JP2008503737A - ローソニアイントラセルラリスの診断方法 - Google Patents
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Abstract
Description
または、以下に記載するように、接種する前に細胞を懸濁液中で生育させてもよい。好ましくは、細胞は最初に、接着型システム、例えばローラーボトルシステム、中で単層の形態で100%の密度まで生育させ、次に3〜3000リットルに移して、懸濁中で生育させる。
接種材料は、感染ブタまたは他の動物から得たL.イントラセルラリスの培養物であってもよい。
培養維持の目的において、HEp−2培養物を用いる場合、1週間に1度の間隔で、好ましくは25%〜50%の培養物を除去し、フレッシュな媒体に置換する。マイクロキャリアまたはビーズと細胞培養物の場合には、1週間に1〜2回の間隔で、好ましくは25%〜50%の培養物を除去し、フレッシュな媒体に置換する。スケールアップの目的では、培養物に、追加の25%〜50%の媒体、またはマイクロキャリアを含む媒体を添加してもよい。
従って、本発明の技術的課題は、改良されたL.イントラセルラリス疾病の診断方法を提供することである。
本発明は、動物の健康の分野、特にローソニアイントラセルラリスに関する。特に、本発明はローソニアイントラセルラリス感染を診断する方法、及びローソニアイントラセルラリス特異的抗体を用いる診断試験キットに関する。本発明はまた、ローソニアイントラセルラリスの感染を診断するための、前記方法または試験キットの使用に関する。
本発明の実施態様の説明の前に、本明細書及び請求項において使用される用語について以下のように定義する。単一のものとして表現される場合でも(英文では“a”,“an”,“the”を用いて表現されるもの)、文脈から明確にそのように理解できない限り、複数のものを含むものとする。従って、例えば、“バクテリア(単数、a bacterium)”は複数のバクテリア(bacteria)を含み、“細胞(単数、cell)”は一または複数の細胞並びに当業者に既知のその等価物を含む。以下、同様である。他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の技術者により一般に理解されるものと同じ意味で用いられる。本明細書で記載されるのと同様または等価ないずれの方法及び材料も、本発明の実施または試験において使用することが出来るが、好ましい装置及び材料を以下に述べる。本明細書において述べる全ての文献に報告されているように、細胞系、ベクター、及び方法を記載し開示する目的で、これらの文献を全て本明細書に組み入れるものとする。そのような開示が本発明の先行技術であることを認めるものではない。
上記技術課題は、請求項中の記載及び実施態様により解決される。
本発明の目的は、臨床前(病状発現前)または臨床におけるL.イントラセルラリス感染の診断方法を提供することである。さらに、L.イントラセルラリスの免疫応答を検出すること、及びL.イントラセルラリス疫学のためのツールを提供することである。
本発明は、L.イントラセルラリスに対する抗体の検出、及びL.イントラセルラリスそれ自身の検出に関する。そのような抗体は、当業者に既知のいずれの抗体型をも含み、特にサブタイプIgA、可溶性IgA、IgM、IgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3)、及び更にIgD、IgEである免疫グロブリンを含む。
本発明に従って、L.イントラセルラリスに特異的な抗体を検出するには、前記方法は下記の事実を基礎とする。
a)液体試料を哺乳類から採取する。
b)そのような液体試料のL.イントラセルラリス抗原への特異的結合を検出する。
c)得られた結果をコントロールと比較する。
同様に、本発明に従えば、L.イントラセルラリスを検出するためには、下記の事実を基礎とする。
a)液体試料を哺乳類から採取する。
b)そのような液体試料のL.イントラセルラリス抗体への特異的結合を検出する。
c)得られた結果をコントロールと比較する。
本発明は更に、本発明の抗体がポリクローナルである診断試験キットに関する。
本発明はまた、本発明の抗体がモノクローナルである診断試験キットに関する。
1.SDS−PAGE、好ましくは12%SDS−PAGE上で抗原を泳動させ、ニトロセルロースメンブレン上へ転写する。
2.メンブレンをブロッキングバッファー中に2時間置く。
3.ブロッキングバッファーを除き、PBSで1分間リンスする。
4.ブロッキングバッファーにより血清を希釈し、メンブレンへ添加する。室温で2時間インキュベートする。
5.洗浄バッファーで3回洗浄する(各洗浄につき5分間)。
6.ブロッキングバッファーにより、結合した抗L.イントラセルラリス特異的抗体、好ましくはモノクローナル抗体を希釈し、メンブレンへ添加する。室温で1時間インキュベートする。
