JP2006273737A - アミノスチリル化合物、有機電界発光素子、および表示装置 - Google Patents

アミノスチリル化合物、有機電界発光素子、および表示装置 Download PDF

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真理 市村
Yoshihisa Miyabayashi
善久 宮林
Yasuharu Ujiie
康晴 氏家
Kazunori Takada
一範 高田
Shinichiro Tamura
眞一郎 田村
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Abstract

【課題】アモルファス性および熱に対する化学的安定性が高い、青色発光に適するアミノスチリル化合物、これを用いた有機電界発光素子およびこの素子を用いた表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)に示すアミノスチリル化合物。このアミノスチル化合物は、有機電界発光素子の有機層において、特に発光層に含有される。
Figure 2006273737

【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子用の有機材料として好適に用いられるアミノスチリル化合物、このアミノスチリル化合物を用いて構成された有機電界発光素子、および表示装置に関する。
近年、自発光であって、応答速度が高速であり、視野角依存性のないフラットパネルディスプレイの一候補として、有機電界発光素子(有機EL素子)を用いた有機ELディスプレイが注目されており、それを構成する有機材料への関心が高まっている。その中でも特に、発光効率が高く駆動寿命の長い各色発光材料を見出すことは、フルカラー表示の有機ELディスプレイ実現にとって不可欠な課題となっている。
有機電界発光素子の発光層を構成する材料としては、様々な有機化合物が研究されているが、中でも、スチリルアミン系材料はキャリア輸送性が高いだけでなく、製膜特性にも優れ、薄膜デバイス材料として有望な材料と考えられている。
例えば、下記特許文献1には、分子内に2個のアミンを有する電子供与性スチリル化合物少なくとも2種以上を発光層に含有させることで、色純度の高い青色光を発する有機電界発光素子が得られると記載されている。また、下記特許文献2には、ジアミン構造の末端にビニル二重結合が置換したアミノスチリル化合物を発光材料として用いることにより、黄色〜赤色に発光する有機電界発光素子が得られると記載されている。さらに、下記特許文献3には、アントラセンとビニル二重結合を含み、アミノ基を含んでもよい芳香族化合物を、有機EL素子における電子輸送層や正孔輸送層に用いること、さらには発光層にアミノスチリル化合物を用いる構成が記載されている。
特開平8−239655号公報 特開2001−131541号公報 特開2003−306454号公報
ところで、有機電界発光素子の開発においては、発光層を構成する発光材料の選択は、素子の信頼性を確保する上で最重要の課題である。しかし、特許文献1、2、3に示された材料は、発光材料として必ずしも最適な構造ではなく、有機電界発光素子の長寿命化の観点からは、蛍光量子収率、アモルファス性、熱に対する化学的安定性が十分であるとは言い難い。
また、有機電界発光素子を用いた表示装置においてフルカラー表示を実現するために、青、緑、赤の各色に発光する有機発光材料に関して様々な検討もなされている。特に青色発光材料については、色純度、発光効率および発光寿命などの点でさらなる改良が求められている。
そこで本発明は、熱に対する化学的安定性が高く、所望の発光色の発光材料として適するアミノスチリル化合物を提供すること、さらにはこれを用いることで減衰率が低くて寿命特性に優れた色純度の高い発光を実現可能な有機電界発光素子およびこの素子を用いた表示装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明は、有機電界発光素子を構成する有機材料として好適に用いられるアミノスチリル化合物であり、下記一般式(1)で示されるZ体、E体のアミノスチリル化合物である。
Figure 2006273737
この一般式(1)の末端を構成するAr1、Ar4、Ar5、Ar7およびAr8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数25以下のアリール基、または炭素数25以下の複素環基を表している。そして、これらのアリール基または複素環基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、シアノ基、フルオロアルキル基、フッ素原子によってさらに置換されていても良い。
一方、一般式(1)中のAr2、Ar3、およびAr6は、それぞれ独立に、炭素数25以下のアリーレン基、または炭素数25以下の2価の複素環基を表している。
そして特に、以上のAr1〜Ar8のうち、Ar4とAr5、およびAr7とAr8は、それぞれが互いに結合して炭素環を形成していても良い。
以上のような一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物は、以降に実施例において説明するように、ガラス転移温度が100℃以上、かつ結晶化温度が観測されないまたは観測される場合はガラス転移温度より20℃以上高いことから、アモルファス性が非常に高く耐熱性に関して非常に優れていることが確認された。
また、このアミノスチリル化合物は、正孔輸送性を示すアミン部と電子輸送性を示す二重結合部とを有する低抵抗の両電荷輸送性材料となる。そして、その構造内には、アミン部と二重結合部とが1つずつ設けられているため、正孔輸送性と電子輸送性とのバランスが取れた材料となっている。このため、このアミノスチリル化合物を発光層に用いた本発明の有機電界発光素子においては、発光層の広範囲が発光領域として用いられるようになり、駆動電圧の低減化と発光効率の向上が図られる。また、このアミノスチリル化合物は、芳香族に二重結合が連続した構造となっており、高い蛍光量子収率が実現される。
