JP2008285385A - 炭酸カルシウム用分散剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭酸カルシウムの分散安定化効果が高く、ハンドリング性に優れ、特に重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理用の分散剤として好適な炭酸カルシウム用分散剤の提供。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸(塩)と、式;CH2=C(R1)−COO−(CH2)m−(R2−O)n−R3(式中R1はH又はMt、R2はプロピレン基、R3はH又は1価の炭素数1〜6の炭化水素基、mは0〜4、nは2〜10)の(メタ)アクリル酸エステルを共重合した(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位(a)と、上記(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位(b)を有する(メタ)アクリル酸系共重合体であって、A/B=3〜15[但しA=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(a)のモル%、B={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(b)のモル%}×{構造単位(b)でのプロピレンオキサイド単位の付加モル数n}]を満足し且つ数平均分子量(Mn)が2000〜4000の(メタ)アクリル酸系共重合体からなる炭酸カルシウム用分散剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は炭酸カルシウム用分散剤に関する。より詳細には、炭酸カルシウムの分散安定化効果が高くて、炭酸カルシウムを微粒子状で良好な流動性を維持しながら分散させることができ、しかも炭酸カルシウムを水などの溶液体中に経時的な増粘を抑制しながら長期間にわたって安定に分散させることのできる炭酸カルシウム用分散剤に関する。
ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体は従来から知られていて、洗剤ビルダー、金属腐食用防止剤、土壌用減水剤、電子部品用洗浄剤、脱墨剤、漂白助剤、フィルム形成防止剤、金属イオン封鎖剤、セメント分散剤などとして用いられており、更に炭酸カルシウム用分散剤として用いることも知られている(特許文献1および2)。
しかしながら、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体からなる、特許文献1および2に記載されている従来の炭酸カルシウム用分散剤では、(メタ)アクリル酸エステルにおけるポリアルキレングリコール部分が主としてポリエチレングリコールに由来しており、近年、炭酸カルシウム分散液において特に求められている高濃度分散や微粒子状分散の際の分散安定化効果を十分に有しておらず、炭酸カルシウム分散物の経時的な増粘や炭酸カルシウムの凝集などを生じ易い。また、特許文献1および2に記載されている炭酸カルシウム用分散剤のうちで、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルにおけるポリアルキレングリコール部分がポリプロピレングリコールに由来する共重合体においては、当該共重合体の分子設計が、炭酸カルシウムの分散安定化のために十分に適合しているとは言えず、炭酸カルシウムを微粒子状で分散できず、また炭酸カルシウム分散液の経時的な増粘が大きくて品質の安定した炭酸カルシウムの分散物が得られないというのが実状である。
特開昭59−193126号公報 特公平4−69646号公報
本発明の目的は、炭酸カルシウムの分散安定化効果に優れていて、炭酸カルシウムを微粒子状で安定に分散させることのできる炭酸カルシウム用分散剤を提供することである。
そして、本発明の目的は、高濃度の炭酸カルシウム分散物(例えば炭酸カルシウムスラリーなど)、微粒子状の炭酸カルシウム分散物であっても、粘度が低くて取り扱い性に優れ、しかも経時的な増粘が少なくて、経時安定性に優れる炭酸カルシウム分散物を形成することのできる炭酸カルシウム用分散剤を提供することである。
さらに、本発明の目的は、炭酸カルシウム、特に重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用いた際に、流動性に優れる炭酸カルシウムスラリーを形成し、発熱が少なくて粉砕時のエネルギー消費を低く抑えながら湿式粉砕処理を円滑に実施することができ、しかもそれによって経時安定性および再分散性に優れる重質炭酸カルシウム分散物を円滑に得ることのできる炭酸カルシウム用分散剤を提供することである。
また、本発明の目的は、微粒子状で安定に分散し、経時的な増粘が少なくて、長期にわたって良好な分散安定性および良好な取り扱い性を維持する炭酸カルシウムの分散物を提供することである。
本発明者らは、前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた。その結果、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体からなる炭酸カルシウム用分散剤において、当該共重合体を形成するポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルとして、特定の繰り返し単位数からなるポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルを用いると共に、当該共重合体における(メタ)アクリル酸(塩)よりなる構造単位とポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルよりなる構造単位の含有比率を前記プロピレンオキサイド単位の繰り返し単位数に応じて特定の範囲にし、しかも当該共重合体の数平均分子量を低分子量域にある特定の狭い範囲にすると、炭酸カルシウムの分散安定化効果に優れる共重合体が得られることを見出した。
さらに、本発明者らは、その共重合体は、炭酸カルシウムを微粒子状で安定に分散させることができること、炭酸カルシウムの濃度が高くても粘度の低い分散物(例えば炭酸カルシウムスラリーなど)を形成すること、当該共重合体を用いて調製した炭酸カルシウム分散物は経時的な増粘が少なく、長期にわたって低い粘度を維持できることを見出した。
特に、本発明者らは、当該共重合体を分散剤として用いて重質炭酸カルシウムの湿粉砕を行うと、重質炭酸カルシウムスラリーの流動性を向上させて、発熱を抑制しながら低減されたエネルギー消費量で重質炭酸カルシウムを湿式粉砕して微粒子化でき、当該湿式粉砕処理により得られる重質炭酸カルシウム分散物(重質炭酸カルシウムスラリーなど)は、濾過性に優れ、さらに経時的な増粘が少なく、経時安定性に優れることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) (i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位(a)および下記の一般式(I);

CH2=C(R1)−COO−(CH2m−(R2−O)n−R3 (I)

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はプロピレン基、R3は水素原子または1価の炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0〜4の数およびnは2〜10の数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)を有する(メタ)アクリル酸系共重合体であって;
(ii) 下記の数式(II);

A/B=3〜15 (II)

[式中、
A=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(a)の含有割合(モル%);
B={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(b)の含有割合(モル%)}×n;
但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)におけるプロピレンオキサイド単位(R2−O)の付加モル数n、である。]
を満足し;且つ、
(iii) 数平均分子量(Mn)が2000〜4000である(メタ)アクリル酸系共重合体;
からなることを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤である。
そして、本発明は、
(2) (メタ)アクリル酸系共重合体が、水およびアルコールからなる混合溶媒中で重合してなる(メタ)アクリル酸系共重合体である前記(1)の炭酸カルシウム用分散剤;
(3) (メタ)アクリル酸系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.7以下である前記した(1)または(2)の炭酸カルシウム用分散剤;
(4) 重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用いるための分散剤である前記(1)〜(3)のいずれかの炭酸カルシウム用分散剤;および、
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの炭酸カルシウム用分散剤を用いて調製した炭酸カルシウム分散物;
