JP2008291821A - 電磁制御弁の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】デューティ制御の電磁制御弁において、弁体が全閉位置の近傍で弁座から跳ね上がる現象を抑制する。
【解決手段】制御部から出力されるパルス信号の基本周波数f0を弁体の動作が追随できない程度に高い周波数に設定したことにより、弁体の振動の振幅を小さく抑えるようにしている。一方、そのパルス信号のデューティ比が所定の長周期にて上昇および下降を繰り返すように設定したことにより、駆動回路からソレノイドへ供給される制御電流に変動成分が生成されるようにしている。
【選択図】図3
【解決手段】制御部から出力されるパルス信号の基本周波数f0を弁体の動作が追随できない程度に高い周波数に設定したことにより、弁体の振動の振幅を小さく抑えるようにしている。一方、そのパルス信号のデューティ比が所定の長周期にて上昇および下降を繰り返すように設定したことにより、駆動回路からソレノイドへ供給される制御電流に変動成分が生成されるようにしている。
【選択図】図3
Description
本発明は、弁部を通過する流体の流量を調整する電磁制御弁の制御装置および制御方法に関する。
自動車用空調装置の冷凍サイクルには、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機が用いられている。この可変容量圧縮機は、エンジンによって回転駆動される回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結され、揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出量を調整する。揺動板の角度は、密閉されたクランク室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。このクランク室内の圧力は、可変容量圧縮機の吐出室とクランク室との間、またはクランク室と吸入室との間に設けられたソレノイド式の電磁制御弁により制御される。
このような電磁制御弁は、ソレノイドの電磁コイルに設定容量に対応した値の電流が供給され、そのとき発生したソレノイド力により弁体が動作することによって弁部の開度を調整する。その弁開度特性のヒステリシスを低減するために、所定のデューティ比に設定した400Hz程度のパルス電流を供給して容量制御を行うものもある(例えば特許文献1参照)。
このような電磁制御弁は、デューティ比に応じたソレノイドへの平均電流値によって弁体に作用するセット荷重が設定され、可変容量圧縮機から吐出される冷媒の容量を制御する。例えばソレノイドの非通電時に開弁状態となる常開型の電磁制御弁を用いる場合、可変容量圧縮機を最少容量で運転したいときには、デューティ比を最小にして弁体のリフト量を最大にし、吐出室からクランク室へ流れる冷媒の流量を最大に制御する。逆に可変容量圧縮機を最大容量で運転したいときには、デューティ比を最大にしてリフト量を最小(閉弁状態)にし、吐出室からクランク室へ流れる冷媒の流量をゼロにする。
特開2005−171908号公報〔段落[0026]等〕
しかしながら、このようなデューティ制御の電磁制御弁では、ソレノイドのプランジャにつながるシャフトと弁体とが一体構造となっているため、ソレノイドに印加されるパルス電流によって弁体も微少振動する。その結果、弁体が弁座近傍の位置で制御されているときに弁座に衝突して跳ね上がり、その微少振動の振幅が大きくなる現象が生じる場合がある。制御の定常状態においてはデューティ比がセット荷重に対応した値に保持されるため、一旦その跳ね上がり現象が発生すると、これが継続することになる。このように振幅が大きくなると、相対的に弁開度が大きくなるため、一時的に意図しない容量の冷媒が弁部を流れ、制御の精度および安定性を低下させる要因にもなる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、デューティ制御の電磁制御弁において、弁体が全閉位置の近傍で弁座から跳ね上がる現象を抑制することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のある態様の電磁制御弁の制御装置は、ソレノイドをパルス電流で駆動して弁体を動作させ、弁部を通過する流体の流量を調整する。この制御装置は、ソレノイドに供給するパルス電流を生成する駆動回路と、そのパルス電流をデューティ制御するために、設定されたデューティ比に対応したパルス信号を駆動回路に出力する制御部と、を備える。制御部は、予め設定した基本周波数のパルス波形を有するパルス信号を、そのデューティ比の上昇および下降を所定のタイミングで繰り返し変化させて出力する。
