JP2008285629A - オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法 - Google Patents

オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008285629A
JP2008285629A JP2007134430A JP2007134430A JP2008285629A JP 2008285629 A JP2008285629 A JP 2008285629A JP 2007134430 A JP2007134430 A JP 2007134430A JP 2007134430 A JP2007134430 A JP 2007134430A JP 2008285629 A JP2008285629 A JP 2008285629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
olefin
emulsion
polymerization catalyst
producing
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007134430A
Other languages
English (en)
Inventor
Kohei Ogawa
紘平 小川
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
Yoshifumi Fukui
祥文 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2007134430A priority Critical patent/JP2008285629A/ja
Publication of JP2008285629A publication Critical patent/JP2008285629A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、配位重合触媒を用いたオレフィンモノマーの乳化重合において、配位重合触媒の乳化液と予め反応器に仕込んでおく乳化液が異なり、かつ配位重合触媒の乳化液の粒子径を小さくすることにより、安定なオレフィン重合体エマルジョンを提供することにある
【解決手段】配位重合触媒を用いてオレフィン系モノマーを乳化重合する際、触媒乳化液の調製に乳化剤の増量、水に対する有機溶剤量の割合をすることおよびヘキサデカン等エマルジョン安定化剤を使用することにより達成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、配位重合触媒を用いて得られるオレフィン系共重合体の製造方法に関する。
オレフィン系重合用触媒の高活性化は、現在においても重要な課題である。極性モノマーとの共重合や水系での重合が可能になることから、後周期遷移金属錯体系のオレフィン系重合用触媒が着目されている。特に最近では、α−ジイミン型の配位子を有するパラジウム系触媒(Brookhart触媒)(特許文献1)や酸素原子近傍にフッ化炭化水素を有しかつリン原子近傍にエステル基を有するニッケル系触媒が着目されている。(特許文献2、非特許文献1,2)。特許文献1には、新規なパラジウム系のオレフィン系重合触媒を用いて、水系での重合においてオレフィンの重合が進行することが報告されている。
特許文献2には、リンおよび酸素原子が中心金属に配位したニッケル系のオレフィン系重合触媒を用いて、α−オレフィンの重合が乳化液中で進行することが報告されている。しかしながら、配位重合触媒によるポリオレフィンの製造効率は十分でなかった。また、反応器に仕込む触媒溶液を一括で乳化させるため、スケールアップした時、乳化に要する時間が非常に長くなり触媒が失活するという問題点があった。
さらに、これまでは配位重合触媒を用いたオレフィンの乳化重合の際、重合直後にポリマーが析出したり(特許文献3)、また得られたポリマーエマルジョンは不安定で徐々にポリマーが凝集/析出し、エマルジョンの固形分濃度が低下するという問題点があった。
特開2006−111825 WO02/24763 特表2002−526608 Macromolecules,2001年,34巻,2438頁 Macromolecules,2001年,34巻,2022頁
配位重合触媒を用いたオレフィンモノマーの乳化重合方法において、配位重合触媒を乳化液として用いることにより、安定なオレフィン系重合体エマルジョンを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の構成を有するものである。 1). 配位重合触媒を用いたオレフィンモノマーの乳化重合において、配位重合触媒を乳化液として用いることを特徴とするオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
2). 配位重合触媒の乳化液の粒子径が0.001〜0.5μmであることを特徴とする1)記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
3). 配位重合触媒乳化液調製時に界面活性剤を水100重量部に対して3〜50重量部用いることを特徴とする1)または2)に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
4). 配位重合触媒乳化液調製時に有機溶剤を水100重量部に対して1〜50重量部用いることを特徴とする1)〜3)いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
5). 配位重合触媒乳化液調製時にエマルジョン安定化剤として常温で液状の炭化水素系化合物を用いることを特徴とする1)〜4)いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。

6). 常温で液状の炭化水素系化合物が(流動)パラフィン、α―オレフィンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィンオリゴマーであることを特徴とする5)に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
7). 後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(1)、(2)又は(3):
Figure 2008285629
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(式中、Mはニッケル、パラジウム又は白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砥素またはアンチモンである。 R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩またげ炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基、Yはハロゲン原子、mは1〜3である。)
