JP2008281710A - 表示媒体、表示装置および表示方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解液中の金属イオンを析出させて表示を行う従来の技術と比較して、より高い発色濃度でも表示が可能な表示媒体を提供すること。
【解決手段】片面に透明電極310が設けられた透光性を有する第1の基板100と、前記透明電極310表面に配置され、透明電極310表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔410を複数有する部材400と、第1の基板100の透明電極310が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、第1の基板100と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液500と、透明電極310と絶縁され且つ電解液500と接する位置に配置された対向電極と、を備えたことを特徴とする表示媒体。
【選択図】図7

Description

本発明は、表示媒体、表示装置および表示方法に関するものである。
繰り返し書き換え可能な表示媒体としては、2色に塗り分けられた粒子を回転させて表示を行う表示媒体や、粒子の電気泳動などを利用した表示媒体、また、メモリ性を有する液晶を利用した表示媒体などが知られている。
この他にも銀塩溶液の電解液を利用して、電界印加や光照射により銀などの金属を析出・溶解させて表示する方式を採用した表示媒体も提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
一方、上述した技術を利用した表示媒体を電子ペーパー等の用途で利用することを考慮した場合、基本的には白黒表示が最も重要であるが、見栄えの良さやより多彩な表現が可能であることからカラー表示ができることも重要である。
カラー表示に関しては、例えば、特許文献1,2に示した電解液と電界印加とを組み合わせて利用する方式では、カラーフィルターを利用すれば多様なカラー表示を行うことができる。
これに対して、電解液中の金属を析出・溶解させて表示する方式の表示媒体において、カラーフィルターを用いることなく発色濃度の高いカラー表示が可能な表示媒体も提案されている(特許文献3参照)。この技術を採用した表示媒体では、金属微粒子のプラズモン発色を利用して表示するもので、表示する色の種類は、金属微粒子の粒径によって制御される。この技術では、表示される色が鮮明となるように、金属微粒子の粒度分布が所定の範囲内となるように制御している。
特開2000−338528号公報 特開2005−92183号公報 特開2007−011260号公報
本発明は、電解液中の金属イオンを析出させて表示を行う場合において、柱状の金属粒子を析出させて表示を行う表示方法並びにこれを用いた表示媒体および表示装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
片面に透明電極が設けられた透光性を有する第1の基板と、
前記透明電極表面に配置され、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材と、
前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液と、
前記透明電極と絶縁され且つ前記電解液と接する位置に配置された対向電極と、を備えたことを特徴とする表示媒体である。
請求項2に係わる発明は、
前記第1の基板の前記透明電極が配置された側の面の反対側の面と、前記貫通孔の孔軸と、の成す角度が、0度以上90度未満の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項3に係わる発明は、
前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、
前記一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、前記他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度が、5度以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項4に係わる発明は、
前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔が、一方向に配向していることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項5に係わる発明は、
前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、
前記一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、前記他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度が、0度を超え5度未満の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項6に係わる発明は、
前記第1の基板および前記透明電極間、および、前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面と反対側の面から選択される少なくともいずれかの位置に、偏光板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項7に係わる発明は、
前記貫通孔に、金属が析出していない第1の状態、および、金属が析出している第2の状態から選択される少なくとも一方の状態において画像が表示され、
表示される画像を切り替えながら表示を行う際に、一の画像から他の画像への表示が完了する毎に、全ての貫通孔の少なくとも一部において前記第2の状態が選択されている場合には、貫通孔に析出している金属は、その最大径に対する貫通孔の孔軸方向の長さの比が2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項8に係わる発明は、
画像情報が入力された際に、前記画像情報に対応する画像が表示されるように前記電界液に印加する電界を制御する電界制御手段を備え、
前記電界制御手段に画像情報が入力された際に、前記画像情報に応じて、(1)金属イオンを還元させる電界を電界液に印加して、貫通孔中に金属を析出させる金属析出工程、および、(2)貫通孔中に析出している金属を酸化させる電界を電界液に印加して、前記貫通孔中に析出した前記金属を溶解させる金属溶解工程、から選択される少なくとも一方の工程が実施され、
前記画像情報に対応した画像の表示が完了した際に、貫通孔に金属が析出していない状態、および、貫通孔に金属が析出しており且つ前記貫通孔に析出している金属の最大径に対する前記貫通孔の孔軸方向の長さの比が2以上である状態、から選択される少なくとも一方の状態が得られるように、
前記少なくとも一方の工程が、実施されることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項9に係わる発明は、
片面に透明電極が設けられた透光性を有する第1の基板と、
前記透明電極表面に配置され、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材と、
前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液と、
前記透明電極と絶縁され且つ前記電解液と接する位置に配置された対向電極と、
前記透明電極および前記対向電極に接続され、前記電界液に電界を印加する電界印加手段と、を備えたことを特徴とする表示装置である。
請求項10に係わる発明は、
片面に透明電極が設けられた透光性を有する基板の前記透明電極表面に配置され、金属イオンを含む電解液と接触すると共に、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材の貫通孔中に、
前記電解液に対して、少なくとも前記透明電極を介して前記金属イオンを還元する電界を印加することにより、柱状の金属を析出させる金属析出工程を経て、一の画像を表示させることを特徴とする表示方法である。
以上に説明したように、請求項1に記載の発明によれば、電解液中の金属イオンを柱状の金属粒子として析出させて表示を行う表示媒体を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より多様な色の表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、視野角依存性の小さい表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、視野角依存性の特に大きい表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、視野角依存性の大きい表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、ある柱状金属が析出した場合の表示色を選択することが可能な表示媒体を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、常に、高い発色濃度での画像の表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、常に、高い発色濃度での画像の表示が可能な表示媒体を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、電解液中の金属イオンを柱状の金属粒子として析出させて表示を行う表示装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、電解液中の金属イオンを柱状の金属粒子として析出させて表示を行う表示方法を提供することができる。
(表示方法)
本実施形態の表示方法は、片面に透明電極が設けられた透光性を有する基板の前記透明電極表面に配置され、金属イオンを含む電解液と接触すると共に、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比(以下、最大孔径等の短手方向の長さを分母、貫通孔の長さ等の長手方向の長さを分子として算定した値を「アスペクト比」と称す場合がある)が2以上である貫通孔を複数有する部材の貫通孔中に、前記電解液に対して、少なくとも前記透明電極を介して前記金属イオンを還元する電界を印加することにより、金属を析出させる金属析出工程を経て、一の画像を表示させることを特徴とする。
