JP2008506493A - 活性物質が表面に結合している修飾された導電性表面およびその使用 - Google Patents
活性物質が表面に結合している修飾された導電性表面およびその使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008506493A JP2008506493A JP2007522120A JP2007522120A JP2008506493A JP 2008506493 A JP2008506493 A JP 2008506493A JP 2007522120 A JP2007522120 A JP 2007522120A JP 2007522120 A JP2007522120 A JP 2007522120A JP 2008506493 A JP2008506493 A JP 2008506493A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- article
- agent
- manufacture
- group
- conductive surface
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D5/00—Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
- C09D5/44—Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes for electrophoretic applications
- C09D5/4476—Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes for electrophoretic applications comprising polymerisation in situ
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/28—Materials for coating prostheses
- A61L27/34—Macromolecular materials
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/50—Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
- A61L27/54—Biologically active materials, e.g. therapeutic substances
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L31/00—Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
- A61L31/08—Materials for coatings
- A61L31/10—Macromolecular materials
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L31/00—Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
- A61L31/14—Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
- A61L31/16—Biologically active materials, e.g. therapeutic substances
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y30/00—Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L2300/00—Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices
- A61L2300/60—Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices characterised by a special physical form
- A61L2300/62—Encapsulated active agents, e.g. emulsified droplets
Abstract
金属表面を被覆するためのおよび/または金属表面に活性物質を結合するための新規なプロセス、被覆された金属表面および/または表面に結合された活性物質を有する物体、ならびに、埋め込み可能なデバイスの調製におけるそれらの使用が開示される。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
Description
本発明は、様々な物体の修飾された表面およびその使用に関連し、より具体的には、有機膜および/または治療剤を効率的に表面に結合するために利用することができ、従って、様々な医学用途および他の用途において有益に使用することができるそのような修飾された表面に関連する。
医学の分野では、金属構造体が様々な目的のために身体内に埋め込まれることが多い。そのような金属構造体には、例えば、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプおよび心臓弁が含まれる。生体内に埋め込まれた金属に関連する1つの問題はその生体適合性であり、より具体的には、金属インプラントの血液適合性および組織適合性である。インプラントは、典型的には、凝固因子(例えば、タンパク質および血小板)の活性化がインプラントによって穏やかに誘導されるだけであるときには血液適合性であると見なされ、細胞増殖および慢性的炎症がインプラントによって過度に誘導されないときには組織適合性であると見なされる。
しかしながら、多くの適用において、金属表面は、その親水性的性質のために、究極的には、周りの組織および流体から吸着した生物学的物質(特に、タンパク質)の層により覆われる。生物学的物質の吸着した層は、血栓および炎症をはじめとする望ましくない生物学的反応の原因であると示唆されている。病原性細菌は、病原性細菌が金属表面に直接に付着しているか、または、吸着した層によって引き寄せられるかのいずれであっても、そのようなデバイスの表面にコロニーを形成する傾向があり、これにより、デバイスを様々な感染の中心にしている。従って、金属表面の親水性的性質は、インプラントが失敗することの直接的な原因である。インプラントの失敗は医学的に有害であり、死に至る可能性があり、また、しばしば、不快で、危険で、かつ、費用のかかるさらなる手術を必要とする。
数多くの方策が、これらの欠点を克服するために開発されており、その主要かつ共通する目標は、金属表面の親水性的性質を改変することである。そのような方策の詳細およびこれらの総説が、例えば、米国特許第5,069,899号、同第6,617,142号、同第4,979,959号、同第3,959,078号、同第4,007,089号、同第5,024,742号および同第5,024,742号に見出される。
金属インプラントに関連する望ましくない生物学的反応を最小限に抑えるための1つの方策が、金属表面を、保護的な細胞層の成長のための下地を提供する生体分子により被覆することである。使用される生体分子には、例えば、増殖因子、細胞付着タンパク質および細胞付着ペプチドが含まれる。1つの関連した方策が、望ましくない生物学的反応を低下させる分子または活性な医薬成分(例えば、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗炎症剤および抗菌剤など)を結合することである。
数多くの方法が、生体分子および他の有益な物質(以降、これらはまとめて「活性物質」と呼ばれる)を金属表面に結合し、その結果、金属の生体適合性を増大させるために提供されている。
1つの方法では、連結成分を金属表面に共有結合的に結合し、その後、所望する活性な成分を連結成分に共有結合的に結合することが伴う。リンカーを介した共有結合性の結合によって金属表面に結合している1つの活性な成分が抗凝固剤のヘパリンである。Hepacoat(商標)ステント(Cordis、Johnson and Johnson社)では、ヘパリンがステント表面に共有結合的に結合しており、埋め込み後もステントに結合したままである。所望の効果が血流における相互作用によって生じる。
別の方法では、金属表面を、活性な成分とのイオン結合を形成するように構成された層により被覆することが伴う。例えば、米国特許第4,442,133号は、抗生物剤とのイオン結合を形成するトリドデシルメチルアンモニウムクロリド層を教示する。米国特許第5,069,899号は、アニオン性ヘパリンがイオン結合により結合する層によって被覆された金属表面を教示する。
別の方法では、金属表面をポリマーにより被覆し、生物活性剤をポリマー内に閉じ込めることが伴う。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー被覆から拡散し、これにより所望の効果を生じさせる。例えば、Cypher(商標)ステントでは、細胞増殖抑制剤のSirolimus(Wyeth Pharmaceuticals)が、ステントを被覆するポリマー層に閉じ込められている。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー層から拡散し、これにより、ステント上での組織の成長を制限する。そのようなインプラントの欠点は、ポリマー被覆からの活性な医薬成分の拡散速度が制御不能または予測不能であることである。さらに、この方策は、ポリマーに効率的に捕捉され得るが、それにもかかわらず、生理学的条件下において妥当な速度で溶出することが可能であり得る活性な医薬成分に限定される。
電解重合可能なモノマーを使用して導電性表面(例えば、金属表面など)を被覆することは、被覆された金属表面の物理的性質および化学的性質を、電気化学的な重合プロセスのパラメーターを制御することによって制御することが可能であるので、非常に好都合である。様々な電解重合可能なモノマーがこの分野では知られており、これらには、例えば、アニリン系、インドール系、ナフタレン系、ピロール系およびチオフェン系のモノマーが含まれる。電解重合条件下において表面の近傍で酸化されたとき、そのような化合物は重合して、約15ミクロンまでの厚さのポリマー薄膜を形成する。そのようなポリマー薄膜は、表面に共有結合的に結合していないが、典型的には、表面に存在する割れ目、すき間および穴を埋めることによって表面に結合する。この薄膜は比較的容易に剥離し得るが、注意して扱えば、薄膜は表面に結合したままである。そのような薄膜は、金属表面に対する保護層としてこの分野では広く使用されており、例えば、バイオセンサーとして使用されている(例えば、米国特許第4,548,696号を参照のこと)。
電解重合薄膜によって活性物質が負荷された埋め込み可能な医療デバイスが教示されている。例えば、国際特許出願公開WO99/03517(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを金属表面にイオン結合することを教示する。Journal of Biomedical Materials Research、第44巻、1999、121頁〜129頁には、ヘパリンを金属表面にイオン結合することが教示される。
国際特許出願公開WO01/39813(これもまた、本明細書中に全体が示されるかのように参考として本明細書中に組み込まれる)は、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を重合前に電解重合可能なポリマーに共有結合的に結合することによって、また、電解重合による薄膜生成の後、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を共有結合的またはイオン的に結合するために使用される官能基を有する電解重合可能なモノマーを提供することによって、活性な医薬成分を、電解重合可能なモノマーを使用して表面に結合することを教示する。
従って、医療用金属構造体の表面を修飾すること、その結果、そのような構造体の生体的適合性を高め、かつ、さらなる治療特性をそのような構造体に与えるようにすることは非常に好都合であることが広く認識されている。先行技術では、様々な方策が、金属の埋め込み可能なデバイスに関連する制限を克服するために教示されるが、これらは、典型的には、活性物質を直接的または間接的のいずれかで金属表面に結合することを伴う。後者には、活性物質を様々な化学的相互作用(例えば、共有結合性の結合またはイオン結合の形成、封入など)によってリンカー分子またはポリマーに結合することが含まれる。しかしながら、現在知られている方策は、活性物質、活性物質が結合するリンカーまたはポリマーの、金属表面への不良な付着によって制限される。
従って、上記の制限を有さない、有機分子(例えば、活性物質および/または有機膜)が表面に結合している金属表面が必要であることが広く認識されており、また、そのような金属表面を有することは非常に好都合である。
本発明の1つの態様によれば、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を含む製造物品が提供され、この場合、導電性表面は、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、この少なくとも1つの活性物質は導電性表面に電気化学的に結合している。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この物体は医療用デバイスであり、具体的には、埋め込み可能なデバイスであり、例えば、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、注入口および心臓弁などである。好ましくは、埋め込み可能なデバイスはステントである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は少なくとも1つの金属またはその合金を含む。金属は、例えば、鉄、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、タンタル、白金、金、銀、銅、および、これらの任意の組合せが可能である。好ましくは、導電性表面はステンレス鋼を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この生物活性剤は治療活性剤および/または標識薬剤である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を表面に電気化学的および/または非電気化学的に結合することによって修飾される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの有機物質は、導電性表面における自己集合した単層を形成する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの機能的成分は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、ピロール、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、電気的結合可能な基と、活性物質と相互作用することができる機能的成分とを含む少なくとも1つの有機物質を表面に電気化学的に結合することによって電気化学的に修飾される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この有機物質はさらに、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この有機物質は、脂肪酸、および、官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、有機シランを表面に結合することによって非電気化学的に修飾される。
好ましくは、この有機シランは、一般式:XmSiR(4−m)(式中、mは1〜3の整数であり、Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である)を有する。好ましくは、炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は導電性表面に電気化学的に結合する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合ポリマーである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合している本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この共重合体は、それに結合している本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウム、フタロシアニン、その誘導体、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。
本発明による好ましい製造物品は、導電性表面と、この導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの有機物質の自己集合した単層とを有する物体を含み、この場合、有機物質は電気的結合可能な基を含み、かつ、自己集合した単層は導電性表面に電気化学的に形成される。
本発明の別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるように、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を調製する方法が提供される。この方法は、導電性表面を有する物質を提供すること;導電性表面を電気化学的または非電気化学的に修飾し、それにより、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面を有する物体を提供すること;および、この活性物質と、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面とを接触させることを含む。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾は、本明細書中上記に記載されるように、電気的結合可能な基と、活性物質と相互作用することができる機能的成分とを含む少なくとも1つの有機物質を導電性表面に電気化学的に結合することによって行われる。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾は、本明細書中上記に記載されるように、活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む本明細書中に詳述されるような少なくとも1つの有機シランを導電性表面に結合することによって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面を有する物体と、活性物質とを反応させることによって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面の内部において活性物質を膨潤することによって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質はポリマーであり、かつ、接触が、ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に重合することによって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合可能なポリマーであり、かつ、接触が、ポリマーに対応する電解重合可能なモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に重合することによって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、活性物質を、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に吸収することによって行われる。
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるように、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を調製する別の方法が提供される。この方法は、導電性表面を有する物質を提供すること;および、電気的結合可能な基を有する少なくとも1つの活性物質を導電性表面に電気化学的に結合することを含む。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この方法はさらに、本明細書中上記に記載されるように、電気化学的に結合する前に、導電性表面を修飾し、それにより、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する導電性表面を有する物体を提供することを含む。
本発明のなおさらに別の態様によれば、医療デバイスを埋め込むことが有益である医学的状態を有する対象を治療する方法が提供される。この方法は、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質とを有する医療デバイス(この場合、導電性表面は、本明細書中上記で記載されるように、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、少なくとも1つの活性物質が導電性表面に電気化学的に結合している)を提供すること、および、医療デバイスを対象の体内に埋め込み、それにより、医学的状態を治療することを含む。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、医学的状態は、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される。
本発明のさらなる態様によれば、導電性表面を有する少なくとも1つの医療デバイスを被覆するためのシステムが提供され、この場合、このシステムは、稼動可能な配置において、医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイスと、運搬装置と、運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴とを含み、運搬装置は、この少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、この少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築されており、また、さらに、第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、第2の浴は活性物質溶液の浴である。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾用の浴は、活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合ポリマーであり、かつ、第2の浴は電解重合浴である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの医療デバイスは少なくとも1つのステントアセンブリーである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、運搬装置に沿って配置された少なくとも1つのさらなる浴を含み、この場合、運搬装置は、所定の期間、この少なくとも1つのさらなる処理浴の中にこの少なくとも1つの保持デバイスを置くように設計および構築されている。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つのさらなる処理浴は、前処理浴、洗浄浴、すすぎ洗浄浴、電解重合浴、化学重合浴および第2の活性物質溶液浴からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、この少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの保持デバイスは、この少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体と、電極構造体が穴あき封入体と係合し、従って、電場を穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップとを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、穴あき封入体は、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、電解重合浴は、電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ、外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、運搬装置は、この少なくとも1つの保持デバイスをこの少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、この少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームを含む。
本発明は、安定かつ一様な付着性の被覆をもたらす、金属表面を被覆するための新規なプロセスを提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
本明細書中で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、最終結果に影響しない他の工程および成分が加えられ得ることを意味する。この用語は、用語「からなる(consisting of)」および用語「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、主張される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。
用語「方法(method)」又は「プロセス(process)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、単数形態(“a”、“an”および“the”)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲にある/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は100mV・sec−1の適応された走査速度を用いた、0.1mMのデカン酸および0.1MのTBATFBのアセトニトリル溶液における316Lステンレス鋼の1回目および2回目のサイクリックボルタンモグラムを示す。
図2は裸の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1mMのパルミチン酸および0.1MのTBATFBのACN溶液において電気化学的に修飾された、1サイクル後の316Lステンレス鋼電極(b)、5サイクル後の316Lステンレス鋼電極(c)、および、10サイクル後の316Lステンレス鋼電極(d)を用いて、100mV・sec−1の走査速度を加えながら記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリーを示す。
図3は裸の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACNおよび0.1mMのデカン酸(b)、ミリスチン酸(c)およびパルミチン酸(d)において10サイクルにわたって電気化学的に修飾された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図4は研磨されたばかりの316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(b)、および、研磨され、周囲条件下で1日間放置された316Lステンレス鋼電極(c)を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図5は10mV・sec−1(a)、100mV・sec−1(b)、200mV・sec−1(c)、500mV・sec−1(d)、1000mV・sec−1(e)および2000mV・sec−1(f)の走査速度で、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(挿入図には、走査速度の平方根の関数としてのピーク電流の依存性が示される)(図5a)、および、走査速度の対数の関数としての陽極ピーク電位(図5b)を示す。
図6は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(左向き三角)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(四角)、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(丸)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(上向き三角)、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(下向き三角)、および、0.1mMのステアリン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(菱形)についての、0.1MのNaNO3溶液において測定された電位の関数としての二重層静電容量を示す。
図7は酸(デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)の長さの関数としての、図6に例示される二重層静電容量の逆数の依存性を示す。
図8は0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(実線)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(二点鎖線)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(破線)のC−H伸縮領域の反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図9はパルミチン酸により処理された316Lステンレス鋼表面のカルボニル伸縮領域の反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図10は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(1として示される)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(2として示される)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(3として示される)のFe2p3/2およびFe2p1/2の高分解能XPSスペクトル(図10a)ならびにO1sの高分解能XPSスペクトル(図10b)を示す。
図11はピロールの電解重合を行った後の裸の316Lステンレス鋼プレート(図11a、右側)、および、それを用いた碁盤目テープ接着試験の後で得られたパーマセル(permacel)99テープ(図11a、左側)、ならびに、デカン酸の存在下でのSAM形成、その後、ピロールの電解重合に供された316Lステンレス鋼電極(図11b、右側)、および、それを用いた碁盤目テープ接着試験の後で得られたパーマセル99テープ(図11b、左側)を示す写真である。
図12は裸の316Lステンレス鋼プレート(図12a)、アセトニトリルにおける0.1Mのピロールにおいて100mV・s−1の走査速度でAg|AgBrに対して−0.8V〜1.25Vの間で10回電位を走査することによってポリピロールにより電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12b)、および、デカン酸の存在下でのSAM形成に供され、洗浄され、その後、ポリピロールが電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12c)のSEM顕微鏡写真を示す。
図13は316Lステンレス鋼プレート上に形成された12−アミノドデカン酸SAMの概略的例示(図13a)、および、12−アミノドデカン酸により処置された316Lステンレス鋼プレートのXPSスペクトル(図13b)を示す。
図14は本発明の好ましい実施形態に従って表面官能基化ナノ粒子の調製において使用されたピロール官能基化共重合体の1H−NMRスペクトルを示す。
図15はデカン酸で前処理され、かつ、ピロール置換ナノ粒子によって電気被覆された316LステンレスプレートのSEM顕微鏡写真を示す(図15a〜図15c)。
図16はデカン酸SAMおよびピロール置換ナノ粒子が電気被覆されたステンレス鋼316LMステント(STI、イスラエル、12×1mm)のSEM顕微鏡写真を示す(図16a〜図16d)。
