JP2008303502A - 木材廃棄物のリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】家屋等を解体する際に発生する木材廃棄物に含まれる有害な有機塩素化合物を除去して無害化し、製紙用原料としてリサイクルする。
【解決手段】建材や木材パレット由来の木材廃棄物をチップ化した木材廃棄物チップを化学パルプ化してパルプにリサイクルする方法であって、パルプ化工程の前に、単独あるいは通常の木材チップと混合して、大気圧下で、乾燥チップ質量当りのアルカリ添加率0.5〜10%、処理時間0.5〜120分、処理温度が20〜120℃、処理溶液のpHを10より高い条件に保ってアルカリ浸漬処理、洗浄し、廃棄物チップ中の抽出性有機塩素濃度を2ppm以下にし、続いてアルカリ蒸解工程でパルプ化する。
【選択図】なし

Description

本発明は家屋等を解体する際に発生する木材廃棄物に含まれる有害な有機塩素化合物を除去して無害化し、製紙用原料としてリサイクルする方法に関する。
廃棄物のリサイクルに対しての意識が年々高まってきており、リサイクル困難な物質に対する解決法が期待されている。リサイクルが困難な物質の例として、古い家屋等を解体する際に発生する木材廃棄物がある。木材廃棄物の発生量は全国で年間50万〜200万トンと推定されるが、その多くは産業廃棄物として焼却処分され、あるいは破砕して埋立処分されている。
木材廃棄物をリサイクルする方法として、木材廃棄物を粉砕してセメントや石膏と混ぜ合わせることにより絶縁材や運搬パレットにリサイクルする方法(例えば特許文献1)、あるいは木材廃棄物を熱可塑性樹脂と一緒に加熱粉砕し、木材繊維表面を樹脂で皮膜して有害物質を閉じ込め、段ボール材料としてリサイクルする方法(例えば特許文献2)が開示されている。また、木材廃棄物をガス化、燃焼させてエネルギーとして利用する方法(例えば特許文献3)も開示されている。
木材廃棄物は紙の主要原料である木材の一種であるにも関わらず、製紙原料としてのリサイクルが進んでいるとはいい難い。リサイクルを促進するために、木材廃棄物がもつ水分含有量が低いという問題を解決し、効果的にパルプ化する方法(例えば特許文献4)が開示されているが、木材廃棄物には鉄屑、ペンキ、防腐剤等、様々な異物が含有されているという問題も存在する。特にこれら異物由来の有害な有機塩素化合物はリサイクルの障害になっている。現在提案されている有機塩素化合物を除去あるいは無害化する方法(例えば、特許文献5、6)は、大掛かりな設備を設置する必要や有機溶剤を使用する必要があり、効果的な方法とはいい難い。
特開平11−157901号公報 特開平11−504394号公報 特表2005−525526号公報 特開平5−321181号公報 特開2003−230638号公報 特開2004−57886号公報
本発明は家屋等を解体する際に発生する木材廃棄物に含まれる有害な有機塩素化合物を除去して無害化し、製紙用原料としてリサイクルする方法に関する。
本発明者らは、木材廃棄物に含まれる有害な有機塩素化合物を除去して無害化し、製紙用原料としてリサイクルすることを目的として種々検討した結果、木材廃棄物チップをアルカリ浸漬処理することで、短時間、低コストで有機塩素化合物を除去、無害化でき、続いてアルカリ蒸解してパルプ化してパルプにリサイクルできることを見出し、本発明を完成するに至った。
本願発明は以下の発明を包含する。
(1)建材や木材パレット由来の木材廃棄物をチップ化した木材廃棄物チップを化学パルプ化してパルプにリサイクルする方法であって、パルプ化工程の前に、単独あるいは通常の木材チップと混合して、大気圧下で、乾燥チップ質量当りのアルカリ添加率0.5〜10%、処理時間0.5〜120分、処理温度が20〜120℃、処理溶液のpHを10より高い条件で保ってアルカリ浸漬処理、洗浄し、廃棄物チップ中の抽出性有機塩素濃度を2ppm以下にし、続いてアルカリ蒸解工程でパルプ化する木材廃棄物のリサイクル方法。
(2)前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリが、水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合物である(1)記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(3)前記アルカリ浸漬処理条件が、乾燥チップ質量当りのアルカリ添加率が1〜5%、処理時間が5〜40分、処理温度が60〜90℃であり、処理溶液のpHを11より高い条件で保つ(1)または(2)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(4)前記アルカリ浸漬処理時に界面活性剤を添加する(1)〜(3)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(5)前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリとして、パルプ蒸解後の黒液を使用する(1)〜(4)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(6)前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリとして、パルプ漂白工程からでるアルカリ廃液を使用する(1)〜(5)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(7)前記アルカリ浸漬処理が加圧条件下で行なわれる(1)〜(6)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
