JP2008300323A - ガス拡散部材及びガス拡散部材を用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス圧損を低減するとともに排水性を向上させたガス拡散部材を提供する。
【解決手段】ガス拡散部材は、多孔体12から形成され複数の貫通孔14が設けられた基材10からなり、基材10の形態が、ラスカットメタルまたはエキスパンドメタルのいずれかの形態である。燃料電池において、上記ガス拡散部材は、フラットセパレータとガス拡散層との間に配置される多孔体流路層またはガス拡散層として用いることができる。
【選択図】図1
【解決手段】ガス拡散部材は、多孔体12から形成され複数の貫通孔14が設けられた基材10からなり、基材10の形態が、ラスカットメタルまたはエキスパンドメタルのいずれかの形態である。燃料電池において、上記ガス拡散部材は、フラットセパレータとガス拡散層との間に配置される多孔体流路層またはガス拡散層として用いることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガス拡散部材、特に、燃料電池において、発電中に生成す生成水を排除し易くし、燃料電池の発電効率を維持安定化させるためのガス拡散部材の改良に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、図8に示すように、固体高分子膜からなる電解質膜52を燃料極50と空気極54との2枚の電極で挟んだ接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、さらに2枚のセパレータ30に挟持してなるセルを最小単位とし、通常、このセルを複数積み重ねて燃料電池スタック(FCスタック)とし、高圧電圧を得るようにしている。
固体高分子型燃料電池の発電の仕組みは、一般に、燃料極(アノード側電極)50に燃料ガス、例えば水素含有ガスが、一方、空気極(カソード側電極)54には酸化剤ガス、例えば主に酸素(O2)を含有するガスあるいは空気が供給される。水素含有ガスは、燃料ガス流路を通って燃料極50に供給され、電極の触媒の作用により電子と水素イオン(H+)に分解される。電子は外部回路を通って、燃料極50から空気極54に移動し、電流を作り出す。一方、水素イオン(H+)は電解質膜52を通過して空気極54に達し、酸素および外部回路を通ってきた電子と結合し、反応水(H2O)になる。水素(H2)と酸素(O2)および電子の結合反応と同時に発生する熱は、冷却水によって回収される。また、空気極54のあるカソード側に生成した水(以下「生成水」という)は、カソード側から排出される。
図8に示すように、燃料電池の運転中(発電中)において、生成水は空気極54の表面の電解質膜54に接する部分に発生する。そして、燃料電池の運転に伴い、この生成水を燃料電池系外に効率よく排出できない場合には、空気極54の拡散層とセパレータ30との間の空間に生成水が滞留し、その結果、反応ガス、特に酸化剤ガスの拡散が阻害され、いわゆるフラッティング現象が生じてしまう。かかる場合、燃料電池の発電効率が低下する傾向が見られた。
一方、従来より、燃料電池内のセパレータと燃料極との間およびセパレータと空気極との間の燃料ガス、酸化剤ガスとのガス流路内におけるガス流通性の工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、セパレータ本体と燃料電池の電極構造体を構成する電極層との間に燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ供給するガス流路を形成しかつ前記電極構造体により発電された電気を集電するガス流路形成部材が、セパレータ本体の窪みに配置された燃料電池セパレータが提案されており、上記ガス流路形成部材は、1枚板のエキスパンドメタルに筋状凹凸形成されている。
また、特許文献2には、開口率の異なるエキスパンドメタルを交互に積層させてガス流路形成部材を製造することが提案されている。
上述した従来の1枚板のエキスパンドメタルからなるガス流路部材または集電体、ガス拡散層は、ガス流通性を向上させることができるものの、特にカソード側に生成する生成水を速やかに燃料電池系外に排出することが難しい。すなわち、図7に示すように、特にカソード側では、カソード側のガス拡散層20から露出してくる生成水16は、1枚板エキスパンドメタル70の貫通孔14ならびに1枚板エキスパンドメタル70の表層を伝って(矢印方向)、セパレータ30側に流れてゆき、さらにセパレータ30の表面に沿って系外に排出される。