である。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、少量の使用でも、炭酸カルシウムの分散安定化効果に優れていて、炭酸カルシウムを微粒子状で安定に分散させることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて炭酸カルシウム分散物を調製すると、炭酸カルシウムの濃度が高くても、また炭酸カルシウムの粒径が極めて小さくても、粘度が低くて取り扱い性に優れ、しかも経時的な増粘が少なくて、低い粘度を長期にわたって維持することができ、更に凝集のない、経時安定性に優れる炭酸カルシウム分散物を円滑に得ることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて炭酸カルシウムを分散体を調製すると、流動性、濾過性などのハンドリング性に優れる炭酸カルシウム分散物を得ることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行うと、重質炭酸カルシウム分散物(重質炭酸カルシウムスラリーなど)の流動性が向上して、撹拌翼への固形物の付着などを防止しながら、更には湿式粉砕時の発熱を抑制しながら、低減されたエネルギー消費量で、炭酸カルシウムの湿式粉砕を効率よく実施することができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行うことによって、分散粒子の粒径が小さくて濾過性に優れ、しかも経時的な増粘が少なくて経時安定性に優れ、その上再分散性に優れる、微細に粉砕された重質炭酸カルシウムの分散物を円滑に得ることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、上記した特性を活かして、製紙工業、プラスチック、ゴム、塗料、インキ、接着剤、シーラントなどに用いられる炭酸カルシウムの分散安定剤として有効に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤をなす(メタ)アクリル酸系共重合体は、
(i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩と、下記の一般式(I);

CH2=C(R1)−COO−(CH2m−(R2−O)n−R3 (I)

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はプロピレン基、R3は水素原子または1価の炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0〜4の数およびnは2〜10の数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であって、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位(a)と、上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位(b)を有する;
(ii) 下記の数式(II);

A/B=3〜15 (II)

[式中、
A=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(a)の含有割合(モル%);
B={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(b)の含有割合(モル%)}×n;
但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)におけるプロピレンオキサイド単位(R2−O)の付加モル数n、である。]
を満足する;および、
(iii) 数平均分子量(Mn)が2000〜4000である;
という要件(i)〜(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体である[以下、要件(i)〜(iii)を備える当該(メタ)アクリル酸系共重合体を「(メタ)アクリル酸系共重合体(E)」ということがある]。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)における構造単位(a)は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩およびメタクリル酸塩のうちの1種または2種以上に由来する構造単位である。そのうちでも、構造単位(a)は、アクリル酸および/またはアクリル酸塩に由来する構造単位であることが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造する際の重合性および水溶性の点から好ましい。
構造単位(a)が、(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位である場合には、塩の形態としては、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム酸、リチウム塩など)、アンモニウム塩、有機アミン塩(例えばジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩など)などを挙げることができる。そのうちでも、(メタ)アクリル酸塩の形態としては、アルカリ金属塩、特にナトリウム塩の形態であることが、製造コストと性能のバランスの点から好ましい。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤をなす(メタ)アクリル酸系共重合体(E)では、当該共重合体を構成する構造単位(a)中のカルボキシル基の全てが、未中和のカルボキシル基のままであってもよいが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を構成する構造単位(a)が有するカルボキシル基の50〜100モル%、特に70〜100モル%が塩基によって中和されて塩の形態になっていることが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の水溶性が増し、炭酸カルシウムの分散安定化効果が高くなることから好ましい。
また、pHからいうと、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の水溶液のpHが、4〜10、特に7〜9の範囲になるような割合で、構造単位(a)中のカルボキシル基が塩基によって中和されていることが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の水溶性が高くなり、炭酸カルシウムの分散安定化効果が高くなり、更に構造単位(b)中のエステル基のアルカリ加水分解を抑制できる点から好ましい。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造するための重合前および重合段階では、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の少なくとも40モル%(40〜100モル%)が未中和の状態であるようにして重合を行い、重合後に塩基性化合物を用いて(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を構成する構造単位(a)が有するカルボキシル基の20モル%以上、更には40モル%以上、特に50〜100モル%を塩の形態にすることが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造するための重合反応が円滑に進行する点から好ましい。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)における構造単位(b)を形成する上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル[以下「(メタ)アクリル酸エステル(I)」ということがある]において、R1は水素原子またはメチル基であり、そのうちでも水素原子であることが、すなわち(メタ)アクリル酸エステル(I)がアクリル酸エステルであることが、重合性および水溶性の点から好ましい。
構造単位(b)を形成する(メタ)アクリル酸エステル(I)において、R3の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基などを挙げることができ、そのうちでもR3は水素原子、メチル基、エチル基、特に水素原子またはメチル基であることが、水溶性の点から好ましい。
構造単位(b)を形成する(メタ)アクリル酸エステル(I)において、mは0〜4の範囲内の数である。そのなかでも、mは0〜2の範囲内の数であることが、水溶性の点から好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステル(I)において、nは2〜10の範囲内の数であり、3〜10の範囲内の数数であることが好ましく、4〜9の範囲内の数であることがより好ましい。
nが2よりも小さいと(メタ)アクリル酸系共重合体の界面活性が小さくなって、炭酸カルシウムへの濡れ性が悪くなり、炭酸カルシウムの分散安定化能が低下する。一方、nが10よりも大きくと(メタ)アクリル酸系共重合体の疎水性が強くなり過ぎて水溶性を保ちにくくなる。