であることを特徴とする1)記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
8). 一般式(1)における後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(4):
Figure 2008285629
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1、Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のふっ素化炭化水素基である。)
で表されることを特徴とする7)に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
9). 一般式(1)〜(4)で表されるオレフィン重合用触媒のEが酸素、Xがリンであることを特徴とする7)または8)に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
10). 後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(5)又は(6):
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R,Rは各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R,Rは各々独立して水素原子、またはメチル基である。Rはハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、Rにつながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
であることを特徴とする1)〜6)いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
11). オレフィンモノマーが炭素数10以下のα−オレフィンであることを特徴とする、1)〜10)のいずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
12). 配位重合触媒と予めオートクレーブに仕込んでおく乳化液が異なることを特徴とする1)〜11)のいずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
本発明により、安定なオレフィン系共重合体エマルジョンを製造することができる。
以下、本発明は配位重合触媒を粒子径0.5μm以下の乳化液に調製してとして用いてオレフィン系モノマーを乳化重合によりオレフィン系重合体エマルジョンを製造する方法に係り、以下詳細に説明する。
(配位重合触媒)
オレフィン系重合体エマルジョンを製造するための配位重合触媒としては、水および極性化合物の共存下でオレフィン重合活性を有する配位重合触媒であれば特に制限はなく、好ましい例としてケミカル・レビュー(Chemical Review),2000年,100巻,1169−1203頁、ケミカル・レビュー(Chemical Review),2003年,103巻,283−315頁、有機合成化学協会誌,2000年,58巻,293頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2002年,41巻,544−561頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2005年,44巻,429−432頁に記載されているものを挙げる事ができる。
但し、これに限定されるものではない。合成が簡便であり高活性が得られるという点から、一般式(1)、(2)、(3)、(5)または(6)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒が好ましい。
一般式(1)、(2)または(3)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒は、SHOP(Shell Higher Olefin Process)触媒として知られている。
Figure 2008285629
(式中、Mはニッケル、パラジウム又は白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砥素またはアンチモンである。 R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩またげ炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。)
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。)

一般式(5)または(6)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒は、Brookhart触媒として知られている。
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R4,R7は各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R5,R6は各々独立して水素原子、またはメチル基である。R8はハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、R8につながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
水中で安定であることから特にMはパラジウムが好ましい。R1,R4で表される炭素数1〜4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基などが好ましく、さらに好ましくはメチル基、イソプロピル基が好ましい。
Xで表されるMに配位可能な分子としては、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸、酢酸エチル、水、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどの極性化合物を例示することができるが、なくてもよい。またR5がヘテロ原子、特にエステル結合等のカルボニル酸素を有する場合には、このカルボニル酸素がXとして配位してもよい。また、オレフィンとの重合時には、該オレフィンが配位する形になることが知られている。
また、L-で表される対アニオンは、α−ジイミン型の配位子と遷移金属とからなる触媒と助触媒の反応により、カチオン(M+)と共に生成するが、溶媒中で非配位性のイオンペアを形成できるものならばいずれでもよい。
