JP2008308467A - フェナントレン誘導体及びそれらを用いた有機el素子 - Google Patents

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悟史 井川
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Abstract

【課題】新規なフェナントレン誘導体、及び高効率、高輝度かつ高耐久性である有機EL素子を提供する。
【解決手段】陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層と、から構成され、該有機化合物からなる層に下記式(1)で示されるフェナントレン誘導体が少なくとも一種類含まれることを特徴とする、有機EL素子。
Figure 2008308467

(式(1)において、R1は、置換基を有してもよいナフタレン骨格を含む4環又は5環の縮合環を表し、該縮合環の蛍光発光エネルギーは250kJ/mol以上380kJ/mol以下である。R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、フェナントレン誘導体及びそれらを用いた有機EL素子に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と言う。)は、陽極と陰極と間に蛍光性有機化合物又は燐光性有機化合物を含む薄膜を挟持している素子である。また、各電極から電子及びホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合物又は燐光性化合物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態に戻る際に、有機EL素子は光を放出する。
1987年のコダック社の研究(非特許文献1)では、機能分離型2層構成の有機EL素子が開示されている。非特許文献1によれば、陽極としてITOを、陰極としてマグネシウムと銀との合金を、電子輸送材料及び発光材料としてアルミニウムキノリノール錯体を、ホール輸送材料としてトリフェニルアミン誘導体を、それぞれ構成材料とする素子が開示されている。また、この素子は、10V程度の電圧を印加すると、1000cd/m2程度の発光が得られることが非特許文献1において報告されている。
また、蛍光性有機化合物の種類を変えることにより、紫外から赤外までの発光が可能であり、最近では様々な化合物の研究が活発に行われている。例えば、特許文献1乃至8等で開示されている化合物が挙げられる。
このように有機EL素子における最近の進歩は著しく、その特徴として、低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、発光デバイスの薄型、軽量化が可能であることが挙げられる。このことから、有機EL素子は広汎な用途への可能性を示唆している。
しかしながら、現状では更なる高輝度の光出力あるいは高変換効率が必要である。また、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気等による劣化等の耐久性の面でも未だ多くの問題がある。さらにはフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合は色純度のよい青、緑、赤の発を必要とするが、これらの問題に関してもまだ十分に解決したとは言えない。
米国特許第5,151,629号明細書 米国特許第5,409,783号明細書 米国特許第5,382,477号明細書 特開平2−247278号公報 特開平3−255190号公報 特開平5−202356号公報 特開平9−202878号公報 特開平9−227576号公報 特開平10−189247号公報 特開2005−235787号公報 特開2000−7587号公報 特開2000−7594号公報 特開2005−68087号公報 Appl.Phys.Lett.51,913(1987) HANDBOOK OF PHOTOCHEMISTRY (SECOND EDITION,REVISED AND EXPANDED)/DEKKER社(1993年)
有機EL素子をディスプレイ等の表示装置に応用するためには、高効率で高輝度な光出力を必要とすると同時に表示装置へ応用するのに十分な耐久性を確保する必要がある。しかし従来の有機EL素子では、これらの問題に関してまだ十分に解決できるものではない。
ところで、有機EL素子の発光効率、輝度、耐久性の諸問題を解決するための手段として、縮合環を含む化合物を素子の構成材料として使用することが提案されている。この縮合環を含む化合物として、例えば、広い平面性を有する縮環構造を有する化合物が挙げられる。この化合物の具体例として、特許文献9乃至特許文献13にて開示されている5員環縮環構造を持つベンゾフルオランテン誘導体化合物が挙げられる。しかし、これらの化合物は、縮合環自体が大きいため、縮合環同士で重なりやすいものであった。このため、縮合環同士の重なりによる濃度消光が生じるという問題があった。
本発明の目的は、新規なフェナントレン誘導体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高効率、高輝度かつ高耐久性である有機EL素子を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、製造が容易でかつ比較的安価に作製可能な有機EL素子を提供することにある。
本発明のフェナントレン誘導体は、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする。
Figure 2008308467
