JP2008297187A - 光学素子の成形素材とその成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱軟化時の成形素材の光学機能面予定面での発泡による曇り等の変質を防止することのできる光学素子を提供する。
【解決手段】底面20aを有する略円柱状の大径部201と、この大径部201から底面20aに対して直交方向に突出する略円柱状の小径部202と、を有し、小径部202の先端の曲率半径をRとし、大径部201及び小径部202を合わせた底面20aと直交する方向の高さをHとしたとき、 2×R≦H かつ、小径部202の径をD1とし、大径部201の径をD2としたとき、 D1< D2 の関係を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、対向配置された一対の成形型を用いて成形素材を成形する光学素子の成形素材とその成形方法に関する。
近年、成形型を用いてガラス等の成形素材を高精度で成形して、容易に成形することのできる製造方法が実用化されている。この場合、成形素材として、例えば安価な球状素材や碁石状ゴブが用いられている。そして、従来、図17に示すように、球状の成形素材を用いた場合、対向する上型112と下型114との間に、保持枠116で保持された球状の成形素材120を配置し、下型114を上型112に接近移動させていた。すると、図18に示すように、球状の成形素材120と上型112の凹状の成形面112aとの間にガス残り101が生じるおそれがある。このガス残り101により、成形品に転写不良が発生するおそれがある。
これに対し、ガス残り101を防止する従来技術として、例えば特許文献1には、不活性ガスが充填されている成形室内で、プレス成形する場合、プレス動作する直前に成形室内の不活性ガスの圧力を負圧にするという技術が提案されている。この特許文献1によれば、光学機能面においてガス残りのない転写性の良好な光学素子が得られるというものである。
特開平9−30818号公報
しかしながら、成形素材の材質によっては、成形素材を加熱軟化する際、成形型から熱が伝導される伝熱接点(ポイント)で温度差により成形素材に発泡などの変質が発生するものがある。このような材質の成形素材を加熱するには、成形素材の光学機能面(予定面)を非接触で加熱しなければならない。
このため、特許文献1では、前記変質とガス残りの防止を両立させることは困難であった。また、特許文献1のように、成形室内を負圧にすると成形素材が加熱により不安定化し、さらに発泡しやすくなるという課題がある。更に、成形室内を負圧にする装置では、コストも高価になり、成形の条件も設定が難しくなった。
ところで、凸面成形時には、成形素材の曲率半径Rが型の曲率半径Rよりも大きいと、ガス残りができてしまう。また、凹面成形時には、成形素材の曲率半径Rが型の曲率半径Rよりも小さいとガス残りができてしまう。
本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、加熱軟化時の成形素材の光学機能面予定面での発泡による曇り等の変質を防止することのできる光学素子の成形素材とその成形方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
支持面を有する略円柱状の素材基部と、
該素材基部から前記支持面に対し直交する方向の少なくとも一方に突出し、先端が球面に形成された略円柱状の柱状部と、を有し、
前記柱状部の先端の曲率半径をRとし、前記素材基部及び前記柱状部を合わせた前記支持面と直交する方向の高さをHとしたとき、
2×R≦H
かつ、前記柱状部の寸法をD1とし、前記素材基部の寸法をD2としたとき、
D1<D2
の関係を有することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記柱状部は、前記直交方向の一方に突出し、先端は凸球面に形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記柱状部は、前記直交方向の一方に突出し、先端は凹球面に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端はいずれも凸球面に形成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端はいずれも凹球面に形成されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端は一方が凸球面に形成され他方が凹球面に形成されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の成形素材において、
前記素材基部と前記柱状部とは、円弧面又はテーパ面でなだらかに接続されていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、
成形素材を挟んで対向配置された一対の成形型を用いて前記成形素材を成形する光学素子の成形方法において、
前記成形素材は、支持面を有する略円柱状の素材基部と、該素材基部から前記支持面に対し直交方向の少なくとも一方に突出する略円柱状の柱状部と、を有し、
前記成形素材を、前記素材基部及び前記柱状部の夫々の光学機能面予定面が前記一対の成形型の成形面と非接触となるように前記支持面にて保持し、該支持面から熱伝導により加熱軟化したのち、
前記一対の成形型を相対的に接近移動させて前記成形面の中心を前記光学機能面予定面の中心に接触させつつ押圧成形することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の光学素子の成形方法において、
