JP2008500033A - Mhc分子を結合する腫瘍関連ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、ペプチドがヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を示す、付随する配列表からの配列番号1から配列番号577よりなる群から選択されるアミノ酸配列をもつ腫瘍関連ペプチドに関する。本発明はさらに、腫瘍疾患および/若しくは腺腫性疾患の医薬品の製造および処置のための該ペプチドの使用に関する。また、最低1種の該ペプチドを有する製薬学的組成物が記述される。

Description

本発明は、ヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を示す腫瘍関連ペプチドに関する。
こうしたペプチドは、例えば腫瘍疾患の免疫療法で使用される。
免疫系による腫瘍細胞の排除に際し、免疫系の成分による腫瘍関連抗原(TAA)の検出は顕著な役割を演じている。この機構は、腫瘍細胞と正常細胞の間に質的若しくは量的な差違が存在するという仮定に基づく。抗腫瘍応答を遂げるために、腫瘍細胞は抗原を発現せねばならず、それらに対し腫瘍の排除に十分である免疫学的応答が起こる。
腫瘍の拒絶にはとりわけCD8を発現する細胞傷害性Tリンパ球(以下CTL)が参画している。細胞傷害性T細胞によるこうした免疫応答の誘発のためには、外来タンパク質/ペプチドがそのためにT細胞に提示されなければならない。T細胞は、これらがMHC分子から細胞表面上に提示される場合にのみペプチドフラグメントとして抗原を認識する。これらのMHC分子(「主要組織適合抗原複合体」)はペプチド受容体であり、通常はそれらが細胞表面に輸送されるためにペプチドが細胞の内側に結合している。ペプチドおよびMHC分子からのこの複合体はT細胞により認識され得る。ヒトのMHC分子はヒト白血球抗原(HLA)ともまた称される。
MHC分子の2つのクラスが存在する。すなわち、核をもつ大部分の細胞で見出されるMHCクラスI分子は、内因性のタンパク質のタンパク質分解性の分解により生じるペプチドを提示する。MHCクラスII分子は、専門的な抗原提示細胞(APC)上にのみ見出され、そしてAPCのエンドサイトーシスの経過中に取り込まれかつプロセシングされる外因性タンパク質のペプチドを提示する。ペプチドおよびMHCクラスIからの複合体はCD8陽性の細胞傷害性T細胞に認識され、ペプチドおよびMHCクラスIIからの複合体はCD4ヘルパーT細胞に認識される。
ペプチドが細胞性免疫応答を誘発し得るために、それはMHC分子に結合しなければならない。この作用は、MHC分子の対立遺伝子および該ペプチドのアミノ酸配列に依存する。MHCクラスIに結合するペプチドは、概して8〜10残基長であり、そしてそれらの配列中に、MHC分子の相応した結合溝と相互作用する2個の保存された残基(「アンカー」)を含有する。
免疫系が腫瘍由来のペプチドに対する効果的なCTL応答を開始し得るために、これらのペプチドは、腫瘍細胞から発現される特定のMHCクラスI分子に結合する状況にあるのみならず、しかしそれらはまたT細胞から特異的T細胞受容体(TCR、「T−cell receptor」)で認識されなければならない。
腫瘍ワクチンの開発のための主目的は、CD8+ CTLにより認識される腫瘍関連抗原の同定および特徴付けである。
腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球で認識される抗原、あるいはそれらのエピトープは、例えば酵素、受容体、転写因子などのような、すべてのタンパク質分類からの分子であり得る。腫瘍関連抗原の別の重要な分類は、例えば、多様な腫瘍形態および健康な精巣組織中で発現される例えばCT(「癌精巣」)抗原のような組織特異的構造である。
タンパク質が細胞傷害性Tリンパ球により腫瘍特異的抗原として認識されるため、および従って治療で使用されることができるために、特定の仮定、すなわち、該抗原は主として腫瘍細胞から発現され、かつ、正常組織からは全く若しくは腫瘍中でよりも少ない量でのみ発現される、が、存在しなければならない。さらに、挙げられた抗原が腫瘍形態中のみならず、しかしまた引き続きより高濃度で存在する場合が望ましい。このような腫瘍関連抗原由来のペプチド(「免疫原ペプチド」)は、in vitroであろうとin vivoであろうとT細胞応答に至るために、抗原のアミノ酸配列中のエピトープの存在もまた絶対に不可欠である。
TAAは、従って腫瘍ワクチンの開発のための出発点である。TAAの同定および特徴付け方法は、一方で、患者で既に誘導されたCTLの使用に基づくか、若しくは、腫瘍と正常組織の間の示差的な転写プロファイルの生成に基づく。
腫瘍組織若しくはヒト腫瘍細胞株中で過剰発現されているか、またはこうした組織若しくは細胞株中で選択的に発現されている遺伝子の位置決めは、しかしながら、免疫療法におけるこれらの遺伝子から転写された抗原の使用についての正確な情報を生じない。これは、いつもこれらの抗原のわずか2、3のエピトープがこうした使用に適することに理由を有する。完全な抗原でなく、抗原のエピトープのみがMHC提示によりT細胞応答を惹起するからである。従って、MHC分子と共に提示される、過剰発現された若しくは選択的に発現されたタンパク質のペプチドを選択することが重要であり、それにより初代細胞若しくは初代腫瘍組織細胞から樹立された腫瘍細胞株の特異的認識のための攻撃点が細胞傷害性Tリンパ球により獲得され得る。
この背景の前に、ヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を示す、こうしたペプチドの最低1種の新規アミノ酸配列を提供することが本発明の課題である。
この課題は、本発明により、付随する配列表からの配列番号1から配列番号577よりなる群から示されるアミノ酸配列をもつ腫瘍関連ペプチドの提供により解決され、その際に、該ペプチドは、ヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を示す。
本発明の根底にある課題は該方法で完全に解決される。
従って、腫瘍から同定されるペプチドが、より多量の獲得のため、および下で挙げられる目的のための使用のために、合成されるか若しくは細胞中で発現にもたらされることが自明である。
発明者は、上述されたペプチドをMHCクラスI分子の特異的リガンドとして腫瘍組織から単離かつ同定し得た。その際、本明細書で、「腫瘍関連」ペプチドという用語で、腫瘍物質から単離かつ同定されたものを指す。真正の(初代)腫瘍に提示されるこれらのペプチドは、従って腫瘍細胞中での抗原プロセシングを受ける。
特異的リガンドは、例えば相応する抗原(それからペプチドが発する)が発現される腫瘍細胞に対する免疫応答を誘導するために、癌治療において使用し得る。
CTLの誘導の形態の1つのこうした免疫応答は一方でin vivoで達成され得る。加えて、TAAと関連する腫瘍疾患に苦しめられている患者は、該ペプチドを例えば製薬学的組成物の形態で投与される。
対照的に、該ペプチドが発する抗原を発現する腫瘍に対するCTL応答はex vivoでもまた惹起され得る。そのためには、CTL前駆細胞を抗原提示細胞およびペプチドと一緒にインキュベートする。次いで、それにより刺激されたCTLを培養し、そしてこの活性化されたCTLを患者に投与する。
