JP2008305600A - 燃料電池発電システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸化物形燃料電池から成る燃料電池スタック1に炭化水素及び/又は一酸化炭素を含む燃料ガスを供給して燃料電池発電システムを作動させるに際して、燃料供給路3における燃料電池スタック1の上流側に、水分調整手段として、固体酸化物形燃料電池から成るサブスタック4を配置し、水分を含むサブスタック4からの排出燃料ガスを燃料電池スタック1に導入しつつ、このサブスタック4から排出される水分量が燃料電池スタック(メインスタック)1における炭素析出を防止するに過不足のない量となるようにサブスタック4の運転条件を制御する。
【選択図】図1
Description
例えば、固体高分子形の燃料電池の場合には、電解質がプロトン伝導体であることと、作動温度が100℃前後と低いことから、燃料電池に供給できる燃料は純水素に限られる。これは、電解質がプロトン伝導体である場合には、炭化水素燃料を直接供給しても燃料電池反応が進行せず、また100℃前後の温度では燃料電池内部で炭化水素燃料を改質して水素を取り出すことができないことによる。
H2→2H++2e−
したがって、燃料極に供給する燃料は、高圧タンク等を用いた水素か、あるいは燃料電池外部で燃料を改質して一旦水素を生成して水素を供給することになる。
また、作動温度が100℃前後であると、一酸化炭素により電極が被毒されるために、外部改質器で水素を生成したとしても、生成ガス(改質ガス)中の一酸化炭素濃度を極限まで低くする必要があり、そのために改質反応器が大きくなってしまうことになる。
固体酸化物から成る電解質として、酸素イオン伝導体を用いた場合には、炭化水素燃料を直接燃料電池に供給することができ、その場合の燃料極おける電極反応は次式で表される。
CnHm+(2n+m/2)O2−→nCO2+(m/2)H2O+(4n+m)e−
CnHm+(q+x+2y)H2O→pH2+qH2O+xCO+yCO2
H2+1/2O2−→H2O+e−
また、COは次式で表される反応により電極反応が進行する。
CO+1/2O2−→CO2+e−
H2→2H++2e−
さらに、COはさらに燃料電池内部で次式で現されるシフト反応によって水素に変換した後、同様の電極反応が進行する。
CO+H2O→CO2+H2
CnHm→nC+(m/2)H2
2CO→C+CO2
このような炭素析出をさせないために、燃料極にH2Oを導入する方法がある。H2Oが存在すれば、たとえCが析出したとしても、下記のような反応によって除去することができる。
C+H2O→CO+H2
さらに、水蒸気が過剰に供給された場合には、電極の水蒸気酸化を引き起こすことから、水蒸気供給量の制御をも考慮する必要があり、このような制御装置も加えると、システムがさらに大型となり、複雑化するという問題がある。
また、空気極材料については、LSM(LaSrMnO)、SSC(SrSmCoO)、LSC(LaSrCoO)、LSCF(LaSrCoFeO)などの電子・酸素イオン導電酸化物、あるいはPt、Agのような金属材料を挙げることができるが、特にこれらに限定される訳ではない。
そのため、サブスタック1としては、以下のいくつかの構成を備えていることが望ましい。
同様にサブスタック4の炭化析出を抑制するためには、サブスタック4の燃料極の構成として、燃料極中の酸素イオン伝導材の含有量を電極触媒の含有量よりも多くすることが望ましい。すなわち、炭化水素や一酸化炭素が熱分解して、炭素になったとしても、電極触媒に囲まれている酸素イオンによって、すぐに酸化させることができるため、サブスタック4での炭素析出が起こり難くなる。なお、ここで言う酸素イオン伝導材や電極触媒の含有量とは体積比を意味する。
なお、上記した空気極材料の還元能力は、SSC>LSCF>LSC>LSMの順となる。
なお、電解質材料の酸素イオン伝導度については、LSGM>SDC>SSZ>YSZの順となることから、これらの中から、サブスタック4及びメインスタック1の電解質の酸素イオン伝導性が上記のような大小関係となるように、それぞれの電解質材料を選択することができる。
サブスタック4の運転(発電)温度の調整については、バーナーやヒータによって過熱したり、過熱を中止したりすることによって行うことができる。負荷電流の調整は、例えば可変抵抗器を連結して、この抵抗値を増減することによって行う。
そこで、メインスタック1の燃料ガス流路における上流側と下流側とに酸素センサを設け、運転状況検知手段6により検知されたメインスタック1の運転状態と、メインスタック1における燃料ガス流路上流側と下流側の両方の酸素分圧を考慮してH2O不足量を算出するようにし、メインスタック1に流入するH2O量が過剰とならないようにサブスタック4の発電量を調整することが望ましい。
なお、燃料ガスに含まれる水分量については、燃料ガスを分析することによって予め求めておくことや、改質器を用いる場合には、原料ガスと改質器の運転条件から算出することによって知ることができる。
燃料ガスとしては、イソオクタンの部分改質ガスの模擬ガスとして、10%CH4−2%C3H8−45%CO−10%CO2−33%H2の混合ガスを使用した。
Ni−YSZ(Ni:35vol%、YSZ:65vol%)から成る燃料極の上にSSZ(Scドープのジルコニア)から成る固体酸化物電解質を成膜し、さらにこの電解質層の上にSDCから成る中間層を介してSSC(SmSrCoO)から成る空気極を形成した径100mmの燃料極支持型セルを5段積層したものをサブスタック4とした。
