JP2008302894A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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真悟 前田
Sadahiro Kawahara
禎弘 川原
Ryohei Hayama
良平 葉山
Kenji Azuma
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Abstract

【課題】装置の大型化を抑制しつつ操舵フィーリングの悪化を防止することができる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】車両用操舵装置は、操舵部材に連動して回転するプーリ19と、このプーリ19に伝達された操舵トルクを転舵機構に伝達する一対のケーブル43,45とを備えている。プーリ19は、ハウジング24内に収容されており、各ケーブル43,45は、対応する筒状の案内部材37の内周を挿通している。各案内部材37は、対応する回転軸36の中心軸線の回りに揺動可能にハウジング24に保持されている。各案内部材37は、ケーブル43,45の変位に連動して揺動する。
【選択図】図4

Description

この発明は、自動車等の車両に用いられる車両用操舵装置に関するものである。
車両用操舵装置には、操舵部材に入力された操舵トルクをケーブルによって転舵機構に伝達するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、操舵部材に連動して回転する第1のプーリと、転舵機構に連動して回転可能な第2のプーリと、第1および第2のプーリを動力伝達可能に連結する一対のケーブルとを含む車両用操舵装置が開示されている。
各プーリは、それぞれ別のハウジング内に収容されており、各ケーブルは、一端および他端がそれぞれ上記ハウジングに固定された筒状のアウターケーブルと、このアウターケーブル内を挿通するインナーケーブルとを含む。インナーケーブルの一端部および他端部は、それぞれ第1および第2のプーリに螺旋状に巻き付けられている。
特開2002−225733号公報 特開2005−289233号公報
特許文献1の車両用操舵装置では、操舵部材の操舵に伴ってプーリが回転し、それに伴って各プーリにおけるインナーケーブルの巻き出し位置や巻き取り開始位置が当該プーリの中心軸線と平行な方向に移動する。このとき、ハウジングおよびアウターケーブルに対するインナーケーブルの傾斜角度が変わり、ハウジングおよびアウターケーブルに対してインナーケーブルが摺動することによりインナーケーブルに加わる抵抗が増加して操舵フィーリングが悪化する場合がある。
そこで、上記特許文献2では、アウターケーブルの端部が取り付けられた移動ホルダ部に、インナーケーブルが挿通されたジョイントを取り付け、ケーブルのプーリからの分離点の昇降に応じて、移動ホルダ部およびジョイントを、プーリの中心軸線とは平行な方向である上下方向に移動させることが提案されている。
この特許文献2では、ジョイントは、水平方向に沿う中心軸線を有する筒状部材からなり、ジョイントとしての筒状部材は、水平な姿勢を維持した状態で、上下方向に平行移動されるようになっている。
しかし、ジョイントの全体を平行移動させるように、移動ホルダ部を摺動可能に支持する機構が大型になり、その結果、装置全体が大型化するという問題がある。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、装置の大型化を抑制しつつ操舵フィーリングの悪化を防止することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、操舵部材(2)と転舵機構(3)とを動力伝達可能に連結するケーブル(43,45)を含む伝達機構(18)を備え、この伝達機構は、外周面にケーブルを巻き取り可能な螺旋状の溝(38,39)が形成された回転可能なケーブル巻き取り部材(19,20)と、このケーブル巻き取り部材の外周を取り囲む筒状のハウジング(24,24a,24b,25)と、このハウジング内へのケーブルの導入およびハウジング外へのケーブルの導出を案内する案内部材(37,41)と、を含み、この案内部材は、ケーブル巻き取り部材に相対的に近い第1の端部(37a,41a)と、ケーブル巻き取り部材から相対的に遠い第2の端部(37b,41b)とを含み、上記案内部材は、ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置の変位に応じて、上記第1の端部を上記分離位置に向けるように揺動可能にハウジングによって支持されていることを特徴とする車両用操舵装置(1)である。
