JP2008308748A - 銅膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定温度に加熱されている基板を、前記加熱温度で不活性な不活性ガス雰囲気内に載置して、前記基板の表面に向けて前記加熱温度で蒸発する溶媒中に蟻酸銅を溶解した蟻酸銅溶液を噴霧し、前記加熱温度下で噴霧された蟻酸銅溶液中の溶媒を蒸発し且つ前記蟻酸銅を触媒を用いることなく熱分解して、前記基板の所定面に薄膜の銅膜を形成することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
かかる無電解銅めっきには、ホルムアルデヒド等の有害物質を使用せざるを得ず、無電解銅めっき液の廃液処理には煩雑な処理を必要としている。
この様な無電解銅めっきを用いることなく、基板の一面側に銅膜を形成できる銅膜の形成方法として、蟻酸銅を熱分解して銅膜を形成する方法が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、減圧雰囲気内で蟻酸銅を熱分解し、ポリイミドフィルムの一面に銅を析出させること、下記特許文献2には、基板の一面側に蟻酸銅溶液を塗布・乾燥した後、レーザ光照射して銅を析出させて銅配線を形成することが提案されている。
また、下記特許文献3には、基材表面にパラジウムを共存させて蟻酸銅を熱分解して銅膜を形成することが提案され、下記特許文献4には、一般式[RCOO]m[NH3]nCuXp(m=1〜3,n=1〜3,p=0〜1)で表される銅化合物を基材表面に配置し、銅の非酸化雰囲気下で加熱処理することによって、基材表面に銅膜を形成できることが提案されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2では、基板上の粉末状の蟻酸銅を熱分解して銅膜を形成しているが、蟻酸銅の熱分解の際に、炭酸ガス等の熱分解ガスが発生し、銅膜がポーラス状となる。このため、充分な導電性を呈し得る銅膜を形成するには、膜厚を2μm程度とする必要がある。
従って、特許文献1及び特許文献2の方法では、膜厚が1μm以下の薄膜で充分な導電性を呈する銅膜を形成することは困難である。
かかる特許文献1,2に対して、特許文献3では、高価なパラジウムを使用するため、膜形成コストが高価となり、且つ基材面でのパラジウムの分散状態が、形成される銅膜の純度等の状態に影響を与えるため、均斉な銅膜を形成することは至難である。
そこで、本発明は、加熱雰囲気温度の均一性の影響を受け易く、基材面に薄膜で且つ均斉な銅膜を形成することが困難であるという、蟻酸銅又はその化合物を熱分解する従来の銅膜の形成方法での課題を解決し、安定で取扱性が良好な蟻酸銅を用い、基板面に薄膜で且つ均斉な銅膜を形成できる銅膜の形成方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、所定温度に加熱されている基板を、前記加熱温度で不活性な不活性ガス雰囲気内に載置して、前記基板の表面に向けて前記加熱温度で蒸発する溶媒中に蟻酸銅を溶解した蟻酸銅溶液を噴霧し、前記加熱温度下で噴霧された蟻酸銅溶液中の溶媒を蒸発し且つ前記蟻酸銅を熱分解して、前記基板の所定面に薄膜の銅膜を形成することを特徴とする銅膜の形成方法にある。
かかる本発明において、蟻酸銅を触媒を用いることなく熱分解することによって、高価な触媒を使用することの膜形成コストの増加を抑制でき、且つ基材面での触媒の分散状態に因る銅膜のばらつきを防止でき均斉な銅膜を形成できる。
本発明で用いる不活性ガスとしては、窒素ガスを用いることが最も経済的であり、蟻酸銅溶液として、蟻酸銅をアンモニア水が添加されたアルコール溶液に溶解して得た蟻酸銅溶液を用いることによって、蟻酸銅を安定して溶解できる。