上記金属析出工程を実施した場合、電解液中の金属イオンが還元されて貫通孔中に金属が析出し、その析出が進むにつれて貫通孔に析出した金属は貫通孔の軸方向に成長し、柱状の金属粒子(以下、「柱状金属」と称す)となる(なお、本願明細書において「柱状金属」とは、最大径に対する軸方向長さの比(アスペクト比)が1を超える金属粒子を意味する。また、説明の都合上、「柱状金属」との違いを明確にするために、アスペクト比が1の金属粒子を「粒子状金属」と称す場合がある)。
このため、電解液中の金属イオンを還元して、アスペクト比を制御しながら柱状金属を貫通孔に析出させることにより、柱状金属の吸収波長をアスペクト比に応じて変化させることができる。さらに、一旦析出した柱状金属を酸化して、アスペクト比を制御しながら柱状金属を溶解させることにより、柱状金属の吸収波長をアスペクト比に応じて変化させることもできる。
また、単位面積当たりに析出する金属粒子の析出密度が同じであれば、粒子状金属を析出させた場合よりも柱状金属を析出させた方が、単位面積当たりの発色に寄与する金属量が大きくなる。このため、電解液中の金属イオンを析出させて表示を行う従来の技術と比較して、本実施形態の表示方法の方がより大きい発色濃度(特定波長の光の吸収量)を得ることができる。
なお、貫通孔のアスペクト比は2以上であることが必要であるが、析出させる柱状金属のアスペクト比を大きくすることにより発色濃度をより高くできる観点からは、10以上であることが好ましく、15以上がより好ましい。貫通孔のアスペクト比が2未満では、貫通孔に析出する金属のアスペクト比も小さくなるため、より大きい発色濃度が得られなくなる。
一方、貫通孔のアスペクト比の上限は特に限定されるものではないが、実用上は30以下であることが好ましい。
また、貫通孔は、透明電極表面側から一方向に、好ましくは直線状に貫通するように貫通孔を複数有する部材中に形成されるものである。ここで、貫通孔の中心軸(以下、「孔軸」と称す)と透明電極表面との成す角度は0度を超え180度未満の範囲であれば特に限定されず、貫通孔は、全ての貫通孔がある同一の一の方向に配向していてもよく、全ての貫通孔が互いに異なる方向に配向していてもよく、全ての貫通孔の一部が一の方向に配向し、他の一部が他の方向に配向していてもよい。貫通孔を用いて柱状金属を析出させることで、析出する柱状金属の形状やサイズを制御でき、より所望する表示がしやすくなる。例えば析出する柱状金属の形状・サイズを略同一にすることで、吸収波長のピーク位置も略同一になり、純色性を高めることができる。
また、貫通孔の孔軸方向と直交する方向の断面形状としては特に限定されるものではなく、円形、楕円形、四角形などの多角形等の任意の形状とすることができるが、円形が最も好ましい。また、貫通孔の孔軸方向と直交する方向の断面形状の短径に対する長径の比(アスペクト比)は、1以上2以下の範囲内であることが好ましく、1が最も好ましい。理由としては、柱状金属の底面部分による吸収波長が、底面の長径と短径とで等しくなるためである。
以下、説明の都合上、特に説明の無い限り貫通孔の軸方向と直交する方向の断面形状が円形であることを前提として説明するが、本発明において貫通孔の軸方向と直交する方向の断面形状は円形のみに限定されるものではない。
ここで、貫通孔の平均孔径としては特に限定されるものではないが、1nm以上1μm以下の範囲内であることが好ましい。しかし、特に金属のプラズモン発色を利用した表示が行えるという観点からは、貫通孔内に析出する金属の種類・組成に依存するものの、平均孔径は1nm以上100nm以下の範囲内がより好ましく、3nm以上70nm以下の範囲内であることが更に好ましい。なお、貫通孔の孔軸方向と直交する方向の断面形状が楕円形や多角形などの円形以外の形状である場合、貫通孔の孔径は、円形以外の形状と同等の面積を有する円の直径を意味する。
また、発色する色の鮮やかさを確保する観点からは、貫通孔の孔径分布は、少なくとも透明電極表面の特定の領域に対応するように配置されている貫通孔を複数有する部材において、下式(1)で示される孔径分布指標値Dが0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0(すなわち、単分散)であることが最も好ましい。
・式(1) 孔径分布指標値D=Ps(±30)/Ps(T)
ここで、式(1)中、Ps(T)は、特定の領域に対応するように配置されている貫通孔を複数有する部材に存在する貫通孔の孔径分布において、当該孔径分布の極大ピークにおける最大ピーク高さを意味し、Ps(±30)は、孔径分布の極大ピークにおける最大ピーク高さに対応する孔径±30%の孔径に対応するピーク高さを意味する。
なお、上記「特定の領域」とは、一定の面積を持つ連続した領域であれば特に限定されず、基板上に設けられた透明電極表面の貫通孔を複数有する部材が設けられた全領域であってもよい。しかし、通常は、透明電極表面の貫通孔を複数有する部材が設けられた全領域のうちの一部の領域を意味し、例えば、一画素として機能する領域などを意味する。
また、孔径分布指標値Dを求める上で必要となる特定の領域に対応するように配置されている貫通孔を複数有する部材に存在する貫通孔の孔径やその分布は、以下のようにして求めた。
特定の領域に対応するように配置されている貫通孔を複数有する部材の表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、日立製:S−4500)を用い、倍率10万倍にて撮像した画像を得る。次にこの画像内に観察される個々の貫通孔の孔径を測定する。このデーターを基に孔径分布や平均孔径も得ることができる。なお、孔径分布や平均孔径を求める場合において、サンプリングの対象は100個とした(但し、画像中に観察される貫通孔が100個未満の場合は、サンプリング対象は全ての貫通孔とした)。また、平均孔径は、面積から換算した円相当径を用いた。
本発明に用いられる貫通孔を複数有する部材の詳細については後述するが、貫通孔を複数有する部材としては、通常は、孔径分布が実質的に単分散であるものが用いられる。このため、通常は、本実施形態の表示方法を利用すれば鮮やかな色の表示を行うことができる。但し、勿論、孔径分布指標値Dが意図的に大きくなるように制御した貫通孔を複数有する部材を利用することにより、表示される色が不鮮明となる方向に制御することも可能である。
また、発色濃度を更に高くする観点からは、単位面積当たりに存在する貫通孔の密度は高い方が好ましい。なお、単位面積当たりに存在する貫通孔の最大密度は平均孔径によって異なってくる点を考慮すれば、貫通孔を複数有する部材表面の単位面積当たりの貫通孔の面積率は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましい。面積率が10%未満では、発色濃度が不十分となる場合がある。
これに対して、面積率の上限は特に限定されるものではないが、面積率が大きすぎる場合には、隣接する貫通孔同士が連続してひとつの孔を形成し易くなり、貫通孔を複数有する部材の作製自体が困難となる場合があるため、実用上は60%以下であることが好ましい。
一方、本発明では、画像の表示に際して、貫通孔中に金属を析出させる金属析出工程を少なくとも実施するため、貫通孔中に析出する金属の析出量を制御することにより様々なアスペクト比の金属粒子を貫通孔中に形成できる。それゆえ、表示を行う場合に貫通孔中に析出する金属粒子のアスペクト比を制御することにより、発色濃度の向上以外にも更に多様な効果を得ることができる。
なお、上述した効果を具体的に説明する上での予備知識として、まず、球状の金属粒子には無い柱状金属特有の光学特性について以下に示す図1〜図5により説明する。
但し、以下に示す図1〜図5は、柱状金属の光学特性の代表的な特徴の理解を容易とするために、これらの特徴を強調して定性的・概念的に説明したものである(なお、より正確/詳細な柱状金属の光学特性については、必要であれば、例えば、「プラズモンナノ材料の設計と応用技術(シーエムシー出版)」第4章等を参照されたい。)
図1は、ランダムに配向している柱状金属の典型的な吸収スペクトルの一例を示すグラフである。ここで、図中、横軸は波長を意味し、縦軸は吸光度を意味し、図中の実線で示された短波長側のピークP(S1)および長波長側のピークP(L1)の合成スペクトル(図中のピークP(S1)、P(L1)を示す実線と、両ピークの重なりとして示される一点鎖線とで示される波形)として表される吸光スペクトルは、図中上部に模式的に示される柱状金属(符号MLで示される長方形)に起因する吸収スペクトルを意味する。
なお、図中の上部に示される柱状金属は、短軸長さがS1、長軸長さがL1(但し、L1/S1は1よりも十分に大きい値を意味する)であり、図中の合成スペクトルは、ランダムに配向した複数の柱状金属を観察した場合の結果を示したものである。
図1に示されるように柱状金属の吸収スペクトルは、柱状金属の短軸成分に起因する吸収スペクトルである短波長側のピークP(S1)成分と、柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルである長波長側のピークP(L1)成分と、に、それぞれの軸成分を視認できる量の重み付けをした成分が合成されたものである。
このため、柱状金属が一方向に配向している場合において、柱状金属の長軸方向から観察した場合、図1に示すスペクトルと比較するとピークP(S1)成分に対してピークP(L1)成分の強度が相対的に非常に弱くなった吸収スペクトルが観察されることになる(図2参照。なお、図中、柱状金属の長軸方向右側に示されるEYEマークは、観察者の位置を表し、以下の図3以降においても同様である。)。
また、柱状金属が一方向に配向している場合において、柱状金属の長軸方向に対して角度θ(但しθは0度を超え90度以下の鋭角を意味する)を成す方向から観察した場合、図2に示すスペクトルと比較するとピークP(S1)に対してピークP(L1)の強度が相対的に強くなったスペクトルが観察されることになる(図3)。このように、柱状金属が一方向に配向している場合は、観察する方向によって、吸収スペクトルの波形が変化し視認される色が異なってくる。
