JP2008300155A - 環形蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】黒化の原因となる不純物がガラスバルブ内に残留することを抑制し、光束寿命を改善させた環形蛍光ランプおよびこの環形蛍光ランプを用いた照明装置を提供する
【解決手段】内部に放電媒体が封入され、管外径が15〜18mm、肉厚が最も厚い部分と最も薄い部分との比が0.8以上で環状に形成されたガラスバルブ2と;このガラスバルブ2の内面側に膜厚が0.2〜2.0μmとなるように形成された保護膜3と;この保護膜3の上面側に11〜20μmの膜厚で形成された蛍光体層4と;前記ガラスバルブ2に配設された一対の電極手段5、5‘と;を具備している。ガラスバルブ2の伸びが少ない環形蛍光ランプ1において蛍光体層4の膜厚を最適化したことによって、ガラスバルブ2内に残留する不純ガスが減少し光束の低下による寿命特性が改善される。
【選択図】図1
【解決手段】内部に放電媒体が封入され、管外径が15〜18mm、肉厚が最も厚い部分と最も薄い部分との比が0.8以上で環状に形成されたガラスバルブ2と;このガラスバルブ2の内面側に膜厚が0.2〜2.0μmとなるように形成された保護膜3と;この保護膜3の上面側に11〜20μmの膜厚で形成された蛍光体層4と;前記ガラスバルブ2に配設された一対の電極手段5、5‘と;を具備している。ガラスバルブ2の伸びが少ない環形蛍光ランプ1において蛍光体層4の膜厚を最適化したことによって、ガラスバルブ2内に残留する不純ガスが減少し光束の低下による寿命特性が改善される。
【選択図】図1
Description
本発明は、環形蛍光ランプおよびこの環形蛍光ランプを用いた照明装置に関する。
蛍光ランプは、一般に、ガラスバルブ内に封入された水銀蒸気を放電により励起させて紫外線を発生させ、この紫外線をガラスバルブの内面に塗布した蛍光体層によって可視光に変換してガラスバルブの外方に放射するものである。
近年、地球環境問題に対する関心が高まってきており、蛍光ランプの長寿命化による省資源化、水銀使用量の低減化が求められている。
蛍光ランプの点灯寿命は、電極の断線または電極に塗布された熱電子放射物質(エミッタ)の消耗に起因する不点による寿命と、ガラスバルブや蛍光体の表面の着色や黒化、または蛍光体そのものの経時劣化による発光効率の低下などに起因する光束の低下による寿命の2つの区分に大きく分けられる。
このうち、光束の低下による寿命はガラスバルブの着色や黒化が大きく影響している。ガラスバルブの着色や黒化の原因としては、蛍光ランプに封入されている水銀とガラスバルブ中のアルカリ成分との反応によるアマルガムの生成、蛍光ランプに封入された不純ガスと水銀との反応による酸化水銀の生成、水銀のガラスバルブ内への浸透、または紫外線によるソラリゼーションなどの現象が関係していると考えられている。これらの現象は、蛍光ランプの点灯時間の経過とともに進行するが、この進行具合が早いとガラスバルブの着色や黒化が激しくなり、蛍光ランプの光束が早期に低下する。そこで、ガラスバルブの内面と蛍光体層との間に、主として金属酸化物微粒子を主成分とする保護膜を形成することが一般的に行われている。このような保護膜を設けることにより、ガラスバルブと水銀との反応が抑制され、ガラスバルブの着色または黒化が発生しにくくなり、早期に光束が低下することを抑制することが可能になる。また、この保護膜を形成することにより、蛍光ランプ点灯中に水銀が他の物質と反応する割合が低下するので、水銀の消耗量が減少するという効果も発揮することになり、封入水銀を最低限の量に削減することも可能となる。
ところで、保護膜は厚く形成するほど水銀と他の物質との反応を抑制することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−113856号公報
しかしながら、保護膜の膜厚を厚くすると不純ガスの増加に伴い逆に光束維持率を低下させる恐れがある。また、環形蛍光ランプにおいては、曲成加工時に保護膜及び保護膜上に形成した蛍光体層の膜剥がれにより外観不良や光束維持率低下が発生しやすくなる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、黒化の原因となる不純物がガラスバルブ内に残留することを抑制し、光束寿命を改善させた環形蛍光ランプおよびこの環形蛍光ランプを用いた照明装置を提供することを目的とする。