(8)前記アルカリ浸漬工程後にチップをプレス圧縮する(1)〜(7)のいずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
本発明者によれば、有害な有機塩素化合物を含む木材廃棄物チップをアルカリ浸漬処理することで、短時間、低コストで有機塩素化合物を除去、無害化でき、続く化学蒸解工程でパルプ化してパルプにリサイクルできる。
本発明でパルプ製造原料として使用する木材廃棄物は、上述したように家屋等を解体する際に発生する古材や木材パレット由来の廃棄物であり、これらを構成する木材の種類を特定することはできないが、その大部分は一般に家屋の柱や梁に使用されている針葉樹材である。
本発明で有機塩素化合物が除去される機構として、アルカリ加水分解による有機塩素化合物の分解、およびアルカリ溶液への溶解が推測される。前述したように、木材廃棄物に含まれる有害な有機塩素化合物はペンキや防腐剤由来であるため、木材表面に限定して存在すると考えられる。そのため、本発明では、木材廃棄物のごく表面にアルカリが浸透して反応すればよく、低温、短時間、低アルカリといった、マイルドな条件で効果的に有機塩素化合物を除去でき、低コストでリサイクルが可能である。
本発明では、これら木材廃棄物は、パルプ製造原料として通常使用される程度の大きさにチップ化した後、単独あるいは通常の木材チップと混合して大気圧下で、アルカリ溶液に浸漬される。このアルカリ溶液には乾燥チップ質量当りの添加率で0.5〜10%のアルカリ、好ましくは1〜5%のアルカリが含まれる。浸漬時間は0.5〜120分、好ましくは5〜40分である。処理温度は20〜120℃であり、好ましくは60〜90℃である。アルカリ添加率が0.5%未満ではアルカリが水中やチップ表面の酸や抽出成分等の不純物に消費されてしまい、有機塩素化合物を溶出させるためのアルカリが不十分となるため適さない。一方、添加率10%を超えるとアルカリが過剰であり薬品コストが高くなるばかりか、処理廃水の中和に必要な酸が過剰に必要となるために適さない。添加率1〜5%の範囲では添加したアルカリ量に応じて効果的に有機塩素化合物を除去できるために好適である。処理温度が20℃未満では、有機塩素の除去が進まないだけでなく溶液を冷却するために多大なエネルギーが必要となるために不適であり、120℃を越えると逆に加熱エネルギーが必要となるだけでなく、ヘミセルロース等の溶出が促進されパルプ品質を著しく損なうために不適である。処理温度60℃以上であれば効果的に反応が進むために処理時間を短縮でき、処理温度90℃以下であれば工場内の温水や余熱を利用できるため、エネルギー、コスト的に好適である。処理時間0.5分未満ではアルカリがチップ表面に浸透、反応するに十分な時間がないために十分な効果が得られず、120分を越えて処理するには膨大な設備が必要となり、設置場所、設置費用面で不利となる。処理時間40分以下であれば設置場所も小さくすみ、設置費用面でもさらに好ましい。処理溶液のpHが10未満になると有機塩素の除去が進まないために不適であり、処理溶液pHを11より高く保つことで、処理時間を短縮し、低い処理温度で加熱エネルギーを節約できるために好ましい。アルカリ溶液はチップが浸漬するだけの量があれば十分であり、液比3〜6が好適である。
本発明のアルカリ浸漬処理で使用する水酸化ナトリウム又は水酸化ナトリウムの混合物が好ましい。これらはパルプ製造工程で現在使用されているために入手が容易であり、コスト面からも有利である。一方でアルカリ浸漬処理に使用するアルカリとして、パルプ蒸解後の黒液および/またはパルプ漂白工程から出るアルカリ廃液を使用することが可能である。これらを該アルカリ再利用することで、該アルカリ浸漬処理で用いる用水やアルカリを削減することができ、効果的である。
本発明では、木材廃棄物チップ表面へのアルカリの浸透性を高めるために更に界面活性剤を併用することが好ましく、界面活性剤の浸透効果により、アルカリ添加率、処理温度、処理時間などを軽減する効果が得られる。該アルカリ浸漬処理により、チップに残る抽出性有機塩素濃度が2ppm以下にすることが可能であり、2ppm以下であれば、通常の木材チップと同等のレベルであり、化学パルプ化工程で得られるパルプに有害な有機塩素化合物の大半は除去される。
本発明は公知のパルプ蒸解設備に組込むことが可能であり、蒸気加圧されたチップに対して行なうことも可能である。本発明ではアルカリ浸漬処理は加圧条件下で行われることが好ましく、加圧することでアルカリのチップ内部への浸透が促進され、処理温度、処理時間などを軽減する効果が得られる。
本発明ではチップを蒸解する前にマイルドな処理条件でアルカリ浸漬処理を行うため、余分な木材樹脂やポリフェノール類、フェノール成分の抽出が抑制され、処理排水による環境負荷を軽減できるだけでなく、繊維へのダメージも軽減できるために、続くパルプ化工程で高品質なパルプが得られる。処理排水は中和後、活性汚泥処理して有機塩素成分を排水から除去できる。また、アルカリ処理排水をパルプ化工程で発生する黒液と一緒に公知の回収工程で燃焼して無害化することもできる。
本発明のアルカリ浸漬処理された木材廃棄物チップは、公知の洗浄機で洗浄され、化学パルプ化工程に供される。洗浄工程ではチップとアルカリ溶液を分離するだけでもよいが、洗浄機としてプレス圧縮装置を用いるとチップ内部の有機塩素化合物をアルカリ溶液とともに搾り出し、より効果的に除去できるために好適である。この圧縮装置としては、例えばアンドリッツ社のインプレッサファイナー等を用いることができる。
