以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図23は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は超音波診断装置の構成を示すブロック図、図2は体表検出用コイルを使用例で模式的に示す説明図、図3は体腔内接触プローブを示す側面図、図4は画像処理装置の構成を示すブロック図、図5は参照画像記憶部内に記憶される参照画像データを示す説明図、図6はボクセル空間を示す説明図、図7はキーボードのキー配列を示す説明図、図8は位置・配向データを表すために送信アンテナ上に原点を設定した直交基底を示す説明図、図9は被検体側の体腔内特徴点をボクセル空間へ写像する様子等を示す説明図、図10は画像指標作成回路により画像指標データが作成される様子を示す説明図、図11は挿入形状作成回路により作成される挿入形状データが作成される様子を示す説明図、図12は3次元人体画像データを示す説明図、図13は合成回路により画像指標データと挿入形状データとが合成メモリ内のボクセル空間に埋められていく様子を示す説明図、図14は被検体の腹側から観察した場合の3次元ガイド画像データを示す説明図、図15は超音波断層像と同じ向きから観察した場合の3次元ガイド画像データを示す説明図、図16は表示装置に表示される3次元ガイド画像及び超音波断層像を示す図、図17は全体的な処理内容を示すフローチャート、図18は図17における参照画像上での体表特徴点、体腔内特徴点指定処理の具体的な処理内容を示すフローチャート、図19は図17における補正値算出処理の具体的な処理内容を示すフローチャート、図20は図19における処理の説明図、図21は図17における超音波断層像・3次元ガイド画像作成/表示処理の具体的な処理内容を示すフローチャート、図22は3次元人体画像データの回転・移動を示す説明図、図23はキーの組み合わせと参照画像データとの対応を示す説明図である。
先ず、本実施の形態における超音波診断装置の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態の超音波診断装置1は、超音波プローブとしての電子ラジアル走査型の超音波内視鏡2と、光学観察装置3と、超音波内視鏡2からの超音波信号に基づき超音波断層像を作成する超音波断層像作成部としての超音波観測装置4と、超音波断層像の位置及び/又は配向を検出する検出部としての位置配向算出装置5と、送信アンテナ6と、体表検出用コイル7と、体腔内接触プローブ8と、A/Dユニット部9と、画像処理装置11と、マウス12と、キーボード13と、表示部としての表示装置14とを備え、これらは信号線で接続されている。
超音波診断装置1の外部には、X線3次元ヘリカルCT装置(X-ray 3 dimentional computer tomography system)15、3次元MRI装置(3 dimentional magnetic resonance imaging system)16、それらを接続した光通信やADSL等の高速のネットワーク17がある。X線3次元ヘリカルCT装置15と3次元MRI装置16とは、ネットワーク17経由で本超音波診断装置1の画像処理装置11と接続している。
超音波内視鏡2は、食道、胃、十二指腸などの体腔に挿入されて用いられるよう、先端のステンレス等の硬質な材料で構成された硬性部21と、硬性部21より後端側に可撓性のある材料で構成された長尺の可撓部22と、可撓部22より後端側に硬質な材料で構成された操作部23とからなる。尚、硬性部21と可撓部22は、体腔内に挿入される挿入部を形成する。
硬性部21には、カバーガラスで形成された光学観察窓24が設けてあり、この光学観察窓24の内側に光学像を結ぶ対物レンズ25と、その結像位置に配置された撮像素子として、例えばCCD(charge coupled device)26とが設けてある。また、この光学観察窓24に隣接して、体腔内に照明光を照射する図示しない照明光照射窓(照明窓)が設けられている。
CCD26は、光学観察装置3と信号線27で接続されている。図示しない照明光照射窓は照明光を照射し、体腔内を照明するよう構成されている。体腔表面の像は、光学観察窓24から対物レンズ25を経由してCCD26に結像され、CCD26からのCCD信号は、信号線27を経由して光学観察装置3へ出力される。
硬性部21は、例えば円柱状の先端部分が短冊状に細かく切断され、挿入軸の周囲に環状でアレイ状に配列させた超音波振動子群が設けてあり、この超音波振動子群で超音波振動子アレイ29が形成されている。超音波振動子アレイ29を構成する各超音波振動子29aは、それぞれ信号線30を介して操作部23経由で超音波観測装置4と接続されている。超音波振動子アレイ29の環の中心は、後述するラジアル走査による超音波ビームの旋回中心である。
ここで、硬性部21に固定した正規直交基底(各方向の単位ベクトル)V、V3、V12を図1のように定義する。Vは硬性部21の長手方向(挿入軸方向)と平行なベクトルであり、後述するように、超音波断層像の法線方向ベクトルとなる。このベクトルVに直交するV3は3時方向ベクトル、V12は12時方向ベクトルである。
硬性部21内には、超音波振動子アレイ29に対する画像位置配向検出用素子としての画像位置配向検出用コイル31が超音波振動子アレイ29の環の中心のごく近傍に固定して設けてある。画像位置配向検出用コイル31は、ベクトルV及びV3の2つの方向(軸)を指向するように、2軸方向に巻かれたコイルが一体に形成され、ベクトルV及びV3の両方向を検出できるように設定されている。
可撓部22内には、超音波内視鏡2における挿入部を構成する可撓部22の挿入形状を検出するため、挿入軸に沿って、例えば一定間隔で複数の挿入形状検出用コイル32が設けてある。図1に示すように、挿入形状検出用コイル32は、1軸方向に巻かれたコイルで、その巻線軸方向が可撓部22の挿入軸方向と一致するよう可撓部22内部に固定されている。
尚、硬性部21の位置と配向とは、画像位置配向検出用コイル31の位置から検出できる。また、可撓部22の先端付近には、湾曲自在の湾曲部が設けられることが多く、この湾曲部付近のみに複数の挿入形状検出用コイル32を設け、超音波内視鏡2の挿入部の先端側部分の挿入形状を検出するようにしても良い。
本実施の形態においては、複数の挿入形状検出用コイル32を採用することにより、磁場を利用して挿入形状の検出を行う。これにより、挿入形状検出のために、術者及び患者(被検体)が放射線被曝を受けないようにできる。
位置配向算出装置5は、画像位置配向検出用コイル31の位置及び配向及び複数の挿入形状検出用コイル32の位置等を検出するものであり、送信アンテナ6と、複数のA/Dユニット9a,9b,9cを有するA/Dユニット9と、画像処理装置11と信号線で接続されている。このうち、位置配向算出装置5と画像処理装置11とは、例えばRS−232C規格のケーブル33で接続されている。
送信アンテナ6は、巻線軸の配向の異なる複数の図示しない送信コイルにより構成され、これらの送信コイルは、例えば直方体の筐体の中に一体に収納されている。複数の送信コイルは、それぞれ位置配向算出装置5に接続されている。
A/Dユニット9a,9b,9cの各々は、入力されるアナログ信号を増幅する図示しないアンプと、増幅された信号をサンプリングしてデジタルデータへ変換する図示しないアナログデジタル変換回路とを備えている。A/Dユニット9aは、画像位置配向検出用コイル31と、複数の挿入形状検出用コイル32の各々と、個別に信号線34で接続されている。A/Dユニット9bは、長尺の体腔内接触プローブ8と信号線35で接続されている。A/Dユニット9cは、複数の体表検出用コイル7の各々と個別に信号線36で接続されている。
図2に示すように、体表検出用コイル7は、各々1軸方向に巻かれた4個のコイルからなり、各々のコイルがテープ、ベルト、バンドなどで、被検体37の体表、具体的には腹部体表の特徴のある点(以下、単に体表特徴点)に着脱可能に固定され、その体表特徴点の磁場を用いた位置検出に利用される。通常の上部内視鏡検査では、被検体37は左側を下にしてベッド38上で横になるいわゆる左側臥位の姿勢をとって、内視鏡を口から挿入されるので、図2もその姿勢で描いている。
本実施の形態では、体表特徴点を、骨格上の特徴のある箇所「剣状突起」(xiphoid process)、骨盤(pelvis)の左側の「左上前腸骨棘」(left anterior superior iliac spine)、骨盤の右側の「右上前腸骨棘」(right anterior superior iliac spine)、左右の上前腸骨棘の中間で脊椎上の「腰椎椎体棘突起」(spinous process of vertebral body)の4点にとって説明する。この4点は術者が触診で位置を特定できる。また、この4点は同一平面状になく、剣状突起を原点として他の特徴点へ向かう3本のベクトルを基本ベクトルとする斜交座標系(un-orthogonal reference frame)を形成する。この斜交座標系を図2に太線で示す。
図3は体腔内接触プローブ8を示す。体腔内接触プローブ8は、可撓性のある材料で構成された外筒41を有する。この外筒41内におけるその先端には、体腔内検出用コイル42が固定して設けられ、この外筒41の後端にはコネクタ43が設けてある。
図3に示すように、体腔内検出用コイル42は、1軸方向に巻かれたコイルで、体腔内接触プローブ8の先端に固定されている。体腔内検出用コイル42は、その巻線軸方向が体腔内接触プローブ8の挿入軸方向と一致するよう固定されている。そして、この体腔内検出用コイル42は、体腔内接触プローブ8の先端が接触された体腔内の関心部位等の位置検出に利用される。
図1に示すように、超音波内視鏡2は、操作部23から可撓部22を経て硬性部21にかけて、操作部23に第1の開口として、鉗子等を挿入する処置具挿入口(以下では、簡単化のため鉗子口と略記)44を備え、硬性部21に第2の開口としての突出口45を備えた、管状の処置具チャンネル46が設けてある。
この処置具チャンネル46は、体腔内接触プローブ8を鉗子口44から挿通し、突出口45から突出できるよう構成されている。突出口45の開口方向は、体腔内接触プローブ8が突出口45から突出したときに、体腔内接触プローブ8が光学観察窓24の光学視野範囲の内に入るよう向けられている。
