JP2008307491A - 太陽電池モジュール部材の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 太陽電池モジュールから受光面保護層とセルが封止された封止材層と裏面保護層とを分離回収する方法を提供する。
【解決手段】 受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とを有する太陽電池モジュールにおいて、前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体組成物、あるいはそのエチレン・極性モノマー共重合体組成物100重量部に対し、アミノ基を含有するアルコキシシラン3重量部以下を配合したエチレン共重合体組成物を用い、且つ前記太陽電池モジュールをPH10以上のアルカリ水溶液で処理する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールから、受光面保護層と封止材層を分離回収する方法に関する。
無尽蔵な自然エネルギーを利用し、二酸化炭素の削減やその他の環境問題の改善が図れる水力発電、風力発電並びに太陽光発電などが脚光を浴びている。このうち太陽光発電は、太陽電池モジュールの発電効率等の性能向上が著しい一方、価格の低下が進んだこと、国や自治体が住宅用太陽光発電システム導入促進事業を進めてきたことから、近年その普及が著しく進んでいる。
しかしながら、太陽光発電システムの大量導入が実現した場合、それと同等量の大量の廃棄太陽電池モジュールの廃棄が行われることが危惧される。また、製造過程で発生した不良太陽電池モジュールや流通過程で発生した破損太陽電池モジュールなどの適切な再生方法の確立が望まれる。資源循環型社会構築の必要性が叫ばれている中、将来のクリーンエネルギー源の担い手として期待されている太陽光発電システムが、現状の産業廃棄物としての処理方法を続け、資源の大量消費を行うわけにはいかない。そのため、太陽電池モジュール部材の効率的な利用やリサイクル、リユースにより資源の消費を抑制し環境への負荷を低減するリサイクルシステムの構築が必要であり、さらにそのリサイクルシステムの実現を可能とする太陽電池モジュールの開発が望まれている。
太陽電池モジュールは、一般に、受光面保護層(又は保護基板とも言う)と太陽電池セルが封止された封止材層(又は封止材シートとも言う)と裏面保護層(又は保護シートとも言う)を順次積層して構成され、これらをアルミニウム等の外枠で固定してモジュールとなる。このモジュールを複数個並べてユニット化して太陽光発電システムとなる。
これらの構成部材のうちガラスなどの透明受光面保護層や太陽電池セルを構成する太陽電池素子は、長期間太陽光にさらされても周辺部材と比べて損傷が少なく再利用可能な資源である。
しかし、現在市販されている多くの太陽電池モジュールには充填材シートとしてEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)シートが使われており、熱硬化性であるEVAシートはエチレン・酢酸ビニル共重合体のシートを作成する工程と、得られたシートを用いて太陽電池セルを封止するという2段階の工程を採用する必要があり、また、このシートの製造段階では、有機過酸化物が分解しないような低温度での成形が必要であるため、押出成形速度を大きくすることができない。また太陽電池セルの封止段階では、ラミネーターにおいて数分乃至十数分かけて仮接着する工程と、オーブン内において有機過酸化物が分解する高温度で数十分ないし1時間かけて本接着する工程とからなる2段階の時間をかけての接着工程を経る必要があった。そのため太陽電池モジュールの製造には手間と時間がかかり、その製造コストを上昇させる要因の一つとなっている。
更に、EVAシートは他のモジュール構成部材と強固に結合しており、モジュールから受光面保護層や太陽電池セルが封止された封止材層、裏面保護層を分離し、受光面保護層や太陽電池セルを回収することは困難である。
従来、太陽電池モジュールから、通常は強化ガラスからなる透明受光面保護層や太陽電池素子を回収するには、まず、フレームおよび端子箱を取り外し、ついでガラス面とセルに貼りついている封止材層のEVAを何らかの方法で除去しなければならない。
EVAを除去する方法としては、従来、大気雰囲気中でEVAを焼成して除去する燃焼法、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で温度をあげてEVAを分解除去する熱分解法、有機溶剤でEVAを膨潤あるいは剥離させる有機溶媒法、硝酸に浸漬してEVAを分解除去する硝酸浸漬法などの処理方法が既に知られている。或いは、硝酸浸漬法の改良方法として、界面活性剤を添加した加温硝酸に浸漬してEVAを分解除去する方法(特許文献1)、封止材樹脂としてシラン化合物グラフト変性ポリエチレン非架橋樹脂組成物を剥離層とした多層シートを用い、太陽電池モジュールを剥離層である熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱する加熱工程と、加熱により可塑化した剥離層を剥離して透明前面基板を分離する分離工程と、透明前面基板に付着した充填材層を除去する除去工程を経て分離する方法(特許文献2)も開示されている。しかしながら、上記従来の方法は、いずれも透明受光面保護層や太陽電池素子の再生作業における劣化、或いは再生作業における作業環境や、工程の煩雑さ等において問題があり、太陽電池モジュールの環境への負荷を低減するリサイクルシステムの構築が望まれている。
特開2004−42033号公報 特開2006−13413号公報
本発明は、太陽電池モジュールの構成部材のうち受光面保護層や太陽電池素子などの再利用可能な資源を回収し、リサイクルもしくはリユースすることを可能とする、太陽電池モジュールから受光面保護層とセルが封止された封止材層と裏面保護層とを分離回収する方法を提供することを目的とする。