さらに、ex vivoでAPCにペプチドを負荷する可能性、および、該ペプチドが発する抗原を腫瘍組織中で発現している患者にこの負荷されたAPCを投与する可能性が存在する。APCはその後、順に、in vivoでCTLにペプチドを提示し得そしてそれらを活性化し得る。
本発明のペプチドはしかし診断試薬としてもまた使用し得る。
であるから、該ペプチドを用いて、1つのCTL集団中に該ペプチドに特異的に向けられたCTLが存在するかどうか、若しくは治療により誘導されるかどうかを確認し得る。
また、定義されたペプチドに対する反応性を示すT細胞の前駆体の増加を、該ペプチドを用いて試験し得る。
また、該ペプチドを、該ペプチドが発する抗原を発現する腫瘍の疾患経過を追跡するために、それに対するマーカーとして利用し得る。
付随する表1に、同定されたペプチドを示す。該表中ではまた、「HUGO遺伝子命名法委員会(HUGO Gene Nomenclature Committee)」に従った受容された遺伝子記号(http://www.gene.ucl.ac.uk/nomenclature/あるいはhttp://www/ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink/)により命名あるいは略記される、該ペプチドが発するタンパク質、および挙げられたタンパク質中のペプチドの特定の位置も示す。ここでは、誤りやすい翻訳を回避するためにタンパク質の英語名称が保持されている。再度、それぞれに、国立保健研究所(Natinaol Institute of Health)の「国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のGenbankに登録されているAcc番号を示す(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。
発明者は、合計10例の患者の8個の腎細胞腫瘍および2個の膠芽腫、すなわちRCC75、RCC98、RCC100、RCC103、RCC112、RCC115、RCC116、RCC130およびNCH359、ならびにNCH361、ならびに1個の腫瘍細胞株(J−Y)からペプチド(若しくはリガンド)を単離し得た。
患者の腫瘍および細胞株J−Yから577のリガンドを同定し得、それらはHLAサブタイプA*03、B*07、B*40(RCC75)、A*01、A*03、B*07、B*18(RCC98)、A*02、A*03、B*07、B*18(RCC100)、A*11、A*25、B*15、B*44(RCC103)、A*01、A*31、B*08、B*27(RCC112)、A*02、A*03、B*15、B*18(RCC115)、A*01、A*02、B*27、B*37(RCC116)、A*02、A*24、B*07、B*44(RCC130)、A*03、A*32、B*07、B*35(NCH359)、A*26、B*38(NCH361)およびA*02、B*07(J−Y)に結合した。
該リガンドのいくつかは、強く発現するいわゆる「ハウスキーピング」遺伝子から発し、それらは大部分の組織中で顕著に発現され、多くは際だっていたが、しかし組織特異的および腫瘍特異的発現により顕著であった。
そのように、とりわけ腫瘍組織中で過剰発現されるタンパク質から発するいくつかのペプチドを同定し得た。従って、例えばテナシン−Cのフラグメント(GLAPSIRTK、配列番号2)を同定し得た。(Herold−Mendeら、Clinical Impact and Functional Aspects of Tenascin−C Expression during Glioma Progression、2002、Int.J.Cancer、98:362−369)
発明者はまた、とりわけ、SOX9(YPHLHNAEL、配列番号7)およびRGS5(LAALPHSCL、配列番号448)から発するリガンドを同定し得た。
初代腫瘍細胞はin vitroの培養に適しないため、発明者は、本発明により、この細胞株から同定されたペプチドが細胞傷害性Tリンパ球をin vitroで活性化するのに適することを付加的に立証するために、例示的一ヒト腫瘍細胞株を選択した。とりわけ、発明者は、樹立腫瘍細胞株JYの例示的な選択されたペプチドの使用下で、配列FPSLREAAL(MAGEA1、位置294−302)および配列番号114をもつ選択されたペプチド、ならびにHLA対立遺伝子B*0702に対し特異的であった細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をin vitroで発生させることが可能であることを示し得た。このCTLを用いて、配列番号114をもつペプチドを負荷された標的とされるKM22目的細胞を殺し得た。それに対して、対照に使用された、配列番号114を持つペプチドを負荷されないKM22目的細胞は、細胞傷害性T細胞から認識されなかった。従って、エピトープとして本発明のペプチドを用いて、ヒトT細胞をin vitroで活性化し得たことを例示的に示し得た。また、配列番号114をもつペプチドを負荷されたT2細胞を溶解した細胞傷害性Tリンパ球が、T細胞の活性化の真正のマーカーとして記述されたインターフェロンγも発現することを示し得た。
好ましい一態様において、配列番号1から577を示しかつ最低1個のアミノ酸が類似の化学的特徴をもつ別のアミノ酸により置換されているペプチドもまた、免疫応答の刺激に使用し得る。
これらは、特定のMHCサブタイプ、例えば類似の化学的特徴をもつアミノ酸により使用され得るアンカーアミノ酸に関する。従って、例えば、MHCサブタイプHLA−A*02と関連するペプチドでは、位置2でロイシンをイソロイシン、バリン、若しくはメチオニンで、および逆に、ならびに、C末端のロイシンでバリン、ロイシン、イソロイシンおよびアラニン(全部非極性の側鎖を示す)で交換し得る。
さらに、そのN若しくは/およびC末端が最低1個のさらなるアミノ酸を示すか若しくは最低1個のアミノ酸が欠失されている、配列番号1から577をもつペプチドを使用することが可能である。
さらに、最低1個のアミノ酸が化学修飾されている、配列番号1から577をもつペプチドを使用し得る。
従って、ペプチドの免疫原性が変動により影響を及ぼされない、すなわちMHC分子に対する類似の結合親和性およびT細胞刺激の能力を示すように、変動するアミノ酸(1個若しくは複数)を選択する。
本発明により、該ペプチドは腫瘍疾患および/若しくは腺腫性疾患の処置に使用し得る。
処置されるべき腫瘍疾患は、従って、例えば腎、脳、乳房、膵、胃、精巣および/若しくは皮膚癌ならびに神経系の腫瘍疾患を包含する。腫瘍疾患の一覧はこれにより単に例示的であり、そして応用の範囲を狭めない。発明者は、自身の研究において、本発明のペプチドがこうした使用に適することを示し得た。ここで、あるペプチドに特異的であったこの目的のため生成されたCTLが、効果的かつ選択的にT細胞を殺し得たことが証明された。
腫瘍ワクチンでの腫瘍関連抗原の使用のため、基本的ないくつかの適用形式が可能である。従って、Tigheら、1998、Gene vaccination:plasmid DNA is more than just a blueprint,Immunol.Today 19(2):89−97は、適するアジュバントあるいは担体系を伴う組換えタンパク質若しくはプラスミドベクター中の抗原をコードするcDNAのいずれかとして、抗原を投与し得ることを記述している。これらの例において、免疫応答が惹起されるように、患者の体内の該抗原が抗原提示細胞(APC)によりプロセシングかつ提示されなければならない。