しかしながら、図7に示すように、1枚板エキスパンドメタル70の端部にある生成水16は、1枚板エキスパンドメタル70の側壁面や貫通孔14の壁面を存在する生成水に比べ、流れが悪く、滞留し易い傾向にある。このように、1枚板エキスパンドメタル70の端部に生成水16が滞留し、排水性が悪化すると、ガス拡散層20の酸化剤ガスの拡散性が阻害され、いわゆるフラッティング現象が生じてしまい、燃料電池の発電効率が低下する可能性がある。また、例えば、氷点下起動性が悪くなる可能性もある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、燃料電池からの生成水排出を良好に行い、燃料電池システムの運転効率を維持安定化させるためのガス拡散部材および運転効率が維持安定化された燃料電池を提供する。
上記目的を達成するために、本発明のガス拡散部材および燃料電池は以下の特徴を有する。
(1)多孔体から形成され複数の貫通孔が設けられた基材からなるガス拡散部材である。
基材の材質を多孔体にすることによって、より空孔率が高くなり、ガス拡散時の圧損を低下させることができる。また、基材の貫通孔のみならず基材を構成する多孔体の気孔からも生成水を排水することができるため、さらにガス拡散性が向上し、その結果、例えば氷点下における燃料電池の起動性も向上する。また、複数の貫通孔を有する基材を多孔体により構成することによって、さらにガス拡散部材を軽量化することができる。
(2)上記(1)に記載のガス拡散部材において、前記基材は、多孔体から形成されたラスカットメタルまたはエキスパンドメタルであるガス拡散部材である。
基材がラスカットメタルまたはエキスパンドメタルとすることにより、貫通孔を網目状に形成することができ、且つ集電体としても機能させることができる。
(3)上記(1)または(2)に記載のガス拡散部材において、前記多孔体は、焼結多孔体であるガス拡散部材である。
多孔体を焼結多孔体とすることにより、焼結多孔体の製造条件を制御し所望の気孔率を有する多孔体からなる基材を得ることができる。
(4)電解質膜に燃料極と空気極を有する接合体と、前記接合体を挟持する一対のセパレータとから構成されるセルを積層してなる燃料電池であって、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のガス拡散部材を、前記のセパレータと接合体との間に配置する燃料電池である。
上記ガス拡散部材は、上記基材の貫通孔のみならず基材を構成する多孔体が気孔を有するため、より空孔率が高くなり、ガス拡散時の圧損を低下させることができるとともに、生成水の排水性も向上する。これにより、燃料電池内の特にカソード側の排水性が向上し、ガス拡散性が阻害されず、燃料電池の運転効率が維持安定化する。また、複数の貫通孔を有する基材を多孔体により構成することによって、ガス拡散部材を軽量化することができ、その結果、燃料電池も軽量化することができる。
(5)上記(4)に記載の燃料電池において、前記セパレータは、前記接合体側表面が平滑面であるフラットセパレータであり、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のガス拡散部材と前記フラットセパレータとは隣接している燃料電池である。
上記ガス拡散部材を、セパレータとガス拡散層との間の多孔体流路層として用いることにより、特にカソード側のガス拡散層より露出してくる生成水を速やかにセパレータ側に移動させることができ、これによりセパレータより生成水が系外に排出される。したがって、セパレータとガス拡散層との間の排水性が向上し、ガス拡散性は維持され、燃料電池の運転効率は安定維持される。
(6)上記(4)に記載の燃料電池において、前記セパレータは、前記接合体側表面が平滑面であるフラットセパレータであり、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のガス拡散部材は、前記燃料極と空気極のそれぞれ設けられているガス拡散層の少なくとも一方と前記フラットセパレータとの間に配置される多孔体流路層である燃料電池である。
(7)電解質膜に燃料極と空気極を有する接合体と、前記接合体を挟持する一対のセパレータとから構成されるセルを積層してなる燃料電池であって、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のガス拡散部材を、前記燃料極と空気極のそれぞれ設けられているガス拡散層として用いる燃料電池である。
上記ガス拡散部材をガス拡散層に用いることにより、上記接合体内で生成する生成水を、上記基材に形成された複数の貫通孔のみならず基材を構成する多孔体の気孔からも排出することができ、ガス拡散層内のガス拡散性を維持することができる。
