JP2008302641A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズル開口における液体の乾燥を良好に防止することが可能であると共に、液体の着弾位置の位置ずれを良好に防止することが可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】液体吐出装置10は、ノズル開口521から水分を含む液体を吐出させることが可能な液体吐出ヘッド50と、ノズル開口521における温度の調整を行う温度調整機構60と、温度調整機構60の作動を制御する制御手段40と、を具備していて、温度調整機構60は、ノズル開口521から吐出される前の液体を氷結可能としている。
【選択図】図2
【解決手段】液体吐出装置10は、ノズル開口521から水分を含む液体を吐出させることが可能な液体吐出ヘッド50と、ノズル開口521における温度の調整を行う温度調整機構60と、温度調整機構60の作動を制御する制御手段40と、を具備していて、温度調整機構60は、ノズル開口521から吐出される前の液体を氷結可能としている。
【選択図】図2
Description
本発明は、液体吐出装置に関する。
インクジェット方式のプリンタの中には、長尺状のラインヘッドと呼ばれるタイプのヘッドを具備するものが存在する。このタイプのプリンタにおけるラインヘッドは、用紙等の印刷媒体の幅方向(紙送り方向と直交する方向)に沿うように、多数のノズルがライン状に配置されているノズル列が設けられていて、当該ノズル列は、印刷媒体の印刷領域をカバーするだけの長さ寸法を有している。このようなラインヘッドのノズル開口においては、非吐出時には、インク滴の水分が徐々に蒸発する。特に、インク滴は、非常に微細であるため、蒸発の速度も速く、そのような蒸発が生じると、ノズル開口からインク滴が吐出不能となる。
このような不具合を防ぐための試みの一つとしては、特許文献1に開示の技術内容がある。特許文献1には、ラインヘッドを上方に移動させ、その状態でキャップによりノズル開口が形成されている開口面を封止する、という技術内容について開示されている。
ところで、上述の特許文献1に開示されている技術内容によれば、ラインヘッドを上方に移動させる必要がある。そのため、ラインヘッドのメカ的な取付精度の関係上、上下方向へのラインヘッドの移動により、ラインヘッドに僅かな位置ずれや微小回転等のような、アライメントの微小な狂いが生じる場合が存在する。ここで、ノズル開口から吐出されるインク滴は、非常に微小であるため、僅かなアライメントの狂いであっても、微小なインク滴の着弾位置からずれてしまうことがある。
このような着弾位置のずれが生じると、印刷画質に影響を与えるため、好ましくない。そのため、インク滴の乾燥を防止しながら、着弾位置の位置ずれを良好に防止することが可能な構成が望まれている。
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ノズル開口における液体の乾燥を良好に防止することが可能であると共に、液体の着弾位置の位置ずれを良好に防止することが可能な液体吐出装置を提供しよう、とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明は、ノズル開口から水分を含む液体を吐出させることが可能な液体吐出ヘッドと、ノズル開口における温度の調整を行う温度調整機構と、温度調整機構の作動を制御する制御手段と、を具備し、温度調整機構は、ノズル開口から吐出される前の液体を冷却可能としているものである。
このように構成する場合、温度調整機構により、ノズル開口から吐出される前の液体を、冷却させることを可能としている。このため、ノズル開口付近に存在する液体が蒸発するのを低減することが可能となる。この蒸発の低減により、ノズル開口から液体が吐出不能になるのを防ぐことが可能となる。このように、液体の蒸発の低減により、液体吐出ヘッドをキャッピングするために、上下方向等に移動させる必要がなくなる。そのため、液体吐出ヘッドに、僅かな位置ずれや微小回転等のような、アライメントの微小な狂いが生じるのを防ぐことが可能となる。また、このようなアライメントの微小な狂いが生じるのを防ぐことができるので、液体の付着位置がずれるのを防止することが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、温度調整機構は、液体吐出ヘッドの温度を検出する温度センサと、温度センサでの温度の検出に基づいて、制御手段で制御駆動されると共に、液体吐出ヘッドを冷却する冷却手段と、を具備するものである。