7.洗浄バッファーで3回洗浄する。
8.10分間または強力なバンドが生じるまで基質を添加する
9.PBSでリンスする。
10.風乾し、暗室に保存する。
抗体に結合させたコンジュゲートは、例えば、ホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP)のような酵素である。または、発色団あるいは他の基質存在下に定量化できる検出可能な物質である。
被覆工程の例は以下のとおりである。例えば、ddH2O溶液中の10%シュークロース/10%正常ウマ血清中の、非ラベル化抗体でプレートを被覆し、ローソニアイントラセルラリス抗原と共にインキュベートする。プレートを次に乾燥し、密閉し、37℃で保存する。または、抗体被覆プレートを保存し、ELISAを行う際に抗原を添加する。
1.被覆バッファーで希釈した抗原0.1ml/ウェルを添加する。4℃で18時間インキュベートする。
2.PBSで3回洗浄する。
3.プレートの各ウェルに0.25mlのブロッキングバッファーを添加する。37℃で1〜2時間インキュベートする。
4.洗浄バッファーで3回洗浄する。
5.ブロッキングバッファーで血清を希釈し、プレートの第一ウェルに0.1ml添加する。プレートにわたって連続的に1:2希釈を作成する。37℃で1時間インキュベートする。
6.洗浄バッファーで3〜5回洗浄する。
7.結合した抗−L.イントラセルラリス特異的抗体、好ましくはモノクローナル抗体、をブロッキングバッファーで希釈し、プレートのウェルに0.1ml添加し、37℃で1時間インキュベートする。
8.洗浄バッファーで3〜5回洗浄する。
9.基質を添加する。
10.分光光度計により光の吸収を測定する。
11.抗原を添加しなかったウェルをブランクとして用いる。
12.また各試験において、陽性及び陰性コントロール豚血清を使用しなければならない。
1.90μlバッファーを全てのウェルに添加する。
2.選択したウェル中に10μlの血清を添加する。
3.37℃で1時間プレートをインキュベートする。
4.PBSTにより3回プレートを洗浄する。
5.CDS−C+0.5M NaClで希釈した、HRPが結合した抗−L.イントラセルラリス特異的抗体、好ましくはモノクローナル抗体、100μl/ウェルを添加する。
6.37℃で1時間インキュベートする。
7.PBSTで3回プレートを洗浄する。
8.基質100μl/ウェルを添加し、室温で10分間インキュベートする。
9.50μlの停止液(stop)/ウェルを添加する。
10.分光光度計により450nmでプレートを読む。
1.被覆バッファーで希釈した0.1ml/ウェルのmAbを添加する。4℃で18時間インキュベートする。
2.PBSにより3回洗浄する。
3.バッファーに希釈した0.1ml/ウェル抗原を、プレートの各ウェルに添加する。37℃で1〜2時間インキュベートする。
4.洗浄バッファーにより3回洗浄し、および/または0.25mlのブロッキングバッファーをプレートの各ウェルに直接添加する。37℃で1〜2時間インキュベートする。
5.洗浄バッファーにより3回洗浄する。
6.ブロッキングバッファーで血清を希釈し、プレートの第一ウェルに0.1mlを添加する。プレートを横方向に、連続1:2希釈を行う。37℃で1時間インキュベートする。
7.洗浄バッファーで3〜5回洗浄する。
8.結合した抗L.イントラセルラリス特異的抗体、好ましくはモノクローナル抗体、をブロッキングバッファーにより希釈し、プレートのウェルへ0.1mlを添加し、37℃で1時間インキュベートする。
9.洗浄バッファーにより3〜5回洗浄する。
10.基質を添加する。
11.分光光度計により光の吸収を測定する。
12.抗原を添加していないウェルをブランクとして使用する。
13.陽性及び陰性コントロール豚血清を、各試験において使用する。
驚くべきことに、顕著な抗体が産生され、本発明のELISA法において使用された。抗体は、下記番号を有する:301:39、287:6、268:29、110:9、113:2及び268:18。全ての抗体は、L.イントラセルラリスバクテリア抗原に特異的である。好ましくは、サンドイッチELISAにおける捕捉抗体は、110:9、113:2または287:6であり、結合抗体としては268:18、268:29または287:6である。捕捉抗体としては抗体110:9が、結合抗体としては抗体268:29が、最も好ましい。上述した抗体の全ての特性を有する抗体もまた好ましい。すなわち、上述した抗体とほとんど同じ結合特性を有するか、および/または上述した抗体と比較して同じローソニアイントラセルラリス抗原に対するものか、および/または上述した抗体と比較して同じエピトープを認識するものに関する。
1.0 材料
抗ローソニアハイブリドーマ細胞系:372:13,113:2,268:18,287:6,110:9,268:29,301:39.
