JP2008282952A - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光輝度と発光効率と寿命の損失を少なくし、均一性の良い表示を行うことが可能な有機EL素子の製造方法およびこれにより製造された有機EL素子を提供する。
【解決手段】画素電極と絶縁層と正孔輸送層及び有機発光層の2層を含む有機発光媒体層と対向電極とからなる有機EL素子の製造方法であって、
発光領域内に凸版印刷法により正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散させた正孔輸送インキを凸版の凸部から絶縁層の間にある画素電極に印刷して正孔輸送層を形成する工程を備える場合、例えば発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下となる様な色毎に異なる正孔輸送材料をぬり分けることを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機発光層が高分子材料からなる有機ELディスプレイパネル等に用いられる有機EL素子とその製造方法に関し、特に有機発光層を印刷法によって形成する有機EL素子及びその製造方法に関する。
有機EL素子は、二つの対向する電極の間に有機発光材料からなる有機発光層が形成され、有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率よく発光させるには有機発光層の膜厚が重要であり、100nm程度の薄膜にする必要がある。さらに、これをディスプレイパネル化するには高精細にパターニングする必要がある。
有機発光層を形成する有機発光材料には、低分子材料と高分子材料が有り、一般に低分子材料は真空蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題がある。
そこで、最近では高分子材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。高分子材料の塗液を用いてウェットコーティング法で有機発光層を含む有機発光媒体層を形成する場合の層構成は、陽極側から正孔輸送層、有機発光層と積層する二層構成が一般的である。このとき、有機発光層はカラーパネル化するために赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの発光色をもつ有機発光材料を溶剤中に溶解または安定して分散してなる有機発光インキを用いて塗り分ける必要がある。塗り分けの方法としては、オフセット印刷法が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
また、微細パターンを形成する他の方法としては、凸版印刷法が提案されており、例えば特許文献2において、基板上に半導体回路パターンを形成する技術が開示されている。
特許文献等は以下の通りである。
特開2001−93668公報 特開2002−217248公報
上記の如き構成の有機EL素子を有する有機ELディスプレイパネルにおいて、画像形成に関わる部分全体に全面塗布、いわゆるベタ塗りする方法が一般的であり、スピンコート法やダイコート法といったコーティング法を用いて形成されてきた。これは、正孔輸送層の膜厚は一般に100nm以下の薄膜であり、層の横方向へ流れる電流よりも厚み方向へ流れる電流のほうが圧倒的に流れやすく、よって電極がパターニングされていれば、電流の画素の外へのリークは非常に少ないといわれていたためである。
本願発明者等は、ガラス基板上に陽極である画素電極をパターン形成し、画素電極間に絶縁層をパターン形成し、正孔輸送層をスリットコート法で有機EL素子の有効面内に全面塗布し、有機発光層をパターン形成し、陰極層をパターン形成したパッシブマトリックスタイプの有機EL素子において、イオン化ポテンシャル(IP)の異なる発光材料に対して、同一の正孔輸送材料を用いることにより、発光輝度と発光効率と寿命を損失してい
ることを確認した。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、色毎にイオン化ポテンシャルが見合った正孔輸送材料を選択することで、発光輝度と発光効率と寿命の損失を少なくし、均一性の良い表示を行うことが可能な有機EL素子の製造方法およびこれにより製造された有機EL素子を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画素電極と、前記画素電極上に発光領域を画定する絶縁層と、前記発光領域に積層されかつ少なくとも色毎に異なる正孔輸送材料からなる正孔輸送層及び有機発光層の2層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を介して前記画素電極に対向する対向電極とからなる有機EL素子とすることにより、色毎に異なる発光材料に対して、輝度、発光効率、寿命を考慮して、最も相性の良い正孔輸送材料を用いることが可能になった。
また、請求項2に係る発明は、前記正孔輸送材料は、対応する発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子である。
また、請求項3に係る発明は、画素電極と、前記画素電極上に発光領域を画定する絶縁層と、前記発光領域に積層されかつ少なくとも正孔輸送層及び有機発光層の2層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を介して前記画素電極に対向する対向電極とからなる有機EL素子の製造方法であって、
前記発光領域内に凸版印刷法により色毎に異なる正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散させた正孔輸送インキを凸版の凸部から前記絶縁層の間にある画素電極に印刷し乾燥して正孔輸送層を形成する工程を備える有機EL素子の製造方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記正孔輸送材料は、対応する発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることを特徴とする請求項3記載の有機EL素子の製造方法である。
