JP2008504822A - 癌選択的栄養要求株 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの腫瘍において見いだされる少なくとも2つのアミノ酸に対して栄養要求性である細菌は、効果的な抗腫瘍治療、標識物質、および感染に対するワクチンである。抗腫瘍作用の改善はまた、このような菌株の適切な腫瘍モデルでの継代によっても提供され得る。

Description

関連出願
本出願は、2004年6月29日に出願された米国仮特許出願第60/584,301の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。
技術分野
本発明は、栄養素として少なくとも2つのアミノ酸を必要とするように改変され、さらに癌への接着性および病原性の増加を示しうる抗腫瘍細菌に関する。実例として、アルギニンおよびロイシンを必要とする二重栄養要求性突然変異を有するネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)は、in vivoにおいて毒性を持たず、腫瘍での増殖に対して選択的であることが実証される。
嫌気性細菌が腫瘍において選択的に増殖することはよく知られており、実際、大量の細菌が患者から切除された腫瘍において見いだされている。この観点から、細菌は腫瘍の治療法として提案されている。例えば、Yazawa, K.,ら、Breast Canc. Res. and Treat. (2001) 66:165-170は、非病原性グラム陽性細菌であるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)が静脈注射された場合、ラットにおいて誘発された乳癌で選択的に増殖することを実証した。Dang, L. H.,ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2001) 98:15155-15160は、その致死性毒素を欠損したノーヴィ菌(Clostridium novyi)株がマウスにおいて腫瘍の無血管領域内で発芽し、周囲の生存能力のある腫瘍細胞を破壊することを実証した。
aro遺伝子の破壊による栄養要求性であるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)は、抑制された病原性を有することが示され、従って、Hoiseth, S. K. J.,ら、Nature (1981) 291:238-239に記載されるような生ワクチンとして有用である。aro遺伝子の破壊は、パラアミノ安息香酸(PABA)と2,3-ジヒドロキシ安息香酸エステル(DHB)の両方の産生を遮断した。PABAにのみ栄養要求性のサルモネラ菌(Salmonella)、およびDHBにのみ栄養要求性のサルモネラ菌(Salmonella)を生じる以前の研究もまた病原性の低下を引き起こしたが、二重栄養要求株を生じるaro遺伝子の破壊は実質的に非病原性として特徴付けられた。Pawelek, J.,ら、Cancer Res. (1997) 57:4537-4544は、低下した病原性を有する抗腫瘍治療薬として(アデニンおよびビタミンB1を必要とする)pur-というサルモネラ菌(Salmonella)突然変異体を記載する。Low, B.,ら、Nature Biotech (1999) 17:37-41は、msbB遺伝子に欠損を有するリピドA突然変異サルモネラ菌(Salmonella)を報告しており、それはTNFα誘導を減少させ、LD50を10,000倍にまで増加させた。正常組織と比較して1,000:1を上回る腫瘍蓄積率が報告された。これらの改変サルモネラ菌(Salmonella)を用いて治療したマウスのメラノーマは、治療を受けなかった対照での腫瘍サイズの6%であった。
さらに、弱毒化されたネズミチフス菌(S. typhimurium)は、Toso, J. F.,ら、J. Clin. Oncol. (2002) 20:142-152に報告されるように第一相臨床試験において評価された。転移性メラノーマを有する24人の患者および転移性腎細胞癌を有する1人の患者は、purI遺伝子およびmsbB遺伝子の両方の欠失によって弱毒化された10−10cfu/mのリピドA突然変異ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)(VNP20009)を含有する静脈内ボーラス投与を受けた。purI突然変異体は外部からのアデニンを必要とし、msbB突然変異体は末端ミリスチル基のリピドA部分への付加を妨げる。VNP20009株は安全に患者に投与でき、最高耐量では腫瘍定着が観察された。
腫瘍の細菌療法の精度は、当然、細菌感染の進行を追跡する系によって改善され得る。このような系の1つは、2003年8月28日に公開された米国特許公開2003-0161788に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。この公報に記載されるように、蛍光タンパク質によって標識された大腸菌(E. coli)などの細菌は、感染を観察し、治療を評価するために使用される。モデル系、および実際に治療される被験体では、標識化細菌自体の直接観察に加えて、腫瘍組織は異なる色の蛍光標識を受けて、望ましい対照を提供しうる。例示された実施形態では、オワンクラゲ(A. victoria)緑色蛍光タンパク質(GFP)の変異体を発現するように改変されたネズミチフス菌(S. typhimurium)が、ヌードマウス内で赤色蛍光タンパク質(RFP’s)によって標識された腫瘍内に注入された。別の実施形態では、RFPを発現するように改変された大腸菌(E. coli)が、GFPで標識された腫瘍を有するヌードマウスに注射された。それら自体の生来の抗腫瘍作用に加えて、細菌はまたIL2またはメチオニナーゼなどの治療薬を産生するように改変されうることも言及された。
Yu, Y. A.,ら、Nat. Biotechnol. (2004) 22:313-320は、生きている動物に静脈注射されたGFPを発現している細菌が、充実性腫瘍および胸部、前立腺、脳の転移誘導性腫瘍、ならびに線維肉腫において複製することを示した。腫瘍での増殖は、GFPと同様にルシフェラーゼ触媒による発光を用いてリアルタイムでイメージングされた。大腸菌(E. coli)ならびに3つの弱毒化された病原体、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)は腫瘍内で複製した。
これらの改善された株が治療薬、ワクチンとして、ならびに腫瘍進行の観察および腫瘍治療の評価と最適化のための指標として使用されうるように、腫瘍に対する選択性の向上および毒性の低下を有する改善された細菌株の必要性が残っている。本発明はこのような改善された細菌株を提供する。本発明に従って作製されたネズミチフス菌(S. typhimurium)の効果を記載しているが、突然変異の性質を記載していない要約書は、Zhao, M.,ら、Proc. Am. Assoc. Cancer Res. (2004) 45:869 (No. 3765)によって発表された。
