JP2008302917A - 電動車両 - Google Patents

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貴久 神蔵
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Abstract

【課題】電源部となる電池ケースを備えた電動車両において、旋回時や加減速時における車両の走行安定性と限界運動性能の向上を図る。
【解決手段】駆動源であるモータ2と、モータ2に電力を供給する電池ケース3とを搭載した電気自動車1において、電池ケース3を電気自動車1の走行状態に応じて車両内で移動させる電池移動ユニット10を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気自動車や燃料電池車などの電源部を有する電動車両に関し、詳しくは車両のピッチングやロールを抑える姿勢制御の機能を備えた電動車両に関する。
従来より、車両の走行安定性を得るために、車両の挙動変化に応じて車輪の駆動力を制御したり(特許文献1参照)、制動量を制御したりすることが行われている(特許文献2参照)。
特開平5−328542号公報 特開2006−217677号公報
近年、電気自動車や燃料電池などの電動車両の開発が進み、その実用化もなされている。このような電動車両についても、走行安定性を向上させるために、従来と同様に各車輪の駆動力や制動力を制御することが考えられる。しかしながら、電動車両では電源部となる電池ケース(電池ユニット)を備えるため、エンジン車に比べると車両重量が重くなっている。このため、上記従来例による制御だけでは安定した姿勢制御が難しいと考えられる。そこで、電動車両の特長を生かし、いっそうの走行安定性を得るための工夫が求められている。
本発明の目的は、車両の走行安定性と限界運動性能を向上させることができる電動車両を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係わる発明は、車両の駆動源となる電動機と、前記電動機に電力を供給する電源部と、前記車両の走行状態を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された前記車両の走行状態に基づいて前記電源部を前記車両内において移動させる移動手段とを備えることを要旨とする電動車両である。
請求項2に係わる発明は、請求項1において、前記検出手段は、前記車両の前後左右方向の加速度を検出する加速度検出部を備え、前記移動手段は、前記加速度検出部が検出した前記車両の前後左右方向の加速度に基づいて前記電源部の移動量を演算する移動量演算部と、前記移動量演算部で演算された移動量に応じて前記電源部を移動させる移動機構部とを備えることを要旨とする。
請求項3に係わる発明は、車両の駆動源となる電動機と、前記電動機に電力を供給する電源部と、前記車両の走行状態及び/又は操作状態を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された前記車両の走行状態及び/又は操作状態に基づいて前記電源部を前記車両内において移動させる移動手段とを備えることを要旨とする電動車両である。
請求項4に係わる発明は、請求項3において、前記検出手段は、前記車両の前後左右方向の加速度を検出する加速度検出部と、前記車両の前後左右方向の加速度発生をもたらす操作の操作量及び操作速度を検出する操作検出部とを備え、前記移動手段は、前記検出手段が検出した前記車両の前後左右方向の加速度が予め設定された閾値以上であれば前記車両の前後左右方向の加速度に基づいて前記電源部の移動量を演算し、前記検出手段が検出した前記車両の前後左右方向の加速度が予め設定された閾値未満であれば前記車両の前後左右方向の加速度発生をもたらす操作の操作量及び操作速度に基づいて前記電源部の移動量を演算する移動量演算部と、前記移動量演算部で演算された移動量に応じて前記電源部を移動させる移動機構部とを備えることを要旨とする。
請求項5に係わる発明は、請求項4において、前記加速度検出部は、前記車両の所定位置に配置された加速度センサからなり、前記操作検出部は、運転者により操舵されたステアリングホイールの操舵角を検出するステアリング角検出部と、運転者により操舵されたステアリングホイールの操舵方向の角速度を検出するステアリング角速度検出部と、運転者により操作されたアクセルペダルの踏み込み速度を検出するアクセルペダル踏み込み速度検出部と、運転者により操作されたブレーキペダルの踏み込み速度を検出するブレーキペダル踏み込み速度検出部とを備えることを要旨とする。
請求項6に係わる発明は、請求項2乃至5のいずれか一項において、前記移動機構部は、油圧、空圧、及びモータよりなる群から選択された少なくともいずれか一つのアクチュエータによって前記電源部を移動させることを要旨とする。
請求項7に係わる発明は、請求項1乃至6のいずれか一項において、前記電源部は、電気自動車の電池ケースであることを要旨とする。
請求項8に係わる発明は、請求項1乃至6のいずれか一項において、前記電源部は、燃料電池自動車の燃料電池ケースであることを要旨とする。
本発明によれば、車両の走行状態に応じて電源部を移動することにより、車両前後方向に生じるピッチングや、車両横(左右)方向に生じるロールを抑えることができるので、車両姿勢を安定化して、走行安定性を向上させることができる。また、車両のピッチングやロールが抑えられることにより、各車輪に生じる荷重移動量が減少して、本来の車輪性能を発揮できるようになるので、車両の限界運動性能を向上させることができる。
特に、車両の加速度を検出してその加速度変化に応じて電源部を移動することとしたので、ロールやピッチングなどの車両の挙動変化を正確に検出することができ、常に安定した姿勢制御を行うことができる。