しかも、一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物は、分子内に縮合環、二重結合、およびアミン部を有しており、縮合環のサイズに依存させて発光色が設定される。このため、所望の発光色が得られるような分子設計が容易である。また、特にアミン部を備えたことにより、非常に色純度の良好な青色発光材料とすることも可能である。
以上説明したように本発明によれば、一般式(1)に示す熱に対する化学的安定性が高く、かつ正孔輸送性と電子輸送性とのバランスを取り易いく薄膜の抵抗を低減化できるスチリルアミン化合物を発光層として用いて有機電界発光素子を構成することにより、発光効率が高く、かつ減衰率が低くて寿命特性に優れた色純度の高い発光を実現することが可能となる。またこのように発光効率が高く、かつ寿命特性に優れた青色発光が可能な有機電界発光素子を青色発光素子として用いて表示装置を構成することにより、他の赤色発光素子および緑色発光素子と組み合わせることで、色再現性および信頼性の高いフルカラー表示が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を、アミノスチリル化合物、このアミノスチリル化合物の合成方法、このアミノスチリル化合物を用いた有機電界発光素子および表示装置の順に説明する。
<アミノスチリル化合物>
下記一般式(1)で示される本発明のアミノスチリル化合物のさらに詳細な構成を説明する。
Figure 2006273737
この一般式(1)の末端を構成するAr1、Ar4、Ar5、Ar7、およびAr8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数25以下のアリール基、または炭素数25以下の複素環基を表している。そして、これらのアリール基または複素環基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、シアノ基、フルオロアルキル基、フッ素原子によってさらに置換されていても良い。ただし、アリール基または複素環基をさらに置換する置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アリール基の場合、これらの置換基の炭素数は14個以下であることが好ましい。これにより、たとえば真空蒸着時の熱負荷を軽減させることが出来、結果として分解を抑制することが出来る。
一方、一般式(1)中のAr2、Ar3、およびAr6は、それぞれ独立に、炭素数25以下のアリーレン基、または炭素数25以下の2価の複素環基を表している。
そして特に、以上のAr1〜Ar8のうち、Ar4とAr5、およびAr7とAr8は、それぞれが互いに結合して炭素環を形成していても良い。また、Ar4とAr5とは、二重結合に対して同じ側にあるZ体でも良く、二重結合に対して反対側にあるE体であっても良い。ただし、このスチリルアミノ化合物を合成し、E体またはZ体のみを生成して用いる場合には、収率を得やすいことを考慮してE体であることが好ましい。一方、以降に説明するように、このスチリルアミノ化合物を、有機電界発光素子の青色発光材料として用いる場合、その発光波長を短波長化しやすいことからZ体であることが好ましい。
この中でも、一般式(1)の末端を構成するAr4が水素原子であることが好ましく、これにより、二重結合の捩じれを小さくして蛍光性を大きくすることができる。
以上のような一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物について、Ar2を具体化した例として下記一般式(2)〜(17)が例示される。ただし、下記一般式(2)〜(17)中におけるAr1,Ar3,Ar5,Ar6,Ar7,およびAr8(すなわち、Ar2,Ar4以外)は、一般式(1)と同様である。
Figure 2006273737
Figure 2006273737
また、さらに一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物について、Ar7,Ar8以外を具体化した例として、下記一般式(2)-1〜一般式(17)-5が例示される。ただし、これらの一般式中におけるAr7,Ar8は、一般式(1)と同様である。尚、下記の各一般式は、上記一般式(1)〜一般式(11)におけるAr1、Ar3、Ar5、およびAr6をそれぞれ置換した構成となっている。
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
以上の他にも、下記一般式(21)〜一般式(43)が例示される。
Figure 2006273737
Figure 2006273737
さらに具体的な一例としては、下記構造式(2)-1〜構造式(17)-2に示す各アミノスチリル化合物が示される。これらの構造式で示したアミノスチリル化合物は、本発明のアミノスチル化合物の一例として、上記一般式(2)〜一般式(17)に対応させた例であり、本発明のアミノスチリル化合物のあくまでも一例である。
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
Figure 2006273737
以上のような一般式および構造式で例示されるアミノスチリル化合物のうち、特に一般式(1)において末端を構成するAr1、Ar5、Ar7、およびAr8に相当する部分が、炭素数6以上18以下で構成されるアリール基であることが好ましい。これにより、たとえば真空蒸着時の熱負荷を軽減させることが出来、結果として分解を抑制することが出来る。
また特に、一般式(1)中のAr1に相当する部分が、置換または無置換のフェニル、ナフチル、アントラニル基であることが好ましい。またさらに、一般式(1)中のAr2に相当する部分が、置換または無置換のアントラセニレン基であることが好ましい。これによりこのスチリルアミン化合物を純度の高い青色発光の発光材料として用いることが可能になるとともにたとえば真空蒸着時の熱負荷を軽減させることが出来、結果として分解を抑制することができる。
そして、一般式(1)中のAr3に相当する部分が、置換または無置換のフェニレン、ナフタレン、アントラセニレン基であることが好ましい。このように、環数の限定されたアリーレン基をAr3の部位に用いることで、純度の高い青色発光の発光材料として用いることが可能になる。
<アミノスチリル化合物の合成方法>