Meliefら、1996、Peptide−based cancer vaccines,Curr.Opin.Immunol.8:651−657は、さらなる可能性、すなわち合成ペプチドのワクチンとしての使用を示す。
該ペプチドは、従って、好ましい一態様において、アジュバントの添加を伴い、若しくはしかし単独でも使用し得る。
アジュバントとして、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)が適し得る。こうしたアジュバントのさらなる例は、水酸化アルミニウム、例えばフロイントのアジュバント、サポニン若しくはケイ素化合物のような鉱物油の乳液である。
アジュバントを伴う使用は、ペプチドにより惹起される免疫応答が強められ得る場合、および/若しくはペプチドが安定化されるという利点を提供する。
別の好ましい一態様において、抗原提示細胞に結合されたペプチドを使用する。
こうした処置は、ペプチドが免疫系、とりわけ細胞傷害性Tリンパ球(TCL)に提示され得るという利点を有する。それによりCTLは腫瘍細胞を認識し得かつ特異的に殺し得る。抗原提示細胞として、例えば樹状細胞、単球若しくはBリンパ球がこうした一使用に適する。
この場合、細胞は例えばex vivoでペプチドを負荷される。他方、その後該ペプチドを細胞上で発現にもたらすために、該ペプチドをコードするDNA若しくは相応するRNAで細胞をトランスフェクトする可能性もまた存在する。
発明者は、樹状細胞(DC)に特定のペプチドを負荷すること、およびこれらの負荷された樹状細胞がペプチド特異的CTLを活性化することが可能であることを適切な研究で示し得た。これは、相応するペプチドを発現するCTLを腫瘍に対し発生させるように免疫系を刺激し得ることを意味している。
該ペプチドを運搬する抗原提示細胞は、従って、直接使用し得るか、若しくは使用の前に例えば熱ショックタンパク質gp96で活性化し得るかのいずれかである。これらの熱ショックタンパク質は、MHCクラスII分子およびB7のような共刺激分子の発現を誘導し、そしてさらにサイトカインの産生を刺激する。これにより、全体として免疫応答の惹起が促進される。
別の好ましい一態様において、白血球、とりわけTリンパ球の標示にペプチドを使用する。
これらの使用は、あるペプチドに特異的なCTL集団中に指向されたCTLが存在するかどうかを該ペプチドで確認しなければならない場合に有利である。
また、腫瘍疾患での治療経過の評価のためのマーカーとして該ペプチドを使用し得る。
また、他の免疫化若しくは治療に際して、該ペプチドを治療のモニタリングに使用し得る。従って、該ペプチドは治療的のみならずしかしまた診断的にも使用可能である。
さらなる一態様において、該ペプチドを抗体の製造に使用し得る。
ポリクローナル抗体は、慣習的方法で、ペプチドの注入による動物の免疫化、およびその後の免疫グロブリンの精製により獲得し得る。
モノクローナル抗体は、例えば、Methods Enzymol.(1986),121,Hybridoma technology and monoclonal antibodiesに記述されるような標準的プロトコルに従って製造し得る。
本発明はまた、さらなる一局面において、該ペプチドの1種若しくはそれ以上を含有する製薬学的組成物に関する。
これらの組成物は、例えば非経口投与、例えば皮下、皮内若しくは筋肉内、または経口投与に役立つ。その場合、該ペプチドは製薬学的に許容できる、とりわけ水性の担体に溶解若しくは懸濁される。さらに、該組成物は、例えば緩衝剤、結合剤、希釈剤などのような賦形剤を含有し得る。
該ペプチドはまた、免疫刺激物質、例えばサイトカインと一緒になって投与され得る。それらのこのような組成物とともに使用され得るような賦形剤の包括的な記述は、例えばA.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients,第3版、2000、American Pharmaceutical Association and pharmaceutical pressに記述されている。
該剤は、従って、腫瘍疾患および/若しくは腺腫性疾患の防止(Praevention)、予防措置(Prophylaxe)および/若しくは治療に使用し得る。
配列番号1から577をもつペプチドの最低1種を含有する製薬学的剤は、挙げられたペプチド、例えば抗原が関連する腫瘍疾患を担持する患者に投与される。従って、腫瘍特異的CTLに基づく腫瘍特異的免疫応答が惹起され得る。
該製薬学的組成物中に存在するペプチド(1種若しくは複数)の量は、従って治療上有効な量で存在する。従って、該組成物中に含有されるペプチドは、最低2種の異なるHLAタイプにも結合し得る。
本発明は、さらなる一局面において、配列番号1から577をもつペプチドをコードする核酸分子に関する。
該核酸分子は、この場合DNA若しくはRNA分子であり得、そしてまた癌疾患の免疫療法に使用される。従って、該核酸分子から発現されるペプチドは、該ペプチドが発現する腫瘍細胞に対する免疫応答を誘導する。
本発明により、該核酸分子はベクター中にも存在し得る。
さらに、本発明は、該ペプチドをコードする核酸分子の助けを借りて、配列番号1から577をもつペプチドをそれらが産生するように遺伝子的に変えられた細胞に関する。
該細胞は、このため、該ペプチドをコードするDNA若しくは相応するRNAでトランスフェクトされ、それにより該ペプチドは該細胞上で発現にもたらされる。こうした使用のため、抗原提示細胞として、例えば樹状細胞、単球若しくはBリンパ球が適する。
前に挙げられかつなお下の例示的特徴が、常に述べられる組合せでのみならず、しかしまた単独で使用可能であることが、本発明の範囲を離れることなく、認識される。
本発明の実施例は後に続く実施例および付随する図面に記述かつ例示される。
1.1 患者サンプル
チュービンゲン大学泌尿器科から、組織学的に確認された腎細胞癌を表す患者由来の8検体のサンプルを得た。RCC75で示される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*03、B*07、B*40を有した。RCC98で示される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*01、A*03、B*07、B*18を有した。RCC100で示される患者はHLAタイピングA*02、A*03、B*07、B*18を有した。RCC103で示される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*11、A*25、B*15、B*44を有した。RCC112で示される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*01、A*31、B*08、B*27を有した。RCC115で示される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*02、A*03、B*15、B*18を有し、RCC116で示される患者はHLAタイピングA*01、A*02、B*27、B*37を有し、そしてRCC130で示される患者はHLAタイピングA*02、A*24、B*07、B*44を有した。
