた後、第二のドブタミンテストで大きな違いがあり、シルデナフィル治療を受けた対象は、縮小した収縮応答を示した(図20)。この変化は、シルデナフィル治療グループでは少し高目のベースライン(つまり、実質変化を低くする)により単純ではなかった。一方、最大応答(第二対第一のテスト)は、プラセボに較べてシルデナフィルで有意に減少した(パワー指標に対して:p<0.015、駆出率に対して:p<0.01、収縮末期のエラスタンスに対して:p<0.002)。収縮性とは対照的に、ドブタミンに対する血管拡張の応答は変化がなかった。上記の各々のバーのP値は、ドブタミン応答での検討薬剤効果のグループ内テストを反映している。
図20は、検討薬剤の投与前(第一のテスト)及び後(第二のテスト)のドブタミンで誘導される機能の絶対的な変化として、その結果を示す。各々の対象のデータは、対応している。最大パワー指標は、シルデナフィル治療前で(約300mmHg/sのベースラインから)+254±82mmHg/s上昇したが、治療後では164±80mmHg/sであった(p=0.001)。一方、プラセボ治療の前後の変化は、同様である(236±89対215±83mmHg/s、p=0.31、グループ間比較:p=0.04)。同様な結果は、平均パワー指標(p=0.04)、及び心室収縮末期のエラスタンス(シルデナフィルでは、2.52±1.5対0.84±0.9mmHg/ml、p<0.001、プラセボでは、1.8±1.1対1.4±1.1mmHg/ml、p=0.25、グループ間では、p=0.008)で観察された。ドブタミンはまた、駆出率を15±3%(絶対値変化)上昇させたが、シルデナフィル治療後では4±5%のみの増加(p<0.001)であった。一方、プラセボのグループでは、EFは両テストとも同様に上昇した(p=0.12,グループ間では、p=0.001)。同様な差異は、ドブタミン誘導の1回拍出量の変化でも観察された。
心臓収縮の応答での変化は、重要なことに、変化した血管の負荷によるものではなかった。末梢抵抗のドブタミン仲介の低下は、シルデナフィルにより調整されなかった(p=0.66,図3)、そして検討の全段階の心臓前負荷(拡張末期の容積)でのグループ間差異は全くなかった。ドブタミンで収縮末期の容積は減少し、そしてこれもプラセボに較べてシルデナフィルのグループでは減少度が鈍った(p=0.03)。第一のドブタミンテストでは、心拍数は、一部の対象で減少したが、両グループ共平均で適度に上昇した(プラセボ及びシルデナフィルのそれぞれで、3.5±7.7及び6.7±2.2bpm、図20)。後者は、用いた用量が低いことに関係するようである。これが、収縮性を向上させ、周期変動を生成させるが、圧及びフローの上昇への反射応答を引き出したようである。シルデナフィル治療後、心拍数は、ドブタミンでより上昇する(+14.5±4.7、p<0.01)が、これは、RMANOVA試験でプラセボグループの応答と比較した場合、統計的に有意なほどではなかった(p=0.1)。
表5は、検討薬剤の投与前後での、ドブタミンによる心臓拡張機能の絶対的な変化を示す。
Figure 2008510705
(表5の凡例)
データは、第一(D−B)及び第二(D−B)ドブタミンテスト対する、先行のベースライン値とドブタミン活性化を比較したパラメーターの各々を示す。グループ内の対応のあるT検定では、p<0.01、†p<0.05、‡p=0.06である。p値は、ドブタミンテスト順序(検討薬剤治療を受ける前及び後)、ドブタミンの有無及び治療グループ(シルデナフィル及びプラセボ)の3つの配置の相互作用を試験する、3元配置RMANOVA試験の値である。略語は、表1に定義した通りである。
第一のテストでは、初期(E)及び後期(A)の心臓拡張期充満速度は、両グループ共同様に上昇し、E/A比は少し上昇した。シルデナフィルは、E速度を境界線近辺で低下させ(p=0.06)、A速度を少し上昇させ(p=0.03)、そしてE/A比を低下させた(p=0.007)。ドブタミン活性化は、組織のドップラーを増加させた。E’速度も、シルデナフィルで鈍くされた(p=0.002)。E/E’比でのドブタミン効果、LV拡張末期血圧、及び等容性弛緩時間は、何れのグループでも検討薬剤で変化しなかった。重要なことに、グループ間の分析で、どのパラメーターでも心臓拡張機能において、ドブタミン変化での検討薬剤の有意な相互作用は表れなかった。(p値は、収縮の分析に用いた3元配置のRMANOVA試験での値を示す)。
第一のドブタミンテストにおいて、心臓収縮及び拡張の機能は、治療グループの両方で同様に改善された(例えば、最大パワー指標は、(プラセボグループ)80±28%、(シルデナフィルグループ)82±31%、p=NS)。その後シルデナフィル治療を受けた対象では、第二のドブタミンの応答は、大きく鈍くなり、最大パワー、駆出率及び収縮末期のエラスタンス変化の全てが、それぞれ32±34%、66±64%及び56±63%減少した(第一の応答に対してそれぞれ、p<0.001)。これは、プラセボグループが両ドブタミンテストで同様な機能応答を示すことと対照的であった。シルデナフィル治療は、プラセボでの結果と比較して、ドブタミンで誘導される心臓拡張の変化を有意に変えるものではなかった。従って、シルデナフィルによるPDE5A阻害は、βアドレナリン作動刺激に対する収縮応答を鈍くするものである。これは、ヒトの心臓でのPDE5Aの活性、及び活性化された心臓の機能を調整するPDE5Aの役割を支持している。
本発明の検討では、シルデナフィルが、静止期では最低限の効果で、βアドレナリン作動刺激された心臓収縮機能を抑制して、健康なヒトの心機能に影響することの、直接の証拠を初めて報告した。重要なことに、この阻害効果は、心臓の後負荷又は前負荷変化に依存しないことであった。これは、PDE5A阻害が、ヒトにおいて心臓ストレスの応答を調整できることを示す。
PDE5A阻害剤は、血管床及び組織で強力な効果を発揮する61,62。更に、シルデナフィルは、肺動脈抵抗を軽減し、そして肺高血圧の治療に効果的であり得る63,64。これはまた、喫煙者65及び心不全の患者で、内皮の機能、酸化窒素のバイオアベイラビリティのマーカー及び全般的な血管の健康状態を改善する。動物の検討では、シルデナフィルが、虚血性の前提条件のような効果を経て血栓サイズを見事に軽減させることを示した。
PDE5A阻害剤が、心臓発作のリスクを増加させる恐れを示唆する早期の症状報告69に続いて、この種類の薬剤の心臓での効果を明らかにする幾つかの検討がなされた。冠状動脈の疾患を有する14名の男性の検討で、Herrmanらは、100mgのシルデナフィルが、心拍数、左心室充満圧又は心拍出量には全く効果がないが、静止期の全身及び肺動脈圧を少し下げることを報告した54。その後の検討で、冠状動脈の疾患であると知られる又は疑わしい男性が、臥位運動負荷テストを受けた場合、シルデナフィルは、血圧を少し下げたが、ベースライン又は運動活性化の心拍数、血圧、運動継続時間若しくはその他の機能を変化させなかった56。その他の研究では、運動能力57又は虚血性のSTセグメントの機能低下に至る時間の延長70で、適度な改善のみ見出された。
心臓での効果の直接の分析は、インビボで得られたが、これらのデータには、制限された、矛盾した点が残っていた。タンパク質発現及び酵素活性が疑問視されてきた51,53,71が、PDE5A遺伝子発現がヒトの心臓で存在している52,59。最近の証拠で、遺伝子及びタンパク質の発現は本当に低いが、PDE5Aは筋細胞内に区分されていること、そしてその阻害は心臓及び筋細胞の機能を変化させることができる、ことが見出されている。これは、静止期には観察されないが、例えば、βアドレナリン作動薬58,59又は圧過負荷60によって心臓が活性化された場合のみに観察される。ベータ−活性化は、cGMP72を生成するグアニル酸シクラーゼと同様に、環状3’−5’−アデノシン一リン酸(cAMP)を増加させるアデニル酸シクラーゼを共に活性化する。前者は、カルシウムの取り扱い及び筋フィラメントの相互作用を標的とすることにより収縮性を向上させる、タンパク質キナーゼAを活性化する。一方、後者は、この効果に対抗する「ブレーキ」として作用する。これは、cAMPを機能停止させる二重基質のPDEs73、及び心臓細胞内の複数のcAMP/タンパク質キナーゼAの効果を妨げるタンパク質キナーゼGを活性化することによって、一部達成される。
本明細書で報告される結果は、PDE5a阻害がヒトで抗アドレナリン作動の効果を有することの記載を初めて提供する。心機能は、心臓に特有のそして心臓負荷の変化への依存が少ない76,77、種々のパラメーターを用いて静止時及びアドレナリン作動刺激時の両方で検討した。再ベースラインの収縮性は、シルデナフィル治療を受けているグループでは少し(しかし、有意に)向上するが、最大の応答そのものが有意に低いので、結果を説明するものでは無かった。1つの特別な理論と結び付けるのを望むものではなく、これらの結果は、以前の証拠が細胞内のcGMP/PKGシグナル59の主要な役割を支持し、更により末端のメカニズムを支持しているけれども、シルデナフィルによる受容体の脱感作の役割の可能性を除外することはできない。運動よりもむしろドブタミン・ストレステストが、シルデナフィルによるアドレナリン作動の調節のより特別な評価を提供するものとして採用した。事実、ベータ遮断薬を急に投与された健康な対象が、アドレナリン作動刺激の収縮性には明らかな効果がある78にも関わらず、全運動ストレステストの能力又は最大の心拍出量に全く変化が無かった。心臓のパワー指標は、動脈又は静脈の血管拡張による影響を殆ど受けない、収縮性の感度の良い負荷に関係しない指標51〜64,72,74,76,77,79〜84を提供する。
心臓収縮の変化とは違って、ドブタミン活性化の心臓拡張の機能は、グループ間で比較する場合、シルデナフィル治療で有意に鈍くならなかった。グループ内の分析では、シルデナフィル治療を受けている対象は初期の心室充満及び弛緩(それぞれ、E及びE’速度)で減衰した増加、及び心房の充満でのより大きな上昇を有することを示した。これは、心臓拡張の機能でのわずかな減少を反映できたが、シルデナフィル治療後のドブタミン注入によって、心臓収縮を減少させ、収縮末期の容積を増大させることと一致する。実質的な心室駆出量のこの減少は、心臓の初期の急速な充満に寄与する、初期の心臓拡張の反動(吸い込み)効果を制限することができた。これは、特に心臓拡張末期の容積は両グループ共同じようであるが、次に心房収縮時の充満を増加させる結果となる。E/E’速度比は、左心室拡張期圧と相互に関連することを示した39。E/E’は、ベースラインでのまたドブタミンでの両グループは同じようであった。重要なことに、シルデナフィルで心臓収縮の増加が鈍るにも関わらず、左心室拡張期圧の増加は全く徴候が見られなかった。心臓拡張の非侵襲性の測定では、より大きな分散があることから、サンプルサイズも心臓拡張の効果の欠如に寄与しているかもしれない。
シルデナフィルは、心拍数又は血圧を変えることなく、交感神経の活性を増加させることが報告されており85、これが、シルデナフィル治療を受けている対象の第二のベースラインでのベースの収縮性を少し高くする役割を果たしているのであろう。このような活性は、アドレナリン作動刺激を下方制御することが期待され、これにより、ドブタミン応答を鈍らせる。この変化は小さいが、シルデナフィル(約70pg/mL)での血漿中のカテコールアミンのわずかな増加と一致し86、そして、ドブタミンから予想されるよりも約3〜4オーダーの規模で低かった。更に、グループ間の分析では、統計的な差異はなかった。シルデナフィルはまた、心拍数での迷走神経阻害を減少させ87、そしてある一つの検討では、単一用量の後、心拍数を約10%上昇させた88と報告されている。これは、本発明での検討のシルデナフィル治療後のドブタミンに対する応答で心拍数が増加することを説明できる。心拍数のより早い速度により本来、拍出力と心拍数(force-frequency)関係により、収縮性が増加することが予想されたが、シルデナフィルグループの分析では、反対の効果が当てはまった。
