図1は、本発明の実施の一形態の通信装置である電話装置1を示す断面図である。図2は、電話装置1の一部を切欠いて示す斜視図である。
本実施の形態の電話装置1は、VoIP(Voice Over Internet Protocol)を用いて、パケット化した音声データを、インターネットを介して伝送し、そのインターネットを介して接続を確立した送話者側電話機および受話者側電話機間で通話することができる、いわゆるインターネット電話装置である。
また電話装置1は、コードレスの子機(図示せず)と、無線通信によって通信することができるコードレス電話装置の親機である。また電話装置1は、回線利用者間の公衆電話回線網を利用して構築されるxDSLを用いて、インターネットに接続することができる。本実施の形態では電話装置1は、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)を用いて、インターネットに接続することができる。図1において、鉛直な方向は上下方向である。
本実施の形態において、ルータとは、たとえばOSI参照モデルでいうネットワーク層(第3層)およびトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して、ネットワーク上のデータを他のネットワークに中継して転送する機器をいう。また、スプリッタとは、音声信号とデータ信号とを分離する装置をいう。モデムとは、デジタルデータを音声信号に変換し、かつ音声信号をデジタルデータに変換する変調復調装置をいう。
本実施の形態では、インターネットのインターネットプロトコル通信網による音声通信システムを、単に「VoIP」と記す。
電話装置1は、筐体2と、通信動作を行うシステムが搭載された電子回路装置3と、操作部14とを含む。電子回路装置3は、第1配線基板5と第2配線基板31とを含み、筐体2の内部空間20に収納される。電子回路装置3の少なくとも一部である前記第1配線基板5には、発熱する電子回路素子4が搭載される。
この第1配線基板5は、筐体2の内部空間20内に、鉛直な仮想一平面L1に対して所定の角度θ2で傾斜した姿勢で配置される。前記角度θ2は、たとえば0°よりも大きく60°未満(0°<θ2<60°)に選ばれる。本実施の形態では、角度θ2はたとえば28°に選ばれる。
筐体2には、第1配線基板5の下部付近および上部付近に、筐体2の内部空間20と外部空間とを連通する複数の通気孔6が形成される。第1配線基板5の下部付近とは、第1配線基板5の下部の上方および下方を含む領域である。また第1配線基板5の上部付近とは、第1配線基板5の上部の上方および下方を含む領域である。前記各通気孔6を総称する場合には、通気孔6と記載する。
筐体2は、筐体本体12と、筐体本体12の手前から背後になるにつれて上方に傾斜し、通信のために操作される操作部材13が設けられる操作部14と、筐体本体12に設けられ、第1配線基板5を覆う背後カバー部材15と、上部カバー部材22とを含む。筐体2は、電気絶縁性樹脂材料によって形成される。筐体本体12の手前とは、上方に傾斜する操作部14の下端部側であり、図1の左側である。また、筐体2の手前および背後に延びる方向を前後方向Xと記載する。
筐体本体12は、底部17と底部17の手前から背後に向かうに連れて所定の角度で上方に傾斜する本体上部18と、電話装置1の前後方向Xに垂直な方向で、図1の紙面に垂直な幅方向Wで、底部17から上方に立ち上がる右側壁部19Aおよび左側壁部19Bとを有する。
底部17の下部には、複数の突起部21が設けられる。底部17を上方から見ると略矩形状である。本実施の形態では、突起部21は、底部17の4つの角部付近に配置される。底部17は平板上の載置面23に平行に延び、平板上の載置面23に載置したときに突起部21が載置面23に接触して、筐体本体12の底部17との間に、空間が形成される。
筐体本体12は、仕切り部材16を有する。仕切り部材16は、筐体本体12の背後寄りで、筐体本体12の底部17から立ち上がって形成される。仕切り部材16は、筐体本体12の底部17から操作部14が設けられる筐体本体12の本体上部18とにわたって設けられる。仕切り部材16によって、筐体2の内部空間20は、前後方向Xに2つ空間に仕切られる。筐体2の内部空間20のうち、仕切り部材16の手前の空間を第1内部空間20Aとし、仕切り部材16の背後の空間を第2内部空間20Bとする。
仕切り部材16は、鉛直な仮想一平面L1に対して所定の角度θ2で、筐体本体12の背後から手前に向かって傾斜する第1仕切り部16Aと、第1仕切り部16Aの下部で、手前から背後に延びる第2仕切り部16Bとを有する。仕切り部材16には、手前から背後に向かって第1配線基板5を固定するための固定部24が形成される。
第1配線基板5は、仕切り部材16の背後に配置される。第1配線基板5は、筐体本体12の仕切り部材16に設けられる固定部24に、たとえばねじ部材などの固定部材によって着脱可能に固定される。第1配線基板5は、筐体2の第2内部空間20Bの下部から上部にわたって設けられる。また第1配線基板5は、操作部14の背後に設けられる。
背後カバー部材15は、筐体本体12の背後に設けられ、筐体本体12に固定される。背後カバー部材15は、前記第1配線基板5に対向し、鉛直仮想一平面L1から角度θ2だけ背後から手前に向かって傾斜する傾斜部15Aと、前記傾斜部15Aの下端部15Aaに連なり、背後に突出して、筐体本体12の底部17に当接する突出部15Bとを有する。
背後カバー部材15の下部には、第1通気孔25が形成される。第1通気孔25は、前記突出部15Bに形成される。傾斜部15Aの上下方向の中間部よりも上方には、第2通気孔26が形成される。
たとえば背後カバー部材15を壁面36に向けて電話装置1を設置しても、背後カバー部材15に傾斜部15Aを設け、さらに突出部15Bを設けることによって、傾斜部15Aと壁面36との間に空間37が形成され背後カバー部材15の傾斜部15Aに設けられる通気孔6が、壁面36によってふさがれてしまうことを防止することができる。
背後カバー部材15の傾斜部15Aの上端部15Abと、筐体本体12の背後側端部12Aとの間には、隙間が形成される。操作部14の背後で前記筐体本体12の背後側上端部12Aの上部には、上部カバー部材22が設けられる。上部カバー部材22の背後側端部22Aは、下方に屈曲する屈曲部22Aaを有し、この屈曲部22Aaは、背後カバー部材15に当接する。背後カバー部材15の傾斜部15Aの下端部15Aaまたは上部カバー部材22の屈曲部22Aに、第3通気孔27が形成される。第3通気孔27は、幅方向の両端部にわたって延びる長孔である。また、筐体本体12の底部17の背後よりには、第4通気孔28が形成される。
第1仕切り部16Aの第1配線基板5に臨む面29aと、第1配線基板5の厚み方向に垂直な面29bと、背後カバー部材15の第1配線基板5に臨む面29cとは、所定の間隔を保って形成され、たとえば相互に平行に形成される。
電子回路装置3の第2配線基板31は、底部17の手前から背後にわたって設けられる。第2配線基板31の下方に臨む面31aは、筐体本体12の底部17の内面17aから所定距離だけ離反して配置され、第2配線基板31とこの第2配線基板31に臨む底部17との間には空間が形成される。