本発明によれば、ガス抜き性のみならず、排水性に優れたガス拡散部材を提供することができ、このガス拡散部材を用いた燃料電池は、発電の際に生成した生成水が燃料電池系外に効率よく排出されるため、フラッティング現象が生じ難く、燃料電池の出力特性を維持安定させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
[ガス拡散部材および燃料電池]
本実施の形態のガス拡散部材は、図1に示すように、多孔体12から形成され複数の貫通孔14が設けられた基材10からなる。また、本実施の形態では、基材10の形態が、ラスカットメタルまたはエキスパンドメタルのいずれかの形態であることが好ましい。
本実施の形態のガス拡散部材は、図1に示すように、多孔体12から形成され複数の貫通孔14が設けられた基材10からなる。また、本実施の形態では、基材10の形態が、ラスカットメタルまたはエキスパンドメタルのいずれかの形態であることが好ましい。
ここで、本実施の形態において、「ラスカットメタル」とは、平板状の薄肉金属板に対して、順次千鳥配置の切れ目を加工するとともに加工した切れ目を押し曲げることによって、網目状の小径の貫通孔が形成されたものである。また、「エキスパンドメタル」とは、平板状の薄肉金属板に対して、順次千鳥配置の切れ目を加工するとともに加工した切れ目を押し曲げることによって網目状の小径の貫通孔が形成され、さらに、圧延加工されて略平板状とされたものである。エキスパンドメタルは略平板状に成形されるため、例えば、最終成形後の製品において不必要な曲がりや凹凸などを除去するための工程を設ける必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、本実施の形態のガス拡散部材において、基材10を構成する多孔体12の気孔率は、40%から95%である。
また、多孔体12は、本実施の形態のガス拡散部材が集電体を兼ねる場合には、金属セパレータに用いる金属材料であればいかなるものでも用いることができるが、燃料電池の製造時に上述したセルを積層圧縮する際の圧力に抗し所定のガス流通を可能とするある程度の剛性を有する材料が好ましく、例えば、チタン、ステンレス材が好ましい。
さらに、多孔体12は、焼結多孔体が好ましく、焼結多孔体の気孔率は、40%から95%である。また、上記気孔率は、焼結時の温度、焼結時の不活性ガスやその他水素、窒素ガスなどの送風ガスの種類とその送風量、焼結時間などにより、制御することができる。
本実施の形態のガス拡散部材を、ガス流路部材または集電体、ガス拡散層のいすれの用途に用いるかに応じて、上記焼結多孔体の原料を適宜選択することが望ましい。例えば、本実施の形態のガス拡散部材をガス流路部材またはガス拡散層に用いるだけでなく、集電体としても用いる場合には、上記焼結多孔体としては、金属セパレータに用いる金属材料の粉末を焼結することによって得られた焼結多孔体が好ましい。また、上記焼結多孔体に含まれる金属としては、導電性を有する金属であれば如何なる金属でもよいが、例えば、チタン、鉄、ニッケル、マンガン、モリブデン、ニオブ、アルミニウムの単一金属または上記金属から2種以上選択された合金が好ましい。
また、上記焼結多孔体が発泡焼結金属多孔体である場合には、水系バインダと金属粉末と発泡剤とを混合し、発泡、乾燥、焼結を行うことにより発泡焼結金属多孔体を得ることができる。金属粉末として、上述した金属単体粉末の他に、例えばステンレス鋼粉末を用いてもよい。また、上記発泡焼結金属多孔体の気孔率は、上記バインダと金属粉末と発泡剤の配合量比、発泡時の温度発泡時間などの条件を制御することによって、上述した焼結多孔体の好ましい気孔率を得ることができる。さらに、例えば、上記金属粉末としてステンレス鋼粉末を用い、100μm程度の気孔を持つ気孔率70〜85%程度の発泡ステンレス鋼を発泡焼結金属多孔体として用いてもよい。
また、本実施の形態のガス拡散部材を、集電体としては用いず、ガス流路部材またはガス拡散層に用いる場合には、ジルコニウム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどのセラミックスや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル、四フッ化エチレンなどのプラスチック焼結多孔体を用いてもよい。
<多孔体流路層>
図1には、本実施の形態のガス拡散部材を、燃料電池に適用する際に、ガス拡散層20とセパレータ30との間に配置して、多孔体流路層として用いた場合の一例が示されている。
図1には、本実施の形態のガス拡散部材を、燃料電池に適用する際に、ガス拡散層20とセパレータ30との間に配置して、多孔体流路層として用いた場合の一例が示されている。
