JP4196876B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの始動装置に関し、特にエンジンのアイドル運転状態等において所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後、所定の再始動条件が成立したときに再始動させるように構成されたエンジンの始動装置に関するものである。
近年、燃費低減およびCO2排出量の抑制等を図るため、アイドル運転時等にエンジンを自動的に一旦停止させ、その後に運転者により車両の発進操作が行われる等の再始動条件が成立した時点で、エンジンを自動的に再始動させるようにしたエンジンの自動停止制御(いわゆるアイドルストップ制御)の技術が開発されている。このアイドルストップ制御時における再始動は、車両の発進操作等に応じてエンジンを即座に始動させる迅速性が要求されるが、従来から一般的に行われているように、スタータモータによりエンジンの出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを再始動させる方法によると、始動が完了するまでにかなりの時間を要するという問題がある。
そこで、膨張行程で停止状態にある膨脹行程気筒内に燃料を噴射して点火、燃焼させることにより、その燃焼エネルギでエンジンを即時的に始動させることが望ましい。しかし、エンジンを停止させると筒内圧力は短時間で略大気圧となるため、その略大気圧となっている気筒内に燃料を供給して燃焼させても再始動のための出力が充分得られない虞がある。
その対策として、例えば特許文献1や特許文献2のようなエンジンの始動装置が知られている。特許文献1のエンジンの始動装置は、エンジンの始動に際し、まず圧縮行程で停止状態にある圧縮行程気筒内に燃料を噴射させて燃焼を行わせ、エンジンを一旦逆回転させる。その後、上記膨張行程気筒で燃焼を行わせてエンジンの回転方向を正転に転じさせて始動させる。特許文献2のエンジンの始動装置も同様に、エンジンの始動に際し、まず圧縮行程で停止状態にある圧縮行程気筒内に燃料を噴射させて燃焼を行わせ、エンジンを一旦逆回転させる。そしてその圧縮行程気筒のピストンを下死点前で停止させ、その後膨張行程気筒で燃焼を行わせてエンジンの回転方向を正転に転じさせて始動させる。
これらのエンジンの始動装置は、何れもエンジンを一旦逆回転させることによって膨張行程気筒のピストンを上昇させ、その圧縮圧力を増大させた後に当該気筒での燃焼を行わせるので、エンジンを正転方向に転じさせるとともにその後の継続的な運転を行わせるための充分高い出力を得ることができる。
WO 01/38726 A1 WO 01/81759 A1
上記特許文献1および特許文献2に開示されたエンジンの始動装置のように、エンジンを一旦逆転させてから始動する方法は、スタータモータを用いずにエンジンを再始動させる場合に、その成功率を高める有効な技術である。しかし、エンジン停止時のピストン位置のばらつきや外部温度要因、或いは運転条件の違い(例えば自動停止してから再始動までの経過時間の違い)等、始動性のばらつき要因は多く、現在の技術では、その再始動成功率をスタータモータによる始動と同程度に高めるには至っていない。
従って、スタータモータを用いない再始動に万一失敗したとき、或いは失敗しそうなときには、バックアップとしてスタータモータを作動させることがフェイルセーフ上有効な手段となる。
しかし上述のように、スタータモータによる始動は迅速性が低く、またクランキング音が発生して運転者に違和感を与える虞もあるので、その作動頻度は可及的に少ないことが望ましい。そこで例えば、まずスタータモータを用いない再始動を試み、その始動が失敗した(或いは失敗しそうである)と認められる所定の状態(例えばエンジン回転速度が所定値以下)となったときにのみスタータモータを作動させれば、その作動頻度を最小限に抑えることができる。
しかしこの場合、一度再始動に失敗してからスタータモータを作動させるので、単に初めからスタータモータによる始動を行う場合よりも、一層迅速性が低下してしまうという問題がある。
そこで、予めスタータモータを用いない再始動の成功率が低い場合(条件)を想定しておき、その条件が成立したときには最初からスタータモータを用いた始動を行うようにすれば、上記のような一層の迅速性低下を可及的に防止することができる。このような制御を有効に行うには、スタータモータを用いない再始動の成功率が低い条件を予め精度良く設定することが重要となる。
本発明は上記の事情に鑑み、スタータモータを用いない再始動の成功率が低い条件を予め精度良く設定することにより、再始動時のスタータモータの作動頻度を可及的に少なくするとともに、スタータモータを作動させる場合であっても、始動の遅れを最小限に抑制することができるエンジンの始動装置を提供するものである。
請求項1に係る本発明は、所定のエンジン自動停止条件が成立したときに燃料供給を停止させてエンジンを停止させ、そのエンジン停止後において所定の再始動条件が成立したときに、少なくともエンジン停止時に膨脹行程にある膨張行程気筒に燃料を供給し、点火して燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、少なくともエンジンの自動停止時における上記膨張行程気筒のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータと、再始動の際、上記スタータモータによる駆動力付与の要否を判定するとともに、必要と判定したときに上記スタータモータを作動させるスタータモータ制御手段とを備え、上記スタータモータ制御手段は、エンジン停止時における上記膨張行程気筒のピストン位置が、再始動に適正な行程中期の所定範囲である適正停止範囲にあるときは上記スタータモータによる駆動力付与を不要と判定し、上記適正停止範囲にないときは必要と判定するとともに、上記再始動条件成立時がエンジン停止後の筒内温度が高いとされる所定期間内であるとき、上記適正停止範囲を狭くするように補正することを特徴とする。
なお、当明細書において、エンジンの自動停止中に膨脹行程にある気筒を膨脹行程気筒と称する(同様に圧縮行程にある気筒を圧縮行程気筒、吸気行程にある気筒を吸気行程気筒、排気行程にある気筒を排気行程気筒と称する)が、これらはそれぞれ特定の気筒を指すわけではなく、エンジンの自動停止に際し、例えばある気筒が膨脹行程にあるときにエンジンが完全に停止したとき、便宜上その気筒を膨脹行程気筒と称するものである(圧縮行程気筒等も同様)。
請求項2に係る本発明は、請求項1記載のエンジンの始動装置において、上記補正は、上記適正停止範囲の、上記膨張行程気筒における上死点側領域を削減するようになされるものであることを特徴とする。
請求項3に係る本発明は、請求項1または2記載のエンジンの始動装置において、エンジン停止中に冷却水をラジエータ側に強制的に循環させる冷却水強制循環手段を備え、該冷却水強制循環手段によって冷却水が強制循環させられているエンジン停止中の上記所定期間内に上記再始動条件が成立したとき、上記スタータモータ制御手段は、上記補正を行うことを特徴とする。
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のエンジンの始動装置において、エンジンの冷却水温度を検知する水温センサを備え、エンジンの冷却水温度が所定値以上であるとき、上記スタータモータ制御手段は、上記適正停止範囲を0とする補正を行い、ピストン停止位置に拘わらずエンジン再始動の初期から上記スタータモータを作動させることを特徴とする。
請求項5に係る本発明は、所定のエンジン自動停止条件が成立したときに燃料供給を停止させてエンジンを停止させ、そのエンジン停止後において所定の再始動条件が成立したときに、少なくともエンジン停止時に膨脹行程にある膨張行程気筒に燃料を供給し、点火して燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータと、再始動の際、上記スタータモータによる駆動力付与の要否を判定するとともに、必要と判定したときに上記スタータモータを作動させるスタータモータ制御手段とを備え、上記スタータモータ制御手段は、上記再始動条件成立時がエンジン停止後の筒内温度が高いとされる所定期間内であるとき、上記スタータモータによる駆動力付与が必要と判定してエンジン再始動の初期から上記スタータモータを作動させることを特徴とする。
請求項6に係る本発明は、請求項5記載のエンジンの始動装置において、エンジンの作動と連動して冷却水をラジエータ側に循環させる冷却水循環手段を備え、エンジン停止中は、上記冷却水循環手段の作動が停止することによって冷却水の意図的な循環が停止させられることを特徴とする。
なお、上記意図的な循環とは、何らかの手段を用いて積極的に冷却水を循環させることを言い、たとえば自然放置状態における対流による循環などは含まない。
請求項7に係る本発明は、請求項5または6記載のエンジンの始動装置において、エンジンが高負荷運転状態の後に自動停止を行った場合に、上記スタータモータ制御手段が上記スタータモータによる駆動力付与の要否判定を行うことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、スタータモータ制御手段によって、スタータモータによる駆動力付与が不要と判定されるときにはスタータモータを作動させず、燃焼のみによる始動を行うことにより迅速で静粛な再始動を行うことができる。
