JP2008290171A - ワーククランプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】単一の流体圧シリンダによりワーク支持台の上下移動とクランプアームの駆動とを行い得るようにすることにある。
【解決手段】ワーククランプ装置は、パネル材を支持するワーク支持面17を有する固定片が設けられたワーク支持台16と、ワーク支持面17との間でパネル材をクランプするクランプアーム20とを有し、シリンダ本体22内に収容されたピストン25にはピストンロッド29が連結されている。このピストンロッド29の進退移動は、待機位置からワーク支持位置へ移動するときには、ワーク支持台16内に組み込まれたクラッチ機構33がピストンロッド29を締結することによりワーク支持台16に伝達され、一方、ワーク支持位置からクランプ位置へ移動するときには、クラッチ解除機構44がクラッチ機構33の締結を解除することによりクランプアーム20に伝達される。
【選択図】図2

Description

本発明は自動車車体を構成するパネル材などの板状部材をワークとしてこれを固定するためのワーククランプ装置に関する。
自動車車体はそれぞれ車体を構成する複数のパネル材などの板状のワークをスポット溶接により接合することにより組み立てられている。自動車車体を組み立てるには、溶接ステージに複数のパネル材を位置決めしてクランプした状態として接合するようにしている。車体の組み立て方式としては、自動車生産ラインに配置された複数の溶接ステージにそれぞれ複数のワーククランプ装置が設けられ、1つのパネル材をコンベアや搬送台車などの搬送装置によって搬送し、各溶接ステージに他のパネル材を搬送装置によって搬送して両方のパネル材相互を溶接ステージの基盤に固定された複数のワーククランプ装置によりクランプした状態のもとで溶接装置により接合する方式がある。この方式では、コンベアや搬送台車などの搬送装置によって搬送されたパネル材に対して他のパネル材が溶接ステージにおいて接合され、これらはさらに他のパネル材を溶接するために次の溶接ステージまで搬送装置によって搬送される。
各々の溶接ステージに配置されるクランプ装置は、パネル材を支持するワーク支持台が設けられており、ワーク支持面との間でパネル材をクランプするクランプアームないしクランプヘッドを有している。特許文献1にはクランプヘッドの非作動時にはクランプヘッドをワーク支持面よりも後退移動させるようにしたクランプ装置が記載されている。
実開昭60−190478号公報
1つの組み立てラインにおいては、自動車車体の組立効率を向上させるために、複数の車種や車型を混流させて自動車車体を組み立てる場合が多い。このような混流生産方式の場合には、車種等に応じてパネル材のクランプ位置が相違するので、車種に応じて複数種類のクランプ装置が各々の溶接ステージに配置されることになる。しかも、1種類のパネル材を複数のクランプ装置によってクランプする必要があるので、混流生産を行う場合には各々の溶接ステージには多数のクランプ装置が配置されることになる。
したがって、特定の車種などのパネル材をクランプする際には、溶接ステージに配置された多数のクランプ装置のうちパネル材に対応するクランプ装置と他のクランプ装置との干渉を避けるために、それぞれのクランプ装置を上下動させるようにし、パネル材をクランプする際にはそのパネル材に対応するクランプ装置のみを上昇させるようにする必要がある。このため、従来では、ワーク支持台を上下動させるための空気圧シリンダと、ワーク支持台がワーク支持位置まで上昇した後にクランプアームを開閉駆動する空気圧シリンダとをクランプ装置に設ける必要がある。
このように、1台のクランプ装置にワーク支持台上下動用とクランプアーム開閉用の2つの空気圧シリンダを設けるようにすると、1種類のパネル材をクランプするために複数のクランプ装置が用いられているので、全ての車種などに対応させて溶接ステージに多数の空気圧シリンダを設ける必要がある。それぞれの空気圧シリンダには圧縮空気を供給するための配管が接続されているので、溶接ステージに配置される空気圧シリンダの数が増加すると、配管の本数も増加することになり、溶接ステージの構造が複雑となる。
本発明の目的は、単一の流体圧シリンダによりワーク支持台の上下移動とクランプアームの駆動と行い得るようにすることにある。
