JP2008297914A - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることのできるエンジンの燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】燃料噴射開始前のエンジンのクランキング回転速度に基づいて、低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されていることを確認するとともに、そうした低粘度オイルの使用が確認されたときには、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させるようにした。そしてこれにより、低粘度オイルが使用されている場合にも、低温始動時の始動時間を十分に確保して、燃焼室周りを始動中に十分に暖められるようにした。
【選択図】図5
【解決手段】燃料噴射開始前のエンジンのクランキング回転速度に基づいて、低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されていることを確認するとともに、そうした低粘度オイルの使用が確認されたときには、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させるようにした。そしてこれにより、低粘度オイルが使用されている場合にも、低温始動時の始動時間を十分に確保して、燃焼室周りを始動中に十分に暖められるようにした。
【選択図】図5
Description
本発明は、低温始動時に始動時噴射量を増大させるエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
エンジンの低温始動時には、熱収縮によるクリアランスの縮小や潤滑油の粘度増加により、摺動部のフリクションが増加するため、始動性が悪化するようになる。また吸気や燃焼室の温度が低いため、燃焼室内での燃料の着火性が悪化するようにもなる。そのため、多くのエンジンでは、低温始動時に燃料噴射量を増大させることで、こうした低温時の始動性、着火性の悪化に対応するようにしている。なお特許文献1には、低温時の自動変速機のフリクションの増加を考慮して、自動変速機のライン圧に応じて始動時噴射量を補正するものが提案されている。
一方、特許文献2には、エンジンの各摺動部に潤滑用のオイルが行き渡るのに必要十分な時間として始動時間の目標値を設定し、実際の始動時間がその目標とする始動時間に近づくように燃料噴射時期を調整するものが記載されている。具体的には、始動時間が長くなり過ぎるときには、燃料噴射時期を進角して始動を早め、始動時間が短くなり過ぎるときには、燃料噴射時期を遅角して始動を遅せるようにしている。
特開2000−018058号公報
特開2006−169999号公報
ところで、極低温始動時においても、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されている場合には、フリクションの増加が少ないことから、上述した始動時噴射量の増大により、想定よりも早く始動が完了してしまうことがある。ここで上述した特許文献2の技術思想に鑑みれば、こうした状況では、低温であってもオイルの粘度増加は少なく、各摺動部に速やかに行き渡すことができるため、始動時間が短くなっても問題はないことになる。ところが、こうした状況では、始動時間の短縮により始動中の燃焼室の受熱量が低減してしまうため、燃焼室周りが十分に暖まらない内に始動が完了してしまうようになる。こうした場合、極低温下での吸気温度の低さも相俟って、失火が発生するなど、始動完了後の燃焼状態が不安定となってしまうようになり、エンジン回転速度の変動や白煙の発生などの不具合が発生するようになる。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることのできるエンジンの燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、低温始動時に始動時噴射量を増大させるエンジンの燃料噴射制御装置において、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されているときには、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させることをその要旨とするものである。
請求項1に記載の発明は、低温始動時に始動時噴射量を増大させるエンジンの燃料噴射制御装置において、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されているときには、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させることをその要旨とするものである。
上記構成では、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されているときには、低温始動時における始動時噴射量の増大度合いが低下されるようになる。すなわち、低粘度オイルの使用時には、そうでないときに比して、低温始動時における始動時噴射量をより少なくするようにしている。こうして始動時噴射量を少なくすれば、その分、始動時間を長くすることができる。そのため、低粘度オイルが使用されている場合にも、低温始動時の始動時間を十分に確保して、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることができるようになる。したがって上記構成によれば、使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、エンジンのクランキング回転速度に基づいて行うことをその要旨とするものである。