さらに、柱状金属が一方向に配向している場合において、偏光板を介して柱状金属を観察することにより、ピークP(S1)成分又はピークP(L1)成分のいずれかを選択的にカットした波形の吸収スペクトルを得ることもできる。
図4は、図3に示す例において、偏光板を介して柱状金属を観察した場合の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。図4に示す例では、柱状金属および観察者間に符号Pで示される偏光板が、当該偏光板表面が図中の矢印で示される観察方向と垂直に交わるように配置されており、柱状金属の長軸と観察方向との成す角度θは、0度を超え数度程度の鋭角を意味する。ここで、偏光板は、観察方向を基準軸として柱状金属が基準軸に対して角度θを成すように配向していると捉えた場合、柱状金属の配向ベクトル(図中、柱状金属の中心軸として示される一点鎖線と平行なベクトル)のうちの基準軸と直交する成分のベクトルと平行な方向の偏光成分(図中、2重線で示される両矢印)をカットするように配置される。このため、図3に示す吸収スペクトルに対して短軸方向と相互作用する偏光がカットされた吸収スペクトルが観察される(図4)。
従って、柱状金属が一方向に配向している場合において、柱状金属を長軸方向から観察した場合や、長軸方向に対して数度程度ずれた角度から観察した場合には、通常は、図2に例示されるように主にピークP(S1)成分に起因する吸収スペクトルしか観察できない。しかし、図4に例示するように偏光板を利用してやれば、柱状金属を長軸方向に対して数度程度ずれた角度から観察すると、主にピークP(S1)成分に起因する吸収スペクトルではなく、主にピークP(L1)成分に起因する吸収ピークを観察することができる。
すなわち、柱状金属をほぼ同じ位置から観察しても、偏光板を利用すれば観察される吸収スペクトルの波形が変化し、視認される色が異なってくることになる。
一方、柱状金属の吸収スペクトルの波形は、柱状金属を構成する金属種やサイズ・形状を選択することによっても制御でき、この点は球状の金属粒子と同様である。しかし、球状の金属粒子のサイズ・形状制御要因は粒径のみであるが、柱状金属の場合は、短軸、長軸の2つの制御要因を独立して制御できる(すなわち、アスペクト比が自由に変えられる)。このため、同じ金属組成を有する球状の金属粒子と柱状金属とを比較した場合、柱状金属の方が、より多様な波形の吸収スペクトルを得ることができるといえる。
図5は、図1に示す例において柱状金属の短軸長さをS1で固定した状態で、長軸長さをL1、L2、L3の3水準で変化させた場合の柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルである長波長側のピーク成分の変化の一例について示すグラフである。
なお、図中、P(L1)は、柱状金属の長軸長さがL1である場合の柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルを表し、P(L2)は、柱状金属の長軸長さがL2である場合の柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルを表し、P(L3)は、柱状金属の長軸長さがL3である場合の柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルを表し、S1、L1、L2、L3は、S1<L3<L2<L1なる関係を満たす。また、説明の都合上、長軸成分に起因する吸収スペクトルと短軸成分に起因する吸収スペクトルとの合成スペクトルについては記載を省略してある。
図5に示されるように、柱状金属の長軸長さがL1からL2、L3へと短くなるに従い(アスペクト比が小さくなるに従い)、柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルの波形の強度や最大吸収波長が変化していることがわかる。このことから、柱状金属の短軸長さが同一であっても、長軸長さを変えていくことによって、柱状金属の吸収スペクトルが変化し、視認される色が異なってくることになる。
以上に説明した柱状金属の光学特性を利用した好適な実施態様としては、例えば、基板の透明電極が配置された側の面と反対側の面(以下、「基準面」と称す場合がある)と、貫通孔の孔軸と、の成す角度(以下、「孔軸角度」と略す場合がある)を、0度以上90度未満の範囲内、つまり、基準面に対して孔軸角度が垂直でない態様とすることが挙げられる。孔軸角度を上述した範囲とするメリットは以下の通りである。
まず、本実施形態の表示方法を利用した表示媒体を製造する場合、表示媒体の構成の簡易さや製造性の観点からは、電解液中の金属を析出させる側の基板は、例えば、以下に例示する構成としたものが挙げられる
すなわち、電解液中の金属を析出させる側の基板の構成例としては、両面が平坦なガラス基板の片面にITO(Indium Tin Oxide)膜を透明電極として形成し、この透明電極表面に貫通孔を複数有する部材としてアルミ膜を蒸着等により形成した後、陽極酸化によりアルミ膜の膜厚方向に貫通する貫通孔を設けたものが挙げられる。このプロセスを経て作製された透明電極・貫通孔を複数有する部材を有する基板では、孔軸角度が90度となるように貫通孔を複数有する部材が設けられることになる。
一方、表示される画像は、表示媒体の構成や使用用途などにも依存すると考えられるが、一般的には基準面と略垂直な方向から観察される機会の方が、その他の方向から観察される機会よりも相対的に高い場合が多いと考えられる。
よって、表示される画像が基準面と垂直な方向から観察されると仮定した場合、孔軸角度が90度であれば、貫通孔に柱状金属が析出した状態では基本的に図2に示すように主に柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトルに対応する色しか確認できないことになる。
これに対して、孔軸角度が0度以上90度未満の範囲内であれば、図3に示される柱状金属の短軸方向に起因した吸収スペクトルと、孔軸角度(図3中では、90−θ度として表される角度)の減少に伴い、柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分の強度に対して柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分の強度が相対的に増加した吸収スペクトルに対応する色が確認できる。さらに、孔軸角度を0度にすれば、図2に示した吸収スペクトルとは逆パターンの吸収スペクトル(主に柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトル)に対応する色も確認できる。
すなわち、孔軸角度を変えることによって、貫通孔に析出した柱状金属の短軸長さとアスペクト比とが一定であっても、異なる色を表示することができる。このため、孔軸角度を0度以上90度未満の範囲で選択することによって、より多様な色の表示が可能である。
なお、孔軸角度は、表示したい色に応じて任意に設定できるが、例えば、(1)柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分に対して、柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分をより強調した吸収スペクトルに対応した色を得たい場合には、80度を超え90度未満であることが好ましく、(2)柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分に対して、柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分をより強調した吸収スペクトルに対応した色を得たい場合には、0度を超え10度未満であることが好ましく、(3)柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分と、柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分とをバランス良く強調した吸収スペクトルに対応した色を得たい場合には、10度以上80度以下であることが好ましく、(4)主に柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトルに対応した色を得たい場合には、0度が好ましく、(5)主に柱状金属の短軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトルに対応した色を得たい場合には、90度が好ましい。
一方、図1〜図3に示されるように、観察者との関係で柱状金属がどの方向に配向しているかによって、観察される色が異なるが、この特性を利用して、視野角依存性を制御することができる。
具体的には、図1に示されるグラフから明らかなように、観察者の視野内に画像として捉えられる全ての柱状金属の配向がランダムであればあるほど、表示された画像をいずれの方向から観察しても、その色調には余り差異がなくなる傾向にあり、視野角依存性は小さくなるといえる。
これに対して、図2や図3に示されるグラフから明らかなように、観察者の視野内に画像として捉えられる全ての柱状金属の配向が一方向に配向すればするほど、表示された画像を、いずれの方向から観察するかによって、その色調は大きく異なる傾向にあり、視野角依存性は大きくなるといえる。
それゆえ、視野角依存性の小さい表示を行いたい場合には、貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度(孔軸交差角度)が5度以上90度以下の範囲内であることが好ましく、15度以上90度以下の範囲内であることがより好ましい。孔軸交差角度が5度未満の場合は、視野角依存性が大きくなってしまう場合がある。
なお、上述した範囲を満たす孔軸交差角度は、全ての貫通孔において、その配向方向が3つ以上存在する場合、少なくともいずれか一組の配向方向の組み合わせにおいて満たされていればよい。しかし、視野角依存性をより小さくする観点からは、より多くの配向方向の組み合わせについて満たされていることが好ましい。
また、孔軸交差角度が上述した範囲を満たす関係にある一の方向に配向する貫通孔の数(N1)に対する他の方向に配向する貫通孔の数(N2)の比率(N2/N1)は、1以上3以下の範囲が好ましく、1以上1.5以下の範囲がより好ましく、1が最も好ましい。N2/N1が上記範囲を外れる場合は、N1+N2個の貫通孔が実質的に同じ方向に配向している状態と変らなくなり、視野角依存性を小さくすることが困難となる場合がある。