また、請求項5に係る発明は、請求項3と4のいずれかの製造方法を用いることによって形成されていることを特徴とする有機EL素子とした。
本発明の有機EL素子及びその製造方法によれば、色毎にイオン化ポテンシャルが見合った正孔輸送材料を選択することで、発光効率と寿命の損失を抑えることができる。発光効率と寿命の損失を抑えることにより、色毎の輝度低下を制御した均一性に優れた有機EL素子を得ることができる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を、パッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルに適用した例について説明する。有機EL素子の駆動方法としては、パッシブマトリックスタイプとアクティブマトリックスタイプがあるが、本発明の有機EL素子はパッシブマトリックス方式の有機EL素子、アクティブマトリックス方式の有機EL素子のどちらにも適用可能である。
パッシブマトリックス方式とはストライプ状の電極を直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるのに対し、アクティブマトリックス方式は画素毎にトランジスタを形成した、いわゆる薄膜トランジスタ(TFT)基板を用いることにより、画素毎
に独立して発光する方式である。
図1は本発明の実施の形態による有機ELディスプレイパネルの構造を示す断面図である。
この有機ELディスプレイパネルにおける有機EL素子は基板上に形成される。この有機ELディスプレイパネルが基板側から光を取り出すポトムエミッション方式の有機EL素子とする場合には、基板として透明なものを使用する必要があるが、基板と反対側から光を取り出すトップエミッション方式の場合は、基板は透光性を有する必要はない。
基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価にディスプレイパネルを提供できる。また、その場合のプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、これらのフィルムは水蒸気バリア性、酸素バリア性を示す酸化ケイ素といった金属酸化物、窒化ケイ素といった酸化窒化物やポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物からなるバリア層が必要に応じて設けられる。
また、基板1の上には陽極としてパターニングされた画素電極2が設けられる。画素電極2の材料としては、ITO(インジウム錫複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料が使用できる。なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOが好ましい。ITOはスパッタ法により基板上に形成されフォトリソ法によりパターニングされライン状の画素電極2となる。
そして、このライン状の画素電極2を形成後、隣接する画素電極の間に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィ法により絶縁層3が形成される。
本実施の形態における絶縁層3は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。また、絶縁層を隣接する画素電極間に設けることによって、各画素電極上に印刷された正孔輸送インキの広がりを抑え、ディスプレイ化した際に正孔輸送層が絶縁層上にあることによるリーク電流の発生を防ぐことができる。なお、絶縁層が低すぎるとインキの広がりを防止できずに絶縁層上に正孔輸送層が形成されることとなる。
また、例えばパッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルにおいて、画素電極の間に絶縁層を設けた場合、絶縁層を直行して陰極層を形成することになる。このように絶縁層をまたぐ形で陰極層を形成する場合、絶縁層が高すぎると陰極層の断線が起こってしまい表示不良となる。絶縁層の高さが5.0μmを超えると陰極の断線が起きやすくなってしまう。
また、絶縁層を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。なお、隔壁が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるが、これに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
また、絶縁層3を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコータ
ー、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布方法を用いて塗布され、フォトリソ法によりパターニングされる。また、感光性樹脂を用いずにグラビアオフセット印刷法、反転印刷法、フレキソ印刷法等を用いて絶縁層を形成してもよい。
以上のようにして絶縁層3を形成した後、次に正孔輸送層4を形成する。正孔輸送層4を形成する正孔輸送材料としては、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等が挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、正孔輸送材料インキとなり、本実施の形態による凸版印刷方法を用いて形成される。その場合、選択される正孔輸送材料は、発光材料との相性が重要で、前記正孔輸送材料は、発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることが重要である。0.2eV以上だと、発光効率が低下するおそれがあるからである。なお、形成される正孔輸送層の体積抵抗率は発光効率の点から1×106Ω・cm以下のものが好ましい。
