JP2009292974A - 金属の防食塗料および防食方法 - Google Patents

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孝洋 大石
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Abstract

【課題】 防食性に優れ、簡便で、適用範囲の広い防食方法を提供する。
【解決手段】 金属表面を、Huckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有する含窒素有機化合物、ドーパントを含む溶液あるいは該有機分子及びドーパント並びに汎用高分子化合物を含む溶液に浸漬または塗布、乾燥し複合皮膜を形成させる。この様な方法でプライマー防食処理された金属は食塩や塩酸等を含む強い腐食環境下でも優れた防食効果を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属の腐蝕を防止する塗料および防食方法に関する。
金属材料の腐蝕を防止するための防食方法としては、電気化学的に防食する方法、有機材料などにより表面を被覆する方法、あるいは腐食環境へ腐食抑制剤を添加する方法、等がある。
表面を有機材料によって被覆する方法は、金属表面を高分子化合物で被覆し金属材料を腐食環境から隔離する方法である。この方法は簡易な方法であるが、単に腐蝕環境と金属表面を遮断する効果しかなく、塗膜のピンホール等から腐食が生ずるという問題点があり、必ずしもその防食効果は満足できるものではなかった。
また、腐食環境に対して腐食抑制剤を添加する方法としては、アミン等の添加剤を添加する方法が知られている。この様な腐食抑制剤は、循環冷却系、ボイラー用水系または各種貯槽系等の腐食性媒質の中に微量添加する事で防食効果を発揮させるものであるが、その適用分野は極めて限られる方法である。
これに対して、金属の酸化還元電位よりも貴または卑な電位を有する金属材料を犠牲極とする事による、アノード防食法あるいはカソード防食法は、従来から広く行なわれている。最も広く知られた方法が鉄の表面を亜鉛で鍍金したいわゆるトタンである。これは金属材料の電位を人為的に制御する方法で、強い腐食環境下でも優れた防食効果を示すことが知られている。しかしながら、この方法は電気化学的な装置が必要となったり、金属配管などの大きな金属製品や複雑な形状の製品に適用するには技術的、経済的に大きな困難が伴う。
これらの問題点を改善するために、電気的に活性な物質を用いた塗布等による簡便な防食方法がある。これは防食処理を施そうとする金属表面に、該金属よりも貴または卑なる酸化還元電位を有する高分子層を設ける事により防食効果を得ようとするものである。
この様な目的に使用される有機・高分子材料としては、以下の2つのグループがある。第一は、電気に可逆な酸化・還元能力を有する有機・高分子化合物のグループであって、具体的にはフェロセン、フタロシアニン、ヒイドロキノン、クロラニル、カルバゾールなどの有機化合物、あるいはこれらの有機化合物の重合体の事を言う。これらの有機・高分子材料はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、などの高分子に分散させ金属表面に塗布されるが、その防食効果は十分に満足するべきものではなかった。
第二のグループは、アニオンまたはカチオンがドーピング反応を起こすような高分子材料である。具体的にはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアズレン、ポリフェニレン等を例示出来、これらは一般に導電性高分子と呼ばれ、重金属を含まない防食剤として近年その防食効果が認められ、注目されている材料である。(非特許文献1)(非特許文献2)
例えば、電気的に活性なポリアニリン皮膜でステンレス鋼表面を被覆することによる防食効果が報告されている。(非特許文献3)この方法は、優れた防食効果を有するが、ステンレス鋼表面に電解重合でポリアニリンの皮膜を形成させる必要があるために、大面積・大型の構造物等に適用するには大型の電解重合設備が必要となる、プロセスが複雑であり結果的に高価な防食方法となる、等の問題点がある。
また、粉末状ポリアニリンをポリ塩化ビニルと共にテトラヒドロフランに溶解したペースト状混合物を、鉄製パイプ表面に塗布、乾燥する防食方法が開示されている。(特許文献1)しかし、ペースト状混合物中の粉末状ポリアニリンは溶媒に不溶であるために単にポリ塩化ビニル中に分散しているだけであり、この混合物を塗布しても、ポリアニリンで金属表面を均一に被覆することができず、防食効果は不十分である。
さらに、金属表面をポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの可溶性導電性高分子、及びドーパントを含む溶液で浸漬または塗布、乾燥し、ドーパントを含む導電性高分子皮膜を形成させることを特徴とする金属の防食方法、ドーパントを含む導電性高分子及び汎用高分子化合物の複合皮膜を形成させる金属の防食方法が報告されている。(特許文献2)(特許文献3)しかしながら、可溶性導電性高分子と呼ばれるものでも、その溶媒溶解性は一般に小さなものであり、良好な皮膜を形成する事はできず、汎用高分子中で導電性高分子は不均一に分散しているだけであり、その防食効果は限定されたものとなってしまう、と言う問題点があった。
