JP2008285634A - 水不溶性導電性ポリアニリン組成物とそのフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】水不溶性導電性ポリアニリン組成物とその製造方法を提供し、更に、そのような水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の樹脂をポリアニリンがドーパントとして有してなることを特徴とする水不溶性導電性ポリアニリン組成物が提供される。このような水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、上記樹脂をドーパントとして有する水溶性導電性ポリアニリン組成物と多官能架橋剤とを含む水溶液を基材上に塗布し、加熱し、上記樹脂を架橋させることによって、フィルムとして得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水不溶性導電性ポリアニリン組成物とその製造方法に関し、更に、上記水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムに関する。
ドーパントを有するポリアニリンからなる導電性ポリアニリン組成物は、安定な導電性高分子として注目を集めており、種々の分野において、有用であることが知られている。例えば、アルミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサの陰極材料として、ポリアニリン溶液を素子に含浸させた後、プロトン酸をドーピングすることによって、周波数特性にすぐれる電解コンデンサを得ることができることが知られている(特許文献1参照)。このほか、帯電防止材料、電磁波シールド材料、磁気記録媒体、フィルムコンデンサ、電池等、多くの分野においても、実用化され、又は実用化に向けての研究が進められている。
また、導電性ポリアニリン組成物は、特に選ばれたドーパントを有するとき、際立って高い耐熱性を有することも見出されており、例えば、カルボキシル基を有するモノスルホン酸をドーパントとするポリアニリンは、非常にすぐれた耐熱安定性を有し、125℃という高い温度で650時間間放置しても、電導度の変化は1桁以内であることが知られている(特許文献2参照)。
しかし、導電性ポリアニリン組成物において、耐熱性と共に実用面で重要である耐水性については、比較的弱いことが知られている。ドーパントとしてポリマースルホン酸をポリアニリンに有せしめることによって、ドーパントとして低分子化合物であるスルホン酸を有するポリアニリンに比べれば、耐水性は改善されるが(特許文献3参照)、尚も、十分であるとはいえず、例えば、ポリマースルホン酸であるポリビニルスルホン酸をドーパントとしてポリアニリンに有せしめても、長期間水に浸漬すれば、電導度の低下が避けられない。
導電性ポリアニリン組成物の耐水性を更に向上させるために、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、ナフトールスルホン酸ノボラック樹脂等のスルホン酸基を有するノボラック樹脂をポリマードーパントとしてポリアニリンに有せしめることが有用であることが既に見出されているが、用途によっては、依然として、耐水性は不十分であった。
特開平03−035516号公報 特開平10−36667号公報 特開平03−28229号公報 特開2002−275261号公報 特開2004−27066号公報
そこで、本発明者は、導電性ポリアニリン組成物の耐水性を更に向上させるべく、鋭意研究した結果、ドーパントであるフェノールスルホン酸ノボラック樹脂やナフトールスルホン酸ノボラック樹脂を架橋させることによって、水不溶性の導電性ポリアニリン組成物を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、水不溶性導電性ポリアニリン組成物とその製造方法を提供することを目的とし、更に、上記水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムを提供することを目的とする。
本発明によれば、架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種をポリアニリンがドーパントとして有してなることを特徴とする水不溶性導電性ポリアニリン組成物が提供される。
ここに、好ましくは、架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂は、多官能イソシアネート化合物又は多官能エポキシ化合物にて架橋されてなるものである。
また、本発明によれば、上記水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムが提供される。
更に、本発明によれば、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂をドーパントとして有する水溶性導電性ポリアニリン組成物と多官能架橋剤とを含む水溶液を基材上に塗布し、加熱し、上記樹脂を架橋させることからなる上記水不溶性導電性ポリアニリン組成物の製造方法が提供される。
このような水不溶性導電性ポリアニリン組成物の製造方法において、上記水溶性導電性ポリアニリン組成物は、アニリンに対してフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂の少なくとも等当量の存在下に、水中において、アニリンを酸化剤にて化学酸化重合することによって得ることができる。
本発明による導電性ポリアニリン組成物は水不溶性であって、耐水性にすぐれており、更に、耐熱性にもすぐれているので、広い産業分野において、帯電防止、防食、電界コンデンサ固体電解質、エレクトロルミネッセンス用電極バッファ層、電池等、種々の用途に実用的な耐久性を有する導電性フィルムとして用いることができる。