下記に記載される栄養要求株A1の詳細な説明は、Zhao, M.,ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2005) 102:755-760に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。要約はNature Biotechnology (2005) 23:189に示される。
本発明は、少なくとも2つのアミノ酸、例えば、アルギニンおよびロイシンに対して栄養要求性である、上記の目的のために有用な細菌株を提供する。これらの二重栄養要求株は、被験体に投与した場合、著しい腫瘍選択性の向上、毒性の低下およびTNFα産生の低下を有する。
従って、1つの態様では、本発明は、医薬組成物として調製された、その培養液中に少なくとも2つのアミノ酸を必要とするように改変された嫌気性菌または通性嫌気性菌を対象とする。1つの実施形態では、本発明の二重栄養要求株は蛍光タンパク質を発現するようにさらに改変される。
別の態様では、本発明は、in vivoマウス腫瘍モデルでの継代によって得られる接着性、病原性および/または侵襲性の増加を有する、前段落に記載されるような嫌気性菌を対象とする。
他の態様では、本発明は、本発明の二重(または2つ以上の)栄養要求株を用いた被験体の腫瘍を治療する方法、およびそれらを用いたワクチンに属する。また他の態様では、本発明は、これらの細菌が例えば腫瘍を有する被験体に投与された際、蛍光タンパク質を含有するように改変された栄養要求株の挙動を観察することによる、治療を観察する方法を対象とする。1つの実施形態では、腫瘍自体が蛍光タンパク質によって標識される。
本発明を実施する方法
増殖のために少なくとも2つのアミノ酸を必要とする嫌気性細菌または通性嫌気性細菌の突然変異体は、標準的な突然変異誘発技術を用いて作製される。大腸菌(E. coli)の場合のように細菌のゲノム構成が既知の場合、これらの突然変異を特異的に生じるために、例えば、定方向突然変異または相同組換え技術が使用されうる。別法として、放射線または化学的刺激を用いた非特異的突然変異技術が使用され得、その後、当技術分野において標準的な選抜手順が行われ得る。例えば、突然変異細菌を、すべての必須アミノ酸を含有する培地上で増殖させ、個々のコロニーを単離する。その後、各アミノ酸のうち1つを含まない培地上で増殖できないそれらのコロニーを選抜し、適切な置換培地上で増殖について評価する。培地に少なくとも2つのアミノ酸の添加を必要とするそれらのコロニーが選抜される。
in vivo腫瘍モデルで継代され、再単離される場合、二重突然変異体は、腫瘍細胞に対する接着性および/または侵襲性および/または病原性の向上を有するコロニーを生じる。これらのさらに改変された細菌は特に有用であり、下記の栄養要求株について記載された方法において毒性を持たない。
このような方法で改変され得る適切な嫌気性細菌は、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、エシェリキア属(Escherichia)、ビブリオ属(Vibrio)、リステリア属(Listeria)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の様々な菌株、および他の任意の都合のよい嫌気性菌を含む。
例えば、クロストリジウム属(Clostridium)のようないくつかの場合では、生物を無毒化するためのさらなる改変もまた必要とされうる。本発明の栄養要求株は様々な状況において有用であり、それは、腫瘍に対する直接的治療、野生型細菌による感染に対するワクチン、腫瘍に選択的に送達される治療用タンパク質のための発現系の担体、疾患の進行の観察および治療プロトコルの候補の評価、ならびにその方法自体の最適化を含んでいる。本発明の細菌の特性は、腫瘍によって十分に供給され、一般的に宿主によって供給されない少なくとも2つのアミノ酸へのそれらの依存性である。下記の説明のために用いられるのは、ロイシンとアルギニンの両方を必要とする二重栄養要求株であるが、他の好ましくは類似していないアミノ酸の組合せもまた使用され得る。従って、ヒスチジンとメチオニンの両方、バリンとアスパラギン酸の両方、グルタミン酸とセリンの両方などを必要とする突然変異体も使用されうる。好ましくは、必要とされる2つのアミノ酸は異なる経路に由来し、従って、トリプトファンとアラニン、またはグルタミンとリジンなどに対する要求性の組合せが使用され得る。好ましい組合せは、塩基性アミノ酸と中性アミノ酸との組合せ、例えばヒスチジン/アラニン、ヒスチジン/バリン、ヒスチジン/ロイシン、アルギニン/ロイシン、アルギニン/バリン、アルギニン/イソロイシン、リジン/メチオニン、リジン/バリンなどである。下記において説明されるのは、アルギニンおよびロイシンの栄養要求株の組合せである。
この特定の栄養要求株は、腫瘍での増殖に対して選択性が高く、毒性を持たないことが以下に実証される。腫瘍細胞株での研究によって、出願人は、感染後、大量の細胞内細菌の蓄積がマウスMMT乳癌細胞およびマウスB16F10メラノーマ細胞の非特異的な破壊を引き起こすことを示した。これらの二重栄養要求株は、PC-3ヒト前立腺腫瘍細胞においてアポトーシスおよび壊死を誘導した。in vivoでの研究は、この突然変異体がPC-3腫瘍の治療に成功し、罹患したマウスの生存期間を増加させることを示した。
本発明の栄養要求株は腫瘍組織で増殖しなければならないため、アミノ酸要求量は腫瘍に存在するそれらの濃度によって満たされなければならない。従って、細菌が栄養要求性であるアミノ酸は、増殖を支えるために十分な濃度で存在しなければならない。これらは少なくとも1つの腫瘍型において存在しなければならない。測定は腫瘍細胞物を用いてin vitroで容易に行われ得る。前記培養物の一団は、例えば国立癌研究所(National Cancer Institute)のような様々な供給元から入手可能である。その細胞が少なくとも1つの細胞培養物において増殖する限り、それらは本発明の範囲に含まれる。
本発明の特に有用な栄養要求株は、腫瘍増殖を阻害する高められた能力を示し、腫瘍の緩解をもたらす能力を与え、治療の被験体または実験動物のいずれかにおいて生存期間を増加させるものを含む。これらの菌株は、腫瘍に対する接着性および/または侵襲性および/または病原性の向上を示し、in vivoにおける上述の栄養要求株または嫌気性菌もしくは通性嫌気性菌全般のin vivo腫瘍モデルでの継代によって得られる。継代のための腫瘍モデルは通常、選択された細菌の増殖に特に都合のよい臓器に関連するものである。例えば、ネズミチフス菌(S. typhimurium)は通常結腸に生息するので、結腸腫瘍モデルが使用されることが好ましい。望ましい特性の向上が得られる機構は不明だが、このような質の改善は、対象細菌を腫瘍モデルに注入し、(例えば、ホモジナイズして上清を回収することによって)細菌を腫瘍から回収し、望ましい特性についてコロニーを選抜することによって、下記の実施例において詳細に説明されるように確実に得ることができる。