本発明においては、パルプ化方法は特に限定されるものではないが、好適にはクラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の化学パルプ化法が用いられる。特に、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、又は、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。また、その製造に使用される蒸解釜のタイプも特に限定されるものではないが、現在主要となっている連続蒸解釜が好適に用いられる。
例えば、連続蒸解釜を使用したクラフト蒸解では、前記篩別されたチップはチップビンに入れられる。一旦チップビンに貯えられたチップは、チップメーターで計量され低圧フィーダーによってスチーミングベッセルに送り込まれる。スチーミングベッセルでは容器内のスクリューコンベアでチップが移動する間に、蒸気を吹き込み、蒸気による加熱でチップ中の空気を追い出す。本発明の圧縮処理されたチップの場合、圧縮によりチップ内の空気の多くが既に除去されていることから、この脱気がスムーズとなり、チップへの蒸解液の浸透が良くなるという利点もある。本発明で使用する蒸気は生蒸気でも良いし、抽出黒液のフラッシュ蒸気でも良い。このスチーミングベッセルによる処理の条件は通常の公知の条件で行われる。スチーミングベッセルによる蒸気加熱を組み込むことが好ましいが、このスチーミングベッセルを省略することも可能である。
チップに含浸させる蒸解液は、硫化度は5〜75%、好ましくは15〜30%、有効アルカリ添加率は乾燥木材質量当たり10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃である。蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。前記蒸解液の含浸を終えたチップは、引き続き、高圧フィーダーにより蒸解釜に送られる。蒸解釜では、公知の条件で浸透、蒸解、洗浄などの処理を施し、未漂白クラフトパルプを製造する。
本発明では、前記未漂白パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンすることもできる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
酸素ガスの添加率は、乾燥パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。
アルカリ酸素漂白が施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理することもできる。
本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、もちろん本発明はこれによって何等制限されるものではない。また、特に示さない限り、チップおよびパルプの抽出性有機塩素測定、パルプカッパー価、パルプ粘度の評価は、それぞれ以下の方法で行った。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は乾燥チップ質量当たりの質量%示す。
1.チップおよびパルプの抽出性有機塩素(EOX)測定
チップは乾燥後ラボにて粉砕し、木粉にした。木粉およびパルプは、0.85g/L硝酸ナトリウム液(硝酸酸性)で2時間振とう後、脱イオン水で洗浄し、無機塩素イオンを除去した。乾燥後、20倍量のメタノール中で窒素加圧雰囲気下(0.5MPa)、60℃で1時間抽出し、抽出液を超純水で3倍希釈し、希釈液中の有機塩素濃度をハロゲン分析装置TOX−10(ダイアインスツルメンツ社製)で測定し、チップまたはパルプ質量あたりの抽出性有機塩素濃度をppmで求めた。
2.カッパー価の測定
JIS P 8211に準じて行った。
3.パルプ粘度の測定
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI 44に準じて行った。
実施例1
木材廃棄物チップ乾燥質量250gを採取し、液比5、水酸化ナトリウム添加率5%、105℃で60分間アルカリ浸漬処理し、脱イオン水で十分に置換洗浄した。浸漬処理後のアルカリ溶液pHは12.9であった。洗浄後チップを乾燥質量200g採取し、液比5、乾燥チップ質量当たり活性アルカリ21%、蒸解液の硫化度28%、蒸解温度165℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱式オートクレーブを用いてクラフト蒸解してパルプを得た。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例2
実施例1において、アルカリ浸漬処理条件を水酸化ナトリウム添加率5%、80℃で20分間とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例3
実施例1において、アルカリ浸漬処理条件を水酸化ナトリウム添加率1%、50℃で5分間とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例4
実施例1において、パルプ蒸解後の黒液を用い(pH13)、水酸化ナトリウム添加率1%とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例5
実施例1において、パルプ漂白工程からでるアルカリ廃液(pH10)を用い、水酸化ナトリウム添加率1%とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例6