ハイブリドーマ細胞培養のための器具と媒体
モノクローナル抗体(mAb)の精製とHRP結合のための器具とバッファー
ELISAのための器具と溶液
ローソニア抗原SF1289 N343 12/20/00
ローソニア陽性血清:lot#052902pig#26(実験的感染)
lot#052902pig#69(ワクチン接種)
ローソニア陰性血清:p 25.8#273 Day 52 6−30−95
116705
モノクローナル抗体の作成を、スバノババイオテック(Svanova Biotech)における標準操作方法に従い、行った。
1.1.1 ハイブリドーマ細胞の培養とHRP結合モノクローナル抗体の作成
−ハイブリドーマ細胞系を確保するために、各細胞系につき15バイアルづつ作成し、−135℃で保存した。
−各ハイブリドーマ細胞系の1バイアルを解凍し、細胞を細胞培養フラスコ中で生育させた。
−各細胞系からの500ml〜1000 mlの上澄みを精製し、ホースラディッシュパーオキダーゼに結合した。
精製し、かつHRP結合したmABについて、ELISA法によりローソニア陽性豚血清によりブロックされる能力を試験した。
−ELISAプレートを、希釈率1/200、100μl/ウェルでローソニア抗体により被覆した。
−豚血清を1/10、100μl/ウェルに希釈した。
−HRP結合mAbを希釈し、添加した(100μl/ウェル)
結果を、下記式に従う抑制率(PI)で表した。
PI=1−(OD試料/ODmAb)x100.
1.2.1 ハイブリドーマ細胞の培養とHRP結合モノクローナル抗体の作成
−1つを除き、全てのmAbを首尾よく精製し、HRPと結合した。これらは良好な生産能力を有していた。
−mAb372:13は低い生産能力を有していた。このmAbはHRPと結合できず、そのためブロッキングELISA法において試験できなかった。
1.2.2 ブロッキングELISA法
−二つの陽性血清(#26,#69)及び二つの陰性血清(25.8#273,116705)を実験で使用した。
−実験的に感染した血清(#26)は、全ての6つのHRP結合mAbを抑制したが、それぞれ異なるレベルであった。ワクチン接種した豚からの血清はmAbをより低い程度で抑制した。
−陰性血清は全く抑制しないか非常に低い抑制を示した。
結果を下記表及び図1に示す。
血清 301:39 110:9 268:29 287:6 113:2 268:18
#26(実験的)
+ 57 45 78 74 42 72
#69(ワクチン接種)
+ 18 23 52 43 45 25
25.8#273
− 7 3 27 20 14 21
116705
− −7 −9 −24 −13 18 −19
本研究の結果は、試験したモノクローナル抗体の一以上がローソニアイントラセルラリスに対するブロッキングELISA試験に適することを明確に示している。MAb268:29,287:6及び268:18は、陽性及び陰性血清の間の最も明確な差異を示している。すなわち、これらはブロッキングELISAの開発における強力な候補である。
2.0 要約
ローソニアイントラセルラリスに対する抗体検出のための、サンドイッチb−ELISAプロトタイプの開発及び確立:
免疫蛍光試験IFAを標準として使用して、感度及び特異性を計算した後、以下を結論付けることができる。
−捕捉mAb110:9は、陽性及び陰性試料間に明確な差異を与える。
−検出mAb268:29 HRPは、陽性及び陰性血清間に明確な差異を与え、100%の感度と特異性を示す。
−プロトタイプは下記を推奨する:
−ヌンクマキシソープストリップC−8(Nunc maxi−sorp strips C−8)で被覆した、mAb110:9を捕捉mAbとする。
−抗原(Ag):ローソニアイントラセルラリス培養物(好ましくはR&D、Blで製造された濃縮物)
−0.5M NaCl/PBSTで1/10に希釈された血清試料。37℃で1時間インキュベートする。
−0.5M NaClを含むCDS−Cバッファー中で凍結乾燥された、HRP結合mAb268:29。37℃で1時間インキュベートする。