(式(1)において、R1は、置換基を有してもよいナフタレン骨格を含む4環又は5環の縮合環を表し、該縮合環の蛍光発光エネルギーは250kJ/mol以上380kJ/mol以下である。R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
本発明によれば、新規なフェナントレン誘導体が提供できる。また本発明によれば、高効率、高輝度かつ高耐久性である有機EL素子が提供できる。
本発明のフェナントレン誘導体を、特に、発光層の構成材料として使用している本発明の有機EL素子は、高効率発光のみならず、従来用いられている化合物よりも長い期間高輝度を保つことができるので、優れた素子である。また、本発明の有機EL素子は、同じ電圧値での電流値が大きく、低電圧駆動が期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のフェナントレン誘導体は、下記一般式(1)で示される化合物である。
Figure 2008308467
式(1)において、R1は、置換基を有してもよいナフタレン骨格を含む4環又は5環の縮合環を表す。
また、R1で表される縮合環は、縮合環自体が有する蛍光発光エネルギー(Es)が250kJ/mol以上380kJ/mol以下である。蛍光発光エネルギーがこの範囲にある場合、その縮合環は、発光性コアの骨格として、特に、分子間相互作用によって色度変化が現れやすい青色発光性コアとして採用することができる。
このように一般式(1)中のR1で表される縮合環が、青色発光性コアとして採用できるかについては、当該縮合環自体の蛍光発光エネルギーによって判断すればよい。尚、縮合環自体の蛍光発光エネルギーの具体的なデータについては、例えば、非特許文献2を参照するとよい。また蛍光発光エネルギー(Es)は、例えば、日立蛍光分光光度計F−4500を用いて、当該縮合環に相当する化合物の希薄溶液の発光波長(nm)を測定し、下記式にその測定波長を代入することによっても求めることができる。
Es=119600/[発光波長(nm)]
1で表され、蛍光発光エネルギーが250kJ/mol以上380kJ/mol以下であり、かつナフタレン骨格を含む4環又は5環の縮合環として、具体的には、ピレン、フルオランテン、クリセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、トリフェニレン、ベンゾフルオランテン等が挙げられる。好ましくは、ピレン、フルオランテン、クリセン、ベンゾフルオランテンである。
尚、R1は、置換基を有してもよく、具体的には、後述するR2で表される置換基を有してもよい。
式(1)において、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
2で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
2で表される炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2で表されるアミノ基として、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N,N−ジフルオレニルアミノ基,N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−ターシャリブチルフェニル)アミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2で表されるシリル基として、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ターシャリブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
2で表される複素環基として、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のアミノ基、シリル基及び複素環基が有してもよい置換基として、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等の炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
本発明のフェナントレン誘導体の好適例について、以下に説明する。
第一の好適例は、下記式(2)で示される化合物である。
Figure 2008308467
式(2)において、R2及びR3は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
2及びR3で表されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アミノ基、シリル基及び複素環基、並びにアミノ基、シリル基及び複素環基が有していてもよい置換基の具体例は、式(1)中のR2と同様である。
第二の好適例は、下記式(3)で示される化合物である。
Figure 2008308467
式(3)において、R2及びR4は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
2及びR4で表されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アミノ基、シリル基及び複素環基、並びにアミノ基、シリル基及び複素環基が有していてもよい置換基の具体例は、式(1)中のR2と同様である。
第三の好適例は、下記式(4)で示される化合物である。
Figure 2008308467
式(4)において、R2及びR5は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
