JP2008288491A - 構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 センサ等を構成する構造体において、1枚のマスクと簡単な工程で製造することができる構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 SOI基板7の表面に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12の表面にパターニングされたレジスト層14を形成し(1)、そのパターンに沿って絶縁膜12と非絶縁性のシリコンの上層6を異方性エッチングし、中間層4に至るトレンチを形成する(2)。遊離上層領域6a直下の中間層4を等方性エッチングし、ベース層2と分離するに至るまでエッチングする。次に、固定上層領域6b表面の一部に印刷法により金属膜8を形成する(3)。金属膜8を形成する工程では、フォトマスクを使用することがない。使用するフォトマスクは、レジスト層14をパターニングする際の1枚のみである。
【選択図】 図1
【解決手段】 SOI基板7の表面に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12の表面にパターニングされたレジスト層14を形成し(1)、そのパターンに沿って絶縁膜12と非絶縁性のシリコンの上層6を異方性エッチングし、中間層4に至るトレンチを形成する(2)。遊離上層領域6a直下の中間層4を等方性エッチングし、ベース層2と分離するに至るまでエッチングする。次に、固定上層領域6b表面の一部に印刷法により金属膜8を形成する(3)。金属膜8を形成する工程では、フォトマスクを使用することがない。使用するフォトマスクは、レジスト層14をパターニングする際の1枚のみである。
【選択図】 図1
Description
ベース層と中間層と上層が積層されている積層板から、上層が中間層を介してベース層に固定されている固定上層領域と、その固定上層領域から伸びているとともにその下方に存在していた中間層が除去されたためにベース層から遊離している遊離上層領域が混在している構造体を製造する技術が知られている。その構造体に物理量が作用すると、遊離上層領域が固定上層領域ないしはベース層に対して変位ないし変形するために、その変位量ないし変形量を計測することによって、構造体に作用した物理量の大きさを検出するセンサを構成することができる。あるいは、電圧等を印加することによって遊離上層領域が固定上層領域ないしはベース層に対して変位ないし変形する現象を利用してアクチュエータを構成することもできる。
本発明は、積層板から固定上層領域と遊離上層領域が混在している構造体を製造する方法に関する。
本発明は、積層板から固定上層領域と遊離上層領域が混在している構造体を製造する方法に関する。
積層板から固定上層領域と遊離上層領域が混在している構造体を製造する方法が開発されている。従来の方法では、上層と金属配線の間にオーミック特性を確保するためのイオン注入領域を規定するためのマスク、金属膜をエッチングしてパターン化された金属配線を形成するためのマスク、パターン化された金属配線を保護する保護膜を形成するためのマスク、上層をエッチングして遊離上層領域を形成するためのマスク、さらには複数枚のマスクを位置あわせするためのアライメントパターンを形成するためのマスク等、複数枚のマスクを必要としている。
上記の方法では、複数枚のマスクを必要とするためにマスクの製造コストが増大する。また複数枚のマスクを交換しながら加工を進めていくために製造工程も増加する。これらが構造体の製造コストを上昇させている。
上記の方法では、複数枚のマスクを必要とするためにマスクの製造コストが増大する。また複数枚のマスクを交換しながら加工を進めていくために製造工程も増加する。これらが構造体の製造コストを上昇させている。