ハイデルベルク大学神経外科から、組織学的に確認された膠芽腫を表す患者由来の2検体のサンプルを得た。NCH359で表される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*03、A*32、B*07、B*35を有した。NCH361で表される患者は以下のHLAタイピングすなわちA*26およびB*38を有した。
1.2 MHCクラスIに結合されるペプチドの単離
ショック凍結させた腫瘍サンプルを、Schurle,M.ら、Identification of tumor−associated MHC class I ligands by a novel T cell−independent approach,2000,European Journal of Immunology,30:2216−2225に既に記述されたように処理した。ペプチドを標準的プロトコルに従って、すなわち、HLAクラスI分子に特異的であるモノクローナル抗体W6/32、若しくはHLA−A2に特異的であるモノクローナル抗体BB7.2の使用下で単離した。Barnstable,C.J.ら、Production of monoclonal antibodies to group A erythrocytes,HLA and other human cell surface antigens−new tools for genetic analysis,1978,Cell,14:9−20、およびParham,P.&Brodsky,F.M.,Partial purification and some properties of BB7.2.A cytotoxic monoclonal antibody with specificity for HLA−A2 and a variant of HLA−A28,1981,Hum.Immunol.,3:277−299は、これらの抗体の製造および応用を記述している。
1.3 質量分析
ペプチドは「逆相HPLC」により分離し(SMARTシステム、μRPC C2/C18 SC 2.1/19、Amersham Pharmacia Biotech)、そして得られた画分をナノESI MSにより分析した。その際、Schirle,M.ら、Identification of tumor−associated MHC class I ligands by a novel T cell−independent approach,2000,European Journal of Immunology,30:2216−2225に記述されるとおり進行した。
腫瘍組織から得られたペプチドは、たった今記述されたとおり、しかしながらわずかな変更を伴い、キャピラリーLC−MSにより同定した。すなわち、100μlのサンプルを常に負荷し、脱塩し、そして300μm×5mm C18 μ−Vorsaeule(LC充填剤)で前濃縮した。溶媒およびサンプルを、封止した100μlシリンジ(1710 RNR、Hamilton)を伴うシリンジポンプ(PHD 2000、Harvard Apparatur,Inc.)を用い、2μl/分の速度で供給した。ペプチドの分離のため、前濃縮カラムを、75μm×250mm C−18カラムの前に接続した。次いで、12μl/分の流速から約300nl/分に低下させ、すなわち実際にTEE接続(ZTIC、Valco)および300μm×150mm C−18カラムの使用下で、70分間の25〜60%Bを伴う二相勾配を行った。
該装置が残余のペプチドを含まなかったことを保証するために、サンプルブランクを常に測定した。オンラインの断片化を記述されたとおり実施し、そしてフラグメントのスペクトルを人的に分析した。データバンク調査(NCBI番号、EST)はMASCOTの使用下で実施した(http://www.matrixscience.com)。
1.4 MHCクラスIリガンドの同定
開示される配列表および開示される表1に、患者RCC75、RCC98、RCC100、RCC103、RCC112、RCC115、RCC116、RCC130、NCH359およびNCH361のHLA分子に結合したリガンドを列挙する。HLA−A*02と関連するペプチドは対立遺伝子特異的なペプチドモチーフを示した。従って、位置2にロイシン、バリン、イソロイシン、アラニン若しくはメチオニン、およびC末端にロイシン、バリン、イソロイシン若しくはアラニンが見出された。該リガンドの大部分はいわゆる「ハウスキーピング」タンパク質から発したとは言え、腫瘍と関連するタンパク質のリガンドも同定され得た。かように、例えばテナシン−Cのフラグメントを同定し得た(GLAPSIRTK、配列番号2;GVLKKVIRH、配列番号20)。Herold−Mendeら、Clinical Impact and Functional Aspects of Tenascin−C Expression during Glioma Progression,2002,Int.J.Cancer,98:362−369は、一般に細胞外マトリックスタンパク質テナシン−Cの発現の高さが、疾患の重症度および健康な組織への腫瘍細胞の移動と相関することを示している。
1.5 正常CD8+ T細胞レパートリー中のペプチド特異的T細胞の証明
例えば配列FPSLREAAL(配列番号114)をもつペプチドについてのペプチド特異的T細胞の証明のため、健康被験体の末梢血からの単核細胞を、関係のあるペプチドで構成された、関係のあるHLA−A*サブタイプの四量体で染色した。すなわち、四量体の製造のため、Walter Sら、2003,Cutting Edge:Predetermined Avidity of Human CD8 T Cells Expanded on Calibrated MHC/Anti−CD28−Coated Microspheres,J.Immunol.171:4974−4978のように、組換えHLA−B*サブタイプの分子を、該ペプチドを伴いin vitroで構成し、ゲル濾過により精製し、ビオチニル化し、そして単量体の結合のためストレプトアビジンと混合した。
原則的に、FACSを用いる分析による二重染色の結果を検討し、そしてペプチド−四量体の特異的結合が証明される(Walter Sら、2003,Cutting Edge:Predetermined Avidity of Human CD8 T Cells Expanded on Calibrated MHC/Anti−CD28−Coated Microspheres,J.Immunol.171:4974−4978)。
腫瘍細胞による選択されたペプチドの提示およびCTLによるペプチドの認識を分析するため、選択されたペプチドに特異的であったCTLをin vitroで誘導した。それのため、KM22およびJY目的細胞株を使用した。
2.1 特異的Tリンパ球の獲得
特異的Tリンパ球は、1.5で記述されるとおり健康被験体の血液から単離し、そしてFACS分取により濃縮した。
2.2 ペプチドの合成
例示的な選択されたペプチドは、F−moc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)保護基の使用によりペプチド合成機(432A、Applied Biosystems、ドイツ・ヴァイターシュタット)で合成し、そして「逆相」HPLCおよび質量分析により分析した。これらの方法で、同定されたペプチドについて十分な量を製造し得る。