本発明の環形蛍光ランプは、内部に放電媒体が封入され、管外径が15〜18mm、肉厚が最も薄い部分と最も厚い部分との比が0.8以上で環状に形成されたガラスバルブと;このガラスバルブの内面側に膜厚が0.2〜2.0μmとなるように形成された保護膜と;この保護膜の上面側に11〜20μmの膜厚で形成された蛍光体層と;前記ガラスバルブに配設された一対の電極手段と;を具備していることを特徴とする。
一対の電極手段は、フィラメントコイルを用いた熱陰極形の電極であってもよいし、冷陰極形の電極であってもよい。要するにガラスバルブ内に放電を生起させるものであればよいので、例えば外部電極であっても差し支えない。
なお、ランプを高出力点灯させる必要がある場合には、熱陰極形の電極にトリプルコイルを用いることが好ましい。電極手段は、リードワイヤによって支持され、このワイヤはフレアステム、ボタンステム、ビードステム、ピンチシール部などによって封装支持される。このステムなどには排気用または水銀合金収納用の細管が取付けられていてもよい。
また、本発明は一般の蛍光ランプに限らず、バルブ内面に透明導電体膜を設けこの導電体膜の気密空間側表面に保護膜および蛍光体層を形成したラピッドスタート形の蛍光ランプにも適用できる。
ガラスバルブは、ソーダライムガラスや鉛ガラスなどの軟質ガラスで形成されるが、ほうケイ酸ガラスや石英ガラスなどの硬質ガラス製であってもよい。バルブの肉厚は0.8〜1.3mm程度が望ましいがこれに限定されない。
ガラスバルブの管外径は、15〜18mmの範囲内である。なお、ガラスバルブを曲成加工するとき、若干管外径が小さくなって部分的に上記範囲から外れることが考えられるが、本発明の場合、その大部分が上記範囲内であればよい。
蛍光ランプは一般的にその管径を小さくすればランプ効率が向上することが知られている。従来の環形蛍光ランプのランプ効率を10%以上向上させるためには、管外径を65%以下に小さくする必要があることが実験によって確かめられた。すなわち、肉厚が約1mm程度のガラスバルブでは、管外径が18mm以下であればよい。また、この大きさによれば、環形蛍光ランプとしての薄形化も十分満足できることが視覚的に確かめられた。
管外径を15mm未満とすると、ランプ効率は数値的に満足できても、従来の環形蛍光ランプと同等の光出力が得られないので実用的ではなく、かつ、ガラスバルブを環状に曲成加工することが極めて困難になる。
本発明のガラスバルブは、肉厚が最も厚い部分と最も薄い部分との肉厚比が0.8以上、好ましくは0.85以上で環状に形成されている。
肉厚比が0.8以下になると、保護膜に剥がれや亀裂が発生しやすくなり厚膜化することが難しい。
バルブ内に封入される希ガスには、アルゴン、ネオンまたはクリプトンなどが含まれる。
バルブ内面に塗布される蛍光体は、三波長発光形蛍光体、ハロ燐酸塩蛍光体など周知の蛍光体で構成可能であるが、発光効率の観点から三波長発光形蛍光体の使用が好ましい。
三波長発光形の蛍光体としては、450nm付近に発光ピーク波長を有する青系蛍光体としてBaMg2Al16O27:Eu2+、540nm付近に発光ピーク波長を有する緑系蛍光体として(La,Ce,Tb)PO4、610nm付近に発光ピーク波長を有する赤系蛍光体としてY2O3:Eu3+などが適用可能であるが、これらに限定されない。
バルブ内にはアマルガムが封入されていてもよい。アマルガムは、ガラスバルブの端部に封着されたステムまたはこのステムに配設された細管内などに収容される。アマルガムは溶融、機械的保持などの手段によってこれらいずれかの位置に固定または収納される。また、アマルガムはバルブ内を移動可能に収容されていてもよい。ガラスバルブ内にアマルガムを配設すると、周囲温度が比較的高くなっても最適な状態で環形蛍光ランプが点灯される。
アマルガムは、水銀と合金を作る物質であるビスマス(Bi)、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)等の中から選ばれた少なくとも1種と水銀との合金である。例えば、ビスマス−インジウム−水銀、ビスマス−インジウム−鉛−水銀、ビスマス−錫−水銀などが適用可能である。また、水銀蒸気圧制御を目的とせず、水銀の定量封入のために亜鉛−水銀などのアマルガムを同様に封入してもよい。アマルガムはペレット状、柱状、板状などどのような形状であってもよい。