本発明の治療法および予防法が有効である動物被験体は、充実性腫瘍に罹患するあらゆる動物であるが、一般的に魚類、鳥類および哺乳動物などの脊椎動物であり、最も一般的には哺乳動物である。ヒトの治療は特に関心が持たれるが、ブタ、ウシ、ヒツジおよびヤギ、ニワトリ、シチメンチョウなどの家畜の治療もまた、イヌおよびネコなどの伴侶動物の治療と同様に、有用性が明らかである。本発明の方法は、使用される蛍光タンパク質によって発光される蛍光の強度によって、これらの任意の動物被験体に対する侵襲的技術を伴わないリアルタイム観察を提供する。
疾患の進行および薬物の効力試験のためのモデル系として、実験動物、例えば、ラット、マウスおよびウサギの使用もまた非常に重要である。蛍光細菌を使用する本発明のそれらの実施形態は、この状況において特に有用である。しかし、治療される動物における疾患の進行もまた標識化細菌を使用し得る。
本発明の栄養要求性嫌気性菌は、治療薬および予防薬として有用な医薬組成物および獣医用組成物に処方されうる。これらの組成物は、さらなる生理学的に許容され得る賦形剤を含有し、様々な投与経路に適した治療薬およびワクチンのための製剤は、例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 最新版、Mack Publishing Co., Easton, PA, に見いだされる。その製剤は、粉末、カプセル、シロップ、錠剤、注射用の溶液等の形態でありうる。制御放出のための製剤、リポソーム製剤およびインプラントが使用されうる。製剤および投与経路の選択は特定の用途に依存し、通常の技術内である。
例えば感染の進行を観察するための腫瘍の標識に使用される場合、蛍光タンパク質が標識に使用される。それらの充実性腫瘍への移行および定着が追跡できるよう、ならびに、これらの細菌による治療薬の限局的な産生が制御および評価され得るように、細菌を標識する可視的なマーカー蛍光タンパク質が利用される。
これらの態様の測定に加えて、無傷の動物における蛍光細胞の移行およびタンパク質の産生を観察するために、蛍光タンパク質の使用によって十分な強度が達成され得るので、腫瘍の緩解および転移の進行またはその抑制は、無傷の被験体においてリアルタイムで観察され得る。これは、異なる波長で蛍光を発するタンパク質を用いて腫瘍細胞自体を標識することによって最適化され得る。
本発明の様々な態様において使用される標識は、蛍光タンパク質、すなわち、適切な波長を照射された際に可視光を放射するタンパク質である。この種の中で有望なタンパク質、GFPをコードする天然の遺伝子は、生物発光クラゲであるオワンクラゲ(Aequorea Victoria)からクローニングされている(Morin, J.,ら、J. Cell. Physiol. (1972) 77:313-318)。その遺伝子の入手は、遺伝子発現のマーカーとしてのGFPの使用を可能にした。本来のGFP自体は27kDの分子量を有する283アミノ酸のタンパク質である。それは、蛍光を発するために、その天然の起源に由来する更なるタンパク質を必要とせず、またその天然の起源でしか入手できない基質または補因子を必要としない(Prasher, D. C.,ら、Gene (1992) 111:229-233; Yang, F.,ら、Nature Biotechnol. (1996) 14:1252-1256; Cody, C. W., ら、Biochemistry (1993) 32:1212-1218)。本来のGFP遺伝子の突然変異は、発現を向上させるため、ならびに、赤、黄および青を含む様々な色の「GFP」が得られるように、その産物の励起および蛍光を改変するために有用であることが発見されている。GFP-S65T(そこでは65番目のセリンがトレオニンに置換される)は、本発明の方法において特に有用であり、490nmで単一の励起ピークを有する(Heim, R.,ら、Nature (1995) 373:663-664);米国特許第5,625,048号。他の突然変異体もまた、Delagrade, S.,ら、Biotechnology (1995) 13:151-154; Cormack, B., ら、Gene (1996) 173:33-38およびCramer, A., ら、Nature Biotechnol. (1996) 14:315-319によって開示されている。さらなる突然変異体はまた、米国特許第5,625,048号に開示される。
適切な改変によって、GFPにより発光される光のスペクトルは変更され得る。従って、歴史的慣習のため「GFP」という用語が本願においてしばしば用いられるが、この定義に含まれるタンパク質は必ずしも外見が緑色ではなく、単に蛍光タンパク質と呼ばれるべきである。様々な種類の「GFP」が緑色以外の色を呈し、これらも「GFP」の使用に含まれ、本発明の方法および物質において有用である。加えて、本明細書の「GFP」の定義に含まれる緑色蛍光タンパク質は、ウミシイタケ(Renilla reniformis)などの他の生物から単離されていることが知られている。本発明に有用な感染物質を改変するために、任意の適切で都合のよい種類の、任意の色の「GFP」が、天然型と突然変異型の両方で、使用され得る。
混乱を避けるため、単に「蛍光タンパク質」という用語もしばしば使用されるであろうが、通常、これはウミシイタケ(Renilla)およびオワンクラゲ(Aequorea)などの様々な生物によって産生される蛍光タンパク質、ならびに様々な目に見える色の蛍光を発しうるこれらの天然の蛍光タンパク質の改変型を指すことが理解される。通常、「蛍光タンパク質」および「GFP」という用語はしばしば同義的に使用されるが、時には特定の他の色を指すこともできる。例えば、RFPは赤色蛍光タンパク質、YFPは黄色蛍光タンパク質、BFPは青色蛍光タンパク質等を指すように、その系は正確に記憶しやすい。広範囲の可視光の波長が、作製された特定の改変に応じて、これらのタンパク質によって発光される。
蛍光タンパク質は様々な色で利用可能であるため、1つ以上の色に関するイメージングを同時に行うことができる。例えば、それぞれ特有の蛍光を発現している2つの異なる細菌性物質または3つの異なる細菌を被験体に投与することができ、または1つの細菌は単一色で構成的に標識され、異なる色が遺伝子産物との融合物を産生するために使用されうる。細菌自体を標識するために使用されるものとは異なる色を有する蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、産生されるべきタンパク質の遺伝視座に挿入され得、または産生されるべき治療用タンパク質を含むベクターにおいて融合タンパク質として挿入され得る。