この態様では、パルス信号のデューティ比が上昇および下降を繰り返すことにより、制御目標値となる平均電流値に電流の変動成分(リップル)が付加されるパルス電流を発生させることができる。その変動成分の電流値の上昇および下降が発生するため、仮に弁体の跳ね上がり現象が発生したとしても、その後の電流値の下降により跳ね上がり抑制される。特に、基本周波数をある程度高く設定すれば、弁体の振動の振幅を小さくできるため、跳ね上がる現象そのものを防止することも可能になる。一方、弁体の振動の振幅が小さくなると逆に弁体のヒステリシスが大きくなる傾向にあるが、電流の変動成分によりそれを抑制することもできる。
本発明の別の態様は、電磁制御弁の制御方法である。この制御方法は、デューティ比が設定されたパルス信号を駆動回路に出力し、そのデューティ比に対応したパルス電流にてソレノイドを駆動することにより弁体を動作させ、弁部を通過する流体の流量を調整する電磁制御弁に適用される。この制御方法は、予め設定した基本周波数のパルス波形を有するパルス信号を、デューティ比の上昇および下降を所定のタイミングで繰り返し変化させて出力する。
この態様によれば、パルス信号のデューティ比が上昇および下降を繰り返すことにより、変動成分(リップル)を有するパルス電流を発生させることができる。その変動成分の電流値の上昇および下降により、弁体が全閉位置の近傍で弁座から跳ね上がる現象を抑制することができる。
本発明によれば、デューティ制御の電磁制御弁において、弁体が全閉位置の近傍で弁座から跳ね上がる現象を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
図1は、本実施の形態に係る電磁制御弁の制御装置が適用された冷凍サイクルを表すシステム構成図である。
この冷凍サイクルは、車両用空調装置を構成し、冷凍サイクルを循環する流体である冷媒を圧縮する可変容量圧縮機1、圧縮された冷媒を凝縮して冷却する凝縮器2(「外部熱交換器」に該当する)、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張装置3、および膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器4を備えている。
この冷凍サイクルは、車両用空調装置を構成し、冷凍サイクルを循環する流体である冷媒を圧縮する可変容量圧縮機1、圧縮された冷媒を凝縮して冷却する凝縮器2(「外部熱交換器」に該当する)、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張装置3、および膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器4を備えている。
可変容量圧縮機1は、気密に形成されたクランク室51内に回転自在に支持された図示しない回転軸を有している。この回転軸には揺動板が傾斜角可変に設けられており、その一端はクランク室51の外部に延出してプーリを介してエンジンの出力軸と接続されている。この回転軸の回りには複数のシリンダ52が配設され、揺動板の回転運動により往復運動を行うピストンが配置されている。各シリンダ52は、吸入弁および吐出弁を介して吸入室53、吐出室54のそれぞれに接続されている。可変容量圧縮機1は、蒸発器4から送出されて吸入室53を介してシリンダ52に導入された冷媒を圧縮し、吐出室54から凝縮器2へ向けて吐出する。クランク室51と吸入室53とを連通する冷媒通路にはオリフィス56が設けられており、クランク室51内の圧力を減圧して吸入室53側へ導出可能になっている。
可変容量圧縮機1の揺動板は、その角度がクランク室51内で揺動板を付勢するスプリングの荷重や、揺動板につながるピストンの両面にかかる圧力による荷重等がバランスした位置に保持される。この可変容量圧縮機1の揺動板の角度は、クランク室51内に吐出冷媒の一部を導入してクランク圧力Pcを変化させ、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることによって連続的に変えられる。この揺動板の角度の変化によってピストンのストロークを変えることにより、冷媒の吐出量を調整するようにしている。このクランク室51内の圧力は、可変容量圧縮機1の吐出室54とクランク室51との間に設けられた可変容量圧縮機用制御弁5により制御される。