前記一対の成形型の一方が凹状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が凸球面を有する場合に、
前記凹状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凸球面の曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項8に記載の光学素子の成形方法において、
前記一対の成形型の一方が凸状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が凹球面を有する場合に、
前記凸状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凹球面の曲率半径よりも小さく形成されていることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項8に記載の光学素子の成形方法において、
前記一対の成形型の一方が凸状で他方が凹状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が夫々凹球面と凸球面を有する場合に、
前記凸状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凹球面の曲率半径よりも小さく形成され、前記凹状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凸球面の曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、加熱軟化時の成形素材の光学機能面予定面での発泡による曇り等の変質を防止することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の成形工程を示す図である。
この成形装置は型セット10を有し、この型セット10は、上型12、下型14、保持枠16、及びスリーブ18を有している。上型12は凹球面状の成形面12aを有し、下型14は平坦な成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。保持枠16は、内側に下型14を嵌挿した状態でスリーブ18に嵌挿されている。
上型12は、その鍔部12bがスリーブ18の端面に当接されている。下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部は平坦な成形面14aに形成されている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中央部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、保持枠16の保持部16aに嵌合保持された状態で、上型12の成形面12aと下型14の平坦な成形面14aとの間に配置されることになる。
そして、成形素材20が、保持枠16の保持部16aに嵌合保持された状態では、大径部(素材基部)201の中央底面の光学機能面予定面と下型14の成形面14aとの間には、所定の間隙sが形成されている。この間隙sは、下型14の段部と保持枠16の段付き孔16bの段部との間の間隙sと略等しく形成されている。
本実施の形態の場合、成形素材20は、例えば後述する鉄砲玉形状の光学ガラス等の熱可塑性素材からなっている。この成形素材20は、紫外線等を透過する特殊なガラスであり、加熱すると、その伝熱部分が曇ってしまう性質を有している。このため、後述するように、成形品の光学機能面には曇りを生じさせないような成形方法を採用している。なお、上型12、下型14、及び保持枠16は、例えばタングステンカーバイド(WC)等の超硬合金からなっている。
図2に示すように、成形素材20は、段付き円柱状をなし、素材基部としての大径部201と柱状部としての小径部202とを有している。また、大径部201と小径部202との間には段部20dが形成されている。大径部201は、支持面としての底面20aを有している。小径部202は、この底面20aに対し略直交する一方向(図2の上方)に突出し、先端部20bが凸球面に形成されている。
この成形素材20は、小径部202の先端の曲率半径をRとし、大径部201及び小径部202を合わせた底面20aと直交する方向の高さをHとしたとき、
2×R≦H (1)式
かつ、
小径部202の直径をD1とし、大径部201の直径をD2としたとき、
D1<D2 (2)式
の関係を有している。
ここで、小径部202の先端部20bと上型12の凹球面状の成形面12aについて考える。上型12の凹球面状の成形面12aの曲率半径をR’、小径部202の先端部20bの曲率半径をRとすると、
R<R’
の関係を有している。
これにより、成形の過程で、小径部202の先端部20bが上型12の凹球面状の成形面12aに当接したときに、その当接面(境界面)にガス残りが生じるのを防止することができる。なお、小径部202の先端部20bの径D1は、上型12の凹球面状の成形面12aの有効成形面よりも小さめの寸法に形成されている。
また、下型14の成形面14aによる平面成形の場合は、成形素材20の大径部201の底面は浅い凸面とすれば境界面にガス残りが生じない。
また、成形素材20の大径部201の径D2は、下型14の成形面径D3(図1参照)よりも大きい寸法を有している。
成形素材20の大径部201は、保持枠16の保持部16aによって嵌合保持される形状を有している。また、この保持枠16の段付き孔16b内に、段付き円柱状の下型14が摺動可能に配置されている。