必要なマスク数を減少させることができる製造方法が特許文献1に開示されている。この方法では、ガラス基板の表面にシリコン単結晶を接合し、接合したシリコン単結晶を研磨して薄くし、薄くしたシリコン単結晶を利用して形成する遊離領域の輪郭に沿ってシリコン単結晶をエッチングしてガラス基板を露出させ、シリコン単結晶に形成されたトレンチの底に露出するガラス基板をエッチングして遊離領域を構成するシリコン単結晶とガラス基板を分離し、その後に電極となる金属膜を構造体の表面全体に蒸着する。この方法によると、必要なマスクは1枚ですみ、従来の製造方法に比べて製造コストが低減される。
特許文献1の方法によると、必要なマスク数を減少することができ、構造体の製造コストを低減させることができるが、シリコン単結晶に形成されたトレンチの底に露出するガラス基板をエッチングする際に、ガラス基板のエッチング深さを管理することが極めて困難であるという問題を残している。構造体を得るためには、遊離領域を構成するシリコン単結晶に接するガラス基板の全部をエッチングして遊離領域を構成するシリコン単結晶とガラス基板を完全に分離する必要がある。ガラス基板をエッチングしてシリコン単結晶とガラス基板を分離する技術では、ガラス基板とシリコン単結晶が分離するまでエッチングしたときのガラス基板のエッチング深さが不安定であり、浅すぎたり深すぎたりする現象が発生してしまう。遊離領域を構成するシリコン単結晶とガラス基板間の距離は、構造体の挙動特性に影響する。距離が短ければ、シリコン単結晶とガラス基板間を気体が流れる際の流動抵抗が大きくなり、遊離領域が変形しずらくなる。構造体でセンサを構成する場合には、センサ感度が揃った構造体を生産し続けることが難しい。
本発明は、必要とするマスク枚数が1枚ですみ、遊離領域とベース層間の距離を正確に管理できる製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、ベース層の表面に絶縁性の中間層を介して非絶縁性の上層が積層されている積層板を加工することによって、上層が中間層を介してベース層に固定されている固定上層領域と、その固定上層領域から伸びているとともに対応する範囲の中間層が除去されているためにベース層から遊離している遊離上層領域が混在している構造体を製造する方法に関する。
本発明の製造方法は、積層板の上層の表面にパターニングされた開孔を持つレジスト層を形成する工程と、そのレジスト層をマスクにして上層を異方性エッチングして中間層に達するトレンチを形成する第1エッチング工程と、その第1エッチング工程で形成されたトレンチから中間層を等方性エッチングする第2エッチング工程と、固定上層領域の表面の一部に印刷法により金属膜を形成する工程を備えている。
上層の表面に形成するレジスト層の厚みは、第1エッチング工程でレジスト層がエッチングされる距離以上としておく。
レジスト層には、固定上層領域との接続部以外の遊離上層領域の外周に沿って伸びる開孔と、遊離上層領域内に分散形成されている開孔群を形成しておく。その開孔群は、隣接する開孔と開孔を分離する最大距離が、第2エッチング工程での中間層のエッチング量の2倍以下であるという規則に従って形成しておく。中間層は薄いために、最初にトレンチの底面に露出している中間層の厚みの全部がエッチングされ、その後もトレンチとトレンチを分離する上層の下方に位置している中間層が層に沿ってエッチングされ続ける。この場合、中間層のエッチング量とは、トレンチとトレンチを分離する上層の下方に位置している中間層が層に沿ってエッチングされる距離をいう。本方法によると、第2エッチング工程で、遊離上層領域に対応する範囲の中間層が除去される。上層に用いる材料は導体でも半導体でもよい。
本発明の製造方法は、積層板の上層の表面にパターニングされた開孔を持つレジスト層を形成する工程と、そのレジスト層をマスクにして上層を異方性エッチングして中間層に達するトレンチを形成する第1エッチング工程と、その第1エッチング工程で形成されたトレンチから中間層を等方性エッチングする第2エッチング工程と、固定上層領域の表面の一部に印刷法により金属膜を形成する工程を備えている。
上層の表面に形成するレジスト層の厚みは、第1エッチング工程でレジスト層がエッチングされる距離以上としておく。