可変容量圧縮機用制御弁5は、可変容量圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧に基づいて自律的に弁部を開閉し、その差圧(Pd−Ps)が制御目標値である設定差圧に近づくように吐出室54からクランク室51に導入する冷媒流量を調整する。これにより、可変容量圧縮機1の吐出容量が変化する。可変容量圧縮機用制御弁5は、ソレノイド駆動の電磁制御弁として構成され、制御部6により駆動回路50を動作させることにより通電制御される。本実施の形態では、制御部6が駆動回路50に所定のデューティ比に設定されたパルス信号を出力し、駆動回路50からそのデューティ比に対応した電流パルスを出力させてソレノイドを駆動するデューティ制御を行う。このデューティ制御の詳細については後述する。
制御部6は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース等を備える。制御部6は、指定したデューティ比のパルス信号を出力するPWM出力部を有するが、その構成自体には公知のものが採用されるため、詳細な説明を省略する。制御部6は、エンジン回転数、車室内外の温度、蒸発器4の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて上記設定差圧を決定し、その設定差圧に基づいて可変容量圧縮機用制御弁5への通電制御を行う。
膨張装置3は、いわゆる温度式膨張弁として構成されており、蒸発器4の出口側の冷媒温度をフィードバックしてその弁開度を調整し、熱負荷に応じた液冷媒を蒸発器4へ供給する。蒸発器4を通過した冷媒は可変容量圧縮機1に戻され、再び圧縮される。
また、可変容量圧縮機1の吐出室54と凝縮器2との間の冷媒通路には逆止弁7が設けられている。この逆止弁7は、吐出室54から凝縮器2への冷媒の流れのみを許容して凝縮器2側からの逆流を防止するものである。逆止弁7は、機械式の弁であってもよいし、電磁駆動により開閉されるものでもよい。
図2は、可変容量圧縮機用制御弁の構成を示す断面図である。
可変容量圧縮機用制御弁5は、可変容量圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室54からクランク室51に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPd−Ps差圧弁として構成されている。
可変容量圧縮機用制御弁5は、可変容量圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室54からクランク室51に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPd−Ps差圧弁として構成されている。
この可変容量圧縮機用制御弁5は、吐出冷媒の一部をクランク室51へ導入するための冷媒通路を開閉する弁本体8と、弁本体8の弁部の開度を調整してクランク室51へ導入する冷媒流量を制御するソレノイド9とを一体に組み付けて構成される。
弁本体8は、ボディ10の内部に弁機構を備えている。ボディ10の上部には、可変容量圧縮機1の吐出室54に連通して吐出圧力Pd(正確には吐出室54の出口の圧力Pdh)を受けるポート11が設けられている。ポート11は、ボディ10の側部に設けられたポート13と内部で連通している。ポート13は、可変容量圧縮機1のクランク室51に連通し、そのクランク室51に制御されたクランク圧力Pcを導出する。
ボディ10の上部においてポート11とポート13とを連通する冷媒通路には、円筒状の弁座形成部材14が圧入されており、その内部通路により弁孔15が形成されている。弁座形成部材14のクランク室51側の端面により弁座16が形成されている。弁座16にクランク室51側から対向して、長尺状の作動ロッド17の一端部からなる弁体18が接離自在に配置されている。
ボディ10の中央部には、円筒状のガイド部材19が圧入され、その内部通路によりガイド孔20が形成されている。作動ロッド17は、このガイド孔20に摺動可能に軸支されている。弁体18は、弁孔15の下流側でクランク室51に連通する圧力室21に配置され、その先端面の外周縁が弁座16に着脱することにより弁孔15を開閉する。作動ロッド17の下端部とガイド部材19の下端面との間には、作動ロッド17をソレノイド9側、つまり開弁方向に付勢するスプリング41が介装されている。
ボディ10の側部のポート13から下方に離間した位置には、吸入室53に連通して吸入圧力Psを受けるポート22が形成されている。ボディ10とソレノイド9とにより囲まれたこのポート22と連通する内部空間は、吸入圧力Psが導入される圧力室23を形成する。吸入圧力Psは、ソレノイド9の内部にも導入される。
