JP2008305559A - 燃料電池および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極2と負極1とが電解質層3を介して対向した構造を有し、正極2および負極1の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが用いられる燃料電池において、電解質層3がその電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するようにする。
【選択図】図1
Description
このように、燃料電池は大規模発電から小規模発電まで幅広い用途が考えられ、高効率な発電装置として多くの注目を集めている。しかしながら、燃料電池では、燃料として通常、天然ガス、石油、石炭などを改質器により水素ガスに変換して用いており、限りある資源を消費するとともに、高温に加熱する必要があったり、白金(Pt)などの高価な貴金属の触媒を必要としたりするなど、いろいろと問題点がある。また、水素ガスやメタノールを直接燃料として用いる場合でも、その取り扱いには注意を要する。
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、これらの化学エネルギーを、数々の酵素反応ステップを有する解糖系およびトリカルボン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2 )を生成する過程でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とすることで酸化還元エネルギー、すなわち電気エネルギーに変換し、さらに電子伝達系においてこれらのNADHの電気エネルギーをプロトン勾配の電気エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する機構である。ここで得られた電気エネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を介して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを生成し、このATPは微生物や細胞が生育するために必要な反応に利用される。このようなエネルギー変換は、細胞質ゾルおよびミトコンドリアで行われている。
上述のような生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電子を微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物電池が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
上述の従来のバイオ燃料電池および微生物電池の正極および負極においては、触媒として用いられる酵素または微生物と電極との間の電子の授受を円滑に行うために、電子メディエーター(電子伝達物質)が用いられる(例えば、特許文献1〜11参照。)。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた燃料電池を用いた電子機器を提供することである。
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが用いられる燃料電池において、
上記プロトン伝導体が上記電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有する
ことを特徴とするものである。
好適には、正極および負極の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが固定化される。固定化には従来公知の種々の方法を用いることができる。
具体的には、負極に用いられる酵素は、例えば、燃料としてグルコースのような単糖類を用いる場合には、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含み、通常はこれに加えて酸化酵素によって還元される補酵素を酸化体に戻す補酵素酸化酵素を含む。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。酸化酵素としては例えばNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、補酵素としては例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )が、補酵素酸化酵素としては例えばジアホラーゼが用いられる。
一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが用いられる燃料電池において、
上記プロトン伝導体が上記電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するものである
ことを特徴とするものである。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
図1はこの発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を模式的に示す。このバイオ燃料電池では、燃料としてグルコースを用いるものとする。図2は、このバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す。
図1に示すように、このバイオ燃料電池は、負極1と正極2とがプロトンのみ伝導する電解質層3を介して対向した構造を有する。負極1は、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+ )を発生する。正極2は、負極1から電解質層3を通って輸送されたプロトンと負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。
さらに、このD−グルコノ−δ−ラクトンは、グルコノキナーゼとフォスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ(PhGDH)との二つの酵素を存在させることにより、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに分解することができる。すなわち、D−グルコノ−δ−ラクトンは、加水分解によりD−グルコネートになり、D−グルコネートは、グルコノキナーゼの存在下、アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸とに加水分解することでリン酸化されて、6−フォスフォ−D−グルコネートになる。この6−フォスフォ−D−グルコネートは、酸化酵素PhGDHの作用により、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに酸化される。