レジスト層には、固定上層領域との接続部以外の遊離上層領域の外周に沿って伸びる開孔と、遊離上層領域内に分散形成されている開孔群を形成しておく。その開孔群は、隣接する開孔と開孔を分離する最大距離が、第2エッチング工程での中間層のエッチング量の2倍以下であるという規則に従って形成しておく。中間層は薄いために、最初にトレンチの底面に露出している中間層の厚みの全部がエッチングされ、その後もトレンチとトレンチを分離する上層の下方に位置している中間層が層に沿ってエッチングされ続ける。この場合、中間層のエッチング量とは、トレンチとトレンチを分離する上層の下方に位置している中間層が層に沿ってエッチングされる距離をいう。本方法によると、第2エッチング工程で、遊離上層領域に対応する範囲の中間層が除去される。上層に用いる材料は導体でも半導体でもよい。
本方法では、積層板の上層の表面に、フォトリソグラフィー等により、パターニングされたレジスト層を形成する。この際にマスクを必要とするが、後記するように後続する工程ではマスクを必要としない。本方法では、1枚のマスクがあれば足りる。
本方法では、レジスト層のパターニングされた開孔から上層を異方性エッチングして除去し、中間層に達するトレンチを形成する。このとき、上層に比べてエッチング速度は小さいが、レジスト層でもエッチングが進行する。異方性エッチング工程の途中でレジスト層が除去されてしまうと、パターンに沿ったエッチングができなくなる。そのため、最初に形成するレジスト層の厚みは、少なくとも異方性エッチング工程でレジスト層がエッチングされる距離以上にしておく必要がある。
トレンチを形成した後にトレンチを利用して中間層を等方性エッチングする。等方性エッチングするために、中間層を深さ方向にエッチングするだけでなく、中間層の側方にもエッチングが進行する。遊離上層領域を形成する範囲内には、隣接する開孔と開孔を分離する最大距離が第2エッチング工程での中間層のエッチング量の2倍以下であるという規則に従って開孔群が形成されているために、隣接する開孔と開孔を分離する壁の下方に位置する中間層も除去され、遊離上層領域とベース層は完全に分離される。
次に固定上層領域表面の一部に印刷法により金属膜を形成する。印刷法としては、金属の微粉末を用いたインクジェット方式や、スクリーン方式、オフセット印刷などが挙げられる。金属膜の形成方法に印刷法を用いると、フォトリソグラフィー用のマスクを用いる必要がない。スクリーン方式やオフセット印刷では一種のマスクを用いるが、金属膜の形成パターンは、第1エッチング工程でのエッチングパターンに比してラフであり、印刷用マスクは安価に製作することができる。
本方法では、レジスト層のパターニングされた開孔から上層を異方性エッチングして除去し、中間層に達するトレンチを形成する。このとき、上層に比べてエッチング速度は小さいが、レジスト層でもエッチングが進行する。異方性エッチング工程の途中でレジスト層が除去されてしまうと、パターンに沿ったエッチングができなくなる。そのため、最初に形成するレジスト層の厚みは、少なくとも異方性エッチング工程でレジスト層がエッチングされる距離以上にしておく必要がある。
トレンチを形成した後にトレンチを利用して中間層を等方性エッチングする。等方性エッチングするために、中間層を深さ方向にエッチングするだけでなく、中間層の側方にもエッチングが進行する。遊離上層領域を形成する範囲内には、隣接する開孔と開孔を分離する最大距離が第2エッチング工程での中間層のエッチング量の2倍以下であるという規則に従って開孔群が形成されているために、隣接する開孔と開孔を分離する壁の下方に位置する中間層も除去され、遊離上層領域とベース層は完全に分離される。
次に固定上層領域表面の一部に印刷法により金属膜を形成する。印刷法としては、金属の微粉末を用いたインクジェット方式や、スクリーン方式、オフセット印刷などが挙げられる。金属膜の形成方法に印刷法を用いると、フォトリソグラフィー用のマスクを用いる必要がない。スクリーン方式やオフセット印刷では一種のマスクを用いるが、金属膜の形成パターンは、第1エッチング工程でのエッチングパターンに比してラフであり、印刷用マスクは安価に製作することができる。
上記の結果、固定上層領域と遊離上層領域が混在し、固定上層領域の表面の一部に金属膜が形成されている構造体が形成される。また、本方法ではエッチング工程後に金属膜を成膜するが、成膜法として印刷法を用いるため、新たなフォトリソグラフィー用のマスクを必要としない。製造に必要なフォトリソグラフィー用のマスク数は1枚ですむ。