一方、スタータモータによる駆動力付与が必要と判定されるときには、再始動の初期からスタータモータを作動させることによって、確実な再始動を図りつつ、始動の遅れを最小限に抑制することができる。
そして、このスタータモータ制御手段は、再始動条件成立時がエンジン停止後の筒内温度が高いとされる所定期間内であるとき、スタータモータによる駆動力付与を不要と判定するピストン停止位置の適正停止範囲を狭くするように補正するので、スタータモータの要否判定精度を高めることができ、再始動時のスタータモータの作動頻度を可及的に少なくすることができる。
本願発明者は、ピストン停止位置が、再始動に適正な行程中期の所定範囲である適正停止範囲(例えば行程中央ないしはやや後期寄り)にあるときは燃焼のみによる再始動の成功率が高いことを見出すとともに、その適正停止範囲は再始動を開始する時期に対して一定ではなく、変動することを見出した。
その最も大きな変動要因はエンジン停止後の筒内温度の変化である。通常、エンジンを冷却する冷却水は、エンジンの作動に連動するウォータポンプによってラジエータ側に循環され、熱交換される。ところがエンジンが停止してウォータポンプの作動が停止すると冷却水の循環が停止するので、時間の経過に伴い筒内温度が上昇する。そしてピークを迎えた後、徐々に低下してゆく。
このように筒内温度が変化すると、気筒内の空気密度が変化するため、得られる燃焼エネルギにも影響を与える。すなわち筒内温度が相対的に高いときには、空気密度が低くなるため、燃焼エネルギが低下し、再始動の成功率が低下するのである。
本発明によると、そのように筒内温度が高く、再始動の成功率が低下しているときには、適正停止範囲を狭くするように補正する(たとえば筒内温度が高いときに比較的再始動に不利となる領域を削減する)ことにより、筒内温度が高くても一定の再始動成功率を確保できるとき(補正後の適正停止範囲にあるとき)には燃焼のみの再始動を行い、そうでないとき(補正後の適正停止範囲外にあるとき)は、再始動の初期からスタータモータを作動させ、始動の遅れを最小限に抑制することができる(燃焼のみの再始動に失敗してからスタータモータを作動させるよりも迅速に再始動できるので)。
適正停止範囲の補正は、膨張行程気筒における上死点側領域を削減する(請求項2)のが効果的である。この領域は筒内容積の比較的少ない領域であって、空気量が少なく、比較的燃焼エネルギの小さくなる領域であるところ、筒内温度が高くなって空気密度が低下すると、更に燃焼エネルギが低下して再始動に不利な条件が重なるからである。
請求項3に係る発明によれば、エンジン停止中に冷却水をラジエータ側に強制的に循環させる冷却水強制循環手段(たとえば電動ウォータポンプ)を備えることにより、エンジン停止後の筒内温度上昇を抑制することができるので、上記補正量を削減するすることができ、スタータモータの作動頻度をより低減することができる。
請求項4に係る発明によれば、筒内温度の代用特性として冷却水温度を用い、その冷却水温度が所定値以上であるとき、適正停止範囲を0とする補正を行ってピストン停止位置に拘わらずエンジン再始動の初期からスタータモータを作動させるので、制御が簡潔化され、スタータモータの要否判定を迅速に行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、筒内温度が高いときにエンジン再始動の初期からスタータモータを作動させるので、制御が簡潔化され、スタータモータの要否判定を迅速に行うことができる。この制御は、特にエンジン停止後に筒内温度が上昇し易い条件のときに適している。たとえば、エンジンの作動と連動して冷却水をラジエータ側に循環させる冷却水循環手段(たとえばクランクシャフトと連動するウォータポンプなど)を備えたもの(請求項6)に適している。
なお、このようなスタータモータによる駆動力付与の要否判定は、エンジン停止後に筒内温度が高くなることが予測される所定の状態のとき(たとえば請求項7に示すような、エンジンが高負荷運転状態の後に自動停止を行った場合)に行うのが効果的である。
図1および図2は本発明に係るエンジンの始動装置を有する4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示している。このエンジンには、シリンダヘッド10およびシリンダブロック11を有するエンジン本体1と、エンジン制御用のECU2とを備えている。上記エンジン本体1には、四つの気筒(#1気筒12A、#2気筒12B、#3気筒12C及び#4気筒12D)が設けられるとともに、各気筒12A〜12Dの内部には、クランク軸3に連結されたピストン13が嵌挿されることにより、その上方に燃焼室14が形成されている。
上記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の頂部には、プラグ先端が燃焼室14内に臨むように点火プラグ15が設置されている。点火プラグ15には、これに電気火花を発生させるための点火装置27が付設されている。また、上記燃焼室14の側方には、燃焼室14内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図外のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、上記ECU2の燃料噴射制御部41から入力されたパルス信号のパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を上記点火プラグ15の電極付近に向けて噴射するように構成されている。
また、上記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の上部には、燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17および排気ポート18が設けられるとともに、これらのポート17,18に、吸気弁19および排気弁20がそれぞれ装備されている。上記吸気弁19および排気弁20は、図示を省略したカムシャフト等を有する動弁機構によって駆動されることにより、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように各気筒12A〜12Dの吸・排気弁19,20の開閉タイミングが設定されている。
上記吸気ポート17および排気ポート18には、吸気通路21および排気通路22が接続されている。上記吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は、図2に示すように、各気筒12A〜12Dに対応して独立した分岐吸気通路21aとされ、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流側には共通吸気通路21cが設けられるとともに、この共通吸気通路21cには、アクチュエータ24により駆動されるスロットル弁23が配設されている。このスロットル弁23の上流側には、吸気流量を検出するエアフローセンサ25及び吸気の温度を検知する吸気温センサ29が設けられ、スロットル弁23の下流側には吸気圧力(負圧)を検出する吸気圧センサ26が設けられている。
また、エンジン本体1には、スタータモータ39が設けられている。スタータモータ39は、図外のピニオンを介して、クランクシャフト3と直結された図外のドライブプレートを回転させることによってエンジンに正転方向の駆動力を付与する。スタータモータ39は、ECU2のスタータモータ制御部42からの制御信号に基づき、通常のエンジン始動時に作動されられるほか、自動停止後の再始動時にも必要に応じて作動させられる。
さらにエンジン本体1には、タイミングベルト等によりクランク軸3に連結されたオルタネータ28が付設されている。このオルタネータ28は、図示を省略したフィールドコイルの電流を制御して出力電圧を調節することにより発電量を調整するレギュレータ回路28aを内蔵し、このレギュレータ回路28aに入力される上記ECU2からの制御信号に基づき、車両の電気負荷および車載バッテリーの電圧等に対応した発電量の制御が実行されるように構成されている。
さらに、上記エンジンには、クランク軸3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30,31が設けられ、一方のクランク角センサ30から出力される検出信号に基づいてエンジンの回転速度が検出されるとともに、後述するように上記両クランク角センサ30,31から出力される位相のずれた検出信号に基づいてクランク軸3の回転方向および回転角度が検出されるようになっている。
更にエンジン本体1には、カムシャフトに設けられた気筒識別用の特定回転位置を検出するカム角センサ32と、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ33とが設けられ、また車体側には運転者のアクセル操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ34が設けられている。
ECU2は、エンジンの運転を統括的に制御するコントロールユニットである。当実施形態のエンジンは、予め設定されたエンジンの自動停止条件が成立したときに各気筒12A〜12Dへの燃料噴射を所定のタイミングで停止(燃料カット)して自動的にエンジンを停止させるとともに、その後に運転者によるアクセル操作が行われる等により再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させる制御(アイドルストップ制御)を行うように構成されている。以下ECU2の説明にあたり、このアイドルストップ制御に関する部分を中心に説明する。
