JP2008506503A - 薬物送達用グラフトコポリマー末端ブロックを有するコポリマーを含む医療器具 - Google Patents

薬物送達用グラフトコポリマー末端ブロックを有するコポリマーを含む医療器具 Download PDF

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Abstract

本発明は、放出領域と、放出領域内又はその下に配置される治療用作用物質とを含む医療器具を提供し、放出領域は、低Tブロックと、主鎖及び複数の側鎖を有する少なくとも1つのグラフトコポリマー末端ブロックとを含むコポリマーを含む。

Description

(発明の分野)
本発明は一般に、治療用作用物質の放出用のポリマー領域を含む医療器具に関する。
(発明の背景)
ポリマーに基づく多数の医療器具が、身体への治療用作用物質の送達用に開発されてきた。いくつかの典型的な送達戦略に従って、治療用作用物質は、医療器具と結合しているポリマー運搬層内及び/又はポリマー障壁層下に供給される。医療器具が患者内の所望の位置に配置された後、治療用作用物質は、ポリマー運搬層及び/又は障壁層の性質に依存的な速度で医療器具から放出される。
植え込み可能な又は挿入可能な医療器具の製造において使用に適した材料は、典型的には非常に優れた生体適合性、押出性、弾力性、成形性、良好な繊維形成特性、抗張力、耐久性などのうち1つ又は複数の特性を示す。さらに、器具材料の物理的化学的特性は、治療用作用物質の最終的な放出速度の決定に重要な役割を果たし得る。ポリマー材料による治療用作用物質の制御放出は長年の間様々な形で存在してきたが、改良型のより正確な薬物送達系が、具体的には、組み込まれた治療用作用物質の放出速度の特性を、要求される必要性に応じて容易に調節することができる材料が必要とされ続けている。
したがって、そのような生体適合性材料を薬物送達系として利用するとき、良好な薬剤放出の特性を有し、又滅菌などの標準的な医療器具製造工程の過酷さに耐えるほど十分に強い材料を選択することが重要である。
具体例として、ポリイソブチレン及びポリスチレンのブロックコポリマー、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Pinchukらに対するUnited States Patent No. 6,545,097に記載されているポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロックコポリマー(SIBSコポリマー)は、植え込み可能な又は挿入可能な薬物放出医療器具における放出用ポリマーとして価値があることが証明されている。Pinchukらに記載のように、SIBSコポリマー系からの、パクリタキセルなどの治療用作用物質の放出プロファイルの特性は、これらのポリマーが治療用作用物質を生体内で諸部位に供給する有効な薬物送達系であることを示すものである。
これらのコポリマーは、特に脈管構造内でのその優れた機械的特性、生体安定性及び生体適合性のため、医療器具の適用に特に有用である。SIBSコポリマーは、高い抗張力を示し、それはしばしば2,000〜4,000psi又はそれ以上であり、典型的なインビボ条件下での熱分解及び他の型の分解に抵抗する。これらの材料の脈管適合性を含めた生体適合性は、それらが引き起こす有害な組織反応が最小限である(例えばそれはマクロファージ活性の低下によって測定される)傾向によって示されている。さらに、これらのポリマーは一般に血液適合性があり、それは、冠動脈ステントの被覆として適用したときにそれらが小血管の血栓性閉塞を最小にする能力により示される。
さらに、これらのポリマーは、ポリイソブチレンとポリスチレンのブロックの組合せに起因する、医療器具において求められる多数の興味深い物理的化学的特性を有する。ポリイソブチレンは、ガラス転移温度(T)が低く、室温(及び体温)で軟らかくエラストマー型である。その一方で、ポリスチレンは、Tがはるかに高く、したがってこれらの温度では硬い。ポリスチレンは又本来熱可塑性でもあり、広範囲の加工可能性を開く。ポリスチレンとポリイソブチレンの相対量に応じて、得られるコポリマーを、例えばショア約10Aの軟らかさからショア約100Dの硬さまでの硬さの範囲を有するように配合することができる。
これらの望ましい特性にも関わらず、薬物送達系として使用する改良された材料が必要とされ続けている。例えば、SIBSコポリマーは、リビングカチオン重合工程という、厳密な反応条件及び低温を必要とする複雑な工程によって合成される。イオン(カチオン及びアニオン)重合は、通常は水分、酸素、並びに不純物を含まない反応条件を必要とする。今まで、イソブチレンなどの限られた数のモノマーしかリビングカチオン重合工程によって重合されておらず、それにより、この工程によって製造されるポリマー及びコポリマーの化学組成を変化させる能力が制限される。さらに、イオン重合に一般に関与する実験的な厳密さは、産業的使用にとってはしばしば費用がかかり過ぎ、フリーラジカル経路が好ましい。さらに、SIBSコポリマーなど、ポリイソブチレンを含むホモポリマー及びコポリマーは、放射線効果により感受性であり、特に医療器具の滅菌に通常使用される放射線レベル(例えば約1.0〜5.0Mrad、又はそれよりさらに高い)でその機械的な特性及び薬物溶出特性に望ましくない変化を受ける。
したがって、SIBSコポリマーと類似した様々な特性(例えば、薬物放出の特性、生体安定性、生体適合性など)を有するが、ポリマーの特性において放射線に基づく変化に対する潜在的に改善された免疫を示し、幅広いモノマー材料を使用して合成することができるポリマーを提供すると有利となる。さらに、放射線抵抗性、架橋能や薬物放出の特性など、他の重要な物理的又は機械的特性をもたらす他のポリマー材料と調合された、その望ましい特色をすべて有するSIBSを含む混合コポリマーを提供すると有利となる。
(発明の要旨)
本発明は、従来技術のこれら及び他の課題を扱い、それは、一態様では、放出領域と、放出領域内又はその下に配置される治療用作用物質とを含む医療器具を提供し、このとき放出領域は、(a)低Tブロックと、(b)主鎖及び複数の側鎖を有するグラフトコポリマー末端ブロックとを含むコポリマーを含む。
他の態様では、本発明は、医療器具からの治療用作用物質の放出の速度を調節する方法を提供する。この態様では、少なくとも1つ、好ましくは複数の放出領域が提供され、1つ又は複数のこの放出領域は、1つ又は複数の治療用作用物質を含む運搬領域であり、1つ又は複数の放出領域は、薬物を含まない障壁領域である。各放出領域は、ブロック又はグラフトコポリマーを含む相分離したポリマー組成物を含む。運搬領域からの治療用作用物質の放出速度は、運搬及び障壁領域の数、順序、厚さ、又は相対位置を互いに変化させることによって調節する。
さらに他の態様では、本発明は、相分離したコポリマーを含む複数の放出領域を含む医療器具用の多層被覆を提供する。相分離したコポリマーは、低Tポリマー中間ブロックと、1つ又は複数のグラフトコポリマー末端ブロックとを含む。各放出領域は、1つ又は複数の治療用作用物質を含む運搬層、或いは薬物を含まない障壁領域に対応し、これらの層は一緒に、医療器具上の正角の被覆を形成する。
さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの放出領域を含む医療器具を提供し、このとき少なくとも1つの治療用作用物質は、放出領域中に存在し、放出領域は、第1のコポリマーと第2のコポリマーの調合物を含む。いくつかの実施形態では、第1のコポリマーは、低T中間ブロック、並びに主鎖及び複数の側鎖を有するグラフトコポリマーを含む少なくとも1つの末端ブロックからなるブロックコポリマーであるが、第2のコポリマーは、低T中間ブロックを有するブロックコポリマーと、少なくとも1つの末端ブロックとを含む。
他の態様では、本発明は、放出領域を含む医療器具を提供し、治療用作用物質は、放出領域中に存在し、放出領域は、第1のコポリマーと第2のコポリマーの調合物を含む。いくつかの実施形態では、第1のコポリマーは、ポリ(シロキサン)を含む中間ブロックと、ポリ(メタクリル酸アルキル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーを含む末端ブロックとを含み、第2のコポリマーは、ポリイソブチレンを含む中間ブロックと、ポリスチレンを含む末端ブロックとを含む。
さらに他の態様では、本発明は、医療器具からの治療用作用物質の放出を制御する方法を提供し、その方法は、医療器具用の放出領域を提供するステップと、ポリマー組成物の親水性又は疎水性を変化させることによって放出領域からの治療用作用物質の放出を制御するステップとを含む。いくつかの実施形態では、放出領域は、医療器具の少なくとも一部を含み、少なくとも1つの治療用作用物質と、2つ以上の混和しないポリマー相を含むポリマー組成物とをさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの混和しないポリマー相は、主鎖と複数の側鎖とを含むグラフトコポリマーによって提供される。
本発明の1つの利点は、植え込み可能な又は挿入可能な医療器具の放出領域における使用に様々な材料を提供することができることである。
本発明の他の利点は、それからの治療用作用物質の放出を調節することができる植え込み可能な又は挿入可能な医療器具を提供することができることである。
本発明の他の利点は、放射線滅菌の損傷作用に抵抗性である植え込み可能な又は挿入可能な医療器具を提供することができることである。
本発明のこれら及び他の実施形態及び利点は、下記の詳細な説明及び特許請求の範囲(を検討した後に、当業者には直ちに明らかとなるであろう。
(発明の詳細な説明)
本発明のより完全な理解は、実施形態の下記の詳細な説明を参照することによって得ることができる。本明細書の様々な場所での語句「一実施形態では」の出現は、明らかに、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているのではない。下記の実施形態の詳細な説明は、本発明を例示するものであるが限定するものではない。本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって定義される。
一態様では、本発明は、放出領域と、放出領域内又はその下に配置される治療用作用物質とを含む医療器具を提供する。放出領域は、(a)1つ又は複数の低Tポリマーブロックと、(b)1つ又は複数のグラフトコポリマー末端ブロックとを含むコポリマーを含み、各末端ブロックは主鎖及び複数の側鎖を有する。
本明細書において、ポリマー「ブロック」とは、10個以上の構成単位の、通常は20個以上、50個以上、100個以上、200個以上、500個以上、又はさらに1000個以上の単位のグループを指す。「鎖」とは、10個以上の構成単位からなる直鎖状の(分枝していない)グループ(すなわち直鎖ブロック)である。