さらに本方法では、中間層を除去することによって遊離上層領域とベース層の間に間隔を設ける。その間隔の距離は中間層の厚みによって決定される。遊離上層領域とベース層間の距離が、エッチングの進行度合いによって不安定に変化することがない。挙動特性が安定している構造体を量産することが可能となる。
さらに本方法では、中間層を除去することによって遊離上層領域とベース層の間に間隔を設ける。その間隔の距離は中間層の厚みによって決定される。遊離上層領域とベース層間の距離が、エッチングの進行度合いによって不安定に変化することがない。挙動特性が安定している構造体を量産することが可能となる。
上層をエッチングしている間に、エッチング速度は遅いもののレジスト層もエッチングされる。上層をエッチングしている間にレジスト層が除去されてしまうと、上層のエッチング範囲を規制することができなくなってしまう。上層をエッチングし終えてもレジスト層が残存している関係が必要とされる。そのためには、十分な厚みのレジスト層を形成しておく必要がある。
十分な厚みのレジスト層に所望の開孔のパターンを精度よく形成することは難しい。
十分な厚みのレジスト層に所望の開孔のパターンを精度よく形成することは難しい。
この問題に対処するためには、積層板の表面に形成するレジスト層を多層とするのが有効である。そのために、上層の表面にレジスト機能と絶縁機能を有する下地レジスト層を一様に形成する工程と、その下地レジスト層の表面にパターニングされた開孔を持つ表面側レジスト層を形成する工程を備えていることが好ましい。この場合、下地レジスト層と表面側レジスト層の膜厚を、第1エッチング工程の終了時に下地レジスト層が残存する厚みとする。
上記の場合、異方性エッチング工程の初期で下地レジスト層がエッチングされる。下地レジスト層に開孔が形成される。下地レジスト層に開孔が形成されると、上層がエッチングされる。
上層がエッチングされる間に表面側レジスト層もエッチングされる。パターニングされた開孔を持つ表面側レジスト層を厚く作ることは容易でなく、上層をエッチングしている間に表面側レジスト層が消失してしまうことがある。
本方法では、この場合、その後は下地レジスト層がレジスト層となって上層のエッチング範囲を規制する。
下地レジスト層は、異方性エッチング工程の初期ではエッチングされて開孔を形成し、異方性エッチング工程の終期ではエッチングにレジストして上層のエッチング範囲を規制するものである必要がある。その条件は厳しいものと想像されるが、実際に実施してみるとそれほどに厳しいものでない。初期に要求されるエッチングのされやすさと、終期に要求されるエッチングのしづらさを兼用している下地レジスト層を形成することはそれほど困難でない。
上層がエッチングされる間に表面側レジスト層もエッチングされる。パターニングされた開孔を持つ表面側レジスト層を厚く作ることは容易でなく、上層をエッチングしている間に表面側レジスト層が消失してしまうことがある。
本方法では、この場合、その後は下地レジスト層がレジスト層となって上層のエッチング範囲を規制する。
下地レジスト層は、異方性エッチング工程の初期ではエッチングされて開孔を形成し、異方性エッチング工程の終期ではエッチングにレジストして上層のエッチング範囲を規制するものである必要がある。その条件は厳しいものと想像されるが、実際に実施してみるとそれほどに厳しいものでない。初期に要求されるエッチングのされやすさと、終期に要求されるエッチングのしづらさを兼用している下地レジスト層を形成することはそれほど困難でない。
本方法では、積層板にSOI基板を用いることが好ましい。積層板を形成する工程を省略することができ、さらにシリコンは加工が容易であるため、製造工程を簡単にすることができる。
本方法では、金属膜の形成後に熱処理工程を実施することが好ましい。熱処理すると、固定上層領域の表面の一部に形成されている金属膜と固定上層領域の間にスパイク現象を発生させることができる。すなわち、金属膜に接している固定上層領域の表面から深部に向けて金属がくさび形状を取りながら侵入する現象を得ることができる。スパイク現象が発生すると金属膜と固定上層領域の間に良好なオーミック特性を得ることができる。オーミック特性を得るためのイオン注入領域をコントロールするためのマスクが不要となる。
