従来、電子写真方式を用いた画像形成装置では、所定の回転軸を中心に回転する像保持体の表面を帯電させて、帯電された像保持体表面に光ビームを照射することにより、この像保持体の表面に画像情報に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を可視剤としてのトナーによって現像することによって静電潜像に応じたトナー像を形成し、このトナー像を記録用紙や中間転写体等の被転写体に転写し、最終的にトナー像を記録用紙へ定着させる一連の画像形成プロセスによって、記録媒体へ画像を形成している。
また、カラー画像を高速かつ高画質に形成可能とした画像形成装置としては、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色等の各々色の異なるトナー像を形成する4つの画像形成ユニットを、互いに並列的に配置し、これらの各画像形成ユニットで順次形成されるイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色等の各色のトナー像を、中間転写ベルト上に一旦多重に一次転写した後、この中間転写ベルトから転写用紙上に一括して二次転写し、転写用紙上にトナー像を定着することによって、フルカラーや白黒の画像を形成するように構成した所謂フルカラータンデム機が種々提案され製品化されている。
このフルカラータンデム機は、図8に示すように、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各々色の異なるトナー像を形成する4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kを備え、これらの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kは、水平方向に所定の間隔を隔てて、並列的に配置されている。
4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kは、形成するトナー像の色が異なるほかは、すべて同様に構成されており、感光体ドラム(像保持体)101の表面を接触型の帯電装置102によって一様に帯電した後、当該感光体ドラム101の表面に画像露光装置103によって画像露光を施して、各色の画像情報に応じた静電潜像を形成する。
感光体ドラム101の表面に形成された静電潜像は、対応する色の現像装置104により顕像化されてトナー像となり、当該トナー像は、一次転写用の帯電器105によって中間転写ベルト106上に順次多重に転写される。
なお、感光体ドラム101の表面に残留したトナーは、クリーニング装置(クリーニング手段)107によって除去され、次の画像形成工程に備える。
中間転写ベルト106は、4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kにわたってその下方に配設されているとともに、駆動ローラを含む複数本のローラ108〜112によって感光体ドラム101の回転速度と等しい速度で循環駆動されるようになっている。
中間転写ベルト106上に順次多重に転写されたイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナー像は、当該中間転写ベルト106の下方に設けられた二次転写位置において、中間転写ベルト106の表面と接触する二次転写ロール113によって、所定のタイミングで給紙される転写用紙114上に一括して転写される。
その後、転写用紙114は、図示しない定着装置まで搬送され、当該定着装置によって熱及び圧力で定着処理を受け、装置の外部に排出され、フルカラーや白黒の画像が形成される。
ところで、このような画像形成装置において、被転写体へトナー像が転写された後の感光体ドラム(像保持体)の表面に、未転写のトナーなどが残留すると、画質劣化の要因となるため、これらの残留物を除去する必要がある。
このような残留物を除去する方式として、像保持体との摺接によって機械的に残留物を掻き取る方式、特に、板状のクリーニングブレードを像保持体の周面に対向配置させ、このクリーニングブレードの先端部を像保持体の表面に圧接させる方式が多く採用されている。
ここで、小粒径のトナー等がクリーニングブレードの先端部分に堆積して、回転する感光体ドラムとの摩擦でクリーニングブレードに溶融固着してしまうことがある。このようなブレードの先端と感光体ドラムとの間でクリーニングブレードにトナーが固着した状態で感光体ドラムを回転させると、感光体ドラムの外周面を摩耗させたり傷がついたりして劣化し、感光体ドラムの寿命を縮める虞がある。
感光体ドラムの寿命向上を図る技術としては、接触帯電器の印加バイアスの切り替えにより、感光体ドラムの磨耗レートを抑える等の技術が多く提案されている。
例えば、接触帯電器の印加バイアスの切り替えにより感光体ドラムの寿命延長を図る技術は、特開平8−19022号公報、特開平8−137204号公報、特開2001−109332号公報等に開示されている。
このような従来技術では、非画像部分や単色時に交流成分を印加しないようにしている。
また、特開平10−186809号公報等に開示される技術では、交流重畳帯電用電源とDC帯電用電源を手動で切り替えるようにしている。
上記従来技術は、接触帯電器の交流成分を重畳したときよりも、DC成分のみで帯電させたときの方が、感光体ドラムの磨耗レートが少ないことを利用したものである。