金属の防食塗料としては防食性のみでなく,金属への密着性,意匠性,防汚性,耐候性,被膜硬度など諸々の要求を満たす必要がある。これらの多様な要求を前記の方法で形成された1層の塗装で満足させることは難しい。このため、前記の方法は通常は下塗り(プライマー)として用いられ,中塗り,上塗り(トップ)用に夫々機能分担した塗料と積層されたかたちで用いられる事になる。
下塗り(プライマー)に関しては金属および中塗りまたは上塗り(トップ)に対
する密着性、可撓性、耐水性などが要求される。しかしながら導電性ポリマーのみでは下塗り塗料(プライマー)としての上記の諸特性を全て満足させることは出来ない。ポリアニリンはドープ、脱ドープ反応の機構を用いて実用化された数少ない防食塗料の例で、プライマーとしての特性改善のためのいくつかの報告がある。具体的には、ポリアニリンにリン酸を添加する事による塗膜性・金属表面への密着性を改善した例(特許文献4)、プライマーに要求される諸特性を兼備させるための工夫(特許文献5)、ドーパントの工夫によるドープ状態のポリアニリンの有機溶媒および水への可溶化の例(特許文献6)(特許文献7)、無機微粒子とポリアニリンの複合化による加工性能改善の例(特許文献8)層状リン酸塩の層間化合物形成の例(特許文献9)などである。
しかしながら、これらの改良にも関わらず、いまだ満足するべき防食塗料は開発されていないのが実情である。
特開昭63−199884 特開平5−320958 特開平6−128769 特開平11−21505 特開2000−119599 特開平8−92479 特開平11−241021 特開2005−307010 特開2004−99943 D.A.Wrobleski, et al., Los Alamos National Laboratory Report LA−UR−92−360(1991) D.A.Wrobleski, et al., Polymer Prepr., Am. Chem. Polymer Chem.,35(1),265(1994) David W DeBerr,J. Electrochem. Soc., 132,1022(1985)
本発明の課題は、前記の問題を解決し、強い腐食環境下でも優れた防食効果を示し、かつ特殊な装置を必要とせず、簡便で、大面積や大型の構造物にも適用できる金属の防食材料、及びその方法を提供することにある。
本発明者等は、種々検討の結果、上記問題点を解決した全く新しい材料を使用した金属の防食方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第一は、Huckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有する含窒素有機化合物を少なくとも含有する事を特徴とする防食塗料である。我々は種々の有機低分子化合物を検討し、Huckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有する含窒素有機化合物がポリアニリンのドープ・脱ドープ機能に相当する酸化・還元機能を有する事を発見した。これは従来全く知られていなかった事実である。これらの低分子化合物は酸化・還元機能を有するがゆえにポリアニリンなどの導電性高分子と同等以上の防食効果を示し優れた防食塗料を実現する事が出来る。また、Huckel則において芳香族性を示す置換基が10以下、窒素原子が10以下の有機化合物では溶媒溶解性を向上させる事が出来る。そのためにこれらの低分子化合物を分子状に分散させる事が出来、粒子状にしか分散できない導電性高分子と比較してその防食効果をさらに高める事が出来る。
本発明の第二は、少なくともドーパント、前記の含窒素有機化合物を含む事を特徴とする防食塗料とする事である。先に述べた様に、本発明の含窒素有機低分子化合物は導電性高分子のドープ・脱ドープ作用に相当する酸化・還元機能を示しその事が防食効果にを大きくしているので、ドーパントを加えておく事で防食効果を極めて高いものとする事ができる。
本発明の第三は、少なくとも汎用高分子、および前記の含窒素有機化合物からなる複合皮膜で金属表面を被覆する防食方法である。本発明の含窒素有機化合物は汎用高分子中に可溶性の溶媒を用いて分散され、皮膜を形成する事で防食塗料やプライマーとしての機能を果たす事になる。
本発明の第四は、少なくとも汎用高分子、ドーパント、および前記の含窒素有機化合物からなる複合皮膜よりなる防食塗料である。この様な構成とする事で防食効果にすぐれ、かつ皮膜性にも優れる防食塗料、プライマーを得る事が出来る。
本発明の第五は、固形分中にリン酸が添加されたことを特徴とする前記の防食塗料である。防食塗料にリン酸を添加することによって、基材に塗布乾燥後生成する塗膜の性能を改良しうる。
本発明の第六は前記の防食塗料で金属表面を被覆する防食方法である。
本発明の第七は前記の防食塗料がプライマーとして用いられた防食方法である。
本発明の防食方法で処理された金属材料は、食塩や塩酸等を含む強い腐食環境下でも優れた防食効果を示す。また、本発明の手法では浸漬または塗布するだけで均一で優れた防食効果を有する皮膜が形成できるため、大面積の金属材料、構造物でもスプレー等の簡便な方法により皮膜を形成できる。