図17は12−アミノドデカン酸で前処理され、PLA粒子が静電的に結合している316Lステンレスプレート(これは、分散された粒子を含有する緩衝液溶液との室温での前処理プレートのインキュベーションによって調製された)のSEM顕微鏡写真を示す(図17a〜図17d)。
図18はポリ(ブチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(青色)、および、ポリ(エチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(紫色)からのタキソールの放出を明らかにする比較プロットを示す。
図19は本発明の好ましい実施形態に従った金属表面上でのビオチン−アビジン複合体の形成の概略的例示を示す。
図20は本発明の好ましい実施形態に従ってステンレス鋼表面に形成された例示的な有機シランのSAMの形成の概略的例示を示す。
図21は本発明による例示的な保持デバイスの概略図である。
図22は本発明による例示的なカートリッジの概略図である。
図23は本発明による例示的なシステムの概略図である。
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は100mV・sec−1の適応された走査速度を用いた、0.1mMのデカン酸および0.1MのTBATFBのアセトニトリル溶液における316Lステンレス鋼の1回目および2回目のサイクリックボルタンモグラムを示す。
図2は裸の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1mMのパルミチン酸および0.1MのTBATFBのACN溶液において電気化学的に修飾された、1サイクル後の316Lステンレス鋼電極(b)、5サイクル後の316Lステンレス鋼電極(c)、および、10サイクル後の316Lステンレス鋼電極(d)を用いて、100mV・sec−1の走査速度を加えながら記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリーを示す。
図3は裸の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACNおよび0.1mMのデカン酸(b)、ミリスチン酸(c)およびパルミチン酸(d)において10サイクルにわたって電気化学的に修飾された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図4は研磨されたばかりの316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(b)、および、研磨され、周囲条件下で1日間放置された316Lステンレス鋼電極(c)を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図5は10mV・sec−1(a)、100mV・sec−1(b)、200mV・sec−1(c)、500mV・sec−1(d)、1000mV・sec−1(e)および2000mV・sec−1(f)の走査速度で、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)6 3+のサイクリックボルタンメトリー(挿入図には、走査速度の平方根の関数としてのピーク電流の依存性が示される)(図5a)、および、走査速度の対数の関数としての陽極ピーク電位(図5b)を示す。
図6は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(左向き三角)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(四角)、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(丸)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(上向き三角)、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(下向き三角)、および、0.1mMのステアリン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(菱形)についての、0.1MのNaNO3溶液において測定された電位の関数としての二重層静電容量を示す。
図7は酸(デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)の長さの関数としての、図6に例示される二重層静電容量の逆数の依存性を示す。
図8は0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(実線)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(二点鎖線)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(破線)のC−H伸縮領域の反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図9はパルミチン酸により処理された316Lステンレス鋼表面のカルボニル伸縮領域の反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図10は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(1として示される)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(2として示される)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(3として示される)のFe2p3/2およびFe2p1/2の高分解能XPSスペクトル(図10a)ならびにO1sの高分解能XPSスペクトル(図10b)を示す。
図11はピロールの電解重合を行った後の裸の316Lステンレス鋼プレート(図11a、右側)、および、それを用いた碁盤目テープ接着試験の後で得られたパーマセル(permacel)99テープ(図11a、左側)、ならびに、デカン酸の存在下でのSAM形成、その後、ピロールの電解重合に供された316Lステンレス鋼電極(図11b、右側)、および、それを用いた碁盤目テープ接着試験の後で得られたパーマセル99テープ(図11b、左側)を示す写真である。
図12は裸の316Lステンレス鋼プレート(図12a)、アセトニトリルにおける0.1Mのピロールにおいて100mV・s−1の走査速度でAg|AgBrに対して−0.8V〜1.25Vの間で10回電位を走査することによってポリピロールにより電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12b)、および、デカン酸の存在下でのSAM形成に供され、洗浄され、その後、ポリピロールが電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12c)のSEM顕微鏡写真を示す。
図13は316Lステンレス鋼プレート上に形成された12−アミノドデカン酸SAMの概略的例示(図13a)、および、12−アミノドデカン酸により処置された316Lステンレス鋼プレートのXPSスペクトル(図13b)を示す。
図14は本発明の好ましい実施形態に従って表面官能基化ナノ粒子の調製において使用されたピロール官能基化共重合体の1H−NMRスペクトルを示す。
図15はデカン酸で前処理され、かつ、ピロール置換ナノ粒子によって電気被覆された316LステンレスプレートのSEM顕微鏡写真を示す(図15a〜図15c)。
図16はデカン酸SAMおよびピロール置換ナノ粒子が電気被覆されたステンレス鋼316LMステント(STI、イスラエル、12×1mm)のSEM顕微鏡写真を示す(図16a〜図16d)。
図17は12−アミノドデカン酸で前処理され、PLA粒子が静電的に結合している316Lステンレスプレート(これは、分散された粒子を含有する緩衝液溶液との室温での前処理プレートのインキュベーションによって調製された)のSEM顕微鏡写真を示す(図17a〜図17d)。
図18はポリ(ブチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(青色)、および、ポリ(エチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(紫色)からのタキソールの放出を明らかにする比較プロットを示す。
図19は本発明の好ましい実施形態に従った金属表面上でのビオチン−アビジン複合体の形成の概略的例示を示す。
図20は本発明の好ましい実施形態に従ってステンレス鋼表面に形成された例示的な有機シランのSAMの形成の概略的例示を示す。
図21は本発明による例示的な保持デバイスの概略図である。
図22は本発明による例示的なカートリッジの概略図である。
図23は本発明による例示的なシステムの概略図である。
本発明は、表面への被覆の高まった接着によって特徴づけられ、従って、表面の生体適合性を効率的に高め、それ故、医療デバイス(特に、埋め込み可能なデバイス)の被覆として有益に使用することができる、導電性表面の新規な被覆に関する。
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
本明細書中上記で議論されるように、金属表面を有する医療デバイスは、多くの場合、その親水性的性質に起因する不良な生体適合性によって特徴づけられる。そのようなデバイスの生体適合性を高めるために開発された方策には、所望によりさらに生物活性剤(例えば、薬物)を含む場合がある疎水性の層によって金属表面を被覆することが含まれる。先行技術では、疎水性成分を金属表面に結合する様々な方法が教示されているが、これらの方法は、典型的には、被覆の不良な接着および/または被覆からの生物活性剤の制御されない放出によって制限されている。
従って、相当の努力が、金属下地と有機被覆との間での連結を改善する「分子的接着促進剤」の開発に向けられている[1〜4]。疎水性の有機膜と親水性の金属表面との間での接着は、様々な適用(例えば、その生体適合性を増大させるという目的のために埋め込み可能な医療デバイスを被覆することなど)のためには不十分であることが予想される。金属のなかでも、ステンレス鋼は、その耐食性および優れた機械的性質[5]のために整形外科用インプラントおよび他の埋め込み可能な医療デバイスにおいて使用されるので特に重要である。ステンレス鋼製インプラントの生体適合性は、その表面を有機分子またはポリマーにより修飾することによって著しく改善することができる[6〜9]。金属表面が薬物負荷ポリマーにより被覆される、一般には薬物溶出医療デバイス、具体的にはステント[10]における関心が増大しているので、接着性かつ一様な薄い被覆(1μm〜2μm)が望まれる。ポリマー溶液によるデバイスの被覆では、浸漬または噴霧のいずれかによっても、典型的には、限定された均一性および接着性を有する厚い被覆(約15μm)がもたらされる。
本発明を考えているとき、(i)フリーの官能基が結合している表面をもたらす金属表面の電気化学的官能基化は、そのような表面に対する疎水的層のその後の結合を制御可能な様式で劇的に改善することができること;および(ii)そのような官能基化は、有機物質の自己集合した単層を表面に形成することによって都合良く行うことができることが想定された。
自己集合した単層(SAM)の付着は、化学的に十分に規定された表面を固体支持体(具体的には金属表面)に作製するための好都合な方法であると見なされる[7〜9]。増大する関心、および、近年における自己集合技術に集中した努力にもかかわらず、ステンレス鋼でのSAMを取り扱う報告はほんの少数が発表されているだけである[2〜5、10〜13]。一例において、電気化学的に還元されたステンレス鋼表面におけるn−アルカンチオールSAMの形成および特徴づけが、ステンレス鋼の自然酸化物層を除くために負の電位を加え、その後、チオールを電解質溶液に加えることによって行われていた[4、5]。他のカルボン酸単層が、表面の衝突阻害および増大する潤滑の手段としてラングミュア−ブロジェット(LB)を使用して鉄[14]およびスチール[15]の表面に組み立てられている。これらの研究はすべてが、電気化学的手段によるステンレス鋼表面の予備活性化を伴い、その後、単層を表面に付着させている。
一般に、2つの主要な可能な相互作用がn−アルカン酸単層と金属表面との間に存在する(イオン性および共有結合性)[18]。これに関して行われたいくつかの研究では、金属表面での酸単層の形成は、金属のカルボン酸塩をもたらす酸−塩基相互作用を伴うことが主に結論されていた[16〜17]。自然酸化物のオーバーレイ層を有する反応性金属における長鎖n−アルカン酸の付着を伴う他の研究(例えば、アルミニウム[20〜22]、銀[22〜25]および銅[22〜23、25]など)では、酸が、おそらくは、イオン結合を形成するための表面酸素原子へのプロトン移動を介して化学吸着されることが示唆される。
モノ官能性シリル化剤もまた、単層表面被覆を形成するために使用されており、その一方で、二官能性および三官能性のシリル化剤が、重合した被覆をシリカ表面に形成するために使用されている。しかしながら、多くのシリル化剤が、加水分解に対する不安定性、および、残留する酸性シラノールを含有する場合があるシリカ表面を遮蔽する不十分な能力をはじめとする望ましくない性質を有する被覆をもたらしている。
従って、様々な物質とさらに相互作用することができる有機物質を使用してSAMを金属表面に付着させることにより、種々の薬剤および/または薄膜を金属表面に結合するための効率的な接着層として作用することができる、十分に整列し、かつ、十分に規定された薄い層がもたらされることが本発明者らによって想定された。
本発明を実施に移しているとき、SAMを金属表面(具体的にはステンレス鋼表面)に形成することにより、種々の物質の結合が可能になり、従って、表面の高密度かつ非常に接着性の被覆がもたらされることが実際に見出された。そのような方法を使用して、万能的な特徴を有する万能的な被覆が制御可能に調製できることがさらに見出された。SAMをステンレス鋼表面に形成するための新規な方法もまた開発された。
下記の実施例の節において例示されるように、様々な脂肪酸の自己集合した単層、および、316Lステンレス鋼の自然酸化物表面に付着した有機シランの自己集合した単層が調製され、特徴づけられた。脂肪酸SAMを、ステンレス鋼表面を修飾するための新規な方法を使用して調製した。この方法では、n−アルカン酸の自己集合が、ある電位を有機電解質溶液においてステンレス鋼に加えることによって促進される。この新規な方法は、現在知られている集合プロセスよりも短い時間で付着する再現性の高い単層をもたらす。
有機シランSAMを、ステンレス鋼表面を薄い有機シラン溶液に単に浸漬することによって調製した。
下記の実施例の節においてさらに例示されるように、このように修飾されたステンレス鋼表面は様々な活性物質(例えば、電解重合可能なモノマー、ならびに/または、様々な官能基化されたナノ粒子およびポリマーなど)とさらに相互作用し、表面の一様で、高密度かつ非常に接着性の被覆をもたらした。生物活性物質が、本明細書中下記で詳しく記載されるように、そのような表面と直接的に、または、そのような表面の生じた被覆のいずれかを介して、そのいずれでも相互作用した。
従って、本発明の1つの態様によれば、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質とを有する物体を含む製造物品が提供される。導電性表面は、本発明によれば、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面が可能であり、それにより、活性物質を、表面を予備修飾することによって、直接的または間接的のいずれかであっても、金属表面に電気化学的に結合することができる。
本明細書中上記で議論されるように、物体の親水性金属表面を修飾することは医療デバイス(具体的には、埋め込み可能な医療デバイス)において非常に有益であると同時に、そのような物体は好ましくは医療デバイスである。医療デバイスは、金属表面を含み、かつ、例えば、体外デバイス(例えば、アフェレーシス機材、血液取り扱い機材、血液酸素供給器、血液ポンプ、血液センサーおよび流体輸送配管など)を包含する任意の医療デバイスが可能である。しかしながら、親水性金属表面を修飾することは、医療デバイスが体内デバイス(例えば、大動脈グラフト、動脈管類、人工関節、血液酸素供給器膜、血液酸素供給器管類、身体インプラント、カテーテル、透析膜、薬物送達システム、体内プロテーゼ、気管内チューブ、ガイドワイヤ、心臓弁、大動脈内バルーン、医療用インプラント、ペースメーカー、ペースメーカーリード線、ステント、限外ろ過膜、血管グラフト、血管管類、静脈管類、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、および、注入口など、これらに限定されない)であり得るような埋め込み可能な医療バイスにおいて特に有用である。
本発明による特に好ましい医療デバイスはステントであり、より具体的には、拡張可能なステントである。そのようなステントは、様々なタイプ、形状、用途および金属組成のものが可能であり、任意の知られているステントを包含し得る。代表的な例には、Zステント、Palmazステント、Mediventステント、Streckerステント、TantalumステントおよびNitinolステントが含まれる。
表現「埋め込み可能なデバイス」は、長期間にわたって体腔内に置かれる任意の医療デバイスを記載するために本明細書中では使用される。
本発明の関連で使用される好適な導電性表面には、限定されないが、1つまたは複数の金属あるいは金属合金から作製された表面が含まれる。金属は、例えば、鉄、スチール、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、タンタル、白金、金、銀、銅、これらの任意の合金、および、これらの任意の組合せが可能であり得る。他の好適な導電性表面には、例えば、形状記憶合金、超弾性合金、酸化アルミニウム、MP35N、エルギロイ(elgiloy)、ハイネス(haynes)25、ステライト(stellite)、熱分解炭素および銀炭素が含まれる。
特に有用な物体は埋め込み可能な医療デバイスであるので、また、さらに、そのようなデバイスは典型的にはステンレス鋼から作製されるので、導電性表面は、好ましくは、ステンレス鋼を含む。
本明細書中上記で詳しく議論されるように、一般には金属表面を有し、具体的にはステンレス鋼表面を有する医療デバイスは、ほとんどがそのような表面の不良な血液生体適合性および/または組織生体適合性に起因する多くの欠点を受ける。本明細書中上記でさらに議論されるように、不良な血液生体適合性は、典型的には、凝固タンパク質および血小板の活性化をもたらし、不良な組織生体適合性は、典型的には、過度な細胞増殖および炎症をもたらす。その生体適合性を高めるように表面を修飾することは、電荷、濡れ性およびトポグラフィーに関して表面特性を改善することを目指す化学的手段および/または物理的手段によって行うことができる。これらは、ポリマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)、Teflonおよびポリウレタン)などの物質の薄い層(薄膜)を表面に結合することによって達成することができる。あるいは、表面を修飾することは、不良な生体適合性に関連する有害な作用を低下させることができるか、または、さらなる有益な効果を誘導することができる生物活性剤を表面に結合することによって行うことができる。
従って、導電性表面は、本発明によれば、1つまたは複数の活性物質がその少なくとも一部分に結合している。
表現「活性物質」は、表面の化学的特性および/または物理的特性に影響を及ぼし得る任意の物質を記載するために本明細書中では使用され、これには、例えば、表面の電荷、濡れ性およびトポグラフィーに影響を及ぼす物質、表面によって誘導される有害な副作用を低下させる物質、ならびに/または、さらなる治療効果を物体に提供し得る医薬的に活性な成分が含まれる。
従って、好ましい活性物質には、本発明によれば、限定されないが、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、マイクロ粒子、ナノ粒子、生物活性剤が結合しているマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せが含まれる。
表現「生物活性剤」は、対象において有益な活性を発揮することができる薬剤を記載するために本明細書中では使用される。そのような有益な活性には、本明細書中上記で議論されるように、医療デバイスによって処置されている状態に依存して、表面によって誘導される有害な副作用を低下させること、および/または、任意の他の治療的活性が含まれる。
従って、生物活性剤は、治療活性な薬剤(これはまた、医薬的に活性な薬剤または活性な薬学的薬剤として本明細書中では交換可能に示される)であり得る。
生物活性剤はさらに標識薬剤が可能であり、標識薬剤は、生物活性剤が結合する物質を体内で検出するために、および/または、生物活性剤が結合する物質の所在を体内で突き止めるために役立つ場合があり、また、例えば、診断目的および追跡調査目的のために使用される場合がある。
従って、表現「標識薬剤」は、検出可能な成分またはプローブを記載するために本明細書中では使用され、これには、例えば、発色団、蛍光性化合物、リン光性化合物、重金属クラスターおよび放射性標識化化合物、ならびに、任意の他の知られている検出可能な成分が含まれる。
一部の場合において、治療活性な薬剤は標識される場合があり、従って、標識薬剤としてさらに役立ち得る。同様に、一部の標識薬剤(例えば、放射性同位体など)もまた、治療活性な薬剤として役立つ。
ポリマーおよび粒子(例えば、ナノ粒子およびマイクロ粒子など)は、それ自体を、本明細書中上記で議論されるように、その物理的特性、機械的特性および化学的特性に影響を及ぼすように表面に適用することができ、それにより、生物活性剤が、表面の生物学的特性に影響を及ぼすように適用される。生物活性剤が結合しているポリマーおよび粒子は、典型的には、その物理的特性および化学的特性に影響を及ぼすように、また、同時に、1つまたは複数の生物活性剤のキャリアとして作用するように表面に適用される。
生物活性剤のキャリアとして役立つポリマーおよび粒子は、適用されたとき、安定的または生分解可能のいずれかが可能である。用語「生分解可能」は、酵素(ヒドロラーゼおよびアミダーゼなど)と反応したときに分解し得るそのような物質を記載するために使用され、用語「安定的」は、少なくとも長期間にわたって適用されたとき、無傷であり続けるそのような物質を記載するために使用される。安定的なキャリアからの生物活性剤の放出は、典型的には、薬剤の拡散によって行われる。
物体には、本発明によれば、ポリマーによってさらに被覆される表面に生分解的に結合した生物活性剤の組合せが含まれ得る。生物活性剤は、必要ならば、ポリマーを介した拡散によって物体から放出され得る。場合により、物体には、本発明によれば、ポリマーによってさらに被覆され得る表面被覆またはSAMのいずれかに生分解的に結合した生物活性剤の組合せが含まれ得る。
表現「生物活性剤が結合している」は、本明細書中で言及されるポリマー、粒子および任意の他の成分に関しては、生物活性剤が成分に結合する任意の形態を記載するために本明細書中では使用され、従って、共有結合性の結合(生分解可能な結合または安定的な結合のいずれかによるものであっても)、静電的相互作用による結合(例えば、イオン結合)、封入、膨潤、吸収、および、他の任意の許容され得る結合形態を包含する。
表面に結合している生物活性剤は、医療デバイスによって処置されている状態に従って選択することができる。本発明の関連で有用である生物活性剤の代表的な例には、限定されないが、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、スタチン、毒素、増殖因子、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質(例えば、血漿タンパク質、アルブミン、細胞付着タンパク質およびビオチンなど)、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤(これには、ステロイド系および非ステロイド系が含まれる)、抗生物質(これには、抗ウイルス剤および抗真菌剤などが含まれる)、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せが含まれる。
血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、スタチン、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、トロンビン阻害剤、血漿タンパク質、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、抗酸化剤、リン脂質、ヘパリンおよびヘパリノイドなどの生物活性剤は、医療デバイスがステントであるときには特に有用である。鎮痛剤、代謝拮抗剤、抗生物質および増殖因子などの生物活性剤は、医療デバイスが整形外科用インプラントであるときには特に有用である。
一般に使用されるスタチンの非限定的な例には、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンが含まれる。
非ステロイド系抗炎症薬物の非限定的な例には、オキシカム系、例えば、ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカムおよびCP−14,304など;サリチル酸系、例えば、アスピリン、ジサルシド、ベノリラート、トリリサート、サファプリン、ソルプリン、ジフルニサールおよびフェンドサールなど;酢酸誘導体、例えば、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセマタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナクおよびケトロラクなど;フェナム酸系、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸など;プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェンおよびチアプロフェニクなど;ピロゾール系、例えば、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾンおよびトリメタゾンなどが含まれる。
ステロイド系抗炎症薬物の非限定的な例には、限定されないが、コルチコステロイド系、例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、アルファ−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルアンドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルアンドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルアドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルの残り、クロロプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタマート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン、および、これらの混合物が含まれる。
鎮痛剤(鎮痛薬)の非限定的な例には、アスピリンおよび他のサリチル酸系薬剤(例えば、サリチル酸コリンまたはサリチル酸マグネシウムなど)、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウムおよびアセトアミノフェンが含まれる。
増殖因子は、数多くの機能(これには、接着分子産生の調節、細胞増殖を変化させること、血管化を増大させること、コラーゲン合成を高めること、骨代謝を調節すること、および、所与の領域への細胞の遊走を変化させることが含まれる)を有するホルモンである。増殖因子の非限定的な例には、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)および骨形態形成タンパク質(BMP)などが含まれる。
毒素の非限定的な例には、アジュバントとしてもまた役立つコレラ毒素が含まれる。
抗増殖剤の非限定的な例には、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミンおよびメチルメラミン、アルキルスルホナート、ニトロソウレアおよびトリアゼンなど;代謝拮抗剤、例えば、葉酸アナログ、ピリミジンアナログおよびプリンアナログなど;天然物、例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、タキサンおよび生物学的応答修飾剤など;その他の薬剤、例えば、白金配位錯体、アントラセンジオン系薬剤、アントラサイクリン系薬剤、置換ウレア、メチルヒドラジン誘導体または副腎皮質抑制剤など;あるいは、ホルモンまたはアンタゴニスト、例えば、アドレノコルチコステロイド、プロゲスチン類、エストロゲン類、抗エストロゲン類、アンドロゲン類、抗アンドロゲン類または性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログなどが含まれる。化学療法剤の具体的な例には、例えば、ナイトロジェンマスタード、エピポドフィロトキシン、抗生物質、白金配位錯体、ブレオマイシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、エトポシド、4−OHシクロホスファミドおよびシス白金が含まれる。
本発明の1つの実施形態において、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である。
この実施形態によれば、導電性表面は、典型的には化学的に不活性であるので、様々な活性物質とのその相互作用を可能にするように官能基化される。
表現「機能的成分」は、別の物質と、例えば、それとの化学結合の形成、化学的相互作用または物理的相互作用を介して相互作用することができる物質(好ましくは、有機物質)の残基を記載するために本明細書中では使用される。物質間の相互作用は、物質の主要な部分(疎水性相互作用、吸収および膨潤などの場合のように)、または、物質内の特定の官能基(好ましくは、物質に関してその遠位側末端における特定の官能基)(例えば、共有結合性の結合および静電的結合の場合でのように)のいずれかが伴い得る。相互作用は、共有結合性の結合(安定的または生分解可能のいずれかであっても)の形成、イオン結合の形成、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、および、疎水性相互作用を介して、ならびに/あるいは、任意の化学的相互作用または物理的相互作用を介する膨潤または吸収によって可能である。
機能的成分の代表的な例には、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、アジド、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せが含まれる。
本明細書中で使用される用語「アミン」は−NR’R’’を有するか又は−NR’R’’を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’はそれぞれ独立して本明細書中に定義されるような水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールであるか、又はR’及びR’’は共に5員、6員又はそれ以上の炭素環又は複素環を形成することができる。
用語「アンモニウムイオン」は正に帯電した−N+R’R’’R’’’基を有するか又は正に帯電した−N+R’R’’R’’’基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は上述した通りであり、R’’’はR’及びR’’に対して記載される通りである。
用語「カルボキシラート」は−C(=O)Y基を有するか又は−C(=O)Y基を末端に有する物質を示し、ここでYは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、ハリド、アジド、アルコキシド、チオアルコキシドであることができる。この用語は従ってアルデヒド、ケトン、エステル、アシルハリド、アミド、カルボン酸及びそのチオ誘導体を包含する。
用語「チオカルボキシラート」は−C(=S)Y基を有するか又は−C(=S)Y基を末端に有する物質を示し、ここでYは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、ハリド、アジド、アミン、アルコキシド、チオアルコキシドであることができる。この用語は従ってチオアルデヒド、チオケトン、チオエステル、チオアシルハリド、チオアミド、チオカルボン酸を包含する。
用語「アミド」は−C(=O)NR’R’’基を有するか又は−C(=O)NR’R’’基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。