図1に示したように、成形に際しては、成形素材20の大径部201を、保持枠16の保持部16aに嵌合保持する。このとき、成形素材20は、大径部201の底面の外周側と側面の一部が保持枠16の保持部16aに接触している。そして、加熱時にはこの接触部を通して保持枠16から成形素材20に熱が伝導される。
次に、成形素材20を収容した型セット10を、不図示の上下一対のヒータプレートにて上下方向から挟持する。そして、この上下一対のヒータプレートに通電されると、このヒータプレートから熱伝導によって型セット10が加熱され、該型セット10から成形素材20が加熱される(加熱工程)。
このとき、成形素材20は、保持枠16の保持部16aから熱伝導により加熱される。この加熱時には、大径部201の底面と側面の一部は、保持部16aとの伝熱接点(ポイント)となるため、発泡して曇る。しかし、大径部201の中央底面の光学機能面予定面(底面20aの中央側)は、保持部16a及び下型14の成形面14aと非接触であるため発泡しない。
すなわち、熱は保持枠16の保持部16aから大径部201の周囲底面及び周囲側面を介して成形素材20に伝導される。これにより、成形素材20は熱伝導部以外は発泡しないため、光学機能面予定面を曇らせることなく加熱することができる。
次に、成形素材20が加熱軟化した後、型セット10を移動させて、その型セット10を不図示の対向する加圧プレート間に挟持する(成形工程)。この場合、適宜の温度設定手段によって型セット10の温度を加熱時よりも低く設定する。加熱工程では、成形素材20を軟化点付近よりも高めの温度に加熱して、成形工程での型セット10の移動等により多少の熱が奪われるためである。
この成形工程では、図3に示すように、不図示の対向する加圧プレートの下方より、不図示の押し上げピンを用いて下型14を所定量押し上げる。このとき、押し上げ当初は、成形素材20の大径部201の中央側の光学機能面予定面は下型14の成形面14aに接触していない。そして、押し上げ途中で、成形素材20の大径部201の中央側の光学機能面予定面が下型14の成形面14aに接触すると共に、下型14の段部が保持枠16の段付き孔16bの段部に当接する。よって、この時以降は、下型14と保持枠16とが一体的に押し上げられる。
やがて、成形素材20の小径部202の先端部20bが上型12の凹状の成形面12aに当接し、該小径部202の先端部20bが押圧されて変形する。このとき、上型12の成形面12a(及び下型14の成形面14a)の中心に、成形素材20の小径部202の先端部20bの中心が当接してから、徐々に周囲に接触面が広がっていく。このため、上型12の成形面12aと成形素材20の先端部20bとの間に、ガス残りが発生するのを防止することができる。
更に、図4に示すように、下型14を押し上げることで、成形素材20の小径部202が大きく押しつぶされ、成形素材20に、上型12の凹球面状の成形面12aが転写される。こうして、成形素材20は小径部202が大きく押し潰されるように変形して、小径部202と大径部201との間の段部20dがほとんどなくなるまで変形する。図4では、わずかに段部20dが残った状態になっている。
次いで、冷却工程に移行し型セット10を徐冷する。こうして、変形後の成形素材20の形状を安定化する。その後、常温付近まで冷却して型セット10を分解し、成形品を取り出す。
図5は、取り出した直後の成形品24の外観を示している。この状態では、大径部201と小径部202が変形したものであるのが推定できる。この成形品24は、大径部201の底面と側面の一部が熱伝導によって発泡して曇っている。このため、成形品24の外径を上型12の成形面径dと略同等の外径にまで削ることによって、熱伝導によって発泡して曇った部分を除去する。図6は、最終的に得られたレンズ製品の外観を示している。このレンズ製品は、光学機能面の直径がdの鉄砲玉のような形状を有している。これは、例えば内視鏡の照明用のレンズに用いられる。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りによる影響のない成形品を、安価に得ることができる。さらに、ガス残りが生じないので成形サイクルを短縮することができる。
また、例えば成形素材20が凸球面で成形型が凹球面の場合、ガス残り防止のために、成形型の凹球面の曲率半径よりも小さい曲率半径の成形素材20を使用しているが、本実施形態では成形素材20の高さに制限がないので、高さのある成形品を成形することもできる。
(変形例)
図7は、第1の実施の形態の変形例の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本変形例では、上型12は平坦な成形面12aを有し、下型14は凹球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が凹球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、大径部201と小径部202とを有し、小径部202の先端部20bは凸球面を有している。また、その形状は前述した(1)式、(2)式を満足している。この成形素材20は、大径部201を上にし、小径部202を下にした状態で保持枠16の保持部16aに嵌合保持される。
この成形素材20は、その大径部201の底面20aは、上型12の成形面12aの有効光学面よりも大きな寸法を有している。
そして、下型14の凹状の成形面14aの曲率半径をR’、小径部202の先端部20bの曲率半径をRとすると、
R<R’
の関係を有している。