本発明において防食に用いられる金属に特に限定はないが一般には鉄、アルミニウム、銅、チタン、ニッケルであり、それらに各種表面処理がなされていてもよい。表面処理としては各種金属あるいは合金メッキ、酸化処理、酸または/および金属塩水溶液による化成処理、クロメート処理、有機マトリックス樹脂に防錆剤・防食剤を添加した処理液による塗布処理があり、いずれも金属表面に薄い被膜を形成するものである。
金属の形態は一般にはフィルム状、板状,線状,管状,形状(H鋼など)さらにはこれらをもちいて形成された部品、製品などの形であり、フィルム状の場合のには金属薄膜の形で高分子フィルムと張り合わされた形状でも良い。本発明の手法では浸漬または塗布するだけで均一で優れた防食効果を有する皮膜が形成できるため、大面積の金属材料、構造物でもスプレー等の簡便な方法により皮膜を形成できる。
本発明の防食塗料に用いられる含窒素有機化合物は、Huckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有する含窒素有機化合物である。Huckel則とは芳香族性の有無を示す法則であり、例えば「大学院講義 有機化学I」(41ページ 東京化学同人)などに詳細が述べられている。具体的には下記式(1〜21)で示される様な含窒素有機化合物を例示する事が出来る。無論、本発明の有機低分子はこれらの例示分子に限定されるものではない事は言うまでも無い。例えば、ここに示した有機分子の各種異性体は本発明の範囲に含まれる。また、これらの分子におけるN位の水素原子、ベンゼン環の水素原子はいかなる置換基によって置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、スルホン酸基、アルコキシスルホン酸基などが挙げられる。下記式(1)で示される有機分子は分子量184であり、本発明の範疇にはいる最も分子量の小さな分子の例の一つである。これらの分子はいずれも導電性高分子のドープ・脱ドープ反応に相当する酸化・還元反応を示し、これらの分子を塗料中に添加することでその塗料は著しい防食効果を示す。これらの有機分子はそのままで、あるいは酸化状態(ドーピングされた状態)で塗料中に添加される。
合成の容易さおよび原料入手の容易さの観点からは、下記式(1〜21)で示される含窒素有機化合物のうち、Huckel則において芳香族性を示す置換基の少なくとも1個がベンゼン環であるものが好ましく、特に好ましくはHuckel則において芳香族性を示す置換基が全てベンゼン環であるものである。すなわち下記式(9〜21)の含窒素有機化合物が例示される。
下記式(22)で示されるアニリン重合体は防食塗料として用いられる事は良く知られているが、重合度(n)が8以下のオリゴマーはHuckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有するという要件を満たし本発明の範囲に含まれる。また、重合度10以下の各種アニリンオリゴマーの誘導体、例えば、メチルアニリンオリゴマー(化12)、メトキシアニリンオリゴマー(化13)などは本発明の範囲に含まれる。これらのオリゴマ-はいずれも優れたドープ、脱ドープ機能を示し本発明の目的に好ましく用いられる。一方、重合度(n)が8以上のオリゴマ-では溶媒溶解性が徐々に低下し、従来のポリアニリンを用いた防食塗料に対する優位性は失われる。合成の容易さおよび溶解度の観点からは、n=2であるアニリン4量体が特に好ましいアニリンオリゴマーとして挙げられる。勿論、アニリン4量体は、ベンゼン環上および窒素原子上にいかなる置換基を有していてもよい。
本発明の範疇に属するこれら有機低分子化合物に対して、例えば(化25、26)に示されるような有機低分子はベンゼン環を2個以上、あるいは窒素原子を2個以上と言う要件を満たしておらず、本発明の範囲に属さない。興味深いことにこれらの分子はドープ、脱ドープ反応に相当する酸化・還元反応を示さず、従って防食塗料として用いてもその効果は小さい。
本発明で用いる有機低分子化合物は、ドーパントを含んだ状態で使用される事でその防食効果を著しく高くする事が出来る。この本発明の有機低分子は、電気的に活性であり、各々の酸化還元電位は一定であるので、金属表面に皮膜を形成させた時に金属の電位を一定に保持し優れた防食効果を示す。
本発明で用いるドーパントは、一般に用いられるアクセプター性のドーパントである。具体的には、塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲン、塩酸、硫酸、過塩素酸、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸またはヘキサフルオロリン酸アンモニウム等のプロトン酸、その塩またはそのアニオン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素または三フッ化ホウ素、等のルイス酸、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、五フッ化モリブデンまたは塩化第二鉄等の遷移金属ハロゲン化物、安息香酸、フタル酸またはクエン酸等のカルボン酸、あるいはベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、ナフタレンスルホン酸トリメチルアンモニウムまたはポリスチレンスルホン酸アンモニウム等のスルホン酸、その塩またはそのアニオンがあげられる。