また、ボディ10の上端開口部にはストレーナ25が嵌着され、外部からポート11への異物の流入を防止している。さらに、ボディ10の側部にも、ポート13を外部から覆うようにストレーナ26が装着されている。
一方、ソレノイド9は、ヨークとしても機能する段付円筒状のケース31と、ケース31内に配設されたコア32と、コア32と軸線方向に対向配置されたプランジャ33と、外部からの供給電流により磁気回路を生成する電磁コイル34とを備えている。ケース31は、その上端部が縮径してボディ10の下端部に圧入されている。コア32は、その上端部がケース31の縮径部に圧入されている。
コア32には、その中央を軸線方向に貫通する挿通孔35が設けられており、ソレノイド力を弁体18へ伝達するためのシャフト27を挿通している。コア32の上端開口部にはリング状の軸受部材28が圧入されており、シャフト27の上端部を摺動可能に支持している。この軸受部材28には連通孔29が設けられており、この連通孔29を介して圧力室23内の吸入圧力Psがソレノイド9の内部に導入される。
コア32には、また、下端が閉じた有底スリーブ36が外挿されている。有底スリーブ36内においては、プランジャ33がコア32の下方で軸線方向に進退可能に配置されている。有底スリーブ36は、その下端部が縮管されており、その縮管部にリング状の軸受部材37が圧入されている。この軸受部材37は、シャフト27の下端部を摺動可能に軸支している。この軸受部材37には連通孔38が設けられており、この連通孔38を介して吸入圧力Psが縮管部の内部にまで導入される。一方、プランジャ33は、段付円筒状をなし、その上部がシャフト27の下半部に圧入されている。プランジャ33とコア32との間には、プランジャ33をコア32から離間させる方向に付勢するスプリング42が介装されている。
ケース31の下端開口部には、ソレノイド9の内部を下方から封止するように取っ手39が設けられている。取っ手39は、電磁コイル34につながる端子の一端を露出させるコネクタ部としても機能する。
以上の構成において、作動ロッド17の径は弁孔15の内径よりもやや大きいものの、ほぼ同じ大きさを有するため、開弁時においては圧力室21に導入されたクランク圧力Pcがほぼキャンセルされる。このため、弁体18には、ほぼ弁孔15の大きさの受圧面積に対して吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)が実質的に作用する。弁体18は、差圧(Pd−Ps)がソレノイド9に供給された制御電流にて設定された設定差圧に保持されるように動作する。
次に、可変容量圧縮機用制御弁の基本的動作について説明する。
図2に示した可変容量圧縮機用制御弁5において、ソレノイド9が非通電のときには、スプリング41およびスプリング42による開弁方向のばね荷重により弁体18が弁座16から離間して弁部が全開状態に保持される。このとき、可変容量圧縮機1の吐出室54からポート11に導入された吐出圧力Pdの高圧冷媒は、全開状態の弁部を通過し、ポート13からクランク室51へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが吐出圧力Pdに近い圧力になるため、可変容量圧縮機1は吐出容量が最小となる最小容量運転を行うことになる。
図2に示した可変容量圧縮機用制御弁5において、ソレノイド9が非通電のときには、スプリング41およびスプリング42による開弁方向のばね荷重により弁体18が弁座16から離間して弁部が全開状態に保持される。このとき、可変容量圧縮機1の吐出室54からポート11に導入された吐出圧力Pdの高圧冷媒は、全開状態の弁部を通過し、ポート13からクランク室51へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが吐出圧力Pdに近い圧力になるため、可変容量圧縮機1は吐出容量が最小となる最小容量運転を行うことになる。
一方、自動車用空調装置の起動時または冷房負荷が最大のときには、後述するデューティ制御によりソレノイド9に供給される電流値(パルス電流の平均値)は最大になり、プランジャ33は、コア32に最大の吸引力で吸引される。このとき、弁体18を含む作動ロッド17、シャフト27およびプランジャ33が、一体になって閉弁方向に動作し、弁体18が弁座16に着座する。この閉弁動作によってクランク圧力Pcが低下するため、可変容量圧縮機1は吐出容量が最大となる最大容量運転を行うことになる。
