JP2008130410A - 有機el素子の製造方法および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明では、有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、ウエットプロセスにより形成する有機EL素子の製造方法において、隔壁を隔壁絶縁被膜層で覆うことによって、隔壁からのアウトガスや溶媒による溶出が少なく有機層へのダメージが抑えられ、欠陥やムラのない有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、有機発光媒体層の少なくとも一層以上をウエットプロセスによって成膜する工程を含む有機EL素子の製造方法において、前記隔壁パターンが一層以上の隔壁絶縁被膜層で開口部なく被覆されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法等を提供する。
【選択図】図1
本発明では、有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、ウエットプロセスにより形成する有機EL素子の製造方法において、隔壁を隔壁絶縁被膜層で覆うことによって、隔壁からのアウトガスや溶媒による溶出が少なく有機層へのダメージが抑えられ、欠陥やムラのない有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、有機発光媒体層の少なくとも一層以上をウエットプロセスによって成膜する工程を含む有機EL素子の製造方法において、前記隔壁パターンが一層以上の隔壁絶縁被膜層で開口部なく被覆されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法等を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機EL素子の製造方法および表示装置に関する。さらに詳しくは、ウエットプロセスにより形成される有機EL表示装置において、はじきやムラの無い各画素で均一な発光をし、かつ非発光箇所や電流リークが発生しない長寿命で高効率な有機EL表示装置の製造方法および表示装置に関する。
有機EL素子は、陽極としての電極と、陰極としての電極との間に、少なくともエレクトロルミネッセンス現象を呈する有機発光層を挟持してなる構造を有し、電極間に電圧が印加されると、有機発光層に正孔と電子が注入され、この正孔と電子とが有機発光層で再結合することにより、有機発光層が発光する自発光型のデバイスである。
さらに、発光効率を増大させるなどの目的から、陽極と有機発光層との間に正孔注入層、正孔輸送層、又は、及び、有機発光層と陰極との間に電子輸送層、電子注入層などが適宜選択して設けられている。そして、有機発光層とこれら正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを合わせて有機発光媒体層と呼ばれている。
また、発光効率や輝度は各層の膜厚に依存し、100nm程度の薄膜にする必要があり、さらに、これをディスプレイパネル化するには高精細にパターニングする必要がある。
有機発光媒体層を形成する材料には、低分子材料と高分子材料が有り、一般に低分子材料は真空蒸着法等により薄膜形成し、パターニングする際には微細パターンのマスクを用いるが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。また、真空中で成膜するためにスループットが悪いという問題がある。
そこで、最近では高分子材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウエットプロセスで薄膜形成する方法が試みられるようになってきている。高分子材料の塗液を用いてウエットプロセスで有機発光媒体層を形成する場合の層構成は、陽極側から正孔輸送層、有機発光層と積層する二層構成が一般的である。
このとき、有機発光層はカラーパネル化するために赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの発光色をもつ有機発光材料を溶剤中に溶解または安定して分散してなる有機発光インキを用いて塗り分ける必要がある。
有機発光媒体層をウエットプロセスによって成膜する方法は、主にスピンコート、ダイコート、インクジェット、印刷などの手法が用いられる。
上記手法のうち、スピンコート、ダイコートはそれ自身でパターンニングすることができない。インクジェットや印刷はパターニングすることも可能だが、インキ材料、インキ溶媒、粘度に制限があり、安定してパターンニングすることは困難である。特に高精細化が進むほど、隣り合った画素へのインキの混色が顕著になり、正確に安定してパターニングすることはより困難となる。
また、ウエットプロセスに限らずカラーパネルを作製する場合、電極をパターニングする必要があり、パターニングされた電極は端部に電界が集中しリーク電流が生じる問題がある。
そこで、一般的にパターニングを行う場合は、これらの問題を防ぐために凸状の仕切り部材として隔壁パターンを設ける。隔壁パターンはフォトレジストを基板に塗布し、露光・現像等からなる通常のフォトリソ工程を用いて形成される。