シルデナフィルは、無傷のヒトの心臓においてアドレナリン作動刺激の収縮性を強力に抑制することができる。以前の検討では、シルデナフィル及びその他のPDE5Aが、健康な個人80、冠状動脈疾患の患者54,56及び心不全の患者57での、勃起不全の治療に安全で有効であることが示されている。PDE5A阻害剤がヒトの心臓に全く影響しないことを以前の報告は示しているが、本明細書での結果は、PDE5A阻害剤が、カテコールアミン刺激の存在での心機能の重要な調節剤であることを示す。アドレナリン作動刺激の鈍化は、高血圧、左心室肥大及び心不全のような、神経ホルモンが増加しているその他の疾患に対して、有益なことが判明すると思われる。
PDE5Aの心臓細胞のリモデリングの阻害作用
心臓における形態的変化は、心臓のリモデリングと関連して最も劇的に変化するが、このような形態的変化は、遺伝子転写の初期の変化及びタンパク質の活性に対する応答から起こる(図21A〜F)。PDE5A阻害の治療は、eNOS(NOS3)の脱共役を防止し、メタロプロテイナーゼの活性化を制限する。長期にわたる大動脈のバンディング(TAC)が、NOS3の通常の二量体(より高いMW型)を喪失する結果となる(図21B)。これは、図21Cに示すように、反応性の酸素種の活性化に結びつく。この図は、ジヒドロエチダイド(dihydroethidide)によりに検出される陽性染色を示す。これは、カルシウム依存のNOS3活性の低下(図21C)、そしてNOS3により形成される超酸化物の量の増加(図21D)が付随して起こる。
更に、PDE5A阻害は、NOSの二量体形成の喪失を防ぐ、つまりPDE5a阻害が心肥大及び心不全でのオキシダント(oxidant)・ストレスを制限できるとの重要な新規なメカニズムを支持している(図21E)。図21Fは、シルデナフィルがゼラチナーゼのメタロプロテイナーゼの活性を阻害することを示す。著しいゲル溶解が、図21E(3W−TAC)の長期にわたるTACで観察される。この活性は、シルデナフィルとの併用治療で大きく阻害される。ゼラチナーゼの活性化は、心室のリモデリング及び拡張に連結しているので、これは、PDE5a阻害が心不全及び肥大と関連する分子リモデリングでのメタロプロテイナーゼの役割を阻害できることを示す。
PhoA及びPho−キナーゼの、発現及び活性での増加は、長期にわたる大動脈のバンディング(TAC)に観察される(図21A〜21C)。シルデナフィルは、PhoA、Pho−キナーゼ1(ROCK1)並びにPho−キナーゼ2タンパク質の発現及び活性(ROCK2)を阻害する(図22A〜22C)。rho−キナーゼは、心臓の肥大及び拡張に先行する、分子リモデリングと関連する。このような分子の変化を阻害することにより、シルデナフィルは、分子リモデリングの治療に有効である。
STAT3を活性化するSTAT3のリン酸化反応の増加は、TACと関連している(図23A及びB)。シルデナフィルは、STAT3の活性化を阻害する(図23A)。従って、シルデナフィルは、STAT3活性の変化と関連する分子リモデリングを阻害する。
シルデナフィルの心筋のエネルギー状態の改善
シルデナフィル治療は、心筋のエネルギ状態を改善する。マウスに3週間のTAC処置を実施し、その後高エネルギーのリン代謝を評価するために、心臓をインビボでのNMR分析法で調べた。典型的な画像及びスペクトルを、図24A及び24Bに示した。全ATPに対するホスホクレアチン(PCr)の比を、エネルギーの蓄えとバランスの測定として用いた。シルデナフィル治療が平常のエネルギーバランスを維持するのに対して、TACは、実質的にこの比を低くする。これは、PDE5A阻害が、心筋のエネルギー状態を改善し、ストレス下の心臓のエネルギーの蓄えを向上させることを示す。
本明細書に報告の結果は、次の物質及び方法で実施された。
動物モデル
オスのC57BL/6マウス(8〜11週間、Jackson Laboratories)を用いた。圧過負荷は、横行大動脈狭窄で生じさせた。バンディング法での急性又は慢性の死亡は、<5%であった。偽手術マウスは、動脈狭窄をしないが、同じように手術した。PDE5阻害剤の経口治療は、毎日の栄養を充分提供する適度な柔らかさの齧歯類用食餌(Bioserv;4〜6g/日)に、薬剤を混ぜて与えた。対照には、食物に賦形剤を混合して処置した。オスの遺伝子組み換えのマウスは、心臓で特異的に過剰発現する構成的に活性なAktを有し(16〜20週間)89、同腹の兄弟の対照は、同じ方法で賦形剤又はPDE5阻害剤で治療した。
PDE5A阻害剤
シルデナフィルのクエン酸塩(Viagra(登録商標)、Pfizer)、EMD360527(Merk KgA)及びタダラフィル(Cialis(登録商標)、Eli Lilly)を検討に用いた。インビボでの長期にわたる検討では、100mg/kg/日のシルデナフィルを用いて、10.4±2.3nM(IC50値:5〜10nM)の血漿中遊離の平均濃度になった。これは、ヒトにおいて1mg/kg/日を得るレベルに相当し、そしてマウスにおいて、ほぼ100倍大きなシルデナフィル代謝を反映する。1.5g/kg/日のEDM360527を用いて、4μMのEMD360527(イキソビボの血管輪でのIC50値:1μM)の血漿中濃度を得た。cGMP−PDE活性アッセイ及び新生仔ラットの心筋細胞の検討には、100nM又は1μMのシルデナフィルを用いた58。50nMのタダラフィルを、cGMP−PDE活性アッセイに用いた。
生理学的検討
非麻酔のマウスでは、経胸壁二次元ガイドのMモード心エコー検査を実施した。測定は、15MHzの直列の交換器を備えたSEQUOIA C256(Siemens, Munich, DE)の心エコー検査システムを用いて実施した。無傷の心臓の血行動態分析は、以前に記載90されたように実施した。これらの検討では、麻酔された動物の開胸の左心室先端の全体に4電極の圧容積カテーテルを置き、縦軸に沿って位置を合わせて、電気抵抗で心室容積を、そしてマイクロマノメトリーで血圧を記録した。
RNAドット・ブロット分析
RNAサンプルは、既製の単離用試薬・全RNA TRIZOL試薬(Life Technology, Gaithersburg, MD)を用いて、製造業者の手順書に従って、スナップ冷凍した心臓から調製した。RNAドット・ブロット分析は、オリゴヌクレオチド・プローブのセット59を用いて、刊行された手順に従って実施した。データは、それぞれのサンプル毎に測定したGAPDHに標準化して示した。
ウェスタンブロット法
タンパク質は、以前に記載90されたように抽出緩衝液を用いて、スナップ冷凍した心臓組織から調製した。抗体には、カルシニューリン(1:2000希釈、BD Transduction Laboratories (San Diego, CA))、GSK3β、Ser9−ホスホ−GSK3β、Akt、Ser473−ホスホ−Akt、ERK、Thr202/Thr204−ホスホ−ERK(1:1000希釈、Cell Signaling Technology, Beverly, MA)を含む。第一の抗体結合は、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ結合の第二の抗体で可視化され、ケミルミネサンスを増大させた(Pierce, Rockford, IL)。
環状ヌクレオチド・アッセイ
心臓を氷冷のPBSで洗浄し、6%のトリクロロ酢酸中でホモジナイズして、遠心分離処理した後、水飽和のエーテルで抽出した。水溶液層を移して、真空中で乾燥し、cAMP及びcGMP酵素の免疫学的検定(Amersham Pharmacia Biotech, Buckinghamshire, UK)のために、酢酸ナトリウム緩衝液にペレットを再懸濁した。
PDE5A、PI3Kα、Akt及びPKG−1の活性
全低KmcGMPホスホジエステラーゼの活性を、PDE5A阻害剤(シルデナフィル:0.1〜1nM、又はタダラフィル:50nM)又はIBMX(50nM)の存在又は非存在で、直線条件下の蛍光偏光分析法(Molecular Devices)を用いて、1μM/L基質で試験した。1μMのcGMPでのPDEアッセイでは、幾つかの高親和性のcGMP−PDEs(PDE5A、PDE9A)及び二重の特異性のPDEs(例えば、PDE1C、PDE3A、PDE10A及びPDE11A)を検出した。PI3β活性は、蛍光偏光(Molecular Devices, Perkin-Elmer Victor 3 plate reader)の測定で活性のあるp85αモノクローナル抗体(Cell Signaling)を用いて、PI3Kの免疫沈降(Seize X IP kit, Pierce)の後のELISA分析法で評価した。Akt活性(s473−pAkt Abを有するIP、GSK−3融合のタンパク質基質)は、市販のキット(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)を用いて測定した。PKG−1活性は、全心臓の溶解物を、比色分析計のCycLex(Clinisciences, Montrouge, FR)で分析した。
組織学的検査
心臓は、10%のホルマリンで一晩固定され、その後パラフィンで埋め込み、5μmの厚さに区分して、そしてPASメテナミンで染色した。心筋細胞の直径及び間質コラーゲン画分は、コンピューター支援の画像分析法(Adobe Photoshop 5.0, NIH Image J)を用いて、組織の出所を知らない観察者により測定した。少なくとも4〜5個の異なった心臓の5個の別な場所の細胞(各々の心臓で合計50〜70細胞)を、定量的な細胞分析を実施した。
新生仔ラットの心筋細胞の検討
ラットの新生仔筋細胞は、以前に記載50されたように1〜2日齢のスプラーグドーリーラットから単離した。細胞の培養は、シルデナフィルの100nM又は1μMの存在下又は非存在で、フェニレフリン(PE:1μM;Sigma Chemical (St. Louis, Missouri)又はBayK8644(1μM;Sigma)と共に48時間続けた。NFAT活性を評価するために、細胞は、以前に記載された方法72を用いて、βガラクトシダーゼ(p3xNFAT−GL)に連結する3つのNFAT結合部位を発現させるアデノウイルスを、細胞に形質移入した。追加の検討は、NFATプロモーター由来の発光酵素(ルシフェラーゼ)をコード化する別なレポーター・アデノウイルスを用いて実施した。これは、PE、BayK8644又は活性化されたカルシニューリン刺激の前に、24時間実施した。後者は、Ca2+依存性で構成的に活性の切断のマウス・カルシニューリンAを、コード化する複製欠損アデノウイルス(AdCnA72)を一緒に形質移入して実現した。形質移入は、培地を1μMのシルデナフィル又は賦形剤を含む培地で置き換えた後、加湿の5%CO培養器内で、2mLの(6cm培養皿)DMEM中の100PFUのMOIで、37℃にて2時間実施した。更なる48時間後、NFAT活性化は、βガラクトシダーゼの組織検査/活性又はルシフェラーゼ活性により評価した。筋細胞は、2%のパラホルムアルデヒド及び0.2%のグルタルアルデヒドのPBS溶液中で10分間固定し、X−gal染色液(20mmol/LのKFe[CN]・3HO、20mmol/LのK[CN]、2mmol/LのMgCl及びDMSO溶液中の1mg/mLのX−gal[Promega]のPBD溶液)で24℃にて2時間培養する。PBSで洗浄して、7%の緩衝化したホルマリン中6時間の後固定を実施した。βガラクトシダーゼの活性は、光放射をマイクロプレートの照度計(Turner Biosystems, Sunnyvale, CA)で測る方法で、市販のテスト・キット(Galacto-Light Plus, Applied Biosystems)を用いて分析した。ルシフェラーゼ活性は、市販のキット(Stratagene, La Jolla, California)を用い、プレート照度計で読み取り測定した。
[ H]ロイシンの取り込み