両方のイミン窒素に芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子、具体的には、ArN=C(R2)−C(R3)=NArで表される化合物は、合成が簡便で、活性が高いことから好ましい。R2、R3は炭化水素基であることが好ましく、特に、水素原子、メチル基、および一般式(2)で示されるアセナフテン骨格としたものが、合成が簡便で活性が高いことから好ましい。さらに、両方のイミン窒素に置換芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子を用いることが、立体因子的に有効で、ポリマーの分子量が高くなる傾向にあることから好ましい。従って、Arは置換基を持つ芳香族基であることが好ましく、例えば、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニルなどが挙げられる。
本発明の後周期遷移金属錯体から得られる活性種中の補助配位子(R5)としては、炭化水素基あるいはハロゲン基あるいは水素基が好ましい。後述する助触媒のカチオン(Q+)が、触媒の金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合あるいは水素−炭素結合から、ハロゲン等を引き抜き、塩が生成する一方、触媒からは、活性種である、金属−炭素結合あるいは金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合を保有するカチオン(M+)が発生し、助触媒のアニオン(L-)と非配位性のイオンペアを形成する必要があるためである。
5を具体的に例示すると、メチル基、クロロ基、ブロモ基あるいは水素基が挙げられ、特に、メチル基あるいはクロロ基が、合成が簡便であることから好ましい。なお、M+−ハロゲン結合へのオレフィンの挿入よりM+−炭素結合(あるいは水素結合)へのオレフィンの挿入の方がおこりやすいため、触媒の補助配位子として特に好ましいR5はメチル基である。
さらに、R5としてはMに配位可能なカルボニル酸素を持つエステル結合を有する有機基であってもよく、例えば、酪酸メチルから得られる基が挙げられる。
助触媒としては、Q+-で表現できる。Qとしては、Ag、Li、Na、K、Hが挙げられ、Agがハロゲンの引き抜き反応が完結しやすいことから好ましく、Na、Kが安価であることから好ましい。Lとしては、BF4、B(C654、B(C63(CF324、PF6、AsF6、SbF6、(RSO22CH、(RSO23C、(RSO22N、RfSO3が挙げられる。特に、PF6、AsF6、SbF6、(RSO22CH、(RSO23C、(RSO22N、RfSO3が、極性化合物に安定な傾向を示すという点から好ましく、さらに、PF6、AsF6、SbF6が、合成が簡便で工業的に入手容易であるという点から特に好ましい。
活性の高さからは、BF4、B(C654、B(C63(CF324が、特にB(C654、B(C63(CF324が好ましい。Rは複数のフッ素基を含有する炭化水素基である。これらフッ素は、アニオンを非配位的にするために必要で、その数は多いほど好ましい。Rの例示としては、CF3、C25、C49、C817、C65があるが、これらに限定されない。またいくつかを組み合わせてもよい。
一般式(1)の中でも下記一般式(4)が好ましい:
Figure 2008285629
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R,R,Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1,Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。)で表されるオレフィン重合用触媒が好ましい。
特に、Rf1がフッ素化炭化水素基である場合、乳化系でも高いエチレン重合活性を示すので好ましい。
また、Rf2を電子吸引性のフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である一般式(4)は高活性でより高分子量のポリオレフィンを得ることができる。
一般式(1)あるいは(4)は、以下の反応により調製することができる。
Figure 2008285629
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R1,R2,R3は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩または炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。MLnはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である)。
これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
f1、Rf2は各々独立して炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基が好ましい。具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。特に、Rf1はトリフルオロメチル基が好ましく、Rf2はペンタフルオロフェニル基が好ましい。
また、R1,R2,R3は各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。
一般式(2)あるいは一般式(3)は、以下の化合物が反応することにより発生した配位子を単離することなく引き続き金属MLと反応させることにより調製することができる。
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R1,R2,R3は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。MLnはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である。)これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
ゼロ価のニッケル化合物としては、例えば、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロオクタテトラエン)ニッケル、ビス(1、3、7-オクタトリエン)ニッケル、ビス(シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(アリル)ニッケル、ビス(メタリル)ニッケル、トリエチレンニッケル、ビス(ブタジエン)ニッケル、ビス(イソプレン)ニッケルが好ましく、ビス(シクロオクタジエン)ニッケルが特に好ましい。
これらビス(シクロオクタジエン)ニッケルは公知の方法に従って合成することもできるし、固体を取り出すことなく溶液のまま用いてもよい(例えば、実験化学講座第4版、371頁に準じて2価のニッケル化合物とシクロオクタジエン等とトリアルキルアルミニウムとから合成できる)。
また、Yは塩素またはフッ素、特にフッ素であることが好ましい。また、R1,R2,R3は各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。反応の促進のために、ホスフィン、ホスフィン酸化物、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、ニトリル、アミン、ピリジン、オレフィン等を共存させるのが好ましい。特にオレフィンを共存させるのが好ましい。オレフィンには以下に説明するオレフィンモノマーを含む。