一般にフォトレジストには塗布性、成膜性の向上やムラの防止のために少量の界面活性剤が含まれている。これらの界面活性剤は一般に疎水性であり、特に加熱処理によりブリードアウトと呼ばれる界面活性剤の表面への染み出しが多くなる。
有機発光層には一般に有機溶剤系の溶媒が用いられ、隔壁中にある界面活性剤や残留溶媒、または隔壁の材料自身が有機発光層中に溶出する可能性があり、発光効率や寿命に悪影響を及ぼすことが懸念される。
最近は製造歩留まりを向上させるため第1有機材料、第2有機材料を成膜し、両者を同時に露光、現像することによって作製された第1絶縁層、第2絶縁層を隔壁として設ける手法が用いられている。(特許文献1参照)
しかし有機材料を用いて作製された隔壁を含んだパネルは、隔壁からのアウトガスによって有機発光層の発光分子を劣化させ、非発光箇所の発生や電流リークの原因となり、効率や寿命の低下を引き起こす。また有機発光媒体層の溶媒によって隔壁の残留溶媒や隔壁そのものなどの不純物が溶出し、発光効率、寿命の低下を引き起こす。
しかし有機材料を用いて作製された隔壁を含んだパネルは、隔壁からのアウトガスによって有機発光層の発光分子を劣化させ、非発光箇所の発生や電流リークの原因となり、効率や寿命の低下を引き起こす。また有機発光媒体層の溶媒によって隔壁の残留溶媒や隔壁そのものなどの不純物が溶出し、発光効率、寿命の低下を引き起こす。
特許文献は以下の通り。
特開2004−319119号公報
本発明では、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、隔壁によって区切られた画素内に、有機発光媒体層を形成する有機EL素子の製造方法において、隔壁からのアウトガスが少なく有機発光媒体層へのダメージが抑えられ、またインキのはじき等がなく均一な膜形成を行うことで、欠陥やムラのない有機EL素子の製造方法および表示装置を提供することを目的とする。
ところで本発明者の検討によれば、隔壁となる感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、パターン露光・現像した後に、隔壁絶縁被膜層を少なくとも一層以上積層することで、開口部なく隔壁を隔離することができ、このために隔壁からのアウトガスが少なく、有機発光層へのダメージが抑えることが可能となった。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、請求項1に係る発明として、有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、有機発光媒体層の少なくとも一層以上をウエットプロセスによって成膜する工程を含む有機EL素子の製造方法において、
前記隔壁パターンが一層以上の隔壁絶縁被膜層で開口部なく被覆されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法とした。
前記隔壁パターンが一層以上の隔壁絶縁被膜層で開口部なく被覆されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法とした。
また請求項2に係る発明としては、前記隔壁絶縁被膜層がSiO2、SiN、Si2N3、SiN4などの無機酸化物、無機窒化物、または無機弗化物のいずれかの絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法酸化物、窒化物いずれかの絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法とした。
また請求項3に係る発明としては前記有機発光媒体層が、前記隔壁に可溶である溶媒を
用いて成膜されることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子の製造方法とした。
用いて成膜されることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子の製造方法とした。
また請求項4に係る発明としては、請求項1から請求項3までの何れか記載の製造方法を用いて作製された表示装置とした。
有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、有機発光媒体層の少なくとも一層以上をウエットプロセスによって成膜する工程を含む有機EL素子の製造方法において、開口部が存在することによりその部分からのアウトガスや溶媒による溶出が少なく、均一な有機発光媒体層の形成を行うことで、欠陥やムラのない有機EL素子を得ることができた。
本発明の実施形態を、パッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルを作成する場合を例に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の有機ELディスプレイパネル断面の模式図を図1に示す。
有機ELディスプレイパネルにおける有機EL素子は透光性基板1上に形成される。透光性基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価にディスプレイパネルを提供できる。そのプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、これらのフィルムは水蒸気バリア性、酸素バリア性を示す酸化ケイ素といった金属酸化物、窒化ケイ素といった酸化窒化物やポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物からなるバリア層が必要に応じて設けられる。
