JP2008295257A - 地絡方向継電器の特性補償装置 - Google Patents

地絡方向継電器の特性補償装置 Download PDF

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Abstract

【課題】零相電圧検出器の種類に依存することなく地絡方向継電器の特性を補償すること。
【解決手段】零相電圧検出器2が検出した零相電圧に基づいて電力系統に発生した地絡故障を検出する地絡方向継電器3aに具備され、地絡方向継電器3aの動作電圧整定値を補正する地絡方向継電器3aの特性補償装置であって、零相電圧検出器2の1次側または1次側に相当する所定の2次側端子に所定の計測用電圧V1を印加させた際の零相電圧検出器2の2次側計測電圧に基づき、零相電圧検出器2の変圧比を算出する変圧比算出部31と、変圧比算出部31が算出した変圧比に応じて動作電圧整定値Vsを補正する補正部32と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地絡方向継電器の特性補償を行う特性補償装置に関するものである。
地絡方向継電器は、零相電圧および零相電流の大きさから地絡故障を検出し、かつ、零相電圧と零相電流との間の位相差から地絡故障の方向を検出する機器として、従来から広く知られている。
地絡方向継電器に関する従来技術の一つとして、例えば下記特許文献1などがある。この特許文献1には、零相変流器の変流比誤差や位相角誤差に起因する継電器特性の変化および地絡故障検出性能の低下を防止するため、零相変流器の特性変化に応ずる地絡方向継電器の整定値を補正することにより、地絡方向継電器の特性を補償するようにした特性補償装置が開示されている。
特開平05−168143号公報
しかしながら、従来の地絡方向継電器では、零相電圧を検出する零相電圧検出器のインピーダンスの不整合(アンマッチ)によって、動作値誤差が大きく変動するという問題点があった。また、出力の異なる零相電圧検出器と地絡方向継電器とは、検出器の出力感度と継電器の入力感度とが異なるため、これらの機器同士を組み合わせて使用することができない場合があるという問題点があった。したがって、例えば、設備の更新などにおいて、耐用年数の短い継電器を更新する場合には、耐用年数の長い零相電圧検出器についても同時に交換することを余儀なくされていた。
なお、上記特許文献1に開示された特性補償装置では、零相変流器に対する補正手段を具備してはいるものの、零相電圧検出器に対する補正手段については、何ら考慮されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、零相電圧検出器の種類や特性に依存することなく、地絡方向継電器の特性を補償することができる特性補償装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる特性補償装置は、零相電圧検出器が検出した零相電圧に基づいて電力系統に発生した地絡故障を検出する地絡方向継電器に具備され、該地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正する地絡方向継電器の特性補償装置であって、前記零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する所定の2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の該零相電圧検出器の2次側計測電圧に基づき、該零相電圧検出器の変圧比を算出する変圧比算出部と、
前記変圧比算出部が算出した変圧比に応じて前記動作電圧整定値を補正する動作電圧整定値補正部と、を備えたことを特徴とする。
本発明にかかる特性補償装置によれば、零相電圧検出器の1次側あるいは1次側に相当する2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の2次側計測電圧に基づいて算出された変圧比に応じて、地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正するようにしているので、零相電圧検出器の種類や特性に依存することなく、地絡方向継電器の特性を補償することができるという効果が得られる。
以下に、本発明の好適な実施にかかる特性補償装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