このように構成する場合、制御手段は、温度センサでの温度の検出結果に基づいて、冷却手段を作動させて液体吐出ヘッドを冷却させることを可能としている。そのため、温度センサでの検出結果に基づいて、液体の冷却状態を制御することが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、冷却手段は、液体を氷結させることを可能としていると共に、制御手段は、液体を冷却させるのに際して、液体を氷結させるように冷却手段を制御駆動させるものである。
このように構成する場合、液体の氷結により、ノズル開口付近に存在する液体が蒸発するのを防止することが可能となる。また、この蒸発防止により、ノズル開口から液体が吐出不能になるのを防ぐことが可能となる。また、液体を氷結させることにより、ノズル開口から液体が漏出するのを防止することが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、ノズル開口は、金属を材質とするプレート部材に設けられていると共に、冷却手段は、プレート部材に伝熱可能に取り付けられているものである。
このように構成する場合、冷却手段が作動してノズル開口の冷却を開始すると、当該ノズル開口の熱は、この冷却手段によって奪われる。ここで、ノズル開口は金属を材質とするプレート部材に設けられていると共に、冷却手段はプレート部材に伝熱可能に取り付けられているため、樹脂やセラミックスを材質とする場合と比較して伝熱性に優れ、液体を比較的早く冷却することが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、温度調整機構は、温度センサでの温度の検出に基づいて、制御手段で制御駆動されると共に、液体吐出ヘッドを加熱する加熱手段を具備すると共に、制御手段は、温度センサで検出される液体吐出ヘッドの温度が、規定の値以下または規定の値よりも小さい場合には、加熱手段を作動させる制御を行うものである。
このように構成する場合、加熱手段を具備するため、この加熱手段を制御駆動することにより、液体吐出ヘッドの温度が規定の値以下または規定の値よりも小さい場合には、液体吐出ヘッドを加熱させることができる。そのため、例えばノズル開口付近の液体が氷結している場合、液体吐出装置の使用時に加熱手段を作動させて、液体を融解させることが可能となり、液体吐出装置を即座に使用することが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、液体吐出ヘッドは、複数のノズル開口が列状に配置されるノズル列を、液体貯留部の液種の分だけ有していて、ノズル列は、ノズル開口から吐出される液体が付着する吐出対象物の幅寸法と同等か、または当該幅寸法よりも大きい長さ寸法を有しているものである。
このように構成する場合、液体吐出ヘッドは、いわゆるラインヘッドとなり、長手方向における液体吐出ヘッドが、その長手方向に移動する必要がなくなる。そのため、吐出対象物に対して、必要な液体の吐出処理の速度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の一実施の形態に係る、液体吐出装置としてのプリンタ10について、図1から図3に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方側とは、設置される側から離間する側を指す。また、印刷媒体Pが供給される側を給紙側、印刷媒体Pが排出される側を排紙側として説明する。
<プリンタ10の概略構成>
最初に、プリンタ10の構成の概略について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るプリンタ10の概略構成を示す概略図である。本実施の形態のプリンタ10は、紙送り機構20と、インク供給機構30と、制御部40と、ラインヘッド50と、温度調整機構60と、を具備している。
最初に、プリンタ10の構成の概略について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るプリンタ10の概略構成を示す概略図である。本実施の形態のプリンタ10は、紙送り機構20と、インク供給機構30と、制御部40と、ラインヘッド50と、温度調整機構60と、を具備している。