2.3 制限された合成ペプチドの使用下での抗原特異的CTL応答の誘導
CTLの誘導のため、段階2.1で得られたTリンパ球(ウェルあたり5×10個のTリンパ球)を、10%熱不活性化ヒトAB血清(CC Pro、ドイツ・ノイシュタット/ヴァインシュトラッセ)、2mL L−グルタミン、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシンおよび20μg/mlゲンタマイシン(全部BioWhittaker/Cambrex、ベルギー・ヴェルヴィエから)を含む1.5mlのT細胞培地[RPMI 1640、25mM HEPES(Life Technologies/Invitrogen、ドイツ・カールスルーエ)から構成される]中ウェルあたり1×10の照射した目的細胞とともに、24ウェルプレート中でのin vitro再刺激により共インキュベートした。加えて、5ng/mlのヒトIL−12 p70(R&D Systems)を添加した。37℃で約4日の共インキュベーション後に、20U/mlのヒトIL−2(R&D Systems)を含む新鮮培地を添加し、そして細胞をさらなる3から4日間インキュベートした。この刺激周囲を2回反復した。
2.4 CTLアッセイ
CTLアッセイのため、標的細胞としてKM22およびJY腫瘍細胞株を使用した。ペプチドでパルスされる細胞は、50μg/mlのペプチドで2時間パルスした。全標的細胞は、RP10培地(10%熱不活性化ウシ胎児血清および抗生物質を補充したRPMI 1640)中、37℃で[51Cr]クロムナトリウム(51Cr)で1時間標識した。次いで、丸底をもつ96ウェルプレートの1ウェルあたり常に10細胞を与えた。200μlの最終容量を達成するためにさまざまな量をCTLに添加し、次いで37℃で4時間インキュベートした。その後、上清(50μl/ウェル)を収集し、そしてベータプレート計数器で正確に計数した。特異的溶解を、後に続くとおり、すなわち、100×(実験的放出−自発的放出/最大放出−自発的放出)パーセントで評価した。自発的および最大放出は、常に、培地若しくは2% Triton X−100いずれかの存在下で測定した。
2.5.CTL誘導の結果
a)ペプチドでパルスした目的細胞に対するCTL細胞傷害性活性
51Cr放出アッセイ(2.4.でを参照されたい)において、KM22若しくはJY細胞に対する誘導されたCTLの細胞傷害性活性(2.3.でを参照されたい)を試験した。細胞株KM22およびJ−YはHLA−B*07陽性である。
この放出アッセイの結果を図1aおよび1bに具体的に説明する。図1aおよび1bにおいて、「IFN」でインターフェロン−γを、「E:T」でエフェクター−目的細胞の比を、「Tet+」でHLA−B*0702/FPSLREAAL四量体に結合するTリンパ球を、および「Tet−」でHLA−B*0702/FPSLREAAL四量体に結合しないTリンパ球を略記する。
該結果は、2週の再刺激後に得られるCTL細胞株で、抗原特異的細胞死(Abtoetung)が達成され得たことを示す。すなわち、図1aにおいて、インターフェロン−γで処理した、ペプチドを伴わないHLA対立遺伝子B*0702について陽性のKM22目的細胞が、特異的細胞傷害性Tリンパ球により認識されなかったことを示す。図1bは、腫瘍抗原MAGE−1からの配列FPSLREAALを伴うペプチドを提示する、インターフェロン−γで処理した、HLA対立遺伝子B*0702について陽性のKM22目的細胞が、特異的細胞傷害性Tリンパ球により認識かつ溶解されたことを示す。結果として、その細胞のみが、従って、増大する量により、選択されたペプチドを常に提示したCTLを殺し;無関係のペプチドを負荷した対照細胞は殺されなかった。従って、細胞溶解活性の特異性が示され得た。
b)ペプチドで刺激したTリンパ球によるインターフェロン−γの形成
次の試みにおいて、ペプチドFPSLREAAL(配列番号114)を負荷したT2細胞を溶解した細胞傷害性Tリンパ球が、T細胞の活性化の確実なマーカーとして記述されているインターフェロン−γも発現したことを示した。
図2において、ここでKM22およびJY細胞を試験した測定の結果を示す。図1でと等しい略語が使用され、ここで再度、「CD8+」で、細胞表面上に受容体分子CD8を発現するTリンパ球を示す。
IFN−γの証明のため、ペプチドでパルスした1×10個のエフェクター細胞および刺激体細胞を96ウェルプレート上でT細胞培地中で培養した(T細胞培地:10%熱不活性化ヒトAB血清(CC pro、ノイシュタット/W.、ドイツ;2mM L−グルタミン、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシンおよび20μg/mlゲンタマイシン(全部BioWhittaker)を補充した25mM HEPESを含むRPMI 1640(Gibco/Invitrogen、ドイツ・カールスルーエ)。ペプチド負荷は、37℃でX−Vivo 15培地中、それぞれのペプチドで約2時間実施した。
1から2時間後にGolgiStop(Becton Dickinson)を添加し、そしてさらなる4から5時間インキュベートした。次いで細胞を浸透化し、そしてCytofix/Cytoperm Plusキットの使用下、ならびに抗CD4−FITC、抗IFN−γ−PEおよび抗CD8−PerCPを用い、製造元(Becton Dickinson)の説明書に従って染色した。FACSCalibeer細胞計数器の使用下でサイトメトリー分析を実施した。
図2に見られるように、HLA−B*0702/FPSLREAAL四量体に結合したTリンパ球(=特異的Tリンパ球、「Tet+」)で、常に異なる量のインターフェロン−γで前処理しかつ配列番号114をもつペプチドを負荷したKM22若しくはJY細胞によりそれらを刺激した場合に、インターフェロン−γが形成した(図2を参照されたい、「KM22+FPSLREAAL」および「JY+FPSLREAAL」、常に5若しくは25μM INFで前処理した)。非特異的Tリンパ球(従ってHLA−B*0702/FPSLREAAL四量体に結合したTリンパ球でない)は、しかしながらインターフェロン−γを形成しなかった(=「Tet−」)。
図2において、再度、特異的(=「Tet+」)Tリンパ球も非特異的(「Tet−」)リンパ球も、それらを非特異的対照ペプチド(図2中で例示的に:APRTVALTA、配列番号585)で刺激した場合に、インターフェロン−γを形成しなかった(常に「Tet+」および「Tet−」(すなわち「KM22+APRTVALTA」および「JY+APRTVALTA」、25μM INFで前処理した)について常に図2を参照されたい)ことが示された。
c)CD8陽性T細胞のペプチド特異的刺激
