JP2008288362A - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多層プリント配線板では、絶縁樹脂層と導体配線層との密着強度向上のため、絶縁樹脂層に粗化処理が行われる。しかし、界面に形成された凹部内部へエッチング残り等が発生して、導体配線パターン間でショートが発生したりする。また、特にファインピッチ導体配線パターンでは高周波領域での信号遅延などの問題が起こる。
【解決手段】少なくとも以下の工程を有することを特徴とする、多層プリント配線板の製造方法である。(1)内層導体パターン上に熱硬化性絶縁樹脂層をコート又はラミネートし、半硬化状態(Bステージ)とする工程。(2)熱硬化性絶縁樹脂層にシランカップリング剤を付与させる工程。(3)無電解めっきにより導体配線シードを形成する工程。(4)導体配線シード層に電子線を照射する工程。(5)導体配線シード層に電解めっきして導体配線層を形成する工程。(6)熱硬化性絶縁樹脂層を熱硬化(ポストベーク)する工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層プリント配線板およびその製造方法に関するものであり、特に熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とが交互に形成されているビルドアッププリント配線板およびその製造方法に関する。
従来、多層プリント配線板では、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との密着強度を向上させるために、銅箔の導体配線層と熱硬化性絶縁樹脂層との界面を粗らして、機械的なアンカー効果による密着性向上を図っていた。
しかし近年、高周波領域では、銅配線表面の粗れによる表皮効果で、信号遅延問題が提起されている。信号遅延問題などの高周波化対応をするために、導体配線層と絶縁樹脂表面との界面粗さのロープロファイル化(算術平均粗度Ra=3μm以下)が要求されている。Raは、JIS−B0601−1994で規定される方法で測定される。粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さLで割った値を表わす。
また、電子機器への高機能化、小型化、軽量化等の要求に対応して、それに組み込まれる多層プリント配線板に対しても高密度化、薄型化の要求が高まっている。これらの要求に対応する多層プリント配線板の一つとして、ビルドアップ工法があげられる。熱硬化性絶縁樹脂コートと無電解銅めっきを繰り返す工法である。しかし、一般的に熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とは密着力が低い。特に、高密度配線化するため、導体配線ピッチが40μm以下等ファインピッチ化への要求が高まっており、極細幅の導体配線層と熱硬化性絶縁樹脂層との密着強度の信頼性が大きな問題となってきている。
上市されている熱硬化性絶縁樹脂は、一般的にフィラーとしてシリカを含有させ、熱硬化収縮を押さえ強度を向上させている。通常、熱硬化性絶縁樹脂層を強アルカリ性に調液した過マンガン酸塩溶液等の酸化剤で膨潤させ、フィラーの一部を溶解し、熱硬化性絶縁樹脂層の表面を凸凹に粗化し、めっきによる導体配線層との機械的アンカー効果により、密着強度を維持している。
ここで、一般的に信頼性のある導体配線の密着強度の目安として、90°引き剥がし強度で最低5.9N/cmと言われている。例えば、上市されているシリカフィラーを含有する熱硬化性絶縁樹脂で膨潤粗化処理をしないと、算術平均粗度Raが0.2μmと非常に平滑な表面である。この膨潤粗化しない熱硬化性絶縁樹脂に無電解銅めっきを行った場合、触媒の付着が悪くて銅めっきが析出しない部分が生じたり、めっき中での無電解銅めっき膜の引張り内部応力により、一部で浮きや剥がれを生じてしまう。このように、非常に平滑な熱硬化性絶縁樹脂へ無電解めっきを行う場合には、密着強度を向上させる方策が必要であった。
たとえば、特許文献1の公報では、酸化剤に対して難溶性の絶縁樹脂に、酸化剤に可溶な平均粒径2〜10μmの耐熱性粒子と平均粒径2μmの耐熱性粒子の混合物を、あるいは、平均粒径2〜10μmの耐熱性粒子と平均粒径2μmの耐熱性粒子の疑似粒子を混合することにより、酸化剤処理後の絶縁樹脂層に凹部を設け、機械的アンカー効果により、密着力を向上させている。
しかしこのように、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との界面が凸凹であると、この後
の導体配線層のパターニング工程で、熱硬化性絶縁樹脂層の凹部内に埋没されている導体配線層の一部が残渣として残りやすく、最悪の場合には隣り合う導体パターンとをショートさせる不良を発生する問題がある。