ここで、燃料電池のセパレータとして、耐久性の観点から金属セパレータが用いられるようになってきているが、この金属セパレータは耐蝕性および帯電性の両立が必須となる。この上記耐蝕性および帯電性を両立させるものとしてチタン製のセパレータが候補に挙げられている。しかし、チタンは、剛性が高く、ステンレスのようにプレス加工が容易でないため、流路をプレス以外の方法で形成する必要が生じる。そこで、チタン製セパレータをフラットセパレータとし、このフラットセパレータとガス拡散層との間に多孔体により流路を形成する構成を案出し、この多孔体流路として、上述した本実施の形態のガス拡散部材を用いた擬似的多孔体流路層として用いる構成について、以下に説明する。ここで、「フラットセパレータ」とは、後述する固体高分子膜からなる電解質膜を燃料極と空気極との2枚の電極で挟んだ接合体の側の表面が平滑面であるセパレータをいう。
上述した多孔体流路層は、拡散層・電極にガスを供給するため、セパレータ面沿い方向へのガス流通性能が必要となる。そのため、圧力損失が小さい必要があるため、後述する拡散層に比べ気孔径および気孔率ともに大きい必要がある。したがって、多孔体流路層に使用されるガス拡散部材の貫通孔14は、通常の拡散層に使用されるカーボン系多孔体の気孔に比べ大きめに形成されている。また、多孔体流路層はガス流路であるため、ガス拡散層のように燃料電池の製造時のセル積層圧縮等において、ガス流路内圧力損出が生じることは望ましくないため、上述したように、多孔体流路層に用いれるガス拡散部材は、前記セル積層圧縮時の圧力にある程度抗す程度の剛性の高い金属から形成されていることが好ましい。
図1に示すように、本実施の形態のガス拡散部材は、多孔体12からなる基材10に複数の貫通孔14が設けられてなる。したがって、特にカソード側では、カソード側のガス拡散層20から露出してくる生成水16は、基材10の貫通孔14および基材10の表層を伝って(矢印方向)セパレータ30側に流れてゆくだけでなく、さらに基材10を構成する多孔体12の気孔を介して多孔体12内を生成水16が通過し、セパレータ30側に生成水16が移動してゆき(矢印方向)、この生成水16はセパレータ30の表面に沿って系外に排出される。
これにより、図1に示すように、ガス拡散層20より露出した生成水16が基材10の端部にあっても、基材10を構成する多孔体12の気孔を介して多孔体12の内部を伝ってセパレータ30側に移動させることができる。したがって、ガス拡散層20の酸化剤ガスの拡散性は維持され、いわゆるフラッティング現象を抑制することができ、燃料電池の発電効率を維持安定化させることができる。また、ガス拡散層20内の残留水を低減することができるので、例えば氷点下における燃料電池の起動性も向上する。
また、基材10の貫通孔14のみならず、基材10を構成する多孔体12が気孔を有するため、本実施の形態のガス拡散部材は空孔率が高く、ガス拡散時の圧損を低減することができ、燃料電池の運転効率も向上する。また、複数の貫通孔14を有する基材10を多孔体12により構成することによって、ガス拡散部材自体を軽量化することができ、その結果、燃料電池も軽量化することができる。
なお、図1において、基材10の形態としてエキスパンドメタルを例に取り説明したが、基材10の形態としてラスカットメタルを用いてもよく、これらに限るものではない。また、図2にはエキスパンドメタルの一例が示されており、図1に示す基材10の断面は、図2のA−A線に沿った断面である。
また、図3および図4には、基材10の形態としてエキスパンドメタルを選択した場合のエキスパンドメタルの形状が例示されており、図3には六角形状のエキスパンドメタルの一例が、また図4には異形形状のエキスパンドメタルの一例が示されている。本実施の形態のガス拡散部材の基材として、上述した形状のエキスパンドメタルから適宜選択選択して用いることができる。
図5には、固体高分子膜からなる電解質膜を燃料極と空気極との2枚の電極で挟んだ接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)32を、さらに2枚のセパレータ30にて挟持し、さらにシール36によりシールしてなるセルを最小単位とし、通常、このセルを複数積み重ねてスタック状にした燃料電池において、上記セルの接合体32とフラットセパレータであるセパレータ30との間に、基材10(図1から図4のいずれか)からなるガス拡散部材を多孔体流路層34として用いた構成の一例が示されている。上記フラットセパレータであるセパレータ30は、接合体32側表面が平滑面である。