本発明らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の種類の非架橋組成物を封止材として用い、このような封止材を封止層とする太陽電池モジュールを特定の処理液及び処理条件で処理することにより、使用時には受光面保護層と封止材層と裏面保護層とが強固に接着しており、前記処理により容易にこれら部材が分離回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によると、受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とを有する太陽電池モジュールにおいて、前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体組成物を用い、且つ前記太陽電池モジュールをPH10以上のアルカリ水溶液で処理することを特徴とする、受光面保護層と封止材層とを分離、回収する方法が提供される。
また前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、アミノ基を含有するアルコキシシラン3重量部以下を配合したエチレン共重合体組成物を用い、且つ前記太陽電池モジュールをPH10以上のアルカリ水溶液で処理することを特徴とする、受光面保護層と封止材層とを分離、回収する方法が提供される。
前記アルカリ水溶液での処理が、温度40℃以上のアルカリ水溶液に浸漬するものであることは本発明の好ましい態様である。
前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種であることは本発明の好ましい態様である。
前記エチレン共重合体組成物に配合されるアミノ基を含有するアルコキシシランが、アミノートリアルコキシシラン類またはアミノージアルコキシシラン類である前記の分離回収方法は、本発明の好ましい態様である。
前記エチレン共重合体組成物が、さらに紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤から選ばれる耐候安定剤添加剤が配合されてなることは本発明の好ましい態様である。
更に 受光面保護層と封止材層の分離、回収に加え、更に封止材層と裏面保護層及び/または封止材とセルを分離、回収すること方法が提供される。
本発明によると、工業的に取り扱い易いアルカリ水溶液を用いて、太陽電池モジュールを簡易な方法で処理することにより、受光面保護層と封止材層とを容易に分離回収することができる。また、分離回収された各部材は、封止材層の封止材が非架橋の熱可塑性樹脂組成物であるので、加熱溶融等により、封止された太陽電池セルの分離、再利用が容易であり、同様に封止材の再利用も容易である。また、分離回収された受光面保護層も容易に再利用する事ができる。更に、本発明による封止材は、使用時は、強固に受光面保護層と接着しており、これをアルカリ水溶液で処理することにより、容易に受光面保護層と剥離して分離することができ、又、非架橋の熱可塑性樹脂組成物であるので、分離された封止材も容易に再利用ができる。
本発明において、太陽電池モジュールは、受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とが順次積層されてなる積層体を含む太陽電池モジュールである。
また、前記封止材層に用いられる封止材としては、カルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体組成物である。
また前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、アミノ基を含有するアルコキシシラン3重量部以下を配合したエチレン共重合体組成物を用いることができる。
前記エチレン・極性モノマー共重合体において、極性モノマーとしては、不飽和カルボン酸、その塩またはその無水物が好ましい。ここに不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノエステルなどであり、とくにアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。エチレン・アクリル酸共重合体およびエチレン・メタクリル酸共重合体は、特に好ましいエチレン・極性モノマー共重合体の例である。
本発明におけるエチレン・不飽和カルボン酸塩の好適な例は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーである。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーとしては、その金属種として、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの多価金属などを例示することができる。このようなアイオノマーを使用する利点は透明性、高温における貯蔵弾性率が高いことであり、その中和度としては、例えば80%以下程度のものを使用することが望ましいが、接着性等を勘案するとあまり中和度の高いものを使用するのは得策ではなく、例えば中和度が60%以下、とくに30%以下程度のものを使用するのが好ましい。
本発明においてエチレン・極性モノマー共重合体として、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体またはそのアイオノマーを用いる場合、得られる共重合体の透明性、接着性の観点から、不飽和カルボン酸含量が1重量%以上であることが好ましい。
不飽和カルボン酸含量が大きくなると、透明性に関してはより優れたものが得られるが、融点が低くなったり、吸湿性が増すなどの問題がでてくるので、また接着性についても不充分なものとなるので、不飽和カルボン酸含量は、20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体の融点は55℃以上、好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上であることが望ましい。上記共重合体やアイオノマーの融点が低すぎると、耐熱性が充分でなく、太陽電池素子封止材に用いた場合、太陽電池使用時における温度上昇により封止材層が変形したり、太陽電池モジュールを加熱圧着法で製造するときに、これら封止材が必要以上に流れ出してバリを生じたりする恐れがある。