また、特開2003−43777号公報に開示される技術では、黒色に対応する画像形成ユニットの感光体のみ他の画像形成ユニットの感光体より表面電位を低電位に設定することで長寿命化を図っている。
しかしながら、上記従来技術は、いずれも単色時の磨耗レート問題に対処するものであり、タンデム方式の画像形成装置にそのまま適用することは困難である。
即ち、タンデム方式の画像形成装置では上述したように、感光体ドラム101の表面に形成された静電潜像は、対応する色の現像装置104により顕像化されてトナー像となり、トナー像は一次転写用の帯電器105によって中間転写ベルト106上に順次多重に転写される。
そして、上記の行程において、中間転写ベルトと感光体の間に放電が生じ、中間転写体上のトナーの電荷が中和もしくは逆極に帯電されトナーが逆転移する現象、いわゆるリトランスファーを生じる。
このようなリトランスファートナーは下流エンジン(転写順位が遅い方のエンジン)にいく程増加する。
即ち、一番上流(転写順位が一番早い側)の感光体ドラムは、下流(転写順位が遅い側)の感光体ドラムに比べブレードニップ上に突入するトナー量が少なくなってしまう。そのため、最上流に位置する感光体ドラムとクリーニングブレードの摩擦係数が高くなり、下流エンジンに比べ磨耗量が増加し、感光体ドラムの寿命が他のエンジンに比べ短くなってしまうという問題に対しては従来技術では対処することができないという問題があった。
さらに、感光体ドラムの寿命が各色のエンジン毎に異なると、交換のタイミングが変わってしまうのでメンテナンス回数が多くなり、運用コストが嵩むという課題も生じる。
特開平8−19022号公報
特開平8−137204号公報
特開平8−19022号公報
特開2001−109332号公報
特開平10−186809号公報
特開2003−43777号公報
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機の概略構成を示す側面図、図2は本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機の一部の画像形成ユニットを示す側面図、図3は本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機の機能構成を示すブロック図、図4は本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機の電源部を示す回路図、図5は帯電電位の飽和状態を示すグラフ、図6はトナー色と補正値の関係を示す表、図7は感光体ドラムの摩耗レートとトナー回収量の関係を示すグラフである。
図1には、本発明の実施の形態に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラー複写機M1の概略構成を示している。
なお、本発明は、タンデム型のデジタルカラープリンタ等にも適用できる。
タンデム型のデジタルカラー複写機M1は、本体1の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)3と、自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る原稿読取装置4が配設されている。
この原稿読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
原稿読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。また、画像処理装置12は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、所定の画像処理を行なうようになっている。
そして、上記のように画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8ビット)の4色の原稿再現色材階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置14に送られ、画像露光装置14では、所定の色の原稿再現色材階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
ところで、本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機M1では、各々色の異なるトナー像を形成する複数の画像形成ユニット13Y〜13Kを並列的に配置するとともに、各画像形成ユニット13Y〜13Kの上部にわたって、当該複数の画像形成ユニット13Y〜13Kで形成された各色のトナー像が転写される中間転写ベルト25を配置し、さらに画像形成ユニット13Y〜13Kの下方に、各画像形成ユニット13Y〜13Kの像保持体(感光ドラム)15Y〜15Kに画像の書き込みを行なう画像書込手段301を配置するように構成されている。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト25からトナー像が転写される転写媒体を、鉛直方向の下方から上方に向けて搬送し、中間転写ベルト25から転写媒体上にトナー像を転写する二次転写手段302を、中間転写ベルト25の側方(図1上は左側方)に設けるように構成されている。