第2配線基板31の背後側端部31Aは、第1配線基板5の下端部5Aの下方に配置される。第1配線基板5の電気配線と、第2配線基板31の電気配線とは、第1接続手段32によって相互に電気的に接続される。第1配線基板5および第2配線基板31には、電話装置1が電話機およびルータとして機能するための所定の電気回路が設けられる。
筐体本体12の上部に設けられる操作部14は、操作者が操作部材13を操作したときに、この操作部材13の動作を検出する電気回路素子が設けられる操作配線基板33を含む。操作配線基板33の電気配線は、筐体2の手前で、第2接続手段34を介して第2配線基板31の電気配線に電気的に接続される。第2接続手段34は、接続ケーブルおよびコネクタによって実現される。操作部14は、筐体2の手前から背後に向かって上方に傾斜し、操作配線基板33も筐体2の手前から背後に向かって上方に傾斜する。筐体2の手前に第2接続手段34を設けて、操作配線基板33の電気配線および第2配線基板31の電気配線を接続することによって、接続ケーブルを可及的に短くすることができる。
筐体2の背後の上端部42には、アンテナ41が筐体本体12から突出して設けられる。アンテナ41は、電話装置1の幅方向一方から外部空間に突出する。
第1配線基板5は、電磁波遮蔽用金属製ケーシング40に格納される。以後、電磁波遮蔽用金属製ケーシング40を単にケーシング40と記載する。ケーシング40は、前記仕切り部材16の背後で、仕切り部材16と背後カバー部材15との間の第2内部空間20B内に配置される。ケーシング40は略直方体形状を有する。ケーシング40と第1仕切り部16Aとの間には、所定の空隙が形成される。またケーシング40と背後カバー部材15との間には、所定の空隙が形成される。
図3〜図6は、電話装置1の外観の一例を示す。図3は、操作部14を上方から見た図であり、図4は電話装置1の右側面図であり、図5は電話装置1の左側面図であり、図6は電話装置1の背面図である。図3に示すように、電話装置1の操作部14には、表示部101と、操作部材13である操作キーとが設けられている。表示部101にはナンバーディスプレイによって受信する発信者電話番号や簡単なメッセージの文字列を表示したり、電話装置1の動作状態を表示したりする。操作キーは、電話番号を入力するためのダイヤルボタンを含む。また操作キーとして、他に留守番電話設定ボタン、留守番電話再生ボタン、音量調整ボタンなどが設けられてもよい。
操作部14の上部には、送受話器51が配置される載置部52が形成される。本実施の形態では載置部52は、電話装置1の幅方向他方に設けられる。これによって、送受話器51を載置部52に載置する、または取り上げるときに、アンテナ300と接触することが防止される。
送受話器51は、送受話器コード53によって、第2配線基板31の電気配線に相互に接続される。筐体2の左側壁部19Aの下部には、筐体2の内部空間20と外部空間とを連通する受話器コード接続端子取付孔54が形成される。第2配線基板31には、前記送受話器コード52と接続される受話器コード接続端子57が設けられる。
筐体12の底部17で、左側壁部19Aの下部には、第5通気孔55が形成される。第5通気孔55は、複数形成される。複数の第5通気孔55は、筐体2の前後方向中央部から前寄りの位置から背後側端部にわたって形成される。第5通気孔55は、鉛直な仮想一平面L1に対して所定の角度θ2で、背後から手前に傾斜するように形成され、各第5通気孔55は縦長に形成される。
筐体12の底部17で、右側壁部19Aの下部には、第6通気孔56が形成される。第6通気孔56は、複数形成される。複数の第6通気孔56は、筐体2の前後方向中央部よりも、前寄りの位置から背後側端部にわたって形成される。第5通気孔55は、鉛直な仮想一平面L1に対して所定の角度θ2で、背後から手前に傾斜するように形成され、各第6通気孔56は縦長に形成される。このように第5および第6通気孔55,56を設けることによって、第1配線基板5の下部付近に形成される開口の面積を大きくすることができる。
筐体2の背後側端部の下部には、回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、電源スイッチ63および電源コード接続端子64が設けられる。これらは第2配線基板31上に実装され、第2配線基板31の配線に電気的に接続される。前記回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、電源スイッチ63および電源コード接続端子64は、背後カバー部材15の突出部15Bの近傍に配置される。
回線コード接続端子61には、回線コードの一端部が接続される。回線コードの他端部はモジュラージャックに接続され、これによってADSL回線網に接続される。外部機器併設用端子62は、電話機を併設する場合またはファクシミリを併設する場合に、これらの機器を接続するためのものである。電源スイッチ63は、電話装置1に電源を投入するためのものである。電源コード接続端子64は、ACアダプタを接続するためのものである。電源コード接続端子64に、ACアダプタを介して電源から電力が供給される。
背後カバー部材15の突出部15Bには、前記回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、電源スイッチ63および電源コード接続端子64に所定のコードを接続することができるように、開口が形成される。電源スイッチ63を背後側端で、筐体2の下部に設けることによって、不用意に電源を切断してしまうことが防止される。
背後カバー部材15の下部に突出部15Bを設けて、前記回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、および電源コード接続端子64などを背後に配置することによって、これらの端子にコードを接続すると、電話装置1の背後カバー部材15の突出部15Bを壁面に密着して配置することができない。これによって、電話装置1を設置したときに、前記突出部15Bに形成される第1通気孔25が、壁面にふさがれてしまうことが防止される。
図7は、背後カバー部材15の背面図であり、図8は図7の切断面線I−Iから見た背後カバー部材15を示す断面図である。背後カバー部材15には、第1通気孔25および第2通気孔26が形成される。
第1通気孔25は、背後カバー部材15の下部付近に配置され、背後カバー部材15を厚み方向に貫通する。第1通気孔25は、突出部15Bに形成される回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、電源スイッチ63および電源コード接続端子64のための開口61A,62A,63A,64Aとは、異なる領域に形成される。背後カバー部材15の突出部15Bは、傾斜部15Aの下端部から鉛直な仮想一平面L1にほぼ垂直で、背後に延びる第1突出形成部65と、第1突出形成部65の背後側端部から下方に延び、鉛直な仮想一平面L1にほぼ平行な第2突出形成部66とを有する。前記開口61A,62A,63A,64Aおよび第1通気孔25は、第2突出形成部66に形成される。