ECU2には、エアフローセンサ25、吸気圧センサ26、吸気温センサ29、クランク角センサ30,31、カム角センサ32、水温センサ33及びアクセル開度センサ34からの各検知信号が入力されるとともに、燃料噴射弁16、スロットル弁23のアクチュエータ24、点火装置27、オルタネータ28のレギュレータ回路28a及びスタータモータ39のそれぞれに各駆動信号を出力する。ECU2は、燃焼制御部41、スタータモータ制御部42、発電量制御部44、ピストン位置検出部45および筒内温度推定部46を機能的に含んでいる。なおECU2に含まれる他の要素(電動ウォータポンプ制御部47、電動ファン制御部48、エレキサーモバルブ制御部49。図3参照)については後述する。
燃焼制御部41は、主に燃料噴射時期、各噴射における燃料噴射量、点火時期、吸気流量等を設定して、各気筒内における燃焼を制御する。
燃料噴射量および燃料噴射時期に関しては、これらを適切に設定し、その制御信号を燃料噴射弁16に出力する。特に当実施形態では、後述するように再始動時における膨張行程気筒での最初の燃焼のための燃料を分割噴射によって供給している。燃焼制御部41は、その分割噴射時期の設定や、燃料配分の設定も行う。
点火時期に関しては、各気筒12A〜12Dに対して適切な点火時期を設定し、各点火装置27に点火信号を出力する。
吸気流量に関しては、各気筒12A〜12Dに対して適切な吸気流量を設定し、その吸気流量に応じたスロットル弁23の開度信号をアクチュエータ24に出力する。特に当実施形態では、後述するようにエンジンの自動停止時にスロットル弁23の開度を調節して、ピストン13が再始動に適した適正停止範囲に停止するような制御を行っている。燃焼制御部41は、その際のスロットル弁23の開度調節も行う。
スタータモータ制御部42は、通常の始動時(アイドルストップを行わない場合の始動)にスタータモータ39を作動させてエンジンを始動させる。また後述するように、アイドルストップを行う場合には、その再始動時にスタータモータ39の作動が必要か否かを判定し、必要な場合にスタータモータ39を作動させる。
発電量制御部44は、オルタネータ28の適切な発電量を設定し、その駆動信号をレギュレータ回路28aに出力する。特に当実施形態では、後述するようにエンジンの自動停止時にオルタネータ28の発電量を調節することによってクランクシャフト3の負荷を変化させ、ピストン13が再始動に適した適正範囲に停止するような制御を行っている。発電量制御部44は、その際のオルタネータ28の発電量の調節も行う。また再始動時には、通常よりも多めの発電を行うことによってエンジンの負荷増大させ、吹上がり(必要以上に急速なエンジン回転速度の上昇)を防止する制御を行っている。
ピストン位置検出部45は、クランク角センサ30,31の各検出信号に基づき、ピストン位置を検出する。ピストン位置とクランク角(°CA)とは1対1に対応するので、一般的になされているように当明細書においてもピストン位置をクランク角で表す。当実施形態では、後述するように膨張行程気筒および圧縮行程気筒の自動停止中のピストン位置に基いて各筒内空気量を算出し、それに応じて再始動時における各気筒の燃焼制御を行っている。
筒内温度推定部46は、水温センサ33によって検知されるエンジン水温や、吸気温センサ29によって検知される吸気温度等に基いて、予め実験等によって求められたマップを用いる等して各気筒12A〜12Dの気筒内の空気温度を推定する筒内温度推定手段である。特に当実施形態では、後述するように、エンジンの再始動に際してエンジンの停止時間を考慮した筒内温度推定を行い、その推定値に基づいた燃焼制御やスタータモータ39の制御を行っている。
図3は、当実施形態のエンジンの冷却系回路構成図である。冷却水が冷却水回路L上を矢印に示す方向に循環する。冷却水回路Lは主に、エンジン本体1の内部に構成されるウォータジャケット部L1と、ラジエータ50で熱交換を行うラジエータ部L2と、このラジエータ部L2を循環しないようにバイパスするバイパス部L3とからなる。
ウォータジャケット部L1の上流部には、ウォータポンプ56及び電動ウォータポンプ57が並列に設けられている。これらは何れもラジエータ部L2またはバイパス部L3から還流された冷却水をウォータジャケット部L1に圧送するポンプであって、少なくとも一方が作動することによって冷却水の循環が図られる。ウォータポンプ56は、従来の一般的なエンジンに設けられるウォータポンプであって、エンジンの作動に連動している。すなわちエンジンが停止するとウォータポンプ56は停止する。一方、電動ウォータポンプ57は図外のバッテリを電源として作動する電動のウォータポンプであって、エンジンの停止中も作動させることができる。またウォータジャケット部L1には冷却水の温度を検知する水温センサ33が設けられている。
ウォータジャケット部L1からラジエータ部L2またはバイパス部L3に分岐する分岐点には、エレキサーモバルブ53が設けられている。エレキサーモバルブ53は、ウォータジャケット部L1からラジエータ部L2への通路を開閉する電気式のバルブである。エレキサーモバルブ53がON(開)のときは冷却水の流れが主にウォータジャケット部L1→ラジエータ部L2→ウォータジャケット部L1となり、エレキサーモバルブ53がOFF(閉)のときは冷却水の流れがウォータジャケット部L1→バイパス部L3→ウォータジャケット部L1となる。
ラジエータ50の近傍には電動ファン51と、これを駆動するファンモータ52とが設けられている。電動ファン51はラジエータ50に送風し、ラジエータ部L2における冷却水と外部空気(風)との熱交換を促進する。
エレキサーモバルブ53、電動ウォータポンプ57及びファンモータ52は、それぞれECU2からの制御信号によって作動する。ECU2には、上記燃焼制御部41等(図2参照)の他に、冷却系のための制御手段として更に電動ウォータポンプ制御部47、電動ファン制御部48およびエレキサーモバルブ制御部49が機能的に含まれている。
電動ウォータポンプ制御部47は、水温センサ33からの検知信号に基づき、エンジン停止中であって、冷却水温度が高く、冷却水の循環が必要なとき(たとえばエンジンの自動停止後の所定期間)に電動ウォータポンプ57を作動させる。
電動ファン制御部48は、ラジエータ部L2における熱交換を促進させる必要のあるとき(たとえば冷却水温度が高いとき)にファンモータ52を作動させる。
エレキサーモバルブ制御部49は、冷却水温度が比較的高いときにはエレキサーモバルブ53をONにし、冷却水の温度低下を図る。冷却水温度が比較的低いとき(たとえば暖機運転中)にはエレキサーモバルブ53をOFFにし、冷却水の温度が低下し過ぎることを防止する。
以上のような構成によってアイドルストップ制御を行うにあたり、エンジンの再始動時には、最初にスタータモータ制御部42によって、スタータモータ39の駆動力付与が必要か否かが判定される。スタータモータ39の駆動力付与が必要なときは、スタータモータ39を作動させるとともに、膨張行程気筒での燃焼を行わせて再始動を行う。スタータモータ39の駆動力付与が不要であるときには、燃焼のみによる再始動を行う。再始動の迅速性や静粛性は、燃焼のみによる再始動の方が高いので、できるだけこの燃焼のみによる再始動の頻度を高めることが望ましい。
当実施形態では、燃焼のみによる始動を行う際には、まず圧縮行程気筒で燃焼を行わせることにより、そのピストン13を押し下げてクランク軸3を少しだけ逆転させる。これによって膨張行程気筒のピストン13を一旦上昇(上死点に近づける)させ、その気筒内の空気(燃料噴射後は混合気となる)を圧縮した状態で、この混合気に点火して燃焼させることにより、クランク軸3に正転方向の駆動トルクを与えてエンジンを再始動させるように構成されている。
上記のようにして特定の気筒に噴射された燃料に点火するだけでエンジンを適正に再始動させるためには、上記膨張行程気筒の混合気を燃焼させることにより得られる燃焼エネルギを充分に確保することにより、これに続いて圧縮上死点を迎える気筒(当実施形態では圧縮行程気筒および吸気行程気筒)がその圧縮反力に打ち勝って圧縮上死点を超えるようにしなければならない。したがって、膨張行程気筒内に充分な空気量を確保しておく必要がある。
図4(a),(b)に示すように、圧縮行程気筒と膨張行程気筒とでは、それぞれ位相が180°CAだけずれているため、各ピストン13が互いに逆方向に作動する。膨張行程気筒のピストン13が行程中央よりも下死点側に位置していれば、その気筒の空気量が多くなって充分な燃焼エネルギーが得られる。しかし、上記膨張行程気筒のピストン13が極端に下死点側に位置した状態となると、圧縮行程気筒内の空気量が少なくなり過ぎて、再始動時の初回燃焼でクランク軸3を逆転させるための燃焼エネルギが充分に得られなくなる。
これに対して上記膨張行程気筒の行程中央、つまり圧縮上死点後のクランク角が90°CAとなる位置よりもやや下死点側の所定範囲R、例えば圧縮上死点後のクランク角が100〜120°CAとなる範囲R内にピストン13を停止させることができれば、圧縮行程気筒内に所定量の空気が確保されて上記初回の燃焼によりクランク軸3を少しだけ逆転させ得る程度の燃焼エネルギが得られることになる。しかも、膨張行程気筒内に多くの空気量を確保することにより、クランク軸3を正転させるための燃焼エネルギを充分に発生させてエンジンを確実に再始動させることが可能となる(以下この範囲Rを適正停止範囲Rとする)。