これに対して、視野角依存性の特に大きい表示を行いたい場合には、貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔が、一方向に配向していることが最も好ましい。
また、上記の場合よりも若干効果は劣るものの、視野角依存性の大きい表示を行いたい場合には、貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度が、0度を超え5度未満の範囲内であることが好ましい。この範囲であれば、ある方向から見たときの色のばらつきがほとんどなくなる。孔軸交差角度が5度以上の場合は、視野角依存性が小さくなってしまう場合がある。
なお、上述した範囲を満たす孔軸交差角度は、全ての貫通孔において、その配向方向が3つ以上存在する場合、全ての配向方向の組み合わせにおいて満たされていることが好ましい。少なくともいずれか一組の配向方向の組み合わせにおいて、孔軸交差角度が上述した範囲を満たされない場合には、視野角依存性が小さくなってしまう場合がある。
また、柱状金属の光学特性を利用したその他の好適な実施態様としては、貫通孔を複数有する部材の透明電極が配置された側、および、貫通孔を複数有する部材の透明電極が配置された側と反対側、から選択される少なくともいずれかの側に、観察者が存在する場合において、観察者から貫通孔を複数有する部材までの任意の位置であって、且つ、観察者の貫通孔を複数有する部材が存在する側の視界を遮る位置に偏光板を配置することも好ましい。
この場合、観察者が、基板に表示される画像を観察した場合、孔軸角度と偏光板がカットすることが可能な偏光方向との組み合わせに応じて、偏光板を設けない場合に観察される吸収スペクトルから、貫通孔に析出した柱状金属の短軸方向または長軸方向に起因するピーク成分を選択的にカットした吸収スペクトルに対応する色が観察されることになる。すなわち、偏光板の利用により、偏光板を利用しない場合では表現できなかった異なる色の表示が可能となる。言い換えれば、偏光板を利用すればある柱状金属が析出した場合の表示色が選択できる。
一方、一旦表示した画像を消去したり書き換えたり、あるいは、画像の色調や絵柄を変化させたりする上では、金属析出工程を少なくとも経ることによって、貫通孔中に析出した金属を、再び電解液中に溶解させることが好ましい。
この観点からは、本実施形態の表示方法は、金属析出工程を少なくとも経ることによって、貫通孔中に金属が析出した状態において、電解液に対して、少なくとも透明電極を介して貫通孔中に析出した金属を酸化する電界を印加することにより、金属を溶解させる金属溶解工程を有することが好ましい。
これにより、少なくとも金属析出工程を経ることによって一の画像を表示した後に、金属溶解工程を実施することにより、他の画像(表示が全て無地である場合も含む)を表示させることができるため、様々な画像を切り替えて表示することがより容易である。
ここで、金属析出工程や金属溶解工程は、任意の順に実施でき、また、各工程を実施した場合の金属の析出量や溶解量も任意に選択できる。
例えば、貫通孔のアスペクト比が10である場合において、金属析出工程を実施して貫通孔内にアスペクト比が2程度の柱状金属を析出させて第1の画像を表示した後、2回目の金属析出工程を実施して貫通孔内にアスペクト比が8程度の柱状金属を析出させて第2の画像を表示し、更に、金属溶解工程を実施してアスペクト比が4程度となるように貫通孔内の柱状金属を一部だけ溶解させて第3の画像を表示させ、その後に2回目の金属溶解工程を実施して貫通孔内の金属を全て溶解させて第4の画像を表示させる等の順で、各工程を実施できる。
なお、金属析出工程を実施する場合、貫通孔のアスペクト比の範囲内において、電解液に印加する電界条件を制御することにより貫通孔内に任意のアスペクト比を有する金属粒子を析出させることができる。
しかし、金属析出工程を実施した後に貫通孔内に析出した金属粒子のアスペクト比が2未満である場合には、図1〜図5に例示した柱状金属特有の光学的特性を利用した表示を行うことが困難となる。この場合、表示される画像の色彩やその変化などの表現力が、アスペクト比が1前後の金属粒子を析出させた場合と同程度となってしまう。
この観点や、既述した発色濃度の向上という観点からは、金属析出工程を実施する場合、貫通孔内に析出させる柱状金属のアスペクト比は(上限値が、貫通孔のアスペクト比以下の範囲内において)、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることが最も好ましい。なお、貫通孔内に析出させる柱状金属のアスペクト比の上限値は貫通孔のアスペクト比以下の範囲内であれば特に限定されるものではないが、画像表示速度の低下抑制等の観点からは実用上、30以下であることが好適である。
また、第1の画像が表示されている状態で、金属析出工程および金属溶解工程から選択される少なくとも一方の工程を実施することにより、第1の画像から(この第1の画像と異なる)第2の画像へと表示を切り替える場合において、第1の画像から第2の画像への表示の切り替えが完了した際に、貫通孔に金属が析出していない状態(非析出状態)、および、貫通孔に金属が析出しており且つ貫通孔に析出している金属の最大径に対する貫通孔の孔軸方向の長さの比(アスペクト比)が2以上である状態(析出状態)、から選択される少なくとも一方の状態となるように、上述した少なくとも一方の工程が実施されることが好ましい。
ここで、析出状態におけるアスペクト比は、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。上述した非析出状態や析出状態が常に得られるように金属析出工程や金属溶解工程を実施しない場合には、画像を切り替えて表示していく際に、常により高い発色濃度が得られなくなる場合がある。なお、析出状態におけるアスペクト比の上限は、貫通孔のアスペクト比の範囲内であれば特に限定されない。
(表示媒体および表示装置)
−表示媒体−
次に、本実施形態の表示方法を利用した表示媒体について説明する。本実施形態の表示媒体は、本実施形態の表示方法が実施可能な構成を有するものであればその構成は特に限定されるものではないが、実用上は以下に示す構成を有することが好適である。
すなわち、本実施形態の表示媒体は、片面に透明電極が設けられた透光性を有する第1の基板と、前記透明電極表面に配置され、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材と、前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液と、前記透明電極と絶縁され且つ前記電解液と接する位置に配置された対向電極と、を備えたことを特徴とする。
なお、対向電極は、透明電極と絶縁され且つ電解液と接する位置に配置されるのであれば、表示媒体中の任意の位置に配置することができる。しかし、対向電極は、通常は、第2基板の第1の基板が設けられた側の面に配置されていることが好ましい。以下、説明の都合上、特に説明が無い限り、対向電極が、第2基板の第1の基板が設けられた側の面に配置されていることを前提として説明する。
一方、孔軸角度は、表示媒体の製造の容易さ等の観点からは90度となるよう表示媒体が構成されていることが好ましいが、既述したように0度から90度未満の範囲としてもよい(なお、上記表示媒体における基準面は、第1の基板の透明電極が設けられた側と反対側の面である)。この場合、孔軸角度は、表示媒体中の全ての貫通孔が同じ角度である必要はなく、例えば、画素単位で異なった角度を有していてもよく、画素内で異なった角度を有していてもよい。
また、貫通孔の配向方向についても、表示媒体中の全ての貫通孔が同じ方向に配向している必要はなく、例えば、画素単位で異なった方向に配向していてもよく、画素内で異なった方向に配向していてもよい。同様に、貫通孔の短軸長さ、アスペクト比等などの形状を特定する特性値も表示媒体中の全ての貫通孔が同じである必要はなく、例えば、画素単位で異なっていてもよいし、画素内で異なっていてもよい。
この他に、既述したように視野角依存性の制御を目的として、貫通孔の配向方向や、孔軸交差角度を選択することもできる。
また、偏光板を用いる場合、実用上は、第1の基板および透明電極間、および、第1の基板の透明電極が設けられた面と反対側の面から選択される少なくともいずれかの位置に、偏光板が配置されていることが好ましい。
なお、本実施形態の表示媒体は、通常、基準面が表示面(画像が表示される側の面)として機能するものであるが、第2の基板および対向電極が可視域の波長の光を透過可能な材料からなる場合には、第2の基板の対向電極が設けられた側と反対側の面を表示面として利用することもできる。この場合、必要であれば、第2の基板および対向電極間、および、第2の基板の対向電極が設けられた面と反対側の面から選択される少なくともいずれかの位置に、偏光板が配置されていてもよい。
ここで、孔軸角度が90度(又は0度)である場合、偏光板は、基準面と平行な方向の偏光成分がカットできるように配置される。なお、基準面内のいずれの方向の偏光成分をカットするかは、必要に応じて選択できる。
また、孔軸角度が0度を超え90度未満である場合、貫通孔の配向ベクトル(貫通孔の孔軸と平行なベクトル)のうち基準面と平行な成分のベクトルと平行な方向の偏光成分をカットするように偏光板が配置される。
また、表示媒体平面方向の一部のエリアのみの表示を他のエリアに対して独立して制御できるように、電極を分割して設けたり、一対の基板間に隔壁を設けたりすることができる。この表示が独立して制御される領域(以下、「単位領域」と称す場合がある)は、これをそのまま一画素として機能させてもよいし、また、赤色の表示のみを行う単位領域と緑色の表示のみを行う単位領域と青色の表示のみを行う単位領域とを組み合わせたものを1画素として機能させる場合のように、2つ以上の単位領域を組み合わせて一画素として機能させてもよい。
なお、表示媒体が複数の単位領域や画素を有し、且つ、偏光板を用いる場合、単位領域や画素毎に、カットする偏光成分の方向を選択して偏光板を配置してもよい。
以上に説明した本実施形態の表示媒体では、貫通孔に、金属が析出していない第1の状態、および、金属が析出している第2の状態から選択される少なくとも一方の状態において画像が表示される。すなわち、表示される画像は、全ての貫通孔が第1の状態または第2の状態のいずれか一方の状態を選択したものに対応する画像であってもよいし、全ての貫通孔の一部が第1の状態を選択し、且つ、他の一部が第2の状態を選択したものに対応する画像であってもよい。