−基質K−Blue Max。室温で10分間インキュベートする。
−スバノバ停止液。
ELISA法を下記手順に従い、行った。
2.1.0 ELISA法
−90μlのバッファーを全てのウェルに添加する。
−10μlの血清を選択したウェルに添加する。
−プレートを37℃で1時間インキュベートする。
−プレートをPBSTで3回洗浄する。
−CDS−C+0.5M NaClで希釈したHRP結合mAbを100μl/ウェルの濃度で添加する。
−37℃で1時間プレートをインキュベートする。
−PBSTでプレートを3回洗浄する。
−基質を100μl/ウェルの濃度で添加し、室温で10分間インキュベートする。
−50μl/ウェルの停止液を添加する。
−プレートについて分光光度計により450nmの吸収を測定する。
結果を1−OD値または2−PI(抑制率)値、すなわち、100−試料OD/mAbOD×100、として示した。
mAb 110:9,113:2,301:39,287:6,268:29、300ng/ウェルにより被覆したC−8マキシストリップ。
10% 2251 HAS(正常ウマ血清),10%シュークロース/UHP H2Oによるストリップのブロッキング。150μl/ウェル、室温で30分間インキュベート。
PBSTにより1/10に希釈したAg#030619、100μl/ウェル。4℃で3時間インキュベート。
37℃で3時間乾燥したストリップ。4℃に保存。
血清:IFA陽性:#26,#69。IFA陰性:#6,C1,D1,E1。0.5M NaCl/PBSTにより1/10に希釈。
結合体:268:18,113:2,301:39,110:9,287:6,268:29 HRP 0.5M NaCl/PBST中に希釈。
全捕捉mAbを、それ自身を除く全てのHRP結合mAbに対して試験した。
試験1に従い、110:9,113:2及び287:6により被覆したストリップ。
血清:IFA陽性:#26,#69。IFA陰性:#6,C1,D1,E1。0.5M NaCl/PBST中に1/10に希釈した。
HRP結合mAb268:18,268:29,287:6。0.5M NaCl/CDS−C(結合体を凍結乾燥するための標準バッファー(生産におけるスバノバとして))中に希釈。
試験1に従い、110:9,113:2及び287:6により被覆したストリップ。
血清:24血清(IFA陽性10,IFA陰性10及び不明4)を試験した。希釈:0.5M NaCl/PBST中1/10。
結合体:268:18 HRP 0.5M NaCl/CDS−C中に希釈。
試験1に従い、110:9により被覆したストリップ。
血清:21 IFA陽性及び69 IFA陰性。希釈:0.5M NaCl/PBSTにより1/10に希釈。
結合体:HRP結合268:18及びHRP結合268:29を0.5M NaCl/CDS−Cで希釈。
2.2.1 試験1(ELISA030922,030923x2)
結合体268:18、268:29、287:6を伴う捕捉mAb110:9,113:2及び287:6は、サンドイッチb−ELISAに対する最良の候補と考えられる。これらの組合せは、陽性血清への最良のブロッキング容量を示したからである。血清番号#6は、ほとんどの試験において陽性を示した。以前に開発されたb−ELISAプロトタイプにおいてこの血清が陽性を示したことからこのことが推測された。
この試験は、結合体の凍結乾燥に使用された標準バッファーを使用できることを確認するために、主に行われた。結果は、ブロッキングが陽性血清により達成されることを示している。最良のブロッキングは、検出mAb268:18または268:29によるものであった。
捕捉mAb110:9は、陽性及び陰性試料を最も明確な区別するため、最良の選択であることが見いだされた。