また、車両の走行状態に応じて電源部を移動することに加えて、車両の操作状態に基づいて電源部を移動するようにした場合は、車両の走行状態の変化が発生していない状況においても、前もって電源部を移動させておくことができる。したがって、急旋回や急加速/急制動などの早い動作を伴う場合においても、車両姿勢の変化に対して電源部の移動に遅れを生じることがなく、走行安定性や車両の限界運動性能の向上に十分な効果を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。ここでは、車両の駆動源としてモータを備えた前輪駆動方式の電気自動車を例として説明する。また、以下の説明においては、電気自動車を適宜に「車両」という。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係わる電気自動車の全体構成を説明するための模式図である。
一般に、内燃機関を搭載する車両は、その重量の多くが駆動源たるエンジンによって占められ、しかもエンジンはプロペラシャフトやギヤなどの機械部品により車軸と接続されているため、車両内で移動させることは困難である。これに対し、電気自動車1では、図1に示すように、車軸4と機械的に接続されているモータ2はエンジンと比較して軽く、逆に、電池ケース3は車両重量の多くを占めている。車両の構成によっては電池ケース3が全体の2割近くを占める場合がある。このような電池ケース3は、モータ2と電気的な接続さえ確保されていれば車両内のどこに配置されていてもよい。本実施形態では、電気自動車1において多くの重量を占める電池ケース3を、車両の走行状態に応じて所定の範囲内で移動させるように構成したものである。
本実施形態に係わる電気自動車1は、図1に示すように、空気入りタイヤが装着された左右の前輪6及び後輪7と、前輪6に取り付けられた車軸4と、後輪7に取り付けられた車軸5と、車軸4に機械的に接続されたモータ2(電動機)と、このモータ2に電力を供給する電池ケース3(電源部)とを備えている。なお、本実施形態の電池ケース3は、複数の二次電池を直列(または並列)に接続して一体化したものである。
また、電気自動車1は、電池ケース3を移動させるための電池移動ユニット10と、モータや電源の制御部及び移動量演算部として機能するECU20と、図示しない加速度センサとを備えている。
また、電気自動車1の前部には、前輪6を転蛇する図示しないステアリングホイールが設けられている。このステアリングホイールは、車両に乗車したドライバーにより操舵されるものである。本実施形態では、前輪6を駆動輪及び操舵輪とした前輪駆動方式の構成について示すが、前輪6を操舵輪、後輪7を駆動輪とした構成でもあってもよい。
図2は、電池移動ユニット10の構成を示す説明図である。(a)は電池移動ユニット10の概略斜視図、(b)は電池ケースの移動方向を示す概略平面図である。
電池移動ユニット10は、図2(a)に示すように、電池ケース3をX軸、Y軸方向にそれぞれ移動させるための機構を備えている。電池ケース3をX軸方向へ移動させるための機構は、X軸台車11と、X軸アクチュエータ13と、X軸ボールネジ機構15と、レール18とで構成されている。また、電池ケース3をY軸方向へ移動させるための機構は、図示しないY軸台車と、Y軸アクチュエータ14と、Y軸ボールネジ機構16と、レール19とで構成されている。ここでは、図2(b)に示すように、電気自動車1の進行方向に平行な軸をX軸、これと直交する軸をY軸とする。
電池ケース3は、図示しないY軸台車上に搭載されている。このY軸台車の下部には、図示しない雌ネジ部(以下、Y軸雌ネジ部)が設けられ、Y軸ボールネジ機構16と係合されている。Y軸ボールネジ機構16には、Y軸アクチュエータ14が接続されている。また、Y軸台車の下部には、図示しないガイド部が設けられ、レール19が貫通している。
また、電池ケース3及び上記Y軸台車を含む移動機構は、X軸台車11上に搭載されている。このX軸台車11の下部には、図示しない雌ネジ部(以下、X軸雌ネジ部)が設けられ、X軸ボールネジ機構15と係合されている。X軸ボールネジ機構15には、X軸アクチュエータ13と接続されている。また、X軸台車11の下部には、図示しないガイド部が設けられ、レール18が貫通している。
上記構成において、X軸アクチュエータ13と接続するX軸ボールネジ機構15を回動させると、このX軸ボールネジ機構15と係合するX軸雌ネジ部がボールネジの回転方向に応じてX軸方向に移動する。これにより、X軸台車11上に搭載された電池ケース3(及びY軸方向への移動機構)はX軸方向に移動することになる。一方、Y軸アクチュエータ14と接続するY軸ボールネジ機構16を回動させると、このY軸ボールネジ機構16と係合する図示しないY軸雌ネジ部がボールネジの回転方向に応じてY軸方向に移動する。これにより、Y軸台車上に搭載された電池ケース3はY軸方向に移動することになる。
X軸ボールネジ機構15とレール18、及びY軸ボールネジ機構16とレール19は、図2(a)に示すように、互いに干渉しない位置に取り付けられているため、電池ケース3は各ボールネジの移動範囲内において、X軸方向、Y軸方向の任意の位置に移動させることができる。
図3は、電池移動ユニット10の移動量を演算する制御系の構成を示すブロック図である。以下、各部について説明する。
加速度センサ21は、車両の前後左右方向の加速度を検出する加速度検出部として機能するものであり、車両の所定位置に配置されている。また、本実施形態における加速度センサ21は、車両である電気自動車1の走行状態を検出する検出手段として機能する。この加速度センサ21は、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサと、車両の左右方向の加速度を検出する加速度センサとから構成されるものでもよいし、他の目的で搭載されている加速度センサの検出値を利用してもよい。以下、車両の左右方向の加速度を適宜に「横方向の加速度」、又は「横加速度」ともいう。