本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種をポリアニリンがドーパントとして有しており、上記架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂は、好ましくは、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種が多官能イソシアネート化合物又は多官能エポキシ化合物を架橋剤として架橋されてなるものである。本発明によるこのような水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、主として、フィルムとして利用される。
本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物の製造について説明する。本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、先ず、アニリンに対してフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂の少なくとも等当量の存在下に、水中において、酸化剤にてアニリンを化学酸化重合することによって、ドーパントとして上記樹脂を有する水溶性導電性ポリアニリン組成物の水溶液を得、次に、このようにして得られる水溶性導電性ポリアニリン組成物の水溶液に多官能架橋剤を加え、これを適宜の基材上に塗布し、加熱して、上記樹脂を上記架橋剤によって架橋させることによって、架橋された上記樹脂をドーパントとして有する水不溶性導電性ポリアニリン組成物をフィルムとして得ることができる。但し、上記「等当量」とは、酸塩基反応において、ノボラック樹脂の有するスルホン酸基の当量数とアニリンの有するアミノ基の当量数が等しいことをいう。
上記水溶性導電性ポリアニリン組成物は、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂の少なくとも等当量の存在下に、水中において、酸化剤にてアニリンを化学酸化重合することによって、その水溶液として得ることができる。
本発明において、化学酸化重合するアニリンには、メチルアニリンやエチルアニリン等のアルキルアニリンやメトキシアニリン、エトキシアニリン等のアルコキシアニリンや、更には、これらの塩、例えば、硫酸塩等の塩をも含めることとする。
また、酸化剤としては、特許第2843935号公報に記載されているように、標準水素電極を基準とする還元半電池反応における起電力として定められる標準電極電位が0.6V以上であると共に、水に可溶性である場合には、その水溶液が中性であり、更に、自身が還元された後にアニオン種を生成しない酸化剤を用いることが必要である。そこで、本発明によれば、自身が還元された後に、アニオン種を生成しない酸化剤として、例えば、過酸化水素、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類、二酸化マンガン、二酸化鉛等が好ましく用いられる。
自身が還元されたときにアニオン種を生成する酸化剤を用いて、アニリンを酸化重合するときは、そのような酸化剤由来のアニオン種をも得られるポリアニリンがドーパントとして有することとなるので、得られるポリアニリンの水溶性が損なわれたり、また、耐水性や耐熱性が損なわれたりするおそれがある。
本発明によれば、上述したような酸化剤は、通常、アニリンに対して当量が用いられる。アニリンに対して、酸化剤を当量を超えて用いるときは、重合後の反応系に酸化剤が過剰に残存するので、得られる導電性ポリアニリン組成物がその電気的性質において劣化するおそれがある。また、本発明によれば、酸化剤として、レドックス酸化剤も好ましく用いられる。レドックス酸化剤は、酸化剤と少量の還元剤の2成分の組み合わせからなり、過酸化水素−硫酸第一鉄の組み合わせがフェントン試薬としてよく知られている。
このようにして、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂の存在下に水中にてアニリンを上記酸化剤で酸化重合させることによって、上記ノボラック樹脂のみをドーパントとして有する水溶性導電性ポリアニリン組成物を得ることができる。
このように、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂やナフトールスルホン酸ノボラック樹脂のような水溶性ノボラック樹脂の存在下にアニリンを酸化剤で酸化重合させることによって得られる水溶性導電性ポリアニリン組成物は、例えば、特開平03−028229号公報、特許第2909544号公報、特開2002−275261号公報、特開2004−027067号公報等に記載されているように、一般式(I)
Figure 2008285634
(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、0≦m≦1、0≦n≦1、m+n=1である。)
で表されるポリアニリンが上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂をドーパントとして有してなるものである。
本発明において用いるフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂は、好ましくは、一般式(II)
Figure 2008285634
(式中、Arは(4+n)価の芳香族基を示し、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の場合はベンゼン核(但し、nは1又は2である。)であり、ナフトールスルホン酸ノボラック樹脂の場合はナフタレン核(但し、nは1、2、3又は4である。)であり、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基を示し、nが2以上であるとき、同じでも異なっていてもよい。)
で表される繰返し単位を有する。。
本発明においては、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂としては、例えば、上記一般式(II)で表される樹脂において、Rが水素原子であるものが好ましく用いられる。このようなフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂は、開発品(小西化学工業(株))として入手することができる。
このようなフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂の分子量は、特に制限はないが、通常、ポリスチレンスルホン酸を標準ポリマーとして、GPCにて測定した重量平均分子量が2000から800000の範囲にあることが望ましい。フェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂の分子量が余りに低いときは、これらの架橋樹脂をドーパントとする場合であっても、得られる導電性ポリアニリン組成物の耐水性が十分でないおそれがある。他方、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂の分子量が余りに高いときは、これを水に溶解させたとき、その水溶液の粘度が余りに高く、均一に攪拌することが困難である。従って、このようなノボラック樹脂の水溶液中においては、アニリンの酸化重合を均一に行うことが困難である。
次いで、このような水溶性導電性ポリアニリン組成物の水溶液に多官能架橋剤を加え、得られた溶液を適宜の基材上に塗布し、加熱して、上記樹脂を上記多官能架橋剤にて架橋させることによって、ドーパントとして、架橋したフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種を有し、かくして、水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムを得ることができる。即ち、本発明によれば、ポリアニリンがドーパントとして有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種をそれが有するフェノール性水酸基を架橋剤と反応させることによって架橋させて、水不溶性導電性ポリアニリン組成物を得る。
従って、本発明において、上記架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物や多官能エポキシ化合物が好ましく用いられる。但し、多官能イソシアネート化合物は、そのままを水溶性導電性ポリアニリン組成物の水溶液に加えるときは、容易に水と反応して、架橋剤として作用しないので、よく知られているように、水系での使用が可能である塗料用ポリイソシアネートである水分散型や、イソシアネート基をオキシム類等のブロック剤でブロックしたブロックポリイソシアネートが好ましく用いられる。
既に知られているように、ブロックポリイソシアネートは、イソシアネート化合物の有するイソシアネート基がブロック剤で保護されているため、水中においても、水と反応しないが、加熱すれば、ブロック剤がイソシアネート基から脱離して、イソシアネート基を再生し、イソシアネート化合物として働く。
上記水分散型ポリイソシアネート類として、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート」を例示することができ、また、ブロックポリイソシアネートとして、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「AQB」等を例示することができる。
また、多官能エポキシ化合物として、例えば、三菱化学(株)製「エピコート」や住友化学工業(株)製「ノボラック型エポキシ樹脂」等を例示することができる。
本発明によれば、これらの多官能架橋剤は、ポリアニリンがドーパントとして有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種100重量部に対して、通常、0.5〜30重量部の範囲で用いられ、好ましくは、2〜10重量部の範囲で用いられる。
水溶性導電性ポリアニリン組成物と多官能架橋剤を含む水溶液をガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム、金属板、金属ホイル、セラミックス等、適宜の基材上に塗布し、加熱して、前記樹脂を多官能架橋剤にて架橋させることによって、ドーパントとして、架橋したフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂を有する水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムを得ることができる。
ここに、加熱温度は、基材上に塗布した上記水溶液から水を蒸発させると共に、架橋剤が樹脂の有するフェノール性水酸基と十分に反応するように、通常、70〜200℃の範囲の温度に加熱すればよく、好ましくは、100〜150℃の範囲の温度に加熱すればよい。加熱時間は、適宜に実験によって定めることができるが、通常、1分から24時間の範囲であり、好ましくは、5分から2時間程度の範囲である。
このようにして得られる本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、ポリアニリンがドーパントとして有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種がそのフェノール性水酸基によって多官能架橋剤と反応して、架橋構造を有している。即ち、本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物が有するドーパントは、上記多官能架橋剤として、一般式(III)
Figure 2008285634
(式中、Zは2価の有機基を示す。)
で表されるジイソシアネートを用いるときであれば、例えば、模式的に次式
Figure 2008285634
のように表すことができる。ここに、ポリマー鎖はポリアニリンのドーパントであるフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種を示す。即ち、ポリアニリンの有するドーパントであるフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種が架橋剤によって架橋されて、水不溶性導電性ポリアニリン組成物を形成している。