ここで、容量制御時においてソレノイド9に供給される電流値が所定値に設定されているときには、弁体18を含む作動ロッド17、シャフト27およびプランジャ33が一体動作する。このとき、弁体18は、作動ロッド17を開弁方向に付勢するスプリング41のばね荷重と、プランジャ33を開弁方向に付勢するスプリング42のばね荷重と、プランジャ33を閉弁方向に付勢しているソレノイド9の荷重と、弁体18が開弁方向に受圧する吐出圧力Pdによる力と、弁体18が閉弁方向に受圧する吸入圧力Psによる力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
このバランスが取れた状態で、エンジンの回転数とともに可変容量圧縮機1の回転数が上がって吐出容量が増えると、差圧(Pd−Ps)が大きくなって弁体18に開弁方向の力が作用し、弁体18は、さらにリフトして吐出室54からクランク室51へ流す冷媒の流量を増やす。これにより、クランク圧力Pcが上昇し、可変容量圧縮機1は、その吐出容量を減少させる方向に動作し、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。エンジンの回転数が低下した場合には、その逆の動作が行われ、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。
次に、本実施の形態に係る可変容量圧縮機用制御弁のデューティ制御およびその作用について説明する。図3は、デューティ制御の一例を表す図であり、可変容量圧縮機用制御弁5のある制御状態における通電制御の過程を表している。同図の横軸は時間経過を示し、縦軸は制御部6が駆動回路50へ出力するパルス信号のデューティ比を示している。
図示の例では、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように、制御部6は、長周期T1にてデューティ比を変化させ、そのデューティ比の平均が50%となるパルス信号を連続的に出力している。同図では、パルス信号のパルス波形については図示を省略している。
すなわち、制御部6から駆動回路50に対して基本周波数f0のパルス波形を有するパルス信号が出力される。本実施の形態では、この基本周波数f0として1000Hzが設定されているが、弁体18の動作が追随できない程度に高い周波数であればよく、例えば800Hz〜1600Hz程度の周波数に設定してもよい。この基本周波数f0は、弁体18の振動の振幅を小さくして弁座16での跳ね上がりを防止できる程度に高い値として予め設定されているのが好ましい。ここでは、基本周波数f0に対応する基本周期T0(=1/f0:本実施の形態では1ms)にて、第1のデューティ比D1(本実施の形態では60%)のパルス信号をn1回(本実施の形態では5回)出力した後に、第2のデューティ比D2(本実施の形態では40%)のパルス信号をn2回(本実施の形態では5回)出力するパルス制御が長周期T1(本実施の形態では100Hzに対応する周期:10ms)で繰り返し行われる。すなわち、基本デューティ比Da(本実施の形態では50%)に対して変化量b(本実施の形態では10%)で変化するデューティ制御が行われる。これにより、駆動回路50において制御目標値である平均電流値に電流の変動成分(リップル)が付加されたパルス電流を発生させている。
図4は、デューティ制御処理の主要部の具体例を示すフローチャートである。
制御部6は、所定の制御状態において、長周期T1の1/2のタイミングである時間T2(本実施の形態では5ms)ごとにタイマ割り込みを行い、基本デューティ比Daを基準とした振れ幅bにて変化するパルス信号を出力する(図3参照)。制御部6は、同図の処理を繰り返し実行するが、その基本デューティ比Daは、可変容量圧縮機用制御弁5の制御状態により設定差圧が変更されるときに内部的に設定変更され得る。
制御部6は、所定の制御状態において、長周期T1の1/2のタイミングである時間T2(本実施の形態では5ms)ごとにタイマ割り込みを行い、基本デューティ比Daを基準とした振れ幅bにて変化するパルス信号を出力する(図3参照)。制御部6は、同図の処理を繰り返し実行するが、その基本デューティ比Daは、可変容量圧縮機用制御弁5の制御状態により設定差圧が変更されるときに内部的に設定変更され得る。
すなわち、制御部6は、割り込み入力があると、RAM上に設定した切り替えフラグCが「0」となっているか否かを判定する(S10)。この切り替えフラグCは、デューティ比Dを切り替えるために設定されるものである。このとき、切り替えフラグCが「0」であれば(S10のY)、制御部6は、デューティ比DをDa+b(=D1)に設定するとともに、切り替えフラグCを「1」とし(S12)、基本周波数f0にてデューティ比Dのパルス信号を所定回数出力する(S14)。本実施の形態では、基本周期1msごとにデューティ比が60%のパルス信号が5回出力される。