2及びR5で表されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アミノ基、シリル基及び複素環基、並びにアミノ基、シリル基及び複素環基が有していてもよい置換基の具体例は、式(1)中のR2と同様である。
以下本発明のフェナントレン誘導体の具体例を下記に示す。但し、これらは、あくまでも代表例であり、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2008308467
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層と、から構成される。
以下、図面を参照しながら本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の実施形態の例を示す断面図であり、(a)は、第一の実施形態を、(b)は、第二の実施形態を、(c)は、第三の実施形態を、それぞれ示す図である。
図1に示した有機EL素子は、いずれも透明基板15上に、膜厚が50nm乃至200nmである透明電極14と、複数層の有機膜層と、この複数層の有機膜層を挟持する金属電極11と、を有する点で共通している。
図1(a)の有機EL素子1aは、上から金属電極11、発光層12、ホール輸送層13及び透明電極14が順次積層されている積層体が透明基板15上に設けられている。
図1(a)に示す構成の有機EL素子1aは、電気的整流性を示す。即ち、金属電極11を陰極に透明電極14を陽極になるように電界を印加すると、金属電極11から電子が発光層12へ注入され、透明電極15からホールが発光層12へ注入される。次に、注入されたホール及び電子が発光層12内で再結合することにより、発光層12内に含まれる蛍光性又は燐光性の発光材料の励起子が生じる。この励起子が基底状態に戻るときに、有機EL素子1aは発光する。このときホール輸送層13は、電子をブロッキングする役割を果たすので、発光層12とホール輸送層13との間の界面におけるホール及び電子の再結合効率が向上する。このため発光効率が向上する。
図1(b)の有機発光素子1bは、図1(a)の有機EL素子1aにおいて、金属電極11と発光層12との間に、電子輸送層16が設けられている。電子輸送層16を設けることによって、発光性の機能と電子輸送性の機能を分離することができる。また、電子輸送層16はホールをブロッキングする役割を果たすので、キャリア、特に、ホールをより効果的にブロッキングすることができる。このため発光効率が向上する。
図1(c)の有機発光素子1cは、図1(b)の有機発光素子1bにおいて、電子輸送層16と発光層12との間に、励起子拡散防止層17が設けられている。励起子拡散防止層17とは、ホール又は励起子(エキシトン)が陰極側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層)をいう。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物を、励起子拡散防止層17(ホール/エキシトンブロッキング層)の構成材料として用いると、発光効率の向上に効果的である。
本発明の有機EL素子は、図1に示す実施形態に限定されるものではない。例えば、図1(c)の有機発光素子1cにおいて、金属電極11と電子輸送層16との間に、セシウムやカリウム、金属錯体を、電子輸送層にドーピングした電子注入層を介在層として設けることも可能である。
本発明の有機EL素子は、有機化合物からなる層に本発明のフェナントレン誘導体が少なくとも一種類含まれることを特徴とする。図1で示される実施形態において、有機化合物からなる層とは、発光層12、ホール輸送層13、電子輸送層16及び励起子拡散防止層17をいう。本発明のフェナントレン誘導体は、好ましくは、発光層12に含まれる。
発光層12は、本発明のフェナントレン誘導体のみで構成されてもよいが、好ましくは、ホストとゲストとで構成される。発光層12がホストとゲストとで構成される場合、本発明のフェナントレン誘導体は、ホストであってもよいし、ゲストであってもよい。
また、本発明のフェナントレン誘導体は、発光層12内に一種類含まれていてもよいし、二種類以上含まれていてもよい。発光層12内に本発明のフェナントレン誘導体が二種類以上含まれる場合、好ましくは、当該フェナントレン誘導体のうち、少なくとも一種類がホストであり、少なくとも一種類がゲストである。
さらに、発光層12がホストとゲストとで構成される場合、好ましくは、ゲストからの発光が蛍光発光である。
発光層12が、キャリア輸送性のホストとゲストとからなる場合、発光にいたる主な過程は、以下のいくつかの過程からなる。
1.発光層内での電子・ホールの輸送
2.ホストの励起子生成
3.ホスト分子間の励起エネルギー伝達
4.ホストからゲストへの励起エネルギー移動
このように有機EL素子の発光は、それぞれの過程における所望のエネルギー移動や、様々な失活過程との競争の中で起こる。
有機EL素子の発光効率を高めるためには、発光中心材料そのものの発光量子収率が大きいことは言うまでもない。しかしながら、ホスト−ホスト間、あるいはホスト−ゲスト間のエネルギー移動が如何に効率的にできるかも大きな問題となる。また、通電による発光劣化は今のところ原因は明らかではないが、少なくとも発光中心材料そのもの、又は、その周辺分子による発光材料の環境変化に関連するものと想定される。
そこで本発明のフェナントレン誘導体を、有機EL素子の電荷輸送層、発光層の構成材料として、好ましくは、発光層の構成材料として、より好ましくは、発光層を構成するホスト又はゲストとして使用する。こうすることにより、素子の発光効率が向上し、長い期間高輝度を保ち、かつ通電劣化を小さくすることができる。