本方法では、金属膜を形成する工程の代わりに、固定上層領域の表面の一部にハンダ滴下又は金属粒を設置することもできる。この場合、溶かしたハンダ又は金属粒を微細なスポイトなどで固定上層領域の表面に滴下する。滴下したハンダ又は金属粒は球状のハンダボール又は金属球となり、金属膜の代替となる。さらに、ハンダボール又は金属球の形成後に熱処理工程を実施すると、ハンダボール又は金属球の下部が一部溶解して固定上層領域の表面からハンダ又は金属が侵入し、ハンダ又は金属と固定上層領域の間に良好なオーミック特性を得ることができる。
本発明によると、固定上層領域と遊離上層領域と金属膜が形成されている構造体の製造に必要なマスク枚数を1枚に抑えることができるとともに、遊離上層領域とベース層間の距離を所望の距離に管理することができる。
(第1実施例)
図1の(1)〜(3)に、本実施例の構造体100の製造方法を示す。まず、ベース層2の表面に絶縁性の酸化シリコンの中間層4を介して非絶縁性のシリコンの上層6が積層されているSOI基板7を用意する。シリコンの上層6は不純物を含んでおり、導電性が高い。
次に、上層6の表面に、厚みがL1の絶縁膜12を、熱酸化法やCVD法などにより形成する。絶縁膜12の材料としては、例えば酸化シリコンを用いる。絶縁膜12は、後記するように、エッチングに対するレジスト層としても機能する。絶縁膜12は、下地レジスト層ということもできる。
次に、図1(1)に示すように、マスクを使用したフォトリソグラフィーにより、パターニングされた開孔14a、14bを持つレジスト層14を絶縁膜12の表面に形成する。ここで、絶縁膜12の厚みL1とレジスト層14の厚みL2の和は、後記する第1エッチング工程の終了時に絶縁膜12が残存する厚みとすることが必要である。第1実施例の場合、第1エッチング工程でレジスト層14が除去され、絶縁膜12の厚みの一部が除去された時点で第1エッチング工程が終了する厚みに形成されている。
図1の(1)〜(3)に、本実施例の構造体100の製造方法を示す。まず、ベース層2の表面に絶縁性の酸化シリコンの中間層4を介して非絶縁性のシリコンの上層6が積層されているSOI基板7を用意する。シリコンの上層6は不純物を含んでおり、導電性が高い。
次に、上層6の表面に、厚みがL1の絶縁膜12を、熱酸化法やCVD法などにより形成する。絶縁膜12の材料としては、例えば酸化シリコンを用いる。絶縁膜12は、後記するように、エッチングに対するレジスト層としても機能する。絶縁膜12は、下地レジスト層ということもできる。
次に、図1(1)に示すように、マスクを使用したフォトリソグラフィーにより、パターニングされた開孔14a、14bを持つレジスト層14を絶縁膜12の表面に形成する。ここで、絶縁膜12の厚みL1とレジスト層14の厚みL2の和は、後記する第1エッチング工程の終了時に絶縁膜12が残存する厚みとすることが必要である。第1実施例の場合、第1エッチング工程でレジスト層14が除去され、絶縁膜12の厚みの一部が除去された時点で第1エッチング工程が終了する厚みに形成されている。
レジスト層14には、第1エッチング工程で除去する部分と平面的に一致するパターンを持つ開孔14a、14bを形成する。図2に、レジスト層14の上視図を示す。図1は、図2のI−I断面における製造過程を示したものである。レジスト層14には、遊離上層領域6aを覆う部分と、第1の固定上層領域6bを覆う部分と、第2の固定上層領域6eを覆う部分が形成されている。遊離上層領域6aと第1の固定上層領域6bは接続部6cで接続されており、その接続部6cもレジスト層14で覆われている。レジスト層14には、接続部6cを除外した範囲の遊離上層領域6aの外周6dに沿って伸びる開孔14bが形成されている。またレジスト層14には、第1の固定上層領域6bと第2の固定上層領域6eを分離する開孔14c、14cも形成されている。さらにレジスト層14の遊離上層領域6aを覆う部分には、複数の開孔群14aが格子状に分散形成されている。参照符号L5は、格子状に配置されている開孔群14a内において隣接している開孔と開孔を分離する最大距離を示している。最大距離L5は、後記する等方性エッチング工程で中間層4がエッチングされる量(距離)の2倍未満に設定されている。また、最外周の開孔と遊離上層領域6aの外周6dとの間の距離L6も、前記エッチング量の2倍未満に設定されている。