本発明のワーククランプ装置はワーク支持面を有し当該ワーク支持面との間でパネル材をクランプするクランプアームが回動自在に装着されたワーク支持台と、先端に前記ワーク支持台が取り付けられたガイドロッドを摺動自在に支持するとともに、前記ガイドロッドの基端部が入り込むシリンダ本体が取り付けられる固定台座と、前記シリンダ本体内に組み込まれ前記シリンダ本体内を前進用流体室と後退流体室とに仕切るピストンに後端が連結されるとともに前記ワーク支持台を貫通して先端が前記クランプアームに連結され、後退限の待機位置と前進限のクランプ位置との間を軸方向に往復動するピストンロッドと、前記ワーク支持台内に組み込まれ、前記ピストンロッドが前記待機位置と前記クランプ位置との間のワーク支持位置へ前記待機位置から移動するときに前記ピストンロッドを前記ワーク支持台に締結して前記ピストンロッドの移動を前記ワーク支持台に伝達するクラッチ機構と、前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置から前記クランプ位置へ移動するときに前記クラッチ機構の締結を解除して前記ピストンロッドの移動を前記クランプアームに伝達するクラッチ解除機構とを有することを特徴とする。
本発明のワーククランプ装置は、前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置となったときに前記ガイドロッドをロックしてガイドロッドの後退移動を規制するロック部材を前記シリンダ本体に設けることを特徴とする。
本発明のワーククランプ装置は、前記後退用流体室に連通させて前記シリンダ本体に前記ガイドロッドの径方向に移動自在に前記ロック部材を設け、前記ロック部材に前記ガイドロッドに向かうばね力を加えるばね部材を前記シリンダ本体に設け、前記後退用流体室に供給される流体により前記ロック部材を前記ばね力に抗してロック解除位置に駆動することを特徴とする。
本発明のワーククランプ装置は、前記クラッチ機構は、前記ピストンロッドの外側に前記ピストンロッドに対して相対的に摺動自在に嵌合されるとともに締結具が設けられたスリーブと、当該スリーブの外側に配置されて前記ワーク支持台に固定され、先端側に向かうに従って小径になるテーパ孔を有し、前記締結具を介して前記ピストンロッドに締結力を加える締結筒体とを有することを特徴とする。
本発明のワーククランプ装置において、クラッチ解除機構は、前記スリーブの前方に配置される押圧板と、前記ピストンロッドの外側にこれに対して相対的に軸方向に移動自在に装着され先端部が前記押圧板に連結される中空連結軸と、当該中空連結軸の後端部に設けられ前記ワーク支持台をワーク支持位置で規制する当接部に接触するストッパとを有し、前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置と前記クランプ位置との間を移動するときには前記中空連結軸が前記スリーブを後退移動させて前記ピストンロッドに対する締結力を解除することを特徴とする。
本発明によれば、自動車組立ラインにおける溶接ステージに搬入されたパネル材をワーク支持面により支持した状態でワーク支持台を上昇移動させた後にワーク支持面とクランプアームとの間でパネル材をクランプすることができるため、溶接ステージとワーク接触面により支持されたパネル材との間に十分な隙間が形成され溶接が容易になる。さらに、複数種類の自動車を混流生産するための組立ラインにおける溶接工程において、溶接ステージにはそれぞれの自動車車体を構成する複数種類のパネル材が搬入され、しかも1種類のパネル材が複数のワーククランプ装置によりクランプされるようになっているので、各々の溶接ステージには多数のワーククランプ装置が配置されており、パネル材を支持した状態でワーク支持台を上昇移動させた後にパネル材をクランプすることにより、他の種類のパネル材をクランプするためのクランプ装置とワーク支持面により支持されたパネル材とが干渉することなく溶接が容易になる。
しかも、1つのシリンダによりワーク支持台の上下動と、クランプアームの開閉動作とを連続的に行うことができるので、ワーク支持台を上下動するためのシリンダと、クランプアームを開閉動作するためのシリンダとを別個に設けることが不要となり、設置スペースを省くことにより多数のワーククランプ装置を接近させて溶接ステージに配置することができるとともに、シリンダ本体内の流体室に圧縮空気を供給するための配管の本数も少なくすることができ、溶接ステージの構造を簡単にすることができる。これにより、溶接ステージにおける保守点検作業を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるワーククランプ装置を示す斜視図であり、図2は図1における正面断面図であり、図3(A)〜(E)はそれぞれ図2におけるA−A線からE−E線に沿う断面図であり、図4(A),(B)は図1および図2に示されたワーク支持台を示す拡大断面図であり、図5は図1および図2に示されたシリンダ本体を示す拡大断面図である。