但し、エンジン停止後のある期間(筒内温度が上昇する期間)は、膨張行程気筒での燃焼エネルギが低下するため、ピストン停止位置が適正停止範囲R内にあっても、比較的空気量が少ない(膨張行程気筒においてピストン停止位置が上死点に近い)ときには燃焼エネルギが不充分となる場合がある。すなわち、適正停止範囲Rは、図4(b)に示す適正停止範囲R’に縮小する。
ピストン13を適正停止範囲R内に停止させるよう、ECU2によって次のような制御がなされる。図5は、この制御によるエンジン自動停止時のタイムチャートであり、エンジンの回転速度Ne、ブースト圧Bt(吸気圧力)およびスロットル弁23の開度Kを示す。また図6は、図5の時点t1付近以降の拡大図であり、図5に加えてクランク角CAおよび各気筒の行程推移チャートを示す。なお、以下説明を簡潔にするため、#1気筒12Aが膨張行程気筒、#2気筒12Bが排気行程気筒、#3気筒12Cが圧縮行程気筒、#4気筒12Dが吸気行程気筒であるものとする。
ECU2は、エンジンの自動停止条件が成立した時点t0で、エンジンの目標速度を、エンジンを自動停止させない時の通常のアイドル回転速度(以下、通常のアイドル回転速度という)よりも高い値、例えば通常のアイドル回転速度が650rpm(自動変速機はドライブ(D)レンジ)に設定されたエンジンでは上記目標速度(自動停止条件成立時のアイドル回転速度)を850rpm程度(自動変速機はニュートラル(N)レンジ)に設定することにより、エンジンの回転速度Neを通常のアイドル回転速度よりも少し高い回転速度で安定させる制御を実行する。またブースト圧Btが比較的高い所定の値(約−400mmHg)で安定するようにスロットル弁23の開度Kを調節する。
そしてエンジンの回転速度Neが目標速度に安定した時点t1で燃料噴射を停止させてエンジンの回転速度Neを低下させる。また、エンジンを自動停止させる制御動作の初期段階である上記燃料噴射の停止時点t1で、スロットル弁23の開度Kを、気筒内空燃比を空気過剰率λ=1にしたときのアイドル時の吸気流量(エンジン運転を継続させるために必要な最小限の吸気流量)よりも多い吸気流量となるように設定する。すなわち、上記時点t1直前の燃焼状態が、気筒内空燃比を空気過剰率λ=1ないしλ=1付近に設定されて均質燃焼されている場合はスロットル弁23の開度Kを増大させ(例えば開度K=30%程度)、気筒内空燃比がリーンに設定されて成層燃焼されている場合はスロットル弁23の開度Kをそのまま(成層燃焼時の比較的大きな開度のまま)維持する。図5及び図6は前者の場合を示している。
この制御によって時点t1からやや遅れてブースト圧Btが増大し始める(時点t1直前が均質燃焼の場合)か、または比較的高いブースト圧Btを維持する(時点t1直前が成層燃焼の場合)ので、排気ガスの掃気が促進される。
またECU2は、時点t1でオルタネータ28の発電を一旦停止させる。これによってクランク軸3の回転抵抗を低減し、エンジンの回転速度Neの速度が早く低下し過ぎないようにしている。
こうして時点t1で燃焼噴射を停止するとエンジンの回転速度Neが低下し始め、予め設定された基準速度、例えば760rpm以下になったことが確認された時点t2でスロットル弁23を閉止する。すると時点t2からやや遅れてブースト圧Btが減少し始め、エンジンの各気筒に吸入される吸気流量が減少する。スロットル弁23を開放している時点t1から時点t2までの間に吸入された空気は、共通吸気通路21c及びサージタンク21bを経由して各気筒の分岐吸気通路21aに導かれる。そして吸気行程を迎えた気筒から順にその空気を吸入することになる。図6に示す場合では#4気筒12D、#2気筒12B、#1気筒12A、#3気筒12Cの順となる。ここで、時点t1及び時点t2の設定を上記のようにすることによって、#3気筒12C(圧縮行程気筒)よりも#1気筒12A(膨張行程気筒)の方がより多くの空気を吸入することになる。
時点t1以降はエンジンが惰性で回転するため、エンジンの回転速度Neが次第に低下し、やがて時点t5で停止するが、このエンジンの回転速度Neの低下は、図5および図6に示すように、小刻みなアップダウン(4気筒4サイクルエンジンでは10回前後)を繰り返しながら低下して行く。
図6に示すクランク角CAのタイムチャートは、実線が#1気筒12Aおよび#3気筒12Cの上死点(TDC)を0°CAとした場合のクランク角を示し、一点鎖線が#2気筒12Bおよび#4気筒12Dの上死点を0°CAとした場合のクランク角を示している。実線と一点鎖線とは90°CAを境に互いに逆位相となっている。4気筒4サイクルエンジンでは、180°CAごとに何れかの気筒が順次圧縮上死点を迎えるので、このタイムチャートは、実線または一点鎖線で示す波形の頂点(クランク角=0°CA)において何れかの気筒が圧縮上死点を通過していることを示している。
この何れかの気筒が圧縮上死点となるタイミングは、上記エンジンの回転速度Neのアップダウンの谷のタイミングと一致している。つまり、エンジンの回転速度Neは、各気筒が順次圧縮上死点を迎える度に一時的に落ち込んだ後、その圧縮上死点を超えた時点で再び上昇するという小刻みなアップダウンを繰り返しながら次第に低下するのである。
そして最後の圧縮上死点を通過した時点t4の後に圧縮上死点を迎える圧縮行程気筒12Cでは、慣性力によるピストン13の上昇に伴って空気圧が高まり、その圧縮反力によりピストン13が上死点を超えることなく押し返されてクランク軸3が逆転する。このクランク軸3の逆転によって膨張行程気筒12Aの空気圧が上昇するため、その圧縮反力に応じて膨張行程気筒12Aのピストン13が下死点側に押し返されてクランク軸3が再び正転し始め、このクランク軸3の逆転と正転とが数回繰り返されてピストン13が往復作動した後に停止することになる。このピストン13の停止位置は、圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aにおける圧縮反力のバランスにより略決定されるとともに、吸気行程気筒12Dの吸気抵抗やエンジンの摩擦等の影響を受け、上記最後の圧縮上死点を超えた時点t4のエンジンの回転慣性、つまりエンジン回転速度Neの高低によっても変化することになる。
したがって、膨張行程気筒12Aのピストン13を適正停止範囲R内に停止させるためには、まず膨張行程気筒12Aおよび圧縮行程気筒12Cの圧縮反力がそれぞれ充分に大きくなり、かつ膨張行程気筒12Aの圧縮反力が圧縮行程気筒12Cの圧縮反力よりも所定値以上大きくなるように、両気筒に対する吸気流量を調節する必要がある。このために、燃料噴射の停止時点t1でスロットル弁23を開放してその開度Kを増大させることにより膨張行程気筒12Aおよび圧縮行程気筒12Cの両方に所定量の空気を吸入させた後、所定時間が経過した時点t2で上記スロットル弁23を閉止してその開度Kを低減することにより上記吸入空気量を調節するようにしている。
ところで、このようにしてエンジンを自動停止させ、エンジン回転速度が低下する過程において、各気筒12A〜12Dが圧縮上死点を通過する際のエンジン回転速度(上死点回転速度)neと、膨張行程気筒12Aのピストン停止位置との間に明確な相関関係がある。すなわち、各段階(停止前から2番目、3番目、4番目・・・)の上死点回転速度neがそれぞれ一定の速度範囲内にあるときに膨張行程気筒12Aのピストン停止位置が適正停止範囲R内となる確率が高くなるのである。
この特性を利用し、当実施形態ではエンジン回転速度Neの低下過程における所定の段階(特に重要なのは停止前から2番目(時点t3))の上死点回転速度neが一定の速度範囲内となるような制御を行って、膨張行程気筒12Aのピストン13がより確実に適正停止範囲R内で停止するような制御を行っている。具体的には、オルタネータ28の発電量を増減させることによってクランクシャフト3の負荷(エンジン負荷)を調節し、停止前から2番目の上死点回転速度ne(時点t3)が、350±50rpmの範囲内となるようにしている。
エンジン回転速度Neが更に低下し、最後の圧縮上死点通過時期(図6に示す時点t4)を過ぎると、何れの気筒も上死点を通過することがなく、行程の推移はなされなくなる。ピストン13は、その行程内で減衰振動(逆向きに動くときはクランク軸3が逆転し、エンジンの回転速度Neが負になる)しつつ狙いの適正停止範囲Rに停止しようとする。しかし、このとき吸気行程気筒12Dは吸気動作を行っており、その吸気抵抗が大きいとピストン13の停止位置がばらつき易くなる。特に、吸気抵抗はピストン13が下死点側に動くときに大きくなるように作用するので、ピストン13が狙いよりも上死点寄りに停止し易くなる。吸気行程気筒12Dのピストン13と膨張行程気筒12Aのピストン13とは同位相で動くので、結局膨張行程気筒12Aのピストン13が狙いよりも上死点寄りに停止し易くなってしまう。
そこで当実施形態では、時点t4と略同時(やや遅らせても良い)にスロットル弁23の開度Kを図6に示す開度K1(例えばK1=40%程度)まで増大させ、吸気行程気筒12Dの吸気抵抗を低減している。これによって膨張行程気筒12Aおよび圧縮行程気筒12Cにおける吸気流量バランスに影響を及ぼすことなく、そのバランスに応じた狙いの位置にピストン13がより停止し易くなっている。