得られたOD及びPI値は添付5に記載されている。OD値をIFAの結果に対してプロットすると、HRP結合mAb268:29は、100%感度及び特異性で陽性と陰性を最も明確に区別する。mAb268:18もまた、100%の感度と特異性を示すが、陽性と陰性試料の面積が小さい。PI値をプロットすると、mAb268:18はカットオフ20.9において、感度が95.7であり、特異性が100%である。一方mAb268:29は、カットオフ28.6において、感度及び特異性共に100%である。
免疫蛍光試験IFAに対する感度及び特異性を計算した後、以下を結論づけることができる。
−捕捉mAb110:9は、陽性及び陰性試料の間の明確な差異を与えるため、最良の選択である。
−HRPを結合した検出mAb268:29は、100%の感度及び特異性をもって、陽性と陰性の明確な区別を与えるので、最良の選択である。
プロトタイプは下記を推奨する。
−捕捉mAbとしてmAb110:9。ヌンクマキシ−ソープストリップC−8で被覆したもの。
−Ag:ローソニアイントラセルラリス培養物(好ましくはR&D、Blで製造された濃縮物)
−0.5M NaCl/PBSTにより1/10に希釈した血清試料。37℃で1時間インキュベート。
−HRP結合mAb268:29。0.5M NaClを含むCDS−Cバッファー中で凍結乾燥したもの。37℃で1時間インキュベート。
−基質K−Blue Max。室温で10分間インキュベート。
−スバノバ停止液
3.1要約
加速安定性試験は、ローソニアイントラセルラリス抗原が捕捉されたELISAプレートが、少なくとも一年の安定性を有すること、及びローソニアHRP結合体268:29が凍結乾燥形態で6〜12ヶ月の安定性を有することを示している。
将来のローソニアイントラセルラリスELISAキットの成分の安定性を評価するために、加速安定性試験を行う必要がある。試験すべき成分を37℃で4週間保存し、その後、ELISAにおいて試験を行い、4℃で保存した成分と比較した。37℃における4週間の安定性は、約12ヶ月の貯蔵寿命を示す。この報告は、抗原捕捉ELISAプレートとHRP結合体について行った加速安定性試験について述べたものである。
プレート上での加速安定性(ELISA031024)
プレートをddH2O中の10%シュークロース/10%正常ウマ血清でブロックしたローソニアのmAb 110:9で被覆し、ローソニア抗原でインキュベートした。プレートを乾燥し、密閉し、37℃に置いた。プレートを37℃から第1週、第2週、第3週、及び第4週において取り出し、冷蔵庫内で保存した。また、参照として、全ての試験期間にわたって4℃に保存したプレートを用意した。
陽性血清#26,#69及び#06、及び陰性C2、D1及びE2を使用して、サンドイッチELISAの性能をチェックした。
HRP結合mAb268:29 lot#030120を使用した。
HRP結合mAb268:29 lot#030120を、ガラスビン中でCDS−Cバッファーにより1/1000に希釈し、標準方法により凍結乾燥を行った。4つの凍結乾燥ビンを37℃で、1週間、2週間、3週間及び4週間保存した。また4℃で保存したビンも用意した。各ビンをサンドイッチELISAで試験した。
陽性血清#26と陰性血清030926を使用した。
結合抗体の1/1000希釈(“結合体希釈”)により、試験において高すぎるOD値が得られることがわかった。結合抗体はそのため、試験において正しいシグナルが得られるようにプレート中で滴定した。
プレート上での加速安定性
4℃に保存したストリップのOD値と比較して、OD値の大幅な低下は第1週の後に見られた。第1週と第4週を比べても大きな差異はない。4℃におけるPI値を見ると、第1週〜第4週の間、有意性は見られなかった。
凍結乾燥結合体の加速安定性
1/8000の“結合体希釈”において、血清#26は4週間後、0.547から0.398への低下を示し、血清030926は4週間後、1.654から0.99へ低下した。
