JP2008289973A - 濾過装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 原水の短絡流の発生を可及的に防ぎ、濾過機能の優れた濾過装置を提供する。
【解決手段】 濾材支持床を構成する目板等の多孔板２と該多孔板２に相対する上側多孔板３で区画して濾過室１を構成する。該濾過室１に、適宜数の、縦長繊維製の縦長濾材８Ａを、前記多孔板２に下端を取付けて収設する。そして、縦長濾材８Ａに原水の下降流を接触させて濾過操作を行うようにする。また、前記縦長濾材８Ａと前記上側多孔板３との間の、前記濾過室１の上部に形成される空間域１´に、前記下降流によって移動し、かつ、前記縦長濾材同士８Ａ，８Ａ間又は縦長繊維濾材８Ａと前記濾過室１の側壁１Ａ´間に係合する大きさの、浮上性のない繊維塊状物８Ｂを収設する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、用水等の原水や排水から濁質を捕捉するために用いる濾過装置に関するものである。

下降流の濾過室内に上下に長い繊維濾材を用いた構造の濾過装置として、該濾材の下端を濾過室を構成する多孔板に止着し、濾材の上方に浮上性充填材を配するようにした構造のもの（例えば特許文献１）や、濾材の上下両端を多孔板等の濾過室構成材に止着した構造のもの（例えば、特許文献２）がある。

特許第３７７９６３４号公報 特許第３６３３８５８号公報

前記従来例中、前者のものは、浮上性充填材で濁質中の大きなものを、繊維濾材で小さなものをそれぞれ捕捉するようにして濾過効率を図るものであるが、繊維濾材は下端側のみが固定された構成を採るため、下降流によって生じる圧密状態が均一になりにくいばかりでなく、空隙が生じ、原水が該空隙を通じて短絡流となって流下し、濾過機能が損われる場合がある。

また、後者の場合は、繊維濾材の上下両端が固定された構成を採るため、各濾材の原水の降下流に因る位置関係は比較的安定して均一な圧密状態を得られるが、それでも、濾過速度が高速になった場合や濾材の濾過室内の収納本数が少ない場合や並設態様によっては濾材間や濾材と濾過室側壁との境界に空隙ができる場合がある。また、この後者の場合は芯材の周側に濁質の捕捉材を突出させて繊維濾材を構成しているので、捕捉材は芯材部より離れた部分が芯材部部分より疎となり、これら空隙や疎を通じて流下して短絡して濾過機能が低減する場合がある。

本発明は従来例の斯様な欠点に着目し、短絡流の発生を可及的に防ぎ、優れた濾過機能を備えた濾過装置を提供することを目的として創案したものである。

濾材支持床を構成する目板等の多孔板と該多孔板に相対する上側多孔板で区画して濾過室を構成し、該濾過室に、適宜数の、縦長繊維濾材を、前記多孔板に下端を取付けて収設し、該縦長繊維濾材に原水の下降流を接触させて濾過操作を行うようにした濾過装置において、前記縦長繊維濾材と前記上側多孔板との間の、前記濾過室の上部に形成される空間域に、前記下降流によって移動し、かつ、前記縦長繊維濾材同士間又は縦長繊維濾材と前記濾過室の側壁間に係合する大きさの、浮上性のない繊維塊状物を収納したことを基本的手段とする。そして、この基本的手段に縦長繊維濾材を芯紐と該芯紐の周側に突出させた濁質の捕捉材とで構成した点を採用することにより繊維塊状物を縦長繊維濾材間に確実に入り込むようにして濾過機能を尚一層増大させ、さらに縦長濾材の上端を上側多孔板に取付けた点を付加することにより短絡流の発生を尚一層防ぎ、濾過機能の優れた装置を提供することができる。

本発明によれば、下降流によって圧密となった濾材間等の空隙に、浮上性のない繊維塊状物が、該空隙部に生じる下降流の流速に運ばれて係合し、空隙部の流速を減少させ、その結果、短絡流の発生による濾過性能の低下を防ぐことのできる濾過装置を提供できる。

図面は、本発明に係る濾過装置の一実施例を示し、図１は濾過操作時の略示断面図、図２は洗浄操作の略示断面図、図３は繊維塊状物の正面図である。

図中、１は濾過室で、濾過室１は、濾過槽１Ａの内壁１Ａ´と濾過槽１Ａ内に敷設した、濾材支持床を構成する多孔板２および該多孔板２に相対向させて前記濾過槽１Ａ内に装置した上側多孔板３とで前記濾過槽１Ａ内を区画して構成する。

前記濾過槽１Ａは、上部側において注入口４（逆洗水の排出口と洗浄用空気の排出口も兼ねる）を、下部側において処理水の排出口６（逆洗水の圧入口兼用の）と洗浄用空気圧管７をそれぞれ備え、これらを前記濾過室１内に連通させてある。

前記濾過室１には濾材８を収設し、該濾材８に前記注入口４を通じて濾過室１内に下降流として注入した原水を接触させて濾過操作を行う。

濾材８は、原水の流れ方向（長手方向）に沿って屈曲変形可能な素材で成る芯紐８Ａ´（実施例は撚り糸を用いている）の周側に無数の捕捉糸８Ａ´´…を放射状に突設して成る縦長繊維濾材８Ａ（原水の流れ方向、濾過室１の上下方向に長い）と、該縦長繊維濾材８Ａと別体の繊維塊状物８Ｂとで構成する。