以上のような構成の一般式(1)に示すアミノスチリル化合物の合成方法としては、下記に示すように一般式(50)に示すケトン化合物と、一般式(51)に示すケトン化合物とを、低原子価チタン存在下において還元的にカップリングすることによって得られる。尚、一般式(50)および一般式(51)中におけるAr1〜Ar8は、一般式(1)中のAr1〜Ar8に対応していることとする。
Figure 2006273737
以上説明したアミノスチリル化合物は、ガラス転移温度が100℃以上と耐熱性に関して非常に優れていることが確認された。しかも、このような構成のアミノスチリル化合物は、蒸着等の成膜性及び耐久性にとって有利なアモルファス性を示す材料である。したがって、このスチリル化合物を用いて有機電界発光素子を構成することにより、材料の劣化が抑えられ、安定な発光を持続することが可能になる。
また、以上のアミノスチリル化合物は、同一分子内に、アミン部と二重結合部とを有している。このため、正孔輸送性と電子輸送性とを示す両電荷輸送性材料となる。また、その構造内には、アミン部と二重結合部とが1つずつ設けられていることから、正孔輸送性と電子輸送性とのバランスが取れた材料となっている。このため、以降に説明するように、有機電界発光素子の発光層を構成する発光材料として、このアミノスチリル化合物を用いることで、発光層の広範囲を発光領域とすることが可能になる。これにより、有機電界発光素子における発光効率の向上が図られる。
ドナー性のアミン部とアクセプター性の縮合芳香族部が分子の長軸の方向に最も離れた位置に存在することから誘電率の高い薄膜を形成することが可能である。これにより、薄膜としての電気抵抗を軽減させることが出来、結果として駆動電圧を低減することが出来る。
また、芳香族に二重結合が連続した構造を備えた発光材料では、高い蛍光量子収率を実現できることが知られている。このことからしても、一般式(1)に示したように、二重結合に対してAr3で示したアリーレン基や複素環基を連結させた構成の本アミノスチリル化合物は、高い蛍光量子収率を実現できる発光材料であると言える。そして、このアミノスチリル化合物においては、薄膜としての蛍光収率が非常に高いことが確認された。またこのことからも、本アミノスチリル化合物を用いて発光層を構成することにより、有機電界発光素子の発光効率の向上が図られると言える。
しかも、一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物は、分子内に縮合環、二重結合、およびアミン部を有している。このため、以降に説明するように、このアミノ化合物を発光材料として用いた有機電界発光素子においては、縮合環のサイズに依存させて発光色を設定することができる。また、言い換えれば、一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物は、有機電界発光素子に所望の発光色が得られるような分子設計が容易である。
そして、特にアミン部を備えたことにより、非常に色純度の良好な青色発光材料として、本アミノスチリル化合物を分子設計することも可能である。
しかも、上述したように両電荷輸送性を有しているため、単独で発光層を構成しても有機電界発光素子の抵抗を低減することに効果的であり、以降に説明するように、有機電界発光素子の層構成を単純化することも可能である。
また本アミノスチリル化合物は、左右を非対称な構造とすることで分子量が小さく抑えられている。したがって、真空蒸着などによる成膜時において、材料にかかる熱負荷を小さく抑えることができ、熱分解や重合などを引き起こすことなく、化合物の特性を保ったままでの成膜が可能である。
<有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置−1>
次に、上述したアミノスチリル化合物を用いた有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置の第1例を模式的に示す断面図である。
この図に示す表示装置1は、基板2と、この基板2上に設けられた有機電界発光素子3とを備えている。有機電界発光素子3は、基板2上に、下部電極4、有機層5および上部電極6を順次積層してなり、基板2側または上部電極6側から発光光hを取り出す構成となっている。尚、この図においては、基板2上に1画素分の有機電界発光素子3を設けた構成を示しているが、この表示装置1は、複数の画素を備え、複数の有機電界発光素子3が各画素に配列形成されていることとする。
次に、この表示装置1を構成する各部の詳細な構成を、基板2、下部電極4および上部電極6、有機層5の順に説明する。
基板2は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなり、特にこの表示装置1が基板2側から発光hを取り出す透過型である場合には、この基板2は光透過性を有する材料で構成されることとする。
また基板2上に形成された下部電極4は、陽極または陰極として用いられるものである。尚、図面においては、代表して下部電極4が陽極である場合を例示した。
この下部電極4は、表示装置1の駆動方式によって適する形状にパターンニングされていることとする。例えば、この表示装置1の駆動方式が単純マトリックス方式である場合には、この下部電極4は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置1の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス方である場合には、下部電極4は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
一方、下部電極4上に有機層5を介して設けられる上部電極6は、下部電極4が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極4が陰極である場合には陽極として用いられる。尚、図面においては、上部電極6が陰極である場合が示されている。