本発明の目的に好ましく用いられるリン酸または/およびスルホン酸または/およびそれらの誘導体として、オルソリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、亜リン酸およびそれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩、アルキルまたは/およびフェニルエステル類、炭素数3〜20の脂肪族スルフォン酸または芳香族スルホン酸(カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸など)およびそれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩、アルキルまたは/およびフェニルエステル類を挙げることができ、単独でもまた2種以上を混合して使用することも出来る。
本発明で用いる汎用高分子化合物は、熱硬化性樹脂ないしは熱可塑性樹脂等の合成樹脂、合成ゴム、天然高分子または無機高分子等である。
本発明に用いる熱可塑性ポリマーとしてはポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリアクリル,ポリビニルブチラールなどのビニルポリマーおよびその共重合物,変性物,ポリエステル,ポリアミド,ポリアミドイミド,ポリイミドなどの縮合系ポリマーおよびその共重合物,変性物,ポリウレタンに代表される附加重合系ポリマーおよびその共重合物,変性物,ポリ弗化ビニリデン,ポリ弗化エチレン,ポリ弗化プロピレンなどのフッ素系ポリマーおよびその共重合物,変性物,ポリフェニレンエーテル,ポリエーテルエーテルケトンなどのポリエーテル系ポリマーおよびその共重合物,変性物などを挙げることが出来る。これらの2種以上を混合して用いることも出来る。本発明の目的に好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリエステル、ポリビニルブチラールおよびアクリルポリマーからなる群から選ばれた1種以上のポリマーである。
本発明に用いる熱硬化性ポリマーには、前駆体を熱硬化反応させることによって高分子量化・網目構造化する化合物として示せばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、多官能アクリルモノマー、などを挙げることができる。勿論これらの共重合物、混合物、変性物も含まれる。本発明の目的に好ましい熱硬化性ポリマーは、エポキシ樹脂または/および酸変性エポキシ樹脂または/およびアミン変性エポキシ樹脂である。
汎用高分子化合物は、本発明の含窒素有機化合物と共に溶剤に溶解させて使用される。本発明で用いる溶剤は、ドーパント及び本発明の含窒素有機化合物、あるいはドーパント及び本発明の含窒素有機化合物並びに汎用高分子化合物を溶解するものであればよく、特に制限されない。本発明での皮膜の形成は、金属表面をドーパント及び本発明の含窒素有機化合物を含む溶液あるいはドーパント及び本発明の有機化合物並びに汎用高分子を含む溶液で、浸漬あるいはハケ塗り、スプレーまたはバーコーターないしはグラビアコーター等のコーター等を用いて塗布、乾燥するだけで、容易に行うことができ、金属表面を本発明の塗料で均一に被覆することができる。
本発明に用いる無機酸化物としては,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化リチウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化バナジウムなどの微粉末が挙げられる。シリカ、アルミナ、リチウムシリケートなどのコロイド分散体の使用は好ましい。
本発明の含窒素有機化合物の有する防食効果を最大限に発揮させるためには、前記熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、本発明の有機化合物、無機酸化物、ドーパントを含有し、各々の含有量の重量比を最適比にする事が好ましい。
本発明の防食塗料の好ましい実施態様として、以下の様な比率を例示する事が出来る。すなわち、熱可塑性ポリマーをポリエステル、ポリビニルブチラールおよびアクリルポリマーからなる群から選ばれた1種以上のポリマーとし、熱硬化性ポリマーをエポキシ樹脂または/および酸変性エポキシ樹脂または/およびアミン変性エポキシ樹脂とし、これらの熱可塑性高分子と熱硬化性高分子の比率を目的に合わせて任意に選択する。熱可塑性ポリマーの架橋剤として熱硬化性ポリマーを用いることによって密着性,耐沸騰水性、耐熱性、耐化学薬品性などを改良できるが,その場合好ましい比率(熱可塑性樹脂/熱硬化性ポリマー)は90/10〜80/20である。この値が大きいと架橋による効果が期待出来ず、また小さいと塗装金属の加工性が悪くなる。熱硬化性ポリマーを主に使用する場合には熱可塑性ポリマーを混合使用することによって塗装金属の加工性を改良出来るが、熱可塑性ポリマーを多くすると耐熱性,耐沸騰水性、密着性などが低下する。好ましい比率(熱可塑性樹脂/熱硬化性ポリマー)は20/80〜5/95である。