図示するワーククランプ装置は、自動車車体を構成するパネル材Wなどの板状のワークを固定するために適用されており、自動車製造ラインの溶接ステージの図示しない支持部材に取り付けられる水平の台座プレート11を有し、台座プレート11には取付孔11aが形成され、この取付孔11aを貫通する図示しないボルトにより台座プレート11が支持部材に取り付けられるようになっている。台座プレート11の下面には図1に示すように直方体形状の台座ブロック12が複数本のボルト13により取り付けられており、台座プレート11と台座ブロック12とにより固定台座14が形成されている。図2に示すように、固定台座14にはこれを貫通して上下方向に往復動自在に2本のガイドロッド15が支持されており、ガイドロッド15の先端部にはワーク支持台16が取り付けられている。
ワーク支持台16はガイドロッド15がボルト15aにより固定される連結プレート16aとこれに固定されるケース体16bとを有し、ケース体16bは連結プレート16aに対してボルト10により固定されている。ケース体16bに設けられた凸部16cにはワーク支持面17が形成された固定片18が取り付けられ、固定片18はワーク支持台16の一部を構成している。固定片18には支持ピン19によりクランプアーム20が回動自在に装着され、クランプアーム20にはクランプ片21が設けられている。自動車車体を構成するパネル材Wは、ワーク支持面17に支持された状態のもとで固定片18とクランプ片21とによりクランプつまり締め付けられて固定される。クランプアーム20が図2に示すように全開位置となると、固定片18に設けられたストッパ18aにクランプアーム20の当接部20aが当接し、クランプアーム20の全開位置が規制されることになる。
固定台座14の下側にはシリンダ本体22が取り付けられている。シリンダ本体22は、図1に示すように外形が直方体形状のシリンダチューブ22aと、これの下端部に取り付けられるヘッドカバー22bと、上端部に取り付けられるロッドカバー22cとを有しており、シリンダ本体22はロッドカバー22cの部分で固定台座14に取り付けられている。図2に示すように、ガイドロッド15の基端部はシリンダ本体22の内部に入り込んでおり、2本のガイドロッド15は連結部材23にボルト15bにより連結されている。
図2に示すように、シリンダ本体22内のシリンダ室24にはピストン25が組み込まれており、このピストン25はシリンダ本体22内を前進用流体室26aと後退用流体室26bとに仕切っている。ヘッドカバー22bには側面と底面とにそれぞれ開口して前進用流体室26aに連通する前進用給排ポート27aが形成されるとともに、後退用流体室26bに連通する後退用給排ポート27bが形成されている。側面側と底面側の何れかの給排ポートを封止することによりその他方から流体を供給することができ、側面側と底面側の何れからでも流体を供給することができるようになっている。前進用給排ポート27aは前進用流体室26aと直接連通しているのに対し、後退用給排ポート27bはシリンダチューブ22a内に組み込まれた連通流路28を介してシリンダ室24の先端側の後退用流体室26bに連通している。
ピストン25にはピストンロッド29の基端部が連結され、ピストンロッド29は連結部材23とロッドカバー22cと固定台座14とワーク支持台16とを貫通してワーク支持台16の前面より突出している。ピストンロッド29の先端部に固定された連結ピン31はクランプアーム20に形成された長孔32に係合しており、ピストンロッド29は連結ピン31によりクランプアーム20に連結されている。ピストンロッド29は前進用給排ポート27aから前進用流体室26aへ圧縮空気を供給することによりワーク支持台16の前面から突出する方向に前進移動し、後退用給排ポート27bから後退用流体室26bへ圧縮空気を供給することにより逆方向に後退移動する。
図2はピストンロッド29がピストン25により後退限位置つまり待機位置に駆動された状態を示す。この状態のもとでパネル材Wが固定片18のワーク支持面17の上に搬入されることになり、ピストンロッド29を前進移動させると、ワーク支持台16はピストンロッド29と締結されてガイドロッド15およびピストンロッド29とともにワーク支持位置まで上昇移動し、パネル材Wもワーク支持位置まで上昇移動する。ワーク支持台16がワーク支持位置まで上昇移動した後には、ワーク支持台16とピストンロッド29との締結が後述のように解除されてワーク支持台16は停止する。