血清飢餓(serum starvation)の開始後24時間、新生仔心筋細胞を1μMのPEで12ウェルプレート中、シルデナフィル(100nM又は1μM)の存在又は非存在の3通りでを24時間培養し、その後同じ培地で1.0μCi/ml[H]ロイシンと共に更に12時間培養した。培地を吸引して、細胞を氷冷のPBSで洗浄し、冷やした10%のトリクロロ酢酸(TCA)と共に30分間氷上で固定した。5%のTCAで2回、水で1回洗浄した後、TCA沈殿性の物質に取り込まれた放射性活性を、0.25MのNaOH液に溶解した後、液体シンチレーションカウンターで測定した。
統計的分析
データは、平均値±標準誤差として表した。複数のグループ間の差異は、分散分析(ANOVA)及びそれに続くチューキーの多重比較検定により比較した。2つのグループの分析は、T検定(適切な対応のある、又は対応のない)で実施した。連続した検討では、繰り返しの測定のANOVAで検定した。
特定の血行動態指標の方法
全ての血行動態のデータは、2KHzでのシグナルをデジタル化して、特別注文の開発ソフトウェアを用いて記録した。心臓拡張末期及び収縮末期の容積は、等容性収縮期及び弛緩期のそれぞれの測定した容積の平均である。ESPは、最大の心室エラスタンス(P/V比)での血圧である。EDPは、圧容積ループの右側下角での拡張期血圧である。心拍出量は、胸大動脈近辺に設置した血管周囲のフロー・プローブ(perivascular flow probe: Transonics, Ithica, NY)から測定した。Eaは、収縮末期血圧を1回拍出量で割った比に等しい。容積カテーテルのシグナルは、増幅率とオフセットの両方で調整した。増幅率は、修正したフロー・プローブ値から得られる値にカテーテル由来の心拍出量(圧容積ループの幅に心拍数を掛けた数に等しい)をセットすることにより決定した。オフセットは、高張食塩水法を用いて測定した80。心室パワーは、血圧に流量を掛けた瞬間的な産物に等しく、最大パワーは、EDVで割ったもので、パワー指標:PMXI79として得られた。Eesは、一時的な下大動脈の閉塞時に測定される、収縮末期の圧容積ポイント(最大P/[V−Vo])のセットによって得られた。この相関Eesの傾きは、
心臓容積によって標準化され、「/(mg−心臓重量)」として表される。Mswは、拍出量、及びEesを誘導するのに用いる負荷変動の心臓サイクルの同じセットからのEDVの直線関係から導かれ、そして心臓収縮期の収縮性機能の、別な負荷に関係しない評価である。Tauは、等容性弛緩時のデータを、モデル:P=P0+ae−t/□に適合させて得られた。dP/dtは、デジタルフィルター(5点の重み付けられた傾き)から得られた。PFR/EDVは、初期心臓拡張期の容積シグナルの最大の1次微分値をEDVで割って導かれた。
実施例7〜11のための動物の検討
オスの野生型及びNOS3−/−マウス(C57BL6、Jackson Labs、6〜8週間)を検討した。PDE5Aは、インビボでシルデナフィル(100μg/kg/分;血漿中遊離濃度:37±5.2nM)又はEMD−360527/5(Merck KgA, Germany、160〜300μg/kg/分)で阻害された。両方の化合物とも、純粋なPDE5A(PDE1又はPDE3の1〜20μMに対して)に対して約10nMのIC50値である。インビトロ検討では、緩衝化された1%のプロパンジオール溶液中の0.1〜1μMのシルデナフィル(SIL)、0.05nMのタダラフィル(1X PBS中で調製)又は0.1μMのEMD−360527/5を用いた。賦形剤単独のインビボ及びインビトロでの検討では、全く効果は確認されなかった。
インビボ検討
PDE5A阻害剤を有する又は有さないイソプロテレノール(ISO:20ng/kg/分(i.v.:静脈)×5分間)を、麻酔した無傷のマウスに与え、インビボでの心機能を、600〜650min−1の固定した心房のペーシング速度での圧容積関係23で評価した。データは、ISO、再ベースライン、PDE5A阻害及びPDE5A阻害+ISOを、ベースラインで測定して得た。ISOの応答のみが、高い再現性があった。
単離された筋細胞の検討
摘出された心臓は、BDM(1mg/ml)及びタウリン(0.628mg/ml)を含む緩衝液で3分間灌流し、そして0.9mg/mlのコラゲナーゼ(Worthington Biochemical Co., Lakewood, NJ、タイプ2;299U/mg)及び0.05mg/mlのプロテアーゼ(Sigma Chemical, St. Louis, Missouri)で6〜7分間灌流した。心室を静かに切り刻み、(150μメッシュで)ろ過し、遠心分離(500RPM×1分間)処理し、そしてカルシウム濃度を上昇させる(最終1.8mMのCa2+)タイロード溶液で洗浄した。細胞を5μMのIndo−1 AM(Molecular Probes)で培養し、洗浄し、そしてインバータ蛍光顕微鏡(diaphot200; Nikon, Inc)で27℃にて領域刺激して調べた。サルコメア長さ(IonOptix, MA)及び全細胞のカルシウム過渡電流を測定した。ベースライン測定の後、細胞を10nMのISO、その後ISO+SIL、又はISO+EMD−360527/5にpH7.45にて曝した。SILは、0.1%のDMSOに、EMDは0.001%のプロパンジオールに希釈し、対照の溶液は同様な濃度で賦形剤を含有させた。
遺伝子及びタンパク質の発現
PDE5A遺伝子発現は、定量的なリアルタイムのPCRにて分析した。残りのゲノムのDNAは、DNase Iでの処理によりmDNAから取り除き、cDNAは、RT−PCR(Invitrogen)のためにSuperScript First−Strand Synthesisシステムで合成した。比較的豊富なPDE5AmRNAは、以下のプライマーを用いて、SYBRグリーンIアッセイ(QuantiTect SYBR Green PCR, Qiagen)によって測定した。プライマーとして、GeneAMP5700配列検出システム(Applied Biosystems)での、PDE5A(GenBank:NM_153422.1)上方プライマー−1493 5’−TGAGCAGTTCCTGGAAGCCT−3’、下方プライマー−1596 5’−ATGTCACCATCTGCTTGGCC−3’、産物104bp;GAPDH(NM_008084.1)上方プライマー−263 5’−ACCATCTTCCAGGAGCGAGAC−3’、下方プライマー−363 5’−GCCTTCTCCATGGTGGTGAA−3’、産物101bpである。PCRサンプルは、3通り実施し、GAPDH含量は、異なったサンプルのPDE5A含量に標準化して用いた。反応(20μl)は、40サイクルの増幅のために300nMの特定のプライマー対と共に実施した(95℃にて15秒間の変性、60℃での30秒間のアニール、そして72℃での30秒の伸展)。PCR産物の増幅特異性は、溶解曲線の分析により確認した24。最終PCRサイクルに続いて、反応は、35℃以上の変性を0.03℃/秒の傾きで範囲60〜95℃で実施した。
全心筋及び単離された心筋細胞からのタンパク質溶解物は、ミニプロテアーゼ阻害剤(#1-836-153, Roche, IN)及び5%のTriton(Sigma)を含む溶解緩衝液(#9803, cell Signaling Technology, Beverly, MA)で抽出した。12,000gでの遠心分離処理30分間の後、蛋白質を定量(#23235, Pierce, Rockford, IL)し、NUPageLDSサンプルの緩衝液を加え(#161-0737, Biorad, Hercules, CA)、そして溶解物を、NuPage4−12%のBis−Trisポリアクリルアミド・ゲル(Invitrogen, San Diego, CA)上で電気泳動させた。細胞膜は、精製したウシの肺PDE5A(Cell Signaling, MA)[1:5,000]、アミノ末端のPDE5Aドメイン(Mauro Giorgiからの寄贈)[1:5,000]、又は遺伝子組み換えPDE5A[1:10,000]に対してウサギの活性なポリクローナル抗体で培養した。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法の画像
1〜2日齢のスプラーグドーリーラット(CharlesRiver Lab, MA)からの心室筋細胞を準備し、EYFPが低pH感受性のcitrine変異体89で置換された、cGMPセンサーcygnet−2.177を担時したベクターで形質移入し、そして以前に記載90されているように形質移入後18〜24時間に画像化した。画像(50〜80msの露出)は、特別注文のソフトウェアを用いて10秒毎に取り込み、Imagej(NIH, MD)により画像処理した。FRETは、430nm励起での480nm/545nm発光強度の変化であり、ベースの強度(R)に対する変化割合として表した。細胞を、室温(20〜22℃)にて、HEPES緩衝化されたリンガー調整生理食塩水(1mmol/L CaCl)に浸した。
PDE5A及びPKG−1活性の分析
全低KcGMPホスホジエステラーゼ活性は、シルデナフィル(0.1〜1μM)、タダラフィル(50nM)又はIBMX(50μM)の添加の有無での、直線条件下の蛍光偏光(Molecular Devices, CA)又は2段階の放射線標識の方法18によって、1μMol/Kの基質で分析した。1μMのcGMPでのPDEアッセイは、幾つかの高親和性のcGMP−PDEs(PDE5A、PDE9A)及び二重の特異性のPDEs(例えば、PDE1C、PDE3A、PDE10A及びPDE11A)を検出した。
PKG−1活性は、ISO(10nM)、SIL(1□M)、タダラフィル(50nM)又はsGC阻害剤ODQ(3□M、Sigma)の追加の有無での、培養した全筋細胞中で、熱量分析(CycLex, Nagano, Japan)によって分析した。10分後、細胞を溶解し、そしてPKG−1活性を測定した。
免疫蛍光の組織学的検査
野生型心筋細胞は、50%メタノール/50%アセトンで固定し、配列特定のPDE5A抗体(K. Omoriからの寄贈)(1:5,000希釈)及びマウスのモノクローナルαアクチニン(1:500希釈、Chemicon Intern. CA)又はNOS3(1:3000、Transduction Labs, KY)の何れかと一緒に、一晩培養した。第二の培養は、抗ウサギのAlexa488及び抗マウスのAlexa546(Molecular Probes, OR)を用いて、27℃にて1時間実施した。細胞を、アルゴン・クリプトン共焦点レーザー走査型システムを備えたZeissインバータ表面蛍光顕微鏡(UltraVIEW, PerkinElmer Life Sciences, MA)上で画像化した。
ヒトの検討
40名のボランティアが、近辺のコミュニティへの広告に応募した一般住民から採用した。対象は、病歴、体力検査及び経胸壁心エコー検査で選別した。心臓病、アテローム性動脈硬化、高血圧、糖尿病、肺高血圧、腎臓若しくは肝臓の疾患、喫煙、妊娠、又は硝酸塩、アドレナリン作動のブロック薬若しくはシルデナフィルの薬物動態を妨げると知られている薬で治療中の、個人は除いた。検討計画は、シルデナフィルに優遇の3:2の割り当て比率で、ランダムの二重盲検のプラセボ対照の手順に従って実施した。全ての対象を、検討の前に6時間以上しっかりと指導した。前腕に静脈内カニューレをセットし、15〜20分後に血圧、心電図及び心機能のエコー・ドップラー評価の最初のベースライン(B)の測定を抑臥位で実施した。その後、静脈内へのドブタミン(5μg/kg/min)を安定な応答に到達するまで5分間投与し、そして測定(D)を繰り返した。ドブタミンを中断し、ベースライン状態に戻るまで15分間おいた。対象は、次いで100mgの経口のシルデナフィル又はプラセボの何れかを摂取した。75分(最大レベルまでの平均時間)82後、シルデナフィルの濃度レベルを確認するために、血液サンプルを採取した。第二のベースライン(B)のデータを記録し、そして最初のテストと同じ手順を用いて第二のドブタミン注入(D)時のデータを記録した。