また、本発明の環形蛍光ランプは、保護膜がPhysical Vapor Synthesis 法(以下、「PVS法」という。)によって生成されたSiO2微粒子を少なくとも50質量%以上含有していることを特徴とする。
PVS法とは、シリコンや金属等の原材料を熱エネルギーによって蒸気化し、酸素雰囲気下で酸化反応させて酸化物微粒子を生成する方法である。
SiO2微粒子を生成する方法としては、四塩化珪素、酸素、水素を同時に反応させてSiO2を製造する高温加水分解法が一般的であるが、この従来の製造方法は、製造されたSiO2微粒子にHCl(塩化水素)がわずかながら含まれる。これに対し、PVS法によって製造されるSiO2微粒子は製造の性質上HClを含まない。また、SiO2微粒子を分散したスラリー(懸濁液)は、SiO2微粒子中のHClの含有量が多いほどスラリーは酸性を示す傾向があり、HClの含有量とスラリーのpHには関連性が認められる。SiO2の等電点はpH2〜3と低いため、SiO2微粒子のスラリーが強い酸性を示す場合にはSiO2微粒子の凝集が起こりやすく、スラリーの分散性が悪くなるので保護膜を緻密な被膜に形成することが難しくなる。また、HClは水銀と反応して、ガラスバルブの黒化原因となる可能性がある。したがって、SiO2微粒子中のHCl濃度は低い方が好ましい。
また、PVS法によって製造されたSiO2微粒子は赤外分光法による波数2500〜3800cm−1の範囲内における水酸基吸収帯の吸光度スペルトルの積算値が100℃のときを1とした場合に、同600℃で0.3以下となる。
本発明者らは、保護膜に使用される金属酸化物粒子の粒子表面を覆う水酸基に注目し、この水酸基を所定温度に加熱した場合に水酸基が離脱しやすい金属酸化物微粒子を選定することを検討した。その結果、所定温度に加熱したときに表面に付着している水酸基を一定量離脱することが可能な保護膜を形成することによって、蛍光ランプ内に残留する水酸基を減らして、酸化水銀の発生を抑制し、光束の低下による寿命を改善する方法を見出した。
なお、赤外分光法に基づく測定は、フーリエ変換赤外分光装置(以下「FT-IR」と呼ぶ)を用いて行うことができる。測定原理は、FT-IR本体から連続的に波数が変化する赤外線を放射し、所定の試料に透過させ透過後の赤外線を測定、分析することによって、波数−吸光度のスペクトルを得るものである。分析する吸光度スペクトルは波数2500〜3800cm−1の範囲内である。この波数の範囲が水酸基吸収帯を示しており、この波数帯域の吸光度が大きいほど水酸基の付着量が多いことになる。実験は、試料の温度を常温から約700℃まで変化させながら、真空雰囲気で測定した。
100℃の積算値とは、試料を100℃に保ち、かつ400Pa程度の真空雰囲気で赤外分光測定を行ったときに得られる波数−吸光度スペクトルを波数2500〜3800cm−1の範囲で積分することによって得られる積分値のことをいう。さらに真空度を保ちながら試料の温度を600℃まで上昇させて安定状態となったとき、同様に求めた積分値を600℃の積算値とする。ただし測定に用いられる試料は、赤外分光装置に設置する前に一度常温の大気中に暴露し、水酸基が吸着されたものを使用する。
図8は、PVS法で生成されたSiO2微粒子、比較例1のSiO2微粒子および比較例2のAl2O3微粒子の温度を変化させながら、赤外吸収スペクトルを測定した図である。測定は、試料を温度可変で400Pa程度の真空雰囲気下において透過型FT-IRで行った。グラフの縦軸は、試料に入射した光に対する吸光度、横軸は波数をそれぞれ示している。
図8(1)〜(3)の各グラフにおいて、波数2500〜3800cm−1の範囲に見られる比較的広いピークは水酸基の吸収帯である。なお、吸光度は単位質量当たりの吸光度が同じであれば密度と試料の厚みの積に比例する。図8(1)〜(3)の各グラフによれば、温度を上げていくとそれぞれ吸着した水酸基が脱水されていくことがわかる。図8(1)、(2)のスペクトルで、波数3740cm−1に鋭いピークが見られるがこれは孤立水酸基による赤外線吸収ピークであり、測定温度700℃程度でも脱水されないことがわかる。また、図8(1)では400〜500℃で孤立水酸基以外の水酸基がほとんど脱水されているのに対し、図8(2)では、孤立水酸基以外の水酸基がかなり吸着している。この結果から、従来の排気温度である450〜480℃まで温度上昇させるとSiO2微粒子(PVS法)はSiO2微粒子(比較例1)に比べ、吸着している水酸基の量が少ないと考えられる。