また特許文献2には、シランカップリング剤を用いて、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層の密着強度を向上させる記載がある。この特許文献2では、内層の銅箔表面上にシランカップリング剤処理を施し、未硬化のエポキシ樹脂など不飽和二重結合を有する樹脂を、シランカップリング剤処理された銅箔上にコートし、熱硬化によって密着強度を発揮させるというものである。
このように銅箔とシランカップリング剤は容易にカップリング反応できる。しかし逆に、不飽和二重結合のない樹脂表面に対しては、シランカップリング効果を発揮せず、この後導体配線層を形成しても充分な密着強度が得られない。従来のビルドアップ工法では、不飽和二重結合の少ない絶縁樹脂層上に導体配線層として銅めっきする工法であるため、従来のシランカップリング工程だけでは密着強度が出ない問題があった。
以下に上記背景技術文献を示す。
特開平2−188992号公報 特許第3505135号公報
前述したように一般的には、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との密着強度向上のため、熱硬化性絶縁樹脂層に強アルカリ性に調液した過マンガン酸塩溶液等による膨潤粗化処理が行われ、その後無電解銅めっきにより導体配線シード層の形成が行われる。この工法では、絶縁樹脂表面の粗面化、及びめっき液の濡れ性が向上することにより密着強度向上の効果が認められる。
しかしながら、エッチングによる導体配線層形成方法であるサブトラクティブ法においては、絶縁樹脂層と導体配線層との界面に形成された凹部内部へ導体配線層のエッチング残りが発生したり、めっきにて導体配線層を形成するアディティブ法においては、凹部へのめっきレジストの被覆が不完全になり、凹部内部にめっき金属が析出して、隣り合う導体配線パターン間でショートが発生したりする。
また、特に導体配線ピッチ40μm以下等のファインピッチ導体配線パターンでは、導体パターン表面積のばらつきは無視できなくなり、凸凹な導体配線パターンでは表皮効果で高周波領域での信号波形の歪みを引き起こし、インダクタンスの増大による信号遅延などの問題が起こる。
さらにまた、上記の凹部の形状が複雑になってしまうため、めっき皮膜と絶縁樹脂間に空隙を形成し易く、めっき皮膜の密着強度が高いにもかかわらず、後プロセスの熱履歴により空隙に溜まった空気の膨張が起こり、局所的に導体配線層が剥離を起こすといった問題があった。
本発明は上記の問題点を解決するものであって、導体配線幅のばらつきを最小限にし、且つ、絶縁樹脂層との高い密着強度を有し、局所的に導体配線層の剥離の起こらない、信頼性の高い多層プリント配線板とその製造方法を提供するものである。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とが交互に形成されているビルドアッププリント配線板の製造方法において、少なくとも以下の工程を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
(1)内層導体パターン上に熱硬化性絶縁樹脂層をコート又はラミネートし、半硬化状態
(Bステージ)とする工程。
(2)熱硬化性絶縁樹脂層にシランカップリング剤を付与させる工程。
(3)無電解めっきにより導体配線シードを形成する工程。
(4)導体配線シード層に電子線を照射する工程。
(5)導体配線シード層に電解めっきして導体配線層を形成する工程。
(6)熱硬化性絶縁樹脂層を熱硬化(ポストベーク)する工程。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とが交互に形成されているビルドアッププリント配線板の製造方法において、(4)導体配線シード層に電子線を照射する工程として、加速電圧70KV以上かつ照射量が0.3MGy以上であることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1および2記載の熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とが交互に形成されているビルドアッププリント配線板の製造方法において、シランカップリング剤として、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリル基、イミダゾール基、トリアゾール基または、ジメチルアミノ基及びその誘導体からなることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法である。
さらに、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3記載の製造方法で作成した多層プリント配線板であって、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との界面の算術平均粗度Raが0.5μm以下であることを特徴とする多層プリント配線板である。