第1通気孔25は、複数形成される。各第1通気孔25は、幅方向に並んで形成される。第1通気孔25を鉛直な仮想一平面L1にほぼ垂直な第2突出形成部66に形成することによって、塵および埃が外部から筐体2の内部に侵入することが防止される。また、第1通気孔25は、幅方向に垂直な縦方向に延びる。これによって、各第1通気孔25の間の背後カバー部材15によって、筐体2の内部空間20に流入する空気の流れを阻害することが防止される。
第2通気孔26は、背後カバー部材15の上部付近に形成され、背後カバー部材15を厚み方向に貫通する。電子回路素子4によって加熱された筐体2の内部空間20の空気は、第2通気孔26を通過して筐体2の外部空間に流出する。
第2通気孔26は、複数形成される。各第2通気孔26は、幅方向に並んで形成される。これによって内部空間20の空気は、幅方向にわたって均等に外部空間に流れ、幅方向に分布する空気が部分的に高温になることが防止される。背後カバー部材15は、外部空間から各第2通気孔26を通過して埃や塵が内部空間20に侵入することを阻止する侵入阻止片111,112が複数設けられる。
侵入阻止片111,112は、空気が通過する通過方向113に対して交差する第1方向に、第2通気孔26内に延びる。また侵入阻止片111,112は、複数設けられる。各侵入阻止片111,112が、第1方向および通過方向113にともに交差する第2方向に並ぶ。さらに第2方向に隣接する2つの各侵入阻止片111,112は、互いに通過方向113に間隔を開けて配置される。
たとえば背後カバー部材15は、各侵入阻止片111が幅方向に並ぶ第1群114と、各侵入阻止片112が幅方向に並ぶ第2群とが設けられる。第1群114の各侵入阻止片111と、第2群115の各侵入阻止片112とは、前後方向に間隔を開けて配置される。また第1群114と第2群115とは、幅方向にずれて配置される。第1群114の各侵入阻止片111は、第2群115の各侵入阻止片112の間を前後方向に延びる領域を含んで延びる。したがって外部空間から空気が侵入したとしても、第1群114の各侵入阻止片111および第2群115の各侵入阻止片112のいずれかに衝突して侵入が阻止される可能性が高く、塵および埃が外部から筐体2の内部に侵入することが防止される。さらに第1群および第2群の各侵入阻止片111,112は、縦方向に延びるので、下方から上方に向かって流れる筐体2の内部空間20の空気の流れを阻害することがない。さらに第1群114および第2群115の侵入阻止片111,112は、背後カバー部材15の外表面から没入した位置に配置されることによって、侵入阻止片111,112に塵や埃が積もることを防止することができる。
図9〜図11は、第1配線基板5に設けられる電子回路素子4の配置を概略的に示す図である。図9は、第1配線基板5の背面図であり、図10は第1配線基板5の上面図であり、図11は第1配線基板5の左側面図である。図9〜図11では、電子回路素子4を斜線で示す。
第1配線基板5には、ADSLチップ4A、VoIPチップ4Bおよび中央演算処理装置(Ce ntral Processing Unit;略称CPU)4Cなどの電子回路素子4が搭載される。電子回路素子4は、第1配線基板5の電気配線と電気的に接続される。これらの電子回路素子4は、電源を投入され起動状態となると発熱する。また第1配線基板5には、無線LANなどの無線通信を行うための無線通信カード71が着脱自在に取付け可能な無線通信カードコネクタ72が設けられる。また第1配線基板5には、LAN(Local Area
Network)ケーブルを接続可能なLANポート73が設けられる。
発熱源となる電子回路素子4は、第1配線基板5の背面に実装される。前記無線通信カード接続コネクタ72およびLANポート73は、第1配線基板5の背面に実装され、第1配線基板5に形成される電気配線と電気的に接続される。
ADSLチップ4Aは、ADSLモデム機能を有する半導体集積回路であって、ADSL回線を使って送受信を行うためにデジタル信号を変復調する。VoIPチップ4Bは、VoIPの制御を行う半導体集積回路であり、VoIP電話を行うための呼制御や、PPP(Point-to-Point Protocol )セッションの確立、VoIPサーバとの認証を行う。
CPU4Cは、図示しないメモリなどに格納される制御プログラムを実行して、ADSLチップ4A、VoIPチップ4Bおよび無線通信カードコネクタ72に装着された無線通信カード71などを制御する。
またCPU4Cは、ルータ機能を有する電子回路素子であり、ルータ制御部である。電話装置1、無線通信カード71を介して無線通信によって接続される機器、またはLANポート73にLANケーブルを介して接続されるパーソナルコンピュータなどの装置のアドレス情報が付与されたデータがあるか否かをCPU4Cが監視する。もしも電話装置1のIPアドレスが付与されたデータがある場合には、CPU4Cは、そのデータを第2配線基板31に伝送する。第2配線基板31では、たとえば前記データが着信情報であれば、着信を検出することによって、後述するスピーカから発音する。前記データが音声データであれば、この音声データを再生して受話器から送出する。このようなCPU4Cの動作を単にルーティングと記載する。
VoIPを用いて電話通話するために、CPU4Cは、たえず着信があるか否かを監視する必要がある。したがって、ADSLモデム機能およびルータ機能を構成する電子回路素子4は、常に電源が投入された状態であり、起動状態となっている。このため電子回路素子4は発熱する。
CPU4CおよびADSLチップ4Aは、第1配線基板5の上端部5Aおよび下端部5Bの間の中間部に配置される。またVoIPチップ4Bは、第1配線基板5の下端部5B寄りに配置される。
第1配線基板5は、略矩形状であり、それぞれの角部45には第1配線基板5の厚み方向に貫通する貫通孔9が設けられる。この貫通孔9にねじ部材を挿通させて、仕切り部材16に設けられる固定部24に第1配線基板5を固定する。
筐体2の左側壁部19Aには、第1配線基板5に設けられるLANポート73に、LANケーブルを接続するためのLANケーブル取付孔74が形成される。また筐体2の左側壁部19Aには、第1配線基板5に設けられる無線通信カードコネクタ72に無線通信カード71を接続するための無線通信カード取付孔75が形成される。
第1配線基板5の正面の下端部5Aには、接続ピン801が設けられる。接続ピン801の詳細な構成については後述する。
図12〜図17は、ケーシング40の背面図、正面図、上面図、底面図、右側面図および左側面図である。図18は、図12の切断面線II−IIから見た断面図である。ケーシング40は、たとえば鉄および銅などによって形成される。ケーシング40の背面は、背後カバー部材15に対向する。第1基板配線5は、ケーシング40の内部空間に収納される。ケーシング40は、第1配線基板5を手前を覆う第1ケーシング部41と、第1配線基板5の背後を覆う第2ケーシング部材42とが組合されて形成される。