高分子と本発明の含窒素有機化合物の重量比率(高分子/本発明の有機化合物)は、50/50〜1/99である事が好ましい。この値が1/99より小さいと充分な防食性が期待出来ず,また50/50より大きくなると密着性,耐沸騰水性,加工性が悪くなり不都合である。より好ましくは30/70〜1/99である。
また、無機化合物と(高分子+本発明の有機化合物)の重量比率〔無機化合物/(高分子+本発明の有機化合)〕は60/40〜5/95である事が好ましい。この値が60/40より大きいと膜が脆くなり,10/90より小さいと防食性,耐水性,金属に対する密着性などの無機酸化物の効果が期待出来なくなる。より好ましくは50/50〜30/70の範囲である。
さらに、ドーパントと(無機化合物+高分子+本発明の含窒素有機化合物)の重量比〔ドーパント/(無機化合物+高分子+本発明の含窒素有機化合物)〕は、30/70〜1/99である事が好ましい。この値が30/70より大きいと耐(沸騰)水性を悪くし,1/99より小さいと防食性が悪くなる。
本発明の金属の防食塗料はプライマーとして使用する事ができる。ます、金属表面に本発明の含窒素有機化合物皮膜、またはドーパントを含む本発明の含窒素有機化合物皮膜、汎用高分子と本発明の有機化合物よりなる複合皮膜、あるいはドーパントを含む本発明の含窒素有機化合物と汎用高分子よりなる複合皮膜を形成させたる。次に、その皮膜上に通常の有機材料あるいは無機材料等を被覆する事で防食効果をより向上させる事が出来る。場合によっては防食プライマー層の表面に中間層を介してトップ層を形成しても良い。本発明のプライマーは、重金属類を使用せずに優れた防食性能を発現する事が出来、環境汚染上問題であるクロム,鉛,亜鉛などを含まない防食性下塗り塗料(プライマー)の実用化という社会的課題にも応えるものである。
プライマーとして用いられる本発明の防食塗料上に積層される中塗り塗料および/または上塗り塗料に用いられる樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂,メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などを挙げることができる。
本発明の有機化合物は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、無機酸化物、ドーパントと共に、通常水または/および有機溶剤に溶解または分散して使用される。溶解または分散は通常工業的に利用されている溶解機、分散機、混練機などを用いて実施出来る。上記成分の溶解または分散を容易にするために、更に分散剤、消泡剤、界面活性剤、カップリング剤などを併用することもできる。またレベリング剤、耐候剤、着色剤、その他添加剤、顔料などを併用することもできる。
以下、本発明を実施例により示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(入手先および合成法)
本発明において、実施例として用いた含窒素有機化合物の合成法または入手先について述べる。
含窒素有機化合物(1)(PPDA)
アルドリッチより購入した。
含窒素有機化合物(9)(NNDP)
東京化成より購入した。
含窒素有機化合物(13)(NNDB)
アルドリッチより購入した。
含窒素化合物(14)(Me−NNDB)
窒素雰囲気下、p-メチルアニリン(1.18g、11mmol)、ジブロモジフェニレン(1.56g、5mmol)、 2,2`-Bis(diphenylphosphino)1.1`-binaphthyl (0.0235g、0.037mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(0.0115g、0.0125mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.66g)を加え室温で10分間真空乾燥させた後に、THF(5ml)を加え65℃にて19.5時間還流させた。THFを減圧下、留去した後に、蒸留水20mlとジエチルエーテル20mlを加えよく攪拌し、続いてジエチルエーテル層を抽出した。続いてジエチルエーテルを減圧下、留去した後に、得られた固体を室温にて15時間真空乾燥させ0.46gの淡黄色粉末を回収した。続いてカラムクロマトグラフィーにて精製を行い(トルエン:ヘキサン=4:1)0.34gの淡黄色粉末を得た。(収率17%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ2.23(s、6H)、7.01−8.06(m、16H)

含窒素化合物(15)(tBu−NNDB)
p−メチルアニリンの代わりに4−tert−ブチルアニリンを用いた他はMe−NNDBと同様に合成を行い淡黄色粉末を得た。(収率45%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ1.36(s、18H)、7.03−8.20(m、16H)