また、エチレン・極性モノマー共重合体としては、成形加工性、機械的強度などを考慮すると、JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR、以下同じ)が1〜300g/10分、とくに5〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
本発明において、エチレン極性モノマー共重合体としては、極性モノマー以外のモノマーを含有していてもよい、例えばビニルエステルや(メタ)アクリル酸エステルなどが共重合されたものを使用したとき柔軟性付与の効果が得られる。その含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で使用することが好ましい。
このような、エチレン・極性モノマー共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合により得ることができる。またエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体と金属化合物を反応させることによって得ることができる。
本発明においては、エチレン共重合体組成物にはアミノ基を含有するアルコキシシランを含有していなくても含有していてもよい。本発明においてエチレン共重合体組成物に配合されるアミノ基を含有するアルコキシシランとしては、具体的には、例えば、3―アミノプロピルトリメトキシキシシラン、3―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシキシシランなどのアミノートリアルコキシシラン類、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジエトキシシラン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどのアミノージアルコキシシラン類などを挙げることができる。
これらの中でも3―アミノプロピルトリメトキシキシシラン、3―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2―アミノエチル)―3−アミノプロピルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好ましい。
エチレン共重合体組成物にジアルコキシシランを用いた場合にはよりシート成形時の加工安定性を維持することができるので、より好ましい。
アミノ基を有するアルコキシシランは、接着性改良効果及びシート成形時の加工安定性の観点から、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、3重量部以下(0〜3重量部)、好ましくは0.03〜3重量部、とくに0.05〜1.5重量部の割合で配合される。
また、エチレン共重合体組成物には、太陽光線中の紫外線に基づく封止材の劣化を防ぐために、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの耐候安定剤の少なくとも一種を配合するのが効果的である。酸化防止剤として、例えば各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが好適に使用することができる。また光安定剤としては、ヒンダードアミン系のものが好適に使用することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフエノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフエノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフエノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフエノンなどのベンゾフエノン系、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフエニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−第3オクチルフエニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、フエニルサリチレート、p−オクチルフエニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のものなどが使用できる。
これら、耐候安定剤は、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、5重量部以下、とくに0.1〜3重量部の割合で配合するのが効果的である。
更に、エチレン共重合体組成物には、その使用目的を損なわない範囲において、任意の他の添加剤を配合することができる。そのような他の添加剤としては、公知の各種添加剤を使用することができる。他の添加剤の例としては、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、発泡剤、発泡助剤、無機充填剤などを例示することができる。
本発明において、エチレン共重合体組成物を太陽電池セル封止材として用いる場合は、例えば変色防止剤として、カドミウム、バリウム等の金属の脂肪酸塩を配合することができる。また下部の裏面保護材側の封止材として用いる場合においては、透明性は要求されないので、着色、発電効率向上などの目的で、顔料、染料、無機充填剤などを配合することができる。例えば酸化チタン、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ウルトラマリンなどの青色顔料、カーボンブラックのような黒色顔料などのほか、ガラスビーズや光拡散剤などを例示することができる。とくに酸化チタンのような無機顔料を配合する系に適用すると、絶縁抵抗低下の防止効果が優れているので好ましい。無機顔料の好適な配合量は、エチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、100重量部以下、好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは4〜50重量部である。