「低Tポリマーブロック」とは、示差走査熱量測定(DSC)、動的機械分析(DMA)、又は誘電分析(DEA)を含めたいくつかの技術のいずれかによって測定される、周囲温度未満であり、より典型的には25℃、0℃、−25℃、又はさらに−50℃未満である1つ又は複数のガラス転移温度(T)を示すポリマーブロックである。「周囲温度」とは、典型的には25℃〜45℃であり、より典型的には体温(例えば、35℃〜40℃)である。そのガラス転移温度が低いことにより、低Tポリマーブロックは周囲温度で通常はエラストマー型である。直鎖又は分枝シリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン)など、いくつかの低Tポリマーブロックのホモポリマーは、室温で粘性液体又は粉砕可能なゴムであり、共有結合による架橋後にエラストマー型になる。
本発明の低Tポリマーブロックをそれから選択することができる低Tポリマーブロックの具体例には、下記のものから形成される(又は下記のものから形成される外観を有する)ホモポリマー及びコポリマーブロックがある:アクリルモノマー、メタクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、環状エーテルモノマー、エステルモノマー、α−オレフィンや共役ジエンモノマーなどのアルケンモノマーを含めた不飽和炭化水素モノマー、ハロゲン化アルケンモノマー、他のハロゲン化不飽和炭化水素モノマー、及びシロキサンモノマー。多数の具体例を下記に列挙する。T値は、列挙したモノマー単位のホモポリマーについて公表されている値である。
具体的なアクリルモノマーには、(a)アクリル酸メチル(T10℃)、アクリル酸エチル(T−24℃)、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル(T−11℃、アイソタクチック)、アクリル酸ブチル(T−54℃)、アクリル酸sec−ブチル(T−26℃)、アクリル酸イソブチル(T−24℃)、アクリル酸シクロヘキシル(T19℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(T−50℃)、アクリル酸ドデシル(T−3℃)やアクリル酸ヘキサデシル(T35℃)などのアクリル酸アルキル、(b)アクリル酸ベンジル(T6℃)などのアクリル酸アリールアルキル、(c)アクリル酸2−エトキシエチル(T−50℃)やアクリル酸2−メトキシエチル(T−50℃)などのアクリル酸アルコキシアルキル、(d)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(T−10℃)などのアクリル酸ハロ−アルキル、及び(e)アクリル酸2−シアノエチル(T4℃)などのアクリル酸シアノ−アルキルがある。
具体的なメタクリルモノマーには、(a)メタクリル酸ブチル(T20℃)、メタクリル酸ヘキシル(T−5℃)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(T−10℃)、メタクリル酸オクチル(T−20℃)、メタクリル酸ドデシル(T−65℃)、メタクリル酸ヘキサデシル(T15℃)やメタクリル酸オクタデシル(T−100℃)などのメタクリル酸アルキル、及び(b)メタクリル酸ジエチルアミノエチル(T20℃)やメタクリル酸2−tert−ブチル−アミノエチル(T33℃)などのメタクリル酸アミノアルキルがある。
具体的なビニルエーテルモノマーには、(a)メチルビニルエーテル(T−31℃)、エチルビニルエーテル(T−43℃)、プロピルビニルエーテル(T−49℃)、ブチルビニルエーテル(T−55℃)、イソブチルビニルエーテル(T−19℃)、2−エチルヘキシルビニルエーテル(T−66℃)やドデシルビニルエーテル(T−62℃)などのアルキルビニルエーテルがある。
具体的な環状エーテルモノマーには、テトラヒドロフラン(T−84℃)、酸化トリメチレン(T−78℃)、酸化エチレン(T−66℃)、酸化プロピレン(T−75℃)、メチルグリシジルエーテル(T−62℃)、ブチルグリシジルエーテル(T−79℃)、アリルグリシジルエーテル(T−78℃)、エピブロモヒドリン(T−14℃)、エピクロロヒドリン(T−22℃)、1,2−エポキシブタン(T−70℃)、1,2−エポキシオクタン(T−67℃)及び1,2−エポキシデカン(T−70℃)がある。
具体的なエステルモノマー(アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル以外)には、マロン酸エチレン(T−29℃)、酢酸ビニル(T30℃)、及びプロピオン酸ビニル(T10℃)がある。
具体的なアルケンモノマーには、エチレン、プロピレン(T−8〜−13℃)、イソブチレン(T−73℃)、1−ブテン(T−24℃)、トランス−ブタジエン(T−58℃)、4−メチルペンタン(T29℃)、1−オクタン(T−63℃)及び他のα−オレフィン、シス−イソプレン(T−63℃)、並びにトランス−イソプレン(T−66℃)がある。
具体的なハロゲン化アルケンモノマーには、塩化ビニリデン(T−18℃)、フッ化ビニリデン(T−40℃)、シス−クロロブタジエン(T−20℃)、及びトランス−クロロブタジエン(T−40℃)がある。
具体的なシロキサンモノマーには、ジメチルシロキサン(T−127℃)、ジエチルシロキサン、メチルエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン(T−86℃)、及びジフェニルシロキサンがある。
特定の好ましい実施形態では、低Tポリマーブロックは、生体安定性のあるポリマーブロックである。「生体安定性のある」ポリマーブロックとは、患者内に滞留している期間中も依然として医療器具と結合しているポリマーブロックである。生体安定性のある低Tポリマーブロックの典型的な例には、ポリイソブチレンブロック、ポリシロキサンブロックやポリアクリレートなどのポリオレフィンブロックがある。
低Tポリマーブロックは、直鎖及び分枝状の構造を含めて、様々な構造で提供することができる。分枝状構造には、星形の構造(例えば、3本以上の鎖が単一の分枝点から出た構造)、櫛形の構造(例えば、主鎖及び複数の側鎖を有する構造)、及び樹状構造(例えば、樹枝状及び過剰分枝状のポリマー)がある。鎖又は鎖形成低Tポリマーブロックは、例えば、反復する一連の単一型の構成単位、或いは、例えば、反復する(例えば互い違いの)、ランダムな、統計的な又は勾配のある分布で配置される一連の2種以上の型の構成単位を含んでもよい。
特定の好ましい実施形態では、例えば、トリブロックコポリマーの中間ブロック、又は本発明のグラフトコポリマーの主鎖を構成することができる低Tポリマーブロックは、ポリアルキルシロキサン、ポリオレフィン、ポリアクリレートや、上記に記載した様々なモノマーからなるポリマーなどのガラス転移温度が室温以下である他のポリマーなど、1つ又は複数のエラストマー材料のホモポリマー又はコポリマーを基礎とするエラストマー構成成分を含む。例えば、特定の実施形態では、ブロックは、一般式:−(CRR’−CH−(式中、R及びR’はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなどの直鎖又は分枝状の脂肪族基、或いはシクロヘキサン、シクロペンタンなどの、ペンダント基を有する環状脂肪族基及びペンダント基を有さない環状脂肪族基である)の互い違いの第4級炭素及び第2級炭素を有するポリオレフィンブロックを含む。好ましいポリオレフィンブロックには、重合したイソブチレン
Figure 2008506503
のブロック(すなわち、R及びR’が同じであり、メチル基であるポリマー)がある。
他の好ましい実施形態では、下記のものなど、官能化したポリオレフィン及びポリジエンブロックなどのポリオレフィン及びポリジエンブロック(官能化した末端基を有するものがpoLichelic(商標)ポリマーとしてFMC Lithium、ノースカロライナ州Gastoniaから市販されている)、並びに以下のものなど、同じものの水素化型などの変異体が使用される。
Figure 2008506503
さらに他の実施形態では、低Tポリマーブロックは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)コポリマーブロック(例えば、Exxon−MobilのVistalon(商標)ポリマー)を含み、そのブロックは2つのオレフィン(エチレン及びプロピレン)及び1つ又は複数のジエン(例えば、ビニルノルボルネン又はエチリデンノルボルネン)から形成される単位を含み、その単位は下記の構造:
Figure 2008506503
で示される。
EPDMコポリマーの合成は、バナジウム、チタニウム、ジルコニウム、及びメタロセンを基礎とする均一な触媒組成物を使用したチーグラーナッタ(Ziegler-Natta)重合を介する製造を含めて、当技術分野で周知である。EPDMコポリマーの製造の詳細は、ExxonMobil Chemical Patents Inc.に譲渡されたU.S. Patent No. 6,486,278に示され、その内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
いくつかの好ましい実施形態では、低Tポリマーブロックは、生体内崩壊可能な材料(すなわち、患者内に滞留している期間中に溶解、生体内分解、吸収などを受けやすい材料)を含む。好ましくは、生体内崩壊可能な材料は、例えば、1つ又は複数の下記のものを含むブロックから選択することができるポリエステルブロックである:ポリ(グリコール酸)ブロック、ポリ(乳酸)ブロック、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)ブロック及びポリカプロラクトンブロック。
上記に示した通り、本発明のコポリマーは、主鎖と複数の側鎖とを含む末端ブロック(又は複数の末端ブロック)を含む。主鎖及び側鎖はそれぞれ独立に、例えば、反復する一連の単一型の構成単位、或いは、例えば、反復する(例えば互い違いの)、ランダムな、統計的な又は勾配のある分布で配置される一連の2種以上の型の構成単位を含んでもよい。
末端ブロック(又は複数の末端ブロック)の主鎖及び側鎖をそれから独立に選択することができるポリマー鎖の具体例には、下記のものから形成される(又は下記のものから形成される外観を有する)ホモポリマー及びコポリマーブロックがある:(a)低Tポリマーブロックに関連して上記に列挙したアクリルモノマー、メタクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、環状エーテルモノマー、エステルモノマー、アルケンモノマー、ハロゲン化アルケンモノマー、及びシロキサンモノマー、並びに(b)ビニル芳香族モノマー、他のビニルモノマー(ビニル芳香族モノマー以外)、他の芳香族モノマー(ビニル芳香族モノマー以外)、他のメタクリルモノマー(上記の低Tメタクリルモノマー以外)、他のアクリルモノマー(上記の低Tアクリルモノマー以外)、及び他のアルケンモノマー(上記の低Tアルケンモノマー以外)。
ビニル芳香族モノマーは、芳香族部分及びビニル部分を有するものであり、非置換モノマー、ビニル置換モノマー及び環置換モノマーを含む。具体的なビニル芳香族モノマーには下記のものがある:(a)アタクチックスチレン(T100℃)、アイソタクチックスチレン(T100℃)や2−ビニルナフタレン(T151℃)などの非置換ビニル芳香族化合物、(b)α−メチルスチレンなどのビニル置換芳香族化合物、(c)以下を含む環置換ビニル芳香族化合物(i)3−メチルスチレン(T97℃)、4−メチルスチレン(T97℃)、2,4−ジメチルスチレン(T112℃)、2,5−ジメチルスチレン(T143℃)、3,5−ジメチルスチレン(T104℃)、2,4,6−トリメチルスチレン(T162℃)や4−tert−ブチルスチレン(T127℃)などの環アルキル化ビニル芳香族化合物、(ii)4−メトキシスチレン(T113℃)や4−エトキシスチレン(T86℃)などの環アルコキシル化ビニル芳香族化合物、(iii)2−クロロスチレン(T119℃)、3−クロロスチレン(T90℃)、4−クロロスチレン(T110℃)、2,6−ジクロロスチレン(T167℃)、4−ブロモスチレン(T118℃)や4−フルオロスチレン(T95℃)などの環ハロゲン化ビニル芳香族化合物、及び(iv)4−アセトキシスチレン(T116℃)などのエステル置換ビニル芳香族化合物である。