引き続いてピストンロッド29を前進移動させると、停止状態のワーク支持台16に対してクランプアーム20が支持ピン19を中心にピストンロッド29により駆動され、ピストンロッド29が前進限位置つまりクランプ位置まで移動すると、ワーク支持面17に支持された状態のパネル材Wがクランプ片21と固定片18との間でクランプされる。
ピストンロッド29が後退限位置である待機位置からワーク支持位置に向けて上昇移動する際に、ピストンロッド29の軸方向移動をワーク支持台16の上下動に伝達するために、ワーク支持台16の内部にはクラッチ機構33が組み込まれている。
クラッチ機構33は、図4に示すように、ピストンロッド29の外側にピストンロッド29に対して相対的に摺動自在に嵌合されるスリーブ34を有している。スリーブ34には径方向に貫通する収容孔35が円周方向に所定の間隔を隔てて複数形成されており、それぞれの収容孔35には締結具としての鋼球36が収容されている。スリーブ34の基端部の外側にはばね受け筒体37が配置されており、ばね受け筒体37はピストンロッド29が貫通する貫通孔を有する径方向部37aが下端部に設けられるとともに径方向外方に突出したフランジ部37bが先端部に設けられた円筒部37cを有している。円筒部37cの内部には一端部が径方向部37aに当接し、他端部がスリーブ34に形成されたフランジ部34aに当接する圧縮コイルばね38が装着され、この圧縮コイルばね38によりスリーブ34にはピストンロッド29の先端に向かう方向のばね力が加えられている。スリーブ34の外側には締結筒体39が配置されており、締結筒体39の下端部内にはばね受け筒体37のフランジ部37bが圧入され、ばね受け筒体37は締結筒体39と一体に結合されている。この締結筒体39の内周面はピストンロッド29の先端面に向かうに従って小径となるテーパ孔41となっている。なお、締結具としては鋼球36に代えてローラ等を用いるようにしても良い。
スリーブ34および締結筒体39は、図4に示すように、ワーク支持台16の連結プレート16aに固定されるカバー42内に組み込まれており、カバー42はほぼ四辺形の天板部42aとこれの両端部から軸方向に伸びる脚部42bとを有し、締結筒体39はその上端が天板部42aの内面に当接して軸方向移動が規制されている。カバー42は、図3(C)に示されるように、天板部42aの四隅のうち対角線上の2箇所に取り付けられる2本のボルト43により連結プレート16aに固定されている。それぞれのボルト43はカバー42を貫通して連結プレート16aにねじ結合されている。
このように、スリーブ34に設けられた鋼球36はピストンロッド29と締結筒体39との間に配置され、スリーブ34にピストンロッド29の先端部に向けて加えられる圧縮コイルばね38のばね力により鋼球36にはテーパ孔41とピストンロッド29の外面との間に押し込まれる方向の締結力が加えられているので、ピストンロッド29が待機位置からワーク支持位置に向けて前進移動するときには、鋼球36がテーパ孔41とピストンロッド29との間で鋼球36が締め付けられてクラッチ機構33が締結状態になり、鋼球36を介してピストンロッド29と一体となる締結筒体39によりワーク支持台16は上昇移動する。これに対し、ピストンロッド29が後退移動するときには鋼球36はテーパ孔41の内周面から離れる方向に移動するのでピストンロッド29の後退移動時にはクラッチは解除される。このように、鋼球36が設けられたスリーブ34とテーパ孔41が形成された締結筒体39とを有するクラッチ機構33はワンウエイクラッチとなっている。
一方、ピストンロッド29がワーク支持位置とクランプ位置との間を移動する際には、クラッチ機構33によるピストンロッド29とワーク支持台16との締結が解除されてピストンロッド29の軸方向移動はワーク支持台16には伝達されない。クラッチ締結を解除するために、ワーク支持台16内にはクラッチ解除機構44が組み込まれている。
クラッチ解除機構44は、図4に示すように、スリーブ34の前方であってカバー42の外側に配置される押圧板45を有し、押圧板45にはピストンロッド29が貫通する貫通孔46が形成されている。押圧板45とスリーブ34との間には押圧リング47が設けられており、この押圧リング47はカバー42の天板部42aに形成された貫通孔内に配置されている。押圧板45は、図3(B)に示されるように、ワーク支持台16の図における左右方向に対して傾斜して配置されており、押圧板45に対応させてワーク支持台16の連結プレート16aの下面には連結板48が配置されている。図3(B)に示すように、押圧板45の両端部にはカバー42の天板部42aの四隅のうちボルト43が設けられていない2箇所に対応させて連結ロッド49が取り付けられ、この連結ロッド49により押圧板45は、図3(D)に示すように連結板48に連結されている。連結ロッド49の上端部には図3(B)に示すようにボルト49aがねじ結合されており、ボルト49aにより押圧板45は連結ロッド49に締結されている。同様に、連結ロッド49の下端部には図示しないボルトがねじ結合されており、そのボルトにより連結板48は連結ロッド49に締結されている。