この結果から、比較例1の光束維持率が本実施形態よりも低いのは、高温加熱しても脱水できずに残留していた水酸基が多いほど微粒子表面で化合物を多く生成するか何らかの原因で除々にH2Oとして脱離し、ランプ製造後にバルブ内へ放出されていくためと推定できる。
また、保護膜を構成しているSiO2微粒子のカーボン含有率が質量比で0.09%〜0.3%であることが好ましい。
図9に示すようにPVS法で生成されたSiO2微粒子は、カーボン含有率が0.09%〜0.28%であれば700℃での積算値が0.15以下になる。なお、カーボン含有率が0.09%未満になると比較例1のSiO2微粒子に比べ水酸基の吸着が多くなり光束維持率の向上が望めない。一方、カーボンの含有率が0.3%以上になると、保護膜としてランプに適用したときに、カーボンの析出や透過率の低下が起こるため好ましくない。また、カーボン含有率が0.09%〜0.28%のSiO2微粒子を保護膜に用いた蛍光ランプは、カーボン含有率が0.09%未満のSiO2微粒子を保護膜に用いた蛍光ランプに比べ光束維持率が向上する傾向があることが確認された。
さらに、保護膜を構成しているSiO2微粒子の700℃におけるレーザーラマン分光法によるスペクトルが、波数590〜610cm−1および490〜500cm−1にピークを持つことが好ましい。
レーザーラマン分光法とは、単色のレーザー光が試料を通過するときに、レーザー光と試料の分子とが相互作用を生じてラマン散乱した光を測定する方法である。ラマン散乱光は分子の吸収帯の振動モードを選択的に観測できるため、一般的に構造の解析に用いられる。測定は、SiO2微粒子を圧縮成形し常温と真空雰囲気で700℃に加熱した試料を用い、レーザー光の波長は633nmおよび758nmを用いて行うことができる。
このような特徴を有していればPVS法によって製造されたSiO2微粒子と同等の効果を有すると考えられる。
本発明の環形蛍光ランプは、保護膜が形成された後に750℃以上で曲成加工して環形に形成されたことを特徴とする。
本発明の蛍光ランプの製造時の排気工程において、ガラスバルブを高温にするほど、ガラスバルブ内壁に付着した不純ガスが取り除かれるため排気後のガラスバルブ内に残留する不純ガスの量が減少する。このため、保護膜が形成された後に少なくとも750℃以上で曲成加工することが好ましい。
本発明の環形蛍光ランプは、蛍光体層には、保護膜に使用されているSiO2微粒子が結着剤として使用されていることを特徴とする。
本発明の照明装置は、上記本発明の蛍光ランプと、この蛍光ランプが取付けられた照明装置本体と蛍光ランプを点灯させる点灯装置とを具備していることを特徴とする。
本発明の環形蛍光ランプによれば、ガラスバルブの伸びが少ない環形蛍光ランプにおいて蛍光体層の膜厚を最適化したことによって、光束の低下による寿命特性が改善される。
また、本発明の環形蛍光ランプによれば、PVS法によって製造されたSiO2微粒子を保護膜に使用することによって、保護膜の厚膜化を可能とするとともにバルブ内に残留する水酸基を減少させ光束維持率を向上させることができる。
また、本発明の環形蛍光ランプによれば、保護膜が形成された後に750℃以上で曲成加工して環形に形成するのでPVS法によって製造されたSiO2微粒子から水酸基を確実に脱離させることができる。
さらに、蛍光体層の結着剤に保護膜を構成するSiO2微粒子を用いると、結着剤がCO、CO2を吸着しにくいので、結着剤にAl2O3微粒子を使用した場合に比べて、光束の低下が少なくなり光束維持率が一層改善される。
また、本発明の照明装置によれば、上記環形蛍光ランプの作用を有する照明装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示し、図1は環形蛍光ランプの正面図、図2は図1のバルブ軸に対して直交する面で切断したときの断面図、図3は図1の要部拡大断面図である。