用語「カルバミル」は−OC(=O)−NR’R’’基又はR’’OC(=O)−NR’−基を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を示す。好ましくは、アルキル基は1個〜30個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜30個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの30個までの炭素原子を含むということを意味する。
「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有さない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。
「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルがある。
用語「ヒドロキシル」は−OH基を有するか又は−OH基を末端に有する物質を示すか、又は−OH基自体を示す。
用語「アジド」は−N=NR’基を有するか又は−N=NR’基を末端に有する物質を示し、ここでR’は本明細書中に規定される通りである。
用語「アルコキシド」は、本明細書中に定義されるような−O−アルキル、O−アリール又は−O−シクロアルキル基を有するか又は本明細書中に定義されるような−O−アルキル、O−アリール又は−O−シクロアルキル基を末端に有する物質を示すか、又は−O−アルキル、O−アリール及びO−シクロアルキル基自体を示す。
用語「チオヒドロキシル」は−SH基を有するか又は−SH基を末端に有する物質を示すか、又は−SH基自体を示す。
用語「チオアルコキシド」は、本明細書中に定義されるような−S−アルキル基、−S−シクロアルキル基又はS−アリール基を有するか又は本明細書中に定義されるような−S−アルキル基、−S−シクロアルキル基又はS−アリール基を末端に有する物質を示すか、又は−S−アルキル、S−アリール及びS−シクロアルキル基自体を示す。
用語「ハロゲン化物」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を有するか又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を末端に有する物質を示すか、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子自体を示す。
用語「スルファート」基は−OS(=O)2OR’基を有するか又は−OS(=O)2OR’基を末端に有する物質(ここでR’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又はOS(=O)2OR’基自体を示す。
用語「スルホナート」は−S(=O)2−OR’基を有するか又は−S(=O)2−OR’基を末端に有する物質(ここでR’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−S(=O)2OR’基自体を示す。
用語「スルホンアミド」基は−S(=O)2NR’R’’又はR’S(=O)2−NR’−基を有するか又は−S(=O)2NR’R’’又はR’S(=O)2−NR’−基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。
用語「ニトラート」は−NO2基を有するか又は−NO2基を末端に有する物質を示す。
「シアナート」は−C≡N基を有するか又は−C≡N基を末端に有する物質を示す。
「イソシアナート」は−N≡CR’基を有するか又−N≡CR’基を末端に有する物質を示し、ここでR’は本明細書中に定義される通りである。
用語「ホスホナート」は−O−P(=O)(OR’)2基を有するか又は−O−P(=O)(OR’)2基を末端に有する物質(ここで、R’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−O−P(=O)(OR’)2基自体である。
用語「ホスファート」はP(=O)(OR’)2基を有するか又はP(=O)(OR’)2基を末端に有する物質(ここで、R’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−P(=O)(OR’)2基自体である。
「不飽和成分」は、本明細書中に定義されるようなアルケニル基、アルキニル基又はアリール基を有するか又は本明細書中に定義されるようなアルケニル基、アルキニル基又はアリール基を末端に有する物質を示し、ビニル、アリル及びその類似物を包含する。
「アルケニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなるアルキル基を示す。
「アルキニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなるアルキル基を示す。
用語「疎水性成分」は、実質的な疎水性によって特徴づけられる物質を示し、典型的には、場合により互いに結合した多数のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはアリール基から構成される物質、あるいは、場合により互いに結合した多数のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはアリール基を有する物質を包含する。
本発明の好ましい実施形態において、導電性表面は、上記で記載された官能基に加えて、1つまたは複数の電気的結合可能な基をさらに含む1つまたは複数の有機物質を電気化学的に表面に結合することによって電気化学的に修飾される。
表現「電気的結合可能な基」は、電気的電位を加えたとき、酸化または還元を受けることができ、従って、導電性物質(本明細書中では、導電性表面)とのイオン結合、共有結合性の結合または有機金属結合を形成することができる基を記載するために本明細書中では使用される。
本発明による好ましい電気的結合可能な基には、例えば、カルボン酸基、スルホナート基、スルファート基、ホスホナート基およびホスファート基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)が含まれる。そのような基は、典型的には、電気化学的プロセス時に酸化されて、イオン結合の形成により金属表面(具体的には、表面の自然酸化物層)と結合することができるそのアニオンをもたらす。
有機物質は、好ましくは、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む。電気的結合可能な末端基および有機残基を有する有機物質は、本明細書中上記で議論されるように、導電性表面に付着したとき、SAMを形成することができ、従って、非常に有益である。
本発明の好ましい実施形態において、有機物質は脂肪酸である。様々な脂肪酸が、SAMを金属表面に形成することが示されている。しかしながら、有益なステンレス鋼表面での脂肪酸SAMの形成は今までに一度も研究されていない。
本発明の関連で使用可能な脂肪酸の代表的な例には、限定されないが、飽和脂肪酸、例えば、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)など、ならびに、不飽和脂肪酸、例えば、アラキドン酸、リノール酸およびリノレイン酸などが含まれる。
脂肪酸はそのまま使用することができ、または、本明細書中上記で記載されるような機能的成分が結合している誘導体化された脂肪酸として使用することができる。
下記の実施例の節において例示および詳述されるように、ステンレス鋼表面への様々な脂肪酸の電気化学的結合はSAMの形成をもたらし、それにより、SAMの秩序度ならびにSAMの他の特徴が鎖の長さに依存することが見出され、従って、これにより、所望する特徴に従って脂肪酸を事前に選択することによってこれらの特徴を制御することが可能であった。
別の好ましい実施形態において、電気化学的修飾は、導電性表面を、脂肪酸を含有する電解質溶液と接触させ、表面の電位を、使用された陰極に依存して、例えば、−0.5Vから1.5Vまで、好ましくは、約−0.8Vから約1.2Vまで掃引することによって行われる。この自己集合技術は、典型的には3時間〜数日間にわたる開路電位下での表面の修飾を伴い、また、修飾プロセスの途中で電位を加えることによって、金属表面に酸を付着させるための現在知られている方法と比較した場合、容易に行われ、かつ、容易に制御される。
本発明のこの態様の別の好ましい実施形態において、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である。
本明細書中で使用される表現「非電気化学的に修飾された表面」は、電気化学的プロセスを伴わない、表面を修飾する任意の形態を示す。
非電気化学的に修飾された表面は、本発明によれば、好ましくは、表面に非電気化学的に結合する1つまたは複数の有機物質を含み、かつ、その有機物質と相互作用することができる機能的成分を有する。
従って、そのような有機物質の結合は、有機物質と表面との間での強い相互作用の形成を伴い、それにより、相互作用は、例えば、静電的結合、配位的結合または共有結合性の結合が可能であり、あるいは、そうでない場合には、化学吸着の結果として、大きい親和性などが可能である。金属表面に非電気化学的に結合させることができる好適な有機物質には、例えば、有機シランおよび有機ホウ素などが含まれる。
本発明の好ましい実施形態において、有機物質は有機シランである。有機シランは、SAMを金属表面に形成することが示されている。しかしながら、有益なステンレス鋼表面での有機シランSAMの形成は今までに一度も研究されていない。
本明細書中で使用される用語「有機シラン」は、少なくとも1個のケイ素原子および少なくとも1個の炭素原子を有する有機化合物を記載する。好ましくは、有機シランは下記の一般式を有する:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり、Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり、Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。
従って、この実施形態による好ましい有機シランは、本明細書中上記で記載されるように表面と相互作用することができる1つまたは複数個の反応基により置換された1個または複数個のケイ素原子を含む。そのような反応基には、典型的には、ヒドロキシ基が含まれる。ヒドロキシシランは非常に反応性であり、典型的にはシリカの形態で存在するので、好ましい有機シランは、その場でヒドロキシ基に容易に変換することができる官能基を有するケイ素含有化合物である。このような官能基には、例えば、ハロゲン化物(例えば、クロリドなど)およびアルコキシ基またはアリールオキシ基が含まれる。これらの基は、微量の水の存在下で反応性のヒドロキシ基に容易に変換される。
この実施形態による好ましい有機シランはさらに、本明細書中で定義されるような1つまたは複数の炭化水素残基を含む。
炭化水素は、置換または非置換で、かつ、飽和または不飽和であることが可能であり、また、場合により、1個または複数個のヘテロ原子(例えば、O、Nおよび/またはS)によって中断され得る。非置換であるとき、炭化水素は、活性物質と疎水的に相互作用するための、かつ/あるいは、活性物質を吸収または膨潤するための、本明細書中上記で記載されるような機能的成分として役立ち得る。あるいは、活性物質との共有結合性の結合または静電的な結合を形成することができる官能基を含む置換された炭化水素を使用することができる。
下記の実施例の節において例示および詳細に記載されるように、ステンレス鋼表面への様々な有機シランの結合はSAMの形成をもたらし、それにより、SAMの秩序度ならびにSAMの他の特徴が鎖の長さに依存することが見出され、従って、これにより、所望する特徴に従って有機シランを事前に選択することによってこれらの特徴を制御することが可能であった。
本発明のこの関連での使用のために好適な有機シランの代表的な例が下記の実施例の節において示される。
本発明のこの態様の別の実施形態において、活性物質が導電性表面に電気化学的に直接的に結合させられる。これは、本明細書中上記で記載されるような電気的結合可能な基を有する本明細書中上記で記載されるような活性物質を使用して行うことができる。医療デバイスへの生物活性物質のそのような直接的な結合は医療デバイスの極近傍での治療活性な薬剤の放出を可能にする。さらに、生物活性剤が標識薬剤であるならば、埋め込み可能なデバイスへのその直接的な結合は、例えば、体内における埋め込み可能なデバイスの位置を追跡することによって、体内における埋め込み可能なデバイスのモニターリングを可能にする。
従って、活性物質は、本発明によれば、例えば、カルボン酸、ホスファートおよびスルホナートなどを末端基として有する生物活性剤であり得るか、または、そのような基をその表面に有するポリマーおよび粒子であり得る。後者の調製が、下記の実施例の節において記載および例示される。
本発明のこの態様の別の実施形態において、導電性表面は、本明細書中上記で記載されるように活性物質と相互作用することができる機能的成分を有するように電気化学的に修飾され、かつ、その活性物質もまた、修飾された表面に電気化学的手段によって結合させられる。表面の修飾および活性物質の電気的結合を、同時に、または、連続して、そのいずれであっても行うことができる。
この実施形態の代わりの一例において、活性物質は電解重合可能なポリマーである。
表現「電解重合可能なポリマー」は、その対応するモノマー(1つまたは複数)の溶液に電位を加えることによって形成され得るポリマーを記載するために本明細書中では使用される。そのようなモノマーは本明細書中では「電解重合可能なモノマー」と呼ばれ、従って、電解重合プロセスはまた、「電気化学的重合」、および、場合により、「電気被覆」と交換可能に本明細書中では示される。
電解重合ポリマーは、表面特性を改善するようにそれ自体が表面に適用され得るか、あるいは、表面に直接的または間接的に結合させられる生物活性剤のキャリアとして表面に適用され得る。従って、電解重合ポリマーは、生物活性剤を、場合により、また、好ましくは含有するマイクロ粒子およびナノ粒子、あるいは、生物活性剤を、場合により、また、好ましくは含有する共重合体を含むことができる。
あるいは、電解重合ポリマーは、生物活性剤が吸収され得るか、または、膨潤させられ得るか、または、そうでない場合には埋め込まれ得るポリマー薄膜を形成することができる。
生物活性剤および他の物質を電解重合ポリマーに結合するための様々な方法論の詳しい説明が、下記の実施例の節において、また、代理人文書番号28166を有し、本出願と同時に出願されている本発明の筆頭発明者による米国特許出願(発明の名称:電解重合可能なモノマーおよびそれらから得られる埋め込み可能なデバイスにおけるポリマー被覆)(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)において見出され得る。
電解重合可能なポリマーは、修飾された表面の機能的成分と様々な相互作用によって相互作用することができるが、好ましい実施形態では、電解重合可能なポリマーは、表面に存在する疎水性成分との疎水的相互作用を形成する。そのような疎水的相互作用により、表面に対するポリマーの接着が実質的に強化される。
表面の修飾が分子的大きさの疎水性SAMの形成を伴う場合、表面に付着したポリマー薄膜は表面モルフォロジーを獲得することができる。この発見は、電解重合の考えられる利用、それにより、医療デバイスの一様かつ薄い接着性の被覆を提供するために非常に重要である。
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、導電性表面が、SAMを表面に形成する有機物質を表面に結合することによって修飾され、この場合、SAMは、表面での電解重合の実施を可能にするように選択される。従って、修飾された表面への電解重合ポリマーの調製が、それを介した電子移動を可能にする有機物質の薄い層を結合することによって可能になる。
そのような目的のために使用することができる例示的な有機物質には、本明細書中上記で記載された脂肪酸および有機シランが含まれる。例えば、3個〜30個の炭素原子を有する脂肪酸、および、炭素原子が1個〜10個の炭化水素残基を有する有機シランが、この関連での使用に好適であることが見出された。あるいは、脂肪酸、または、有機シランの炭化水素残基は、SAMの付着および電解重合が1つだけの有機物質を用いて同時に行われるように、それ自体を置換することができ、また、好ましくは、電解重合可能なモノマーを末端に存在させることができる。
本発明のこの実施形態の関連で使用可能な電解重合ポリマーの代表的な例には、限定されないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミナム、フルオロガリウム、フタロシアニン、および、これらの任意の組合せが含まれ、それにより、これらのポリマーはそのままで使用することができるか、または、骨格ユニットが、所望の特徴を表面に提供することができる様々な物質(例えば、ポリマー、炭化水素、カルボキシラートおよびアミンなど)によって置換されるその誘導体として使用することができる。
ポリピロール誘導体の代表的な例および対応するモノマーの調製が、例えば、国際特許出願公開WO01/39813(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)および上記の米国特許出願に記載される。本発明の好ましい実施形態に従って電解重合可能な置換ポリピロールを修飾された表面に結合するために使用することができるピロール誘導体の代表的な例もまた、下記の実施例の節に記載される。
従って、本発明による製造物品は、表面への活性物質の結合を可能にする修飾された表面を含む。1つの実施形態において、表面は電気化学的または非電気化学的のいずれかで修飾することができ、好ましくは、活性物質を結合するための機能的成分を含む有機物質の表面での結合を伴う。さらに好ましくは、そのような有機物質はSAMを表面に形成する。
別の実施形態において、表面は、活性物質が表面に電気化学的に直接的に結合するように修飾される。
本発明の別の態様によれば、本明細書中上記に記載される製造物品を調製する方法が提供される。本発明の方法は、典型的には、本明細書中上記に記載されるように、物体の導電性表面を電気化学的に修飾し、それにより、表面を機能的成分によって官能基化すること、および、表面における官能基と、活性物質との間での相互作用を可能にするように、本明細書中上記に記載されるように、修飾された表面を活性物質と接触させることによって行われる。そのような相互作用の代表的な例が、下記の実施例の節に記載される。
場合により、本発明の方法はさらに、表面を修飾することに続いて、または、表面を修飾することと同時に、活性物質を修飾された表面に電気化学的に結合することを含むことができる。
あるいは、本発明の方法は、本明細書中上記に記載されるように、また、下記の実施例の節においてさらに例示されるように、活性物質を電気化学的手段によって表面に直接的に結合することによって行われる。
活性物質が表面に結合している導電性表面の調製および提供について本明細書中に記載される万能的な方法論は、金属表面における、用途に合わせた、十分に規定された被覆を提供するために使用することができ、かつ、下記の実施例の節において例示および詳述されるように、改善された機械的特性、化学的特性および物理的特性を埋め込み可能なデバイスに提供するために特に好都合である。
従って、本発明は、様々な活性かつ有益な活性物質によって被覆された物体をもたらし、それにより、被覆が、現在知られている被覆と比較した場合、高まった接着性、活性物質の高まった密度、および、改善された表面特性によって特徴づけられる、制御された、それにもかかわらず、万能的なプロセスによって調製され得る様々な製造物品を提供する。
上記の方法を使用して、活性物質を表面に直接的または間接的に結合させることができる。間接的に結合させられるとき、活性物質は、好ましくは、表面に付着したSAMに結合させられる。生物活性剤もまた、表面に直接的または間接的に結合させることができ、また、制御された様式で生物活性剤が拡散して通り抜けることができる1つまたは複数の薄膜によってさらに被覆することができる。
これらの製造物品が、被覆された埋め込み可能なデバイスであるとき、デバイスは、医療デバイス(具体的には、生物活性剤が負荷されたそのようなデバイス)を埋め込むことが有益である状態の処置において有益に使用することができる。
そのような状態には、例えば、心臓血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄およびステント内再狭窄(これらに限定されない)など、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患が含まれる。
本明細書中上記で言及された米国特許出願(発明の名称:電解重合可能なモノマーおよびそれらから得られる埋め込み可能なデバイスにおけるポリマー被覆)に詳しく記載されるように、本明細書中に記載される被覆された医療デバイスの効率的な調製を可能にする特別なシステムが設計された。
本発明のシステムは、稼動可能な配置において、医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイスと、運搬装置と、運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴とを含み、この場合、運搬装置は、少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築されており、また、さらに、第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、第2の浴は活性物質溶液の浴である。従って、医療デバイスを、第1の浴で処理されている間に、上記で記載されるように、修飾することができ、そして、活性物質が表面に結合する第2の浴に運搬することができる。活性物質が表面に電気化学的に直接的に結合させられる場合には、第1の浴および第2の浴は1つの浴に含まれる。
あるいは、修飾用の浴は、電気化学的または非電気化学的のいずれかであっても表面に付着する本明細書中上記に記載されるような活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を含む。
修飾された表面は、その後、活性物質を表面に結合するために第2の浴に運搬される。活性物質が電解重合ポリマーである場合には、第2の浴は電解重合浴である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、電解重合浴は、電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む。
本発明のシステムは、デバイスを被覆するために使用された方法論および活性物質に依存して、例えば、デバイス表面が(下記の実施例の節において例示されるように)修飾に先立って処理される前処理浴、残留する反応物が除かれる洗浄浴およびすすぎ洗浄浴、さらなる電解重合浴および化学的重合浴をはじめとする他の浴を介して医療デバイスをさらに運搬するために使用することができる。
これらのさらなる浴は運搬装置に沿って配置され、この場合、運搬装置は、保持デバイスを所定の期間、浴の内部に置くように設計および構築されている。
本発明のシステムは、好ましくは、少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジをさらに含む。
保持デバイス自体は、少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体と、電極構造体が穴あき封入体と係合し、従って、電場を穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップとを含む。
穴あき封入体は、好ましくは、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている。
運搬装置は、好ましくは、少なくとも1つの保持デバイスを少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である。
本発明のシステムはさらに、少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームを含むことができる。
本発明のこの態様による例示的な保持デバイス、カートリッジおよびシステム(これらは、電気被覆されたステントを提供するように設計されている)が図21〜図23に示される。
図21は、本発明の好ましい実施形態に従って、被覆されている間、ステントアセンブリー12を保持するためのデバイス10を例示する。保持デバイス10は、ステントアセンブリー12を収容する穴あき封入体14を含む。アセンブリー12が、その被覆前の拡張可能な管状支持エレメント16として図21に示される。好ましくは、絶対的ではないが、封入体14は管状である(例えば、円筒形状)。デバイス10は、好ましくは、アセンブリー12の全処理を通してステントアセンブリー12を保持する。従って、デバイス10は、例えば、化学的処理浴、電気化学的処理浴、超音波浴、乾燥域および薬物負荷浴などにおいて処理されている間、アセンブリー12を保持することができる。
穴あき封入体14は、様々な化学物質溶液30がそれぞれの処理浴から封入体14の壁26を通って内側体積部28の中に流れ、それにより、ステントアセンブリー12および/または支持エレメント16と相互作用することを可能にするようにその壁26に形成された多数の穴24を含む。加えて、穴24は、好ましくは、例えば、デバイス10がそれぞれの処理浴から引き出されるとき、化学物質溶液が内側体積部28から流れ出ることを可能にする。
デバイス10はさらに、封入体14の第1の端部20および第2の端部22を覆う2つ以上のカップ18を含む。カップ18は、例えば、ステンレス鋼から作製することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、カップ18は、様々な電極構造体(これらは、31および32の数字によって図1に示される)が封入体14と係合することを可能にするために適合する。この実施形態は、アセンブリー12が電気化学的重合に供されるときには特に有用である。従って、参照電極を一方の側から挿入することができ、対向電極を反対側から挿入することができる。加えて、作用電極を、カップ18の近くに、例えば、カップ18から数ミリメートル離して配置することができ、その結果、これらの電極が、例えば、連絡線36によって電源(示さず)に接続されたとき、電場が生じ、レドックス反応が作用電極40において行われるようにすることができる。従って、重合プロセスが体積部28の内部で開始され、部材16がポリマー薄膜によって被覆される。
数個の保持デバイスを、数個のステントアセンブリーを同時に被覆するために用いることができる。図22は保持デバイスのカートリッジ50の概略的例示である。カートリッジ50における保持デバイスのそれぞれの原理および操作は、本明細書中上記でさらに詳述されたように、デバイス10の原理および操作に類似する。カートリッジ50は、数個の保持デバイスを一緒に処置浴に入れるために役立つ。図2の例示された形態において、カートリッジ50は10個のデバイスを保持するが、このことは必ずしも当てはまる必要はなく、任意の数の保持デバイスをカートリッジ50の本体52に取り付けることができる。カートリッジ50の本体は、好ましくは、本明細書中下記でさらに詳述されるように、カートリッジ50を処置浴に入れる運搬装置に取り付けられるように設計されている。
次に図23を参照する。図23は、本発明の好ましい実施形態に従って1個または複数個のステントアセンブリーを被覆するためのシステム60の概略的例示である。システム60は、好ましくは、稼動可能な配置で、1つまたは複数の保持デバイス(例えば、デバイス10)を含む。数個の保持デバイスが使用されるとき、これらのデバイスは、好ましくは、カートリッジ(例えば、カートリッジ50)に取り付けられる。
システム60はさらに、運搬装置62と、運搬装置62に沿って配置された多数の処理浴とを含む。図23に示される代表的な一例において、システム60は、64、65、66、67および68として示される5つの処理浴を含む。従って、例えば、浴64を、ステントアセンブリーを均一かつ接着性の被覆に調製するようにステントアセンブリーが化学的処理および機械的処理に供される前処理浴として使用することができる。浴65を洗浄のために使用することができ、浴66を電気化学的重合のために使用することができ、浴67を清浄化のために使用することができ、浴68を薬物負荷のために使用することができる。他の浴または処理域もまた意図される。
運搬装置62は、デバイスがそれぞれの処理浴の内部に所定の順序で置かれるように保持デバイスを運搬する。従って、例えば、図23の例示された実施形態では、運搬装置62はデバイスを最初に浴64に入れ、次いで浴65に入れ、次いで次の浴に入れる。加えて、運搬装置62は、デバイスがそれぞれの浴において費やす期間を制御する。これは、デバイスをそれぞれの浴から所定の期間の後で引き出し、並んでいる次の浴に入れるように運搬装置62を設計することによって達成することができる。運搬装置62は、好ましくは、デバイスを処理前に浴に入れ、そして、デバイスを処理後に引き出すためのレバー72または任意の他の機構とともに製造される。
本発明の好ましい実施形態によれば、電気化学的重合浴は、底部70に取り付けられた電極構造体(例えば、対向電極32および作用電極40)を含み、従って、下部の電気化学的重合ユニットを形成する。電極構造体は、好ましくは、隔離材74(図1もまた参照のこと)から突き出ており、電源(示さず)に接続される。操作において、運搬装置62は保持デバイスを電極構造体に取り付け、その後、電極構造体はデバイスの一方の面と係合する。システム60はまた、隔離材78から突き出ることが好ましい、1つまたは複数の電極構造体(例えば、参照電極構造体31)を運ぶアーム76を含むことができる。従って、アーム76および電極31は上部の電気化学的重合ユニットを形成する。
保持デバイスが電極32および/または電極40に取り付けられると、アーム76は電極31を保持デバイスの反対側(この実施形態では上部)と係合させる。電極と電気的に連結すると、保持デバイス内のステントアセンブリーを、この分野では知られているような電気化学的重合に供することができる。
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
材料および実験方法
材料:
デカン酸(DA、99+%)、ミリスチン酸(MA、99.5%)、ステアリン酸(SA、99+%)、トリブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBATFB、99%)、ヘキサアミンルテニウム(III)トリクロリド(Ru(NH3)6Cl3、98%)、NaNO3(99.9%)およびNaCl(99.5%)をAldrichから購入した。アセトニトリル(ACN、>99.8%)をJ.T Bakerから得た。パルミチン酸(PA、99%)をBDH Technologies(英国)から得た。ピロール(99%)をSigma−Aldrichから得て、使用前にアルミナカラムクロマトグラフィーによって新たに精製した。カラムクロマトグラフィー用のアルミナおよびシリカゲルをMerck(ドイツ)から購入した。有機シランをSigma−AldrichおよびMerckから購入した。
材料:
デカン酸(DA、99+%)、ミリスチン酸(MA、99.5%)、ステアリン酸(SA、99+%)、トリブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBATFB、99%)、ヘキサアミンルテニウム(III)トリクロリド(Ru(NH3)6Cl3、98%)、NaNO3(99.9%)およびNaCl(99.5%)をAldrichから購入した。アセトニトリル(ACN、>99.8%)をJ.T Bakerから得た。パルミチン酸(PA、99%)をBDH Technologies(英国)から得た。ピロール(99%)をSigma−Aldrichから得て、使用前にアルミナカラムクロマトグラフィーによって新たに精製した。カラムクロマトグラフィー用のアルミナおよびシリカゲルをMerck(ドイツ)から購入した。有機シランをSigma−AldrichおよびMerckから購入した。
316Lステンレス鋼板およびロッド(これらはまた、本明細書中ではまとめて電極として示される)をMashaf Co.(Jerusalem、イスラエル)から購入した。ステンレス鋼板(9×40mm)を赤外分光法および接触角測定のために使用し、一方、ロッドを電気化学的測定のために適用した。ステンレス鋼製ロッド(3mmの直径)を、電極表面として役立った円板部のみを露出させるTeflon製シースにはめ込んだ。
器具:
電気化学:電気化学的測定を、単区画3電極のガラス製セルを使用して、AUTOLAB PGSTAT10ポテンシオスタット(EcoChemie、Utrecht、オランダ)およびBAS−100B/W電気化学アナライザー(Bioanalytical Systems、Lafayette、IN)を用いて行った。参照電極は、水溶液が用いられたときの飽和Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)電極、または、有機媒体で使用されたAg|AgBrワイヤのいずれかであった。後者はフェロセン−フェロセニウム(Fc/Fc+)に対して0.448Vの電位を有する[26]。直径6mmのグラファイトロッドを補助電極として使用した。