本発明によれば、このようにして、電導度が10-2〜102 S/cm程度の水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムを得ることができる。このようにして得られる本発明による導電性ポリアニリンフィルムは、ポリマードーパントが架橋構造を有しており、従って、フィルムを水中に浸漬しても溶解することがない。例えば、本発明によるこのような導電性フィルムを水中に500時間浸漬しても、電導度の低下は1桁以内である。また、本発明による導電性フィルムは耐熱性にもすぐれており、例えば、125℃で500時間加熱した後においても、電導度の低下は、同様に、一桁以内である。
従って、本発明による水不溶性導電性ポリアニリン組成物は、帯電防止、防食、電解コンデンサ固体電解質、エレクトロルミネッセンス用電極バッファ層、電池等、種々の用途において、実用的で耐久性を有する導電性フィルムとして用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液(小西化学工業(株)製、ポリスチレンスルホン酸標準のGPCによる重量平均分子量20000)を固形分濃度33重量%に調整した。この水溶液180gを撹拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた300mL容量セパラブルフラスコに仕込み、更に、アニリン8.5gを加えて、攪拌溶解し、均一な水溶液を得た。このフラスコの全体を低温恒温槽を用いて−5℃まで冷却した後、これに硫酸第一鉄50mgを加え、撹拌溶解した。
次に、ビーカー中にてイオン交換水64.5gに30%過酸化水素水12.9gを加え、攪拌溶解して、無色透明の均一な水溶液を得た。この過酸化水素水溶液を上記セパラブルフラスコ中に攪拌下、チュービングポンプを用いて、直管アダプタから1mL/分以下の割合で徐々に滴下した。この際、反応系の温度を−3℃以下に保つように、滴下速度を適宜に調整した。
上記フラスコ中の水溶液は、最初、無色透明であったが、アニリンの重合の進行に伴って、緑青色から黒緑色に変色した。しかし、水溶液中、ポリアニリンの沈殿は生成せず、均一な水溶液のままであった。このようにして、1時間かけて過酸化水素水溶液を滴下した後、更に、反応系の温度を−3℃以下に保ちながら、30分間攪拌を続けた。
このようにして得られたポリアニリン水溶液を室温に戻した後、この水溶液中に架橋剤として、水系ブロックポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製AQB−102)13.8gを加え、均一な水溶液になるまで撹拌した。
次いで、ガラス板の両側に厚み120μmの樹脂テープ4枚を重ねて土手を形成し、この土手の間に上記架橋剤を溶解させたポリアニリン水溶液を流延し、ガラス棒でしごいた後、乾燥機中、80℃で30分間乾燥し、水分を揮散させた。更に、乾燥機温度を150℃に上げて、引き続き、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂をイソシアネートにて架橋させた。
このようにして得られた黒緑色のポリアニリンフィルムをガラス板から剥がし、一部を切り取り、ファン・デル・ポー(van der Pauw) 法によって、4端子法電導度測定を行ったところ、電導度は8.7S/cmであった。また、得られたポリアニリンフィルムの一部を切り取り、水中に浸漬したが、ポリアニリンフィルムは全く溶解しなかった。
そこで、ポリアニリンフィルムを水中に500時間浸漬した後、取り出して、乾燥し、再度、ファン・デル・ポウ法にて電導度測定を行ったところ、電導度は7.7S/cmであって、水中に500時間浸漬する前と比べて、その減少は極めて僅かであった。更に、ガラス板から途がした前記ポリアニリンフィルムを温度125℃の乾燥機中に500時間置いた後、4端子法電導度測定を行ったところ、電導度は6.25S/cmであった。即ち、ポリアニリンフィルムは耐熱性にもすぐれるものであった。
比較例1
実施例1において、ポリアニリン水溶液を得た後、これに架橋剤を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、ガラス板上にポリアニリンフィルムを調製した。得られたポリアニリンフィルムは、実施例1によるポリアニリンフィルムとほぼ同じく、9.3S/cmの電導度を有していた。
しかし、このフィルムの一部を水中に浸漬すると、フィルムは、徐々にその形状が崩れてゆき、遂には水中に溶解した。また、このポリアニリンフィルムを温度125℃の乾燥機中に500時間置いた後の電導度も、実施例1によるポリアニリンフィルムとほぼ同じく、6.9S/cmの電導度を有していたが、このフィルムの一部を水中に浸漬すると、徐々にその形状が崩れてゆき、遂には水中に溶解した。

Claims (5)

  1. 架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種をポリアニリンがドーパントとして有してなることを特徴とする水不溶性導電性ポリアニリン組成物。
  2. 架橋されたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂又はナフトールスルホン酸ノボラック樹脂が多官能イソシアネート化合物又は多官能エポキシ化合物にて架橋されてなるものである請求項1に記載の水不溶性導電性ポリアニリン組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の水不溶性導電性ポリアニリン組成物からなるフィルム。
  4. フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂をドーパントとして有する水溶性導電性ポリアニリン組成物と多官能架橋剤とを含む水溶液を基材上に塗布し、加熱し、上記樹脂を架橋させることを特徴とする、請求項1に記載の水不溶性導電性ポリアニリン組成物の製造方法。
  5. アニリンに対してフェノールスルホン酸ノボラック樹脂とナフトールスルホン酸ノボラック樹脂とから選ばれる少なくとも1種の水溶性樹脂の少なくとも等当量の存在下に、水中において、アニリンを酸化剤にて化学酸化重合して、水溶性導電性ポリアニリン組成物を得る請求項4に記載の水不溶性導電性ポリアニリン組成物の製造方法。
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