紙送り機構20は、紙送りモータ(PFモータ)21と、この紙送りモータ21からの駆動力が伝達される給紙ローラ22等を具備している。また、インク供給機構30は、カートリッジホルダ31と、加圧ポンプ32と、インク供給路33と、インクカートリッジ34(液体貯留部に対応)を具備している。カートリッジホルダ31は、例えば不図示のシャーシに取り付けられていて、このカートリッジホルダ31に着脱自在にインクカートリッジ34が装着されている。そのため、本実施の形態のプリンタ10は、いわゆるオフキャリッジタイプの構成となっている。
なお、インク(液体に対応)の供給に際しては、加圧ポンプ32が作動し、インクカートリッジ34の内部に空気を圧送して、インクパックを押し潰すことにより、インク供給路33にインクを押し出すように構成されている。
また、制御部40は、制御手段に対応し、不図示のCPU、メモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ等)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、バス、タイマ、インターフェース等を有している。この制御部40には、各種センサ(温度センサ61を含む)からの信号が入力されると共に、このセンサからの信号に基づいて、制御部40は、紙送りモータ21等のモータ、加圧ポンプ32、不図示の吸引ポンプ、および後述するラインヘッド50、温度調整機構60等の駆動を司る。
また、上述のメモリの中のデータ、およびプログラムがCPUで実行され、制御部40の各構成が協働することにより、種々の機能的な構成が実現される。なお、本実施の形態では、メモリには、ヒートポンプ62の駆動を司るためのプログラムおよびデータが記憶されていて、そのプログラムおよびデータを読み出すことにより、ラインヘッド50(ノズル開口521)の温度が設定された温度となるように、ヒートポンプ62に向けて制御部40から制御指令を発し、当該ヒートポンプ62の作動を制御している。
ここで、設定された温度(規定の値に対応)とは、インクが氷結する温度(例えば0℃)が挙げられる。しかしながら、設定された温度は、インクが氷結する温度(0℃等)には限られず、インクが氷結する温度より低くても良い。また、0℃から所定の温度(0℃よりも低い温度)の範囲内の温度のように、上限と下限が存在するものを、設定された温度としても良い。
また、上述の制御部40は、コネクタ41を介してコンピュータ70に接続されていて、通信を行う。それにより、プリンタ10がコンピュータ70側から印刷信号PSを受け取ると、その印刷信号PSに基づいて、プリンタ10で印刷のための処理が開始される。
<ラインヘッド50付近の構成の詳細>
以下、本発明の要部である、ラインヘッド50について、図2に基づいて説明する。図2は、ラインヘッド51のうち、特定のノズル列に係る部分の温度変化の様子を示す断面図である。本発明のラインヘッド50は、液体吐出ヘッドに対応している。このラインヘッド50は、ヘッド本体51と、ノズルプレート52とを具備している。ヘッド本体51は、例えばシリコン基板等をエッチング処理等で適宜加工することにより形成される。このヘッド本体51の内部には、圧力発生室511と、リザーバ512と、連通路513と、圧電素子514と、を具備している。
以下、本発明の要部である、ラインヘッド50について、図2に基づいて説明する。図2は、ラインヘッド51のうち、特定のノズル列に係る部分の温度変化の様子を示す断面図である。本発明のラインヘッド50は、液体吐出ヘッドに対応している。このラインヘッド50は、ヘッド本体51と、ノズルプレート52とを具備している。ヘッド本体51は、例えばシリコン基板等をエッチング処理等で適宜加工することにより形成される。このヘッド本体51の内部には、圧力発生室511と、リザーバ512と、連通路513と、圧電素子514と、を具備している。
これらのうち、圧力発生室511は、ラインヘッド50の長手方向に沿って多数設けられている。なお、隣り合う圧力発生室511との間には、不図示の隔壁が設けられている。この圧力発生室511は、各ノズル開口521ごとに1つずつ設けられている。なお、ノズル開口521は、各色のインクカートリッジ34ごとに、列状となるように配置されており、この列状の配置により、ノズル列が構成されている。