電気化学:電気化学的測定を、単区画3電極のガラス製セルを使用して、AUTOLAB PGSTAT10ポテンシオスタット(EcoChemie、Utrecht、オランダ)およびBAS−100B/W電気化学アナライザー(Bioanalytical Systems、Lafayette、IN)を用いて行った。参照電極は、水溶液が用いられたときの飽和Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)電極、または、有機媒体で使用されたAg|AgBrワイヤのいずれかであった。後者はフェロセン−フェロセニウム(Fc/Fc+)に対して0.448Vの電位を有する[26]。直径6mmのグラファイトロッドを補助電極として使用した。
IRスペクトル:フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、2cm−1の分解能で、窒素冷却のMCT検出器を備えるEquinox55(Bruker)分光計を使用して記録した。通常、サンプルの1500回の走査を、裸のステンレス鋼表面である参照物に対して集めた。
接触角:接触角を、Rame−Hartモデル100接触角ゴニオメーターを使用して測定した。前進接触角および後退接触角を、一定量の脱イオン化水を液滴に加え、また、液滴から抜き取ることによってそれぞれ求めた。この測定を各サンプルについて3回繰り返した。平均値が報告される。
XPS測定:X線光電子スペクトル(XPS)を、Axis Ultra分光計(Kratos)および1486.71eVのMgKα線を使用して記録した。データを集め、画像処理プログラムによって分析した。
SEM測定:非修飾電極および修飾電極の表面モルフォロジーを、shottky型電場放射源を備えたシリオン走査顕微鏡(FEI Company、オランダ)を10kVの加速電圧で使用する高分解能走査電子顕微鏡(HR SEM)によって測定した。サンプルを、分析に供する前にアセトニトリルにより洗浄し、室温で乾燥した。
すべての水溶液は脱イオン水(Mili−Q、Milipore)から調製された。
実験方法:
脂肪酸によるステンレス鋼表面の修飾:ステンレス鋼製ロッドを最初に、240番、600番および2000番のエメリー研磨紙(Buehler)で研磨し、その後、ミクロクロス研磨パッドでのアルミナペースト(1μmおよび0.05μm)によって仕上げ研磨した。ステンレス鋼板は、供給者から研磨された状態で受け取り、2000番のエメリー研磨紙で処理しただけであった。その後、修飾に先立って、電極をアセトニトリルにより洗浄し、アセトニトリル中で超音波処理し(約15分間)、室温で窒素流のもとで乾燥した。清浄な電極を、0.1mMの長鎖カルボン酸(DA、MA、PAまたはSA)および0.1MのTBATFBをアセトニトリルに含有する脱気された修飾溶液に室温で浸漬した。典型的には、Ag|AgBrに対して−0.8Vから1.2Vまでの10サイクルの電位掃引を(別途示されない場合には)加えた。修飾された表面を純アセトニトリルにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。
脂肪酸によるステンレス鋼表面の修飾:ステンレス鋼製ロッドを最初に、240番、600番および2000番のエメリー研磨紙(Buehler)で研磨し、その後、ミクロクロス研磨パッドでのアルミナペースト(1μmおよび0.05μm)によって仕上げ研磨した。ステンレス鋼板は、供給者から研磨された状態で受け取り、2000番のエメリー研磨紙で処理しただけであった。その後、修飾に先立って、電極をアセトニトリルにより洗浄し、アセトニトリル中で超音波処理し(約15分間)、室温で窒素流のもとで乾燥した。清浄な電極を、0.1mMの長鎖カルボン酸(DA、MA、PAまたはSA)および0.1MのTBATFBをアセトニトリルに含有する脱気された修飾溶液に室温で浸漬した。典型的には、Ag|AgBrに対して−0.8Vから1.2Vまでの10サイクルの電位掃引を(別途示されない場合には)加えた。修飾された表面を純アセトニトリルにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。
Ag|AgBr参照電極を、研磨された銀線電極の電位を50%HBr溶液においてAg|AgClに対して−0.3Vから1Vまで、10mV・sec−2の走査速度で掃引することによって調製した。電位を1Vで2分間保持し、その後、電位をかけたまま、電極を溶液から取り出し、水により洗浄し、風乾した。得られたAg|AgBrワイヤの電位をFc/Fc+[26]に対して頻繁に調べた。グラファイトロッドを補助電極として使用した。
同様な手順を使用して、ステンレス鋼表面を様々な置換基により置換された下記の脂肪酸によって電気化学的に修飾した:12−アミノドデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、10−ヒドロキシデカン酸およびデカン二酸。代表的な一例において、修飾溶液は、10mlのACNにおける0.1MのTBATFB、1MのHClO4溶液の50μL、および、1mMの12−アミノドデカン酸を含有した。HClO4を、修飾溶液における脂肪酸の溶解性を増大させるために加えた。溶液を、修飾プロセスが行われる前の約10分間、窒素流のもとで脱気した。
316Lステンレス鋼板を、2000番のエメリー研磨紙(Buehler)を使用して修飾前にさらに研磨し、本明細書中上記で記載されたように前処理し、修飾溶液に浸漬した。Ag|AgBr対して−0.8V〜1.25Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り5サイクル)。修飾された表面を純ACNにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。
静電容量:二重層静電容量Cdlを0.1MのNaNO3の10mlの脱気水溶液において測定した。電極を10分間平衡化させ、その後、7mV(ピーク〜ピーク)および320Hzのac電圧を、dc電位(Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して0〜0.3V)に重ねた。ac電流の実数部および虚数部を、周波数アナライザー(FRA)を備えたEcoChemieポテンシオスタットを使用して検出した。すべての測定を室温(21±2℃)で行った。
電解重合:ピロールまたはその誘導体の電解重合を、0.1Mの蒸留ピロールモノマーおよび0.1Mのテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBATFB)をアセトニトリルに含有する重合溶液に浸漬された、作用電極としてのステンレス鋼板(40×9mm2)のサイクリックボルタンメトリー(CV)を使用して行った。Ag|AgBrを参照電極として使用し、その一方で、グラファイト電極を補助電極として使用した。
電解重合を、裸のステンレス鋼電極、または、本明細書中上記で記載されたように長鎖カルボン酸で前処理されたステンレス鋼電極を使用して行った。あるいは、電解重合を、0.1mMの長鎖カルボン酸をさらに含有する上記で記載されたような重合溶液を使用して行った。
接着性測定:ステンレス鋼板へのポリマー薄膜の接着を、D−3359−02のASTM基準(試験方法B)に従った碁盤目テープ試験を使用して推定した。薄膜被覆を小さい正方形(それぞれが約5×5mm2)に切り、テープ(Permacel99、Permacel、New−Jersey)を被覆に張り付け、その後、剥がした。ステンレス鋼板に残っている接着性薄膜正方形の数と、正方形の総数との比率を、接着係数として求めた。
ステンレス鋼表面に対するナノ粒子の結合:PLAナノ粒子を含有する10mMのACN懸濁物に0.1MのTBATFBにおけるPLAナノ粒子の懸濁物を含有する修飾溶液を超音波処理し、窒素流のもとで約10分間脱気した。316Lステンレス鋼板を上記で記載されたように処理して、修飾溶液に入れ、Ag|AgBrに対して−0.8V〜1.25Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り、10サイクル)。修飾された表面を純ACNにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。
あるいは、9mlの純H2Oおよび約1mlのポリ(ラクチド−co−グリコリド)粒子懸濁物における0.1MのOxAと、0.01Mのピロールモノマーとを含有する修飾溶液を調製した。溶液を、修飾プロセスが行われる前の約10分間、窒素流のもとで脱気した。
316Lステンレス鋼板を本明細書中上記で記載されたように前処理し、Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して−0.8V〜約1.3Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り、10サイクル)。修飾された表面を純H2Oにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。
実験結果
(実施例1)
ステンレス鋼表面における脂肪酸の自己集合単層の電気化学的誘導による形成および特徴づけ
電気化学的測定:
反応性金属(例えば、ステンレス鋼など)における自己集合単層(SAM)の形成は、両親媒性成分と自然酸化物層との間での相互作用によって典型的には影響される重要なプロセスであると見なされる。後者は、疎水性分子に対する表面の接着特性に著しい影響を与える。ステンレス鋼表面でのSAMの形成は、SAMの遠位側末端に接着することができる有機の生体適合性物質の増大した表面接着をもたらすので非常に好都合である。そのような物質を結合させるための1つの注目される方法が電解重合によるものである。従って、酸化物層についての最も重要な要件の1つは、その中を通り抜ける電子移動を可能にするその制御された厚さである。様々な方法が、化学的処理、熱処理および電気化学的酸化を含めて、制御された酸化物層を成長させるためにこの分野では記載されている[27〜31]。金表面が自己集合プロセス前に酸化されたが、電位制御下でのSAMの形成もまた記載されている[32〜34]。
(実施例1)
ステンレス鋼表面における脂肪酸の自己集合単層の電気化学的誘導による形成および特徴づけ
電気化学的測定:
反応性金属(例えば、ステンレス鋼など)における自己集合単層(SAM)の形成は、両親媒性成分と自然酸化物層との間での相互作用によって典型的には影響される重要なプロセスであると見なされる。後者は、疎水性分子に対する表面の接着特性に著しい影響を与える。ステンレス鋼表面でのSAMの形成は、SAMの遠位側末端に接着することができる有機の生体適合性物質の増大した表面接着をもたらすので非常に好都合である。そのような物質を結合させるための1つの注目される方法が電解重合によるものである。従って、酸化物層についての最も重要な要件の1つは、その中を通り抜ける電子移動を可能にするその制御された厚さである。様々な方法が、化学的処理、熱処理および電気化学的酸化を含めて、制御された酸化物層を成長させるためにこの分野では記載されている[27〜31]。金表面が自己集合プロセス前に酸化されたが、電位制御下でのSAMの形成もまた記載されている[32〜34]。
今回、驚くべきことに、316Lステンレス鋼における長鎖カルボン酸の十分に整列したSAMの形成が、上記の方法の節において一般的に記載されるように、酸含有溶液の存在下で表面の電位を掃引することによって効率的に行われることが見出された。
0.1mMのデカン酸を含有するアセトニトリル(ACN)溶液におけるステンレス鋼電極のサイクリックボルタンメトリー(CV)を図1に示す。図1には、最初の2サイクルが示されており、この場合、陽極の不可逆波が最初の走査においてだけ明瞭に観測される。類似する電気化学的挙動が酸の非存在下で見られる。このことは、陽極波が表面の酸化から生じていることを示唆する。その後のサイクルは2回目の走査と重なったことには留意しなければならない。さらに、酸化波が、乾燥ACNが使用されたときには検出されなかった。
本明細書中上記で記載されたようにデカン酸で処理された電極の水接触角を、酸の非存在下でサイクル処理されたステンレス鋼表面の水接触角、および、酸含有溶液に浸された非サイクル処理ステンレス鋼表面(裸として示される)の水接触角と比較した。得られたデータを表1に示す。興味深いことに、デカン酸で処理された電極の水接触角は、酸の非存在下でステンレス鋼電極をサイクル処理した場合よりも著しく大きいことが見出された。同時に、サイクル処理されないが、修飾溶液に浸漬された電極の接触角は顕著に変化しなかった。
表1においてさらに示されるように、Ag|AgBrに対して−0.8Vから1.2Vの間で10サイクルにわたって電極を処理することによって得られたデカン酸SAMの接触角は、87°であった。鎖長を増大することにより、ほとんど下地にかかわらず、より高度に整列したSAMが生じることが知られているので[20〜25]、その長さが異なる様々な脂肪酸から作製されたSAMの前進接触角および後退接触角が測定されている。従って、デカン酸(C10)、ミリスチン酸(C14)およびパルミチン酸(C16)のSAMが、同じ条件のもとでステンレス鋼電極において形成された。表1に示されるように、前進接触角が増大することにおける明らかな傾向が観測された。このことはSMA充填の高まりを示している。ミリスチン酸SAMおよびパルミチン酸SAMについての前進接触角の値は、n−アルキル鎖の高密度充填アレイについて典型的であり、匹敵する構造について以前に報告された値と一致している[16、20、23および25]。
得られたデータはさらに、接触角が、行われた電位走査の回数によってもまた影響されることを示していた。表1に示されるように、接触角が、パルミチン酸の存在下でステンレス鋼表面をサイクル処理したときには109°にまで増大した。10サイクルを超えて電位をサイクル処理したとき、接触角のさらなる増大は観測されなかった。このことは、層がその最終的な組成に達したことを示唆している。ステンレス鋼電極が酸の非存在下でサイクル処理されたコントロール実験では、59°の接触角をもたらした。これは、おそらくは、酸化物層の形成に起因すると考えられる。明らかに、酸の非存在下で形成された酸化物層は、有機単層を組み立てる途中で形成された層よりも厚い。この点については、これらの系における二重層静電容量および電子移動速度に関して下記でさらに論じられる。
アルカンチオールおよびアルキルアミンを使用したステンレス鋼におけるSAMの接触角データが以前に研究されており、ヘキサデカンアミンおよびヘキサデカンチオールについてそれぞれ104°および105°であることが見出されていた[5]。
薄膜の整列化が増大するとき、ヒステリシスが低下することが知られているので、SAMの整列化を薄膜のヒステリシスによってさらに評価することができる。表1に示されるように、ヒステリシスの低下した値が、より整列したパルミチン酸処理の表面について観測された。従って、このことは、予想された結果に従う一致した傾向を示している。
レドックスプローブの存在下での電気化学的測定:
ステンレス鋼表面における薄い薄膜の形成をレドックスカップルの存在下での修飾電極のサイクリックボルタンメトリーによってさらに評価し、表した。Ru(NH3)6 3+をレドックスプローブとして選択し、評価を、上記で記載されたように0.1mMのパルミチン酸を含有するACN溶液においてステンレス鋼電極を最初に修飾し、その後、修飾電極を、レドックスプローブを含有する水溶液に移すことによって行った。Ru(NH3)6 3+のCVに対する電位サイクルの回数の影響が図2に示され、結果は、Ru(NH3)6 3+の還元波および酸化波が、サイクル数が増大するにつれて低下し、それにより、10サイクル後では、Ru(NH3)6 3+の完全の阻止が得られることを明瞭に示している。図2においてさらに示されるように、ステンレス鋼電極が酸非含有ACN溶液で10サイクルにわたって掃引されたコントロール実験(裸として示される)では、サイクル数は酸化波のみに影響を与えただけであり、それにもかかわらず、本明細書中下記でさらに議論されるように、電気化学的可逆性には影響を及ぼさなかった。これらの結果は、阻止が、酸化物の成長によるのではなく、電位によって誘導される酸SAMの付着のためであることを明瞭に示している。
ステンレス鋼表面における薄い薄膜の形成をレドックスカップルの存在下での修飾電極のサイクリックボルタンメトリーによってさらに評価し、表した。Ru(NH3)6 3+をレドックスプローブとして選択し、評価を、上記で記載されたように0.1mMのパルミチン酸を含有するACN溶液においてステンレス鋼電極を最初に修飾し、その後、修飾電極を、レドックスプローブを含有する水溶液に移すことによって行った。Ru(NH3)6 3+のCVに対する電位サイクルの回数の影響が図2に示され、結果は、Ru(NH3)6 3+の還元波および酸化波が、サイクル数が増大するにつれて低下し、それにより、10サイクル後では、Ru(NH3)6 3+の完全の阻止が得られることを明瞭に示している。図2においてさらに示されるように、ステンレス鋼電極が酸非含有ACN溶液で10サイクルにわたって掃引されたコントロール実験(裸として示される)では、サイクル数は酸化波のみに影響を与えただけであり、それにもかかわらず、本明細書中下記でさらに議論されるように、電気化学的可逆性には影響を及ぼさなかった。これらの結果は、阻止が、酸化物の成長によるのではなく、電位によって誘導される酸SAMの付着のためであることを明瞭に示している。
デカン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸により修飾されたステンレス鋼電極の阻止特性が、水溶液においてRu(NH3)6 3+を使用して、酸非含有アセトニトリル溶液において掃引された裸の電極(コントロール)と比較して下記の表2および図3に示される。得られたデータは、デカン酸の薄膜が結合している電極では、コントロールの裸のステンレス鋼電極と比較して、還元ピーク電位がわずかに63mV負側でしかなく、その電流がわずかに33%しか低下しなかったことを示している。レドックスに対するデカン酸薄膜のこの比較的低い影響は驚くほどのことではない。これは、この分野では知られているように、密に充填された自己集合単層は典型的には、鎖長がC11以上のときに形成されるからである[20〜21]。ミリスチン酸により修飾された電極では、コントロールのステンレス鋼電極と比較して、ピーク電位が175mVほど負側の電位に変化し、電流が66%低下し、これに対して、パルミチン酸により修飾された電極はほぼ完全な阻止を示した。
Ru(NH3)6 3+を使用する電子移動の速度論を、裸のステンレス鋼電極、および、デカン酸により修飾された電極を比較することによってさらに調べた。得られたデータを図4および図5に示す。図4は、非修飾(裸)のステンレス鋼電極を使用するRu(NH3)6 3+のボルタンメトリー挙動に対する研磨および電気化学的サイクル処理の影響を示しており、研磨されたばかりの電極が、160mVの電位ピーク差および1に近い還元・酸化電流比を伴う準可逆的挙動を示すことを明らかにしている。他方で、新しく研磨され、かつ、電気化学的にサイクル処理された修飾電極のCVは、酸化波がほとんどない化学的に不可逆的な挙動を示している。類似するCV挙動が、周囲条件下で1日間放置された研磨電極を用いてもまた観測された(図4)。このことは、酸化物層の形成がRu(NH3)6 3+の酸化に対して顕著な影響を有することを示している。
図5a〜図5bは、デカン酸修飾の電極を使用するRu(NH3)6 3+のCVに対する走査速度の影響を示す。測定を、IR補償を使用して行った。図5aに示されるように、陰極ピーク電流と走査速度の平方根との間での直線的依存性が得られた。このことは、レドックス化学種の還元が拡散支配であることを示している。
さらに、速度論的パラメーター、すなわち、移動係数(α)および標準不均一速度定数(k0)を、下記の式1(式中、Ec,pは陰極ピーク電位であり、E0’、R、TおよびFはこれらの通常の意味を有する)に従って走査速度vの対数の関数としてピーク電位をプロットすることによって求めた[35]:
図5bに示されるように、直線的依存性が実際に得られ、これにより、α(0.3)およびk0 monolayer(1.6・10−3cm・sec−1)を傾きおよび切片からそれぞれ得ることができる。
同じ実験およびデータ処理を、酸の非存在下での電気化学的サイクル処理(2サイクルおよび10サイクル)に供された電極に関して行った。この場合、移動係数は両方の場合において約0.5であり、k0 bareは2サイクルおよび10サイクルについてそれぞれ約4.0・10−3cm・sec−1および2.3・10−3cm・sec−1であった。電位走査の回数を増大させたときの電子移動速度の低下は、明らかに、酸化物層が厚くなったためである。
Amatoreの方法[38]に従って、θ(これは被覆率である)を、裸の電極および修飾電極の不均一速度定数を比較することによって導くことができる(式2)。
明らかに、被覆率は裸の電極の不均一速度定数に大きく依存している。不均一速度定数の値を式2に導入することにより、2回および10回の走査についてサイクル処理された裸の電極についてそれぞれ、0.6および0.3の被覆率が得られた。ステンレス鋼表面を10サイクルにわたって処理することの結果として酸の存在下で形成される酸化物層は、酸の非存在下で形成される層よりも著しく薄いことが考えられる。それにもかかわらず、θは、わずかに2回だけサイクル処理された裸の電極の速度定数が使用されたときでさえ、予想されるよりも著しく低い。これは、おそらくは、何らかのトンネル現象(Amatoreの方法では含まれない作用)がデカン酸薄膜を横断して生じているということに起因すると考えられる。すなわち、電子移動が電極上の非被覆領域だけで生じていない。このことは、酸の層を通過する電子移動を示している。しかしながら、酸がより長い鎖を有する場合、この処理は、電子移動の完全な阻止のために適用することができない。
静電容量の測定:
多層ではなく、単層がステンレス鋼電極に形成されたことを確認するために、4つの異なる長鎖酸(デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)の付着により形成された異なるSAMの二重層静電容量を、本明細書中上記に記載されるように調べた。結果が図6に示され、結果は、0.1MのNaNO3における修飾電極および裸の電極の電位に対する静電容量の依存性を示している。静電容量を、Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して0V〜0.3Vの間でのACVによって測定し、静電容量が電位非依存性であることが見出された。デカン酸SAM、ミリスチン酸SAM、パルミチン酸SAMおよびステアリン酸SAMの静電容量はそれぞれ、7.3μF・cm−2、3.57μF・cm−2、1.78μF・cm−2および1.36μF・cm−2であることが見出された。これらの値は、酸の非存在下でサイクル処理される前のステンレス鋼電極について測定された静電容量(17.5μF・cm−2)および処理後のステンレス鋼電極について測定された静電容量(13.0μF・cm−2)よりも著しく低かった。
多層ではなく、単層がステンレス鋼電極に形成されたことを確認するために、4つの異なる長鎖酸(デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)の付着により形成された異なるSAMの二重層静電容量を、本明細書中上記に記載されるように調べた。結果が図6に示され、結果は、0.1MのNaNO3における修飾電極および裸の電極の電位に対する静電容量の依存性を示している。静電容量を、Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して0V〜0.3Vの間でのACVによって測定し、静電容量が電位非依存性であることが見出された。デカン酸SAM、ミリスチン酸SAM、パルミチン酸SAMおよびステアリン酸SAMの静電容量はそれぞれ、7.3μF・cm−2、3.57μF・cm−2、1.78μF・cm−2および1.36μF・cm−2であることが見出された。これらの値は、酸の非存在下でサイクル処理される前のステンレス鋼電極について測定された静電容量(17.5μF・cm−2)および処理後のステンレス鋼電極について測定された静電容量(13.0μF・cm−2)よりも著しく低かった。
静電容量が電位に依存しないという事実は、静電容量が、二重層がキャパシタープレートとして挙動するという仮定に基づくHelmholtzモデル[35〜36]によって記載できることを示している。この場合、静電容量は下記の式3(式中、εは誘電率であり、ε0は自由空間の誘電率であり、Aは作用電極の面積であり、dは薄膜の厚さである)によって与えられる:
従って、静電容量の逆数を薄膜の厚さに対してプロットすることにより、直線が得られるはずである。図7に示されるように、直線の関係性が実際に、(下記で議論されるように1.3Å/メチレンを仮定して)静電容量の逆数と酸の鎖の長さとの間で得られた。上記で示された電気化学的観測結果によってさらに裏付けられ、かつ、電気化学的観測結果と一致するように、直線性が、デカン酸を除外したときには増大する。
厚さの測定:
形成された単層の厚さを調べるために行われた偏光解析法研究は、ステンレス鋼表面の連続酸化プロセスのために非常に複雑であることが見出されたことに留意しなければならない。裸のステンレス鋼表面は、空気にさらされている間は絶え間なく酸化されており、このことは、有機修飾されたステンレス鋼のために使用され得る酸化物薄膜の適切なモデルの確立を妨げている。この挙動はまた、酸化銅および酸化アルミニウムにおけるカルボン酸単層の厚さを測定したとき、Tao[23、25]およびNuzzo[37]によっても報告されていた。
形成された単層の厚さを調べるために行われた偏光解析法研究は、ステンレス鋼表面の連続酸化プロセスのために非常に複雑であることが見出されたことに留意しなければならない。裸のステンレス鋼表面は、空気にさらされている間は絶え間なく酸化されており、このことは、有機修飾されたステンレス鋼のために使用され得る酸化物薄膜の適切なモデルの確立を妨げている。この挙動はまた、酸化銅および酸化アルミニウムにおけるカルボン酸単層の厚さを測定したとき、Tao[23、25]およびNuzzo[37]によっても報告されていた。
FTIR測定:
316Lステンレス鋼に形成された酸薄膜を、その構造的特徴を他の金属酸化物表面において以前に形成されたn−アルカン酸単層[20〜23]と比較するために、反射吸収フーリエ変換赤外分光法(RA−FTIR)によってさらに特徴づけた。図8は、316Lステンレス鋼下地におけるデカン酸単層、ミリスチン酸単層およびパルミチン酸単層の赤外スペクトルのC−H伸縮領域を示す。標識されたピーク[21]はメチレン基の対称伸縮モードおよび非対称伸縮モード[(νs、CH2)および(νa、CH2)]ならびにメチル基の対称伸縮モードおよび非対称伸縮モード[(νs、CH3)および(νa、CH3)]を表す。絶対強度およびピーク位置はともに、ミリスチン酸薄膜およびパルミチン酸薄膜の炭化水素鎖の内部の表面被覆範囲および構造が、金属酸化物表面におけるカルボン酸単層について以前に報告された表面被覆範囲および構造[20〜25]と同等であることを示している。より具体的には、ミリスチン酸(C14)層およびパルミチン酸(C16)層について示されたデータは、CH3基のC−CH3回転軸が、アルキル鎖の軸が表面法線から傾斜しているステンレス鋼表面に対して平行するためにより近くに傾いている単層アセンブリーモデルと無理なく十分に合致する。メチレンの非対称振動モードおよび対称振動モードが2918cm−1および2849cm−1にそれぞれ現れるという事実は、高度に整列したSAMを明確に表しており、これは、銅におけるカルボン酸単層について見出されたSAMと類似している[25]。
316Lステンレス鋼に形成された酸薄膜を、その構造的特徴を他の金属酸化物表面において以前に形成されたn−アルカン酸単層[20〜23]と比較するために、反射吸収フーリエ変換赤外分光法(RA−FTIR)によってさらに特徴づけた。図8は、316Lステンレス鋼下地におけるデカン酸単層、ミリスチン酸単層およびパルミチン酸単層の赤外スペクトルのC−H伸縮領域を示す。標識されたピーク[21]はメチレン基の対称伸縮モードおよび非対称伸縮モード[(νs、CH2)および(νa、CH2)]ならびにメチル基の対称伸縮モードおよび非対称伸縮モード[(νs、CH3)および(νa、CH3)]を表す。絶対強度およびピーク位置はともに、ミリスチン酸薄膜およびパルミチン酸薄膜の炭化水素鎖の内部の表面被覆範囲および構造が、金属酸化物表面におけるカルボン酸単層について以前に報告された表面被覆範囲および構造[20〜25]と同等であることを示している。より具体的には、ミリスチン酸(C14)層およびパルミチン酸(C16)層について示されたデータは、CH3基のC−CH3回転軸が、アルキル鎖の軸が表面法線から傾斜しているステンレス鋼表面に対して平行するためにより近くに傾いている単層アセンブリーモデルと無理なく十分に合致する。メチレンの非対称振動モードおよび対称振動モードが2918cm−1および2849cm−1にそれぞれ現れるという事実は、高度に整列したSAMを明確に表しており、これは、銅におけるカルボン酸単層について見出されたSAMと類似している[25]。
ミリスチン酸薄膜およびパルミチン酸薄膜のスペクトルを比較することにより、これらのアラインメントが同一であるが、ミリスチン酸の吸収強度がパルミチン酸の吸収強度の半分未満であることが明らかにされる。相対的な吸収強度は3つの異なった寄与に起因し得る。大きな寄与は、ミリスチン酸単層およびパルミチン酸単層の傾斜角の違いのためである。傾斜角が増大するにつれて、表面に対して垂直な双極子モーメントの成分が減少し、これにより、振動強度の低下が引き起こされている。明らかなことではあるが、炭化水素鎖における炭素の数が増大するにつれて、強度がそれに従って低下する。このこと自体は、ミリスチン酸(C14)とパルミチン酸(C16)との違いを説明することができない。表面被覆範囲の違いもまた、相対的な吸収強度に影響を及ぼす。ミリスチン酸とパルミチン酸の表面被覆範囲を(電気化学的手段によって)明らかにすることは不可能であったので、これら2つの酸の間で吸収強度において観測された違いはこれら3つの寄与のすべての結果であると推定されただけであった。
他方で、酸化されたステンレス鋼でのより短い鎖のデカン酸(C10)のスペクトルは、立体配座が乱れていることを示している。これらのデータは、この層の上記で記載された境界特性と一致しており、他の金属酸化物表面でのカルボン酸SAMの化学吸着に関する以前の研究と関連づけることができる。高度に整列し、かつ、密に充填された単層が、C11よりも長い炭化水素鎖を有する両親媒性物質によって形成された[20〜23]。
図9は、頭部基の伸縮モードに関連づけられる、ステンレス鋼電極におけるパルミチン酸単層のRA−FTIRスペクトルの低振動数領域を示す。スペクトルは、対称性(1452cm−1)および非対称性(1595cm−1)の−CO2 −伸縮振動、ならびに、CO2H成分におけるC=O伸縮に対応する1728cm−1でのはるかに弱いピークを示している。これらのデータは、水素結合したカルボン酸成分に特徴的である1703cm−1におけるC=O伸縮モードの欠如も同時に示しており、カルボン酸頭部基が部分的な解離を受けて、表面カルボキシラート化学種を形成していることを示している。非対称性の−CO2 −の伸縮モードは、局所的環境および物質とのイオン的相互作用の性質に依存することが知られている[20、22]。実際、このシグナルは幅が広くなっており、いくつかの重なるピークを含有する。このことは、頭部基が多数の異なるモードにより表面と相互作用することを示している。全体的には、得られたFTIRデータは、酸化銅におけるカルボン酸SAMについて報告されたFTIRデータ[22]と類似しており、これに対して、銀およびアルミナにおけるカルボン酸単層のスペクトル[20、22]は全く異なっていた。C=Oの比較的弱いピークが1728cm−1で観測されるという事実は、実際に、頭部基が316Lステンレス鋼の酸化物表面においていくつかの異なる配向および局所的環境で吸着されることを示唆する。SAM分子の大部分が、イオン的相互作用によって表面に結合するカルボキシラート化学種として316Lステンレス鋼に吸着し、それにより、頭部基の小さい割合がプロトンの解離を受けず、酸化物/単層の境界にカルボン酸化学種として閉じ込められていると結論することができる。後者は、おそらくは、外部電位を加えることによって誘導される早い付着のためである。
XPS測定:
X線光電子分光法(XPS)では、物質の最外層を構成する種々の元素の詳細な特徴づけが可能である。パルミチン修飾されたステンレス鋼プレートのFe2p3/2およびO1sのXPSスペクトルを図10aおよび図10bにそれぞれ示す。図10aにおいて認められ得るように、有機SAMはFe2p3/2のシグナルを弱めていた。図10bにおいて認められ得るように、電気化学的サイクル処理では、金属/単層の境界は−OH表面基が高まった。