図1ないし3において、1は環形蛍光ランプで、環状のガラスバルブ2を有し、このガラスバルブ2内には希ガスおよび水銀からなる放電媒体が封入されるとともに、ガラスバルブ2の内壁面にはSiO2微粒子からなる保護膜3および三波長発光形の蛍光体からなる蛍光体層4が形成され、ガラスバルブ2の両端2a,2aには一対の電極手段としてのフィラメント電極5、5'が配設され、ガラスバルブ2の両端2a,2a間に跨って口金6が配設されている。
口金6には、電極に電気的に接続された4本の口金ピン7が、ランプ中心側に傾いて突設されている。口金ピン7は、4本で矩形をなすように口金6に配設されている。
一対のフィラメント電極のうち、一方のフィラメント電極5は、ガラスバルブ端部2aから距離H1の位置に配設されるようにフレアステム8がバルブ軸にそって直線状に延在している。
一対のフィラメント電極5,5'は、フレアステム8,8'にそれぞれ一対が封着支持されたリード線9,9'に継線されている。このフレアステム8,8'がガラスバルブ2の両端2a,2aにそれぞれ封着されることで一対のフィラメント電極5,5'がガラスバルブ2内に封着される。
他方のフィラメント電極5'は、ガラスバルブ端部2aからの距離H2がH1よりも小さい位置に配設されている。なお、フレアステム8,8'には細管8a,8a'が配設されており、フレアステム8に配設された細管8aを通じてガラスバルブ内が排気され、水銀および希ガスが封入される。
このように、一方のフィラメント電極3の距離H1に対し、他方のフィラメント電極5'の距離H2をこれよりも短くすることで、一方のフィラメント電極5側のガラスバルブ端部2a近傍に所望温度の最冷部が形成されるため、高い周囲温度領域においても効率よく点灯することが可能となる。
本実施形態の環形蛍光ランプ1は、管外径dが15〜18mm、肉厚が0.7〜1.3mm、外周側の肉厚比が0.8以上で形成されている。また、ガラスバルブ2は熱膨張係数αが90〜100のソーダライムガラス製である。
次に、本発明の作用について説明する。
図4は、ガラスバルブを曲成加工したときの端部からの距離を横軸に、肉厚比を縦軸にプロットしたグラフである。ここで肉厚比とは、ガラスバルブ2の外周側の最も厚い部分と最も薄い部分の肉厚の比である。
(実施例1)は管外径が16.5mm、肉厚が1.0mm、管長600mmの素管を曲成加工して環外径約225mm、環内径約192mmに形成した環形蛍光ランプであり、(比較例1)は管外径が29mm、肉厚が1.0mm、管長525mmの素管を曲成加工して環外径約225mm、環内径約167mmに形成した一般形の環形蛍光ランプについて調べたものである。
図からわかるように(実施例1)および(比較例1)を比較すると、管外径が小さい(実施例1)の方が肉厚比が大きく、つまり、管外径が小さい方がより均一に全体が伸びている事を示している。
環形蛍光ランプは、通常加熱して軟化した直管状の素管の一方を保持するとともに、他方から一方側に向かってドラムチャックに巻き付けていくことによって形成される。
このとき環状バルブの内側と外側との長さの差を吸収するため、内側と外側で肉厚に差が生じる。つまり、環状バルブの外側の肉厚は直管時の肉厚に比べて薄くなる。さらに、詳しく調べていくと外側の肉厚分布は管外径が小さくなると、最も肉厚が大きい部分と最も肉厚が小さい部分との肉厚比が小さくなり、管外径が大きくなるとこの比が大きくなることが分かった。
以下の表1に実施例1として管外径15〜18mmで肉厚比が0.8以上の環形蛍光ランプおよび比較例1として管外径27〜32mmで肉厚比が0.8未満の環形蛍光ランプに比表面積(BET値)が60〜180m2/g、好ましくは90〜160m2/g、平均一次粒径13〜30nm のSiO2微粒子を保護膜として塗布したときの膜厚と膜剥がれおよび光束維持率の関係を示す。
表の光束維持率で×としたものは、15000時間点灯後の光束維持率が70%以下のものであり、△は15000時間点灯後の光束維持率が70〜75%、○は15000時間点灯後の光束維持率が75%以上のものである。
保護膜が0.1μmでは実施例1および比較例1ともに光束維持率は×であり、保護膜が0.2μmでは両者△であった。
実施例1における保護膜1.8μm以上および比較例1における保護膜1.0μm以上で光束維持率が低下しているのは保護膜の剥がれによる影響と考えられる。
また、保護膜の剥がれに関しては、○良好、△やや不良、×不良とし、外観を視認することによって判断した。