図4に示すように、画像処理装置11は、マッチング回路51と、画像指標作成回路52と、挿入形状作成回路53と、通信回路54と、参照データを保持する参照データ保持部としての参照画像記憶部55と、補間回路56と、3次元人体画像作成回路57と、合成回路58と、回転変換回路59と、異なる2つの視線方向の3次元ガイド画像を作成するガイド画像作成部としての3次元ガイド画像作成回路60(以下、3次元ガイド画像作成回路Aと3次元ガイド画像作成回路Bと記載)と、混合回路61と、表示回路62と、制御回路63とを有している。通信回路54は、大容量で高速の通信モデムを内部に設けており、X線3次元ヘリカルCT装置15と3次元MRI装置16とネットワーク17経由で接続している。
マッチング回路51は、位置配向算出装置5から出力される位置・配向データが入力され、後述するように、直交座標軸0-xyzにおいて算出された位置・配向データを、所定の変換式に従って写像し、直交座標軸O'-x'y'z'における新たな位置・配向データを算出する。そして、マッチング回路51は、この新たな位置・配向データを、位置・配向写像データとして、画像指標データを作成する画像指標作成回路52と、挿入形状データを作成する挿入形状作成回路53とへ出力する。
参照画像記憶部55は、大容量のデータを保存できるハードディスクドライブ等からなる。参照画像記憶部55は、解剖学的な画像情報として、複数の参照画像データを記憶している。図5に示すように、参照画像データは、X線3次元ヘリカルCT装置15もしくは3次元MRI装置16からネットワーク17経由で得られた被検体37の断層像のデータである。
本実施の形態においては、説明の都合上、以下、参照画像データを、複数の被検体のうち特定の1被検体から得た、体軸(頭から足に抜ける軸)に垂直で、0.5mm〜数mmピッチ、一辺数十cmの正方形の断層像のデータとする。図5の参照画像記憶部55内の参照画像データには、説明の都合上、1番からN番までの番号が付されている。ここで、図5のように、複数の参照画像データに対して固定した直交座標軸O’-x’y’z’とその正規直交基底(各軸方向の単位ベクトル)i’,j’,k’を、原点O’を1番の参照画像データの最も左下に定義して、参照画像データ上に定義する。
図4に示すように補間回路56と合成回路58とは、それぞれボリュームメモリVMを内蔵している。説明の都合上、以下、補間回路56に設けられたボリュームメモリVMを補間メモリ56a、合成回路58に設けられたボリュームメモリVMを合成メモリ58aと呼ぶ。
ボリュームメモリVMは、大容量のデータを格納することができるよう構成されている。ボリュームメモリVMの一部の記憶領域にはボクセル空間が割り当てられている。図6に示すように、ボクセル空間は、直交座標軸O’-x’y’z’に対応したアドレスを持つメモリセル(以下、ボクセル)からなっている。
図4に示す3次元人体画像を作成する3次元人体画像作成回路57と回転変換を行う回転変換回路59は、輝度によるボクセルや画素の抽出、回転変換、相似変換、平行移動等の画像処理を高速に行う図示しない高速プロセッサを内蔵している。
表示回路62は、その入力を切り替えるスイッチ62aを有している。スイッチ62aは、入力端子αと、入力端子βと、入力端子γと、1個の出力端子を有する。入力端子αは、参照画像記憶部55と接続されている。入力端子βは、光学観察装置3の図示しない出力端子と接続されている。入力端子γは、混合回路61と接続されている。出力端子は、光学像、超音波断層像及び3次元ガイド画像等を表示する表示装置14と接続されている。
制御回路63は、画像処理装置11内の各部、各回路に指令が出力できるよう、各部、各回路とは図示しない信号線で接続されている。制御回路63は、超音波観測装置4、マウス12、キーボード13と制御線で直接接続されている。
図7に示すように、キーボード13は、体腔内特徴点指定キー65、走査制御キー66、表示切換キー13α、表示切換キー13β、表示切換キー13γ、超音波内視鏡走査部位キーとしての胃・十二指腸球部キー18aと十二指腸下降脚キー18b、超音波内視鏡走査情報キーとしてのPUSHキー19aとPULLキー19bを備えている。
表示切換キー13αもしくは13βもしくは13γが押されると、制御回路63は、表示回路62へスイッチ62aを入力端子αもしくはβもしくはγへ切り換えるよう指令を出力する。スイッチ62aは、表示切換キー13αが押されたときには入力端子αへ、表示切換キー13βが押されたときには入力端子βへ、表示切換キー13γが押されたときには入力端子γへ切り換える。
次に、以上の構成を有する本実施の形態の超音波診断装置1の機能について、図1,図4に基づいて説明する。図1及び図4の各矢印線は、以下の通りの信号・データの流れを示している。
(a)第1:点線で示す光学像に関わる信号・データの流れ
(b)第2:破線で示す超音波断層像に関わる信号・データの流れ
(c)第3:実線で示す位置に関わる信号・データや、それらを加工して作成されたデータの流れ
(d)第4:一点鎖線で示す参照画像データやそれを加工して作成されたデータの流れ
(e)第5:太線で示す超音波断層像データ(後述)と、3次元ガイド画像データ(後述)とを合成した最終的な表示画面に関わる信号・データの流れ
(f)第6:流曲線で示すそれ以外の制御に関わる信号・データの流れ
以下、図1,図4に示す信号・データの流れに沿って順次説明する。
(a)光学像に関わる信号・データの流れ
硬性部21の図示しない照明光照射窓は、光学視野範囲側に照明光を照射する。CCD26は、光学視野範囲の物体を撮像し、光電変換してCCD信号を光学観察装置3に出力する。光学観察装置3は、入力されたCCD信号を基にして光学視野範囲の画像のデータを作成し、このデータを光学像データとして画像処理装置11内の表示回路62のスイッチ62aの入力端子βへ出力する。
(b)超音波断層像に関わる信号・データの流れ
術者が走査情報を選択するための条件を入力する条件入力部としての走査制御キー66を押すと、制御回路63は後述するラジアル走査のON/OFF制御を指令するための走査制御信号を超音波観測装置4へ出力する。この走査制御信号を受けた超音波観測装置4は、超音波振動子アレイ29を構成する超音波振動子29aのうち、一部かつ複数の超音波振動子29aを選択してパルス電圧状の励起信号を送信する。この一部かつ複数の超音波振動子29aは、励起信号を受け取って媒体の疎密波である超音波に変換する。
この際、超音波観測装置4は、各励起信号が各超音波振動子29aに到着する時刻が異なるよう、各励起信号に遅延をかけている。この遅延は、各超音波振動子29aが励起する超音波が被検体37内で重ね合わせられたときに一本の超音波ビームを形成するようにその値(遅延量)が調整されている。
超音波ビームは、超音波内視鏡2外部へと照射され、被検体37内からの反射波が超音波ビームとは逆の経路を辿って各超音波振動子29aへ戻る。各超音波振動子29aは反射波を電気的なエコー信号に変換して励起信号とは逆の経路で超音波観測装置4へ伝達する。
超音波観測装置4は、超音波ビームが、超音波振動子アレイ29の環の中心を含み、硬性部21および可撓部22に垂直な平面(以下、ラジアル走査面)内で旋回するよう、超音波ビームの形成に関与する複数の超音波振動子29aを選択し直し、再び励起信号を送信する。このようにして超音波ビームの送信角度が変わっていく。これを反復的に繰り返すことにより、いわゆるラジアル走査が実現する。
この際、超音波観測装置4は、超音波振動子29aが反射波から変換したエコー信号から、超音波振動子アレイ29の1回のラジアル走査に対し、硬性部21の挿入軸に垂直な1枚のデジタル化した超音波断層像データを作成し、画像処理装置11の混合回路61へ出力する。この際、超音波観測装置4は、超音波断層像データを正方形に加工して作成する。
このように本実施の形態では、超音波観測装置4が超音波ビームの形成に関与する複数の超音波振動子29aを選択し直し、再び励起信号を送信するため、正方形の超音波断層像の例えば12時方向は、超音波観測装置4が12時方向としてどの超音波振動子29aを選択して励起信号を送信するかで決定される。こうして、超音波断層像の法線方向ベクトルV、3時方向ベクトルV3、12時方向ベクトルV12が定義される。さらに、超音波観測装置4は、超音波断層像データを、法線ベクトルVの反対方向−Vから観察した方向で作成する。
超音波振動子アレイ29によるラジアル走査と、超音波観測装置4による超音波断層像データの作成と混合回路61への出力はリアルタイムに行われる。
(c)位置に関わる信号・データやそれを加工して作成されたデータの流れ
位置配向算出装置5は、送信アンテナ6の図示しない送信コイルを励磁する。送信アンテナ6は、空間に交番磁場を張る。
画像位置配向検出用コイル31を構成するベクトルVとV3との方向に巻かれた巻線軸が互いに直交する2個のコイルと、複数個の挿入形状検出用コイル32と、体腔内検出用コイル42と、体表検出用コイル7とは、それぞれ交番磁場を検出し、交番磁場を各々の位置電気信号に変換してA/Dユニット9a、9b、9cへ出力する。
A/Dユニット9a,9b,9cは、位置電気信号をアンプで増幅し、アナログデジタル変換回路でサンプリングしてデジタルデータへ変換し、デジタルデータを位置配向算出装置5へ出力する。
次に、位置配向算出装置5は、A/Dユニット9aからのデジタルデータを基にして、画像位置配向検出用コイル31の位置とその直交する巻線軸の方向、つまりベクトルVとV3とを算出する。次に、位置配向算出装置5は、直交する巻線軸の方向のベクトルVとV3の外積V×V3を算出することで、残りの直交方向である12時方向のベクトルV12を算出する。このようにして、位置配向算出装置5は直交する3方向、つまりベクトルV、V3、V12を算出する。
次に、位置配向算出装置5は、A/Dユニット9a〜9cからのデジタルデータを基にして、複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置と、体表検出用コイル7の各々の位置と、体腔内検出用コイル42の位置とを算出する。そして、位置配向算出装置5は、画像位置配向検出用コイル31の位置及び配向と、複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置と、4個の体表検出用コイル7の各々の位置と、体腔内検出用コイル42の位置とを、位置・配向データとして画像処理装置11のマッチング回路51へ出力する。
