JP4649791B2 - 濾過装置 - Google Patents

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富士夫 小出
浩泰 越智
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日本錬水株式会社
株式会社トーケミ
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、濾過装置に関し、詳しくは、濾過膜モジュールの前段に繊維状の濾材を使用した特定構造の濁質除去装置を設置した濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、限外濾過膜(UF)モジュール及び精密濾過膜(MF)モジュールは、脱塩による純水製造の分野において、濁質成分を高度に除去するための前処理装置として使用されている。例えば、特許第2940648号公報には、イオン交換樹脂塔から成る脱塩装置の前段にUF又はMFモジュールを設置した純水製造装置が提案されている。また、UF又はMFモジュールは、中純度純水を得るための逆浸透膜モジュールの前処理装置としても使用される。
【0003】
しかしながら、上記の様な濾過膜モジュールは、特に高濁度原水を通水した際に短時間で膜分離装置の閉塞が起こり、長時間に亘り安定運転を行なうことが出来ない欠点がある。因みに、MFの孔径は通常0.01〜2μm、UFの孔径は通常0.001〜0.01μmである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、高濁度原水を通水しても長時間に亘り安定運転を行なうことが出来る様に改良された濾過装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、限外濾過膜(UF)モジュール又は精密濾過膜(MF)モジュールの前段に濁質除去装置を設置して成る濾過装置であって、上記の濁質除去装置(A)は、下向流形式で原水が供給され且つ上向流形式で洗浄水が供給される濁質除去装置であって、塔(1)の頂部にはバルブ付の原水供給配管と洗浄廃水排出配管とが設けられ、塔(1)の底部にはバルブ付の処理水排出配管と洗浄水供給配管と空気供給配管とが設けられ、塔内部には上部支持体(2)と下部支持体(3)とが配置され、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間には芯紐および当該芯紐の周側に突設された濁質捕捉材から成る複数の濾材(4)が当該濾材の端部の上部吊り紐(7)と下部吊り紐(8)とによって懸垂状態で固定され、濾材(4)の芯紐ならびに上部吊り紐(7)及び下部吊り紐(8)は流水方向に沿って屈曲変形可能に構成され、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)、濾材(4)の長さ(LB)、上部吊り紐(7)の長さ(Lb1)、下部吊り紐(8)の長さ(Lb2)の関係が以下に規定する式(1)〜(3)を満足する濁質除去装置であることを特徴とする濾過装置に存する。
【0006】
【数2】
LA<(Lb1+LB+Lb2) (1)
LB<LA (2)
(LB+Lb2)<LA<(LB+Lb1) (3)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の濾過装置に使用される濁質除去装置(A)の好ましい一例の模式的説明図であり、図1(a)は原水処理運転の説明図であり、図1(b)は洗浄運転の説明図である。図2は、本発明の濾過装置に使用される濾過膜モジュールの一例の概念的説明図である。
【0008】
先ず、図1に示す濁質除去装置(A)について説明する。この濁質除去装置は、下向流形式で原水が供給され且つ上向流形式で洗浄水が供給される濁質除去装置である。従って、塔(1)の頂部にはバルブ付の原水供給配管と洗浄廃水排出配管とが設けられ、塔(1)の底部にはバルブ付の処理水排出配管と洗浄水供給配管と空気供給配管とが設けられている。図1に示す装置においては、原水処理運転および洗浄運転で使用される配管は共通しており、バルブ操作によって通水方向が変更される。
【0009】
すなわち、原水処理運転の場合、バルブ(61)及び(62)のみが開状態とされ、濁質を含む原水は、バルブ(61)から配管(51)を経由して塔(1)内に供給される。この際、濾材(4)は後述する様に圧密状態を呈し、原水に同伴された濁質は濾材(4)によって捕捉される。濁質を含まない処理水は、配管(52)を経由してバルブ(62)から排出され、そして、後述の図2に示す処理水槽(9)に貯留される。