X線光電子分光法(XPS)では、物質の最外層を構成する種々の元素の詳細な特徴づけが可能である。パルミチン修飾されたステンレス鋼プレートのFe2p3/2およびO1sのXPSスペクトルを図10aおよび図10bにそれぞれ示す。図10aにおいて認められ得るように、有機SAMはFe2p3/2のシグナルを弱めていた。図10bにおいて認められ得るように、電気化学的サイクル処理では、金属/単層の境界は−OH表面基が高まった。
(実施例2)
ステンレス鋼表面における有機シランの自己集合単層の形成
様々な有機シランSAMを有するステンレス鋼表面を、下記に記載されるように調製した。堅牢かつ一様な有機シラン自己集合単層を得た。一部の場合には、単層が後の電解重合のときに電子を変換できることが所望されるので、好ましくは、炭素が10個以下のアルキルを有する有機シランが使用される。下記は、有機シラン誘導体の代表的な例の構造式である:
ステンレス鋼表面における有機シランの自己集合単層の形成
様々な有機シランSAMを有するステンレス鋼表面を、下記に記載されるように調製した。堅牢かつ一様な有機シラン自己集合単層を得た。一部の場合には、単層が後の電解重合のときに電子を変換できることが所望されるので、好ましくは、炭素が10個以下のアルキルを有する有機シランが使用される。下記は、有機シラン誘導体の代表的な例の構造式である:
従って、これらには、例えば、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、アルキルトリクロロシラン、トリアルキルクロロシランおよびピロロアルキルトリアルコキシシランから形成されるSAMが含まれる。後者は、ポリピロール薄膜がSAMを介して表面に結合している表面の調製において、SAM付着の直後、または、SAM付着と同時に使用することができる。
有機シランによるステンレス鋼表面の修飾:
単層の付着を、(i)ステンレス鋼表面の前処理、および(ii)SAM付着の2工程で行った。
単層の付着を、(i)ステンレス鋼表面の前処理、および(ii)SAM付着の2工程で行った。
ステンレス鋼のサンプルを、D4000エメリー研磨紙、続いてアルミナペースト(1μmおよび0.05μm)により機械的に研磨し、その後、有機溶媒中で15分間にわたって超音波処理した。すべてのサンプルは鏡面様仕上げを達成した。最後に、サンプルを穏やかな窒素(N2)流により乾燥し、不活性雰囲気で保管した。いくつかの標準的な清浄化方法もまた、SS表面を処理するために使用することができる(例えば、SAM付着前での酸素プラズマ(Femtoシステム)処理または「ピラニア」溶液への浸漬など)。表面は場合により、SS表面におけるヒドロキシル基の量を大きくするために、酸化ケイ素の固定層を生じさせるようにテトラメチルオルトシリケートでさらに処理した。そのように処理された表面を、フリーのヒドロキシル基を生じさせるように、SAMの形成に先立って加水分解した。
付着を、薄い有機シラン溶液におけるステンレス鋼サンプルの単純な浸漬によって行った。ハロゲン化物有機シランが使用された場合には、付着を、ヒドロキシへのハロゲン化物の変換を可能にし、従って、表面へのその結合を可能にするように加湿条件下および/または水の存在下で行った。修飾された表面は、その後、何らかの過剰な物質が除かれ、乾燥され、不活性な雰囲気で保管された。
有機シランSAM付着プロセスの概略図が図20に示される。
(実施例3)
修飾されたステンレス鋼表面へのピロールの電解重合
脂肪酸の自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面へのピロールの電解重合:
ピロールの電解重合および得られた薄膜の接着の評価を上記で記載されたように行った。結果を図11a〜図11bに示す。図11aにおいて認められ得るように、裸のステンレス鋼プレートでのピロールの電解重合は5%未満の接着をもたらし、薄膜はほとんどが表面から剥がれた。しかしながら、電解重合が、1mMのデカン酸を含有する重合溶液において行われたとき、接着は約40%に増大した。このことは、カルボン酸を取り込むことにより、ステンレス鋼におけるピロール被覆の接着が増大することを示している。そのうえ、図11bにおいて認められ得るように、ステンレス鋼プレートがデカン酸で前処理されたとき、接着は65%超にまでさらに増大した。デカン酸薄膜は、2回目の標準的な剥離試験の後でさえ、ステンレス鋼表面に残っていた。
修飾されたステンレス鋼表面へのピロールの電解重合
脂肪酸の自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面へのピロールの電解重合:
ピロールの電解重合および得られた薄膜の接着の評価を上記で記載されたように行った。結果を図11a〜図11bに示す。図11aにおいて認められ得るように、裸のステンレス鋼プレートでのピロールの電解重合は5%未満の接着をもたらし、薄膜はほとんどが表面から剥がれた。しかしながら、電解重合が、1mMのデカン酸を含有する重合溶液において行われたとき、接着は約40%に増大した。このことは、カルボン酸を取り込むことにより、ステンレス鋼におけるピロール被覆の接着が増大することを示している。そのうえ、図11bにおいて認められ得るように、ステンレス鋼プレートがデカン酸で前処理されたとき、接着は65%超にまでさらに増大した。デカン酸薄膜は、2回目の標準的な剥離試験の後でさえ、ステンレス鋼表面に残っていた。
表面モルフォロジーに対するデカン酸SAMの影響を、本明細書中上記で記載されたように、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して調べた。図12a〜図12cに示されるように、デカン酸により修飾されたステンレス鋼電極に付着した薄膜(図12c)のモルフォロジーは、裸のステンレス鋼プレートに付着したポリピロール薄膜(図12b)と比較して、より滑らかなモルフォロジーを有する。これらの結果は、表面における酸SAMの存在により、有機環境が生じ、かつ、裸の表面と比較して、有機ポリマー鎖の成長のためのより多くの核生成部位の産生が可能になることを示唆する。同じ有益な作用を、本明細書中に記載されるように有機シランSAMを付着させることによって得ることができる。
従って、簡便かつ費用効果的な方法が、316Lステンレス鋼表面での接着性かつ均質なポリマー被覆の調製のために明らかにされた。低密度のデカン酸SAMは電子移動プロセスを可能にし、従って、ポリマー−金属の接着を改善する。デカン酸SAMは金属表面とポリマーとの間の境界として役立ち、一方で、金属表面はカルボキシラートアニオンおよびポリピロールと効果的に反応する。他方で、ポリピロールは疎水性であり、単層の脂肪鎖と相互作用する。加えて、SAMは、接着促進薄膜として、分子的な大きさであり、従って、制御することができる厚さを有する、SAMに付着したポリマー薄膜は、表面モルフォロジーを獲得する。この発見は、電解重合の考えられる利用のために、従って、医療デバイスの一様かつ薄い接着性の被覆を提供するために非常に重要である。
ピロール誘導体の調製、および、脂肪酸の自己集合した単層が表面に付加されているステンレス鋼表面での電解重合:
様々なピロール誘導体を、修飾されたステンレス表面を電気被覆するための電解重合可能なモノマーユニットとして調製した。これらのピロール誘導体は、生物活性物質、および/または、形成されたピロール薄膜への生物活性物質の結合を改善し得る化学物質のいずれかであっても、さらなる物質を表面に結合させるために役立ち得る官能基を有するように設計された。下記は、ピロール誘導体の代表的な例の構造式および合成である。
様々なピロール誘導体を、修飾されたステンレス表面を電気被覆するための電解重合可能なモノマーユニットとして調製した。これらのピロール誘導体は、生物活性物質、および/または、形成されたピロール薄膜への生物活性物質の結合を改善し得る化学物質のいずれかであっても、さらなる物質を表面に結合させるために役立ち得る官能基を有するように設計された。下記は、ピロール誘導体の代表的な例の構造式および合成である。
下記は、本発明の関連での使用に好適である、官能基によって誘導体化される様々な電解重合可能なピロールモノマーの調製を記載する。
カルボン酸含有ピロール誘導体またはアミノ含有ピロール誘導体の調製−一般的手順:
カルボン酸含有ピロールアナログまたはアミノ含有ピロールアナログの調製を、別途示されない限り、Yon−Hin他[Anal.Chem.、1993、65、2067〜2071]による知られているプロトコルに基づいて行った。
カルボン酸含有ピロールアナログまたはアミノ含有ピロールアナログの調製を、別途示されない限り、Yon−Hin他[Anal.Chem.、1993、65、2067〜2071]による知られているプロトコルに基づいて行った。
N−(3−アミノプロピル)ピロール(APP)の調製−経路A:N−(2−シアノエチル)ピロールを、N−(2−シアノエチル)ピロール(Aldrich Chemicalsから入手可能)を出発物質として使用する上記の一般的手順を使用して乾燥ジエチルエーテル中でLiAlH4により還元した。N−(3−アミノプロピル)ピロールを乾燥ジエチルエーテルにおけるLiAlH4によるN−(2−シアノエチル)ピロールの還元によって90%の収率で合成し、H−NMRおよびIRによって同定した(データは示さず)。
N−(3−アミノプロピル)ピロール(APP)の調製−経路B:代わりの合成経路では、APPを下記のように調製した:
50mlのメタノールに溶解された2−シアノエチルピロール(10グラム、83.3mmol)に、1グラムの10%Pd−Cを加え、容器を70PSIで4日間、水素化システムに接続した。固体を沈殿させて除き、ろ液を集め、揮発分を減圧下で除いた。得られたアミンを、CHCl3における20%〜50%のメタノールを溶出液として使用するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、N−(3−アミノプロピル)ピロールを90%の収率で得た。褐色がかった粘稠性オイルをNMR(データは示さず)およびESI−MSによって特徴づけた。
ES−MS:m/z=122、126、153、132、339。
N−(2−カルボキシエチル)ピロール(PPA)の調製:N−(2−シアノエチル)ピロールを下記のように上記の一般的手順に従ってKOH水溶液において加水分解した:
N−(2−シアノエチル)ピロール(10ml、83.23mmol)を、50mlのDDWにおける20グラムのKOHの溶液と10mlのエタノールとの混合物において4日間還流した。アンモニアの発生が止むと、反応混合物を室温に冷却し、溶液を、約4〜5のpHに達するまで濃塩酸を使用して酸性化した。酸を、100mlのCH2Cl2により4回、反応混合物から抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機溶媒を減圧下で除いて乾固した。黄色がかったガム状生成物のN−(2−カルボキシエチル)ピロールが冷却後に固化し、80%の収率で得られた(融点、58〜59℃):
N−(2−カルボキシエチル)ピロール−NHS(PPA−NHS)の調製:
2−カルボキシエチルピロール(5グラム、36mmol)を塩化カルシウム管のもとで70mlの酢酸エチルに溶解した。撹拌された溶液に、1.1当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN−ヒドロキシスクシンアミド(NHS)を加え、撹拌を続けた。しばらくして、DCUの白色沈殿が形成した。混合物を室温で一晩放置し、沈殿物をろ過し、50mlの酢酸エチルで2回洗浄した。酢酸エチル画分を集め、溶媒を乾固するまで減圧下で除いた。白色の着色した残渣を集め、−5℃で使用まで貯蔵した。生成物を1H−NMRによって同定した(データは示さず)。
PPA−O−PEG−Oの調製:HO−PEG−OHのピロール化を、下記のように、p−トリエンスルホン酸(PTSA)との等方的還流を使用するトルエン中でのエステル化プロセスにより確立した:
上記手順を使用して、等モル量のPPAおよびPEG(MW=400)をPTSAの存在下でトルエンに溶解し、混合物を、形成された共沸物を留去しながら4日間還流した。TLCにより、1つの主生成物の形成および残存量の出発物質が確認された。主生成物を1H−NMRによって同定した(データは示さず)。
ビス−ピロール−PEG220の調製:
H2N−PEG220−NH2(1グラム、4.54mmol)を50mlのDMFに溶解した。その後、20mlのDMFに溶解されたPPA−NHS(2.14グラム、9mmol)を滴下して加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。反応が完了したとき、溶媒を減圧下で除いて乾固した。ビスピロール化残渣を50mlの2回蒸留水(DDW)とCH2Cl2との間で分離し、70mlのCH2Cl2に3回抽出した。有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除いた。その後、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、最終生成物を1H−NMRによって同定した(データは示さず)。
ピロールアルキルエステルの調製:ピロールアルキルエステルをPPAの直接的エステル化によって調製した。簡単に記載すると、過剰なアルキルアルコールにおけるPPAの溶液を触媒量のp−トルエンスルホン酸および硫酸マグネシウムの存在下で70℃〜80℃で一晩加熱した。その後、溶媒をエバポレーションし、得られたエステル誘導体を飽和重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルにより抽出した。生成物を、ジクロロメタンおよびアルキルアルコールの混合物を溶出液として使用するシリカゲルカラムで精製した。生成物を1H−NMRおよびIRによって特徴づけおよび同定した(データは示さず)。
ピロールプロピルアミンの調製:ピロールプロピルアミンをN−(2−シアノエチル)ピロールのLiAlH4による還元によって合成した。簡単に記載すると、乾燥エーテル(総溶媒体積の90%)における2.5当量のLiAlH4の懸濁物に乾燥エーテル(総溶媒体積の10%)における1当量のN−(2−シアノエチル)ピロールを加え、得られた混合物を一晩還流した。反応混合物を冷却した後、過剰なLiAlH4を、少量のDDW、15%のNaOH溶液およびさらなる量のDDWによって不活性化した。その後、混合物を40℃に加熱し、2時間撹拌し、その後、セライト粉末でろ過し、溶媒をエバポレーションして、生成物を黄色の粘稠性オイルとして得た。ピロールプロピルアミンを、1H−NMR、TNBS試験および元素分析によって特徴づけした(データは示さず)。
t−boc保護されたピロールプロピルアミンの調製:t−boc保護ピロールを、ピロールプロピルアミンの電解重合を改善するために調製した。簡単に記載すると、ピロールプロピルアミン(1当量)をジ−Bocのメタノール溶液に加えた。反応混合物を窒素雰囲気下において0℃で2時間撹拌し、その後、室温に加温した。反応を一晩進行させた。その後、モノ−Boc残渣を含む溶媒をエバポレーションして、アミン保護の生成物を得た。生成物を1H−NMRによって特徴づけした(データは示さず)。
PPA−JEFAMINE2000−NH2の調製:
JEFFAMINE2000(O−(2−アミノプロピル)−O’−(2−メトキシエチル)−O’−(2’−メトキシエチル)プロピレングリコール2000、10グラム、5mmol)を150mlの酢酸エチルに溶解した。撹拌しながら、PPA(0.7グラム、5mmol)およびDDC(1グラム、7mmol)を溶液に加えた。混合物を室温で72時間撹拌した。この期間中を通して、白色のDCUの沈殿物が形成した。沈殿物をろ過し、20mlの酢酸エチルで2回洗浄した。酢酸エチル画分を集め、エバポレーションして乾固した。得られた黄色がかったガムを室温に冷却し、しばらくして固化した。その後、生成物をゲルろ過によって精製し、1H−NMRによって同定した(データは示さず)。
ジピロールPEG3の調製:ジピロールPEG3を、PPAおよびjeffamineの簡便なアミド化によって調製した。簡単に記載すると、PPA(1当量)をジメチルホルムアミドに溶解し、溶液を氷浴で0℃に冷却した。DDC(50%過剰)を加え、得られた混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、jeffamine(1当量)を加え、反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。混合物を少量の酢酸および水で処理し、2時間撹拌し、その後、ろ過した。沈殿物をジメチルホルムアミドにより洗浄し、ろ液をエバポレーションして乾固し、酢酸エチル、塩酸(0.1M、2回)、NaHCO3(2回)およびNaCl飽和液により抽出した。生成物溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をエバポレーションして、生成物を得た。生成物を1H−NMRによって特徴づけした(データは示さず)。
N−アルキル化ピロールの調製−一般的手順:
典型的な反応において、ピロールを最初に、NaH、Kリチウムまたはブチルリチウムと反応して、アルカリピロール誘導体を得た。アルカリピロール誘導体を、以前に記載されたように(E.P.PapandopoulosおよびN.F.Haidar、Tetrahedron Lett.、14、1721〜23、1968;T.Schalkhammer他、Sensors and Actuators B、4、273〜281;S.Cosneir、Electroanalysis、1997、9:894〜902およびそれらにおける参考文献)、等モル量のアシルハロゲン化物またはハロアルキルと反応させた。最後に、ピロールアルカリ塩を、様々な長さのモノブロモメトキシポリエチレングリコール(PEG)(MW=200グラム/mol、1000グラム/mol、4,000グラム/mol)とコンジュゲート化した(それぞれ、化合物1、化合物2および化合物3)。
典型的な反応において、ピロールを最初に、NaH、Kリチウムまたはブチルリチウムと反応して、アルカリピロール誘導体を得た。アルカリピロール誘導体を、以前に記載されたように(E.P.PapandopoulosおよびN.F.Haidar、Tetrahedron Lett.、14、1721〜23、1968;T.Schalkhammer他、Sensors and Actuators B、4、273〜281;S.Cosneir、Electroanalysis、1997、9:894〜902およびそれらにおける参考文献)、等モル量のアシルハロゲン化物またはハロアルキルと反応させた。最後に、ピロールアルカリ塩を、様々な長さのモノブロモメトキシポリエチレングリコール(PEG)(MW=200グラム/mol、1000グラム/mol、4,000グラム/mol)とコンジュゲート化した(それぞれ、化合物1、化合物2および化合物3)。
代わりの一般的手順では、水素化ナトリウムを、下記のように、ピロリドアニオンのインシトゥー調製のために使用した:
従って、新たに蒸留されたピロール(1ml、15mmol)を塩化カルシウム管のもとで30mlの乾燥DMFに溶解し、溶液を氷浴で0℃に冷却した。1当量の水素化ナトリウムを、撹拌された溶液にオイル分散物として少量ずつ加えた。直ちに、ガスの発生が認められ、混合物を60分間穏やかに撹拌した。冷却している黄色がかったフォームに、20mlの乾燥DMFに溶解されたアルキルハロゲン化物(1当量、例えば、ヨウ化オクチル、ヨウ化ドシル、C14−ブロミド)を滴下して加え、混合物を0℃でさらに4時間撹拌した。その後、混合物を室温に加温し、48時間放置した。DMFを減圧下で除いて乾固し、生成物を100mlのDDWから4回の100mlのCH2Cl2に抽出した。有機画分を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、有機溶媒を除いて、褐色のオイルを得た。精製を180℃での真空蒸留によって行った。
1,2−ジ(2−ピロリル)エテン類の誘導体およびアナログの調製−一般的手順:
1,2−ジ(2−ピロリル)エテン類および関連化合物を下記のようにHinz他[Synthesis、620〜623(1986)]に従って調製した:
1,2−ジ(2−ピロリル)エテン類および関連化合物を下記のようにHinz他[Synthesis、620〜623(1986)]に従って調製した:
従って、1,2−ジ(2−ピロリル)エテン類および関連化合物を、トルエン中における、市販の2−チオフェンカルボキシアルデヒドまたは2−(N−アルキルピロール)カルボキシアルデヒドと、対応するメチルホスホニウム塩(これは非置換ピロールのMannich反応によって調製される)との間でのWittig反応(アルゴン雰囲気下での10時間の還流)によって調製した。全体的な収率は約70%であった。
1,1’−ジ−(2−チエニルまたはピロリル)−2−アルキルエチレンの調製−一般的手順:
1,1’−ジ−(2−チエニル)エチレンを、2−アセチルチオフェンを乾燥THF中で2−ブロモチオフェンのgranger試薬と反応することによって調製した。生成物を1H−NMRおよびEI−MSによって同定した(データは示さず)。
ピロールアナログを、TMEDAによる室温での乾燥ヘキサンまたは乾燥THFにおけるN−アルキルピロールのリチウム化、その後の対応するエステルの二置換によって、Ramanthan他[J.org.chem.、27、1216〜9(1962)]およびHeathcock他[J Heterocyclic chem.、6(1)、141〜2(1969)]に基づく類似した様式で調製した。
コンジュゲート化生成物が希塩酸において容易に得られた。
さらなる誘導体化を、既知の方法を使用して様々なカルボン酸によるヒドロキシルのエステル化によって達成することができる。
チエニル誘導体、フラニル誘導体およびN−アルキルピロール誘導体のカップリング−一般的手順:チエニル誘導およびフラニル誘導体の両方の2−リチウム誘導体と、N−アルキルピロールとのカップリングを下記のように行った:
様々なカップリング生成物が、CuCl2を使用して比較的良好な収率(約70%)で容易に得られた。だが、文献[chem.Ber.、114、3674(1981)]において提案されるように、他の試薬(例えば、NiCl2など)もまた使用することができる。
電解重合可能なチエニルモノマーおよびピロリルモノマーの調製:
1,4−ジ(2−チエニル)1,4−ブタンジオールを、Wynberg[Wynberg他、synthetic comm、1 14(1)(1984)]に従ってStretter反応[Stretter、H;Angew chem、88、694〜704(1976)]を使用して75%〜80%の収率で調製した。その後、1,4−ジ(2−チエニル)−1,4−ブタンジオールを、下記のように、対応するアミンと反応させて、2,5−ジ(2−チエニル)N−アルキルピロールをPaal−Knore反応[Cava他、Adv materials、5、547(1993)]によって調製した:
1,4−ジ(2−チエニル)1,4−ブタンジオールを、Wynberg[Wynberg他、synthetic comm、1 14(1)(1984)]に従ってStretter反応[Stretter、H;Angew chem、88、694〜704(1976)]を使用して75%〜80%の収率で調製した。その後、1,4−ジ(2−チエニル)−1,4−ブタンジオールを、下記のように、対応するアミンと反応させて、2,5−ジ(2−チエニル)N−アルキルピロールをPaal−Knore反応[Cava他、Adv materials、5、547(1993)]によって調製した:
N−アルキルヒドロキシ誘導体を重合前にエステル化によって様々なカルボン酸にコンジュゲート化した。
3−アルキル−(N−メチルピロール)誘導体の調製:
3−アルキル−(N−メチルピロール)誘導体の調製は下記のように表される:
アルキルピロールを、Dvorikova他[Dvorikova他、Synlett、7、1152〜4(2002)]に従ってTHFにおいてN−ブロモスクシンイミドおよびPBr3により選択的に臭素化し、その後、−78℃でTHFにおいてBuLiと反応させた。生成物をアルキルハロゲン化物との反応によって得た。
ジリチウム化によるチエニルおよびN−アルキルピロールの調製:
N−アルキル修飾ピロールをリチウム化し、得られた2−リチウムピロール誘導体を2,5−ジブロモチオフェンとさらに反応させた。
N−アルキル修飾ピロールをリチウム化し、得られた2−リチウムピロール誘導体を2,5−ジブロモチオフェンとさらに反応させた。
チエニルおよびジ(N−アルキル)ピロリルジメタノールのオリゴマーの調製:
ビスピロール化合物(これは上記のように得られる)を下記のようにリチウム化し、得られたリチウム化ビスピロールを等モル量の対応するアルデヒドと反応させる:
反応を、不活性な条件のもとでの、THFにおけるリチウム誘導体とアルデヒドおよびケトンとの反応について文献に記載される手順[Cava他、Adv materials、5、547(1993)]に従って行った。
類似するフラニル、ピロリルおよびジ(N−アルキル)ピロールジメタノールのオリゴマーもまた、同じプロセスを使用して調製した。
2−アルキルピロール誘導体の調製−一般的手順:
アルキル基およびアリール基をα位に有する末端N−アルキルピロールを、電気化学的重合のための停止剤およびポリマーの分子量(MWD)のコントロールとして設計した。これらの化合物を、Synthetic comm、12(3)、231〜48(1982)に記載される手順に基づいて下記のように調製した:
アルキル基およびアリール基をα位に有する末端N−アルキルピロールを、電気化学的重合のための停止剤およびポリマーの分子量(MWD)のコントロールとして設計した。これらの化合物を、Synthetic comm、12(3)、231〜48(1982)に記載される手順に基づいて下記のように調製した:
N−アルキルピロール(例えば、N−メチルピロールなど)の2−リチウム誘導体をヘキサンまたはTHFにおいてヨウ化アルキルまたはヨウ化アリールと反応させ、その後、加水分解した。
N−アルキルピロール−2−カルボン酸誘導体の調製−一般的手順:
CO2粉末を種々のN−アルキルピロール(例えば、Me、ブチル、ヘキシル、オクチルなど)の2−リチウム誘導体に−40℃〜−30℃で加え、その後、水を加えた[Jorgensen、org reaction、18、1(1970)]。2−(N−アルキルピロール)カルボン酸の反応生成物を、THFにおけるLiAlH4によって、対応するアルコールに還元した。生成物を1H−NMRによって同定した(データは示さず)。
このアルコールをポリアクリル酸またはポリ乳酸にエステル化によって結合して、ピロール修飾モノマーを形成した。
2−(N−アルキルピロール)カルボン酸を様々なPEG分子と反応させて、対応するPEG−ジピロールを形成した。
N−(3−ヒドロキシプロピル)ピロール誘導体の調製−一般的手順:
N−(2−カルボキシエチル)ピロール(これは上記のように調製される)を、既知の手順を使用して乾燥THFにおいてLiAlH4によって80%の収率で還元した。生成物を蒸留によって精製し、1H−NMRおよびEI−MSによって同定した(データは示さず)。
N−(2−カルボキシエチル)ピロール(これは上記のように調製される)を、既知の手順を使用して乾燥THFにおいてLiAlH4によって80%の収率で還元した。生成物を蒸留によって精製し、1H−NMRおよびEI−MSによって同定した(データは示さず)。
ヒドロキシピロール誘導体をポリアクリル酸およびポリ乳酸にエステル化によって結合して、ピロール修飾モノマーを形成した。
サッカリドまたはオリゴサッカリドを含有する修飾されたカルボン酸のピロールコンジュゲートの調製−一般的手順:
サッカリド含有剤またはオリゴサッカリド含有剤により修飾されたカルボン酸のアミノピロールへのコンジュゲート化を可能にするために、サッカリドを最初に酸化して、アルデヒド骨格を形成し、その後、アルデヒド骨格をアミノプロピルピロールと反応させて、重合可能なピロールサッカリド誘導体を形成させる。
サッカリド含有剤またはオリゴサッカリド含有剤により修飾されたカルボン酸のアミノピロールへのコンジュゲート化を可能にするために、サッカリドを最初に酸化して、アルデヒド骨格を形成し、その後、アルデヒド骨格をアミノプロピルピロールと反応させて、重合可能なピロールサッカリド誘導体を形成させる。
ヒドロキシ基を含有する修飾されたカルボン酸のピロールコンジュゲートの調製−一般的手順:
ヒドロキシを含有する活性な薬剤により修飾されたカルボン酸のアミノピロールへのコンジュゲート化を可能にするために、アミノピロールを最初に、一般的な活性化剤(例えば、カルボジイミドなど)を使用してエステル化する。
ヒドロキシを含有する活性な薬剤により修飾されたカルボン酸のアミノピロールへのコンジュゲート化を可能にするために、アミノピロールを最初に、一般的な活性化剤(例えば、カルボジイミドなど)を使用してエステル化する。
あるいは、活性な薬剤におけるヒドロキシル基を最初にアミノ酸または短いペプチドにエステル結合によってコンジュゲート化し、これにより、そのアミノ誘導体またはイミノ誘導体を得て、その後、これを、カルボジイミドをカップリング剤として使用するアミド化反応によって、または、アルデヒド含有ピロールを使用するときにはイミン結合によって、ピロールにコンジュゲート化する。
典型的な反応において、アミノ末端を有するPEG2000を、DCCをカップリング剤として使用して室温で3日間、DMF中で1.3当量のカルボキシエチルピロールと反応させた。生成物を、DMFをエバポレーションして乾固し、残渣をジエチルエーテル中で粉砕することによって単離した。コンジュゲート化収率は、質量分析および1H−NMR分析によって決定されたとき、90%を超えていた。
長鎖脂肪酸のピロールコンジュゲートの調製−一般的手順:
より長い脂肪族鎖を有するω−カルボキシピロール誘導体をSchuhmann(Diagnostic Biosensor Polymers、AM UsmaniおよびN.Akmal編、ACS Symposium Series、1994、226、110、Electroanalysis、1998、10、546〜552)に従って合成する。
より長い脂肪族鎖を有するω−カルボキシピロール誘導体をSchuhmann(Diagnostic Biosensor Polymers、AM UsmaniおよびN.Akmal編、ACS Symposium Series、1994、226、110、Electroanalysis、1998、10、546〜552)に従って合成する。
脂肪酸SAMが表面に結合しているステンレス鋼表面でのピロール誘導体の電解重合を、上記で記載されたように行った。第一級アミノ含有ピロールモノマーは表面重合しないが、そのアミノ保護誘導体は容易に表面重合した。アミノ基の保護は、例えば、ペプチド合成において使用される一般的な保護基のいずれかによって、または、アセトアルデヒドとのSchiff塩基を形成させることによって行うことができる。
そのようなアミノ保護ピロール誘導体は、ドデカン酸処理されたステンレス鋼表面において容易に電解重合し、それにより、所望される基、ポリマーまたは粒子のさらなるコンジュゲート化のために役立ち得る、そのフリーのアミノ基を有する強く接着する被覆を形成した。
(実施例4)
官能基により置換された脂肪酸自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面
好ましくは(カルボン酸末端に対して)その遠位側末端で官能基により置換された脂肪酸を、本明細書中上記で記載されたように、SAMを形成するようにステンレス鋼表面に結合させた。修飾を、機能的な脂肪酸および20%(v/v)までの水を含有する0.1MのTBATFB/アセトニトリル溶液において行った。水の濃度が大きくなると、あまり効率的な結合がもたらされなかった。
官能基により置換された脂肪酸自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面
好ましくは(カルボン酸末端に対して)その遠位側末端で官能基により置換された脂肪酸を、本明細書中上記で記載されたように、SAMを形成するようにステンレス鋼表面に結合させた。修飾を、機能的な脂肪酸および20%(v/v)までの水を含有する0.1MのTBATFB/アセトニトリル溶液において行った。水の濃度が大きくなると、あまり効率的な結合がもたらされなかった。
修飾されたステンレス鋼表面の電気化学的特徴および化学的特徴を、RA−FTIR分析、XPS分析および接触角分析を使用して評価し、分析により、機能的な脂肪酸がそのカルボン酸末端を介して表面に結合し、従って、図13aに例示されるように、さらなる相互作用のために利用可能な機能的なアミノ基が残ることが示された。
従って、12−アミノドデカン酸で処理されたプレートのFTIRスペクトルは2つの弱い吸収ピークを3500cm−1〜3300cm−1に示した。これらのピークはN−H伸縮振動に対応し、かつ、典型的な第一級アミノ基を示す(示さず)。
12−アミノドデカン酸で処理されたプレートのXPSスペクトルが図13bに示される。図13bにおいて認められ得るように、397.7および400.7における主ピークはフリーのアミンおよび荷電したアンモニウム基の存在をそれぞれ示し、このことはプレート表面のアミノ基の存在を示している。