これにより、成形の過程で、成形素材20の小径部202の先端部20bが下型14の凹球面状の成形面14aに当接したときに、その当接面(境界面)にガス残りが生じるのを防止することができる。
本変形例によれば、成形素材20の段部から伝熱されて軟化するので、成形素材20の発泡による曇りをなくすことができる。また、ガス残りによる影響もない成形品を、安価に製造することができる。
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は凹球面状の成形面12aを有し、下型14も凹球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が凹球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、底面20aを有する大径部201と、該大径部201から前記底面20aに対し略直交方向の一方に突出する小径部202と、他方に突出する小径部203とを有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。更に、小径部202の先端部20bと小径部203の先端部20cとは、いずれも凸球面をなしている。
ここで、上型12の凹状の成形面12aの曲率半径をR1’、下型14の凹状の成形面14aの曲率半径をR2’、小径部202の先端部20bの凸球面の曲率半径をR1、小径部203の先端部20cの凸球面の曲率半径をR2とすると、
R1<R1’、R2<R2’
の関係を有している。
こうすることで、成形時に、上型12の成形面12aが小径部202の凸球面の先端部20bに、その中心から当接する。また、下型14の成形面14aが小径部203の凸球面の先端部20cに、その中心から当接する。こうして、当接部にガス残りが発生するのが防止される。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りの影響のない成形品を、安価に製造することができる。さらに、軸方向に長く両方の光学機能面が凸球面の光学素子を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図9は、第3の実施の形態の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は凹球面状の成形面12aを有し、下型14は平坦な成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が平坦な成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
図10に示すように、成形素材20は、底面20aを有する大径部201と、該大径部201から底面20aに対し略直交方向に突出する小径部202とを有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。そして、小径部202の先端部20bは凹球面をなしている。
ここで、上型12の凸状の成形面12aの曲率半径をR’、小径部202の先端部20bの曲率半径をRとすると、
R>R’
の関係を有している。
こうすることで、成形時に、上型12の成形面12aが小径部202の先端部20bに、その中心から当接していくこととなり、ガス残りの発生が防止される。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りの影響のない、先端が凹球面の鉄砲玉状の光学素子を得ることができる。
(変形例)
図11は、第3の実施の形態の変形例の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は平坦な成形面12aを有し、下型14は凸球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部は凸球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
本変形例では、成形素材20は大径部201と小径部202を有している。小径部202の先端部20bは凹球面を有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。そして、成形時には、成形素材20を上下反転させ、その段部を保持枠16の保持部16aに嵌合保持している。成形素材20は大径部201の底面20aは、上型12の成形面12aの光学機能面よりも大きい寸法を有している。
ここで、下型14の凸状の成形面14aの曲率半径をR’、成形素材20の小径部202の先端部20bの曲率半径をRとすると、
R>R’
の関係を有している。
こうすることで、成形時に、下型14の成形面14aが小径部202の先端部20bに、その中心から当接していくこととなり、ガス残りの発生が防止される。
本変形例によれば、成形素材20の段部から伝熱されて軟化するので、成形素材20の発泡による曇りをなくすことができる。また、ガス残りの影響のない成形品を安価に得ることができる。
(第4の実施の形態)
図12は、第4の実施の形態の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は凸球面状の成形面12aを有し、下型14は凸球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が凸球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、底面20aを有する大径部201と、該大径部201から前記底面20aに対し略直交方向の一方に突出する小径部202と、他方に突出する小径部203とを有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。そして、小径部202の先端部20bと小径部203の先端部20cとは、いずれも凹球面をなしている。