なお、このような制御を行うためには、時点t4が最後の圧縮上死点通過時期であることを即時に判別する必要があり、次の(圧縮行程気筒12Cでの)圧縮上死点は通過しないことを時点t4において予測しなければならない。そのため当実施形態では、ECU2が最後の上死点通過時期を判別するようにしている。ECU2は、各上死点通過時のエンジン回転速度と、予め実験等で求められた所定の回転速度(例えば260rpm)とを比較し、前者が後者以下となった時点で、それが最後の圧縮上死点通過時期であると判別する。なお、最後の圧縮上死点通過時期における上死点回転速度neは、高いほど行程後期寄り(膨張行程気筒12Aのピストン停止位置が下死点寄り、圧縮行程気筒12Cでは上死点寄り)で停止し易くなる。
ところで、エンジン停止直前の膨張行程気筒12Aおよび圧縮行程気筒12Cの最終吸気行程における吸気流量バランスは、ブースト圧Btによっても影響を受ける。特に、停止前から2番目の圧縮上死点通過時期(図6の時点t3)は、圧縮行程気筒12Cにおいて最終吸気行程の始点となっており、この時点のブースト圧Btの影響が大きい。すなわち、このブースト圧Btが低い(真空側)と、圧縮行程気筒12Cへの吸気流量が少なくなり、結果的に圧縮行程気筒12Cのピストン13の停止位置が上死点寄り(膨張行程気筒12Aでは下死点寄り)となり易い。ブースト圧Btが高い(大気圧側)と、その逆となる。
従って、最後の上死点通過時期における上死点回転速度neが高く、また停止前から2番目の圧縮上死点通過時期のブースト圧Btが低いときは、膨張行程気筒12Aのピストン13が行程後期寄りで停止し易い条件が重なっており、狙いの停止位置(上死点後100〜120°CA)で停止する可能性が高い。このような条件のときに、時点t3でスロットル弁23の開度をK1まで増大させる制御を行うと、ピストン停止位置がより行程後期寄りとなって、かえって狙いの停止位置から外れてしまう虞がある。そこで当実施形態では、そのような場合には、時点t3におけるスロットル弁23の開度をK1より低開度(または閉止)とされる開度K2(図6参照)に設定し、吸気流量の増大を抑制することにより、膨張行程気筒12Aのピストン停止位置が下死点寄りになり過ぎないようにしている。
こうして時点t5においてピストン13が完全に停止するが、その停止直前から停止までのピストン13の動作をクランク角センサ30,31で検出することにより、ECU2のピストン位置検出部45がピストン13の停止位置を検出する。図7は、そのピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。この検出制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(クランク角センサ30からの信号)および第2クランク角信号CA2(クランク角センサ31からの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する(ステップS41)。これにより、エンジンの停止動作時における上記信号CA1,CA2の位相の関係が、図8(a)のようになるか、それとも図8(b)のようになるかを判定してエンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する。
すなわち、エンジンの正転時には、図8(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図8(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。
そこで、ステップS41の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS42)、ステップS41の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS43)。そして、エンジン停止後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS44)。
エンジンが完全に停止すると、ウォータポンプ56が停止する。このとき、電動ウォータポンプ57も停止していると各気筒12A〜12Dの筒内温度は図9の温度特性に示すような変化をする。図9は、エンジン停止からの経過時間と筒内温度との関係を示すグラフであり、エンジン停止時(時点t5)の筒内温度が80℃であった場合の筒内温度変化の推定値である。
この特性に示すように、エンジンが完全に停止したときに冷却水の流れが停止すると、停止直後に筒内温度が急速に上昇する。そしてエンジン停止後約10秒でピークとなり、以後は徐々に低下して行く。当実施形態では、エンジン停止に伴って、電動ウォータポンプ57とファンモータ52を作動させ、図9の温度特性に示すような急激な温度上昇を緩和するようにしている。この特性は冷却水の温度(エンジン水温)や外気温(吸気温度)等によって異なり、ECU2の筒内温度推定部46はその特性をマップ化したデータを記憶している。
次に、エンジンの再始動時の制御について説明する。再始動の際は、上述のようにまずスタータによる駆動力付与が必要か否かを判定する。当実施形態では、その判定基準に始動後の第2TDCを越えるときの残存エネルギを用いている。第2TDCは、エンジンの正転後に2番目に迎える圧縮上死点(吸気行程気筒12Dにおける最初の圧縮上死点。図15参照。)である。始動後の膨張行程気筒12Aにおける最初の燃焼エネルギは、第1TDC(エンジンの正転後に最初に迎える圧縮上死点であって圧縮行程気筒12Cにおける最初の圧縮上死点)と第2TDCを越えるために消費される。燃焼のみによる始動を成功させるには、第2TDCを越えるためのエネルギを消費してもなお運動エネルギが残存していることが必須要件となる。
当実施形態では、第2TDC時点の残存運動エネルギを予測し、その運動エネルギが所定値(1J)以下であるときにはスタータモータ39による駆動力付与が必要であると判定して再始動の初期からスタータモータ39を作動させるようにしている。
図10は、第2TDC時点の残存運動エネルギを示す特性図であり、(a)はエンジン停止時点の筒内温度が比較的低い場合、(b)は比較的高い場合を示す。
図10(a),(b)に示すように、第2TDC時点の残存運動エネルギは、図9に示す筒内温度の特性と略相反する特性となる。これは、筒内温度が高いほどエンジンの燃焼エネルギが低下するからである。但し、筒内温度が高いほど第2TDC時点の残存運動エネルギが大きくなる要因(たとえば摩擦抵抗低減など)もあるので、この特性はそれらを総合して得られるものである。
図10(a)には、3水準の特性(特性101、特性102、特性103)を示す。特性101は、膨張行程気筒12Aにおけるピストン停止位置が120°CA(ATDC)のもの、特性102は同ピストン停止位置が100°CA(ATDC)のもの、特性103は、同ピストン停止位置がθ1(ATDC)(100<θ1<120)のものである。なお、適正停止範囲R(補正しない場合)は100〜120°CA(ATDC)とする。
特性101は、エンジン停止からの経過時間に拘わらず全域で第2TDC時点の残存運動エネルギ(以下単に残存エネルギとも言う)が1Jを越えている。しかし特性102は、エンジン停止からの経過時間が10秒前後の期間(t11〜t12)において、残存エネルギが1J以下となっている。
特性103は、残存エネルギの最小値が1Jとなるような特性である。
これらの特性図から、適正停止範囲Rは、次のように再設定される。エンジン停止時点から時点t11まで、或いは時点t12以降に再始動条件が成立したときには、適正停止範囲Rは、当初のまま、100〜120°CA(ATDC)とされる。エンジン停止後、時点t11〜t12の期間に再始動条件が成立したときには適正停止範囲Rは適正停止範囲R’に補正される。適正停止範囲R’は、θ〜120°CA(ATDC)である(但しθは、その時点における残存運動エネルギが1Jとなるピストン停止位置であって、100<θ<120)。
スタータモータ制御部42は、再始動条件が成立したとき、膨張行程気筒12Aにおけるピストン停止位置が適正停止範囲R(補正されたときはR’)内にないとき、スタータモータ39による駆動力付与が必要であると判定して再始動の初期からスタータモータ39を作動させる。
図10(b)に示す特性101’、102’は、(a)の特性101、102に対応するものであるが、(a)に比べてエンジン停止時点の筒内温度が高温なので、残存エネルギは全体的に小さくなっている。特に、エンジン停止後、時点t21〜t22の期間は、適正停止範囲Rの全域において残存エネルギが1J以下となっている。このような期間に再始動条件が成立すると、スタータモータ制御部42は、適正停止範囲R’を0とする補正を行う。つまりピストン停止位置に拘わらず再始動の初期からスタータモータ39を作動させる。
再始動条件が成立したとき、膨張行程気筒12Aにおけるピストン停止位置が適正停止範囲R(補正されたときはR’)内にあるときには、スタータモータ39による駆動力付与が不要であり、次のような燃焼のみによる再始動が行われる。
まず圧縮行程気筒12Cでの燃焼を行わせてエンジンを一旦逆回転させてから膨張行程気筒12Aでの燃焼を行わせ、正転方向に転じさせる。つまりエンジンを一旦逆回転させることによって膨張行程気筒12Aのピストン13を上昇させ、その圧縮圧力を増大させた後に当該気筒での燃焼を行わせる。膨張行程気筒12Aのピストン停止位置が適正停止範囲Rにあって燃焼のための充分な空気量が確保されていることと、その空気がエンジンの逆転によって圧縮されることにより大きな燃焼エネルギが得られる。つまりエンジンを確実に正転方向に転じさせるとともにその後の継続的な運転に円滑に移行させることができる。