また、リザーバ512は、不図示のインク供給路に接続されており、圧力発生室511にインクが導入される前にインクが導入される部分である。また、リザーバ512と圧力発生室511との間には、圧力発生室511よりも幅狭で流路抵抗となる連通路513が設けられている。また、圧力発生室511の側壁の一方側には、圧電素子514が配置されている。この圧電素子514は、圧電体層514aを具備すると共に、この圧電体層514aを挟むように一対の電極膜514b,514cを具備している。なお、この圧電素子514は、各圧力発生室511ごとに1つずつ設けられているため、隣り合う圧電素子514との間には、所定の間隔の隙間が設けられる状態となる。
また、ノズルプレート52は、プレート部材に対応する。図2に示すように、本実施の形態におけるノズルプレート52は、印刷媒体Pの紙送りの上流側に向かって突出するように設けられている。そして、このノズルプレート52の上流側への突出部522に、後述するヒートポンプ62が取り付けられている。そして、このノズルプレート52は、ヒートポンプ62とラインヘッド50との間で、熱を伝達させるための伝熱体としての役割を果たしている。そのため、ノズルプレート52は、伝熱性に優れる材質から形成されている。
なお、伝熱性に優れる材質としては、金属が挙げられるが、本実施の形態では、インク滴に対する耐蝕性等を考慮して、ノズルプレート52は、例えばSUS(Stainless Used Steel)を材質として形成されている。このノズルプレート52は、圧力発生室511の下流側に、例えば接着剤や熱溶着フィルム等の接合手段を介して固着されている。このノズルプレート52には、ノズル開口521が穿設されている。ノズルプレート52がヘッド本体51に取り付けられると、ノズル開口521は、各圧力発生室511と連通する。このとき、本実施の形態では、1つの圧力発生室511ごとに、1つのノズル開口521が連通するように設けられている。
ここで、ノズルプレート52は、上述の例では、SUSを材質とするように説明している。しかしながら、このノズルプレート52の材質は、SUSに限られるものではなく、伝熱性に優れるものであれば、どのような材質を用いても良い。
また、図1、図3に示すように、ノズルプレート52の突出部522には、温度調整機構60が取り付けられている。温度調整機構60は、ラインヘッド50の冷却または加熱等の温度調整を行うためのものである。この温度調整機構60は、温度センサ61と、ヒートポンプ62と、を具備している。これらのうち、温度センサ61は、ラインヘッド50の温度を検出し、その検出結果を制御部40に向けて出力する。なお、本実施の形態では、温度センサ61は、ノズルプレート52の温度を検出するように、当該ノズルプレート52に接触する状態で設けられている。
また、ヒートポンプ62は、冷却手段および加熱手段の一種であり、圧縮器621、膨張弁622、一対の熱交換器623,624(蒸発器または凝縮器として機能)、およびこれらの間で冷媒を循環させるパイプ625等を有している。このヒートポンプ62は、加熱時と冷却時では逆転可能に設けられていて、その場合、一対の熱交換器623,624では、蒸発器と凝縮器の役割が逆転するように設けられている。
なお、上述の温度調整機構60は、ヒートポンプ62を用いるものには限られず、例えば、ペルチエ素子等のような熱電素子等を用いるようにしても良い。また、ヒートポンプ方式の冷却装置を設けると共に、ヒータを設けるように構成しても良い。このとき、ヒートポンプ62は、冷却手段としてのみ機能し、加熱手段としての機能はヒータに譲る状態となる。
<温度調整機構60の動作>
以上のような構成を有するプリンタ10の温度調整機構60の動作について、以下に説明する。
以上のような構成を有するプリンタ10の温度調整機構60の動作について、以下に説明する。
プリンタ10を使用して印刷を行っている状態から、プリンタ10の使用を停止する状態に遷移する場合、温度調整機構60が作動する。この温度調整機構60の作動では、制御部40の指令に基づいて、ラインヘッド50(ノズル開口521)を冷却するように、ヒートポンプ62を作動させる。すると、ヒートポンプ62がノズルプレート52に取り付けられているため、このノズルプレート52を介して、ラインヘッド50のノズル開口521側の熱が奪われていく。そして、ノズル開口521の冷却が徐々に進行する。