含窒素化合物(16)(o,p−Me−NNDB)
p−メチルアニリンの代わりに2,4,6−トリメチルアニリンを用いた他はMe−NNDBと同様に合成を行い淡赤色粉末を得た。(収率53%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ2.19(s、12H)、2.33(s、6H)、6.40−7.40(12H)

含窒素化合物(10)(Me−NNDP)
窒素雰囲気下、50mlの三口フラスコにジブロモフェニレン(1.18g、5mmol)、p-トルイジン(1.18g、5mmol)、Bis(tri-t-butylphosphine)palladium(0) (0.013g、0.025mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.66g)を加え、系内を窒素置換した後に、脱水テトラヒドロフラン(5ml)を加え18時間70℃にて加熱還流を行った。テトラヒドロフランを減圧留去した後に、蒸留水20mlとジエチルエーテル20mlを加えよく攪拌し、続いてジエチルエーテル層を抽出した。続いてジエチルエーテルを減圧下留去した後に、得られた固体を室温にて15時間真空乾燥させ0.90gの淡赤色粉末を回収した。続いてカラムクロマトグラフィーにて精製を行い(トルエン:ヘキサン=5:1)0.40gの淡黄色粉末を得た。(収率28%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ2.23(s、6H)、6.83−7.40(m、12H)

含窒素化合物(11)(F−NNDP)
窒素雰囲気下、ジアミノベンゼン(0.54g、5mmol)、ブロモフルオ
ロベンゼン(2.19g、12.5mmol)、2,2`-Bis(diphenylphosphino)1.1`-binaphthyl (0.0235g、0.037mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(0.0115g、0.0125mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(0.66g)を加え室温で10分間真空乾燥させた後に、THF(5ml)を加え65℃にて13時間還流させた。テトラヒドロフランを減圧留去した後に、蒸留水20mlとジエチルエーテル20mlを加えよく攪拌し、続いてジエチルエーテル層を抽出した。続いてジエチルエーテルを減圧下留去した後に、得られた固体を室温にて15時間真空乾燥させ0.56gの茶色粉末を回収した。続いてカラムクロマトグラフィーにて精製を行い(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)0.10gの淡茶色粉末を得た。(収率10%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ6.82−7.80(m、12H)
19F NMR(CDCl、300MHz)δ−114.2(s)

含窒素化合物(12)(N−Me−NNDP)
窒素雰囲気下、100mlの丸底フラスコに水素化ナトリウム(0.27g、11.4mmol)を加え系内を窒素置換した後に、脱水THF(40ml)、脱水1.4ジオキサン(50ml)を加えた。つづいてN.N ‘ジフェニル1.4フェニレンジアミン溶液(1.3g/テトラヒドロフラン10ml)とメチルアイオダイド(1.87g、13.9mmol)を加え、70℃、5時間加熱還流を行った。反応液をろ過後、ろ液をクロロホルムと蒸留水にて洗浄し、クロロホルム層を濃縮した後に15時間真空乾燥させ3.3gの茶色粉末を得た。続いてカラムクロマトグラフィーにて精製を行い(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)0.82gの淡黄色粉末を得た。(収率23%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ3.23(s、6H)、6.80−
7.38(m、14H)

アニリン4量体(TANI)
窒素雰囲気下、300mlの丸底フラスコにジフェニルアミン(1.69g、0.01mol)と4,4−ジアミノジフェニルアミン硫酸(3.50g、0.01mol)を加え系内を窒素置換した後に、ジメチルホルムアミド100ml、蒸留水20ml、濃塩酸15mlを加え、よく攪拌した。続いて反応液を0℃に冷却し、過硫酸アンモニウム溶液(2.28g/1M塩酸50ml)を少量ずつ滴下した。滴下終了後、0℃ 1時間攪拌した後に700mlの蒸留水に反応液を加えた。反応液をろ過し、1M塩酸で洗浄(50mlX3)し得られたろ過物を40℃ 3時間にて真空乾燥させ2.56gの黒色結晶を得た。続いて得られた黒色粉末を25%のアンモニア水溶液中(50ml)で12時間攪拌させ、ろ過後40℃ 3時間にて真空乾燥させて2.42gの黒色粉末を回収した。さらに得られた黒色粉末をヒドラジンハイドライド中(10ml)で12時間攪拌させ、ろ過後、40℃ 3時間真空乾燥させて2.35gの黒色粉末を得た。続いて50℃のエタノールに黒色粉末を溶解させ不溶分をろ別した。続いてエタノールを減圧留去し、得られた固体をクロロホルムに溶解させ不溶分を回収し、5時間真空乾燥させ0.35gの黒色粉末を得た。(収率10%)