具体的な他のビニルモノマーには下記のものがある:(a)ビニルアルコール(T85℃);(b)安息香酸ビニル(T71℃)、4−tert−ブチル安息香酸ビニル(T101℃)、シクロヘキサン酸ビニル(T76℃)、ピバル酸ビニル(T86℃)、トリフルオロ酢酸ビニル(T46℃)、ビニルブチラール(T49℃)などのビニルエステル、(c)2−ビニルピリジン(T104℃)、4−ビニルピリジン(T142℃)やビニルカルバゾール(T227℃)などのビニルアミン、(d)塩化ビニル(T81℃)やフッ化ビニル(T40℃)などのハロゲン化ビニル;(e)メチルビニルエーテル(T−31℃)、プロピルビニルエーテル(T−49℃)、ブチルビニルエーテル(T−55℃)、イソブチルビニルエーテル(T−19℃)、tert−ブチルビニルエーテル(T88℃)やシクロヘキシルビニルエーテル(T81℃)などのアルキルビニルエーテル、及び(f)1−ビニル−2−ピロリドン(T54℃)やビニルフェロセン(T189℃)などの他のビニル化合物。
ビニル芳香族化合物以外の具体的な他の芳香族モノマーには、アセナフタレン(T214℃)及びインデン(T85℃)がある。
具体的な他のメタクリルモノマーには、(a)メタクリル酸(T228℃)、(b)メタクリル酸ナトリウム(T310℃)などのメタクリル酸塩、(c)無水メタクリル酸(T159℃)、(d)以下を含むメタクリル酸エステル(メタクリレート)(i)アタクチックメタクリル酸メチル(T105〜120℃)、シンジオタクチックメタクリル酸メチル(T115℃)、メタクリル酸エチル(T65℃)、メタクリル酸イソプロピル(T81℃)、メタクリル酸イソブチル(T53℃)、メタクリル酸t−ブチル(T118℃)やメタクリル酸シクロヘキシル(T92℃)などのメタクリル酸アルキル、(ii)メタクリル酸ベンジル(T54℃)などのメタクリル酸芳香族アルキルを含む、メタクリル酸フェニル(T110℃)などのメタクリル酸芳香族化合物、(iii)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(T57℃)やメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(T76℃)などのメタクリル酸ヒドロキシアルキル、(iv)メタクリル酸イソボルニル(T110℃)及びメタクリル酸トリメチルシリル(T68℃)を含むさらなるメタクリレート、並びに(e)メタクリロニトリル(T120℃)を含む他のメタクリル酸誘導体がある。
具体的な他のアクリルモノマーには、(a)アクリル酸(T105℃)、その無水物及びアクリル酸カリウム(T194℃)やアクリル酸ナトリウム(T230℃)などの塩の形態;(b)アクリル酸イソプロピル(T−11℃)、アクリル酸tert−ブチル(T43〜107℃)、アクリル酸ヘキシル(T57℃)やアクリル酸イソボルニル(T94℃)などの特定のアクリル酸エステル;(c)アクリルアミド(T165℃)、N−イソプロピルアクリルアミド(T85〜130℃)やN,Nジメチルアクリルアミド(T89℃)などのアクリル酸アミド;並びに(d)アクリロニトリル(T125℃)を含む他のアクリル酸誘導体がある。
アルケンを基礎とする具体的な他のモノマーには下記のものがある:エチレン(HDPE)(T−125℃)、アイソタクチックプロピレン(T−8℃)、4−メチルペンテン(T29℃)、1−オクタデセン(T55℃)、及びテトラフルオロエチレン(T117℃)である。
コポリマーの末端ブロック(又は複数の末端ブロック)の主鎖の典型的な例には、ポリ(メタクリル酸アルキル)、ポリ(アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン及びポリビニルピロリドンがある。
コポリマーの末端ブロック(又は複数の末端ブロック)の側鎖の典型的な例には、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル及びポリシロキサンがある。
特定の具体的な実施形態では、末端ブロック(又は複数の末端ブロック)の主鎖又は側鎖は、本明細書で列挙した1つ又は複数の生体内崩壊可能なポリマーブロック、例えば、ポリ(グリコール酸)ブロック、ポリ(乳酸)ブロック、ポリ(乳酸)ブロック、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)ブロック及びポリカプロラクトンブロックから選択される1つ又は複数のポリエステルブロックを含むポリマーブロックを含む。
他の具体的な実施形態では、コポリマーはポリアルケン中間ブロック又はポリシロキサン中間ブロックを含む。例えば、コポリマーは、ポリアルケン中間ブロック(ポリイソブチレンブロックなど)又はポリシロキサン中間ブロック(ポリジメチルシロキサンブロックなど)、及び生体内崩壊可能なポリエステルを含む複数の末端ブロックを含み得る。
低Tgポリマーブロックとグラフトコポリマーの末端ブロック(又は複数の末端ブロック)とを含む得られたコポリマーは、例えば、ジブロックコポリマー(例えば、中間ブロックと単一の末端ブロックとを含む)、トリブロックコポリマー(例えば、中間ブロックと1対の末端ブロックとを含む)、星形コポリマー(例えば、中間ブロックと外側へと放射状に広がる3個以上の末端ブロックとを含む)、樹状コポリマー(例えば、樹状の中間ブロックと多数の末端ブロックとを含む)、又は櫛形コポリマー(例えば、櫛形の構造を有する中間ブロックと、複数の末端ブロック(これも本発明においては通常櫛形の構造を有する)とを含む)の形態である可能性がある。通常、グラフトコポリマー末端ブロックも、例えば、ポリアルケンの主鎖と、生体安定性のある又は生体内崩壊可能な複数のポリマーの側鎖を含む櫛形コポリマーブロックである。
特定の好ましい実施形態では、本発明の医療器具の放出領域は、無機の特性を有する構成単位、例えば、シロキサンを含む「ハイブリッド」ホモコポリマー又はコポリマー(例えば、ブロック、グラフト又はランダムコポリマー)を含み得、それは有機と無機のどちらの特性も有する。構成単位の固有の不適合性から通常相分離が生じ、それによって、最終的なコポリマーにおける構成単位の不適合性の程度、組成、及び重合の程度に応じて制御された様々なナノ構造がもたらされる。例えば、他官能ポリ(シロキサン)高分子開始剤を不飽和有機モノマーで鎖伸長することによりグラフトコポリマーを配合することができ、それによって、有機及び無機の特性を有する主鎖、並びに有機の側鎖基を有するグラフトコポリマーが得られる。
例えば、特定の好ましい実施形態では、本発明の放出領域は、ポリジメチルシロキサンを含む低T中間ブロックと、主鎖及びグラフト側鎖を含む2つの末端ブロックとを含むハイブリッドトリブロックコポリマーを含み、主鎖は、末端ブロックのグラフト側鎖が(例えばランダムな又はブロックコポリマーの配置で)スチレンを含むように、アクリル酸アルキル終結スチレン含有種(例えば、アクリル酸メチル終結スチレン含有高分子モノマー)を介して形成される。
いくつかの好ましい実施形態では、末端ブロック(又は複数の末端ブロック)のグラフト側鎖は、ポリエチレンオキシドやポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、又はポリメタクリル酸メチルなどの疎水性ポリマーを含む。
本発明に従って使用する放出領域は、運搬領域及び障壁領域を含む。「運搬領域」とは、治療用作用物質をさらに含み、それから治療用作用物質が放出される放出領域を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、運搬領域は、医療器具の全部又は一部を覆うように配置され、基材として働く。他の実施形態では、運搬領域は、医療器具の基材の全体を構成する。「障壁領域」とは、治療用作用物質の供給源と放出が意図される部位の間に配置され、治療用作用物質が放出される速度を制御する領域を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、医療器具は、治療用作用物質の供給源を囲む障壁領域からなる。他の実施形態では、障壁領域は治療用作用物質の供給源を覆うように配置され、それは、医療器具の基材の全部又は一部を覆うように配置される。
したがって、様々な実施形態では、本発明に従って使用する放出領域は、医療器具の基材の全部又は一部を覆う放出層の形態である。本明細書において、所与の材料の「層」とは、その厚さがその長さと幅の両方と比較して短いこの材料の領域である。本明細書において、層は、例えば下にある基材の輪郭を呈する平面的なものである必要はない。層は、不連続なもの(例えば、パターン化されたもの)でもよい。「被膜」、「層」及び「被覆」などの用語は、本明細書において同義的に使用することができる。
本発明に従って、医療器具の放出領域と関係する放出プロファイルを、それだけに限らないが、(a)コポリマー内の低Tポリマーブロック及び/又は他のポリマーブロックの組成を変化させ、それによって、例えば、コポリマーの生体安定性、親水性及び/又は疎水性を変化させること、(b)低Tポリマー及び/又は他のポリマーブロックの分子量を変化させること、(c)低Tポリマー及び他のコポリマーブロックの比を変化させること、(d)他のポリマーブロックに対する低Tポリマーの分布(例えば、中間ブロック対末端ブロック)を変化させること、並びに/或いは(e)コポリマーの構造(例えば直鎖状低Tgブロック対分枝状低Tgブロック)を変化させることを含めたいくつかの方法で改変することができる。
医療器具の放出領域と関係する放出プロファイルは又、運搬及び障壁領域の数、順序、厚さ、又は相対位置を互いに変化させることによって改変することもできる。例えば、放出領域の厚さを変化させることによって放出プロファイルを改変することができる。さらに、複数の放出領域を使用して、放出プロファイルを改変することができる。さらに、運搬領域を使用する場合、治療用作用物質濃度勾配を運搬領域内で定着させて、治療用作用物質の放出を制御することができる。