そして、この表示装置1が、単純マトリックス方式である場合には、この上部電極6は例えば下部電極4のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機電界発光素子3となる。また、この表示装置1が、アクティブマトリックス方式である場合には、この上部電極6は、基板2上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。尚、表示装置1の駆動方式としてアクティブマトリックス方式を採用する場合には、有機電界発光素子3の開口率を確保するために、上部電極6側から発光hを取り出す上面発光型とすることが望ましい。
ここで、下部電極4(または上部電極6)を構成する陽極材料としては,仕事関数がなるべく大きなものがよく、たとえば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、酸化物、あるいは、酸化錫(SnO2)、ITO、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化チタン等が好ましく用いられる。
一方、上部電極6(または下部電極4)を構成する陰極材料としては仕事関数がなるべく小さなものがよく、例えば、マグネシウム、カルシウム、インジウム、リチウム、アルミニウム、銀やこれらの合金、さらには積層体が好ましく用いられる。
ただし、この有機電界発光素子3で生じた発光hを取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとする。一方、発光hを反射させる側となる電極は、その膜厚を調整することにより用途に合った光反射率を得ることができる。
例えば、この表示装置1が、基板2側から発光hを取り出す透過型である場合、陽極となる下部電極4としてITOのような光透過性を有する陽極材料を用い、陰極となる上部電極6としてアルミニウムのような反射率の良好な陰極材料を用いる。
一方、この表示装置1が、上部電極6側から発光hを取り出す上面発光型である場合、陽極となる下部電極4としてクロムや銀合金のような陽極材料を用い、陰極となる上部電極6としてマグネシウムと銀(MgAg)との化合物のような光透過性を有する陰極材料を用いる。ただし、MgAgは、緑色波長領域における光透過率が30%程度であるため、次に説明する有機層5は、共振器構造を最適化して取り出し光の強度が高められるように設計されることが好ましい。
そして、上述した下部電極4および上部電極6に狭持される有機層5は、陽極側(図面においては下部電極4側)から順に、例えば、正孔輸送層501、発光層503、電子輸送層505を積層してなるダブルへテロ構造となっている。
このうち、正孔輸送層501としては、NPB(N、N’−ビス(1−ナフチル)−N、N’−ジフェニル[1、1’-ビフェニル]−4、4’―ジアミン)、トリフェニルアミン2量体、3量体、4量体、スターバースト型アミンなどの公知の材料を単層もしくは積層して、或いは混合して用いることができる。特に、正孔輸送性能を向上させるため、複数種の正孔輸送材料を積層した正孔輸送層501を形成してもよい。
そして、この正孔輸送層501上に設けられる発光層503が、本実施形態に特徴的な層であり、上記一般式および構造式を用いて説明したアミノスチリル化合物を含有している。この発光層503は、上述したアミノスチリル化合物を発光性のゲスト材料とし、ホスト材料と混合してなる構成であって良い。また、この発光層503は、上述したアミノスチリル化合物のみを用いて構成されていても良い。
ここで、発光層503には、上記一般式および構造式を用いて説明したアミノスチリル化合物のE体のみ、またはZ体のみを用いることにより、発光hの色純度を高めることができる。一方、発光層503に、上記一般式および構造式を用いて説明したアミノスチリル化合物を2種以上の混合させて用いても良い。このように、特異的な複数種類のアミノスチリル化合物を混合させて用いることにより、たとえば白色発光を得ることが出来る。
また、上記一般式および構造式を用いて説明したアミノスチリル化合物を発光性のゲスト材料とする場合には、ホスト材料として、オキサジアゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、シロール、スチリルアリーレン、パラフェニレン、スピロパラフェニレン、Alq3、アリールアントラセン誘導体などの公知の材料を使用することができる。中でも、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)を良好に用いることができる。尚、ホスト材料としては、このスチリルアミノ化合物に効率良くエネルギーを伝達することが可能な材料を用いることが好ましい。つまり、発光性のゲスト材料として用いるアミノスチリル化合物の吸収スペクトルに対して、蛍光スペクトルの重なりが大きいホスト材料を用いることが好ましいのである。
またこのような構成の発光層503上に設けられる電子輸送層505には、Alq3、オキシジアゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、シロール誘導体、ビラゾリン類などの公知の材料を使用することができる。
以上説明した構成の他にも、ここでの図示は省略したが、陽極となる下部電極4と正孔輸送層501との間に、正孔注入層を挿入しても良い。
さらに電子輸送層505と陰極(上部電極)6の間に、電子注入層を挿入しても良い。電子注入層としては、酸化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化セシウム、フッ化ストロンチウムなどのアルカリ金属酸化物、アルカリ金属弗化物、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類弗化物などを用いることができる。このような電子注入層を挿入することにより電子の注入効率が上がるため、より好ましい構成となる。また、陽極と正孔輸送層501との間には、電荷注入効率を改善する目的で、有機物もしくは有機金属化合物からなる薄膜を設けてもよい。
上記述べたような材料による積層構造の有機層5の形成には、周知の方法にて合成された各有機材料を用いて、真空蒸着やスピンコートなどの周知の方法を適用することができる。
そして、このような構成の有機電界発光素子3を備えた表示装置1においては、大気中の水分や酸素等による有機電界発光素子3の劣化を防止するために、有機電界発光素子3を覆う状態でフッ化マグネシウムや窒化シリコン膜(SiNx)からなる封止膜を基板2上に形成しても良い。これにより、有機電界発光素子3における電荷注入効率や発光効率を向上できる。なお、封止膜は、その気密性が保たれれば、アルミニウム、金、クロム等の単金属又は合金など、適宜その材料を選択できる。