この場合、上型12の凸球面状の成形面12aの曲率半径をR1’、下型14の凸球面状の成形面14aの曲率半径をR2’、小径部202の先端部20bの凹球面の曲率半径をR1、小径部203の先端部20cの凹球面の曲率半径をR2とすると、
R1>R1’、R2>R2’
の関係を有している。
このようにすることで、成形時に、上型12の成形面12aに小径部202の凹球面の先端部20bが、また、下型14の成形面14aに小径部203の凹球面の先端部20cが、その中心から当接していくこととなり、ガス残りの発生が防止される。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りの影響のない成形品を、安価に得ることができる。さらに、軸方向に長く両方の光学機能面が凹球面の光学素子を得ることができる。
(第5の実施の形態)
図13は、第5の実施の形態の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は凹球面状の成形面12aを有し、下型14は凸球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が凸球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、底面20aを有する大径部201と、該大径部201から前記底面20aに対し略直交方向の一方に突出する小径部202と、他方に突出する小径部203とを有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。そして、小径部202の先端部20bは凸球面をなし、小径部203の先端部20cは凹球面をなしている。
この場合、上型12の凹球面状の成形面12aの曲率半径をR1’、下型14の凸球面状の成形面14aの曲率半径をR2’、小径部202の先端部20bの凸球面の曲率半径をR1、小径部203の先端部20cの凹球面の曲率半径をR2とすると、
R1<R1’、R2>R2’
の関係を有している。
このようにすることで、成形時に、上型12の成形面12aに小径部202の凸球面の先端部20bが、また、下型14の成形面14aに小径部203の凹球面の先端部20cが、その中心から当接していくこととなり、ガス残りの発生が防止される。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りの影響のない成形品を、安価に得ることができる。さらに、軸方向に長くかつ一方の光学機能面が凸球面で他方の光学機能面が凹球面の光学素子を得ることができる。
(第6の実施の形態)
図14は、第6の実施の形態の成形工程を示す図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、上型12は凸球面状の成形面12aを有し、下型14は凹球面状の成形面14aを有している。上型12、下型14、及び保持枠16は、スリーブ18の内部で、成形面12aと成形面14aとが対向するようにスリーブ18の両端側から嵌挿されている。
下型14は、段付き円柱状をなし、大径の基部141と小径の柱状部142とを有している。柱状部142の先端部が凹球面状の成形面14aとなっている。保持枠16は、上部に成形素材20を嵌合保持するための保持部16aと、中心部に下型14を摺動可能に嵌挿する段付き孔16bを有している。この保持枠16は、スリーブ18の軸方向(図の上下方向)に摺動可能となっている。
成形素材20は、底面20aを有する大径部201と、該大径部201から前記底面20aに対し略直交方向の一方に突出する小径部202と、他方に突出する小径部203とを有している。また、その形状は(1)式、(2)式を満足している。そして、小径部202の先端部20bは凹球面をなし、小径部203の先端部20cは凸球面をなしている。
この場合、上型12の凸球面状の成形面12aの曲率半径をR1’、下型14の凹球面状の成形面14aの曲率半径をR2’、小径部202の先端部20bの凹球面の曲率半径をR1、小径部203の先端部20cの凸球面の曲率半径をR2とすると、
R1>R1’、R2<R2’
の関係を有している。
こうすることで、成形時に、上型12の成形面12aに小径部202の凹球面の先端部20bが、また、下型14の成形面14aに小径部203の凸球面の先端部20cが、その中心から当接していくこととなり、ガス残りの発生が防止される。
本実施形態によれば、成形素材20の加熱時の発泡による曇りを防止することができる。また、ガス残りの影響のない成形品を、安価に得ることができる。さらに、軸方向に長くかつ一方の光学機能面が凹球面で他方の光学機能面が凸球面の光学素子を得ることができる。
(第7の実施の形態)
図15及び図16は、成形素材20の他の実施の形態を示している。
すなわち、図15では、成形素材20の大径の大径部201と小径の小径部202との段差部分を、テーパ面20eでなだらかにつないでいる。また、図16では、成形素材20の大径部201と小径部202との段差部分を、円弧面20fでなだらかにつないでいる。
このように、成形素材20を形成することにより、成形素材20の製造時に生じるカン(ヒビ入り状態)や割れを防止することができる。また、成形素材20を成形する時の座屈や折れ込みを軽減することができ、側面に生じるガス残りを防止することができる。