ピストンロッド29の外側には図2に示すように中空連結軸51がピストンロッド29に対して相対的に軸方向に移動自在に装着され、中空連結軸51の先端部は連結板48に連結されており、中空連結軸51の先端部には連結板48にねじ止めされる雄ねじ51aが設けられている。台座プレート11には中空連結軸51が貫通する貫通孔が形成されたカバー50が、図3(E)に示すようにボルト50aにより固定されており、カバー50には中空連結軸51の外側から塵などの異物が入り込むのを防止するためのダストシールが設けられている。中空連結軸51の後端部には、図5に示すように、ストッパ52が設けられており、中空連結軸51の後端部にはストッパ52がねじ止めされる雄ねじ51bが設けられている。固定台座14の台座ブロック12には図2に示すようにストッパ52が当接する当接部53が形成されており、ピストンロッド29が待機位置からワーク支持位置まで前進移動するときには、中空連結軸51がピストンロッド29とともに前進移動し、ピストンロッド29がワーク支持位置まで前進移動すると、ストッパ52が当接部53に接触してワーク支持台16の前進移動が規制される。
ピストンロッド29がワーク支持位置よりも前進移動すると、中空連結軸51に連結板48および連結ロッド49を介して連結された押圧板45がワーク支持台16に対して相対的に後退移動する。これにより、図4(B)に示すように、押圧リング47が押圧板45により押し下げられて鋼球36によるピストンロッド29と締結筒体39との締結が解除される。したがって、ピストンロッド29がワーク支持位置とクランプ位置との間を移動する過程においては、ワーク支持台16が停止した状態のもとで、クランプアーム20が開閉駆動される。
ワーク支持台16がピストンロッド29によりワーク支持位置まで駆動されたときに、ガイドロッド15の後退移動を規制してワーク支持台16を固定するために、図5に示すように、シリンダ本体22のロッドカバー22cにはロック部材54がガイドロッド15の径方向に往復動自在に装着されている。ロック部材54は、シリンダ本体22内の後退用流体室26bに開口してロッドカバー22cに形成された小径シリンダ孔55aと、これと同心上の大径シリンダ孔55b内に軸方向に往復動自在に装着されており、ロック部材54の後端部にはロックピストン54aが設けられている。
図6(A),(B)はロック部材54を示す拡大断面図であり、ロック部材54にはばね収容孔56が形成されており、このばね収容孔56内に組み込まれるばね部材としての圧縮コイルばね57によりロック部材54にはガイドロッド15に向かう方向のばね力が加えられている。ロッドカバー22cには大径シリンダ孔55bを閉塞するカバー58が取り付けられており、カバー58には圧縮コイルばね57の端面が当接している。ばね力に抗してロック部材54を後退移動させるために、小径シリンダ孔55aと大径シリンダ孔55bとの段差面55cとロックピストン54aとの間の流体圧室59に圧縮空気を供給するために、流体圧室59と連通流路28とを連通させる連通流路60がロッドカバー22cに形成されている。図6(B)は後退用給排ポート27bから供給された圧縮空気が流体圧室59内に流入してロック部材54が後退移動した状態を示す。後退用給排ポート27bに圧縮空気を供給すると、供給された圧縮空気は後退用流体室26b内に流入するとともに、後退用流体室26bに開口する小径シリンダ孔55aにも圧縮空気が流入し、ロック部材54には後退移動させる方向に推力が加えられることになる。
図6において右側のガイドロッド15には軸方向に移動自在にカバースリーブ61が嵌合されており、台座ブロック12に固定されたばね受け62とカバースリーブ61との間にはカバースリーブ61をロック部材54の前方に迫り出させる方向にばね力を加えるための圧縮コイルばね63が装着されている。カバースリーブ61の迫り出し位置はロッドカバー22cに形成された段部64により規制されるようになっている。図6(A)に示すようにカバースリーブ61にロック部材54の先端面が当接することによりロック部材54が直接ガイドロッド15に接触することが回避される。これにより、ガイドロッド15の摩耗が防止されるとともにワーク支持台16を円滑に軸方向に移動することができる。