また、このような構成の有機電界発光素子3を備えた表示装置1においては、この有機電界発光素子3を青色発光素子とし、これと共に赤色発光素子や緑色発光素子を各画素に設け、これら画素をサブピクセルとして1画素を構成し、基板2上にこれらの画素を1組とした各画素を複数配列することで、マルチカラー表示またはフルカラー表示を行うものとしても良い。またここでの図示は省略したカラーフィルタを、発光光の取り出し電極側に設けることにより、マルチカラー表示またはフルカラー表示を行う構成としても良い。
尚、上記した各有機電界発光素子3に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、有機電界発光素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
以上説明した構成の有機電界発光素子3では、発光層503において電子/正孔の再結合が生じて一重項励起子が生成し、この一重項励起子から所定波長の光が発生されることになる。
そして、この有機電界発光素子3においては、上記一般式および構造式を用いて説明し、アミノスチリル化合物を発光層503に含有させた構成となっている。このアミノスチリル化合物は、上述したように高い蛍光量子収率を実現できる発光材料であり、また上述したように発光層503の広範囲を発光領域とすることが可能になる。したがって、有機電界発光素子3における発光効率の向上が図られる。しかも、発光層503の広範囲を発光領域とすることができるため、発光層503の劣化を防止することも可能であり、有機電界発光素子3の減衰率を低くして信頼性の向上を図ることが可能になる。
しかも、このアミノスチリル化合物は、上述したように分子設計によって容易に所望の発光色が得られるため、有機電界発光素子の色純度を高めることができる。特にアミン部を備えたことにより、非常に色純度の良好な青色発光の有機電界発光素子3を得ることができる。また、このアミノスチリル化合物をゲスト材料として、適切なホスト材料と組み合せて発光層503を構成することにより、さらに高輝度、高信頼性の青色〜橙色の発光素子を提供することができる。
そして、このような有機電界発光素子3を備えた表示装置1は、色純度の良好な青色発光の有機電界発光素子3と共に、赤色発光する有機電界発光素子および緑色発光する有機電界発光素子と組み合わせることで、色表現性の高いフルカラー表示を行うことが可能になる。
<有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置−2>
図2は、本発明の有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置の第2例を模式的に示す断面図である。この図に示す表示装置1’と、図1を用いて説明した構成の表示装置1との異なるところは、有機電界発光素子3’における有機層5’がシングルへテロ構造となっている点にあり、他の構成は同様であることとする。
すなわち、上記一般式および構造式を用いて説明した本アミノスチリル化合物は、正孔輸送性および電子輸送性を備えている。したがって、正孔輸送層および電子輸送層の少なくとも一方に、このアミノスチリル化合物を発光材料として含有させることで、正孔輸送性発光層や電子輸送性発光層を構成しても良い。
ここでは一例として、陽極(下部電極)4側から、正孔輸送光層と、本アミノスチリル化合物を発光材料として含有する電子輸送性発光層505’と、をこの順に積層したシングルへテロ構造の有機層5’を図示した。このようなシングルへテロ構造の有機層においては、これを狭持する陽極と陰極の間に直流電圧を印加することにより、正孔輸送層501−電子輸送性発光層505’との界面から電子輸送性発光層505’内の広い範囲において所定波長の光が発生することになる。
尚、シングルヘテロ構造は、これに限定されることはなく、本アミノスチリル化合物を発光材料として含有する正孔輸送性発光層(501’)と、電子輸送層(505)とを積層した構成であっても良い。また、ここでの図示は省略したが、本アミノスチリル化合物を発光材料として含有する正孔輸送性発光層および電子輸送性発光層を積層した構成であっても良い。これらのシングルへテロ構造の有機層においても、これを狭持する陽極と陰極の間に直流電圧を印加することにより、本アミノスチリル化合物を発光材料として含有する層内においての広い範囲において所定波長の発光光が発生することになる。
そして、このような第2例の構成に代表されるシングルヘテロ構造の有機電界発光素子3’であっても、上記一般式および構造式を用いて説明したアミノスチリル化合物を電子輸送性発光層505’や正孔輸送性発光層(501’)に含有させることにより、発光効率が高く、かつ減衰率が低くて信頼性の高い、色純度の良好な青色の波長領域の発光が得られる。そして、このような有機電界発光素子3’を備えた表示装置1’は、この有機電界発光素子3’と共に、赤色発光する有機電界発光素子および緑色発光する有機電界発光素子と組み合わせることで、色表現性の高いフルカラー表示を行うことが可能になる。
尚、以上の第1例および第2例で説明した実施の形態においては、本発明のアミノスチリル化合物を発光材料として用いた場合を説明した。しかしながら、本発明のアミノスチリル化合物は、正孔輸送性および電子輸送性を有するため、このアミノスチリル化合物を正孔輸送材料または電子輸送材料として用いても良い。
また本発明のアミノスチリル化合物が、上述したように非常にバランスの良好な正孔輸送性および電子輸送性を兼ね備えていることからすれば、陽極と陰極との間にアミノスチリル化合物を含有する両電荷輸送性の発光層を1層だけ含有させた有機電界発光素子を構成することも可能である。このような構成であれば、有機電界発光素子の構成をさらに単純化することもできる。
次に、本発明のアミノスチリル化合物の合成例、およびこのアミノスチリル化合物を用いた本発明の有機電界発光素子の実施例について具体的に説明する。尚ここでは先ず、本発明のアミノスチリル化合物の合成例を説明し、次いで合成したアミノスチリル化合物を用いた実施例の有機電界発光素子および比較例の有機電界発光素子の作製手順、さらにはこれらの評価結果を説明する。