第1ケーシング部41は、仕切り部材16に対向して設けられる。第1ケーシング部41は、第1配線基板5に平行に延びる第1平面部141と、第1平面部141の上下方向の両端部142から所定の角度で立設し、第1平面部141から離反するに連れて互いに離反する第1連結部143と、第1連結部143にそれぞれ連なり、第1平面部141に対して垂直に延び、第1配線基板15の上下方向の両端部を挟む第2連結部144と、第2連結部144にそれぞれ連なり、第1平面部141から離反するにつれて相互に近接する第3連結部145と、第3連結部145にそれぞれ連なり、第2ケーシング部42の上下方向両端部146を挟み込む第4連結部147と、第4連結部147にそれぞれ連なり、第1平面部141から離反するにつれて相互に離反する第5連結部148とを含む。
第2ケーシング部42は、第1配線基板5に平行に延びる第2平面部151と、第2平面部151の上端部152から垂直に立設する上面部153と、第2平面部151の下端部154から立設し、第2平面部151から離反するに連れて上面部153から離反する第1下面部155と、第1下面部155に連なり、上面部153に平行に延びる第2下面部156とを含む。
上面部153および第2下面部156の遊端部157,158は、第1配線基板5の背面に当接し、また第1ケーシング部41によって上下方向から挟み込まれる。これによって、ケーシング40が第1配線基板5に確実に固定される。
ケーシング40の第1仕切り部16Aに対向する部分を正面部91とし、背後カバー部材15に対向する部分を背面部82とする。
正面部91および背面部82には、ケーシング40の内部空間20と外部空間とを連通する透孔81が形成される。透孔81は、円形状を有し、ケーシング40に点在して形成される。透孔81は、少なくとも第1配線素子5に設けられる電子回路素子4に対向する領域に設けられる。ケーシング40の単位面積あたりの透孔81の開口面積の比は、第1配線基板5上に配置される発熱する電子回路素子4に対向する領域の付近で大きく、遠去かった位置では、小さく選ばれる。このように透孔81を形成することによって、筐体2の外部空間から流入する空気を発熱する電子回路素子4の付近に多く導くことができ、また電子回路素子4によって加熱された空気をケーシング40の外部に効率的に排出することができる。透孔81は、この透孔81を通過して電磁波がケーシング40に侵入しない大きさに選ばれる。正面部91および背面部82は板状であり、第1配線基板5と平行に配置される。
本実施の形態では、第1配線基板5に配置されるCPU4Cに臨む領域で、ケーシング40に他の領域よりも密に透孔81を形成している。具体的には、前記CPU4Cに臨む領域の下部および下方となる第1領域84に他の領域よりも透孔81を多く形成している。
背面部82の上端部161の第2領域85には、幅方向に延びる上部透孔83が形成される。上部透孔83は、ケーシング40の幅方向の両端部間にわたって、幅方向に間隔をあけて形成される。上部透孔83は、長孔形状である。背面部82の前記第1領域84および第2領域85を除く第3領域86では、透孔81は、第1領域84よりも粗に形成される。隣合う透孔81の間隔は、第3領域86よりも第1領域84の方が短い。
ケーシング40の正面部91の下部には、挿通孔92が設けられる。挿通孔92は、ケーシング40内に収容される第1配線基板5に設けられる接続ピン801に対応する位置に形成される。貫通孔92を介して、ケーシング40の外部空間に接続ピン801を突出させることができる。ケーシング40の正面部91にも、透孔81が形成される。背面部82の開口面積は、正面部91の開口面積よりも小さい。
ケーシング40の下部には、幅方向に延びる下部透孔93が形成される。ケーシング40は、内蔵される第1配線基板5に垂直な第1基部94と、第1基部94に対して90度未満の角度θ1を有する第2基部95とを有する。下部透孔93は、第1基部94に形成される。下部透孔93は、幅方向の両端部間にわたって点在し、長孔によって形成される。本実施の形態では、下部透孔93は、たとえば15個形成される。下部透孔93からは絶えず空気が流れ込むので、長孔とすることによって、ごみなどが入りにくくなる。また下部透孔93は、幅方向の両端部間にわたって形成されるので、開口面積を大きくすることができる。
第1配線基板5は、鉛直な仮想一平面L1に対して傾斜しており、ケーシング40の正面部91および背面部82も垂直な仮想一平面L1に対して傾斜する。ケーシング81の下部を前記構成とすることによって、ケーシング40をコンパクトにすることができ、筐体2の内部に配置されるケーシング81の配置の自由度が向上する。
ケーシング40の左側壁部162には、開口163が形成される。開口163を形成することによって、第1配線基板5に設けられる無線通信カードコネクタ72に無線通信カード71を接続し、LANポート73にLANケーブルを接続することができる。
ケーシング40の右側壁部165には、側部透孔166が形成される。側部透孔166は、ケーシング40の下部から上部に向かう方向に延びる長孔形状を有する。側部透孔166は、複数形成される。
ケーシング40の背面部82の第1配線基板5に対向する面と、第1配線基板5との距離は、正面部91の第1配線基板5に対向する面と第1配線基板5との距離よりも大きく選ばれる。
図19は、本発明の第2配線基板31を簡略化して示す平面図である。第2配線基板31は、板状に形成されて、複数の電気素子が実装される。第2配線基板31は、各電気素子が装着されることで電気回路を実現し、後述する動作を実行可能となる。第2配線基板31は、幅方向に延び、本実施の形態では、水平に配置されて筐体2に固定される。図1に示すように、第2配線基板31は、その前後方向後方寄りの部分の上方の領域に第1配線基板5を内蔵するケーシング40が配置される。第2配線基板31は、筐体2の内部空間20に配置されるケーシング40に対して、前方および後方に延びる。第2配線基板31のうち、ケーシング40に対して前方の部分を前方部分31aとし、ケーシング40よりも後方の部分を後方部分31bと称する。第2配線基板31の前方部分31aは、電気素子が装着される装着領域が形成され、第2配線基板31の後方部分31bは、電気素子が装着されない非装着領域が形成される。したがって装着領域は、発熱源となる第1配線基板5より下方であって、第1配線基板5よりも離れた位置に設けられることによって、第2配線基板31に設けられる回路素子が熱によって誤動作する可能性を少なくできる。
第2配線基板31は、接地部401,402と、コネクタ802と、開口部403と、回線コード接続端子61と、外部機器併設用端子62と、電源スイッチ63と、電源コード接続端子64とを含む。接地部401,402は、第2配線基板31を電気的に接地、すなわちアースするための部分であって、第2配線基板31のアースを行う。接地部401,402は、第2配線基板31のうちケーシング40に近接した位置に設けられ、幅方向両側にそれぞれ設けられる。接地部401,402は、導電性材料から成る。
