JP2014533697A - デフェリプロンを用いた処置方法 - Google Patents

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Abstract

本願は、心筋虚血、急性冠動脈イベント、および心筋再灌流損傷を処置または改善するための方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。本願は、患者における心筋再灌流損傷のリスクを低下させ、かつ有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、再灌流治療前、再灌流治療中、または再灌流治療後に患者に投与する段階を含む方法にも関する。本願は、再灌流損傷の処置のための患者を選択し、その後、選択された該患者を処置する方法も含む。

Description

発明の分野
本発明は、心筋梗塞後の心筋損傷のリスク、例えば、心筋内出血、心臓性浮腫、再灌流性不整脈、有害なリモデリング、および/または虚血傷害のリスクを低下させ;心筋虚血、急性冠動脈イベント、または再灌流損傷を処置するか、防止するか、または改善し;かつ血行再建および有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法を提供する。本発明は、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を用いる処置のための患者を選択するための方法も提供する。
背景
心疾患は、Statistics Canadaによる2007年の報告に基づくと、それぞれ、全ての死亡のほぼ25%および22%の原因となっている、米国およびカナダにおける主要な死因のうちの一つである(1)。報告によると、米国において毎年150万人が心臓発作を起こし、そのうちの約500,000イベントが死に至る。2006年には、631,636人が心疾患で死亡し、心疾患は男女共に主要な死因となった。冠動脈性心疾患が、心疾患の最も一般的な型である。毎年、約785,000人のアメリカ人が、最初の心臓発作を有し、さらに、1回または複数回の心臓発作を既に有したことのある470,000人が再度の発作を起こす。2010年、心疾患は、医療サービス、薬物治療、および失われた生産力において約3164億ドルの損害を米国に与えたと推計された。
急性心筋梗塞は、心臓筋肉への血流が停止し、それによって、当該の冠動脈による供給領域において不可逆性の壊死がもたらされることによって起こる(5)。急性心筋梗塞の現代の処置においては、再灌流治療が標準である。例えば、急性心筋梗塞および/またはST部分上昇型(STEMI)を有すると推測される患者は、冠動脈における閉塞性血栓症を有すると仮定され、したがって、血栓溶解治療または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のいずれかによる即時再灌流の候補であり、これらの治療が不成功であった時、次のインターベンションは一般的にはバイパス手術である。
再灌流は、心筋救済に関しては好都合であるが、初期イベントのものに匹敵する付加的な心臓傷害、即ち、「再灌流損傷」(RI)をもたらす場合がある(10)。RIは、内皮細胞傷害から発生する微小血管機能障害、スタンニング、再灌流性不整脈、およびさらなる筋細胞死をもたらす、先の虚血傷害の悪化または増大に関連付けられており;これらの影響の一因はフリーラジカル生成である。細胞内および間質の浮腫も、局所炎症反応から発生する急性心筋梗塞(AMI)におけるRIに関連している(11)。
さらに、典型的には、虚血誘発性の微小血管閉塞(MVO)および損傷によって引き起こされ、かつ有害な左室(LV)リモデリングおよび患者転帰不良と相関している「ノーリフロー(no-reflow)」と呼ばれる現象が、しばしば見られる(12)。さらに、重度の初期虚血発作に関連した再灌流は、心筋内出血ももたらす場合があり(13)、それは、MVOと共同して、有害なリモデリングの独立予測因子となると考えられている(14)。
再灌流の後、患者は、典型的には、RI、梗塞サイズ、および有害なLVリモデリングの制限において見込みを示した抗血小板、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、およびβブロッカーによって処置される(15、16)。しかしながら、最新の薬物治療によっても、罹患率および死亡率は高いままである。相当数のAMI後患者、特に、微小血管機能障害を伴う大きい貫壁性梗塞を発症した者は、続いて、LV拡大および心不全を発症し(17、18);いくつかの症例においては、心臓移植または補助人工心臓が必要となり得る。さらに、リモデリングは複雑な過程であるので、一つの修復経路の処置が、他のものに対して有害な結果をもたらす場合がある(19)。したがって、免疫応答、再灌流損傷サルベージキナーゼ(reperfusion injury salvage kinase)(RISK)経路、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(PTP)等を含む新規の保護経路の効果が、未だ調査中である(10、20)。数人の研究者が、AMI後の患者における「虚血プレコンディショニングおよびポストコンディショニング」の成功を報告したが(21、22)、最近の研究の所見は陰性であった(23)。したがって、心保護の臨床実務への変換は、一般に、不成功となっている。
AMIにおける再灌流損傷の結果としての心筋内出血の症状は、ヒト(14、33)および動物モデル(25、26、34、35)の両方においてよく立証されている。酸化ストレス、カルシウム過剰、pH変動、増加した炎症、およびミトコンドリア傷害が、細胞および血管の傷害をもたらす再灌流損傷の主な構成要素である。出血性梗塞を有する患者は、高いリスクを有し、長期転帰不良を有するようである(14、47)。組織出血の変化する様相は、脳出血の例において広範囲に研究されている(39)。ヘモグロビンの分解生成物が、増加した脳浮腫、ニューロン傷害、および神経学的欠陥に関連付けられている(40、41)。AMIにおける出血性梗塞の進展は、十分に調査されておらず、炎症および酸化ストレスに対する関連影響は現在のところ不明である。
組織損傷に対する生物系の免疫応答の重要な構成要素は、壊死組織片の除去を援助し、組織治癒の過程が開始することを可能にするように誘発される炎症である(48〜51)。梗塞の急性期においては、体液性の炎症ストレス応答が、梗塞心筋(50倍)および遠隔心筋(15倍)の両方において、TNFα、IL-1、およびIL-6のような炎症誘発性サイトカインのアップレギュレーションを誘導し;それらのレベルは、典型的には、1週間後に基線へ戻る。しかしながら、梗塞が大きい場合には、サイトカインの発現およびアップレギュレーションが持続し、梗塞部周辺区域および遠隔区域へさらに拡張するカスケード活性化、ならびに不都合なリモデリングおよびより不良の臨床転帰に至り得る(52)。TNFαは、心収縮力を抑制し、アポトーシスを増強し、コラーゲン合成に干渉することによって、炎症性損傷の媒介に関与することが示されている(53〜56)。IL-10は、リンパ球および単球によって発現される強力な抗炎症性サイトカインであり(57、58);TNFα、IL-1、およびIL-6の産生を阻害することができ、細胞外マトリックスの安定化を補助すると推測されている(59)。さらに、トール様受容体(TLR)によって媒介される経路、補体カスケード、活性酸素種(ROS)、およびケモカインファミリーが活性化され、炎症カスケードおよび治癒過程において重要な役割を果たす(50)。同時に、血小板、好中球、単核細胞、マスト細胞、繊維芽細胞、および血管細胞のような血液由来細胞の連続的な浸潤が、梗塞後の修復過程にとって不可欠な部分である。
数種の抗炎症戦略が、AMIの実験モデルにおいて、梗塞サイズの低下および有害なリモデリングの減弱を証明したが(60)、それらは、実際には、LVリモデリングおよび不整脈を促進する場合があるため(61、62)、臨床実務への変換には議論の余地がある(50、51)。サイトカインの多機能性かつ重複性は、サイトカインによって媒介される治療戦略を探索する時、予測不能の効果をもたらした(50)。
デフェロキサミン(DFO)による鉄キレート治療の使用が、心虚血/再灌流中のフリーラジカル傷害を減少させる手段として、以前に調査された。心保護は、単離されたラットおよびウサギの心臓調製物においても、数種の大型動物研究においても証明された。心肺バイパス前のデフェロキサミン前処置は、3種の小規模臨床試験において評価された;デフェロキサミンは、フリーラジカルによって媒介される脂質傷害および白血球活性化を低下させ、心筋の性能を向上させた(92、93、94)。しかしながら、心筋梗塞におけるDFOによる臨床的利益は証明されていない。例えば、Chan et al., Circ. Cardiovasc Interv.5:270-278(2012)を参照のこと。Chanらにおいて、DFOは、活性酸素種(ROS)(F2-イソプロスタン)を低下させるのに有効であったが、梗塞サイズ、クレアチニンキナーゼ、またはトロポニン1に対しては有意な効果もたらさなかった。
デフェロキサミンは、循環血中の鉄種には強く結合するが、サイズが大きく親水性であるため、心筋細胞透過が限定される。そのことが、以前の調査において報告された可変性の効力の理由である可能性がある(95、96、97、98)。症状が予期しないものである急性冠動脈症候群においては、注入開始と心筋内のピーク薬物レベルとの間の長い遅延時間が、その利用可能性を妨げる可能性がある。最後に、それは、非経口投与のみが可能であり、外来患者に使用するためには不適当である。
ランゲンドルフ心臓調製物(エクスビボ)を使用した20年よりも前に発表された研究は、デフェリプロンが虚血後の心保護において役立ち得ることを示唆した(van der Kraaij AM, et al., Circulation 80:158-64(1989))。その研究は、ランゲンドルフモデルにおいて、50μMの一定のデフェリプロン注入で、フリーラジカル活性の低下を証明したが、ヒトにおいてそのような一定の注入速度を達成するために必要とされる静脈内用量は、鉄が負荷されていないヒトにとって有毒であると予想される。さらに、研究は、虚血傷害、心筋内出血、または心臓性浮腫の変化に関して報告しなかった。したがって、患者にとって正味の利益が存在するとすれば、その使用に対する実際の治療的関連性を示していない、ビタミン、抗酸化剤、および栄養補助食品によって数十年間主張されてきた理論的利益などの、再灌流後の二次性酸化ストレスの低下の理論的利益を超える、処置の方法を導入する必要がある。
したがって、急性冠動脈イベントを起こした、即ち、急性心筋梗塞を起こした対象、例えばヒトにおける、心筋内出血、心臓性浮腫、再灌流性不整脈、有害な心臓リモデリング、および虚血傷害を処置するおよび/またはそれらのリスクを低下させる方法を、開発する必要がある。
本明細書における参照の引用または記述は、それらが本発明に対する先行技術であることの承認として解釈されてはならない。
本明細書に記述されるように、鉄キレート剤であるデフェリプロンは、虚血再灌流後の鉄によって媒介される傷害を低下させるのに比類なく適したものである。デフェリプロンは、極めて小さな分子量(139ダルトン)を有し、経口での吸収にとって十分な親水性と、膜への透過にとって十分な親油性とをもち、かつその結合状態および未結合状態において中性の電荷を維持することから、優れた筋細胞透過を有し、したがって、他の現在市販されている鉄キレート剤とは区別される。デフェリプロンは、迅速な心保護を与えるために静脈内投与されてもよく、または便利な慢性投与のために経口的に与えられてもよい。
本発明の一つの局面は、心筋虚血または急性冠動脈イベントを処置または改善するための方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
本発明の別の局面は、心筋内出血または心筋内出血に起因する傷害を処置または改善するための方法であって、それを必要とする、心筋虚血または急性冠動脈イベントに対する処置を受けている患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
本発明の別の局面は、浮腫を処置または改善するための方法であって、それを必要とする、心筋虚血または急性冠動脈イベントに対する処置を受けている患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
一つの態様において、心筋虚血または急性冠動脈イベントは、急性心筋梗塞またはST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)である。
さらなる態様において、患者は、再灌流治療、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療を受ける。一つの態様において、再灌流治療を受ける患者は、例えば、心筋内出血もしくは心筋内出血に起因する傷害について、または浮腫について、本明細書に開示された方法によって処置中である。さらなる態様において、患者は、該患者が再灌流治療を受ける前、受けている間、または受けた後に、本明細書に開示された方法によって処置される。
特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者が再灌流治療を受ける前、受けている間、または受けた後の時点で、投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者が再灌流治療を受けた後に、投与される。
本発明の別の局面は、心筋損傷を処置または改善するための方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、再灌流治療中または再灌流治療後に患者に投与する段階を含む方法に関する。