CD8陽性T細胞のペプチド特異的刺激のさらなる証明のため、それに際して対照ペプチドもHLA対立遺伝子A*02に結合する、タンパク質RGS−5の配列LAALPHSCL(配列番号448)をもつペプチドおよび黒色腫抗原MELAN−Aの配列ELAGIGILTV(配列番号578)をもつ対照ペプチド(位置26−35、ロイシンによる位置27にあるアラニンのアミノ酸変化により改変した)を、Fmoc化学の標準的方法の使用下で合成した。ビオチニル化組換えA*02分子および蛍光MHC四量体を、Altmanら(「Phenotypic analysis of antigen−specific T−lymphocytes,Science 274:94,1996)に記述されるように製造した。人工的抗原提示細胞(APC)の製造のため、マイクロスフェア1mgあたり0.064μgビオチン−0.064μgビオチン−FITCの結合容量をもつストレプトアビジン被覆したポリスチロール粒子(直径5.6μm)(Bangs Laboratories、米国イリノイ州フィッシャー)を、ビオチニル化MCHおよび抗体を含有する緩衝液中に2×10粒子/mlで懸濁し、そして室温で30分間インキュベートした。
ヒトCD8 T細胞の抗原特異的in vitro刺激のため、新鮮なBuffy−Coatから標準的な勾配分離によりPBMCを単離した。未処理のCD8 T細胞を、MACSを用いる陰性枯渇により濃縮した(Miltenyi Biotec、ドイツ・ベルギッシュ・グラードバッハ)。in vitro刺激は、24ウェルプレート上、1.5mlのT細胞培地(s.o.)中ウェルあたり5×10の応答体細胞および1×10個のビーズ若しくは1×10の照射したAPCを用いて実施した。5ng/mlのヒトIL−12 p70(R%D Systems、米国)にマイクロスフェアを添加した。37℃での3から4日の共インキュベーション後に新鮮な培地および20U/mlのヒトIL−2(R&D Systems、米国)を添加し、そして細胞をさらなる3から4日インキュベートした。この刺激周期を2回反復した。
細胞表面および細胞内のサイトメトリー分析のため、蛍光MHC四量体および抗CD8抗体(ハイブリドーマUKT8)を用いる四量体分析を、四色FACSCaliber(Becton Dickinson)で実施した。
この分析の結果を図3に示す。ここで、配列番号448を伴うRGS−5ペプチドLAALPHSCLがヒトCD8陽性T細胞を特異的に刺激することが見られる。図3で、左の列に、上述されたとおりMelan−Aからの配列ELAGIGILTV(配列番号578)をもつ対照ペプチドで前の2倍刺激した、PBMCからのT細胞の分析を示す。右の列は、配列LAALPHSCL(配列番号448)を伴うRGS−5ペプチドで刺激したT細胞の分析を示す。
図3で、上左は、Melan−Aペプチド/MHC−A*02四量体複合体で刺激したCD8陽性(X軸)T細胞が、配列LAALPHSCL(配列番号448)をもつペプチドと複合体形成したMHC−A*02四量体に結合しない(Y軸)ことを示す。
図3の上右は、配列LAALPHSCL(配列番号448)をもつRGS−5ペプチド/MHC−A*02四量体複合体で刺激したCD8陽性T細胞が、配列LAALPHSCL(配列番号448)をもつペプチドと複合体形成したMHC−A*02四量体(Y軸)に結合することを示す。二重に染色された(二重陽性)細胞は右上四分円に見られる。
図3の中央の左は、Melan−Aペプチド/MHC−A*02四量体複合体で刺激したCD8陽性T細胞(X軸)が、Melan−Aからの配列ELAGIGILTV(配列番号578)をもつペプチドと複合体形成したMHC−A*02四量体(Y軸)に結合することが見られる。二重に染色された(二重陽性)細胞は右上四分円に見出される。中央右には、配列LAALPHSCLをもつRGS−5ペプチド/MHC−A*02四量体複合体で刺激したCD8陽性T細胞が、Melan−Aからの配列ELAGIGILTV(配列番号578)をもつペプチドと複合体形成したMHC−A*02四量体(Y軸)に結合しないことが示される。
図3の下行には、左に2種の使用したMHC四量体−ペプチド複合体(Melan−A/MHC−A*02およびRGS−5/MHC−A*02)での二重染色によるMelan−A/MHC−A*02特異的T細胞の定量的部分を示す。人工的抗原提示細胞に結合されたMelan−Aペプチド/MHC−A*02四量体複合体での前述の刺激後に、刺激された細胞の19.3%が、Melan−AペプチドおよびMHC−A*02からのMHC四量体複合体に特異的に結合する。右で、2種の使用したMHC四量体複合体(Melan−A/MHC−A*02およびRGS−5/MHC−A*02)での二重染色によるRGS−5/MHC−A*02特異的T細胞の定量的部分を示す。人工的抗原提示細胞に結合されたRGS−5ペプチド/MHC−A*02四量体複合体での前述の刺激後に、刺激された細胞の8.0%が、配列LAALPHSCL(配列番号448)をもつRGS−5ペプチドおよびHLA−A*02からのMHC四量体複合体に特異的に結合する。
d)腎細胞癌患者の血液からのペプチド特異的T細胞の証明
さらなる研究において、前にペプチドを負荷した自己樹状細胞で免疫した腎細胞癌患者の血液からのペプチド特異的T細胞を証明し得た。
この証明のため、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実施した。このRT−PCRは、Kammulaらの記述する(Kammulraら、Journal of Immunology 163:6867,2000)とおり実施した。このため、PBMCをT細胞培地中で融解し、500μlの培地中に1×10細胞を接種し、そして37℃および5% COで一夜インキュベートした。次いで合成ペプチドを5μg/mlで3時間添加し、そしてその後、Trizol(Invitrogen、ドイツ・カールスルーエ)を用いるRNA抽出を実施した。cDNAをランダムへキサマープライマー(Amersham Biosciences、ドイツ・フライブルク)およびM−MLV逆転写酵素(Promega GmbH、ドイツ・マンハイム)の使用下に転写した。
定量的RT−PCRは、IFN−γ mRNAおよびCD8 mRNAに関して「ABIPrism 7000配列検出装置」(Applied Biosystems、ドイツ・ダルムシュタット)を用いて二重で実施し、その際にTaqman PCRマスターミックス(Applied Biosystems)、特異的プライマーおよび蛍光プローブを使用した。
該結果はIFN−γのmRNAのコピー数を反映し、ここでは各プローブを(参照遺伝子産物としての)CD8 mRNAのコピー数に関して正規化した(刺激指数)。試験したペプチドの存在下での遺伝子発現は、対照(配列ILKEPVHGV、配列番号579をもつHIV1 polから発するHLA−A*02エピトープ)の存在下に得られた遺伝子発現に関して表される(対照のコピー数を1と設定した)。
図4にこの実験の結果を示す。図4の具体的説明は、9種のHLAに結合するペプチドでの、チュービンゲン大学臨床センターの患者RCC98の免疫化後のex vivoのT細胞活性化を示す。11の棒群(Saeulenblock)はT細胞の実験の陰性および陽性対照を示す。エラーバーは標準偏差を示す。上で示されたとおり、陰性対照として、配列ILKEPVHGV(ウイルス抗原HIV1 polから、位置896−904;配列番号579)をもつHIVペプチドを使用した。陰性対照は、患者がHIV血清陰性であった場合はT細胞応答に至らなかった。陽性対照として、インフルエンザマトリックス58−66(GILGFVFTL;配列番号580)、HCMVA pp65 495−503(NLPVMVATV;配列番号581)、EBNA6−EBV 284−293(LLDFVRFMGV;配列番号582)、IE63−EBV 259−267(GLCTLVAML;配列番号583)およびLMP2−EBV 294−302(CLGGLLTMV;配列番号584)のペプチドからの混合物を使用し、それにより非常に強いT細胞応答が期待された(「ポズミックス(posmix)」;刺激指数の最大43.6)。全部のPBMCの刺激に使用した対照ペプチドは5μg/mlの濃度で使用した。バックグラウンドは陰性対照の標準偏差(刺激指数1.35、水平の破線として表される)と定義した。