ところで、ノズル開口521が冷却されると、インクの温度も低下させられる。それにより、ノズル開口521付近に存在するインクは、蒸発し難くなっていく。本実施の形態では、設定されている温度は、水の融点である0℃以下となっている。このため、ノズル開口521付近に存在するインク滴は氷結させられる。また、プリンタ10の使用を停止している間、インクの氷結状態は維持される。このとき、温度センサ61により、ノズル開口521またはその他の部位の温度を検出し、検出される温度が設定された温度以下となるように、制御部40は、ヒートポンプ62を制御駆動させる。
なお、プリンタ10の使用を停止している状態とは、プリンタ10の電源をオフにしている場合、プリンタ10の電源はオンであるものの、一定の時間が経過しても印刷が為されない場合等が挙げられる。その他、例えばモノクロ印刷を行う場合や、例えば5色分以上のインクカートリッジ34が存在するにも拘わらず4色分のインクカートリッジ34しか使用しないモードで印刷を行う場合等のように、特定の色種のインクのみを吐出させる場合には、使用される色種以外のインクを吐出するノズル開口521を冷却するように構成しても良い。
また、プリンタ10の使用を停止している状態から、当該プリンタ10の使用を再開する場合には、ラインヘッド50(ノズル開口521)を加熱するように、ヒートポンプ62を作動させる。この作動により、ヒートポンプ62で発生した熱は、ノズルプレート52を介してノズル開口521に伝達される。ここで、ノズル開口521付近では、インクは氷結させられている。そのため、ヒートポンプ62での加熱により、氷結状態にあるインクは融解し、液体状のインクとなる。
なお、インクを所定の温度まで上昇させた後には、ヒートポンプ62が作動しなくても、ラインヘッド50の駆動時の発熱等の影響がノズル開口521にも及ぶ。このため、インクを所定の温度まで上昇させた後には、ヒートポンプ62の作動は停止させられる。また、上記のヒートポンプ62での加熱は、ラインヘッド50(ノズルプレート52)の温度が、規定の値(例えば0℃)以下または規定の値よりも小さいことが検出される場合に行われる。しかしながら、プリンタ10の使用を開始する場合に、所定の時間の間、自動的にヒートポンプ62によるラインヘッド50の加熱を行うようにしても良い。
<本発明を適用した場合における効果>
以上のような構成のプリンタ10によれば、温度調整機構60を用いることにより、ノズル開口521から吐出される前のインクを、氷結させることを可能としている。このため、ノズル開口521付近に存在するインクが蒸発するのを防止可能となる。このように、ノズル開口521からインクが蒸発するのを防止可能となるため、ラインヘッド50をキャッピングするために上下方向等に移動させる必要がなくなる。そのため、ラインヘッド50に、僅かな位置ずれや微小回転等のような、アライメントの微小な狂いが生じるのを防ぐことが可能となる。
以上のような構成のプリンタ10によれば、温度調整機構60を用いることにより、ノズル開口521から吐出される前のインクを、氷結させることを可能としている。このため、ノズル開口521付近に存在するインクが蒸発するのを防止可能となる。このように、ノズル開口521からインクが蒸発するのを防止可能となるため、ラインヘッド50をキャッピングするために上下方向等に移動させる必要がなくなる。そのため、ラインヘッド50に、僅かな位置ずれや微小回転等のような、アライメントの微小な狂いが生じるのを防ぐことが可能となる。
また、このようなアライメントの微小な狂いが生じるのを防ぐことができるので、インク滴の着弾位置がずれるのを防止することが可能となる。そのため、印刷画質を良好に保つことが可能となる。
また、上述のようなインクの蒸発を防止することにより、ノズル開口521からインクが吐出不能になるのを防ぐことが可能となる。また、インクを氷結させることにより、ノズル開口521からインクが漏出するのを防止可能となる。
また、本実施の形態では、制御部40は、温度センサ61での温度の検出結果に基づいて、ヒートポンプ62を作動させて、ラインヘッド50を冷却させることを可能としている。そのため、温度センサ61での検出結果に基づいて、インクの冷却状態を制御することが可能となる。すなわち、プリンタ10の使用を停止している状態においては、制御部40は、ヒートポンプ62を制御作動させて、インクの氷結状態の維持を可能としている。
さらに、本実施の形態では、ノズル開口521は、ノズルプレート52に設けられている。加えて、温度調整機構60は、ノズルプレート52の突出部522に取り付けられている。そのため、ヒートポンプ62が作動して、ノズル開口521の冷却を開始すると、ノズル開口521の熱は、ノズルプレート52を介してヒートポンプ62によって奪われる。ここで、ノズルプレート52は、金属のような伝熱性に優れる材質から形成されているため、ノズルプレート52が樹脂やセラミックスを材質とする場合と比較して、インクを比較的早く冷却することが可能となる。