(装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる特性補償装置の構成を示す図である。同図において、本実施の形態にかかる特性補償装置は、系統電圧が入力される零相電圧検出器2と組み合わせて使用する地絡方向継電器3a内に具備される動作電圧整定値補正部6を備えて成る。また、動作電圧整定値補正部6は、補正整定値Vscを出力するための主たる構成部として、変圧比算出部31および補正部32を備えるとともに、本来の整定値(補正前の整定値)である動作電圧整定値Vsを保持(記憶)している。
(装置の動作)
つぎに、実施の形態1にかかる特性補償装置の動作について説明する。図1において、零相電圧検出器2の1次側には、測定対象である系統電圧に加え、一定の大きさを持つ計測用電圧V1が交流電源1より印加されている。変圧比算出部31は、零相電圧検出器2の2次側電圧計測値から零相電圧検出器の変圧比U1を算出して補正部32に出力する。補正部32は、入力された変圧比U1、公称の変圧比Uおよび地絡方向継電器3a内に保持されている動作電圧整定値Vsに基づき、以下の算出式を用いて地絡方向継電器3aにおける補正整定値Vscを算出する。
Vsc=Vs×(U1/U) …(1)
上記(1)式において、算出された変圧比U1が公称の変圧比Uに等しい場合にはVsc=Vsとなる。一方、算出された変圧比U1が公称の変圧比Uと異なる場合には、上記(1)式に基づいて算出した補正整定値Vscが設定されることになる。
従来の特性補償装置では、耐用年数の短い地絡方向継電器を新たな装置に交換した場合や、零相電圧検出器の使用年数が長く、零相電圧検出器の変圧比が公称値から変動した場合などにおいては、本来の動作電圧整定値Vsを用いた場合に出力誤差を生ずる可能性がある。
一方、本実施の形態にかかる特性補償装置では、零相電圧検出器の1次側あるいは1次側に相当する2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の2次側計測電圧に基づいて算出された変圧比に応じて地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正するようにしているので、零相電圧検出器の種類に依存することなく地絡継電器の特性を補償することができ、例えば、設備の更新時等において、耐用年数の長い零相電圧検出器を更新することなく、地絡方向継電器のみを更新することができ、設備投資コストの抑制が可能となる。
なお、図1に示す実施態様では、測定電圧(V1)を零相電圧検出器2の1次側から印加するようにしているが、この実施態様に限定されるものではなく、例えば零相電圧検出器2の1次側に相当する2次側テスト端子から印加する実施態様としてもよい。
また、図1では、補正を行うための交流電源1を常時接続する実施態様について示しているが、補正時のみ接続する実施態様であっても構わない。
実施の形態2.
(装置の構成)
図2は、本発明の実施の形態2にかかる特性補償装置の構成を示す図である。実施の形態1の特性補償装置では、動作電圧整定値を補正するための動作電圧整定値補正部6を備える実施態様を示したが、実施の形態2の特性補償装置では、最大感度角整定値を補正するための最大感度角整定値補正部7を備える実施態様を示すものである。この実施態様により、地絡方向継電器3bには、実施の形態1で示した零相電圧検出器2に加え、交流電源4からの計測用電流I1および系統電流に基づく零相電流を出力する零相変流器5が接続される。また、最大感度角整定値補正部7は、補正整定値θscを出力するための主たる構成部として、位相差算出部41および補正部42を備えるとともに、最大感度角に関する補正前整定値である最大感度角整定値θsを保持(記憶)している。
(装置の動作)
つぎに、実施の形態2にかかる特性補償装置の動作について説明する。図2において、零相電圧検出器2には、測定対象である系統電圧および一定の大きさを持つ測定電圧(V1)が印加されている。また、零相変流器5には、その1次側から零相電圧検出器2に印加される測定電圧に対して一定の位相差θ1を持つ測定電流が交流電源4より印加されている。位相差算出部41は、零相電圧検出器2の2次側電圧計測値と零相変流器5の2次側電流計測値との間の位相差を算出して補正部42に出力する。補正部42は、既知の位相差θ1、算出された位相差θ2および地絡方向継電器3b内に保持されている最大感度角整定値θsに基づき、以下の算出式を用いて地絡方向継電器3bにおける補正整定値θscを算出する。
θsc=θs+(θ2−θ1) …(2)
上記(2)式において、既知の位相差θ1と算出された位相差θ2とが等しい場合には、θsc=θsとなる。一方、算出された位相差θ2が既知の位相差θ1と異なる場合には、上記(2)式に基づいて算出した補正整定値Vscが設定されることになる。
従来の特性補償装置では、耐用年数の短い地絡方向継電器を新たな装置に交換した場合や、零相電圧検出器の使用年数が長く、零相電圧検出器の特性が変動した場合などにおいては、公称の最大感度角整定値θsを用いた場合に出力誤差を生ずる可能性がある。