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、前記クランキング回転速度が高いときほど、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させることをその要旨とするものである。
始動開始後には、一定の期間、燃料噴射を行なわない時期が存在することがある。例えば、コモンレール式のディーゼルエンジンでは、燃料蓄圧配管(いわゆるコモンレール)に蓄えられた燃料の圧力、いわゆるレール圧が十分に高まるまで、燃料噴射は行われないようになっている。こうした燃料噴射の行われない期間、すなわち始動開始から燃料噴射の開始までの期間は、スタータの出力のみでエンジンが回転されている。こうした期間のエンジン回転速度、いわゆるクランキング回転速度は、エンジンのフリクションが低ければ高くなり、フリクションが高ければ低くなる。よって低温時の粘度増加の少ないエンジンオイルの使用の有無を、低温始動時におけるクランキング回転速度の高低によって確認することができる。
この場合、クランキング回転速度が高いときほど、低温時の粘度増加のより少ないエンジンオイルが使用されており、低温下での始動時間がより短くなると推定することができる。よって、クランキング回転速度が高いときほど、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させるようにすると良い。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて行うことをその要旨とするものである。
また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のエンジンの燃料噴射制御装置において、前記始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させることをその要旨とするものである。
上記のような低粘度オイルが使用されている場合には、低温始動時にあっても、始動中のエンジン回転速度が速やかに上昇するようになる。よって、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されていることを、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて確認することができるようになる。
この場合、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温時の粘度増加のより少ないエンジンオイルが使用されており、低温下での始動時間がより短くなると推定することができる。よって、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させるようにすると良い。
(第1の実施の形態)
以下、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態を、図1〜図5を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、コモンレール式の燃料噴射システムを備えたディーゼルエンジンに、本発明を適用したものとなっている。
以下、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態を、図1〜図5を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、コモンレール式の燃料噴射システムを備えたディーゼルエンジンに、本発明を適用したものとなっている。
図1に、こうしたディーゼルエンジンの燃料噴射システムの構成を模式的に示す。同図に示すように、コモンレール式燃料噴射システムは、サプライポンプ11、コモンレール12、インジェクタ13及び電子制御ユニット20を備えて構成されている。サプライポンプ11は、エンジンの出力軸であるクランクシャフト14の回転により作動して、燃料タンク10の燃料を加圧して燃料蓄圧容器であるコモンレール12に送り出す。そしてサプライポンプ11により作られた高圧燃料がコモンレール12を通じて、エンジンの各気筒にそれぞれ設置されたインジェクタ13(同図ではそのうちの1つのみを表示)に分配供給されるようになっている。そして各インジェクタ13による燃料の噴射時期や噴射量を電子制御ユニット20により制御することで、エンジンの運転状態に応じた緻密な燃料噴射制御を行うことができるようになっている。
電子制御ユニット20には、エンジン運転状態を検出する各種のセンサ、例えばレール圧センサ21、回転速度センサ22、水温センサ23などが接続されている。レール圧センサ21は、コモンレール12に蓄圧された燃料の圧力、いわゆるレール圧を検出し、回転速度センサ22は、エンジン回転速度NEを検出する。また水温センサ23は、エンジン温度の指標値となる冷却水温度THWを検出するセンサとなっている。なお電子制御ユニット20には、イグニッションスイッチ24が接続されてもいる。
こうしたコモンレール式の燃料噴射システムを備えるディーゼルエンジンでは、その始動時に、電動モータであるスタータ15がクランクシャフト14に連結(クランキング)される。そしてスタータ15の出力でクランクシャフト14を回転させながら、エンジン始動が行われるようになっている。
さて、こうした燃料噴射システムでは、電子制御ユニット20は、エンジン始動中の燃料噴射量(始動時噴射量Qst)を、図2に例示するような算出マップを用いて、エンジン回転速度NEとエンジンの冷却水温度THWとに基づいて算出するようにしている。同図に示すように、始動時噴射量Qstは、エンジン回転速度NEが低いほど増大されるようになっている。また低温始動時には、エンジンオイルの粘度増加などによりエンジンフリクションが増大するため、冷却水温度THWが低いときほど、始動時噴射量Qstを増大させてもいる。