放出領域と関係する放出プロファイルは又、放出領域内で1つ又は複数の補助ポリマーをコポリマーと調合することによって改変することもできる。様々なポリマーが、本発明の放出領域における補助ポリマーとして使用することが可能である。例えば、補助ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー(互い違いのコポリマー、ランダムなコポリマー、統計的なコポリマー、勾配のあるコポリマー及びブロックコポリマーを含む)でもよく、環状、直鎖状又は分枝状でもよく(例えば、ポリマーは星形、櫛形又は樹状構造を有してもよく)、天然又は合成のものでもよく、熱可塑性又は熱硬化性のものでもよい。本発明を実施するための補助ポリマーは、例えば、下記のものから選択することができる:ポリアクリル酸を含めたポリカルボン酸ポリマー及びコポリマー;アセタールポリマー及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートポリマー及びコポリマー(例えばメタクリル酸n−ブチル);酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、レーヨン、三酢酸レーヨン、及びカルボキシメチルセルロースやヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテルを含めたセルロースポリマー及びコポリマー;ポリオキシメチレンポリマー及びコポリマー;ポリエーテルブロックイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドポリマー及びコポリマー;ポリアリールスルホン及びポリエーテルスルホンを含めたポリスルホンポリマー及びコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドを含めたポリアミドポリマー及びコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、エポキシド樹脂を含めた樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋したもの及びその他の形のもの);ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニル、酢酸エチレンビニルコポリマー(EVA)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)Gシリーズのポリマーとして入手可能なポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン−イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、及びスチレン−イソブチレンコポリマー(例えば、SIBSなどのポリイソブチレン−ポリスチレンブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及びポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステルを含めたビニルモノマーのポリマー及びコポリマー;ポリベンズイミダゾール;アイオノマー;ポリエチレンオキシド(PEO)を含めた酸化ポリアルキルポリマー及びコポリマー;テレフタル酸ポリエチレン、ラクチド(乳酸並びにd−、l−及びメソラクチドを含む)のポリマー及びコポリマーなどの脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシ酪酸エステル、ヒドロキシ吉草酸エステル、パラ−ジオキサノン、炭酸トリメチレン(及びそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、及び6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オンを含めたポリエステル(ポリ(乳酸)及びポリ(カプロラクトン)のコポリマーは具体例の1つである);ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリアリールエーテルを含めたポリエーテルポリマー及びコポリマー;ポリ硫化フェニレン;ポリイソシアネート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度及び高密度、低分子量及び高分子量)、ポリブチレン(ポリブト−1−エンやポリイソブチレンなど)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレーン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマーやエチレン−酢酸ビニルコポリマーなどのポリアルキレンを含めたポリオレフィンポリマー及びコポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、修飾エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含めたフッ化ポリマー及びコポリマー;シリコーンポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;p−キシレンポリマー:ポリイミノカルボネート;ポリエチレンオキシドポリ乳酸コポリマーなどのコポリ(エーテル−エステル);ポリホスファジン;ポリシュウ酸アルキレン;ポリオキサアミド及びポリオキサエステル(アミン及び/又はアミド基を含有するものを含む);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含めた、ポリペプチド、タンパク質、ポリサッカリドや脂肪酸(及びそのエステル)などの生体ポリマー;並びに上記の調合物及びコポリマー。
例えば、特定の実施形態では、放出領域は、第1のコポリマーと第2のコポリマーの調合物を含み、その少なくとも1つは、主鎖及び複数の側鎖を有するグラフトコポリマーブロックを含み、その少なくとも1つは、低Tブロックを有するコポリマーを含む。例えば、好ましい実施形態では、調合物は、ポリ(シロキサン)を含む中間ブロック、及びポリ(メタクリル酸アルキル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーを含む末端ブロックからなるトリブロックグラフトコポリマーを含む第1のコポリマーと、ポリイソブチレンを含む中間ブロック、及びポリスチレンを含む末端ブロックを含むトリブロックコポリマーを含む第2のコポリマーとを含む。
特定の実施形態では、本発明の医療器具は、(a)(i)溶媒系及び(ii)コポリマーを含む溶液を供給するステップと、(b)溶液から溶媒系を除去することによって溶液から放出領域を形成するステップとを含む方法によって製造することができる。溶液はさらに、溶解型又は分散型の治療用作用物質を含むことができ、いくつかの実施形態では、前記治療用作用物質を含む治療用作用物質含有領域を覆うように溶液を塗布する。下記で詳細に説明するように、そのような放出領域は、噴霧工程又は様々な他の技術によって形成することができる。
本発明のポリマー放出領域の形成に多数の他の技術が利用可能である。例えば、選択したコポリマー(及びもしあれば補助ポリマー)が熱可塑性の特性を有する場合、圧縮成形、射出成形、吹込成形、回転(spinning)、真空成形及びカレンダー法、並びに様々な長さの薄板、繊維、棒、管及び他の断面材への押出を含めた種々の標準的な熱可塑性処理技術を使用してポリマー放出領域を形成することができる。
これら及び他の技術を使用して、器具全体又はその一部を製造することができる。例えば、上記の技術を使用して、ステント全体を押出すことができる。他の例として、既存のステント上に被覆層を押出すことによって、被覆を供給することができる。さらに他の例として、下にあるステント本体とともに被覆を同時に押出すことができる。
治療用作用物質が処理温度で安定である場合、熱可塑性処理の前にそれをコポリマーと結合することができ、それによって運搬領域を含む治療用作用物質を製造する。そうでない場合、それにも関わらず、例えば、下記で論じるように、その後に治療用作用物質を導入することによって、運搬領域を形成することができる。
上記に示したように、ポリマー放出領域は又、コポリマー(及びもしあれば補助ポリマー)を最初に溶媒中に溶解し又は分散させ、続いて得られた混合物を使用してポリマー放出領域を形成する、溶媒に基づく技術を使用して形成することもできる。
溶媒に基づく技術を使用して放出領域を形成する場合、好ましくはつけた後にそれを乾燥させて溶媒を除去する。放出領域は通常、乾燥工程中は下にあるどんな表面にもさらに適合する。溶媒に基づく技術を使用する場合、選択する溶媒系は、1つ又は複数の溶媒種を含む。溶媒系は通常、コポリマーに、含まれる場合は補助ポリマー及び治療用作用物質に適した溶媒である。溶媒系を構成する特定の溶媒種は又、乾燥速度及び表面張力を含めた他の特性に基づいて選択することもできる。
溶媒に基づく好ましい技術には、それだけに限らないが、溶液流延技術、スピン被覆技術、ウェブ被覆技術、溶媒噴霧技術、浸漬技術、空気懸濁を含めた機械的懸濁を介する被覆が関与する技術、インクジェット技術、静電技術、及びこれらの方法の組合せがある。
様々な実施形態では、溶媒、コポリマー及びもしあれば補助ポリマーを含む混合物を基材に塗布して、放出領域を形成する。例えば、基材は、ステントなど、放出層を適用する植え込み可能な又は挿入可能な医療器具の全部でもよく、或いは一部でもよい。その一方で、基材は又、例えば、溶媒排除後にポリマー放出領域を取り出す鋳型でもよい。鋳型に基づくそのような技術は、薄板、管、円筒など、鋳型基材から容易に取り出すことができる単純な物体の形成に特に適する。
他の技術、例えば、繊維形成技術では、基材又は鋳型の援助なしにポリマー放出領域を形成する。
適当な場合、上記に列挙したものなどの技術を反復し、又は組み合わせて、所望の厚さまで放出層を積み重ねることができる。放出層の厚さは、他の方法によっても変化させることができる。例えば、好ましい一工程である溶液噴霧では、被覆の厚さは、噴霧流速を上昇させ、被覆する基材と噴霧口の間の動きを遅くし、反復通路を供給することなどを含めた被覆工程のパラメーターの改変によって増大させることができる。
(例えば障壁領域とは対照的に)運搬領域を形成する場合、必要なら、ポリマー/溶媒混合物中に治療用作用物質を溶解し又は分散させ、それによって運搬領域と同時に定着させることができる。その一方で、他の実施形態では、溶媒内に治療用作用物質を溶解し又は分散させ、例えば、上記に記載の1つ又は複数の塗布技術(例えば、浸漬、噴霧など)を使用して、得られた溶液を予め形成したポリマー領域と接触させることができる。
その一方で、障壁層は通常、例えば、上記で論じたものなどの溶媒に基づく技術を使用して、治療用作用物質含有領域を覆うように形成され、コポリマー及びもしあれば補助ポリマーを最初に溶媒中に溶解し又は分散させ、続いて得られた混合物を使用して障壁層を形成する。
いくつかの実施形態では、障壁領域の下にある治療用作用物質含有領域は、本明細書の他の箇所に記載したものなどの1つ又は複数のポリマーを含む。(障壁領域のポリマー組成物は、下にある治療用作用物質含有領域のポリマー組成物と同じでもよく、或いは同じでなくてもよい。)したがって、治療用作用物質含有領域は又、上記で論じたものなどの技術(例えば、浸漬、噴霧など)を使用して定着させることもできる。他の実施形態では、障壁領域の下にある治療用作用物質含有領域は、結合したポリマーを有さずに定着する。この場合、治療用作用物質を単に溶媒又は液体中に溶解し又は分散させることができ、例えば、1つ又は複数の上記に記載した塗布技術を使用して、得られた溶液/分散液を基材と再度接触させることができる。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のポリマーを含む別個の障壁領域を供給することによって、放出プロファイルを改変することができる。他の実施形態では、器具は複数の領域を含み、1つ又は複数の治療用作用物質が様々な濃度で充填された複数の治療用作用物質含有領域が、各治療用作用物質含有領域が1つ又は複数の障壁層と隣接するように障壁層の下に介在する。各治療用作用物質含有領域は、疎水性及び/又は親水性ポリマーを含むコポリマー又はポリマーの調合物を含む。