一つの態様において、心筋損傷は、心筋内出血、心臓性浮腫、再灌流性不整脈、虚血傷害、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
別の態様において、再灌流治療は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、例えば、冠動脈形成術もしくはステント挿入、または血栓溶解治療、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rtPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される血栓溶解剤の投与である。
特定の態様において、患者は、虚血誘発性の微小血管閉塞をさらに有する。
本発明の別の局面は、心筋損傷のリスクを低下させる方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、心筋損傷のリスクを有する患者に投与する段階を含む方法に関する。
本発明の別の局面は、心筋内出血もしくはそれに起因する傷害、心臓性浮腫、または再灌流性不整脈のリスクを低下させるための方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、心筋梗塞を起こした後の心筋内出血、心臓性浮腫、または再灌流性不整脈のリスクを有する患者に投与する段階を含む方法に関する。
一つの態様において、患者は、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する。特定の態様において、患者は、心筋内出血についての1種または複数種のリスク指標を示す。一つの態様において、1種または複数種のリスク指標には、(i)ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)の診断、(ii)心筋傷害についてのマーカーの増加、(iii)心筋内出血のインビボ画像法による証拠、(iv)MVO、ノーフロー(no-flow)、またはスローフロー(slow-flow)の診断、および(vi)それらの任意の組み合わせが含まれる。特定の態様において、判定は、インビボ画像法、例えば、磁気共鳴画像法によって行われる。一つの態様において、心筋傷害についてのマーカーは、トロポニンまたはクレアチンキナーゼである。別の態様において、STEMIの診断は、心電図(ECG)によって決定される。別の態様において、MVO、ノーフロー、またはスローフローは、x線によって決定される。特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療と組み合わせて投与される。
別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、例えば、冠動脈形成術もしくはステント挿入、または血栓溶解治療、例えば、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rtPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される血栓溶解剤の投与の、前、その間、またはその後に投与される。
本発明の特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物の一部として投与される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、即時放出型、徐放型、または放出制御型の薬学的組成物である。
本発明の特定の態様において、患者は、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、心筋梗塞のエピソードを少なくとも1回起こしたことがある。
いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、心筋梗塞の最初のエピソードの後、約24時間未満、12時間未満、4時間未満、または2時間未満に投与される。特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、心筋梗塞のエピソードから1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、12時間以内、または24時間以内に投与される。
いくつかの態様において、患者は、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、狭心症、労作時呼吸困難、またはうっ血性心不全を経験している。
いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者が心筋梗塞を起こしている第一の期間にわたって、および該患者が心筋梗塞を起こした後の第二の期間にわたって、該患者に投与される。
本発明の別の局面は、患者における有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者における心筋虚血または急性冠動脈イベントの後の再灌流治療前、再灌流治療中、または再灌流治療後に該患者に投与する段階を含む方法に関する。
本発明の別の局面は、外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技の後の有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技を受ける患者に投与する段階を含む方法に関する。
特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、血行再建手技前および/または血行再建手技中の第一の期間にわたって、ならびに患者が血行再建手技を受け終えた後の第二の期間にわたって、該患者に投与される。いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、第一の期間中、患者に静脈内投与される。いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、第二の期間にわたって、患者に経口投与される。さらなる態様において、第二の期間は、少なくとも1週間であるか、または1週間〜6ヶ月間である。特定の態様において、心臓組織は手術によって損傷を受ける。一つの態様において、手術は、冠動脈バイパス移植、先天性心臓欠陥の修復、心臓弁の置換、または心臓移植である。別の態様において、損傷を受けた心臓組織に出血が存在する。
いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者に経口投与されるか、または静脈内投与される。特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、1日1〜6回投与される。特定の態様において、治療的に有効な量は、最大で150mg/kg/日までの、1日1回または複数回経口投与される1〜50mg/kgのデフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩である。他の態様において、治療的に有効な量は、最大で150mg/kg/日までの、1日1回または複数回静脈内投与される静脈内投与用薬学的組成物中の1〜50mg/kg/日のデフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩である。
本発明のいくつかの態様において、第二の鉄キレート剤が患者に投与される。特定の態様において、第二の鉄キレート剤は、デフェロキサミン、デフェラシロクス、デスフェリチオシン、それらの誘導体、例えば、FBS0701、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本発明のいくつかの態様において、抗血小板治療も患者に投与される。特定の態様において、抗血小板治療は、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジン、シロスタゾール、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ジピリダモール、テルトロバン(terutroban)、エポプロステノール、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲンアクチベーター、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
本発明の別の局面は、心筋梗塞後の患者に心筋出血が存在するか否かを判定する段階を含む、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を用いる心筋出血の処置のための患者を選択する方法に関する。
本発明の別の局面は、(a)心筋梗塞後の患者に心筋出血が存在するか否かを判定する段階、および(b)梗塞の場所に出血が存在すると判定された場合に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を該患者に投与する段階を含む、患者における心筋出血を処置または改善する方法に関する。
特定の態様において、判定は、インビボ画像法によって行われる。いくつかの態様において、インビボ画像法は、磁気共鳴画像法によるものである。
以前の発明は、発症するまでに10年以上の輸血を要する状態である輸血鉄過剰を有する患者において、デフェリプロンが、心不全を防止するまたは処置することができることを証明した(US 7049328 B2)。輸血を受けていない者のような、鉄過剰を有しない対象は、鉄過剰患者の場合のような、体内の全身性の鉄蓄積および心臓内の鉄沈着の測定可能な増加が存在しないので、心臓発作または急性冠動脈症候群のその他の構成要素のような急性心筋イベントの後にデフェリプロンから利益を受け得ることは予想外であった。本発明の方法によると、全身鉄過剰が存在しない患者が、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩によって処置される。
別の態様において、本発明は、外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技の後の心臓組織の再灌流損傷を制限する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者が血行再建手技を受ける前および/または受けている間の第一の期間にわたって、ならびに該患者が血行再建手技を受け終えた後の第二の期間にわたって、該患者に投与する段階を含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技の後の再灌流損傷を制限しかつ/または有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者が血行再建手技を受ける前および/または受けている間の第一の期間にわたって、ならびに該患者が血行再建手技を受け終えた後の第二の期間にわたって、該患者に投与する段階を含む方法を提供する。
本発明は、梗塞の場所に出血が存在するか否かを判定する段階を含む、心筋梗塞を処置するためのデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を用いる処置のための患者を選択する方法も提供する。
本発明は、(a)梗塞の場所に出血が存在するか否かを判定する段階、および(b)梗塞の場所に出血が存在すると判定された場合に、治療的に有効な量なデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を該患者に投与する段階を含む、患者における心筋梗塞を処置または改善する方法も提供する。
本発明は、本発明に係る治療法において使用するためのデフェリプロンも提供する。本発明は、本発明に係る治療法において使用するための医薬の製造におけるデフェリプロンの使用も提供する。