以下、位置・配向データの詳細について述べる。
本実施の形態では、図8のように原点Oを送信アンテナ6上に定義して、術者が被検体37を検査する実際の空間上に直交座標軸O-xyzとその正規直交基底(各軸方向の単位ベクトル)i,j,kを定義する。画像位置配向検出用コイル31の位置をO"とする。画像位置配向検出用コイル31は、超音波振動子アレイ29の環の中心のごく近傍に固定されているので、位置O"は、ラジアル走査の中心かつ超音波断層像の中心に一致する。
ここで、位置・配向データを、以下のように定義する。
直交座標軸O-xyzにおける画像位置配向検出用コイル31の位置O"の位置ベクトルOO"の各方向成分:
(x0,y0,z0)
直交座標軸O-xyzに対する画像位置配向検出用コイル31の配向を示すオイラー角(後述)の各角度成分:
(ψ,θ,φ)
直交座標軸O-xyzにおける複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置ベクトルの各方向成分:
(xi,yi,zi) (iは1から挿入形状検出用コイル32の総数までの自然数)
直交座標軸O-xyzにおける4個の体表検出用コイル7の各々の位置ベクトルの各方向成分:
(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)
直交座標軸O-xyzにおける体腔内検出用コイル42の位置ベクトルの各方向成分:
(xp,yp,zp)
ここで、オイラー角とは、図8の直交座標軸O-xyzに、z軸の周りの回転、y軸の周りの回転、再びz軸の周りの回転をこの順で加えて、以下の通りに各軸の方向が一致するような角度である。
回転後のi=V3、回転後のj=V12、回転後のk=V
また、ψは、最初のz軸の周りの回転角度、θはy軸の周りの回転角度、φは再びのz軸の周りの回転角度である。
図8のHは、位置O"からxy平面へ下ろした垂線と、xy平面との交点である。このオイラー角の各角度成分(ψ,θ,φ)が画像位置配向検出用コイル31の配向、すなわち超音波断層像データの配向に相当する。
マッチング回路51は、以下の第1と第2と第3と第4とのデータ群から、直交座標軸O-xyz上で表現された位置・配向を、直交座標軸O'-x'y'z'上で表現されたボクセル空間内の位置・配向へ写像する変換式を算出する。この算出の方法は後述する。また、下記第1と第2で説明する位置・配向データは、被検体37の体動によって変化が生じる。変換式も被検体37の体動の変化とともに新たに作成される。この変換式の新たな作成も後述する。
第1のデータ群は、位置・配向データのうち、被検体37の剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起の各々に取り付けた体表検出用コイル7の直交座標軸O-xyzにおける位置ベクトルの各方向成分(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)である。図9に、これらに取り付けられた体表検出用コイル7を示す。
第2のデータ群は、位置・配向データのうち、直交座標軸O-xyzにおける体腔内検出用コイル42の位置ベクトルの各方向成分(xp,yp,zp)である。図9において体腔内検出用コイル42を先端に固定して内蔵した体腔内接触プローブ8を太い点線で示す。
第3のデータ群は、1〜N番までの参照画像データの何れかの上の、剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起の各々について、これら各々から最も体表に近い画素の直交座標軸O'-x'y'z'における座標(xa',ya',za')、(xb',yb',zb')、(xc',yc',zc')、(xd',yd',zd')である。これらの画素は、予め術者が1〜N番までの参照画像データの何れかの上で指定する。この指定の方法は後述する。
図9は、これらの画素を黒丸●と白丸○とで示す。(xa',ya',za')、(xb',yb',zb')、(xc',yc',zc')、(xd',yd',zd')は、図4に示すように体表特徴点座標として、参照画像記憶部55からマッチング回路51へ読み出される。
第4のデータ群は、1〜N番までの参照画像データの何れかの上の、十二指腸乳頭に相当する画素の直交座標軸O'-x'y'z'における座標(xp",yp",zp")である。これらの画素は、予め術者が1〜N番までの参照画像データの何れかの上で指定する。この指定の方法は後述する。
図9において、この画素をP"で示す。第4の画素の座標(xp",yp",zp")は、図4に示すように体腔内特徴点座標として、参照画像記憶部55からマッチング回路51へ読み出される。
次に、マッチング回路51は、直交座標軸O-xyzにおいて算出された位置・配向データを、上記変換式に従って写像し、直交座標軸O'-x'y'z'における新たな位置・配向データを算出する。そして、マッチング回路51は、この新たな位置・配向データを、位置・配向写像データとして、画像指標作成回路52と挿入形状作成回路53とへ出力する。
画像指標作成回路52は、直交座標軸O-xyzにおける画像位置配向検出用コイル31の位置O"の位置ベクトルOO"の各方向成分(x0,y0,z0)と、直交座標軸O-xyzに対する画像位置配向検出用コイル31の配向を示すオイラー角の各角度成分(ψ,θ,φ)との計6自由度の位置・配向写像データから画像指標データを作成し、合成回路58へ出力する。
この様子を図10に示す。つまり、図10の上側の位置・配向写像データから、図10の下側に示すように画像指標データが作成される。この画像指標データは、平行四辺形の超音波断層像マーカMuに、例えば青色の先端方向マーカMd(図10中で青と表記)と黄緑色の矢印状の6時方向マーカMt(図10中に黄緑と表記)とを合成した直交座標軸O'-x'y'z'上における画像データである。
挿入形状作成回路53は、画像位置配向検出用コイル31の位置O"の位置ベクトルOO"の各方向成分(x0,y0,z0)と、直交座標軸O-xyzにおける複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置ベクトルの各方向成分(xi,yi,zi)との位置・配向写像データから、(補間及びマーカ作成処理により)挿入形状データを作成し、合成回路58へ出力する。
この様子を図11に示す。挿入形状データは、画像位置配向検出用コイル31と複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置を順につないで補間したひも状の挿入形状マーカMsと、各コイル位置を示すコイル位置マーカMcとを合成した直交座標軸O'-x'y'z'上における画像データである。
(d)参照画像データやそれを加工して作成されたデータの流れ
術者は、キーボード13の所定のキーを押すか、画面上のメニューをマウス12で選択して、参照画像データの取得を指示する。このとき同時に術者は、入手先も指示する。この指示により、制御回路63は、通信回路54に対して参照画像データの取り込みとその入手先を指令する。
例えば、入手先がX線3次元ヘリカルCT装置15であった場合には、通信回路54は、参照画像データとしてネットワーク17から複数枚の2次元CT画像を取り込み、参照画像記憶部55へ記憶させる。X線3次元ヘリカルCT装置15で撮像する際には、撮像前にX線造影剤を被検体37の血管から注入し、大動脈(aorta)、上腸間膜静脈(superior mesenteric vein)等の血管(広義には脈管)や、血管を多く含む器官が、2次元CT画像上、高輝度や中輝度で表示されるようにし、周囲の組織とは輝度差がつきやすくしておく。
また、例えば、入手先が3次元MRI装置16であった場合には、通信回路54は、参照画像データとしてネットワーク17から複数枚の2次元MRI画像を取り込み、参照画像記憶部55へ記憶させる。3次元MRI装置16で撮像する際には、撮像前に核磁気共鳴の感度の高いMRI用造影剤を被検体37の血管から注入し、大動脈、上腸間膜静脈等の血管や、血管を多く含む器官が、2次元MRI画像上、高輝度や中輝度で表示されるようにし、周囲の組織とは輝度差がつきやすくしておく。
以下、術者が入手先としてX線3次元ヘリカルCT装置15を選択した場合と3次元MRI装置16を選択した場合とは、作用が同様であるので、入手先としてX線3次元ヘリカルCT装置15を選択し、通信回路54が参照画像データとして複数枚の2次元CT画像を取り込んだ場合についてのみの作用を説明する。
図5に参照画像記憶部55へ記憶された参照画像データの例を示す。X線造影剤の作用により、大動脈、上腸間膜静脈等の血管は高輝度に、膵臓(pancreas)等の末梢血管を多く含む器官は中輝度に、十二指腸(duodenum)等は低輝度に造影されている。
補間回路56は、参照画像記憶部55より1番からN番までの全ての参照画像データを読み出す。次に、補間回路56は、読み出した参照画像データを補間メモリ56aのボクセル空間へ埋めていく。具体的には、参照画像データの各画素の輝度を、画素に対応するアドレスを持つボクセルへ出力していく。次に補間回路56は、隣接する参照画像データの輝度値を基に補間して、空いているボクセルをデータで埋めていく。このようにして、ボクセル空間内の全てのボクセルが参照画像データを基にしたデータ(以下、ボクセルデータ)で満たされる。
3次元人体画像作成回路57は、補間回路56から高輝度値のボクセル(主に血管)、中輝度値のボクセル(主に膵臓など末梢血管を多く含む器官)をそれぞれ輝度値域別に抽出し、輝度別に分類して着色する。次に、3次元人体画像作成回路57は、抽出したボクセルを3次元人体画像データとして、合成回路58の合成メモリ58aのボクセル空間へ埋めていく。このとき、3次元人体画像作成回路57は、抽出したボクセルの補間メモリ56a内のボクセル空間のアドレスと、合成メモリ58a内のボクセル空間のアドレスとが同じになるように埋めていく。
図12に3次元人体画像データの例を示す。図12に示す例では、3次元人体画像データは、高輝度の血管である大動脈と上腸間膜静脈、中輝度の器官である膵臓とが抽出されたものであり、血管は赤、膵臓は緑で着色され、被検体37の頭側を右側に足側を左側にして腹側から観察した3次元データとして示されている。