ここで、表示される画像を切り替えながら表示を行う際に、一の画像から他の画像への表示が完了する毎に、全ての貫通孔の少なくとも一部において第2の状態が選択されている場合には、貫通孔に析出している金属は、その最大径に対する貫通孔の孔軸方向の長さの比(アスペクト比)が2以上であることが好ましく、5以上であることが好ましい。この場合、画像を切り替えながら表示を行っても、表示される全ての画像において常に高い発色濃度を維持することができる。なお、この場合のアスペクト比の上限は貫通孔のアスペクト比以下の範囲内であれば特に限定されないが、実用上は30以下であることが好ましい。
次に、表示媒体を構成する各部材についてより詳細に説明する。
−電解液−
電解液は、溶媒と、この溶媒中に貫通孔中に析出させる金属を金属イオンとして含むものであれば特に限定されないが、この他にも必要に応じて種々の材料が含まれていてもよい。
まず、金属イオン(又は金属)としては、電気化学的な酸化反応により金属がイオン化して溶解、及び、電気化学的な還元反応により金属イオンが金属として析出するものであれば公知のものが利用でき、例えば、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオン、ニッケルイオン、鉄イオン、コバルトイオン、亜鉛イオン、鉛イオン、クロムイオン、スズイオンなどが挙げられる。
これに対して、金属イオンのカウンターイオンとしては、電解液に対して電界を付与しない限り電解液中で金属イオンがイオン状態で安定に存在できるものであれば特に限定されないが、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ブロムイオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、ホウフッ化イオン等を挙げることができる。また、電解液中の金属イオン濃度としては電解液の安定性、発色濃度の確保、電界を付与してから画像が表示されるまでの応答速度等の観点から0.001mol/l以上5mol/l以下の範囲内であることが好ましい。
なお、金属イオンとしては、上記に列挙した中でも金イオンや銀イオンが好ましい。この場合、電解液の作製に際して溶媒に添加する金イオン化合物としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、金チオ硫酸ナトリウム、塩化金ナトリウム、亜硫酸金ナトリウムなどが挙げられ、銀イオン化合物としては、ハロゲン化銀、硝酸銀、などが挙げられる。
一方、溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、その他の非水溶媒(有機溶媒等)などを1種類または2種類以上を組み合わせて利用できる。また、必要に応じて電解液に添加できるその他の添加剤としては、水溶性樹脂、界面活性剤、(金属として析出する)金属イオン以外の電解物質(例えば、アルカリ金属イオンなど)、ポリマー粒子、金属酸化物粒子等が利用できる。
非水溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、メチルピロリドン等、シリコーンオイル等の非プロトン性非水溶媒を上げることができる。
水溶性樹脂としては、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエチレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、等のポリマーを単独、あるいは、複数組み合わせて使用しても良い。
水溶性樹脂を溶媒中に溶解、もしくは、分散させることで、金属イオン、電解質イオンの移動速度の制御、析出した金属の安定化に寄与する。添加量は、界面活性剤種、及び、その添加量との関係を考慮して調整する。
界面活性剤は、貫通孔中に析出した金属の安定化に寄与する。
界面活性剤種としては、カチオン型界面活性剤(アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等)、ノニオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等)、アニオン型界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルフホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、β-ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等)、両性界面活性剤、等をから選択することができる。
また、電解液はゲル状であってもよい。電解液をゲル状とすることにより、表示媒体の一部が破損した場合でも、電解液が表示媒体外へ流失したり漏れたりすることを防ぐことが容易になる。なお、電解液をゲル状とするには、水溶性樹脂などを利用することができる。
−基板−
本発明に用いられる基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフイルムや膜状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。
ここで、透光性を有する(第1の)基板としては、上記に列挙した基板のうち、可視域の光に対する光透過率が少なくとも50%以上であるものが好適に利用でき、透光性を有する基板の光透過率は100%に近いほど好ましい。
また、第1の基板に対向配置される第2の基板としては、上記に列挙した基板から任意に選択できる。但し、透過型の表示媒体を作製する場合には、光透過率が少なくとも50%以上である透光性を有する基板が用いられる。
なお、第1の基板としては、ガラス基板や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明樹脂基板を用いることが好ましく、これらを組み合わせたものを用いてもよい。また、第2の基板としては、第1の基板と同じ材質のものを利用してもよいが、不透明あるいは着色した基板も 利用でき、たとえばABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)やガラスエポキシ樹脂などからなる樹脂基板を用いることができる。
なお、第1の基板や第2の基板は、通常は基板の平面方向のいずれの位置においても板厚みが同じで、両面が平坦な平板状のものが用いられる。しかし、第1の基板については、透明電極が設けられる側の面に、孔軸角度を所望の角度に制御することを目的とした凹凸が設けられていてもよい。この凹凸形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、凹凸部分の断面形状が鋸刃状の直線で構成される凸部が周期的に繰り返されるものなどが挙げられる。
また、本実施形態の表示媒体は可撓性を有していてもよいが、この場合、本実施形態の表示媒体を、電子ペーパーや携帯型電子機器等の可撓性が求められる用途に利用することがより容易となる。なお、この用途に本実施形態の表示媒体を用いる場合、第1の基板および第2の基板として可撓性を有する基板(プラスチック基板など)を用いることが特に望ましい。
さらに、第1の基板や第2の基板には、必要に応じて配線、薄膜トランジスタ、金属・絶縁層・金属構造を持つダイオード、バリアブルコンデンサ、強誘電体等の駆動用スイッチング素子を形成してもよい。
−電極−
本発明に用いられる透明電極や対向電極を構成する電極材料としては、公知の電極材料が利用でき、例えば、金、銀、銅、アルミニウム白金、クロム、コバルト、パラジウム等の金属、ITO等の導電性セラミックス、ポリフェニルビニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等の導電性材料(導電率:100S/cm以上)が利用できる。 ここで、透明電極に用いられる電極材料としては、透明電極の可視域の光に対する光透過率を少なくとも50%以上に制御できるものを選択することが好適であり、代表的には、ITOなど透明な導電性材料が利用できるが、電極膜厚が薄い場合には、銅などの金属も利用できる。なお、透明電極の可視域の光に対する光透過率は100%に近いほど好ましい。
また、対向電極に用いられる電極材料としては、公知の電極材料であれば特に制限なく利用できるが、表示媒体が透過型である場合は、透明電極に用いられる電極材料と同様のものが利用される。
なお、対向電極は、通常、第2の基板の第1の基板が配置された側の面に設けられるが、この場合、透明電極および対向電極は、基板表面に帯状に設けることによって、第1の基板側の電極と第2の基板側の電極とが直交するように、いわゆる行と列とに電極を配置したものとしてもよい。
−貫通孔を複数有する部材−
貫通孔を複数有する部材は、貫通孔を有し透明電極表面を被覆するように配置されるものである。透明電極表面への貫通孔を複数有する部材の配置・形成としては特に限定されるものではないが、例えば、透明電極表面に薄膜を形成した後、この薄膜表面から透明電極まで達する孔を形成する方法(第1の方法)や、予め膜厚方向に貫通する孔を有する部材を透明電極表面に配置する方法(第2の方法)などが利用できる。
第1の方法の例としては、透明電極表面にアルミニウム膜を蒸着法等の公知の成膜方法により形成した後、このアルミニウム膜を陽極酸化処理することによって、アルミニウム膜表面から透明電極表面にまで達する孔を設けることによって形成する方法などが挙げられる。この場合の貫通孔の孔径や、孔径分布、孔密度、アスペクト比等は、陽極酸化処理条件やアルミニウム膜の膜厚等を選択することにより制御できる。
また、第2の方法の例としては、ポリカーボネート等のフィルム部材に対して、中性子ビームなどのフィルム部材を構成する材料を分解・溶解等させるビームを照射して、フィルム部材の厚み方向に貫通する孔が設けられたフィルム部材を貫通孔を複数有する部材として透明電極表面に配置する方法が挙げられる。この場合の貫通孔の孔径や孔径分布、孔密度、アスペクト比等は、ビームの照射条件やフィルム部材の膜厚等を選択することにより制御できる。さらに、孔軸角度の制御を目的として、フィルム部材に対するビームの照射角度を選択することもできる。
なお、貫通孔を複数有する部材は、透明電極が設けられた領域全面を被覆するように配置される必要はないが、通常は、透明電極表面全面を被覆するように配置される。