しかし、膨張行程気筒12A内に充分な空気が存在していることが、その空気を強く圧縮することの妨げとなっている。それは、圧縮された空気の圧縮反力が膨張行程気筒12Aのピストン13を押し戻す方向に作用するからである。
そこで当実施形態では、膨張行程気筒12Aへの燃料噴射時期を遅らせることにより、膨張行程気筒12A内の空気の圧縮量を増大(密度を増大)させる制御を行っている。燃料噴射時期を遅らせると、ある程度筒内空気が圧縮された状態の気筒内に燃料を噴射することになり、その気化潜熱によって圧縮圧力が減少する。従って同じエンジン逆転のエネルギであればピストン13がより上死点近くまで移動することができ(ピストンストローク増大)、圧縮空気の密度をより高めることができる。最大の空気密度増大効果を得るためには、燃料噴射時期を、膨張行程気筒12Aの圧縮行程中期から後期の前半までに行うのが好ましい。
一方、燃料噴射時期を遅らせるということは燃料噴射から点火までの時間が短くなることでもあり、点火時の気化が不十分となる虞がある。点火時点までに気化を充分促進させるためには、早期(例えば逆転動作の初期)に燃料噴射を行うことが望ましい。つまり上記空気密度の増大と点火時点の気化促進とは燃料噴射時期に関して相反する要求を有するものである。
そこで当実施形態では、燃料を分割噴射(2分割)し、前段の燃料噴射を逆転動作の初期に行い、後段の燃料噴射を逆転動作中(望ましくは行程中央の90°CAよりも上死点寄り)に行うようにしている。すなわち、比較的点火時期までの時間が長い前段の燃料噴射で気化を促進し、後段の燃料噴射によって圧縮空気密度の増大を図っている。
なお、ECU2の燃焼制御部41は、前段と後段との噴射燃料の比率(分割比)や後段の燃料噴射時期を、膨張行程気筒12Aのピストン停止位置や逆転開始時の筒内空気温度(推定値)によって補正し、気化性能を確保しつつ燃焼エネルギを可及的に増大させることができるようにしている。すなわち膨張行程気筒12Aのピストン停止位置が適正停止範囲Rのうちの比較的下死点寄りにあるとき(比較的筒内空気量が多い)は、比較的上死点寄りにあるとき(比較的筒内空気量が少ない)に比べて後段の燃料噴射量比率を増大させている。これは、比較的筒内空気量が多いときは、その圧縮反力も大きくなるので、後段の燃料噴射量をより多くすることによって効果的に圧縮圧力を低減させ、圧縮空気の密度を増大させるためである。また、筒内空気温度が比較的高いときにも後段の燃料噴射量比率を増大させている。これは、筒内空気温度が高いときは燃料の気化性能が高くなっているので、気化性能を確保するための前段の燃料噴射をあまり必要としなくなるからである。
後段の燃料噴射時期に関しては、筒内空気温度が比較的高いときに後段の燃料噴射時期を遅らせている。つまり、筒内空気温度が高いときは燃料の気化性能が高くなっているので、後段の燃料噴射時期を遅らせても点火までの間に気化し易くなっており、その分燃料噴射時期を遅らせることで圧縮空気密度の更なる増大を図っている。
上記のような制御を含むエンジン再始動時の制御動作を図11以降に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、所定のエンジン再始動条件(停車状態から発進のためのアクセル操作等が行われた場合、バッテリ電圧が低下した場合、あるいはエアコンが作動した場合等)が成立したか否かを判定し(ステップS1)、NOと判定されてエンジンの再始動条件が成立していないことが確認された場合には、そのままの状態で待機する。ステップS1でYESと判定されてエンジンの再始動条件が成立したことが確認された場合には、エンジン停止からの経過時間を算出(ステップS2)し、その経過時間、油水温、ピストン停止位置から、第2TDC時点の残存エネルギを算出する(ステップS3)。この残存エネルギは、予め実験等の結果に基づいて設定されたマップM9(図10に相当する特性マップ)を参照することにより求められる。
そして、残存運動エネルギが所定値(1J)以下であるとき(ステップS4でYESであって、ピストン停止位置が適正停止範囲R或いは適正停止範囲R’にないとき)にはスタータ併用による再始動が実施され(ステップS5)、そうでないとき(ステップS4でNO)には燃焼のみによる再始動が実行される。
図12〜図14は、図11のステップS6に相当する燃焼のみによる再始動のサブルーチンである。このルーチンがスタートすると、まず筒内温度推定部46が、エンジン水温、停止時間(自動停止からの経過時間)、吸気温度などから筒内温度を推定する(ステップS102)。そして、ピストン位置検出部45によって検出されたピストン13の停止位置に基づいて圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12A内の空気量を算出する(ステップS103)。つまり、上記ピストン13の停止位置から圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aの燃焼室容積が求められ、また、エンジン停止の際には燃料噴射の停止後にエンジンが数回転してから停止するので膨張行程気筒12Aも新気で満たされた状態にあり、かつ、エンジン停止中に圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aの内部は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から新気量が求められることとなる。
次に、ピストン停止位置が、圧縮行程気筒12Cにおける適正停止範囲R(上死点前BTDC60〜80°CA)または補正された適正停止範囲R’のうち、比較的下死点BDC側であるか否かの判定が行われる(ステップS104)。
ステップS104でYESと判定され、比較的空気量が多いときは、ステップS105に移行して、上記ステップS103で算出された圧縮行程気筒12Cの空気量に対してλ(空気過剰率)>1なる空燃比(たとえば空燃比=20程度)となるように燃料を噴射させる(1回目の燃料噴射)。この空燃比はピストンの停止位置に応じて予め設定された圧縮行程気筒1回目用空燃比マップM1から求められる。λ>1というリーン空燃比とすることにより、比較的圧縮行程気筒12C内の空気量が多いときであっても、逆転のための燃焼エネルギが過多となることなく、逆転し過ぎる(圧縮行程気筒12Cにおいて、下死点側に動いたピストン13が下死点を通過して、吸気行程まで逆転してしまう)ことを防止している。
一方ステップS104でNOと判定され、比較的空気量が少ないときは、ステップS106に移行して、上記ステップS103で算出された圧縮行程気筒12Cの空気量に対してλ≦1なる空燃比となるように燃料を噴射させる(1回目の燃料噴射)。この空燃比はピストンの停止位置に応じて予め設定された圧縮行程気筒1回目用空燃比マップM2から求められる。λ≦1という理論空燃比ないしはそれよりリッチ空燃比とすることにより、比較的圧縮行程気筒12C内の空気量が少ないときであっても、逆転のための燃焼エネルギを充分得ることができる。
次にステップS107に移行し、圧縮行程気筒12Cへの1回目燃料噴射から気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒に対して点火を行う。そして、点火してから一定時間内にクランク角センサ30,31のエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下がり)が検出されたか否かにより、ピストン13が動いたか否かを判定し(ステップS108)、NOと判定されて失火によりピストン13が動かなかったことが確認された場合には、圧縮行程気筒12Cに対して再点火を繰り返し行う(ステップS109)。
クランク角センサ30,31のエッジが検出され、ピストン13が動いたと判定されると(ステップS108でYES)、ピストン停止位置および上記ステップS102で推定した筒内温度に基いて、膨張行程気筒12Aに対する分割燃料噴射の分割比(前段噴射(1回目)と後段噴射(2回目)との比率)を算出する(ステップS121)。膨張行程気筒12Aにおけるピストン停止位置が下死点寄りであるほど、また筒内温度が高いほど、後段の噴射比率を大きくする。
次に上記ステップS103で算出した膨張行程気筒12Aの空気量に対して所定の空燃比(λ≦1)となるように燃料噴射量を算出する(ステップS122)。この際の空燃比はピストンの停止位置に応じて予め設定された膨張行程気筒用空燃比マップM3から求められる。
次に、ステップS122で算出された膨張行程気筒12Aへの燃料噴射量とステップS121で算出された分割比とによって、膨張行程気筒12Aに対する前段(1回目)の燃料噴射量を算出し、噴射する(ステップS123)。
次に、上記ステップS102で推定された筒内温度に基づき、膨張行程気筒12Aに対する後段(2回目)の燃料噴射時期を算出する(ステップS124)。この2回目の噴射時期は、ピストン13が上死点側への移動(エンジンの逆転)を開始した後の、筒内空気が圧縮されている時期であるとともに、噴射燃料の気化潜熱が圧縮圧力を効果的に減少させる(ピストン13を可及的に上死点へ近づける)ように、かつこの2回目の噴射燃料が点火時期までに気化する時間が可及的に長くなるように設定される。