また、本実施の形態では、温度調整機構60はヒートポンプ62を備えている。しかも、プリンタ10の使用を開始する場合において、温度センサ61で検出されるラインヘッド50の温度が規定の値以下または規定の値よりも小さい場合には、ラインヘッド50を加熱するように、ヒートポンプ62を作動させる。そのため、ノズル開口521付近のインクが氷結していても、インクを早く融解させることが可能となり、プリンタ10を即座に使用することが可能となる。
また、本実施の形態では、長尺状のラインヘッド50を用いているため、当該ラインヘッド50を、その長手方向に移動させる必要がなくなる。そのため、印刷媒体Pに対して、必要なインク滴の吐出処理の速度を向上可能となる。すなわち、印刷速度を向上させることが可能となる。
<本発明の変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、インクの蒸発を防ぐために、インクを氷結させるようにヒートポンプ62を作動させている。しかしながら、インクを氷結させるのみならず、インクを氷結させずに、当該インクの温度を低下させる(例えば、5℃〜10℃の範囲等)ようにしても良い。このように、インクを氷結させない状態で、その温度を低下させるようにしても、インクにおける水分の蒸発を減少させることは可能である。
また、上述の実施の形態では、ラインヘッド50は、圧電素子514を具備するピエゾ方式として説明している。しかしながら、ラインヘッド50は、ピエゾ方式に限られるものではなく、サーマルジェット方式、静電方式等、他の方式を用いるものであっても良い。なお、ラインヘッドがサーマルジェット方式を採用する場合、当該ラインヘッドの内部に存在するヒータを、ノズル開口における解凍のために用いるようにしても良い。また、ラインヘッドがサーマルジェット方式を採用する場合、ラインヘッドの内部に存在するヒータからの発熱対策として、ヒートポンプによるラインヘッドの冷却を行うようにしても良い。
さらに、上述の実施の形態においては、液体吐出ヘッドとしては、紙送り方向と直交する方向に移動しない、ラインヘッド50を具備するタイプとなっている。しかしながら、液体吐出ヘッドは、ラインヘッド50に限られるものではなく、モータの駆動により紙送り方向と直交する方向に移動するタイプであっても良い。
また、上述の実施の形態においては、ノズル開口521が形成されているノズル開口面を封止するための、キャップを設けるように構成しても良い。本発明を適用すれば、キャップを設ける場合でも、当該キャップによるノズル開口面の封止の回数を減らすことが可能となる。また、例えば2〜3時間、または朝から夕方まで等の如く、比較的短時間である所定時間の範囲内は、ヒートポンプ62の作動によりラインヘッド50を冷却させるようにして、その所定時間の範囲を超える場合には、キャップによりノズル開口面を封止するようにしても良い。
さらに、紙送り方向と直交する方向に移動しないラインヘッド50としては、長尺状のものには限られず、比較的短い印刷ヘッドを、互い違いとなる状態(印刷ヘッドの紙送り方向と直交する方向における配置が、紙送り方向において交互に位置変化する状態)で配置するようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、液体吐出装置として、プリンタ10に関して説明している。しかしながら、液体吐出装置は、プリンタ10には限られるものではなく、例えばコピー機能を備える複写機に本発明を適用しても良い。また、その他の液体吐出装置としては、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等の製造に用いられる、液体を噴射する装置等がある。また、液体は、インク以外の液体であっても良く、たとえば液晶ディスプレイ、ELディスプレイに用いられる液体を噴射する装置においては、色材、電極材が液体となる。また、液体は、脱気インクには限られず、気泡が所定だけ溶解しているインク(飽和しているインク等)を用いても良い。なお、飽和しているインクを用いる場合、加圧または冷却等の別途の作業が必要となる。