色の多様性は、本発明の状況において特に有利である。例えば、腫瘍自体は1つの色の蛍光タンパク質で標識され、投与される細菌は、細菌の位置をより良く確定できるように、異なる色の構造タンパク質または細胞内タンパク質で標識され、細菌のタンパク質産物は、このタンパク質の産生レベルを測定できるように、さらに第三の色で標識されうる。従って、生きている動物の全身観察によって、すべて同時に、投与された細菌の位置を決定でき、その細菌による治療用タンパク質の産生レベルを測定でき、腫瘍に対する効果を観察できる。
本発明において用いられる蛍光タンパク質は、生きている動物における上記の現象のリアルタイム観察を採用できるのに十分な強度である。これは、先行技術に記載された細菌送達のための「盲目的な」方法に大きな進歩を提供する。動物は生きているので、これらの観察によって示された際、その有効性を向上させるための治療プロトコルの修正が有利に行われ得る。
腫瘍の標識化が望ましい場合、腫瘍細胞における蛍光タンパク質の産生は、本出願人によって米国特許第6,251,384号および6,235,968号に記載されており、ともに参照により本明細書に組み入れられる。簡潔には、蛍光タンパク質の発現のためのウイルスベクター、好ましくはレトロウイルスベクターが、既に充実性腫瘍を有する被験体に投与され得る。別法として、充実性腫瘍の場合には、発現ベクターは腫瘍内に注入されうる。モデル系は、免疫不全動物または同系動物に、蛍光タンパク質の発現系を有するように改変された細胞から作製された腫瘍を移植することよって得ることができる。腫瘍自体の標識化をもたらす様々な方法が記載される。
細菌の標識化に関して、蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、細菌に内在する制御配列下の適切な位置に蛍光タンパク質をコードする遺伝子を置くために、ゲノムの改変などの直接的改変によって細菌に導入されるかまたは、適切な発現ベクターを用いて導入されうる。選択される細菌は、好ましくは(完全に選択的ではないとしても)選択的に充実性腫瘍において生存および増殖し、好ましくは、細菌が全身投与された場合でも、宿主動物の残りの部分には実質的に生息せずにいる細菌である。好ましくは細菌培養物は、小さなコロニーに凝縮されるのではなく、腫瘍容積に分散される。
本発明は、in situでの直接観察によって最も有益な細菌宿主を決定するための簡単な方法を提供する。従って、選択される細菌株はゲノム内への挿入によってまたは発現ベクターの供給によって標識され、動物に投与される。その後、他の組織とは対照的な腫瘍での増殖パターンを直接観察することができ、望ましいパターンを有する細菌株が選択され得る。腫瘍において増殖できる多種多様な候補は当技術分野において知られており、それらは大腸菌(E.coli)、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、乳酸菌(Lactobacilli)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)等を含む。これらの系における発現のための適切な対照配列もまた今日では当技術分野においてよく知られており、または内在性対照配列が使用されうる。
多くの場合、毒性作用を引き起こす能力を無効にするために細菌を改変することは、さらに望ましいと思われる。これは偏性嫌気性菌の場合により頻繁である。細菌が毒素を分泌する場合、毒素を産生する遺伝子の欠失または不活性化が必要とされ、細菌が望ましくない副作用を引き起こす物質を産生する場合、これらの物質をコードする遺伝子は不活性化または除去されうる。標識化が使用される場合、細菌は細胞増殖および複製の恒常的な特性として構成的プロモーターの制御下で蛍光タンパク質を発現するように改変される、またはコード配列は特定の望ましい位置で内在性配列を置換してゲノム内に置かれうる。
生来の抗腫瘍作用を発揮することに加えて、細菌はまたIL2またはメチオニナーゼなどの治療薬を産生するように改変されうる。1つの実施形態では、治療用タンパク質は任意選択で蛍光タンパク質との融合タンパク質として産生される。腫瘍および/または細菌が標識される場合、融合物における蛍光タンパク質の色は、他の2つの場合のいずれかにおいて選択された色とは異なる色であるべきである。蛍光タンパク質との融合物の構造は、上述のように、マーカーとしてよく知られている。単独でもしくは蛍光タンパク質との融合物としてのいずれかの治療用タンパク質の発現系は、ベクター上または細菌のゲノム内に置くことができ、対照配列は構成的または、多くの場合誘導性であり、in situ因子もしくは外部から供給される転写因子のいずれかに依存しうる。
治療用タンパク質の1つの特定の好ましい実施例はメチオニナーゼであり、それは、細胞内に供給される場合PCT公開WO 00/29589に開示されるように(参照により本明細書に組み入れられる)、または薬物として供給される場合米国特許第5,690,929およびWO 94/11535に記載されるように(また参照により本明細書に組み入れられる)、抗腫瘍作用を発揮する。メチオニナーゼの組換え産生もまたこれらの文献に開示される。
腫瘍に対するその生来の作用に加えて、プロドラッグから毒性物質を遊離させるために、酵素である治療用タンパク質もまた使用され得る。例えば、Miki, K.,ら、Cancer Research (2001) 61:6805-6810はメチルセレノールの毒性を利用する研究を記載している。この化合物は、セレノメチオニンからメチオニナーゼの作用によって生成され得る。この論文は、組換えによって産生されたメチオニナーゼによるセレノメチオニンからのメチルセレノールの生成が、この酵素の発現系により形質転換された癌細胞を殺すという実験を記載している。従って、セレノメチオニンの存在下でのメチオニナーゼの組換え産生は、癌の治療法として使用され得る。
説明のためのみに提供される本発明の1つの実施形態では、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)またはノーヴィ菌(C. novyi)などの細菌は、任意の毒素の産生を無効にするために改変される。無毒化された細菌は、蛍光タンパク質と融合されたメチオニナーゼの発現系を有するように改変される。さらに、細菌は、必要に応じて細菌自体を標識するために、蛍光タンパク質の発現系を有するように改変される。メチオニナーゼ遺伝子が構成的に発現される場合、メチオニナーゼ自体の産生が細菌の存在を示すので、これは不必要であるかもしれない。このように改変された細菌はその後、腫瘍、例えばそれ自体が融合タンパク質で用いられたもの以外の色の蛍光標識によって標識されたヒトMDA-MB-435乳癌細胞から形成された腫瘍など、を有する実験モデル被験体に投与される。別法として、腫瘍は生来のものであり、前掲の米国特許第6,251,384号および6,235,968号に記載されるように、ウイルス発現ベクターを用いて標識される。