また接地部401,402は、導電性を有する第1帯状体181によって、ケーシング40と電気的に接続される。第1帯状体181は、たとえば帯状の銅箔によって実現される。これによってケーシング40による不要なノイズの輻射を抑制することができる。また接地部401,402がケーシング40に可及的に近接した位置に設けられることによって、導電帯状体の長さを短くすることができ、導電帯状体の長さを短くすることができ、導電帯状態によって生じるノイズの輻射を小さくすることができる。
コネクタ802は、第1配線基板5に設けられる電気配線と第2配線基板31に設けられる電気配線とを電気的に接続するために設けられる。第1配線基板5に設けられるコネクタ連結体である接続ピン801がコネクタ802に連結されることによって、第1および第2のそれぞれの電気配線が電気的に接続される。コネクタ802は、第2配線基板31から上方に突出する。
また第2配線基板31の後方部分31bには、回線コード接続端子61、外部機器併設用端子62、電源スイッチ63および電源コード接続端子64が設けられる。
開口部403は、第2配線基板31の後方部分31bに設けられ、第2配線基板31を厚み方向に挿通する開口405が形成される。これによって第2配線基板31の下方の空間と、第2配線基板31の上方の空間とを連通する。開口部403は、第4通気孔26の近傍に設けられることが好ましい。また開口部405の上方の空間には、ケーシング40が配置されることが好ましい。これによって第4通気孔6から筐体2の内部空間20に流れ込んだ空気を、開口405を通過して、ケーシング40に接触させることができる。
図20および図21は、空気の流れを説明するための電話装置1の断面図および背面図である。電子回路素子4の発熱によって加熱された空気は、図20およぎ図21の矢符Aおよび矢符Bで示されるように上部透孔83および透孔82からケーシング40の外部空間に放出される。前記加熱された空気は、前記上部透孔83および透孔81よりも上方に位置する第3通気孔27および第2通気孔26から筐体2の外部空間に放出される。これらの矢符A,Bで示されるような、加熱された空気の放出によって、筐体2の内部空間20内には、第1通気孔25、第4通気孔26、第5通気孔55および第6通気孔56を介して、矢符C,D,E,Fで示されるように外部空間から常温の空気が流れ込む。
ケーシング40は、電気回路素子4の発熱によって過熱された空気との接触によって、ケーシング40内部空間20の温度の上昇を抑制することによって、常温よりも高い温度に加熱されており、ケーシング40によって、ケーシング40と背後カバー部材15と間に形成される空間240の空気が加熱される。この空間240内で加熱された空気は、矢符Eで示すように、そのほとんどが第2通気孔26を介して外部空間に放出される。下方からは主として矢符Cで示されるように流れ込んだ空気の一部が供給され、常温の空気によってケーシング40が冷却される。
ケーシング40内の空気が加熱され、図20および図21に示す矢符A,Bで示されるように外部空間に放出されることによって、このような空間内に矢符C,D,E,Fで示すように供給される常温の空気が、ケーシング40の下部透孔93からケーシング40内に流入する。この空気は、第1配線基板5と第1ケーシング部41との間の比較的狭い空間内を図20の紙面に垂直な方向の全体にわたって電子回路素子4の上を通過するので、電子回路素子4の表面には常に外部の常温の空気が接触する。
上部透孔83は、ケーシング40の最上部の空間に臨んで形成される。第3通気孔27は、筐体2の最上部の空間に臨んで形成される。これによって、加熱された空気を、円滑に放出することができる。ケーシング40の上端部183と筐体本体12の背後側上端部12Aとの間には空気通路が形成される。筐体本体12の背後側上端部12Aは、ケーシング40の上端部183に対向して、背後に向かうに連れて上方に傾斜する内面331を有する。たとえば仮想水平面と内面331とが成す傾斜角度θ3は、たとえば20度以上でかつ45度以下に設計される。この内面331とケーシング40の上端部183との間に空気通路が形成される。前記内面331は、手前から第3通気孔27に向かって傾斜しており、これによって、加熱された空気が第3通気孔27に導かれ、円滑に放出される。
第1通気孔25および下部透孔93とは、ほぼ一水平線上に形成されているので、流動抵抗が少なく矢符Cで示されるように、筐体2の外部空間からの空気が、ケーシング40の内部空間20内に円滑に流れ込む。
また、第1配線基板5の傾斜面上に、第2配線基板31の開口405および第4通気孔が形成される。これによって、矢符Dで示される外部空間の空気が空間内に流れ込む。
以上のように、矢符A,Bのように加熱された空気が外部に放出される。この作用によって、ケーシング40の内部に空気が引き込まれる。流れ込んだ空気によって電気回路素子4から発生する熱を回収し、この熱を外部に排出する。電気回路素子4が発熱する限り、温度が上昇した空気の筐体2の外部空間への放出および常温の空気の内部空間20への取り込みを生じさせることができる。これによって、電子回路素子4が過剰に発熱して誤動作することが防止される。
また本実施の形態では、仕切り部材16によって筐体2内の空間が発熱空間である第1内部空間20Aと残余の空間である第2内部空間20Bとに仕切られるので、発熱する電子回路素子4によって加熱された空気が、第1内部空間20内に設けられる第2配線基板31に接触して加熱され、前記この第2配線基板31に実装される電子部品が加熱されてしまうという不具合の発生を防ぐことができる。
また第1配線基板5は、操作部14の背後に設けられる。これによって、筐体2内で電子回路素子4の発熱によって加熱された空気は、筐体2内で第1配線基板5から上方へ移動するので、前記加熱された空気が操作部14に向かうことが防止される。また前記加熱された空気は、操作部14を操作するために操作者が位置する場所とは反対側から、筐体2の外部に放出されることになる。したがって、電子回路素子によって加熱された空気は、操作者から離反した位置から筐体2の外部に流出することになる。これによって、操作者に加熱された空気が直接当たることを防止され、安全性が向上される。また発熱空間を筐体2の背後側に設けることによって、操作者が筐体2から発生する熱を気にすることなく、電話装置1を操作することができる。
図22は、第1配線基板5と第2配線基板31との接続構造800を拡大して示す断面図である。第1接続手段32である接続構造800は、可撓線である複数の接続ピン801と、各接続ピン801が接続されるコネクタ802とを有する。
接続ピン801は、導電性材料から成り、中間部に配置される屈曲部805で屈曲し、その屈曲部805を境にして、一端側部分806および他端側部分807が形成され、一端側部分806および他端側部分807は、直線状に形成される。一端側部分806の軸線L806と他端側部分807の軸線L807が成す角度であるピン屈曲角度θ801は、90度に第1配線基板5と鉛直な仮想一平面L1とが成す角度θ2を加算した角度である。