H NMR(DMSO、300MHz)δ4.62(s、2H)、6.52(d、2H)、6.75(t、1H)、6.78−7.31(m、15H)、7.41(s、1H)、7.68(s、1H)

(評価方法)
(1)耐沸騰水性(JIS−K−5400法による):2時間沸騰水中に浸せきした試験について以下の試験を行った。
・エリクセン(6mm) …碁盤目(隙間隔1mm、升目の数100)をつけた後、碁盤目部にエリクセンを6mm行い、最後にテープ剥離を行った。〔100/100 優、0/100不良(全部剥離)〕
・光沢保持率…沸水後の光沢/沸水前の光沢(JIS−K−5400による60度反射率を測定)(%)で求めた。
・外観…ASTM−D714に従い、目視で判断した。(10:外観変化なし、8F:直径約1mmのフクレが少し見られた、9D:フクレの大きさは8Fよりも小さく数密度は8Fよりもかなり多い。)
・加工密着性:2Tテープ剥離。塗膜を被覆した鋼板と同じ厚さの鋼板を2枚(2T)はさんで折り曲げた後、折り曲げ部分をテープ剥離し、剥離の程度を目視で判断した。(◎優(剥離なし)、○良、△やや不良、×不良(全面剥離)
(2)耐食性(JIS−K−5400法による):塗膜で被覆した鋼板の端面を切断し、端面部を形成後、カッターで中心部に長さ5cmのクロスカットをつけた。さらに下部を2Tで折り曲げ、折り曲げ加工部を形成後、35℃で塩水噴霧にさらした。所定時間塩水噴霧にさらした試験について、必要に応じて以下の試験を行った。
・外観…平面部を目視で判断した。判断基準は(1)と同じである。
・クロスカット…クロスカット部からの最大腐食(フクレ)幅(mm)を求めた。
・端面…端面部からの最大腐食(フクレ)幅(mm)を求めた。
・2T加工…折り曲げ部のテープ剥離を行った。評価法は(1)と同じである。
・クロスカット部腐食…クロスカット部からの最大サビ(外観から判断出来る)幅(mm)を求めた。
・クロスカット部剥離…クロスカット部をテープ剥離したときの、最大剥離幅
(mm)を求めた。
(3)コインスクラッチ試験:10円玉に2kgの荷重をかけ、JIS−K−5400の鉛筆引っかき値の試験機法と同じ方法で塗膜に傷をつけ、塗膜の剥離程度を目視で確認した。〔◎優(傷がトップ層にとどまる)、○良(傷がプライマー層にとどまる)、△やや不良、×不良(傷が鋼板に達する)〕

(実施例1)
NNDP:2部、 東洋紡績製バイロン樹脂RV−290:8.3部、住友化学製メラミン樹脂スミマールM40S:1.7部、正リン酸(85%):0.4部、酸化チタン:12.5部、シクロヘキサノン:75.1部からなるプライマー組成物を作製した。
次に、クロメート処理した亜鉛メッキ鋼板(GI材Z06、0.5×70×150mm)を準備し、230℃、15秒間熱処理することによって乾燥した。該鋼板に前記プライマー組成物を塗布し、150℃、30秒間熱処理した。熱処理後の膜厚は3μmである。さらに、プライマー層の上にトップ層として、膜厚15μmとなるようにポリエステル樹脂を塗布し、230℃、1分間熱処理した。
得られた試料に対して、前記評価方法で耐食試験、耐沸騰水試験、加工性試験、コインスクラッチ試験を行なった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
NNDPが添加されていない以外は実施例1と同じ組成のプライマー組成物祖を作製し、同様の鋼板、手順で、塗膜を被覆し、耐食試験、耐沸騰水試験、加工試験、コインスクラッチ試験を行った。プライマー層の膜厚は3μm、とした。得られた結果を表1に示す
(比較例2)
NNDPに代りポリアニリンを添加し、実施例1と同じ組成のプライマー組成物祖を作製し、同様の鋼板、手順で、塗膜を被覆し、耐食試験、耐沸騰水試験、加工試験、コインスクラッチ試験を行った。プライマー層の膜厚は3μm、とした。得られた結果を表1に示す
(比較例3)
本発明の窒素含有有機化合物の性能を明らかにするために、ストロンチュウムクロメート防食顔料をもちいてその性能比較を行なった。プライマー組成物の構成比率は以下の通りである。東洋紡績製バイロン樹脂RV−290:13.6部、住友化学製メラミン樹脂スミマールM40S:2.7部、ストロンチウムクロメート防錆顔料: 6.8部、 酸化チタン: 6.8部、シクロヘキサノン:70.0部。実施例1と同様の鋼板、手順で、塗膜を被覆し、耐食試験、耐沸騰水試験、加工性試験、コインスクラッチ試験を行った。プライマー層の硬化条件は210℃、50秒間、膜厚は8μmである。得られた結果を表1に示す
表1より、実施例1は比較例1、比較例3に比べて耐沸騰水性、耐食性に優れることがわかった。また、比較例2に比べても特に耐食性において優れる事がわかった。
(実施例2〜9)
実施例1で用いた本発明の含窒素有機化合物のかわりに、それぞれPPDA(実施例2)、NNDB(実施例3)、TANI(実施例4)、Me−NNDB(実施例5)、tBu−NNDB(実施例6)、o,p−Me−NNDB(実施例7)、F−NNDP(実施例8)、N−Me−NNDP(実施例9)、Me−NNDP(実施例10)を用いてプライマー塗料を作製した。プライマー組成物の組成比は実施例1とおなじである。