細菌細胞が使用される場合、細胞は腫瘍に直接注入され、胞子が使用される場合、静脈注射もまた使用されうる。胞子の直接腫瘍内投与も可能である。細菌の静脈注射もまた可能である。適切に改変された細菌は任意の実施方法で被験体に投与される。実験的腫瘍モデルの場合には、モデルを提供するために、被験体は免疫不全または腫瘍と同系である必要があるかもしれないが、細菌自体の投与では、被験体が免疫不全である必要はない。従って、生来の腫瘍を有する被験体の場合には、免疫抑制は不要である。腫瘍への感染は、完全な免疫系を有する動物において容易に起こる。しかし、腫瘍が人工的に導入された状態の進行の研究では、免疫不全の被験体もまた有用でありうる。
1つの実施形態では、メチオニナーゼの産生に対する標識は赤い蛍光を発光し(RFP)、細菌の特徴を示す標識は青い蛍光を発光し(BFP)、腫瘍の特徴を示す標識は緑の蛍光を発光する(GFP)。
さらに必要に応じて、セレノメチオニンは腫瘍内に注入される、または組織に供給される。メチオニナーゼ自体の産生および/または細菌自体の存在は、腫瘍に対して毒性を有する。遊離したメチルセレノールは、細菌が存在する隣接領域に対して毒性を示すだけでなく、より広範囲の生きている腫瘍組織に拡散する。この治療の進行は、RFP、GFPおよびBFPの同時画像化により直接観察され得る。
被験体全身における蛍光光学腫瘍画像化(FOTI)は、モデル系または生来の腫瘍を有する被験体において、リアルタイム観察および感染の進行の継続的な観察ならびにプロトコルの評価を外部から可能にする。治療されている被験体において、FOTIの利用可用性は、治療プロトコルの考案者が継続的にそのプロトコルを修正するまたは修正しないことの妥当性についての情報を得ることを可能にする。モデル系は治療の最初の設計において有用である。外部からの画像化(FOTI)に加えて、非侵襲的内視鏡法もまた使用されうる。
モデルとしての使用に適した被験体は、好ましくは哺乳動物被験体であり、最も好ましくは例えばウサギ、ラット、マウス等の都合のよい実験動物である。ヒト被験者とのより近い類似性から、霊長類もまた使用されうる。任意の適切な被験体が使用でき、その選択は主として利便性および最終的な目的の系との類似性によって決定される。
下記の実施例は説明のために示され、本発明を限定するものではない。
一般法
細菌-宿主相互作用の2色カラー蛍光イメージングのために、50W水銀ランプ光源を備えたLeica蛍光実体顕微鏡モデルLZ12が使用された。GFPおよびRFPの蛍光の両方を同時に可視化するため、励起はD425/60バンドパスフィルター(band pass filter)、470 DCXR2色性ミラーによって行われ、発光した蛍光はロングパスフィルター(long pass filter)GG475(Chroma Technology, Brattleboro, VT)によって集められた。マクロイメージングはライトボックス(Lighttools Research, Encinitas, CA)内で実施された。GFPおよびRFP腫瘍の両方の蛍光励起は、干渉フィルター440±20nmを介して、動物の照明のためにスリットフィルター光学系を用いて行われた。蛍光は520nmのロングパスフィルター(long pass filter)を介して観察された。顕微鏡およびライトボックスからの画像は、Hamamatsu C5810 3-chip cool color CCRカメラ(Hamamatsu Photonics Systems, Bridgewater, NJ)で捕らえられた。100W水銀ランプ光源を備えたOlympus BH 2-RFCA蛍光顕微鏡が使用された。GFPおよびRFPの蛍光の両方を同時に可視化するため、励起光はD425/60バンドパスフィルター(band pass filter)、470 DCXR2色性ミラーによって発生された。放射された蛍光はロングパスフィルター(long pass filter)GG475(Chroma Technology)によって集められた。Hamamatsu C5810 3-chip cooled color CCRカメラ(Hamamatsu Photonics)によって1,024/724ピクセルの高解像度画像が捕らえられ、直接IBM PCに保存された。IMAGE PRO PLUS 4.0ソフトウェア(Media Cybernetics)を用いて、画像のコントラストおよび明るさを処理し、解析した。
処理群間での差異は、Statistica(Statsoft, Inc., Tulsa, OK)を用いた分散分析(ANOVA)によって評価された。ログランク検定を用いたカプラン・マイヤー分析は、生存率を決定するために用いられた。p0.05を統計的に有意であると見なした。
実施例1
ネズミチフス菌(S. typhimurium)A1の作製
単一クローンのネズミチフス菌(S. typhimurium)(ATCC 14028)(Stratagene, San Diego, CA)をLB寒天プレートから採取し、5mlの液体LB培地において300rpmで振とうしながら37℃で一晩培養した。一晩培養物をLB培地に1:10希釈し、37℃で培養した。培養された細菌を各時点についてOD600で測定した。
対数期中期に、細胞を4℃で回収し、氷冷したグリセロール(10%V/V)で3回洗浄し、もとの培養量の約1/100の氷冷したグリセロール(10%V/V)に再懸濁した。40μl中2.0×10個の細胞を2μlのpGFP(Clontech)ベクターと混合し、5分間氷上に置き、Gene Pulser装置(Bio-Rad Labs)を用いて製造メーカーに従ってエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーションは、パルスコントローラーを用いて1.8kvの設定で1,000Ωの並列抵抗で行われた。電気パルスを与えた直後に1mlのSOC培地を加え、細胞懸濁液を17×100mmのポリプロピレンチューブに移し、37℃で1時間培養した。細胞をLB寒天プレートに塗布し、37℃で一晩培養した。GFPの発現に成功したクローンをS. typhimurium-GFPと呼ぶ。
S. typhimurium-GFPをLB培地10ml中で対数期中期まで増殖させた。新たに調製したニトロソグアニジン(滅菌水中1mg/ml)を洗浄した培養物に添加し、pH6.0のトリス-マレイン酸バッファー中で100μg/mlの最終濃度にした。培養物を振とうせずに37℃で30分間培養し、その後、遠心分離し、等量のニュートリエントブロス培地に再懸濁した。細胞を再度遠心分離し、ニュートリエントブロス培地に再懸濁した。