本発明のオレフィン重合反応において、MLn/配位子のモル比は、反応収率を高めるため少なくともMLnを等量以上使用するのがよく、5/1〜1/1が好ましく、3/1〜2/1がより好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒一般式(1)、(2)、(3)、(4)の具体例としては、ニッケルが入手性の点から優れており、特に下記一般式で示される化合物を好適に例示することができるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008285629
Figure 2008285629
Figure 2008285629
(式中、Phはフェニル基、nは1〜3を示す)。
(オレフィンモノマー)
本発明に用いられる、オレフィンモノマーは、配位重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィン化合物である。オレフィンモノマーの好ましい例としては炭素数2〜20のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
炭素数10以下のα−オレフィンが重合活性の高さから好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。特にエチレンが高活性のため好ましい。これらのオレフィン系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上使用してもよい。
また、オレフィンモノマーの重合にはジエン系モノマーを使用しても良く、その場合は、オレフィンモノマー100重量部に対して好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜8重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。ジエンモノマーとしては例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタリン、ジシクロペンタジエン等をあげることができる。ジエン系モノマーの使用によりポリオレフィンの分子量、分岐度、架橋度などを調節することができる。
オレフィンモノマーと触媒活性種のモル比は、制限はないが、分子量の大きい重合体を収率良く得られるという点から、オレフィンモノマー/触媒活性種がモル比で10〜109、さらには100〜107、さらに好ましくは1000〜10、とするのが好ましい。
(オレフィンモノマー重合)
本発明の、配位重合触媒を用いた、オレフィンモノマーの乳化重合方法は、一般の乳化重合法(ミニエマルジョン重合法を含む)の他にもミクロ懸濁重合法あるいはそれに近い系で行うことができる。これらの重合方法により高い固形分濃度(SC)のラテックスを得ることができる。
用いるオレフィンモノマーが反応温度において気体である場合は、圧力をかけたり低温で凝縮あるいは凝固させて液体もしくは固体として仕込んだ後に系を反応温度まで加熱しても良いし、気体のままで仕込んでも良い。
本発明においては触媒乳化液の粒子径を500nm以下にすることにより、本願発明の安定なオレフィン系重合体を得ることができるので好ましい。触媒乳化液の触媒の分散粒子径は0.001〜0.5μmの範囲にあることがより好ましく、更には0.005〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
触媒乳化液の粒子径小型化の具体的な手段としては、触媒乳化液調製時に使用する乳化剤濃度を高めること、およびエマルジョン安定化のために常温で液状の炭化水素系化合物を用いることが好ましく、中でも水溶性の低い化合物が好ましい。常温で液状の炭化水素系化合物を用いる場合、水100重量部に対して1〜50重量部、更には3〜35重量部、特には5〜20重量部が好ましい。
常温で液状の炭化水素系化合物は、具体的には(流動)パラフィン、α―オレフィンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィンオリゴマー、ヘキサデカンをあげることができる。また、水溶性が低いものが好ましい。「水溶性が低い」とは、アセトン、エタノール又は炭化水素溶媒のような1つ以上の有機溶媒に溶解でき、水には評価できる程度の(実質的に)溶解性を示さないことを意味する。これらの液状の炭化水素系化合物の添加によって、油滴同士の凝集やオストワルド熟成による滴径増加を抑制することができるので好ましい。
配位重合触媒乳化液調製時には水100重量部に対して1〜50重量部、さらに好ましくは3〜40重量部、特に好ましくは5〜30重量部の界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤は公知のものを用いることができるが更には後述する重合時に用いることができる乳化剤を用いることが好ましい。
配位重合触媒は予め乳化液として重合に用いる必要があるが、オレフィンモノマーは、反応容器内に一括して全量を仕込んでも一部を仕込んだ後に残りを連続的にまたは間欠的に追加しても良い。また、水および乳化剤と混合して、例えばホモジナイザーなどをかけて乳化液とした状態で仕込んでも良い。
乳化重合及び/またはミクロ懸濁重合に用いる乳化剤は公知のものを使うことができ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれの乳化剤も特に限定なく使うことができる。乳化能が良好であるという点から、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩などのアニオン性乳化剤が好ましく、さらに好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが好ましい。
該乳化剤全体の使用量には特に限定がなく、適宜調整すればよいが、好ましくは使用する水に対して、0.01g/L〜50g/L、好ましくは0.1g/L〜30g/L、さらに好ましくは2.0g/L〜20g/L、最も好ましくは4.0g/L〜10g/Lである。
ミクロ懸濁重合に用いる分散剤は、公知のものを使うことができる。具体例としてはリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のノニオン系高分子化合物;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸およびその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物などがあげられる。これらは前記した乳化剤と併用してあるいは単独で用いてミクロ縣濁重合を行うことができる。
重合の際、オレフィンモノマーおよび配位重合触媒の溶解度を高め反応を促進するために有機溶媒を少量添加してもよい。その溶媒としては特に制限はないが、脂肪族または芳香族溶媒が好ましく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレン、クロロホルム、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカンが挙げられる。