この接続ピン801は、両端部が先細状に形成され、接続対象に刺入しやく構成されている。一端側部分806は、第1配線基板5にケーシング40側から第1配線基板5に垂直に刺入され、第1配線基板5にはんだ付けされて、電気的および機械的に第1配線基板5に接続されている。一端側部分806には、ストッパ808が設けられており、第1配線基板5の厚み方向に関して位置決めされる。また接続ビン801は、一端側部分806の軸線L806および他端側部分807の軸線L807が、第1配線基板5の幅方向に垂直な仮想平面に平行に配置されて設けられる。他端側部分807は、ケーシング40に形成される挿通孔92を挿通してケーシング外に突出するように設けられる。各接続ビン801は、このようにして、第1配線基板5にその幅方向に並んで設けられる。
コネクタ802は、一直線状に配置される複数の接続部811を有している。接続部811は、電気絶縁性材料から成る中空状のコネクタハウジング812と、一端部がコネクタハウジング812内に配置された状態で設けられる端子部材813とを有する。コネクタハウジング812には、ピン刺入孔815が形成されるピン刺入部816を有する。このピン刺入部816は、接続ピン801の他端側部分807を刺入可能であり、刺入された他端側部分807をその軸線L807とピン刺入孔815の軸線L815とを一致させた状態で、周方向全周にわたって弾発的に挟持して、機械的に接続することができる。接続ピン801の他端側部分807には、ストッパ817が設けられており、ピン刺入孔815の軸線L815の方向に関して位置決めされる。
端子部材813は、導電性材料から成り、一端部818がピン刺入部816付近に配置されている。接続ピン801がピン刺入部816に刺入されると、端子部材813の一端部818は、接続ピン801の他端側部分807に弾発的に当接されて、電気的に接続可能に構成されている。
このようなコネクタ802は、各接続部811が、第2配線基板31の幅方向に並び、ピン刺入孔815の軸線L815が第2配線基板31に垂直に配置される状態で第2配線基板31に設けられる。このようにコネクタ802は、第2配線基板31に設けられ、端子部材813の他端部820が、第2配線基板31にはんだ付けされて、機械的および電気的に接続される。
このようなコネクタ802の各ピン刺入部816に各接続ピン801を刺入することによって、コネクタ802と各接続ピン801とが接続される。これによって第1配線基板5と第2配線基板31とが電気的に接続される。このような接続構造800を採用することによって、第1配線基板5を、第2配線基板31に接続した状態で配置したい所望の傾斜させた状態に配置することによって、各接続ピン801の他端側部分807を鉛直に配置することができ、この状態で第1配線基板5を鉛直下方に変位させるだけで、接続ピン801をコネクタ802に接続して、第1および第2配線基板5,31を接続することができる。このように第1配線基板5を鉛直から傾斜した方向に変位させる場合に比べて、簡単な操作で、第1および第2配線基板5,31を接続することができる。
またコネクタ802のピン刺入部816で、接続ピン801を弾発的に挟持できる構成であり、機械的な接続のために別途の手段を設ける必要が無い。またこのようなピン刺入部816は、接続ピン801が刺入されるとき、その外表面に付着している塵埃などの異物を掻き取ることができ、接続ピン801と端子部材813との間に前記異物が介在されることを防ぐことができる。これによって接続ピン801と端子部材813との間の良好な面接触状態を確保し、良好な電気的接続状態を得ることができる。したがってこのような接点におけるノイズの発生を格段に小さく抑えることができる。また接点の数を少なくすることができ、これによってもノイズの発生を抑えることができる。
前述の説明では、複数の接続部を有する1つのコネクタが設けられる説明をしたけれども、当然これに限定されることはなく、複数のコネクタが設けられてもよいし、1つのコネクタに1つの接続部が設けられる構成であってもよい。また接続ピン801は、必ずしも複数必要なわけではなく、1つであってもよく、当然この場合、コネクタは1つの接続部を有していればよい。
図23〜図25は、ケーシング40および操作配線基板33が第2配線基板31の接地部401,402に接地される構造を示す図である。図23は、電話装置1の前後方向の断面図であり、図24は電話装置1を上方から見て、一部を切欠いて示す図であり、図25は背後カバー体15を取り外した状態の背面図である。図24および図25において、第1帯状体181および第2帯状体182を斜線で示す。
仕切り部材16の第2仕切り部16Bには、ケーシング40を第2配線基板31の接地部402と相互に接続するための第1帯状体181が設けられる。第1帯状体181の一端部181Aは、第2仕切り部16Bの上部に配置され、ケーシング40と電気的に接続される。第1帯状体181は、第2仕切り部16Bの背後から第2仕切り部16の下部に延び、その他端部181Bが第2配線基板31の接地部402と電気的に接続される。これによって、ケーシング40が接地される。このような構成とすることによって、第1帯状体181を可及的短くすることができる。また第1配線基板5は、ケーシング40、第1帯状体181を介して接地される。
操作配線基板33の背後側端部185は、導電性を有する接続部材186および導電性を有する第2帯状体182を介してケーシング40と電気的に接続される。第2帯状体182は、たとえば銅箔によって実現される。導電性部材186は、操作配線基板33の背後側端部185から下方に、筐体2の第1内部空間20A内に突出する。導電性部材186の遊端部187と、第2帯状体182の一端部182Aとは電気的に接続される。第2帯状体182の他端部182Bは、仕切り部材16に形成される挿通孔188を介して第2内部空間20B内に突出する。第2帯状体182の他端部182Bは、ケーシング40の上端部付近に電気的に接続される。ケーシング40と仕切り部材16との間には、弾発性を有する弾発性部材189が設けられ、第2帯状体182は、弾発性部材182によってケーシング40に向かう方向に押圧される。これによって、第2帯状体182をケーシング40に確実に接続することができる。
操作配線基板33は、ケーシング40を介して第1配線基板31の接地部401,402と電気的に接続され、接地される。このような構成とすることによって、筐体2の内部空間20に、配置される配線構造を簡略化することができる。したがって、通信装置1の組立てが容易となる。
図26は、アンテナ300の外観を示す側面図であり、図27は、アンテナ300を示す断面図である。アンテナ300は、後述する第2配線基板31に設けられる無線機220に電気的に接続される。図28および図29は、アンテナ300が筐体2に連結された状態を示す断面図である。
アンテナ300は、無線機220からの電気信号が与えられ、その電気信号を電波に変換して電話装置1の周囲に電波を放射する。またアンテナ300は、電話装置1の周囲から電波を捕捉し、捕捉した電波を電気信号に変換して、無線機220に与える。本実施の形態では、アンテナ300は、電波を送受信するアナログコードレス電話用アンテナである。アンテナ300は、棒状アンテナであり、たとえばダイポールアンテナによって実現される。