(実施例5)
表面官能基化ナノ粒子の調製
表面官能基化粒子、すなわち、官能基化された導電性表面または官能基化されていない導電性表面とのその相互作用を可能にする官能基をその表面に有するマイクロ粒子およびナノ粒子を、下記の2つの主要な方法を使用して調製することができる:(i)粒子を形成し、その後、粒子表面を、所望する官能基を有する分子またはさらなるポリマーを表面にコンジュゲートまたは吸収することによって修飾すること;および(ii)粒子を、官能基を有するポリマーから形成すること。
表面官能基化ナノ粒子の調製
表面官能基化粒子、すなわち、官能基化された導電性表面または官能基化されていない導電性表面とのその相互作用を可能にする官能基をその表面に有するマイクロ粒子およびナノ粒子を、下記の2つの主要な方法を使用して調製することができる:(i)粒子を形成し、その後、粒子表面を、所望する官能基を有する分子またはさらなるポリマーを表面にコンジュゲートまたは吸収することによって修飾すること;および(ii)粒子を、官能基を有するポリマーから形成すること。
最初の方法に従って、前処理されたポリエステル型粒子またはポリアミド型粒子(具体的には、アルキルヒドロキシ酸(例えば、ラクチドおよびグリコリドなど)に基づくそのような粒子)の表面の官能基化が、典型的には、表面におけるポリマー鎖の化学的修飾、または、官能基を有する分子をポリマー表面に吸収させることのいずれかによって行われる。ポリマー鎖の化学的修飾は、例えば、カルボン酸末端鎖基およびヒドロキシル末端鎖基を、ジアミン末端基またはジカルボン酸末端基を有するポリエチレングリコール(PEG)と、アミドカップリング剤またはエステルカップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはその誘導体など)の存在下で反応することによって行うことができる。あるいは、活性なカルボン酸基およびヒドロキシル基による粒子表面の富化を、粒子を水溶液中でインキュベーションし、それにより、官能基を生じさせる表面の加水分解を誘導することによって行うことができる。アミノ官能基による粒子表面の富化を、ポリアミン(例えば、ポリ(エチレンイミン)など)を使用して行うことができる。
あるいは、粒子を、官能基を含有する両親媒性分子の溶液に、両親媒性分子が粒子の表面に吸収し、それにより所望の官能基化をもたらすように分散させることができる。代表的な一例において、アミノ末端基をPEG末端鎖に有するポリ(ラクチド)−ポリ(エチレングリコール)[PLA−PEG]のブロック共重合体が、粒子をPLA−PEG溶液に分散し、それにより、ポリマーを粒子表面に付着させることによって粒子表面に付加される。
上記で詳述された第1の方法は無数の表面修飾を可能にする一方で、官能基を表面に有する粒子が、官能基を前もって有するポリマーから調製されるか、または、粒子調製時に官能基化される第2の方法は、制御された官能基化を可能にすることができるので、また、さらに、薬物負荷粒子を化学的修飾および有機溶媒にさらすことを必要とすることなく所望の表面機能的粒子を調製しながら、粒子内への生物活性剤の閉じ込みを可能にするので典型的には好ましい。そのような暴露は、薬物を変化させ得るか、あるいは、粒子内または粒子からの薬物の分布またはその溶出を変化させ得るので、非常に不都合である。
様々な方法が、親水性表面(例えば、PEG鎖またはポリサッカリド鎖など)を表面に有するナノ粒子およびマイクロ粒子の組み立てについて文献に記載されている(例えば、R.Gref他、ポリ(エチレングリコール)被覆ナノ粒子、Advanced Drug Delivery Reviews、16:215〜233(1995)を参照のこと)。
好ましい方法では、官能基を親水性側鎖の一部として有する親水性−疎水性の分子が調製され、その結果、そのような分子が有機溶媒−水性溶媒の混合物において粒子の調製のために使用されるとき、親水性側鎖は水性媒体に向かって表面に留まるようになる。例えば、アミノ基をPEG末端鎖に有するPLA−PEGブロック共重合体を、水溶液に分散された有機溶媒においてPLAおよび場合により薬物の溶液を使用して、溶媒エバポレーション法によって粒子に組み立てることができ、それにより、さらなる反応または相互作用のために利用可能なアミノ官能基を有するPEG鎖を粒子表面に有する粒子を形成することができる。
代表的な一例において、PLA−PEG−アミン共重合体(PLA鎖のMWが約3,00Dであり、PEG鎖のMWが約1,000Dである)を、3,000D〜50,000Dに及ぶ様々な分子量のPLAのジクロロメタン溶液(10%(w/v))に溶液中のPLAに対して1:10の比率で加えた。得られた透明な溶液を高速度での均質化とともに0.1Mのリン酸塩緩衝液溶液(pH7.4)に滴下して加えて、乳白色の分散物を形成させた。混合を、すべての溶媒がエバポレーションするまで室温で数時間続けた。得られた分散物は、重水に分散された粒子の1H−NMRスペクトル(データは示さず)によって明らかにされたように、PEG鎖が表面が存在する、粒子サイズがミクロン範囲である球状粒子を含有した。表面アミノ基の存在が、粒子とFITC(粒子を蛍光性にする試薬)との反応によって明らかにされた。上記手順を使用して、パクリタキセルなどの薬物を、粒子調製のための水性媒体へのその添加に先立って薬物をPLA溶液に加えることによって粒子に取り込むことができる。粒子に取り込まれた薬物の量はポリマー重量の約1%(w/v)〜約50%(w/v)であり得る。
上記に記載された手順に基づいて、官能基をPEG末端鎖に有する様々なPLA−PEGジブロック共重合体を調製することができる。一例において、穏和な水素化によって除くことができる保護基によって片方が保護されたPEGジアミン(様々な範囲の分子量のものが入手可能)をPLAを有機溶液において反応させ、その結果、フリーのPEGアミノ基およびPLA鎖に沿ったエステル結合がトランスアミド化を受け、それにより、PEG−PLAブロック共重合体、および、カルボン酸末端基を有するPLA鎖を形成するようにする。PLA鎖の長さがPGEアミノ基とPLA鎖の長さとの比率によって決定される。その後、保護されたアミノ基が、PLA−PEGの構造および分子量に最小限の影響を及ぼす穏和な条件のもとでの水素化によって除かれる。あるいは、保護されていないPEGジアミンが、ほとんど一方のアミン末端鎖が反応し、それにより、さらなる反応のために利用可能な反対側のアミン末端基が残る一定の期間、PLAと溶液において反応させられる。
あるいは、様々な表面官能基を有するPEG−PLAを、1つのヒドロキシル末端基と、反対側での保護された官能基とを有するPEGを使用することによって調製することができる。フリーのヒドロキシル末端基は、ラクチド、グリコリドおよび他の反応性ラクトンモノマーの開環重合を開始させるために使用される。鎖の長さを、ラクトンと、PEG鎖上のヒドロキシルとの比率によって制御することができる。保護基が、その後、好ましくは粒子調製の前に除かれる。
同様に、本明細書中上記に詳しく記載されるような官能基(例えば、ピロール、ビオチン、カルボン酸およびアミノ基など)が、疎水性ポリマーにコンジュゲート化された親水性ポリマー鎖に付加される。例えば、分子量範囲が200〜5000であるポリエチレングリコール(PEG)が一方の端部において1つまたは複数のピロール基とコンジュゲート化され、反対側の端部において疎水性ポリマー(例えば、ポリ(乳酸)(PLA)など)とコンジュゲート化される。これらを他のポリマーまたは添加剤の存在下または非存在下で水溶液に分散することにより、所望する粒子サイズの球状粒子がもたらされる。
代表的な一例において、ポリグリシドール−ポリ(L,L−ラクチド)ブロック共重合体を、J.Soc.Perkin Trans、1;EN12、1999、1657〜1664に記載される手順に従って調製した。保護されたグリシドールモノマー(6.95グラム、0.047モル)を、テトラヒドロフラン(100ml)における、カリウムt−ブトキシド(0.186グラム、1.66・10−3mol)により触媒されるアニオン重合、その後、還流条件でのラクチド(6.7グラム、0.046mol)の開環重合によって重合し、それにより、ジブロック共重合体を作製した。得られた共重合体についての典型的な分子量は、PLAに関しては6,000Da〜7,000Daの範囲であり、グリシドールブロックは約Mn=3,000であった。
その後、保護基を、共重合体をジオキサン−水混合物(約150ml)に溶解し、20mlの濃ギ酸を加え、得られた混合物を4日間撹拌することによって除いた。その後、得られた共重合体を冷凍し、凍結乾燥し、下記のようにピロール基による官能基化に供した。
ポリマー鎖に沿ったフリーのヒドロキシル基(8グラム)を、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(7.5グラム、Aldrich)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAX)(0.5グラム、Aldrich)をカップリング剤として使用してN−ピロールプロパン酸(5グラム)とコンジュゲート化した。反応を100mlのジクロロメタンにおいて一晩行った。
その後、溶媒を反応混合物からエバポレーションし、得られた残渣を乾燥して、1,4−ジオキサンに溶解し、Serva SpectraPor透析チューブに入れた。透析精製プロセスを96時間行い、その後、混合物を凍結乾燥した。得られたピロール官能基化共重合体の1H−NMRが図14に示され、その1H−NMRは、共重合体のヒドロキシル基の75%がピロール基によって官能基化されたことを示す。このことは下記の最終生成物の構造(官能基化グリシドールユニットおよび非官能基化グリシドールユニットの分布は統計学的である)を示す:
官能基化されたナノ粒子が、官能基化されたブロック共重合体を、例えば、PEG−PLAおよび/またはポリ(ラクチド)とクロロホルム溶液において混合し、その後、撹拌されている緩衝液溶液(0.01Mリン酸塩、pH7.4)に加え、それにより、電解重合可能なPEG−ピロール官能基をその表面に有する粒子を作製することによって上記のように形成された。
上記PLA−グリシドールポリマーのヒドロキシル基はまた、粒子表面をさらに修飾する様々な官能基をヒドロキシル基にコンジュゲート化するために使用された。そのようなコンジュゲート化は球体調製前または球体調製後のいずれかで行われた。このような基の代表的な例には、ビオチン(これは、本明細書中下記で詳述されるように、エステル結合によってコンジュゲート化され、任意の生物活性剤をアビジンリンカーによって結合することができる粒子表面、または、任意のアビジン官能基化表面に結合することができる粒子表面をもたらした)、および、金属表面への直接的な電気的結合のために、あるいは、ヒドロキシル基またはアミノ基を有する修飾表面(例えば、12−アミノドデカン酸SAMが付加されている表面)への結合のためにそのいずれでも使用することができるジカルボン酸(これはエステル結合によってコンジュゲート化され、カルボン酸基を表面に有する粒子表面をもたらした)が含まれる。
ビオチン化ナノ粒子の調製は、表面におけるビオチン−アビジン層の形成を可能にするので非常に好都合である。代表的な一例において、表面ビオチン化PEG−PLA粒子を下記のように調製した:
ビオチンを最初に、1mmolのPEG2000ジアミンおよび0.1mmolのビオチンをDMFに溶解し、HOBTを加えて、数分間撹拌し、EDCを加えて、6時間〜10時間撹拌し、溶媒をエバポレーションし、残渣を酢酸エチルに再溶解し、有機層を重硫酸ナトリウム(1M)および飽和重炭酸ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をエバポレーションすることによってPEG2000ジアミンの片側に結合した。
このようにして得られたモノPEG−ビオチン(1グラム)をトルエン(10ml)におけるラクチド(1グラム)およびオクタン酸Sn(50mg)の溶液に加え、混合物を120℃で3時間反応させた。その後、溶媒をエバポレーションして乾固し、残渣を130℃でさらに反応させて、ビオチン−PEG−PLAジブロック共重合体を形成させた。
ビオチン化ナノ粒子を、0.2グラムのビオチン−PEG−PLAジブロック共重合体および0.4グラムのPLA(Mn=3,000)を5mlのクロロホルムに溶解し、600rpmでの上部からの撹拌を行いながら、この溶液を50mlの脱イオン化水に滴下して加えることによって調製した。溶媒エバポレーション後、粒子の均一な分散物が得られた。これらの粒子を本明細書中下記で詳述されるように導電性表面に電気被覆した。
官能基(例えば、エステル、アミド、アミンおよびイミンなど)を有する非分解性ポリマー(例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)およびポリ(ラクチド−グリコリド)など)に基づく粒子の修飾もまた行うことができる。代表的な一例において、PLAに基づくナノ粒子(これは本明細書中上記に記載されるように溶媒エバポレーションによって調製される)が、表面の官能基を加水分解し、カルボン酸基を生じさせるように、数時間〜数日間に及ぶ期間にわたって水に入れられる。
カルボン酸をその表面基として有する粒子を、それ自体または脂肪酸と一緒での表面へのカルボキシルの電気的結合可能な基の直接的な電気的結合によって、あるいは、スペーサーを介した結合によって、そのいずれかで導電性表面に結合することができる。
カルボン酸表面基はさらに、ポリアミン(例えば、ポリリシン)を表面に結合するために使用することができる。
異なる方法において、エナンチオマーポリマーの立体複合体に基づく粒子を、エナンチオマーポリマー(例えば、L−PLAおよびD―PLA)の溶液を混合し、水溶液中の溶媒をエバポレーションすることによって調製した。立体複合体化された粒子は、例えば、生物活性剤をその中に閉じ込めるために使用することができる。代表的な一例において、2つの別個の溶液(一方が、10mlのアセトニトリルに溶解された10mgのD−PLA(60000Daの平均分子量)であり、もう一方が、10mlのアセトニトリルに溶解された10mgのL−PLA(60000Daの平均分子量)である)を60℃で3日間混合した。その後、溶液をエバポレーションして乾固し、立体複合体の白色粉末をナノ粒子として得た。
(実施例6)
生物活性剤が負荷された表面官能基化ナノ粒子の調製
様々な生物活性剤が負荷されたナノ粒子を、粒子調製のための水性媒体へのその添加に先立って、生物活性剤をポリマー溶液(例えば、PLA溶液)に加えながら、上記で記載された手順のいずれかを使用して調製することができる。粒子に取り込まれる生物活性剤の量はポリマー重量の約1重量パーセント〜約50重量パーセントであり得る。
生物活性剤が負荷された表面官能基化ナノ粒子の調製
様々な生物活性剤が負荷されたナノ粒子を、粒子調製のための水性媒体へのその添加に先立って、生物活性剤をポリマー溶液(例えば、PLA溶液)に加えながら、上記で記載された手順のいずれかを使用して調製することができる。粒子に取り込まれる生物活性剤の量はポリマー重量の約1重量パーセント〜約50重量パーセントであり得る。
代表的な一例において、ナノ粒子を、本明細書中上記に記載されるように調製されたピロールポリマー(0.1グラム)、ポリ乳酸(0.4グラム、Mn=3,000)およびパクリタキセル(0.15グラム)のクロロホルム溶液を脱イオン化水に絶えず撹拌しながら室温で分散することによって調製した。溶媒エバポレーション後、約200ナノメートルのナノ粒子が、90%を超える収率で得られた。粒子上へのPEG−ピロール側鎖が、重水素化水中で行われた1H−NMRによって検出された(データは示さず)。
0.1Nのリン酸塩緩衝液溶液に浸漬されたときの上記で記載された粒子からのパクリタキセルの放出速度を観測することにより、薬物が、2週間の期間中、これらの粒子から絶え間なく放出されたことが示された。
別の例では、パクリタキセルを、上記のように混合しながら、溶液の混合物にパクリタキセルを加えることによって立体複合体のナノ粒子に負荷した。典型的には、6mgのパクリタキセル(1mlのアセトニトリルにおいて10重量パーセント)を加え、混合を、白色の溶液が得られるまで上記のように行った。負荷された立体複合体ナノ粒子を遠心分離によって分離し、白色の粉末を得た。
(実施例7)
ナノ粒子が表面に付加されている導電性表面
脂肪酸の自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面へのピロール置換ナノ粒子のコンジュゲート化:
上記で記載されたピロール置換ナノ粒子を、本明細書中上記に記載されるように調製された、デカン酸で前処理されたステンレス鋼プレートに、上記に記載される手順に従ってピロール基の電解重合によって結合した。得られた被覆プレートのモルフォロジーを、SEM測定を使用して、デカン酸およびピロールそのものにより処理されたステンレス鋼プレートのモルフォロジーと比較した。図15a〜図15cは、ピロール置換ナノ粒子により被覆されたステントのSEM顕微鏡写真を示し、金属表面へのナノ粒子の効率的なコンジュゲート化、ならびに、特に非置換ピロール被覆プレートと比較したとき、それによって得られる改善された表面密度および平滑度を明らかにしている(例えば、図12a〜図12cを参照のこと)。
ナノ粒子が表面に付加されている導電性表面
脂肪酸の自己集合単層が表面に付加されているステンレス鋼表面へのピロール置換ナノ粒子のコンジュゲート化:
上記で記載されたピロール置換ナノ粒子を、本明細書中上記に記載されるように調製された、デカン酸で前処理されたステンレス鋼プレートに、上記に記載される手順に従ってピロール基の電解重合によって結合した。得られた被覆プレートのモルフォロジーを、SEM測定を使用して、デカン酸およびピロールそのものにより処理されたステンレス鋼プレートのモルフォロジーと比較した。図15a〜図15cは、ピロール置換ナノ粒子により被覆されたステントのSEM顕微鏡写真を示し、金属表面へのナノ粒子の効率的なコンジュゲート化、ならびに、特に非置換ピロール被覆プレートと比較したとき、それによって得られる改善された表面密度および平滑度を明らかにしている(例えば、図12a〜図12cを参照のこと)。
同じプロセスを使用して、ステンレス鋼製の316LMステント(12×1mm、STI(イスラエル)による)をデカン酸で電気化学的に処理し、それにより、SAM接着性の層を表面に形成させ、その後、本明細書中上記に記載されるピロール置換ナノ粒子の電解重合によってさらに被覆した。図16a〜図16cは、このプロセスによって得られた平滑かつ効果的な被覆を明らかにする、そのように電気被覆されたステントのSEM顕微鏡写真を示す。
修飾された導電性表面へのナノ粒子のコンジュゲート化:
本明細書中上記に記載されるような、官能基がその表面に結合しているナノ粒子を、相補的な基により官能基化される導電性表面(例えば、金属表面)に結合させることができる。
本明細書中上記に記載されるような、官能基がその表面に結合しているナノ粒子を、相補的な基により官能基化される導電性表面(例えば、金属表面)に結合させることができる。
代表的な一例において、カルボン酸官能基を有するように修飾された金属プレートを、DCCを活性化剤として使用して、表面アミノ基を有する粒子と反応させ、それにより、共有結合性ではあるが、それにもかかわらず、生分解可能であるアミド結合により粒子を表面に結合させた。同様に、カルボン酸官能基を有するように修飾された金属プレートを、ペプチド合成において一般に使用されるDCC、N−スクシンアミドまたは他の活性化剤を使用して、ポリマー鎖(例えば、アミノ末端を有するポリ(ラクチド)など)と反応させた。同じプロセスを使用して、場合により生物活性剤に結合される利用可能なアミノ基を有する他のポリマー(例えば、ポリサッカリドなど)をそのような修飾された金属表面にコンジュゲート化することができる。
あるいは、フリーのカルボン酸基をその表面に有するPLAナノ粒子を、上記の方法の節で記載された方法を使用して、316Lステンレス鋼プレートに直接的に結合させた。
別の代表的な一例において、アミノ官能基を有するように修飾された金属プレート(例えば、実施例3に載されるように、12−アミノドデカン酸SAMが表面に付加されている金属プレート)を、DCCを活性化剤として使用して、表面カルボン酸基を有する粒子と反応させ、それにより、共有結合性ではあるが、それにもかかわらず、生分解可能であるアミド結合により粒子を表面に結合させた。アミノ基はまた、カルボン酸基を表面に有するポリ(乳酸)鎖またはナノ粒子を、ペプチド合成において一般に使用されるN−スクシンアミドまたは他の活性化剤とともにカップリング剤(例えば、DCCまたは活性化されたカルボン酸基など)を使用してアミド結合によりコンジュゲート化するために使用された。
別の代表的な一例において、アミノ官能基を有するように修飾された金属プレート(例えば、実施例3に載されるように、12−アミノドデカン酸SAMが表面に付加されている金属プレート)を、表面カルボン酸基を有する粒子と酸性条件下で反応させ、それにより、静電的結合により粒子を表面に結合させた。
従って、12−アミノドデカン酸で前処理されたステンレス鋼プレートを緩衝液溶液におけるPLAナノ粒子の分散物と一晩インキュベーションした。得られたプレートの表面のSEM顕微鏡写真が図17に示され、表面への粒子の結合が明らかにされる。
あるいは、カルボン酸官能基を有するように修飾された金属プレートは、カルボン酸官能基をアミノ基に変換することによってさらに修飾され、この場合、そのようなアミノ基は、その後、例えば、カルボキシル基を有する生物活性剤、フリーのカルボキシル基を有するポリマー鎖、または、カルボン酸基が富化されたナノ粒子と反応させられる。ナノ粒子には生物活性剤を同様に負荷することができる。アミノ基への金属プレートカルボキシル基の修飾は、好ましくは、例えば、活性化されたカルボン酸を、多数のアミノ基からなる層を表面に形成するポリアミン(例えば、ポリ(アルカンジアミン)、PEG−ジアミンまたはポリエチレンイミンなど)と反応することによって行われる。
さらにあるいは、ヒドロキシル官能基またはアミノ官能基を有するように修飾された金属プレートは、そのような金属プレートを、例えば、ラクチドおよび/またはグリコリドと反応させることによって、ポリマー被覆が金属表面に付加されるように、ラクトンの開環重合のための開始剤として使用される。例示的な手順では、例えば、ステントのヒドロキシル官能基化金属表面またはアミノ官能基化金属表面がトルエンにおけるラクチドの溶液に浸漬される。トルエンの一部をエバポレーションした後、触媒量のオクタン酸スズが、ヒドロキシル基またはアミン基により誘導される重合を開始し、それにより、PLA被覆された金属表面をもたらすように添加される。そのようなポリマー被覆は、例えば、被覆された物体を生物活性剤(例えば、パクリタキセル)の高濃度溶液により膨潤させ、その後、溶媒をエバポレーションすることによって、生物活性剤をポリマーに結合するために使用することができる。このプロセスはさらに、例えば、ポリサッカリドにより被覆された金属表面を得るために使用することができる。
さらにあるいは、金属表面のポリマー被覆は、アクリラートまたは他のビニル官能基を有するように金属表面を修飾し、その後、金属表面を、利用可能なビニル基を有する粒子またはポリマーと反応させ、それにより、そのようなポリマーまたは粒子により被覆された金属表面を提供することによって行うことができる。そのようなビニル重合は、被覆の機械的強度を改善するために使用することができる。
別の方法を使用して、ナノ粒子を、電解重合ポリマーにグラフト化することによって導電性表面に結合させた。代表的な一例において、ピロールを、本明細書中上記の方法の節に記載されるようにポリ(ラクチドcoグリシドール)粒子およびOxAの存在下でステンレス鋼表面に電解重合した。OxAは表面へのピロールの接着性を高めるので、OxAを修飾溶液に加えた。
上記に記載されるプロセスのそれぞれが、官能基化された脂肪酸SAMが表面に付加されている金属表面を使用して好ましく行われる。
(実施例8)
生物活性剤が表面に結合している導電性表面
本明細書中を通して記載されるように、生物活性剤を、生物活性剤と、官能基化された表面、官能基化表面または非官能基化表面に結合した粒子、および、官能基化表面に結合した電解重合可能なポリマーなどとの間での様々な反応および相互作用(例えば、共有結合性結合の形成、静電的結合の形成、封入、吸収または膨潤など)を使用して、本明細書中に記載される被覆された表面に取り込むことができる。
生物活性剤が表面に結合している導電性表面
本明細書中を通して記載されるように、生物活性剤を、生物活性剤と、官能基化された表面、官能基化表面または非官能基化表面に結合した粒子、および、官能基化表面に結合した電解重合可能なポリマーなどとの間での様々な反応および相互作用(例えば、共有結合性結合の形成、静電的結合の形成、封入、吸収または膨潤など)を使用して、本明細書中に記載される被覆された表面に取り込むことができる。
下記は、生物活性剤がステンレス鋼表面に結合させられた代表的な例である。
置換ピロールが表面に付加され、かつ、パクリタキセルがポリピロール内に吸収されているプレートおよびステントの調製:
置換ピロールを、本明細書中上記で記載されたようにデカン酸で前処理されたステンレス鋼板およびステントを電気被覆するために使用した。被覆内へのパクリタキセルの吸収をメタノール性溶液からの拡散によって行った。薬物が、薬物とポリマー被覆との間での疎水性・疎水性相互作用によって保持された。被覆は、吸収プロセス期間中の表面の変化または膨潤を何ら認めることなく、無傷かつ一様のままであった。
置換ピロールを、本明細書中上記で記載されたようにデカン酸で前処理されたステンレス鋼板およびステントを電気被覆するために使用した。被覆内へのパクリタキセルの吸収をメタノール性溶液からの拡散によって行った。薬物が、薬物とポリマー被覆との間での疎水性・疎水性相互作用によって保持された。被覆は、吸収プロセス期間中の表面の変化または膨潤を何ら認めることなく、無傷かつ一様のままであった。
従って、パクリタキセル(タキソール)をメタノールに溶解し(15mg/ml)、ポリマー被覆のプレートまたはステントを薬物溶液に2時間浸漬した。その後、プレート/ステントを溶液から取り出し、風乾した。プレート/ステントを、さらに2回、それぞれ5分間、同じ溶液に浸漬し、乾燥した。
様々な技術により被覆されたデバイスにおける薬物負荷を、メタノールを含有する超音波浴を使用し、かつ、負荷されたプレート/ステントをその中に入れて薬物を抽出することによって求めた。
ステントまたはプレートの放出特性を、パクリタキセルの溶解性を増大させるために0.3%のSDSを含有するリン酸塩緩衝液溶液(pH7.4)に薬物負荷デバイスを入れることによって求め、毎日の放出をHPLCによって求めた。
あるいは、パクリタキセルを、本明細書中上記に記載されるように、プレートへのピロールの電気的結合の期間中、電解重合溶液に加えた。
さらにあるいは、パクリタキセルを電解重合溶液に加え、電解重合を下記のように数段階で行った:
モノマーを3回のCVサイクルに供し、プレート/ステントをタキソール溶液(15mg/ml)に2分間浸漬し、その後、電解重合をモノマー溶液において3回のCVサイクルにわたって行い、そして、薬物溶液に2分間浸漬し、以降、同様にして約4回行った。
さらにあるいは、ポリピロール被覆のプレート/ステントを、PLA粒子をさらに含有するタキソール溶液に浸漬し、その後、薬物負荷デバイスをさらなる被覆のためにPLA溶液に浸漬した。
さらにあるいは、パクリタキセルをD−PLAおよびL−PLAの立体複合体に閉じ込めているナノ粒子(これは上記のように調製された)を電解重合溶液に加えた。
得られた結果は、ポリマー内に負荷された薬物の最大量が示されたことを示していた。薬物が、プレートまたはステントを薬物溶液に浸漬することによって吸収された場合、デカン酸プレ被覆(DA)でのポリ(エチルエステル)ピロールについては約143μgの負荷薬物、そして、DAでのポリ(ブチルエステル)ピロールについては約100μgの負荷薬物が観測された。薬物が、パクリタキセルが電解重合溶液に存在する電解重合の期間中に吸収された場合、約25μgの薬物がDAでのポリ(ブチルエステル)ピロールについて負荷された(この実験の後での薬物の放出は示されない)。
ポリピロール誘導体により被覆されたステント/プレートからのタキソールの放出について得られた結果が図18に示される。3日後において、吸収された薬物の約50%が緩衝液媒体に放出されており、それにより、残留する薬物は3週間以上かかってゆっくり放出された。
デカン酸のプレ被覆は、被覆の接着および安定性を改善しただけでなく、ステント上のパクリタキセルの量を少なくとも50%増大させたことに留意しなければならない。また、プレ被覆されたデカン酸からの放出速度は、プレ被覆を伴わない被覆されたピロール誘導体と比較して、はるかにより制御されていた。
ビオチン−アビジン複合体が結合しているプレートおよびステントの調製:
多層化されたビオチン−アビジン複合体により被覆されたステンレス鋼表面を下記のように調製した:
多層化されたビオチン−アビジン複合体により被覆されたステンレス鋼表面を下記のように調製した:
最初の工程として、ビオチンまたはアビジンを、カルボン酸成分(ビオチンについて)を介して直接的に、あるいは、ビオチンもしくはアビジンにより置換されたピロールの脂肪酸前処理プレートへの電解重合によって、または、官能基化された脂肪酸SAMへのコンジュゲート化(例えば、12−アミノドデカン酸とのアミド結合)によって間接的に、そのいずれかで表面に結合させた。
その後、アビジンをビオチン化表面に結合し、上記で記載されたように調製されるビオチン化された粒子またはポリマーをアビジン活性化部位に結合した。
ビオチン化表面へのアビジンの付加は、ビオチン化された粒子またはポリマーなどにさらにコンジュゲート化することができるさらなるアビジン層をもたらし得る。
上記プロセスが図19に概略的に例示され、ビオチン−アビジン複合体は非常に多数の活性物質分子を包含することができ、従って、著しく高い薬物濃度によって特徴づけられる領域を得ることができることが明らかにされる。
典型的な実験において、ステンレス鋼製の316LMプレートを、デカン酸の存在下または非存在下でのビオチンの電気被覆によってビオチンカルボン酸により被覆した。このプレートをアビジンの1mg/mlの溶液と一晩インキュベーションした。プレートへのアビジンの存在がビオチン−FITC蛍光性色素との複合体形成によって認められた。アビジン被覆プレートを、室温で5時間、ビオチン−PEG−PLAナノ粒子の分散物に入れた。SEM分析は表面でのナノ粒子の存在を示した(データは示さず)。
上記技術を使用して、ビオチンまたはアビジンに結合した生物活性剤を任意の段階で被覆に取り込むことができる。
(実施例9)
多層化被覆が表面に結合している導電性表面
本実施例では、電解重合可能なモノマー、および、SAMを介して表面に付着することができ、かつ、活性物質を効率的かつ制御可能に負荷することができる多層化被覆を形成させるために利用することができる、それから形成された電解重合ポリマーの調製が記載される。
多層化被覆が表面に結合している導電性表面
本実施例では、電解重合可能なモノマー、および、SAMを介して表面に付着することができ、かつ、活性物質を効率的かつ制御可能に負荷することができる多層化被覆を形成させるために利用することができる、それから形成された電解重合ポリマーの調製が記載される。
その目的のために、3つの一般的な方法が下記のように設計され、実施された:
(i)電解重合可能な成分および化学重合可能な基を有する二官能性モノマーを調製し、SAMを介する2段階の重合プロセス、すなわち、SAMを介する電気化学的重合、それに続く化学重合(例えば、触媒の存在下でのフリーラジカル重合)に供した;
(ii)光反応基(PAG)を有する電解重合可能な二官能性モノマーを調製し、SAMを介する2段階の重合プロセス、すなわち、SAMを介する電気化学的重合(これは活性化ポリマーをもたらした)、それに続く化学重合(これは、放射線照射によって触媒され、かつ、活性化ポリマーによって誘導され、別のモノマーおよび/または薬物の存在下で行われる)に供した;および
(iii)反応基を有する電解重合可能な二官能性モノマーを調製し、SAMを介する2段階の重合プロセス、すなわち、SAMを介する電気化学的重合(これは活性化ポリマーをもたらした)、それに続く、反応基が関与する、触媒ならびに他のモノマーおよび/または薬物の存在下での化学重合に供した。
上記に加えて、多層化被覆はまた、SAMを介する簡便な多段階重合プロセスによって得られた。このプロセスは、1つまたは複数の連続した電気化学的重合プロセスを含み、場合により、その後、本明細書中上記に記載されるような、さらなる非電解重合可能なポリマーの注入を含んでいた。
上記手順のそれぞれにおいて、最終的な多層化ステントを薬物負荷のために薬物溶液に浸漬することができる。あるいは、薬物を、薬物を重合溶液に加えることによって1つまたは複数の化学重合プロセスの期間中に負荷することができる。
ピロール誘導体の化学的活性基を介した2段階の重合経路:
ピロールのビニル誘導体を、N−(2−カルボキシエチル)ピロールをアリルアルコールと反応させて、対応するアリルエステルを60%の収率で得ることによって、または、[Min Shi他、molecules、7(2002)に記載されるように]N−(2−カルボキシエチル)ピロールをジクロロメタン中およびトリエチルアミンの存在下でアクリロイルクロリドと反応することによって調製した。ビニルピロール誘導体を、ピロールユニットの2位および5位を介してSAM上に電気化学的に重合し、これにより、フリーのビニル基が結合しているポリマーを得た。このポリマーを、下記のように、このモノマーのフリーラジカル重合のための開始剤としてのAIBNまたは過酸化ベンゾイルの存在下でさらに重合した:
ピロールのビニル誘導体を、N−(2−カルボキシエチル)ピロールをアリルアルコールと反応させて、対応するアリルエステルを60%の収率で得ることによって、または、[Min Shi他、molecules、7(2002)に記載されるように]N−(2−カルボキシエチル)ピロールをジクロロメタン中およびトリエチルアミンの存在下でアクリロイルクロリドと反応することによって調製した。ビニルピロール誘導体を、ピロールユニットの2位および5位を介してSAM上に電気化学的に重合し、これにより、フリーのビニル基が結合しているポリマーを得た。このポリマーを、下記のように、このモノマーのフリーラジカル重合のための開始剤としてのAIBNまたは過酸化ベンゾイルの存在下でさらに重合した:
この一般的な方法が、例えば、AIBNによるN−ビニルピロールのフリーラジカル重合、それに続く、FeCl3による第2の重合について記載されていた[例えば、Ruggeri他、Pure and appl chem、69(1)、143〜149(1997)を参照のこと]。
光反応基(PAG)が結合している電解重合ポリマーの調製:
例示的な光反応基としてベンゾフェノン誘導体を有する電解重合可能なピロールモノマーを、パラ−トルエンスルホン酸を触媒として、また、Na2SO4およびMgSO4を吸水剤として使用するトルエン中でのN−(2−カルボキシエチル)ピロールおよびベンゾフェノン反応性誘導体(例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど)との間でのエステル化反応によって調製した。
例示的な光反応基としてベンゾフェノン誘導体を有する電解重合可能なピロールモノマーを、パラ−トルエンスルホン酸を触媒として、また、Na2SO4およびMgSO4を吸水剤として使用するトルエン中でのN−(2−カルボキシエチル)ピロールおよびベンゾフェノン反応性誘導体(例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど)との間でのエステル化反応によって調製した。
SAMを介した電気化学的重合の後、ベンゾフェノン基が結合しているポリピロールを得た。このポリマーを、活性化された基によって誘導されるさらなる化学重合を可能にするために放射線照射によって活性化した。
ポリアクリラートを含有する多層化被覆:
ステントにおける二重層化された薬物負荷のポリアクリラート含有被覆を、ポリピロール被覆の機械的特性を改善し、および/または、全体的な負荷を改善し、かつ、ポリピロール誘導体により被覆されたステントからの放出プロフィルを最適化するために調製した。
ステントにおける二重層化された薬物負荷のポリアクリラート含有被覆を、ポリピロール被覆の機械的特性を改善し、および/または、全体的な負荷を改善し、かつ、ポリピロール誘導体により被覆されたステントからの放出プロフィルを最適化するために調製した。
そのような二重層化された被覆ステントを、下記のような2つの方法を使用して調製した:
方法1:ポリピロール被覆ステントを、1:7:2(モル当量)のPPA、PPAブチルエステルおよびPPAヘキシルエステルの混合物を電解重合溶液として使用して上記で記載されるように得て、その後、クロロホルムにおける40mg/mlのパクリタキセルおよび1%のポリメチルラウリル(2:3)メタクリラートの溶液に1分間浸漬した。その後、ステントを乾燥し、同じ溶液に再び1分間浸漬し、最後に再び乾燥した。その後、乾燥ステントを、シクロヘキサンにおける1%のポリメチルラウリル(2:3)メタクリラートの溶液に20秒間浸漬した。
総薬物負荷は各ステントにおいて85μg〜100μgであった。
被覆の厚さは約0.8μmであった。
方法2:ポリピロール被覆ステントを、1:7:2(モル当量)のPPA、PPAブチルエステルおよびPPAヘキシルエステルの混合物を電解重合溶液として使用して上記で記載されるように得て、その後、エタノールにおける30mg/mlのパクリタキセルを含有する溶液に30分間浸漬した。その後、ステントを、クロロホルムにおける40mg/mlのパクリタキセルおよび1%のポリメチルラウリル(2:3)メタクリラートを含有する溶液に1分間浸漬し、乾燥した。その後、乾燥ステントを、シクロヘキサンにおける1%のポリメチルラウリル(2:3)メタクリラートを含有する溶液に20秒間浸漬した。
総薬物負荷は各ステントにおいて85μg〜110μgであった。
被覆の厚さは約0.8μmであった。
ステントにおけるラウリルメタクリラートおよびPETMAによるポリ(アリルエステル)ピロール被覆修飾:
二官能性モノマー(例えば、ピロールユニットを含有する本明細書中上記に記載されるピロールのアリルエステル誘導体など)を、ポリ(アリルエステル)ピロールにより被覆されたステントを得るために使用した。被覆の厚さは0.4μmであった。アクリラートモノマーの別の重合によるステント表面の修飾を、その後、下記のように行った:
二官能性モノマー(例えば、ピロールユニットを含有する本明細書中上記に記載されるピロールのアリルエステル誘導体など)を、ポリ(アリルエステル)ピロールにより被覆されたステントを得るために使用した。被覆の厚さは0.4μmであった。アクリラートモノマーの別の重合によるステント表面の修飾を、その後、下記のように行った:
ラウリルメタクリラートの重合(開始剤としての過酸化ベンゾイル(BP)):
ラウリルメタクリラート(LM)モノマー溶液(そのまま、または、DCMにおける50%LMのいずれか)にモノマーあたり1%(w/v)のBPを加えた。アリルエステルポリピロール被覆ステントをこの溶液に5秒間浸漬した。その後、ステントを乾燥して、過剰なLM溶液を除き、窒素流下で数分間、空の小さいガラス製バイアルに入れた。バイアルを閉じ、70℃に5時間加熱した。反応が完了した後、ステントをメタノールにより洗浄し、拡げた。一様な被覆が得られた。
ラウリルメタクリラート(LM)モノマー溶液(そのまま、または、DCMにおける50%LMのいずれか)にモノマーあたり1%(w/v)のBPを加えた。アリルエステルポリピロール被覆ステントをこの溶液に5秒間浸漬した。その後、ステントを乾燥して、過剰なLM溶液を除き、窒素流下で数分間、空の小さいガラス製バイアルに入れた。バイアルを閉じ、70℃に5時間加熱した。反応が完了した後、ステントをメタノールにより洗浄し、拡げた。一様な被覆が得られた。
PETMA(ペンタエリトリトールテトラメタクリラート)によるラウリルメタクリラートの架橋重合(開始剤としてのBP):上記と同じ手順を使用して、架橋ポリアクリラート被覆を、アクリラートモノマー溶液に1%(w/w)のPETMAを架橋剤として加えることによって得た。
PETMAの重合(開始剤としてのBP):上記と同じ手順を使用して、架橋ポリマー被覆を、DCMにおける50%のPETMAの溶液をモノマー溶液として使用することによって得た。
水性媒体における重合:上記で記載された手順のそれぞれを、ステントをモノマー溶液に浸漬し、ステントを乾燥し、得られたステントを窒素流下で水に浸漬することによって行った。その後、0.25%のNa2S2O5、0.25%のFeH8N2O8S2およびNa2S2O8を加え、混合物を5時間撹拌した。その後、ステントを水により洗浄し、拡げた。
本明細書中上記(例えば、実施例3〜実施例5)に記載される電解重合プロセスのそれぞれを、ステントまたは他の埋め込み可能なデバイスにおいて、ならびに、デバイスの特定部分において行うことができる。例えば、金属ステントの内側部分を、ステントを膨張したバルーンに、あるいは、柔らかいロッドまたは堅いロッドに差し込み、従って、電解重合溶液がステントの内側に入ることを制限することによって電解重合被覆から保護することができる。同様に、内側部分は、外側部分をバルーンまたは柔らかい覆いにより覆うことによって、表面を被覆することなく電気化学的に被覆することができる。デバイスを、所望する性質を可能にするために様々な被覆層によって被覆することができる。例えば、最初の重合層はピロールモノマーおよびN−PEG200−ピロールモノマーから9:1の比率で構成されることが可能であり、第2の層は、比率が6:4であるピロール:N−アルキルパクリタキセル−ピロールの混合物であることが可能であり、第3の層は、比率が9:1であるピロール:N−PEG200−ピロールの混合物であることが可能である。このタイプの多層被覆は、ポリマー内のピロールユニットからの薬剤の切断によって、また、組織および体液からの受動的保護としても役立つ外側層を通過する拡散によって制御される長期間にわたるパクリタキセルの放出をもたらす。
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
Claims (122)
- 導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を含む製造物品であって、前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、前記少なくとも1つの活性物質は前記導電性表面に電気化学的に結合されている、製造物品。
- 前記物体は医療デバイスである、請求項1に記載の製造物品。
- 前記物体は埋め込み可能なデバイスである、請求項2に記載の製造物品。
- 前記埋め込み可能なデバイスは、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、注入口および心臓弁からなる群から選択される、請求項3に記載の製造物品。
- 前記埋め込み可能なデバイスはステントである、請求項4に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、少なくとも1つの金属またはその合金を含む、請求項1に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの金属は、鉄、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、タンタル、白金、金、銀、銅、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の製造物品。
- 前記導電性表面はステンレス鋼を含む、請求項7に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の製造物品。
- 前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項9に記載の製造物品。
- 前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である、請求項1に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である、請求項1に記載の製造物品。
- 前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項12および13のいずれかに記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの機能的成分は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、ピロール、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項12および13のいずれかに記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を結合することによって修飾される、請求項1、12および13のいずれかに記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項16に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む前記少なくとも1つの有機物質を、表面に電気化学的に結合することによって電気化学的に修飾される、請求項12〜17のいずれかに記載の製造物品。
- 前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項18に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項18に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、脂肪酸および官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される、請求項20に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機シランを含む前記少なくとも1つの有機物質を、表面に付着することによって非電気化学的に修飾される、請求項12〜17のいずれかに記載の製造物品。
- 前記有機シランは、下記一般式を有する請求項22に記載の製造物品:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。 - 前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項23に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、前記導電性表面に電気化学的に結合される、請求項1に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、前記ポリマー、前記マイクロ粒子および/または前記ナノ粒子は少なくとも1つの電気的結合可能な基を含む、請求項25に記載の製造物品。
- 前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項26に記載の製造物品。
- 前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の製造物品。
- 前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項26に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、前記少なくとも1つの活性物質は前記修飾された導電性表面に電気化学的に結合される、請求項1に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの機能的成分は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、イソシアナート、ピロール、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの機能的成分は疎水性成分である、請求項31に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を結合することによって修飾される、請求項30に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項33に記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する少なくとも1つの有機物質を、表面に電気化学的に結合することによって修飾される、請求項30〜34のいずれかに記載の製造物品。
- 前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機シランを表面に付着することによって修飾される、請求項30〜34のいずれかに記載の製造物品。
- 前記有機シランは、下記一般式を有する請求項36に記載の製造物品:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。 - 前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項37に記載の製造物品。
- 前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項35に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項35に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、脂肪酸および少なくとも1つの官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される、請求項40に記載の製造物品。
- 前記活性物質は電解重合ポリマーである、請求項30に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した生物活性剤を含む、請求項42に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、請求項42に記載の製造物品。
- 前記複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合している生物活性剤を含む、請求項44に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む、請求項42に記載の製造物品。
- 前記共重合体は、それに結合している生物活性剤を含む、請求項46に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウム、フタロシアニン、その誘導体およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項42に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、吸収され、膨潤されまたはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項42に記載の製造物品。
- 導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの有機物質の自己集合した単層を有する物体を含む、製造物品。
- 前記有機物質は電気的結合可能な基を含み、前記自己集合した単層は前記導電性表面上に電気化学的に形成される、請求項50に記載の製造物品。
- 前記有機物質は有機シランであり、前記自己集合した単層は前記導電性表面上に非電気化学的に形成される、請求項50に記載の製造物品。
- 前記有機シランは、下記一般式を有する請求項52に記載の製造物品:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。 - 前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項53に記載の製造物品。
- 前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項51に記載の製造物品。
- 前記有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項51に記載の製造物品。
- 前記有機物質は脂肪酸である、請求項56に記載の製造物品。
- 前記脂肪酸は、デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸からなる群から選択される、請求項57に記載の製造物品。
- 前記有機物質は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの官能基をさらに含む、請求項50に記載の製造物品。
- 前記脂肪酸は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの官能基によって誘導体化される、請求項57に記載の製造物品。
- 少なくとも1つの炭化水素残基は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分によって置換される、請求項53に記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの官能基は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、ピロール、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項59、60および61のいずれかに記載の製造物品。
- 前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項59、60および61のいずれかに記載の製造物品。
- 前記少なくとも1つの官能基に結合している少なくとも1つの活性物質をさらに含む、請求項59〜63のいずれかに記載の製造物品。
- 前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している電解重合ポリマーをさらに含む、請求項50に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した生物活性剤を含む、請求項65に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、請求項65に記載の製造物品。
- 前記複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合しているか、またはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項67に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む、請求項65に記載の製造物品。
- 前記共重合体は、それに結合しているか、またはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項69に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、吸収され、膨潤されまたはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項65に記載の製造物品。
- 前記電解重合ポリマーは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウム、フタロシアニン、その誘導体およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項65に記載の製造物品。
- 導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を調製するプロセスであって、このプロセスは、
前記導電性表面を有する前記物体を提供すること;
前記導電性表面を修飾し、それにより、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能性成分を表面に結合した導電性表面を有する物体を提供し;および、
前記活性物質と、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面とを接触させることを含む、プロセス。 - 前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項73に記載のプロセス。
- 前記修飾することは、前記導電性表面に、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む少なくとも1つの有機物質を結合することによって行われる、請求項74に記載のプロセス。
- 前記修飾することは、前記導電性表面に、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む少なくとも1つの有機物質を電気化学的に結合することによって行われる、請求項75に記載のプロセス。
- 前記有機物質は有機シランであり、前記修飾することは前記導電性表面に前記有機シランを非電気化学的に結合することによって行われる、請求項75に記載のプロセス。
- 前記有機シランは、下記一般式を有する請求項77に記載のプロセス:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。 - 前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項78に記載のプロセス。
- 前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項75に記載のプロセス。
- 前記接触させることは、前記少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面と、前記活性物質とを反応させることによって行われる、請求項73に記載のプロセス。
- 前記接触させることは、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面の内部において前記活性物質を膨潤することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。
- 前記活性物質はポリマーであり、前記接触させることは、前記ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面上に重合することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。
- 前記ポリマーは電解重合可能なポリマーであり、前記接触させることは、前記ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面上に重合することによって行われる、請求項83に記載のプロセス。
- 前記接触させることは、前記活性物質を、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面に吸収することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。
- 導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を調製するプロセスであって、このプロセスは、
前記導電性表面を有する前記物体を提供すること;および、
電気的結合可能な基を有する少なくとも1つの活性物質を前記導電性表面に電気化学的に結合することを含む、プロセス。 - 前記物体が医療デバイスである、請求項86に記載のプロセス。
- 前記物体が埋め込み可能な医療デバイスである、請求項86に記載のプロセス。
- 前記物体がステントである、請求項88に記載のプロセス。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、ポリマー、マイクロ粒子および/またはナノ粒子は前記電気的結合可能な基を含む、請求項86に記載のプロセス。
- 前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項90に記載のプロセス。
- 前記電気化学的に結合することの前に、前記導電性表面を修飾し、それにより、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する導電性表面を有する物体を提供することをさらに含む、請求項86に記載のプロセス。
- 前記修飾することは、前記導電性表面を電気化学的に修飾することを含む、請求項92に記載のプロセス。
- 前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項92に記載のプロセス。
- 前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項86および90のいずれかに記載のプロセス。
- 前記活性物質は電解重合ポリマーである、請求項86に記載のプロセス。
- 前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項91に記載のプロセス。
- 医療デバイスを埋め込むことが有益である医学的状態を有する対象を治療する方法であって、この方法は、
導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質を有する医療デバイスを提供すること、ここで前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、前記少なくとも1つの活性物質は前記導電性表面に電気化学的に結合されている、ならびに、
前記医療デバイスを前記対象の体内に埋め込み、それにより、前記医学的状態を治療すること
を含む、方法。 - 前記医学的状態は、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
- 前記医療デバイスは埋め込み可能なデバイスである、請求項98に記載の方法。
- 前記医療デバイスが、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、注入口および心臓弁からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
- 前記医療デバイスがステントである、請求項101に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
- 前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項103に記載の方法。
- 前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項104に記載の方法。
- 前記活性物質を表面に結合されたデバイスを埋め込むことが有益である医学的状態の治療における、請求項3に記載の埋め込み可能デバイスの使用。
- 前記医学的状態は、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される、請求項106に記載の使用。
- 前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、前記ポリマー、前記マイクロ粒子および/または前記ナノ粒子は少なくとも1つの電気的結合可能な基を含む、請求項106に記載の使用。
- 前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項108に記載の使用。
- 前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項109に記載の使用。
- 導電性表面を有する少なくとも1つの医療デバイスを被覆するためのシステムであって、このシステムは、稼動可能な配置において、前記少なくとも1つの医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイス、運搬装置、および前記運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴を含み、前記運搬装置は、前記少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で前記第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、前記少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築され、さらに、前記第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、前記第2の浴は活性物質溶液の浴である、システム。
- 前記修飾用の浴は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を有する、請求項111に記載のシステム。
- 前記活性物質は電解重合ポリマーであり、前記第2の浴は電解重合浴である、請求項112に記載のシステム。
- 前記少なくとも1つの医療デバイスは少なくとも1つのステントアセンブリーを含む、請求項111に記載のシステム。
- 前記運搬装置に沿って配置された少なくとも1つのさらなる浴をさらに含み、前記運搬装置は、所定の期間、前記少なくとも1つのさらなる処理浴の中に前記少なくとも1つの保持デバイスを置くように設計および構築されている、請求項111に記載のシステム。
- 前記少なくとも1つのさらなる処理浴は、前処理浴、洗浄浴、すすぎ洗浄浴、電解重合浴、化学重合浴および第2の活性物質溶液浴からなる群から選択される、請求項115に記載のシステム。
- 前記少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジをさらに含む、請求項111に記載のシステム。
- 前記少なくとも1つの保持デバイスは、前記少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体、および電極構造体が前記穴あき封入体と係合し、電場を前記穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップを含む、請求項116に記載のシステム。