<合成例>
下記合成式(1)を参照し、次のようにして構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を合成した。
Figure 2006273737
先ず、亜鉛(9.79g)をテトラヒドロフラン700ml中に縣濁させ、窒素雰囲気下氷浴上で攪拌した。この中に、三塩化チタン(11.6g)を少量づつ滴下して低原子価チタンを発生させ5分攪拌した。その後さらに、氷浴上において、撹拌物中に化合物(1)(7.87g)と化合物(2)(10.1g)のテトラヒドロフラン溶液(200ml)を滴下し、徐々に反応温度を上昇させた後に3時間還流した。反応終了後、氷浴上において、3規定塩酸500mlを添加してさらに3時間還流した。反応混合物を中和し、有機層を分液して飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムと混合して乾燥した。
得られた乾燥物を、シリカゲルクロマトグラフィー(Wako gel C-300:和光純薬工業社製商品名)にてトルエンを移動相として精製し、その後トルエン−ヘキサンより4回再結晶化させて黄色結晶7.00gを得た。収率50%であった。
得られた黄色結晶を1H−NMRおよびMS(EI法)測定により同定した結果、目的とする上記構造式(5)-2のアミノスチリル化合物が合成されたことが確認された。
また、合成された構造式(5)-2のアミノスチリル化合物の1,4−ジオキサン溶液についてスペクトル分析したところ、ジオキサン中の吸収スペクトルの極大値は400nm、蛍光スペクトルの極大値は464nmであった。また、合成したアミノスチリル化合物の薄膜状での蛍光スペクトルの極大値は475nmであった。
さらに、合成された構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を熱分析したところ、融点は278℃、ガラス転移温度は126℃であり、光電子分光装置(AC−2:理研計器株式会社製商品名)を用いての測定したイオン化ポテンシャルは5.72eVであった。
<実施例1>
以上のようにして合成した構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を用いて、以下のようにしてシングルへテロ構造の有機電界発光素子(図2参照)を作製した。
まず、真空蒸着装置中に、100nmの厚さのITOからなる陽極(下部電極4)が一表面に形成された30mm×30mmのガラス基板をセッティングした。また、複数の単位開口(2.0mm×2.0mm)を有する金属マスクを蒸着マスクとして、ガラス基板の陽極側に近接して配置した。
以上の状態で、真空蒸着法により10-4Pa以下の真空下において、正孔輸送材料である下記構造式の4,4’−ビス[N,N’−ジ(1−ナフチル)−N, N’−ジフェニル]ビフェニルジアミン(α−NPD)を65nmの膜厚に蒸着して正孔輸送層501を形成した。蒸着レートは各々0.2nm/秒とした。
Figure 2006273737
次いで、正孔輸送層501の形成に連続し、電子輸送性発光材料として上記構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を55nmの膜厚に蒸着して電子輸送性発光層505’を形成した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
さらに、陰極材料としてMgとAgの共蒸着膜を採用し、蒸着レート比Mg0.3nm/秒:Ag0.03nm/秒として、トータル70nmの膜厚に蒸着して陰極(上部電極6)を形成した。
以上のようにして構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を用いたシングルへテロ構造の有機電界発光素子3’を作製した。この有機電界発光素子3’は、電子輸送性発光層505’における発光hを陽極(下部電極4)側から取り出す透過型となる。
このように作製した有機電界発光素子3’に対して、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えて発光特性を評価した。発光色は青色であり、分光測定を行った結果、475nm付近に発光ピークを有する青色のスペクトルを得た。分光測定は、大塚電子社製のフォトダイオードアレイを検出器とした分光器を用いた。色度は(0.178,0.201)であった。
また、電圧−輝度測定を行ったところ、6Vで350cd/m2の輝度が得られた。
この有機電界発光素子を作製後、窒素雰囲気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されなかった。また、初期輝度300cd/m2で電流値を一定に通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減するまで1000時間であった。
尚、以上の評価結果を、下記表1にまとめて示す。
Figure 2006273737
<実施例2>
以上のようにして合成した構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を用いて、以下のようにしてシングルへテロ構造の有機電界発光素子(図2参照)を作製した。
実施例1と同様に、100nmの厚さのITOからなる陽極(下部電極4)が一表面に形成された30mm×30mmのガラス基板に、蒸着マスクを近接して配置した。この状態で、真空蒸着法により10-4Pa以下の真空下で正孔輸送性発光材料として上記構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を65nmの膜厚に蒸着して正孔輸送性発光層(501’)を形成した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
次いで、正孔輸送性発光層(501’)の形成に連続し、電子輸送材料である下記トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を55nmの膜厚に蒸着して電子輸送層(505)を形成した。蒸着レートは各々0.2nm/秒とした。
Figure 2006273737