アンテナ300は、電波を送受信するための導線体301と、筐体2から露出した導線体301を覆う円筒状の保護部材302とを有する。導線体301は、第2配線基板31に電気的に接続され、保護部材302の内部空間20を挿通する。図26に示すように、アンテナ300は、その外観が棒状に形成され、保護部材302の摺動部302aが、電話装置1の筐体2に挿入される。摺動部302aは、アンテナ保持具305まわりに回転可能に設けられ、電話装置1に対して相対的に角変位する。また保護部材302内の導線体301も保護部材302とともに回転する。
導線体301は、略L字状に延びる。導線体301の一端部301aは、第2基板に接続するための接続端子303が形成される。保護部材302の摺動部302aは、保護部材302本体から屈曲し、かつ、アンテナ保持具305と摺動する摺動面304を有する。この摺動面304は円筒状に形成される。摺動面304が、アンテナ保持具305に形成される保持部305aに嵌合することによって、アンテナ300が図2に示す先符J方向に回転可能に設けられる。
また、摺動部302aは筐体2に形成される嵌合孔365によってガイドされており、アンテナ300のよりスムーズな回転動作を可能にしている。
図28および図29に示すように、電話装置1の筐体2は、アンテナ保持具305が設けられる。アンテナ保持具305は、電話装置1の筐体2から一方向に突出し、ねじ部材306によって電話装置1の筐体2に着脱自在に固定される。摺動部302aは、電話装置1の筐体2に嵌合するとともに、アンテナ保持具305に回転可能に連結される。これによってアンテナ300が電話装置1の筐体2から抜出ることを防止することができる。
このようなアンテナ300は、第1配線基板を覆うケーシングの上部に配置される。本実施の形態ではアンテナ300は、電話装置1の筐体2の上部でかつ外側方に連結される。上部に連結されることによって、ケーシング40からアンテナ300を離すことができ、ケーシング40の金属による電波の妨害を受けることが無いので、アンテナ300の性能を確保し、電波の送受信を良好に行うことができる。またアンテナ300が電話装置1に対して角変位することによって、コンパクトに収容することができる。
図30は、電話装置1の概略的な電気的構成を示す。電話装置1は、回線捕捉回路201、スピーチネットワーク202、切換え回路203、送受話器51、スピーカ205、ダイヤル回路206、着信検出回路207、発信者電話番号受信回路208、メモリ209、表示部210、VoIP使用可能LED211、PSTN(Public Switched
Telephon Network) LED212、VoIP LED213、操作パネル100、DSP(Digital Signal Processor)215、ADSLモデム216、スプリッタ217、音声メモリ218、留守録DSP219、無線機220、アンテナ300、および制御部221、およびルータ制御部231を含む。
制御部221は、電話制御部222、データ処理制御部223、表示制御部224、操作検出部225、使用回線判定部226、VoIP制御部227、DSP制御部228、ADSL制御部229および無線制御部230を含む。
図30に示すADSLモデム216、VoIP制御部227、ルータ制御部231、DSP215、DSP制御部228、ADSL制御部229、無線通信カードコネクタ72およびLANコネクタ73が、第1配線基板5に設けられる。ADSLモデム226はADSLチップ4Aによって実現され、VoIP制御部227はVoIPチップ4Bによって実現され、ルータ制御部231およびADSL制御部229は、CPU4Cによって実現される。
回線捕捉回路201は、ダイヤル回路206からの信号によってPSTN回線を閉結したり開放したりし、またその状態を信号で電話制御部222に与えることができる。スピーチネットワーク202は、PSTN回線からの受話信号を切換え回路203に送るとともに、切換え回路203からの送話信号を公衆電話回線網に送出したり、ダイヤル回路206が発信したDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号を、PSTN回線に送出するために回線捕捉回路201に送る。切換え回路203は、電話制御部222からの制御信号に応じて、スピーチネットワーク202および送受話器51およびDSP215から音声信号を入力し、またスピーチネットワーク202、送受話器51およびスピーカ205およびDSP215へ音声信号を出力するように信号経路の接続を切換える。ダイヤル回路206は、回線捕捉回路201を開閉させてダイヤルパルスを発生させたり、DTMF信号をスピーチネットワーク202に出力したりして、PSTN回線に送出する。
着信検出回路207は、PSTN回線から到来するCAR信号やIR信号を検出し、電話制御部222に信号を与える。ここでCAR信号とは、発信者電話番号通知サービスで発信者の電話番号を通知してくる前に送られてくる信号であり、電話機はこれを受信すると回線を捕捉し発信者の電話番号を受信する。また、IR信号とは着信鳴動信号であり、通常、電話機はこれを受信するとスピーカ205から呼出音を鳴らす。
発信者電話番号受信回路208は、PSTN回線から送られてくる発信電話番号等の情報を受信復調し、発信者識別情報となる発信者電話番号を取得する。メモリ209は、発信記録や着信記録のデータ、留守応答時に受信した発信者電話番号とその使用された回線が何かを示す情報などを記憶する。
電話装置1は、報知手段として、LCD(液晶表示装置)による表示部210と、LED(発光ダイオード)によるVoIP使用可能LED211、PSTN LED212およびVoIP LED213を含む。表示部210は、文字列やピクトグラムで情報を表示する。VoIP使用可能LED211は、VoIP電話通信が可能な時に点灯する。PSTN LED212は、PSTN回線を使用して電話の発着信が行われたときに点灯する。VoIP LED213は、ADSL回線を使用してVoIP電話の発着信が行われた時に点灯する。これらの報知手段は、電話装置1を操作するための操作パネル100に設けられている。
DSP(Digital Signal Processor)215は、ADSL回線から送られてきたデジタル音声をアナログ音声に変換したり、送受話器51の送話器で拾ったアナログ音声をデジタル音声に変換したりする信号処理を行う。ADSLモデム216は、ADSL回線を使って送受信を行うためにデジタル信号を変復調する。スプリッタ217は、PSTN回線の信号とADSL回線の信号を一つにまとめて加入者線に流したり、電話局から加入者線を介して送られてくる信号をPSTN回線の信号とADSL回線の信号とに分離したりすることができる。
さらに、電話装置1には、留守録機能を実現するために、留守用件を記録する音声メモリ218と、留守用件をデジタルで記録したり再生したりする留守用件用DSP215とが設けられている。
無線機220は、アンテナ300を介して1または複数の子機と無線電波で接続する。赤外線や有線で接続するようにしてもよい。子機も、親機となる電話装置1を介してPSTN回線とADSL回線とを利用して通信を行うことができる。また親機と子機とは、PSTN回線とADSL回線とのうちの一方と他方とを使用して、同時に通信することもできる。さらに、ADSL回線では、複数の電話通信用の回線を設定することも可能であり、親機と子機、または複数の子機が同時に電話通信を行うことができる。