また、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の極性溶媒であってもよい。水溶性が比較的低く、かつ触媒が溶解しやすい溶媒であることが特に好ましく、このような特に好ましい例としてはトルエン、塩化メチレン、クロロホルムおよびブチルクロリド、クロロベンゼン等が挙げられる。
あらかじめ系全体を乳化させておくミニエマルジョン重合の場合にはエマルジョン(ラテックス)の安定化のために脂肪族溶媒を用いることが好ましい。脂肪族溶媒としては水溶性の低いものが好ましく、具体的にはペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、流動パラフィン、α―オレフィンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィンオリゴマーを例示することができる。「水溶性が低い」という用語は、アセトン、エタノール又は炭化水素溶媒のような1つ以上の有機溶媒に溶解でき、水には評価できる程度の溶解性を示さないことを意味する。これらの液状の炭化水素系化合物の添加によって、油滴同士の凝集やオストワルド熟成による滴径増加を抑制することができるので好ましい。
ポリブテンなどの水溶性の低いα―オレフィンオリゴマーやエチレン−α−オレフィンオリゴマーを用いてもよい。これらの溶媒は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。溶媒の合計使用量は、反応液全体の体積に対して好ましくは50容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。これらの溶媒は、そのまま添加してもよいし、乳化させて添加しても良い。
本発明のポリオレフィンエマルジョンの製造は、通常35〜90℃、好ましくは35〜85℃、さらに好ましくは36〜70℃、特に好ましくは40〜60℃、最も好ましくは45〜55℃で行われる。重合時間は特に制限はないが、通常10分〜24時間、反応圧力は特に制限はないが、常圧〜10MPaである。温度および圧力は、反応開始から終了まで常時一定に保っても良いし、反応途中で連続的もしくは段階的に変化させても良い。
反応は不活性雰囲気下で行うのが好ましく、アルゴン、窒素等が挙げられる。場合により微量の酸素、水分が存在していてもよい。
用いるオレフィンモノマーがエチレン、プロピレンなどの気体である場合は、重合反応によるモノマー消費に伴って徐々に圧力が低下しうるが、そのまま圧力を変化させて反応を行っても良く、モノマーを供給したり加熱するなどにより常時一定の圧力を保って反応を行っても良い。本発明により得られるポリオレフィンエマルジョンは通常ラテックスとして得られる。ラテックスの粒径は使用した乳化剤、有機溶媒、水の量、乳化条件によって調整することができる。ラテックスの安定性等の点から好ましくは粒子径が20nm〜5000nm、さらには50nm〜2000nmのものが得られる条件を選ぶのが好ましく、とくに好ましくは、70nm〜1500nm、最も好ましくは100nm〜1000nmである。
本発明のポリオレフィン重合体は、各種の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に配合することにより樹脂組成物を製造するための原料として用いることができる。
前記熱可塑性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンオクテンゴム、ポリメチルペンテン、エチレン環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体などのビニルポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン複合体、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンなどのエンジニアリングプラスチックが好ましく例示される。
前記熱硬化性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ホリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく例示される。これら熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちポリオレフィンが本発明のオレフィン系重合体の分散性が良好であるという点で好ましく、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンなどがあげられ好ましい。
本発明のオレフィン重合体組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂の配合に用いられる方法を用いることができ、たとえば、熱可塑性樹脂と本発明のオレフィン重合体および所望により添加剤成分とを、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
また、その熱可塑性樹脂が乳化重合法で製造される場合には、該熱可塑性樹脂とオレフィン重合体とを、いずれもエマルジョンの状態でブレンドしたのち、共析出(共凝集)することで得ることも可能である。
かくして得られるオレフィン系重合体組成物の成形法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる、たとえば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法があげられる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
[粒子径の測定]
粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製)にて測定した。なお、本発明の粒子径とは体積平均値のことを言う。 [固形分濃度の測定]
反応後に得られたラテックスを軟膏缶に0.5〜2g程度採取し、130℃のオーブンで熱乾燥して残留する固形分の割合を求めた。これをラテックス中の固形分濃度とみなした。熱乾燥する時間は、さらに30分以上加熱しても重量変化が1%以下となるまで(通常1〜2時間)である。
(合成例1)配位子の合成
窒素雰囲気下、Helvetica Chimica Acta.1928頁,76巻,1993年を参考にして合成したペンタフルオロベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド2.61g、乾燥THF(和光純薬(株)製)11mlを仕込み、氷浴を用いて0℃に冷却した。モレキュラーシーブで乾燥したトリエチルアミン(和光純薬(株)製)1.5mlを加え、15分攪拌した。さらにトリフルオロ酢酸無水物(東京化成製)0.78mlを滴下し、0℃で1時間、室温(15℃)で1時間反応させた。