本発明によれば、ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置の変位に応じて、当該ケーブル巻き取り部材に相対的に近い案内部材の第1の端部が当該分離位置に向くように案内部材を揺動させることにより、ケーブルの傾斜角度に合わせて案内部材を傾斜させることができる。これにより、ケーブルに加わる抵抗の増加を防止して操舵フィーリングの悪化を防止することができる。また、案内部材を揺動させるので、上記特許文献2のように筒状のジョイントの全体を平行移動させる場合と比較して、小型化を図ることができる。
なお、上記「ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置」とは、ケーブル巻き取り部材へのケーブル巻取り開始位置や、ケーブル巻き取り部材からのケーブル巻き出し位置などを含む位置である。
また、本発明において、上記案内部材は、上記ケーブル巻き取り部材の中心軸線(L3,L4)と平行な方向に変位可能な支軸(36)の軸線(L1,L2)の回りに揺動可能である場合がある。この場合、支軸とともに案内部材を上記平行な方向に変位させることができる。すなわち、上記分離位置の変位に応じて、案内部材を揺動させつつ上記平行な方向に変位させることができるので、ケーブルに加わる抵抗の増加をより確実に防止することができる。
また、本発明において、上記案内部材をホームポジションに付勢する付勢部材(49)を備える場合がある。この場合、付勢部材から案内部材に、当該案内部材の変位に応じた大きさ及び方向の付勢力を与えることにより、当該案内部材をホームポジションに位置させることできる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、本実施形態に係る車両用操舵装置1は、操舵部材2と転舵機構3とが機械的に連結されていないステアバイワイヤ式の車両用操舵装置1であり、ステアリングホイール等の操舵部材2と、ラックアンドピニオン機構等の転舵機構3とを備えている。
操舵部材2は、車体(図示せず)に対して回転可能に支持されたステアリングシャフト4の一端に連結されており、ステアリングシャフト4の途中部には、反力用の電動モータ6が連結されている。この反力用の電動モータ6によって、操舵部材2の操舵角等に応じた操舵反力が操舵部材2に付与されるようになっている。
また、ステアリングシャフト4に沿う電動モータ6と操舵部材2との間には、操舵角センサ7と、トルクセンサ8とが配置されている。この操舵角センサ7によって、操舵部材2の操舵角および操舵方向を検出することができ、トルクセンサ8によって、操舵部材2に加えられた操舵トルクを検出することができるようになっている。操舵角センサ7およびトルクセンサ8によって検出された検出値は、それぞれECU9(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)に入力されるようになっている。
転舵機構3は、車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸10と、このラック軸10と対をなすピニオン軸11と、ラック軸10に転舵力を付与するための転舵アクチュエータ12とを含む。ラック軸10の軸方向の所定範囲にはラック13が形成されており、このラック13に噛み合うピニオン14が、ピニオン軸11の先端部(図1では下端)に連結されている。
ラック軸10は、車体に固定された図示しないハウジング内で軸方向移動可能に支持されており、ラック軸10の両端部にはそれぞれタイロッド15が結合されている。各タイロッド15にはナックルアーム(図示せず)を介して転舵輪5が連結されている。ラック軸10を軸方向に移動させることにより、転舵輪5を転舵することができる。
転舵アクチュエータ12は、電動モータ16と、電動モータ16の回転をラック軸10の軸方向移動に変換するための例えばボールねじ等の運動変換機構(図示せず)とを含む。ラック軸10は、転舵アクチュエータ12からの転舵力を受けて軸方向に移動する。
操舵部材2が操舵(回転)されると、操舵部材2の操舵角および操舵トルクがそれぞれ操舵角センサ7およびトルクセンサ8によって検出される。また、車速センサ17によって車速が検出される。そして、これらのセンサ7,8,17によって検出された検出値は、ECU9に入力される。ECU9は、入力された検出値に基づいて電動モータ16を制御する。これにより、操舵角等に応じた大きさの転舵力が転舵アクチュエータ12からラック軸10に付与され、転舵輪5の転舵が達成される。
一方、ECU9は、転舵アクチュエータ12の制御とともに、反力用の電動モータ6の制御を行う。具体的には、ECU9が、操舵角センサ7により検出された操舵部材2の操舵角等に基づいて反力用の電動モータ6を制御する。これにより、操舵部材2の操舵角等に応じた大きさの操舵反力が、操舵部材2を介して運転者に付与される。すなわち、この車両用操舵装置1では、操舵部材2と転舵機構3とが機械的に連結された車両用操舵装置と同様の操舵フィーリングが運転者に付与されるようになっている。