透光性基板の上には陽極としてパターニングされた画素電極2が設けられる。画素電極2の材料としては、ITO(インジウム錫複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透明電極材料が使用できる。なお、低抵抗であること、耐溶剤性があること、透明性があることなどからITOが好ましい。ITOはスパッタ法により透光性基板上に形成されフォトリソ法によりパターニングされライン状の画素電極2となる。
ライン状の画素電極2を形成後、隣接する画素電極の間に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィー法により隔壁3が形成される。さらに詳しくは、感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程と、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程と、前記隔壁パターンに光照射等を施して親水化させる工程と、を少なくとも有する。
隔壁を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
隔壁3を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。
次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像
方法により隔壁部のパターンを形成できる。
次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像
方法により隔壁部のパターンを形成できる。
また、正孔輸送インキは水系であるがアルコールや溶剤の添加により表面張力を下げる処理をしてもよい。しかし、この場合には前記光照射処理だけでは隔壁パターンのインキ耐性が若干劣ることがあるし、隔壁材料や正孔輸送インキとの組合せによりインキ耐性の向上が必要となる場合がある。その場合は、光照射処理の前に前もって160℃以下の温度で加熱処理をして隔壁を仮硬化させる工程を設けることができる。加熱方法としては温風循環式のオーブン、ホットプレート、赤外線による加熱等が利用でき、特に限定されるものではない。しかし160℃以上の温度で加熱すると、界面活性剤のブリードアウトが多くなり隔壁表面がはじきやすくなる。
また、さらに樹脂の硬化が進むと現像性のある官能基が硬化反応で消費されてしてしまうため、硬化前より材料そのものの親水性が小さくなるため好ましくない。
本発明における隔壁3は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。隔壁3を隣接する画素電極間に設けることによって、各画素電極上に印刷された正孔輸送インキの広がりを抑え、また透明導電膜端部からのショート発生を防ぐことが出来る。隔壁が低すぎるとショートの防止効果が得られないことがあり注意が必要である。
また、例えばパッシブマトリックスタイプの有機ELディスプレイパネルにおいて、画素電極の間に隔壁3を設けた場合、隔壁を直行して陰極層を形成することになる。このように隔壁をまたぐ形で陰極層を形成する場合、隔壁3が高すぎると陰極層の断線が起こってしまい表示不良となる。隔壁3の高さが5.0μmを超えると陰極の断線がおきやすくなってしまう。
前記隔壁3形成後、隔壁絶縁被覆層4を形成する。隔壁絶縁被膜層に用いる材料としては、SiO2、SiN、Si2N3、SiN4などの酸化物、窒化物からなる絶縁体が好ましく、プラズマCVD法やスパッタ法で全面に成膜した後、フォトリソグラフィー工程を経てエッチングによってパターン形成する。
膜厚は開口部の一種であるピンホールを生ずることなく絶縁性が見込まれる10nm以上が適当である。
形成した隔壁絶縁被膜層は、目的に応じてUVオゾン洗浄によって表面性を変化させてもよい。
隔壁絶縁被膜層4形成後、正孔輸送層5を形成する。本発明では正孔輸送層5を形成する正孔輸送インキとして水系であってpH3以下の正孔輸送インキを用いることが好ましい。溶解タイプでは正孔輸送インキが印刷中に析出する等の問題が発生しやすいためである。
また上記水系の分散型正孔輸送インキは酸性であることが多いが、本発明ではこれを中和等することなく酸性の状態で使うことが好ましい。これは中和によりインキ安定性が悪化する、正孔輸送性が悪化するなどの可能性が生じるためである。また無機アルカリ等での中和はイオン分がコンタミしてしまい寿命等の悪化につながるため避けるべきである。
上記のような正孔輸送インキとしては導電率や正孔輸送性の点からポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)が特にこのましい。この材料は溶媒に溶解または分散させ、正孔輸送材料インキとなり、本発明の凸版印刷方法を用いて形成される。なお、形成される正孔輸送層の体積低効率は発光効率の
点から1×106Ω・cm以下のものが好ましい。
点から1×106Ω・cm以下のものが好ましい。