心機能の分析
心臓収縮機能は、血圧、寸法及び流量の測定を組み合わせた、心臓特有の指標で判定した。動脈圧は、オシロメーター腕バンド(Dinemap, Critikon, Tampa, Fla)で測定し、2次元のエコー・ドップラー測定は、3MHzプローブを用いるAgilent Sonos5500(Philips, The Netherlands)で実施した。全てのエコー・ドップラー測定値は、デジタルで光ディスクに納め、検討の区分を知らされていない一人の検査者がオフラインで分析した。各々の測定は、少なくと3つの別の心拍の平均を反映している。大動脈流量は、左心室流出管の脈波ドップラーからの流速の時間積分に、横断面直径83を掛けたものに等しい。1回拍出量、最大及び平均流量は、波形から決定した。心臓の流出量は、心拍数及び1回拍出量の産物である。体血管抵抗は、心臓の流出量に対する平均動脈圧(1/3の脈圧+拡張期血圧)の比であった。
心臓の収縮性は、幾つかの負荷に関係しない指標で評価した。主要な結果の変数は、最大パワー指標(最大パワーを拡張末期容積で割ったもの)であり、それは、以前に立証76,77,84されたように、後負荷及び前負荷に関係しない心臓収縮を反映している。最大パワーは、最大の大動脈流量及び収縮期血圧の産物に近似し、それは、血圧と流量(y=1.08x+0.002、r=0.97、p<0.0001;心臓病の広い範囲の患者の報告された侵襲性データの分析をベースとした77)の瞬間的な最大産物と強い相関がある。負荷に関係しない第二の結果の収縮性パラメーターは、平均心室パワー指標及び収縮末期血圧/容積の比、つまり心室の収縮末期のエラスタンスの近似値である。
その他の第二の結果の変数は、心臓収縮及び拡張の機能の定常の測定値を含む。駆出率は、心臓拡張末期、及び心尖部四腔像及び二腔像を用いてシンプソン法で決定した収縮容積から決定できる。心臓拡張末期容積は、(ドップラーからの)1回拍出量を駆出率で除した値に等しく、収縮末期容積は、前者と後者の差異に等しい。左心室流入(transmitral inflow)の脈波のドップラースペクトル及び側面僧帽弁輪(E’)速度の組織ドップラー画像を、心臓拡張機能の評価に用いた89。E/E’の比は、以前に評価90されたように左心室充満圧の代替マーカーとし測定した。等容性弛緩時間は、大動脈フローの中断と左心室流入の開始の間の時間として、連続式波動ドップラーにより測定した。
血漿中シルデナフィルのレベル
血漿中のシルデナフィル及びその代謝産物・デスメチルシルデナフィルを、それぞれ液体クロマトグラフィー及び質量分析計(SFBC Analytical Labs, North Wales, PA)で測定した。
統計的分析
サンプルサイズの評価は、ドブタミン応答の最大左心室パワー指標にて、>20%の下落を検知するように、α=0.05及び80%のパワーでセットした。前の動物検討では、ドブタミン活性のパワーは、PDE5A阻害により約50%下落し、そしてヒトでは、ドブタミンは、約300mmHg/秒のベースライン76から>100%パワーを増加させる。50mmHg/秒の標準偏差(前のデータより)での20%下落応答(60mmHg/秒)を検知するため、15名のプラセボ対照及び23名のシルデナフィル治療の対象をサンプルサイズとして評価した。
全ての統計的分析は、Systat(登録商標)ソフトウェアを用いて実施した。結果は、平均値±標準偏差として表した。血行動態データは、3つのグループ要因、1)ドブタミンの有無、2)プラセボ対シルデナフィル、3)第一対第二の課題検討、を対象にした3元配置の繰り返しANOVAで分析した。第一の検定は、シルデナフィルが第一及び第二のドブタミン応答の差異を(プラセボに対して)変化させるかどうかの分析グループ間の検定であり、各々のグループ要因を含む、3元の相互作用によって決定する。このモデルは、相対的なドブタミン応答だけに関係しないシルデナフィル(対プラセボ)の全体的な効果を検定することも含んでいる。グループ内での分析は、個々のドブタミン応答(例えば、D−B;D−B)を評価する、両側スチューデント対応のあるT検定を用いて実施し、検討薬剤が各々のグループ内の応答を変化させるかどうかは、2元配置のANOVAを用いて実施した。カテゴリー変数は、カイ2乗適合検定を用いて比較した。
本発明の実施では、別に指示しない限り、分子生物学(遺伝子組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の通常の技術を用いるが、それらは当業者がよく知る範囲内である。このような技術は、「"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", second edition (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); Animal Cell Culture" (Freshney, 1987); "Method in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (Ausubel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain reaction", (Mullis, 1994); "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 1991)」のような文献に十分説明されている。このような技術は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの製造に適用し、そして本発明の実施等に考慮することができる。特別な態様のための特に有用な技術は、以下に説明される。
DHE染色方法
新鮮な冷凍のLV心筋(8μmスライス)を、O 生成(通常の核の局在)を評価するジヒドロエチジウム(DHE;Molecular Probes, Eugene, Ore;2μM)で37℃にて1時間培養した。画像化は、アルゴン・クルプトン共焦点レーザー走査型顕微鏡を備えたZeissインバータ表面蛍光顕微鏡(UltraVIEW, Perkin Elmer Life Sciences, Inc.)を用いて実施した。DHEの励起/発光スペクトルは、それぞれ488nm及び610nmで、585nmで検出した。
心臓のゼラチナーゼ分析
NMP−2及びMMP−9によるインビトロでのゼラチン溶解物は、酵素電気泳動法により評価した。簡単に述べると、メルカプトエタノールを含まない調整Laemmli緩衝液を溶解の組織サンプルに加えて、10%のゼラチン(Invitrogen Corp., San Diego, CA)上に添加した。電気泳動後、ゲルを室温で再生緩衝液で2回洗浄した後、緩衝液(Invitrogen Corp., san Diego, CA)で展開し、その後溶解物のバンド(SIMPLYBLUe, Invitrogen Corp., san Diego, CA)を可視化するために、市販のCoomassie染料で染色した。
RhoA活性アッセイ
RhoA活性アッセイは、市販の固定化抗体(SEIZE X IP, Pierce Biotechnology, IL)を用いた免疫沈降で実施した。用いた抗体は、RhoA(Upstate, NY;[1:2500])に対し活性なウサギのポリクローナル抗体であり、引き続いて、製造業者の仕様(Upstate Biotechnology, NY)に従って、市販ベースの活性アッセイを実施した。
ウェスタン分析
全心筋及び単離された心筋細胞のタンパク質溶解物は、ミニプロテアーゼ阻害剤(Roche, IN)及び5%のTriton(Sigma Chemical, St. Louis, Missouri)を含む溶解緩衝液(Cell Signaling Technology, Breverly, MA)を用いて得た。12,000gでの遠心分離処理30分間の後、蛋白質を定量(Pierce, Rockford, IL)し、NUPageLDSサンプルの緩衝液を加え(Biorad, Hercules, California)、そして溶解物を、NuPage4−12%のBis−Trisポリアクリルアミド・ゲル(Invitrogen, San Diego, CA)上で電気泳動させた。細胞膜は、ROCK1又はROCK2(Cell Signaling Technology, Beverly, MA)[1:3,000]に対してウサギの活性なポリクローナル抗体で培養した。
STAT3活性化検討
心筋組織の抽出物を、SDS−New Pageゲル中で電気泳動させ、リン酸化チロシン(Tyr705)及び全Stat3を調べた。追加の検討では、ラットの新生仔筋細胞を培養し、その後インターロイキン6(IL−6、Cell Signaling、100ng/ml)に1時間曝した。幾つかの検討では、細胞をIL−6の前にシルデナフィル(1μM)で30分間、前処理し、その後同じようにIL−6に曝した。その他の検討では、細胞をSTAT3に対して混合オリゴヌクレオチドのサイレンス化RNAs(siRNA, SmarTTpool Stat3)で、前形質移入(LipofectamineTM, Invitrogen)した。タンパク質抽出物は、1時間の培養の後、筋細胞抽出物から得て、Stat1(Tyr701)及びStat3(Tyr705)(Cell Signaling Inc.)のリン酸化及び全タンパク質レベルを調べた。siRNAを、新生仔筋細胞に形質移入した。
その他の態様
上記に述べたことから、種々の仕様及び条件への改変及び変更は、本発明に導入できることは明らかであろう。またこのような態様も本発明の特許請求の範囲に含まれるものである。本明細書で記載の特許及び刊行物は、各々の独立の特許及び刊行物が特別にまた個別に参照して本明細書に取り込むことを示すように、その全てが同じ程度に参照して本明細書に取り込む。
図1A、1B及び1Cは、シルデナフィルによるPDE5の阻害が、圧負荷された心肥大を予防することを示す。 図1Aは、心臓切片(上部)及びMモード心エコー図(下部)を示し、スケールは1mmである。略号及びそれらの意味は以下の通りである:Con:偽(シャム)手術後3週間のマウス、TAC:横行大動脈狭窄(transverse aortic constriction;これは圧負荷を誘導するものである)、+/−シルデナフィル(Sil):シルデナフィル治療の有無。シルデナフィルで治療しなかった動物では、持続的な圧負荷が著しい心臓の肥大及び拡張をもたらす。9週間まで、心臓は大幅にリモデリングされて、心機能の顕著な低下を示した。心エコー図が、拡張及び壁収縮運動(wall shortening)の減少を示していることに注目されたい。シルデナフィルで治療した動物は、肥大及び心室拡張の両方の著しい進行の低下を示し、そして心機能を維持している。 図1Bは、対照、術後3週間(TAC 3wk)及び9週間(TAC 9wk)のTACマウスに於ける、心臓重量の脛骨の長さに対する比;収縮率(パーセント)(心エコー図から導き出した);及び左心室収縮末期径(心臓拡張/リモデリング及び収縮機能の測定)についての3つの要約グラフを提供する。図1Bの略号及びそれらの意味は以下の通りである:HW/TL 心臓重量/脛骨の長さ、収縮率(FS:Fractional shortening)及び心エコー図による、左心室収縮末期径(LV−ESD:left ventricular end−systolic diameter)(平均値±標準誤差;n≧6);賦形剤に対して、p<0.001。シルデナフィルで治療しなかった動物で、心肥大が大幅に増加し、そしてシルデナフィル治療により50%以上減少した。心機能も治療により改善した。 図1Cは、6枚の顕微鏡写真及び要約グラフを示す。顕微鏡写真は、PASメテナミン染色された賦形剤治療動物からの心筋対Sil治療動物からの心筋を示す。暗青色は間質の線維化を示す。