(メタ)アクリル酸エステル(I)の製法は特に制限されないが、一般的には、一般式:R3−OH[R3は一般式(I)におけるR3と同じ]で表される水またはアルコールとプロピレンオキサイドとの付加反応によって形成される一般式:HO−(R2−O)n−R3[R2およびR3は一般式(I)におけるR2およびR3と同じ]で表される化合物(ポリプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールの片末端の水酸基が1価の炭素数1〜6の炭化水素基R3でエーテル化された化合物)と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応、前記一般式:HO−(R2−O)n−R3で表される化合物と(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応によって製造することができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル(I)は、一般式:CH2=C(R1)−COO−(CH2m−OH[式中、R1およびmは一般式(I)におけるR1およびmと同じ]で表される化合物を開始剤とするプロピレンオキサイドの開環反応によっても製造することができる。
上記した一般式:R3−OHで表される化合物としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどを挙げることができる。
また、一般式:HO−(R2−O)n−R3[R2およびR3は一般式(I)におけるR2およびR3と同じ]で表される化合物としては、例えば、ポリプロピレングリコール、片末端メトキシ化ポリプロピレングリコール、片末端エトキシ化ポリプロピレングリコール、片末端プロポキシ化ポリプロピレングリコール、片末端ブトキシ化ポリプロピレングリコール、片末端ペントキシ化ポリプロピレングリコール、片末端ヘキシロキシ化ポリプロピレングリコール、片末端シクロヘキシロキシ化ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤をなす(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)中の構造単位(a)の含有割合(A)(モル%)と、{(メタ)アクリル酸系共重合体(E)中の構造単位(b)の含有割合(モル%)}×nの値(B)(モル%)との比(A/B)が上記の数式(II)を満足する、すなわちA/B=3〜15であることが必要であり[上記の要件(ii)]、A/B=3〜13であることが好ましく、3〜11であることがより好ましく、3〜6であることが更に好ましい。
A/Bの値が3未満であると、(メタ)アクリル酸系共重合体が水溶性でなくなり、炭酸カルシウム用の分散剤として機能しなくなる。一方、A/Bの値が15を超えると、(メタ)アクリル酸系共重合体の炭酸カルシウムへの吸着力が低下し、炭酸カルシウム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経時安定性および再分散性が悪くなる。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)では、構造単位(a)の含有割合が、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の質量に基づいて70質量以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。構造単位(a)の含有割合が70質量%よりも少ないと、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)が水溶性でなくなり、炭酸カルシウムに対する分散安定化能が低下して、炭酸カルシウム分散物の経時安定性が低下し易くなる。
また、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)では、構造単位(b)の含有割合が、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の質量に基づいて30質量%未満であることが好ましく、25質量%未満であることがより好ましく、20質量%未満であることが更に好ましい。構造単位(b)の含有割合が30質量%以上であると、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)が水溶性でなくなり、炭酸カルシウムに対する分散安定化能が低下して、炭酸カルシウム分散物の経時安定性が低下し易くなる。
また、構造単位(b)を形成する(メタ)アクリル酸エステル(I)の分子量は200〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル(I)の分子量が200未満であると、(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)の界面活性が低下して炭酸カルシウムへの濡れ性が悪くなり、一方(メタ)アクリル酸エステル(I)の分子量が800を超えると(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)の疎水性が強くなり過ぎて、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)が水溶性でなくなる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤をなす(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、数平均分子量(Mn)が2000〜4000であることが必要であり[上記要件(iii)]、2000〜3000であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸系共重合体の数平均分子量(Mn)が2000未満であると、炭酸カルシウムへの経時的な吸着性が低くなり、炭酸カルシウム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経時安定性が低下する。一方、(メタ)アクリル酸系共重合体の数平均分子量(Mn)が4000を超えると、炭酸カルシウム粒子間の結合(架橋)を引き起こし、その結果炭酸カルシウム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経時的な増粘を引き起こすので望ましくない。
また、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で表される分子量分布(Mw/Mn)が、2.7以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.4以下であることが更に好ましい。(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の分子量分布(Mw/Mn)が2.7を超えると、炭酸カルシウムへの経時的な吸着性の低い低分子量成分の量が増加し、また同時に炭酸カルシウム粒子同士の結合(架橋)を引き起こす高分子量成分の量も増加することになり、その結果として炭酸カルシウム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経時的な増粘を引き起こし易くなる。
ここで、本明細書における(メタ)アクリル酸系共重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ポリアクリル酸を基準物質とする水系のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により求められる数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を意味し、その具体的な測定方法は以下の実施例に記載するとおりである。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤をなす(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、(メタ)アクリル酸および/またはその塩に由来する構造単位(a)と(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)のみからなっていてもよいし、または上記した要件(i)〜(iii)を満足し且つ本発明の効果を損なわない限りは、構造単位(a)および構造単位(b)と共に、他の共重合性単量体に由来する構造単位を必要に応じて少量[通常(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の全質量に基づいて10質量%以下の割合]含有していてもよい。
その際の他の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸類、スルホン酸基含有ビニル単量体、リン酸基含有ビニル単量体、リン酸エステル基含有ビニル単量体などの1官能性単量体;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルサッカロースなどの1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体などを挙げることができる。
より詳細には、上記した(メタ)アクリル酸アルキル類の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ω−ヒドロキシポリアルキレングリコール(n=2〜30)、(メタ)アクリル酸ω−ヒドロキシポリカプロラクトンなどを挙げることができる。
(メタ)アクリルアミドアルキルアルカンスルホン酸類の具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドブタンスルホン酸などを挙げることができる。