合成回路58は、画像指標データと挿入形状データとを、合成メモリ58a内のボクセル空間に埋めていく。この様子を図13に示す。図13においては、説明の都合上、ボクセル空間に存在する3次元人体画像データを省略している(3次元人体画像データを省略しない場合は図14等で示す)。このようにして、合成回路58は、同じボクセル空間内に3次元人体画像データと、画像指標データと、挿入形状データとを同じ合成メモリ内に埋めていくことで、これらを一組のデータ(以下、合成3次元データ)として合成する。
3次元ガイド画像作成回路Aは、合成3次元データに陰面消去、陰影付け等のレンダリング処理を施し、画面に出力可能な画像データ(以下、3次元ガイド画像データ)を作成する。3次元ガイド画像データのデフォルトの向きは、人体の腹側からの向きとする。従って、3次元ガイド画像作成回路Aは、被検体37の腹側からの方向で観察した3次元ガイド画像データを作成する。
尚、3次元ガイド画像データのデフォルトの向きとしては、人体の腹側からの向きとしているが、背側からの向きの3次元ガイド画像データを作成するようにしても良い。また、その他の方向からの3次元ガイド画像データを作成するようにしても良い。
次に、3次元ガイド画像作成回路Aは、被検体腹側から観察した3次元ガイド画像データを混合回路61へ出力する。この3次元ガイド画像データを図14に示す。図14の右側が被検体頭側、左側が被検体足側である。また、図14の3次元ガイド画像データでは、画像指標データのうちの超音波断層像マーカMuを半透明にして、画像指標データの6時方向マーカMtと、先端方向マーカMdと、挿入形状データの挿入形状マーカMsと、コイル位置マーカMcとが透けて見えるようにしている。その他の臓器に対しては超音波断層像マーカMuを不透明にして超音波断層像マーカMuの裏側の部分は見えないようにしている。図14では、超音波断層像マーカMuの裏側にあり、かつ超音波断層像マーカMuと重なる各マーカは破線で示してある。
回転変換回路59は、合成3次元データを読み出し、制御回路63からの回転指示信号に従って、合成3次元データに対して回転処理を施す。
3次元ガイド画像作成回路Bは、回転処理を加えられた合成3次元データに陰面消去、陰影付け等のレンダリング処理を施し、画面に出力可能な3次元ガイド画像データを作成する。本実施の形態では、例として、術者のマウス12やキーボード13からの入力により、制御回路63からの回転指示信号が位置・配向写像データを基にして−V方向、すなわち、超音波断層像マーカMuの法線を観察視線として3次元ガイド画像データを観察する指示内容になっていたものとする。回転変換回路59は、合成3次元データを表示装置14の画面法線と一致するよう画面に正対させ、かつ6時方向マーカMtが表示装置14の画面の下方向に向くように設定されたガイド画像を作成する。
さらに、図15に示すように、3次元ガイド画像作成回路Bは、画像指標データのうちの超音波断層像マーカMuを半透明にし、画像指標データの6時方向マーカMtと、先端方向マーカMdと、挿入形状データの挿入形状マーカMsと、コイル位置マーカMcとだけでなく、その他の臓器のうち超音波断層像マーカMuの裏側の部分も透けて見えるように3次元ガイド画像データを作成する。
具体的には、3次元ガイド画像作成回路Bは、超音波断層像マーカMu上にある部分は濃く、超音波断層像マーカMuより手前にある部分を非表示とし、超音波断層像マーカMuの裏側にある部分は輝度を下げて3次元ガイド画像データを作成し、混合回路61へ出力する。膵臓であれば、超音波断層像マーカMu上にある部分は濃緑、裏側にある部分は薄緑で作成する。血管であれば、超音波断層像マーカMu上にある部分は濃赤、裏側部分は薄赤で3次元ガイド画像データを作成する。
3次元ガイド画像作成回路Bはこのように作成した3次元ガイド画像データを混合回路61へ出力する。
(e)超音波断層像データと3次元ガイド画像データとを合成した最終的な表示画面に関わる信号・データの流れ
図4の混合回路61は、超音波観測装置4からの超音波断層像データと、3次元ガイド画像作成回路Aからの被検体37を腹側から観察した3次元ガイド画像データと、3次元ガイド画像作成回路Bからの被検体37を超音波断層像と同じ向きで観察した3次元ガイド画像データとを並べて表示用の混合データを作成する。
表示回路62は、この混合データをアナログビデオ信号に変換して、表示装置14に出力する。表示装置14は、このアナログビデオ信号を基に、超音波断層像と、被検体37を腹側から観察した3次元ガイド画像と、超音波断層像と同じ向きで観察した3次元ガイド画像とを並べて表示する。
図16に示すように、表示装置14は、3次元ガイド画像上で表現される各器官を、もともと参照画像データ上の輝度値に応じた色で器官別に色分けして表示する。図16の表示例では、膵臓は緑、大動脈、上腸間膜静脈は赤で表示されている。図16では、超音波断層像マーカMuの裏側にあり、かつ超音波断層像マーカMuと重なる各マーカは破線で示してある。ここで、腹側から観察した3次元ガイド画像は、事実上、広範囲のガイド画像であり、超音波断層像と同じ向きで観察した3次元ガイド画像は、詳細のガイド画像である。
(f)制御に関わる信号・データの流れ
図4の画像処理装置11内のマッチング回路51と、画像指標作成回路52と、挿入形状作成回路53と、通信回路54と、参照画像記憶部55と、補間回路56と、3次元人体画像作成回路57と、合成回路58と、回転変換回路59と、3次元ガイド画像作成回路Aと、3次元ガイド画像作成回路Bと、混合回路61と、表示回路62とは、制御回路63からの指令により制御される。制御の詳細は後述する。
以下、術者の使用形態に沿って、本実施の形態の画像処理装置11、キーボード13、マウス12、表示装置14の作用の全体を説明する。図17はその全体のフローチャートであり、ステップS1〜S4の各処理はこの順序で実行される。
最初のステップS1は、参照画像データ上での体表特徴点、体腔内特徴点指定処理である。つまり、このステップS1において、参照画像データ上で、体表特徴点と体腔内特徴点とを指定する処理が行われる。
次のステップS2において、術者は、被検体37に体表検出用コイル7を固定する。術者は、被検体37をその左側を臥せた体位、所謂、左側臥位にする。術者は、被検体37を触診し、4つの体表特徴点である剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起に最も近い体表上の位置に体表検出用コイル7を固定する。
次のステップS3は補正値算出処理である。このステップS3において画像処理装置11は、体腔内特徴点の位置・配向データを取得し、直交座標軸O-xyz上で表現された位置・配向データを、直交座標軸O'-x'y'z'上で表現されたボクセル空間内の位置・配向写像データへ写像する変換式を算出し、さらに体腔内特徴点座標から変換式の補正値を算出する処理を行う。
次のステップS4において超音波断層像・3次元ガイド画像作成/表示処理が行われる。このステップS4は、超音波断層像と3次元ガイド画像を作成し、表示する処理である。
次に、以上の図17のフローチャートにおけるステップS1の処理、つまり参照画像データ上での体表特徴点、体腔内特徴点指定処理を具体的に説明する。図18は、図17のステップS1の参照画像データ上で、体表特徴点と体腔内特徴点とを指定する処理の詳細を示す。
最初のステップS1-1において、術者は表示切換キー13αを押す。制御回路63は表示回路62に指令を出す。表示回路62のスイッチ62aは指令により入力端子αに切り換わる。
次のステップS1-2において、術者は、マウス12、キーボード13を用い、1〜N番までの何れかの参照画像データを指定する。
次のステップS1-3において、制御回路63は、表示回路62に参照画像記憶部55に記憶された1〜N番までの何れかの参照画像データのうち、指定された参照画像データを読み出させる。表示回路62は、参照画像記憶部55からの参照画像データをアナログビデオ信号に変換し、参照画像データを表示装置14に出力する。表示装置14は参照画像データを表示する。
次のステップS1-4において、術者は、マウス12、キーボード13を用い、参照画像データ上で体表特徴点を指定する。具体的には以下の通りである。
術者は表示された参照画像データに被検体37の4つの体表特徴点である剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起の何れかが写っているようにする。何れも写っていなければステップS1-2へ戻り、術者は他の参照画像データを指定し直し、ステップS1-3で、写っている参照画像データを表示させるまで異なる参照画像データの表示を繰り返す。
術者は、マウス12、キーボード13を用い、表示された参照画像データ上で被検体37の体表面上の4点である剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起に最も近い体表上の点に相当する画素を指定する。指定した点を図9の黒丸●と白丸○とで示す。
本実施の形態では、説明の都合上、剣状突起○がn1番(1≦n1≦N)の参照画像データ上に写っており、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起●がn2番(1≦n2≦N)の参照画像データ上に写っているものとして説明する。図9では、説明の都合上、n2番の参照画像データ上の剣状突起に相当する位置に○で剣状突起を示している。
次のステップS1-5において、術者は、マウス12、キーボード13を用い、体腔内特徴点P"を指定する。本実施の形態では、体腔内特徴点P"として十二指腸乳頭(総胆管の十二指腸への開口部:duodenal papilla)を例にあげて説明する。具体的には以下の通りである。
術者は、マウス12、キーボード13を用い、1〜N番までの何れかの参照画像データを指定する。制御回路63は、表示回路62に図示しない信号線を経由して参照画像記憶部55に記憶された1〜N番までの何れかの参照画像データのうち、指定された参照画像データを読み出させる。表示回路62は、読み出した参照画像データを表示装置14へ出力する。表示装置14はこの参照画像データを表示する。術者は表示された参照画像データに被検体37の体腔内特徴点である十二指腸乳頭が写っていなければ、他の参照画像データを指定し直し、写っている参照画像データを表示させるまで、異なる参照画像データの表示を繰り返す。
術者は、マウス12、キーボード13を用い、表示された参照画像データ上で被検体37の体腔内の点である十二指腸乳頭に相当する画素を指定する。指定した点を図9のP"で示す。本実施の形態では、説明の都合上、十二指腸乳頭P"がn2番(1≦n2≦N)の参照画像データ上に写っているものとして説明する。