目盛り線は100μmを示す。下側の棒グラフは、筋細胞の断面直径(cross sectional diameter; CSD)の概要データを示す;賦形剤治療に対して、p<0.01。持続的な圧過負荷中のシルデナフィル治療は、心筋細胞肥大の増大をブロックして、間質線維化の進行も抑制した。 図2は、1日経口用量を変化させた場合のマウスに於ける血漿中の遊離シルデナフィル濃度を示す、用量反応曲線である。図1及び本出願中に於いて説明した検討に用いられる用量、1日当たり100mg/kgでは、血漿中の遊離シルデナフィル濃度は、10.4±5.7nMであり、この化合物のIC50値に非常に近い。 図3A〜3Cは、シルデナフィルによるPDE5の阻害が、既存の心肥大を改善させることを示す。 図3Aは、1週間のTACが心室を拡張せずに心肥大を誘導することを示す3つのグラフを包含する。略号は図1の通りである。壁厚及び左室拡張末期容積(LV−EDD)は、心エコー検査によって測定された。 図3B(左側のパネル)は、TAC1週間目(治療前)の心筋肥大及び間質線維化を表すPASメテナミン染色した心筋を示す2つの顕微鏡写真である。この肥大及び線維化は、それに続く2週間のシルデナフィルによる治療(3週間のTAC、2週間のSil治療)により減少した。スケールは100μmである。図3B(右側のパネル)は、要約データを示すグラフである;(p<0.05 対照に対して;p<0.05 1週間のTACに対して)。 図3Cは、シルデナフィルによる肥大の改善を示すグラフである。データは、1週間のTAC後から始まる(両群ともこの時点で同じ肥大の初期レベルを有していた)。次いで動物をプラセボ又はシルデナフィル治療の何れかを受けるように任意抽出した。シルデナフィル治療群は、次の2週間に渡って、心肥大の低下及び心機能(収縮率)の維持を示す。対照的に、プラセボで治療した心臓は、肥大及び心機能異常が進行している。p値は、治療効果の共分散分析のためのものである。 図4A及び図4Bは、シルデナフィル治療された心臓が、対照に比べて心臓リモデリングの程度が小さく、そして心臓収縮及び拡張の機能の改善が少ないことを示す。 図4Aは、偽手術対照マウス(対照)、3週間のシルデナフィル治療を施された対照マウス(3−week Sil)、3週間のTACマウスでシルデナフィル治療有り又は無し、及び1週間のTACにより肥大を誘導され、次の2週間でシルデナフィルを与えられたマウス(3−week TAC+Delay Sil 2week)に於ける、圧容積比により総合的に評価したインビボでの心機能を示す。TACを伴う全ての例に於いて、最高血圧(収縮期圧)の増加は同様であり、シルデナフィルによる治療でも変わらなかった。従って、心臓の形態及び機能に於ける前掲及びここでの変化の全ては、圧負荷そのものの変化とは無関係であった。未治療の心臓はまた、肥大−リモデリングに一致したループ及び収縮末期の圧容積比(上方と左角の連続線)の右方への移行を示した。偽手術対照の心臓、すなわち、TAC誘導の圧負荷がないもの、のシルデナフィルによる治療は、心機能を変化させなかった。心臓が、増加するストレスの下にある場合のみ、ここではTACの圧負荷によるが、シルデナフィルの効果が観察された。この場合には、圧容積ループは、容積の小さい方へ移行し、収縮末期の圧容積比は、平常位置を保持していた。これはリモデリングの予防及び改善された全体の心機能を反映している。 図4Bは、マウスに於ける心機能パラメーターに関する概要データを示す、6つの一連のグラフである。左上段は大動脈エラスタンス−後負荷の測定(Ea)を示す。これはTACを施した全てのモデルに於いてTACによって同じように増加して、シルデナフィル治療によって減少しなかった。右上段は、正味の収縮機能の程度である駆出率(EF)を示す。EFは慢性的なTACによって減少し、TACと同時にシルデナフィルで治療された動物、及びシルデナフィル治療を1週間遅らせた動物(すなわち、肥大改善の実験)に於いて、正常値まで回復した。重要なことには、このEFの回復はシルデナフィル治療での圧負荷の変化なしで生じた。中段の2つの図は、心負荷とは無関係の収縮性の測定値を示す:PMX1(最大出力指数)及びMsw(前負荷の補充可能な仕事量)。シルデナフィル治療を受けている心臓に於いて、これら両方の値は非治療のTACと比較して有意に改善された。下段の図は、心臓拡張機能の測定値を示す:Tau(等溶性弛緩時間定数);及びdP/dtmn(ピーク減圧速度)。TACは、両方のパラメーターに反映する心臓弛緩の延長をもたらし、これら2つはシルデナフィル治療動物に於いて正常値に回復した。対照及び3−week Silに対して、P<0.001であり;他の全ての群に対して、†p<0.05であり;対照、3−week Sil、及び3−week TACに対して、‡p<0.001である。 図5A〜5Dは、別の特異的なPDE5阻害剤(EMD360527)の、TAC(3週間)により誘導された肥大の進行を防ぎ、同時に心機能を改善する能力を証明する。 図5Aは、EMD360527治療の有無にに於ける、偽手術対照マウス及び術後3週間のTACマウスから得られる、一連のホルマリン固定心臓切片図(左側のパネル)、心臓重量/脛骨の長さ(HW/TL)の比のグラフ(中央のパネル)及び心筋断面直径のグラフ(CSD、右側のパネル)である。図5Aの略語は次の通りである:対照:賦形剤で3週間治療された偽手術マウス、EMD:EMD360527で3週間治療された擬手術マウス、TAC:賦形剤で3週間治療されたTACマウス、TAC+EMD:EMD360527で3週間治療されたTACマウス。対照に対して、p<0.05であり;賦形剤治療されたTACマウスに対して、†p<0.05である。シルデナフィルと同様に、EMD360527治療は、心肥大及びそれに付随する心室拡張及びリモデリングの両方の進行を抑制した。 図5Bは、代表的なMモード心エコー図(左側のパネル)及び侵襲性の圧容積カテーテル法に基づく心臓力学の概要を示す3つのグラフ(右側のパネル)である。図5Bの略語は前記又は次の通りである:Ea−心室後負荷は、EMD360527併用の有無に関わらず、TACによって同じように増大された。TACに比較してEMD−TACでは、最大心臓出力指数(PMXI)が上昇し、等溶性弛緩(Tau)が顕著に短くなった。これらのデータは、シルデナフィルを用いて得られたデータ(すなわち、図4)と殆ど同じであった。対照及びEMDに対して、p<0.05であり;その他の全ての群に対して、†p<0.05である。 図5Cは、心臓の胎児性遺伝子発現の分析を要約したドットブロット及びグラフを示す。図5Cの略語は次の通りである:ANP:A型ナトリウム利尿ペプチド;B型ナトリウム利尿ペプチド、βMHC:β−ミオシン重鎖、及びαSkA:α骨格アクチン、及びカルシウムハンドリングタンパク質、PLB:ホスホランバン、SERCA:筋小胞体カルシウムATPアーゼ(上側のパネル)。要約データを、GAPDH発現に規格化して示す(下側のパネル)。TACは、ナトリウム利尿ペプチド、βMHC及びαSkA発現を増加させ、PLB及びSERCAの減少させて、胎児性遺伝子の反復発生をもたらした。PDE5Aの阻害は、胎児性遺伝子の反復発生を低減して、TACにより変化したCa2+ハンドリングタンパク質の発現を改善した。対照に対して、p<0.05であり、TACに対して、†p<0.05である。 図5Dは、全心筋cGMP濃度がTACだけでは増加するが、EMD360527で治療したTACではやや低下するということを示すグラフである。次のグラフで示されるように、この応答はシルデナフィルを用いて観察されたものと同様であり、そしてPDE5の阻害にも関わらず、ナトリウム利尿ペプチド発現に於ける著しい減少と対応していた。対照及びEMDに対して、p<0.05であり、TACに対して、†p<0.05である。 図6A〜6Dは、PDE5A活性が、圧過負荷により肥大及びリモデリングに至るように刺激された心臓に於いて増加するということを表している。PDE5aによるタンパク質キナーゼG−1(PKG−1)の刺激は、この条件下でシルデナフィルにより阻害された。 図6Aは全心臓PKG−1活性を示すグラフである。対照に対して、p<0.05であり;賦形剤治療されたTACに対して、†p<0.05である。PKG−1は、PDE5がシルデナフィルで阻害されると、次々に増加するcGMPにより活性化される。安静条件下では、PDE5阻害によるPKG−1活性への実質的な効果はほとんど無い。対照的に、3週間のTAC後の肥大/リモデリングを伴った心臓に於いて、シルデナフィルはPKG−1活性を著しく増大させた。 図6Bは、偽手術対照心臓及び3週間のTAC心臓(TAC)に於ける全cGMP−エステラーゼ活性を示すグラフである。ベースラインで、選択的PDE5A阻害剤(シルデナフィル又はタダラフィル)と共培養することによりブロックされた総活性の割合は、約30%であった。IBMXによる幅広いPDE阻害を対照として示す。持続的な圧過負荷(TAC)により、総cGMP−エステラーゼ活性が増加した(p<0.005)。PDE5に起因するこの活性の比率も、全体の約60%上昇した(酵素活性では100%の増加)(二元配置の分散分析(2-way ANOVA)でp<0.001)。 図6Cは、心臓の全cGMP濃度を示すグラフである。対照に対して、p<0.05。 図6D(上側のパネル)は、カルシウム−依存性ホスファターゼ・カルシニューリン(Cn)及びマイトジェン活性化キナーゼ−細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK1/2)の2つのウエスタンブロットを示す。図6D(下側のパネル)は、ウエスタンブロットの結果(それぞれ、n=4〜5)を要約した2つのグラフである。ERK1/2を要約した結果を、総タンパク(t)に対するリン酸(p)の比として示す。対照に対して、p<0.05;賦形剤治療されたTAC(TAC)に対して、†p<0.05。1週間のTACは、両酵素の発現及び活性を増加させた。この効果は、シルデナフィルによって減少した。より遅いTACの時点(9週間)では、カルシニューリンだけが著しい増加を保持した。シルデナフィルを併用して治療した心臓ではカルシニューリンは減少した。 図7A〜7Dは、シルデナフィルによるPDE5A阻害が、カルシニューリン/NFAT依存性の経路を介して、新生仔ラットの心筋細胞肥大を防止することを示す。 図7A(左側のパネル)は、3枚の一連の顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真は、サルコメア組織の増加によって示されるように、心筋肥大に対するフェニレフリン(PE)効果を示している(図7Aは、α−アクチニン染色による(×1000))。 図7B(右側のパネル)は、組織的なサルコメアを伴う心筋に於けるタンパク質合成を、H−ロイシンの取り込み率として定量したグラフである(対照に対して、p<0.05;PEに対して、†p<0.05)。シルデナフィル治療は、PE刺激された心筋に於ける、サルコメアの組織化及びタンパク質合成を低下させた。 図7Cは、β−ガラクトシダーゼに連結したNFATプロモーターでトランスフェクトされてた心筋細胞を示す、10枚の一連の顕微鏡写真(×200)である。青染色はNFATの活性化部位を示す。図7Cの略語は、次の通りである:PE−フェニレフリン;BK−BayK8644;AdCn−アデノウィルスによるカルシニューリンの過剰発現。パネル(1,3,5)は、位相差フィルターを付けたもの(+fil)であり、その他は付けていないもの(−fil)である。 図7Dは、NFAT(すなわち、β−ガラクトシダーゼ)活性の定量分析を示す、3つの一連のグラフである(対照に対して、p<0.05;肥大刺激(PE、BK又はAdCn)に対して、†p<0.05)。シルデナフィル治療は、PE及びBayK8644によるNFAT活性化を抑制した。しかしながら、構造的に活性なカルシニューリンを有する細胞内で活性化されたNFATは、シルデナフィルによってブロックできなかった。