ECU20はエンジンコントロールユニットであり、主にモータ2の回転制御や、モータ2や電池ケース3からの電力の制御などを行う制御部として機能する。また、ECU20は、加速度センサ21で検出された車両の前後左右方向の加速度に基づいて、後述する処理手順にしたがって電池ケース3の移動量を演算する移動量演算部としても機能する。
ECU20は、あらかじめ設定されたコンピュータプログラムに従って演算処理やデータの入出力等を実行するコンピュータ装置であり、例えば中央演算ユニット(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)リードオンリーメモリ(ROM)、および入出力インターフェース(I/Oインターフェース)を備えたマイクロコンピュータにより構成することができる。ただし、ECU20を複数のマイクロコンピュータにより構成することも可能であり、本実施形態で説明する制御の他にも複数の制御を実行する装置として構成してもよい。また、電池移動コントローラ22の機能をECU20が実行するように構成してもよい。
電池移動コントローラ22は、ECU20で演算された移動量に従って、X軸アクチュエータ13、Y軸アクチュエータ14に対する駆動指令信号を生成し、これを各アクチュエータに出力することにより、電池ケース3を目標位置まで移動させる。
本実施形態における電池移動ユニット10は移動機構部として機能し、ECU20は移動量演算部として機能するものである。そして、電池移動ユニット10とECU20は、検出手段である加速度センサ21で検出された車両の走行状態に基づいて、電源部である電池ケース3を車両内において移動させる移動手段を構成する。
次に、実施形態1の制御系による電池ケース移動の処理手順を図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ECU20による電池ケース移動の処理は周期的に実行される。
まず、加速度センサ21により検出された車両の前後左右方向の加速度をECU20に入力する(ステップS1)。そして、入力された加速度センサ21からの電気信号を、ECU20によって演算用のデータに変換する(ステップS2)。次にECU20によって、検出された車両の前後左右方向の加速度が閾値以上かどうかを判断する(ステップS3)。このステップS3では、検出された加速度が電池ケース移動を必要としない程度の低い値である場合や、ノイズなどの影響によりわずかに発生した値が加速度として検出された場合に電池ケース移動の処理を実行しないようにするため、予め設定された閾値との比較を行うものである。
ステップS3において加速度が閾値以上である場合、ECU20は、車両の前後左右方向の加速度に基づいて電池ケース3のX方向、Y方向の移動量を演算し、電池移動コントローラ22に送信する(ステップS4)。電池移動コントローラ22では、ECU20で演算されたX方向、Y方向の移動量に応じた駆動指令信号を生成して、X軸アクチュエータ13とY軸アクチュエータ14とに出力する(ステップS5)。これによって、ECU20により演算された移動量の分だけ電池ケース3がX軸及び/又はY軸方向に移動することになる。
次に、上記ステップS4において、X方向、Y方向における移動量の演算手法について説明する。
図5は車両の荷重移動モデルを示す説明図であり、図6は電池ケース3の荷重移動モデルを示す説明図である。以下の説明において、荷重移動とは、車両の走行中に各車輪にかかる荷重のバランス変化をいい、荷重移動量とは、この変化量を指すものとする。
各図のパラメータは、Mは車両質量、ΔF frontは前輪位置における荷重変化量、ΔF rearは後輪位置における荷重変化量、hは車輪接地面から車両中心までの高さ、Lは前輪から後輪までの長さ、Lfは車両重心位置から前輪までの長さ、Lrは車両重心位置から後輪までの長さ、axは車両の前後方向の加速度、(図3のayは車両の横方向の加速度)、m(図6)は電池ケース質量、m frontは前輪位置における電池ケース3の荷重、m rearは後輪位置における電池ケース3の荷重、L’fは電池ケース3の重心位置から前輪までの長さ、L’rは電池ケース3の重心位置から後輪までの長さ、Δxは電池ケース3の前後方向の移動量、(図3のΔyは電池ケース3の横方向の移動量)である。
まず、図5に示したパラメータを用いて、車両の荷重変化をモデル化する。
運動方程式より、
M・ax・h=ΔF front・Lf+ΔF rear・Lr …(1)
となる。
また、
ΔF front−ΔF rear=0 …(2)
が成り立つので、(1)式に(2)式を代入し、
M・ax・h=ΔF front・L
となる。
よって、
ΔF front=(M・ax・h)/L …(4)
が得られる。(4)式が車両前部へかかる荷重移動の差分を求める式となる。
同様に、車両の横方向の荷重移動ΔF rightに関しても上記式をY軸方向に展開し、同様の計算をすることによって、下記(5)式の通り求めることができる。
ΔF right=(M・ay・h)/d …(5)
なお、ayは車両の横方向加速度、dは車両トレッドベースの長さである。
次に、電池ケース3の荷重移動をモデル化する。
まず、基準位置に電池ケース3がある場合の前後方向の荷重を求める。
m=m front+m rear …(6)
である。
また、前後方向の荷重は、
m front・L’f=m rear・L’r …(7)
である。
これをm frontについてまとめると
m front=(m rear・L’r)/L’f …(8)
となる。さらに(8)式と(6)式をm frontについてまとめると、
m front=(m・L’r)/L …(9)
となり、車両の前部方向にかかる電池ケース3の基礎式が求まる。
この式に対し、電池ケース3を移動した場合の車両前輪部へかかる荷重の式を求める。