スルホン酸基含有単量体の具体例としては、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、(メタ)アリルオキシ2−ヒドロキシプロピルスルホン酸、(メタ)アクリル酸3−スルホプロピル、イタコン酸ビス(3−スルホプロピル)などを挙げることができる。
リン酸基含有ビニル単量体の具体例としては、モノ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェートなどを挙げることができる。
リン酸エステル基含有ビニル単量体の具体例としては、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジメチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジエチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジプロピル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、上記した他の共重合性単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を含有することができる。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の製造法は特に制限されず、溶液重合法、水溶液重合法、イオン重合法、高温高圧重合法、逆相懸濁重合法などにより製造することができるが、そのうちでも溶液重合法、水溶液重合法、または160℃以下での高温高圧重合法が好ましく採用される。
重合操作および分子量の調整が容易でしかも(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を安価に製造できる点から、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、ラジカル重合開始剤を用いて製造することが好ましい。
特に、水およびアルコールからなる混合溶媒中に、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステル(I)および必要に応じて他の共重合性単量体を溶解して、均一系で溶液重合して(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造することが、共重合性の点から好ましい。
水との混合溶媒にして用いるアルコールとしては、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステル(I)および必要に応じて用いる他の共重合性単量体の溶解力が高く、しかも重合後に減圧蒸留などによって簡単に除去できる比較的低沸点のアルコールが好ましく用いられる。そのようなアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどを挙げることができる。そのうちでも、重合温度を比較的高く保つことができ、しかも重合後に留去し易いという点から、沸点が75〜100℃の範囲にあるエチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールがより好ましく用いられ、汎用性の点からエチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが更に好ましく用いられる。
水およびアルコールからなる混合溶媒における両者の割合は、質量比で、水/アルコール=95/5〜5/95であることが好ましく、70/30〜30/70であることがより好ましい。水とアルコールの合計質量に基づいて、水の割合が5質量%未満であると(アルコールの割合が95質量%を超えると)、(メタ)アクリル酸(塩)の溶解性が不十分になり、一方水の割合が95質量%を超えると(アルコールの割合が5質量%未満であると)、(メタ)アクリル酸エステル(I)の溶解性が不十分になり、いずれの場合も、目的とする(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を円滑に製造されにくくなる。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の製造に用いるラジカル重合開始剤としては、一般に用いられている過酸化物系のラジカル重合開始剤を用いることができる。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、過酸化水素などの水溶性過酸化物;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−n−ジイソプロピルヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどのパーオキシエステル類、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類、ジベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイドなどの油溶性の過酸化物などを挙げることができる。
上記した過酸化物系のラジカル重合開始剤は1種類のみを使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
上記した過酸化物系ラジカル重合開始剤のうちで、分子量の制御が行い易い、分解温度の低い過酸化水素や過硫酸塩類系の過酸化物が好ましく用いられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は特に制限されないが、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の製造に用いる全単量体の合計質量に基づいて、0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%の割合で使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量が少なすぎると、共重合率が低下し、一方多すぎると重合後に(メタ)アクリル酸系共重合体(E)に残留して、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の安定性を損なったあり、分散剤として性能に悪影響を及ぼすことがある。
また、場合によっては、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、水溶性レドックス系重合開始剤を使用して製造してもよい。レドックス系重合開始剤としては、酸化剤(例えば上記した過酸化物)と、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、ホルムアルデヒド−スルホキシル酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウムなどの還元剤や、鉄ミョウバン、カリミョウバンなどの組み合わせを挙げることができる。レドックス系重合開始剤を用いて(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造する場合は、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の製造に用いる全単量体の合計質量に基づいて0.05〜8質量%、特に0.5〜5質量%程度の割合で用いることが好ましい。但し、レドックス系重合開始剤は、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)中に塩副生成物を生じ易いので、その使用量を最小にすることが好ましい。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の製造に当っては、分子量を調整するために、連鎖移動剤を重合系に適量添加してもよく、使用可能な連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酢酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、チオグリセロール、チオリンゴ酸などを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造する際の重合温度は、50〜150℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。重合温度が50℃よりも低いと共重合率が低下し易い。一方、150℃よりも高いと、(メタ)アクリル酸エステル(I)の熱分解、生成した(メタ)アクリル酸系共重合体(E)の熱分解などが生ずる恐れがある。
重合時間は、3〜25時間、特に3〜10時間程度が好ましい。
(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を製造するための上記した重合反応は、前記したように、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の40モル%以上、更には70〜100モル%、特に90〜100モル%が中和されていないカルボキシル基のままの状態で行うことが、均一に重合するため好ましい。
上記で得られる、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を含む溶液から蒸留、真空蒸留、乾燥などによって有機溶媒を除去した後、塩基性化合物で中和して(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を構成する構造単位(a)が有するカルボキシル基を塩の形態にして、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を水溶化する。中和の程度は、構造単位(a)が有するカルボキシル基の50〜100モル%、特に70〜100モル%が塩の形態になるようにして行う。