これは、薬剤効果のより近いターゲットを支持している。 図8A〜8Fは、アデノウィルスのトランスフェクション効率を示す顕微鏡写真である。 パネルの図8A及び8Cは、核標的のβ−ガラクトシダーゼを発現するアデノウィルスでトランスフェクションし、X−ガルを用いて染色した別々の皿からの新生仔心筋の顕微鏡写真である。パネルの図8B及び8Dは、上記に対応する位相差なしで観察された同じ細胞である。図8E及び8Fは、トランスフェクションの均一性を示すために1つの皿のより低倍率(lower power)の図を示す(図8E:位相差有り、図8F:位相差無し)。トランスフェクション効率は一定であり、約95%であった。 図9A〜9Cは、ルシフェラーゼに連結したNFATプロモーターをコードするアデノウィルスでトランフェクトされた新生仔心筋細胞に於ける、NFATプロモーター活性化の評価を示すグラフである。次いで細胞を、フェニレフリン(PE)、カルシウム強化(BK)又は活性カルシニューリンをコードするアデノウィルス(AdCn)に曝して、賦形剤又はシルデナフィルと共培養した。48時間の培養後、照度計により細胞のルシフェラーゼ活性を評価した。データは、対照のレベルを規格化した変化の割合として示す。シルデナフィル(Sil)は、PE及びBK誘発のNFATプロモーター活性を抑制したが、AdCn誘発の活性は抑制しなかった。これらの結果は、ベータ−ガラクトシダーゼ・ウイルスに連結したNFATプロモーターを用いた知見と同様であった。対照に対して、p<0.05、肥大刺激(PE、BK又はAdCn)に対して、†p<0.05。 図10A〜10Eは、PDE5A阻害によるAkt経路の不活性化を示す。 図10Aは、TACの1及び9週間目でのリン(P)及び全(t)Aktのウエスタンブロット及び要約データである。 図10Bは、Akt活性試験の結果を示すグラフである。 図10Cは、PI3K活性試験の結果を示すグラフである(3週間のTACでのデータ、S:シルデナフィル治療のみ)。PI3K活性及びAkt活性は、1及び9週間のTACの両方で顕著に増加し、シルデナフィル治療により対照の値まで抑制された。 図10Dは、GSK3βの発現及び活性化についての、ウエスタンブロット及び要約データを示すグラフである。GSK3βは、肥大を制御する下流のキナーゼであり、そしてAkt及びその他のキナーゼにより活性化される。TAC誘発のGSK3β活性は、シルデナフィルにより9週間では減少したが、1週間では減少しなかった。 図10Eは、心臓に構造的に活性なAktを過剰発現するトランスジェニックマウスに対する、シルデナフィルの慢性効果の結果を示す。死後の心臓を上段に示し、そしてエコー及び死後分析に基づいた要約データを下段に示す。目盛は、1mmである。連続の心エコー図及び死後研究から得られた左室重量を、全ての比較のためにAktTG(p<0.05)に於ける、より大きい左室重量と共に下段に示す。Aktの過剰発現そのものが、より大きな心室肥大をもたらし、シルデナフィルはこの重量増加を変化させなかった。これは、Aktシグナル伝達に対するシルデナフィルの効果(すなわち、図A〜C)は、Aktそれ自身の上流であることを示している。対照に対して、p<0.05;TACに対して†p<0.05;C:対照;T:TAC;T+S:TAC+シルデナフィル;を全てのパネルに適用する。 図11A〜11Fは、イソプロテレノール(ISO)、次いでシルデナフィルとISOの両方に曝された単離した成熟マウス筋細胞でのPDE5A阻害剤の抗アドレナリン作用を示す。 図11Aは、サルコメア短縮がISOと共に増加したが、同時にPDE5阻害剤であるシルデナフィルに曝すことによりその増加は著しく鈍くなったことを示す波形である。 図11Bは、蛍光染料Indo−2AMにより測定したカルシウムトランジエントを示す。この染料のシグナルは、2つの発光波長の比として表示する。 図11C及び11Dは、図11A及び11Bに示した結果を定量化したグラフである。 図11Eは、無傷のマウス心臓から得られた結果を示す、2つの圧容積ループを包含する。ISOは、圧容積ループの幅を広げ、そして上方角のポイント(収縮末期)を左側に移動させる。これは収縮性の増加を反映している。SIL治療によりISOの応答が鈍くなり、収縮性の増加がごくわずかとなった。 図11Fは、圧力上昇の最大速度(dP/dtmax)に基づくデータの要約グラフである。ISOによって、dP/dtmaxが上昇し、ベースラインを再設定した後で、シルデナフィルのみで処理した。これは、安静時の心臓には全く効果を示さなかった。ISOが添加されると、dP/dtmaxに於ける期待された収縮上昇は観察されなかった。 図12A及び12Bは、3枚のパネル(図12A)及びグラフ(図12B)を包含する。 図12Aは、無傷の心臓に於ける慢性のISO誘発心肥大に対するPDE5A阻害の効果を示す。 図12Bは、心臓重量/脛骨長の比に対するPDE5A阻害の効果を示す。マウスにISOを浸透圧ポンプで2週間注入して、左室肥大が約50%(重量/脛骨長)の増加となった。PDE5a阻害剤との併用治療が、この応答を抑制した。 図13A及び13Bは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が、PDE5A阻害が行うように、β−アドレナリン刺激に関連する心臓の変性を抑制しないことを示すグラフである。ANPを静脈内注入すると、心筋のcGNPが著しく増加した(右側のパネル)。これは、イソプロテレノールで刺激による収縮性を抑制しなかった(左側のパネルは圧力上昇の最大速度(dP/dtmax)を示す;ベースライン、ISOを伴う、リベースライン(rebaseline)、ANP単独及びANP+ISO)。これは、上述のPDE5a阻害剤とともに観察されたものと大きく異なっている。PDE5a阻害を伴ったcGMPの測定は殆ど変化を示さなかった。如何なる特定の理論と結び付けようとしなくても、これらの結果は、新規で高度に区分化されたシグナル伝達が、PDE5aの心筋作用に内在することを示すだろう。 図14A及び14Bは、イソプロテレノール(ISO)で刺激された単離された成熟心筋細胞の収縮及びODQによるグアニル酸シクラーゼ(sGC)の阻害を伴う又は伴わないカルシウムトランジエントに対する、PDE5a阻害剤(シルデナフィル;SIL)の直接効果を示す波形である。sGCは、次にPDE5aにより代謝作用で分解されるcGMPを生成する。sGC(ODG)によるcGMP合成のブロックは、pDE5a阻害剤がISO応答を鈍化させるのを抑制した。このことは、PDE5a阻害効果に対するcGMP規制メカニズムの重要性を支持している。 図15A、15B及び15Cは、PDE5a阻害剤が単離された成熟心筋細胞のcGMPを増加させることを示すグラフである。 図15Aは、筋細胞中のプロテインキナーゼG−1(PKG−1)活性を示す。シルデナフィル(SIL)又はタダラフィル(TAD)単独での治療は、PKG−1活性を僅かに上昇させる(p<0.05)が、ISO(ISO単独で30%以上、p<0.001)を併用するとPKG−1活性を70%増加させる(p<0.001)。 図15Bは、対照の新生仔ラットの心筋に於いて、cGMP感受性の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)分光法によって測定したcGMPの産生量を示す。SIL(500nM)及びISO(100nm)は、細胞のcGMP値を上昇させる(p<0.01)が、それらの組合せにより大きく変化する。NO(一酸化窒素)ドナーDEA/NO(5μM)を加えることでさらに増加した。 図12Cは、相対的なFRET変動のデータの要約を示す(未処理細胞に対して p<0.05)。 図16A〜16Eは、単離された成熟筋細胞及び全心筋に於けるPDE5Aタンパク質発現及び活性を示す。 図16Aは、単離された成熟筋細胞に於けるPDE5Aタンパク質発現(タンパク質負荷が示されている)のウエスタンブロット(上側のパネル)を、表示された4〜6個の個々のブロット(各群でn≧6個の心臓)からの要約データ(下側のパネル)と共に示す。二重バンドパターンが観察される(a,b)。心筋に対する負荷は100μgで、肺には1μgであった。 図16Bは、肺、単離された心筋細胞(MYO)及び全心筋(HRT)に於ける、PDE5a遺伝子発現の相対的なレベルを示すグラフである。心臓では、肺と比較して非常に低いレベルのPDE5aの発現があり、単離された筋細胞では、全心臓に比べて10倍低かった。 図16Cは、全マウス心臓に於けるPDE5Aタンパク質発現を示すウエスタンブロットであり、そしてタンパク発現レベルに於けるこれらの違いを確認するために、肺及び心臓に20μgの負荷を用いた。 図16D及び16Eは、全心臓及び単離された成熟心筋細胞の両方に於ける、cGMP−エラスターゼ活性試験の結果を示すグラフである。総活性(CON、規格化蛍光偏光(FP)単位)は、PDEの広範な阻害剤であるIBMX(50μM)で大きくブロックされたが、シルデナフィル(SIL、100nM)は、この活性を約30%低下させた(p<0.001)。これは、正常な心筋及び筋細胞に於いて、cGMP−エラスターゼの総活性のうち30%が、PDE5aに起因していたことを示す。 図17A〜17Fは、心筋細胞のPDE5A分布の共焦点免疫染色を示す。 図17Aは、筋細胞中のPDE5Aの免疫染色が細胞質ゾル中に存在し、そしてZ−バンドではより目立つ(左側のパネル)ことを示している。 図17Bは、PDE5Aの染色が、阻害ペプチドとの共培養により阻止されたことを示している(細胞シグナル伝達、5:1のBP/Ab(左側);右側:α−アクチニン)。 図17Cは、PDE1Cの染色は、この阻害ペプチドによる影響を受けないことを示している(PDE1C:左側、右側のパネル:α−アクチニン)。 図17Dは、別の心筋細胞中のPDE5Aの染色を示す。 図17Eは、酸化窒素シンターゼ3(NOS3、又はeNOS)を染色した同じ細胞を示し、図17Fは、この染色がZ−バンドでPDE5aと共局在化することを示している。 図18A及び18Bは、β−アドレナリン作動薬であるドブタミンでの刺激前後、及び一経口量のシルデナフィル(100mg、p.o.)の投与前後のそのような試験の実施ごとに、健康なヒト対象から得られたデータを示す。 図18Aは、典型的なドップラー血流及び血圧を示す4枚の一連のパネルである。 図18Bは、心収縮性を評価するために用いた、最大左心室のパワー指標を示すグラフである。ドブタミンはこのパラメーターを最初のテスト(1)でほぼ200%に増大し、シルデナフィル投与後(点線;2)、ドブタミンでの刺激の効果が顕著に減少した。 図19は、プロトコールの各段階に於ける、最高パワー指標(左心室の最高パワーを拡張末期容積で割った値)、収縮末期エラスタンス、駆出率、心拍出量、最高血圧、及び全末梢抵抗を示す、6枚の一連のグラフである。これらは、健康なヒトボランティアに於ける、シルデナフィルのプラセボ対照、二重盲検、無作為化試験の結果の要約を提供している。それぞれの対象に於いて、試験薬(プラセボ又はシルデナフィル)の経口投与前及び投与後にドブタミン刺激の負荷試験を実施した。B及びBは、第1回目及び第2回目(すなわち、試験薬投与後)のベースラインを示し、そしてD及びDは、試験薬投与の前後のドブタミン注入中に測定したデータをそれぞれ示す。P値は、試験薬の投与前対投与後のドブタミン刺激応答に於ける変化について、各試験群内のRMANOVA試験(反復測定分散分析)から得た。D対B及びD対Bの群内比較についての、2群間のT検定(paired t-test)も示されている(この試験では、p<0.001、†p<0.005)。シルデナフィルは、ドブタミンが増大させた収縮を、プラセボに比べて顕著に減少させた。しかしながら、全末梢抵抗では顕著な効果が見られなかった。 図20は、試験薬−シルデナフィル又はプラセボの投与前(B、●)対投与後(A、○)のドブタミンによる血流力学機能の変化を示す、12枚の一連の図である。各患者についての群内対応は、データ点を結ぶ線で確認される。