単糖類の分解プロセスにおける酸化反応は、補酵素の還元反応を伴って行われる。この補酵素は作用する酵素によってほぼ定まっており、GDHの場合、補酵素にはNAD+ が用いられる。すなわち、GDHの作用によりβ−D−グルコースがD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化されると、NAD+ がNADHに還元され、H+ を発生する。
上記プロセスで生成された電子はジアホラーゼから電子メディエーターを介して電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2へ輸送される。
この正極2においては、酸素還元酵素の存在下で、電解質層3からのH+ と負極1からの電子とにより空気中の酸素を還元し水を生成する。
まず、市販のグラッシーカーボン(GC)電極(直径3mm)を2本用意し、ともに研磨・洗浄を行った。次に、一方のグラッシーカーボン電極にポリアニオンである市販のナフィオンのエマルジョン(20%)を5μl添加し、乾燥させた。次に、この2本のグラッシーカーボン電極を1mMのヘキサシアノ鉄酸イオン(多価アニオン)水溶液(50mM NaH2 PO4 /NaOH緩衝液、pH7)中に浸し、掃引速度20mVs-1にてサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。その結果を図3Aに示す。図3Bに、図3Aにおける、ナフィオンを添加したグラッシーカーボン電極を用いた場合のCV曲線を拡大して示す。図3AおよびBから分かるように、ナフィオンを添加したグラッシーカーボン電極では、添加していないグラッシーカーボン電極に対し、電子メディエーターであるヘキサシアノ鉄酸イオンに起因する酸化還元ピーク電流は20分の1以下になった。これは、負電荷を有するポリアニオンであるナフィオンに対し、このナフィオンと同じく負電荷を有する多価アニオンであるヘキサシアノ鉄酸イオンが拡散・透過していないことを示している。
この酵素/電子メディエーター固定化電極は次のようにして作製した。
まず、以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、100mMリン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )緩衝溶液(I.S.=0.3、pH=7.0)を用いた。
ジアホラーゼ(DI)(EC1.6.99.−、ユニチカ製、B1D111)を5〜10mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、DI酵素緩衝溶液((1))とした。
グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)(NAD依存型、EC1.1.1.47、東洋紡製、GLD−311)を10〜15mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、GDH酵素緩衝溶液((2))とした。
上記の酵素を溶解させる緩衝溶液は直前まで冷蔵されていたものが好ましく、酵素緩衝溶液もできるだけ冷蔵保存しておくことが好ましい。
NADH(シグマアルドリッチ製、N−8129)を30.0〜60.0mg秤量し、緩衝溶液0.1mlに溶解させ、NADH緩衝溶液((3))とした。
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(PLL)(Wako製、164−16961)を適量秤量し、1〜2wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PLL水溶液((4))とした。
2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)(合成品)を10〜50mg秤量し、アセトン溶液1mlに溶解させ、ANQアセトン溶液((5))とした。
ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)(アルドリッチ製、041−00595)を適量秤量し、0.01〜0.1wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PAAcNa水溶液((6))とした。
DI酵素緩衝溶液(1):10μl
GDH酵素緩衝溶液(2):10μl
NADH緩衝溶液(3):10μl
PLL水溶液(4):10μl
ANQアセトン溶液(5):7μl
PAAcNa水溶液(6):4μl
また、比較例2と実施例1、2、3とを比較すると、NaH2 PO4 濃度を0.2〜2.5M、取り分け0.4〜2.0Mとすることで電流値が比較例2に比べて数倍以上増加し、特に1Mのときに最大となることが分かる。
一方、比較例3のようにNaH2 PO4 濃度を3Mとすると、得られる電流値は、比較例1と同程度に低下してしまう。
さらに、紫外可視分光(UV−vis)法により酵素活性測定を行った。その結果を図9〜図12に示す。ここで、図9および図10はそれぞれNaH2 PO4 濃度およびイオン強度に対するジアホラーゼ(DI)による反応の反応速度(v0 )の変化を示す。ただし、DIの濃度は2.5nM、ANQの濃度は2.2mM、NADHの濃度は40mMである。また、図11および図12はそれぞれNaH2 PO4 濃度およびイオン強度に対するグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)による反応の反応速度(v0 )の変化を示す。ただし、GDHの濃度は1.59nM、グルコースの濃度は133mM、NADHの濃度は1.50mMである。図9〜図12に示す測定結果によると、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う、酵素活性の大きな増大は見られず、逆に若干下がる傾向が見られた。このことから、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う電流値の上昇は、電極内部あるいは固定化膜内のpH変化の抑制効果のためであると考えることができる。