【0010】
一方、洗浄運転の場合、原水処理運転時に開状態であったバルブ(61)及び(62)が閉止され、洗浄水は、バルブ(64)から配管(52)を経由して塔(1)内に供給される。一方、空気は、バルブ(63)から配管(53)を経由して塔(1)内に供給される。濾材(4)は後述する様に圧密状態を解除し、濾材(4)から濁質が除去される。空気のバブリング作用により、濾材(4)が振動させられ、濾材(4)に付着した濁質の剥離が促進される。濁質を含む洗浄水は、配管(51)を経由してバルブ(65)から排出される。
【0011】
塔内部には上部支持体(2)と下部支持体(3)とが配置され、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間には複数の濾材(4)が当該濾材の端部の上部吊り紐(7)と下部吊り紐(8)とによって懸垂状態で固定されている。
【0012】
上部支持体(2)及び下部支持体(3)の構造は、通水を妨げず且つ吊り紐(7)及び(8)によって濾材(4)を固定し得る構造である限り、特に制限されず、例えば、格子構造、目皿構造、編目構造などを適宜採用し得る。
【0013】
濾材(4)は、芯紐および当該芯紐の周側に突設された濁質捕捉材から成る。
濾材(4)の芯紐ならびに上部吊り紐(7)及び下部吊り紐(8)は流水方向に沿って屈曲変形可能に構成される。斯かる構成は、素材の種類、形態、太さ等の選択によって達成される。
【0014】
上記の各要素は、通常、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂素材にて構成される。また、上記の各紐は、組み、撚り、編み、織り、束ね、くけ又は裁断の各加工で得られた各種の紐の他、十分な強度を有する限り、単糸(モノフィラメント)も使用することが出来る。また、濾材(4)の濁質捕捉材の形状は、通常フィルム小片または糸状とされる。濾材(4)の一例としては、撚り加工された芯紐の周側に無数の糸状濁質捕捉材を放射状に突設した濾材が挙げられる。斯かる濾材は、特開平8−299707号に記載されて公知である。なお、濾材(4)の芯紐が長く濁質捕捉材の突設範囲の両端から突出している場合は、両端突出部の芯紐を上部吊り紐(7)及び下部吊り紐(8)として使用することが出来る。
【0015】
濁質除去装置(A)において、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)、濾材(4)の長さ(LB)、上部吊り紐(7)の長さ(Lb1)、下部吊り紐(8)の長さ(Lb2)が以下に規定する式(1)〜(3)を満足する必要がある。
【0016】
【数3】
LA<(Lb1+LB+Lb2) (1)
LB<LA (2)
(LB+Lb2)<LA<(LB+Lb1) (3)
【0017】
すなわち、濁質除去装置(A)において、式(1)に示す様に、濾材(4)と上部支持体(2)と下部支持体(3)の合計長さ(Lb1+LB+Lb2)は、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)より長い。従って、上記の各要素の何れかは塔(1)内に弛んだ状態で存在する。
【0018】
また、式(2)に示す様に、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)は、濾材(4)の長さ(LB)より長い。従って、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間には流水方向に沿って濾材(4)が存在しない領域が形成されている。換言れば、流水方向に沿って濾材(4)の可動範囲が形成されている。なお、図1の模式的説明図では濾材(4)同士の間に隙間が存在しているが、実際は濾材(4)同士の間に隙間はなく、複数の濾材(4)は密状態となる様に懸垂され、従って、複数の濾材(4)の全体は、流水方向(上下方向)に沿ってのみ移動する。
【0019】
更に、式(3)に示す様に、濾材(4)と上部吊り紐(7)との合計長さ(LB+Lb1)は、濾材(4)と下部吊り紐(8)との合計長さ(LB+Lb2)より長い。従って、下向流形式で原水が供給される原水処理運転時においては、図1(a)に示す様に、濾材(4)は下部支持体(3)に当接して下部吊り紐(8)と共に塔底部近傍で圧密され、上向流形式で洗浄水が供給される洗浄運転時においては、図1(b)に示す様に、濾材(4)は上部支持体(2)に当接せずに下部吊り紐(8)と共に塔内の上方に伸長した状態となる。