更に、基板の加熱温度を130〜200℃とすることによって、基板として樹脂基板を用いた場合でも、樹脂基板に対しても熱損傷を与えることを防止できる。
また、蟻酸銅溶液の噴霧を間欠的に行うことによって、蟻酸銅溶液を噴霧した際の基板の温度低下を可及的に少なくできる。
尚、銅膜として、膜厚が1μm以下の銅膜を形成することが好ましい。
基板を所定温度に加熱することによって、基板が載置された雰囲気も加熱雰囲気となっている。この加熱雰囲気中に噴霧された蟻酸銅溶液の霧滴は、加熱雰囲気中に浮遊しつつ、加熱雰囲気から加熱されて溶媒を蒸発させながら基板面に薄膜状に均一に付着する。
しかも、かかる加熱雰囲気中を浮遊している蟻酸銅溶液の霧滴は、浮遊中に溶媒が蒸発して蟻酸銅が析出し、更に蟻酸銅の一部が分解されて銅又はその前駆体となって基板面に付着する。
この様に、本発明では、蟻酸銅溶液の霧滴が溶媒を蒸発させながら基板面に薄膜状に均一に付着することと、基板面に銅又はその前駆体も付着することとが相俟って、蟻酸銅の熱分解ガスによる影響を、蟻酸銅溶液を基板面に直接塗布して銅膜を形成する場合に比較して可及的に少なくでき、基板の所定面に均斉で且つ薄膜の銅膜を形成できる。
かかる基板は、図1に示す様に、下方側に窒素供給口14が設けられていると共に、上方側に窒素ガス及び熱分解ガス等が排出される排ガス出口16が設けられた箱体12内に挿入されている。箱体12内は、窒素供給口14から供給された窒素ガスによって不活性ガス雰囲気となっている。
かかる箱体12内には、ヒータブロック18が設けられており、ヒータブロック18上に基板10が載置されて所定温度に加熱されている。この加熱温度は、窒素供給口14から箱体12内に導入される窒素ガスが不活性状態を維持できる温度とする。具体的には、基板10の温度が130〜200℃となるようにヒータブロック18の加熱温度を調整することが好ましい。
この様に、所定温度に加熱されている基板10の一面側に向けて、基板10の加熱温度で蒸発する溶媒中に蟻酸銅を溶解した蟻酸銅溶液を、噴霧ノズル20から噴霧する。噴霧ノズル20には、箱体12の外側に設けられた原料供給槽22から配管24を経由して蟻酸銅溶液が供給される。
また、蟻酸銅としては、入手し易く、室温で安定しており、且つ水又はアルコール(エチルアルコール)に溶解し易い等の観点から蟻酸銅四水塩を好適に用いることができる。
かかる蟻酸銅溶液の噴霧ノズル20からの噴霧は、基板10の温度を可及的に維持できるように間欠的に行うことが好ましい。噴霧ノズル20から基板10に向けて蟻酸銅溶液を連続して噴霧していると、噴霧された霧滴中の溶媒の蒸発によって基板10の温度が低下し易くなるからである。
この様に、噴霧ノズル20から基板10に向けて噴霧された蟻酸銅溶液の霧滴は、箱体12内の雰囲気温度及び基板10の加熱温度で溶媒が蒸発して析出した蟻酸銅を触媒を用いることなく熱分解して、基板10の一面側に薄膜の銅膜を形成する。
例えば、噴霧ノズル20から噴霧された蟻酸銅溶液の霧滴の一部は、箱体12内の雰囲気温度で溶媒が蒸発しつつ基板10の一面側に到達し、基板10上で溶媒が完全に蒸発して蟻酸銅が析出する。析出した蟻酸銅は、基板10の加熱温度によって熱分解され、前駆体を経由して銅となる。
また、蟻酸銅溶液の霧滴の一部は、浮遊している間に、箱体12内の雰囲気温度で溶媒が完全に蒸発し、析出した蟻酸銅が基板10の一面側に付着して、基板10の加熱温度によって熱分解され、前駆体を経由して銅となる。
或いは、蟻酸銅溶液の霧滴の一部は、浮遊している間に、箱体12内の雰囲気温度で溶媒が完全に蒸発して析出した蟻酸銅が更に熱分解されて前駆体となって基板10の一面側に付着し、基板10の加熱温度によって熱分解されて銅となる。
この様にして、基板10の一面側に付着した銅によって、基板10の一面側に薄膜の銅膜が形成される。かかる銅膜は、1μm以下の膜厚とすることが好ましい。