上記のような結果が得られる原因として、電極内部あるいは固定化膜内のプロトン移動が遅いことが考えられる。
図18より、緩衝液22としてイミダゾール/塩酸緩衝液(pH7、1.0M)を用いた場合には、極めて良好なCV特性が得られていることが分かる。
以上のことから、測定系を変えても、イミダゾール緩衝液に優位性があることが確認された。
図20AおよびBに示すように、このバイオ燃料電池は、0.25cm2 のカーボンフェルトに酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる負極1と、0.25cm2 のカーボンフェルト上に酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる正極2とが、緩衝物質を含む電解質層3を介して対向した構成を有している。この場合、正極2の下および負極1の上にそれぞれTi集電体41、42が置かれ、集電を容易に行うことができるようになっている。符号43、44は固定板を示す。これらの固定板43、44はねじ45により相互に締結され、それらの間に、正極2、負極1、電解質層3およびTi集電体41、42の全体が挟み込まれている。固定板43の一方の面(外側の面)には空気取り込み用の円形の凹部43aが設けられ、この凹部43aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴43bが設けられている。これらの穴43bは正極2への空気の供給路となる。一方、固定板44の一方の面(外側の面)には燃料装填用の円形の凹部44aが設けられ、この凹部44aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴44bが設けられている。これらの穴44bは負極1への燃料の供給路となる。この固定板44の他方の面の周辺部にはスペーサー46が設けられており、固定板43、44をねじ45により相互に締結したときにそれらの間隔が所定の間隔になるようになっている。
図16Bに示すように、Ti集電体41、42の間に負荷47を接続し、固定板44の凹部44aに燃料としてグルコース/緩衝溶液を入れて発電を行う。
図21A、BおよびCならびに図22はこのバイオ燃料電池を示し、図21A、BおよびCはこのバイオ燃料電池の上面図、断面図および裏面図、図22はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
このバイオ燃料電池の上記以外の構成は、その性質に反しない限り、第1の実施形態と同様である。
図23Aに示すように、まず、一端が開放した円筒形状の正極集電体51を用意する。この正極集電体51の底面の全面には複数の酸化剤供給口51bが形成されている。この正極集電体51の内部の底面の外周部の上にリング状の疎水性樹脂56bを載せ、この底面の中央部の上に、正極2、電解質層3および負極1を順次重ねる。
次に、燃料タンク57に蓋58を取り付け、この蓋58の燃料供給口58aより燃料および電解質を注入した後、この燃料供給口58aを密封シールを貼り付けたりすることにより閉じる。ただし、燃料および電解質は、図23Bに示す工程で燃料タンク57に注入してもよい。
図25は2個のバイオ燃料電池を直列接続した場合を示す。この場合、一方のバイオ燃料電池(図中、上のバイオ燃料電池)の正極集電体51と他方のバイオ燃料電池(図中、下のバイオ燃料電池)の蓋58との間にメッシュ電極73を挟む。この場合、メッシュ電極73の穴を通って外部の空気が正極集電体51の酸化剤供給口51bに入るようになっている。燃料の供給は燃料供給システムを用いて行うことも可能である。
図26は2個のバイオ燃料電池を並列接続した場合を示す。この場合、一方のバイオ燃料電池(図中、上のバイオ燃料電池)の燃料タンク57と他方のバイオ燃料電池(図中、下のバイオ燃料電池)の燃料タンク57とをそれらの蓋58の燃料供給口58a同士が一致するように互いに接触させ、これらの燃料タンク57の側面から電極74を引き出す。また、上記一方のバイオ燃料電池の正極集電体51と上記他方のバイオ燃料電池の正極集電体51とにそれぞれメッシュ電極75、76を形成する。これらのメッシュ電極75、76は互いに接続する。メッシュ電極75、76の穴を通って外部の空気が正極集電体51の酸化剤供給口51bに入る。
また、現在実用化されている空気電池では燃料および電解質を製造時に添加する必要があり、製造後に添加することは困難であるのに対し、このバイオ燃料電池では、製造後に燃料および電解質を添加することが可能であるので、バイオ燃料電池は現在実用化されている空気電池に比べて製造が容易である。
図27に示すように、この第3の実施形態においては、第2の実施形態によるバイオ燃料電池から、負極集電体52に一体に設けられた燃料タンク57を取り除き、さらに正極集電体51および負極集電体52にそれぞれメッシュ電極71、72を形成したものを用い、開放系の燃料タンク57に入れられた燃料57aの上にこのバイオ燃料電池を負極1側が下に、正極2側が上になるようにして浮かべた状態で使用する。
この第3の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1の実施形態と同様である。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
図28AおよびBならびに図29はこのバイオ燃料電池を示し、図28Aはこのバイオ燃料電池の正面図、図28Bはこのバイオ燃料電池の縦断面図、図29はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
この第4の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1および第2の実施形態と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
この第5の実施形態によるバイオ燃料電池は、負極1の電極11の材料に、図30に示すような多孔体導電材料を用いることを除いて、第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様な構成を有する。