ところで上述したように、低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されている場合には、低温時にもフリクションがあまり大きくならないため、想定よりも早く始動が完了してしまうようになる。こうして低温始動の期間が短くなると、始動中の燃焼室の受熱量が低減して、燃焼室周りが十分に暖まらない内に始動が完了してしまうようになる。そして、吸気温度の低さも相俟って、失火が発生するなど、始動完了後の燃焼状態が不安定となってしまい、エンジン回転速度の変動や白煙の発生などの不具合が発生するようになる。
そこで本実施の形態では、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されているときには、低温始動時の始動時噴射量Qstの増大の度合いを低下させて、始動時間を長くすることで、始動完了迄に燃焼室周りを十分に暖めておくことができるようにしている。
ここでは、上記のような低粘度オイルの使用の有無を、エンジンの燃焼が開始されておらず、スタータ15の出力のみでクランクシャフト14が回転されているときのエンジン回転速度、いわゆるクランキング回転速度に基づいて確認するようにしている。こうしたクランキング回転速度の検出は、次の態様で行なわれる。
図3は、低温始動時のエンジン回転速度及びレール圧の推移を示している。時刻t1において、スタータ15の動作が開始されると、その動力によりクランクシャフト14が回転されるようになる。またそうしたクランクシャフト14の回転によりサプライポンプ11が動作されて、レール圧が高められるようにもなる。ただし極低温時には、フリクションの増加によってサプライポンプ11の動作が制限されるため、レール圧が燃料噴射の可能な圧力(噴射開始圧)となるまでには時間が掛るようになる。そのため、極低温時には、始動開始後にクランクシャフト14がスタータ15の出力のみで回転されている期間(t1〜t2)が存在するようになる。そこで、レール圧が噴射開始圧に到達して燃料噴射が開始される迄のエンジン回転速度を見ることで、上記のようなクランキング回転速度を検出することができる。
ここで、スタータ15の出力は一定であるため、低温始動時のクランキング回転速度の高低は、エンジンフリクションの大小を、ひいては使用されるエンジンオイルの極低温時の粘度の高低を反映することになる。具体的には、低温始動時のクランキング回転速度が高ければ、低温時にあってもエンジンフリクションは小さく、低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されていると判断することができる。本実施の形態では、そうした低温始動時のクランキング回転速度より、始動時噴射量Qstの補正係数kを求め、その補正係数kにより、図2に例示した算出マップを用いてエンジン回転速度NEと冷却水温度THWとから算出された始動時噴射量Qstを補正するようにしている。
図4は、そうした補正係数kの算出マップの一例を示している。ここでは、図2の算出マップにより算出された始動時噴射量Qstの値(マップ値)に、ここで算出される補正係数kを乗算することで、最終的な始動時噴射量Qstを算出するようにしている。そのため、補正係数kに「1」よりも小さい値が設定されれば、始動時噴射量Qstが減量補正されることになる。
同図に示されるように、この算出マップでは、冷却水温度THWが「−15℃」及び「−25℃」のときには、クランキング回転速度がある程度よりも高いときに補正係数kが「1」よりも小さい値に設定されるようになっている。具体的には、冷却水温度THWが「−15℃」のときには、クランキング回転速度が「180rpm」以上のときに、「−25℃」のときには、クランキング回転速度が「140rpm」以上のときに、それぞれ補正係数kが「1」よりも小さい値に設定されるようになっている。そしていずれの冷却水温度THWにおいても、クランキング回転速度がそれよりも高くなるにつれ、補正係数kがより小さい値に設定されるようになっている。
なお、この補正係数kの算出マップでは、冷却水温度THWが「−30℃」以下のときの補正係数kは、クランキング回転速度に拘らず、一律にその値が「1」に設定されるようになっている。すなわち、エンジンが極端な低温状態にあるときには、クランキング回転速度に基づく始動時噴射量Qstの減量補正は行わないようにしている。これは、極端な低温状態では、いかに低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルであっても、その粘度が増加してしまうこと、吸気や燃焼室の温度が低く過ぎて始動時噴射量Qstを減量補正すると燃料の着火性を確保することができないこと、による。
こうした補正係数kによる始動時噴射量Qstの補正によれば、クランキング回転速度が高く、低温下でのエンジンフリクションの増加が想定よりも少ないときには、低温始動時の始動時噴射量Qstが減量補正されるようになる。すなわち、クランキング回転速度が高いときには、そうでないときに比して、低温始動時における始動時噴射量Qstの増大度合いが低下されるようになる。
図5は、こうした本実施の形態において実行される「始動時噴射量算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、エンジンの始動期間、すなわちイグニッションスイッチ24がオンとされてから、エンジンが自立回転するようになるまでの期間において、電子制御ユニット20が定時割り込み処理として周期的に実行するものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット20はまずステップS501において、冷却水温度THWが「−15℃」以下であるか否かを確認する。ここで冷却水温度THWが「−15℃」以下であれば(S501:YES)、電子制御ユニット20は続くステップS502において、レール圧が上記噴射開始圧未満であるか否かを、すなわち燃料噴射が既に開始されているか否かを確認する。