また、本実施形態に係る車両用操舵装置1は、当該車両用操舵装置1の異常時、例えば、転舵アクチュエータ12やこれに関連する構成の故障によって、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置として機能しなくなったときに、操舵部材2と転舵機構3とを機械的に連結して、転舵輪5を転舵できるようになっている。すなわち、車両用操舵装置1は、操舵部材2と転舵機構3とを機械的に連結するための伝達機構18を備えている。
伝達機構18は、操舵部材2と転舵機構3とを機械的に連結するとともに、操舵部材2に入力された操舵トルクを転舵機構3に伝達することができる。伝達機構18は、車両用操舵装置1に異常が発生したときに、操舵部材2と転舵機構3とを機械的に連結するように機能し、通常のときに、操舵部材2と転舵機構3との機械的な連結を解除するように機能する。
具体的には、伝達機構18は、操舵部材2に連動して回転可能な第1のプーリ19と、ピニオン軸11と同行回転する第2のプーリ20と、この第1のプーリ19および第2のプーリ20を動力伝達可能に連結する一対のケーブル(第1のケーブル21および第2のケーブル22)と、操舵部材2と転舵機構3との機械的連結および連結解除を実行する連結機構23とを含む。
第1のプーリ19は、第1のハウジング24内に収容されており、第2のプーリ20は、第2のハウジング25内に収容されている。また、一対のケーブル21,22の一端は、それぞれ第1のハウジング24に固定されている(具体的には、後述するアウターケーブル42,44の一端がそれぞれ第1のハウジング24に固定されている)。また、一対のケーブル21,22の他端は、それぞれ第2のハウジング25に固定されている(具体的には、アウターケーブル42,44の他端がそれぞれ第2のハウジング25に固定されている)。
第2のプーリ20は、ピニオン軸11に同行回転可能に連結されており、第1のプーリ19は、ステアリングシャフト4と同行回転可能に連結されるようになっている。すなわち、第1のプーリ19とステアリングシャフト4とは、連結機構23によって機械的に連結されるようになっている。連結機構23は、第1のプーリ19とステアリングシャフト4との機械的連結および連結解除を実行することができる。
連結機構23は、ステアリングシャフト4と同軸に配置された第1の軸27および第2の軸28と、第1の軸27と第2の軸28との間で互いに対向する第1の部材29および第2の部材30とを含む。第1の軸27は、ステアリングシャフト4の他端に同行回転可能に連結されており、第2の軸28は、第1のプーリ19に同行回転可能に連結されている。また、第1の部材29は第1の軸27に固定されており、第2の部材30は第2の軸28に固定されている。
第1の部材29および第2の部材30の何れか一方に対して他方を押し付けることにより、第1のプーリ19とステアリングシャフト4とを機械的に連結することができる。連結機構23による第1のプーリ19とステアリングシャフト4との機械的連結および連結解除は、ECU9によって制御される。連結機構23としては、例えば、電磁クラッチ、摩擦クラッチ、噛み合いクラッチ等が挙げられる。
第1のプーリ19とステアリングシャフト4とが機械的に連結された状態で、操舵部材2が操舵されると、操舵部材2とともに、ステアリングシャフト4および第1のプーリ19が回転する。そして、第1のプーリ19の回転は、一対のケーブル21,22によって第2のプーリ20に伝達される。第2のプーリ20が回転すると、ピニオン軸11が第2のプーリ20と同行回転し、このピニオン軸11の回転が、ピニオン14およびラック13によってラック軸10の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪5の転舵が達成される。
図2は、第1のハウジング24の外観図である。図2を参照して、第1のハウジング24は、筒状部31と、この筒状部31の端部に配置された一対の端壁32と、筒状部31の外周面に連結され互いに平行に向かい合う状態で筒状部31の軸方向と平行な方向(図2では上下方向)に延びる一対の対向板34とを含む。筒状部31および一対の端壁32によって、第1のプーリ19を収容する収容空間が形成されている(図3参照)。
一方の端壁32(図2では上側の端壁32)の中央部には、第2の軸28が挿通する挿通孔が形成されている。また、筒状部31には、当該筒状部31の軸方向に延びる一対のスリット部33が形成されている。一対のスリット部33は、それぞれ筒状部31をその径方向に貫通しており、筒状部31の周方向に並んで配置されている。第1のケーブル21の一端部(具体的には、後述する第1のインナーケーブル43の一端部)は、一方のスリット部33を通じて第1のハウジング24内に挿入されており、第2のケーブル22の一端部(具体的には、後述する第2のインナーケーブル45の一端部)は、他方のスリット部33を通じて第1のハウジング24内に挿入されている。一対のスリット部33は、一対の対向板34の間に対応する筒状部31の一部に形成されている。