実施例1では、0.1〜1.5μmまで○、1.6〜2.0μmまでが△となった。比較例1においては保護膜が0.1〜0.3μmまで○、0.4〜0.8μmまでが△、0.8以上で×となった。
上記の結果から実施例1は比較例1の環形蛍光ランプに比べて保護膜を厚膜化しても膜剥がれが発生し難く、光束維持率の低下もそれほどみられない。
つまり、肉厚比0.8以上のバルブに形成する保護膜の膜厚は0.2〜2.0μm、好ましくは0.3〜1.5μmが望ましい。
このように肉厚比は、保護膜の膜剥がれに影響しており肉厚比を0.8以上にすることによって保護膜に剥がれを発生させることなく厚膜化することができる。
つまり、直管状バルブの場合はバルブ内に残留する不純ガスによる光束維持率の低下が起こるまで膜厚を厚くすることができるが、環状バルブを使用した蛍光ランプの場合膜剥がれの影響が大きくなり、厚膜化が困難であった。
これに対して、肉厚比が0.8以上となるようにバルブを加工することによって保護膜の厚膜化を可能とすることができる。
肉厚比を上げる方法としては、管外径を小さくする他に封止長を長くし、環形に形成したときの環外周の長さを封止長に対して相対的に短くすることによっても可能である。
ここで封止長とは、曲成加工前の素管においてステムが溶着される両端部間の長さである。
例えば、上記実施例1では封止長600mm(管長)の素管を曲成加工により、環外径約225mm、環内径約192mmに形成すると環外周の長さが650mmになる。また、比較例1では、封止長525mmの素管を曲成加工により、環外径約225mm、環内径約167mmに形成すると環外周の長さが600mmになる。
表2において、実施例2〜4は保護膜にSiO2微粒子を用い、蛍光体層の膜厚を変化させたものであり、その他の条件はそれぞれ同じである。
図5は、表1で示した実施例2〜4の初期光束値と蛍光体層の膜厚の関係を示したグラフ、図6は表1で示した実施例2〜4の15000時間点灯後の光束維持率と蛍光体層の関係を示したグラフである。いずれも実施例4の初期全光束を100%としたときの比で示している。
図6からわかるように、蛍光体層の膜厚を11〜20μmにすることによって、光束維持率が向上する。従来から蛍光体層を厚くするほど初期光束が上がる傾向があることが知られており、このため蛍光体層は可能な限り厚く形成していた。例えば、管外径15〜18mmの環形蛍光ランプでは蛍光体層を20〜30μmで形成するのが一般的である。
しかしながら、管外径が15〜18mm、肉厚比が0.8以上の環形バルブにおいては、蛍光体層を薄くすることによって光束維持率が向上することが分かってきた。
この原因については、まだ詳しく解明されていないが以下のように考えることができる。
バルブの構成を上記のような条件にすることによって保護膜の厚膜化が可能となり、バルブから析出するNaと水銀の反応を十分に抑制することができる。このような条件下において光束維持率は主に蛍光体層による残留不純ガスの影響が大きくなる。さらに、保護膜を厚膜化したことによって、保護膜と蛍光体層との間に水銀がたまりやすくなっている。保護膜と蛍光体層との間にたまった水銀は、放電空間の水銀から放射される紫外線が照射されると拡散しバルブの黒化に起因する水銀が減少すると考えられる。このため、蛍光体層を薄くすることによって、光束維持率が向上すると考えられる。
ただし、図5に示すように蛍光体層の膜厚は10μm以下にすると初期光束が低くなり、20μmよりも厚くすると光束維持率が低下するため11〜20μm、好ましくは12〜 17μmが望ましい。
なお、保護膜をSiO2微粒子で形成するとAl2O3微粒子に比べて厚膜化しても被膜の剥がれ等が発生し難くなるとともに、保護膜に吸着した水酸基が脱離しやすくなるため、光束維持率が向上する。さらに、蛍光体層の膜厚を薄くすることによって得られる効果がより顕著になり光束維持率の向上につながると考えられる。
ここで、SiO2微粒子として、例えば、カーボン含有率が0.09%〜0.28%含有したものや700℃におけるレーザーラマン分光法によるスペクトルが、波数590〜610cm−1および490〜500cm−1にピークを持つものを使用することができる。