ここでレール圧が噴射開始圧未満であれば(S502:YES)、電子制御ユニット20は、ステップS503,S504の処理を通じて、補正係数kを算出する。すなわち、電子制御ユニット20は、ステップS503において、現在のエンジン回転速度NEを読み込むとともに、続くステップS504においてその読み込んだエンジン回転速度NEに基づいて、図4の算出マップを用いて補正係数kを算出する。なお、このときには、燃料噴射は開始されておらず、クランクシャフト14がスタータ15の出力のみで回転されているため、このとき読み込まれるエンジン回転速度NEは、上述のクランキング回転速度となっている。こうした補正係数kの算出は、レール圧が噴射開始圧に到達して燃料噴射が開始されるまで繰り返し行なわれ、その都度、補正係数kの値が更新されるようになっている。よって最終的に補正係数kは、燃料噴射が開始される直前のエンジン回転速度NEに基づいて算出された値が設定されることになる。
こうして補正係数kを算出すると、電子制御ユニット20はステップS505において、図2の算出マップを用いてエンジン回転速度NE、冷却水温度THWから始動時噴射量Qstを算出する。そして電子制御ユニット20は続くステップS506において、ここで算出した始動時噴射量Qstを、ステップS504にて算出された補正係数kにより補正する。すなわち、算出マップより算出された始動時噴射量Qstの値に、補正係数kを乗算した値を最終的な始動時噴射量Qstとして設定する。
一方、冷却水温度THWが「−15℃」よりも高いとき(S501:NO)、或いはレール圧が噴射開始圧以上のとき(S502:NO)には、上記ステップS503,S504での補正係数kの算出に係る処理をスキップして、ステップS505での始動時噴射量Qstの算出が行われる。ちなみに、イグニッションスイッチ24がオンとされた時点で、補正係数kは、初期値としてその値が「1」に設定されている。よって、上記ステップS503,S504の処理が実行されて補正係数kの値が更新されなければ、クランキング回転速度による補正は行われず、図2の算出マップから算出された値が、そのまま始動時噴射量Qstに設定されることになる(例えば始動開始時の冷却水温度THWが「−15℃」よりも高いときなど)。
以上説明した本実施の形態のエンジンの燃料噴射制御装置によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態では、低温始動時に始動時噴射量Qstを増大させるエンジンの燃料噴射制御装置において、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されているときには、始動時噴射量Qstの増大度合いを低下させるようにしている。すなわち本実施の形態では、低粘度オイルの使用時には、そうでないときに比して、低温始動時における始動時噴射量Qstをより少なくして始動が行われるようになる。そしてこれにより、低粘度オイルが使用されている場合にも、低温始動時の始動時間は十分に確保され、燃焼室周りが始動中に十分に暖められるようになる。そのため、本実施の形態によれば、使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることができるようになる。
(1)本実施の形態では、低温始動時に始動時噴射量Qstを増大させるエンジンの燃料噴射制御装置において、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されているときには、始動時噴射量Qstの増大度合いを低下させるようにしている。すなわち本実施の形態では、低粘度オイルの使用時には、そうでないときに比して、低温始動時における始動時噴射量Qstをより少なくして始動が行われるようになる。そしてこれにより、低粘度オイルが使用されている場合にも、低温始動時の始動時間は十分に確保され、燃焼室周りが始動中に十分に暖められるようになる。そのため、本実施の形態によれば、使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることができるようになる。
(2)本実施の形態では、低温始動時の始動時噴射量Qstの増大度合いの低下を、燃料噴射開始前のエンジンのクランキング回転速度に基づいて行うようにしている。より詳しくは、クランキング回転速度が高いときほど、低温始動時の始動時噴射量Qstの増大度合いを大きく低下させるようにしている。始動開始直後の燃料噴射の行われない期間、すなわち始動開始から燃料噴射の開始までの期間には、スタータの出力のみでエンジンが回転されている。この期間のエンジン回転速度、いわゆるクランキング回転速度は、エンジンフリクションが低いほど高くなる。よって低温時の粘度増加の少ないエンジンオイルの使用の有無を、低温始動時におけるクランキング回転速度の高低によって確認することができる。また、この場合、クランキング回転速度が高いときほど、低温時の粘度増加のより少ないエンジンオイルが使用されており、低温下での始動時間がより短くなると推定することができる。そのため、十分な始動時間を確保するための低温始動時の始動時噴射量Qstの増大度合いの低下を的確に行うことができる。
(3)本実施の形態では、クランキング回転速度に基づくことで、低粘度オイルの使用の有無を燃料噴射の開始前に確認することができる。そのため、低温始動時における始動時噴射量Qstの増大度合いの低下を、燃料噴射の開始時から行なうことができるようになる。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置を具体化した第2実施の形態を、図6〜図8を併せ参照して、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