一方、本実施の形態にかかる特性補償装置では、零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の2次側計測電圧と、当該所定の計測用電圧に対して所定の位相差を持つ計測用電流を零相変流器の1次側に印加させた際の2次側計測電流と、に基づいて算出された位相差に応じて最大感度角整定値を補正するようにしているので、零相電圧検出器の種類に依存することなく地絡継電器の特性を補償することができるので、例えば、設備の更新時等において、耐用年数の長い零相電圧検出器を更新することなく、地絡方向継電器のみを更新することができ、設備投資コストの抑制が可能となる。
なお、図2に示す実施態様では、測定電圧(V1)を零相電圧検出器2の1次側から印加するようにしているが、実施の形態1と同様に、零相電圧検出器2の1次側に相当する2次側テスト端子から印加するようにしてもよいことは無論である。
また、図2では、補正を行うための交流電源1,4を常時接続する実施態様について示しているが、補正時のみ接続する実施態様であっても構わない。
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3にかかる特性補償装置の構成を示す図である。同図に示す地絡方向継電器3cは、図1に示した動作電圧整定値補正部6および図2に示した最大感度角整定値補正部7を備えている。すなわち、実施の形態3にかかる特性補償装置は、実施の形態1および実施の形態2の双方の構成および機能を兼ね備えている。なお、実施の形態3にかかる特性補償装置では、動作電圧整定値の補正および最大感度角整定値の補正は、同時に行っても、別々に行ってもどちらでもよい。また、補正を行うための交流電源1,4を常時接続しても、補正時のみ接続してもよい。
本実施の形態にかかる特性補償装置では、零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の2次側計測電圧に基づいて算出された変圧比に応じて地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正するとともに、当該所定の計測用電圧に対して所定の位相差を持つ計測用電流を零相変流器の1次側に印加させた際の2次側計測電流と、当該2次側計測電圧と、に基づいて算出された位相差に応じて最大感度角整定値を補正するようにしているので、実施の形態1、2と同様の効果が得られる他、零相電圧検出器と組み合わせた地絡継電器の特性をより精度よく補償することが可能となる。
実施の形態4.
(装置の構成)
図4は、本発明の実施の形態4にかかる特性補償装置の構成を示す図である。実施の形態3の特性補償装置では、動作電圧整定値および最大感度角整定値の双方を補正するための実施態様を示したが、実施の形態4の特性補償装置では、さらに動作電流整定値を補正するための動作電流整定値補正部8を備える実施態様を示すものである。この実施態様により、地絡方向継電器3dには、動作電流整定値補正部8は、補正整定値Iscを出力するための主たる構成部として、変流比算出部51および補正部52を備えるとともに、本来の整定値(補正前の整定値)である動作電流整定値Isを保持(記憶)している。なお、その他の構成等については、実施の形態3と同一または同等であり、それらの構成部には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
(装置の動作)
まず、動作電圧整定値補正部6および最大感度角整定値補正部7については、それぞれ実施の形態1、2の動作と同様であるため、その説明を省略する。また、変流比算出部51は、零相変流器5の2次側電流計測値から零相変流器の変流比C1を算出して補正部52に出力する。補正部52は、入力された変流比C1、公称の変流比Cおよび地絡方向継電器3d内に保持されている動作電流整定値Isに基づき、以下の算出式を用いて地絡方向継電器3dにおける補正整定値Iscを算出する。
Isc=Is×(C1/C) …(3)
上記(3)式において、算出された変流比C1が公称の変流比Cに等しい場合にはIsc=Isとなる。一方、算出された変流比C1が公称の変流比Cと異なる場合には、上記(3)式に基づいて算出した補正整定値Iscが設定されることになる。
従来の特性補償装置では、耐用年数の短い地絡方向継電器を新たな装置に交換した場合や、零相電圧検出器の使用年数が長く、零相電圧検出器の特性が変動した場合などにおいては、公称の動作電流整定値Isを用いた場合に出力誤差を生ずる可能性がある。