これにはまず(7)式に移動分を考えると、
m’ front・(L’f−Δx)=m’ rear・(L’r−Δx)…(10)
である。なお、m’ front及びm’ rearは電池ケース3がΔxだけ前後に移動した場合の車両前後にかかる荷重である。これは、
m=m’ front+m’ rear …(11)
であることから、これを(10)式に代入しm’ frontについて求めると、
m’ front=(m・(L’r−Δx))/L …(12)
が求まり、電池ケース3が移動した場合の車両前部への荷重が求まる。
また、同様にY軸(車両横方向)の荷重を求める基礎式、及び移動後の荷重を求める式は同様にして、
m right=(m・d’left)/d …(13)
m’ right=(m・(d’left+Δy))/d …(14)
である。ここで、m rightは車両進行方向に対して右側車輪にかかる電池ケース3の荷重であり、dは左右車輪間のトレッドベース、d’leftは電池ケース3の重心位置から左側車輪のトレッドベースである。
以上のモデルから、車両荷重移動分を、電池ケース3を移動させることにより打ち消すための電池ケース3の移動量は、以下の(15)乃至(18)式により求めることができる。
ΔF front+(m’ front−m front)=0 …(15)
ΔF right+(m’ right−m right)=0 …(16)
この(15)式に前記(9)、(12)式を代入して車両の前後方向の移動量Δxを求めると
Δx=−(L・ΔF front)/m …(17)
となる。また、同様に横方向の移動量Δyを求めると
Δy=−(d・ΔF right)/m …(18)
となる。
したがって、加速度センサ21から得られる車両の前後方向及び横方向の加速度の値を、この(17)、(18)のΔF front及びΔF rightに代入することにより、電池ケース3の移動量(目標移動量)Δx、Δyを求めることができる。
電池移動コントローラ22では、上述した処理手順により求められた移動量Δx、Δyに基づいて駆動指令信号を生成し、X軸及びY軸アクチュエータ14を動作させて電池ケース3を移動させる。これにより車両のピッチングやロールに対して、各車輪の荷重移動量が減少するように電池ケース3を移動することができる。
次に、車両内において電池ケース3を移動させた場合の作用について説明する。
図7は荷重移動とコーナリングパワーを示すグラフ、図8は旋回時の制御を説明するための模式図、図9は荷重移動による車軸のコーナリング特性の変化を示すグラフ、図10は減速時の制御を説明するための模式図である。
図7において、横軸は車輪にかかる荷重であり、縦軸はコーナリングパワーである。図7に示すように、車輪にかかる荷重が増加すると(A→A1 )、コーナリングパワーは増加する(P→P1 )が、逆に車輪荷重が減少すると(A→A2 )、コーナリングパワーは減少する(P→P2 )ことがわかる。
これを図8に照らし合わせると、静止時に比べ旋回時には、コーナー外側の車輪には荷重が多くかかることになる(図7のA1 の状態)。一方、コーナー内側の車輪では荷重が減少する(図7のA2 の状態)。しかし、コーナー外側の車輪に過剰に荷重がかかった場合は(図7のA1 を超えた状態)、コーナリングパワーが逆に減少し(図7のP1 を超えた状態)、またコーナー内側の車輪はさらに荷重が減少してしまう。このように、各車輪の荷重移動量が増えると、総合的にコーナリングパワーが下がってしまい、本来の車輪(タイヤ)性能を発揮できなくなってしまう。
この状態を回避するため、上述した電池移動ユニット10によって、図8に示すように、車両内において多くの重量を占める電池ケース3を、旋回中心の方向へ動かすことで車両重心位置を強制的に移動させることにより、車両の横方向に生じるロールが抑えられ、左右輪の荷重移動量を減少させることができる。これにより、旋回中においても高いコーナリングパワーが維持され、本来の車輪性能を発揮できるようになり、車両の限界運動性能を向上させることができる。
また、車軸4のコーナリングフォースを軸荷重の関係を見ると、図9に示すように、車軸4のコーナリングフォースを軸荷重で除した値の(図9の縦軸値)は、車両の旋回加速度に一致する。したがって、図9のグラフからは横加速度による左右輪の荷重移動を考慮したときの車軸4の等価的なコーナリング特性を示すことになり、旋回時の荷重移動量を減少させることで車両の旋回加速度を増加させることができることがわかる。
一方、直進時の加減速(加速/減速)には車両がテールスクワット、ノーズダイブという現象(ピッチング)が起きる。この場合も前後の車輪間で荷重移動が起きる。この状態でも図7の関係(この場合はトラクション/ストッピングパワー)が成り立ち、旋回時と同様に、極端な荷重変化が起きると本来の車輪性能を発揮できなくなる。
そこで、このような前後方向の荷重変化に対しても、上述した電池移動ユニット10によって、図10に示すように、減速時には電池ケース3を後方へ移動させることで車両の重心位置を強制的に移動させることにより、車両の前方向に生じるピッチングが抑えられ、前輪での荷重移動量を減少させることができる。また、加速時には逆に電池ケース3を前方に移動することで車両の重心位置を強制的に移動させることにより、車両の後方向に生じるピッチングが抑えられ、後輪での荷重移動量を減少させることができる。このように、車両の前後方向に生じるピッチングが抑えられ、前後輪の荷重移動量を減少させることができるので、加減速においても本来の車輪性能を発揮できるようになり、車両の限界運動性能を向上させることができる。