浮腫、出血、およびMVOの長期的変化。代表的な動物におけるAMI後の様々な時点におけるT2マップおよびT2*マップを、早期相造影(CE)画像と共に示す。2日目:浮腫に一般的に関連しているT2上昇は、梗塞ゾーン(39.2ms対39.1ms対照)においては明白でなかったが、周辺エリアにおいてわずかに上昇していた;拡張期壁厚(DWT)も34%増加しており、浮腫性膨張が示唆された。矢印は、CE画像によって描出されるMVO内の局所シグナルボイド領域またはT2*異常(18.5ms対34.2ms対照)を示す。1週目:梗塞部の大部分において、T2が上昇し(51.1ms)(矢印)、心内膜下T2*が低下し(15.8ms)、びまん性出血副産物が示された(矢印)。4週目:T2はまだ上昇していたが(50ms)、T2*の正常化(35ms)がMVOの消散と同時に起こった。 AMI後のMRIパラメーターの定量的変動。プロット(a)および(b)は、全ての動物について平均化された、遠隔心筋と比較された、梗塞ゾーンにおけるT2およびT2*の長期的変動を示す;エラーバーは標準誤差を表す。プロット(c)および(d)は、梗塞およびMVOのサイズの進展を示す。プロット(e)は、DWTの領域別の変化を示し、(f)は、駆出率(EF)によって表される全体的な左室機能を示す。0日目は、健常対照からの値を表す。MRIスキャン:0日目(N=10)、2日目(N=8)、1週目(N=5)、2週目(N=8)、4週目(N=5)、および6週目(N=4)。†p<0.05、対照値との比較;§p<0.05、先行時点との比較。 2日目のブタ心臓におけるMRIからの短軸スライス(a〜c)が、対応するヘマトキシロン・エオシン(HE)染色組織診スライド(d)と比較される。画像(e)〜(j)は、(d)に示された領域1〜4(四角)の拡大バージョンである。画像(e)(40倍)は、生存筋細胞を示す遠隔ゾーンを示す。画像(f)(4倍)において、矢印は、(c)におけるT2*シグナルボイドに一致したMVO内の出血コアを指している。画像(g)(100倍)は、炎症細胞と共に、インタクトな赤血球(矢じり)を示す(f)の拡大バージョンである。画像(h)(100倍)は、梗塞コアにおける広範な壊死(矢じり)を示す。画像(i)(10倍)は、広い間質によって示される浮腫(矢じり)を示す。画像(j)(40倍)は、梗塞部周辺におけるカルシウム沈積(矢じり)を示すフォン・コッサ(VK)染色を示す。HE:ヘマトキシロン・エオシン;VK:フォン・コッサ(VK)。 プロットは、ブタ心臓におけるAMI後の安静時T2(青)、ストレス時T2(赤)、および変化ΔT2(黒)の進展を示す。梗塞ゾーン(a、b)においては、安静時T2およびストレス時T2が、いずれも、1週目を過ぎた全ての時点で、0日目(対照)値と比較して40%超有意に上昇し(p<0.005)、浮腫が示された。安静時の値とストレス時の値との間に有意差がないことから、救済可能でない心筋が示唆された。遠隔ゾーン(c、d)においては、安静時T2が、1週目(p=0.055)および2週目(p=0.058)におよそ7%わずかに上昇し、浮腫または充血のいずれかが示唆された。これらの結果には、ストレス応答の同時の抑制が伴っていた。即ち、ストレス時T2が1〜2週目に低下し、血管拡張機能障害が示された。 代表的な動物からの遅延高造影(Delayed hyperenhanced)(DHE)画像は、90分閉塞群と45分閉塞群との間の差を証明した。基底スライス(青ローカライザー)は、梗塞を起こしておらず、遠隔心筋/ゾーン査定のために利用された。心尖部スライス(赤ローカライザー)においては、高造影心筋内の低造影(hypoenhancement)の領域(白矢印)として同定されたMVOが、大きい90分梗塞において2日目に明白となり、4週目までに消散した。他方、45分の動物は、小さい非貫壁性の不均一な梗塞を示した。LAX−長軸;SAX−短軸。 90分閉塞において、T2強調画像(TE=88ms)およびT2*強調画像(TE=15ms)は、貫壁性梗塞およびMVO(青矢印)に一致した浮腫(高信号)および出血(シグナルボイド)をそれぞれ証明した。45分閉塞は、T2強調画像上に明るい浮腫信号を示したが、T2*強調画像上に明白なシグナルボイドはなかった。T2マップおよびT2*マップ(カラーバー(ms))は、心筋組織特徴決定の定量的局面を示した。T2*マップ上の外側領域内の白矢印は、心臓肺界面および心静脈から発生した磁化率アーチファクトを示す。 90分群(a〜c)および45分群(d〜f)の全ての動物からプールされたAMI後のT2パラメーターおよびT2*パラメーターの累積的な時間経過;エラーバーは標準誤差を示し、0日目は対照MRIを示す。プロット(a)、(d)は、安静条件およびストレス条件の下での梗塞ゾーン内のT2の変動を表し、プロット(b)、(e)は、遠隔ゾーンを表す。プロット(c)、(f)は、梗塞ゾーンおよび遠隔ゾーンにおけるT2*変化を示す。プロット(b)および(e)における影部分は、損なわれた血管拡張機能を示し、プロット(c)は出血を示す低下したT2*を示す。* p<0.05、対照との比較;†p<0.05、安静時との比較。 90分群および45分群において比較されたAMI後の駆出率(EF)および拡張終期容積(EDV)の累積的な時間経過;エラーバーは標準誤差を示す。* p=0.05、対照(0日目)との比較。90分群における6週目の低下したEFおよびより大きなEDVは、より大きなリモデリングを示す。 PCI後2日目にMRI検査を受けた患者からの短軸スライス。心筋傷害の別個のパターンが遅延造影画像によって示された。T2*画像におけるシグナルボイド領域(矢印)は、梗塞区域内の心筋出血を示す。 PCI後2日目、4週目、および6ヶ月目にMRI検査を受けた患者からの代表的な短軸T2画像、T2*画像、および遅延造影(DHE)画像。示された値は、梗塞心筋および遠隔心筋における経時的なT2測定およびT2*測定の進行を示す。 上パネル:患者におけるT2およびT2*の進展。梗塞ゾーンにおける上昇したT2は浮腫を反映し、低下したT2*は出血を示す。一般に、浮腫は6ヶ月目までに消散し、出血は2〜4週目までに消散した。下パネル:プロットは、患者の二つのサブグループ(出血あり、出血なし)における梗塞心筋および遠隔心筋におけるT2変化を示す。2日目、梗塞ゾーンにおいては、T2が、出血を有する患者においてより低く、これは、浮腫および出血がT2値に対して相殺的な影響をもたらすことを示している。2日目、遠隔ゾーンにおいては、T2が、出血を有する患者においてより高く、これは、遠隔非梗塞心筋における浮腫または充血を示した。 上パネル:8分の短時間虚血エピソードの後、左前下行枝(LAD)の第二対角枝(600mcg画像内の挿入図)を超えた箇所におけるコラゲナーゼの冠内注射によって処置されたブタ心臓。>800mcgの用量について、外植された心臓において明白であるように、コラゲナーゼは出血(赤みがかったエリア)をもたらし;出血の量は用量と共に増加した。下パネル:出血は心外膜にあるようであったが、染色は、心筋内の中程度〜重度の血液溢流も明らかにした。右室および左室(RV、LV)のヘマトキシリン・エオシン染色は、心筋全域に分散した赤血球の広範囲のエリアを証明した。梗塞は観察されなかった。 左パネル:45分LAD閉塞へ供され、その後、再灌流中に1000mcgのコラゲナーゼの注射を受けた動物からのT2強調画像、T2*強調画像、およびDHE短軸画像。T2*画像上のシグナルボイドは、DHE画像上のMVO(ガドリニウムの高造影周縁部内の低造影領域)に一致する出血コア(赤矢印)を示した。MVOの様相は、図5に見られた未処置の45分梗塞とは異なっていた。これらの結果は、出血とMVOと梗塞との間の相互作用を示す。右パネル:DHE画像の長軸像上に見られた心尖部MVO(赤矢印)。 90分LAD閉塞に供され、鉄キレート剤デフェリプロン(DFP)によって処置された代表的な動物からの短軸画像。T2*画像によって示される出血(赤矢印)は、2日目にのみ観察され、1週目までに消散した。浮腫も4週目までに実質的におさまった。持続性のMVOが2日目に見られ、1週目までに部分的に消散した。この実施例からの結果は、図1に示される未処置の90分群と対照的である。 デフェリプロンによって処置された90分梗塞群における全ての動物(N=2)からプールされたAMI後のT2、T2*、および心機能パラメーターの累積的な時間経過;エラーバーは標準誤差を示し、0日目は対照MRIを示す。T2*画像上の影部分は、出血が2日目にのみ観察され、その後、消散したことを示す。浮腫は2週目を過ぎて実質的におさまった(影部分)。遠隔心筋において、T2結果は、2日目にのみ損なわれた血管拡張機能(影部分)を示し、それは、その後、対照レベルまでではないが、消散した。駆出率(EF)は、恐らく、重度90分閉塞の結果として、徐々に低下したが、未処置の90分の動物のような2日目からの急激なものではなかった(図2を参照のこと)。4週目における比較的不変の拡張終期容積および収縮終期容積(EDV、ESV)は、あまり有害でないリモデリングを示した。 鉄キレート剤デフェリプロン(DFP)によって処置されなかった(上パネル)、処置された(下パネル)、90分LAD閉塞へ供された代表的な動物からの短軸画像。DFPによって処置された群において、(T2*画像(赤矢印)によって示される)出血は、2日目にのみ観察され、1週目までに消散した。処置群および未処置群の両方において、微小血管閉塞(MVO)が2日目に見られ、1週目までに部分的に消散した。 90分梗塞(未処置およびデフェリプロン(DFP)処置)における全ての動物(N=2)からプールされたAMI後のT2パラメーターおよびT2*パラメーターの累積的な時間経過;エラーバーは標準誤差を示し、0日目は健康な動物における対照MRIスキャンを示す。
発明の詳細な説明
略語の一覧:
PCI:経皮的冠動脈インターベンション
STEMI:ST部分上昇型心筋梗塞
ECG:心電図
RI:再灌流損傷
MVO:虚血誘発性の微小血管閉塞
LV/RV:左/右室または左/右室の
ACE:アンジオテンシン変換酵素
(A)MI:(急性)心筋梗塞
RISK:再灌流損傷サルベージキナーゼ経路
PTP:ミトコンドリア膜透過性遷移孔
ROS:活性酸素種
MRI:磁気共鳴画像法
DHEL:遅延高造影MRI
AAR:リスクエリア
DWT:拡張期壁厚
EF:駆出率
HE:ヘマトキシロン・エオシン
VK:フォン・コッサ
EDV:拡張終期容積
LAD:左前下行枝
DFP:デフェリプロン
EDV/ESV:拡張終期容積および収縮終期容積
BOLD:血中酸素レベル依存的画像法
MLLSR:飽和回復法による修飾型ルックロッカーシーケンス(modified Look-Locker sequence with saturation recovery)
PR:ピクロシリウスレッド
PB:ペルルスのプルシアンブルー
CE:造影
CMR:心血管磁気共鳴
TIMI:心筋梗塞における血栓溶解
デフェリプロン
本明細書において使用されるように、デフェリプロン(または「DFP」)とは、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩をさす。デフェリプロンの塩には、その薬学的に許容される塩、特に、適切なアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、もしくはマグネシウム塩などの、塩基との塩、亜鉛塩などの薬学的に許容される遷移金属塩、または環式アミン、モノ低級アルキルアミン、ジ低級アルキルアミン、もしくはトリ低級アルキルアミン、ヒドロキシ低級アルキルアミン、例えば、モノヒドロキシ低級アルキルアミン、ジヒドロキシ低級アルキルアミン、もしくトリヒドロキシ低級アルキルアミン、ヒドロキシ低級アルキル低級アルキルアミン、もしくはポリヒドロキシ低級アルキルアミンのような有機アミンとの塩が含まれる。環式アミンは、例えば、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、またはピロリジンである。適当なモノ低級アルキルアミンは、例えば、エチルアミンおよびtert-ブチルアミンであり;ジ低級アルキルアミンは、例えば、ジエチルアミンおよびジイソプロピルアミンであり;トリ低級アルキルアミンは、例えば、トリメチルアミンおよびトリエチルアミンである。適切なヒドロキシ低級アルキルアミンは、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンであり;ヒドロキシ低級アルキル低級アルキルアミンは、例えば、N,N-ジメチルアミノエタノールおよびN,N-ジエチルアミノエタノールであり;適当なポリヒドロキシ低級アルキルアミンは、例えば、グルコサミンである。
デフェリプロンを使用する方法
「処置すること」または「処置」または「処置する」または「改善する」または「軽減すること」または「軽減する」のような用語は、(1)診断された病理学的状態または障害を治癒させ、減速し、症候を寛和し、逆転させ、かつ/または進行を停止させる治療的な措置、および(2)標的とされた病理学的状態または障害の発症を防止し、かつ/または遅延させる予防的または防止的な措置の両方をさすことができる。したがって、処置を必要とする者には、障害を既に有する者;障害を有する傾向がある者;および障害が防止されるべき者が含まれる。有益なまたは所望の臨床的結果には、検出可能であっても検出不可能であってもよい、症候の軽減、疾患の程度の減弱、疾患の安定した(即ち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および緩解(部分的であっても完全であってもよい)が含まれるが、これらに限定されない。「処置」とは、処置を受けない場合に予想される生存と比較した生存の延長も意味し得る。処置を必要とする者には、状態もしくは障害を既に有する者が含まれ、状態もしくは障害を有する傾向がある者、または状態もしくは障害が防止されるべき者が含まれる。
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」とは、診断、予後予測、または治療が望まれる任意の対象、特に、哺乳動物対象を意味する。特定の態様において、患者はヒトである。特定の態様において、患者は、例えば、輸血処置による、全身性鉄過剰または輸血鉄過剰に関連した心臓状態に罹患していない。
「治療的に有効な用量または量」または「有効量」とは、投与された時に、処置すべき疾患を有する患者の処置に関して正の治療的応答をもたらすデフェリプロンの量をさす。
心筋虚血または急性冠動脈イベント
心筋虚血は、心筋の酸素の供給と需要との不均衡である。未処置のまま放置された場合、心筋虚血は、例えば、狭心症、心筋スタンニング、心筋冬眠、虚血プレコンディショニング、ポストコンディショニングをもたらす場合があり、または、最も重度の事例においては、急性冠動脈症候群および/または心筋梗塞をもたらし得る。
本明細書において使用されるように、急性冠動脈イベントには、例えば、急性冠動脈症候群(ACS)、例えば、急性心筋梗塞またはST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)が含まれ得る。
急性心筋梗塞は、心臓筋肉への血流が停止し、それによって、当該の冠動脈による供給領域において不可逆性の壊死がもたらされることによって起こる(5)。組織損傷の程度は、閉塞の期間に比例し、心筋傷害は、心内膜下から貫壁性への虚血細胞死のウェーブフロント現象に従う(6)。PCIによって処置されたSTEMI患者において、症候開始(胸痛等)と再灌流との間の時間の遷延(>4時間)は、損なわれたST部分消散、より大きい梗塞、およびより高い死亡率に関連している(7、8)。5000人を超えるSTEMI患者における最近の研究(9)に基づくと、症候から再灌流まで(symptom-to-reperfusion)の時間について、死亡率は、<3時間:3.7%;3〜5時間:4.2%;および>5時間:6.5%であり、病院到着から再灌流まで(door-to-reperfusion)の時間については、<60分:3.2%;60〜90分:4.0%;90〜120分:4.6%;>120分:5.3%であった。PCIの遅延を最小化するための戦略が、血管形成センターにとって重要である。