第1の実施の形態の成形工程を示す図である。 成形素材の外観を示す図である。 第1の実施の形態の成形工程を示す図である。 第1の実施の形態の成形工程を示す図である。 成形品の外観を示す図である。 レンズ製品の外観を示す図である。 第1の実施の形態の変形例の成形工程を示す図である。 第2の実施の形態の成形工程を示す図である。 第3の実施の形態の成形工程を示す図である。 成形素材の外観を示す図である。 第3の実施の形態の変形例の成形工程を示す図である。 第4の実施の形態の成形工程を示す図である。 第5の実施の形態の成形工程を示す図である。 第6の実施の形態の成形素材の成形工程を示す図である。 第7の実施の形態の成形素材を示す図である。 第7の実施の形態の成形素材を示す図である。 従来の成形素材の成形方法を示す図である。 従来の成形素材の成形方法を示す図である。
符号の説明
10 型セット
12 上型
12a 成形面
12b 鍔部
14 下型
141 基部
142 柱状部
14a 成形面
16 保持枠
16a 保持部
16b 段付き孔
18 スリーブ
20 成形素材
201 大径部(素材基部)
202 小径部(柱状部)
203 小径部(柱状部)
20a 底面(支持面)
20b 先端部
20c 先端部
20d 段部
20e テーパ面
20f 円弧面
24 成形品
26 レンズ製品

Claims (11)

  1. 支持面を有する略円柱状の素材基部と、
    該素材基部から前記支持面に対し直交する方向の少なくとも一方に突出し、先端が球面に形成された略円柱状の柱状部と、を有し、
    前記柱状部の先端の曲率半径をRとし、前記素材基部及び前記柱状部を合わせた前記支持面と直交する方向の高さをHとしたとき、
    2×R≦H
    かつ、前記柱状部の寸法をD1とし、前記素材基部の寸法をD2としたとき、
    D1<D2
    の関係を有する
    ことを特徴とする光学素子の成形素材。
  2. 前記柱状部は、前記直交方向の一方に突出し、先端は凸球面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  3. 前記柱状部は、前記直交方向の一方に突出し、先端は凹球面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  4. 前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端はいずれも凸球面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  5. 前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端はいずれも凹球面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  6. 前記柱状部は、前記直交方向の一方と他方に突出し、先端は一方が凸球面に形成され他方が凹球面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  7. 前記素材基部と前記柱状部とは、円弧面又はテーパ面でなだらかに接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の成形素材。
  8. 成形素材を挟んで対向配置された一対の成形型を用いて前記成形素材を成形する光学素子の成形方法において、
    前記成形素材は、支持面を有する略円柱状の素材基部と、該素材基部から前記支持面に対し直交方向の少なくとも一方に突出する略円柱状の柱状部と、を有し、
    前記成形素材を、前記素材基部及び前記柱状部の夫々の光学機能面予定面が前記一対の成形型の成形面と非接触となるように前記支持面にて保持し、該支持面から熱伝導により加熱軟化したのち、
    前記一対の成形型を相対的に接近移動させて前記成形面の中心を前記光学機能面予定面の中心に接触させつつ押圧成形する
    ことを特徴とする光学素子の成形方法。
  9. 前記一対の成形型の一方が凹状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が凸球面を有する場合に、
    前記凹状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凸球面の曲率半径よりも大きく形成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の光学素子の成形方法。
  10. 前記一対の成形型の一方が凸状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が凹球面を有する場合に、
    前記凸状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凹球面の曲率半径よりも小さく形成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の光学素子の成形方法。
  11. 前記一対の成形型の一方が凸状で他方が凹状の成形面を有し、これに対向する前記柱状部の先端が夫々凹球面と凸球面を有する場合に、
    前記凸状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凹球面の曲率半径よりも小さく形成され、前記凹状の成形面の曲率半径は、前記柱状部の先端の凸球面の曲率半径よりも大きく形成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の光学素子の成形方法。
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