2本のガイドロッド15をそれぞれの後端部で連結する連結部材23には、図5に示すように、ピストンロッド29によりワーク支持台16が後退限の待機位置からワーク支持位置まで前進移動したときにロック部材54が接触する係合面65が設けられている。したがって、ピストンロッド29が待機位置からワーク支持位置まで前進駆動されると、連結部材23が図6に示す圧縮コイルばね63のばね力に抗してカバースリーブ61をピストンロッド29の先端部に向けて移動させた後に、ロック部材54が係合面65に接触してガイドロッド15をロックしてその後退移動を規制することになる。このように、ワーク支持台16が待機位置からワーク支持位置まで前進移動した状態のもとでは、ガイドロッド15の後退移動がロック部材54により規制されるので、ワーク支持台16のワーク支持面17の上に配置されたパネル材Wの自重によりワーク支持台16が下降移動することが防止される。
次に、図7〜図10を参照してワーククランプ装置によるパネル材Wのクランプ手順について説明する。
図7(A)はワーク支持台16が待機位置となった状態を示しており、このときにはクランプ片21がほぼ垂直方向を向いており、クランプアーム20は開放状態となって当接部20aがストッパ18aに当接している。この状態のもとで、ワーク支持面17の上にパネル材Wが搭載される。前進用給排ポート27aから前進用流体室26a内に圧縮空気を供給すると、ピストン25には図において上方に向かう推力が加えられてピストンロッド29が上方に向けて前進移動する。ピストンロッド29が待機位置からワーク支持位置まで前進移動する過程では、クラッチ機構33が締結状態となっており、ワーク支持台16はパネル材Wを支持した状態で、ピストンロッド29によりガイドロッド15および中空連結軸51とともに前進移動する。
図7(B)はこのようにしてワーク支持台16がワーク支持位置まで前進移動した状態を示しており、ワーク支持台16がこの位置まで前進移動すると、中空連結軸51の後端部に設けられたストッパ52が当接部53に接触するとともに、ロック部材54が係合面65に接触してワーク支持台16の後退移動が規制される。したがって、ワーク支持台16とパネル材Wの荷重はロック部材54により支持されることになる。この状態のもとで前進用流体室26a内に圧縮空気がさらに供給されると、ワーク支持台16の前進移動は中空連結軸51のストッパ52が当接部53に当接するので規制されるとともに、図4(B)に示すように押圧板45が押圧リング47を介してスリーブ34をワーク支持台16に対して相対的に後退移動させるので、鋼球36によるピストンロッド29の締結が解除される。
図8(C)はこのようにピストンロッド29の締結が解除されてピストンロッド29がワーク支持位置よりも前進移動し、クランプアーム20が約45度回動した状態を示す。
図8(D)はさらにピストンロッド29が前進移動してクランプアーム20がクランプ位置となり、固定片18のワーク支持面17とクランプ片21とによりパネル材Wが締結つまりクランプされた状態を示す。このようにしてパネル材Wをクランプした状態のもとで、自動車車体を構成するパネル材Wの溶接作業が行われる。パネル材Wの溶接作業が終了した後には、クランプアーム20を開放状態とする。
図9(E)は、パネル材Wの溶接作業が終了し、クランプアーム20を開放状態としてパネル材Wのクランプを解いた状態を示す。クランプアーム20を開放する際に、後退用給排ポート27bから連通流路28に圧縮空気を供給すると、連通流路60を介して流体圧室59内に圧縮空気が供給されてロック部材54が圧縮コイルばね57のばね力に抗して後退移動し、ロック部材54は係合面65から離れることになる。このようにしてロック部材54が係合面65から離れた状態のもとで、後退用流体室26b内に供給される圧縮空気によりピストンロッド29が後退移動してクランプアーム20が開放状態となる。このときには、後退用流体室26b内の圧縮空気の圧力がガイドロッド15を上昇させる方向に加わっているので、ガイドロッド15およびワーク支持台16は後退移動することなくワーク支持位置となっている。
図9(F)はピストンロッド29の後退移動によりクランプアーム20が全開となった状態を示し、この状態におけるワーク支持台16の位置は、図7(B)に示すワーク支持位置に対応する。クランプアーム20が全開状態となるとクランプアーム20の当接部20aがストッパ18aに当接する。したがって、この状態よりもピストンロッド29が後退移動するときには、クランプアーム20が固定片18を介してワーク支持台16に固定されるので、ピストン25に加えられる後退用流体室26b内の圧縮空気によりピストンロッド29が後退移動すると、ワーク支持台16が後退移動する。