一つの態様において、本発明は、心筋虚血または急性冠動脈イベントを処置または改善するための方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法を提供する。
一つの態様において、本発明は、心筋虚血または急性冠動脈イベント、例えば、急性心筋梗塞またはST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)を処置または改善するための方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者が心筋虚血、急性冠動脈イベント、例えば、急性心筋梗塞を起こした後の期間にわたって該患者に投与する段階を含む方法を提供する。一つの態様において、患者は、心筋梗塞を経験したことがあり、かつ急性期に、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩による処置を受けていなかった。急性期後のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与は、心筋梗塞からの回復を増強し得る。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、急性冠動脈症候群またはイベントを呈し、かつ、例えば診療補助者によって、心筋梗塞を起こしたと推測される患者に投与される。特定の態様において、患者は、頸部および肩部の疼痛、胸痛、左腕痛、腹痛、悪心、嘔吐、疲労、ならびに息切れを含む、心筋梗塞の一つ以上の症候を示し得る。
別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、心臓カテーテル手技を実行したかまたはその結果を通知された救急医または医師によって、心筋梗塞を起こしたと診断された患者に投与される。
特定の態様において、心筋梗塞に起因する傷害を制限するために、診断後可能な限り早急に、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩によって患者を処置し、任意で、心筋梗塞を処置するのに有用であることが公知のその他の薬剤によって処置することが好ましい。特定の態様において、例えば、最短期間でデフェリプロンの治療的な血中レベルを提供することが望ましい状況において、かつ/または患者が嚥下し得ないかもしくは意識不明である時には、静脈内投与が好ましい。
いくつかの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者が心筋虚血または急性冠動脈イベントを起こしている第一の期間にわたって、および該患者が心筋虚血または急性冠動脈イベントを起こした後の第二の期間にわたって投与される。
さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、患者が心筋虚血または急性冠動脈イベントを起こしている第一の期間中、患者に静脈内投与される。別の態様において、静脈内投与用薬学的組成物において、デフェリプロンの治療的に有効な量は、1〜150mg/kg/日、または同等量のその薬学的に許容される塩である。一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、最長で3時間もしくはそれ以下;最長で2時間もしくはそれ以下;または最長で1時間もしくはそれ以下にわたって、静脈内投与され得る。別の態様において、持続的な静脈内投与は、少なくとも15分間、30分間、または45分間であり、かつ最長で1時間、2時間、または3時間である。別の態様において、投与は、投薬間隔を通して、50μM以上のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の血清濃度レベルを越えない。
別の態様において、急性期後の第二の期間中、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、心筋梗塞からの回復を増強するために、患者に経口投与される。経口投与用薬学的組成物において、治療的に有効な経口量は、1〜150mg/kgのデフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩である。投与の第二の期間は、少なくとも1週間、または少なくとも1ヶ月間、継続され得る。
再灌流
本明細書において使用されるように、「再灌流」とは、虚血組織または虚血器官、例えば、虚血心筋への血流の帰還または灌流をさす。心筋虚血または急性冠動脈イベントの後、虚血心筋への冠動脈灌流の早期の回復は、現在、梗塞サイズおよび心室性不整脈を制限し、それによって、心不全および死亡を防止するための最も有効な戦略である(2)。
特定の態様において、再灌流は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療によって達成される。患者が早期に処置される時に治療の利益が最大となることから、心電図(ECG)によってST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)を呈する患者のための北米の病院における標準的な実務は、PCIへ直接差し向けることである(3、4)。再灌流治療は、特に、より大きい梗塞の症例において、炎症および治癒の過程をさらに加速する。特定の態様において、本明細書に開示された方法の対象は、デフェリプロンの投与前、投与中、または投与後に、再灌流を促進するための治療、例えば、血栓溶解治療またはPCIによって処置される。
再灌流損傷(RI)は、虚血または酸素不足の期間の後、組織へ血液供給が戻る時に引き起こされる組織傷害である。虚血期間中の血液からの酸素および栄養素の欠如は、循環の回復により酸化ストレスの誘導を通して炎症および酸化的傷害が生じる条件を作り出す。再灌流は、心筋救済に関しては好都合であるが、初期イベントのものに匹敵する付加的な心臓傷害をもたらす場合がある(10)。RIは、内皮細胞傷害から発生する微小血管機能障害、スタンニング、再灌流性不整脈、およびさらなる筋細胞死をもたらす、先の虚血傷害の悪化または増大に関連付けられている。一つの態様において、本明細書に開示された方法は、対象における再灌流損傷を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。本発明の特定の態様において、再灌流損傷は、心筋再灌流損傷である。特定の態様において、損傷は、虚血損傷に加えて、以下の病理学的過程のうちの一つ以上も示す:心筋内出血、心臓性浮腫、不整脈、虚血傷害、アポトーシス、スタンニング、および付加的な不可逆性の損傷。
細胞内および間質の浮腫は、局所的な炎症反応から発生する急性心筋梗塞(AMI)におけるRIの一貫した特色である(11)。さらに、典型的には、虚血誘発性の微小血管閉塞(MVO)および損傷によって引き起こされ、有害な左室(LV)リモデリングおよび患者転帰不良と相関している「ノーリフロー」と呼ばれる現象が、しばしば見られる(12)。さらに、重度の初期虚血発作に関連した再灌流は、心筋内出血ももたらす場合があり(13)、それは、MVOと共同して、有害なリモデリングの独立予測因子となると考えられている(14)。一部の患者においては、血管不全が、心外膜血流の急激な減少、心筋梗塞における血栓溶解(TIMI)グレード0〜1、即ち、「ノーリフロー」または「スローリフロー」として、手技中に出現する。
心臓における虚血誘発性の微小血管閉塞(MVO)には、内皮細胞膨張が含まれ得、好中球、赤血球、および血小板と共に膨張する細胞による内皮膨隆が、毛細血管閉塞を引き起こし得る(例えば、Kloner et al., J Clin Invest 54:1496-1508(1974)を参照のこと)。MVOは、有害な心室リモデリングおよび患者予後に独立に関連している。わずかに異なる生物学的パラメーターおよび機能的パラメーターを測定する数種の技術(例えば、冠血管造影、心筋コントラスト心エコー法、心血管磁気共鳴画像法、および心電図検査)が、MVOを検出するため、臨床的かつ実験的に使用されている。Sebastiaan et al., J Am Coll Cardiol 55(16):1649-1660(2010)。
最近の研究において、Eitelらは、STEMIを有すると判定された患者346人のうちの35%が、MRIによって示される出血の指標を有していたことを示した(Circ. Cardiovasc. Imaging 4:354-362(2011))。
一つの態様において、本発明は、心筋内出血のもしくはそれに起因する傷害のリスクを有するか、心臓性浮腫のもしくはそれに起因する傷害のリスクを有するか、再灌流性不整脈のもしくはそれに起因する傷害のリスクを有するか、その他の心臓への虚血傷害のリスクを有するか、またはそれらの任意の組み合わせのリスクを有する患者の処置に関する。一つの態様において、リスクを有する患者は、急性心筋梗塞またはST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)を起こしたことがあり、かつ再灌流治療を受けたことがある。
別の態様において、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者は、以下のリスク指標のうちの1種または複数種を有すると診断または判定されている:(i)例えば、ECGによって決定された、ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI);(ii)心筋傷害についての1種または複数種のマーカーの増加、例えば、クレアチンキナーゼレベルおよび/または、例えば、トロポニン試験によって決定された、トロポニンレベル(例えば、心筋トロポニンIおよびT)の増加;(iii)例えば、x線によって決定された、微小血管閉塞および/またはノーリフローまたはスローリフロー(例えば、0または1のPCI前TIMIフロー値);ならびに(iv)例えば、インビボ画像法(例えば、MRIまたはCMR)によって決定された、心筋内出血の画像による証拠。例えば、Ganame et al., European Heart Journal 30:1440-1449(2009);およびMather et al., Heart 97:453-459(2011)を参照のこと。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者に投与される。別の態様において、本明細書に開示された方法は、患者、例えば、本明細書に開示された心筋内出血についての1種または複数種のリスク指標を有すると診断または判定された患者における、心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、(例えば、医療提供者によって、例えば、救急車内で、初期評価の時点で実施された)ECGによって決定された、ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)を有すると診断または判定された、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者に投与される。さらなる態様において、本明細書に開示された方法は、ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)を有すると診断または判定された患者における心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、(例えば、救急室において試験された)心筋傷害についてのマーカーの増加、例えば、壊死した心臓筋肉を示す心臓酵素レベル(例えば、クレアチンキナーゼ)ならびに/またはトロポニンレベル(例えば、心筋トロポニンIおよびT)の上昇を有すると診断または判定された、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者に投与される。さらなる態様において、本明細書に開示された方法は、心筋傷害についてのマーカーの増加を有すると診断または判定された患者における心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、(例えば、血行再建中に査定された)x線によって決定された、血行再建後のノーリフローもしくはスローリフロー(例えば、0または1のPCI前TIMIフロー値)および/または微小血管閉塞を有すると診断または判定された、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者に投与される。さらなる態様において、本明細書に開示された方法は、血行再建後のノーリフローもしくはスローリフローおよび/または微小血管閉塞を有すると診断または判定された患者における心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、例えば、(例えば、血行再建後に査定された)インビボ画像法、例えば、MRIまたはCMRによって決定された、心筋内出血の画像による証拠を有すると診断または判定された、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する患者に投与される。さらなる態様において、本明細書に開示された方法は、心筋内出血の画像による証拠を有すると診断または判定された患者における心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置するまたはそのリスクを低下させることに関する。