本発明によれば、熱硬化性絶縁樹脂をコートしてプレベークをおこない、主に熱硬化性絶縁樹脂に含まれる有機溶媒を取り除き、完全に熱硬化させず(Bステージ状態)、その分子構造に不飽和二重結合を多く残している。その後、Bステージ状態の熱硬化性絶縁樹脂層に、シランカップリング剤処理、無電解めっきを行った後、導体配線シード層に電子線を照射することで、熱硬化性絶縁樹脂とシランカップリング剤とをグラフト重合させて無電解めっきとの密着性を向上させる。最後にポストベークすることで、熱硬化性絶縁樹脂の不飽和二重結合部分が開環架橋するため、導体配線層との密着強度の信頼性が向上する効果が得られる。
また、本発明に係る熱硬化性絶縁樹脂には、機械的密着強度を向上させるための膨潤粗化工程を行わない。更に、導体配線層間を導通させるためのレーザービア工程で生成するスミア除去工程で、化学的方法で清浄化処理を行うが表面を粗す効果は低く、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との界面の算術平均粗度Raが0.5μm以下を達成できる。
本発明の多層プリント配線板およびその製造方法を、導体配線層が4層であるビルドアッププリント配線板の製造方法の一実施の形態について図1、図2に基づいて以下に詳細に説明する。
まず始めに、図1(A)に示すように、コア層1の両面に形成された内層導体パターン2上に熱硬化性絶縁樹脂層3を形成する。
本発明に係る熱硬化性絶縁樹脂層の材料としては、ペースト状のインキや、ドライフィルム化したものが使用可能である。熱硬化性絶縁樹脂のコートは、内層導体パターンが形成された銅配線パターン上に、ペースト状のインキで供給される熱硬化性絶縁樹脂をスクリーン印刷やディップコート、スピンコートなど従来のコーティング方式にてコートし、プレベークを行う。またドライフィルムは真空ラミネーターを用い、銅配線パターンに気泡が巻き込まないよう貼り合わせる。この時点では熱硬化性絶縁樹脂層は半硬化状態(Bステージ)である。
次いで、図1(B)に示すように、熱硬化性絶縁樹脂層3に接続用のビアホール4を形成する。なお、コア層1及び絶縁樹脂層3に用いられる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリイミド樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系等の単独、変性物、混合物や、これらの樹脂に、シリカ、ガラス繊維等の充填材を含有させたものが挙げられる。またここでは図示しないが、このコア層1と絶縁樹脂層3とをドリルで貫通するスルホールを形成していても良い。
次に、ビアホール形成時に生成したスミアを、加温したアルカリ水溶液に浸漬して
除去する(デスミア処理)。次にセミアディティブ工法にて、外層回路パターンと先に形成した内層回路パターンとの接続ビア4aを銅めっきで形成する。一般的に絶縁樹脂層表面には極性が無く、水溶性の銅めっき処理液の濡れ性が悪いが、デスミア処理にて有る程度濡れ性の向上が見られるが、表面を粗らす効果は低く、熱硬化性絶縁樹脂層の表面の算術平均粗度Raは0.5μm以下が維持される。
次いで、熱硬化性絶縁樹脂層表面にシランカップリング剤を付与させる。ここで用いられる表面処理液は、シランカップリング剤としては、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリル基、イミダゾール基、トリアゾール基、またはジメチルアミノ基、及びその誘導体からなる基を一つまたは二つ有することを特徴とし、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシランや、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランが挙げられる。また、このシランカップリング表面処理液に含有するシランカップリング剤の濃度としては、0.1〜2.0wt%が好ましい。0.1wt%未満の場合、密着強度が低下する場合があり、2.0wt%を越える濃度を配合しても特性の差が小さいため、経済的でない。
次に、図1(C)に示すように、無電解銅めっきの前処理(触媒形成)を行ったのち、熱硬化性絶縁樹脂層表面に最大でも厚み1μmの導体配線シード層5を無電解銅めっきにより形成する。無電解銅めっきは析出レートが遅く工業的な量産性が悪いのがデメリットである。このため、無電解めっき厚はなるべく薄く形成したいが、量産工程では面内膜厚ばらつきが必ず生じるため、本発明においては、0.5〜1.0μmの導体配線シード層を形成する。
次に、導体配線シード層を通して電子線を照射し、Bステージ状の熱硬化性絶縁樹脂層とシランカップリング剤とをグラフト重合させて、導体配線シード層と熱硬化性絶縁樹脂層との密着強度を向上させる。