例えば、図3(a)に示す基板30の一面側に形成した樹脂層32に、レーザによって底面に基板面が露出する図3(b)に示す凹部34を形成した後、凹部34の底面に残留する樹脂残渣を除去すべく凹部34の底面にエッチングを施す。かかるエッチングによって、図3(c)に示す様に、凹部34の底面側に微細なアンダーカット部34aが形成される。
図3(c)に示す凹部34が形成された基板30を、図1に示すヒータブロック18上に載置し、噴霧ノズル20から蟻酸銅溶液を噴霧することによって、図3(d)に示す様に、アンダーカット部34aの内壁面を含む凹部34の内壁面に沿って薄膜の銅膜36を形成できる。
一方、スパッタ法によって、図3(c)に示す、アンダーカット部34aを具備する凹部34に銅膜を形成せんとすると、アンダーカット部34aの内壁面に沿って銅膜を形成できない。
尚、以上の説明では、箱体12内を窒素ガス雰囲気としていたが、アルゴンガス等の周期律表O族の不活性ガス雰囲気としてもよい。
この基板10の他面側を、箱体12内に設けられているヒータブロック18上に載置し、ヒータブロック18内の加熱ヒータを調整して基板10の一面側を190〜200℃となるように加熱した.
箱体12内には、下方側に設けられた窒素供給口14から窒素ガスを60リットル/分で供給し、上方側に設けられた排ガス出口16から分解ガスを含む窒素ガスを排出した。
かかる基板10の一面側には、その一面側から高さ40cmの箇所に設けた噴霧ノズル20から、蟻酸銅四水和物、アンモニア水及びエタノールが混合された蟻酸銅液を噴霧した。この蟻酸銅液には、蟻酸銅四水和物0.2g、アンモニア水1ml及びエタノール100mlの割合で配合されている。
噴霧ノズル20からの蟻酸銅液の噴霧は間欠的に行った。具体的には、蟻酸銅液を0.5秒間噴霧した後、10秒間休止してから再度噴霧した。かかる蟻酸銅液の噴霧を140回行って、基板10の一面側に厚さ55nmの銅膜を形成した。そのシート抵抗は1Ωであった。
尚、形成した銅膜の同定及び膜厚の測定は、蛍光X線膜厚測定装置(Fisherscope社製のX-ray System XDVM-W)によって行った。
形成した銅膜は厚さが500nmであって、シート抵抗は1Ωであった。
基板30では、図3(d)に示す様に、銅膜36は凹部34のアンダーカット部34aの内壁面に沿っても形成されていた。
12 箱体
14 窒素供給口
16 排ガス出口
18 ヒータブロック
20 噴霧ノズル
22 原料供給槽
24 配管
30 基板
32 樹脂層
34a アンダーカット部
34 凹部
36 銅膜
Claims (7)
- 所定温度に加熱されている基板を、前記加熱温度で不活性な不活性ガス雰囲気内に載置して、前記基板の表面に向けて前記加熱温度で蒸発する溶媒中に蟻酸銅を溶解した蟻酸銅溶液を噴霧し、
前記加熱温度下で噴霧された蟻酸銅溶液中の溶媒を蒸発し且つ前記蟻酸銅を熱分解して、前記基板の所定面に薄膜の銅膜を形成することを特徴とする銅膜の形成方法。 - 蟻酸銅を触媒を用いることなく熱分解する請求項1記載の銅膜の形成方法。
- 不活性ガスとして、窒素ガスを用いる請求項1又は請求項2記載の銅膜の形成方法。
- 蟻酸銅溶液として、蟻酸銅をアンモニア水が添加されたアルコール溶液に溶解して得た蟻酸銅溶液を用いる請求項1〜3のいずれか一項記載の銅膜の形成方法。
- 基板の加熱温度を130〜200℃とする請求項1〜4のいずれか一項記載の銅膜の形成方法。
- 蟻酸銅溶液の噴霧を間欠的に行う請求項1〜5のいずれか一項記載の銅膜の形成方法。
- 銅膜として、膜厚が1μm以下の銅膜を形成する請求項1〜6のいずれか一項記載の銅膜の形成方法。
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