行った加速安定性試験は、ローソニアイントラセルラリスELISAプレートが、少なくとも1年の安定性を有することを示している。抗ローソニアHRP結合268:29抗体は、4週間後、陰性血清に対してOD値において40%減少を示した。これは、結合体の不安定性を示していると考えられる。OD値を計算した場合、1年後に、1.5ミーンズにおけるシグナルと0.9のOD値の40%減少は、依然として許容できる範囲である。
4.1.要約
プロトタイプの開発が行われた際に使用した50試料を使用することにより、プロトタイプの検証(プレートバッチ040107)を行った。検証されたバッチにおいて、陽性血清は100%の一致を示したが、一方、検証バッチでは25陰性血清のうち2つが陽性と示された。
豚血清の代わりに、正常ウマ血清がCDS−Cバッファー中で使用できることが見出された。
0.042%PVPを含むPBSTがPBSTタブレット(PVPを含む)を用いた場合と同様な結果を示すことが見出された。
サンドイッチELISAプロトタイプを検証するために、より多数の血清を大スケールで生産したプレートバッチで試験しなければならない。試験を、プレートバッチ040107で行った。このバッチを、プロトタイプを開発するために以前に使用された50血清試料を検査することにより試験した。
HRP結合体を凍結乾燥する際にバッファーCDS−Cを保存剤として使用する。このバッファーは豚血清を含む。CDS−Cバッファー中で使用されるべきローソニア陰性血清を見つけることが困難な場合には、代わりのものを試験するべきである。この試験において、正常ウマ血清及び胎児ウシ血清を試験した。
プロトタイプの検証(ELISA040312)
プロトタイプELISAで予め試験した50血清(バイオスクリーンから入手した)を、大スケールプレートバッチ#040107で試験を行った。0.042%PVPを含むPBST 20×concバッファーを用いた。凍結乾燥した結合体バッチ040308を用いた。
試験 ELISA040203
CDS−Cバッファーを以下の成分と共に製造した:1−ブタ血清(TJ4/05Fと同様)、2−正常ウマ血清、及び3−胎児ウシ血清。バッファーをELISAの結合バッファーとして試験した。試験した血清は、グリス(gris)2,4,13及び17,1−29664,3−29664,A−27239,B−27239,#26及びC2であった。HRP結合mAb268:29 lot#030318を用いた。0.042%PVPを含む20×concPBSTを用いた。
正常ウマ血清含有CDS−Cバッファーを用いて、二つの場合(040211,040308)における凍結乾燥した結合体を製造した。結合体を製造し、1/20k,1/25k及び1/30kに最終的に希釈した。新たに製造した結合体を同時に試験した。血清#26,1−29664,3−29664,A−27239,B−27239,陽性プール030926及び陰性プール030926を用いた。HRP結合mAb268:29 lot#030318を用いた。0.042%PVPを含む20×concPBSTを用いた。
PBSTバッファー20×濃縮物(concentrated)を1/20に希釈し、最終濃度0.042%のPVPを添加した。このバッファーを同時に、1/20に希釈した20×concPBSTとPBSTタブレット(既にPVPを含む)とを用いて試験した。このバッファーを全ての工程、すなわち、試料及び結合体の希釈バッファー並びに洗浄バッファーにおいて用いた。
血清#26,E1,1−29664,3−29664,A−27239,B−27239及びグリス13を用いた。HRP結合mAb268:29 lot#030318を用いた。結合体バッファーとして豚血清を含むCDS−Cを用いた。
プロトタイプの検証
結果は、以前に陽性であった25の全ての血清が、検証バッチにおいて陽性であることを示す。以前に陰性であった25のうち二つは陽性を示した。
正常ウマ血清を含むCDS−Cバッファー
正常ウマ血清を含む当該バッファーは、豚血清を含むものと同様の結果を示した。
凍結乾燥されたHRP結合mAbの値は、新たに製造した結合体と比較して、0.4ODで最も低下した。この低下は、凍結結合体の両方のバッチで認められた。得られたOD値に関係なく計算されたPI値はよく一致するので、試験の性能に影響していない。