図10(G)はこのようにストッパ18aにクランプアーム20が当接した状態となってピストンロッド29の後退移動によりワーク支持台16が図9(F)の位置よりも後退移動した状態を示す。この後退移動においては、後退用流体室26b内の圧縮空気によりガイドロッド15には前進移動する方向の圧力が加わるが、ピストン25の受圧面の方がガイドロッド15の受圧面よりも大きいのでピストンロッド29によりワーク支持台16は後退移動する。引き続いて後退用流体室26b内に圧縮空気が供給されると、ピストンロッド29は後退限位置である待機位置まで後退移動する。図9(F)に示す位置から待機位置に向けてピストンロッド29が後退移動する際には、ストッパ52が当接部53から離れており、スリーブ34はばね力で前進方向に移動するが、テーパ孔41はピストンロッド29の基端部側に向けて内径が大きくなるように広がっているので、ピストンロッド29はワーク支持台16に締結されることはない。
図10(H)はピストンロッド29が待機位置まで後退した状態を示し、待機位置においてパネル材Wは搬送装置やロボットによりワーククランプ装置から取り外される。この状態のもとで後退用流体室26bに対する圧縮空気の供給を停止すると、図7(A)に示すように、ロック部材54は圧縮コイルばね57のばね力によりガイドロッド15に向けて前進移動し、カバースリーブ61に当接する。
上述したワーククランプ装置が複数種類の自動車を混流生産するための組み立てラインにおける溶接ステージに使用される場合には、溶接ステージにはそれぞれ自動車車体を構成する複数種類のパネル材Wが搬入されるようになっており、しかも1種類のパネル材Wが複数のワーククランプ装置によりクランプされるようになっているので、各々の溶接ステージには多数のワーククランプ装置が配置されることになる。そこで、全てのワーククランプ装置のワーク支持台が待機位置となった状態のもとで、溶接ステージに搬送台車やロボットにより搬入ないし投入されるパネル材Wに対応した複数のワーククランプ装置のワーク支持台の上に載置し、次いで、それぞれのワーク支持台16を上昇移動させることによりパネル材Wをワーク支持位置まで移動させるようにすると、他の種類のパネル材Wをクランプするためのクランプ装置のワーク支持台から離れた位置でパネル材Wの溶接作業を行うことができ、他の種類のパネル材Wのクランプ装置と溶接機とが干渉することなく、容易に溶接作業を行うことができる。
しかも、1つのシリンダ本体22によりワーク支持台16の上下動と、クランプアーム20の開閉動作とを連続的に行うことができるので、ワーク支持台16を上下動するためのシリンダと、クランプアーム20を開閉するためのシリンダとをワーククランプ装置に設けることが不要となり、多数のワーククランプ装置を接近させて溶接ステージに配置することができるとともに、シリンダ本体22内の流体室に圧縮空気を供給するための配管の本数も少なくすることができ、溶接ステージの構造を簡単にすることができる。これにより、溶接ステージにおける保守点検作業を容易に行うことができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図示する場合にはワーク支持台16を上下方向に移動させるようにしているが、ワーク支持台16を待機位置とワーク支持位置との間に水平移動させるようにしても良い。また、ワーク支持台16をワーク支持位置に上昇させた状態のもとでパネル材Wをワーク支持台16のワーク支持面17に搭載するようにしても良い。
本発明の一実施の形態であるワーククランプ装置を示す斜視図である。 図1における正面断面図である。 (A)〜(E)はそれぞれ図2におけるA−A線〜E−E線に沿う断面図である。 (A),(B)は図1および図2に示されたワーク支持台を示す拡大断面図である。 図1および図2に示されたシリンダ本体を示す拡大断面図である。 (A),(B)はロック部材を示す拡大断面図である。 (A),(B)はワーククランプ装置の作動状態を示す断面図である。 (C),(D)はワーククランプ装置の作動状態を示す断面図である。 (E),(F)はワーククランプ装置の作動状態を示す断面図である。 (G),(H)はワーククランプ装置の作動状態を示す断面図である。
符号の説明
10 ボルト
11 台座プレート
11a 取付孔
12 台座ブロック
13 ボルト
14 固定台座
15 ガイドロッド
15a ボルト
15b ボルト
16 ワーク支持台
16a 連結プレート
16b ケース体
16c 凸部
17 ワーク支持面
18 固定片
18a ストッパ
19 支持ピン
20 クランプアーム
20a 当接部
21 クランプ片
22 シリンダ本体
22a シリンダチューブ