さらに、本実施の形態では、複数の画像形成ユニット13Y〜13Kのうち、中間転写ベルト25の移動方向の最下流側(一次転写の順位が遅い側)に、黒色のトナー像を形成する画像形成ユニットU4を配置するように構成されている。
即ち、タンデム型のデジタルカラー複写機M1の本体1の内部には、図1および図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている(なお、図2では、画像形成ユニット13Yと13Mのみを示している)。
これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、すべて同様に構成されており、大別して、所定の速度(例えば、165mm/sec)で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム15(15Y〜15K)と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する帯電用の帯電ロール16と、さらに、帯電ロール16の感光体ドラム15と反対側の上方部には、帯電ロール16の表面に接触するクリーナー部材としてのクリーニングロール50が設けられている(図2参照)。
ここで、感光体ドラム15について詳細に説明する。
本発明に係る画像形成装置の像保持体に相当する感光体ドラム15としては、有機感光体や、アモルファスシリコン感光体やセレン系感光体などの無機系の感光体など公知の感光体を用いることができるが、コスト、製造性および廃棄性等の点で優れた利点を有する有機感光体が好適に用いられる。
有機感光体としては、導電性基体上に少なくとも感光層が設けられた構成を有するものであれば特に限定されないが、本発明においては、導電性基体上に、電荷発生層と電荷輸送層とこの順に積層した機能分離型の感光層を有する有機感光体であることがクリーニング性の効果の発現に好適である。また、感光層の表面には必要に応じて表面保護層を設けたり、感光層と導電性基体や、感光層と表面保護層との間に必要に応じて中間層を設けることもできる。
なお、上記電荷輸送層上に設けた表面保護層には、耐摩耗性の観点から、架橋構造を有する樹脂が含まれていることが好ましい。
感光体ドラム15の表面にフッ素系樹脂粒子を含む電荷輸送層を設けた場合に、クリーニング部材と感光体ドラム15の表面との摩擦力を低減することによって感光体ドラム15の表面の傷や磨耗、クリーニングロール50の摩滅等を抑制し、感光体ドラム15の長寿命化がより図れると共に、長期使用での感光体ドラム15と後述するクリーニング装置18のクリーニングブレード42との空隙を抑制可能となり、よりクリーニング性能の長寿命化を得ることが可能となる。
フッ素系樹脂粒子が電荷輸送層中に添加される場合の含有量は、電荷輸送層を構成する材料全量に対し、0.1〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましく、特には3〜10重量%が好ましい。含有量が0.1重量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による摩擦低減効果が、感光体ドラム15の帯電器が接触型帯電器である場合には不充分となる場合がある。一方、40重量%を越えると電荷輸送層の光透過性及び電荷輸送性が顕著に低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じる場合がある。
なお、本発明で用いることができるフッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
また、フッ素系樹脂粒子の一次平均粒径は0.05〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。一次平均粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる場合があり、1μmを上回ると画質欠陥が発生しやすくなる場合がある。
感光体ドラム15の表面に架橋構造を有する樹脂を含む表面保護層を設ける場合は、架橋構造を有する樹脂としては、架橋構造を有するフェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及び硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にフェノール樹脂からなるものが好ましい。これらの架橋構造を有する樹脂は優れた耐磨耗性を有しているため、長期に渡って使用しても、感光体ドラム15の表面の磨耗や傷の発生を抑制することができる。
さらに、電気特性や画質維持性などの観点からは、架橋構造を有する樹脂は、電荷輸送性を有している(電荷輸送能を有する構造単位を含む)ことが好ましい。この場合に、感光体ドラム15が、基体上に電荷発生層と電荷輸送層とがこの順に積層され、さらに電荷輸送層の表面に架橋構造を有する樹脂を含む層が形成されたような層構成であれば、感光体ドラム15の表面を構成する架橋構造を有する樹脂を含む層が、電荷輸送層の一部として機能することもできる。
このような電荷輸送能を有する構造単位を含み、且つ、架橋構造を有する樹脂としてはシロキサン系樹脂が特に好ましく、その構造は特に限定されないが、例えば、無機ガラス質ネットワークサブグループ、可とう性有機サブユニット、電荷輸送性サブユニットを有するものが好ましく、特に下記一般式(1)で示されるものが好ましく利用できる。
