JP2008296130A - 消泡装置、消泡方法及びこれを用いた液体貯留槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属製錬、産業廃棄物処理、化学工業、あるいは食品加工業等の鉱工業分野において、液体表面に形成される泡沫を効率的に消失させることができる消泡装置、消泡方法及びこれを用いた液体貯留槽を提供すること。
【解決手段】溶液Lから泡立つ泡沫Fを消失させる消泡装置20であって、回転軸24に放射状に形成されるとともに前記回転軸24の軸線廻りに回転自在とされる複数の羽根22と、前記羽根22に回転力を伝達する回転軸24と、前記回転軸24を回転させるための駆動部26とを備え、前記羽根22は、前記溶液Lの上部に形成される泡沫領域に配置されることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体が泡立つことによって液体表面の上方に形成される泡沫を効率的に消失させるための消泡装置、消泡方法及びこれを用いた液体貯留槽に関する。
従来、例えば、金属製錬、産業廃棄物処理、化学工業、あるいは食品加工業等、鉱工業分野において、液体を貯留した液槽内で、化学反応や攪拌等によって液体内に気泡が発生し、気泡が液体表面に達することで、液体表面の上方に泡沫が形成される場合がある。
このような泡沫が発生する場合、泡沫を放置しておくと液槽からあふれ出る可能性があり、また、液表面の監視や液槽における作業が困難となり、ひいては生産性や安全性の低下を招くおそれがある。
そのため、このように液槽における泡沫を除去又は消失させるために、液体に消泡剤を添加して気泡及び泡沫の発生を抑制する方法や、泡沫に遠心力を与えることによって泡沫を消失させる等の技術が公開されている(例えば、非特許文献1参照。)。
http://www.eneos.co.jp/business/product/bubshut/e71_buprbu_shikumi.html
しかしながら、液体に消泡剤を添加させる場合は、生産量に比例して消泡剤が必要とされるためにランニングコストを押し上げることなり、また、液体の温度や成分によっては消泡反応が進まずに泡沫を消失させ難い場合がある。一方、遠心力による消泡装置を用いて泡沫を消失させる場合には、金属製練、産業廃棄物処理、食品加工業、化学工業における液体で一般的にみられるような所定の成分を多く含有して濃度が高く、液体の粘度が高いような場合、泡沫を充分に消失させることが難しく、液槽のサイズが大きい場合には特に適用し難くなる傾向があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、金属製錬、産業廃棄物処理、化学工業、あるいは食品加工業等の鉱工業分野において、液体表面に形成される泡沫を効率よく消失させることができる消泡装置、消泡方法及びこれを用いた液体貯留槽を提供することにある。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に記載の発明は、液体から泡立つ泡沫を消失させる消泡装置であって、回転軸に放射状に形成されるとともに前記回転軸の軸線廻りに回転自在とされる複数の羽根と、前記羽根に回転力を伝達する回転軸と、前記回転軸を回転させるための駆動部とを備え、前記羽根は、前記液面の上部に形成される泡沫領域に配置されることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、液体から泡立つ泡沫を消失させる消泡方法であって、前記液面の上部に形成される泡沫領域に、回転軸に放射状に形成される複数の羽根を配置し、前記複数の羽根を回転させて泡沫を消失させることを特徴とする。
この発明に係る消泡装置及び消泡方法によれば、消泡しない場合に泡沫が形成される液体表面の上方の泡沫領域に羽根を配置して回転させるので、形成された泡沫が羽根に接触して破壊される。その結果、液体の表面近傍の泡沫が消失する。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の消泡装置であって、前記羽根は、前記軸線に対して傾斜して形成されていることを特徴とする。
この発明に係る消泡装置によれば、羽根は軸線に対して傾斜して形成されているので、羽根が回転すると泡沫に軸流を付与された泡沫が軸線方向に移動されて、より多くの泡沫が回転している羽根の表面に接触する。その結果、羽根の表面で破壊される泡沫が増加し、泡沫を効率的に消失させることができる。
請求項3に記載の発明は、液体貯留槽であって、請求項1又は請求項2記載の消泡装置を備えることを特徴とする。