続いて、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置を具体化した第2実施の形態を、図6〜図8を併せ参照して、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
第1実施の形態では、クランキング回転速度に基づいて補正係数kを算出するようにしていた。一方、低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されていれば、低温時のエンジンフリクションの増加が少ないため、低温始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きくなる。そのため、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいても、低粘度オイルの使用の有無を確認することができる。そこで本実施の形態では、そうした始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて補正係数kの算出を行うようにしている。
こうした本実施形態における始動中のエンジン回転速度の上昇度合いの計測態様を、図6を参照して説明する。同図には、始動中のエンジン回転速度NEの推移が示されている。本実施形態では、エンジン回転速度NEが第1の基準回転速度γ1から「γ1+α」に上昇するまでの時間β1、及びエンジン回転速度NEが第2の基準回転速度γ2から「γ2+α」に上昇するまでの時間β2にそれぞれ基づいて、始動中にエンジン回転速度NEの上昇度合いの測定を2回行うようにしている。ここでは、第1の基準回転速度γ1を「300rpm」に、第2の基準回転速度γ2を「500rpm」に、既定値αを「100rpm」にそれぞれ設定して計測を行うようにしている。そして上記時間β1、β2の計測毎に、計測結果に基づく始動時噴射量Qstの補正係数kをそれぞれ算出するようにしている。
図7は、こうしたエンジン回転速度NEの上昇度合いの計測、及びその計測結果に基づく補正係数kの算出のための「補正係数算出ルーチン」のフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、始動開始時の冷却水温度THWが既定値(例えば「−15℃」)以下で、低温始動であると判断されるときに、電子制御ユニット20によって、スタータ15の動作開始時より開始される。
さてスタータ15が動作されて本ルーチンが開始されると、電子制御ユニット20は、ステップS701にてエンジン回転速度NEが上記第1の基準回転速度γ1まで上昇するのを待った後、ステップS702にて計時用のカウンタを作動させる。このカウンタは、その作動後、一定の周期毎にインクリメントされるようになっており、その値は、カウンタの作動からの経過時間を表わしている。
その後、電子制御ユニット20は、ステップS703にてエンジン回転速度NEが「γ1+α」となるのを待った後、ステップS704にて上記カウンタを停止させる。そして電子制御ユニット20は、ステップS705において、停止時のカウンタの値を取得し、ステップS706にて、その取得したカウンタ値から補正係数kを算出する。この補正係数kの算出は、図8に例示するような補正係数算出マップを用いて行われる。同図に示すように、補正係数kの値は、停止時のカウンタの値が小さいとき、すなわち始動中のエンジン回転速度NEの上昇度合い(上昇速度)が大きいときには、「1」よりも小さい値に設定されるようになっている。また停止時のカウンタの値が小さいときほど、補正係数kの値が小さくされている。ちなみに補正係数kは、イグニッションスイッチ24がオンされた時点では、初期値としてその値が「1」に設定されている。
さて、こうして補正係数kの算出を終えると、電子制御ユニット20は、ステップS707にて、エンジン回転速度NEが上記第2の基準回転速度γ2まで上昇するのを待つ。そしてエンジン回転速度NEが第2の基準回転速度γ2まで上昇すると、電子制御ユニット20はステップS708において、再びカウンタを作動させる。
カウンタの作動後、電子制御ユニット20は、ステップS709にてエンジン回転速度NEが「γ2+α」に上昇するのを待った後、ステップS710にてカウンタを停止させる。そして電子制御ユニット20は、ステップS711及びS712において、先程と同様に、停止時のカウンタの値に基づいて補正係数kを算出した後、本ルーチンの処理を終了する。
電子制御ユニット20は、以上のルーチンにより補正係数kが算出されると、図2に例示のような算出マップより算出された値にその補正係数kを乗算した値を、最終的な始動時噴射量Qstとして燃料噴射を実施する。したがって、低温始動にあってもエンジン回転速度NEの上昇度合いが大きく、低温時の粘度増加の少ない低粘度オイルが使用されていると判断されるときには、低温始動時における始動時噴射量Qstの増大度合いが低下されるようになる。
以上説明した本実施の形態のエンジンの燃料噴射制御装置によれば、上記(1)に記載の効果に加え、次の効果を奏することができる。
(4)本実施の形態では、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて行うようにしている。詳しくは、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させるようにしている。低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されている場合には、低温始動時にあっても、始動中のエンジン回転速度が速やかに上昇するようになる。よって、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されていることを、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて確認することができる。この場合、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温時の粘度増加のより少ないエンジンオイルが使用されており、低温下での始動時間がより短くなると推定することができる。そのため、本実施形態においても、十分な始動時間を確保するための低温始動時の始動時噴射量Qstの増大度合いの低下を的確に行うことができる。