次のステップS1-6において、制御回路63は、ステップS1-4で指定された各体表特徴点に相当する各画素とステップS1-5で指定された体腔内特徴点P"に相当する画素とについて、参照画像データ上でのアドレスからボクセル空間に張られた直交座標軸O’-x’y’z’での座標を算出し、マッチング回路51へ出力する。
ステップS1-4で指定された各体表特徴点に相当する各画素の直交座標軸O’-x’y’z’での座標の算出値を(xa',ya',za')、(xb',yb',zb')、(xc',yc',zc')、(xd',yd',zd')とする。ステップS1-5で指定された体腔内特徴点に相当する画素直交座標軸O’-x’y’z’での各座標の算出値を(xp",yp",zp")とする。マッチング回路51はこの座標を記憶する。
このステップS1-6の終了後、図17のステップS2に進む。そして、このステップS2の処理の後、図17のステップS3の補正値算出処理に進む。ステップS3の補正値算出処理の詳細は図19に示される。
上述したように、このステップS3は、体腔内特徴点の位置・配向データを取得し、直交座標軸O-xyz上で表現された位置・配向データを直交座標軸O'-x'y'z'上で表現されたボクセル空間内の位置・配向写像データへ写像する変換式を算出し、さらに体腔内特徴点の位置・配向データから変換式の補正値を算出する処理である。
図17のステップS3の補正値算出処理が開始すると、図19の最初のステップS3-1において、術者は、表示切換キー13βを押す。この指示に対応して制御回路63は表示回路62に指令を出す。表示回路62のスイッチ62aは指令により入力端子βに切り換わる。
次にステップS3-2において、表示回路62は、光学観察装置3からの光学像データをアナログビデオ信号に変換し、光学像を表示装置14に出力する。表示装置14は、光学像を表示する。
次のステップS3-3において、術者は、被検体37に超音波内視鏡2の硬性部21と可撓部22とを体腔内へ挿入する。
次のステップS3-4において、術者は、光学像を観察しながら硬性部21を動かして体腔内特徴点を探す。術者は、体腔内特徴点が見つかった後、硬性部21を体腔内特徴点近傍へ移動する。
次のステップS3-5において、術者は、光学像を観察しながら、体腔内接触プローブ8を鉗子口44から挿入し、突出口45から突出させる。そして、術者は、光学像視野下で体腔内接触プローブ8の先端を体腔内特徴点に接触させる。この様子を図20に示す。図20では表示画面に光学像が表示されている。光学像には体腔内特徴点の例として十二指腸乳頭Pと体腔内接触プローブ8とが表示されている。
次のステップS3-6において、術者は、体腔内特徴点指定キー65を押す。次のステップS3-7において、制御回路63は、マッチング回路51に指令を出す。マッチング回路51は、指令により位置配向算出装置5から位置・配向データを取り込み、記憶する。
この位置・配向データには、前述の通り、直交座標軸O-xyzにおける4個の体表検出用コイル7の各々の位置ベクトルの各方向成分、すなわち、この場合は4個の体表特徴点の直交座標軸O-xyzでの座標:(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)、直交座標軸O-xyzにおける体腔内検出用コイル42の位置ベクトルの各方向成分、すなわち、この場合は体腔内特徴点の直交座標軸O-xyzでの座標:(xp,yp,zp)の2種類のデータが含まれている。
次のステップS3-8において、マッチング回路51は体表特徴点の座標から第1の写像を表現する第1変換式を作成する。具体的には以下の通りである。
先ず、マッチング回路51は、以下の内容を記憶している。
第1に、ステップS1で指定された各体表特徴点に相当する各画素のボクセル空間内の直交座標軸O’-x’y’z’での各座標:(xa',ya',za')、(xb',yb',zb')、(xc',yc',zc')、(xd',yd',zd')
第2に、ステップS1で指定された体腔内特徴点に相当する画素のボクセル空間内の直交座標軸O’-x’y’z’での座標:(xp",yp",zp")
第3に、ステップS3-7で取り込まれた体表特徴点の直交座標軸O-xyzでの各座標:(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)
第4に、ステップS3-7で取り込まれた体腔内特徴点の直交座標軸O-xyzでの座標:(xp,yp,zp)
マッチング回路51は、このうち、第3の各座標(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)と、第1の各座標(xa',ya',za')、(xb',yb',zb')、(xc',yc',zc')、(xd',yd',zd')とから、直交座標軸O-xyz上の任意の点をボクセル空間内の直交座標軸O’-x’y’z’の点への第1の写像を表現する第1変換式を作成する。この第1の写像と第1変換式とは以下の通り定義される。
図9に示すように、体表特徴点である剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起を用い、剣状突起から他の点へ向かう3本のベクトルを基本ベクトルとする2つの斜交座標系を、被検体37上とボクセル空間内(図9では参照画像データとして表現されているが、これを補間して得たデータ空間内)とに仮想(設定)する。
第1の写像とは、「直交座標軸O-xyzにおける任意点の、被検体37上の斜交座標系で表現される座標」と、「直交座標軸O'-x'y'z'におけるこの任意点の写像後の点の、ボクセル空間内の斜交座標系で表現される座標」とが同じになるような、被検体37からボクセル空間への写像である。また、第1変換式とは「任意点の直交座標軸O-xyzにおける座標」を「ボクセル空間内の第1の写像後の点の直交座標軸O'-x'y'z'における座標」へ変換する式である。
例えば、図9に示すように、画像位置配向検出用コイル31の位置、すなわちラジアル走査の中心かつ超音波断層像の中心O"の第1の写像による写像後の点をQ'とする。点Q'の直交座標軸O'-x'y'z'における座標を(x0',y0',z0')とする。第1変換式を用いると、点O"の直交座標軸O-xyzにおける座標(x0,y0,z0)は、点Q'の直交座標軸O'-x'y'z'における座標(x0',y0',z0')へ変換される。
次のステップS3-9において、マッチング回路51は、図9に示すように、第1変換式により、体腔内特徴点Pをボクセル空間内の点P'へ写像する。体腔内特徴点Pの直交座標軸O-xyzでの座標は(xp,yp,zp)である。第1の写像後の点P'の直交座標軸O’-x’y’z’での座標を(xp',yp',zp')と定義する。
次のステップS3-10において、マッチング回路51は、点P'のボクセル空間内の直交座標軸O’-x’y’z’での座標(xp',yp',zp')と、ステップS1で指定された体腔内特徴点に相当する点P"のボクセル空間内の直交座標軸O’-x’y’z’での座標(xp",yp",zp")とから、以下のようにベクトルP'P"を算出する。
P'P"=(xp",yp",zp")−(xp',yp',zp') = (xp"−xp',yp"−yp',zp"−zp')
次のステップS3-11において、マッチング回路51は、ベクトルP'P"を記憶する。ベクトルP'P"は、後述する処理で第1変換式を補正して第2の変換式を作成するための補正値として作用する。このステップS3-11の終了後、次のステップS4に進む。
次にステップS4の超音波断層像・3次元ガイド画像作成/表示処理を、図21を用いて説明する。図21は、ステップS4の被検体37の実際の超音波断層像・3次元ガイド画像を作成し、表示する処理の詳細である。
ステップS4の処理が開始すると、最初のステップS4-1において、術者は表示切換キー13γを押す。制御回路63は表示回路62に指令を出す。表示回路62のスイッチ62aは、この指令により入力端子γに切り換わる。
次のステップS4-2において、術者は走査制御キー66を押す。次のステップS4-3において、制御回路63は走査制御信号を超音波観測装置4へ出力する。そして、超音波振動子アレイ29は、ラジアル走査を開始する。
次のステップS4-4において、制御回路63は混合回路61に指令を出す。混合回路61は、この指令により超音波観測装置4からのラジアル走査に応じて入力される超音波断層像データを逐次取り込む。
次のステップS4-5において、制御回路63はマッチング回路51に指令を出す。マッチング回路51は、指令により位置配向算出装置5から位置・配向データを取り込み、記憶する。この取り込みは、瞬時に行われる。そのため、マッチング回路51は、ステップS4-4で混合回路61が超音波断層像データを取り込んだ瞬間の、以下のデータを含む、位置・配向データを取り込むことになる。
直交座標軸O-xyzにおける画像位置配向検出用コイル31の位置、すなわちラジアル走査の中心かつ超音波断層像の中心O"の位置ベクトルOO"の各方向成分:(x0,y0,z0)
直交座標軸O-xyzに対する画像位置配向検出用コイル31の配向、すなわち超音波断層像の配向を示すオイラー角の各角度成分:(ψ,θ,φ)
直交座標軸O-xyzにおける複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置ベクトルの各方向成分:(xi,yi,zi) (iは1から挿入形状検出用コイル32の総数までの自然数)
直交座標軸O-xyzにおける4個の体表検出用コイル7の各々の位置ベクトルの各方向成分:(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)
次のステップS4-6において、マッチング回路51は、ステップS4-5で取り込んだ位置・配向データのうち、直交座標軸O-xyzにおける4個の体表検出用コイル7の各々の位置ベクトルの各方向成分(xa,ya,za)、(xb,yb,zb)、(xc,yc,zc)、(xd,yd,zd)を用い、ステップS3で記憶した第1変換式を更新する。
次にマッチング回路51は、更新した第1変換式にステップS3で記憶したベクトルP'P"による平行移動とを合わせて、第2の写像を表現する第2変換式を新たに作成する。第2の写像の概念は、以下の通りである。