次に、実施例1と同様に、クロメート処理した亜鉛メッキ鋼板(GI材Z06、0.5×70×150mm)を準備し、230℃、15秒間熱処理することによって乾燥した。該鋼板に前記プライマー組成物を塗布し、150℃、30秒間熱処理した。熱処理後の膜厚は3μmである。さらに、プライマー層の上にトップ層として、膜厚15μmとなるようにポリエステル樹脂を塗布し、230℃、1分間熱処理した。得られた各試料に対して、前記評価方法で耐食試験、耐沸騰水試験を行なった。得られた結果を表2に示す。
実施例2〜10の結果により本発明の有機分子はいずれも耐沸騰水性、耐食性に優れた特性を示す事が分かつた。
(比較例4)
実施例1で使用した含窒素有機化合物に代り、本発明の範疇に属さない前記式(25)で示した含窒素有機化合物を添加し、実施例1と同じ組成のプライマー組成物を作製し、同様の鋼板、手順で、塗膜を被覆し、耐食試験、耐沸騰水試験、加工試験、コインスクラッチ試験を行った。プライマー層の膜厚は3μm、とした。得られた結果を表2に示す。実施例1〜10の結果と比較して比較例4の結果は耐沸騰水性、耐食性に劣る結果であった。
(実施例11)
クロメート処理していないZnメッキ鋼板(GI材Z06、0.5×70×150mm)に実施例1と同じ手順で塗膜を被覆し、耐食試験(240時間)を行った。プライマーの組成は実施例1と同じである。得られた結果を表3に示す。
(実施例12)
SA(亜鉛/鉄合金メッキ)材(0.5mm×70mm×150mm)に、実施例1と同じ手順で塗膜を被覆し、耐食試験(350時間)を行った。プライマー層の膜厚は5μm、組成は以下の通りである。NNDPの有機分子:3.0部、東洋紡績製バイロン樹脂RV−290:6.3部、住友化学工業製メラミン樹脂スミマールM40S:0.6部、正リン酸(85%):1.4部、トリポリリン酸アルミニウム 1.0部:酸化チタン:5.0部、シクロヘキサノン:87.7部。得られた結果を表3に示す。
(実施例13)
ボンデライト(リン酸亜鉛)処理冷延鋼板(0.8mm×50mm×50mm)に、実施例8と同じような手順で塗膜を被覆し、耐食試験(500時間)を行った。プライマー層の膜厚は5μm、組成は以下の通りである。NNDP:3.0部:2.7部、東洋紡績製バイロン樹脂RV−290:5.8部、住友化学工業製メラミン樹脂スミマールM40S:0.6部、正リン酸(85%):1.3部、 酸化チタン:9.1部、シクロヘキサノン:80.5部。得られた結果を表3に示す。
(実施例14)
アルカリ洗浄、酸洗浄を施した冷延鋼板(0.5mm×50mm×50mm)に
プライマー層を乾燥後の膜厚が5μmになる様に塗布し、130℃、30分間熱処理した。プラマ-層形成用塗料の組成は以下の通りである。NNDP:3.0部、旭チバ製エポキシ樹脂PZ3901:3.5部、昭和高分子製フェノール樹脂CKE−237:3.5部、正リン酸(85%):1.4部、脱イオン水:108.6部。次に、プライマー層の上にトップ層(膜厚は30μm)として、アルキッド樹脂を塗布し、30℃、30分間熱処理した。この様にして作製された試料について耐食試験(150時間)を行った。得られた結果を表3に示す。
(実施例15)
実施例14と同様の鋼板、手順で、塗膜を被覆した。プライマー層の組成は次の通りである。NNDP:5.1部、ブチラール樹脂:4.9部、正リン酸(85%):10.0部、脱イオン水:16.8部、2−ブタノール:63.2部。この様にして作製された試料について耐食試験(150時間)を行った。得られた結果を表3に示す。
実施例7〜15の結果はいずれも優れた防食効果を示すものであり、本発明の有機分子がいろいろな金属の防食に優れた効果を有する事が示された。

Claims (9)

  1. Huckel則において芳香族性を示す置換基を2個以上、10個以下含み、かつ2個以上、10個以下の窒素原子を有する含窒素有機化合物を少なくとも含有する事を特徴とする防食塗料。
  2. Huckel則において芳香族性を示す置換基の少なくとも1個がベンゼン環であることを特徴とする請求項1記載の防食塗料。
  3. Huckel則において芳香族性を示す置換基が全てベンゼン環であり、含窒素有機化合物の分子量が184以上である事を特徴とする請求項2記載の防食塗料。
  4. 少なくともドーパント、および請求項1〜3のいずれかに記載の含窒素有機化合物を含む事を特徴とする防食塗料
  5. 少なくとも汎用高分子、および請求項1〜3のいずれかに記載の含窒素有機化合物を含む事を特徴とする防食塗料
  6. 少なくとも汎用高分子、ドーパント、および請求項1〜3のいずれかに記載の含窒素有機化合物を含む事を特徴とする防食塗料。
  7. 固形分中にリン酸が添加されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防食塗料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の防食塗料で金属表面を被覆する防食方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の防食塗料がプライマーとして用いられた防食方法。
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