別の態様において、心筋浮腫のリスクまたは心筋浮腫に起因する傷害のリスクを有する患者は、以下のリスク指標のうちの1種または複数種を有すると診断または判定されている:(i)例えば、ECGによって決定された、ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI);(ii)心筋傷害についての1種または複数種のマーカーの増加、例えば、クレアチンキナーゼレベルおよび/または、例えば、トロポニン試験によって決定された、トロポニンレベル(例えば、心筋トロポニンIおよびT)の増加;(iii)例えば、x線によって決定された、微小血管閉塞および/またはノーリフローもしくはスローリフロー(例えば、0または1のPCI前TIMIフロー値);ならびに(iv)例えば、インビボ画像法(例えば、MRIまたはCMR)によって決定された、心筋浮腫の画像による証拠。
臨床的所見は、虚血の期間が>4時間の患者は、再梗塞、再血行再建、心不全、および死亡のような主要な有害心血管イベントを経験する有意に高いリスクを有することを示唆しており;死亡率は出血性梗塞で最も高いようである。別の態様において、リスクを有する患者は、心筋梗塞の症候(例えば、頸部および肩部の疼痛、胸痛、左腕痛、腹痛、悪心、嘔吐、疲労、ならびに息切れ)と、心筋梗塞のための処置の開始との間の長い期間(例えば、約4時間より長い期間)を経験している。特定の態様において、心筋内出血もしくはそれに起因する傷害、心臓性浮腫もしくはそれに起因する傷害、再灌流性不整脈もしくはそれに起因する傷害、心臓へのその他の虚血傷害、またはそれらの任意の組み合わせのリスクを有する患者が、虚血傷害の重症度または梗塞のサイズを決定するために評価される。一つの態様において、患者は、大きな梗塞サイズを有すると診断または判定され、したがって、MVOおよび/または出血、浮腫、もしくは不整脈のより大きなリスクを有すると判定されている。
AMI後の心筋出血の発生は、ヒト剖検および前臨床組織標本から長年公知であったが(24〜26)、この特色は、インビボ検出のための高感度の画像技術が欠如していたために、過去には無視されていた。インビボの出血の同定は、特に、ヒトにおいては、比較的新しい開発であり、さらに、臨床において呈されたその有害な結果のために、再灌流性出血への関心が復活している。出血感受性MRIシーケンス(T2、T2*)は、この点に関して特に役立ち(27〜29)、臨床的実務において出血の長期的な結果を研究することも可能にした。Matherら(30)による最近の研究は、再灌流性出血が、大きな梗塞サイズ、低下した救済、より大きなMVO、およびより低い駆出率に関連していることを証明し;それは、不整脈の増加したリスクを有し、MVOよりさらに大きな予測力を有する、有害なLVリモデリングの最も強力な独立予測因子でもあった。最近の研究は、MVOおよび出血の臨床的症状が、それぞれ50%および25%と高くなり得ることを示した(14、30、31)。臨床研究は、出血と転帰との関係を確立することができるが、AMIにおけるその局面の多くが、未だ理解されていない。
一つの態様において、本明細書に開示された方法によって処置される患者は、MVOを有するか、またはMVOのリスクを有する。別の態様において、本明細書に開示された方法によって処置される患者は、MVOおよび心筋出血を有するか、またはMVOのリスクおよび心筋出血のリスクを有する。
AMIにおける再灌流損傷の結果としての心筋内出血の症状は、ヒト(14、33)および動物モデル(25、26、34、35)の両方において立証されている。酸化ストレスのみならず、カルシウム過剰、pH変動、増加した炎症、およびミトコンドリア傷害も、細胞および血管の傷害をもたらす再灌流損傷の主な構成要素である。再灌流は、組織出血のための必要条件であるようであり、より長い初期虚血発作期間は、出血のより大きい程度に起因すると考えられている(25、26、36)。出血は壊死のエリア内に限局し、虚血区域内の傷害を受けた微小血管系からの血液の漏出によって引き起こされる可能性が最も高い。微小血管損傷は心筋細胞損傷の後に起こることが実験モデルにおいて証明されている(37)。さらに、出血は、MVOに関連していることが見出されている(32、38);しかしながら、二者の関係についての知識は欠如している。MVOが、血液漏出をもたらす内皮傷害を引き起こすのか、したがって、出血は単に重症度のマーカーであるのか、それとも出血が、MVOへ至るかもしくはMVOを悪化させる心筋膨張および血管の圧迫を引き起こすのかは、未知である。出血性梗塞を有する患者は、高いリスクを有し、長期転帰不良であるようである(14、47)。組織出血の変化する様相は、脳出血の症例において広範囲に研究されている(39)。出血は、組織において経時的に動的な転換過程を受ける:(1)超急性期(<24h)−細胞内オキシヘモグロビン(二価鉄);(2)急性期(<3日)−細胞内デオキシヘモグロビン(二価鉄);(3)亜急性期初期(>3日)−細胞内メトヘモグロビン(三価鉄);(4)亜急性期後期(>7日)−細胞外メトヘモグロビン(三価鉄);ならびに(5)慢性期(>14日)−細胞外フェリチンおよびヘモジデリン(三価鉄)。ヘモグロビンの分解生成物は、増加した脳浮腫、ニューロン傷害、および神経学的欠陥に関連付けられている(40、41)。
本発明の特定の態様において、再灌流損傷は、心筋再灌流損傷、例えば、虚血損傷に加えて、以下の病理学的過程のうちの一つ以上も示す心筋再灌流損傷である:心筋内出血、心臓性浮腫、不整脈、虚血傷害、アポトーシス、スタンニング、および付加的な不可逆性の損傷。
特定の態様において、心筋内出血もしくはそれに起因する傷害、心臓性浮腫もしくはそれに起因する傷害、不整脈もしくはそれに起因する傷害、または心臓への虚血傷害は、再灌流治療、例えば、血栓溶解治療またはPCIの結果である。
出血は、鉄毒性の起源であり、かつ炎症のメディエーターであって、AMIの状況における有害なLVリモデリングに直接寄与する;出血の役割を証明し、最終的に、治療的な意志決定を案内し、処置応答をモニタリングするためには、定量的MRIによる組織特徴決定を使用することができる。
急性心筋梗塞(AMI)後の左室(LV)リモデリングは、有意な罹患率に関連しており、最終的には、心血管機能障害、身体障害、および死亡へ至る。本発明者らは、心筋梗塞後の長期にわたる鉄キレート投与が、梗塞部周辺の炎症およびリモデリングを改善することを見出した。
本明細書に記述されるように、再灌流損傷、例えば、心筋出血および/または浮腫は、急性心筋梗塞の再灌流の後に高頻度に起こる。本発明の一つの態様において、梗塞のエリアには出血が存在する。梗塞のエリアにおける出血の存在は、より詳細に本明細書に記載されるような画像技術によって同定され得る。特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、心筋出血および/または浮腫を防止するまたは処置するために、再灌流治療前、再灌流治療中、または再灌流治療後に投与される。
特定の態様において、本発明は、心筋内出血、心臓性浮腫、再灌流性不整脈、および虚血傷害のリスクを低下させ;心筋虚血、急性冠動脈イベント、または再灌流損傷を処置するか、防止するか、または改善し;かつ血行再建および有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法を提供する。特定の態様において、患者の体重および特定の投与モードに依って変動する単一剤形を作製するために、デフェリプロンを薬学的担体と組み合わせることができる。組成物は、単回投与されてもよく、複数回投与されてもよく、または確立された期間にわたり、例えば、非経口注入によって、投与されてもよい。最適の所望の応答(例えば、治療的応答または予防的応答)を提供するために、投薬レジメンを調整することもできる。
本発明は、再灌流損傷を処置または制限し、かつ心筋虚血、急性冠動脈イベント、または外科的な血行再建手技もしくはカテーテルに基づく血行再建手技の後の有益な心臓組織リモデリングを促進する方法も提供する。特定の態様において、方法は、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者が血行再建手技を受ける前および/または受けている間の第一の期間にわたって、ならびに該患者が血行再建手技を受け終えた後の第二の期間にわたって、該患者に投与する段階を含む。一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、第一の期間中、患者に静脈内投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、第二の期間中、患者に経口投与される。
別の態様において、出血が、損傷を受けた心臓組織に存在する。梗塞のエリアにおける出血の存在は、本明細書中に別途より詳細に記載されるような画像技術によって同定され得る。
一つの態様において、心筋再灌流損傷のリスクまたは心筋梗塞処置に関連したその他の損傷のリスクを有する患者は、心筋梗塞のエピソードを以前に少なくとも1回起こしたことがある。別の態様において、心筋再灌流損傷のリスクまたは心筋梗塞処置に関連したその他の損傷のリスクを有する患者は、狭心症、労作時呼吸困難、うっ血性心不全、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール、高血圧を経験しているかもしくは経験したことがあるか、喫煙しているか、若い年齢における冠動脈性心疾患の家族歴を有するか、または糖尿病を有する。
一つの態様において、心臓組織は、手術、例えば、冠動脈バイパス移植、先天性心臓欠陥の修復、心臓弁の置換、または心臓移植によって損傷を受けている。
別の態様において、心臓組織損傷、例えば、虚血は、冠動脈形成術のような経皮的冠動脈インターベンションの後の再灌流の結果である。冠動脈形成術の一例は、例えば、部分的に閉塞した冠動脈を広げるために使用されるバルーン血管形成術である。別の態様において、心臓組織損傷、例えば、虚血は、部分的に閉塞した冠動脈へのステントの挿入の結果である。
別の態様において、心臓組織損傷、例えば、虚血は、心筋梗塞の結果である。この態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与は、血行再建および有益な心臓リモデリングを促進する。有害な心臓リモデリングは、心筋梗塞の後に起こり、拡張、肥大、およびコラーゲン瘢痕の形成を誘導する生化学的シグナリング変化のカスケードを含む。心室リモデリングは、膨張力がコラーゲン瘢痕の引っ張り強さと均衡するまで、数週間または数ヶ月間にわたり継続し得る。この均衡は、梗塞のサイズ、位置、および貫壁性、心筋ステントの程度、梗塞に関連した動脈の開存性、ならびに局所的なトロピック因子(tropic factors)によって決定される。
一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与は、有益な心臓リモデリングを促進する。デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与は、虚血誘発性の微小血管閉塞(MVO)の低下、出血副産物の中和、または浮腫の間接的な低下のうちの一つ以上によって、有益なリモデリングを促進する。一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経皮的冠動脈インターベンション前に投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経皮的冠動脈インターベンション前、経皮的冠動脈インターベンション中、および経皮的冠動脈インターベンション後に投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経皮的冠動脈インターベンション後に投与される。血管形成手技前、血管形成手技中、および/または血管形成手技後のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与が、心筋組織傷害の程度を改善すること、ならびに心筋組織が、有益なリモデリングを示し、したがって、より迅速に回復することが予想される。
特定の態様において、経皮的冠動脈インターベンション前または経皮的冠動脈インターベンション中に投与される時、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、静脈内手段によって投与され得る。特定の態様において、経皮的冠動脈インターベンション前または経皮的冠動脈インターベンション後に投与される時、デフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩は、経口投与され得る。
デフェリプロンおよびその薬学的組成物の投与
特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、毎日、例えば、1日1〜6回投与される。一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、最長で3時間もしくはそれ以下;最長で2時間もしくはそれ以下;または最長で1時間もしくはそれ以下にわたって、静脈内投与され得る。特定の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与されるか、または静脈内投与される。一つの態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与用薬学的組成物の一部として経口投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、静脈内投与用薬学的組成物の一部として静脈内投与される。