平均値は、各データセットの右又は左に、囲んで示す。個々のグラフの上に記載されているP値は、各群に於ける第1回目及び第2回目との間のドブタミン応答比較(ベースラインに対する変化)を行うためである。対のプロットの各々の上に太字で記載されているP値は、ドブタミン試験(試験薬投与の前後)、ドブタミン(有無)及び試験薬(シルデナフィル対プラセボ)の3元相互作用に基づくRMANOVAである。 図21A〜21Fは、NOS3結合及びメタロプロテイナーゼ活性化に対するPdE5Aの阻害効果を示す。 図21Aは、TAC心臓の肥大変化を、偽手術マウスの正常心臓と比較して示す。 図21Bは、NOS3二量体(NOS3−d)のレベルが、術後三週間のTAC心臓で低下したのに対し、NOS3単量体(NOS3−m)のレベルが上昇したことを示す、非変性ゲル中で実施したウエスタンブロットである。これは、NOSが非連結であることを示し、ここでNOS3が、主に一酸化窒素を合成する酵素から、スーパーオキシドを生成するものに変換する。 図21C(下側のパネル)は、ジヒドロエチジウム(DHE)−酸化的ストレス感受性染料−で染色した偽手術及びTACマウスの心筋を示す1対の顕微鏡写真である。図21C(上側のパネル)は、カルシウム依存性NOSの一酸化窒素を生成する活性が術後3週間のTACマウスで減少することを示す1対のグラフである。 図21Dは、NOS3によって形成されるスーパーオキシドレベルが上昇したことを示すグラフである。 図21Eは、NOS3二量体のレベル(280kD)が圧過負荷後3週間のTACマウスで低下すること、及びシルデナフィル治療がこれらの動物に於いてNOS二量体(280kDバンド)の損失を防ぐことを示す、ウエスタンブロットである。 図21Fは、シルデナフィルがゼラチナーゼ活性(メタロプロテイナーゼMMP−2及びMMP−9、共にゲラチナーゼである)を阻害したことを示す、ゼラチナーゼザイモグラムである。 図22A、22B及び22Cは、低分子GTP結合タンパク質RhoA及びその下流キナーゼRhoキナーゼ(ROCK1及びROCK2)の発現及び活性化に対する、TAC及びシルデナフィル治療を伴うTACの効果を示す、ウエスタンブロット(図22A)及び2つの要約グラフ(図22B及びC)である。 図22Aは、RhoA及びROCK2タンパク質の発現が、3週間のTACを受けたマウスで増加していることを示す。両者は、シルデナフィル治療によるPDE5A阻害によって発現の程度が鈍くなった。 図22B及び22Cは、RhoA及び総ROCK活性が、3週間のTACを受けたマウスで増加したことを示す。この活性の増加は、シルデナフィルによって抑制された。 図23A及び23Bは、STAT3のリン酸化を示す6つのリン酸化ブロット(phospho-blots)である。 図23Aは、STAT3(転写3のシグナル伝達物質及び活性化剤)のリン酸化(すなわち、活性化)がTAC手術の1週間、3週間及び9週間後で増加することを示す。シルデナフィルによる治療は、この活性化を抑制する。 図23Bは、インターロイキン6(IL−6)が、STAT3を活性化し、STAT1を活性化しないことを示す、新生仔ラットに於ける実験結果である。シルデナフィルによる治療は、STAT活性化を抑制する。p−STAT3及びt−STAT3は、それぞれリン酸化及び総レベルを意味し、そして同様の略語を、STAT1のレーンにも適用する。t−STAT3が変化していないので、STAT3に対するシルデナフィルの効果は、転写レベルでは表れていない。このことは更にSTAT3の発現が、サイレンシングRNA(siRNA)によってブロックされている細胞と比較して確認した。これはSTAT3を低減させるが、STAT1の発現及び活性化を相互に増加させる。これはシルデナフィル治療では観察されなかった。 図24A及び24Bは、シルデナフィル治療が心筋のエネルギーレベルを増大させることを示す。 図24A(左側のパネル)は、術後3週間のTAC心臓のNMR分光画像である。この心臓は横断面で示される。図24A(右側のパネル)は、心臓でのリン酸代謝が高エネルギーレベルであることを示す、NMRスペクトルである。 図24Bは、総ATPに対するホスホクレアチン(PCr)の比が、術後3週間のTAC心臓組織で減少したことを示すグラフである。この効果は、シルデナフィル治療で弱められた。
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Claims (90)

  1. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心機能を強化するものである、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張型心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される心疾患を有する対象に於いて心機能を強化させる方法。
  2. 前記方法が心室リモデリングを低下又は改善させるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が心臓拡張を低下又は改善させるものである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記方法が心筋細胞のリモデリングを低下又は改善させるものである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法が筋細胞の肥大を低下させるものである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記方法が分子リモデリングを低下又は改善させるものである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記PDE5阻害剤が、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、AKTキナーゼ、活性化T−細胞の核因子(NFAT)、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素シンターゼ、酸化窒素シンターゼ脱共役に関連する薬剤、及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の発現を低下させる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記PDE5阻害剤が、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、AKTキナーゼ、NFAT、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素シンターゼ、酸化窒素シンターゼ脱共役に関連する薬剤及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の生物活性を低下させる、請求項6に記載の方法。
  9. 前記PDE5阻害剤が、プロテインキナーゼGを介するcGMP依存性のシグナル伝達を増強する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記心室、細胞又は分子リモデリングが刺激によって誘発される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記刺激が、圧過負荷である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記刺激が、神経ホルモンのストレスである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記刺激が、心筋梗塞である、請求項10に記載の方法。
  14. 前記刺激が、容量過負荷である、請求項10に記載の方法。
  15. 心機能を、負荷に関係なく弛緩率を測定することにより評価する、請求項1に記載の方法。
  16. 心機能を、負荷に関係なく心筋収縮能を測定することにより評価する、請求項1に記載の方法。
  17. 心機能を、負荷に関係なく心駆出量を測定することにより評価する、請求項1に記載の方法。
  18. 心機能を、負荷に関係なく収縮末期容量を測定することにより評価する、請求項1に記載の方法。
  19. 心機能が、ドップラー心エコー法、ドップラー断層心エコー法、パルスドップラー心エコー法、連続波ドップラー心エコー法、オシロメトリック法のアームカフ、心臓カテーテル法、核磁気共鳴映像法、陽電子放出断層撮影法、胸部X線、駆出分画試験、心電図、核医学検査、侵襲性心内圧、侵襲的及び非侵襲的に測定された心圧容積ループ(コンダクタンスカテーテル法)よりなる群から選択される試験を用いて決定される、請求項1〜18の何れかに記載の方法。
  20. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心肥大を予防するものである、心肥大の発症傾向のある対象に於いて心肥大を予防する方法。
  21. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心肥大を低下させるものである、心肥大の発症傾向のある対象に於いて心肥大を低下させる方法。
  22. 前記方法が心肥大を改善させるものである、請求項21に記載の方法。
  23. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心臓拡張を予防するものである、心臓拡張を引き起こす傾向のある対象に於いて心臓拡張を予防する方法。
  24. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心臓拡張を予防するものである、心臓拡張であると診断された対象に於いて心臓拡張を低下させる方法。
  25. 前記方法が心臓拡張を改善させるものである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記方法が心室リモデリングを低下させるものである、請求項20〜25の何れかに記載の方法。
  27. 前記PDE5阻害剤が細胞リモデリングを低下させるものである、請求項20〜25の何れかに記載の方法。
  28. 前記PDE5阻害剤が筋細胞を小さくする、請求項27に記載の方法。
  29. 前記PDE5阻害剤が分子リモデリングを低下させるものである、請求項20〜28の何れかに記載の方法。
  30. 前記PDE5阻害剤が、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、AKTキナーゼ、活性化T−細胞の核因子(NFAT)、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素シンターゼ、酸化窒素シンターゼ脱共役に関連する薬剤、及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の発現を調節する、請求項29に記載の方法。
  31. 前記PDE5阻害剤が、メタロプロテイナーゼ、カルシニューリン、マイトジェン活性化キナーゼ、AKTキナーゼ、NFAT、RhoA及びRhoキナーゼ、PI3キナーゼ、gp130/Stat−3経路の成分、ニトロチロシン、酸化窒素シンターゼ、酸化窒素シンターゼ脱共役に関連する薬剤、及び酸化的ストレスに関連する薬剤よりなる群から選択される薬剤の生物活性を調節する、請求項29に記載の方法。
  32. 前記PDE5阻害剤が薬剤の活性を変える、請求項31に記載の方法。
  33. 前記PDE5阻害剤が、プロテインキナーゼGを介するcGMP依存性のシグナル伝達を増強する、請求項20〜32の何れかに記載の方法。