第2の写像=第1の写像+ベクトルP'P"による平行移動
ベクトルP'P"による平行移動には以下に示す補正効果がある。ベクトルP'P"は補正値として作用する。第1の写像を「直交座標軸O-xyzにおける任意点の、被検体37上の斜交座標系で表現される座標」と、「直交座標軸O'-x'y'z'におけるこの任意点の写像後の点の、ボクセル空間内の斜交座標系で表現される座標」とが同じになるような、被検体37からボクセル空間への写像とした。
理想的には、体腔内特徴点Pのボクセル空間内への第1の写像による写像点P'と、ステップS1で指定された体腔内特徴点に相当する点P"とは一致することが望ましい。しかし、実際には正確に一致させることが難しい。
この理由は、「直交座標軸O-xyzにおける任意点と、被検体37上の斜交座標系との空間的な位置関係」と、「任意点に解剖学的に相当する直交座標軸O'-x'y'z'における点と、ボクセル空間内の斜交座標系との空間的な位置関係」とが種々の要因で完全に一致しないことにある。本実施の形態で説明すると、第1の写像と第1変換式とを骨格上の特徴のある体表特徴点の各座標から求めたが、体腔内特徴点である十二指腸乳頭Pは骨格上の体表特徴点と常に同じ位置関係にあるとは限らないためである。
この原因は主に、X線3次元ヘリカルCT装置15と3次元MRI装置16とは、通常仰臥位で撮像され、左側臥位での超音波内視鏡2検査の時とは体位が異なるため、被検体37内の諸器官は重力に従って変位することがあげられる。
そのため、第1の写像に補正値としてのベクトルP'P"による平行移動を合わせて第2の写像とすることにより、体腔内特徴点Pの写像点はボクセル空間内で体腔内特徴点に相当する点P"に一致する。さらに、被検体37の他の点、例えば超音波断層像の中心O"も第2の写像により解剖学的に一層正確な一致をするのである。
次のステップS4-7において、マッチング回路51は、ステップS4-5で取り込んだ位置・配向データのうち、直交座標軸O-xyzにおける超音波断層像の中心O"の位置ベクトルOO"の各方向成分(x0,y0,z0)と、直交座標軸O-xyzに対する画像位置配向検出用コイル31の配向を示すオイラー角の各角度成分(ψ,θ,φ)と、直交座標軸O-xyzにおける複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置ベクトルの各方向成分(xi,yi,zi) (iは1から挿入形状検出用コイル32の総数までの自然数)とを新たに作成した第2変換式を用いて、位置・配向写像データへ変換する。
図9に示すように、第1変換式では超音波断層像の中心O"はボクセル空間上の点Q'へ写像されるが、本ステップで新たに作成した第2変換式を用いることにより、図9に示すように超音波断層像の中心O"はボクセル空間上の点Q"へ写像される。Q'とQ"との差異を示すベクトルQ'Q"は、第2の写像における平行移動による補正分と一致するので、ベクトルP'P"と同じである。すなわち、以下の式が成立する。
Q'Q"=P'P"
次のステップS4-8は、3次元ガイド画像データを作成する処理である。すなわち、画像指標作成回路52は、画像指標データを作成する。挿入形状作成回路53は、挿入形状データを作成する。合成回路58は、3次元人体画像データと、画像指標データと、挿入形状データを合成し、合成3次元データを作成する。回転変換回路59は合成3次元データに回転処理を施す。3次元ガイド画像作成回路Aと3次元ガイド画像作成回路Bとは、それぞれ3次元ガイド画像データを作成する。以上のそれぞれの処理は、前述の通りである。
次のステップS4-9において、混合回路61は、超音波断層像データと3次元ガイド画像データとを並べて表示用の混合データを作成する。表示回路62は、この混合データをアナログビデオ信号に変換する。表示装置14は、このアナログビデオ信号を基に超音波断層像と被検体37を腹側から観察した3次元ガイド画像と超音波断層像と同じ向きで観察した3次元ガイド画像とを並べて図16のように表示する。以上のそれぞれの処理は前述の通りである。
次のステップS4-10において、制御回路63は、ステップS4-4からステップS4-9の間、術者が再び走査制御キー66を押すか否かを確認している。術者が再び走査制御キー66を押していた場合には、制御回路63は、ここで上記の処理を終了させ、ラジアル走査の制御OFFを指令するための走査制御信号を超音波観測装置4へ出力する。これにより、超音波振動子アレイ29はラジアル走査を終了する。術者が再び走査制御キー66を押していなかった場合には、処理はステップS4-4へジャンプする。
このようにして、ステップS4-4からステップS4-9で述べた処理を繰り返すことで、超音波振動子アレイ29が1回のラジアル走査をして超音波観測装置4が超音波断層像データを作成し、超音波断層像データが超音波観測装置4から混合回路61に入力するたびに、2つの新たな3次元ガイド画像が作成され、新たな超音波断層像とともに表示装置14の表示画面にリアルタイムに更新されつつ表示される。
すなわち、図16に示すように、術者の可撓部22、硬性部21の用手的な操作に伴うラジアル走査面の移動に連動して、画像指標データ上の超音波断層像マーカMuと先端方向マーカMdと6時方向マーカMtと、挿入形状データ上の挿入形状マーカMsとコイル位置マーカMcとが3次元人体画像データ上を移動もしくは変形していく。
以上が3次元ガイド画像を表示するまでの作用である。本実施の形態においては、上記の作用の前に、さらに以下に述べる作用を加えている。
X線3次元ヘリカルCT装置15や3次元MRI装置16で撮像される参照画像データは、超音波内視鏡2で超音波を走査する被検体と同一の被検体から撮像することが本来望ましい。その理由は、表示装置14に同時に表示されるガイド画像と超音波断層像との間の解剖学的な個人差をなくして一致度を向上させるためである。
しかしながら、同一の被検体から撮像しても、以下の理由で良好な一致を得にくく、むしろ、ある条件で作成した超音波断層像を取得した被検体とは異なる被検体の参照画像データを用いた方が解剖学的に良好な一致を見る場合がある。
図22のG_Aは、通常の参照画像データに基づく3次元人体画像データであり、膵臓と血管が抽出されている。実際の人体で超音波内視鏡2による検査を実施する際には、主として、以下に説明する4つの方法がある。
(第1の検査方法:十二指腸下降脚PULL走査)
超音波内視鏡2を、十二指腸下降脚内で口側へ引きながら膵臓の頭部(図22の膵臓のうち、大動脈に近い側)を観察する方法であり、図22では太破線矢印で示されている。
(第2の検査方法:十二指腸下降脚PUSH走査)
超音波内視鏡2を、十二指腸下降脚内で肛門側へ押しながら膵臓の頭部を観察する方法であり、十二指腸下降脚PULL走査とは反対の方向である。
(第3の検査方法:胃・十二指腸球部PULL走査)
超音波内視鏡2を、十二指腸球部から胃内へ向けて口側へ引きながら膵臓の体部(図22の膵臓のうち、中間付近)と尾部(図22の膵臓のうち、下の細くなっている側)とを観察する方法であり、図22では太破線矢印で示されている。尚、十二指腸球部と胃は膵臓より手前側(紙面鉛直上方側)にある。
(第4の検査方法:胃・十二指腸球部PUSH走査)
超音波内視鏡2を、胃内から十二指腸球部へ向けて肛門側へ押しながら膵臓の体部と尾部とを観察する方法であり、十二指腸球部PULL走査とは反対の方向である。尚、十二指腸球部と胃は膵臓より手前側(紙面鉛直上方側)にある。
このうち、第1の十二指腸下降脚PULL走査を行うと、超音波内視鏡2を口側へ引くことに伴い、膵臓の頭部側が図22の画像データG_Aに示すブロック矢印のように一緒に引っ張られて回転及び移動してしまう現象が起こる。X線3次元ヘリカルCT装置15や3次元MRI装置16で被検体を撮像するときには、このような現象を想定しておらず、通常の撮像方法で得られた参照画像データを使うと、超音波断層像とガイド画像との間で解剖学的に良好な一致を得にくい。第2の十二指腸下降脚PUSH走査、第3の胃・十二指腸球部PULL走査、第4の胃・十二指腸球部PUSH走査では、このような現象は起こらない。
そこで、参照画像記憶部55には、特定の被検体で作成した臓器もしくは器官もしくは組織の複数の状態の各々に対応した複数枚の画像データを、参照データとして予め記憶させておく。本実施の形態では、通常の状態の膵臓の画像データと、膵臓の頭部が引っ張られて回転及び移動したデータとを、部分モデル画像データとして、予め参照画像記憶部55に記憶させておく。回転及び移動した後のデータの作成の仕方は、以下の複数通りがある。
(第1のデータ作成方法)
X線3次元ヘリカルCT装置15や3次元MRI装置16での通常の撮像に加え、超音波内視鏡2を挿入し、十二指腸下降脚PULL走査で膵臓の頭部を引っ張ったまま、再度X線3次元ヘリカルCT装置15や3次元MRI装置16で撮像する。このようにして、通常の膵臓の参照画像データと、膵臓が回転や移動をした後の参照画像データとを得ることができる。
(第2のデータ作成方法)
特定の被検体でX線3次元ヘリカルCT装置15や3次元MRI装置16での通常の撮像後、この被検体で超音波内視鏡2による撮像を行い、ガイド画像と超音波断層像が一致するよう、参照画像データ内の膵臓に回転や移動を加えて新たな参照画像データを作成する。このようにして、通常の膵臓の参照画像データと、膵臓が回転や移動をした後の参照画像データとを得ることができる。
この第2のデータ作成方法では、3次元人体画像データG_Bの作成は以下の手順で行われる。
先ず、術者は、キーボード13やマウス12を経由して膵臓の移動方向や移動距離や回転角度を入力する。3次元人体画像作成回路57は、入力された移動方向や移動距離や回転角度に基づいて、元の参照画像データから膵臓に回転及び移動を施して3次元人体画像データを作成する。
次に、合成回路58は、回転、移動を施された膵臓の3次元人体画像データと画像指標データと挿入形状データとを合成し、合成3次元データを作成する。合成3次元データは、回転変換回路59、3次元ガイド画像作成回路A、3次元ガイド画像作成回路B、混合回路61を経て表示装置14に表示される。
術者は、表示装置14の表示画面上の超音波断層像と2つの3次元ガイド画像との解剖学的な一致度を比較する。その上で、術者は、再度、超音波断層像と2つの3次元ガイド画像とが解剖学的に良く一致するよう、キーボード13やマウス12を経由して膵臓の移動方向や移動距離や回転角度を入力する。そして、上述の作用を繰り返す。