その後、実施例1と同様にして、MgとAgの共蒸着膜からなる陰極(上部電極6)を形成した。
以上のようにしてアミノスチリル化合物を用いたシングルへテロ構造の有機電界発光素子3’を作製した。この有機電界発光素子3’は、正孔輸送性発光層(501’)における発光hを陽極(下部電極4)側から取り出す透過型となる。
このように作製した有機電界発光素子3’について、実施例1と同様に発光特性を評価した結果を、上記表1にまとめて示した。
<実施例3>
以上のようにして合成した構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を用いて、以下のようにしてダブルへテロ構造の有機電界発光素子(図1参照)を作製した。
実施例1と同様に、100nmの厚さのITOからなる陽極(下部電極4)が一表面に形成された30mm×30mmのガラス基板に、蒸着マスクを近接して配置した。この状態で、真空蒸着法により10-4Pa以下の真空下で正孔輸送性材料として上記αNPDを65nmの膜厚に蒸着して正孔輸送層501を形成した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
次いで、正孔輸送層501の形成に連続し、発光材料として上記構造式(5)-2のアミノスチリル化合物を40nmの膜厚に蒸着して発光層503を形成した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
次いで、発光層503の形成に連続し、電子輸送材料である下記トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を15nmの膜厚に蒸着して電子輸送層505を形成した。蒸着レートは各々0.2nm/秒とした。
その後、実施例1と同様にして、MgとAgの共蒸着膜からなる陰極(上部電極6)を形成した。
以上のようにしてアミノスチリル化合物を用いたダブルへテロ構造の有機電界発光素子3を作製した。この有機電界発光素子3は、発光層503における発光hを陽極(下部電極4)側から取り出す透過型となる。
このように作製した有機電界発光素子3について、実施例1と同様に発光特性を評価した結果を、上記表1にまとめて示した。
<実施例4>
実施例3におけるダブルヘテロ構造(図1参照)の有機電界発光素子3の製造手順において、発光層503の構成材料として、上記構造式(5)-2のアミノスチリル化合物と共に、下記9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)を用い、陰極を2層構造としたこと以外は、実施例3と同様に有機電界発光素子3を作製した。
Figure 2006273737
すなわち、発光層503の形成においては、上記アミノスチリル化合物を発光性のゲスト材料として用い、上記ADNをホスト材料として用いた。そして、アミノスチリル化合物を0.01nm/秒、ADNを0.2nm/秒の速度で共蒸着することにより、アミノスチリル化合物を5体積%で含有する膜厚40nmの発光層503を形成した。
その後、実施例3と同様にAlq3からなる電子輸送層505を形成した後、陰極(上部電極6)の形成においては、先ず、LiFを0.5nmの膜厚で蒸着した後、実施例1で説明したと同様に70nmの膜厚でMgとAgの共蒸着膜を形成した。これにより、LiF薄膜とこの上部のMgAgの共蒸着膜とからなる陰極(上部電極6)を形成した。
以上のようにして作製した有機電界発光素子3について、実施例1と同様に発光特性を評価した結果を、上記表1にまとめて示した。
<実施例5>
実施例4におけるダブルヘテロ構造(図1参照)の有機電界発光素子3の製造手順において、陽極(下部電極4)を反射材料とし、陰極(上部電極6)を光透過性の材料としたこと以外は、実施例4と全く同様の手順で、上面発光型の有機電界発光素子3を作製した。
すなわち、190nmの厚さのAg合金(反射層)上に12.5nmのITO透明電極を積層してなる陽極(下部電極4)が一表面に形成されたガラス基板を用意した。そして、この陽極上に、実施例4と同様にして、正孔輸送層501、発光層503、および電子輸送層505を形成した。
その後、陰極(上部電極6)の形成においては、先ず、LiFを0.5nmの膜厚で蒸着した後、実施例1で説明したと同様の手順で15nmの膜厚でMgとAgの共蒸着膜を形成した。これにより、LiF薄膜とこの上部のMgAgの共蒸着膜とからなる陰極を形成した。
以上のようにしてアミノスチリル化合物を用いたダブルへテロ構造の有機電界発光素子3を作製した。この有機電界発光素子3は、発光層503における発光hを陰極(上部電極6)側から取り出す上面発光型となる。
このように作製した有機電界発光素子3について、実施例1と同様に発光特性を評価した結果を、上記表1にまとめて示した。
<比較例>
実施例4におけるダブルへテロ構造(図1参照)の有機電界発光素子3の製造手順において、アミノスチリル化合物のかわりに下記BCzVBiを発光性のゲスト材料として用いてこと以外は、実施例4と同様にして透過型の有機電界発光素子を作製した。
Figure 2006273737
ただし、α−NPDからなる正孔輸送層501の膜厚を55nmとした。また、ADNをホスト、BCzVBiを発光性のゲスト材料とした発光層503の膜厚を35nmとした。さらに、Alq3からなる電子輸送層505の膜厚を18nmとした。
このように作製した比較例の有機電界発光素子について、実施例1と同様に発光特性を評価した結果を、上記表1にまとめて示した。
以上の表1から、BCzVBiを発光材料として用いた比較例の有機電界発光素子に対して、これとほぼ同一構成で、本発明のアミノスチリル化合物を発光材料として用いた実施例3〜5の有機電界発光素子は、半減寿命が同程度かこれよりも優れたものとなることが確認できた。この結果は、透過型であっても上面発光型であっても同様であるが、特に、実施例5の上面発光型の有機電界発光素子では、極めて高い輝度の発光が得られることが確認された。
また、実施例1〜5の有機電界発光素子ともに、その発光波長から良好な青色発光が得られることが確認された。特に、上面発光においては、共振構造で色度を補正することによりNTSCでの標準値の青色色度(0.14,0.08)に極めて近い、良好な青色発光が得られていることが確認された。