一般式(1) G−D−F
但し、一般式(1)中、Gは無機ガラス質ネットワークサブグループ、Dは可とう性有機サブユニット、Fは電荷輸送性サブユニットを表す。
電荷輸送性サブユニットとしては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などが挙げられ、これらの中でも、本発明の電子写真感光体の電荷輸送層との組み合わせからトリアリールアミン系化合物が好ましい。
無機ガラス質ネットワークサブグループは、例えば反応性を有するSi基を有する構造が挙げられる。これが互いに架橋反応を起こし、3次元的なSi−O−Si結合を形成する。
可とう性有機サブユニットは、硬いが脆い無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与するものであり、具体例を挙げると、アルキレン直鎖や不飽和炭化水素基などが挙げられる。
図2に示すように、帯電ロール16は、導電性のシャフト16Aの周囲に帯電層16Bが形成されたものであり、シャフト16Aが回転可能に支持されている。クリーニングロール50は、シャフト50Aの周囲にスポンジ層(図には現れない)が形成されたものであり、シャフト50Aが回転可能に支持されている。
クリーニングロール50はシャフト50Aの両端部に配置された図示しないスプリングによって帯電ロール16に所定の圧力で押圧され、スポンジ層が帯電ロール16の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。
感光体ドラム15の支軸には図示しないモータが連結されており、感光体ドラム15が反時計回りに回転駆動される。また、感光体ドラム15の回転に従動して帯電ロール16が時計回りに回転する。また、帯電ロール16の回転に従動してクリーニングロール50が反時計回りに回転する。なお、帯電ロール16またはクリーニングロール50は、モータを連結して独自に回転駆動するように構成してもよい。
クリーニングロール50が従動回転することにより、帯電ロール16の表面のトナーや外添剤などの異物がクリーニングされる。
なお、クリーニングロール50のスポンジ層は、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有している。このクリーニングロール50は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。これにより、多数のセルを有するクリーニングロール50を安価に製造できる。クリーニングロール50は、帯電ロール16との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電ロール16の表面にクリーニングロール50の擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
ポリウレタンとして特に限定するものではなく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートの反応を伴っていれば良く、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど鎖延長剤が混合されていることが好ましい。また、水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させるのが一般的である。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えればよい。
次に、帯電ロール16の詳細について説明する。
この帯電ロール16は、導電性の金属製のシャフト16Aの周面上に、帯電層16Bとして半導電性弾性層、表面層が順次形成されたものである。半導電性弾性層の抵抗値の常用対数値は4〜7logΩ程度であり、最表面層は帯電ロール全体の抵抗値の常用対数値が6.5〜8.5logΩ程度になるように設定されている。本実施形態では、帯電ロール16の表面層の膜厚は1μm〜20μmである。
感光体ドラム15の表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光手段としての画像露光装置14と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像する現像器17と、感光体ドラム15の表面を清掃するクリーニング装置18とから構成されている。これらの感光体ドラム15と周辺に配置される画像形成部材は、一体的にユニット化されており、複写機本体1から個別に交換可能に構成されている。
画像露光装置14は、4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の原稿再現色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−K(図2では、LB−Y、LB−Mのみを示す)を階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記画像露光装置14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。