(4)本実施の形態では、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて行うようにしている。詳しくは、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させるようにしている。低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルがエンジンオイルに使用されている場合には、低温始動時にあっても、始動中のエンジン回転速度が速やかに上昇するようになる。よって、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されていることを、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて確認することができる。この場合、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、低温時の粘度増加のより少ないエンジンオイルが使用されており、低温下での始動時間がより短くなると推定することができる。そのため、本実施形態においても、十分な始動時間を確保するための低温始動時の始動時噴射量Qstの増大度合いの低下を的確に行うことができる。
以上説明した各実施の形態は、次のように変更して実施することもできる。
・第2の実施の形態では、エンジン回転速度NEの上昇度合いの計測を、始動中に2回行うようにしていたが、時間的な余裕がある場合など、可能であれば、計測を始動中に3回以上行うようにしても良い。また時間的な余裕が無い場合などには、始動中に計測を1回だけ行うようにしても良い。
・第2の実施の形態では、エンジン回転速度NEの上昇度合いの計測を、始動中に2回行うようにしていたが、時間的な余裕がある場合など、可能であれば、計測を始動中に3回以上行うようにしても良い。また時間的な余裕が無い場合などには、始動中に計測を1回だけ行うようにしても良い。
・第2の実施の形態では、エンジン回転速度NEが既定値α上昇するのに要した時間β1、β2からエンジン回転速度NEの上昇度合いを求めていたが、規定時間におけるエンジン回転速度NEの上昇量からエンジン回転速度NEの上昇度合いを求めるようにすることもできる。
・上記各実施の形態では、低温下での粘度増加の少ない低粘度オイルの使用の有無を、クランキング回転速度、或いは始動中のエンジン回転速度NEの上昇度合いから確認するようにしていたが、その確認を他の方法で行うようにしても良い。そうした場合にも、エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されていることが確認されたときに、低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させるようにすれば、使用されるエンジンオイルの性状に拘らず、燃焼室周りを始動中に十分に暖めることができるようになる。
・上記各実施の形態では、コモンレール式の燃料噴射システムを採用するディーゼルエンジンに本発明を適用した場合を説明したが、本発明は、それ以外の燃料噴射システムを採用するディーゼルエンジン、或いはガソリンエンジンなどのディーゼル以外のエンジンにも適用することができる。
10…燃料タンク、11…サプライポンプ、12…コモンレール、13…インジェクタ、14…クランクシャフト、15…スタータ、20…電子制御ユニット、21…レール圧センサ、22…回転速度センサ、23…水温センサ、24…イグニッションスイッチ。
Claims (5)
- 低温始動時に始動時噴射量を増大させるエンジンの燃料噴射制御装置において、
エンジンオイルとして低温時の粘度増加の少ないオイルが使用されているときには、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを低下させる
ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、エンジンのクランキング回転速度に基づいて行う
請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記クランキング回転速度が高いときほど、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させる
請求項2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いの低下を、始動中のエンジン回転速度の上昇度合いに基づいて行う
請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記始動中のエンジン回転速度の上昇度合いが大きいときほど、前記低温始動時の始動時噴射量の増大度合いを大きく低下させる
請求項4に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2007
- 2007-05-29 JP JP2007141901A patent/JP2008297914A/ja active Pending
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