中和に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類などを挙げることができ、これらのうちでも水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、特に水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
上記で得られる水溶化した(メタ)アクリル酸系共重合体(E)は、炭酸カルシウム用分散剤として、単独でそのまま用いてもよいし、水やアルコールなどの溶媒に溶解して用いてもよいし、または各種塩を添加して用いてよい。添加し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩などの3価金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミンの塩などを挙げることができる。
また、(メタ)アクリル酸系共重合体(E)を炭酸カルシウム用分散剤として用いるに当っては、必要に応じて、他のエマルジヨン系ラテックス、粘性調整剤、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤などを配合することもできる。これらを配合する際は、溶媒として水が好ましく用いられる。
上記の要件(i)〜(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体(E)よりなる本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウムの分散剤として有効に使用することができ、特に重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理において好適に用いられる。
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例において、「%」および「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を示す。
また、以下の例において、(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定、並びに(メタ)アクリル酸系共重合体の炭酸カルシウムに対する分散特性の測定または評価は次のようにして行った。
[1](メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
以下の実施例及び比較例で得られた中和後の(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶液から採取して、濃度を0.4wt/vol%に調整した試料100μLを、カラム[東ソー(株)製のカラム「TSKgel G3000PWXL−TSKgel G4000PWXL−TSKgel G6000PWXL」(各々長さ300mm、内径7.8mm)の3本を直列に連結したもの]に注入し、カラム温度35℃にて、溶離液[0.1M NaCl、0.1M リン酸緩衝液(リン酸1N 2水和物7.70g、リン酸2N 12水和物36.3g、NaCl8.63g、脱イオン水1476.4g)]を流速0.8mL/分でカラムに通して、カラムに吸着した成分を溶離させる水系のゲル浸透ククロマトグラフ(GPC)法を採用して、(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。その際に、(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)およびピークトップ分子量(Mp)が明らかなポリアクリル酸ナトリウムを基準物質として用いて予め作成しておいた検量線から算出した。
[2]炭酸カルシウムに対する分散特性
(a)重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理:
分散機[サンドグラインダー(五十嵐機械製)]に、重質炭酸カルシウム[丸尾カルシウム社製「No.A 重炭」(42メッシュ残渣1%以下、100メッシュ残渣90%以上)]900g、アルミナビーズ(平均直径1.0mm;粉砕媒体)2970g、以下の実施例または比較例で製造された中和された(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶液を重質炭酸カルシウム900gに対して(メタ)アクリル酸系共重合体固形分として6.75g(重質炭酸カルシウムに対して0.75質量%)および蒸留水を充填して、重質炭酸カルシウムの濃度が75質量%の重質炭酸カルシウムスラリーを分散機内で調製した後、分散機内の撹拌翼を1000rpmの回転速度で回転させて50分間湿式粉砕処理を行った。
(b)湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシウムスラリーの流動性の評価:
上記(a)の湿式粉砕処理時に、重質炭酸カルシウムスラリーの流動性を以下の評価基準にしたがって評価した。
◎:粉砕初期から粉砕後期を通して、分散機の撹拌翼への付着物がなく、流動性に極めて優れている。
○:粉砕初期から粉砕後期を通して、分散機の撹拌翼への付着物が少なく、流動性に優れている。
△:粉砕初期から粉砕後期を通して(特に粉砕初期に)、分散機の撹拌翼への付着物がかなりあり、流動性(特に粉砕初期における流動性)が低い。
(c)重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理の終了直後の発熱:
上記(a)の湿式粉砕処理の終了直後に重質炭酸カルシウムスラリーの温度を測定して、発熱の多少を評価した。
粉砕のために分散機に投入した媒体(アルミナビーズ)と重質炭酸カルシウムとの間の摩擦が大きいと発熱量が多くなる。発熱量が少ないほど、摩擦が少なくて、撹拌翼を1000rpmで回転させるためのエネルギー量が少なくてすみ、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕を良好なエネルギー効率で実施できることを意味する。
なお、湿式粉砕処理を行う直前の重質炭酸カルシウムスラリーの温度は20℃に調整しておいた。
(d)重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭酸カルシウム粒子の平均粒径:
上記(a)の湿式粉砕処理によって得られた湿式粉砕後の重質炭酸カルシウムスラリーを光散乱強度が適切になるように大量の脱イオン水に分散させ、それを試料として用いて、レーザー光散乱型粒度分布計(堀場製作所製「LA−920型」)を使用して、重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭酸カルシウム粒子の平均粒径を測定した。
(e)重質炭酸カルシウムスラリーの濾過性:
上記(a)の湿式粉砕処理によって得られた湿式粉砕後の重質炭酸カルシウムスラリーの全量を試料として用いて、それを、100目濾布を取り付けた円筒形の濾過装置(濾過部分は直径25cm)に平らに注ぎ込み、濾過開始から5分が経過時点での濾過量(g)を測定して、下記の評価基準に従って濾過性を評価した。
◎:試料の100質量%が濾布を通過し、濾過性に極めて優れている。
○:試料の80質量%以上100質量%未満が濾布を通過し、濾過性に優れている。
△:濾布の通過量が試料の80質量%未満であり、濾過性に劣っている。
(f)重質炭酸カルシウムスラリーの経時安定性:
上記(e)で得られた、100目濾布を通過した濾過物を試料として用い、当該試料中の重質炭酸カルシウムの濃度が75質量%よりも高くなっている場合は蒸留水で希釈して重質炭酸カルシウムの濃度が75質量%の試料を調製した。この試料を温度25℃で静置した状態に保ち、当初(試料の調製直後)、静置1日後、静置7日後の粘度を、BM型粘度計(トキメック社製)を使用して、温度25℃で、#3ローターまたは#4ローターを使用(#3ローターは試料の粘度が1000mPa・s以下のときに、#4ローターは試料の粘度が1000〜1000mPa・sのときに使用)して、回転速度60rpmで重質炭酸カルシウムスラリーの粘度を測定した。また、試料の粘度が10000mPa・s以上のときは、#4ローターを使用して、回転速度30rpmで粘度を測定した。
《実施例1》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E1の製造]
(1) 5つ口フラスコに、イソプロパノール239.0gおよび脱イオン水88.1gを充填し、フラスコの内容物を260rpmで回転撹拌しながら、内温を81℃まで昇温した。内温が一定になった後、過硫酸アンモニウム0.16gおよび脱イオン水2.72gを一度に添加し、その一分後から、アクリル酸302.3gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=3、末端水酸基(R3=H)]33.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)と、過硫酸アンモニウム8.0gと脱イオン水42.3gからなる重合開始剤水溶液(合計50.3g)を、それぞれ4時間かけて連続的に供給した。前記単量体混合水溶液および重合開始剤水溶液の連続供給の開始時には、フラスコの内温を81℃に設定し、連続供給が終了する4時間後にフラスコの内温が85℃になるように徐々に昇温した。連続供給終了後、内温を85℃に保って熟成を1.5時間行った後に、内温が50℃になるまで冷却した。反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、圧力制御装置および真空ポンプによりフラスコ内の圧力を80mmHgに制御してイソプロパノール239gを連続的に留去した。イソプロパノールとの共沸で失われた量の脱イオン水をフラスコに追加した。