また、貫通孔を複数有する部材を構成する材料としては、電解液により腐食しない材料であれば特に限定されるものではないが、貫通孔に析出する金属のアスペクト比の制御性を向上させるという観点からは、透明電極と導通することによって電極として機能しないものであることが特に好ましい。
−偏光板−
偏光板としては、偏光していない光が偏光板を通過した際に、偏光板を通過した光が直線偏光となるものであれば公知の偏光板が利用できる。なお、偏光板の利用によって、表示される画像の輝度が低下するのを抑制するため、偏光板を通過する偏光方向を有する光の透過度は高い方がよい。
−その他の部材−
本実施形態の表示媒体には、分散媒等の内容物の表示媒体外部への流出を防いだり、一対の基板間に封入される電解液を隔壁によって複数のセルに区分する場合ために、一対の基板間に隔壁が設けられることが特に好ましい。
この隔壁の高さは、特に限定されるものではないが、通常20μm以上1mm以下の範囲とすることが好ましい。また、隔壁の幅は、特に限定されるものではないが、表示媒体の解像度を向上させる観点からは、一般的には幅が小さい方が好ましく、通常は、10μm以上1mm以下の範囲とすることが好ましい。
また、隔壁の材料としては、絶縁性を有すると共に電解液に対して溶解・腐食しない材料であれば特に限定されず、例えば、公知の感光性樹脂やゴムなどを用いることができる。
また、一対の基板間に封入される電解液を含む層を2以上のセルに分割するように隔壁を設けてもよい。この場合、隔壁により形成される個々のセルは、貫通孔中への金属の析出や、一旦析出した金属の溶解の制御がセル単位毎に行いやすくなる。また、隔壁を設けることにより、表示媒体の一部が破損しても、電解液の漏れや流失が破損箇所のみで収まるため、一部が破損しても表示媒体全体の機能が損なわれることを防止できる。
加えて、表示媒体の作製に際して、隔壁と基板とを接着するために、接着剤を利用することもできる。接着剤としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂、紫外光硬化性樹脂等を使用することができるが、隔壁の材料や、電解液を構成する材料等に影響を与えない材料が選択される。
更に、必要に応じて、一対の基板の間隙幅を一定に保つために、リブを設けたり、一対の基板の間隙幅と同程度の粒径を持ち、電解液や電界の付与によって腐食・劣化しない材料からなる粒子(間隙幅維持用粒子)を配置してもよい。
間隙幅維持用粒子の粒子径としては、1μm以上200μm以下であることが好ましく、3μm以上100μm以下が好ましい。また、この粒子の粒度分布は、狭いことが好ましく、単分散であることがより好ましい。粒子の色としては特に限定されないが、淡色が好ましく、白色が特に好ましい。粒子を構成する材料としては、樹脂やガラスなどが好ましい。更に粒子の表面には、電解液に対する分散性の向上や、電解液による腐食や溶解防止のために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤で処理されることが好ましい。
−電界制御手段−
本実施形態の表示媒体は、表示媒体外部の電界印加手段と表示媒体の電極とを接続した状態で、画像の表示を行うものである。
この電界印加手段により電解液に印加される電界は、表示させたい画像に応じて、手動で制御することもできるが、通常は、IC回路等の電子部品等により構成され、メモリーに蓄積された画像情報や、受信機などにより受信された画像情報等から選択され画像情報が入力された際に、前記画像情報に対応する画像が表示されるように前記電界液に印加する電界を制御する電界制御手段により制御されることが好ましい。
電界制御手段を利用すれば容易に表示したい画像を表示媒体に表示させることができる。なお、この電界制御手段は、表示媒体外部のものを利用してもよいが、表示媒体に内蔵されていることが好ましい。
一方、電界制御手段に画像情報が入力された際には、その画像情報に応じて、(1)金属イオンを還元させる電界を電界液に印加して、貫通孔中に金属を析出させる金属析出工程、および、(2)貫通孔中に析出している金属を酸化させる電界を電界液に印加して、貫通孔中に析出した金属を溶解させる金属溶解工程、から選択される少なくとも一方の工程が実施される。
ここで、画像情報に対応した画像の表示が完了した際に、貫通孔に金属が析出していない状態(非析出状態)、および、貫通孔に金属が析出しており且つ貫通孔に析出している金属の最大径に対する貫通孔の孔軸方向の長さの比(アスペクト比)が2以上である状態(析出状態)、から選択される少なくとも一方の状態が得られるように、上述した少なくとも一方の工程が、常に、実施されることが好ましい。
ここで、析出状態における柱状金属のアスペクト比は、吸収ピークが所望する範囲に位置するように制御すればよい。これは、柱状金属のアスペクト比と吸収ピークとの関係は、柱状金属を構成する金属種類によって異なってくるためである(例えば、Au,Ag、Alについて、アスペクト比が5の場合の最大吸収ピーク波長は、それぞれ、約900nm、約750nm、約450nm、アスペクト比が3の場合の最大吸収ピーク波長は、それぞれ、約700nm、約550nm、約320nmである)。それゆえ、柱状金属を構成する金属種類に応じて、所望の吸収ピークが得られるようにアスペクト比を制御する。なお、アスペクト比と吸収ピークとの関係は、金属の誘電率の値等を利用してシュミレーションにより容易に求めることができる(例えば、J.Phys.Chem.B,1999,103,8410−8426(特に、式(5)〜式(8)および図5)参照)。
上述した非析出状態や析出状態が常に得られるように金属析出工程や金属溶解工程を実施しない場合には、画像を切り替えて表示していく際に、常により高い発色濃度が得られなくなる場合がある。なお、析出状態におけるアスペクト比の上限は、貫通孔のアスペクト比の範囲内であれば特に限定されない。
−表示媒体の製造方法−
表示媒体の製造方法としては特に限定されないが、例えば以下のプロセスにより作製することができる。まず、片面に透明電極および貫通孔を複数有する部材が予め形成された第1の基板と、片面に対向電極が形成された第2の基板を準備する。
続いて、第1の基板(又は第2の基板)の電極が設けられた側の面に画素に対応するように隔壁を形成した後、隔壁で区切られた画素に対応する溝部分に電解液を満たす。次に電極が形成された面同士が向き合うように第1の基板と第2の基板とを貼り合わせて、これら一対の基板の端面部分をゴムや樹脂等の封止剤により封止し表示媒体を得ることができる。なお、貼り合わせに際しては、必要であれば間隙幅維持用粒子を一対の基板間に配置してもよい。また、この後、必要であれば、偏光板を、表示媒体の第1の基板側の面に配置することもできる。
−表示装置−
次に、以上に説明した表示媒体を用いた表示装置について説明する。この表示装置は、表示媒体内に設けられた透明電極および対向電極に接続され、電界液に電界を印加する電界印加手段を更に備えたものである。
よって、この表示装置により表示を行う場合には、表示媒体のように外部の電界印加手段と接続することなく表示を行うことができる。なお、電界印加手段としては、必要に応じて交流電源、直流電源のいずれも利用でき、一対の電極を介して電解液に交流電圧と直流電圧とを重畳して印加する場合には双方を併用することもできる。また、電界制御手段も備えていることが更に好ましい。
−表示媒体の具体例−
次に、以上に説明した表示媒体の具体例を、図面を用いてより詳細に説明する。
図6〜図9は、表示媒体の構成例を示す図であり、図6は表示媒体の断面について示す模式断面図であり、図7〜図9は、図6中の符号Pで示される部分を拡大した拡大図であり、且つ、図6に示す表示媒体の一態様を示したものである。なお、図6中において、電界印加手段は記載を省略してある。
また、これら図中、10、10A、10B、10Cは表示媒体、100は第1の基板、102は基準面、104は鋸刃状の凸部、104R、104Lは鋸刃状の凸部104を構成する辺、200は第2の基板、310は透明電極、320は対向電極、400は貫通孔を複数有する部材、410は貫通孔、500は電解液、600は隔壁、700は偏光板、符号A1−A2間に描かれた一点鎖線は貫通孔410の孔軸、θa、θb、θcは、基準面102と貫通孔410の孔軸との成す角度(孔軸角度;単位は「度」)、符号E1、E2、E3で示されるアイマークは観察者の位置、二重線で示される両矢印は、無偏光の光が偏光板700を通過した場合に、カットされる偏光成分の方向を表す。
図6に示す表示媒体10は、片面に透明電極310と貫通孔を複数有する部材とがこの順に積層された第1の基板100と、片面に対向電極320が配置され、対向電極320が設けられた側の面が第1の基板100の透明電極310が設けられた側の面と対向するように配置された第2の基板200と、第1の基板100と第2の基板200との間隙を充填するように封入された電解液500と、第1の基板100と第2の基板200との間隙に電解液500を所定のエリアに封入するように配置された隔壁600と、第1の基板100の透明電極310が設けられた側の面と反対側の面(基準面102)に設けられた偏光板700とから少なくとも構成されている。
但し、図6中において貫通孔を複数有する部材400に設けられている貫通孔410については記載を省略してあり、また、電極310、320は不図示の電界印加手段に接続されており、これら一対の電極310、320を介して電解液500に対して電界を印加することができる。また、偏光板700は必要に応じて設けられていなくてもよい。
また、図6に示す表示媒体10、隔壁600で仕切られた1つのセル部分について示したものであるが、通常は、これらのセルを一単位領域又は一画素として2次元的に配置した態様で利用することができる。なお、以下の説明においては、説明の都合上、特に説明の無い限り、表示媒体10が一つのセルのみから構成されるものとして説明する。
次に、図6に示す表示媒体10について、図7〜図9によりより詳細に説明する。
図7に示す表示媒体10Aは、図6に示す表示媒体10の一態様を示したものであり、表示媒体10A中の全ての貫通孔410の孔軸と基準面102との成す角度θaが90度となるように貫通孔410が設けられているところに特徴がある。なお、表示媒体10Aに設けられる偏光板700は、基準面と平行な方向で且つ図中の紙面と平行な方向の偏光成分がカットされるように配置されている。