次に、上記レジスト層14の開孔14a、14bから絶縁膜12、上層6をこの順に異方性エッチングし、中間層4に至るトレンチ15a、15b(図1(2)を参照)を形成する。異方性エッチング工程では、エッチングする材料によってエッチングガスを切り替えながら行う。例えば酸化シリコンの絶縁膜12に対してはCF4、C2H8などを用い、シリコンの上層6に対してはNF3などを用いる。酸化シリコンの絶縁膜12に対するエッチングが終了すると、絶縁膜12に開孔14a、14bに対応する開孔が転写される。絶縁膜12に、エッチングパターンに対応する開孔パターンが形成され、第2のレジスト層となる。上層6がエッチングされると、上層6が、図3に示すように、遊離上層領域6aと第1の固定上層領域6bと第2の固定上層領域6eに分離される。なお、遊離上層領域6aは、接続部6cにおいて第1の固定上層領域6bに接続されている。
異方性エッチング工程では、上層6や絶縁膜12のエッチング速度に比べて小さいものの、レジスト層14もエッチングされる。異方性エッチング工程の途中でレジスト層14が除去されてしまうことがある。レジスト層14の下面の絶縁膜12がマスクパターンの代わりとなる。レジスト層14はエッチングされにくい。酸化シリコンはそれに対してエッチングされやすい。レジスト層14の下面の絶縁膜12をマスクパターンの代わりとして、中間層4に至るトレンチ15a、15bを形成することができる。レジスト層14は除去され、絶縁膜12が残っている状態でエッチングする。図1(2)は、第1エッチング工程の終了時の状態を示す。
最初に形成したレジスト層14の厚みL2によっては、レジスト層14が異方性エッチング工程で除去されない場合がある。この場合、アッシングによりレジスト層14を除去する。異方性エッチング工程でレジスト層14が除去されていれば、アッシングは不要である。また、残っている絶縁膜12は、後記する第2エッチング工程で除去するため、この時点で除去する必要はない。
最初に形成したレジスト層14の厚みL2によっては、レジスト層14が異方性エッチング工程で除去されない場合がある。この場合、アッシングによりレジスト層14を除去する。異方性エッチング工程でレジスト層14が除去されていれば、アッシングは不要である。また、残っている絶縁膜12は、後記する第2エッチング工程で除去するため、この時点で除去する必要はない。
次に、図1(3)に示すように、HFなどの薬液を用いたウェットエッチングにより、遊離上層領域6aに対応する範囲の中間層4をエッチングする。エッチング用の薬液は、固定上層領域6bとの接続部6c以外の遊離上層領域6aの外周6dに沿って伸びる開孔14bに対応するトレンチ15bと、遊離上層領域6a内に分散形成されている開孔群14aに対応するトレンチ群15aから侵入して中間層4に達する。ウェットエッチングを行う第2エッチング工程では、中間層4とともに表面に残っている絶縁膜12も除去される。等方性エッチングであるため、薬液と接する様々な方向からエッチングが進行し、遊離上層領域6aをベース層2から分離することができる。遊離上層領域6a内に分散形成されている開孔群14aは、隣接する開孔14aと開孔14aを分離する最大距離L5が、第2エッチング工程で中間層4がエッチングされる量(距離)L4の2倍以下であるように形成されている。そのため、第2エッチング工程の終了後には、遊離上層領域6aに対応する範囲の中間層4は完全に除去されている。
次に、図1(3)に示すように、絶縁膜12が除去されて露出した固定上層領域6bの表面の一部に、印刷法により金属膜8を形成する。印刷法としては、例えば銅の微粒子をインクジェット印刷することで銅の金属膜8を形成する。銅の代わりにスズ、アルミ、金、銀などを用いてもよい。また、他の印刷法として、スクリーン印刷やオフセット印刷を用いてもよい。