(3) 次に、氷水でフラスコを冷却し、pHを測定しながら、フラスコの内容物((メタ)アクリル酸系共重合体水溶液)のpHが7.5となるまで48%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した。続いて、フラスコの内容物(アクリル系共重合体水溶液)を155℃で45分間加熱して秤量を行った後、加熱後の水溶液中のアクリル系共重合体量を測定し、測定値に基づいて脱イオン水を加えて、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(4) 上記(3)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E1」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6200、数平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.30であった。
《実施例2》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E2の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を194.6gに変え、脱イオン水の量を213.3gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸226.9gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端水酸基(R3=H)]46.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計357.4g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E2」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6000、数平均分子量(Mn)=2600、分子量分布(Mw/Mn)=2.31であった。
《実施例3》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E3の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を194.6gに変え、脱イオン水の量を213.3gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸226.9gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端水酸基(R3=H)]46.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計357.4g)に変え、また単量体混合水溶液と同時に連続的に供給する重合開始剤水溶液を過硫酸アンモニウム5.3gと脱イオン水42.3gからなる重合開始剤水溶液(合計47.6g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E3」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7400、数平均分子量(Mn)=2900、分子量分布(Mw/Mn)=2.55であった。
《実施例4》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E4の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を181.0gに変え、脱イオン水の量を146.1gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸269.3gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=9、末端水酸基(R3=H)]66.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.8g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E4」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7200、数平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.57であった。
《実施例5》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E5の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を285.5gに変え、脱イオン水の量を42.1gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸260.8gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=5、末端水酸基(R3=H)]73.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計418.4g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E5」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=8100、数平均分子量(Mn)=3000、分子量分布(Mw/Mn)=2.70であった。
《実施例6》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E6の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を181.0gに変え、脱イオン水の量を146.1gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸269.3gとメトキシ化ポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=9、末端メトキシ基(R3=CH3)]66.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.8g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E6」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6200、数平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.21であった。
《実施例7》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E7の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.0gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸302.3gとメトキシ化ポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=2、末端メトキシ基(R3=CH3)]33.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E7」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6800、数平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.43であった。
《実施例8》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体E8の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を116.2gに変え、脱イオン水の量を292.0gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸225.9gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端水酸基(R3=H)]46.3gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計356.2g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体E8」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7300、数平均分子量(Mn)=2500、分子量分布(Mw/Mn)=2.92であった。
《試験例1》[(メタ)アクリル酸系共重合体E1〜E8の性能評価]
実施例1〜8で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、上記[2]の(a)に記載した方法で重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行った。
そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシウムスラリーの流動性を上記[2]の(b)の方法で評価すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の発熱(重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を上記[2]の(c)の方法で調べた。
また、当該湿式粉砕処理により得られた重質炭酸カルシウムスラリーについて、当該スラリーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の平均粒径を上記[2]の(d)の方法で測定し、当該スラリーの濾過性を上記[2]の(e)の方法で評価し、更に当該スラリーの経時安定性を上記[2]の(f)の方法で評価した。
それらの結果を、下記の表1に示す。
《比較例1》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C1の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を196.0gに変え、脱イオン水の量を49.4gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸310.0gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=5、末端水酸基(R3=H)]82.4gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計476.4g)に変えた以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C1」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=14500、数平均分子量(Mn)=6000、分子量分布(Mw/Mn)=2.42であった。
《比較例2》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C2の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.0gに変えると共に、単量体混合水溶液をアクリル酸312.4gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=12、末端水酸基(R3=H)]23.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)にて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C2」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7700、数平均分子量(Mn)=3000、分子量分布(Mw/Mn)=2.57であった。
《比較例3》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C3の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.1gにし、単量体混合水溶液をアクリル酸319.1gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=3、末端水酸基(R3=H)]16.8gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C3」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6000、数平均分子量(Mn)=2500、分子量分布(Mw/Mn)=2.40であった。
《比較例4》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C4の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水溶液をアクリル酸228.4gとポリプロピレングリコールモノアクリレート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端水酸基(R3=H)]107.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリプロピレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)と同様にしてイソプロパノール239gを連続的に留去した後、実施例1の(3)と同様にして水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和処理したが、生成した(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C4」ということがある)が水溶性にならなかったため、分子量の測定ができず、さらに炭酸カルシウム用分散剤として用いることができなかった。
《比較例5》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C5の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水溶液をアクリル酸278.8gとポリエチレングリコールモノアクリレート(ポリエチレンオキサイドの付加モル数n=10、末端水酸基)57.1gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリエチレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C3」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6600、数平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.36であった。
《比較例6》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C6の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を239.0gにし、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水溶液をアクリル酸272.1gとポリエチレングリコールモノアクリレート(ポリエチレンオキサイドの付加モル数n=9、末端水酸基)63.8gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリエチレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C3」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6100、数平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.26であった。
《比較例7》[炭酸カルシウム用分散剤である(メタ)アクリル酸系共重合体C7の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに最初に加えるイソプロパノールの量を143.4gに変え、脱イオン水の量を88.0gに変え、単量体混合水溶液をアクリル酸299.6gとポリエチレングリコールモノアクリレート(ポリエチレンオキサイドの付加モル数n=4.5、末端水酸基)36.3gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、未反応のアクリル酸およびポリエチレングリコールモノアクリレートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重合体C3」ということがある)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6500、数平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.41であった。
《試験例2》[(メタ)アクリル酸系共重合体C1〜C7の性能評価]
比較例1〜7で得られた固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用いて、上記[2]の(a)に記載した方法で重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行った。
そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシウムスラリーの流動性を上記[2]の(b)の方法で評価すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の発熱(重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を上記[2]の(c)の方法で調べた。
また、当該湿式粉砕処理により得られた重質炭酸カルシウムスラリーについて、当該スラリーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の平均粒径を上記[2]の(d)の方法で測定し、当該スラリーの濾過性を上記[2]の(e)の方法で評価し、更に当該スラリーの経時安定性を上記[2]の(f)の方法で評価した。
それらの結果を、下記の表2に示す。