また、正孔輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、エチレングリコールジエチルエーテル、1−プロパノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、水等の単独またはこれらの混合溶媒などが挙げられる。また、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されていても良い。
図2は正孔輸送材料からなる正孔輸送インキを、画素電極、絶縁層が形成された被印刷基板上にパターン印刷する際の凸版印刷装置の概略を示している。
図示のように、本製造装置は、インクタンク10と、インキチャンバー12と、アニロックスロール14と、凸版が設けられた版16がマウントされた版胴18を有している。インクタンク10には溶媒で希釈された正孔輸送インキが収容されており、インキチャンバー12にはインクタンク10より正孔輸送インキが送り込まれるようになっている。アニロックスロール14はインキチャンバー12のインキ供給部に対して回転可能に指示されている。
アニロックスロール14の回転に伴い、アニロックスロール表面に供給された正孔輸送インキのインキ層14aは均一な膜厚に形成される。このインキ層はアニロックスロールに近接して回転駆動される版胴18にマウントされた版16の凸部に転移する。
平台20には、透明電極および絶縁層が形成された被印刷基板24が版16の凸部による印刷位置にまで図示しない搬送手段によって搬送されるようになっている。そして、版16の凸部にあるインキは被印刷基板24に対して印刷され、必要に応じて乾燥工程を経て被印刷基板上に正孔輸送層が形成される。
なお、本例では凸版に使用した感光性樹脂凸版は水現像タイプのものを使用した。感光性樹脂版には、露光した樹脂版を現像する際に用いる現像液が有機溶剤である溶剤現像タイプのものと現像液が水である水現像タイプのものがある。一般に溶剤現像タイプのものは水系のインキに耐性を示し、水現像タイプのものは有機溶剤系のインキに耐性を示す傾向があるが、この限りではなく、正孔輸送インキに耐性を持ったものであれば、いずれの樹脂凸版も用いることができる。
また凸版の凸部と凹部、つまりインキが転移されない部分の深さの差は40μm以上であることが好ましい。これより凸部と凹部との差が小さいと、印刷条件によっては凸部だけでなく、凹部までも基板に接触してしまい、余計な部分にインキが転写してしまいリーク等の不具合が発生するためである。
次に、樹脂凸版の硬度は45から90度(ショアA)の間、18から75度(ショアD)の間であることが好ましい。硬度が45度未満(ショアA)であると、印圧に対するマージンが狭く画線がよれたりつぶれたりしてしまい、均一なパターン形成をすることが非常に難しくなってしまうためである。また、75度(ショアD)より大きい場合では、パターン形成に適切な印圧が高くなりすぎ、基板や絶縁層に負荷がかかりすぎ、ワレやひずみ、キズを生じてしまう危険があるからである。
また、正孔輸送層インキの粘度としては5から30mPa・sの間であることが好ましい。これは、本実施の形態で用いる凸版印刷法ではアニロックスから凸版上へのインキの転写が最初に行われるが、30mPa・s以上の粘度ではアニロックスから凸版上へインキが転写した後、凸版上で十分インキがレベリングせず、ムラの原因になる。
また、正孔輸送層インキの固形分濃度としては0.5から4.0%の間であることが好ましい。これは、本実施の形態で用いる正孔輸送インキでは、4.0%以上の濃度ではインキの安定性が悪くなり、インキ凝集や正孔輸送層のムラの原因になる。
また、正孔輸送層インキの蒸気圧としては0.1〜20kPaであることが好ましい。これは、本実施の形態で用いる凸版印刷法ではアニロックスから凸版上へのインキの転写が最初に行われるが、20kPa以上の蒸気圧ではアニロックスから凸版上へインキが転写した後、凸版上でインキの乾燥が速すぎて、転写不良を起こし、ムラの原因になる。
次に、以上のような正孔輸送層4の形成後、有機発光層5を形成する。有機発光層は電流を通すことにより発光する層であり、有機発光層を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されても良い。
有機発光層5の形成方法としては、凸版印刷法を用いる場合は、有機発光インキに適した樹脂凸版を使用することができ、中でも水現像タイプの感光性樹脂凸版が好適である。
また、有機発光インキの粘度としては5から30mPa・sの間であることが好ましい。これは、本実施の形態で用いる凸版印刷法ではアニロックスから凸版上へのインキの転写が最初に行われるが、30mPa・s以上の粘度ではアニロックスから凸版上へインキが転写した後、凸版上で十分インキがレベリングせず、ムラの原因になる。
有機発光インキを印刷する際の印刷方法は、正孔輸送層印刷と同様に行う。
次に、以上のような有機発光層5の形成後、陰極層6を画素電極のラインパターンと直交するラインパターンで形成する。この陰極層6の材料としては、有機発光層の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極層の形成方法としてはマスクを用いた真空蒸着法による形成方法が挙げられる。
なお、本実施の形態の有機EL素子は、陽極である画素電極と陰極層の間に陽極層側から正孔輸送層と有機発光層を積層した構成であるが、陽極層と陰極層の間において正孔輸送層、有機発光層以外に正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層といった層を必要に応じ選択した積層構造をとることができる。また、これらの層を形成する際にも本発明の形成方法を使用できる。
最後に、これらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップ7と接着剤8を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを得ることができる。また、基板が可撓性を有する場合には、封止剤と可撓性フィルムを用いて封止を行っても良い。