半導体レーザ装置から出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介してポリゴンミラーに照射され、このポリゴンミラー(図示せず)によって偏向走査される。このポリゴンミラーによって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、感光体ドラム15上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
画像露光装置14は、図1に示すように、下方から感光体ドラム15上に画像を走査露光するものであるため、この画像露光装置14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17などからトナー等が落下して、汚損される虞れを有している。そのため、画像露光装置14は、図2に示すように、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されているとともに、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y、21M、21C、21K(なお、図2では21Y,21Mのみが示される)が設けられている。
画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通して設けられた画像露光装置14に、各色の画像データが順次出力され、この画像露光装置14から画像データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム15の表面に走査露光され、静電潜像が形成される。
感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、現像器17Y、17M、17C、17K(図2は17Y,17Mのみが示される)によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの上方にわたって配置された転写ユニットの中間転写ベルト25上に、4つの一次転写ロール26Y、26M、26C、26K(図2では26Y,26Mのみが示される)によって多重に転写される。これらの一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kは、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15に対応した中間転写ベルト25の裏面側に配設されている。この実施の形態では、所望の体積抵抗値に調整されたロールが使用されている。
そして、一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kには、転写バイアス電源(図示しない)が接続されており、所定のトナー極性とは逆極性(本実施の形態では正極性)の転写バイアスが所定のタイミングで印加されるようになっている。
また、中間転写ベルト25は、図示しないドライブロールと、テンションロールと、バックアップロールとの間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動されるドライブロールにより、所定の速度で循環駆動されるようになっている。中間転写ベルト25は、例えば、チャージアップを起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。
図2は本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機M1の一部の画像形成ユニットを示すものである。
イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13K(図2では13Y,13Mのみを示す)は、すべてが同様に構成れており、これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。
各色の画像形成ユニット13Y、13M,13C、13Kは、上述したように、感光体ドラム15を備えており、これらの感光体ドラム15の表面は、帯電用の帯電ロール16によって一様に帯電される。その後、上記感光体ドラム15の表面は、画像露光装置14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LBが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。
感光体ドラム15上に走査露光されるレーザ光LBは、感光体ドラム15の直下よりやや右側寄りの斜め下方から露光されるように設定されている。感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17の現像ロール17aによってそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15の表面は、クリーニング装置(クリーニング手段)18によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
クリーニング装置18は、クリーニングブレード42を備えており、このクリーニングブレード42によって、感光体ドラム15上の残留トナー等を除去するようになっている。また、このクリーニングブレード42としては板金にゴムを貼り付けたものでもよいが、板金にSUS板とゴムを貼り付けた構成であれば、長期に使用してもへたらず、クリーニング機能を発揮することができる。