濾液を濃縮し、蒸留水(和光純薬(株)製)15mlで洗浄、乾燥した。得られた生成物を60℃のメタノールに溶解させ0℃まで徐々に冷却し、再結晶を行った。乾燥後の収量は、1.5gであった。1H−NMR(CDCl3)により、ベンジルプロトンが消失していることから、下記化学式で示される化合物が生成していることを確認した。
Figure 2008285629
(式中、Phはフェニル基を示す)。
(実施例1)オレフィン系重合用触媒の調整とエチレンの重合
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られた化合物14.1mg(26μmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(関東化学(株)製)28.4mg(102μmol)を脱水トルエン(和光純薬(株)製)0.6mlにそれぞれ溶かし15分間攪拌した。その後それぞれのトルエン溶液を混合し、さらに脱水1−ヘキセン(和光純薬(株)製)0.4mlを加えた。この触媒溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬(株)製)1.2g、純水12.3g、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)0.1gと共に超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)によって乳化した。なお、乳化の際の超音波作用時間は60秒間程度である。得られた触媒乳化液の粒子径は、0.2μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)であった。
アルゴン置換した1Lオートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ、材質SUS 316)に、ドデシル硫酸ナトリウム2g、純水502ml、トルエン50ml、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)5.1g、1,9−デカジエン(東京化成(株)製)5.2gの混合物を脱気し超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)で約5分間乳化させた溶液を仕込み50℃に加温した。そこに、上記触媒の乳化溶液をシリンジで注入した。その後、エチレンガス(住友精化(株)社製)を導入して、オートクレーブ内を3MPaとし、300rpm、50℃で2時間反応させた。
ここで使用したエチレンガスは、脱水カラム(日化精工(株)製、ドライカラム HDF 300−A3)と脱酸素カラム(日化精工(株)製、GASCLEAN GC−HDF 300−M)を通して精製を行った。反応後、未反応のエチレンガスを除去しポリエチレンエマルジョン587.6gを得た。なお、得られたポリエチレンエマルジョンの粒子径は、0.4μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)、固形分濃度(SC)は6.7%であった。また、この反応では、TON(Turn Over Number)=49000[mol Ethylene/mol cat.]であった。
(実施例2)オレフィン系重合用触媒の調整とエチレンの重合
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られた化合物13.7mg(25μmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(関東化学(株)製)29.8mg(107μmol)を脱水トルエン(和光純薬(株)製)1.0mlにそれぞれ溶かし15分間攪拌した。その後それぞれのトルエン溶液を混合し、さらに脱水1−ヘキセン(和光純薬(株)製)0.4mlを加えた。この触媒溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬(株)製)2.0g、純水20.1g、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)0.2gと共に超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)によって乳化した。なお、乳化の際の超音波作用時間は60秒間程度である。得られた触媒乳化液の粒子径は、0.2μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)であった。
アルゴン置換した1Lオートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ、材質SUS 316)に、ドデシル硫酸ナトリウム2g、純水500ml、トルエン50ml、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)5.2g、1,9−デカジエン(東京化成(株)製)5.2gの混合物を脱気し超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)で約5分間乳化させた溶液を仕込み、50℃に加温した。そこに、上記触媒の乳化溶液をシリンジで注入した。その後、エチレンガス(住友精化(株)社製)を導入して、オートクレーブ内を3MPaとし、300rpm、50℃で2時間反応させた。
ここで使用したエチレンガスは、脱水カラム(日化精工(株)製、ドライカラム HDF 300−A3)と脱酸素カラム(日化精工(株)製、GASCLEAN GC−HDF 300−M)を通して精製を行った。反応後、未反応のエチレンガスを除去しポリエチレンエマルジョン591.5gを得た。なお、得られたポリエチレンエマルジョンの粒子径は、0.6μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)、固形分濃度(SC)は10.1%であった。また、この反応では、TON=78000[mol Ethylene/mol cat.]であった。
(実施例3)オレフィン系重合用触媒の調整とエチレンの重合
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られた化合物13.8mg(26μmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(関東化学(株)製)31.2mg(112μmol)を脱水トルエン(和光純薬(株)製)1.0mlにそれぞれ溶かし15分間攪拌した。その後それぞれのトルエン溶液を混合し、さらに脱水1−ヘキセン(和光純薬(株)製)0.4mlを加えた。この触媒溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬(株)製)2.0g、純水20.1g、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)0.2gと共に超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)によって乳化した。なお、乳化の際の超音波作用時間は60秒間程度である。得られた触媒乳化液の粒子径は、0.3μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)であった。