上記ガス拡散部材を多孔体流路層34としても用いることにより、燃料電池の発電時に生成する生成水16を速やかにセパレータ30(フラットセパレータ)を介して系外に排出することができ、上述したように、特に生成水16の生成するカソード側の酸化剤ガスの拡散性を維持することができ、いわゆるフラッティング現象を抑制し、燃料電池の発電効率を維持安定化させることができる。
図5には、上述したように、フラットセパレータ30を用い、このフラットセパレータ30とセルの接合体32との間に、それぞれ多孔体流路層34として基材10が配置された構成になっている。ここで、上記接合体32は、燃料ガス拡散層−燃料極触媒層−電解質膜−空気極触媒層−酸化剤ガス拡散層からなる構成であっても、また、燃料極触媒層−電解質膜−空気極触媒層から構成されていてもよい。したがって、上記接合体32が燃料ガス拡散層−燃料極触媒層−電解質膜−空気極触媒層−酸化剤ガス拡散層からなる場合には、フラットセパレータ30とガス拡散層との間に、それぞれ多孔体流路層34とした基材10(図1)が配置される。一方、上記接合体32が燃料極触媒層−電解質膜−空気極触媒層からなる場合には、フラットセパレータ30と燃料極触媒層および空気極触媒層との間に、それぞれ多孔体流路層34とした基材10が配置される。すなわち、後者の構成の場合には、多孔体流路層34に設けられた基材10(図1)は、流路のみならずガス拡散層としても機能し、したがって、従来のガス拡散層が不要となり、セルの厚みをより薄くすることが可能である。その結果、燃料電池をより小型化することも可能となる。なお、後者の場合、触媒層に接触するエキスパンドメタル形態の基材10(図1)の面には例えば疎水剤等が塗布され、この疎水コーティングによって疎水化されると共に、燃料電池製造時の圧縮における触媒層への損傷が抑制される。
<ガス拡散層>
図6には、複数のセルからなる燃料電池において、電解質膜40、触媒層42とガス拡散層44からなる空気極および燃料極に挟まれてなる接合体を、さらにガス供給溝46を有するセパレータ48によって教示してなるセルの構造の一例が示されて、ガス拡散層44として、図1から図4に示した基材10からなるガス拡散部材を用いる構成について以下に説明する。
図6には、複数のセルからなる燃料電池において、電解質膜40、触媒層42とガス拡散層44からなる空気極および燃料極に挟まれてなる接合体を、さらにガス供給溝46を有するセパレータ48によって教示してなるセルの構造の一例が示されて、ガス拡散層44として、図1から図4に示した基材10からなるガス拡散部材を用いる構成について以下に説明する。
ガス拡散層は、流路から供給されるガスを電極触媒層へ拡散供給する層であり、上述した多孔体流路層ほどセパレータ面に沿った方向へのガス流通が必要ではないため、基材10(図1)を拡散層として用いる場合には、上記多孔体流路層に用いる場合に比べ比較的小さめの気孔径、例えばカーボン系多孔体の気孔径と同等程度の径を有する貫通孔14(図1)に形成ようラスカットされていることが望ましい。さらに、燃料電池発電時の変形を吸収するように多少変形に追従可能な程度の剛性のやや低いものを用いることが好ましく、ガス拡散層に用いられるエキスパンドメタル形態の基材10(図1)は、例えばステンレス材で形成することが望ましい。
図6では、ガス拡散層44として、図1から図4に示した基材10からなるガス拡散部材を用いることにより、燃料電池の発電時に、特にカソード側の空気極の触媒層42から生成する生成水を効率よくセパレータ48側に移行させることができ、上述同様、カソード側の酸化剤ガスの拡散性を維持することができ、いわゆるフラッティング現象を抑制し、燃料電池の発電効率を維持安定化させることができる。また、基材10の貫通孔14および多孔体12の気孔から、燃料極触媒層および空気極触媒層にそれぞれ燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給することができる。
また、図1に示す基材10(図1)を多積層することによって、複数積層のガス拡散部材を製造してもよい。なお、積層数は、使用される空間の大きさに応じて適宜選択することが望ましい。
実施例1.
焼結多孔体(気孔率約75%)を、ラスカットしエキスパンド加工(エキスパンドメタル単体として空孔率約75%)することによって、図1に示す基材10を得た。上記焼結多孔体として、100μm程度の気孔を持ち、気孔率約75%の発泡ステンレス鋼発泡焼結多孔体を用いた。これにより、基材10における総空孔率は約93%となった。
焼結多孔体(気孔率約75%)を、ラスカットしエキスパンド加工(エキスパンドメタル単体として空孔率約75%)することによって、図1に示す基材10を得た。上記焼結多孔体として、100μm程度の気孔を持ち、気孔率約75%の発泡ステンレス鋼発泡焼結多孔体を用いた。これにより、基材10における総空孔率は約93%となった。
比較例1.