ここで、偏光板700が設けられていない表示媒体10Aを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合(観察者の視点が図中の紙面上に存在し、且つ、基準面102に対して略直交する方向から観察した場合。以下、同様。)において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、図2に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。但し、人間の視野にはある程度の広がりがあるため、この点を考慮すれば、厳密には、図2に例示されるような吸収スペクトルに対応する色と、図3に例示されるような吸収スペクトルに対応する色とが同時に観察されることになる。なお、以下の説明においては、特に説明の無い限り、視野の広がりは無いものと仮定して説明する。
一方、偏光板700が設けられた表示媒体10Aを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、原理的には柱状金属に起因する発色は確認できないことになる。但し、人間の視野の広がりを考慮すれば、表示媒体の面積や、表示媒体と観察者との距離などにも依存するものの、図4に例示されるような吸収スペクトルに対応する色も観察される場合もある。
また、表示媒体10Aを、図6中に示すアイマークE2の位置から観察した場合(観察者の視点が図中の紙面上に存在し、且つ、基準面102に対して45度程度の鋭角を成す方向から観察した場合。以下、同様。)には、図4に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。
図8に示す表示媒体10Bは、図6に示す表示媒体10の他の態様を示したものであり、表示媒体10B中の全ての貫通孔410の孔軸と基準面102との成す角度θbが0度を超え90度未満の範囲の鋭角を成すように貫通孔410が設けられているところに特徴がある。なお、表示媒体10Aに設けられる偏光板700は、基準面と平行な方向で且つ図中の紙面と平行な方向の偏光成分がカットされるように配置されている。
ここで、偏光板700が設けられていない表示媒体10Bを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、図3に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。
また、この状態において、図6中に示すアイマークE2、および、基準面102と垂直な方向を基準としてE2と線対照の位置にあるアイマークE3から選択されるいずれか一方の位置から観察した場合、角度θbが約45度前後であれば図2に例示されるような吸収スペクトルに対応する色、又は、図2に例示した吸収スペクトルとは逆パターンの吸収スペクトル(主に柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトル)に対応する色が観察されることになる。
すなわち、基準面に対して孔軸が鋭角を成し、且つ、全ての貫通孔が一方向のみに配向している場合には、観察する位置によって色が大きく変化し易くなり、視野角依存性の大きい表示が可能となる。
これに対して、偏光板700が設けられた表示媒体10Bを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、図4に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。
図9に示す表示媒体10Cは、図6に示す表示媒体10の他の態様を示したものである。
この表示媒体10Cは、以下に説明する構成を有するところに特徴がある。すなわち、第1の基板100の基準面と反対側の面に鋸刃状の凸部104が周期的に設けられており、鋸刃状の凸部104を構成する2つの辺104L(図中、鋸刃状の凸部104の左側を構成する辺)および104R(図中、鋸刃状の凸部104の右側を構成する辺)の長さは同じである。そして、この鋸刃状の凸部104表面に透明電極310と貫通孔を複数有する部材400とがこの順に設けられており、貫通孔410は、鋸刃状の凸部104を構成する辺104Lに対しては、孔軸がθcを成すように、鋸刃状の凸部104を構成する辺104Rに対しては、孔軸が180−θcを成すように設けられている。
なお、表示媒体10Aに設けられる偏光板700は、基準面と平行な方向で且つ図中の紙面と平行な方向の偏光成分がカットされるように配置されている。また、表示媒体10Aに設けられた貫通孔410の分布密度にはムラがないものとする。
ここで、偏光板700が設けられていない表示媒体10Bを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、図3に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。
また、この状態において、図6中に示すアイマークE2又はE3のいずれの方向から観察した場合においても、(1)鋸刃状の凸部104の一方の辺上に位置する貫通孔内に析出した柱状金属に起因する発色は図3に例示されるような吸収スペクトルから図2に例示する吸収スペクトルへと波形がシフトした状態に対応する色に変化するものの、(2)鋸刃状の凸部104の他方の辺上に位置する貫通孔内に析出した柱状金属に起因する発色は、図3に例示されるような吸収スペクトルから図2に例示した吸収スペクトルとは逆パターンの吸収スペクトル(主に柱状金属の長軸方向に起因したピーク成分からなる吸収スペクトル)へと波形がシフトした状態に対応する色に変化する。このため、全体としては、アイマークE2、E3のいずれの位置から観察した場合も実際に観察される色に差は見られないことになる。
すなわち、基準面に対して孔軸が鋭角を成し、且つ、全ての貫通孔の配向方向が一方向では無く互いに異なる2以上の方向に配向している場合は、観察する位置によって色が大きく変化するのを抑制し易くなり、視野角依存性の小さい表示が可能となる。
これに対して、偏光板700が設けられた表示媒体10Cを、図6中に示すアイマークE1の位置から観察した場合において、貫通孔410に柱状金属を析出させると、図4に例示されるような吸収スペクトルに対応する色が観察される。
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
−表示媒体の作製−
偏光板を設けなかった以外は図7に例示する表示媒体と同様の構成を有する表示媒体を以下の手順で作製した。
まず、片面に透明電極として膜厚20μmのITO膜が設けられた第1のガラス基板(縦30mm×横30mm×厚み0.5mm)のITO膜表面に、アルミニウムを蒸着させて膜厚3μmのアルミニウム膜を成膜した。続いて、このアルミニウム膜を陽極酸化処理した。
なお、同じ条件で作製した観察用サンプルについて、陽極酸化処理後のアルミニウム膜表面および断面を走査型電子顕微鏡(日立社製、S4500)により確認したところ、アルミニウム膜には、アルミニウム膜表面からITO膜表面にまで達する円形の貫通孔が多数形成されていた。このアルミニウム膜に形成された貫通孔の平均孔径は、30nm、アスペクト比は10、孔密度は4×1010個/mmであった。また、各々の貫通孔の孔径はほぼ同じであったことから、貫通孔の孔径分布は実質的に単分散であることがわかった。さらに、貫通孔は、その孔軸が第1のガラス基板のITO膜が設けられた側の面と反対側の面(基準面)とほぼ平行であったことから、孔軸角度が90度であることが判った。
次に、貫通孔の設けられたアルミニウム膜表面に、厚さ1mmのテフロン(登録商標)をスペーサーとして配置し、更にこの上に、対向電極として膜厚1μmのAu膜が形成された第2のガラス基板(縦30mm×横30mm×厚み3mm)を電極面がアルミニウム膜面と対向するように配置し、一対の基板からなる積層体を得た。この際、一対の基板間に電解液を充填した。なお、この電解液は、DMSO溶媒中に、KAuBrを10mMと、NaBrを0.1Mとを溶解させたものである。
続いて、この積層体端面の全周を紫外線硬化樹脂により封止した後、紫外線を照射して硬化させることによって表示媒体を得た。なお、表示媒体の作製に際しては、電極に電流が流せるように適当な長さの引き出し配線を接続しておいた。
−評価−
得られた表示媒体について、Au電極を陽極、ITO電極を負極として、1.5Vの直流電圧を10秒間印加した。この際、表示媒体を第1の基板側の面に対してほぼ垂直な方向から観察したところ、鮮やか且つ濃い発色濃度の赤色が表示された。なお、この発色状態は、電極への電圧の印加を中止しても維持された。続いて、表示媒体に逆の電圧を加えると、赤色の発色が消え、白色が表示された。
なお、上述と同様の条件で再度赤色を表示した後に、電圧の印加を中止して、表示媒体を分解した後、アルミニウム膜中の貫通孔の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、アスペクト比が3の柱状金属が析出していることが確認された。さらに、EDS(エネルギー分散型X線分析装置)により貫通孔に析出した柱状金属の組成を分析したところAuが検出された。
(実施例2)
−表示媒体の作製−
偏光板を設けなかった以外は図9に例示する表示媒体と同様の構成を有する表示媒体を以下の手順で作製した。
まず、第1のガラス基板として片方の面に図9に例示する鋸刃状の凸部が周期的に設けられ、この鋸刃状の凸部表面に膜厚2μmのITO膜が更に設けられたガラス基板(縦30mm×横30mm×厚み5mm)を準備した。鋸刃状の凸部は、その頂上部がガラス基板の縦方向に直線状に伸び、横方向(図9中の紙面左右方向)に頂上部と谷部(隣接する2つの凸部の境界部)とが繰り返されるように第1のガラス基板の片面に形成されてたものである。また、凸部は、凸部を構成する2つの辺(図9中の符号104L、104Rに相当する辺)の長さが等しく、各々の辺がこの凸部が設けられた側と反対側の面に対して15度の鋭角を成しており、1つの凸部の幅(基板横方向の長さ)が50μmである。
次に、この第1の基板のITO膜の表面に、アルミニウムを蒸着させて膜厚3μmのアルミニウム膜を成膜した。続いて、このアルミニウム膜を陽極酸化処理した。
なお、同じ条件で作製した観察用サンプルについて、陽極酸化処理後のアルミニウム膜表面および断面を走査型電子顕微鏡(日立社製、S4500)により確認したところ、アルミニウム膜には、アルミニウム膜表面からITO膜表面にまで達する円形の貫通孔が多数形成されていた。このアルミニウム膜に形成された貫通孔の平均孔径は、30nm、アスペクト比は10、孔密度は4×1010個/mmであった。また、各々の貫通孔の孔径はほぼ同じであったことから、貫通孔の孔径分布は実質的に単分散であることがわかった。