独立した突然変異が望ましいので、培養物を多数の二次培養物に分割した。コロニーが直径約3mmに達した後、それらを最小寒天プレートおよび普通寒天プレート上でレプリカプレートにした。コロニーが増殖した後、普通寒天上で増殖したが最小寒天プレート上で増殖しなかったものを栄養要求株候補として単離した。
同定された栄養要求性コロニーを滅菌したつまようじで単離し、新しい普通寒天プレート上の0.6cm幅の区画にすじを付け、37℃で増殖させておいた。栄養要求株の必要条件を同定するために、その結果生じたコロニーを特定のアミノ酸を含有している補完M56最小培地の寒天プレートにおいてレプリカプレートにした。
A1と呼ばれる1つのクローンは、この解析によってLeuおよびArgの二重栄養要求性として同定された。その結果は表1に示される。
Figure 2008504822
増殖のために、単一クローンのネズミチフス菌(S. typhimurium)A1をLB寒天プレートから採取し、5mlの液体LB培地において300rpmで振とうしながら37℃で一晩培養した。一晩培養物をLB培地に1:10希釈し、37℃で培養した。培養される細菌を各時点についてOD600で測定した。
実施例2
in vitroでの細菌の侵入および腫瘍細胞株の細胞内複製
腫瘍細胞を24ウェルの組織培養プレートで約10細胞/ウェルの密度まで培養した。細菌を対数期中期、対数期後期および定常期(OD600=0.3、0.6、1.2、2.0)まで上述のようにLB培地で増殖させた。細菌を細胞培養培地に希釈し、腫瘍細胞に添加し(1×10/ml)、37℃のインキュベーターに置いた。1時間後、細胞を洗浄し、外部の細菌を殺すが内部の細菌を殺さないように硫酸ゲンタマイシン(20μg/ml)を含有する培地中で培養した。細胞内細菌を様々な時点において蛍光顕微鏡下で観察した。
腫瘍細胞におけるS. typhimurium-GFPの病原性は細菌の増殖状態によって影響を受ける。すなわち、対数期中期での細菌は最も低い病原性を示し、対数期後期および定常期においてそれらの侵襲性を回復する。対数期後期での細菌は、PC-3腫瘍細胞を殺す最も高い病原性を示した。感染後24時間でのこれらの結果は図1に示される。
A1栄養要求株もまた、in vitroにおいてヒトPC-3前立腺癌細胞およびマウス乳癌(MMT)細胞に侵入し細胞内で複製して、最終的にアポトーシスを誘導した。腫瘍細胞と細菌との相互作用は、実施例3に記載されるように調製された、RFP発現腫瘍細胞内で増殖しているGFP発現ネズミチフス菌(S. typhimurium)A1を用いた二色の蛍光によって可視化された。
より詳細には、ともにRFPで標識されたPC-3ヒト前立腺腫瘍細胞およびMMTマウス腫瘍細胞を、24ウェル組織培養プレートで約10細胞/ウェルの密度に増殖させた。細菌をLB中で増殖させ、対数期後期に回収し、その後、細胞培養培地に希釈して腫瘍細胞に添加した(1×10CFU/ウェル)。37℃で1時間のインキュベーション後、細胞を洗浄し、外部の細菌を殺すが内部の細菌を殺さないように硫酸ゲンタマイシン(20μg/ml)を含有する培地中で培養した。細菌と腫瘍細胞との間の相互作用は、様々な時点において蛍光顕微鏡倍率(400×)の下で観察された。
実施例3
in vivo腫瘍モデルの作製
腫瘍はレトロウイルス形質導入によってRFPで標識され、NIH3T3に由来するパッケージング細胞株であり、10 A1ウイルスエンベロープを発現しているPT67はCLONTECH Laboratories, Inc.から購入された。10%の加熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)(Gemini Bio-products, Calabasas, CA)を補給したDME(Irvine Scientific, Santa Ana, CA)中でPT67細胞を培養した。ベクター産生のため、70%コンフルエントのパッケージング細胞(PT67)を、DOTAP(商標)試薬(Boehringer Mannheim)および飽和量のpLNCX2-DsRed-2-RFPプラスミドの沈降混合物とともに18時間インキュベーションした。CLONTECH Laboratories, Inc.(Palo Alto, CA)から購入されたホストpLNCX2ベクターは、真核細胞での抗生物質選択のためにネオマイシン耐性遺伝子を含有する。RFP遺伝子(DsRed2, CLONTECH Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)をEgl IIおよびNot I部位でpLNCX2ベクターに挿入した。形質導入の48時間後、新しい培地を再補給し、細胞を蛍光顕微鏡によって観察した。選択のために、細胞を、段階的に増加される500μg/ml−2,000μg/mlのG418の存在下で(Life Technologies, Grand Island, NY)7日間培養した。
ヒト前立腺癌株PC-3およびマウス乳癌MMT060562を、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Gemini Bio-products, Calabasas, CA)を含有するRPMI(GIBCO)中で培養した。発現ベクターのトランスフェクションのために、ほぼコンフルエントの細胞を、LipofectAMINE(商標)plus(GIBCO)および飽和量のRFPを発現するpLNCX2-DsRed-2-RFPの沈降混合物とともに6時間インキュベーションした後、新しい培地を再補給した。トランスフェクションの48時間後、細胞をトリプシン/EDTAによって回収し、200μg/mlのG418を含有する選択培地に1:15の比率で二次培養した。200μg/mlのG418を含有する培地中で一過性にトランスフェクトされた細胞を増殖させることによって、安定に取り込まれたプラスミドを有する細胞を選択した。クローニングシリンダー(Bel-Art Products, Pequannock, NJ)を用いトリプシン/EDTAによってクローンを単離し、増幅して、従来の培養方法を用いて選択薬剤の非存在下に移した。
6週齢のオスのnu/nuマウスを腫瘍モデルおよび感染実験のために使用した。一般には、上述のようにRFPで標識した腫瘍細胞(2×10)を皮下注射し、このようにして得られたRFP標識腫瘍を同所性に投与した。すべての動物実験は、保証番号A3873-1に基づく国立衛生研究所(NIH)の実験動物の管理と使用に関する指針において概説される原則および手順に従って実施された。
実施例4
in vivoにおけるA1の挙動