治療用作用物質の所望の全体的な放出プロファイルは、本発明の医療器具から治療用作用物質の所望の全体的な放出プロファイルを集合的にもたらす複数の放出領域を使用することによって実現することができる。したがって、一態様では、本発明は、医療器具からの治療用作用物質の放出の速度を調節する方法を提供する。この態様では、複数の放出領域が提供され、1つ又は複数のこの放出領域は、1つ又は複数の治療用作用物質を含む運搬領域を含み、1つ又は複数の放出領域は、薬物を含まない障壁領域を含む。各放出領域は、ブロック又はグラフトコポリマーを含む相分離したポリマー組成物を含む。
上記で示唆したように、運搬領域からの治療用作用物質の放出速度は、1つ又は複数の以下のもの:運搬及び障壁領域の数、順序、厚さ、又は位置を互いに変化させることによって調節することができる。いくつかの実施形態では、放出領域は、医療器具上の正角の被覆を形成する複数の層を含み、少なくとも1つの層は障壁領域を含み、少なくとも1つの層は運搬領域を含む。これらの層は、運搬領域と障壁領域を交互に繰り返してもよく、或いは、1つ又は複数の障壁領域と互い違いに運搬領域を含む2つ以上の層を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態では、運搬層は、隣接する障壁層の間に介在し、他の好ましい実施形態では、少なくとも1つの運搬又は障壁領域は、生体内崩壊可能なポリマーを含む。さらに他の実施形態では、1つ又は複数の障壁領域が、1つ又は複数の障壁領域の一部と重複してもよく、或いは、単一の障壁領域が、複数の別個の運搬領域を覆うように配置してもよい。運搬及び障壁領域の互いの厚さ、数、順序又は位置のそのような任意の変動は、本発明の範囲内にある。
いくつかの実施形態では、相分離したコポリマーを含む複数の放出領域が、医療器具用の多層被覆を一緒に形成する層の形態で提供され、相分離したコポリマーは、低Tポリマー中間ブロックと、1つ又は複数のグラフトコポリマー末端ブロックとを含む。各放出領域は、1つ又は複数の治療用作用物質を含む運搬層、或いは薬物を含まない障壁領域の形態であり、これらの層は一緒に、医療器具上の正角の被覆を形成する。
いくつかの実施形態では、被覆のグラフトコポリマー末端ブロックは、2つ以上の混和しないポリマー相を有する架橋ポリマーを含むことができる。例えば、被覆は、ポリジメチルシロキサンやポリイソブチレンなどの低Tポリマー中間ブロックを含む第1相と、ポリ(メタクリル酸アルキル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーを含むグラフトコポリマーブロックを含む第2相とを含んでもよい。
下記により詳細に説明するように、本発明の放出領域を含むポリマー材料を共重合して、1つ又は複数の親水性又は疎水性のモノマーを組み込むことができ、放出領域は、1つ又は複数の親水性又は疎水性のポリマーを含むことができ、或いは、放出領域は、2つ以上のポリマーの調合物を含むことができる。
本発明の特定の実施形態では、治療用放出作用物質の薬物放出速度は、コポリマーの全体的な親水性が増大又は低下する(或いは、反対からみると、全体的な疎水性が増大又は低下する)ように本発明のブロックコポリマーの親水性/疎水性比率を変化させることによって制御する。当業者には理解されるであろうが、その比率は、いくつかの方法で変化させることができる。
ブロックコポリマーの親水性は、それだけに限らないが、低T及び他のポリマーのブロック及び末端ブロックの製造について上記で具体的に列挙した親水性モノマーの多数の例も含めた、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどの1つ又は複数の親水性モノマーでコポリマーを形成することによって増大させることができる。代替の実施形態では、得られたコポリマーの疎水性は、1つ又は複数の疎水性モノマーでコポリマーを形成することによって増大させる。それだけに限らないが、メタクリル酸メチル、並びに低T及び他のポリマーのブロック及び末端ブロックの製造について上記で具体的に列挙した疎水性モノマーの多数の例を含めて、いくつかの任意の疎水性モノマーを1つ又は複数使用することができる。
当業者ならモノマーが主に親水性であるか又は疎水性であるかを容易に識別するが、親水性又は疎水性の特性を有し、本発明での使用に適し、本発明の材料の親水性及び/又は疎水性の特性を調節するのに使用することができる様々なモノマーは、下記のものによって例示されるが、それに限定するものではない:(1)下記のものを含めた疎水性モノマー:非置換ビニル芳香族化合物、ビニル置換芳香族化合物及び環置換ビニル芳香族化合物を含めたビニル芳香族モノマー;ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、アルキルビニルエーテル、及びビニルフェロセンなどの他のビニル化合物;アセナフタレン及びインデンを含めた、ビニル芳香族化合物以外の芳香族モノマー;アクリル酸アルキル、アクリル酸アリールアルキル、アクリル酸アルコキシアルキル、アクリル酸ハロ−アルキル、及びアクリル酸シアノ−アルキルを含めたアクリルモノマー;メタクリル酸エステル(メタクリレート)、及びメタクリロニトリルを含む他のメタクリル酸誘導体を含めたメタクリルモノマー;アクリル酸エステル、並びにアクリロニトリル、メタクリル酸アルキル及びメタクリル酸アミノアルキルを含む他のアクリル酸誘導体を含めたアクリルモノマー;エチレン、アイソタクチックプロピレン、4−メチルペンテン、1−オクタデセン、及びテトラフルオロエチレン、並びに他の不飽和炭化水素モノマーを含めた、アルケンを基礎とするモノマー;環状エーテルモノマー;アクリレート及びメタクリレート以外のエーテルモノマー;ε−カプロラクトンを含めた他のモノマー;(2)下記のものを含めた親水性モノマー;ビニルアミン、アルキルビニルエーテル、1−ビニル−2−ピロリドン及び他のビニル化合物;メタクリル酸及びメタクリル酸塩を含めたメタクリルモノマー;アクリル酸、その無水物及び塩の形態やアクリル酸アミドなどのアクリルモノマー;メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルモノマー;酸化エチレンなどの環状エーテルモノマー。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、被覆、及びグラフト化コポリマーを含む末端ブロックを有するトリブロックコポリマーを含む被覆を有する医療器具を含み、グラフトは、(a)反復する(例えば互い違いの)、ランダムな、統計的な又は勾配のある分布で配置される、酸化エチレンのポリマー(PEO)、ビニルピロリドンのポリマー(PVP)、ポリ(ヒドロキシアクリレート)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、又はその組合せを含めた1つ又は複数の親水性鎖を含む。他の好ましい実施形態では、グラフトは、単独で又は組合せで、反復する(例えば互い違いの)、ランダムな、統計的な又は勾配のある分布で配置されるメタクリル酸メチルのポリマー(PMMA)などの疎水性ポリマー鎖又はポリスチレンを1つ又は複数含む鎖を含む。グラフトは、所望の薬物拡散及び放出特性を示す親水性モノマーと疎水性モノマーの両方の組合せを使用することができる。親水性及び/又は疎水性のモノマーは、それだけに限らないが、低ポリマー及び他のポリマーのブロック及び末端ブロックの製造について上記で具体的に列挙したその多数の例を含めて、任意の1つ又は複数のモノマー種から選択することができる。
特定の実施形態では、薬物放出速度は、疎水性又は親水性ポリマーを本発明に記載のグラフトコポリマーと調合することによって制御する。例示的な一実施形態では、本発明は、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン(SIBS)トリブロックコポリマーと調合したトリブロックグラフトコポリマーを含む調合物を提供する。トリブロックグラフトコポリマーは、好ましい実施形態では、ポリシロキサンの中間ブロックと、ポリ(メタクリル酸メチル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーとを含む。
当業者には理解されるであろうが、本発明のコポリマーは、イオン重合法、特にアゾビス(イソブチロニトリル)又は過酸化物開始法などのラジカル重合法、及び金属触媒原子移動ラジカル重合(ATRP)、安定フリーラジカル重合(SFRP)、窒素酸化物媒介法(NMP)や、変性移動(例えば、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT))法などの制御/「リビング」ラジカル重合を含めた既知の方法に従って合成することができる。これらの方法は、文献中に十分詳細に記載され、例えば、その内容全体が参照により組み込まれるPyun及びMatyjaszewskiによる論文「制御/「リビング」ラジカル重合を使用するナノ合成有機/無機ハイブリッド材料の合成」(Chem. Mater., 13:3436-3448 (2001))中に記載されている。
ATRPを介するモノマー(下記の図式ではM)の重合では、ハロゲン化アルキル(下記の図式ではRX)などの有機ハロゲン化物が遷移金属複合体(下記の図式ではMet+n)と酸化還元反応することによってラジカルが発生する。通常使用する開始剤は、α−ハロエステル(例えば、2−ボロイソ酪酸エチル及び2−ブロモプロピオン酸メチル)又はハロゲン化ベンジル(例えば、臭化1−フェニルエチル及び臭化ベンジル)である。Ru(例えば、グラブス触媒)、Cu、及びFeを基礎とする系などの広範な遷移金属複合体を使用する。Cuを基礎とする系では、2,2’−ジピリジンなどのリガンド及び脂肪族アミンを通常使用して、様々なATRP触媒の溶解性と活性をどちらも制御する。典型的なATRPの機構を、下記の図式によって示す:
Figure 2008506503
本発明の医療器具のコポリマーは、例えば、(a)リビングフリーラジカル重合により重合を開始することができる1つ又は複数の官能基で停止する高分子開始剤を供給するステップと、(b)(i)前記側鎖を含み、フリーラジカル重合可能な末端基をさらに含む高分子モノマー、及び(ii)それぞれが重合可能な不飽和基を含むフリーラジカル重合可能なコモノマー、又はコモノマーの組合せの存在下でリビングフリーラジカル重合反応を行うステップとを含むフリーラジカル法によって合成することができる。好ましくは、末端基は末端不飽和性であり、重合可能なコモノマーは不飽和モノマーである。
本発明のポリマーは又、2,6−ヘプタン二酸ジメチルなどの二官能フリーラジカル開始剤を使用して合成することもでき、その開始剤を使用して、例えば、アクリレートモノマー(例えば、アクリル酸エチル)を重合して、ポリアクリレートの高分子開始剤を形成する。