次に、ステップS122で算出された膨張行程気筒12Aへの燃料噴射量とステップS121で算出された分割比とによって、膨張行程気筒12Aに対する後段(2回目)の燃料噴射量を算出し(ステップS125)、上記ステップS124で算出された2回目の噴射時期に噴射する(ステップS126)。
膨張行程気筒12Aへの2回目の燃料噴射後、所定のディレー時間経過後に点火する(ステップS127)。所定のディレー時間はピストンの停止位置に応じて予め設定された膨張行程気筒点火ディレーマップM4から求められる。この点火による膨張行程気筒12Aでの初回燃焼により、エンジンは逆転から正転に転ずる。従って圧縮行程気筒12Cのピストン13は上死点側に移動し、内部のガス(上記ステップS107の点火によって燃焼した既燃ガス)を圧縮し始める。
次に、燃料気化時間を考慮に入れ、圧縮行程気筒12Cに2回目の燃料を噴射する(ステップS128)。この際の燃料噴射量は、1回目の噴射量とを合計した噴射量に基づく全体の空燃比が可燃空燃比(下限は7〜8)よりも更にリッチ(例えば6程度)になるように、ピストンの停止位置に応じて予め設定された圧縮行程気筒2回目用空燃比マップM5から求められる。この圧縮行程気筒12Cの2回目の噴射燃料の気化潜熱によって、圧縮行程気筒12Cの圧縮上死点付近の圧縮圧力が低減するので、当該圧縮上死点を容易に越えることができる。
なお、この圧縮行程気筒12Cへの2回目の燃料噴射は、専ら筒内の圧縮圧力を低減させるためになされるものであって、これに対する点火、燃焼は行われない(可燃空燃比よりもリッチなので自着火も起こらない)。この不燃燃料は、その後、排気通路22に設けられた図外の触媒において吸蔵されている酸素と反応し、無害化して排出される。
上記のように圧縮行程気筒12Cでの2回目の噴射燃料は燃焼しないので、膨張行程気筒12Aでの最初の燃焼に続く次の燃焼は、吸気行程気筒12D(停止時に吸気行程にあった#4気筒。図15参照。)での最初の燃焼である。吸気行程気筒12Dのピストン13が圧縮上死点を越えるためのエネルギとして、膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギの一部が充てられる。つまり膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギは、圧縮行程気筒12Cが圧縮上死点を乗り超えるためと吸気行程気筒12Dが圧縮上死点を越えるためとの両方に供される。
従って、円滑な始動のためには吸気行程気筒12Dが圧縮上死点を越えるためのエネルギが小さいことが望ましい。以下のステップS140〜S144は、次の吸気行程気筒12Dでの燃焼を行うにあたり、圧縮上死点を越えるためのエネルギを可及的に小さくするための制御である。
まずステップS140で、筒内空気密度を推定し、その推定値から吸気行程気筒12Dの空気量を算出する。次に、ステップS102で推定した筒内温度に基いて、自着火防止のための空燃比補正値を算出する(ステップS141)。すなわち自着火が起こると、その燃焼によって圧縮上死点に至る前にピストン13を下死点側に押し戻す力(逆トルク)が発生する。これはその分圧縮上死点を越えるためのエネルギを多く消費するので望ましくない。そこでこの逆トルクを抑制するために空燃比をリーン側に補正し、自着火が起こらないようにするのである。
次に、上記ステップS140で算出した吸気行程気筒12Dの空気量と、上記ステップS141で算出した空燃比補正値を考慮した空燃比とから、吸気行程気筒12Dへの燃料噴射量を算出する(ステップS142)。
そして吸気行程気筒12Dに対する燃料噴射を行うが、この燃料噴射は、その気化潜熱によって圧縮圧力が低減するように(つまり圧縮上死点を越えるための必要エネルギを低減するように)、圧縮行程の後期まで遅延してなされる(ステップS143)。その遅延量は、エンジンの自動停止期間、吸気温度、エンジン水温等に基いて算出される。
次に、上記逆トルクの発生を抑制するため、点火時期を上死点以降に遅延して点火する(ステップS144)。以上の制御によって、吸気行程気筒12Dにおいて、圧縮上死点まではその圧縮圧力を小さくして上死点を越え易くし、上死点を過ぎた時点で燃焼エネルギによる正転方向のトルクが発生するようになる。
ステップS144の後、通常の制御に移行しても良いが、当実施形態では更に吹上がり抑制制御を行っている。ここで言う吹上がりとは、吸気行程気筒12Dでの初回燃焼以降、エンジン回転速度が必要以上に急上昇することをいい、加速ショックが発生したり運転者に違和感を与えたりする虞があって望ましくない。吹上がりは、自動停止期間中の吸気圧力(スロットル弁23より下流の圧力)が略大気圧となっているために、始動直後(吸気行程気筒12Dでの初回燃焼以降)の各気筒での燃焼エネルギが通常のアイドル運転時の燃焼エネルギに比べて一時的に大きくなることによって起こる。そこで以降のステップS145〜S158で、この吹上がりを抑制する制御を行っている。
まずオルタネータ28の発電を開始する(ステップS145)。その目標電流値はECU2の発電量制御部44によって通常より高めに設定される。オルタネータ28の発電によってクランクシャフト3の負荷(エンジン負荷)が増大するので、吹上がりが抑制される。
次に吸気圧センサ26によって検知される吸気圧が、アイドルストップを行わない場合の通常のアイドル時における吸気圧力より高いか否かが判定される(ステップS150)。ここでYESと判定されると、吹上がりが起こり易い状態となっているので、スロットル弁23の開度を通常のアイドル運転時におけるスロットル開度よりも更に小さくし(ステップS151)、燃焼エネルギの発生量を抑制する。
次に排気通路22に設けられた触媒の温度が活性温度以下であるか否かが判定され(ステップS152)、YESと判定されれば目標空燃比をλ≦1なるリッチ空燃比に設定するとともに(ステップS153)、点火時期を上死点以降に遅延させる(ステップS154)。こうすることにより、触媒の温度上昇が促進されるとともに、点火時期の遅延によって燃焼エネルギの発生量が抑制される。
遡って、ステップS152でNOと判定されたときは、目標空燃比をλ>1なるリーン空燃比に設定して(ステップS158)燃焼させる。このリーン燃焼によって燃料の消費を抑制しつつ燃焼エネルギの発生量を抑制することができる。
ステップS154またはステップS158の後はステップS150に戻り、NOと判定されるまで上記制御を繰り返す。ステップS150でNOと判定されると、もはや吹上がりの虞がないので、オルタネータ28の発電量も含めて通常制御に移行する(ステップS160)。
上記の再始動制御が実行されることにより、図15に示すように、先ず圧縮行程気筒12C(#3気筒)において1回目の燃料噴射J3が行われ、点火によって燃焼が行われる。この燃焼による燃焼圧(図15中のa部分)で、圧縮行程気筒12Cのピストン13が下死点側に押し下げられてエンジンが逆転方向に駆動される。ここで、圧縮行程気筒12Cの1回目の燃料噴射J3が、比較的空気量の多いときにはリーン空燃比(λ>1)、少ないときには理論空燃比ないしはそれよりリッチ空燃比(λ≦1)となるように噴射されるので、エンジン逆転のための適度な燃焼エネルギ、すなわち膨張行程気筒12A内の空気を充分圧縮しつつも、その圧縮上死点を超えて逆転し過ぎることのない程度の燃焼エネルギを得ることができる。
エンジンの逆回転開始に伴って膨張行程気筒12A(#1気筒)のピストン13が上死点方向に動き始める。またその直後に膨張行程気筒12Aでの1回目(前段)の燃料噴射J1が行われ、気化し始める。
そして、膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点側(望ましくは行程中央より上死点寄り)に移動し、筒内の空気が圧縮された時点で2回目(後段)の燃料噴射J2が行われる。この噴射燃料の気化潜熱によって圧縮圧力が低減し、ピストン13がより上死点に近づくので圧縮空気(混合気)の密度が増大する(図15中のb部分)。
そして膨張行程気筒12Aのピストン13が上死点に充分に近づいた時点で当該気筒に対する点火が行われて、気化が促進された1回目の噴射燃料(J1)と2回目の噴射燃料(J2)とが燃焼し、その燃焼圧(図15中のc部分)でエンジンが正転方向に駆動される。
さらに、圧縮行程気筒12Cに対して適当なタイミングで可燃空燃比よりもリッチな燃料が噴射(J4)されることにより、この圧縮行程気筒12Cでは燃焼させないものの、燃料噴射による気化潜熱によって該圧縮行程気筒12Cの圧縮圧力を低減させる(図15中のd部分)。これにより、当該圧縮上死点(始動開始から最初の圧縮上死点)を超えるために消費される膨張行程気筒12Aの最初の燃焼エネルギを低減することができる。
さらに、次の燃焼気筒である吸気行程気筒12Dにおける燃料噴射(J5)の時期を、燃料の気化潜熱によって気筒内の温度、および圧縮圧力を低下させる適正なタイミング(例えば圧縮行程の中期以降)に設定しているため、該吸気行程気筒12Dの圧縮行程での(圧縮上死点前での)自着火が防止される。また、該吸気行程気筒12Dの点火時期が圧縮上死点以降に設定されていることも相俟って、圧縮上死点前での燃焼が防止される(図15中のe部分)。つまり燃料噴射(J5)による圧縮圧力の低減と圧縮上死点前の燃焼を行わないことにより、当該圧縮上死点(第2TDC)を超えるために消費される膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギを低減することができる。