本発明において、上記エチレン共重合体組成物よりなる太陽電池封止材は、一般にはシート状にして使用される。封止材用シートの成形は、T−ダイ押出機、カレンダー成形機、インフレーション成形機などを使用する公知の方法によって行なうことができる。例えばエチレン・極性モノマー共重合体及びシランカップリング剤、必要に応じて添加される無機顔料、その他の添加剤を予めドライブレンドして、押出機のホッパーから供給し、その他の配合成分は、マスターバッチにより添加することができる。シート厚みは特に規定されないが、通常0.2〜1.2mm程度である。
このような封止材用シートを用い、太陽電池セルが封止された封止材層を上下の保護層の保護材で固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部透明受光面保護層/封止材シート/太陽電池セル/封止材シート/下部裏面保護層のように太陽電池セルの両側から封止材で挟む構成のものを挙げることができる。このような構成の太陽電池モジュールにおいては、上部透明受光面保護材層の封止材として無機顔料不含有の本発明における封止材を使用し、下部裏面保護層側の封止材として無機顔料含有の本発明における封止材を使用してもよい。また別のタイプの太陽電池モジュールとして、下部裏面保護層の内周面上に形成させた太陽電池セル上に封止材用シートと上部透明受光面保護層を形成させるような構成のもの、上部透明受光面保護層の内周面上に形成させた太陽電地セル、例えばフッ素樹脂系シート上にアモルファス太陽電池セルをスパッタリング等で作成したものの上に封止材用シートと下部裏面保護層を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
太陽電池セルを構成する太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、ガリウムー砒素、銅ーインジウムーセレン、カドミウムーテルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。本発明における封止材は、とくにアモルファス太陽電池素子、例えばアモルファスシリコンの封止に有用である。
太陽電池モジュールを構成する上部受光面保護層の保護材としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができるが、この中ではガラスが本発明の効果が最も発現する(すなわち処理後の保護層と封止層の剥離性が優れる)ので好ましい。また下部裏面保護層の保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フイルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層のシートを例示することができる。本発明における封止材は、これらの上部又は下部保護層に対して良好な接着性を示す。また上部透明受光面保護層や下部裏面保護層には接着性改良のためにプライマー処理などの表面処理が施されてもよい。
本発明において、太陽電池モジュールの製造は、本発明における封止材用シートが溶融するような温度で、必要な時間を掛けて、太陽電池セルや上下保護層に該封止材用シートを接着すればよい。
本発明においては、このような受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とが順次積層されてなる太陽電池モジュールを、PH10以上のアルカリ水溶液で処理することにより、受光面保護層と封止材層とを分離し、各々の部材として回収することが出来る。
PH10以上のアルカリ水溶液としては、具体的には、例えば、濃度が1重量%以上の水酸化アルカリ水溶液、好ましくは、濃度が2重量%〜10重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。
本発明においては、前記PH10以上のアルカリ水溶液で処理する方法としては、浸漬させる方法、蒸気接触させる方法など、処理方法は限定されないが、好ましくは、予め、フレームおよび端子ボックスを取り外した太陽電池モジュールを、アルカリ水溶液に浸漬させる方法が好ましい。
また、上記浸漬させる工程において、水酸化ナトリウム水溶液は常温または常温以上の液温とし、好ましくは40℃以上、例えば40〜100℃の液温において、この水酸化ナトリウム水溶液に前記太陽電池モジュールを10分以上、好ましくは1時間〜48時間浸漬する。
本発明においては、このようにして、前記太陽電池モジュールを、PH10以上のアルカリ水溶液で処理することにより、容易に受光面保護層と封止材層とを分離し、各部材を回収することが出来る。またモジュールを前記PH10以上のアルカリ水溶液で処理することにより、(各層の材料や処理条件を選ぶことにより)封止層と裏面保護層、封止材と太陽電池セルとを分離、回収することも可能である。また回収された各部材は、各々再生材料として再利用することができる。受光面保護層が例えば強化ガラスの場合は、表面清浄し乾燥した後、再度保護層として、或いは再生ガラス原料として再利用することができる。また、太陽電池セルが封止された封止材層は、例えば加熱溶融することにより、太陽電池セルと、封止材に分離し、太陽電池セルは表面清浄後、再度太陽電池セルとして、或いは、シリコン素子再生原料として再利用することができる。一方、封止材は再生原料等として再利用することができる。裏面保護層も又、再生原料等として再利用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって、何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例で用いた原料等及び物性試験方法を以下に示す。