この発明に係る液体貯留槽によれば、貯留された液体から発生する泡沫を効率的に消失させることができるので、液体貯留槽又はこれを用いたプラント等の泡沫領域を小さくすることが可能となり、また、操業時における液体表面の状態や反応状態を容易に監視することができる。また、泡沫が液体貯留槽からあふれ出ることが抑制されるので、環境汚染等の発生を抑制することができる。
本発明に係る消泡装置及び消泡方法によれば、液体表面上部の泡沫領域に形成される泡沫を効率的に消失させることができる。
以下、図1、図2を参照し、この発明に係る消泡装置及び消泡方法について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る消泡装置を用いた液体貯留槽を示しており、符号1は、還元装置(液体貯留槽)を、符号10は、液体貯留槽本体を、符号20は、消泡装置を示している。
第1の実施形態の還元装置1は、銅の製錬工程における、Se、Teを含んだ溶液L(液体)にSO2を吹き込んで、Seを還元Seとして分離するとともに、TeをTe滓とする工程を例としている。
還元装置1は、反応槽本体10と、消泡装置20とを備えている。
反応槽本体10は、例えば、直径が3.5m、高さが7mの有底円筒状に形成され、底部が下方に延在する円錐形状とされ、溶液L表面の略中央部から下方に向かい反応槽本体10の軸線に沿って、反応槽本体10の略中央部に攪拌装置12が設けられている。
また、溶液Lは、濃度が約5%のHClを含有するとともに70〜80℃に保持されており、SO2ガスが吹き込まれて還元されることにより、溶液Lの表面の上方にスポンジ状の泡沫Fが形成されるものである。
消泡装置20は、羽根22と、回転軸24と、モータ(駆動部)26とを備えており、羽根22は、反応槽本体10の溶液Lの表面近傍の上方の泡沫Fが形成される泡沫領域Rに、反応槽本体10の中心から離隔した位置に配置されている。
羽根22は、図2に示すように、例えば、耐食性を向上させるために金属製の平板にFRP等を覆って構成され、複数の羽根22が回転軸24に放射状に形成されるとともに軸線O1方向に延在する面Pを有しており、回転軸24の軸線O1廻りに回転自在とされている。
回転軸24は、羽根22に回転力を伝達するためのものであり、回転軸24の先端側には、例えば4枚(複数)の羽根22が形成されており、基端側はモータ26に接続されている。
モータ26は、連続又は間欠的に回転軸24を回転させることができるようになっている。
次に、上記実施形態に係る還元装置1及び消泡装置20の作用について説明する。
反応槽本体10には、前述のように、例えば、銅製錬の副産物であるAuを抽出した後のSeを含有する溶液Lが貯留されており、この溶液LをSO2で還元して、還元Seを還元Seとして採取するとともにTeを滓とする工程であり、溶液Lは、塩酸賛成とされ、液温は約70〜80℃で保持されている。
ここで、溶液Lは、液温が約70〜80℃とされているため泡沫発生後において消泡剤を添加しても、還元槽1に貯留された溶液L全体に消泡剤を行き渡らせることが困難であるために充分な消泡を行うことは困難であり、一方、泡沫が発生する前に消泡剤を添加した場合には、液温が高いために消泡剤が分解されて消泡効果が得られないという問題を有するものである。
まず、液体貯留槽本体10に貯留された溶液L内の攪拌機12が回転されて溶液が攪拌されると、溶液Lの表面の上方に泡沫Fが形成される。
次に、モータ26を駆動して回転軸24を回転させるとともに、溶液Lの上方に位置する泡沫領域Rに配置された羽根22を軸線O1廻りに回転させる。
この場合の、回転軸24の回転数は、100〜200回転/分が好適である。
羽根22が軸線O1廻りに回転されると、羽根22を構成する平板の面Pに泡沫Fが接触して、泡沫Fを形成する膜が破壊される。
その結果、溶液Lの表面近傍の上方の泡沫領域に形成される泡沫Fが消失する。
第1の実施形態に係る消泡装置20及び消泡方法によれば、羽根22が回転して泡沫Fと多く接触するようになっているので、還元装置1を構成する液体貯留槽本体10に貯留された溶液Lの表面の上方の泡沫領域Rに形成される泡沫Fを効率的に消失することができる。
また、消泡装置20が、反応槽本体10の中心から離隔した位置に配置されているので、羽根22が泡沫Fと充分に接触することが可能とされ、効率的に泡沫Fを消失させることができる。
また、上記実施の形態に係る還元装置1によれば、貯留された溶液Lから発生する泡沫Fを効率的に消失させることができるので、液体貯留槽本体10の泡沫領域Rを小さくして、還元装置1を小さくすることが可能となる。
また、泡沫Fが形成されないので、還元装置1を操業する際に、溶液Lの表面状態や反応状態を容易に監視することができる。また、泡沫Fが還元槽1の液体貯留槽本体10からあふれ出ることが抑制されるので、環境汚染等の発生を抑制することができる。
また、消泡剤を用いないので消泡に際して溶液Lの液温の影響を受けることが少なく、消泡に際しての消泡剤のランニングコストを抑制することができる。