以上説明したように、実施形態1に係わる電気自動車1によれば、多くの重量を占める電池ケース3を車両の旋回や加減速など、加速度の変化に応じて移動させることとしたので、車両旋回時には車両の横方向に生じるロールを抑え、加速や減速時には車両の前後方向に生じるピッチングを抑えることができる。このように、走行中における車両のロールやピッチングが抑えられるので、車両姿勢が安定化し、走行安定性を向上させることができる。また、走行中における車両のピッチングやロールが抑えられることにより、車両の旋回時や加減速時において各車輪の荷重移動量が減少して、本来の車輪性能を発揮できるようになるので、車両の限界運動性能を向上させることができる。このように、本実施形態に係わる電気自動車1では、重量物である電池ケース3を搭載した状態においても、車両姿勢の安定化させて車両の走行安定性を向上させることができる。また、車輪性能を引き上げて本来の車輪性能を発揮させることができるので、車両の限界運動性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、加速度センサ21により車両の前後左右方向に発生する加速度を検出してその加速度変化に応じて電池ケース3を移動することとしたので、ロールやピッチングなどの車両の挙動変化を正確に検出することができ、常に安定した姿勢制御を行うことができる。
[実施形態2]
次に、上記実施形態1の電池ケース移動制御に、更にフィードフォワード制御を加えた実施形態について説明する。
通常の運転状況下において車両を旋回、加減速させた場合には、実施形態1のように車両の前後左右方向の加速度を検出してから電池ケースの移動を開始しても十分に車両姿勢の安定化を図ることができる。しかし、電池ケースは重量物であるため、移動を開始してから目標位置まで移動させるにはある程度の時間が必要となる。このため、急旋回や急加速/急減速などの早い動作を伴う場合は、車両姿勢の変化に対して電池ケースの移動が追いつかず、車両の走行安定性や限界運動性能の向上に十分な効果が得られなくなることも考えられる。
そこで、本実施形態では、実施形態1の移動制御にフィードフォワード制御を加えることで、急旋回や急加速/急減速などの早い動作を伴う場合における移動制御の遅れを低減し、車両の走行安定性や限界運動性能の向上に十分な効果が得られるようにしたものである。
図11は、電池移動ユニット10の移動量を演算する制御系の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、実施形態1と重複する部分の説明を省略して相違点のみを説明する。また、実施形態1と同等部分を同一符合で表している。
本実施形態のECU20Aには、加速度センサ21のほかに、ステアリング角検出部31、ステアリング角速度検出部32、アクセルペダル踏み込み速度検出部33、ブレーキペダル踏み込み速度検出部34が接続されている。
ステアリング角検出部31は、ドライバーにより操舵されたステアリングホイールの操舵角(°)を検出するものである。以下、ステアリングホイールの操舵角をステアリング角度という。
ステアリング角速度検出部32は、ドライバーにより操舵されたステアリングホイールの操舵方向の角速度(rad/s)を検出するものである。以下、ステアリングホイールの操舵方向の角速度をステアリング角速度という。
これらステアリング角検出部31、ステアリング角速度検出部32は、旋回時に車両横方向に加速度が発生するきっかけとなるステアリングホイールの角度変化を検出するものである。すなわち、ステアリング角度を検出することにより、ドライバーがステアリングホイールを操舵した方向(時計回り又は反時計回り)を判断することができる。また、ステアリング角速度を検出することにより、旋回時に車両横方向に加速度が発生するか否かを前もって判断することができる。例えば、ステアリング角速度が大きければ、急旋回により車両は横方向にロールすると判断することができるので、横加速度が急激に増加する前に電池ケース3の移動制御を開始することができる。
アクセルペダル踏み込み速度検出部33は、ドライバーにより操舵されたアクセルペダルの踏み込み速度(m/s)を検出するものである。以下、アクセルペダルの踏み込み速度をアクセル踏み込み速度という。
ブレーキペダル踏み込み速度検出部34は、ドライバーにより操舵されたブレーキペダルの踏み込み速度(m/s)を検出するものである。以下、ブレーキペダルの踏み込み速度をブレーキ踏み込み速度という。
これらアクセルペダル踏み込み速度検出部33、ブレーキペダル踏み込み速度検出部34は、直進時に車両の前後方向に加速度が発生するきっかけとなるアクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み変化を検出するものである。すなわち、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み変化を検出することにより、車両の前後方向に加速度が発生するか否かを前もって判断することができる。例えば、アクセル踏み込み速度が速ければ、急加速により車両はテールスクワットし、またブレーキ踏み込み速度が速ければ、急減速により車両はノーズダイブすると予測できる。これにより、車両の前後方向に発生する加速度が急激に増加する前に電池ケース3の移動を開始することができる。
本実施形態におけるステアリング角検出部31、ステアリング角速度検出部32、アクセルペダル踏み込み速度検出部33、ブレーキペダル踏み込み速度検出部34は、車両の前後左右方向の加速度発生をもたらす操作の操作量及び操作速度を検出する操作検出部として機能するものであり、加速度センサ21とともに検出手段を構成する。
ECU20Aは、加速度センサ21で検出された車両の前後左右方向の加速度に基づいて、図4に示した処理手順により電池ケース3の移動量を演算するとともに、上記各検出部31〜34で検出された検出値に基づいて後述するフィードフォワード制御により電池ケース3の移動量を演算する。本実施形態では、加速度センサ21で検出された車両の前後左右方向の加速度、及び上記各検出部で検出された検出値が、それぞれ予め設定された閾値以上であるときに前記加速度や検出値に基づいて電池ケース3の移動量を演算するようにしている。