アルゴン置換した1Lオートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ、材質SUS 316)に、ドデシル硫酸ナトリウム2g、純水500ml、トルエン50ml、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)5.2gの混合物を脱気し超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)で約5分間乳化させた溶液を仕込み、50℃に加温した。そこに、上記触媒の乳化溶液をシリンジで注入した。その後、エチレンガス(住友精化(株)社製)を導入して、オートクレーブ内を3MPaとし、300rpm、50℃で5時間反応させた。
ここで使用したエチレンガスは、脱水カラム(日化精工(株)製、ドライカラム HDF 300−A3)と脱酸素カラム(日化精工(株)製、GASCLEAN GC−HDF 300−M)を通して精製を行った。反応後、未反応のエチレンガスを除去しポリエチレンエマルジョン629.6gを得た。なお、得られたポリエチレンエマルジョンの粒子径は、0.7μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)、固形分濃度(SC)は14.5%であった。また、この反応では、TON=126000[mol Ethylene/mol cat.]であった。
(比較例1)オレフィン系重合用触媒の調整とエチレンの重合
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られた化合物14.1mg(26μmol)、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(関東化学(株)製)27.5mg(114μmol)を脱水トルエン(和光純薬(株)製)0.6mlにそれぞれ溶かし15分間攪拌した。その後それぞれのトルエン溶液を混合し、さらに脱水1−ヘキセン(和光純薬(株)製)0.4mlを加えた。この触媒溶液を、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬(株)製)51mg、純水1.9gと共に超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)によって乳化した。なお、乳化の際の超音波作用時間は15秒間程度である。得られた触媒乳化液の粒子径は、1.3μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)であった。
アルゴン置換した1Lオートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ、材質SUS 316)に、ドデシル硫酸ナトリウム2g、純水502ml、トルエン50ml、ヘキサデカン(和光純薬(株)製)5.1g、1,9−デカジエン(東京化成(株)製)5.2gの混合物を脱気し超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH−600)で約5分間乳化させた溶液を仕込み、55℃に加温した。そこに、上記触媒の乳化溶液をシリンジで注入した。その後、エチレンガス(住友精化(株)社製)を導入して、オートクレーブ内を3MPaとし、300rpm、70℃で2時間反応させた。
ここで使用したエチレンガスは、脱水カラム(日化精工(株)製、ドライカラム HDF 300−A3)と脱酸素カラム(日化精工(株)製、GASCLEAN GC−HDF 300−M)を通して精製を行った。反応後、未反応のエチレンガスを除去し固体ポリエチレン25gとポリエチレンエマルジョン470.50gを得た。なお、得られたポリエチレンエマルジョンの粒子径は、0.9μm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)、固形分濃度(SC)は11.2%であった。また、この反応では、TON=101000[mol Ethylene/mol cat.]であった。
また、実施例1〜3および比較例1で得られたPEエマルジョンの安定性について表1に示した。表1中の評価方法はつぎの通りである。×:ポリマーの凝集が確認でき、しかもエマルジョンが分離している状態、△:ポリマーの凝集は確認できるが、エマルジョンは分離していない状態、○:ポリマーの凝集は確認されず、エマルジョンは分離していない状態。
Figure 2008285629
実施例1〜3と比較例1より、本発明の製造方法を用いることによって重合後ポリエチレンがほとんど凝集することなく、安定なポリエチレンエマルジョンを製造可能であることがわかる。

Claims (12)

  1. 配位重合触媒を用いたオレフィンモノマーの乳化重合において、配位重合触媒を乳化液として用いることを特徴とするオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  2. 配位重合触媒の乳化液の粒子径が0.001〜0.5μmであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  3. 配位重合触媒乳化液調製時に界面活性剤を水100重量部に対して3〜50重量部用いることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  4. 配位重合触媒乳化液調製時に有機溶剤を水100重量部に対して1〜50重量部用いることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。

  5. 配位重合触媒乳化液調製時にエマルジョン安定化剤として常温で液状の炭化水素系化合物を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  6. 常温で液状の炭化水素系化合物が(流動)パラフィン、α―オレフィンオリゴマー、ポリブテン、エチレン−α−オレフィンオリゴマーであることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  7. 後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(1)、(2)又は(3):
    Figure 2008285629
    Figure 2008285629
    Figure 2008285629
    (式中、Mはニッケル、パラジウム又は白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砥素またはアンチモンである。 R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩またげ炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基、Yはハロゲン原子、mは1〜3である。)
    であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  8. 一般式(1)における後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(4):
    Figure 2008285629
    (式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R、R、Rは各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1、Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のふっ素化炭化水素基である。)
    で表されることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  9. 一般式(1)〜(4)で表されるオレフィン重合用触媒のEが酸素、Xがリンであることを特徴とする請求項7または8に記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  10. 後周期遷移金属錯体系のオレフィン重合用触媒が下記一般式(5)又は(6):
    Figure 2008285629
    Figure 2008285629
    (式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R,Rは各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R,Rは各々独立して水素原子、またはメチル基である。Rはハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、Rにつながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
    であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  11. オレフィンモノマーが炭素数10以下のα−オレフィンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
  12. 配位重合触媒と予めオートクレーブに仕込んでおく乳化液が異なることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のオレフィン系重合体エマルジョンの製造方法。
JP2007134430A 2007-05-21 2007-05-21 オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法 Pending JP2008285629A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134430A JP2008285629A (ja) 2007-05-21 2007-05-21 オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007134430A JP2008285629A (ja) 2007-05-21 2007-05-21 オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008285629A true JP2008285629A (ja) 2008-11-27

Family

ID=40145673

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007134430A Pending JP2008285629A (ja) 2007-05-21 2007-05-21 オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008285629A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100624027B1 (ko) 올레핀 중합 촉매용 구형 담체의 제조방법
CN102395606A (zh) 支链共聚物,组合物及其用途
JP2009536673A (ja) オレフィン重合用帯電防止剤及び当該帯電防止剤の製造法
JP2007091807A (ja) ポリオレフィン系グラフト共重合体の製造方法
JP2001525417A (ja) ルテニウム及びオスミウム触媒を含有するヘテロシクリルリガンド
KR100822610B1 (ko) 올레핀 중합 촉매용 구형 담체의 제조방법
Moore et al. Studying the activity of the MacMillan catalyst embedded within hydrophobic cross-linked polymeric nanostructures
CN1328575A (zh) 在水存在下聚合烯烃的方法
US11285469B2 (en) Method for preparation of a catalyst solution for selective 1-hexene production
JPH11505288A (ja) オレフィン性不飽和モノマーの重合体の製造
JP2008285629A (ja) オレフィン系重合体エマルジョンの製造方法
JP2005500264A (ja) 重合触媒
JP2003146958A (ja) オレフィン重合のための触媒
TW200535159A (en) Solid main catalyst component for ethylene polymerization, a process for preparing the same and a catalyst containing the same
JP2008247971A (ja) オレフィン系重合体の水性分散液の製造方法
KR102354621B1 (ko) 폴리머 유동 지수 조절제
JP2009108255A (ja) ポリオレフィン共重合体およびその製造方法
JP2008115230A (ja) ポリオレフィン系共重合体とその製造方法
JP2009108256A (ja) ポリオレフィン粒子および樹脂組成物
JP2007126616A (ja) 高周波ウェルダー性に優れた成形体
JP4896710B2 (ja) オレフィン系重合用触媒
CN112739727B (zh) 制备溶解的催化剂络合物的方法、溶解的催化剂调配物和催化烯烃聚合的方法
CN109422827A (zh) 用于溶液法乙烯聚合的主催化剂组份、其制备方法及催化剂体系
JP2008138019A (ja) ポリオレフィングラフト共重合体の製造方法および該製造法により得られた共重合体と熱可塑性樹脂を混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP2006328243A (ja) ポリオレフィン系グラフト共重合体、組成物およびその製造方法