Figure 2008285385
Figure 2008285385
上記の表1の結果にみるように、実施例1〜8の炭酸カルシウム用分散剤は、上記した要件(i)〜(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体E1〜E8よりなっていることによって、炭酸カルシウムの分散能に優れている。
具体的には、要件(i)〜(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体E1〜E8よりなる炭酸カルシウム用分散剤を添加して重質炭酸カルシウムを湿式粉砕処理した実施例1〜8では、当該(メタ)アクリル酸系共重合体E1〜E8の優れた分散安定化効果によって、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理時に、重質炭酸カルシウムスラリーの流動性を向上させて撹拌翼への付着を防止しながら、粉砕媒体として用いたアルミナビーズと重質炭酸カルシウムとの間の過度の摩擦を防ぎ、それによって湿式粉砕時の発熱を抑制しながら重質炭酸カルシウムを、微細な粒子状に良好なエネルギー効率で湿式粉砕することができる。
しかも、要件(i)〜(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体E1〜E8よりなる炭酸カルシウム用分散剤を用いて湿式粉砕処理して得られる実施例1〜8の重質炭酸カルシウムスラリーは、濾過性能に優れており、その上経時的な増粘が少なく、経時安定性に優れている。
それに対して、比較例1の(メタ)アクリル酸系共重合体C1は、数平均分子量が6000であって要件(iii)を備えていないことにより、当該比較例1の(メタ)アクリル酸系共重合体C1を炭酸カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、重質炭酸カルシウムスラリーの温度上昇が実施例1〜8に比べて高く、湿式粉砕処理時に摩擦が大きくエネルギー効率が悪い。しかも、(メタ)アクリル酸系共重合体C1を分散剤として用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、経時的な増粘が著しく、経時安定性に大きく劣っている。
また、比較例2の(メタ)アクリル酸系共重合体C2は、(メタ)アクリル酸エステル(I)におけるプロピレンオキサイドの付加モル数nが12であって、要件(ii)を備えていないことにより、当該比較例2の(メタ)アクリル酸系共重合体C2を炭酸カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、湿式粉砕処理後の重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭酸カルシウムの粒径が実施例1〜8に比べて大きい。しかも、(メタ)アクリル酸系共重合体C2を分散剤として用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、経時的な増粘が大きく、保存安定性に劣っている。
また、比較例3の(メタ)アクリル酸系共重合体C3は、本発明で規定する上記したA/Bの値が21.6であって、要件(ii)を備えていないことにより、当該比較例3の(メタ)アクリル酸系共重合体C3を炭酸カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、重質炭酸カルシウムスラリーの温度上昇が実施例1〜8に比べてかなり高く、湿式粉砕処理時に摩擦が大きくエネルギー効率が悪い。しかも、(メタ)アクリル酸系共重合体C3を分散剤として用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、経時的な増粘が著しく、保存安定性に大きく劣っている。
さらに、比較例4の(メタ)アクリル酸系共重合体C4は、本発明で規定する上記したA/Bの値が2.1であって、要件(ii)を備えていないことにより、当該比較例4の(メタ)アクリル酸系共重合体C4は、水酸化ナトリウム中和しても水溶性にならず、炭酸カルシウム用分散剤としては使用できない。
また、比較例5〜7の(メタ)アクリル酸系共重合体C5〜C7は、(メタ)アクリル酸(塩)と共重合した(メタ)アクリル酸エステルが、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルであって、ポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルではなく、上記の要件(i)を備えていないことにより、当該比較例5〜7の(メタ)アクリル酸系共重合体C5〜C7を炭酸カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、重質炭酸カルシウムスラリーの流動性に劣っていて、撹拌翼に付着し、しかも重質炭酸カルシウムスラリーの温度上昇が実施例1〜8に比べてかなり高く、湿式粉砕処理時に摩擦が大きくエネルギー効率が悪い。その上、(メタ)アクリル酸系共重合体C5〜C7を分散剤として用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、濾過性に劣り、取り扱い性が不良である。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、少量の使用でも、炭酸カルシウムの分散安定化効果に優れていて、炭酸カルシウムを微粒子状で、経時的な増粘や凝集を生ずることなく、長期にわたって液体媒体中に安定に分散させることができる。
本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて炭酸カルシウム分散物を調製すると、炭酸カルシウムの濃度が高くても、また炭酸カルシウムの粒径が極めて小さくても、流動性や濾過性などのハンドリング性に優れ、しかも粘度が低くて取り扱い性に優れ、その上経時的な増粘や凝集が生じず、低い粘度を長期にわたって維持することができ、経時安定性に優れる炭酸カルシウム分散物を円滑に得ることができる。
特に、本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行うと、重質炭酸カルシウム分散物(重質炭酸カルシウムスラリーなど)の流動性が向上して、撹拌翼への固形物の付着などを防止しながら、更には湿式粉砕時の発熱を抑制しながら、低減されたエネルギー消費量で、分散安定性、経時安定性に優れる炭酸カルシウム水性スラリーを円滑に得ることができる。
上記の優れた特性を活かして、本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、製紙工業、プラスチック、ゴム、塗料、インキ、接着剤、シーラントなどで用いられる炭酸カルシウムの分散剤として有効に使用することができる。

Claims (5)

  1. (i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位(a)および下記の一般式(I);

    CH2=C(R1)−COO−(CH2m−(R2−O)n−R3 (I)

    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はプロピレン基、R3は水素原子または1価の炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは0〜4の数およびnは2〜10の数である。)
    で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)を有する(メタ)アクリル酸系共重合体であって;
    (ii) 下記の数式(II);

    A/B=3〜15 (II)

    [式中、
    A=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(a)の含有割合(モル%);
    B={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(b)の含有割合(モル%)}×n;
    但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)におけるプロピレンオキサイド単位(R2−O)の付加モル数n、である。]
    を満足し;且つ、
    (iii) 数平均分子量(Mn)が2000〜4000である(メタ)アクリル酸系共重合体;
    からなることを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤。
  2. (メタ)アクリル酸系共重合体が、水およびアルコールからなる混合溶媒中で重合してなる(メタ)アクリル酸系共重合体である請求項1に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
  3. (メタ)アクリル酸系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.7以下である請求項1または2に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
  4. 重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用いる分散剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤を用いて調製した炭酸カルシウム分散物。
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