電話装置1の動作は、制御部221によって制御する。電話制御部222は、電話をかけたり、受けたり、ダイヤルしたり、留守応答動作をしたりする動作を制御する。データ処理制御部223は、メモリ209に発信者電話番号等のデータを書き込んだり、閲覧手段として読み込んだりする制御を行う。表示制御部224は、表示部210に各種の情報を表示する制御を行う。操作検出部225は、操作パネル100を監視し、操作が行われると電話制御部222に操作に対応する信号を与える。
使用回線判定部226は、電話制御部222から送られてきた電話番号についてどちらの回線を使用するかを判定し、結果を電話制御部222に返す判定手段として機能する。VoIP制御部227は、VoIP電話を行うための呼制御や、PPP(Point-to-Point Protocol )セッションの確立、VoIPサーバとの認証を行う。DSP制御部228は、DSP215を制御する。ADSL制御部229は、ADSLモデム216を制御する。無線制御部230は、無線機220を制御する。ルータ制御部231は、CPU4Cによって実現され、前述したように受信したデータのルーティングを実行する。
図31は、インターネットに電話装置1およびパーソナルコンピュータ2を接続するために用いられる設備の構成を示す図である。電話装置1の回線コード接続端子61と、公衆回線網に接続されるモジュラーコンセント195とを通信ケーブル196によって接続する。電話装置1には、ACアダプタ507を介して電源から電力が供給される。パーソナルコンピュータ2は、LANケーブル198を介して前記第1配線基板5に設けられるLANポート73に接続される。
本発明の電話装置1によって、図38および図39に示す設備構成より通信のためのケーブルおよびACアダプタ507が少なくなり、省スペース化を実現することができ、設置上の自由度が向上される。
図32は、本発明の電話装置1に類似する電話装置600を示す断面図である。図32に示す電話装置600は、前述した電話装置1に比べて、第1配線基板5および第1配線基板5を収容するケーシング40の配置位置が異なる以外は同様の構成を有するので、その説明を省略する。電話装置600の各構成については、対応する電話装置1の各構成と同一の参照符号を付する。
第1配線基板5は、第2配線基板31に対して上方に垂直に延びる。すなわち第2配線基板31は、鉛直な方向に延びる。また第1配線基板5を収容するケーシングもまた第2配線基板31に対して、鉛直な方向に上方に延びる。このような電話装置600は、上述した電話装置1と同様の効果を得ることができる。
図33は、電話装置600の筐体2の内部空間20を流れる空気の状態を示す図である。図33には、空気の流れを矢符で示す。空気は、トンネル効果によって、第4通気孔28を通過して筐体2の内部空間20に流れ込む。筐体内に流れ込んだ空気は、ケーシングに形成される透孔を通過して、第1配線基板5に触れながら上方に移動する。上方に移動するにつれて空気は、第1配線基板5から熱を奪い、第1配線基板5を冷却する。第1配線基板5から熱を奪い温度が上昇した空気は、ケーシングの透孔を通過してケーシング40の外部に放出され、さらに第2通気孔26および第3通機構27を通過して、電話装置600の外部に放出される。このように筐体2内を流れる空気によって、第1配線基板5が冷却されて、第1配線基板5が熱によって誤動作することを防止することができる。
図34は、電話装置600のケーシング40の上部付近を拡大して示す断面図である。筐体2の背後側上端部12Aは、傾斜した内面331を有する。この内面331は、上方に向かうにつれて、前後方向後方に傾斜する。たとえば仮想水平面と内面331とが成す傾斜角度θ4は、たとえば0度以上でかつ20度以下に設計される。
また上述したように、第3通気孔27が、筐体の内部空間20と外部の空間を連通し、前後方向後方でかつ上方に設けられる。第3通気孔27は、背後カバー部材15または上部カバー部材22のいずれに設けられてもよい。また第3通気孔27は、筐体2の背後側上端部12Aの内面331よりも上方に形成されることが好ましい。
第1配線基板5に触れながら上方に移動する空気のうち一部は、ケーシング40の上部に形成される上部透孔83を通過して、筐体2の背後側上端部12Aに形成される内面331に向かって流れる。この空気は、内面331に案内されて、上方に向かうにつれて後方に向かって移動し、第3通気孔27を通過する。このように空気が案内されることによって、加熱された空気が筐体の内部空間20で留まることがなく、筐体の内部空間20が不所望に高温となることを防止することができる。特に筐体2の上端部が高温となることを防止することができる。
図35は、電話装置600の第1配線基板5の接続ピン801を拡大して示す断面図である。第1配線基板5と第2配線基板31とは、90度の角度をなして配置される。第1配線基板5の接続ピン801は、L字状に形成される。接続ピン801は、第1配線基板5から垂直に延びる一端側部分806と、一端側部分806から90度屈曲する屈曲部805と、屈曲部805に連なる他端側部分807とを有する。接続ピン801は、その他端側部807がコネクタ802に連結される。第1配線基板5を下方に向けて移動させて、接続ピン801とコネクタ802とを連結することによって、第1配線基板5に設けられる電気配線と第2配線基板31に設けられる電気配線とを電気的に接続することができる。
図36は、本発明の電話装置1に類似する電話装置700を示す断面図である。図37は、電話装置700の第1配線基板5の接続ピン801を拡大して示す断面図である。図36に示す電話装置700は、上述した電話装置1に比べて、第1配線基板601および第1配線基板31を収容するケーシングの配置位置が異なる以外は同様の構成を示し、説明を省略する。電話装置700の各構成については、対応する電話装置1の各構成と同一の参照符号を付する。
第1配線基板5は、第2配線基板31に対して上方に向かうにつれて後方に傾斜する。また第1配線基板5を収容するケーシングもまた第2配線基板31に対して、手前から背後に、かつ上方に向かうにつれて後方に傾斜する。このような電話装置700は、上述した電話装置1と同様の効果を得ることができる。また第2配線基板31のコネクタ802が第1配線基板5の背面よりも後方つまり背後に設けられる。接続ピン801は、第1配線基板5の下部の背面に設けられ、ケーシング40の下部に設けられる挿通孔77からケーシング40の外部に突出して、前記コネクタ802に接続される。これによってケーシングおよび第1配線基板5を筐体の内部空間20のうち前方に没入させることができ、電話装置700を上下方向に小形化することができる。
上述した各実施の形態の電子回路素子4は、たとえばトランスなどの電気素子であってもよい。
本発明の実施の他の形態では、通信装置1の平面視で前記背後に臨む通気孔6の側方に背後に突出する突出部が形成されてもよい。これによって通気孔6から上方に流出する加熱された空気および通気孔6の下方からこの通気孔6に流入する常温の空気流れを防げることはない。