- 前記穴あき封入体は、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている、請求項118に記載のシステム。
- 前記電解重合浴は、前記電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む、請求項113および118のいずれかに記載のシステム。
- 前記運搬装置は、前記少なくとも1つの保持デバイスを前記少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、前記少なくとも1つの電極構造体を前記穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である、請求項120に記載のシステム。
- 少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、前記少なくとも1つの電極構造体を前記穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームをさらに含む、請求項119に記載のシステム。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US58874904P | 2004-07-19 | 2004-07-19 | |
PCT/IL2005/000769 WO2006008739A2 (en) | 2004-07-19 | 2005-07-19 | Modified conductive surfaces having active substances attached thereto |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008506493A true JP2008506493A (ja) | 2008-03-06 |
JP2008506493A5 JP2008506493A5 (ja) | 2008-08-14 |
Family
ID=35658950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007522120A Pending JP2008506493A (ja) | 2004-07-19 | 2005-07-19 | 活性物質が表面に結合している修飾された導電性表面およびその使用 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20090232867A1 (ja) |
EP (1) | EP1768717A2 (ja) |
JP (1) | JP2008506493A (ja) |
AU (1) | AU2005264159A1 (ja) |
CA (1) | CA2573397A1 (ja) |
WO (1) | WO2006008739A2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007031408A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-02-08 | Kanagawa Acad Of Sci & Technol | 生理活性物質固定化チタン材及びその製造方法 |
JP2012518497A (ja) * | 2009-02-25 | 2012-08-16 | オーソボンド コーポレーション | 抗感染性官能基表面とその製造方法 |
JP2013511813A (ja) * | 2009-11-20 | 2013-04-04 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 表面修飾ナノ粒子が共有結合した導電性粒子を含む組成物及びその製造方法 |
JP5746050B2 (ja) * | 2009-12-15 | 2015-07-08 | テルモ株式会社 | 医療用具およびその製造方法 |
Families Citing this family (48)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20060013850A1 (en) * | 1999-12-03 | 2006-01-19 | Domb Abraham J | Electropolymerizable monomers and polymeric coatings on implantable devices prepared therefrom |
WO2003002243A2 (en) | 2001-06-27 | 2003-01-09 | Remon Medical Technologies Ltd. | Method and device for electrochemical formation of therapeutic species in vivo |
KR20080004555A (ko) * | 2005-03-31 | 2008-01-09 | 바스프 악티엔게젤샤프트 | 접착 촉진제로서의 폴리펩티드의 용도 |
US8840660B2 (en) | 2006-01-05 | 2014-09-23 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Bioerodible endoprostheses and methods of making the same |
US8089029B2 (en) | 2006-02-01 | 2012-01-03 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Bioabsorbable metal medical device and method of manufacture |
WO2007130972A2 (en) | 2006-05-01 | 2007-11-15 | Wake Forest University | Fiber photovoltaic devices and applications thereof |
PL2022108T3 (pl) * | 2006-05-01 | 2009-10-30 | Univ Wake Forest | Organiczne urządzenia optoelektroniczne i ich zastosowania |
CN101432625A (zh) * | 2006-05-03 | 2009-05-13 | 皇家飞利浦电子股份有限公司 | 生物传感器装置 |
US20080149178A1 (en) * | 2006-06-27 | 2008-06-26 | Marisol Reyes-Reyes | Composite organic materials and applications thereof |
ATE528803T1 (de) | 2006-08-07 | 2011-10-15 | Univ Wake Forest | Herstellung von organischen verbundmaterialien |
ES2368125T3 (es) | 2006-09-15 | 2011-11-14 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Endoprótesis bioerosionable con capas inorgánicas bioestables. |
US8057534B2 (en) | 2006-09-15 | 2011-11-15 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Bioerodible endoprostheses and methods of making the same |
JP2010503485A (ja) | 2006-09-15 | 2010-02-04 | ボストン サイエンティフィック リミテッド | 医療用デバイスおよび同デバイスの製造方法 |
WO2008090554A2 (en) * | 2007-01-22 | 2008-07-31 | Elutex Ltd. | Modified conductive surfaces prepared by electrografting of diazonium salts |
CA2687031A1 (en) * | 2007-05-15 | 2008-11-20 | Chameleon Biosurfaces Limited | Polymer coatings on medical devices |
MX2009013004A (es) | 2007-06-01 | 2010-01-20 | Univ Maryland | Agentes de union al receptor de la region constante fc de inmunoglobulina. |
JP5078456B2 (ja) * | 2007-06-19 | 2012-11-21 | キヤノン株式会社 | 質量分析用基板、質量分析方法および質量分析装置 |
US8877239B2 (en) * | 2010-08-12 | 2014-11-04 | Nutritional Therapeutics, Inc. | Lipid supplements for maintaining health and treatment of acute and chronic disorders |
US8119764B2 (en) | 2007-09-11 | 2012-02-21 | Solvay Advanced Polymers, L.L.C. | Medical devices made of a polymer material |
US8742064B2 (en) | 2007-10-23 | 2014-06-03 | Solvay Advanced Polymers, L.L.C. | Medical tubings made of a polymer material |
EP2210292A2 (en) * | 2007-11-01 | 2010-07-28 | Wake Forest University | Lateral organic optoelectronic devices and applications thereof |
US7998192B2 (en) | 2008-05-09 | 2011-08-16 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Endoprostheses |
US7951281B2 (en) * | 2008-06-04 | 2011-05-31 | Corning Incorporated | Methods for diminishing or preventing the deposition of a metal oxide on an electrode surface |
WO2010025517A1 (en) * | 2008-09-04 | 2010-03-11 | Cochlear Limited | Medical implant with self assembled monolayer coating on electrically conductive regions inhibiting attachment of impedance inducing materials |
US8382824B2 (en) | 2008-10-03 | 2013-02-26 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Medical implant having NANO-crystal grains with barrier layers of metal nitrides or fluorides |
US8267992B2 (en) | 2009-03-02 | 2012-09-18 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Self-buffering medical implants |
WO2010119443A1 (en) * | 2009-04-13 | 2010-10-21 | Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem, Ltd. | Process for electrochemical coating of conductive surfaces by organic nanoparticles |
US20110021899A1 (en) * | 2009-07-23 | 2011-01-27 | Surmodics, Inc. | Conductive polymer coatings |
KR101107223B1 (ko) * | 2009-11-10 | 2012-01-25 | 한국과학기술연구원 | 금속 기판에 대한 고분자의 코팅 접착력을 향상시키기 위한 나노 커플링 |
PT2338940T (pt) | 2009-12-23 | 2016-11-21 | Silicalia S L | Composição para revestimento |
TWI425961B (zh) * | 2009-12-29 | 2014-02-11 | Metal Ind Res & Dev Ct | Medical equipment and its surface treatment method |
WO2011119573A1 (en) | 2010-03-23 | 2011-09-29 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Surface treated bioerodible metal endoprostheses |
BR112013002074B1 (pt) | 2010-07-28 | 2021-09-14 | Gliknik Inc | Composto homodimérico, dímero ou multímero de ordem superior do composto homodimérico, composição, composto, multímero e usos dos mesmos |
AU2013305885B2 (en) | 2012-08-20 | 2017-12-21 | Gliknik Inc. | Molecules with antigen binding and polyvalent Fc gamma receptor binding activity |
CN107595793B (zh) | 2012-11-30 | 2020-11-13 | 阿库拉制药公司 | 活性药物成分的自调节释放 |
US20140183087A1 (en) * | 2012-12-31 | 2014-07-03 | Funai Electric Co., Ltd. | Fluid Level Sensing Tank Materials |
WO2014110407A2 (en) * | 2013-01-11 | 2014-07-17 | Surmodics, Inc. | Conductive polymers and uses |
US11039620B2 (en) | 2014-02-19 | 2021-06-22 | Corning Incorporated | Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same |
US9622483B2 (en) | 2014-02-19 | 2017-04-18 | Corning Incorporated | Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same |
US11039621B2 (en) | 2014-02-19 | 2021-06-22 | Corning Incorporated | Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same |
CN103938247B (zh) * | 2014-04-22 | 2016-04-27 | 中国船舶重工集团公司第七二五研究所青岛分部 | 一种金属配合物-全氟聚醚油复相涂层的制备方法 |
WO2017214321A1 (en) | 2016-06-07 | 2017-12-14 | Gliknik Inc. | Cysteine-optimized stradomers |
WO2018075454A1 (en) | 2016-10-17 | 2018-04-26 | Orthobond Corporation | Functional surfaces |
CN110312507B (zh) | 2016-10-17 | 2021-11-23 | 奥索邦德公司 | 具有低聚或聚合抗微生物剂的表面 |
PE20191354A1 (es) | 2016-12-09 | 2019-10-01 | Gliknik Inc | Optimizacion de fabricacion de gl-2045, un stradomer multimerizante |
JP2020500856A (ja) | 2016-12-09 | 2020-01-16 | グリックニック インコーポレイテッド | 多価fc化合物を用いる炎症性疾患の治療方法 |
CN108559084B (zh) * | 2018-04-13 | 2020-12-04 | 华东理工大学 | 一种聚乳酸基疏水薄膜的制备方法 |
CN111529758B (zh) * | 2020-06-24 | 2021-05-04 | 东华大学 | 一种导电稳定性的负泊松比结构心肌补片及其制备方法 |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS49122187A (ja) * | 1973-03-22 | 1974-11-21 | ||
JPH0274021A (ja) * | 1988-09-09 | 1990-03-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 固体電解コンデンサの製造方法 |
JPH10230569A (ja) * | 1997-02-14 | 1998-09-02 | Huels Ag | 微生物排除性被覆した物品、微生物排除性被覆の製造方法、およびそのように被覆した物品の使用 |
WO1999003517A1 (fr) * | 1997-07-16 | 1999-01-28 | Centre National De La Recherche Scientifique | Dispositif implantable recouvert d'un polymere capable de liberer des substances biologiquement actives |
JPH11166150A (ja) * | 1991-07-05 | 1999-06-22 | Biocompatibles Ltd | コーテイング組成物 |
JP2001029452A (ja) * | 1999-07-19 | 2001-02-06 | Nippon Zeon Co Ltd | 湿潤性表面を有する金属製医療用具の製造方法 |
US20030099684A1 (en) * | 1999-12-03 | 2003-05-29 | Domb Abraham J. | Electropolymerizable monomers and polymeric coatings on implantable devices |
JP2005537097A (ja) * | 2002-08-30 | 2005-12-08 | サーモディックス,インコーポレイティド | デリバリーシステムのための保持コーティング |
JP2007505697A (ja) * | 2003-09-15 | 2007-03-15 | ウィックストローム、エリック | シリル化治療剤を結合したインプラント |
JP2008506502A (ja) * | 2004-07-19 | 2008-03-06 | ボストン サイエンティフィック リミティッド | 導電性基板および共有結合したコーティング層を有する医療器具 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3640814A (en) * | 1965-03-17 | 1972-02-08 | Ashdee Corp | Electrocoating apparatus |
GB1325150A (en) * | 1971-11-26 | 1973-08-01 | Trzhetsyak M A | Apparatus for electrodepositing electrolytic coatings |
DE3843544A1 (de) * | 1988-12-23 | 1990-06-28 | Sep Tech Studien | Verfahren und vorrichtung zur elektrophoretischen tauchlackierung von kleinteilen und schuettguetern |
EP1218098A1 (en) * | 1999-09-09 | 2002-07-03 | Ben-Gurion University Of The Negev | Matrices of probes and their preparation |
-
2005
- 2005-07-19 US US11/632,697 patent/US20090232867A1/en not_active Abandoned
- 2005-07-19 AU AU2005264159A patent/AU2005264159A1/en not_active Abandoned
- 2005-07-19 CA CA002573397A patent/CA2573397A1/en not_active Abandoned
- 2005-07-19 EP EP05761352A patent/EP1768717A2/en not_active Withdrawn
- 2005-07-19 JP JP2007522120A patent/JP2008506493A/ja active Pending
- 2005-07-19 WO PCT/IL2005/000769 patent/WO2006008739A2/en active Application Filing
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS49122187A (ja) * | 1973-03-22 | 1974-11-21 | ||
JPH0274021A (ja) * | 1988-09-09 | 1990-03-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 固体電解コンデンサの製造方法 |
JPH11166150A (ja) * | 1991-07-05 | 1999-06-22 | Biocompatibles Ltd | コーテイング組成物 |
JPH10230569A (ja) * | 1997-02-14 | 1998-09-02 | Huels Ag | 微生物排除性被覆した物品、微生物排除性被覆の製造方法、およびそのように被覆した物品の使用 |
WO1999003517A1 (fr) * | 1997-07-16 | 1999-01-28 | Centre National De La Recherche Scientifique | Dispositif implantable recouvert d'un polymere capable de liberer des substances biologiquement actives |
JP2001029452A (ja) * | 1999-07-19 | 2001-02-06 | Nippon Zeon Co Ltd | 湿潤性表面を有する金属製医療用具の製造方法 |
US20030099684A1 (en) * | 1999-12-03 | 2003-05-29 | Domb Abraham J. | Electropolymerizable monomers and polymeric coatings on implantable devices |
JP2005537097A (ja) * | 2002-08-30 | 2005-12-08 | サーモディックス,インコーポレイティド | デリバリーシステムのための保持コーティング |
JP2007505697A (ja) * | 2003-09-15 | 2007-03-15 | ウィックストローム、エリック | シリル化治療剤を結合したインプラント |
JP2008506502A (ja) * | 2004-07-19 | 2008-03-06 | ボストン サイエンティフィック リミティッド | 導電性基板および共有結合したコーティング層を有する医療器具 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007031408A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-02-08 | Kanagawa Acad Of Sci & Technol | 生理活性物質固定化チタン材及びその製造方法 |
JP2012518497A (ja) * | 2009-02-25 | 2012-08-16 | オーソボンド コーポレーション | 抗感染性官能基表面とその製造方法 |
JP2015091368A (ja) * | 2009-02-25 | 2015-05-14 | オーソボンド コーポレーション | 抗感染性官能基表面とその製造方法 |
JP2017200602A (ja) * | 2009-02-25 | 2017-11-09 | オーソボンド コーポレーション | 抗感染性官能基表面とその製造方法 |
JP2013511813A (ja) * | 2009-11-20 | 2013-04-04 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 表面修飾ナノ粒子が共有結合した導電性粒子を含む組成物及びその製造方法 |
JP5746050B2 (ja) * | 2009-12-15 | 2015-07-08 | テルモ株式会社 | 医療用具およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2573397A1 (en) | 2006-01-26 |
WO2006008739A3 (en) | 2006-06-01 |
US20090232867A1 (en) | 2009-09-17 |
AU2005264159A1 (en) | 2006-01-26 |
EP1768717A2 (en) | 2007-04-04 |
WO2006008739A2 (en) | 2006-01-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2008506493A (ja) | 活性物質が表面に結合している修飾された導電性表面およびその使用 | |
JP2009501828A (ja) | 電解重合可能なモノマーおよびそれらから調製される埋め込み可能な機器におけるポリマー被覆 | |
Guimard et al. | Conducting polymers in biomedical engineering | |
Heise et al. | Tackling Mg alloy corrosion by natural polymer coatings—A review | |
EP1233795B1 (en) | Electropolymerizable monomers and polymeric coatings on implantable devices | |
Khan et al. | Covalent attachment of proteins to functionalized polypyrrole-coated metallic surfaces for improved biocompatibility | |
Ahmed et al. | A study of calcium carbonate/multiwalled-carbon nanotubes/chitosan composite coatings on Ti–6Al–4V alloy for orthopedic implants | |
Park et al. | Drug loading and release behavior depending on the induced porosity of chitosan/cellulose multilayer Nanofilms | |
Fabregat et al. | Incorporation of a clot-binding peptide into polythiophene: properties of composites for biomedical applications | |
CN103757683B (zh) | 一种光交联型生物基涂层的电沉积制备方法 | |
WO2008090554A2 (en) | Modified conductive surfaces prepared by electrografting of diazonium salts | |
Puiggalí-Jou et al. | Electroresponsive alginate-based hydrogels for controlled release of hydrophobic drugs | |
US10786573B2 (en) | Conductive polymer graphene oxide composite materials | |
KR101468306B1 (ko) | 카테콜기가 표면에 결합되어 있는 접착성 나노입자 및 이의 용도 | |
Kandel et al. | Biomimetic cell–substrate of chitosan-cross-linked polyaniline patterning on TiO2 nanotubes enables hBM-MSCs to differentiate the osteoblast cell type | |
Liu et al. | pH-responsive TiO2 nanotube drug delivery system based on iron coordination | |
Lendlein et al. | Polymers in biomedicine and electronics | |
Alipal et al. | Physicochemical and cytotoxicity studies of a novel hydrogel nanoclay EPD coating on titanium made of chitosan/gelatin/halloysite for biomedical applications | |
Wang et al. | Light-triggered release of biomolecules from diamond nanowire electrodes | |
CN110833631A (zh) | 一种多功能血管支架的制备方法 | |
Levy et al. | Drug‐eluting stent with improved durability and controllability properties, obtained via electrocoated adhesive promotion layer | |
Teixeira et al. | Strategies for Functionalization of Metallic Surfaces with Bioactive Peptides: A Mini Review | |
WO2009054814A1 (en) | Functionalized poly (3,4-alkylenebridgedthiophene) (pabt) | |
Basinska | Reactions leading to controlled hydrophilicity/hydrophobicity of surfaces | |
Jeong et al. | Universal surface coating with a non-phenolic molecule, sulfonated pyrene |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080627 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080627 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110927 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20120228 |