次に、実施形態2の制御系によるフィードフォワード制御を含む電池ケース移動の処理手順を図12及び図13に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、電池ケース移動の処理手順を、Y軸方向(車両横方向)、X軸方向(車両前後方向)に分けて説明するが、これらの処理は同時・並列的に実行されている。また、本実施形態においても、ECU20Aによる電池ケース移動の処理は周期的に実行される。
最初に、Y軸方向における電池ケース移動の処理手順を図12に示すフローチャートにより説明する。
まず、加速度センサ21により検出された車両の左右方向の加速度をECU20Aに入力する(ステップS11)。続いて、ステアリング角検出部31により検出されたステアリング角度、及びステアリング角速度検出部32により検出されたステアリング角速度をECU20Aに入力する(ステップS12)。そして、入力された加速度センサ21からの電気信号、並びにステアリング角検出部31及びステアリング角速度検出部32からの電気信号をECU20Aによって演算用のデータに変換する(ステップS13)。
次に、ECU20Aによって、車両の横加速度が予め設定された閾値以上かどうかを判断する(ステップS14)。このステップS14は、検出された横加速度が電池ケース移動を必要としない程度の低い値である場合や、ノイズなどの影響によりわずかに発生した値が横加速度として検出された場合に電池ケース移動の処理を実行しないようにするため、予め設定された閾値との比較を行うものである。
ここで、横加速度が閾値以上であれば、ECU20Aによって、検出された車両の左右方向の加速度に基づいて電池ケース3のY方向の移動量を演算し、電池移動コントローラ22に送信する(ステップS15)。また、ステップS14において、横加速度が閾値未満であれば、ECU20Aによって、ステアリング角速度が予め設定された閾値以上かどうかを判断する(ステップS16)。このステップS16は、検出されたステアリング角速度が電池ケース移動を必要としない程度の低い値である場合や、ノイズ等により発生したわずかな値がステアリング角速度として検出された場合に電池ケース移動の処理を実行しないようにするため、予め設定された閾値との比較を行うものである。
ステップS16において、ステアリング角速度が閾値以上であれば、ECU20Aによって、検出されたステアリング角度及びステアリング角速度に基づいて電池ケース3のY方向の移動量を演算し、電池移動コントローラ22に送信する(ステップS17)。電池移動コントローラ22では、ステップS15又はステップS17においてECU20Aにより演算されたY方向の移動量に応じた駆動指令信号を生成して、Y軸アクチュエータ14に出力する(ステップS18)。これによって、ECU20Aにより演算された移動量の分だけ電池ケース3がY軸方向に移動することになる。
このように、本実施形態では、検出された車両の横加速度が閾値未満であっても、横加速度発生のきっかけとなるステアリング角速度が閾値以上であれば、電池ケース移動の処理を実行するようにしているため、横加速度が急激に増加した場合でも、車両姿勢の変化に対して遅れることなしに電池ケース3を移動させることができる。
次に、上記ステップS15において、Y方向における移動量の演算手法について説明する。
まずパラメータとして、ステアリング角速度をω、ステアリング角度をβ、車両別係数をαy(αは使用車両により決定される)、Y方向の最大移動量をΔy maxとした場合、
0>αy・ω …(19)
とすると、この式(19)から、Y方向の移動量Δyは、
Δy=(+ or −)αy・ω・Δy max …(20)
となる。なお、式(20)において(+ or −)の項は、ステアリング角度βにより判断する。すなわち、ステアリングホイールを時計回りに操舵したときを正とし、反時計回りに操舵したときを負とすると、基準となる0点から時計回りにステアリングホイールを操舵した場合は「+」、反時計回りにステアリングホイールを操舵した場合は「−」が与えられることになる。
以上のように、車両の左右方向の加速度が発生していない状況においても、ステアリング角度β、ステアリング角速度ωを用いることにより、電池ケース3のY方向の移動量Δyを求めることができる。
なお、式(20)に、車両の速度による係数を加えて、
Δy=(+ or −)αy・ω・Δy max・kv …(21)
としてもよい。ここで、kvは車両速度係数(0〜1)である。この車両速度係数kvは、車速が遅いときは0に近い値、車速が速いときは1に近い値が与えられる。これによれば、車速が遅いときは電池ケースの移動量が抑えられ、車速が速くなるにつれて電池ケースの移動量が本来の移動量に近くなるように制御される。このように、Y方向の移動量Δyを求める際に、車両速度係数kvによる補正量を加えることによって、ドライバーに対して車両の挙動変化に違和感を感じさせることのない、より安定した車両姿勢の制御を行うことができる。
電池移動コントローラ22では、上述した演算手法により得られたY方向の移動量Δyに応じた駆動指令信号を生成して、Y軸アクチュエータ14に出力することにより、Y軸アクチュエータ14を動作させて電池ケース3を移動させる。これによって、横加速度が発生していない状況においても、前もって電池ケース3をY軸方向に移動させることができるので、この後、急旋回などにより横加速度が発生した場合でも、車両姿勢の変化に対して遅れることなしに電池ケース3を移動させることが可能となる。
続いて、X軸方向における電池ケース移動の処理手順を図13に示すフローチャートにより説明する。