特定の態様において、経口投与される時、治療的に有効な量は、例えば最大で50mg/kg/日、100mg/kg/日、または150mg/kg/日までの、1日1回または複数回の経口投与における、1〜150mg/kg、例えば、10〜150mg/kg、1〜120mg/kg、1〜50mg/kg、20〜100mg/kg、10〜50mg/kg、もしくは50〜100mg/kgのデフェリプロン、または同等量のその薬学的に許容される塩であり得る。別の態様において、経口投与用薬学的組成物は、1〜50mg/kgのデフェリプロン、例えば、1〜5mg/kg、5〜10mg/kg、10〜15mg/kg、15〜20mg/kg、20〜25mg/kg、25〜30mg/kg、30〜35mg/kg、35〜40mg/kg、40〜45mg/kg、もしくは45〜50mg/kgのデフェリプロン、または同等量のその薬学的に許容される塩の用量で投与される。さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の経口用量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、または50mg/kgである。さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、錠剤、例えば、少なくとも50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、または1000mgのデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を含む錠剤として投与される。さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、液状組成物、例えば、少なくとも1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml、50mg/ml、または100mg/mlのデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を含む液状組成物として投与される。
一つの態様において、経口投与用薬学的組成物は、即時放出型、徐放型、または放出制御型の薬学的組成物である。
別の態様において、デフェリプロンの治療的に有効な量は、最大で例えば50mg/kg/日、100mg/kg/日、または150mg/kg/日までの、1日1回または複数回の経口投与における、静脈内投与用薬学的組成物中の1〜150mg/kg、例えば、10〜150mg/kg、1〜120mg/kg、1〜50mg/kg、20〜100mg/kg、10〜50mg/kg、もしくは50〜100mg/kgのデフェリプロン、または同等量のその薬学的に許容される塩であり得る。別の態様において、静脈内投与用薬学的組成物は、1〜50mg/kgのデフェリプロン、例えば、1〜5mg/kg、5〜10mg/kg、10〜15mg/kg、15〜20mg/kg、20〜25mg/kg、25〜30mg/kg、30〜35mg/kg、35〜40mg/kg、40〜45mg/kg、もしくは45〜50mg/kgのデフェリプロン、または同等量のその薬学的に許容される塩の用量で投与される。さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の具体的な静脈内用量は、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、または50mg/kgである。さらなる態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、非経口投与用組成物、例えば、少なくとも1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml、50mg/ml、または100mg/mlのデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を含む非経口投与用組成物として投与される。
デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、その意図された目的を達成するために、任意の様式で投与される。一つの態様において、それは静脈内投与されるか、または経口投与される。別の態様において、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与される。一つの態様において、剤形は、周知の方法に従って作製された徐放型製剤である。即時放出型製剤は、十分な血中レベルを提供するが、徐放型製剤は、より少ない変動で、経口即時放出用量のものを超える期間にわたり、治療的に有用なレベルを維持する。公開された米国特許出願公開第2006/0122273号に開示されたような、例示的な徐放型製剤を下記チャートAに示す。
Figure 2014533697
一つの態様において、デフェリプロンは、心筋虚血、急性冠動脈イベント、例えば、心筋梗塞、または再灌流損傷、心筋内出血もしくはそれに起因する傷害、心臓性浮腫もしくはそれに起因する傷害、不整脈もしくはそれに起因する傷害、または心臓へのその他の虚血傷害の処置のために、単独治療として投与される。別の態様において、デフェリプロンは、1種または複数種の第二の薬剤と同時投与される。他の薬剤は、抗凝固薬、抗血小板剤、抗トロンビン、スタチン、ACE阻害剤、βブロッカー、ヘパリン、アスピリン、IIb/IIa受容体のブロッカー、ヒルジン、血小板由来増殖因子アンタゴニスト、クマリン、ビスヒドロキシクマリン、ワルファリン、クエン酸デキストロース、レピルジン、チクロピジン、クロピドグレル、チロフィバン、アルガトロバン、エプチフィバチド、およびカルシトリオールからなる群より選択され得る。一つの態様において、デフェリプロンは、抗血小板治療、例えば、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チクロピジン、シロスタゾール、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ジピリダモール、テルトロバン、エポプロステノール、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲンアクチベーター、およびそれらの組み合わせとの併用治療として投与される。
本発明に係る補助治療として有用な付加的な治療剤には、低分子、合成薬物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、三重らせん、および生物学的活性を有するタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むが、これらに限定されない、DNAポリヌクレオチドおよびRNAポリヌクレオチド)、抗体、合成または天然の無機分子、模倣剤、ならびに合成または天然の有機分子が含まれるが、これらに限定されない。心筋梗塞もしくは冠動脈の再灌流損傷の防止、処置、もしくは改善、ならびに/または血行再建および/もしくは有益な心臓組織リモデリングの促進のために有用であることが公知であるか、または使用されたことがあるか、または現在使用されている任意の薬剤を、本明細書に記載された本発明に従って、デフェリプロンと組み合わせて使用することができる。
特定の態様において、デフェリプロンは、1種または複数種の第二の薬剤と同時投与される。デフェリプロンおよび1種または複数種の第二の薬剤は、組み合わせ調製物、別々の調製物、または連続的調製物で投与され得る。一つの態様において、デフェリプロンは、第二の薬剤と同時に投与される。別の態様において、デフェリプロンは、第二の薬剤と異なる時点で投与される。
一つの態様において、デフェリプロンは、第二の薬剤と共に、単一の単位薬学的組成物の一部として投与される。別の態様において、デフェリプロンは、第二の薬剤と共に、別々の薬学的組成物の一部として投与される。
別の態様において、1種または複数種の第二の薬剤は、単独で、またはデフェリプロンもしくはその薬学的に許容される塩を含む製剤と共に、徐放型製剤の形態であってもよい。
液状希釈剤が組み込まれた組成物を、経口投与のために使用してもよいが、一つの態様において、固形担体、例えば、安定しており分解しない適当な経口剤形を提供する、デンプン、乳糖、デキストラン、またはステアリン酸マグネシウムのような従来の固形担体材料が、使用される。経口投与用製剤は、例えば、液状製剤、錠剤、カプセル、粉末の形態をとり得る。
液状製剤は、当技術分野において周知の方法に従って調製され得、デフェリプロンおよび矯味組成物を含む組成物を開示した公開された米国特許出願公開第2011/0039897号に開示されたものを含む。例示的な100mg/ml製剤を、下記チャートBに示す。
Figure 2014533697
別の態様において、1種または複数種の第二の薬剤は、単独で、またはデフェリプロンもしくはその薬学的に許容される塩と共に、液状製剤の形態であってもよい。
画像法
磁気共鳴画像法(MRI)は、心筋の生存および機能を非侵襲的に査定し、AMI後の浮腫および出血のような過程を検出し、それによって、患者におけるリスク層別化を可能にするための重要な臨床的ツールになっている。
MRIは、AMI後の心筋の生存および機能の非侵襲的な査定において臨床的に重要となっている(64)。遅延高造影(DHE)MRIによる梗塞のサイズおよび程度の定量化は、LVリモデリング、長期にわたる改善、再発性梗塞、および心不全の予測因子であることが見出された(65)。MRIによって検出されるMVOの存在が、AMI後の機能回復不良の独立予測因子であり、その欠如が無再発生存を示すことも証明されている(66、67)。Bodiら(68)による最近の研究は、包括的なMRI査定が、予後予測上の価値を示し、AMIを有する患者における、ルーチンの臨床マーカーよりも優れたリスク層別化を実施することができることを証明した。MRIは、ヒトおよび動物モデルの両方において、上昇したT2強調信号を使用して、AMIにおける浮腫を同定するためにも成功裡に利用されており(69〜72);増加した信号強度のエリアは、リスクエリア(AAR)にも相関していた。T2およびT2*緩和時間の短縮が、AMIにおける出血を同定するために利用されており(28、29、73);別の報告は、T2およびT2*と心筋鉄貯蔵との関係もバリデートした(74)。T1定量化は、出血性梗塞におけるメトヘモグロビン形成を査定するために最近利用された(28)。さらに、再灌流された梗塞部は、再灌流されていない梗塞部と比較して、より大きな浮腫をもたらす。MRIパラメーターは、組織水含量と相関することが示された。これは、再灌流後のより大きな炎症性応答に起因すると考えることができる。
本発明は、梗塞の場所に出血が存在するか否かを判定する段階を含む、心筋梗塞を処置するためのデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を用いる処置のための患者を選択する方法も提供する。一つの態様において、判定はインビボ画像法によって行われる。別の態様において、インビボ画像法は磁気共鳴画像法によるものである。出血の存在について冠動脈を画像化する方法は、当技術分野において周知である。例えば、Kim, W. Y et al., N. Encl. J. Med.354:1863-1869(2001);Ganame et al., European Heart Journal 30:1440-1449(2009);およびMather et al., Heart 97:453-459(2011)を参照のこと。
本発明は、(a)梗塞の場所に出血が存在するか否かを判定する段階、および(b)梗塞の場所に出血が存在すると判定された場合に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を該患者に投与する段階を含む、患者における心筋梗塞を処置または改善する方法も提供する。一つの態様において、判定はインビボ画像法によって行われる。別の態様において、インビボ画像法は磁気共鳴画像法によるものである。出血の存在について冠動脈を画像化する方法は、当技術分野において周知である。
参照による組み入れ
特許、特許出願、論文、教科書等を含む、本明細書中に引用された参照、およびそれらに引用された参照は、全て、まだ本明細書に組み入れられていない場合、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
実施例1:心筋梗塞のブタモデルにおいて有益なリモデリングを達成するためのデフェリプロンの使用
梗塞後リモデリングは、様々な病態生理学的変化が同時に起こる複雑な過程であり(19)、インビボでのそれらの相互依存は完全には理解されていない。心筋梗塞のブタモデルにおいて、(1)浮腫(T2);(2)出血(T2*);(3)心機能;(4)梗塞/MVOサイズ、および(5)血管拡張機能の進展を査定するために、初期研究を実施した。左前下行枝(LAD)を90分間閉塞させ、その後、再灌流した;このモデルは、MVOを特徴とする前壁中隔貫壁性梗塞を一貫してもたらした。浮腫、出血、および梗塞/MVOの進行のパターンは、代表的な動物について示された、T2マップ、T2*マップ、および造影(CE)画像において明白であった(図1)。梗塞後LVリモデリングを、定量的MRIパラメーターの累積的な時間経過を観察することによってモニタリングした(図2)。組織診との比較は、MRIマーカーとの強い相関性を明らかにした(図3)。薬理学的な血管拡張剤を使用して、T2に基づく血中酸素レベル依存性(BOLD)画像法によって、血管拡張機能(または灌流予備能)を評価した(図4)。梗塞ゾーンは、傷害を受けたかまたは妨害された微小血管系を反映する、ストレス応答の低下または消失を示した;部分応答は救出可能な心筋を示していた可能性がある。遠隔心筋(非梗塞、梗塞から遠隔)は、1〜2週目の間に損なわれた血管拡張機能を示したが、それは、Urenら(75)によって見られたものに類似して、その後回復した。遠隔血管拡張機能がAMIの慢性期に対照レベルへ復帰し得なかったことは、その後の有害なLVリモデリングの予測因子として役立った可能性がある。当研究は、長期的に取得されたマルチパラメトリック(multi-parametric)MRIデータを、AMI後のインビボの心筋組織の状態を査定するために利用し得ることを証明した;定量的アプローチは、連続的評価、領域別評価、対象間評価を可能にした。重要なことには、MRIパラメーターの進展は、ヒトにおいて見られたパターン(24)に類似した組織学的特色とよく相関し;このことは、大型動物モデル、例えば、ブタの、臨床への変換のための使用を正当化した。この研究に基づく2本の論文が、MRMにおいて発表された(32、76)。