本明細書において「高分子モノマー」とは、高分子、通常はポリマーであり、しばしば末端基として、それがモノマー分子として働くことを可能にし、単一のモノマー単位だけを最終的な高分子の鎖に付与する反応性基を1つ有する。各高分子モノマーの分子は、高分子モノマーの分子中で唯一のモノマー単位の反応によって最終的なポリマーの主鎖と結合する。高分子モノマーのホモ重合又は共重合によって、櫛形ポリマー又はグラフトポリマーが得られる。例えば、鎖の末端に重合可能な二重結合を有する長鎖ビニルポリマー又はオリゴマー(本明細書において、オリゴマーとは2〜9個の構成単位を含むポリマーである)は、高分子モノマーである。
通常使用されるフリーラジカル開始剤化合物の一部の例には、ヒドロ過酸化物、過酸化ジアセチル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジベンゾイルなどの過酸化物、アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾ化合物、過安息香酸第3ブチル、過酸化ジクミル、及び過硫酸カリウムがある。
高分子開始剤の例には、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、他のポリオレフィン、又はポリアクリレートがあり、すべてが、リビングフリーラジカル重合技術によってその後の重合を開始することができる1つ又は複数の官能基を有する。いくつかの実施形態では、高分子開始剤は、ハロゲン化ベンジル(例えば、塩化ベンジル)又は2−ブロモイソブチレートの末端基を含む単官能又は二官能ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。一般に、ビニル又はシラン(Si−H)の末端基を有するPDMSを、様々なアルケンとヒドロシリル化を介して反応させて、官能基をPDMS鎖の末端に導入する。好ましい一実施形態では、高分子開始剤は、単官能2−ブロモイソブチレートの末端を有するPDMSである。
高分子モノマーの例には、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチルがあり、メタクリル酸アルキル末端ポリスチレンなど、それぞれが重合可能な末端基、例えば、末端不飽和をもたらす基を有する。
コモノマーの例には、不飽和のモノマー又はモノマーの組合せがあり、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルエステルやスチレンなど、それぞれが重合可能な不飽和基を含む。
本発明と併せて使用する医療器具には、本質的には、治療用作用物質の制御放出が所望される任意の医療器具が含まれる。医療器具の例には、植え込み可能な又は挿入可能な医療器具、例えば、カテーテル(例えば、バルーンカテーテルなどの腎又は血管用カテーテル)、ガイドワイヤー、バルーン、フィルター(例えば、大静脈フィルター)、ステント(冠状血管ステント、脳、尿道、尿管、胆管、気管、胃腸管及び食道ステントを含む)、ステントグラフト、脳動脈瘤塞栓コイル(Guglilmi取り外し式コイル及び金属コイルを含む)、代用血管、心筋プラグ、貼布、ペースメーカー及びペースメーカーの導線、心臓弁、生検用器具、並びに身体内に植え込み又は挿入し、それから治療用作用物質が放出する任意の被覆基材(例えば、ガラス、金属、ポリマー、セラミック及びその組合せを含み得る)がある。医療器具の例にはさらに、無傷の皮膚及び傷ついた皮膚(創傷を含む)への治療用作用物質送達用の貼布;縫合糸、縫合糸留め具、吻合クリップ及びリング、組織ステープル、並びに手術部位での結紮クリップ;足関節、膝関節、及び手領域における干渉スクリュー、靭帯接着及び半月板再建用の鋲、骨折部固定用の棒及びピン、頭蓋顎顔面再建用のスクリュー及び板などの整形外科用固定器具;抜歯後の空隙充填材や歯周手術後の誘導型組織再生用薄膜などの歯科用器具;軟骨、骨、皮膚及び他の生体内組織再生のための組織工学用足場がある。
本発明の医療器具は、全身治療、或いは任意の哺乳動物組織又は臓器の局所治療に使用する医療器具を含む。本明細書において、「治療」とは、疾患又は状態の予防、疾患又は状態に関係する症状の軽減又は除去、或いは疾患又は状態の実質的な又は完全な除去を指す。好ましい対象は哺乳動物対象であり、より好ましくはヒト対象である。非限定的な例は、腫瘍;心臓、冠状及び末梢血管系(全体で「脈管構造」と呼ばれる)、肺、気管、食道、脳、肝臓、腎臓、膀胱、尿道及び尿管、眼、腸、胃、膵臓、膣、子宮、卵巣、並びに前立腺を含めた臓器;骨格筋;平滑筋;胸部;皮膚組織;軟骨;骨である。
本発明と併せて使用する医療器具の具体例には、再狭窄を治療するために脈管構造へと治療用作用物質を送達する血管用ステントがある。これらの実施形態では、放出領域は通常、ステント基材の全部又は一部を覆うように提供され、1つ又は複数の運搬層(この場合治療用作用物質は放出層内に配置される)、或いは1つ又は複数の障壁層(この場合放出層は治療用作用物質含有領域を覆うように配置される)の形態である。
「治療用作用物質」、「薬剤として活性のある作用物質」、「薬剤として活性のある物質」、「薬物」、及び他の関連用語は、本明細書において同義的に使用することができ、遺伝的治療用作用物質、非遺伝的治療用作用物質及び細胞を含む。治療用作用物質は、単独で又は組合せで使用することができる。治療用作用物質は、例えば、非イオン性でもよく、或いは、事実上アニオン性及び/又はカチオン性でもよい。
本発明に関連して使用する例示的な非遺伝的治療用作用物質には、(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼやPPack(右旋性フェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの抗血栓剤;(b)デキサメサゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジンやメサラミンなどの抗炎症剤;(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することができるモノクローナル抗体や、チミジンキナーゼ阻害剤などの抗新生物剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤;(d)リドカイン、ブピバカインやロピバカインなどの麻酔剤;(e)D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、アンチトロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤やダニ抗血小板ペプチドなどの抗凝固剤;(f)成長因子、転写活性化因子や翻訳促進因子などの血管細胞増殖促進物質;(g)成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に対する抗体、成長因子及び細胞毒素からなる二官能分子、抗体及び細胞毒素からなる二官能分子などの血管細胞増殖阻害剤;(h)タンパク質キナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリン類似体;(j)コレステロール低下作用物質;(k)アンギオポエチン;(l)トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド系やニトロフラントインなどの抗菌剤;(m)細胞毒性薬、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子;(n)血管拡張剤;(o)内因性の血管作用機構に干渉する作用物質;(p)モノクローナル抗体などの白血球動員の阻害剤;(q)サイトカイン;(r)ホルモン;(s)ゲルダナマイシンを含めた、HSP90タンパク質(すなわち、分子シャペロン又はハウスキーピングタンパク質であり、細胞の増殖及び生存に役割を担う他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性及び機能に必要である熱ショックタンパク質)の阻害剤がある。
好ましい非遺伝的治療用作用物質には、とりわけ、パクリタキセル、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、Epo D、デキサメサゾン、エストラジオール、ハロフジノン、シロスタゾール、ゲルダナマイシン、ABT−578(Abbott Laboratories)、トラピジル、リプロスチン(liprostin)、アクチノマイシンD、Resten−NG、Ap−17、アブシキシマブ、クロピドグレル及びリドグレルがある。
本発明に関連して使用する例示的な遺伝的治療用作用物質には、アンチセンスDNA及びRNA、並びに様々なタンパク質をコードするDNA(並びにタンパク質それ自体)がある:(a)アンチセンスRNA、(b)欠陥のある又は欠損した内因性分子を置換するtRNA又はrRNA、(c)酸性及び塩基性の線維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、内皮分裂促進成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α及びβ、血小板由来内皮成長因子、血小板由来成長因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子並びにインスリン様成長因子などの成長因子を含めた血管新生及び他の因子、(d)CD阻害剤を含めた細胞周期阻害剤、(e)細胞増殖の干渉に有用なチミジンキナーゼ(「TK」)及び他の作用物質。BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(OP−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、及びBMP−16を含めた、骨形成タンパク質(「BMP」)のファミリーをコードするDNAも対象となる。現在のところ好ましいBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6及びBMP−7のいずれかである。これらのダイマータンパク質は、ホモダイマー、ヘテロダイマー、又はその組合せとして、単独で又は他の分子と一緒に提供することができる。或いは、又はさらに、BMPの上流又は下流の効果を誘導することができる分子を提供することもできる。そのような分子には、任意の「ヘッジホッグ」タンパク質、又はそれらをコードするDNAがある。
遺伝的治療用作用物質の送達用ベクターには、アデノウイルス、guttedアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、αウイルス(Semliki Forest、Sindbisなど)、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、自己複製能を有するウイルス(例えば、ONYX−015)やハイブリッドベクターなどのウイルスベクター;並びに人工染色体及びミニ染色体、プラスミドDNAベクター(例えば、pCOR)、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI))、グラフトコポリマー(例えば、ポリエーテル−PEI及びポリエチレンオキシドPEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)などの中性ポリマー、SP1017(SUPRATEK)、カチオン性脂質などの脂質、リポソーム、リポプレックス(lipoplex)、ナノ粒子や微小粒子などの非ウイルスベクターがあり、タンパク質導入ドメイン(PTD)などの標的配列を有するもの及び有さないものがある。