PVP含有PBST
結果は、0.042%のPVPを添加した、1/20希釈した20×濃縮PBSTは、PBSTタブレットと同様の結果を示した。一方、PVPを含まず、1/20希釈された20×濃縮PBSTは誤った陰性結果を示した。
プロトタイプを開発する際に以前に使用した50血清を試験することによりプロトタイプ(プレートバッチ040107)の検証を行った。検証試験では、陽性血清については100%一致した。一方、25陰性血清のうち2つが検証バッチにおいて陽性を示した。この試験の主として重要な点は陽性試料の検出であるから、“誤った”陰性結果は許容しうる。また、以前の試験の結果が本当に正しいかはわかっていない。
5.1 導入部と目的
ローソニアイントラセルラリスに対する血清抗体の検出は、現在までIFA試験の使用により行われてきた(1)。これらの試験は、結果の解釈において、各個人の高い主観的判断によるものである。最近、L.イントラセルラリスに対する高特異的モノクローナル抗体を用いたサンドイッチブロッキングELISAが開発された。この試験のデータを、目的別に試験し、評価することができ、これにより再生産性、再現性及び比較分析を改良できる。この研究において、IFA試験に対する第一比較データが示されており、これは新試験の適切さと性能を示している。
McCoy細胞培養上で生育され、マイクロタイタープレート上で特異的なモノクローナル抗体により捕捉されたL.イントラセルラリス抗原を用いて、豚血清試料中のL.イントラセルラリスに対する抗体を検出した。血清を1〜10倍に希釈して試験を行った。37℃で1時間インキュベーションした後、プレートをPBSツイン液で洗浄し、ホースラディッシュパーオキシダーゼラベル化モノクローナル抗体(捕捉抗体とは異なる)を添加した。プレートを37℃で更に1時間インキュベートした。非結合抗体を洗浄により除去した。TMB基質と共に室温で10分間インキュベーションを行った後、停止液を添加することにより反応を停止した。分光計で各ウェルについてOD450を測定した。結果を血清を含まないコントロールの抑制率として計算した。
多くの陰性血清が、陰性抑制値を示した。従って、最も低い測定値を0にセットし、全ての他の値はこれに関連づけられた。これらのデータを“相対ELISA値”と呼ぶ。
301の実地の血清の結果を図2に要約した。ELISAは明らかに、陰性(平均相対ELISA値 36)と陽性(平均相対ELISA値 89)血清を区別した。IFAにおいて疑わしい点数の試料の大部分は、ELISAで陽性であった。
3つの農場からの横断的スクリーニングの結果を図3に示す。両試験により、3つの農場におけるL.イントラセルラリスに対する抗体を明確に検出できた。
IFA試験結果と比較して、ELISA法は高い感度であった。3つの試験された農場のある群では、ELISAの結果がIFA試験のそれよりも、非常に明確であった。蛍光試験が非特異的であったため、前記事実は多くの疑問を与えた。3つの群れにおける血清学的プロファイルは、以前に刊行された欧州の群れからのデータ(3,4)によく対応している。10週齢と16週齢の豚の群の間のELISA値の上昇をIFA試験のものと比較すると、55より多い相対ELISA値を有する血清は陽性と判断することができることを示している。
この新試験は、ルーチン試料の回腸炎の診断の改良に役立つものである。新規ブロッキング回腸炎ELISA法は、客観的な基礎に基づく、大量の試料の迅速かつ高感度のスクリーニングのためのツールを提供する。
1.Guedes RMC et al.,2002.Can J Vet Res 66:99−107.
2.Knittel JP et al.,1998.AJVR 59:722−726.
3.Biksi I et al.,2002.Proc.17th IPVS,Ames,Iowa,USA
4.van Aken N et al.,2002.Proc.17th IPVS,Ames,Iowa,USA.