こうして膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のエネルギによって、再始動開始後の最初の圧縮上死点(第1TDC)と2番目の圧縮上死点(第2TDC)とを超えることができ、円滑で確実な始動性を確保することができる。
それ以降は、触媒の温度に応じて空燃比をリーン(λ>1)にしたり点火時期を遅延させたりして吹上がりを防止しつつ通常運転に移行する。
図16は、図11のステップS5に相当するスタータ併用による再始動のサブルーチンである。スタータを併用する場合は、エンジンの逆転を行わず、最初からエンジンを正転方向に作動させるように制御される。
このルーチンがスタートすると、まずスタータモータ39を駆動する(ステップS201)。次にピストン停止位置より圧縮行程気筒12C、膨張行程気筒12Aの空気量を算出し(ステップS202)、圧縮行程気筒12Cおよび膨張行程気筒12Aに燃料を噴射する。その際の空燃比は、λ=1とされる(ステップS203)。
次に膨張行程気筒12Aで点火し(ステップS204)燃焼させ、続いて圧縮行程気筒12Cで点火し(ステップS205)、燃焼させる。
さらに筒内空気密度の推定値から吸気行程気筒12Dの空気量を算出し(ステップS206)、その吸気行程気筒12Dに燃料を噴射(λ=1)し(ステップS207)、点火させて(ステップS208)燃焼させる。
以下順次各気筒での燃焼を行わせ、エンジンの回転速度Neが所定の回転数N2に達した時点(ステップS209でYES)でスタータを停止させる(ステップS210)。その後、図14のステップS145にリターンし、吹上がりを抑制しつつ通常制御に移行する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能である。たとえば、当実施形態の燃焼のみによる再始動において、エンジンを一旦逆転させるようにしているが、必ずしもそのようにする必要はなく、最初から正転方向に作動させるようにしても良い。
また、上記実施形態では再始動時の膨張行程気筒12Aにおける初回燃焼のための燃料噴射を分割噴射(J1+J2)としたが、これを、気化潜熱による圧縮圧力の低減と気化性能の確保とが可及的に両立できるタイミング(所定燃料噴射時期)を実験等によって策定し、この所定燃料噴射時期における1回の燃料噴射としても良い。
冷却水回路Lは、電動ウォータポンプ57を設けず、ウォータポンプ56のみによって循環するものとしても良い。その場合、エンジン停止後の所定期間(図10の時点t11〜t12に相当する期間)に、ピストン停止位置に拘わらずスタータモータ39を作動させるようにしても良い。また、エンジンが高負荷運転状態の後に自動停止を行った場合にスタータモータ39による駆動力付与の要否判定を行うようにしても良い。
エンジンを自動停止させる制御は上記実施形態に限るものではなく、適宜設定して良い。但し再始動性を高めるためには、膨張行程気筒12Aにおけるピストン13の停止位置が行程中央よりよやや下死点寄り(圧縮行程気筒12Cにおいては行程中央よりやや上死点寄り)となるような制御であることが望ましい。
本発明に係る始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。 エンジンの吸気系および排気系の構成を示す説明図である。 当実施形態のエンジンの冷却系回路構成図である。 エンジンの停止時に膨張行程および圧縮行程になる気筒のピストン停止位置と空気量との関係を示す説明図である。 エンジン停止時におけるエンジン回転速度の変化状態等を示すタイムチャートである。 図5の部分拡大図であり、さらにクランク角および各気筒の行程推移を示すタイムチャートである。 ピストン停止位置の検出制御動作を示すフローチャートである。 クランク角信号に出力信号を示す説明図である。 エンジン停止からの経過時間と筒内温度推定値との関係を示すグラフである。 エンジン始動後の第2TDC(圧縮上死点)時点の残存運動エネルギを示す特性図であって、(a)はエンジン停止時点の筒内温度が比較的低温の場合、(b)は比較的高温の場合を示す。 エンジン再始動時の制御動作を示すフローチャートである。 図11に示すフローチャートの一部を示すサブルーチンであり、燃焼のみによるエンジン再始動時の制御動作を示す(1/3)。 図11に示すフローチャートの一部を示すサブルーチンであり、燃焼のみによるエンジン再始動時の制御動作を示す(2/3)。 図11に示すフローチャートの一部を示すサブルーチンであり、燃焼のみによるエンジン再始動時の制御動作を示す(3/3)。 燃焼のみによるエンジンの再始動時におけるエンジン回転速度の変化状態等を示すタイムチャートである。 図11に示すフローチャートの一部を示すサブルーチンであり、スタータ併用によるエンジン再始動時の制御動作を示す。
符号の説明
12A #1気筒(膨張行程気筒)
12B #2気筒(排気行程気筒)
12C #3気筒(圧縮行程気筒)
12D #4気筒(吸気行程気筒)
13 ピストン
33 水温センサ
39 スタータモータ
42 スタータモータ制御部(スタータモータ制御手段)
45 ピストン位置検出部(ピストン位置検出手段)
50 ラジエータ
56 ウォータポンプ(冷却水循環手段)
57 電動ウォータポンプ(冷却水強制循環手段)
R ピストンの適正停止範囲
R’ ピストンの適正停止範囲(補正後)

Claims (7)

  1. 所定のエンジン自動停止条件が成立したときに燃料供給を停止させてエンジンを停止させ、そのエンジン停止後において所定の再始動条件が成立したときに、少なくともエンジン停止時に膨脹行程にある膨張行程気筒に燃料を供給し、点火して燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、
    少なくともエンジンの自動停止時における上記膨張行程気筒のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、
    エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータと、
    再始動の際、上記スタータモータによる駆動力付与の要否を判定するとともに、必要と判定したときに上記スタータモータを作動させるスタータモータ制御手段とを備え、
    上記スタータモータ制御手段は、エンジン停止時における上記膨張行程気筒のピストン位置が、再始動に適正な行程中期の所定範囲である適正停止範囲にあるときは上記スタータモータによる駆動力付与を不要と判定し、上記適正停止範囲にないときは必要と判定するとともに、上記再始動条件成立時がエンジン停止後の筒内温度が高いとされる所定期間内であるとき、上記適正停止範囲を狭くするように補正することを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 上記補正は、上記適正停止範囲の、上記膨張行程気筒における上死点側領域を削減するようになされるものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジン停止中に冷却水をラジエータ側に強制的に循環させる冷却水強制循環手段を備え、
    該冷却水強制循環手段によって冷却水が強制循環させられているエンジン停止中の上記所定期間内に上記再始動条件が成立したとき、上記スタータモータ制御手段は、上記補正を行うことを特徴とする請求項1または2記載のエンジンの始動装置。
  4. エンジンの冷却水温度を検知する水温センサを備え、
    エンジンの冷却水温度が所定値以上であるとき、上記スタータモータ制御手段は、上記適正停止範囲を0とする補正を行い、ピストン停止位置に拘わらずエンジン再始動の初期から上記スタータモータを作動させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエンジンの始動装置。
  5. 所定のエンジン自動停止条件が成立したときに燃料供給を停止させてエンジンを停止させ、そのエンジン停止後において所定の再始動条件が成立したときに、少なくともエンジン停止時に膨脹行程にある膨張行程気筒に燃料を供給し、点火して燃焼を行わせることによりエンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、
    エンジンに正転方向の駆動力を付与するスタータモータと、
    再始動の際、上記スタータモータによる駆動力付与の要否を判定するとともに、必要と判定したときに上記スタータモータを作動させるスタータモータ制御手段とを備え、
    上記スタータモータ制御手段は、上記再始動条件成立時がエンジン停止後の筒内温度が高いとされる所定期間内であるとき、上記スタータモータによる駆動力付与が必要と判定してエンジン再始動の初期から上記スタータモータを作動させることを特徴とするエンジンの始動装置。
  6. エンジンの作動と連動して冷却水をラジエータ側に循環させる冷却水循環手段を備え、
    エンジン停止中は、上記冷却水循環手段の作動が停止することによって冷却水の意図的な循環が停止させられることを特徴とする請求項5記載のエンジンの始動装置。
  7. エンジンが高負荷運転状態の後に自動停止を行った場合に、上記スタータモータ制御手段が上記スタータモータによる駆動力付与の要否判定を行うことを特徴とする請求項5または6記載のエンジンの始動装置。
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