また、各対向板34には、円形の係合孔35が一対形成されている。各対向板34に形成された係合孔35は、それぞれほぼ同じ大きさにされており、対応する対向板34をその厚み方向に貫通している。各対向板34に形成された一対の係合孔35は、それぞれ、筒状部31の軸方向に並んで配置されている。筒状部31の軸方向に関する一方側(図2では上方側)の一対の係合孔35は互いに対向しており、当該軸方向に関する他方側(図2では下方側)の一対の係合孔35は互いに対向している。互いに対向する係合孔35(上記一方側の一対の係合孔35および上記他方側の一対の係合孔35)には、それぞれ回転軸36の先端が係合している。
各回転軸36は、断面円形の軸であり、その一端および他端が対応する係合孔35に係合している。すなわち、各回転軸36は、一方の対向板34から他方の対向板34に掛け渡された状態で一対の対向板34に回転可能に支持されている。一方の回転軸36(図2では上方側の回転軸36)は、その中心軸線L1の回りの回転可能に一対の対向板34に支持されており、他方の回転軸36は、その中心軸線L2の回りの回転可能に一対の対向板34に支持されている。
各回転軸36と対応する係合孔35とは、例えば、各回転軸36と一対の対向板34とが滑り接触となるように係合していてもよいし、両者36,35の間に軸受が介在した状態で係合していてもよい。
また、各回転軸36には、第1のケーブル21または第2のケーブル22を第1のハウジング24に案内するための筒状の案内部材37が連結されている。各案内部材37は、その中心軸線が対応する回転軸36の中心軸線L1,L2に交差した状態で当該回転軸36に連結されており、当該回転軸36の途中部に介在している。各案内部材37は、第1のプーリ19に相対的に近い第1の端部37aと、第1のプーリ19からは相対的に遠い第2の端部37bとを含んでいる。
一方の案内部材37(図2では上方側の案内部材37)の第1の端部37aは、一方のスリット部33を通じて第1のハウジング24内に進入しており、他方の案内部材37の第1の端部37aは、他方のスリット部33を通じて第1のハウジング24内に進入している。一方の案内部材37は、中心軸線L1の回りの揺動可能であり、他方の案内部材37は、中心軸線L2の回りの揺動可能となっている。すなわち、各案内部材37は、第1のプーリ19の中心軸線L3と平行な方向に沿って見たときに、第1のケーブル21および第2のケーブル22の長手方向とは直交する軸線の回りに揺動可能となっている。
なお、図示はしないが、第2のハウジング25も第1のハウジング24と同様の構成を有している。具体的には、第2のハウジング25の外観は、図2を紙面の上下に反転させた状態となっている。第2のハウジング25に保持された一対の案内部材41は、それぞれ、第2のプーリ20に相対的に近い第1の端部41aと、第2のプーリ20からは相対的に遠い第2の端部41bとを含んでいる(図3参照)。
図3は、第1のプーリ19、第2のプーリ20、一対のケーブル21,22およびこれらに関連する構成の模式図である。
図3を参照して、第1のプーリ19の外周面には、螺旋状の巻き溝38が形成されており、第1のプーリ19の上端には、第2の軸28が同軸的に連結されている。第1のプーリ19は、第1のハウジング24内で、その中心軸線L3が第1のハウジング24の筒状部31の中心軸線と平行になるように配置されている。第1のプーリ19は、第1のハウジング24内で、その中心軸線L3の回りに回転可能となっている。
また、第2のプーリ20の外周面には、螺旋状の巻き溝39が形成されており、第2のプーリ20の下端には、ピニオン軸11が同軸的に連結されている。第2のプーリ20は、第2のハウジング25内で、その中心軸線L4が第2のハウジング25の筒状部40の中心軸線と平行になるように配置されている。第2のプーリ20は、第2のハウジング25内で、その中心軸線L4の回りに回転可能となっている。
一方、第1のケーブル21は、筒状の第1のアウターケーブル42と、この第1のアウターケーブル42内を挿通する第1のインナーケーブル43とを含む。また、第2のケーブル22は、筒状の第2のアウターケーブル44と、この第2のアウターケーブル44内を挿通する第2のインナーケーブル45とを含む。第1のインナーケーブル43は、第1のアウターケーブル42内を移動可能であり、第2のインナーケーブル45は、第2のアウターケーブル44内を移動可能である。