なお、当該サブスタック4の出力密度は100mW/cm2、作動温度は700℃である。
Ni−YSZ(Ni:70vol%、YSZ:30vol%)から成る燃料極の上にYSZから成る固体酸化物電解質を成膜し、さらにこの電解質層の上にSDCから成る中間層を介してLSC(LaSrCoO)から成る空気極を形成した径100mmの燃料極支持型セルを10段積層し、メインスタック1とした。
なお、当該メインスタック1の出力密度は200mW/cm2、作動温度は600℃である。
なお、水分を含有する燃料ガスを用いる場合には、炭素を析出させないために必要なH2O量から、メインスタック1で生成されるH2O量と共に、燃料ガスに含まれるH2O量を減算することによって、サブスタック4から補充するH2O量を求めることが必要となる。
しかしながら、定常に導入するH2Oの量を多くすると、電極が水蒸気酸化を起こしてしまうことがあるため、スタックの上流及び下流における燃料極側の酸素分圧を計測し、上流及び下流の酸素分圧がそれぞれ所定の値を超えると、サブスタック4の発電量を下げて、サブスタック4からの水分補給を少なくするような制御を行うことが好ましい。
2 燃料供給手段
3 燃料供給路
4 サブスタック
5 酸化剤ガス供給手段
6 運転状況検知手段
7 演算制御手段
Claims (10)
- 固体酸化物形燃料電池から成る燃料電池スタックに炭化水素及び/又は一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料供給路における上記燃料電池スタックの上流側に水分調整手段を配置した燃料電池発電システムにおいて、
上記水分調整手段として固体酸化物形燃料電池から成るサブスタックを配置し、水分を含むサブスタックからの排出燃料ガスを燃料電池スタックに導入すると共に、当該サブスタックから排出される水分量が燃料電池スタックにおける炭素析出を防止するに過不足のない量となるように、上記サブスタックの運転条件を調整することを特徴とする燃料電池発電システムの制御方法。 - 固体酸化物形燃料電池から成る燃料電池スタックと、
上記燃料電池スタックに炭化水素及び/又は一酸化炭素を含む燃料ガスを供給する燃料供給手段と、
上記燃料電池スタックに酸素を含むガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
固体酸化物形燃料電池から成り、上記燃料供給手段から燃料電池スタックに到る燃料供給路の途中に配置されたサブスタックと、
上記燃料電池スタックの運転状況を検知する運転状況検知手段と、
上記運転状況検知手段により検知された燃料電池スタックの状態に基づいて上記サブスタックの運転条件を調整する演算制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。 - 上記演算制御手段は、運転状況検知手段により検知された燃料電池スタックの運転状態に基づいて、その時のH2O生成量と、当該燃料電池スタックにおける炭素析出を防止するためのH2O必要量を算出し、上記サブスタックからのH2O排出量がH2O必要量に対するH2O生成量の不足分を補うように制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池発電システム。
- 上記演算制御手段は、運転状況検知手段により検知された燃料電池スタックの運転状態と、燃料電池スタックの燃料ガス流路の上流側及び下流側における酸素分圧に基づいて、当該燃料電池スタックにおける炭素析出を防止するためのH2O必要量に対するH2O不足量を算出し、上記サブスタックからのH2O排出量がH2O不足量を補うように制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池発電システム。
- 上記演算制御手段は、燃料供給手段から供給される燃料ガスに含まれるH2O含有量を控除して上記サブスタックからのH2O排出量を算出することを特徴とする請求項3〜4のいずれか1つの項に記載の燃料電池発電システム。
- 上記演算制御手段は、サブスタックの温度、負荷電流及び運転電圧から成る群より選ばれた少なくとも1種の条件を調整してH2O排出量を制御することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
- 上記サブスタックの作動温度が燃料電池スタックの作動温度よりも高いことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
- 上記サブスタックの燃料極における電極触媒の含有量よりも酸素イオン伝導材の含有量が多いことを特徴とする請求項2〜7のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
- 上記サブスタックの空気極の還元能力が燃料電池スタックの空気極の還元能力よりも高いことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
- 上記サブスタックの電解質における酸素イオン伝導性が燃料電池スタックの電解質よりも高いことを特徴とする請求項2〜9のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
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