次に、この発明の第2の実施形態に係る還元装置1について説明する。
第2の実施形態に係る還元装置1は、第1の実施の形態に係る還元装置1の羽根22に代えて羽根32を備えるものであり、他の部分については、第1の実施形態の還元装置1と同様であるので、説明を省略する。
羽根32は、図3に示すように、耐食性を向上させるために金属により形成されFRP等を覆って構成された壁部33を備え、壁部33は、回転方向に先行して位置する前縁34と後縁35とを備え、前縁34は、後縁35に対して軸線O1方向の位置が回転軸24の基端側に位置するように形成されたプロペラ状とされた、羽根32を構成する壁部33の前面(回転軸24の先端側の面)33aに、0°より大きく90°未満の迎角を有している。この実施の形態において、羽根32は、回転軸24に3枚が形成されている。
したがって、羽根32は、軸線O1廻りに回転されることにより、回転軸24の基端側から先端側に軸線O1に沿った軸流が発生するようになっている。
その結果、軸流によって移動された泡沫Fが回転軸24の基端側から先端側に移動されるとともに、後続して来る羽根32の前面33aに接触するとともに泡沫Fを形成する膜が破壊される。
なお、この場合の、回転軸24の回転数は、100〜200回転/分が好適である。
第2の実施形態に係る消泡装置20によれば、羽根32が、回転方向に対して90°未満の迎角を有し、羽根32が回転することによって、泡沫Fに軸線O1に沿って軸流を発生させて、より多くの泡沫Fが羽根32の壁部33の表面と接触し、羽根32の壁部33の表面で破壊される泡沫が増加し、泡沫Fを効率的に消失させることができる。
以上、本発明に係る消泡装置10を金属製錬の1種である銅製錬において副産物を精製する場合について説明したが、上記実施の形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、この消泡装置及び消泡方法を、例えば、他の金属の製練、産業廃棄物処理、化学工業、食品加工業等の、銅の製錬以外の分野に適用可能であることはいうまでもない。
上記実施の形態においては、羽根22が、回転軸24に4枚形成され、羽根32が、回転軸24に3枚形成された場合について説明したが、羽根22、32については、2枚以上の複数が形成されていればよい。
また、還元装置1に、消泡装置20が1台設けられた場合について説明したが、2台以上の複数台を設けてもよい。
また、上記実施の形態においては、羽根32が、回転方向に対して0より大きく90°未満の迎角を有する場合について説明したが、羽根32の迎角は、0より大きく90°未満の場合に限定されず、−90°より大きく0°未満、すなわち、羽根32を構成する壁部33の後面(回転軸24の先端側の面)33bに、0°より大きく90°未満の迎角を有するものであってもよい。
また、上記実施の形態においては、羽根22及び羽根32が平板により構成される場合について説明したが、羽根22、32は、平板に曲面が形成され、又は湾曲部を有するものであってもよく、軸線O1方向から見た羽根22、32の投影に重なる部分が形成されていてもよい。
本発明に係る消泡装置の第1の実施形態を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る消泡装置の羽根を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る消泡装置の羽根を示す図である。
符号の説明
O1 軸線
1 還元装置(液体貯留槽)
20 消泡装置
22、32 羽根
24 回転軸
26 駆動部

Claims (4)

  1. 液体から泡立つ泡沫を消失させる消泡装置であって、
    回転軸に放射状に形成されるとともに前記回転軸の軸線廻りに回転自在とされる複数の羽根と、
    前記羽根に回転力を伝達する回転軸と、
    前記回転軸を回転させるための駆動部とを備え、
    前記羽根は、前記液面の上部に形成される泡沫領域に配置されることを特徴とする消泡装置。
  2. 請求項1記載の消泡装置であって、
    前記羽根は、
    前記軸線に対して傾斜して形成されていることを特徴とする消泡装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の消泡装置を備えることを特徴とする液体貯留槽。
  4. 液体から泡立つ泡沫を消失させる消泡方法であって、
    前記液面の上部に形成される泡沫領域に、回転軸に放射状に形成される複数の羽根を配置し、前記複数の羽根を回転させて泡沫を消失させることを特徴とする消泡方法。
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