また、上述の実施の形態では、ラインヘッド50のうち、ノズル開口521以外の部分を、断熱材で覆うように構成しても良い。このように、断熱材でラインヘッド50を覆う場合、ラインヘッド50の冷却効率が良好となり、電力の消費量を低減させることが可能となる。
10…プリンタ、20…紙送り機構、30…インク供給機構、40…制御部(制御手段に対応)、50…ヘッド機構、51…ラインヘッド(液体吐出ヘッドに対応)、52…ヘッド本体、514…圧電素子、52…ノズルプレート、521…ノズル開口、60…温度調整機構、61…温度センサ、62…ヒートポンプ
Claims (6)
- ノズル開口から水分を含む液体を吐出させることが可能な液体吐出ヘッドと、
上記ノズル開口における温度の調整を行う温度調整機構と、
上記温度調整機構の作動を制御する制御手段と、
を具備し、
上記温度調整機構は、上記ノズル開口から吐出される前の上記液体を冷却可能としている、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記温度調整機構は、
前記液体吐出ヘッドの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサでの温度の検出に基づいて、前記制御手段で制御駆動されると共に、上記液体吐出ヘッドを冷却する冷却手段と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。 - 前記冷却手段は、前記液体を氷結させることを可能としていると共に、前記制御手段は、前記液体を冷却させるのに際して、前記液体を氷結させるように前記冷却手段を制御駆動させる、
ことを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。 - 前記ノズル開口は、金属を材質とするプレート部材に設けられていると共に、
前記冷却手段は、上記プレート部材に伝熱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項2または3記載の液体吐出装置。 - 前記温度調整機構は、
前記温度センサでの温度の検出に基づいて、前記制御手段で制御駆動されると共に、前記液体吐出ヘッドを加熱する加熱手段を具備すると共に、
前記制御手段は、前記温度センサで検出される前記液体吐出ヘッドの温度が、規定の値以下または規定の値よりも小さい場合には、上記加熱手段を作動させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記液体吐出ヘッドは、複数の前記ノズル開口が列状に配置されるノズル列を、液体貯留部の液種の分だけ有していて、
上記ノズル列は、前記ノズル開口から吐出される液体が付着する吐出対象物の幅寸法と同等か、または当該幅寸法よりも大きい長さ寸法を有している、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記載の液体吐出装置。
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JP2007153641A Withdrawn JP2008302641A (ja) | 2007-06-11 | 2007-06-11 | 液体吐出装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010274524A (ja) * | 2009-05-28 | 2010-12-09 | Canon Inc | インク乾燥装置およびインクジェット記録装置 |
WO2014069254A1 (ja) * | 2012-11-02 | 2014-05-08 | 住友重機械工業株式会社 | 基板製造装置 |
JP2020506830A (ja) * | 2017-04-05 | 2020-03-05 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.Hewlett‐Packard Development Company, L.P. | 流体射出ダイの熱交換器 |
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2007
- 2007-06-11 JP JP2007153641A patent/JP2008302641A/ja not_active Withdrawn
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