上記第1,第2の何れの方法で作成した参照画像データを用いても、本実施の形態の作用には変化がないので、以下では第2の方法を前提にして本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態では、参照画像記憶部55には、通常の膵臓の参照画像データと、膵臓が回転や移動をした後の参照画像データとが記憶されている。通常の膵臓の参照画像データに基づく3次元人体画像データを図22のG_Aに、膵臓が回転や移動をした後の参照画像データに基づく3次元人体画像データを図22のG_Bに示す。
通常の膵臓の参照画像データと膵臓が回転や移動をした後の参照画像データの選択は、状態選択部としてのキーボード13、マウス12、及び制御回路63によって行われる。本実施の形態では、術者は、キーボード13の超音波内視鏡走査情報キーである、PUSHキー19aとPULLキー19bとのうち何れかを押す。これらのキー19a,19bは、一方がONであればもう一方はOFFである。また、術者は、キーボード13の超音波走査部位キーである、胃・十二指腸球部キー18aと十二指腸下降脚キー18bとのうち何れかを押す。これらのキー18a,18bは、一方がONであればもう一方はOFFである。
図22の3次元人体画像データG_Aと3次元人体画像データG_Bのうち何れを用いるかは、これらのキー18a,18b,19a,19bのONとOFFの組み合わせ状態から制御回路63が判断する。制御回路63の判断は図23の表に拠る。すなわち、制御回路63は、十二指腸下降脚キー18bとPUSHキー19aとがONのとき、胃・十二指腸球部キー18aとPUSHキー19aとがONのとき、胃・十二指腸球部キー18aとPULLキー19bとがONのとき、画像データG_Aを参照画像データとして選択し、十二指腸下降脚キー18bとPULLキー19bとがONのとき、画像データG_Bを参照画像データとして選択する。
補間回路56は、制御回路63からの指令により、参照画像データを再度読み直す。このようにして補間メモリ、合成メモリのボクセル空間は、図23の表に示されたキーの組み合わせに対応して読み出された参照画像データで埋められ、3次元人体画像データ、合成3次元データ、3次元ガイド画像データが差し替えられる。
制御回路63と、補間回路56と、3次元人体画像作成回路57と、合成回路58と、回転変換回路59と、3次元ガイド画像作成回路Aと、3次元ガイド画像作成回路Bと、混合回路61とは、何れもリアルタイムで作用するので、術者によるキー操作に対して瞬時にガイド画像が切り替えられる。
このようにして、術者は十二指腸下降脚であっても、胃・十二指腸球部であっても、超音波内視鏡2のPUSH走査であっても、超音波内視鏡2のPULL走査であっても、超音波断層像とガイド画像との間で解剖学的に良好な一致を得ることができる。
以上の本実施の形態によれば、参照画像記憶部55が通常の膵臓の参照画像データと膵臓が回転や移動をした後の参照画像データとを記憶し、制御回路63が参照画像データを図22の3次元人体画像データG_Aか3次元人体画像画像データG_Bのうち何れを用いるかを判断し、補間回路56は制御回路63からの指令により、参照画像データを再度読み直し、補間メモリ、合成メモリのボクセル空間は、図23の表に示されたキーの組み合わせに対応して読み出された参照画像データで埋められ、術者によるキー操作に対して瞬時に3次元人体画像データおよびガイド画像が切り替えられるよう構成している。これにより、超音波断層像の実際の解剖学的な位置や配向とを正しく示すガイド画像を表示することができる。特に、十二指腸下降脚PULL走査では膵頭部は回転および移動するため、この効果が顕著である。
また、本実施の形態は、画像指標作成回路52が、超音波断層像マーカMuに青色の先端方向マーカMdと黄緑色の矢印状の6時方向マーカMtとを合成した画像指標データを作成し、合成回路58が、同じボクセル空間内に3次元人体画像データと、画像指標データと、挿入形状データとを合成し、混合回路61が超音波観測装置4からの超音波断層像データと、3次元ガイド画像データとを並べて表示用の混合データを作成し、表示回路62はこの混合データをアナログビデオ信号に変換し、表示装置14はこのアナログビデオ信号を基に超音波断層像と3次元ガイド画像とを並べて表示するような構成及び作用を有している。
そのため、本実施の形態によれば、超音波断層像と膵臓などの関心領域との位置関係をガイドすることができるとともに、消化管等の体腔壁に対して超音波内視鏡のラジアル走査面と可撓部と硬性部とがどのような配向や形状になっているのかをガイドすることができる。従って、術者はこれらの関係を視覚的に把握でき、関心領域に対する診断、処置等を容易に行うことが可能となる。
また、本実施の形態は、マッチング回路51がステップS4-4からステップS4-9で述べた処理を繰り返し、混合回路61が超音波断層像データを取り込んだ瞬間の、位置・配向データを取り込み、第1変換式とベクトルP'P"による平行移動とを合わせて第2の写像を表現する第2変換式を新たに作成し、直交座標軸O-xyzにおける超音波断層像の中心O"の位置ベクトルOO"の各方向成分(x0,y0,z0)と、直交座標軸O-xyzに対する画像位置配向検出用コイル31の配向を示すオイラー角の各角度成分(ψ,θ,φ)と、直交座標軸O-xyzにおける複数個の挿入形状検出用コイル32の各々の位置ベクトルの各方向成分(xi,yi,zi) (iは1から挿入形状検出用コイル32の総数までの自然数)とを、位置・配向写像データへ変換する処理を繰り返すような構成及び作用を有している。
そのため、本実施の形態によれば、超音波内視鏡2での検査中に被検体37の体位に変化が生じても、超音波断層像、可撓部22、硬性部21と、3次元ガイド画像上の超音波断層像マーカMu、先端方向マーカMd、6時方向マーカMt、挿入形状マーカMsとは、それぞれ解剖学的により正確な一致をするという効果がある。
また、X線3次元ヘリカルCT装置15と3次元MRI装置16とは、通常仰臥位で撮像され、左側臥位での超音波内視鏡検査の時とは体位が異なるが、本実施の形態によれば、マッチング回路51が、第1の写像に補正値としてのベクトルP'P"による平行移動を合わせて第2の写像を表現する第2変換式を作成するような構成及び作用を有している。従って、本実施の形態は、被検体37内の諸器官がX線3次元ヘリカルCT装置15と3次元MRI装置16に比して左側臥位での超音波内視鏡検査の時に重力に従って変位しても、被検体37の点、例えば超音波断層像の中心O"に第2の写像により解剖学的に一層正確な一致をする。そのため、3次元ガイド画像が超音波断層像を一層正確にガイドすることができる。
また、本実施の形態によれば、3次元ガイド画像作成回路Aが、右側が被検体頭側、左側が被検体足側で、被検体の腹側からの方向で観察した3次元ガイド画像データを作成するよう構成、作用させている。被検体37は、超音波内視鏡検査では通常左側臥位での体位で検査され、3次元ガイド画像も左側臥位で表示されるので、被検体と3次元ガイド画像とを対比しやすく、術者には3次元ガイド画像がわかりやすく、術者による診断、処置等の際の操作性を向上或いは適切に支援することができる。
また、本実施の形態によれば、3次元ガイド画像作成回路Aと3次元ガイド画像作成回路Bとが互いに異なる方向に視線を設定した3次元ガイド画像を作成するため、超音波断層像と膵臓などの関心領域との位置関係を複数の方向から、ガイドすることができるとともに、消化管等の体腔壁に対して、超音波断層像と超音波内視鏡2の可撓部22と硬性部21とがどのような配向や形状になっているのかを複数の方向からガイドすることができ、術者にはわかりやすい。
また、本実施の形態によれば、3次元ガイド画像作成回路Bが、位置・配向写像データを基にして、超音波断層像マーカMuの法線を観察視線すなわち表示装置14の画面法線と一致するよう画面に正対させ、かつ6時方向マーカMtが表示装置14の画面の下方向に向くように設定された3次元ガイド画像を作成するよう構成、作用させるため、この3次元ガイド画像と表示装置14の画面に並べてリアルタイムに表示される超音波断層像との方向が一致する。そのため、術者は両者を対比しやすく、超音波断層像の解剖学的な解釈をしやすい。
特に、腹側から観察した3次元ガイド画像は、事実上、広範囲のガイド画像、超音波断層像と同じ向きで観察した3次元ガイド画像は、詳細のガイド画像であるため、前者で超音波断層像の大まかな解剖学上の位置を把握し、後者で超音波断層像の詳細の解剖学的な解釈を得ながら超音波の走査面を微調整することができ、検査が効率的である。
また、本実施の形態によれば、3次元ガイド画像作成回路Bが、画像指標データのうちの超音波断層像マーカMuによって分けられる2つの領域のうち、可撓部22の先端側すなわち表示装置14の画面手前側を非表示にし、超音波断層像マーカMu上の部分と、裏側の部分の輝度を変化させた3次元ガイド画像データを作成するよう構成、作用させている。そのため、手前側の臓器が術者の3次元ガイド画像の観察の邪魔になるがことなく、この3次元ガイド画像と表示装置14の画面に並べてリアルタイムに表示される超音波断層像との対比を一層しやすく、超音波断層像の解剖学的な解釈をしやすい。
<変形例>
上述した実施の形態では、処置具チャンネル46を備えた超音波内視鏡2と、処置具チャンネル46に挿通する体腔内接触プローブ8を設けて構成したが、構成はこれに限定されるものではない。
体腔内特徴点に対して光学観察窓24を経由して対物レンズ25の焦点が合い、体腔内接触プローブ8を用いずに硬性部21自体を体腔内特徴点に正確に接触できれば、硬性部21に固定して設けた画像位置配向検出用コイル31を体腔内接触プローブ8の体腔内検出用コイル42の代用にしても良い。このとき、画像位置配向検出用コイル31は、画像位置配向検出用素子としてだけでなく体腔内検出用素子としても作用する。
また、本実施の形態では、超音波プローブとして電子ラジアル走査型超音波内視鏡2を用いたが、従来技術の特開2004−113629号公報で開示されている超音波診断装置のように、機械走査型超音波内視鏡でも、挿入軸の一方に超音波振動子群を扇状に設けた電子コンベックス走査型超音波内視鏡でも、カプセル型の超音波ゾンデでも良く、超音波の走査方式には限定されない。また光学観察窓24の無い超音波プローブでも良い。