本実施の形態では、図4に示すように、イエロー色の現像器17Yと、マゼンタ色の現像器17Yに、バイアス印加用のコンデンサC1、C2を介して、同一の高圧電源としての高圧ユニット61によって、交流(AC)の現像バイアス電圧(所定のP−P電圧及び周波数)を印加するとともに、黒色用の現像器17Kと当該黒色用の現像器17Kに隣接して配置されるシアン用の現像器17Cに、バイアス印加用のコンデンサC3、C4を介して、同一の高圧電源としての高圧ユニット62によって交流(AC)の現像バイアス電圧(所定のP−P電圧及び周波数)を印加するように構成されている。
また、上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各現像器17Y、17M、17C、17Kには、それぞれ異なる高圧電源としての高圧ユニット63Y、63M、63C、63Kによって、直流(DC)の現像バイアス電圧を印加するように構成されている。
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの帯電ロール16Y、16M、16C、16Kには、それぞれ異なる高圧電源としての高圧ユニットによって、帯電バイアス電圧が個別に印加されるようになっている。
さらに、イエロー色の現像装置とマゼンタ色の現像装置に、現像バイアス電圧を印加する高圧ユニット及び黒色用の現像装置とシアン用の現像装置に現像バイアス電圧を印加する高圧ユニット、並びにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各帯電ロール16に帯電バイアス電圧を印加する高圧ユニットは、図示しない制御回路によって、印加電圧及び電圧のタイミングが制御されるようになっている。
ところで、上述のように構成したタンデム型のデジタルカラー複写機M1では各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17の現像ロール17aによってそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。この行程において、中間転写ベルト25と感光体ドラム15との間に放電が生じ、中間転写体25上のトナーの電荷が中和、もしくは逆極に帯電されトナーが逆転移する現象、いわゆるリトランスファーを生じる。このリトランスファートナーは下流エンジン(転写の順位が遅い側)にいく程増加することが分かっている。
また、上述のように構成したタンデム型のデジタルカラー複写機M1では、各帯電ロール16にバイアスを印加する際には、帯電ロール16と、これに対応する感光体ドラム15Y,15M,15C,15Kとの間で放電が生じ、この放電により、感光体ドラム15Y,15M,15C,15Kが所定の電位に帯電される。このバイアスを印加する際、特に、その交流成分を大きくすると、交流成分の振幅により感光体の表面が傷等のダメージを被り感光体ドラム15Y,15M,15C,15Kの磨耗が促進されて、その寿命が短くなってしまう。
一方、バイアス中の交流成分を小さくすると、スポット的に帯電不良が発生して、白点状の画像欠陥が生じてしまう。
ここで、感光体ドラム15の表面電位は、直流バイアス(直流電圧/電流)により決定され、具体的には、交流バイアス(交流電圧/電流)がパッシェンの法則により導かれる放電開始電圧の約15倍の振幅となるまでは、感光体ドラム15の表面電位は、交流バイアスの増加に伴って増大し、略2倍の振幅を超えると印加した直流バイアスと略同等な電位(一定電位)に収束する。そして、過大な交流バイアスの印加による感光体の磨耗を防止し、過小な交流バイアスの印加による画像欠陥の発生を防止するための適正な交流バイアス値は、感光体ドラム15の表面電位が、直流バイアスと略同等に収束する際の交流バイアス電圧/電流値(以下、飽和電流値とも称する)に、所定の補正値を乗じた値である。
本実施の形態においては、感光体ドラム15は表面保護層を有する方がなお好適である。
表面保護層は、架橋構造を有するフェノール系樹脂でできたもので、表面保護層の厚さが7.3μm、電荷輸送層の厚さが17μmのものである。感光体帯電電位VH=700V、VL=300V、交流バイアス周波数は1365Hzとした。また直流バイアスとしては、−700Vの低電圧とし、交流バイアスが所定以上のときは、感光体表面電位として−700Vを得ることができた。22℃/55%の環境下で、直流電流値(感光体帯電電位)が飽和する交流電流値に対して、19%の比率を乗じた交流電流値に設定した。
ここで、図3は、本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機の要部の概要を示している。
図3において、制御部500は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の帯電器503Y,503M,503C,503Kに対応するAC電源61,501,502,62を制御して、交流値に乗じる比率(補正値)を適宜制御している。
なお、帯電器503Y,503M,503C,503Kは、本実施の形態において
帯電ロール16に相当する。
また、図5は、感光体帯電電位(V)と交流電流値(mA)の関係において、帯電電位が飽和するポイントを示している。
図5において範囲Aは、画像劣化の影響が出難い適正な交流電流値の範囲を例示している。