まず、加速度センサ21により検出された車両の前後方向の加速度をECU20Aに入力する(ステップS21)。続いて、アクセルペダル踏み込み速度検出部33により検出されたアクセル踏み込み速度又はブレーキペダル踏み込み速度検出部34により検出されたブレーキ踏み込み速度をECU20Aに入力する(ステップS22)。そして、入力された加速度センサ21からの電気信号、並びにアクセルペダル踏み込み速度検出部33又はブレーキペダル踏み込み速度検出部34からの電気信号をECU20Aによって演算用のデータに変換する(ステップS23)。次に、ECU20Aによって、車両の前後方向の加速度が予め設定された閾値以上かどうかを判断する(ステップS24)。このステップS24は、検出された前後方向の加速度が電池ケース移動を必要としない程度の低い値である場合や、ノイズなどの影響によりわずかに発生した値が前後方向の加速度として検出された場合に電池ケース移動の処理を実行しないようにするため、予め設定された閾値との比較を行うものである。
ここで、前後方向の加速度が閾値以上であれば、ECU20Aによって、検出した車両の前後方向の加速度に基づいて電池ケース3のX方向の移動量を演算し、電池移動コントローラ22に送信する(ステップS25)。また、ステップS24において、前後方向の加速度が閾値未満であれば、ECU20Aによって、アクセル踏み込み速度又はブレーキ踏み込み速度が予め設定された閾値以上かどうかを判断する(ステップS27)。このステップS27は、検出されたアクセル踏み込み速度又はブレーキ踏み込み速度が電池ケース移動を必要としない程度の低い値である場合や、ノイズ等により発生したわずかな値が速度値として検出された場合に電池ケース移動の処理を実行しないようにするため、予め設定された閾値との比較を行うものである。
ステップS27において、アクセル踏み込み速度又はブレーキ踏み込み速度が閾値未満であれば、ECU20Aによって、検出されたアクセル踏み込み速度又はブレーキ踏み込み速度に基づいて電池ケース3のX方向の移動量を演算し、電池移動コントローラ22に送信する(ステップS28)。電池移動コントローラ22では、ECU20Aで演算されたX方向の移動量に応じた駆動指令信号を生成してY軸アクチュエータ14に出力する(ステップS26)。これによって、ECU20Aにより演算された移動量の分だけ電池ケース3がY軸方向に移動することになる。電池移動コントローラ22では、ステップS25又はステップS28においてECU20Aにより演算されたY方向の移動量に応じた駆動指令信号を生成して、X軸アクチュエータ13に出力する(ステップS26)。これによって、ECU20Aにより演算された移動量の分だけ電池ケース3がX軸方向に移動することになる。
このように、本実施形態では、検出された車両の前後方向の加速度が閾値未満であっても、前後方向の加速度発生のきっかけとなるアクセル踏み込み速度又はブレーキ踏み込み信号が閾値以上であれば、電池ケース移動の処理を実行するようにしているため、前後方向の加速度が急激に増加した場合でも、車両姿勢の変化に対して遅れることなしに電池ケース3を移動させることができる。
次に、上記ステップS25において、X方向における移動量の演算手法について説明する。
まずパラメータとして、アクセルペダル踏み込み速度をAx、ブレーキペダル踏み込み速度をBx、車両別係数をαx(αは使用車両により決定される)、X方向の最大移動量をΔx maxとした場合に、アクセルペダル踏み込み速度Axが検出されたときは「+」、ブレーキペダル踏み込み速度Bxが検出されたときは「−」が与えられるとした場合、
0>αx・(Ax or Bx) …(22)
とすると、この式(22)から、X方向の移動量Δxは、
Δx=(+ or −)αx・(Ax or Bx)・Δx max …(23)
となる。
以上のように、車両の前後方向の加速度が発生していない状況においても、アクセルペダル踏み込み速度Ax、又はブレーキペダル踏み込み速度Bxを用いることにより、電池ケース3のX方向の移動量Δxを求めることができる。
電池移動コントローラ22では、上述した演算手法により得られたX方向の移動量Δxに応じた駆動指令信号を生成して、X軸アクチュエータ13に出力することにより、X軸アクチュエータ13を動作させて電池ケース3を移動させる。これによって、前後加速度が発生していない状況においても、前もって電池ケース3をX軸方向に移動させることができるので、この後、急加速や急減速により前後加速度が急激に増加した場合でも、車両姿勢の変化に対して遅れることなしに電池ケース3を移動させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、車両の前後左右方向に発生する加速度に基づいて電池ケース3を移動する制御に加えて、前後左右方向の加速度が発生するきっかけとなるステアリング角速度やアクセル/ブレーキ踏み込み速度に基づいて電池ケース3を移動するフィードフォワード制御を行うようにしたので、前後左右方向の加速度が発生していない状況においても、前もって電池ケース3を所定方向に移動させておくことができる。したがって、急旋回や急加速/急減速などの早い動作を伴う場合においても、車両姿勢の変化に対して電池ケース移動の処理に遅れを生じることがなく、車両の走行安定性や限界運動性能の向上に十分な効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。本発明は、電気自動車に限らず、たとえば燃料電池車においても適用可能であり、燃料電池車の燃料電池ケースや二次電池ケースなどを上述した実施形態と同様に移動させることで走行安定性を向上することができる。また、ハイブリット自動車においても、搭載する二次電池ケースを同様に移動させることで走行安定性を向上することができる。したがって、本発明において電動車両とは、電気自動車はもとより、燃料電池車やハイブリット自動車など、モータなどの駆動源へ電力を供給する電源部を搭載した車両であれば適用可能である。