一方、本実施の形態にかかる特性補償装置では、零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の2次側計測電圧に基づいて算出された変圧比に応じて地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正するとともに、当該所定の計測用電圧に対して所定の位相差を持つ計測用電流を零相変流器の1次側に印加させた際の2次側計測電流と、当該2次側計測電圧と、に基づいて算出された位相差に応じて最大感度角整定値を補正し、さらに、当該2次側計測電流に基づいて算出された変流比に応じて動作電流整定値を補正するようにしているので、実施の形態3と同様の効果が得られる他、零相電圧検出器と組み合わせた地絡継電器の特性をより精度よく補償することが可能となる。
なお、上記実施の形態1〜4では、特性補償装置を地絡方向継電器に適用した場合を一例として説明したが、方向性を検出しない地絡過電圧継電器に対しても同様に適用することができる。
以上のように、本発明にかかる地絡方向継電器の特性補償装置は、零相電圧検出器の種類に依存することなく地絡方向継電器の特性を補償することができる発明として有用である。
本発明の実施の形態1にかかる特性補償装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2にかかる特性補償装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態3にかかる特性補償装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態4にかかる特性補償装置の構成を示す図である。
符号の説明
1,4 交流電源
2 零相電圧検出器
3a,3b,3c,3d 地絡方向継電器
5 零相変流器
6 動作電圧整定値補正部
7 最大感度角整定値補正部
8 動作電流整定値補正部
31 変圧比算出部
32,42,52 補正部
41 位相差算出部
51 変流比算出部

Claims (4)

  1. 零相電圧検出器が検出した零相電圧に基づいて電力系統に発生した地絡故障を検出する地絡方向継電器に具備され、該地絡方向継電器の動作電圧整定値を補正する地絡方向継電器の特性補償装置であって、
    前記零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する所定の2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の該零相電圧検出器の2次側計測電圧に基づき、該零相電圧検出器の変圧比を算出する変圧比算出部と、
    前記変圧比算出部が算出した変圧比に応じて前記動作電圧整定値を補正する動作電圧整定値補正部と、
    を備えたことを特徴とする地絡方向継電器の特性補償装置。
  2. 零相電圧検出器が検出した零相電圧および零相変流器が検出した零相電流に基づいて電力系統に発生した地絡故障およびその方向性を検出する地絡方向継電器に具備され、該地絡方向継電器の最大感度角整定値を補正する地絡方向継電器の特性補償装置であって、
    前記零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する所定の2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の該零相電圧検出器の2次側計測電圧、および前記計測用電圧に対して所定の位相差を持つ計測用電流を前記零相変流器の1次側に印加させた際の該零相変流器の2次側計測電流に基づき、該零相電圧検出器の位相差を算出する位相差算出部と、
    前記位相差算出部が算出した位相差に応じて前記最大感度角整定値を補正する最大感度角整定値補正部と、
    を備えたことを特徴とする地絡方向継電器の特性補償装置。
  3. 前記零相電圧検出器の1次側または1次側に相当する所定の2次側端子に所定の計測用電圧を印加させた際の該零相電圧検出器の2次側計測電圧に基づき、該零相電圧検出器の変圧比を算出する変圧比算出部と、
    前記変圧比算出部が算出した変圧比に応じて前記動作電圧整定値を補正する動作電圧整定値補正部と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の地絡方向継電器の特性補償装置。
  4. 前記零相変流器の2次側計測電流に基づき、該零相変流器の変流比を算出する変流比算出部と、
    前記変流比算出部が算出した変流比に応じて前記動作電流整定値を補正する動作電流整定値補正部と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の地絡方向継電器の特性補償装置。
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