正孔輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、水等から構成される混合溶媒などが上げられるが、本発明では水または水に任意の割合で混合可能な溶媒からなることが好ましい。
図2に正孔輸送材料からなる正孔輸送インキを、画素電極、隔壁が形成された被印刷基板上に凸版印刷法によりパターン印刷する際の凸版印刷装置の概略図に示した。本製造装置はインキタンク10とインキチャンバー12とアニロックスロール14と凸部が設けられた版16がマウントされた版胴18を有している。インキタンク10には溶剤で希釈された有機発光インキが収容されており、インキチャンバー12にはインキタンク10より正孔輸送インキが送り込まれるようになっている。アニロックスロール14はインキチャンバー12のインキ供給部に対して回転可能に支持されている。
アニロックスロール14の回転に伴い、アニロックスロール表面に供給された正孔輸送インキのインキ層14aは均一な膜厚に形成される。このインキ層はアニロックスロールに近接して回転駆動される版胴18にマウントされた版16の凸部に転移する。平台20には、透明電極および隔壁が形成された被印刷基板24が版16の凸部による印刷位置にまで図示していない搬送手段によって搬送されるようになっている。そして、版16の凸部にあるインキは被印刷基板24に対して印刷され、必要に応じて乾燥工程を経て被印刷基板上に正孔輸送層が形成される。
なお、今回凸版に使用した感光性樹脂凸版は水現像タイプのものを使用した。感光性樹脂版には、露光した樹脂版を現像する際に用いる現像液が有機溶剤である溶剤現像タイプのものと現像液が水である水現像タイプのものがある。溶剤現像タイプのものは水系のインキに耐性を示し、水現像タイプのものは有機溶剤系のインキに耐性を示す傾向があるが、この限りではなく正孔輸送インキに耐性を持ったものであればいずれの樹脂凸版も用いることができる。
上記により隔壁3形成した基板1に前述の凸版印刷法により正孔輸送インキを印刷して正孔輸送層5を形成し、隔壁3と正孔輸送層5を同時焼成してから次の工程に進む。ここで隔壁3と正孔輸送層5を同時に焼成する条件は200℃〜250℃で10分〜60分間加熱であることが好ましい。この焼成において、正孔輸送層とともに隔壁が完全に硬化して、有機EL素子として十分な耐性が得られる。ここで焼成温度が200℃以下では隔壁、正孔輸送層ともに焼成条件としては低く、隔壁材料の未硬化や正孔輸送層からの水分の蒸発不足などの問題が懸念される。また250℃以上では温度が高すぎるために隔壁及び正孔輸送層が熱劣化してしまう危険がある。また時間が10分以下では短いために焼成不足となるし、60分以上では生産性が劣るため好ましくない。
正孔輸送層5形成後、有機発光層を形成する。有機発光層は電流を通すことにより発光する層であり、有機発光層を形成する有機発光材料は、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられる。
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の単独またはこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶剤が有機発光材料の溶解性の面から好適である。又、有機発光インキには、必要に応じて、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されても良い。
有機発光層の形成方法としては、本発明の凸版印刷法の他にインクジェット法や凹版オフセット印刷法、凸版反転オフセット印刷法等によりパターン形成することが可能である。なお、本発明の凸版印刷法を用いる場合は、有機発光インキに適した樹脂凸版を使用することが出来、中でも水現像タイプの感光性樹脂凸版が好適である。
有機発光層5形成後、陰極層6を画素電極のラインパターンと直交するラインパターンで形成する。陰極層6の材料としては、有機発光層の発光特性に応じたものを使用でき、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、アルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀などの安定な金属との合金などが挙げられる。また、インジウム、亜鉛、錫などの導電性酸化物を用いることもできる。陰極層の形成方法としてはマスクを用いた真空蒸着法による形成方法が挙げられる。
なお、本発明の有機EL素子では陽極である画素電極と陰極層の間に陽極層側から正孔輸送層と有機発光層を積層した構成であるが、陽極層と陰極層の間において正孔輸送層、有機発光層以外に正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層といった層を必要に応じ選択した積層構造をとることが出来る。また、これらの層を形成する際には発光層と同様の形成方法が使用できる。
最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップ7と接着剤8を用いて密閉封止し、表示装置である有機ELディスプレイパネルを得ることが出来る。また、透光性基板が可撓性を有する場合は封止剤と可撓性フィルムを用いて封止を行っても良い。