本発明では、導体配線シード層を通して電子線を照射する。導体配線シード層の膜厚を最大1.0μmとして、図3に密着強度と加速電圧の関係を、図4に密着強度と電子線照射量の関係を示す。図3及び図4に示すように、導体配線シード層を通して電子線を照射して、充分な密着強度を導出するためには、加速電圧が70kV以上かつ照射量が0.3MGy以上必要なことが分る。
次いで、図2(D)に示すように、導体配線シード層上に所望する外層パターンのレジスト6を形成する。
次いで、図2(E)に示すように、電解銅めっきを行って、所望する膜厚の導体配線層7を形成する。
次いで、図2(F)に示すように、外層パターンのレジストを剥膜する。
次いで、図2(G)に示すように、フラッシュエッチングを行い、所望する外層の導体配線層パターンを形成する。
最後に、ポストベークして、熱硬化性絶縁樹脂層を硬化させる。
以下、本発明の具体的実施例を説明する。
<実施例>
両面に内層導体配線パターンを設けたガラス−エポキシ絶縁性基板MCL−E−679F(日立化成高秒株式会社製、商品名)上に、熱硬化性絶縁樹脂HBI−200B(太陽インキ製造社製))をロールコータにて塗布し、110℃、10分にてプレベークを行い、絶縁樹脂層を形成した。このとき絶縁樹脂の膜厚は約50μmであった。
この絶縁樹脂層に所定のビアパターンのアライメントを合わせて、炭酸ガスレーザーでφ90μmのビアホールを形成した。更に60℃の5%水酸化ナトリウム溶液で5分浸漬し、デスミア処理を行った。ここで、絶縁樹脂層表面の算術平均粗さRaは0.2μmであった。
次いで、エリア型電子線照射装置を用い、この基板表面に窒素雰囲気下で、加速電圧70kV、0.3MGy条件にて照射し、無電解めっき液の親水性を向上させた。
次いで、無電解銅めっきの前処理として、基板を濃度:250g/Lのプリディップ液PD−301(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬し、次に増感剤HS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬処理を行い、次に密着促進剤ADP−601(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬処理を行い、次いで1wt%γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液に浸漬処理を行った。次に、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)で20分無電解銅めっきを行い0.8μm厚の導体配線シード層を形成した。
次いで、エリア型電子線照射装置を用い、この基板表面に窒素雰囲気下で、加速電圧70kV、0.3MGy条件にて照射し、Bステージ状の熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線シード層の無電解銅めっきとの密着性を向上させた。
次いで、導体配線シード層上に、厚さ20μmの感光性ドライフィルムレジストRY−3320(日立化成工業株式会社性、商品名)を貼り合わせ、所望する外層配線パターンのフォトマスクを載置して、100mJ/cm2で露光し、30℃の0.8%炭酸ナトリウム溶液で現像処理し、所望する外層配線パターンのめっきレジストを設けた。
次いで、レジスト非形成部分に以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ20μmの電解銅めっき膜を形成した。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180g/L
硫酸銅 80g/L
添加剤(カパラシドGL、アトテックジャパン製) 1mL/L
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 40分
温度 室温
次いで、めっきレジストを5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジストの下の無電解めっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液でフラッシュエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜と電解銅めっき膜とからなる外層導体配線パターンを形成した。
最後に、180℃60分ポストベークして、熱硬化性絶縁樹脂層を硬化させた。ここで、得られた導体配線層を幅1cmにパターニングして、ピール強度を測定したところ、8.82N/cmであった。
<比較例>
実施例と同様に、両面に内層導体配線パターンを設けたガラス−エポキシ絶縁性基板MCL−E−679F(日立化成高秒株式会社製、商品名)上に、熱硬化性絶縁樹脂HBI−200B(太陽インキ製造社製))をロールコータにて塗布し、110℃、10分にてプレベークを行い、絶縁樹脂層を形成した。このとき絶縁樹脂の膜厚は約50μmであった。