また、本実施形態の電池移動ユニット10において、モータなどの電動アクチュエータに代えて、油圧や空圧などのアクチュエータを用いてもよい。また、本実施形態で示した加速度センサは、例えば自動車に搭載されているカーナビゲーションシステムに使用されている加速度センサを利用することができる。
さらに、様々な変形の形態が可能でありそれらも本発明に属するものである。例えば、本実施形態では、図1に示すように4輪の車両を例として示したが、3輪或いは、4輪以上の車輪を有する車両にも適用することができる。
実施形態1に係わる電気自動車の全体構成を説明するための模式図である。 実施形態1における電池移動ユニットの構成を示す説明図である。(a)は電池移動ユニットの概略斜視図、(b)は電池ケースの移動方向を示す概略平面図である。 実施形態1における電池移動ユニットの制御系の構成を示すブロック図である。 実施形態1における電池ケース移動の処理手順を示すフローチャートである。 車両の荷重移動モデルを示す説明図である。 電池ケースの荷重移動モデルを示す説明図である。 荷重移動とコーナリングパワーを示すグラフである。 旋回時の制御を説明するための模式図である。 荷重移動による車軸のコーナリング特性の変化を示すグラフである。 減速時の制御を説明するための模式図である。 実施形態2における電池移動ユニットの制御系の構成を示すブロック図である。 実施形態2においてY軸方向における電池ケース移動の処理手順を示すフローチャートである。 実施形態2においてX軸方向における電池ケース移動の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…電気自動車
2…モータ
3…電池ケース
4、5…車軸
6…前輪
7…後輪
10…電池移動ユニット
11…X軸台車
13…X軸アクチュエータ
14…Y軸アクチュエータ
15…X軸ボールネジ機構
16…Y軸ボールネジ機構
18、19…レール
20、20A…ECU
21…加速度センサ
22…電池移動コントローラ
31…ステアリング角検出部
32…ステアリング角速度検出部
33…アクセルペダル踏み込み速度検出部
34…ブレーキペダル踏み込み速度検出部

Claims (8)

  1. 車両の駆動源となる電動機と、
    前記電動機に電力を供給する電源部と、
    前記車両の走行状態を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出された前記車両の走行状態に基づいて前記電源部を前記車両内において移動させる移動手段と、
    を備えることを特徴とする電動車両。
  2. 前記検出手段は、
    前記車両の前後左右方向の加速度を検出する加速度検出部を備え、
    前記移動手段は、
    前記加速度検出部が検出した前記車両の前後左右方向の加速度に基づいて前記電源部の移動量を演算する移動量演算部と、
    前記移動量演算部で演算された移動量に応じて前記電源部を移動させる移動機構部と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
  3. 車両の駆動源となる電動機と、
    前記電動機に電力を供給する電源部と、
    前記車両の走行状態及び/又は操作状態を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出された前記車両の走行状態及び/又は操作状態に基づいて前記電源部を前記車両内において移動させる移動手段と、
    を備えることを特徴とする電動車両。
  4. 前記検出手段は、
    前記車両の前後左右方向の加速度を検出する加速度検出部と、
    前記車両の前後左右方向の加速度発生をもたらす操作の操作量及び操作速度を検出する操作検出部と、
    を備え、
    前記移動手段は、
    前記検出手段が検出した前記車両の前後左右方向の加速度が予め設定された閾値以上であれば前記車両の前後左右方向の加速度に基づいて前記電源部の移動量を演算し、前記検出手段が検出した前記車両の前後左右方向の加速度が予め設定された閾値未満であれば前記車両の前後左右方向の加速度発生をもたらす操作の操作量及び操作速度に基づいて前記電源部の移動量を演算する移動量演算部と、
    前記移動量演算部で演算された移動量に応じて前記電源部を移動させる移動機構部と、
    を備えることを特徴とする請求項3記載の電動車両。
  5. 前記加速度検出部は、前記車両の所定位置に配置された加速度センサからなり、
    前記操作検出部は、
    運転者により操舵されたステアリングホイールの操舵角を検出するステアリング角検出部と、
    運転者により操舵されたステアリングホイールの操舵方向の角速度を検出するステアリング角速度検出部と、
    運転者により操作されたアクセルペダルの踏み込み速度を検出するアクセルペダル踏み込み速度検出部と、
    運転者により操作されたブレーキペダルの踏み込み速度を検出するブレーキペダル踏み込み速度検出部と、
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の電動車両。
  6. 前記移動機構部は、油圧、空圧、及びモータよりなる群から選択された少なくともいずれか一つのアクチュエータによって前記電源部を移動させることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の電動車両。
  7. 前記電源部は、電気自動車の電池ケースであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電動車両。
  8. 前記電源部は、燃料電池自動車の燃料電池ケースであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電動車両。
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