金属膜8は、センサ等として機能するときの電極ならびに配線パターンの役割を果たす。
次に、構造体全体を熱処理(アニール処理)する。その処理温度は350〜450℃である。熱処理を行うことによって固定上層領域6bの表面の一部に形成されている金属膜8と固定上層領域6を形成するシリコンとの間にスパイク現象が発生し、良好なオーミック特性を得ることができる。金属膜8を形成する金属が、固定上層領域6bを形成するシリコンのなかにくさび状に侵入し、両者間の抵抗が低抵抗化される。
本方法を用いると、製造過程で使用するマスクを1枚のみに抑えることができる。すなわち、異方性エッチングを行うためにレジスト層14をパターニングする際に使用するマスクのみである。金属膜8を形成する工程ではフォトリソグラフィー用のマスクを使用することがない。また、ウェットエッチング工程では、ベース層2がエッチングされることがないため、遊離上層領域6aとベース層2間の距離L3を所望の距離に管理することができる。
金属膜8は、センサ等として機能するときの電極ならびに配線パターンの役割を果たす。
次に、構造体全体を熱処理(アニール処理)する。その処理温度は350〜450℃である。熱処理を行うことによって固定上層領域6bの表面の一部に形成されている金属膜8と固定上層領域6を形成するシリコンとの間にスパイク現象が発生し、良好なオーミック特性を得ることができる。金属膜8を形成する金属が、固定上層領域6bを形成するシリコンのなかにくさび状に侵入し、両者間の抵抗が低抵抗化される。
本方法を用いると、製造過程で使用するマスクを1枚のみに抑えることができる。すなわち、異方性エッチングを行うためにレジスト層14をパターニングする際に使用するマスクのみである。金属膜8を形成する工程ではフォトリソグラフィー用のマスクを使用することがない。また、ウェットエッチング工程では、ベース層2がエッチングされることがないため、遊離上層領域6aとベース層2間の距離L3を所望の距離に管理することができる。
図3に、第1実施例の製造方法で製造された構造体100の斜視図を示す。図1で示した製造過程はI−I断面における製造過程を示したものである。遊離上層領域6aと第1の固定上層領域6bの接続部6cから遊離上層領域6aが伸びている。構造体100では、対向している遊離上層領域6aと第2の固定上層領域6eとの間でコンデンサが形成される。上層6は不純物を含んでおり、導電性を有する。そのため、金属膜8a、8eを利用して、コンデンサの静電容量が測定可能となる。その静電容量の変化を利用して遊離上層領域6aを移動させた物理量の大きさを検出することができ、加速度センサや角速度センサ等として利用することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:ベース層
4:中間層
6:上層
6a:第1の固定上層領域
6b:遊離上層領域
6c:固定上層領域と遊離上層領域との接続部
6d:遊離上層領域の外周
6e:第2の固定上層領域
8:金属膜
12:絶縁膜(下地レジスト層)
12a:レジスト層の下面の絶縁膜
14:レジスト層(表面側レジスト層)
14a:遊離上層領域内に分散形成されている開孔群
14b:遊離上層領域の外周に沿って伸びる開孔
14c:第1の固定上層領域と第2の固定上層領域を分離する開孔
15a:トレンチ群
15b:トレンチ
100:構造体
L1:絶縁膜の厚み
L2:レジスト層の厚み
L3:遊離上層領域とベース層間の距離
L4:第2エッチング工程で中間層がエッチングされる距離
L5:隣接する開孔と開孔を分離する最大距離
L6:最外周の開孔と遊離上層領域の外周との間の距離
4:中間層
6:上層
6a:第1の固定上層領域
6b:遊離上層領域
6c:固定上層領域と遊離上層領域との接続部
6d:遊離上層領域の外周
6e:第2の固定上層領域
8:金属膜
12:絶縁膜(下地レジスト層)
12a:レジスト層の下面の絶縁膜
14:レジスト層(表面側レジスト層)
14a:遊離上層領域内に分散形成されている開孔群
14b:遊離上層領域の外周に沿って伸びる開孔
14c:第1の固定上層領域と第2の固定上層領域を分離する開孔
15a:トレンチ群