実施例3において、アルカリ浸漬処理溶液に添加率1%で界面活性剤を添加した以外は実施例3と同様の操作を行なった。界面活性剤としてサンノプコ(株)製のサンクリアを用いた。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
実施例7
実施例3において、窒素を添加して圧力を0.5MPaに調整した以外は実施例3と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
比較例1
実施例1において、アルカリ浸漬処理をせずにクラフト蒸解した以外は実施例1と同様の操作を行なった。チップおよびパルプのEOX、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
比較例2
実施例1において、アルカリ浸漬処理条件でアルカリを添加せずに浸漬処理をした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
比較例3
実施例1において、アルカリ浸漬処理条件をアルカリ添加率0.3%、80℃、60分間とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のアルカリ溶液pHは8.5であった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
比較例4
実施例1において、アルカリ浸漬処理条件を水酸化ナトリウム添加率10%、140℃で60分間とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。浸漬処理後のチップおよびパルプのEOX、処理後アルカリ溶液のpH、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
参考例
比較例1においてチップに通常のラジアータパイン木材チップを使用した以外は比較例1と同様の操作を行なった。チップおよびパルプのEOX、パルプのカッパー価、粘度を表1に示した。
Figure 2008303502
表1の実施例1〜7と比較例1,2,参考例を比較することから明らかなように、木材廃棄物チップを適切な条件でアルカリ浸漬処理することにより、処理後チップおよびパルプ化工程後の有機塩素を通常の木材チップ並みに大幅に削減できることがわかる。また、実施例1〜6と比較例3、4を比較するとわかるように、アルカリ浸漬処理のpHが低いと有機塩素化合物が十分に除去できず、一方、アルカリ浸漬条件を強めすぎると、有機塩素の除去だけでなく、抽出成分やヘミセルロース等も除去されてしまい、パルプ化工程でパルプ粘度が大幅に低下してしまい、パルプ品質が悪化してしまうことがわかる。また、実施例4、5より工程内から発生するアルカリ廃液を用いること、実施例6より界面活性剤を添加すること、実施例7より加圧条件下で浸漬処理をすることで、アルカリ浸漬処理性を向上できることがわかる。
このように本発明は有害な有機塩素化合物を含む木材廃棄物チップを短時間、低コストで有機塩素化合物を除去、無害化し、続く化学蒸解工程でパルプ化してパルプにリサイクルする方法に好適である。

Claims (8)

  1. 建材や木材パレット由来の木材廃棄物をチップ化した木材廃棄物チップを化学パルプ化してパルプにリサイクルする方法であって、パルプ化工程の前に、単独あるいは通常の木材チップと混合して、大気圧下で、乾燥チップ質量当りのアルカリ添加率0.5〜10%、処理時間0.5〜120分、処理温度が20〜120℃、処理溶液のpHを10より高い条件に保ってアルカリ浸漬処理、洗浄し、廃棄物チップ中の抽出性有機塩素濃度を2ppm以下にし、続いてアルカリ蒸解工程でパルプ化することを特徴とする木材廃棄物のリサイクル方法。
  2. 前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリが、水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合物であることを特徴とする請求項1記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  3. 前記アルカリ浸漬処理条件が、乾燥チップ質量当りのアルカリ添加率が1〜5%、処理時間が5〜40分、処理温度が60〜90℃であり、処理溶液のpHを11より高い条件で保つことを特徴とする請求項1または2記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  4. 前記アルカリ浸漬処理時に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  5. 前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリとして、パルプ蒸解後の黒液を使用することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  6. 前記アルカリ浸漬処理に用いるアルカリとして、パルプ漂白工程からでるアルカリ廃液を使用することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  7. 前記アルカリ浸漬処理が加圧条件下で行なわれることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
  8. 前記アルカリ浸漬工程後にチップをプレス圧縮することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の木材廃棄物のリサイクル方法。
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