本発明に関連して使用する細胞には、全骨髄、骨髄由来の単核細胞、前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間葉、血液、神経)、多能性幹細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、周皮細胞、心筋細胞、骨格筋細胞又はマクロファージを含めたヒト由来の細胞(自己又は同種異系)、或いは動物、細菌又は菌類源由来の細胞(異種)があり、必要なら、対象とするタンパク質を送達するようにそれを遺伝子工学で製造することができる。
必ずしも上記に列挙したものを除くわけではないが、多数の治療用作用物質が、血管の治療法の候補として、例えば、再狭窄を標的とする作用物質として同定されてきた。そのような作用物質は、本発明の実施に有用であり、それには1つ又は複数の下記のものが含まれる:(a)ジルチアゼムやクレンチアゼムなどのベンゾチアザピン系、ニフェジピン、アムロジピンやニカルダピンなどのジヒドロピリジン系、及びベラパミルなどのフェニルアルキルアミン系を含めたCa−チャネル遮断薬、(b)ケタンセリンやナフチドロフリルなどの5−HTアンタゴニスト、並びにフルオキセチンなどの5−HT取り込み阻害剤を含めたセロトニン経路調節因子、(c)シロスタゾールやジピリダモールなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリンなどのアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ刺激剤、並びにアデノシン類似体を含めた環状ヌクレオチド経路作用物質、(d)プラゾシンやブナゾシンなどのα−アンタゴニスト、プロプラノロールなどのβ−アンタゴニスト、及びラベタロールやカルベジロールなどのα/β−アンタゴニストを含めたカテコールアミン調節因子、(e)エンドセリン受容体アンタゴニスト、(f)ニトログリセリン、硝酸イソソルビドや亜硝酸アミルなどの有機硝酸エステル/亜硝酸エステル、ニトロプルシドナトリウムなどの無機ニトロソ化合物、モルシドミンやリンシドミンなどのシドノンイミン、ジアゼニウムジオレート(diazenium diolate)などのノノエート(nonoate)、アルカンジアミンのNO付加物、低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオン及びN−アセチルペニシラミンのS−ニトロソ誘導体)及び高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴサッカリド、ポリサッカリド、合成ポリマー/オリゴマー及び天然ポリマー/オリゴマーのS−ニトロソ誘導体)を含むS−ニトロソ化合物、並びにC−ニトロソ化合物、O−ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物及びL−アルギニンを含めた一酸化窒素供与体/放出分子、(g)シラザプリル、フォシノプリルやエナラプリルなどのACE阻害剤、(h)サララシンやロサラチンなどのATII受容体アンタゴニスト、(i)アルブミンやポリエチレンオキシドなどの血小板粘着阻害剤、(j)シロスタゾール、アスピリン及びチエノピリジン系(チクロピジン、クロピドグレル)、並びにアブシキシマブ、エピチフィバチド(epitifibatide)やチロフィバンなどのGPIIb/IIIa阻害剤を含めた血小板凝集阻害剤、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストランやテトラデカ硫酸β−シクロデキストリン(β-cyclodextrin tetradecasulfate)などのヘパリン類似物質、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−phe−L−プロピル−L−arg−クロロメチルケトン)やアルガトロバンなどのトロンビン阻害剤、アンチスタチン(antistatin)やTAP(ダニ抗凝固ペプチド)などのFXa阻害剤、ワーファリンなどのビタミンK阻害剤、並びに活性化プロテインCを含めた凝固経路調節因子、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンやスルフィンピラゾンなどのシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、(m)デキサメサゾン、プレドニゾロン、メスプレドニゾロン(methprednisolone)やヒドロコルチゾンなどの天然及び合成コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアヤレチック酸やコーヒー酸などのリポキシゲナーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(p)E−セレクチン及びP−セレクチンのアンタゴニスト、(q)VCAM−1及びICAM−1の相互作用の阻害剤、(r)PGE1やPGI2などのプロスタグランジン、及びシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロストやベラプロストなどのプロスタサイクリン類似体を含めたプロスタグランジン及びその類似体、(s)ビスホスホネートを含めたマクロファージ活性化防止剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチンやセリバスタチンなどのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(u)魚油及びω−3−脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンC及びE、エブセレン、トランスレチノイン酸やSOD模倣物などのフリーラジカルスカベンジャー/抗酸化剤、(w)bFGFの抗体やキメラ融合タンパク質などのFGF経路作用物質、トラピジルなどのPDGF受容体アンタゴニスト、アンギオペプチンやオクレオチドなどのソマトスタチン類似体を含むIGF経路作用物質、ポリアニオン性作用物質(ヘパリン、フコイジン)、デコリンやTGF−β抗体などのTGF−β経路作用物質、EGFの抗体、受容体アンタゴニストやキメラ融合タンパク質などのEGF経路作用物質、サリドマイドやその類似体などのTNF−α経路作用物質、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベンやリドグレルなどのトロンボキサンA2(TXA2)経路調節因子、並びにチロホスチン、ゲニステインやキノキサリン誘導体などのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含めた種々の成長因子に影響を及ぼす作用物質、(x)マリマスタット、イロマスタットやメタスタットなどのMMP経路阻害剤、(y)サイトカラシンBなどの細胞運動阻害剤、(z)プリン類似体(例えば、6−メルカプトプリン、又は塩素化プリンヌクレオチド類似体であるクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビン及び5−フルオロウラシル)やメトトレキサートなどの代謝拮抗物質、窒素マスタード、スルホン酸アルキル、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソ尿素、シスプラチン、微小管の動態に影響を及ぼす作用物質(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセル及びエポチロン)、カスパーゼ活性化因子、プロテアソーム阻害剤、血管新生阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチン及びスクワラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール及びスラミンを含めた抗増殖剤/抗新生物剤、(aa)ハロフジノン又は他のキナゾリノン誘導体やトラニラストなどのマトリックス沈着/組織化経路阻害剤、(bb)VEGF及びRGDペプチドなどの内皮形成促進物質、(cc)ペントキシフィリンなどの血流調節物質。
本発明の実施に有用な多数のさらなる治療用作用物質は又、NeoRx Corporationに譲渡された米国特許第5,733,925号中でも開示され、その開示全体は参照により組み込まれている。
治療用作用物質には又、アブレーション剤も含まれ、その十分な量によって、悪性腫瘍組織や前立腺組織などの望ましくない組織の壊死(死滅)が生じる。その例には、浸透圧ストレス発生作用物質、例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩;有機溶媒、特に、高濃度では毒性であるが、低濃度では十分に耐用性があるエタノールなどの溶媒;フリーラジカル発生作用物質、例えば、過酸化水素、過酸化カリウム、又は組織中でフリーラジカルを形成することができる他の作用物質;水酸化ナトリウムなどの塩基性作用物質;酢酸やギ酸などの酸性作用物質;コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、プロナーゼやパパインなどの酵素;次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素や過酸化カリウムなどの酸化剤;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドやグルタルアルデヒドなどの組織固定剤;並びにゲングピン(gengpin)などの天然に存在する凝固剤がある。
本発明の剤形に関連して広範囲の治療用作用物質の充填量を使用することができ、薬剤として有効な量は当業者によって容易に決定され、最終的には、例えば、治療する条件、治療用作用物質自体の性質、剤形を導入する組織などに依存する。
本発明の医療器具に関連して広範囲の治療用作用物質の充填量を使用することができ、薬剤として有効な量は当業者によって容易に決定され、最終的には、例えば、治療する条件、患者の年齢、性別及び状態、治療用作用物質の性質、(複数の)放出領域の性質、医療器具の性質などに依存する。
ポリ(メタクリル酸メチル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーの(複数の)末端ブロックを有するポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーの合成
本発明に従ったコポリマー、例えば、低Tブロックとグラフトコポリマー末端ブロックとを含むコポリマーを、末端不飽和を有する(高分子モノマーの)ポリマー及び不飽和官能基を有するコモノマーのリビングフリーラジカル共重合によって製造する。具体的には、塩化ベンジル又は2−ブロモイソブチレートの末端基を含む単官能及び二官能PDMSからのアクリレート及びメタクリレートの重合から、ジブロック及びトリブロックコポリマーをPDMS高分子開始剤から製造する。