さらに、実施例1,2から、シングルへテロ構造の有機電界発光素子においても、色度よおび輝度の良好な青色発光が得られることが確認された。
有機電界発光素子の実施形態の第1例を示す断面図である。 有機電界発光素子の実施形態の第2例を示す断面図である。
符号の説明
1,1’…表示装置、2…基板、3,3’…有機電界発光素子、4…下部電極、5,5’…有機層、6…上部電極、501…正孔輸送層、501’…正孔輸送性発光層、503…発光層、505…電子輸送層、505’…電子輸送性発光層

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるアミノスチリル化合物。
    Figure 2006273737
    [ただし、一般式(1)中において、
    Ar1、Ar4、Ar5、Ar7、およびAr8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数25以下のアリール基、または炭素数25以下の複素環基を表すと共に、当該アリール基または複素環基はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、シアノ基、フルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていても良く、
    Ar2、Ar3、およびAr6は、それぞれ独立に、炭素数25以下のアリーレン基、または炭素数25以下の2価の複素環基を表し、
    Ar4とAr5、およびAr7とAr8は、それぞれが互いに結合して炭素環を形成していても良い。]
  2. 請求項1記載のアミノスチリル化合物において、
    前記一般式(1)中の
    Ar1、Ar5、Ar7、およびAr8が、炭素数6以上18以下で構成されるアリール基であり、
    Ar4が水素原子である
    ことを特徴とするアミノスチリル化合物。
  3. 請求項2記載のアミノスチリル化合物において、
    前記一般式(1)中の
    Ar1が置換または無置換のフェニル、ナフチル、アントラニル基であり、
    Ar2が置換または無置換のアントラセニレン基であり、
    Ar3が置換または無置換のフェニレン、ナフタレン、アントラセニレン基である
    ことを特徴とするアミノスチリル化合物。
  4. 少なくとも発光層を有する有機層が陽極と陰極との間に設けられている有機電界発光素子において、
    前記有機層に、下記一般式(1)に示すアミノスチリル化合物が含有されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2006273737
    [ただし、一般式(1)中において、
    Ar1、Ar4、Ar5、Ar7、およびAr8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数25以下のアリール基、または炭素数25以下の複素環基を表すと共に、当該アリール基または複素環基はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、シアノ基、フルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていても良く、
    Ar2、Ar3、およびAr6は、それぞれ独立に、炭素数25以下のアリーレン基、または炭素数25以下の2価の複素環基を表し、
    Ar4とAr5、およびAr7とAr8は、それぞれが互いに結合して炭素環を形成していても良い。]
  5. 請求項4記載の有機電界発光素子において、
    前記発光層に、前記アミノスチリル化合物が含有されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 請求項5記載の有機電界発光素子において、
    前記発光層が、前記アミノスチリル化合物のみで構成されている
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  7. 請求項5記載の有機電界発光素子において、
    前記発光層は、電子輸送層および正孔輸送層の少なくとも一方を兼ねる
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  8. 請求項4記載の有機電界発光素子において、
    前記有機層に含有されている前記アミノスチリル化合物は、E体またはZ体のみである
    ことを特徴とする有機電界発光素子。
  9. 陽極と陰極の間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子を、基板上に複数配列形成してなる表示装置において、
    前記有機電界発光素子における前記有機層が、下記一般式(1)で示されるアミノスチリル化合物を用いて構成されている
    ことを特徴とする表示装置。
    Figure 2006273737
    [ただし、一般式(1)中において、
    Ar1、Ar4、Ar5、Ar7、およびAr8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数25以下のアリール基、または炭素数25以下の複素環基を表すと共に、当該アリール基または複素環基はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェノキシ基、シアノ基、フルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていても良く、
    Ar2、Ar3、およびAr6は、それぞれ独立に、炭素数25以下のアリーレン基、または炭素数25以下の2価の複素環基を表し、
    Ar4とAr5、およびAr7とAr8は、それぞれが互いに結合して炭素環を形成していても良い。]
  10. 請求項9記載の表示装置において、
    前記アミノスチリル化合物が前記発光層を構成する青色発光材料として用いられている有機電界発光素子が、青色発光素子として複数の画素のうちの一部の画素に設けられている
    ことを特徴とする表示装置。
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