また、本実施の形態では、超音波内視鏡2の硬性部21において超音波振動子を短冊状に細かく切断し、挿入軸の周囲に環状のアレイとして配列させたが、超音波振動子アレイ29は、360°全周に設けても、それより欠けても良い。例えば270°や180°にわたる部分に超音波振動子アレイ29が形成されるようにしても良い。
また、本実施の形態では位置検出手段として送信アンテナ6と受信コイルとを用い、磁場で位置と配向とを検出するよう構成、作用させたが、送受は逆でも良い。磁場を利用して位置及び配向を検出する場合には、簡単な構成で位置(配向)検出手段を形成できると共に、低コスト化、小型化することができるが、磁場を利用したものに限定されるものでなく、加速度や他の手段で位置と配向とを検出するようにしても良い。また、本実施の形態では、原点Oを送信アンテナ6上の特定の位置に設定するよう構成したが、送信アンテナ6と位置関係の変わらない他の場所に設定するよう構成しても良い。
また、本実施の形態では、画像位置配向検出用コイル31を硬性部21に固定して設けたが、硬性部21と位置が固定されていれば、硬性部21の完全に内部でなくとも良い。また、本実施の形態では、3次元ガイド画像データ上の各器官を、器官別に色分けして表示されるよう構成したが、色分けの態様に限らず、輝度、明度、彩度等、他の態様でも良く、例えば、器官別に輝度の値を変化させる等しても良い。
また、本実施の形態では、参照画像データとして、X線3次元ヘリカルCT装置15、3次元MRI装置16で撮像された複数枚の2次元CT画像や2次元MRI画像を用いるよう構成、作用させたが、PET(Positoron Emission Tomography)のような他のモダリティーを用いて事前に取得した3次元画像データを用いても良い。また、体外から超音波を照射する方式の所謂、体外式の超音波診断装置で事前に取得した3次元画像データを用いても良い。
また、本実施の形態では、1軸に巻かれた4個のコイルからなる体表検出用コイル7を設け、各々を被検体体表にテープ、ベルト、バンドなどで、複数の体表特徴点に着脱可能に固定し、体表特徴点の位置・配向データを同時に得るするよう構成したが、1個のコイル、例えば体腔内検出用コイル42に代えて、超音波内視鏡2による検査に先立ち、被検体37を左側臥位にした後、体腔内接触プローブ8の先端を複数の体表特徴点に順次接触させて体表特徴点の位置・配向データを順次に得るような構成、作用にしても良い。
また、本実施の形態では、位置配向算出装置が、位置・配向データとして、体表検出用コイル7に関してはその位置を算出したが、位置の代わりに巻線軸の方向を算出しても良く、また、位置と巻線軸の方向との両方を算出しても良い。1個の体表検出用コイル7に関して位置配向算出装置5が算出する自由度が増えることで、体表検出用コイル7の個数を減らすことができ、被検体37に体表検出用コイル7を固定する際や超音波内視鏡検査中の術者や被検体37の負担を減らすことができる。
また、本実施の形態では、体表特徴点を腹部体表の剣状突起、左上前腸骨棘、右上前腸骨棘、腰椎椎体棘突起とし、体腔内特徴点を十二指腸乳頭としたが、この例に限らず、胸部体表や胸部体腔内の特徴点や他の例でも良い。一般に、体表特徴点は骨格と関連のある点にとった方が、超音波断層像マーカMuの配向についての精度が良い。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図24〜図26は本発明の第2の実施の形態に係り、図24は3次元人体画像データの合成・変形を示す説明図、図25はキーの組み合わせと3次元人体画像データとの対応を示す説明図、図26は画像処理装置の構成を示すブロック図である。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対して、画像処理装置11の合成回路58の構成が異なるものである。図26に示すように、本実施の形態の画像処理装置11_2の合成回路58_2は、第1の実施の形態の合成回路58に対して、さらにもう一つの合成メモリ(ボリュームメモリ)58bを追加している。
第2の実施の形態の作用は、ボリュームメモリの追加により、第1の実施の形態とは、参照画像記憶部55、3次元人体画像作成回路57の作用が異なる。
第1の実施の形態では、参照画像記憶部55が通常の膵臓の参照画像データと、膵臓が回転や移動をした後の参照画像データとを記憶し、制御回路63が図22の3次元人体画像データG_Aと3次元人体画像データG_Bとのうち何れを用いるかを判断するよう作用した。
これに対し、第2の実施の形態では、3次元人体画像作成回路57が、図22に示す通常の膵臓の参照画像データに基づく3次元人体画像データG_Aを合成回路58_2の合成メモリ58a,58bの1つに記憶させる。
さらに、3次元人体画像作成回路57は、図24に示すように、この3次元人体画像データG_Aと膵臓が回転や移動をした後の参照画像データに基づく3次元人体画像データG_Bとを合成・変形して3次元人体画像データG_Cを作成する。3次元人体画像データG_Cは、3次元人体画像データG_Aと3次元人体画像データG_Bとから、新たに作成したデータであり、変形した仮想の膵臓を含んだデータである。
図24では、説明の都合上、一例として膵臓の尾部端点で位置を合わせている。尾部端点で説明しているのは、尾部端点が十二指腸下降脚PULL走査であっても、膵臓のうち最も回転や移動しない安定点であるからである。
上述の3次元人体画像データG_Aと3次元人体画像データG_Bとを合成、変形して3次元人体画像データG_Cを作成する方法は、以下の通りである。
術者は、キーボード13やマウス12を経由して膵臓の移動方向や移動距離や回転角度を入力する。3次元人体画像作成回路57は、入力された移動方向や移動距離や回転角度に基づいて、元の参照画像データから膵臓に回転及び移動を施して3次元人体画像データを作成する。
次に、合成回路58_2は、回転、移動を施された膵臓の3次元人体画像データと画像指標データと挿入形状データとを合成し、合成3次元データを作成する。合成3次元データは、回転変換回路59、3次元ガイド画像作成回路A、3次元ガイド画像作成回路B、混合回路61を経て表示装置14に表示される。
術者は、表示装置14の表示画面上の超音波断層像と2つの3次元ガイド画像との解剖学的な一致度を比較する。再度、術者は、その上で、超音波断層像と2つの3次元ガイド画像とが解剖学的に良く一致するよう、キーボード13やマウス12を経由して膵臓の移動方向や移動距離や回転角度を入力する。
そして、上述の作用を繰り返し、3次元ガイド画像を作成する。ここまでは第1の実施の形態と同じである。
さらに、術者は、キーボード13やマウス12を経由して3次元ガイド画像を図24に示すように重畳して表示装置14の表示画面に表示させるようにする。その上で膵臓が適当な形になるようキーボード13やマウス12を経由して表示画面上をトレースする。
3次元人体画像作成回路57は、このトレースされた情報を基に、再度3次元人体画像データG_Cを作成し、合成回路58_2の合成メモリ58a,58bのもう一方に記憶させる。
図22の3次元人体画像データG_Aと、図24の3次元人体画像データG_Cとのうち何れを用いるかは、超音波内視鏡走査部位キーと超音波内視鏡走査情報キーのONとOFFの組み合わせ状態から制御回路63が判断する。
制御回路63の判断は、図25の表に拠る。すなわち、制御回路63は、十二指腸下降脚キー18bとPUSHキー19aとがONのとき、胃・十二指腸球部キー18aとPUSHキー19aとがONのとき、胃・十二指腸球部キー18aとPULLキー19bとがONのとき、画像データG_Aを参照画像データとして選択し、十二指腸下降脚キー18bとPULLキー19bとがONのとき、3次元人体画像データG_Aと3次元人体画像データG_Bとを合成・変形して作成した画像データG_Cを参照画像データとして選択する。
合成回路58_2は、制御回路63からの指令により、画像指標データと挿入形状データと合成する3次元人体画像データを、3次元人体画像データG_Aにするか3次元人体画像データG_Cにするかを切り替える。
このようにして、3次元人体画像データ、合成3次元データ、3次元ガイド画像データが差し替えられる。制御回路63と、3次元人体画像作成回路57と、合成回路58_2と、回転変換回路59と、3次元ガイド画像作成回路Aと、3次元ガイド画像作成回路Bと、混合回路61とは、何れもリアルタイムで作用するので、術者によるキー操作に対して瞬時にガイド画像が切り替えられる。
このようにして、術者は十二指腸下降脚であっても、胃・十二指腸球部であっても、超音波内視鏡2のPUSH走査であっても、超音波内視鏡2のPULL走査であっても、超音波断層像とガイド画像との間で解剖学的に良好な一致を得ることができる。その他の作用は第1の実施の形態と同じである。
第2の実施の形態においては、3次元人体画像作成回路57が、図22に示す通常の膵臓の参照画像データに基づく3次元人体画像データG_Aを合成回路58_2の2つの合成メモリ58a,58bの一方に記憶させ、この3次元人体画像データG_Aと膵臓が回転や移動をした後の参照画像データに基づく3次元人体画像データG_Bとを合成、変形して3次元人体画像データG_Cを作成し、3次元人体画像データG_Cを合成回路58_2の合成メモリ58a,58bのもう一方に記憶させる。
そして、制御回路63は、図22の3次元人体画像データG_Aと図24の3次元人体画像データG_Cとのうち何れを用いるかを、超音波内視鏡走査部位キーと超音波内視鏡走査情報キーのONとOFFの組み合わせ状態から判断し、合成回路58_2は、制御回路63からの指令により、画像指標データと挿入形状データと合成する3次元人体画像データを、3次元人体画像データG_Aにするか3次元人体画像データG_Cにするかを切り替え、3次元人体画像データ、合成3次元データ、3次元ガイド画像データが差し替えられ、術者によるキー操作に対して瞬時にガイド画像が切り替えられる。
そのため、第2の実施の形態では、第1の実施の形態のように参照画像データを読み込んで、3次元人体画像データを再度作成する必要がなくなり、超音波断層像の実際の解剖学的な位置や配向を正しく示すガイド画像をより高速に得て表示することができる。また、十二指腸下降脚PULL走査による膵臓の変形は主に膵臓の頭部で生じ、尾部では生じないため、第2の実施の形態では、第1の実施の形態より変形した実際の膵臓に近いガイド画像を表示することができる。その他の効果は第1の実施の形態と同じである。