図6は、天井直付形の照明器具Lを示す断面図である。11は器具本体で、この器具本体11は、外観が円形でかつ薄形に形成されている。器具本体11の中央には内部に収納空間を有する収納部13が形成され、この収納部13内にインバータ点灯回路からなる高周波点灯装置14が配設されている。収納部13の周囲には、環形蛍光ランプ1,10が同心円状に配設されている。なお、器具本体11には、2本の各環形蛍光ランプ1,10の給電、保持を行う図示しないソケットホルダが配設されている。
器具本体11は、天井面などに設置されている引掛シーリング等に接続されるアダプタ(図示しない)を介して、器具本体11が天井面などに支持されるとともに、器具本体11側と引掛シーリング側とが電気的に接続される。
また、器具本体11には、器具本体11の下方および側方を覆ってセード15が取着される。このセード15は、透光性を有する乳白色材にて、下方へ大きな円弧面でなだらかに突出する薄形状に形成されており、周縁部には器具本体11に取付けられる図示しない取付部が形成されている。
環形蛍光ランプ1,10の点灯時には、環形蛍光ランプ1,10から発せられた光がセード15を透光して照明される。
環形蛍光ランプ1,10の点灯時には、環形蛍光ランプ1,10から発せられた光がセード15を透光して照明される。
1・・・環形蛍光ランプ
2・・・ガラスバルブ
3・・・保護膜
4・・・蛍光体層
5・・・電極手段
10・・環形蛍光ランプ
14・・点灯装置
L・・・照明装置
2・・・ガラスバルブ
3・・・保護膜
4・・・蛍光体層
5・・・電極手段
10・・環形蛍光ランプ
14・・点灯装置
L・・・照明装置
Claims (5)
- 内部に放電媒体が封入され、管外径が15〜18mm、肉厚が最も厚い部分と最も薄い部分との比が0.8以上で環状に形成されたガラスバルブと;
このガラスバルブの内面側に膜厚が0.2〜2.0μmとなるように形成された保護膜と;
この保護膜の上面側に11〜20μmの膜厚で形成された蛍光体層と;
前記ガラスバルブに配設された一対の電極手段と;
を具備していることを特徴とする環形蛍光ランプ。 - 前記保護膜は、Physical Vapor Synthesis 法によって生成されたSiO2微粒子を少なくとも50質量%以上含有していることを特徴とする請求項1に記載の環形蛍光ランプ。
- 前記ガラスバルブは、保護膜が形成された後に750℃以上で曲成加工して環形に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の環形蛍光ランプ。
- 前記蛍光体層には、前記保護膜に使用されているSiO2微粒子が結着剤として使用されていることを特徴とする請求項2または3に記載の環形蛍光ランプ。
- 請求項1ないし4のいずれか一記載の環形蛍光ランプと;
この蛍光ランプが取付けられた照明装置本体と;
前記環形蛍光ランプを点灯させる点灯装置と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144234A JP2008300155A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | 環形蛍光ランプおよび照明装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144234A JP2008300155A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | 環形蛍光ランプおよび照明装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008300155A true JP2008300155A (ja) | 2008-12-11 |
Family
ID=40173482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007144234A Pending JP2008300155A (ja) | 2007-05-30 | 2007-05-30 | 環形蛍光ランプおよび照明装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008300155A (ja) |
-
2007
- 2007-05-30 JP JP2007144234A patent/JP2008300155A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20081225 |