15b:トレンチ
100:構造体
L1:絶縁膜の厚み
L2:レジスト層の厚み
L3:遊離上層領域とベース層間の距離
L4:第2エッチング工程で中間層がエッチングされる距離
L5:隣接する開孔と開孔を分離する最大距離
L6:最外周の開孔と遊離上層領域の外周との間の距離
Claims (5)
- ベース層の表面に絶縁性の中間層を介して非絶縁性の上層が積層されている積層板を加工することによって、上層が中間層を介してベース層に固定されている固定上層領域と、その固定上層領域から伸びているとともに対応する範囲の中間層が除去されているためにベース層から遊離している遊離上層領域が混在している構造体を製造する方法であり、
前記上層の表面にパターニングされた開孔を持つレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をマスクにして前記上層を異方性エッチングして前記中間層に達するトレンチを形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程で形成されたトレンチから前記中間層を等方性エッチングする第2エッチング工程と、
前記固定上層領域の表面の一部に印刷法により金属膜を形成する工程を備えており、
前記上層の表面に形成するレジスト層の厚みを、前記第1エッチング工程でレジスト層がエッチングされる距離以上とし、
前記レジスト層には、前記固定上層領域との接続部以外の前記遊離上層領域の外周に沿って伸びる開孔と、前記遊離上層領域内に分散形成されている開孔群が形成されており、かつ、前記開孔群内で隣接する開孔と開孔を分離する最大距離が前記第2エッチング工程での中間層のエッチング量の2倍以下であるという規則に従って前記開孔群が形成されており、
前記第2エッチング工程で前記遊離上層領域に対応する範囲の前記中間層が除去されることを特徴とする構造体の製造方法。 - 前記上層の表面にレジスト層を形成する工程が、
前記上層の表面にレジスト機能と絶縁機能を有する下地レジスト層を一様に形成する工程と、
その下地レジスト層の表面にパターニングされた開孔を持つ表面側レジスト層を形成する工程を備えており、
前記下地レジスト層と前記表面側レジスト層の膜厚を、前記第1エッチング工程の終了時に前記下地レジスト層が残存する厚みとすることを特徴とする請求項1の製造方法。 - 前記積層板にSOI基板を用いることを特徴とする請求項1又は2の製造方法。
- 前記金属膜の形成後に熱処理工程を実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの製造方法。
- 前記金属膜を形成する工程の代わりに、前記固定上層領域の表面の一部にハンダを滴下又は金属粒を設置する工程を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2007133954A JP2008288491A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | 構造体の製造方法 |
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JP2007133954A JP2008288491A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | 構造体の製造方法 |
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JP2007133954A Pending JP2008288491A (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | 構造体の製造方法 |
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2007
- 2007-05-21 JP JP2007133954A patent/JP2008288491A/ja active Pending
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