図4中の具体的説明の次の9つの棒群は、9種の免疫化ペプチドに対し測定されたT細胞活性化を示す。これら9種のペプチドは、全部で7回、必ず14日の間隔で、自己樹状細胞によって一緒に皮下に負荷されて投与された。従って、各棒群は8本の棒から構成される(1回目の免疫化前、2回目の免疫化後、2回目の免疫化後、など)。各棒群は従って、免疫化の経過におけるT細胞の特徴を示す。
既に、3回目の免疫化に際して、GKASFKSFLK(RGS5 74−83、配列番号153)およびSLLTSSKGQLQK(ADFP 369−380、配列番号289)に対する強いT細胞応答が見られ、その際、後者のペプチドにより4回目の免疫化後のT細胞応答が上昇した。免疫療法の経過中のT細胞応答のこうした変動は他の患者でも示されている。
T細胞応答は、IARNLTQQL(ADFP 313−321;配列番号233)、GPALGRSFL(TNFSF7 78−86、配列番号577)についてバックグラウンドで明瞭に、および汎HLA−DRに結合する(PADRE)公知のペプチドについてより弱く見られた。これらとともに、3種のペプチドも免疫療法の経過中にT細胞応答の上昇が見出された(点線)。これは、これら3種の最後に挙げられたペプチドが陽性のT細胞応答を惹起したことを確認した。
該患者は、チュービンゲン大学臨床センターでの申告された臨床試験の枠内で免疫した。該臨床試験は、チュービンゲン大学の倫理委員会に申告され、そして文書で承認された。該試験はドイツ医薬品法(AMG)の規則およびガイドライン、ならびに「医薬品の臨床試験の実施基準」(GCP)に従って実施した。
一緒にすれば、発明者は従って、同定されたペプチドが、(腫瘍)疾患の多数に際しての免疫療法の枠内で有利な物質を生じることを示し得た。
末梢血からのB*0702/IARNLTQQL(配列番号233)特異的CD8+リンパ球のミクロスフェアに駆動される増殖の四量体分析(図5を参照されたい)。
6例の健康なHAL−A*0201+被験体HD155、HD159、HD161、HD167、HD168およびHD177のウェルあたり1×10のCD8+濃縮したPBMCを、
抗CD8および無関係な抗原(「無関係刺激」)、腫瘍抗原B*0702/IARNLTQQL高密度(「HD」)若しくは腫瘍抗原B*0702/IARNLTQQL低密度(「LD」)に結合させたマイクロスフェアで、小さな改変を伴い前に示された[Walter,Sら Cutting Edge:Predetermined avidity of human CD8 T cells expanded on calibrated MHC/anti−CD28−coated microspheres.J.Immunol.171:4974−8,2003]とおりに毎週刺激した。in vitroで3回の刺激後に、いくつかのウェルをCD8および四量体B*0702/IARNLTQQLの抗体で染色した。全部の点は、1個のウェルからのCD8+リンパ球の内側の四量体+のパーセントを表す。
個々の被験体での無関係刺激後の見出される応答の分布に基づき、有意の閾値、および以下の式:
閾値=剤についての95%信頼区間の上限+3×標準偏差の95%信頼区間の上限
の使用下で水平の赤線によりを評価した。図中の数字は、得られた条件についてのウェル全体での有意に陽性のウェルの数を表す。
以下に配列、位置、遺伝子記号、受託番号、配列番号を示す。
(表1)
NCH359の配列
1.VPDSSGPERIL78-88
HNRPKNP_002131.2配列番号1
2.GLAPSIRTK1510-1518
TNCNP_002151.1配列番号2
3.RLFEHPLYR149-157
FAM20CNP_064608.1配列番号3
4.TPSEPHPVL381-389
HGRG8NP_057342.1配列番号4
5.QIFVKTLTGK2-11
RPS27AAAH01392.1配列番号5
6.SLMHSFILK44-52
DNCL2ANP_054902.1配列番号6
7.YPHLHNAEL127-135
SOX9NP_000337.1配列番号7
8.RLFVGSIPK244-252
SYNCRIPNP_006363 配列番号8
9.RVFPDKGYSF233-242
TIA1NP_071320.1配列番号9
10.SLYKKLEIK554-562
SLC9A2NP_003039.2配列番号10
11.HPVSDHEATL216-225
HLA-CNP_002108配列番号11
12.LPTRVDFSL46-54
記号は存在しない。遺伝子の種類:命名されていないタンパク質産物
BAC87610配列番号12
13.KSFGSAQEFAW386-396
COPB2NP_004757 配列番号13
14.SPSTSRTPLL1026-1035
EGFRNP_005219.2配列番号14
15.STFDSPAHW1149-1157
EGFRNP_005219.2配列番号15
16.APEEHPVLL97-105
ACTBNP_001092.1配列番号16
17.RQITQVYGF117-125
PPP6CNP_002712.1配列番号17
18.KVSDYILQH1046-1054
ASTN2NP_054729.3配列番号18
19.KLLPSVVLK2-10
DTRNP_001936.1配列番号19
20.GVLKKVIRH23-31
TNCNP_002151.1配列番号20
21.KLFDHAVSKF40-49
ACSL4NP_004449.1配列番号21
22.ITVLTKPLPV112-121
PTPRONP_002839.1配列番号22
23.HPVHPDIKL130-138
PIAS1NP_057250.1配列番号23
24.IPRAALLPLL3-12
PRSS11NP_002766.1配列番号24
25.ATNRITVTW254-262
PIASYNP_056981.2配列番号25
26.KIADRFLLY29-37
LMO4NP_006760.1配列番号26
NCH361の配列
27.DHDPVDKIVL150-159
HNRPA2B1NP_002128.1配列番号27
28.DHHQEVIGF165-173
C9ORF10NP_055427.2配列番号28
29.IHDLDNISF188-196
PSMB2NP_002785.1配列番号29
30.DHINDIIKI834-842
IQGAP1NP_003861.1配列番号30
31.DHMRFISEL355-363
CYFIP1NP_055423.1配列番号31
32.THSLPVVVI456-464
STAT3NP_003141.2配列番号32
33.MPVGPDAILRY929-939
BAT3NP_004630.2配列番号33
34.RLDDAIHVL406-414
TCF12NP_003196.1配列番号34
35.QHEGTVNIF1953-1961
PTPRZ1NP_002842.1配列番号35
36.ETVNIWTHF48-56