図30Aはこの多孔体導電材料の構造を模式的に示し、図30Bはこの多孔体導電材料の骨格部の断面図である。図30AおよびBに示すように、この多孔体導電材料は、三次元網目状構造の多孔体材料からなる骨格81と、この骨格81の表面を被覆するカーボン系材料82とからなる。この多孔体導電材料は、カーボン系材料82に囲まれた多数の孔83が網目に相当する三次元網目状構造を有する。この場合、これらの孔83同士は互いに連通している。カーボン系材料82の形態は問わず、繊維状(針状)、粒状などのいずれであってもよい。
この多孔体導電材料の多孔率は一般的には80%以上、より一般的には90%以上であり、孔83の径は、一般的には例えば9nm〜1mm、より一般的には9nm〜600μm、さらに一般的には1〜600μm、典型的には30〜400μm、より典型的には80〜230μmである。
図31Aに示すように、まず、発泡金属あるいは発泡合金(例えば、発泡ニッケル)からなる骨格81を用意する。
次に、図31Bに示すように、この発泡金属あるいは発泡合金からなる骨格81の表面にカーボン系材料82をコーティングする。このコーティング方法としては従来公知の方法を用いることができる。一例を挙げると、カーボン粉末や適当な結着剤などを含むエマルションをスプレーにより骨格81の表面に噴射することによりカーボン系材料82をコーティングする。このカーボン系材料82のコーティング厚さは、発泡金属あるいは発泡合金からなる骨格81の多孔率および孔径との兼ね合いで、多孔体導電材料に要求される多孔率および孔径に応じて決められる。このコーティングの際には、カーボン系材料82に囲まれた多数の孔83同士が互いに連通するようにする。
こうして、目的とする多孔体導電材料が製造される。
このバイオ燃料電池においては、燃料として、多糖類であるデンプンを用いる。また、デンプンを燃料に用いることに伴い、負極11にデンプンをグルコースに分解する分解酵素であるグルコアミラーゼも固定化する。
このバイオ燃料電池においては、負極1側に燃料としてデンプンが供給されると、このデンプンがグルコアミラーゼによりグルコースに加水分解され、さらにこのグルコースがグルコースデヒドロゲナーゼにより分解され、この分解プロセスにおける酸化反応に伴ってNAD+ が還元されてNADHが生成され、このNADHがジアホラーゼにより酸化されて2個の電子とNAD+ とH+ とに分離する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で2個の電子と2個のH+ とが生成される。2段階の酸化反応では合計4個の電子と4個のH+ とが生成される。こうして発生する電子は負極1の電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2まで移動する。正極2では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極1から外部回路を通って送られた電子と反応してH2 Oを生成する。
上記以外のことは第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様である。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、デンプンを燃料に用いていることにより、グルコースを燃料に用いる場合に比べて発電量を増加させることができるという利点を得ることができる。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
Claims (13)
- 正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが用いられる燃料電池において、
上記プロトン伝導体が上記電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有する
ことを特徴とする燃料電池。 - 上記プロトン伝導体に上記電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するポリアニオンまたはポリカチオンが含まれていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記プロトン伝導体が緩衝物質を含む電解質からなることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。
- 上記緩衝物質がイミダゾール環を含む化合物であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
- 上記酵素が、上記負極に固定化された、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記酵素が、上記単糖類の酸化に伴って還元された補酵素を酸化体に戻すとともに電子メディエーターを介して電子を上記負極に渡す補酵素酸化酵素を含むことを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
- 上記補酵素の酸化体がNAD+ であり、上記補酵素酸化酵素がジアホラーゼであることを特徴とする請求項6記載の燃料電池。
- 上記酸化酵素がNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
- 上記酵素が、上記負極に固定化された、多糖類の分解を促進し単糖類を生成する分解酵素および生成した単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記分解酵素がグルコアミラーゼ、上記酸化酵素がNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項9記載の燃料電池。
- 上記酵素が、上記正極に固定化された酸素還元酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記酸素還元酵素がビリルビンオキシダーゼであることを特徴とする請求項11記載の燃料電池。
- 一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に酵素、微生物または細胞と電子メディエーターとが用いられる燃料電池において、
上記プロトン伝導体が上記電子メディエーターの酸化体または還元体の電荷と同符号の電荷を有するものである
ことを特徴とする電子機器。
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