22b ヘッドカバー
22c ロッドカバー
23 連結部材
24 シリンダ室
25 ピストン
26a 前進用流体室
26b 後退用流体室
27a 前進用給排ポート
27b 後退用給排ポート
28 連通流路
29 ピストンロッド
31 連結ピン
32 長孔
33 クラッチ機構
34 スリーブ
34a フランジ部
35 収容孔
36 鋼球
37 ばね受け筒体
37a 径方向部
37b フランジ部
37c 円筒部
38 圧縮コイルばね
39 締結筒体
41 テーパ孔
42 カバー
42a 天板部
42b 脚部
43 ボルト
44 クラッチ解除機構
45 押圧板
46 貫通孔
47 押圧リング
48 連結板
49 連結ロッド
49a ボルト
50 カバー
50a ボルト
51 中空連結軸
51a,51b 雄ねじ
52 ストッパ
53 当接部
54 ロック部材
54a ロックピストン
55a 小径シリンダ孔
55b 大径シリンダ孔
55c 段差面
56 ばね収容孔
57 圧縮コイルばね
58 カバー
59 流体圧室
60 連通流路
61 カバースリーブ
62 ばね受け
63 圧縮コイルばね
64 段部
65 係合面
W パネル材

Claims (5)

  1. ワーク支持面を有し当該ワーク支持面との間でパネル材をクランプするクランプアームが回動自在に装着されたワーク支持台と、
    先端に前記ワーク支持台が取り付けられたガイドロッドを摺動自在に支持するとともに、前記ガイドロッドの基端部が入り込むシリンダ本体が取り付けられる固定台座と、
    前記シリンダ本体内に組み込まれ前記シリンダ本体内を前進用流体室と後退流体室とに仕切るピストンに後端が連結されるとともに前記ワーク支持台を貫通して先端が前記クランプアームに連結され、後退限の待機位置と前進限のクランプ位置との間を軸方向に往復動するピストンロッドと、
    前記ワーク支持台内に組み込まれ、前記ピストンロッドが前記待機位置と前記クランプ位置との間のワーク支持位置へ前記待機位置から移動するときに前記ピストンロッドを前記ワーク支持台に締結して前記ピストンロッドの移動を前記ワーク支持台に伝達するクラッチ機構と、
    前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置から前記クランプ位置へ移動するときに前記クラッチ機構の締結を解除して前記ピストンロッドの移動を前記クランプアームに伝達するクラッチ解除機構とを有することを特徴とするワーククランプ装置。
  2. 請求項1記載のワーククランプ装置において、前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置となったときに前記ガイドロッドをロックしてガイドロッドの後退移動を規制するロック部材を前記シリンダ本体に設けることを特徴とするワーククランプ装置。
  3. 請求項2記載のワーククランプ装置において、前記後退用流体室に連通させて前記シリンダ本体に前記ガイドロッドの径方向に移動自在に前記ロック部材を設け、前記ロック部材に前記ガイドロッドに向かうばね力を加えるばね部材を前記シリンダ本体に設け、前記後退用流体室に供給される流体により前記ロック部材を前記ばね力に抗してロック解除位置に駆動することを特徴とするワーククランプ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のワーククランプ装置において、前記クラッチ機構は、前記ピストンロッドの外側に前記ピストンロッドに対して相対的に摺動自在に嵌合されるとともに締結具が設けられたスリーブと、当該スリーブの外側に配置されて前記ワーク支持台に固定され、先端側に向かうに従って小径になるテーパ孔を有し、前記締結具を介して前記ピストンロッドに締結力を加える締結筒体とを有することを特徴とするワーククランプ装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のワーククランプ装置において、クラッチ解除機構は、前記スリーブの前方に配置される押圧板と、前記ピストンロッドの外側にこれに対して相対的に軸方向に移動自在に装着され先端部が前記押圧板に連結される中空連結軸と、当該中空連結軸の後端部に設けられ前記ワーク支持台をワーク支持位置で規制する当接部に接触するストッパとを有し、前記ピストンロッドが前記ワーク支持位置と前記クランプ位置との間を移動するときには前記中空連結軸が前記スリーブを後退移動させて前記ピストンロッドに対する締結力を解除することを特徴とするワーククランプ装置。
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