A1栄養要求株を一晩LB培地で増殖させ、その後LB培地に1:10希釈し、対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈した。A1-栄養要求株を、実施例3のRFPで標識した腫瘍の中心部に、蛍光の指示のもと腫瘍あたり全100μlおよび10cfuを2カ所の注入部位に各50μlずつ直接注入し、またはRFP同所性腫瘍を有するヌードマウスの尾静脈に注射し(10cfu/100μlのPBS)、またはRFP同所性腫瘍を有するヌードマウスの腹膜に注入した(10cfu/100μlのPBS)。
麻酔下で動物を屠殺した。肺、肝臓、脾臓、腎臓および心臓ならびに腫瘍から組織サンプルを得た。正常組織および腫瘍を摘出し、サンプルの重量を測定し、プレーティングによって感染細菌を測定するために処理した。生体内分布研究のため、これらの組織の採取、ホモジナイズ、ならびに培地へのプレーティングおよび細菌コロニーの計数によって、腫瘍および正常マウス組織のcfuを接種後の様々な時点で測定した。また、標準的な凍結切片およびLow, B.,ら、Nature Biotech. (1999) 17:37-41に従ったヘマトキシリン・エオジン病理組織学的解析のために組織を処理した。
1つの実施形態では、6−8週齢のNCRヌードマウスの右側中央の皮下(s.c.)に、22ゲージの針を用いて2×10のRFP標識PC-3ヒト前立腺腫瘍細胞を移植した。A1培養物を対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈し、腫瘍の中心部に2カ所の別々の部位に各50μlずつの注入によって、腫瘍あたり全100μlおよび10cfuを直接注入した。腫瘍は26日間で緩解した。
IV投与を用いた別の実施形態では、6−8週齢のNCRヌードマウスの右側中央の皮下(s.c.)に、22ゲージの針を用いて2×10のRFP標識PC-3ヒト前立腺腫瘍細胞を移植した。A1栄養要求株を一晩LB培地で増殖させ、その後LB培地に1:10希釈し、対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈し、尾静脈に注射した(10cfu/100μlのPBS)。生体内分布研究のため、これらの組織の採取、ホモジナイズ、ならびに培地へのプレーティングによって、腫瘍および正常マウス組織内のA1のcfuを、尾静脈注射の5日後および10日後に測定した。
腫瘍:肝臓での細菌の比率は、表2に示されたように、注入後4日目までで500:1−2000:1に及んだ。
Figure 2008504822
A1はPC-3腫瘍において選択的に増殖し、尾静脈注射後および腫瘍内注入後の腫瘍増殖を抑制した。腫瘍内注入後、宿主に明白な悪影響を及ぼすことなく、腫瘍は20日目までに完全に緩解した。
A1はまた、PC-3に関して上述されたように皮下移植されたRFP標識MARY-X乳癌においても増殖した。増殖は、GFP発現によって可視化されるように長期に渡って進行した。
実施例5
A1および親株の比較毒性
A1および野生型の親株ネズミチフス菌(S. typhimurium)を、腫瘍を持たない動物に投与した。動物はA1の注射後には生存し、親株を注射した後には死亡した。
野生型およびA1を一晩LB培地で増殖させ、その後LB培地に1:10希釈し、対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈し、尾静脈に直接注入した(10cfu/100μlのPBS)。注射後長期に渡ってマウスの生存率を測定した(n=20動物)。結果は図2に示される。示されたように、A1は実質的に毒性を持たないが、一方、野生型を注射されたマウスはすべて3日後には死亡した。
さらに、マウスに注射した際、A1は野生型の親株ネズミチフス菌(S. typhimurium)よりはるかに少ないTNFα誘導を示した。ネズミチフス菌(S. typhimurium)A1および野生型を一晩LB培地で増殖させ、その後LB培地に1:10希釈し、対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈した。1×10cfuをメスのBALB/cマウス(8週齢、n=10動物)の尾静脈に注射し、陰性対照としてPBSを用いた。1.5時間後、血清を採取し、遠心分離して細胞性含有物を除去した。Biosource International Cytoscreen ELISAキットを用いてTNFαを分析し、Tecan Sunrise マイクロプレートリーダーを用いて結果を測定した。結果は図3に示される。示されたように、野生型と比較してA1突然変異体を接種した場合、TNFα産生は著しく減少した。
ネズミチフス菌(S. typhimurium)A1は、肝臓から10日目までに;脾臓から15日目までに;肺から14日目までに;腎臓から4日目までに消失した。
実施例6
A1の治療効果
6−8週齢のNCRヌードマウスの右側中央の皮下(s.c.)に、22ゲージの針を用いて2×10のRFP標識PC-3ヒト前立腺腫瘍細胞を移植した。A1突然変異体を一晩LB培地で増殖させ、その後LB培地に1:10希釈し、対数期後期に回収し、PBSで洗浄した後PBSに希釈し、尾静脈に直接注入した(10cfu/100μlのPBS)。注入後の各時点において、腫瘍サイズを蛍光画像から測定した(n=10動物の平均値)。結果は図4に示される。示されたように、A1による治療は腫瘍増殖の阻害を引き起こすが、一方、治療されなかった腫瘍は25日間で劇的に増殖した。
加えて、図5において示されるように、このモデルでは生存時間が増加した。この図に示されたように、A1細菌は0日目および12日目に注射され、A1を注射されたマウスの生存率は30日後に80%であったが、対照の生存率はその時点で40%にすぎなかった。
実施例7
抗腫瘍特性の向上-菌株A2
実施例1に記載されたようにGFPで標識されたA1細菌を、HT-29ヒト結腸腫瘍を有するヌードマウスの尾静脈に注射した。注射3日後、その腫瘍組織を切除し、ホモジナイズし、PBSに希釈した。分離後、腫瘍組織由来の上清をLB寒天プレートにおいて37℃で一晩培養した。個々のコロニーを培養し、最も強い緑色蛍光を有するコロニーを選択し、5mlのLB培地中で培養した。A2と呼ばれる分離された菌株は、ArgおよびLeuに対する栄養要求性を維持していた。
腫瘍細胞への接着性についてA2を試験するために、RFP標識HT-29ヒト乳癌細胞を24ウェルの組織培養プレートで約10細胞/ウェルの密度まで培養した。A2分離株を対数期後期までLB培地で増殖させ、細胞培養培地に希釈し(1×10)、腫瘍細胞に添加し、37℃のインキュベーターに置いた。60分後、細胞を1−2mlのPBSで5回洗浄した。0.2mlの0.1% TritonX-100とのインキュベーションによって、接着した細菌を遊離させた。その後、LB培地(0.8ml)を加え、各サンプルをピペットを用いて激しく混合した。cfuのためにLB寒天培地上にプレーティングすることによって、接着した細菌を定量した。
この定量アッセイは、HT-29腫瘍細胞に接着したA2栄養要求株の量がA1栄養要求株の数より約6倍高かったことを示した。