臨床的に見られる梗塞の型および程度(貫壁性、出血性、不均一性、MVOを伴う)は、初期虚血発作の重症度(77)または再灌流までの時間によって主として決定される。虚血の異なる期間についてのAMI後のリモデリング機序の進展の理解は、長期機能回復を予測するために重要である。本実施例においては、異なるLAD閉塞期間(90分(N=4)および45分(N=3))へ供され、その後、再灌流されたブタの二つの群を研究した。二つの群は別個の損傷パターンを示した:90分閉塞後の梗塞は、貫壁性であり、出血性であり、MVOを伴っていたが、45分閉塞後のものは、小さく、非出血性であり、不均一であった(図5および6)。MRIパラメーターは、より軽度の梗塞における、浮腫(炎症)のより迅速な消散、および血管拡張機能のより早期の回復を明らかにした(図7)。90分群における6週目の、低下したEFおよび上昇したEDVは、重度の有害なリモデリングを示唆した(図8)。したがって、研究は、MRI評価が、初期虚血発作の重症度に基づく連続的な組織損傷パターンを識別し得ることを証明した。これは、虚血損傷を軽減し、MVOおよび/または出血を防止するために標的とされる、臨床的な状況における新規治療の最適のタイミングおよび期間の決定を可能にする可能性がある。
包括的な連続MRI検査を、AMI後の患者において実施した(79)。梗塞のパターンは、不均一なものから、局所的なもの、MVOを伴う貫壁性のものまで、患者によって可変であった(図9);より大きい貫壁性梗塞は、T2*画像によって描出されるような心筋出血を時に発症した。定量的なT2マップおよびT2*マップを、浮腫および出血の領域別および長期的変化を可視化するために使用した(図10)。最初の数週間以内に、梗塞ゾーンにおいてT2が上昇し、浮腫が示されたが、それは6ヶ月目の追跡スキャンまでに消散し、出血は、2〜4週目に消散した(図11、上パネル)。図11のプロット(下パネル)は、定量的T2が、出血を伴う心筋損傷と出血を伴わない心筋損傷との別個のパターンを検出し得ることを証明している。出血群における遠隔ゾーンリモデリングは、より有害なリモデリングを示している可能性がある。
本実施例においては、AMI後の有害なLVリモデリングの発症における出血単独の寄与を評価するために、ブタ心臓において、コラゲナーゼの直接冠内注射によって、人為的に誘導された出血を達成した。コラゲナーゼは、血管の透過性を増加させ、血管外空間への血液の溢流をもたらすことが見出されているタンパク質分解酵素である(81)。21匹のヨークシャーブタ(19〜31kg)を研究に含め、LAD中央部の第二対角枝の後ろまで進めたオーバーザワイヤー型血管形成術用バルーンカテーテルを使用して、7〜9mlのコラゲナーゼ含有リン酸緩衝溶液を注射した;バルーン拡張を8分間維持した(虚血)。6種の用量(250mcg、600mcg、800mcg、1200mcg、1600mcg、および3200mcg)のコラゲナーゼを、等分された群において投与した;コラゲナーゼ注入に起因する死亡率は存在しなかった。動物を24時間目に屠殺し、心臓を組織学的分析のために外植した。心外膜および心筋内の出血は、用量依存的に観察され、600mcgまでは出血が存在しないかまたは軽度で局所的であり、800〜1600mcgでは軽度〜中程度であり、3200mcgでは重度であった(図12)。このモデルを確立した後、本質的に非出血性である45分LAD閉塞へ供された1匹の動物において、出血を人為的に誘導するために、予備研究を開始した。バルーン収縮直後、即ち、再灌流中に、1000mcgの中間用量でコラゲナーゼを注入した。AMI後2日目のMRI検査は、出血を示すT2*強調画像上のシグナルボイドを明らかにした。さらに、驚くべき興味深い所見は、DHE画像上のMVOの存在であった(図13)。これは、研究された未処置の45分梗塞とは異なっていた。現在、出血とMVOとの間の因果関係は未知である。間質に漏出した血液が、初期虚血発作のために既に脆弱であった微小血管系を圧迫した可能性がある;換言すると、出血がMVOを作り出した可能性がある。
遊離鉄は本来有毒であることから、過剰の組織鉄蓄積は致死であり得る。鉄キレート処理が急性冠動脈症候群において有益であり得、早期処置が虚血再灌流損傷を制限し、梗塞サイズも低下させ得ることが推測された(83、84)。しかしながら、出血性梗塞における鉄キレート処理の役割は、未だ探求されていない。本実施例においては、鉄キレート剤デフェリプロン(DFP)の心保護特性を、心筋梗塞のブタモデルにおいて探求した。デフェリプロンは、極めて小さな分子であり、親水性かつ親油性であり、高度に膜透過性であり;ミトコンドリアに容易に侵入することができ、細胞内の不安定鉄に到達することができるという数種の利点を示した。予備研究において、90分LAD閉塞の数時間前に、DFPをブタ(N=2)へ(経口)投与し(前負荷)、100mg/kgの1日用量で処置を継続した(85)。次いで、2日目から4週目まで、包括的なMRI検査によって、動物をモニタリングした。研究の最重要点は以下の通りであった:(1)(T2*画像からは)出血は、2日目にしか観察されず、1週目までに完全に消散した。これは、出血の消散が4週目まで遅れた未処置群(図2)とは対照的であった;(2)炎症または浮腫は、T2値が対照レベルに接近した4週目までに実質的に低下した。未処置群においては、浮腫が6週目まで持続した;(3)血管拡張機能障害は、2日目にしか観察されず、それ以降回復したが、未処置群は、2週目まで機能障害を示した;(4)EFは、おそらくは初期発作の重症度のために、4週目までに徐々に低下した;(5)心室容積は、未処置群とは異なり、比較的不変であり、前負荷ストレスがほとんどまたは全く存在しなかったことが示唆された。図14は代表的な画像を示し、図15はMRI測定の累積的な時間経過を示す。4週間の観察を通じて、動物においてDFPの副作用は観察されなかった。図1と比較して、図14に示される結果は、DFPの中和能を示す。これらの所見は、DFPがMVOにも関わらず梗塞ゾーンに透過することができ、有益なリモデリング過程を表す、出血副産物の中和および浮腫の低下においても有効であったことを示唆した。
実施例2:心筋梗塞のブタモデルにおけるデフェロキサミン、デフェラシロクス、およびデフェリプロンの比較
遊離鉄は本来有毒であることから、過剰の組織鉄沈着/蓄積は致死であり得る。鉄キレート剤は、鉄過剰症候群を有する患者にとっては命綱であることが示され、その利点は臨床環境および前臨床環境の両方においてよく証明されている(86、87)。これは、鉄過剰を有しておらず、心筋虚血および/または心筋梗塞を発症する対象において見られるのとは明確に異なる状況を示している。前者は、急性MIを有する患者に存在するものより数倍高い、極めて高レベルの心臓鉄への数年にわたる曝露を表すことから、鉄曝露の時間および不安定鉄の濃度の両方が何桁も異なるので、鉄過剰を有する患者からの所見を、他へ外挿することは無効である。さらに、鉄過剰におけるキレート剤の使用は、本願の場合のように、急性イベントのためではなく、鉄過剰の結果の長期的な防止のためである。したがって、鉄キレート処理が急性冠動脈症候群において有益であり得、早期治療が虚血再灌流損傷を制限し、梗塞サイズも低下させ得ることも推測されたが(88、89)、そのような推測を支持するデータは存在しない。これらの文書において期待された利益は、再灌流損傷に基づく。しかしながら、上述のように、これらの事情における過剰鉄の大きさは、輸血鉄過剰において見られるレベルに全く近似しておらず、再灌流損傷に起因するROS媒介活性の鉄キレート処理は、心筋組織への他の変化の非存在下で、MIによって誘導された病理の意味のある修復を達成するのに不十分であるというのが、本発明者らの見解である。例えば、鉄キレート剤デフェロキサミン(DFO)による処置は、活性酸素種(ROS)(F2-イソプロスタン)を低下させることが示されたが、心筋梗塞を有する患者における梗塞サイズ、クレアチニンキナーゼ、またはトロポニン1に対して有意な効果をもたらさないことが示された(Chan et al., Circ. Cardiovasc Interv.5:270-278(2012))。本発明者らは、鉄キレート剤、具体的には、デフェリプロンが、好都合な効果を有し得るか否か、そしてもし有するのであれば、それらの有益な変化を説明するどのような変化が心筋において明白であるかを確立するための研究を実施した。実施例1において明らかにされたように、デフェリプロンは強力な効果を有した。この効果は、再灌流損傷に続くROSによって媒介される毒性の単純な防止を越えて、新血管新生およびリモデリングに起因すると考えられた。
次の段階は、これが、現在入手可能な全ての鉄キレート剤から予想される利益であるのか、それともデフェリプロンからのみであるのかを定義することである。したがって、心筋梗塞のブタモデルにおける3種全ての鉄キレート剤の研究が、心保護特性を比較する能力を提供する。
この研究においては、心筋梗塞のブタモデルを使用する。研究は、雌ヨークシャーブタ(20〜25kg、University of Guelph, Guelph, Ontario, Canada)を利用し、手技は、Animal Care Committee of Sunnybrook Heath Sciences Centreによって承認されたプロトコルに従って実施される。アトロピン(0.05mg/kg)およびケタミン(30mg/kg)を含む麻酔カクテルによって動物を鎮静させる。次いで、動物に挿管し、麻酔を維持するためイソフルラン(1〜5%)を吸入させながら、人工呼吸器によって呼吸を調節する(20〜25呼吸/分)。経皮的バルーン拡張カテーテル(Sprinter Legend Balloon Catheter, Medtronic, Minneapolis, MN)の拡張を介して、90分間、左前下行枝(LAD)の第二対角枝の遠隔における完全冠動脈閉塞によって心筋梗塞を達成し、その後、再灌流を行う。バルーンを除去し、動脈を通る血流の回復を確認する。ヨウ素化造影剤分布のX線透視(OEC 9800, GE Healthcare, Milwaukee, WI)を、バルーン設置/拡張を案内し、冠血流量パターンを記録するために利用する。維持液の投与のために、耳静脈を介して、静脈内(IV)ラインを作成する。全ての動物を、インターベンション手技の後、MRIスキャニングのために回復させる。
用量レジメンが、ヒトにおいて安全であり、かつデータの意味のある利用を可能にするために有効な用量に関連したものである、広く認められている3種のキレート剤(キレート処理群)を研究において使用する:(1)デフェロキサミン(DFO)は10〜60mg/kg/日の用量で週5日注射され;(2)デフェラシロクス(DFX)は1日20〜40mg/kgの用量を有する経口キレート剤であり;(3)デフェリプロン(DFP)は1日50〜100mg/kgの用量を有する経口キレート剤である。
各キレート処理群において、動物を上記の手技による心筋梗塞へ供する。動物を、梗塞手技の数時間前に開始する鉄キレート処理に供し(前負荷)、再灌流の時点で、閉塞した冠動脈へ直接注入し、毎日処置を継続した後、屠殺する。心機能と共に、浮腫、出血、血管拡張機能、梗塞、および微小血管閉塞サイズを追跡するために、包括的なMRI検査によって、梗塞治癒の間中(2日目〜4週目)動物をモニタリングする;これらの定量的マーカーを、心筋梗塞後の組織リモデリングに対する鉄キレート処理の効果を評価するために使用する。心筋梗塞のブタモデルにおける有害なリモデリング機序をモニタリングするための定量的MRIの価値は、以前に証明されている(99)。基礎となる病態生理学的過程に関する基礎事実を入手する目的で、染色された組織切片における組織学的分析のために、1週目または4週目のいずれかに動物を屠殺する。さらに、酸化状態および炎症応答を評価するために、梗塞後の様々な時点で、血液試料を採取する。DFOおよびDFXの効果と比較して、好都合なリモデリングを含む、回復に関するデフェリプロンの有効で有益な効果に関する成果を決定する。
実施例3:出血性心筋梗塞におけるデフェリプロンの効果
心筋梗塞のブタモデルにおいて組織における出血副産物に対するデフェリプロン(DFP)の効果を調査し、心血管磁気共鳴(CMR)によってリモデリングをモニタリングするために、定量的研究を行った。
研究は、左前下行枝(LAD)の90分バルーン閉塞へ供され、その後、再灌流された、動物の二つの群(未処置(N=2)およびDFP処置(N=2))を含んでいた。手技の数時間(約1〜2時間)前にDFPを(経口)投与し(前負荷)、100mg/kgの1日用量で処置を継続した。AMI前(健康)、AMI後2日目、1週目、2週目、および4週目に、3T MRIスキャナ(MR 750、GE Healthcare)で画像法を実施した。T2プリパレーション(prepared)スパイラルシーケンスを使用したT2定量化によって浮腫を評価し、多重エコーグラジェントエコー取得を使用したT2*によって出血を同定した。IR-GREシーケンスを使用した遅延高造影(DHE)によって、梗塞査定を実施した。
図16は、二つの群からの代表的な画像を示し、図17は、CMR測定の累積的な時間経過を示す。
DFPによって処置された群において、(T2*画像によって示される)出血は、2日目にしか観察されず、1週目までに完全に消散した。未処置群においては、出血の消散は4週目まで遅れた。両方の群において、微小血管閉塞(MVO)は、2日目に見られ、1週目までに部分的に消散した。
DFP処置によって、炎症および浮腫は、T2値が対照レベルに接近した4週目までに実質的に低下した。未処置群においては、浮腫が4週目まで持続した。駆出率(EF)は両方の群において4週目までに低下した。しかしながら、拡張終期容積および収縮終期容積は、DFPに処置された群においては比較的不変であり、未処置群においては有意に増加した。