  34. 前記PDE5阻害剤が、心疾患を治療するために線維形成過程の調節を必要としない、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  35. 前記PDE5阻害剤が、心疾患を治療するために圧力負荷の調節を必要としない、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  36. 前記PDE5阻害剤が、動脈圧に影響を与えずに心機能を強化する、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  37. 前記PDE5阻害剤が、肺血圧に影響を与えずに心機能を強化する、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  38. 前記PDE5阻害剤が、血管拡張に影響を与えずに心機能を強化する、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  39. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値の0.25倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  40. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値の0.5倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  41. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値に等しいPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  42. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値の5倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  43. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値の10倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかの方法。
  44. 前記PDE5阻害剤が、血漿中でIC50値の50倍のPDE5阻害剤濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  45. 前記PDE5阻害剤が、選択的にPDE5を阻害する、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  46. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で10nMのIC50値をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  47. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で50nMのピーク濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  48. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で0.1nM〜100nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項1〜33の何れかに記載の方法。
  49. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で0.1〜75.0nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で0.5〜50.0nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項49に記載の方法。
  51. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で5〜10nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項50に記載の方法。
  52. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で10〜20nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項51に記載の方法。
  53. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で20〜30nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項50に記載の方法。
  54. 前記PDE5阻害剤が、血漿中で30〜40nMの有効濃度をもたらすように投与される、請求項50に記載の方法。
  55. 前記有効濃度が、少なくとも4〜8時間にわたって保持される、請求項48〜54の何れかに記載の方法。
  56. 前記有効濃度が、少なくとも8〜12時間にわたって保持される、請求項55に記載の方法。
  57. 前記有効濃度が、少なくとも12〜24時間にわたって保持される、請求項56の何れかに記載の方法。
  58. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤が不適応性の心臓の変性を予防するものである、対象に於いて不適応性の心臓の変性を予防する方法。
  59. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤が不適応性の心臓の変性を減少させるものである、それを必要とする対象に於いて不適応性の心臓の変性を減少させる方法。
  60. 前記方法が前記変性を改善させるものである、請求項59に記載の方法。
  61. 前記変性が高血圧に関連している、請求項58又は59に記載の方法。
  62. 前記変性が、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張型心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される疾患に関連する、請求項58又は59に記載の方法。
  63. 有効量のPDE5阻害剤を対象に投与することを含んで成る方法であって、前記阻害剤の投与が心筋エネルギーを増強させるものである、心筋エネルギーの増強を必要とする対象に於いて心筋エネルギーを増強させる方法。
  64. 心筋エネルギーが、高エネルギーリン酸の貯蔵(クレアチンリン酸)をより高エネルギーリン酸の利用(アデノシン三リン酸−ATP)と比較する評価法、ADPに変化するATPの評価法、ADP及び無機リン酸の濃度の評価法、心仕事総量に対する心臓の酸素消費量の評価法、又は心仕事総量に対する摘出心筋の酸素消費量の評価法、によって測定されるものである、請求63に記載の方法。
  65. 薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも0.1〜200mgのPDE5阻害剤を含んで成る組成物であって、対象への前記組成物の投与が血漿中で少なくとも0.1〜100nMの有効濃度をもたらす、心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張型心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される疾患の治療用組成物。
  66. 薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも0.1〜200mgのPDE5阻害剤を含んで成る組成物であって、対象への前記組成物の投与が血漿中で少なくとも0.1〜100nMの有効濃度をもたらす、心肥大の治療用組成物。
  67. 前記組成物の対象への投与が、0.1〜75nMの有効濃度をもたらす、請求項65又は66に記載の組成物。
  68. 前記組成物の対象への投与が、0.5〜50nMの有効濃度をもたらす、請求項67に記載の組成物。
  69. 前記組成物の対象への投与が、血漿中で1〜25nMの有効濃度をもたらす、請求項68に記載の組成物。
  70. 前記組成物の対象への投与が、血漿中で5〜10nMの有効濃度をもたらす、請求項69に記載の組成物。
  71. 前記組成物の対象への投与が、血漿中で10〜20nMの有効濃度をもたらす、請求項69に記載の組成物。
  72. 前記組成物の対象への投与が、血漿中で20〜30nMの有効濃度をもたらす、請求項68に記載の方法。
  73. 前記組成物の対象への投与が、血漿中で30〜40nMの有効濃度をもたらす、請求項68に記載の組成物。
  74. 前記組成物が、少なくとも10mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項65又は66に記載の組成物。
  75. 前記組成物が、少なくとも20mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項65又は66に記載の組成物。
  76. 前記組成物が、少なくとも100mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項65又は66に記載の組成物。
  77. 前記組成物が、少なくとも150mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項63又は64に記載の組成物。
  78. 前記組成物が、PDE5阻害剤の徐放を提供するものである、請求項65又は66に記載の組成物。
  79. 前記組成物が、PDE5阻害剤の少なくとも4〜8時間かかる徐放を提供するものである、請求項78に記載の組成物。
  80. 前記組成物が、PDE5阻害剤の少なくとも8〜12時間かかる徐放を提供するものである、請求項79に記載の組成物。
  81. 前記組成物が、PDE5阻害剤の少なくとも12〜24時間かかる徐放を提供するものである、請求項80に記載の組成物。
  82. 前記組成物が、実質的にPDE5阻害剤よりなる、請求項65又は66に記載の組成物。
  83. 心肥大、収縮機能の低下、拡張機能の低下、不適応性肥大、収縮機能が保持された心不全、拡張型心不全、高血圧性心疾患、大動脈弁狭窄症、肥大型心筋症、虚血性心臓リモデリング後及び心不全よりなる群から選択される疾患の治療又は予防に用いるようにラベルが付された医薬包装物であって、薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも5mgのPDE5阻害剤を含む組成物を含有してなる、医薬包装物。
  84. 心肥大の治療又は予防に用いるようにラベルが付された医薬包装物であって、薬学的に許容される賦形剤中に少なくとも5mgのPDE5阻害剤を含む組成物を含有してなる、医薬包装物。
  85. 前記包装物が少なくとも10mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項83又は84に記載の医薬包装物。
  86. 前記包装物が少なくとも20mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項83又は84に記載の医薬包装物。
  87. 前記包装物が少なくとも100mgのPDE5阻害剤を含有してなる、請求項83又は84に記載の医薬包装物。
  88. 前記PDE5阻害剤が徐放製剤として提供される、請求項83又は84に記載の医薬包装物。
  89. 前記組成物が、実質的にPDE5阻害剤よりなる、請求項83又は84に記載の医薬包装物。
  90. 心肥大の治療又は予防のために前記組成物を対象に投与するための、書面による指示書を更に含有してなる、請求項83〜89の何れかに記載の医薬包装物。
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