なお、ここにいう適正な交流電流値は、飽和電流値×所定の比率(補正値)で得ることができる。
また、図6に示す表は交流値に掛け比率とかぶり、白点、黒点との関係を示している。
ここにいう「かぶり」とは、現像装置からの背景部へのトナー付着量である。この表に示すように、補正値19%の場合は各色において画像欠陥の発生を防止するのに適度な値であることが分かる。
上記の条件の他に、感光体プロセススピード165mm/Sec、画像エリアカバレッジ5%、ランレングス5枚の条件下で、感光体ドラムの磨耗量を計測する為に3万枚(30kpv)の通紙試験を行った。
エンジンごとの感光体磨耗レート(量)のばらつきをおさえ、サービスコストを低減する為の比率としては、最大値と最小値の比率が1.2以下になることが理想である。
通紙試験終了後の感光体磨耗量を各ドラムで計測したところ、Y=6.0、M=4.2、C=4.1、K=3.9nm/kcycleとなり、感光体ドラム15Yの磨耗レートが一番大きく、最大値と最小値の磨耗量の比率が1.54であり、磨耗ライフのばらつきが大きい結果となった。また、この時のトナー回収量を計測したところY=0.58、M=1.0、C=1.05、K=1.1g/1kpvとなり、Yが一番少ない結果となった。すなわち、ブレードニップ上にいくトナー量が上流エンジン(転写順位が早い側)が最も少なく、計測したところ下流エンジン(転写順位が遅い側)に比べ摩擦係数が高いことが分かった。
次に、Y位置のみ他の感光体よりも補正値を3%下げ、16%で同様の通紙試験を行った。この補正値を低減することにより、感光体上にトナーかぶりが発生し、クリーニングブレードニップ上にいくトナーを増やすことができる。またこの16%は図6の表に示すように、画像欠陥に対して適切な補正値である。
試験の結果、磨耗レートはY=4.65、M=4.2、C=4.1、K=3.9nm/kcycleとなり、最上流(転写順位が最も早い)のYと磨耗レートの最も少ないKの磨耗レートの比率が、1.2となり、理想の1.2以下になることが分かった(図7のグラフ参照)。
また、この時のトナー回収量を計測したところ、Y=0.85、M=1.05、C=1.1、K=1.15g/kpvとなり、イエローのトナー回収量と他のエンジンとの差が低減していることがわかった。
さらに、Y位置のみ他の感光体よりも補正値を6%下げ、13%で同様の通紙試験を行った。この補正値を低減することにより、感光体上にトナーかぶりが発生し、ブレードニップ上にいくトナーを増やすことができる。またこの16%は図7の表に示すように、イエローの画像欠陥に対して適切な補正値である。
その結果磨耗レートはY=4.3、M=4.2、C=4.1、K=3.9nm/kcycleとなり最上流(転写順位が最も早い)のYと磨耗レートの最も少ないKの磨耗レートの差の比率が、1.10となりさらに比率を改善できた。
また、この時のトナー回収量を計測したところ、Y=1.00、M=1.05、C=1.1、K=1.15g/kpvとなり、イエローのトナー回収量と他のエンジンとの差が低減していることがわかった。以上の試験から、各エンジンのトナー回収量を同様にすることで、エンジン位置による感光体磨耗差を改善できた。
さらに、Y位置のみ他の感光体よりも補正値を8%下げ、11%で同様の通紙試験を行ったが、試験途中で画質劣化が激しくなり、使用不可能であるということが分かった。
すなわち、補正値としては3〜6%下げることが好ましいことが分かった。
従来においては、画質欠陥が増加することを懸念して補正値を下げることを行わなかったが、図6の表に示すように本実施の形態では補正値を低減しても色の淡いイエローであるため、「かぶり」が画像に出難く、画質欠陥もなく良好な画質状態を保つことが確認された。
さらに、補正値を下げることで交流成分を低減することができるので感光体のダメージを低減することが可能である。
また、通紙テストをしたところ、200kpvを超えても画質欠陥が見られず、結果磨耗レートはY=4.4、M=4.2、C=4.1、K=3.9nm/kcycleとなり、エンジンの位置によるばらつきもなく感光体の寿命を飛躍的に向上させることが出来た。
また、上記のように最上流(転写順位が最も早い側)のエンジンにトナーバンドを入れることでYのブレードニップ上のトナー量を増やしても同様の効果が得られる。
量としては、下流(転写順位が遅い側)のエンジンとブレードニップ上にいくトナー量と同等にするのが好ましく、0.3〜0.6g/1kpv程度であることが好ましい。動作タイミングとしては、感光体ドラム15上にプロセスコントロール用の濃度制御を行うためのパッチを形成するが、当該濃度用のパッチに続いて、感光体ドラム15Yの全幅に渡って、幅10mmのトナーバンドを形成し、50pvごとに0.015g〜0.03gの量を入れるのが好ましい。また上記トナーバンドは、制御回路の制御の下、通常の画像を形成する画像形成手段によって形成されが、当該トナーバンドの濃度は30%〜70%である。
以上述べたように本実施の形態に係るタンデム型のデジタルカラー複写機M1によれば、装置の大型化やコストアップを招くことなく、装置の大型化やコストアップを招くことなく像保持体(感光体ドラム15)の磨耗差を低減して寿命を向上させることができる。
なお、同等の構成を備えるタンデム型のデジタルカラープリンタ等においても同様の効果を得ることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。