モノ及びジ水素化物末端(Mono- and di-hydride-terminated)PDMS並びに異なる種類の末端基を有する他のテレケリックPDMS化合物は、重合物の濃縮によって容易に製造され、市販されている。シリコーン高分子開始剤は、以前に、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれているY. Nakagawaら、Polymer, 1998; 39(21):5163-5170に記載のように、塩化ビニルベンジルを有するヒドロシリル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest)(Mn=4500〜33,900;Mw/Mn=1.2〜2.4)のヒドロシリル化によって製造する。具体的には、ビニル末端基を有する二官能PDMS(Mw=9800;Mw/Mn=2.4)を[2−[4−(クロロメチル)フェニル]エチル]−ジメチルシランと反応させて、塩化ベンジル官能PDMSを得る。
或いは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれているP. Miller及びJ. Matyjaszewski、Macromolecules, 1999; 32(26):8760-8767に記載のように、空気下でのヒドロシリル末端PDMSのヒドロシリル化を、テトラヒドロフランを溶媒として使用して、2−ブロモイソ酪酸アリル又は2−ブロモイソ酪酸3−ブテニルで行って、2−ブロモイソブチレートの末端基を有する単官能及び二官能PDMSを形成する。
2−ブロモイソブチレートがスチレン、アクリレート、及びメタクリレートの重合について効率のよい開始剤であるので、この官能基を含む高分子開始剤をリビングフリーラジカル重合技術で使用する。テトラヒドロフラン/トリエチルアミン溶液中でアリルアルコールと臭化2−ブロモイソ酪酸をエステル化することによって、2−ブロモイソ酪酸アリルを合成する。還流下、テトラヒドロフラン中のカールシュテット(Karstedt)触媒の存在下で、二官能ヒドロシリル末端PDMSでヒドロシリル化する際にこの化合物を使用する。これらの高分子開始剤を使用して、ATRPにより様々なモノマーを重合することができる。異なる分子量の高分子開始剤を使用して、これらのコポリマーの合成を変化させることもできる。
例えば、ポリ(スチレン)側鎖を有するポリ(メタクリル酸メチル)主鎖からなる、PDMSの中間ブロック及び末端ブロックを有するコポリマーは、下記の方法によって製造することができる。二官能2−ブロモイソブチレート末端PDMSを使用して、メタクリル酸メチルモノマーとメタクリレート末端ポリスチレンの共重合を開始する。二官能2−ブロモイソブチレート末端PDMSを塩化銅(CuCl)及びトルエン入りのフラスコに入れる。メタクリル酸メチル及びメタクリレート末端ポリスチレンもフラスコに入れる。系を窒素でパージすることによって、溶液を不活性雰囲気下に置く。窒素パージ後に均質な触媒(dnNbpy)を系に添加する。窒素とともに散布することによって溶液から酸素を除去する。重合を90℃で行う。
ポリ(メタクリル酸メチル)−グラフト−ポリスチレンコポリマーの(複数の)末端ブロックを有するポリオレフィンブロックコポリマーの合成
当業者には容易に理解されるであろうが、末端ブロックが低T主鎖を含むグラフトコポリマーである配合されたコポリマーは、二官能末端ポリオレフィンを使用して形成することができる。例えば、ポリオレフィンコポリマーは、ジデオキシ末端ポリ(オレフィン)と臭化2−ブロモイソ酪酸を反応させることによって製造することができる。これによって、α−ブロモエステル基を有する高分子開始剤が形成される。これらのα−ブロモエステル基を使用して、メタクリル酸メチルモノマーとメタクリレート末端ポリスチレンの共重合を開始することができる。ポリ(メタクリル酸メチル)は末端ブロックの主鎖を含み、メタクリレート末端ポリスチレンは末端ブロックの側鎖を形成する。この重合は、原子移動ラジカル重合技術又は他の制御/リビングラジカル重合法によって行われる。
本明細書において様々な実施形態を具体的に示し説明してきたが、本発明の改変及び変更が、上記の教示によって包含され、本発明の趣旨及び意図された範囲から逸脱することなく添付した特許請求の範囲内にあることが理解されるであろう。

Claims (34)

  1. (a)放出領域と、(b)前記放出領域内又はその下に配置される治療用作用物質とを含む医療器具であって、前記放出領域が、(i)低Tブロックと、(ii)グラフトコポリマー末端ブロックとを含むコポリマーを含み、前記グラフトコポリマー末端ブロックが、主鎖と複数の側鎖とを含む、医療器具。
  2. 前記コポリマーが、(a)リビングフリーラジカル重合により重合を開始することができる1以上の官能基で停止する高分子開始剤を供給するステップと、(b)(i)前記側鎖を含み、フリーラジカル重合可能な末端基をさらに含む高分子モノマー、及び(ii)フリーラジカル重合可能なコモノマーの存在下でリビングフリーラジカル重合反応を行うステップとを含む方法によって製造される、請求項1記載の器具。
  3. 前記フリーラジカル重合可能な末端基が末端不飽和性であり、重合可能なコモノマーが不飽和モノマーである、請求項2記載の器具。
  4. 高分子モノマーが、それぞれがフリーラジカル重合可能な末端基を有するポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチルから選択される、請求項2記載の器具。
  5. 高分子モノマーが、メタクリル酸アルキル末端ポリスチレンを含む、請求項2記載の器具。
  6. コモノマーが、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルエステル、シロキサン又はスチレンである、請求項2記載の器具。
  7. 高分子開始剤が、それぞれがフリーラジカル重合可能な末端基を有するポリシロキサン、ポリアクリレート、又はポリオレフィンから選択される、請求項2記載の器具。
  8. 高分子開始剤が、フリーラジカル重合可能な末端基を有するポリジメチルシロキサン、及びフリーラジカル重合可能な末端基を有するポリイソブチレンから選択される、請求項2記載の器具。
  9. 放出領域が、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン、又はスチレン無水マレイン酸コポリマーを含む補助ポリマーをさらに含む、請求項1記載の器具。
  10. 前記低Tブロックが、ポリアクリレートブロック、ポリメタクリレートブロック、ポリ(ビニルエーテル)ブロック、ポリエステルブロック、ポリアルケンブロック、ポリ(ハロゲン化アルケン)ブロック、及びポリ(シロキサン)ブロックから選択される、請求項1記載の器具。
  11. 前記低Tブロックが、生体安定性のあるポリマーブロックである、請求項1記載の器具。
  12. 前記低Tブロック、前記グラフトコポリマー末端ブロックの前記主鎖、又はその両方がポリオレフィンブロックを含む、請求項1記載の器具。
  13. 前記ポリオレフィンブロックが、ポリイソブチレンブロックである、請求項12記載の器具。
  14. 前記グラフトコポリマー末端ブロックの前記主鎖又は前記側鎖が、生体内崩壊可能なポリマーブロックを含む、請求項1記載の器具。
  15. 前記グラフトコポリマー末端ブロックが、生体内崩壊可能なポリエステルブロックを含む、請求項1記載の器具。
  16. グラフトコポリマー末端ブロックが、ポリ(グリコール酸)ブロック、ポリ(乳酸)ブロック、ポリ(乳酸)ブロック、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)ブロック、ポリカプロラクトンブロック、及びその組合せからなる群から選択される生体内崩壊可能なポリエステルブロックを含む、請求項1記載の器具。
  17. 前記コポリマーが、ポリアルケン中間ブロックと、それぞれが生体内崩壊可能なポリエステルブロックを含む複数のグラフトコポリマー末端ブロックとを含む、請求項1記載の器具。
  18. 前記低Tブロックが、ポリイソブチレンブロック又はポリシロキサンブロックを含む、請求項1記載の器具。
  19. 前記コポリマーが、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、星形コポリマー、及び樹状コポリマーからなる群から選択される、請求項1記載の器具。
  20. 前記グラフトコポリマー末端ブロックが、ポリアルケンの主鎖と、複数の生体安定性のあるポリマーの側鎖とを含む、請求項1記載の器具。
  21. 前記放出領域が、前記治療用作用物質を含む運搬領域である、請求項1記載の器具。
  22. 前記放出領域が、前記治療用作用物質を含む治療用作用物質含有領域を覆うように配置される障壁領域である、請求項1記載の器具。
  23. 前記放出領域が、前記医療器具の全部又は一部を覆う被覆層の形態である、請求項1記載の器具。
  24. 前記医療器具が、植え込み可能な又は挿入可能な医療器具である、請求項1記載の器具。
  25. 前記植え込み可能な又は挿入可能な医療器具が、カテーテル、ガイドワイヤー、バルーン、フィルター、ステント、ステントグラフト、代用血管、血管用貼布及びシャントから選択される、請求項1記載の器具。
  26. 前記植え込み可能な又は挿入可能な医療器具が、冠状血管系、末梢血管系、食道、気管、結腸、胆管、尿路、前立腺又は脳への植え込み又は挿入に適合する、請求項1記載の器具。
  27. 前記治療用作用物質が、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗遊走剤、細胞外マトリックス産生及び組織化に影響を及ぼす作用物質、抗新生物剤、抗有糸分裂剤、麻酔剤、抗凝固剤、血管細胞増殖促進物質、血管細胞増殖阻害剤、コレステロール低下作用物質、血管拡張剤、及び内因性の血管作用機構に干渉する作用物質からなる1以上の群から選択される、請求項1記載の器具。
  28. 前記低Tブロック、前記グラフトコポリマー末端ブロック、又はその両方が、1つ又は複数の疎水性のポリマー鎖を含む、請求項1記載の器具。
  29. 前記低Tブロック、前記グラフトコポリマー末端ブロック、又はその両方が、1つ又は複数の親水性のポリマー鎖を含む、請求項1記載の器具。
  30. 請求項1記載の医療器具を形成する方法であって、(a)(i)溶媒系及び(ii)前記コポリマーを含む溶液を供給するステップと、(b)前記溶液から前記溶媒系を除去することによって前記溶液から前記放出領域を形成するステップとを含む、前記方法。
  31. 前記溶液がさらに、溶解形態又は分散形態で治療用作用物質を含む、請求項30記載の方法。
  32. 前記治療用作用物質を含む治療用作用物質含有領域を覆うように前記溶液を塗布する、請求項30記載の方法。
  33. 前記放出領域が、噴霧工程を含む技術によって形成される、請求項30記載の方法。
  34. 前記グラフトコポリマー末端ブロックが、(a)ポリ(メタクリル酸アルキル)、ポリ(アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリシロキサン及びポリスチレンから選択される主鎖と、(b)ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル、及びポリスチレンから選択される複数の側鎖とを含む、請求項1記載の器具。
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