通電による発光劣化の原因の一つとして、発光層に含まれるゲストとなる分子が移動することによりゲスト同士が接近することで起こるエキシマー生成も考えられる。発光材料の分子形状に、フルオランテン等の広い平面構造をもつ縮合環が含まれていると、分子同士の共役面の重なり合いが大きくなり、分子間におけるエキシマーの生成確率が高くなる。その結果、エキシマーの生成を防ぐために高濃度でゲストを使用できないので発光サイトが不足する。また、ゲストとなる分子が移動してゲスト同士が接近すると、発光分子同士の相互作用により消光が生じ易くなる。
ところで、本発明のフェナントレン化合物は以下の構造的特徴を有する。
(i)発光性コアであるR1がナフタレン骨格を有する
(ii)フェナントレン骨格が有するナフタレン骨格とR1が有するナフタレン骨格とが1,1’−ビナフチル構造を形成するように、フェナントレン骨格とR1とが結合している
これらの構造的特徴を有することにより、本発明のフェナントレン化合物は、フェナントレン骨格が有するナフタレン骨格とR1が有するナフタレン骨格とがそれぞれペリ位の水素を有する。このペリ位の水素同士が反発することにより、フェナントレン骨格とR1との間で立体障害が発生する。この立体障害により、分子自体が、平面構造をとることができずに立体的に嵩高い構造となる。その結果、分子同士の接近が抑制される。また、この立体障害により、フェナントレン骨格とR1との共役が切断される。ここでフェナントレン骨格は共役が短いため非発光性部位となるので、発光性コアであるR1に由来する発光のみが得られる。従って、上記(i)及び(ii)の特徴を有することにより、本発明のフェナントレン化合物は高濃度でも色変化の少ない発光を得ることが可能である。また本発明のフェナントレン化合物を含む有機EL素子は、発光コアである縮環構造から由来する発光波長を有し、なおかつ発光効率が良好である。
上記のように、本発明のフェナントレン誘導体は、発光層に用いることが効果的であるが、電子輸送層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層及び正孔注入層の構成材料として使用しても有効である。
次に、本発明の有機EL素子の構成材料として使用され、本発明のフェナントレン誘導体以外の部材について説明する。
発光層12は、本発明のフェナントレン誘導体を構成材料として含むものであるが、本発明のフェナントレン誘導体を発光層12のホスト又はゲストとして用いる場合に、対応するゲスト又はホストとして、公知の発光性材料等を用いることができる。
本発明のフェナントレン誘導体が発光層12のホストである場合、対応するゲストとして、具体的には、6,12−ジフェニルアミノクリセン、9,10−ジフェニルアミノアントラセン、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセンを用いてもよい。
また本発明のフェナントレン誘導体が発光層12のゲストである場合、対応するホストとして、具体的には、オリゴフルオレン、下記式で示されるCBP、NPD等を用いてもよい。
Figure 2008308467
ホール輸送層13の構成材料として、例えば、トリフェニルジアミン誘導体が挙げられる。トリフェニルジアミン誘導体の代表例としては、α−NPD等が挙げられる。また、トリフェニルジアミン誘導体以外の電子供与性を有する材料も適宜用いることができる。
電子輸送層16の構成材料として、例えば、オキサジアゾール誘導体等を用いることができる。
励起子拡散防止層17として、バソフェナントロリンやBalq等を用いることができる。
透明電極14の構成材料として、仕事関数が大きいITO等が用いられる。仕事関数が大きい材料を透明電極14の構成材料にすると、透明電極14からホール輸送層13へホールを注入しやすくなる。
金属電極11の構成材料として、アルミニウム、マグネシウムあるいはこれらを組み合わせた合金等のように、仕事関数の小さい金属材料が用いられる。仕事関数の小さい金属材料を金属電極11にすることで、有機化合物からなる層へ電子を注入しやすくなる。金属電極11は単一の層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。
本発明のフェナントレン誘導体を含む有機化合物からなる層を作製する場合は、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、インクジェット法等により製膜することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(例示化合物No.P−4の合成)
Figure 2008308467
100mlナスフラスコに以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物1−1:222mg(1mmol)
化合物1−2:281mg(1mmol)
Pd(PPh34:0.1g
トルエン:10ml
エタノール:5ml
2M−炭酸ナトリウム水溶液:10ml
次に、この反応溶液を、窒素気流下で80℃に加熱しながら8時間攪拌を行った。反応終了後、析出した結晶をろ別し、水、エタノールで順次洗浄を行った。得られた結晶をトルエンで熱時ろ過した後、トルエン/ヘプタンで再結晶を行った。得られた結晶について120℃で真空乾燥した後、昇華精製を行うことにより例示化合物No.P−4を330mg(収率:87%)得た。
MALDI−TOF MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりこの化合物のM+である378.1を確認した。