この絶縁樹脂層に所定のビアパターンのアライメントを合わせて、炭酸ガスレーザーでφ90μmのビアホールを形成した。更に60℃の5%水酸化ナトリウム溶液で5分浸漬し、デスミア処理を行った。ここで、絶縁樹脂層表面の算術平均粗さRaは0.2μmであった。比較例として、ここでは電子線照射は行わず、次の工程へ進んだ。
次いで、無電解銅めっきの前処理として、基板を濃度:250g/Lのプリディップ液PD−301(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬し、次に増感剤HS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬処理を行い、次いで密着促進剤ADP−601(日立化成工業株式会社製、商品名)に浸漬処理を行った。次に、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)で20分無電解銅めっきを行い0.8μm厚の導体配線シード層を形成したところ、無電解銅めっきに小さな膨らみが一面に見られた。
このため、ドライフィルムレジストのパターン形成を行わず、全面に厚さ20μmの電解銅めっき膜を形成した。電解めっきの条件は実施例と同様にした。
最後に、Bステージ状の熱硬化性絶縁樹脂層を熱硬化させるため、180℃、60分ポストベークを行ったところ、無電解めっき時に発生した小さな膨らみが大きく成長し、一部剥離している箇所が見られた。
ここで、無電解銅めっき工程での小さな膨らみが比較的少ない部分の導体配線層を1cm幅にパターニングし、ピール強度を測定したところ、0.98N/cmとほとんど強度が見られなかった。
本発明の多層プリント配線板の製造方法の一実施の形態を断面で示したものである。 本発明の多層プリント配線板の製造方法の一実施の形態を断面で示したものである。 導体配線層と絶縁樹脂層との密着強度と、電子線加速電圧との関係を示すグラフである。 導体配線層と絶縁樹脂層との密着強度と、電子線照射量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1・・・コア層 2・・・内層導体パターン 3・・・熱硬化性絶縁樹脂層
4・・・ビアホール 4a・・・接続ビア 5・・・導体配線シード層
6・・・レジスト 7・・・導体配線層

Claims (4)

  1. 熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層とが交互に形成されている多層プリント配線板の製造方法において、少なくとも以下の工程を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    (1)内層導体パターン上に熱硬化性絶縁樹脂層をコート又はラミネートし、半硬化状態
    (Bステージ)とする工程。
    (2)熱硬化性絶縁樹脂層にシランカップリング剤を付与させる工程。
    (3)無電解めっきにより導体配線シードを形成する工程。
    (4)導体配線シード層に電子線を照射する工程。
    (5)導体配線シード層に電解めっきして導体配線層を形成する工程。
    (6)熱硬化性絶縁樹脂層を熱硬化(ポストベーク)する工程。
  2. 請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法において、(4)導体配線シード層に電子線を照射する工程として、加速電圧70KV以上かつ照射量が0.3MGy以上であることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の多層プリント配線板の製造方法において、シランカップリング剤として、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、メタクリル基、イミダゾール基、トリアゾール基または、ジメチルアミノ基、及びその誘導体からなる基を一つまたは二つ有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の多層プリント配線板の製造方法で作成した多層プリント配線板であって、熱硬化性絶縁樹脂層と導体配線層との界面の算術平均粗度Raが0.5μm以下であることを特徴とする多層プリント配線板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013219326A (ja) * 2012-03-13 2013-10-24 Ngk Spark Plug Co Ltd 配線基板の製造方法、配線基板

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