第1のアウターケーブル42および第2のアウターケーブル44は、それぞれ例えば合成樹脂等の可撓性のある材料で形成されている。また、第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45は、それぞれ例えば金属製のワイヤーにより構成されている。
第1のインナーケーブル43の一端部は、第1のハウジング24に保持された一方の案内部材37(図3では上側の案内部材37)の内周を通って第1のハウジング24内に挿入されており、第1のインナーケーブル43の他端部は、第2のハウジング25に保持された一方の案内部材41(図3では上側の案内部材41)の内周を通って第2のハウジング25内に挿入されている。また、第2のインナーケーブル45の一端部は、第1のハウジング24に保持された他方の案内部材37の内周を通って第1のハウジング24内に挿入されており、第2のインナーケーブル45の他端部は、第2のハウジング25に保持された他方の案内部材41の内周を通って第2のハウジング25内に挿入されている。
第1のインナーケーブル43の一端部は、第1のプーリ19の上端部に連結されており、巻き溝38に沿って巻き付けられている。また、第2のインナーケーブル45の一端部は、第1のプーリ19の下端部に連結されており、巻き溝38に沿って巻き付けられている。第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45の一端部は、互いに重なり合わないように、且つ、互いに逆方向に第1のプーリ19に巻き付けられている。
同様に、第1のインナーケーブル43の他端部は、第2のプーリ20の上端部に連結されており、巻き溝39に沿って巻き付けられている。また、第2のインナーケーブル45の他端部は、第2のプーリ20の下端部に連結されており、巻き溝39に沿って巻き付けられている。第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45の他端部は、互いに重なり合わないように、且つ、互いに逆方向に第2のプーリ20に巻き付けられている。
また、第1のアウターケーブル42の一端は、第1のハウジング24に保持された一方の案内部材37の第2の端部37bに固定されており、その他端は、第2のハウジング25に保持された一方の案内部材41の第2の端部41bに固定されている。また、第2のアウターケーブル44の一端は、第1のハウジング24に保持された他方の案内部材37の第2の端部37bに固定されており、その他端は、第2のハウジング25に保持された他方の案内部材41の第2の端部41bに固定されている。
第1のプーリ19が例えば右回りに回転すると、第1のインナーケーブル43の一端部が第1のプーリ19にさらに巻き付けられて、第1のインナーケーブル43に張力が付与される。そして、この張力によって、第1のインナーケーブル43の他端部が第2のプーリ20から巻き出される。これにより、第2のプーリ20に回転力が与えられ、第2のプーリ20が回転する。
このとき、第2のインナーケーブル45の一端部は、第1のプーリ19が回転することにより、第1のプーリ19から巻き出される。また、第2のインナーケーブル45の他端部は、第2のプーリ20が回転することにより第2のプーリ20にさらに巻き付けられる。すなわち、第1のインナーケーブル43が引っ張られることで、第1のプーリ19から第2のプーリ20に回転が伝達される。一方、第2のインナーケーブル45は、第1のプーリ19および第2のプーリ20に従動する。第1のプーリ19の回転方向が変わると、第2のインナーケーブル45が引っ張られ、第1のインナーケーブル43が巻き出される。すなわち、第1のプーリ19の回転方向によって、引き側のケーブルと巻き出し側のケーブルとが入れ替わるようになっている。
図4は、第1のプーリ19の回転に伴う一対の案内部材37の変位について説明するための図である。この図4において、(a)は、第1のプーリ19が操舵中立位置にあるときの案内部材37の状態を示し、(b)は、第1のプーリ19が操舵中立位置から右回りに回転されたときの案内部材37の状態を示し、(c)は、第1のプーリ19が操舵中立位置から左回りに回転されたときの案内部材37の状態を示している。
なお、以下では、第1のプーリ19に対応する案内部材37の変位について説明するが、第2のプーリ20に対応する一対の案内部材41も、第1のプーリ19に対応する案内部材37が第1のプーリ19の回転に伴って変位するのと同様に、第2のプーリ20の回転に伴って変位するようになっている。