(1)原料
(A)樹脂
a.EMAA:エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量:15重量%、MFR:25g/10分)
b.EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量:28重量%、MFR:15g/10分)
(B)シランカップリング剤
a.3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
b.3−アミノプロピルトリエトキシシラン
(C)架橋剤
2,5−ジメチルー2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
(2)基材
a.白板ガラス:厚み3.2mm、サイズ7.5cm×12cm
b.バックシート:アルミ箔入りテドラーシート(MAパッケージング社製)
(3)貼り合わせ
条件:125℃〜150℃×真空2分×加圧3分で貼り合わせ
貼り合わせ装置:NPC製ラミネーターLM−50x50S
試料構成:ガラス/シート/バックシート
(4)試験方法
a.接着強度試験
10mm幅に切り出し、引張速度50mm/分で、ガラス/シート間の接着強度を測定した。エージングは85℃×90%RH×1000hrで行った。
b.アルカリ水溶液浸漬による剥離試験(リサイクル試験)
NaOH水溶液を80℃に加温し、そこに貼り合わせ試料を浸漬して、24時間後に取りして、液をふき取り、剥離状態を目視観察とシートを手で剥がせるか否かの試験をした。
(実施例1)
上記EMAA樹脂5000g、シランカップリング剤(b)50gをそれぞれ秤量し混合した。得られた含浸ペレットを、押出機(L/D=26、フルフライトスクリュー、圧縮比2.6)を用いて加工温度120℃にて混練して、均一な厚み0.6mmのシートを得た。得られたシートを用いて、ガラス基板(a)とバックシート(b)を温度150℃で前記(3)の条件で貼り合わせた。得られた積層体について初期及びエージング後のガラス接着強度とアルカリ浸漬による剥離試験を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、アルカリ浸漬による剥離試験に用いるアルカリ水溶液の濃度を5wt%にした以外は、実施例1と同様にして、測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
上記EVA樹脂5000g、架橋剤(C)50g、シランカップリング剤(a)25g
をそれぞれ秤量し混合した。得られた含浸ペレットを押出機(L/D=26、フルフライトスクリュー、圧縮比2.6)を用いて加工温度90℃にて混練して、均一な厚み0.6mmのシートを得た。得られたシートを用いて、ガラス基板(a)とバックシート(b)を温度125℃で前記(3)の条件で貼り合わせ、次いで得られた積層体を更にオーブン中で150℃×15分でキュアした。このようにして得られた積層体について初期及びエージング後のガラス接着強度とアルカリ浸漬による剥離試験を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2008307491
*エージング条件:85℃x90%RHx1000hr

Claims (7)

  1. 受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とを有する太陽電池モジュールにおいて、前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体組成物を用い、且つ前記太陽電池モジュールをPH10以上のアルカリ水溶液で処理することを特徴とする、受光面保護層と封止材層とを分離、回収する方法。
  2. 受光面保護層と太陽電池セルが封止された封止材層と裏面保護層とを有する太陽電池モジュールにおいて、前記封止材層の封止材としてカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物からなる群より選ばれる極性基を有する極性モノマーを1重量%以上含有するエチレン・極性モノマー共重合体100重量部に対し、アミノ基を含有するアルコキシシラン3重量部以下を配合したエチレン共重合体組成物を用い、且つ前記太陽電池モジュールをPH10以上のアルカリ水溶液で処理することを特徴とする、受光面保護層と封止材層とを分離、回収する方法。
  3. アルカリ水溶液での処理が、温度40℃以上のアルカリ水溶液に浸漬するものであることを特徴とする請求項1および2に記載の分離、回収方法。
  4. エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載に記載の分離、回収方法。
  5. エチレン共重合体組成物に配合されるアミノ基を含有するアルコキシシランが、アミノートリアルコキシシラン類またはアミノージアルコキシシラン類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分離、回収方法。
  6. エチレン共重合体組成物が、さらに紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤から選ばれる耐候安定剤添加剤が配合されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分離、回収方法。
  7. 受光面保護層と封止材層の分離、回収に加え、更に封止材層と裏面保護層及び/または封止材とセルを分離、回収することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
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