DFPは梗塞ゾーンに透過することができ、出血副産物の中和においても有効であった。出血の除去は、有益なリモデリング過程を表す、浮腫のより迅速な消散および正常心室容積をもたらした。
本明細書に引用された特許、特許出願、および刊行物は、全て、参照によって完全に本明細書に組み入れられる。
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Claims (57)

  1. 心筋虚血または急性冠動脈イベントを処置または改善するための方法であって、それを必要とする患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法。
  2. 心筋内出血またはそれに起因する傷害を処置または改善するための方法であって、それを必要とする、心筋虚血または急性冠動脈イベントに対する処置を受けている患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法。
  3. 心臓性浮腫を処置または改善するための方法であって、それを必要とする、心筋虚血または急性冠動脈イベントに対する処置を受けている患者に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む方法。
  4. 心筋虚血または急性冠動脈イベントが、急性心筋梗塞またはST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 患者が再灌流治療をさらに受ける、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、患者が再灌流治療を受ける前、受けている間、または受けた後の時点で投与される、請求項5に記載の方法。
  7. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、患者が再灌流治療を受けた後に投与される、請求項6に記載の方法。
  8. 心筋損傷を処置または改善するための方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、再灌流治療中または再灌流治療後に患者に投与する段階を含む方法。
  9. 患者が、心筋内出血、心臓性浮腫、再灌流性不整脈、虚血傷害、有害な心臓組織リモデリング、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される心筋損傷のリスクを有する、請求項8に記載の方法。
  10. 再灌流治療が、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療である、請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. PCIが、冠動脈形成術またはステント挿入である、請求項10に記載の方法。
  12. 血栓溶解治療が、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rtPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される血栓溶解剤の投与を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 患者が、虚血誘発性の微小血管閉塞をさらに有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 心筋再灌流損傷のリスクを低下させる方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、心筋再灌流損傷のリスクを有する患者に投与する段階を含む方法。
  15. 心筋内出血もしくはそれに起因する傷害、心臓性浮腫、または再灌流性不整脈のリスクを低下させるための方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、心筋梗塞を起こした後の心筋内出血、心臓性浮腫、または再灌流性不整脈のリスクを有する患者に投与する段階を含む方法。
  16. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療と組み合わせて投与される、請求項14または15に記載の方法。
  17. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前、PCI中、もしくはPCI後に投与されるか、または血栓溶解治療前、血栓溶解治療中、もしくは血栓溶解治療後に投与される、請求項16に記載の方法。
  18. PCIが、冠動脈形成術またはステント挿入である、請求項16または17に記載の方法。
  19. 血栓溶解治療が、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rtPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される血栓溶解剤の投与を含む、請求項16または17に記載の方法。
  20. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物の一部として投与される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 薬学的組成物が、即時放出型、徐放型、または放出制御型の薬学的組成物である、請求項20に記載の方法。
  22. 患者が、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、心筋梗塞のエピソードを少なくとも1回起こしたことがある、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、心筋梗塞の最初のエピソードの後、約12時間未満に投与される、請求項22に記載の方法。
  24. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、心筋梗塞の最初のエピソードの後、約4時間未満に投与される、請求項22に記載の方法。
  25. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、心筋梗塞の最初のエピソードの後、約2時間未満に投与される、請求項22に記載の方法。
  26. 患者が、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、狭心症、労作時呼吸困難、またはうっ血性心不全を経験している、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、患者が心筋梗塞を起こしている第一の期間にわたって、および該患者が心筋梗塞を起こした後の第二の期間にわたって、該患者に投与される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 患者における有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、患者における心筋虚血または急性冠動脈イベントの後の再灌流治療前、再灌流治療中、または再灌流治療後に該患者に投与する段階を含む方法。
  29. 外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技の後の有益な心臓組織リモデリングを促進する方法であって、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を、外科的な血行再建手技またはカテーテルに基づく血行再建手技を受ける患者に投与する段階を含む方法。
  30. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、血行再建手技前および/または血行再建手技中の第一の期間にわたって、ならびに患者が血行再建手技を受け終えた後の第二の期間にわたって、該患者に投与される、請求項29に記載の方法。
  31. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、第一の期間中、患者に静脈内投与される、請求項27、29、または30に記載の方法。
  32. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、第二の期間にわたって、患者に経口投与される、請求項27および29〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 第二の期間が少なくとも1週間である、請求項27および29〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 第二の期間が1週間〜6ヶ月間である、請求項27および29〜32のいずれか一項に記載の方法。
  35. 心臓組織が手術によって損傷を受ける、請求項28〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 手術が、冠動脈バイパス移植、先天性心臓欠陥の修復、心臓弁の置換、または心臓移植である、請求項35に記載の方法。
  37. 損傷を受けた心臓組織に出血が存在する、請求項35または36に記載の方法。
  38. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、患者に経口投与または静脈内投与される、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩が、1日1〜6回投与される、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 治療的に有効な量が、最大で150mg/kg/日までの、1日1回または複数回経口投与される1〜50mg/kgのデフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 治療的に有効な量が、最大で150mg/kg/日までの、1日1回または複数回静脈内投与される静脈内投与用薬学的組成物中の1〜50mg/kg/日のデフェリプロンまたは同等量のその薬学的に許容される塩である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
  42. 第二のキレート剤を患者に投与する段階をさらに含む、請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 第二のキレート剤が、デフェロキサミン、デフェラシロクス、デスフェリチオシン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項42に記載の方法。
  44. 抗血小板治療を施す段階をさらに含む、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 抗血小板治療が、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロル、チコピジン(ticopidine)、シロスタゾール、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ジピイダモール(dipyidamole)、テルトロバン(terutroban)、エポプロステノール、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲンアクチベーター、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 心筋梗塞後の患者に心筋出血が存在するか否かを判定する段階を含む、デフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を用いる心筋出血の処置のための患者を選択する方法。
  47. (a)心筋梗塞後の患者に心筋出血が存在するか否かを判定する段階、および(b)梗塞の場所に出血が存在すると判定された場合に、治療的に有効な量のデフェリプロンまたはその薬学的に許容される塩を該患者に投与する段階を含む、患者における心筋出血を処置または改善するための方法。
  48. 患者が、心筋内出血のリスクまたは心筋内出血に起因する傷害のリスクを有する、請求項15に記載の方法。
  49. 患者が、心筋内出血についての1種または複数種のリスク指標を示す、請求項48に記載の方法。
  50. 1種または複数種のリスク指標が、(i)ST部分上昇型心筋梗塞(STEMI)の診断、(ii)心筋傷害についてのマーカーの増加、(iii)心筋内出血のインビボ画像法による証拠、(iv)0または1のPCI前TIMIフロー値、(v)それらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 判定がインビボ画像法によって行われる、請求項46または47に記載の方法。
  52. インビボ画像法が磁気共鳴画像法によるものである、請求項50または51に記載の方法。
  53. 心筋傷害についてのマーカーが、トロポニンまたはクレアチンキナーゼである、請求項50に記載の方法。
  54. STEMIの診断が、心電図(ECG)によって決定される、請求項50に記載の方法。
  55. 患者が再灌流治療をさらに受ける、請求項48〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 再灌流治療が、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または血栓溶解治療である、請求項55に記載の方法。
  57. 患者がヒトである、請求項1〜56のいずれか一項に記載の方法。
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