【0020】
以上の結果、濁質除去装置(A)においては、原水処理運転時における濾材の圧密状態と洗浄運転時における濾材の圧密状態の解除とにより、濾材による濁質の捕捉と排出とが効率的に行われる。
【0021】
濁質除去装置(A)において、前記の各要素は以下に規定する式(1’)〜(3’)を満足するのが好ましい。式(1’)〜(3’)中の各要素の大小関係の数値は、装置の経済性を考慮して決定された値である。
【0022】
【数4】
1.01×LA<(Lb1+LB+Lb2)<2.00×LA (1’)
1.01×LB<LA<1.50×LB (2’)
1.01×(LB+Lb2)<LA<1.01×(LB+Lb1) (3’)
【0023】
濁質除去装置(A)の前記した各要素の寸法は次の通りである。すなわち、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)は100〜400cm、濾材(4)の長さ(LB)は70〜300cm、上部吊り紐(7)の長さ(Lb1)は10〜250cm、下部吊り紐(8)の長さ(Lb2)は5〜20cm、塔(1)の直径は20〜360cmである。
【0024】
次に、図2に示す濾過膜モジュール(B)について説明する。本発明においては、濾過膜モジュール(B)として、限外濾過膜(UF)モジュール又は精密濾過膜(MF)モジュールを使用する。これらの膜モジュールとしては、従来公知のものを制限なく使用することが出来る。例えば、クラレ社製のMFモジュール「SF8108A」は好適に一例である。
【0025】
前述の濁質除去装置(A)で処理された濁質を含まない処理水は、配管(52)を経由してバルブ(62)から排出され、処理水槽(9)に貯留された後、ポンプ(10)により配管(54)を経由し、濾過膜モジュール(B)に供給される。そして、濁質が高度に除去された処理水は配管(55)から取り出される。
【0026】
本発明の濾過装置の特徴は、濾過膜モジュールの前段に繊維状濾材の圧密状態によって濁質の捕捉が行われる特定構造の濁質除去装置を設置して成る点にある。斯かる濁質除去装置によれば、濁度300度程度の高濁度原水から濁度2度以下の処理水を得ることが出来、しかも、濾過膜モジュールの場合の様に短時間で閉塞が起こることもなく、長時間に亘り安定運転を行なうことが出来る。
【0027】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、高濁度原水を通水しても長時間に亘り安定運転を行なうことが出来る様に改良された濾過装置が提供される。よって、本発明の工業的価値は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】濁質除去装置の好ましい一例の模式的説明図
【図2】濾過膜モジュールの一例の概念的説明図
【符号の説明】
A:濁質除去装置
B:濾過膜モジュール
1:塔
2:上部支持体
3:下部支持体
4:濾材
51〜55:配管
61〜65:バルブ
7:上部吊り紐
8:下部吊り紐
9:処理水槽
10:ポンプ

Claims (1)

  1. 限外濾過膜(UF)モジュール又は精密濾過膜(MF)モジュールの前段に濁質除去装置を設置して成る濾過装置であって、上記の濁質除去装置(A)は、下向流形式で原水が供給され且つ上向流形式で洗浄水が供給される濁質除去装置であって、塔(1)の頂部にはバルブ付の原水供給配管と洗浄廃水排出配管とが設けられ、塔(1)の底部にはバルブ付の処理水排出配管と洗浄水供給配管と空気供給配管とが設けられ、塔内部には上部支持体(2)と下部支持体(3)とが配置され、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間には芯紐および当該芯紐の周側に突設された濁質捕捉材から成る複数の濾材(4)が当該濾材の端部の上部吊り紐(7)と下部吊り紐(8)とによって懸垂状態で固定され、濾材(4)の芯紐ならびに上部吊り紐(7)及び下部吊り紐(8)は流水方向に沿って屈曲変形可能に構成され、上部支持体(2)と下部支持体(3)との間の距離(LA)、濾材(4)の長さ(LB)、上部吊り紐(7)の長さ(Lb1)、下部吊り紐(8)の長さ(Lb2)の関係が以下に規定する式(1)〜(3)を満足する濁質除去装置であることを特徴とする濾過装置。
    【数1】
    LA<(Lb1+LB+Lb2) (1)
    LB<LA (2)
    (LB+Lb2)<LA<(LB+Lb1) (3)
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