侵襲性を測定するために、洗浄された細胞を、外部の細菌を殺すが内部の細菌を殺さないように硫酸ゲンタマイシン(20μg/ml)を含有する培地中で培養した。ゲンタマイシンとともに12時間培養した後、細胞をPBSで1回洗浄し、細胞内の生菌を蛍光顕微鏡法によって評価した。
A2分離株はHT-29腫瘍細胞に侵入して増殖するためのより高い能力を有した。腫瘍細胞の約20%がA1細菌に侵入されたが、腫瘍細胞の約80%がA2細菌に侵入された。
病原性を試験するために、2色で標識したPC-3ヒト前立腺腫瘍細胞を24ウェルの組織培養プレートで約10細胞/ウェルの密度まで培養した。細菌を上述のように対数期後期までLB培地で増殖させた。細菌を細胞培養培地に希釈し(1×10)、腫瘍細胞に添加し、37℃のインキュベーターに置いた。30分後、細胞を洗浄して、外部の細菌を殺すが内部の細菌を殺さないように硫酸ゲンタマイシン(20μg/ml)を含有する培地中で培養した。病原性は様々な時点において蛍光顕微鏡下で観察された。
A2細菌はPC-3腫瘍細胞において強い病原性を示し、細胞は感染の1時間後に死滅し始めた。感染の3時間後には、95%の細胞がアポトーシスおよび壊死により完全に死滅した。A1細菌を用いた以前の研究では、細胞死は約12時間後にしか起こり始めなかった。
このように、HT-29ヒト結腸腫瘍マウスモデル内で継代されたA1ネズミチフス菌(S. typhimurium)栄養要求株は、生理学的変化または遺伝的変化を受けて、接着性、侵襲性、および病原性の向上を含む抗腫瘍特性の向上を引き起こす。しかし、PC-3およびMary-X腫瘍モデルでの継代によってA1株を改変する試みは、これらの改変された特性を示す菌株を生じなかった。
実施例8
in vivoにおけるA2の挙動
GFPで標識されたA2細菌を、10cfu/100μlPBSでヌードマウスPC-3腫瘍モデルの尾静脈に注射した。腫瘍モデルは実施例4のように作製される。
PC-3モデルでは、処理マウスすべてが、A2細菌の注射後に腫瘍の損傷を示し、5匹中2匹の動物は20日後には腫瘍を持たなくなった。それらの生存期間は健康なマウスのそれに匹敵した。
注射されたマウス由来の感染PC-3腫瘍のパラフィン切片は、A2が腫瘍に侵入し損傷を与えることを示した。上述のように、A1の腫瘍内注入のみが完全な腫瘍の除去をもたらした。
同様の結果が、RFPで標識されたMary-Xヒト乳癌細胞を用いたモデルにおいて得られた。5匹の処理マウスすべては、腫瘍の損傷および腫瘍の緩解を示した。5匹中3匹の処理動物では、腫瘍は完全に除去され、宿主への明白な悪影響はなかった。
A2細菌の分布は上述された顕微鏡技術を用いて評価され、それは腫瘍において広範に分布することを示した。A2は宿主に対して毒性を示さなかった。肝臓および脾臓のような正常組織は、注入後、標識されたA2に感染したが、A2はやがて完全に正常組織から消失した。
図1は、PC-3ヒト前立腺腫瘍細胞におけるネズミチフス菌(S. typhimurium)A1突然変異体の病原性の依存性を、その増殖相の関数として示すグラフである。 図2は、腫瘍を持たないヌードマウスにおいて、野生型との対比で突然変異体A1の毒性を比較するグラフである。 図3は、BALB/cマウスにおいて、野生型との対比でA1突然変異体の細菌感染によるTNFα誘導を比較する。 図4は、ヌードマウスにおけるPC-3前立腺癌の増殖に対する突然変異体A1の静脈注射後の効果を示すグラフである。 図5は、PC-3腫瘍モデルにおけるA1突然変異体の注射によって達成され得る生存率の増加を示すグラフである。

Claims (17)

  1. 突然変異嫌気性細菌または突然変異通性嫌気性細菌を含有する培養物であって、該細菌が少なくとも2つのアミノ酸に対して栄養要求性であり、該アミノ酸が少なくとも1つの腫瘍において該細菌の増殖を支えるために十分な濃度で存在する、上記培養物。
  2. 前記細菌が栄養要求性である1つのアミノ酸は塩基性アミノ酸であり、別のアミノ酸は中性アミノ酸である、請求項1に記載の培養物。
  3. 1つのアミノ酸はアルギニンであり、別のアミノ酸はロイシンである、請求項2に記載の培養物。
  4. 前記突然変異細菌が腫瘍細胞に対する接着性および/または侵襲性および/または病原性の向上を示し、それがin vivo腫瘍モデルでの継代および腫瘍組織からの回収によって得られる、請求項1に記載の培養物。
  5. 前記in vivo腫瘍モデルが前記細菌に自然感染した腫瘍を含むことを特徴とする、請求項4に記載の培養物。
  6. 請求項1−5のいずれか1項に記載の細菌を含有する、医薬組成物または獣医用組成物。
  7. 脊椎動物を感染に対して免疫する方法であって、その方法は該脊椎動物に有効量の請求項6に記載の医薬組成物または獣医用組成物を投与することを含む、上記方法。
  8. 前記細菌が治療用タンパク質を産生するようにさらに改変される、請求項1−5のいずれか1項に記載の培養物。
  9. 前記治療用タンパク質がIL2またはメチオニナーゼである、請求項8に記載の培養物。
  10. 請求項8に記載の細菌を含有する、医薬組成物または獣医用組成物。
  11. 前記細菌が蛍光タンパク質を産生するようにさらに改変される、請求項1−5のいずれか1項に記載の培養物。
  12. 前記蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項11に記載の培養物。
  13. 請求項11に記載の細菌を含有する、医薬組成物または獣医用組成物。
  14. 脊椎動物において腫瘍を治療する方法であって、その方法がこのような治療を必要とする脊椎動物に有効量の請求項6、10または13に記載の医薬組成物または獣医用組成物を投与することを含む、上記方法。
  15. 抗腫瘍プロトコルを評価する方法であって、
    脊椎動物腫瘍モデルを提供すること、ここで該腫瘍モデルは請求項11に記載の細菌を投与されており、該モデルの腫瘍は前記細菌の蛍光タンパク質とは異なる色の蛍光タンパク質を産生する、
    少なくとも1つの試験モデルを該プロトコルによって治療すること;
    該試験モデルにおける腫瘍の増殖を観察すること;
    少なくとも1つの対照モデルにおける腫瘍の増殖を観察すること;および
    該試験モデルにおける腫瘍の増殖を治療されていない対照モデルと比較することを含む、上記方法。
  16. 少なくとも1つの腫瘍を有する脊椎動物被験体の治療効果を観察する方法であって、該腫瘍は請求項1−5、8または11のいずれか1項に記載の細菌によって蛍光を発光するように改変されており、該方法は該腫瘍およびその任意の転移から時間の関数として蛍光発光を観察することを含む、上記方法。
  17. 前記モデルの腫瘍がいずれの前記細菌とも異なる色の蛍光タンパク質を産生する、請求項16に記載の方法。
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