縦長繊維濾材８Ａは、芯紐８Ａ´の下端部を取付け手段９によって前記多孔板２に止着する一方、芯紐８Ａ´の上端を前記上側多孔板３に取付け手段９により止着し、濾過室１に適宜数並べて収設したものである。

なお、芯紐８Ａ´には捕捉糸８Ａ´´の省略部を設けて芯紐８Ａ´の長さを、多孔板２と上側多孔板３の間の間隙幅（濾過室１の高さ）より長くし、この省略部の長さを調節することにより濾過操作時における縦長繊維濾材８Ａ（捕捉糸８Ａ´´）の圧密状態を調整できるようにしてある。

繊維塊状物８Ｂは、濾過室１内に並べて収設した繊維濾材８Ａ，８Ａ間又は該濾材８Ａと濾過室内壁１Ａ´間に生じる（原水の降下流によって）空隙に降下流の作用によってその一部又は全部が係合する程度の大きさ、形態を成すもので、実施例のものはポリエステル繊維を丸めたものであるが、その形は球形、棒状形、長形状等々いずれの形にしたものでも不都合はないし、樹脂製芯材の表面にポリエステル繊維を植毛状に設けたものでも不都合はないし、材料としてポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系の樹脂繊維や、綿、絹などの植物天然繊維を素材としても良く、その材質は問わないが、繊維濾材間等に係合して原水の濁質の除去つまり濾材として用いる以上、耐水性や耐腐食性有る素材を用いるべきであり（濁質を捕捉しないものでも良い）、また、縦長繊維濾材８Ａ，８Ａ間等に生じる空隙に係合して短絡流の発生を防ぐものであるから、縦長繊維濾材８Ａに馴染み易い形態にすべきである。

この繊維塊状物８Ｂは、前記上側多孔板３と縦長繊維材８Ａとの間の、前記濾過室１の上部に形成される空間域１´に収納され、縦長繊維濾材８Ａと別体にして原水の降下流に従って移動する。

しかして、注入口４を通じて原水（未処理水）を圧入すると、原水は濾材８に接触して排出口６を通じて処理水として回収される。この濾過操作中に、原水の降下流によって縦長繊維濾材は圧密となって濾過操作が効率的に行われる一方、縦長繊維濾材８Ａ，８Ａ間や、縦長繊維濾材８Ａと濾過槽１Ａ（濾過室１）の内壁１Ａ´との間に生じ勝ちな空隙部に降下流の流れに従って、すなわち、流れの速い方向に繊維塊状物８Ｂは移動させられ（流れ）、該空隙部に係合して、空隙部を埋め、空隙部の存在による短絡流の発生を防ぎ、濾過操作を尚一層効率的に行うのである。

なお、縦長繊維濾材および繊維塊状物は濾過時には降下流により下部ヘ圧縮され、原水の濁質を捕捉するが、定期的に捕捉した濁質を剥離させて再び濾過できる状態にする、つまり洗浄する必要がある。

洗浄には、排出口６を介して下部側から洗浄水、そして空気圧入管７を介して洗浄空気を圧入し、濾過作用により圧縮していた濾過材を展開させ（伸ばし）て捕捉した濁質を濾過塔上部の注入口４から濾過塔系外に排出させる。その際に繊維塊状物８Ｂは上側多孔板３に接するが、上側多孔板３の孔径よりも大径にすることで、濁質とともに注入口４から排出されることはない。

この際に、縦長繊維濾材８は多孔板２に止着しているが、繊維塊状物８Ｂは洗浄の作用に従って自由に流動し、縦長繊維の上方へ移動する。

洗浄後に再度濾過が実施されたときには、降下流に従って縦長繊維が圧密され、縦長繊維の上部から繊維塊状物が縦長繊維の圧密の低い箇所へ移動する。

濾過操作時の略示断面図。 洗浄操作の略示断面図。 繊維塊状物の正面図。

符号の説明

１ 濾過室
２ 多孔板
３ 上側多孔板
８Ａ 縦長濾材
８Ｂ 繊維塊状物

Claims (3)

1. 濾材支持床を構成する目板等の多孔板と該多孔板に相対する上側多孔板で区画して濾過室を構成し、該濾過室に、適宜数の、縦長繊維濾材を、前記多孔板に下端を取付けて収設し、該縦長繊維濾材に原水の下降流を接触させて濾過操作を行うようにした濾過装置において、前記縦長繊維濾材と前記上側多孔板との間の、前記濾過室の上部に形成される空間域に、前記下降流によって移動し、かつ、前記縦長繊維濾材同士間又は縦長繊維濾材と前記濾過室の側壁間に係合する大きさの、浮上性のない繊維塊状物を収納した、濾過装置。
2. 縦長繊維濾材を芯紐と該芯紐の周側に突出させた濁質の捕捉材とで構成した、請求項１記載の濾過装置。
3. 縦長濾材の上端を上側多孔板に取付けた、請求項２記載の濾過装置。

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