本発明の実施例について述べる。体格1.8インチサイズのガラス基板の上にスパッタ法を用いてITO(インジウム−錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、画素電極を形成した。画素電極のラインパターンは、線幅136μm、スペース30μmでラインが約32mm角の中に192ライン形成されるパターンとした。
次に隔壁を以下のように形成した。画素電極を形成したガラス基板上にポジ型感光性ポリイミドを全面スピンコートし、隔壁の高さを1.5μmとした。全面に塗布した感光性材料に対し、フォトリソグラフィー法により露光、現像を行い画素電極の間にラインパターンを有する隔壁を形成した。この後隔壁を230℃30分大気中で焼成した。
次に隔壁絶縁被膜層を以下のように形成した。プラズマCVD法にてSiONを全面に成膜し、膜厚を5nmとした。その後フォトリソ法とエッチングでパターン形成した。
次に、正孔輸送インキとして80重量部、超純水20重量部を混合、調液しインキとした。このPEDOT水溶液を用い粘度を測定したところ5.5mPa・sであった。上記のインキを用いて凸版印刷法にて隔壁間に正孔輸送層を形成した。印刷後、200℃10分大気中で隔壁と正孔輸送層の焼成を同時に行い隔壁および、正孔輸送層を形成した。このときの正孔輸送層の膜厚は50nmとなった。形成された正孔輸送層に対し、パターニ
ング状態の確認を行った。
ング状態の確認を行った。
次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて有機発光層を凸版印刷法で印刷を行った。印刷、乾燥後の有機発光層の膜厚は80nmとなった。形成された有機発光層に対し、パターニング状態の確認を行った。
その上にCa、Alからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを作製した。
本実施の形態で得られた有機ELディスプレイパネルの表示部周辺には各画素電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた表示装置である有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行い、発光状態および発光特性のチェックを行った。
その結果、発光面の隔壁付近と隔壁間の中点における輝度差は5%以内の膜厚であった。また輝度が6Vで160cd/m2、また、初期輝度400cd/m2における輝度半減時間は1600時間の、高発光効率、高発光輝度、長寿命の表示特性を得られた。さらに温度50℃、湿度90%の恒温高湿環境で加速試験を行った結果、5000時間で発光面にダークスポットが発見された。
実施例1の隔壁絶縁被膜層の膜厚を20nmとし、それ以外は同様に作製した。
その結果、発光面の隔壁付近と隔壁間の中点における輝度差は5%以内の膜厚であった。輝度が6Vで160cd/m2、また、初期輝度400cd/m2における輝度半減時間は2000時間の、高発光効率、高発光輝度、長寿命の均一な発光面をした良好な表示特性を得られた。また温度50℃、湿度90%の恒温高湿環境で加速試験を行った結果、8000時間で発光面にダークスポットが発見された。
<比較例1>
実施例1の隔壁絶縁被膜層を設けることなく、それ以外は同様に作製した。
実施例1の隔壁絶縁被膜層を設けることなく、それ以外は同様に作製した。
その結果、発光面の隔壁付近と隔壁間の中点における輝度差は20%で不均一であった。輝度が6Vで100cd/m2、また、初期輝度400cd/m2における輝度半減時間は1200時間の表示特性を得られた。また温度50℃、湿度90%の恒温高湿環境で加速試験を行った結果、1000時間でダークスポットが発見された。
1:透光性基板
2:画素電極
3:隔壁
4:隔壁絶縁被膜層
5:正孔輸送層
6:有機発光層
7:陰極層
8:ガラスキャップ
9:接着剤
10:インキタンク
12:インキチャンバー
14:アニロックスロール
14a:インキ層
16:版
18:版胴
20:平台
24:被印刷基板
2:画素電極
3:隔壁
4:隔壁絶縁被膜層
5:正孔輸送層
6:有機発光層
7:陰極層
8:ガラスキャップ
9:接着剤
10:インキタンク
12:インキチャンバー
14:アニロックスロール
14a:インキ層
16:版
18:版胴
20:平台
24:被印刷基板
Claims (4)
- 有機物からなる隔壁で区切られた画素内に、有機発光媒体層の少なくとも一層以上をウエットプロセスによって成膜する工程を含む有機EL素子の製造方法において、
前記隔壁パターンが一層以上の隔壁絶縁被膜層で開口部なく被覆されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。 - 前記隔壁絶縁被膜層が無機酸化物、無機窒化物、または無機弗化物のいずれかの絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記有機発光媒体層が、前記隔壁に可溶である溶媒を用いて成膜されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
- 請求項1から請求項3までの何れか記載の製造方法を用いて作製された表示装置。
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