PAQR6NP_940798配列番号36
37.VHILDTETF195-203
KLHDC2NP_055130.1配列番号37
38.QTPDFTPTKY607-616
ZHX3NP_055850.1配列番号38
39.RHVEVFELL133-141
MPDZNP_003820.1配列番号39
40.TTIDIGVKY136-144
CNN3NP_001830.1配列番号40
41.DLIEHFSQF113-121
HNRPA0NP_006796.1配列番号41
42.ETVWRLEEF65-73
HLA-DRANP_061984配列番号42
43.DVLESVNLL176-184
AP2M1NP_004059.2配列番号43
44.IHDDFVTTF466-474
AEBP1NP_001120.2配列番号44
45.IHIPINNII57-65
Sec61GNP_055117.1配列番号45
46.IHLIDPNTL281-289
CGI-07NP_057022.2配列番号46
47.IHVIGGNDV1016-1024
KIAA1268XP_291055.1配列番号47
48.KAFQKIVVL291-299
BZW1NP_055485.2配列番号48
49.YQDLLNVKL349-357
GFAPNP_002046.1配列番号49
50.GHYEVAELL728-736
TNKSNP_003738.1配列番号50
51.LVVYPWTQRF33-42
HBBNP_000509.1配列番号51
52.MHLRQYELL386-393
GNASNP_000507.1配列番号52
53.EAIEQILKY149-157
FLJ10539NP_060600.1配列番号53
54.DVAEGDLIEHF108-118
HNRPA0NP_006796.1配列番号54
55.DVLQKIKY191-198
EPS8L1NP_060199.2配列番号55
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468.SLDKFLASVSTVL125-137
HBA1NP_000549.1配列番号468
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HLA-A,-B or -CBAA04965配列番号491
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記号は存在しない。遺伝子の種類:命名されていないタンパク質産物BAC87422配列番号541
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576.KYFLKPEVL167-175
KIAA1363NP_065843.2配列番号576
JYの配列
577.GPALGRSFL78-86
TNFSF7NP_001243.1配列番号577
対照ペプチドの配列
578.ELAGIGILTV26-35
MLANA(改変A27−>L)NP_005502.1配列番号578
579.ILKEPVHGV896-904
polNP_057849.4配列番号579
580.GILGFVFTL58-66
記号は存在しない。遺伝子の種類:マトリックスタンパク質M1S14616配列番号580
581.NLVPMVATV495-503
記号は存在しない。遺伝子の種類:pp65P06725配列番号581
582.LLDFVRFMGV284-293
記号は存在しない。遺伝子の種類:EBNA−6核タンパク質P03204配列番号582
583.GLCTLVAML259-267
記号は存在しない。遺伝子の種類:前初期トランス活性化因子NP_039857.1配列番号583
584.CLGGLLTMV294-302
記号は存在しない。遺伝子の種類:潜在性膜タンパク質2 AAB59844.1配列番号584
585.APRTVALTA9-17
HLA-DPB1NP_002112配列番号585
aは、KM22目的細胞のCTL特異的溶解に関する陰性対照(ペプチドなし)。bは、ペプチドでパルスしかつインターフェロンγで処理したKM22目的細胞のCTL特異的溶解。 ペプチドを負荷したKM22若しくはJY細胞による刺激後の特異的Tリンパ球によるインターフェロンγ形成。 ヒトCD8陽性T細胞のペプチド特異的刺激、および 腎細胞癌患者の血液からのペプチド特異的T細胞の検出。 末梢血からのB*0702/IARNLTQQL特異的CD8+リンパ球のマイクロスフェアに駆動される増殖の四量体分析。6名の試験した健康な被験体のうち4名(HD155、−159、−161、−177)が、四量体染色による、ペプチド/KLA−B*0702複合体特異的T細胞受容体についての結果により示されるとおり、配列番号233をもつ試験したペプチド抗原に特異的に向けられた有意の(赤線より上にある)T細胞応答を有した。

Claims (17)

  1. 付随する配列表からの配列番号1から配列番号577よりなる群から選択されるアミノ酸配列をもつ腫瘍関連ペプチドであって、該ペプチドが、ヒト主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を示す、上記ペプチド。
  2. 最低1個のアミノ酸が、類似の化学的特徴をもつ別のアミノ酸により置換されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
  3. N若しくは/およびC末端の最低1個のさらなるアミノ酸が存在することを特徴とする、請求項1若しくは2に記載のペプチド。
  4. 最低1個のアミノ酸が欠失されていることを特徴とする、請求項1から3の1つに記載のペプチド。
  5. 最低1個のアミノ酸が化学修飾されていることを特徴とする、請求項1から4の1つに記載のペプチド。
  6. 腫瘍疾患および/若しくは腺腫性疾患の処置のための医薬品の製造のための、請求項1から5の1つに記載の1種若しくはそれ以上のペプチドの使用。
  7. 腫瘍疾患および/若しくは腺腫性疾患の処置のための、請求項1から5の1つに記載のペプチドの使用。
  8. 疾患が、腎、乳房、膵、胃、脳、膀胱、精巣の癌および/若しくは神経系の腫瘍疾患であることを特徴とする、請求項6若しくは7に記載の使用。
  9. ペプチドがアジュバントと一緒になって使用されることを特徴とする、請求項7若しくは8に記載の使用。
  10. 抗原提示細胞に結合されたペプチドが使用されることを特徴とする、請求項7若しくは8に記載の使用。
  11. 白血球、とりわけTリンパ球の同定のための、請求項1から5の1つに記載のペプチドの使用。
  12. 腫瘍疾患の際の治療経過の評価ための、請求項11に記載の使用。
  13. 抗体の製造のための、請求項1から5の1つに記載のペプチドの使用。
  14. 請求項1から5の1つに記載の1種若しくはそれ以上のペプチドを含有する製薬学的組成物。
  15. 請求項1から5の1つに記載のペプチドをコードする核酸分子。
  16. 請求項15に記載の核酸分子を包含するベクター。
  17. 請求項15に記載の核酸分子の助けを借りて、若しくは、請求項16に記載のベクターの助けを借りて、それらが請求項1から5の1つに記載のペプチドを産生するように遺伝子的に変えられた細胞。
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