さらに、全ての貫通孔のうちの約半分(すなわち、凸部の一方の辺側上に位置する貫通孔)は、一の方向に配向し、残り半分の貫通孔(すなわち、凸部の他方の辺側上に位置する貫通孔)は、他の方向に配向し、貫通孔が二方向に配向していることが確認された。なお、全ての貫通孔は、配向方向が異なる点を除いては、その孔軸が第1のガラス基板のITO膜が設けられた側の面と反対側の面(基準面)に対して約75度の角度を成していたことから、孔軸角度が75度であることが判った。
次に、貫通孔の設けられたアルミニウム膜表面に、厚さ1mmのテフロン(登録商標)をスペーサーとして配置し、更にこの上に、対向電極として膜厚1μmのAu膜が形成された第2のガラス基板(縦30mm×横30mm×厚み5mm)を電極面がアルミニウム膜面と対向するように配置し、一対の基板からなる積層体を得た。この際、一対の基板間に電解液を充填した。なお、この電解液は、DMSO溶媒中に、KAuBrを10mMと、NaBrを0.1Mとを溶解させたものである。
続いて、この積層体端面の全周を紫外線硬化樹脂により封止した後、紫外線を照射して硬化させることによって表示媒体を得た。なお、表示媒体の作製に際しては、電極に電流が流せるように適当な長さの引き出し配線を接続しておいた。
−評価−
得られた表示媒体について、Au電極を陽極、ITO電極を負極として、3mA/cmの電流密度で直流電流を以下に示すように所定時間流した後、表示媒体を第1の基板側の面に対してほぼ垂直な方向から観察した。
まず、最初に、(1)4秒間電流を流した後には、赤色が表示された。次に、発色状態が完全に消失するまで、電極間に逆電位の電流を流した後、再び、Au電極を陽極、ITO電極を負極として、(2)8秒間電流を流した後には赤紫色が表示された。更にこの後、発色状態が完全に消失するまで、電極間に逆電位の電流を流した後、再び、Au電極を陽極、ITO電極を負極として、(3)12秒間電流を流した後には暗い赤紫色が表示された。
なお、発色濃度は、(1)4秒間電流を流した後に対して、(2)8秒間電流を流した後や(3)12秒間電流を流した後の方が高いことが判った。
なお、(1)4秒間電流を流した後、(2)8秒間電流を流した後、(3)12秒間電流を流した後の各々の状態において表示媒体を分解して、アルミニウム膜中の貫通孔の断面を走査型電子顕微鏡により観察し、貫通孔中に析出している金属のアスペクト比を調査した。その結果、アスペクト比は、(1)4秒間電流を流した後では1、(2)8秒間電流を流した後では2、(3)12秒間電流を流した後では3であった。また、実施例1と同様にEDSにより元素分析を行ったと、いずれの場合もAuが析出していることが確認された。
(実施例3)
−表示媒体の作製−
実施例2で作製した表示媒体の第1の基板側の面(基準面)に、図9に例示した場合と同様にして、基準面と平行な方向で且つ鋸刃状の凸部の頂上部と谷部(隣接する2つの凸部の境界部)とが繰り返される方向に平行な方向の偏光成分がカットできるように偏光板(Polarcor社製、Linear Polarixers)を接着して固定し、表示媒体を得た。
次に、この表示媒体を実施例2と同様にして評価したところ、(1)4秒間電流を流した後には赤色が表示され、(2)8秒間電流を流した後には紫色が表示され、(3)12秒間電流を流した後には赤紫色が表示され、同じ条件で表示を行っても実施例2の表示媒体とは表示される色が異なることが確認された。
ランダムに配向している柱状金属の典型的な吸収スペクトルの一例を示すグラフである。 一方向に配向している柱状金属の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。 一方向に配向している柱状金属の吸収スペクトルの他の例を示すグラフである。 図3に示す例において、偏光板を介して柱状金属を観察した場合の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。 図1に示す例において柱状金属の短軸長さをS1で固定した状態で、長軸長さをL1、L2、L3の3水準で変化させた場合の柱状金属の長軸成分に起因する吸収スペクトルである長波長側のピーク成分の変化の一例について示すグラフである。 表示媒体の断面について示す模式断面図である。 図6に示す表示媒体の一態様を示す拡大断面図である。 図6に示す表示媒体の他の態様を示す拡大断面図である。 図6に示す表示媒体の他の態様を示す拡大断面図である。
符号の説明
10、10A、10B、10C 表示媒体
100 第1の基板
102 基準面
104 鋸刃状の凸部
104R、104L 鋸刃状の凸部104を構成する辺
200 第2の基板
310 透明電極
320 対向電極
400 貫通孔を複数有する部材
410 貫通孔
500 電解液
600 隔壁
700 偏光板

Claims (10)

  1. 片面に透明電極が設けられた透光性を有する第1の基板と、
    前記透明電極表面に配置され、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材と、
    前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液と、
    前記透明電極と絶縁され且つ前記電解液と接する位置に配置された対向電極と、を備えたことを特徴とする表示媒体。
  2. 前記第1の基板の前記透明電極が配置された側の面の反対側の面と、前記貫通孔の孔軸と、の成す角度が、0度以上90度未満の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  3. 前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、
    前記一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、前記他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度が、5度以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  4. 前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔が、一方向に配向していることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  5. 前記貫通孔を複数有する部材における全ての貫通孔のうちのいずれか一部が一の方向に配向し、いずれか他の一部が他の方向に配向し、
    前記一の方向に配向している貫通孔の孔軸と、前記他の方向に配向している貫通孔の孔軸との成す角度が、0度を超え5度未満の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  6. 前記第1の基板および前記透明電極間、および、前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面と反対側の面から選択される少なくともいずれかの位置に、偏光板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  7. 前記貫通孔に、金属が析出していない第1の状態、および、金属が析出している第2の状態から選択される少なくとも一方の状態において画像が表示され、
    表示される画像を切り替えながら表示を行う際に、一の画像から他の画像への表示が完了する毎に、全ての貫通孔の少なくとも一部において前記第2の状態が選択されている場合には、貫通孔に析出している金属は、その最大径に対する貫通孔の孔軸方向の長さの比が2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  8. 画像情報が入力された際に、前記画像情報に対応する画像が表示されるように前記電界液に印加する電界を制御する電界制御手段を備え、
    前記電界制御手段に画像情報が入力された際に、前記画像情報に応じて、(1)金属イオンを還元させる電界を電界液に印加して、貫通孔中に金属を析出させる金属析出工程、および、(2)貫通孔中に析出している金属を酸化させる電界を電界液に印加して、前記貫通孔中に析出した前記金属を溶解させる金属溶解工程、から選択される少なくとも一方の工程が実施され、
    前記画像情報に対応した画像の表示が完了した際に、貫通孔に金属が析出していない状態、および、貫通孔に金属が析出しており且つ前記貫通孔に析出している金属の最大径に対する前記貫通孔の孔軸方向の長さの比が2以上である状態、から選択される少なくとも一方の状態が得られるように、
    前記少なくとも一方の工程が、実施されることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  9. 片面に透明電極が設けられた透光性を有する第1の基板と、
    前記透明電極表面に配置され、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材と、
    前記第1の基板の前記透明電極が設けられた面側に対向するように配置された第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間隙を満たすように配置された金属イオンを含む電解液と、
    前記透明電極と絶縁され且つ前記電解液と接する位置に配置された対向電極と、
    前記透明電極および前記対向電極に接続され、前記電解液に電界を印加する電界印加手段と、を備えたことを特徴とする表示装置。
  10. 片面に透明電極が設けられた透光性を有する基板の前記透明電極表面に配置され、金属イオンを含む電解液と接触すると共に、前記透明電極表面側から貫通し、且つ、最大孔径に対する貫通孔の長さの比が2以上である貫通孔を複数有する部材の貫通孔中に、
    前記電解液に対して、少なくとも前記透明電極を介して前記金属イオンを還元する電界を印加することにより、柱状の金属を析出させる金属析出工程を経て、一の画像を表示させることを特徴とする表示方法。
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