続く割り込み入力があると、切り替えフラグCが「1」になっているため(S10のN)、制御部6は、デューティ比DをDa−b(=D2)に設定するとともに、切り替えフラグCを「0」とし(S16)、基本周波数f0にてデューティ比Dのパルス信号を所定回数出力する(S14)。本実施の形態では、基本周期1msごとにデューティ比が40%のパルス信号が5回出力される。このような割り込み処理が繰り返されることにより、図3に示したデューティ制御が実行される。
以上に説明したように、本実施の形態においては、制御部6から出力されるパルス信号の基本周波数f0を弁体18の動作が追随できない程度に高い周波数に設定したことにより、弁体18の振動の振幅を小さく抑えるようにしている。一方、そのパルス信号のデューティ比が所定の長周期にて上昇および下降を繰り返すように設定したことにより、駆動回路50からソレノイド9へ供給される制御電流に変動成分が生成されるようにしている。これにより、弁体18が全閉位置の近傍で弁座16から跳ね上がる現象を抑制することができるとともに、弁体18の円滑な動作を保持することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施の形態では、パルス信号のデューティ比をD1、D2の2種類に設定し、デューティ比D1のパルス信号を複数回出力した後にデューティ比D2のパルス信号を同じ回数出力するといったパルス制御を所定の長周期にて繰り返す例を示した。変形例においては、例えばパルス信号のデューティ比を基本周波数f0にて徐々に上昇および下降させることにより、制御電流の変動成分を生成するようにしてもよい。
図5は、変形例に係るデューティ制御の様子を表す図である。
図示の例では、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように、制御部6は、長周期T1にてデューティ比を段階的に徐々に上昇させた後に徐々に下降するように変化させ、そのデューティ比の平均が50%となるパルス信号を出力する。すなわち、制御部6から駆動回路50に対して基本周波数f0(例えば800Hz)のパルス波形を有するパルス信号を出力する。この基本周波数f0に対応する基本周期(T0=1/f0)にて、デューティ比Dを5%ずつ4段階上昇させた後、5%ずつ4段階下降させる。このようなパルス制御が所定の長周期T1(例えば100Hzに対応する周期:10ms)で繰り返し行われる。これにより、駆動回路50において制御目標値である平均電流値に電流の変動成分(リップル)が付加されたパルス電流を発生させるようにしてもよい。
図示の例では、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように、制御部6は、長周期T1にてデューティ比を段階的に徐々に上昇させた後に徐々に下降するように変化させ、そのデューティ比の平均が50%となるパルス信号を出力する。すなわち、制御部6から駆動回路50に対して基本周波数f0(例えば800Hz)のパルス波形を有するパルス信号を出力する。この基本周波数f0に対応する基本周期(T0=1/f0)にて、デューティ比Dを5%ずつ4段階上昇させた後、5%ずつ4段階下降させる。このようなパルス制御が所定の長周期T1(例えば100Hzに対応する周期:10ms)で繰り返し行われる。これにより、駆動回路50において制御目標値である平均電流値に電流の変動成分(リップル)が付加されたパルス電流を発生させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、第1のデューティ比D1のパルス信号をn1回出力した後に、第2のデューティ比D2のパルス信号をn2回出力するパルス制御を長周期T1で繰り返し、そのn1とn2とを同じにした例を示した。変形例においては、第1の設定回数であるn1と第2の設定回数であるn2とを異なるように設定してもよい。すなわち、デューティ比が出力される時間比率を異ならせることによっても、制御電流の変動成分を生成することができる。