図2および図4を参照して、第1のプーリ19が操舵中立位置から右回りに回転されると、図4(b)に示すように、第1のインナーケーブル43が第1のプーリ19にさらに巻き付けられ、第2のインナーケーブル45が第1のプーリ19から巻き出される。第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45は第1のプーリ19に螺旋状に巻き付けられているので、このとき、「ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置」としての、第1のインナーケーブル43の巻き取り開始位置、および第2のインナーケーブル45の巻き出し位置は、第1のプーリ19の回転に伴って、第1のプーリ19の中心軸線L3と平行な方向に変位する(図4(b)では下方に変位する)。
またこのとき、第1のインナーケーブル43が挿通する一方の案内部材37は、第1のインナーケーブル43に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第1のインナーケーブル43の巻き取り開始位置に向けるように中心軸線L1の回りに揺動する。また、第2のインナーケーブル45が挿通する他方の案内部材37は、第2のインナーケーブル45に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第2のインナーケーブル45の巻き出し位置に向けるように中心軸線L2の回りに揺動する。
一方、第1のプーリ19が操舵中立位置から左回りに回転されると、図4(c)に示すように、第2のインナーケーブル45が第1のプーリ19にさらに巻き付けられ、第1のインナーケーブル43が第1のプーリ19から巻き出される。このとき、「ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置」としての、第1のインナーケーブル43の巻き出し位置、および第2のインナーケーブル45の巻き取り開始位置は、第1のプーリ19の回転に伴って、上記右回りのときと反対方向に変位する。
またこのとき、第1のインナーケーブル43が挿通する一方の案内部材37は、第1のインナーケーブル43に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第1のインナーケーブル43の巻き出し位置に向けるように中心軸線L1の回りに揺動する。また、第2のインナーケーブル45が挿通する他方の案内部材37は、当該案内部材37の第1の端部37aを第2のインナーケーブル45の巻き取り開始位置に向けるように中心軸線L2の回りに揺動する。
以上のように本実施形態では、第1のハウジング24に保持された一対の案内部材37が、それぞれ、第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45の第1のプーリ19からの分離位置の変位に応じて、各案内部材37の第1の端部37aを対応する上記分離位置に向けるように揺動することで自動的に適度な姿勢になるようになっている。したがって、上記巻き出し位置および巻き取り開始位置が第1のプーリ19の中心軸線L3と平行な方向に変位しても、案内部材37に対するインナーケーブル43,45の傾斜角度をほぼ一定にすることができる。これにより、インナーケーブル43,45が案内部材37内を移動するときに、これらのインナーケーブル43,45が案内部材37に擦れて、当該インナーケーブル43,45に加わる抵抗が増加することを防止することができる。言い換えると、第1のハウジング24に対する案内部材37の角度に自由度を持たせることで、インナーケーブル43,45に加わる抵抗が増加することを防止することができる。これにより、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。また、インナーケーブル43,45が擦れて劣化することを防止することができる。
さらに、各案内部材37,41を揺動可能にすることで、第1のハウジング24および第2のハウジング25の大型化を防止しつつ、操舵フィーリングの悪化を防止することができる。すなわち、各案内部材37,41を揺動可能にすることで、一対の対向板34の大型化を防止でき、ひいては、第1のハウジング24および第2のハウジング25の大型化を防止することができる。
図5は、本発明の他の実施形態に係る第1のハウジング24aの外観図である。また、図6は、上記他の実施形態における第1のプーリ19の回転に伴う一対の案内部材37の変位について説明するための図である。この図6において、(a)、(b)および(c)が示す状態については、上記図4と同様である。また、この図5および図6において、上述の図2および図4に示された各部と同等の構成部分については、図2および図4と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図5および図6を参照して、この図5および図6に示す実施形態が、図2に示す実施形態と主に相違するのは、各回転軸36が第1のハウジング24aによって第1のプーリ19の中心軸線L3と平行な方向である筒状部31の軸方向に移動可能に支持されていることにある。すなわち、各対向板34には、筒状部31の軸方向に長手のスライド溝47が形成されており、各回転軸36の先端は、当該スライド溝47に係合している。各回転軸36とスライド溝47とは、例えば、各回転軸36と一対の対向板34とが滑り接触となるように係合していてもよいし、両者36,47の間に軸受が介在した状態で係合していてもよい。