ステンレス鋼をラスカットしエキスパンド加工(エキスパンドメタル単体として空孔率約75%)することによって、図7に示す一枚板エキスパンドメタル70を得た。一枚板エキスパンドメタル70の総空孔率は約75%である。
ステンレス鋼をラスカットしエキスパンド加工(エキスパンドメタル単体として空孔率約75%)することによって、図7に示す一枚板エキスパンドメタル70を得た。一枚板エキスパンドメタル70の総空孔率は約75%である。
実施例1の基材10は、比較例1の一枚板エキスパンドメタル70に比べ、ガス圧損が約20%低減した。また、実施例1の基材10は、比較例1の一枚板エキスパンドメタル70に比べ、表面積が約18%低減できるため、ガス拡散部材として用いた場合、残留水を18%低減することができた。また、実施例1の基材10は、比較例1の一枚板エキスパンドメタル70に比べ、空孔率を約18%上げることができたため、ガス拡散部材の重量を約18%低減させることができた。例えば、現状、約17g/枚のガス拡散部材を用いるため、燃料電池の1スタック(ガス拡散部材の総枚数:800枚)では、約2.4kgの軽量化を図ることができた。また、多孔体流路層として実施例1の基材10を燃料電池に実装した場合、排水性が向上し、燃料電池内のセル性能も向上した。
本発明のガス拡散部材は、燃料電池を用いる用途であれば、いかなる用途にも有効であるが、ガス拡散部材として特に排水性を併せて要求される用途に好適である。
10 基材、12 多孔体、14 貫通孔、16 生成水、20 ガス拡散層、30 フラットセパレータ、32 接合体、34 多孔体流路層、36 シール、40 電解質膜、42 触媒層、44 ガス拡散層、46 ガス供給溝、48 セパレータ、50 燃料極、52 電解質膜、54 空気極、54 電解質膜、70 一枚板エキスパンドメタル。
Claims (7)
- 多孔体から形成され複数の貫通孔が設けられた基材からなることを特徴とするガス拡散部材。
- 請求項1に記載のガス拡散部材において、
前記基材は、多孔体から形成されたラスカットメタルまたはエキスパンドメタルであることを特徴とするガス拡散部材。 - 請求項1または請求項2に記載のガス拡散部材において、
前記多孔体は、焼結多孔体であることを特徴とするガス拡散部材。 - 電解質膜に燃料極と空気極を有する接合体と、前記接合体を挟持する一対のセパレータとから構成されるセルを積層してなる燃料電池であって、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス拡散部材を、前記のセパレータと接合体との間に配置することを特徴とする燃料電池。 - 請求項4に記載の燃料電池において、
前記セパレータは、前記接合体側表面が平滑面であるフラットセパレータであり、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス拡散部材と前記フラットセパレータとは隣接していることを特徴とする燃料電池。 - 請求項4に記載の燃料電池において、
前記セパレータは、前記接合体側表面が平滑面であるフラットセパレータであり、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス拡散部材は、前記燃料極と空気極のそれぞれ設けられているガス拡散層の少なくとも一方と前記フラットセパレータとの間に配置される多孔体流路層であることを特徴とする燃料電池。 - 電解質膜に燃料極と空気極を有する接合体と、前記接合体を挟持する一対のセパレータとから構成されるセルを積層してなる燃料電池であって、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス拡散部材を、前記燃料極と空気極のそれぞれ設けられているガス拡散層として用いることを特徴とする燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007148195A JP2008300323A (ja) | 2007-06-04 | 2007-06-04 | ガス拡散部材及びガス拡散部材を用いた燃料電池 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012048940A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Toyota Boshoku Corp | 燃料電池 |
US9299990B2 (en) | 2008-12-01 | 2016-03-29 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fuel cell |
CN112838233A (zh) * | 2021-01-22 | 2021-05-25 | 中汽创智科技有限公司 | 一种燃料电池气体扩散层、电极、膜电极组件、单电池及其制备方法 |
-
2007
- 2007-06-04 JP JP2007148195A patent/JP2008300323A/ja active Pending
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JP2012048940A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Toyota Boshoku Corp | 燃料電池 |
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