なお、上記実施の形態では、基本周波数f0、基本周期T0、デューティ比D1,D2、変化量b等について具体的数値の一例を示したが、その数値については適宜変更可能であることは言うまでもない。上記実施の形態では、基本周波数f0として1000Hz、800Hz、1600Hz等を例示したが、それよりも低い従来と同様の400Hz程度に設定してもよい。例えば、基本周波数f0を400Hzとして第1のデューティ比D1、第2のデューティ比D2を上記と同様に設定してもよい。その場合、繰り返し周期となる長周期T1を、その基本周波数f0よりも小さい30Hz〜60Hz(例えば40Hzや50Hz)程度の周波数f1に対応する周期(=1/f1)に設定してもよい。このように、基本周波数を従来と同程度に設定しても、デューティ比の上昇および下降がその長周期で繰り返される。つまり、駆動回路50において制御目標値である平均電流値に電流の変動成分(リップル)が付加されたパルス電流(例えば三角波状の電流)を発生させることができる。このリップル成分において電流値の上昇および下降が発生するため、その最大電流値において弁体の跳ね上がり現象が発生したとしても、その後の電流値の下降により跳ね上がりが消滅する。つまり、仮に跳ね上がり現象が発生したとしても、少なくともそのトータルの回数を少なくすることができる。
また、上記実施の形態では、膨張装置3としていわゆる温度式膨張弁を採用した例を示したが、例えば固定オリフィスを有するオリフィスチューブを採用することもできる。
また、上記実施の形態の可変容量圧縮機は、冷媒として代替フロン(HFC−134a)など使用する冷凍サイクルに好適に適用されるが、本発明の可変容量圧縮機は、二酸化炭素のように作動圧力が高い冷媒を用いる冷凍サイクルに適用することも可能である。その場合には、冷凍サイクルにおいて凝縮器に代わってガスクーラなどの外部熱交換器が配置される。
さらに、上記実施の形態では、本発明の電磁制御弁の制御装置および制御方法を可変容量圧縮機用制御弁に適用した例を示したが、ソレノイドをパルス電流で駆動して弁体を動作させる電磁制御弁であれば同様に適用することができる。例えば、冷凍サイクルを構成する膨張弁を電磁制御弁にて構成する場合、その他の電磁制御弁にも適用が可能であることは言うまでもない。
1 可変容量圧縮機、 2 凝縮器、 3 膨張装置、 4 蒸発器、 5 可変容量圧縮機用制御弁、 6 制御部、 7 逆止弁、 8 弁本体、 9 ソレノイド、 16 弁座、 17 作動ロッド、 18 弁体、 27 シャフト、 32 コア、 33 プランジャ、 34 電磁コイル、 50 駆動回路、 51 クランク室、 52 シリンダ、 53 吸入室、 54 吐出室、 56 オリフィス。
Claims (6)
- ソレノイドをパルス電流で駆動して弁体を動作させ、弁部を通過する流体の流量を調整する電磁制御弁の制御装置において、
前記ソレノイドに供給するパルス電流を生成する駆動回路と、
前記パルス電流をデューティ制御するために、設定されたデューティ比に対応したパルス信号を前記駆動回路に出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は、予め設定した基本周波数のパルス波形を有するパルス信号を、そのデューティ比の上昇および下降を所定のタイミングで繰り返し変化させて出力することを特徴とする電磁制御弁の制御装置。 - 前記制御部は、前記パルス信号のデューティ比を、前記基本周波数に対応する基本周期ごとに複数段階上昇させた後に複数段階下降させるパルス制御を、前記基本周期より長い長周期にて繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の電磁制御弁の制御装置。
- 前記制御部は、前記基本周波数に対応する基本周期ごとに、第1のデューティ比のパルス信号を複数回出力した後に、前記第1のデューティ比と異なる第2のデューティ比のパルス信号を複数回出力するパルス制御を、前記基本周期より長い長周期にて繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の電磁制御弁の制御装置。
- 前記制御部は、前記第1のデューティ比のパルス信号を第1の設定回数出力した後に、前記第2のデューティ比のパルス信号を前記第1の設定回数と異なる第2の設定回数出力するパルス制御を、前記長周期にて実行することを特徴とする請求項3に記載の電磁制御弁の制御装置。
- 前記基本周波数が、前記弁体の振動の振幅を小さくして弁座での跳ね上がりを防止できる程度に高い予め定める設定値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁制御弁の制御装置。
- デューティ比が設定されたパルス信号を駆動回路に出力し、そのデューティ比に対応したパルス電流にてソレノイドを駆動することにより弁体を動作させ、弁部を通過する流体の流量を調整する電磁制御弁の制御方法において、
予め設定した基本周波数のパルス波形を有するパルス信号を、前記デューティ比の上昇および下降を所定のタイミングで繰り返し変化させて出力することを特徴とする電磁制御弁の制御方法。
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