また、発光スペクトルを測定したところ、図2に示す発光スペクトルが観測された。
実施例1において、化合物1−1の代わりに化合物3−1を用いる以外は、実施例1と同様の方法で行うことで例示化合物No.P−2を合成することができる。
Figure 2008308467
実施例1において、化合物1−1の代わりに化合物4−1を用いる以外は、実施例1と同様の方法で行うことで例示化合物No.P−7を合成することができる。
Figure 2008308467
実施例2
本実施例では、素子構成が図1(b)で示される有機化合物からなる層が3層である有機EL素子を作製した。
まずガラス基板上にITOを膜厚100nmでパターニングした。そのITO基板上に、有機化合物からなる層及び電極層(陰極)を10-5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着により連続製膜し、対向する電極面積が3mm2になるようにした。
具体的には、まず下記式で示される化合物Aを蒸着しホール輸送層13を形成した。このときホール輸送層13の膜厚を20nmとした。次に、ホストである下記式で示される化合物Bとゲストである例示化合物No.P−4とを、重量濃度比で95:5となるように共蒸着し発光層14を形成した。このとき発光層14の膜厚を25nmとした。次に、Bphenを蒸着し、電子輸送層16を形成した。このとき電子輸送層16の膜厚を40nmとした。次に、KFを蒸着し、第一の金属電極層を形成した。このとき第一の金属電極層の膜厚を1nmとした。最後にAlを蒸着し、第二の金属電極層を形成した。このとき第二の金属電極層の膜厚を100nmとした。ここで、第一の金属電極層及び第二の金属電極層は金属電極11として機能する。
Figure 2008308467
以上のようにして有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子について、電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定したところ、例示化合物No.P−4に由来する発光を確認することができた。
本発明の有機EL素子における実施形態の例を示す図であり、(a)は第一の実施形態を示す図であり、(b)は第二の実施形態を示す図であり、(c)は第三の実施形態を示す図である。 例示化合物No.P−4の発光スペクトルを示す図である。
符号の説明
1a,1b,1c 有機EL素子
11 金属電極
12 発光層
13 ホール輸送層
14 透明電極
15 透明基板
16 電子輸送層
17 励起子拡散防止層

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする、フェナントレン誘導体。
    Figure 2008308467
    (式(1)において、R1は、置換基を有してもよいナフタレン骨格を含む4環又は5環の縮合環を表し、該縮合環の蛍光発光エネルギーは250kJ/mol以上380kJ/mol以下である。R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
  2. 下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のフェナントレン誘導体。
    Figure 2008308467
    (式(2)において、R2及びR3は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
  3. 下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のフェナントレン誘導体。
    Figure 2008308467
    (式(3)において、R2及びR4は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
  4. 下記一般式(4)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のフェナントレン誘導体。
    Figure 2008308467
    (式(4)において、R2及びR5は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。)
  5. 陽極と陰極と、
    該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層と、から構成され、
    該有機化合物からなる層に請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフェナントレン誘導体が少なくとも一種類含まれることを特徴とする、有機EL素子。
  6. 前記フェナントレン誘導体が発光層に含まれることを特徴とする、請求項5に記載の有機EL素子。
  7. 前記発光層がホストとゲストとからなり、該ホストが前記フェナントレン誘導体であることを特徴とする、請求項6に記載の有機EL素子。
  8. 前記発光層がホストとゲストとからなり、該ゲストが前記フェナントレン誘導体であることを特徴とする、請求項6に記載の有機EL素子。
  9. 前記発光層がホストとゲストとからなり、該ホスト及び該ゲストが前記フェナントレン誘導体であることを特徴とする、請求項6に記載の有機EL素子。
  10. 前記ゲストからの発光が蛍光発光であることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の有機EL素子。
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