各スライド溝47は、互いに対向しており、その溝幅は、回転軸36の外径よりもやや大きくされている。各回転軸36は、その中心軸線L1,L2の回りに回転可能であるとともに、筒状部31の軸方向に移動可能となっている。すなわち、本実施形態において回転軸36は、ケーブル巻き取り部材の中心軸線と平行な方向に変位可能な支軸として機能している。
なお、図示はしないが、第2のハウジングも第1のハウジング24aと同様の構成を有している。
図5および図6を参照して、第1のプーリ19が操舵中立位置から右回りに回転されると、図6(b)に示すように、第1のインナーケーブル43が第1のプーリ19にさらに巻き付けられ、第2のインナーケーブル45が第1のプーリ19から巻き出される。このとき、第1のインナーケーブル43の巻き取り開始位置、および第2のインナーケーブル45の巻き出し位置は、第1のプーリ19の回転に伴って、第1のプーリ19の中心軸線L3と平行な方向に変位する(図6(b)では下方に変位する)。
また、第1のインナーケーブル43が挿通する一方の案内部材37は、第1のインナーケーブル43に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第1のインナーケーブル43の巻き取り開始位置に向けるように中心軸線L1の回りに揺動しつつ、第1のインナーケーブル43の巻き取り開始位置の変位方向および変位量に対応する方向および量で筒状部31の軸方向に移動する。また、第2のインナーケーブル45が挿通する他方の案内部材37は、第2のインナーケーブル45に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第2のインナーケーブル45の巻き出し位置に向けるように中心軸線L2の回りに揺動しつつ、第2のインナーケーブル45の巻き出し位置の変位方向および変位量に対応する量で筒状部31の軸方向に移動する。
一方、第1のプーリ19が操舵中立位置から左回りに回転されると、図6(c)に示すように、第2のインナーケーブル45が第1のプーリ19にさらに巻き付けられ、第1のインナーケーブル43が第1のプーリ19から巻き出される。このとき、第1のインナーケーブル43の巻き出し位置、および第2のインナーケーブル45の巻き取り開始位置は、第1のプーリ19の回転に伴って、上記右回りのときと反対方向に変位する。
またこのとき、第1のインナーケーブル43が挿通する一方の案内部材37は、第1のインナーケーブル43に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第1のインナーケーブル43の巻き出し位置に向けるように中心軸線L1の回りに揺動しつつ、第1のインナーケーブル43の巻き出し位置の変位方向および変位量に対応する量で筒状部31の軸方向に移動する。また、第2のインナーケーブル45が挿通する他方の案内部材37は、第2のインナーケーブル45に押されて、当該案内部材37の第1の端部37aを第2のインナーケーブル45の巻き取り開始位置に向けるように中心軸線L2の回りに揺動しつつ、第2のインナーケーブル45の巻き取り開始位置の変位方向および変位量に対応する量で筒状部31の軸方向に移動する。
すなわち、本実施形態では、第1のハウジング24aに保持された一対の案内部材37が、それぞれ、第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45の第1のプーリ19からの分離位置の変位に応じて、各案内部材37の第1の端部37aを対応する上記分離位置に向けるように揺動しつつ筒状部31の軸方向に移動することで自動的に適度な姿勢になるようになっている。これにより、第1のインナーケーブル43および第2のインナーケーブル45に加わる抵抗が増加することを確実に防止することができる。
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係る第1のハウジング24bの側面図である。この図7において、上述の図5および図6に示された各部と同等の構成部分については、図5および図6と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図7を参照して、この図7に示す実施形態が、図5および図6に示す実施形態と主に相違するのは、各案内部材37が第1のハウジング24bによって弾性的に支持されていることにある。具体的には、各回転軸36が付勢部材としてのコイルバネ49を介して一対の対向板34に弾性的に支持されている。各コイルバネ49は、スライド溝47内に配置されており、一端が対向板34に固定され、他端が回転軸36に固定されている。各コイルバネ49は、対応する案内部材37が筒状部31の軸方向に移動したときに、当該案内部材37をホームポジション(操舵部材2の操舵中立位置における案内部材37の位置)に向けて付勢するようになっている。