6.1 導入部と目的
現在まで、回腸炎特有の診断は、糞便中または腸組織試料中の抗体検出についてはIFA試験(1,2)またはPCR(3,4)により、抗原検出については組織学的及び免疫学的染色法(2,5,6)により行われてきた。全てのこれらの方法は、特異性、汚染リスクまたは作業負荷に関して特有の不利益点があり、大きなスケールで行う群れのルーチンスクリーニングには適さない。ほとんどの診断試験は、群れからの2、3の豚のみについて行われる。開発されたブロッキングELISA法の使用により、血清学試験はより容易となり、より確実になり、また群れのプロファイリングにより適するものとなる。独国の22農場を横断するスクリーニングを新試験の診断性能を示すために行った。
22の独国農場にわたる試料をELISAで試験した。各農場から、4,7,10,13,16,20及び24週齢の若雌豚(gilts)、雌豚(sows)及び豚(pigs)の試料を採取した(各週齢につき10試料づつ)。ELISAを実施例5に記載のように行った。
図4に、全ての22農場の平均相対ELISA値を示した。若雌豚(gilt)及び雌豚(sow)からの血清は、ELISAにおいて非常に反応性であったのに対し、4〜10週齢のフラットデック豚(flatdeck piglet)は低かった。肥育者(fatteners)ではELISA値は、13〜24週に上昇した。
図5において、平均相対ELISA値は、農場の臨床症状と相関している。農場番号5,6及び15は、試料採集の時、臨床的な腸の問題はなかった。農場番号3では、4〜13週の子豚は、腸に問題があり、E.coli性下痢と診断された。農場番号18では、以前の血清学試験が、農場内で臨床的な症状を示さないローソニアイントラセルラリスの存在を示した。農場番号1,2,7,8,9,10,11,12,19,21及び22では、この研究のための資料採集の前に回腸炎と診断された。農場番号4,13,14,16及び20では、飼育者と肥育者における腸の問題が報告された。農場番号4及び13では、回腸炎が臨床的に疑われた。農場番号17では、下痢の臨床的な徴候はなかったが、飼育者において、及び肥育の初期において抗生物質が使用された。
22農場からの要約された血清プロファイルは、雌豚及び若雌豚において高い反応性を示し、13週から24週までに抗体反応が産生されることを示す。これらの知見は、現在までに回腸炎に関して報告された血清学的データと一致する(7,8,9)。下痢を伴わない農場(No.5,6,15及び18)からの豚、及びE.coli性下痢を伴う農場(No.3)の豚は、ELISAにおいて、顕著な血清変換を示さなかった。既知の回腸炎を伴う農場(No.1,2,7,8,9,10,11,12,19,21及び22)では、7週と13週の間において、明確な血清変換を検出することができた。興味深いことに、ほとんどの雌豚及び若雌豚の群からの試料は、ELISAにおいて非常に反応性であったが、これらの豚のほとんどは、明確な腸の疾病がなかった。これは、ローソニアイントラセルラリスの無症状感染によると考えられる。農場番号17の結果は、無症状回腸炎を示しているようである。
1.Knittel JP et al.,1998.AJVR 59:722−726.
2.Guedes RMC et al.,2002.Can J Vet Res 66:99−107.
3.Jones GF et al.,1993.J Clin Microbiol 31:2611−2615.
4.Suh−DK et al.,2000.J Vet Sci 1:33−37.
5.McOrist S et al.,1989.Vet Pathol 26:260−264.
6.Huerta B et al.,2003.J Comp Path 129:179−185.
7.Biksi I et al.,2002.Proc.17th IPVS,Ames,Iowa,USA 8.van Aken N et al.,2002.Proc.17th IPVS,Ames,Iowa,USA 9.Holyoake PK et al.,1994.J Clin Microbiol 32:1980−1985.
Claims (12)
- 臨床前または臨床のローソニアイントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)感染を診断する方法であって、下記工程を含む方法:
a)液体試料を哺乳類から採取する工程、b)前記液体試料のローソニアイントラセルラリスへの特異的な結合を検出する工程、c)得られた結果をコントロールと比較する工程。 - 方法が免疫試験法である、請求項1記載の方法。
- 方法がELISA法である、請求項1または2に記載の方法。
- 方法がブロッキングELISA法である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 抗体301:39、抗体287:6、抗体268:29、抗体110:9、抗体113:2及び抗体268:18からなる群より選択される一または複数のモノクローナル抗体を使用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗体110:9を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092204。
- 抗体113:2を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092201。
- 抗体268:18を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092202。
- 抗体268:29を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092206。
- 抗体287:3を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092203。
- 抗体301:39を分泌するハイブリドーマ細胞系ECACC受託番号04092205。
- 抗体301:39、抗体287:6、抗体268:29、抗体110:9、抗体113:2及び抗体268:18からなる群より選択されるモノクローナル抗体及び請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法を行うために必要な他の要素を含む部品からなるキット。
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