次に、本発明の実施例について説明する。
ここでは、以下のような実施例1と比較例1について試作と測定を行った。
まず、300mm角のガラス基板の上に、スパッタ法を用いてITO(インジウム−錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、対角0.127mサイズのディスプレイが2面取れるように画素電極を形成した。ディスプレイ1面当たりの画素電極のラインパターンは、線幅40μm、スペース20μmでラインが1950ライン形成されるパターンとした。
次に絶縁層を以下のように形成した。まず、画素電極を形成したガラス基板上にアクリル系のフォトレジスト材料を全面スピンコートした。スピンコートの条件を150rpmで5秒間回転させた後、500rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、絶縁層の高さを1.5μmとした。全面に塗布したフォトレジスト材料に対し、フォトリソ法により画素電極の間にラインパターンを有する絶縁層を形成した。
次に、正孔輸送インキとしてポリチオフェン誘導体を用いて調液し、インキの固形分濃度1.5%、粘度15mPa・S、蒸気圧0.5kPaのインキを用意した。印刷には180線/0.0254mのアニロックスロールを使用し、印刷後、200°C、30分大気中で乾燥を行い正孔輸送層を形成した。このときの膜厚は50nmとなった。この場合に用いたポリチオフェン誘導体は、発光輝度、発光効率、寿命を考慮した上で、色毎で異なる発光材料に対して最適なものを選択するが、発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることが重要である。
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、絶縁層に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて有機発光層を凸版印刷法で印刷を行った。このとき150線/0.0254mのアニロックスロール及び水現像タイプの感光性樹脂版を使用した。この結果、印刷、乾燥後の有機発光層の膜厚は80nmとなった。
このとき、発光輝度、発光効率、寿命を考慮した上で発光材料に最適な正孔輸送材料を選定し、イオン化ポテンシャルが5.28eVの赤の発光材料に対してはイオン化ポテンシャルが5.35eVの正孔輸送材料を用い、5.16eVの緑の発光材料に対しては5.22eVの正孔輸送材料を用い、5.68eVの青の発光材料に対しては5.40eVの正孔輸送材料それぞれぬり分けて印刷を行った。
その上にCa、Alからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを作製した。
これにより得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部には各画素電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行い、発光状態のチェックを行った。
[比較例1]
イオン化ポテンシャルが5.28eVの赤の発光材料と5.16eVの緑の発光材料と5.68eVの青の発光材料に対して、5.22eVの正孔輸送材料をスリットコート法で基板全面に均一に塗布を行った以外は実施例1と同様に行った。
以上のような実施例1及び比較例1で作製したパネルの発光効率、寿命の評価結果を表1に示している。これにより、比較例に比べて本発明の実施例で良好な結果が得られることが分かる。
表1を以下に示す。
Figure 2008282952
本発明の実施の形態による有機ELパネルにおける有機EL素子の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における凸版印刷装置の概要を示す断面図である。
符号の説明
1……基板
2……画素電極
3……絶縁層
4……正孔輸送層
5……有機発光層
6……陰極層
7……ガラスキャップ
8……接着剤
10……インクタンク
12……インキチャンバー
14……アニロックスロール
14a……インキ層
16……版
18……版胴
20……平台
24……被印刷基板

Claims (5)

  1. 画素電極と、前記画素電極上に発光領域を画定する絶縁層と、前記発光領域に積層されかつ少なくとも色毎に異なる正孔輸送材料からなる正孔輸送層及び有機発光層の2層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を介して前記画素電極に対向する対向電極とからなる有機EL素子。
  2. 前記正孔輸送材料は、対応する発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子。
  3. 画素電極と、前記画素電極上に発光領域を画定する絶縁層と、前記発光領域に積層されかつ少なくとも正孔輸送層及び有機発光層の2層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を介して前記画素電極に対向する対向電極とからなる有機EL素子の製造方法であって、
    前記発光領域内に凸版印刷法により色毎に異なる正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散させた正孔輸送インキを凸版の凸部から前記絶縁層の間にある画素電極に印刷し乾燥して正孔輸送層を形成する工程を備える有機EL素子の製造方法。
  4. 前記正孔輸送材料は、対応する発光材料とのイオン化ポテンシャル(IP)の差が0.2eV以下であることを特徴とする請求項3記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 請求項3と4のいずれかの製造方法を用いることによって形成されていることを特徴とする有機EL素子。
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