なお、本実施形態では、付勢部材としてコイルバネ49を例示しているが、コイルバネ49に限らずその他の付勢部材によって一対の案内部材37を付勢してもよい。また、本実施形態では、回転軸36を弾性支持することで各案内部材37を間接的に弾性支持する例について説明したが、各案内部材37に付勢部材を取り付けて、各案内部材37を直接的に弾性支持してもよい。また、図示はしないが、第2のハウジングも第1のハウジング24bと同様の構成を有している。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、車両用操舵装置1として、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置を例示したが、これに限らず、その他の形式の車両用操舵装置に本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態では、車両用操舵装置1の伝達機構18に用いられるプーリ19,20に本発明が適用された例について説明したが、車両用操舵装置以外のものに用いられるプーリに本発明を適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。 第1のハウジングの外観図である。 第1のプーリ、第2のプーリ、一対のケーブルおよびこれらに関連する構成の模式図である。 第1のプーリの回転に伴う一対の案内部材の変位について説明するための図である。 本発明の他の実施形態に係る第1のハウジングの外観図である。 上記他の実施形態における第1のプーリの回転に伴う一対の案内部材の変位について説明するための図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る第1のハウジングの外観図である。
符号の説明
1・・・車両用操舵装置、2・・・操舵部材、3・・・転舵機構、18・・・伝達機構、19・・・第1のプーリ(ケーブル巻き取り部材)、20・・・第2のプーリ(ケーブル巻き取り部材)、24,24a,24b・・・第1のハウジング(ハウジング)、25・・・第2のハウジング(ハウジング)、36・・・回転軸(支軸)、37・・・案内部材、37a・・・第1の端部、37b・・・第2の端部、38,39・・・巻き溝(溝)、41・・・案内部材、41a・・・第1の端部、41b・・・第2の端部、43・・・第1のインナーケーブル(ケーブル)、45・・・第2のインナーケーブル(ケーブル)、49・・・コイルバネ(付勢部材)、L1,L2・・・中心軸線(軸線)、L3,L4・・・中心軸線

Claims (3)

  1. 操舵部材と転舵機構とを動力伝達可能に連結するケーブルを含む伝達機構を備え、
    この伝達機構は、外周面にケーブルを巻き取り可能な螺旋状の溝が形成された回転可能なケーブル巻き取り部材と、このケーブル巻き取り部材の外周を取り囲む筒状のハウジングと、このハウジング内へのケーブルの導入およびハウジング外へのケーブルの導出を案内する案内部材と、を含み、
    この案内部材は、ケーブル巻き取り部材に相対的に近い第1の端部と、ケーブル巻き取り部材から相対的に遠い第2の端部とを含み、
    上記案内部材は、ケーブル巻き取り部材からのケーブルの分離位置の変位に応じて、上記第1の端部を上記分離位置に向けるように揺動可能にハウジングによって支持されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1において、上記案内部材は、上記ケーブル巻き取り部材の中心軸線と平行な方向に変位可能な支軸の軸線の回りに揺動可能であることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1または2において、上記案内部材をホームポジションに付勢する付勢部材を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102011050587A1 (de) * 2011-05-24 2012-11-29 Zf Lenksysteme Gmbh Elektrische Servolenkung
WO2014068633A1 (ja) * 2012-10-29 2014-05-08 トヨタ自動車株式会社 クラッチ装置、車両用操舵装置

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